薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置及びホットプレス加工方法
【課題】耐熱伸縮性膜部材の垂れ防止して水平に位置ずれなく保持し、該膜部材を外周半径外側方向に拡がるのを防止しつつ、薄板状被加工部材に対して所定のホットプレス加工を均一な圧力下で正確なホットプレス加工を行う。
【解決手段】上枠部材の下端部に張られた耐熱伸縮性膜部材と上部ヒータ板と上枠部材とで画成された熱媒体充填空間に熱媒体を充填し、膜部材水平保持部材を設けて該膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持しかつ水平方向に見て該膜部材を保持する位置をほぼ一定に保持し、下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、該膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させ、被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、該膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行う、薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【解決手段】上枠部材の下端部に張られた耐熱伸縮性膜部材と上部ヒータ板と上枠部材とで画成された熱媒体充填空間に熱媒体を充填し、膜部材水平保持部材を設けて該膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持しかつ水平方向に見て該膜部材を保持する位置をほぼ一定に保持し、下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、該膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させ、被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、該膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行う、薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置及びホットプレス加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板接着等の薄板状被加工部材のプレス加工工程では均圧による高精度均厚成形が求められ、また薄板状被加工部材自身にも凹凸やうねり等がある場合があり、面加圧で均圧加圧することが求められている。
【0003】
上記目的を達成するため、基板素材を上下両熱板間に設置した時、均一な接着面圧となりかつ熱板の熱が基板へ均一に伝わるように、各熱板の基板素材への加圧面に流体の熱媒体を内部に充填した薄膜製の容器を設けたホットプレスが提案されている(特許文献1)。このホットプレスによって、基板接着工程における高精度な均厚成形、基板のうねりの接着補正等を行っている。
【特許文献1】特開平7−195391
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発明開発過程で以下の考察及び知見を得ることによって、完成されたものである。即ち、接着された素子封止基板等の凹凸形状の張り合わせや、予め印刷された薄板状シートをエンボス加工する場合、被加工部材の印刷位置が所定の加工位置からずれることなく正確に成形加工される必要があり、そのためには、まず固定冶具または移動式スライドテーブルの上の下型部材の上面に被加工部材を位置決め設置して、熱媒体加圧室を上部に固定しなければならない。
【0005】
一方、正確な形状に成形をするためには、熱媒体の圧力を薄膜を介して基板素材に効果的に伝達する必要があり、そのため薄膜の厚さをできるだけ薄くする必要がある(例えば、0.3mm〜1mm程度)。しかしながら、薄膜の厚さを薄くすると、薄膜が熱媒体の重量で中央が釣鐘状に垂れ下がり、薄膜下面が基板素材の上面に均一に当接せず、その結果被加工部材に位置ずれが生ずる可能性があることを発見した。従って、本発明は、薄膜部材が垂れ下がることを防止し、薄膜部材の下面が基板素材の上面に均一に当接し、その結果被加工部材に位置ずれを起させない薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置およびホットプレス加工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工装置は、
(1)基台と、
(2)基台上面に断熱配置された下部ヒータ板と、
(3)下部ヒータ板上面に配置され平坦かつ水平な上面を有する下型部材と、
(4)基台上に立設され下型部材を取り囲む下枠部材と、
(5)下型部材の上面に置かれた被加工部材を取出す取出し手段と、
(6)基台上に立設された支柱と、
