説明

蓋体装着装置及び蓋体装着方法

【課題】容器本体の開口に形成されたフランジ部に蓋体を熱溶着する際、仮止め処理を実施しても経時的な剥離の発生を抑制しうる蓋体装着装置及び蓋体装着方法を提供する。
【解決手段】容器本体2に形成されたフランジ部6に蓋体3を溶着により仮止めした後、フランジ部6に蓋体3を溶着により本固定する際、フランジ部6上における蓋体3の仮止め位置8と、フランジ部6上における蓋体3の本固定位置9とを異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋体装着装置及び蓋体装着方法に係り、特に容器本体の開口に形成されたフランジ部に蓋体を熱溶着により装着する蓋体装着装置及び蓋体装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に各種容器が提供されているが、その中で医薬品、化粧品、食品等を内容物とする容器として、キャップ容器が知られている。このキャップ容器は、内容物が装填される容器本体と、この容器本体の開口を閉塞する蓋体とにより構成されている。
【0003】
容器本体は樹脂製であり、内容物が装填される装填部(凹部)と、開口部分に鍔状に延出するフランジ部とが形成されている。蓋体は金属製或いは樹脂製のフィルム状部材であり、前記のフランジに熱溶着が可能な構成とされている。
【0004】
そして、装填部に内容物を装填した後、装填部及びフランジ部を覆う蓋体を容器本体上に載置し、熱治具を用いて蓋体の周縁部分をフランジ部に熱溶着することにより蓋体をフランジ部に装着し、これにより内容物をキャップ容器内に封止する構成としていた。
【0005】
この蓋体をフランジ部に装着する方法としては、一般に二つの方法が知られている。その一つは蓋体の基材として帯状フィルムを用い、この帯状フィルムの状態でフランジ部に熱溶着した後、フランジ部の外周で帯状フィルムをカットする方法である(第1の方法)。もう一つの方法は、予め容器本体(フランジ部)の形状に対応した蓋体を形成しておき、これを容器本体に熱溶着する方法である(第2の方法)。
【0006】
上記の第1の方法では、熱溶着した後にフランジ部の外周で帯状フィルムをカットするため、カットされた蓋体の外周縁はフランジ部からはみ出すため美観に劣り、また蓋体に不要部分が残存することになり材料費が上昇してしまうという問題点がある。これに対して第2の方法では、予めフランジ部の形状に対応した形状にカットされた蓋体を容器本体に溶着するため、容器本体から蓋体がはみ出すようなことはなく、美観の向上及びコスト低減を図ることができる。
【0007】
しかしながら第2の方法では、蓋体が予めフランジ部の形状に対応した形状にカットされているため、これを容器本体上の所定装着位置に位置決めして固定するのが困難になる。具体的には、蓋体を容器本体上に搬送し載置する位置(蓋体載置位置)と、蓋体を容器本体に熱溶着する位置(熱溶着位置)とは異なるため、蓋体が載置された容器本体を蓋体載置位置から熱溶着位置まで移動させる必要がある。
【0008】
単に蓋体を載置したままの状態では、容器本体を移動させた場合、蓋体が容器本体の所定位置からずれたり、或いは離脱したりするおそれがあり、よって所定装着位置に位置決めして固定するのが困難であった。そこで、蓋体を容器本体に載置した際に、蓋体を容器本体に仮止めし、これにより上記の不都合を回避することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−006375公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように蓋体を容器本体に載置した際に、蓋体を容器本体に仮止めすることにより、容器本体の移動時に蓋体のずれや離脱を防止することが可能となる。
【0011】
しかしながら,この仮止め処理は蓋体とフランジ部を数箇所(例えば、3箇所)だけポイント的に熱溶着するものであり、従来ではこの仮止めのための熱溶着位置は、仮止め後に実施される本固定(熱溶着)位置と同じ位置に選定されていた。このため、仮止め位置においては、熱溶着が仮止め処理時と本固定処理時の2回にわたって実施されることになる。
【0012】
このように、従来の蓋体の装着方法では、熱溶着位置に1回の熱溶着が実施された部分と、2回の熱溶着が実施された部分が発生し、装着面にいわゆる溶着むらが発生し、この溶着むらの発生位置で経時的に剥離が発生してしまうという問題点があった。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、仮止め処理を実施しても経時的な剥離の発生を抑制しうる蓋体装着装置及び蓋体装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題は、第1の観点からは、
