説明

薄板浸漬処理方法及び装置

【課題】薄板浸漬処理方法及び装置の提供。
【解決手段】この薄板浸漬処理方法及び装置は、内部幅が1〜2cmの浸漬槽を提供し、該浸漬槽の上方に拡大した喇叭口を形成し、該喇叭口の対向する両側斜板の上方より強流液体を提供して該浸漬槽に流入させ、且つ該浸漬槽の上方の対向する両側より弱流液体を提供して該浸漬槽に流入させ、該浸漬槽に放流機構を設け、薄板を上から下に該浸漬槽内に進入させると、該浸漬槽内の液体が該浸漬槽より排出され、且つ強流液体と弱流液体が同時に流れ落ち、薄板が液体により支持された状態で順調に該浸漬槽に進入するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の超薄板に対して化学加工処理を行う浸漬処理方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板或いはその他の回路がレイアウトされた板材の製造には多くの化学処理工程が必要である。早期の板材は厚さが比較的大きく、このため化学処理工程中に、水平輸送機を採用して輸送が行われた。工業技術の不断の進歩及び電子製品薄型化とコンパクト化の要求に伴い、プリント基板或いは関係板材の厚さはますます薄くなっており(約25μm〜150μm)、すでに超薄のフレキシブル基板も出現している。このため、もし伝統的な水平輸送機によりフレキシブル基板を輸送すると、板材は自身の柔軟性と重力作用により変形し、輸送過程中にひっかかって毀損し、さらには輸送機を停止しなければならなくなる恐れもあり、製品不良率が相当に高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、超薄軟性板に水平輸送方式により化学処理工程を実行すると、輸送過程で板のひっかかり、板材の毀損、さらには機械停止を形成し、製品の不良率を下げられないという問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特徴は、昇降ピックアップ機に挟持器を組み合わせて薄板を挟持及び輸送し、薄板を直立状態で垂直に化学液体を入れた浸漬槽内に進入させ、並びに浸漬槽内で水平に維持して輸送し、薄板を浸漬槽内に進入させると同時に、液体を浸漬槽の内側表面で流動させ、液体を薄板と浸漬槽内壁面の間の隔離媒体となして板体と内壁面との接触を防止し、及び、両側の流動液体の薄板に対する適当な支持作用を利用し、薄板を順調に浸漬槽内に進入させることにある。
【0005】
本発明の薄板浸漬処理方法の技術手段は、内部幅が1〜2cmの浸漬槽を提供し、該浸漬槽の上方に拡大した喇叭口を形成し、該喇叭口の対向する両側斜板の上方より強流液体を提供して該浸漬槽に流入させ、且つ該浸漬槽の上方の対向する両側より弱流液体を提供して該浸漬槽に流入させ、これにより薄板を直立状態で上から下に垂直に該浸漬槽内に進入させる補助を行う。
【0006】
好ましい選択として、薄板に浸漬槽への進入の最良の効果を獲得させられるように、本発明の浸漬槽の上方の喇叭口の両側の斜板の間の角度は40°〜60°とする。
【0007】
好ましい選択として、本発明は浸漬槽に放流機構を設け、薄板を上から下に該浸漬槽内に進入させると同時に、該放流機構を起動し、該浸漬槽内の液体を該浸漬槽より排出させ、該浸漬槽に下向きの適当な吸引力を発生させ、前述の強流液体と弱流液体の駆動との組合せにより、薄板の浸漬槽への進入をさらに補助する。
【0008】
好ましい選択として、本発明は二組の管路をそれぞれ浸漬槽の対向する両側の立板上方と喇叭口の対向する両側斜板上方に連通させ、ポンプで液体を駆動して喇叭口の上方より流して強流液体を形成し、及び、浸漬槽の両側立板上方より流出させて弱流液体を形成する。
【発明の効果】
【0009】
前述の本発明の方法と装置により、薄板を直立状態で浸漬槽に進入させる時に、液体を浸漬槽の内側表面で流動させて薄板と浸漬槽内壁面との隔離媒体となし、薄板と浸漬槽内壁面の接触を防止し、及び両側で流動する液体により薄板に適当な支持作用を提供し、薄板を順調に浸漬槽内に進入させ、超薄フレキシブル基板が液面に接触する時に、液体の抵抗力の反作用により湾曲して板材のひっかかりを発生するのを防止し、大幅に製品の歩留りを高める。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の薄板浸漬処理装置の部分外観立体図である。
【図2】本発明の薄板浸漬処理装置の平面断面図である。
【図3】本発明の薄板浸漬処理装置の別角度から見た、且つ薄板を浸漬槽内に進入させた断面表示図である。
【図3A】図3の3Aエリアの局部拡大図である。
【図4】本発明の浸漬槽と周辺構造関係を示す局部立体図である。