(7)支柱上部に固定されたプレス上板と、
(8)プレス上板の下面に断熱配置された上部ヒータ板と、
(9)上部ヒータ板の下面に配置され下端部底面が下枠部材の上端部上面に当接可能とされた上枠部材と、
(10)上枠部材の下端部に張られた耐熱伸縮性膜部材と、
(11)上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填された熱媒体と、
(12)熱媒体充填空間に熱媒体を供給・排出するための開閉可能な熱媒体通路と、
(13)耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持する膜部材水平保持部材であって、水平方向に見て耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられた膜部材水平保持部材と、
(14)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接・離間させる駆動装置とからなり、
(15)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で耐熱伸縮性膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させ、上部ヒータ板及び下部ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行うことを特徴とする。
【0007】
以下に、本発明に係る薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置の好ましい実施の態様を挙げる。
(1)膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、上端部が上部ヒータ板に保持されている。
(2)膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、膜部材水平保持部材の軸部及び/または上端部が水平方向に固定され上下方向には摺動自在に受け部に保持される。この場合、耐熱伸縮性膜部材が下降して被加工部材に接触した際に、膜部材水平保持部材の下端部により膜部材を被加工品に押圧することもきる。
(3)膜部材水平保持部材が複数列設けられ、各列に離間して複数の膜部材水平保持部材が配置され、各列に離間して配置された複数の膜部材水平保持部材の下端部が所要の間隔で非連続的とされ、あるいは連続して1列をなす態様とされている。
【0008】
(4)耐熱伸縮性膜部材が上枠部材の下端部底面から下方に突出し、下枠部材の内周面が下型部材の外周面を摺動可能とされ、下型部材と上枠部材とを相対移動させて上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させた際に、耐熱伸縮性膜部材の外周側面が下枠部材の内周面に当接することによって半径方向外方への伸張が防止される。
(5)下型部材には膜部材水平保持部材に対向しない箇所に上面開口の凹部あるいは貫通孔が設けられ、熱媒体圧をかけて耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して凹部形成加工を行う。
【0009】
(6)下枠部材をスプリングを介して基台上に設置し、プレス上板を支柱の上部に固定し、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、プレス上板の上方に移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部をプレス上板を通って中間移動板に固定する。
(7)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下部ヒータ板がスライドテーブル上に配置され、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブルをホットプレス加工装置本体の内部に出し入れすることによって、下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材をホットプレス加工装置本体の内部に出し入れして加工品を取出し、新たに被加工部材を装着した後ホットプレス加工装置本体の内部に配置する。
【0010】
