説明

蓋材

【課題】
内容物を充填する際の密封性、流通時の保存性、小売時の意匠性、開封時のイージーオープン性を兼ね備える蓋材を提供する。
【解決手段】
容器40の開口部の外縁にあるフランジ部41へシールする蓋材10であって、該蓋材10が成形品である中央部20と実質的に平坦である外縁部30とからなり、中央部20と外縁部30とが一体化されてなることを特徴とし、さらに、好ましくは、容器40と蓋材10とのシール部がイージーオープン性であり、さらに上記蓋材10の中央部と外縁部の少なくとも1部が剥離し、上記蓋材10の中央部の少なくとも1部が透明であることも特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋材に関し、さらに詳しくは、密封性、保存性、意匠性、イージーオープン性を兼ね備える蓋材に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
また、「LDPE」は「低密度ポリエチレン」、「LLDPE」は「線状低密度ポリエチレン」、「PO系」は「ポリオレフィン系」、「PS」は「ポリスチレン」、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、及び「HM」は「ホットメルト」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明の蓋材を用いた容器包装の主なる用途としては、プリン、ヨーグルト、、ケーキなどのデザートなどで、密封性、保存性、意匠性、イージーオープン性の良いものである。しかしながら、密封性、保存性、意匠性、イージーオープン性を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)デザート類はカップ状の容器包装されることが多く、比較的柔らかいので形状を維持し、かつ内容物自身が美麗であるために、包装後でも見えることが望ましい。そこで、容器及び/又は蓋材を透明にしたり、成形して立体状にしたり工夫されている。しかしながら、蓋材を立体に成形すると容器とのシール部分が変形しやすく、容器との密封性が悪くなり、また、開封時のイージーオープン性も蓋材素材が成形性から制約を受けて悪くなってしまう。
従って、容器包装の蓋材は、内容物を充填する際には密封性が、流通時には漏れたりせず、小売時にはアイキャッチ性や内容物が見えるなどの意匠性が、又、開封時のイージーオープン性が求められている。
【0005】
(先行技術)従来、容器の成形された蓋材としては嵌合タイプの蓋材であり、嵌合では密閉できないので、内容物の保存性が低いという欠点がある。
また、粉乳容器の缶蓋開口部に備えられたポリエチレン樹脂製フレーム(本発明の外縁部に相当する)に高周波加熱により融着されて前記開口部を剥離自在に密封する缶蓋密封用シート材(本発明の中央部に相当する)で缶蓋の開口部を被覆した蓋材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、密封用シート材は平坦であり意匠性に欠け、また不透明なために内容部をみることができないという問題点がある。
さらに、本出願人は、基材層の裏面のシール部に対応する部分に前記シール部より幅広若しくは同幅の剥離剤層を設けるとともに、熱接着性樹脂層の前記基材層と接する側の少なくとも前記シール部の内周部に対応する表面部分に多数の微細な凹凸を設けるものを開示している(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、開口部の密封用シート材(本発明の中央部と外縁部に相当する)は1つの部材からなり、かつ平坦であり意匠性に欠けるという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−100028号公報
【特許文献2】特開平9−99978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、内容物を充填する際の密封性、流通時の保存性、小売時の意匠性、開封時のイージーオープン性を兼ね備える蓋材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる蓋材は、容器の開口部の外縁にあるフランジ部へシールする蓋材であって、該蓋材が成形品である中央部と実質的に平坦である外縁部とからなり、中央部と外縁部とが一体化されてなるように、したものである。
請求項2の発明に係わる蓋材は、容器の開口部の外縁にあるフランジ部へシールされた上記蓋材を開封する際に、容器と蓋材とのシール部がイージーオープン性であるように、したものである。
請求項3の発明に係わる蓋材は、請求項2に記載の蓋材において、さらに上記蓋材の中央部と外縁部の少なくとも1部が剥離するように、したものである。
請求項4の発明に係わる蓋材は、上記蓋材の中央部の少なくとも1部が透明であるように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、内容物を包装する際の密封性、流通時の保存性、小売時の意匠性、開封時のイージーオープン性を兼ね備える蓋材が提供される。
請求項2の本発明によれば、シール部を変形させ破壊することなくイージーオープンできるので、内容物がこぼれたり、形態が崩れたりしないで開封できる蓋材が提供される。
請求項3の本発明によれば、まず1部分を開口し水切りや通気性などの付加機能性を与え、次に全部を開口する2段階に開封できる蓋材が提供される。
請求項4の本発明によれば、立体的な透明部分より内容物が見えるので、意匠性がよく、小売時のアイキャッチ性のよい蓋材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す蓋材を用いた容器包装体の断面図である。
図2は、蓋材と容器、容器包装のイメージを説明する斜視図である。
図3は、本発明の1実施例を示す蓋材の平面図である。
図4は、本発明の蓋材の開封機能を説明する平面図である。
図5は、本発明の蓋材の開封機能を説明する平面図である。
図6は、本発明の蓋材の開封機能を説明する平面図である。
【0011】
