説明

薄板切抜き鋏

【課題】鋏と同様の操作で薄板を四角形状にワンタッチで切抜くことができる薄板切抜き鋏を提供するものである。
【解決手段】先端側に刃部11A、11Bを形成し、基端側に把持部12A、12Bを形成した2本のアーム13A、13Bを交差させて、交差部を軸14で回動自在に連結し、一方の刃部11Aは平面形状が四角枠状に形成され、この開口部15の内側に挿入される他方の刃部11Bは、平面形状が長方形状で、側面形状が鉤形に湾曲して形成され、前記平面形状が四角枠状に形成された一方の刃部11Aの内側角部を受け刃16とし、この内側で咬み合う他方の刃部11Bを可動刃21とし、可動刃21と受け刃16との間でプラスチック板5を四角形状に切抜くようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄いプラスチック板で形成された雨樋の蓋や、トタン板などの薄い金属板などの薄板を四角形状に切抜く鋏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、雨樋1を屋根2の軒先3に取付ける場合、図8に示すように軒先3に沿って所定の間隔で、先端側を半円形状に湾曲させた支持金具4を取付け、ここにプラスチック板5を半円形状に湾曲させた雨樋1を取付けている。更に最近は、落ち葉や積雪対策として、雨樋1の上にプラスチック板5で形成された蓋6を取付けることが行なわれている。この蓋6は側面に通水孔8を開孔し、雨樋1の上部に嵌合するように形成されているが、支持金具4との固定部分となる湾曲した係止部7が、蓋6の縁に当って浮いてしまい、確実に取付けることができない問題があった。
【0003】
この場合、蓋6の係止部7に対応する部分に、予め切欠部分が形成されていれば良いが、現場の軒先形状に合わせて取付け工事を行うことから、予め切欠部分を形成することは難しい。このため現場では、支持金具4の係止部7に当たる蓋6の縁を、その都度カッターで凹型に削り取っているのが実情であり、作業性が悪い問題があった。
【0004】
また雨樋1の蓋6に限らず、通常は硬質のプラスチック板やトタン板、薄いベニヤ板などを凹型に部分的に切欠する場合には、金切り鋏で角度を変えて数カ所切り込んで切り取っているのが一般的であり、作業性が悪かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を改善し、鋏と同様の操作で薄板を四角形状にワンタッチで切抜くことができる薄板切抜き鋏を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の薄板切抜き鋏は、先端側に刃部を形成し、基端側に把持部を形成した2本のアームを交差させて、交差部を軸で回動自在に連結し、一方の刃部は平面形状が四角枠状に形成され、この開口部の内側に挿入される他方の刃部は、平面形状が長方形状で、側面形状が鉤形に湾曲して形成され、前記平面形状が四角枠状に形成された一方の刃部の内側角部を受け刃とし、この内側で咬み合う他方の刃部の周縁を可動刃とし、この可動刃と受け刃との間で被切断薄板を四角形状に切抜くようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項2記載の薄板切抜き鋏は、可動刃の刃先の正面形状が傾斜していることを特徴とするものである。更に本発明の請求項3記載の薄板切抜き鋏は、平面形状が四角枠状に形成された一方の刃部の側面に、先端から被切断薄板を挿入して、これを保持する保持溝が水平に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る請求項1記載の薄板切抜き鋏によれば、一方の刃部は平面形状が四角枠状に形成され、この開口部の内側に挿入される他方の刃部は、平面形状が長方形状で、側面形状が鉤形に湾曲して形成され、前記平面形状が四角枠状に形成された一方の刃部の内側角部を受け刃とし、この内側で咬み合う他方の刃部の周縁を可動刃とし、アームを掴むことにより可動刃と受け刃との間で薄板をワンタッチで四角形状に切抜くことができる。
【0009】
また請求項2記載の薄板切抜き鋏によれば、可動刃の刃先には傾斜面が形成されているので、可動刃が開口部に挿入されていく過程で、受け刃と斜めに咬み合っていき、被切断薄板は片側から順次切断され、小さな力で容易に切断することができる。
【0010】
更に請求項3記載の薄板切抜き鋏によれば、平面形状が四角枠状に形成された一方の刃部の側面に、先端から被切断薄板を挿入して、これを保持する保持溝が水平に形成されているので、被切断薄板を確実に保持した状態で正確に切抜ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の一形態を図1ないし図7を参照して詳細に説明する。図において10は薄板切抜き鋏を示すもので、これは先端側に刃部11Aを形成し、基端側に把持部12Aを形成した一方のアーム13Aと、先端側に刃部11Bを形成し、基端側に把持部12Bを形成した他方のアーム13Bとを中間で交差させて、交差部を軸14で回動自在に連結したものである。