本発明に係る薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工方法は、下部ヒータ板上面に配置され平坦かつ水平な上面を有する下型部材の上面に薄板状被加工部材を配置し、下面を開口した熱媒体充填容器の下面部に垂れ防止して実質的に水平に保持された耐熱伸縮性膜部材の上方かつ熱媒体充填容器内に熱媒体を充填し、耐熱伸縮性膜部材の下面を実質的に水平に保持した状態でかつ水平方向に位置ずれすることなく均一に被加工部材の上面に当接し、被加工部材を熱媒体並びに耐熱伸縮性膜部材及び下枠部材を介して予熱し、その後熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成により、膜部材水平保持部材は耐熱伸縮性膜部材の垂れ防止して実質的に水平に保持し、水平方向に見て膜部材水平保持部材で耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられるので、耐熱伸縮性膜部材は位置ずれすることなく被加工部材の上面に当接できる。それに加えて、被加工部材を予熱後、耐熱伸縮性膜部材を外周半径外側方向に拡がるのを防止され位置決めを保持した状態で、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行うので、被加工部材の加工位置がずれることなく均一な圧力下で正確なホットプレス加工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の理解を容易とするために、本発明を適用できる薄板状被加工部材について説明する。図1は、表面にうねりを生じた多層基板の例であり、本発明を適用することによって位置ずれを起こすことなく、平坦な表面の多層基板とすることができる。本例では、上面を平坦面とした下型部材を用いる。
【0013】
図2は薄板状基材の所定の位置に半導体、コンデンサ、抵抗等の薄型素子を固定したパッケージ基板に熱硬化性接着剤付の保護シートを被覆する例を示す。従って、本例では、薄板状基材、基材上に固定した薄型素子及び保護シートを全体として薄板状被加工部材とみる。本例では、本発明を適用することによって薄型素子の位置ずれを起こすことなく素子及び基板に均一に保護シートを被覆することができる。本例でも、上面を平坦面とした下型部材を用いる。
【0014】
図3は、ポリイミド等からなる液晶ポリマー等のフィルムを基材としその上に銅箔を設けた2層銅張積層板に溝部形成加工をする例を示す。熱硬化性ポリイミドフィルムを基材とする場合は、同種類の熱可塑性ポリイミドを塗布またはシート状で積層し加熱溶融させて冷却硬化させ熱硬化性ポリイミドフィルムと銅箔とを接着している。液晶ポリマーを機材とする場合は、液晶ポリマーは熱可塑性のため銅箔との積層境界面を加熱溶融させて接着している。したがって2層銅張積層板に折り曲げ溝部を形成加工する場合には加熱軟化させた状態で成形加工する。さらに、本発明では3層銅張積層板の場合にも用いることができる。3層銅張積層板は熱硬化性ポリイミドフィルムと銅箔の間に非ポリイミド系の熱硬化性接着剤を塗布又はシート積層し加熱硬化させるが、この加熱硬化時間はホットプレスの加熱成形時間より長いので、上下2層の接着層がまだ接着硬化しない軟化状態の間に均一な圧力で、位置ずれを起すことなく溝部を形成加工することができる。本発明では、3層以上の薄板状多層板を接着・溝成形加工する場合にも適用できる。本例は、成形貼合わせ収縮折り曲げ可能なプリント配線基板の製造に適用できる。
【0015】
図4は、本発明によりホットプレスによって、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、素子収容用エンボス基板あるいは半導体収納用精密パッケージ容器を作成する例を示す。上面に開口する凹部あるいは貫通孔を有する下型部材を用いる。
【0016】
図5は、自動車のメータパネルを成形するのに本発明を用いた例を示す。予め上面に環状のメータゲージを印刷し四隅に取付け孔を印刷したメータゲージの中央に指針取付け孔を有するシートを、本発明によって、ホットプレスして、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、自動車用メータパネルを得る例である。本例では、上面に開口しV字状断面の環状溝を有する下型部材を用いる。印刷されたメータゲージは環状突起の内側斜面に位置するようにする。
また、後述する図9(A)乃至図9(D)に示すように、上面が湾曲面状の成形物にフレキシブルなプリント配線板、湾曲可能な有機ELパネルあるいはタッチパネル等の薄板状被加工品を、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、貼り合わせることもできる。
【0017】
(1)基台、下部ヒータ板
基台の上面に下部ヒータ板を断熱配置する。本発明においては、基台上にポストを立設しポスト上に下部ヒータ板を設置することによって断熱配置することもでき、またポスト上に断熱板を配置しその上に下部ヒータ板を設置してもよい。さらに、基台上面に後述するスライドテーブルを設置し、その上に下部ヒータ板を断熱配置することもできる。本発明にいう「基台上面に断熱配置された下部ヒータ板」には上記態様の全てが含まれるものとする。
【0018】
(2)下型部材
下型部材は、被加工部材をプレス加工するためのもので、下型部材の上面に被加工部材が配置される。下型部材は下部ヒータ板上に直接設けることもできるが、均熱板を介して下部ヒータ板上に間接的に設けることもできる。本発明にいう「下部ヒータ板上面に配置された・・・下型部材」は、上記直接及び間接的に下部ヒータ板上に置かれた場合を含む。均熱板は、下型部材ひいては被加工部材を均一加熱するために用いられるが、均熱板に冷却水を流すことによって加工部材を急冷することを可能とする。下型部材の「平坦」とは、略平坦ということであり、図2に示す態様も含む。図1乃至図5に示す薄板状被加工部材の説明から分かるように、下型部材は被加工部材の種類に応じて適宜交換して使用する。