容器本体に形成されたフランジ部に蓋体を溶着により仮止めする仮止め装置と、
前記フランジ部に前記蓋体を溶着により本固定する本固定装置とを有する蓋体装着装置であって、
前記仮止め装置による前記フランジ部上における前記蓋体の仮止め位置と、前記本固定装置による前記フランジ部上における前記蓋体の本固定位置とを異ならせたことを特徴とする蓋体装着装置により解決することができる。
【0015】
また上記の課題は、第2の観点からは、
容器本体に形成されたフランジ部に蓋体を溶着により仮止めした後、前記フランジ部に前記蓋体を溶着により本固定する蓋体装着方法であって、
前記フランジ部上における前記蓋体の仮止め位置と、前記フランジ部上における前記蓋体の本固定位置とを異ならせたことを特徴とする蓋体装着方法により解決することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記発明によれば、本固定位置が複数回にわたり熱溶着されることがなくなるため、溶着むらの発生を抑制でき、蓋体の経時的な剥離発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を示す概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を構成する蓋体搬送装置の動作を説明するための図である(その1)。
【図3】図3は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を構成する蓋体搬送装置の動作を説明するための図である(その2)。
【図4】図4は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を構成する蓋体搬送装置の動作を説明するための図である(その3)。
【図5】図5は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を構成する蓋体搬送装置の動作を説明するための図である(その4)。
【図6】図6は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を構成する仮止め装置の動作を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を示しており、蓋体を仮止めした容器本体が仮止め位置から本固定位置に向け移動している状態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を構成する本固定装置の動作を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置を示しており、カップ容器1が排出位置まで移動した状態を示す図である。
【図10】図10は容器本体を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図11】図11はカップ容器を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は(C)におけるC−C線に沿う断面図である。
【図12】図12は、蓋体をフランジ部に仮止めする直前の状態を示す図である。
【図13】図13は、蓋体をフランジ部に仮止めしている状態を示す図である。
【図14】図14は、蓋体をフランジ部に本固定している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である蓋体装着装置10を示す概略構成図である。また、図10は蓋体装着装置10により蓋体3を装着する容器本体2を示しており、図11は蓋体3が容器本体2に装着されたカップ容器1を示している。説明の便宜上、蓋体装着装置10の説明に先立ち、容器本体2及びカップ容器1について説明する。
【0020】
カップ容器1は、大略すると図11に示すように容器本体2と蓋体3とにより構成されている。容器本体2は樹脂成形したものであり、内容物を装填する収納部4と、上部に内容物を収納部4に装填するために形成された開口5と、この開口5から外側に向けて鍔状に延出したフランジ部6とにより構成されている。
【0021】
蓋体3は、このフランジ部6に固定される。この蓋体3はフィルム状とされており、本実施形態ではアルミニウムよりなる基材に容器本体2に対して剥離可能に溶着を行うピール用樹脂膜が配設されている。また、蓋体3の大きさ(直径)は、フランジ部6を含む容器本体2の上面の大きさ(直径)と略等しく設定されている。よって、蓋体3を容器本体2に固定した場合、蓋体3が容器本体2(フランジ部6)からはみ出すことはなく、美観の向上を図ることができると共に、不要部分の発生を抑制できるためコスト低減を図ることができる。しかしながらこの構成した場合、蓋体3の位置ずれや離脱が発生しやすくなることは前述した通りである。
