説明

薄型表示装置

【課題】壁寄せ用アングルを用いて壁際に表示装置が設置された場合でも、所望の放熱効果を確保できる技術を提供する。
【解決手段】回路部品32を搭載した回路基板30が、放熱シート40を介して、アングル・ボード部22のアングル表部22aに基板固定ネジ36によって固定されている。より具体的には、回路基板30は、回路部品32が取り付けられている側をアングル・ボード部22に向けてアングル表部22aに固定されている。さらに、回路部品32とアングル・ボード部22の間には、放熱シート40が介装されている。このような基板取付構造とすることで、回路部品32からアングル・ボード部22への伝熱効率が高められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄型表示装置に係り、特に壁寄せ用アングルを備えた薄型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、表示装置では、内部温度の上昇が部品やハンダの信頼性に悪影響を及ぼすことが知られている。そのため、表示装置のキャビネットに放熱口が設けられている。当然に、放熱対策として、放熱口の増設・拡大が有効である。一方で、埃・水等の混入の危険性が高まるという観点では、放熱口の増設・拡大は避けたいという要望もある。
【0003】
放熱と埃・水等の混入等の防止を両立させるために様々な技術の提案がなされている。例えば、屋外使用を想定したテレビの放熱及び防水効果を得るために、キャビネットを金属で形成し、さらにフィンを設けた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−136040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の技術では、内部にファンを設けて、空気を循環させその空気がキャビネットに伝わるようになっている。液晶テレビのような薄型テレビにあっては、薄型化の一層の進展の観点から、内部にファンを設けるといった製品は、部品配置が難しく、さらにはコストの観点からも現実的ではなく、別の技術が求められていた。特に、薄型テレビにあっては、ぎりぎりまで壁に近づけて設置されることがあり、放熱環境としては厳しい状況にある。最近では、壁に掛けて配置されたり、壁寄せ用アングル(又は「壁寄せ用スタンド」ともいう)に大型の薄型テレビを取り付けて配置されることもあり、そのような場合であっても放熱効果を向上させる技術が求められていた。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決し、壁寄せ用アングルを用いて壁際に表示装置が設置された場合でも、所望の放熱効果を確保できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る装置は、壁寄せ用アングルを備えた薄型テレビであって、前記壁寄せ用アングルは、表示パネルを収容するキャビネットの一部を構成し、前記キャビネットに収容される回路基板に設けられた部品が放熱部材を介して前記壁寄せ用アングルに接続されており、前記壁寄せ用アングルにおいて、少なくとも前記放熱部材が接する部分が金属である。
また、前記回路基板は、前記壁寄せ用アングルに固定されてもよい。
また、前記壁寄せ用アングルにおいて、前記部品が前記放熱部材を介して接続する領域の上側にフィン形状を有してもよい。
また、前記壁寄せ用アングルにおいて、前記部品が前記放熱部材を介して接続する領域が周囲より前記キャビネット側に凹んでもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、壁寄せ用アングルを用いて壁際に表示装置が設置された場合でも、所望の放熱効果を確保できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る、薄型テレビの外観を模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、薄型テレビの分解図である。
【図3】本発明の実施形態に係る、薄型テレビの別の例の分解図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、薄型テレビの内部構造を示した断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、薄型テレビの別の例の内部構造を示した断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、薄型テレビの端子の配置を模式的に示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、変形例の薄型テレビの内部構造を示した断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、変形例の薄型テレビの内部構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る薄型テレビ10の外観を模式的に示した図である。