【0019】
(3)下枠部材
下枠部材は、基台上面に配置され、下型部材を取り囲む。本発明にいう「基台の上面に配置された・・・下型部材」は、基台上面に直接あるいは間接的に下型部材を配置する場合および下部ヒータ板あるいは均熱板を介して間接的に配置する場合を含むものとする。後者の場合には、下部ヒータ板あるいは下部ヒータ板および均熱板を介して基台上面に配置され、よりコンパクトな構成とすることができる。また、下枠部材の下端部下方にスプリングを設けて、上枠部材を下枠部材に当接させ、耐熱伸縮性部材が外周半径方向に外方に広がるのを防止しつつ下降プレス動作を可能とすることもできる。後述するように、下枠部材をシリンダ機構により上下動するようにすることもできる。その場合には、後述する上部ヒータ板と上枠部材の上部端部上面の間にスプリングを配置し、下枠部材を上枠部材に当接する際の衝撃を緩和し上昇プレス動作を可能とすることもできる。
【0020】
(4)被加工部材取出し手段
被加工部材取出し手段は、被加工部材を加工後に下型部材から加工済み部材を剥がすためのもので、下部ヒータ板あるいは均熱板の上面に開口したエア噴出通路を設け高圧空気を噴出させることによって形成することができる。あるいは、ピン孔を下部ヒータ板あるいは均熱板の上面に開口し、ピンで加工済製品を突き上げるようにしても良い。あるいは、吸着手段を加工済製品の上面に吸着させて下型部材から囲う製品を引き離すようにしても良い。
【0021】
(5)支柱、プレス上板、上部ヒータ板
支柱を複数本基台上に立設し、支柱上部にプレス上板を固定する。上部ヒータ板はプレス上板の下面に断熱配置する。プレス上板と上部ヒータ板とをポストにより連結して断熱配置することもでき、またポスト端部に断熱板を配置して連結してもよい。その場合には、下型部材を上下動してホットプレス加工をすることになる。あるいは、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板と上部ヒータ板との間をポストによって断熱連結しても良い。この場合には、中間移動板を上下に移動させてホットプレス加工をする。
【0022】
(6)上枠部材、耐熱伸縮性膜部材、熱媒体、開閉自在な熱媒体通路
上枠部材は、上部ヒータ板の下面に直接あるいは均熱板を介して間接的に取付ける。本発明にいう「上部ヒータ板の下面に配置され・・・上枠部材」は、上記直接的かつ間接的に上部ヒータ板の下面に配置した場合を含む。耐熱伸縮性膜部材は耐熱伸縮性材料からなり、上枠部材の下端開口部とほぼ同一面となるように張ってもよく、あるいは上枠部材の下端開口部の下方に突出して張っても良い。前者の場合には、熱媒体に圧力をかけた場合に上枠部材により耐熱伸縮性膜部材の外周半径方向外側への拡がりが防止されている。一方、後者の場合には、耐熱伸縮性膜部材の外周側面を補強部材で形成し、上枠部材と下枠部材とが当接した場合に補強部材の外周面が下枠部材の内周面に当接し、熱媒体に圧力をかけた場合に耐熱伸縮性膜部材の外周半径方向外側への拡がりが防止されるように構成する。なお、プレス成形する箇所における耐熱伸縮性膜部材としては、耐熱性弾性シリコーンゴムや耐熱性弾性フッ素ゴム等を例示することができ、その厚さは、本発明の均一精密プレス加工の観点から、例えば、0.3〜1mmとすることができる。また、熱媒体充填空間内の熱媒体にかける圧力は、所要のプレス加工するのに十分な圧力であればよく、たとえば、1〜10MPaとすることができる。
【0023】
熱媒体は、上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填される。ここで、均熱板を介して上枠部材を上部ヒータ板に取付ける場合には、厳密には「熱媒体は、上部ヒータ板の下の均熱板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填される」ということになるが、簡略にするため、本発明では、後者の場合も「熱媒体は、上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填される」の中に含まれているものとする。また、熱媒体充填空間に熱媒体を供給・排出するための開閉可能な熱媒体通路が上部ヒータ板あるいは均熱板に設けられている。熱媒体としては、油等が挙げられる。
【0024】
(7)膜部材水平保持部材
膜部材水平保持部材は、耐熱伸縮性膜部材の垂れを防止して実質的に水平に保持するためのものであり、水平方向に見て膜部材水平保持部材で耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられる。「垂れを防止して実質的に水平に保持する」とは、耐熱伸縮性膜部材を外周部のみで支持する場合には熱媒体の重みで下方に垂れ下がるが、膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持することによって、部分的に見ると垂れ下がりがあるが、全体的に見てその垂れ下がり小さくなって本発明の効果を達成するに十分な程度の水平を保持することをいう。