【0022】
一方、本実施形態では、フランジ部6に環状に突起7が形成された構成とされている。後に詳述するように、蓋体3はこの突起7に溶着されることにより本固定される(以下、本固定される部分を本固定部9という)。
【0023】
このように本実施形態において、フランジ部6の全面を本固定部9としないのは次の理由による。即ち、カップ容器1では内容物を取り出す際に蓋体3を剥離するが、フランジ部6の全面を本固定部9とすると固着力が強くなり、剥離操作が行いにくくなるからである。突起7の大きさ(上部面積)は、蓋体3と容器本体2との固着力を所定値以上とすることにより信頼性の維持を図りつつ、かつ剥離操作の容易性を維持しうる大きさに設定されている。
【0024】
なお、カップ容器1に装填される内容物は特に限定されるものではなく、例えば医薬品、化粧品、食品等を装填することができる。
【0025】
次に、主に図1を用いて蓋体装着装置10の構成について説明する。蓋体装着装置10は、大略すると基台20、容器搬送装置30、蓋体搬送装置40、仮止め装置50、及び本固定装置60等により構成されている。
【0026】
基台20は、その上部に各装置30,40,50,60を搭載している。容器搬送装置30は、容器本体2を図中矢印X1方向に搬送する機能を奏するものである。本実施形態では、容器搬送装置30は容器本体2を装着するリテーナが設けられており、このリテーナをコンベアで移動させることにより、容器本体2を搬送する構成としている。
【0027】
なお、本実施形態に係る容器搬送装置30では、容器本体2を直線状に搬送する構成を例に挙げて説明するが、直線状ではなく円形の軌跡を取るようリテーナを搬送すると共に、その搬送軌跡上に各装置40,50,60を配置する構成としてもよい。
【0028】
蓋体搬送装置40は、蓋体搬送ロボット41、蓋体供給部45、及び蓋体位置決め装置46等を有した構成とされている。蓋体搬送ロボット41は、図示しない支持部材により基台20に固定されている。この蓋体搬送ロボット41は、駆動シャフト42、駆動アーム43、及び吸着ヘッド44を有している。
【0029】
駆動シャフト42は、蓋体搬送ロボット41の下端部に設けられている。この駆動シャフト42は、容器本体2の移動方向に対して直角方向(図中、矢印Z1,Z2で示す方向)に移動可能で、かつ図中矢印A1,A2方向に回転可能な構成とされている。
【0030】
駆動アーム43は、駆動シャフト42の下端部に固定されている。従って、駆動アーム43も矢印Z1,Z2方向に昇降可能であると共に、A1,A2方向に回転可能な構成とされている。
【0031】
吸着ヘッド44は、この駆動アーム43の駆動シャフト42に固定された端部と反対側の端部に配設されている。この吸着ヘッド44は図示しない吸引装置に接続されており、吸引することにより後述するように蓋体3を吸着する機能を奏する。よって、吸着ヘッド44に蓋体3を吸着した状態で、蓋体搬送ロボット41により駆動シャフト42を介して
駆動アーム43を駆動させることにより、蓋体3を任意の位置に搬送することが可能となる。
【0032】
蓋体供給部45は、吸着ヘッド44に対して蓋体3を供給する装置である。この蓋体供給部45は、予め容器本体2(フランジ部6)に対応した形状に製造された蓋体3を収納しておく構成としても、また蓋体供給部45内で蓋体3の基材となる帯状のフィルム材をカットすることにより個々の蓋体3を製造する構成としてもよい。前記した吸着ヘッド44は、この蓋体供給部45から蓋体3を吸着しうる構成とされている。
【0033】
位置決め治具47は、吸着ヘッド44に吸着される蓋体3の位置決めを行う機能を奏するものである。即ち、蓋体供給部45から蓋体3が吸着される際、吸着ヘッド44は単に蓋体3の吸着処理のみを行うため、駆動アーム43及び吸着ヘッド44に対する蓋体3の位置精度は低い。従って、このままの状態で蓋体3を容器本体2に装着すると、蓋体3と容器本体2との間でずれが発生する可能性がある。そこで、蓋体位置決め装置46を設け、駆動アーム43及び吸着ヘッド44に対する蓋体3の位置決めを行うことにより、容器本体2に対する蓋体3の装着ずれの発生を抑制する構成としている。
【0034】
位置決め治具47の上部には、位置決め治具47が設けられている。この位置決め治具47により、駆動アーム43及び吸着ヘッド44に対する蓋体3の位置決め処理が行われる。
【0035】
次に、仮止め装置50について説明する。仮止め装置50は、複数(本実施形態では3台)の仮止め用シリンダ51A〜51Cと仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cにより構成されている。