【図4A】図4の4Aエリアの局部拡大図である。
【図4B】図4の4Bエリアの局部拡大図であり、ゲートが閉じた状態を示す。
【図4C】図4Bのゲート開放動作図であり、ゲートの開放状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の技術内容、構造特徴、達成する目的を詳細に説明するため、以下に実施例を挙げ並びに図面を組み合わせて説明する。
【0012】
本発明の上述の薄板浸漬処理は、複数組の、図1に示される装置を直列に接続して生産ラインを構成し、ここでは図1に示されるそのうちの一組のみにつき、その他の図面と組み合わせて説明を行う。
【0013】
図1から図3及び図3Aに示されるように、本発明の薄板浸漬処理装置は、浸漬槽1を包含し、浸漬槽1はその対向する両側に立板11を具え、二つの該立板11の間の最良の幅Wは、1〜2cmとされる。二つの立板11の上端にはそれぞれ斜板12が設置され、二つの該斜板12は対称に設置されて喇叭口を形成する(図3Aのとおり)。本発明の好ましい実施例では、該喇叭口の両側の斜板12の間の好適な角度θは40°〜60°とされる。浸漬槽1の上方には昇降ピックアップ機2が設けられ、該昇降ピックアップ機2は横移動輸送機21と横移動輸送機21に沿って移動する挟持器22を包含する。挟持器22は薄板3を挟持するのに用いられ、並びに薄板3を下向きに浸漬槽1に進入させるか、或いは上向きに浸漬槽1より離脱させるかを制御可能である。
【0014】
浸漬槽1の二つの立板11の外側にはそれぞれ少なくとも一組の強流供給ユニットと弱流供給ユニットが設けられる。そのうち、強流供給ユニットは少なくとも一つの強流入水管13を包含し、該強流入水管13の出水端は斜板12の上端に接続され、強流入水管13にポンプが接続され、ポンプにより強流液体が該強流入水管13をとおり輸送され、強流入水管13の出水端より流出した液体はさらに斜板12上端の細長ストリップ状の強流出口121より流出し、並びに斜板12に沿って流れ落ちる。
【0015】
弱流供給ユニットは、少なくとも一つの弱流入水管14を包含し、弱流入水管14は立板11上端と斜板12の境界部分に接続される(図3Aと図4Aのとおり)。弱流入水管14はポンプに接続され、ポンプにより弱流液体が弱流入水管14を通り出水端に輸送され、さらに立板11上端に位置し且つ立板11内壁面方向に垂直な弱流出口141より流出し、流出した弱流液体は立板11に沿って下向きに浸漬エリア110内に流入する。
【0016】
本発明の実施例において、上述の強流供給ユニットと弱流供給ユニットのポンプはそれぞれ独立してそれぞれ二組のシステムとされるか、共同で一つのポンプを使用し一つのシステムに整合してもよい。一つのポンプを使用する時、ポンプ運転時に、液体を強流入水管13と弱流入水管14に同時に提供する。
【0017】
図4、図4B、図4Cを参照されたい。薄板3を浸漬槽1をさらに順調に狭い浸漬エリア110に進入させられるようにするため、本発明はさらに浸漬槽1において底部に接近する少なくとも一側に放流機構15が設けられて、薄板3が浸漬槽1内に進入させられると同時に、該放流機構15が起動され、浸漬槽1内の液体を浸漬槽より排出して浸漬槽にあって下向きの適当な吸引力を発生させ、これにより薄板3の浸漬槽内への進入を補助する。本発明の実施例によると、上述の放流機構15は可動に放流口152に設置されたゲート151を包含し、該ゲート151の上端にピストンロッド153が接続され、ピストンロッド153は動力素子154に接続され、該動力素子154は気圧シリンダとされるか、或いは任意の適当な動力を発生可能な設備或いは装置とされ得る。動力素子154の作動によりピストンロッド153が牽引されることで、ゲート151が上昇し、浸漬槽1内の液体が放流口152より流出させられる。
【0018】
前述の浸漬処理装置を利用し、本発明は薄板浸漬処理方法を実行する。それは、薄板を立てて浸漬槽1内に進入させる前に、喇叭口の両側の斜板12上方より持続して流動する強流液体を提供して浸漬槽に流入させ、及び浸漬槽1の上方の対向する両側より持続して流動する弱流液体を提供して浸漬槽に流入させ、該強流液体と該弱流液体の好ましい流速範囲は、1〜2m/秒である。強流液体と弱流液体を斜板12と立板11の表面において流動させることで、一層の媒体を形成し、その後、挟持器22により挟持した薄板3を下向きに輸送して二つの斜板12の間の喇叭口より浸漬槽1に進入させる。薄板3の浸漬槽1への進入の過程で、薄板3両側は強流液体と弱流液体に接触し、下向きに流動する強流液体と弱流液体が軟性の薄板3に対して適当な支持作用を形成し、並びに下向きに順方向に移送し、薄板3と剛性の斜板12及び立板11の接触を防止し、これにより発生可能な板体のひっかかりの問題を防止する。