【0025】
また、膜部材水平保持部材が耐熱伸縮性膜部材の垂れを防止して実質的に水平に保持し、水平方向に見て膜部材水平保持部材で耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定とするので、平坦かつ水平な下枠部材に置かれた薄板状被加工部材上に耐熱伸縮性膜部材を当接させると位置ずれが生ずることなく位置決めされる。耐熱伸縮性膜部材が被加工部材の上面に接触すると、膜部材水平保持部材の下端部も直接あるいは耐熱伸縮性膜部材を介して被加工部材の上面に接触する。
【0026】
膜部材水平保持部材は上方に耐熱伸縮性膜部材を下面が水平になるように懸架するが、例えば上部ヒータ板あるいは均熱板に対して耐熱伸縮性膜部材を懸架するように構成することができる。また、膜部材水平保持部材の耐熱伸縮性膜部材への取付け位置は、プレス加工の邪魔にならない位置とする。
【0027】
また、膜部材水平保持部材を複数列設け、各列に離間して複数の膜部材水平保持部材を配置するようにすることもできる。各列に離間して配置された複数の膜部材水平保持部材の下端部を所要の間隔にて非連続的としても良いし、あるいは連続して1列をなす態様としてもよい。膜部材水平保持部材は、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と、膜部材水平保持部材の下降範囲を規制する上端部とから構成し、上端部を上部ヒータ板に保持することができる。この場合、少なくとも耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に当接させた時に、上端部が上部ヒータ板あるいはその下方の均熱板の下面で係止されるように軸部の長さを設定すると、プレス成形時に耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に緊密かつ位置決めされた態様で押さえることができる。また、膜部材水平保持部材の上端部を上下方向に摺動自在にガイドし、水平方向には固定することもできる。
【0028】
膜部材水平保持部材の別な例としては、上下方向に撓まない格子状の剛性構造体を耐熱伸縮性膜部材のプレス面に対応する内面に直接あるいは間接的に取付ける態様としてもよい。この場合、少なくとも耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に当接させた時に、格子状構造体により耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に緊密かつ位置決めされた態様で押圧する構成を採用することが好ましい。
膜部材水平保持部材は、耐熱伸縮性膜部材を形成する際に一体成形するか、あるいは硬質樹脂や金属具のインサート成形、ねじ込み等により一体的に形成することができる。また、一体的に形成する際に固定するのではなく、内部に上下伸縮可能なスプリングを配置して膜部材水平保持部材を上下伸縮可能とすることもできる。
【0029】
(8)駆動装置
駆動装置は、下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で耐熱伸縮膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させるものである。下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材を上下動させる構成としても良いし、あるいは上部ヒータ板、上枠部材及び熱媒体を含む耐熱伸縮性膜部材を上下動させる構成としても良い。
【0030】
前者の場合には、シリンダ及びシリンダロッド等の機構で下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材を上下動し上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接、離間させる。後者の場合には、プレス上板を支柱の上部に固定し、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、プレス上板の上方に移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部をプレス上板を通って中間移動板に固定するよう構成し、上枠部材を上下動し上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接、離間させる。 