(物の発明)本発明の蓋材10は、図1に示すように、容器40のフランジ部41へシール部11でシールすることができて、蓋材10は中央部20と外縁部30とからなり、中央部20が成形品であり、外縁部30が実質的に平坦である。蓋材10の中央部20と外縁部30とは、図2に示すように、シール部21でシールされている。図3は、蓋材10と容器40とで、シール前、シール後のイメージを示している。
【0012】
(蓋材)蓋材10は中央部20と外縁部30とからなり、中央部20と外縁部30とはシール部21でシールされている。図1では判り易くする都合上、中央部20と外縁部30とは隙間を設けてシールされているが、隙間なく密接状態でもよい。
【0013】
(中央部)中央部20は立体的な成形品であり、好ましくは少なくとも1部を透明とする。立体的で透明部分より内容物が見えるので、意匠性がよく、小売時のアイキャッチ性がよい。透明は無色でも着色でもよく、1部分に透明部分を残して印刷や別途用意したラベルなおを貼着してもよい。
【0014】
(成形法)成形法としては、特に限定されないが、例えば、射出成形法、ブロー成形法、モールド成形法、プレス成形法、シート成形法などがある。シートの成形法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プラグアシスト成形法などが適用できる。
【0015】
(材料)中央部に用いる材料としては、成形性、包装適性、耐内容物性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、又はテレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン(商品名)6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、又はポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、又はポリメチルメタアクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、又はABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、アセタール系樹脂などがある。これらを単独又は複数を、必要に応じて着色剤などの各種添加剤を添加して、成形法に応じて適宜選択して使用すればよい。
【0016】
(外縁部)外縁部30は実質的に平坦である。実質的に平坦とは微小な凹凸は無視したフィルム又はシート状のものであればよい。外縁部30としては、透明でも不透明でもよく、単層でも複数の積層材でもよく、好ましくは種々の機能性を付与できる点から積層材である。積層材の構成は一般的に包装材で用いられている公知のものでよく、特に限定されないが、例えば、PO系/紙/PO系、PO系/紙/Al/PO系、PO系/PET/PO系/紙/Al/PO系、PET/PO系、PET/Al/PO系、PET/HS材、PS/HS材、PS/HM、などが適用できる。ここで、PO系とは、LDPE、LLDPE、PP、ポリブテン1などのオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのオレフィンと他のモノマーとの共重合樹脂、エチレン−不飽和酸共重合体を金属架橋したアイオノマー、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などである。これらは、単独または2種以上の、混合体(ブレンド)あるいは複数積層体として用いても良い。積層材の製造は一般的に包装材で用いられている公知の技術、例えば、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、バーコートなどのコート法、ドライラミネーション法、エクストルージョンコーティング法、コエクストルージョンコーティング法などの押出ラミネーション法などが適用できる。
【0017】
(中央部と外縁部のシール)蓋材10の中央部20と外縁部30とは、図2に示すように、シール部21でシールされている。該シール部21は公知のヒートシール法(HS法)、インパルスシール法、高周波シール法などでシールすればよい。また、必要に応じて開封片43を設けてもよい。中央部20と外縁部30と位置関係は、図1では外縁部30が容器上側でシールされているが、この逆でもよい。
【0018】
(容器)容器40は、透明でも不透明でもよく、単層でも複数の積層材でもよい。
容器40の成形法としては、特に限定されないが、例えば、射出成形法、ブロー成形法、モールド成形法、プレス成形法、シート成形法などや、紙カップ状のものが適用できる。
【0019】
(成形)シートの成形法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プラグアシスト成形法などが適用できる。成形法に用いる材料としては、成形性、包装適性、耐内容物性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、又はテレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、又はポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、又はポリメチルメタアクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、又はABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、アセタール系樹脂などがある。これらを単独又は複数を、必要に応じて着色剤などの各種添加剤を添加して、成形法に応じて適宜選択して使用すればよい。
【0020】
(紙カップ)紙カップ状は、所謂紙カップで、機能性を付与するために、複数積層材から紙カップ状に成形したものが好ましい。該紙カップ積層材の構成は特に限定されないが、例えば、PO系/紙/PO系、PO系/紙/Al/PO系、PO系/PET/PO系/紙/Al/PO系、などが適用でき、公知の紙カップ成形機で、フランジ部付きのカップ状とすればよい。また、上記のような複数積層材をインサートブランクとして、射出成形で一体化しかつフランジ部を形成したピラードパック(商品名)でもよい。
【0021】