【0036】
仮止め用シリンダ51A〜51Cは、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cを図中矢印Y1,Y2方向に移動させる。この仮止め用シリンダ51A〜51Cは、電磁的に駆動する構成としても、またエアーにより駆動する構成とすることもできる。また、各仮止め用シリンダ51A〜51Cは等間隔で配設されている(即ち、120°間隔で配設されている)。なお、各仮止め用シリンダ51A〜51Cは、図示しない支持部材により基台20に固定されている。
【0037】
仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cは、図示しない加熱手段により加熱される構成とされている。この仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cの加熱温度は、蓋体3が容器本体2に溶着しうる温度に設定されている。また仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cは、仮止め用シリンダ51A〜51Cにより図中矢印Y1,Y2で示す方向に移動するよう構成されている。この際、各仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cの水平方向に対する移動角度(図中、矢印θで示す)は、30°≦θ≦85°の範囲で適宜設定されている。即ち、後述するように仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cにより蓋体3が容器本体2に仮止めされる際、各仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cは斜め方向から蓋体3に当接して溶着処理を行う構成とされている。
【0038】
次に、本固定装置60について説明する。本固定装置60は、大略すると本固定用シリンダ61、昇降シャフト62、及び本固定用加熱ヘッド63等を有した構成とされている。本固定用シリンダ61は、昇降シャフト62を昇降させる(Z1,Z2方向に移動させる)シリンダである。この本固定用シリンダ61も電磁的に駆動する構成としても、またエアーにより駆動する構成としてもよい。
【0039】
本固定用加熱ヘッド63は、昇降シャフト62の下端部に配設されている。本固定用加熱ヘッド63は、図示しない加熱手段により加熱される構成とされている。この加熱温度は、蓋体3が容器本体2に溶着しうる温度に設定されている。また、蓋体3を容器本体2に本固定する際に蓋体3に当接する本固定用加熱ヘッド63のヘッド先端面63aは平面形状とされている。即ち、ヘッド先端面63aは、水平方向に延在する面とされている。
【0040】
なお、上記した蓋体搬送ロボット41、吸着ヘッド44に接続された吸引装置、蓋体供給部45、蓋体位置決め装置46、仮止め用シリンダ51A〜51C、及び本固定用シリンダ61は、図示しない制御装置に接続されており、その駆動のタイミングの制御が行われる構成とされている。
【0041】
次に、上記構成とされた蓋体装着装置10の動作について説明する。
【0042】
図1は、蓋体装着装置10による容器本体2に対する蓋体装着処理が開始された直後の状態(装着開始状態という)を示している。蓋体装着装置10により容器本体2に蓋体3を装着するには、先ず容器本体2を容器搬送装置30のリテーナ(図示せず)に装着する。図1は、容器本体2を容器搬送装置30に装着した状態を示している。
【0043】
装着開状態では、蓋体搬送装置40の駆動シャフト42は上昇位置にあり、また吸着ヘッド44は蓋体3を吸着していない状態となっている。また、仮止め装置50の各仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cは、矢印Y2方向に移動した状態となっている。更に、本固定装置60の昇降シャフト62も上昇した位置にあるよう設定されている。なお、仮止め用加熱ヘッド52A〜52C及び本固定用加熱ヘッド63に対する加熱処理は、既に開始されている。
【0044】
上記のように容器本体2が容器搬送装置30に装着されると、容器搬送装置30は容器本体2を図中矢印X1方向に搬送する処理を開始する。これと同時に、蓋体搬送装置40は、蓋体3の搬送・位置決め処理を開始する。
【0045】
搬送・位置決め処理が開始されると、蓋体搬送ロボット41は駆動シャフト42を回転駆動することにより、吸着ヘッド44を蓋体供給部45の上部位置まで移動させる。続いて蓋体搬送ロボット41は駆動シャフト42を下降(Z2方向に移動)させることにより、吸着ヘッド44を蓋体供給部45内に進入させる。図2は、吸着ヘッド44が蓋体供給部45内に進入した状態を示している。