【0019】
このほか、前述の放流機構15を利用し、強流液体と弱流液体が続けて流動する状態にあって、薄板3を浸漬槽1内に進入させると同時に、放流機構15を起動して、ゲート151を開放し、浸漬槽1内の液体を浸漬槽より排出して浸漬槽内で下向きの適当な吸引力を発生させ、これにより薄板3の浸漬槽への進入を補助する。薄板3の浸漬槽への進入動作が完成した後、放流機構15はゲート151を閉じ、液体を浸漬槽1が満水位となるまで満たし、浸漬処理を開始する。薄板3の処理が完成した後、昇降ピックアップ機2により浸漬エリアより薄板3を取り出す。
【0020】
以上述べたことは、本発明の実施例にすぎず、本発明の実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲に基づきなし得る同等の変化と修飾は、いずれも本発明の権利のカバーする範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0021】
1 浸漬槽
11 立板
110 浸漬エリア
12 斜板
121 強流出口
13 強流入水管
14 弱流入水管
141 弱流出口
15 放流機構
151 ゲート
152 放流口
153 ピストンロッド
154 動力素子
2 昇降ピックアップ機
21 横移動輸送機
22 挟持器
3 薄板
W 浸漬槽の幅
θ 喇叭口角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板浸漬処理方法において、内部幅が1〜2cmの浸漬槽を提供し、該浸漬槽に放流機構を設け、該浸漬槽の上方に上端が拡大した喇叭口を形成し、該喇叭口の対向する両側斜板の上方より強流液体を提供して該浸漬槽に流入させ、且つ該浸漬槽の上方の対向する両側より弱流液体を提供して該浸漬槽に流入させ、該薄板が該浸漬槽内に進入すると同時に、該放流機構により該浸漬槽内の液体を該浸漬槽より排出させて、該浸漬槽内に下向きの吸引力を発生させ、該強流液体と該弱流液体の補助を組み合わせることで該薄板を立てて下向きに垂直に該浸漬槽に進入させる補助を行うことを特徴とする、薄板浸漬処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の薄板浸漬処理方法において、該喇叭口の両側の該斜板の間の角度は40°〜60°とすることを特徴とする、薄板浸漬処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の薄板浸漬処理方法において、該強流液体と該弱流液体の流速は1〜2m/秒とすることを特徴とする、薄板浸漬処理方法。
【請求項4】
薄板浸漬処理装置において、
浸漬槽であって、内部の幅が1〜2cmの浸漬エリアを具え、該浸漬槽の上方両側に対称に斜板が設けられて喇叭口が形成された、上記浸漬槽と、
少なくとも一対の強流供給ユニットであって、該喇叭口の対向する両側の該斜板上方に設けられ、強流液体を提供して下向きに該浸漬槽内に流入させる、上記強流供給ユニットと、
少なくとも一対の弱流供給ユニットであって、該浸漬槽の上方の対向する両側に設けられて、弱流液体を提供して該浸漬槽に流入させる、上記弱流供給ユニットと、
放流機構であって、該浸漬槽に設けられて、該浸漬槽内の液体を排出するのに用いられる、上記放流機構と、
を包含したことを特徴とする、薄板浸漬処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の薄板浸漬処理装置において、該喇叭口の両側の該斜板の間の角度は40°〜60°とすることを特徴とする、薄板浸漬処理装置。
【請求項6】
請求項4記載の薄板浸漬処理装置において、該強流供給ユニットは強流入水管とポンプを包含し、該強流入水管の出水端は該斜板の上端に連通し、該ポンプは該強流液体が該強流入水管内を流動する動力を提供することを特徴とする、薄板浸漬処理装置。
【請求項7】
請求項4記載の薄板浸漬処理装置において、該弱流供給ユニットは弱流入水管とポンプを包含し、該弱流入水管の出水端は該浸漬槽の該立板の上端に連通し、このポンプは該弱流液体が該弱流入水管内を流動する動力を提供することを特徴とする、薄板浸漬処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2012−20241(P2012−20241A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160518(P2010−160518)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(510195445)蘇州創峰光電科技有限公司 (1)
【Fターム(参考)】