(容器と蓋材のシール)
容器40に内容物を充填し、図1に示すように、蓋材10の外縁部30のシール部と容器40のシール部とをシールして、シール部11を形成して密閉する。該シールは蓋材10の外縁部30のシール部の材料と、容器40のシール部の材料に応じて、公知のヒートシール法(HS法)、インパルスシール法、高周波シール法などから選択してシールして包装体となる。
【0022】
(包装体)該包装体は溶融によるヒートシールで密閉され、流通、保管中の保存性が保たれ、かつ、小売時の意匠性にも優れる。蓋材10の外縁部30の外周は、シール前に予め所定の形状にカットしておいてもよく、シール後に所定の形状にカットしてもよい。いずれの場合でも、蓋材10の外縁部30の外周には、必要に応じて開封片43を設けてもよく、図4〜6に例示するが、これに限定されるものではない。
【0023】
(蓋材の開封)該包装体は内容物を包装する際の密封性、流通時の保存性、小売時の意匠性に加えて、開封時の易開封性、機能性を兼ね備え、図4〜6で説明する。なお、作図の都合上、図4〜6では中央部を平坦に描いているが、成形による立体形状である。
【0024】
(蓋材の易開封)図4に示すように、開封片43を持ち上げると、容器40のフランジ部41と蓋材10の外縁部30からなるシール部11はイージーオープン性で、容易に開封することができて、シール部を変形させ破壊することなく、内容物がこぼれたり、形態が崩れたりしないで開封できる。また、イージーオープン性は公知の技術、前述の材料から選択すればよい。
【0025】
(外縁部を開封)図5に示すように、開封片43を持ち上げると、容器40のフランジ部41に沿って、蓋材10の外縁部30をグルッと開封することができて、開ける楽しさと、大きなものでも取り出し易くなる。
【0026】
(2段階開封)図6に示すように、蓋材10の外縁部30に第1開封片43と、第2開封片45を設けておくと、2段階に開封することができる。。まず、第1開封片43と引くとフランジ部から剥離すると同時に、剥離部分に相当する中央部20との部分も剥離して、1部分のみを開口することができる。該1部分を開口部を利用して、水切りや通気性などの付加機能性が与えられる。次いで、第2開封片45を引くと全部を開口できて、内容物が取り出し易くなる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)容器としては、所謂プリンなどに用いられている射出成形のPS容器を用いた。 蓋材の中央部20はPSシートを真空シート成形法で図3のようなドーム型とした。蓋材の外縁部30は厚さ75μmのPETシートへ裏面印刷しホットメルトをメッシュ状に塗布し、図3のように開封片を付け、中央部を除去してドーナツ型とした。該ドーナツ部の穴部へ前記中央部20を重ねてヒートシールして蓋材10とした。容器40へ内容物を充填した後に、蓋材10をかぶせ、蓋材10の外縁部30と容器40のフランジ部41とヒートシールした。透明な中央部20からは内容物が目視で美麗に見え意匠性が良好であった。開封片を引き開封したところ、容易に開封できた。
【0029】
(実施例2)容器としては、LDPE/紙/LDPE/PET/Al/LDPEの積層材をカップ胴材として、公知のカップ成形機で所謂プリンなどに用いられている紙カップを製造した。蓋材の中央部20はアクリル樹脂を射出成形法で、図3のようなドーム型とした。蓋材の外縁部30は酸変性PE/印刷/Al/LDPE/紙/LDPE/酸変性PEの積層材を用いて、図6のように第1開封片43及び第2開封片45を付け、第1開封片43と第2開封片45との間に半カットを設け、中央部を除去してドーナツ型とした。該ドーナツ部の穴部へ前記中央部20を重ねて、ヒートシールして蓋材10とした。容器40へ内容物を充填した後に、蓋材10をかぶせ、蓋材10の外縁部30と容器40のフランジ部41とヒートシールした。透明な中央部20からは内容物が目視で美麗に見え意匠性が良好であった。まず第1開封片43を引き1部分のみが開封でき、必要に応じて湯切りなどの操作が行え、さらに、第2開封片45を引いたところ、全開口部を容易に開封できた。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の1実施例を示す蓋材を用いた容器包装体の断面図である。
【図2】蓋材と容器、容器包装のイメージを説明する斜視図である。
【図3】本発明の1実施例を示す蓋材の平面図である。
【図4】本発明の蓋材の開封機能を説明する平面図である。
【図5】本発明の蓋材の開封機能を説明する平面図である。
【図6】本発明の蓋材の開封機能を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0031】
10:蓋材
11、21:シール部
20:中央部
30:外縁部
40:容器
41:フランジ部
43、45:開封片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部の外縁にあるフランジ部へシールする蓋材であって、該蓋材が成形品である中央部と実質的に平坦である外縁部とからなり、中央部と外縁部とが一体化されてなることを特徴とする蓋材。
【請求項2】
容器の開口部の外縁にあるフランジ部へシールされた上記蓋材を開封する際に、容器と蓋材とのシール部がイージーオープン性であることを特徴とする請求項1記載の蓋材。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋材において、さらに上記蓋材の中央部と外縁部の少なくとも1部が剥離することを特徴とする蓋材。
【請求項4】
上記蓋材の中央部の少なくとも1部が透明であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蓋材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−30929(P2007−30929A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216594(P2005−216594)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】