図1(a)は正面から見た斜視図であり、図1(b)は側面図である。図示のように、薄型テレビ10は、例えば、液晶テレビであって、壁寄せ用アングル(壁寄せスタンド)20を一体に備えている。具体的には、薄型テレビ10は、表示パネルモジュール14を収容するキャビネット前部12と、バックキャビネットとスタンドのボードとを兼ねた壁寄せ用アングル20とを備えて構成されている。なお、図2に、薄型テレビ10の分解図を示す。
【0012】
壁寄せ用アングル20は、アングル・ベース部21とアングル・ボード部22とから構成され、アングル・ボード部22の上側部分がバックキャビネットとして機能し、キャビネット前部12の背面部分を塞いでいる。ここで、アングル・ボード部22は、薄型テレビ10の放熱促進手段としての機能を有する。つまり、アングル・ボード部22は、金属製で構成され、一種の放熱板として機能する。なお、アングル・ボード部22は、全体に亘って金属である必要はなく、放熱すべき熱量等を勘案して、主に、キャビネット前部12の背面部分を塞ぐ部分が金属であればよい。以下では、アングル・ボード部22の全体が金属であるものとして説明する。また、図3の薄型テレビ110に示すように、キャビネット部112とボード部122とが一体となって構成されたアングルボード一体キャビネット部120が採用されてもよい。以下では、図2に示す薄型テレビ10を前提に説明する。
【0013】
図4は、薄型テレビ10の内部構造を示す断面図を模式的に示している。図示のように、回路部品32を搭載した回路基板30が、放熱シート(伝熱シート)40を介して、アングル・ボード部22のアングル表部22aに基板固定ネジ36によって固定されている。より具体的には、回路基板30は、回路部品32が取り付けられている側をアングル・ボード部22に向けてアングル表部22aに固定されている。
【0014】
さらに、回路部品32とアングル・ボード部22の間には、放熱シート40が介装されている。このような基板取付構造とすることで、回路部品32からアングル・ボード部22への伝熱効率が高められている。なお、放熱シート40として、厚さ数mm程度までの一定の柔軟性を有した公知の材料を用いることで、回路部品32とアングル・ボード部22との距離の誤差及び複数部品間の高さの差を吸収しつつ、伝熱面を適切に固定できる。また、放熱シート40は、複数の回路部品32をまとめて介在するように構成されてもよいし、個々の回路部品32毎に設けられてもよい。また、放熱シート40の代わりにゲル状の放熱部材等が用いられてもよい。
【0015】
図5は、図4の内部構造の別の例であって、回路基板30が表示パネルモジュール14に取り付けられる構造を示している。この場合であっても、回路基板30に取り付けられた回路部品32は、アングル・ボード部22側を向いており、回路部品32とアングル・ボード部22の間には放熱シート40が介装されている。
【0016】
なお、薄型テレビ10には、一般に外部機器等との接続のために各種端子が設けられる。そこで、図6(a)に示すように、キャビネット前部12の側面部分に端子部90を設けて、薄型テレビ10を壁に寄せる場合でも、端子部90の端子形状が壁寄せの邪魔にならないように、また、取付等の作業が適切に行えるように配慮する。
【0017】
また、図6(b)に端子部90をアングル・ボード部22の背面に設ける場合について示す。この場合、アングル・ボード部22において、上側のアングル背面上部22bに対して薄くなっている下側のアングル背面下部22cを形成することで、端子部90が配置される端子配置部26の空間を確保する。
【0018】
つぎに、薄型テレビ10の変形例について説明する。図7は、変形例の薄型テレビ10の断面構造を示しており、図4で示した構造と異なる点は、アングル・ボード部22において、回路基板30が取り付けられる部分より上側の領域にフィン部28を設けた構造にある。回路基板30の取付位置、つまり、回路部品32からの伝熱位置より上側に蛇腹形状を設けている。
【0019】
この構造によって、アングル・ボード部22に伝わった熱の放出促進を促す。また、回路基板30の取付位置より上側にフィン部28を設けているために、フィン部28で放出された熱が回路基板30の取付位置近傍に対流してくるといったことを防止でき、放熱を効果的にできる。なお、回路基板30の取付位置にフィン部28を設けてもよいが、図示のように、フィン部28は後側に凸状に構成していることから、この部分に外部から力が作用する虞がある。そこで、回路基板30への衝撃が伝わることを低減する観点から、フィン部28は回路基板30の取付位置からずれていることが望ましい。