上部ヒータ板及び下部ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかける方法としては、上下動させない上枠部材あるいは下枠部材をスプリングで支持し下枠部材あるいは上枠部材をさらに移動させて、耐熱伸縮性部材を外周半径方向に外方に広がるのを防止しつつ熱媒体に圧力をかけることができる。あるいは、スプリング構成に代えて、またはスプリング構成に加えて外部から熱媒体を熱媒体通路を通して供給して圧力をかけもよい。熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけることによって、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して平面化加工、パッケージ基板上に固定した薄型素子への保護シート被覆加工、エンボス加工等の凹凸または曲面化加工等の所定のホットプレス加工を行う。
【実施例1】
【0031】
以下に、本発明の具体的実施態様を図面に沿って説明するが、かかる実施例は本発明の例示に過ぎず、本発明は図示された実施態様に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0032】
図6乃至図7は、本発明のホットプレス加工装置の一実施態様を示す。図6において、基台1の上面にはレール2が設けられ、レール2上には横方向に移動可能とされたスライドテーブル3が配置され、下部ヒータ板4がスライドテーブル上にポストおよび断熱板を介して設置されている。下部ヒータ板4の上には均熱板5,6が配置され、均熱板5,6には図示するエア噴出通路7が設けられており、高圧空気を噴出させて後述するように被加工部材Wをプレス加工後下型部材8から剥して取出す。本実施態様では、下型部材8は交換可能部材とされ、凹部成形用貫通孔8aが設けられている。均熱板5の上面にはスプリング9を介して下枠部材10が配置され、下枠部材10は均熱板6および下型部材8の外周面に摺動可能に嵌合されている。均熱板6および下型部材8の断面形状は方形あるいは円形等とすることができ、下枠部材10の断面形状もそれらに対応して方形あるいは円環形状とすることができる。
【0033】
基台上の4隅には支柱11が立設され、支柱11の上端部にはプレス上板12がナットにより固定されている。プレス上板12の上面にはエアシリンダ13が固定されている。プレス上板12の下方には中間移動板14が支柱11に対して摺動自在に保持され、中間移動板14の上面にはエアシリンダ13のシリンダロッド15の下端部が固定され、中間移動板14はエアシリンダ13によって上下動可能とされている。シリンダ13の上方のSはシリンダロッドの下降範囲を規制するストッパである。中間移動板14の下面には、取付け板、放熱ポスト、断熱板を介して上部ヒータ板16が固定され、上部ヒータ板16の下面には均熱板17を介して上枠部材18が固定されている。図示するように、Oリングを用いて上枠部材18を均熱板17に対して液密としている。
【0034】
上枠部材18には耐熱伸縮性膜部材19が設けられている。耐熱伸縮性膜部材19の外周部は上枠部材18の内部にOリングにより液密に収容されており、膜部材19の外周側部は補強部19aとされている。膜部材19には、膜部材水平保持部材20が取付けられている。膜部材水平保持部材20は、軸部20aと、上端部20bと、下端部20c及び軸部20aの上部と上端部20bとを摺動可能に受ける固定部20dとからなり、下端部20cは膜部材19の内面に固定されている。このような構成により、膜部材水平保持部材20は平面的にみて略固定された位置を通り上下動可能となっているので、耐熱伸縮性膜部材を平面的にみて略固定された位置で支持し、その結果被加工部材の位置ずれを防止し位置決めを保持することが可能となる。膜部材水平保持部材20は2列に設けられている。膜部材水平保持部材20は2列に限らず、3列以上設けてもよい。膜部材水平保持部材の各列には複数個の膜部材水平保持部材20を設けてもよく、また各列に配列した複数個の膜部材水平保持部材20の下端部20cを連続して設けても良い。
【0035】
均熱板17には下面に一端が開口する開閉可能な熱媒体注入通路21が設けられ、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19で画成された空間には熱媒体Mが充填されている。熱媒体注入通路21の他端には熱媒体貯蔵容器及び熱媒体注入シリンダ(ともに図示せず)が取付けられている。本実施態様では、上枠部材18を下降して上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接する際に、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aが下枠部材10の内周面に摺動することによりプレス加工の過程で耐熱伸縮性膜部材19の外周半径方向の拡がりが防止されるようになっている。
【0036】
次に、図7(A)乃至図7(D)を参照して、本発明に係る第1の実施態様のホットプレス加工装置の動作を説明する。