【0046】
前記のように、蓋体供給部45内には蓋体3が収納されている。よって、吸着ヘッド44が蓋体供給部45内に進入した状態で図示しない吸引装置が起動することにより、収納部4は蓋体3を吸着する。蓋体3が吸着ヘッド44に吸着されると、蓋体搬送ロボット41は駆動シャフト42を上昇(Z1方向に移動)させる。これにより、1枚の蓋体3が蓋体供給部45から取り出される。図3は、蓋体供給部45から蓋体3が取り出された状態を示している。
【0047】
次に、蓋体搬送ロボット41は駆動シャフト42を駆動することにより、蓋体3を蓋体位置決め装置46まで搬送する。図3は、蓋体3を蓋体位置決め装置46まで搬送した状態を示している。
【0048】
蓋体3が蓋体位置決め装置46に搬送されると、吸着ヘッド44による蓋体3の吸着が一旦解除される。これにより、蓋体3は蓋体位置決め装置46上で変位可能な状態となる。前記ように、蓋体位置決め装置46には、位置決め治具47が設けられている。この位置決め治具47は、蓋体3の装着時においては、蓋体3の外周よりも外側位置まで移動している。しかしながら蓋体3が装着された後、位置決め治具47は図4に矢印Bで示す方向に移動し蓋体3を変位しうる構成されている。そして、位置決め治具47が既定位置まで蓋体3を変位させた状態で、駆動シャフト42及び駆動アーム43と蓋体3との位置決めが行われる構成とされている。
【0049】
上記のように蓋体位置決め装置46により、駆動シャフト42及び駆動アーム43と蓋体3との位置決め処理が終了すると、吸引装置が起動して吸着ヘッド44は再び蓋体3を吸着する。次に、蓋体搬送ロボット41は駆動シャフト42を駆動することにより、蓋体3を容器本体2に仮止めする位置である仮止め位置の上部まで蓋体3を移動させる。図5は、蓋体3が仮止め位置の上部まで搬送された状態を示している。
【0050】
容器搬送装置30は、上記ように蓋体搬送装置40による蓋体3に対する搬送・位置決め処理が終了する間に容器本体2を仮止め位置まで搬送するよう構成されている。また容器搬送装置30は、容器本体2が仮止め位置まで搬送された時点で、搬送を停止するよう構成されている。
【0051】
次に、蓋体搬送ロボット41は、蓋体3が容器本体2のフランジ部6と当接する位置まで駆動シャフト42を下降させる。これにより、蓋体3は容器本体2上に載置された状態となる。図6は、蓋体3が容器本体2上に載置された状態を示している。しかしながらこの状態では、蓋体3は吸着ヘッド44による吸着された状態を維持している。
【0052】
上記のように蓋体位置決め装置46により駆動シャフト42及び駆動アーム43に対する蓋体3の位置は高精度に位置決めされている。また、容器搬送装置30及び蓋体搬送ロボット41は基台20上に配設され、それぞれの位置精度も高く設定されている。よって、仮止め位置まで搬送された状態で容器本体2と蓋体3とは高精度に位置決めされており、予めカットされている蓋体3であっても、容器本体2との間にずれが発生するようなことはない。
【0053】
続いて、蓋体3を容器本体2に仮止めする仮止め処理が実施される。この仮止め処理は、仮止め装置50を用いて実施される。前記のように、仮止め装置50は仮止め用シリンダ51A〜51CによりY1,Y2方向に移動可能な仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cを有している。この仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cは、仮止め位置に位置する容器本体2に蓋体3が載置された状態で、図12に拡大して示すように、フランジ部6の外周縁と対向するよう構成されている。
【0054】
図12に示す状態で、蓋体3はフランジ部6に形成された突起7上に載置されており、よってフランジ部6と蓋体3との間には微小な間隙が形成されている。次に、各仮止め用シリンダ51A〜51Cは仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cを矢印Y1方向に移動させる。
【0055】
これにより、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cの先端面は、蓋体3の外周縁をフランジ部6に向けて押圧する。仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cは、前記のように加熱手段(図示せず)により蓋体3を容器本体2に溶着しうる温度まで加熱されている。よって、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cが押圧され位置において、蓋体3は容器本体2に溶着される。