【0020】
図8も変形例の薄型テレビ10の断面構造を示しており、図4で示した構造と異なる点は、アングル・ボード部22において、回路基板30が固定される領域を、キャビネット前部12側(前方側)に凹ませた放熱用凹部27を有している構造にある。このような構造とすることで、アングル・ボード部22における回路基板30の取付位置が熱くなった場合でも、壁寄せしている状態で直接その部分が壁に接触することがない。その結果、壁の一部が熱で変色してしまうということを防止できる。また、ユーザが加熱している部分に誤って触れてしまうことを防止できる。
【0021】
なお、電源供給用のACプラグ部42を配置するACプラグ配置部29についても、段状に薄くなっている部分に形成し、下からコンセントを装着可能としてもよい。このような構成によって、装着作業性が向上するとともに、アングル・ボード部22の背面を壁に接触させることができる。なお、アングル・ボード部22で凹ませる部分、つまり、放熱用凹部27は、回路部品32のうち特に冷却要望が高い部品等を中心とした領域に形成されればよい。そのような構成により、冷却要望が高くない部分のケーブル等の配設が容易となる。またさらに、放熱用凹部27より上側の領域に、図7と同様のフィン部28が設けられてもよい。
【0022】
なお、図示はしないが、アングル・ボード部22における回路基板30の取付位置については、基板固定ネジ36(図4等参照)の取付用ネジ穴を複数設けておき、様々な形状及び取付位置に対応させ汎用性を持たせてもよい。また、アングル・ボード部22における回路基板30の取付部分が熱くなりすぎる懸念がある場合は、その部分を耐熱性の樹脂板等で覆うように構成されてもよい。
【0023】
以上、本実施形態によると、壁寄せ用アングル20をそのまま放熱に利用できるのでヒートシンクが不要となり、薄型テレビ10本体部分の一層の薄型化が可能となる。また、壁寄せ用アングル20が非常に大きいため、高い放熱効果が期待できる。その結果、薄型テレビ10の内部に冷却用のファンが不要となる。
【0024】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0025】
例えば、壁寄せ用アングル20のアングル・ボード部22において、キャビネット前部12が取り付けられる部分を分離可能とすることで、一般的なスタンド型や壁掛け用のテレビとして使用することができる。この場合であっても、薄型テレビ10の背面側が十分高い放熱能力を有する。
【符号の説明】
【0026】
10 薄型テレビ
12 キャビネット前部
14 表示パネルモジュール
20 壁寄せ用アングル
22 アングル・ボード部
22a アングル表部
22b アングル背面上部
22c アングル背面下部
27 放熱用凹部
28 フィン部
29 ACプラグ配置部
30 回路基板
32 回路部品
36 基板固定ネジ
40 放熱シート
112 キャビネット部
120 アングルボード一体キャビネット部
122 ボード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁寄せ用アングルを備えた薄型表示装置であって、
前記壁寄せ用アングルは、表示パネルを収容するキャビネットの一部を構成し、
前記キャビネットに収容される回路基板に設けられた部品が放熱部材を介して前記壁寄せ用アングルに接続されており、
前記壁寄せ用アングルにおいて、少なくとも前記放熱部材が接する部分が金属である
ことを特徴とする薄型表示装置。
【請求項2】
前記回路基板は、前記壁寄せ用アングルに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の薄型表示装置。
【請求項3】
前記壁寄せ用アングルにおいて、前記部品が前記放熱部材を介して接続する領域の上側にフィン形状を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の薄型表示装置。
【請求項4】
前記壁寄せ用アングルにおいて、前記部品が前記放熱部材を介して接続する領域が周囲より前記キャビネット側に凹んでいることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の薄型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−118294(P2011−118294A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277739(P2009−277739)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】