【0012】
一方の刃部11Aは図2に示すように平面形状が四角枠状に形成され、この開口部15の内側下部の角部には受け刃16が形成されている。また四角枠状に形成された刃部11Aの底部には段部18が形成され、この側面に保持溝19が水平に形成されている。また刃部11Aの側面には、図1に示すように保持溝19に沿ってスケール20が形成されている。
【0013】
また一方の刃部11Aの四角枠状に形成された開口部15の内側の挿入される刃部11Bは、図3に示すように平面形状が長方形状で、側面形状が図2に示すように鉤形に湾曲して形成され可動刃21となっている。更に可動刃21の刃先は図4に示すように傾斜面22が形成されている。
【0014】
上記構成の薄板切抜き鋏10は、図5に示すように蓋6を左手に持って、支持金具4の係止部7と緩衝する部分の縁部のプラスチック板5を、刃部11Aの保持溝19にスケール20に合わせて所定の長さ挿入し、右手で把持部12A、12Bを強く掴むことにより、図6に示すようにプラスチック板5を四角形状にワンタッチで切抜くことができる。
【0015】
この場合、可動刃21の刃先は図4に示すように傾斜面22が形成されているので、可動刃21が上昇していく過程で、受け刃16と斜めに咬み合っていき、プラスチック板5は片側から順次切断され、小さな力で容易に切断することができる。
【0016】
この結果、図7に示すように蓋6の、支持金具4の係止部7と緩衝する部分の縁部が、ワンタッチで切り抜かれて凹型の切欠部23が形成される。このように、支持金具4の係止部7と緩衝する部分の蓋6の縁を順次、切抜いて凹型の切欠部23を形成することにより、蓋6を雨樋1に確実に嵌合させることができる。
【0017】
なお上記説明では、段部18の側面に保持溝19を水平に形成し、これに沿ってスケール20を形成した場合について示したが、切抜く長さが一定の場合には、保持溝19を設けずに、段部18の側面をストッパーとし、ここにプラスチック板5の先端を当接させて切抜くようにしたものでも良い。なおこの場合にはスケール20が不要である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
なお上記説明では、雨樋1の蓋6を切抜く場合について示したが、硬質のプラスチック板やトタン板、薄いベニヤ板など薄板であれば、四角形状に切抜くことができ、また連続して切抜くことにより任意の形状に切抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の一形態による薄板切抜き鋏の斜視図である。
【図2】図1に示す薄板切抜き鋏の中央部縦断面図である。
【図3】図1に示す薄板切抜き鋏の先端側を示す平面図である。
【図4】図1に示す薄板切抜き鋏の正面図である。
【図5】図1に示す薄板切抜き鋏で、蓋の縁部を切断する前の状態を示す中央部縦断面図である。
【図6】図5に示す薄板切抜き鋏で、蓋の縁部を切断した状態を示す中央部縦断面図である。
【図7】縁部に切欠部を形成した蓋を、雨樋に取付けた状態を示す斜視図である。
【図8】蓋の縁部が、支持金具の係止部に緩衝して浮き上がっている状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 雨樋
2 屋根
3 軒先
4 支持金具
5 プラスチック板
6 蓋
7 係止部
8 通水孔
10 薄板切抜き鋏
11A、11B 刃部
12A、12B 把持部
13A、13B アーム
14 軸
15 開口部
16 受け刃
18 段部
19 保持溝
20 スケール
21 可動刃
22 傾斜面
23 切欠部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に刃部を形成し、基端側に把持部を形成した2本のアームを交差させて、交差部を軸で回動自在に連結し、一方の刃部は平面形状が四角枠状に形成され、この開口部の内側に挿入される他方の刃部は、平面形状が長方形状で、側面形状が鉤形に湾曲して形成され、前記平面形状が四角枠状に形成された一方の刃部の内側角部を受け刃とし、この内側で咬み合う他方の刃部の周縁を可動刃とし、この可動刃と受け刃との間で被切断薄板を四角形状に切抜くようにしたことを特徴とする薄板切抜き鋏。
【請求項2】
可動刃の刃先の正面形状が傾斜していることを特徴とする請求項1記載の薄板切抜き鋏。
【請求項3】
平面形状が四角枠状に形成された一方の刃部の側面に、先端から被切断薄板を挿入して、これを保持する保持溝が水平に形成されていることを特徴とする請求項1記載の薄板切抜き鋏。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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