【0056】
図13は、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cにより蓋体3を容器本体2(フランジ部6の外周縁)に仮止めしている状態を示している。なお、仮止め処理の実施中は、蓋体3は吸着ヘッド44に吸着された状態を維持しているため、仮止めのために仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cで蓋体3を押圧しても、蓋体3のずれが発生するようなことはない。
【0057】
本実施形態では、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cが鉛直方向(Z1,Z2方向)に移動するのではなく、水平方向に対して所定の角度θだけ傾いた位置から蓋体3をフランジ部6に向け押圧する構成としている。また、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cが蓋体3をフランジ部6に押圧する位置は、フランジ部6の外周縁である。このため、蓋体3がフランジ部6に仮止めされる部位(以下、この部位を仮止め部8という)は、図11(A)に示すように、フランジ部6の中央から外れた外周縁の3箇所となる。
【0058】
なお、本実施形態では、仮止め処理を行う際に、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cが容器本体2のフランジ部6を上から包み形で押さえ込む構成となる。このため、仮止め時に蓋体3に皺が発生することを防止することができる。
【0059】
上記の仮止め処理が終了すると吸引装置が停止され、よって吸着ヘッド44による蓋体3の吸着が停止される。続いて、蓋体搬送ロボット41は駆動シャフト42を駆動することにより、吸着ヘッド44が蓋体3を仮止めした容器本体2の移動の邪魔にならない位置まで駆動アーム43を上昇させる。またこれに伴い、各仮止め用シリンダ51A〜51Cは、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cが蓋体3を仮止めした容器本体2の移動の邪魔にならないようY2方向に移動させる。
【0060】
以上の処理が終了すると容器搬送装置30は再び起動し、蓋体3を仮止めした容器本体2は、仮止め位置から蓋体3を容器本体2に本固定する処理を行う本固定位置に向けて移動を開始する。図7は、蓋体3を仮止めした容器本体2が仮止め位置から本固定位置に向けて搬送されている状態を示している。
【0061】
本実施形態に係る蓋体装着装置10は、蓋体位置決め装置46により位置決め処理が行われた蓋体3を容器本体2に載置した後、仮止め装置50により仮止め処理を実施している。このため、蓋体3の形状を容器本体2の形状(フランジ部6が形成された上部形状)と略等しい形状としても、仮止め処理後の処理工程において蓋体3が容器本体2からずれたり離脱したりすることを確実に防止することができる。
【0062】
蓋体3を仮止めした容器本体2が本固定位置まで搬送されると、容器搬送装置30は再び搬送処理を停止させる。続いて、本固定装置60の本固定用シリンダ61は、昇降シャフト62を下降させる。これにより、本固定用加熱ヘッド63のヘッド先端面63aは蓋体3をフランジ部6に向けて押圧する。
【0063】
この際、ヘッド先端面63aは水平な面であるため、蓋体3はヘッド先端面63aと接触している部分が全体的にフランジ部6に向け付勢されるが、前記のようにフランジ部6には突起7が形成されている。このため、蓋体3がフランジ部6に熱溶着される部位は、突起7形成位置となる。図10(A)に示すように、突起7はフランジ部6に環状に形成されている。よって、蓋体3を突起7に熱溶着することにより内容物は収納部4内に封止された状態となる。このように、蓋体3が容器本体2に装着(本固定)されることにより、カップ容器1が製造される(以下、蓋体3を突起7に熱溶着する処理を本固定処理という)。
【0064】
図14は、本固定処理を実施している状態を拡大して示す図である。同図に示すように、突起7の形成位置においては本固定用加熱ヘッド63により蓋体3は突起7に押圧されて熱溶着が行われる。これに対し、仮止め部8においては、突起7が形成されていることにより、またフランジ部6の外周位置にフィレット(丸め処理)が行われていることにより、ヘッド先端面63aと蓋体3との間には間隙CLが形成されている。よって、本固定処理において、仮止め部8が本固定用加熱ヘッド63により溶着される温度まで加熱されるようなことはない。
【0065】
このように本実施形態では、蓋体3を容器本体2に仮止めする仮止め部8と、蓋体3を容器本体2に本固定する本固定部9とを異なる位置に設定している。これにより、仮止め部8及び本固定部9共に、溶着処理を行われる回数は1回のみとなる。よって、本固定部9が複数回にわたり熱溶着されることがなくなるため、溶着むらの発生を抑制でき、蓋体3の経時的な容器本体2からの剥離を防止することができる。
【0066】
また本実施形態では、仮止め部8を突起7の形成位置(即ち、本固定部9)よりも外周位置に設定している。仮止め部8を突起7の内側に設定した構成では、必然的に仮止め部8は本固定用加熱ヘッド63の直下位置となり、本固定用加熱ヘッド63から熱印加される可能性が大きくなる。しかしながら、本実施形態のように仮止め部8を突起7の外側に設定することにより、本固定を行う際の熱で仮止め部8が変質してしまうことを防止することができる。
【0067】
なお、上記の本固定処理が終了すると、本固定用シリンダ61により昇降シャフト62が上昇することにより本固定用加熱ヘッド63が蓋体3から離間し、続いて容器搬送装置30が再び起動することにより蓋体3が本固定されたカップ容器1は排出位置(蓋体装着装置10からカップ容器1が取り出される位置)に向け搬送される。図9は、カップ容器1が排出位置まで搬送された状態を示している。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0069】
例えば、本実施形態では蓋体搬送装置40を構成する蓋体供給部45と蓋体位置決め装置46を別の装置として構成したが、蓋体供給部と蓋体位置決め装置は一体化することが可能である。
【0070】
また本実施形態では、蓋体3を容器本体2のフランジ部6に仮止めするのに、仮止め用加熱ヘッド52A〜52Cを水平方向に対して角度θ傾けることにより、フランジ部6の外周縁において仮止め処理を行う構成した。しかしながら、仮止め用加熱ヘッドの先端部をテーパ面とし、この仮止め用加熱ヘッドを昇降させる(Z1,Z2方向に移動させる)構成とすることによっても、フランジ部6の外周縁において蓋体3を仮止め処理することが可能である。
【0071】
更に、本実施形態ではフランジ部6に突起7が形成された構成を例に挙げて説明したが、突起7は必ずしもなくても本願発明を実現することは可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 カップ容器
2 容器本体
3 蓋体
5 開口
6 フランジ部
7 突起
8 仮止め部
9 本固定部
10 蓋体装着装置
20 基台
30 容器搬送装置
40 蓋体搬送装置
41 蓋体搬送ロボット
44 吸着ヘッド
45 蓋体供給部
46 蓋体位置決め装置
47 位置決め治具
50 仮止め装置
51A〜51C 仮止め用シリンダ
52A〜52C 仮止め用加熱ヘッド
60 本固定装置
61 本固定用シリンダ
63 本固定用加熱ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に形成されたフランジ部に蓋体を溶着により仮止めする仮止め装置と、
前記フランジ部に前記蓋体を溶着により本固定する本固定装置とを有する蓋体装着装置であって、
前記仮止め装置による前記フランジ部上における前記蓋体の仮止め位置と、前記本固定装置による前記フランジ部上における前記蓋体の本固定位置とを異ならせたことを特徴とする蓋体装着装置。
【請求項2】
前記仮止め位置を前記フランジ部の外周縁位置としたことを特徴とする請求項1記載の蓋体装着装置。
【請求項3】
前記フランジ部の前記本固定位置には突起が形成されており、前記仮止め位置を該突起の形成位置よりも外周位置に設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の蓋体装着装置。
【請求項4】
容器本体に形成されたフランジ部に蓋体を溶着により仮止めした後、前記フランジ部に前記蓋体を溶着により本固定する蓋体装着方法であって、
前記フランジ部上における前記蓋体の仮止め位置と、前記フランジ部上における前記蓋体の本固定位置とを異ならせたことを特徴とする蓋体装着方法。
【請求項5】
前記仮止め位置を前記フランジ部の外周縁位置としたことを特徴とする請求項4記載の蓋体装着方法。
【請求項6】
前記フランジ部の前記本固定位置には突起が形成されており、前記仮止め位置を該突起の形成位置よりも外周位置に設定したことを特徴とする請求項4又は5記載の蓋体装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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