まず、図7(A)に示す上昇位置から、エアシリンダ13を作動させて中間移動板14(図6参照)、上部ヒータ板16、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を下降させ、図7(B)に示すように、上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接し、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aを下枠部材10の内周面に摺接させ、耐熱伸縮性膜部材19を被加工部材の上面に当接し、被加工部材Wを下型部材8と耐熱伸縮性膜部材19との間に挟持する。この位置で、シリンダの作動バルブを途中で閉めることにより、シリンダロッド15の下降を一時的に停止する。そして、加熱された熱媒体Mによって被加工部材Wを予熱する。なお、下端部20cは膜部材を介して被加工部材Wの被加工部位以外の部分に当接している。
【0037】
図7(C)に示すように、さらに、熱媒体供給通路を閉じた状態で、エアシリンダ13により上枠部材18を下降するとスプリング9が収縮し下枠部材10が押し下げられ、一方膜部材水平保持部材20の軸部20aの上部と上端部20bとは固定部20dに沿って上方に摺動し、ストッパS(図6)によりシリンダロッド15の下降を停止させる。従って、ストッパSのストローク調整によりシリンダ13のシリンダロッド15の下降範囲を制限することができる。この時、膜部材水平保持部材20の上端部20bの上面は均熱板17の下面に当接固定させて、耐熱伸縮性膜部材を膜部材水平保持部材20の非加工部分を下端部20cで押さえるようにしてもよい。上述したように、ストッパSによりエアシリンダ13の下降が停止させられるまでの間に、耐熱伸縮性膜部材によって被加工部材Wに凹部が形成される。本実施態様では、ストッパSを設けて成形加工動作を途中で停止しているが、下型部材の凹部面に沿って成型加工をする場合にはストッパSによりエアシリンダの下降領域を制限する必要はない。
【0038】
被加工部材Wのホットプレス加工終了後、エアシリンダ13を駆動させて上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を上方に移動させ、エア噴出通路7から高圧空気を噴出することによって加工済部材を下型部材8から剥がす。その後、レール2に沿ってスライドテーブル3を横方向に移動させて、下部ヒータ板4、均熱板5,6、下型部材8、下枠部材10等をホットプレス加工装置外部に移動させて、加工済部材を取出し、新たな被加工部材Wを下型部材8の上面に置き、スライドテーブル3により下部ヒータ板4、均熱板5,6、下型部材8、下枠部材10等をホットプレス加工装置内部に移動させ、次のホットプレス工程を行う。
【0039】
図8(a)と図8(b)は、本発明のホットプレス加工装置の第2の実施態様を示す。第1の実施態様と第2の実施態様とは、第2の実施態様においては、膜部材水平保持部材20’の軸部20a’の上部と上端部20b’とが固定部20d’に固定されている点で異なる。したがって、膜部材水平保持部材20’は常時固定された位置にあり、耐熱伸縮性膜部材を固定された位置で支持している。
【0040】
図8(a)に示す上昇位置から、エアシリンダ13を作動させて中間移動板14(図6参照)、上部ヒータ板16、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を下降させ、図8(b)に示すように、上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接し、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aを下枠部材10の内周面に摺接し、被加工部材Wを下型部材8と耐熱伸縮性膜部材19との間に挟持する。この位置で、耐熱伸縮性膜部材19を介して膜部材水平保持部材20の下端部20cは被加工部材Wに当接、押圧し、耐熱伸縮性膜部材19を下型部材8に固定する。その後、被加工部材Wを加熱された熱媒体Mによって予熱し、熱媒体供給通路を開いた状態で、エアシリンダ13により上枠部材18をスプリング9に抗して収縮させ下枠部材10を押し下げることにより、耐熱伸縮性膜部材を介して熱媒体充填空間内の熱媒体により被加工部材Wに凹部を形成する。
【0041】
図9(A)乃至図9(D)は、本発明のホットプレス加工装置の第3の実施態様を示す。上面が曲面上(本実施態様では、上部の縁部が曲面状)とされたアクリル樹脂等からなる基材Aの上に被加工品Wを貼り合わせる場合に適合する。上述の実施態様と同じ構成部分については同一の符号を付け、その説明は省略する。本実施態様では、均熱板6の上面に凹部6aを設け、均熱板6の上方に成形ジグJを凹部6aに配置したスプリングSPを介して保持する。ジグJは周辺板状部J1と中央突出部J2とからなり、中央突出部J2の中央には基材Aを収容する角筒状貫通孔J3が設けられている。J1及びJ2の上面は実質的に水平となっている。基材Aを底面を均熱板6の上面に配置し、ジグJの貫通孔J3に嵌合すると、基材Aの上面はジグ中央突出部J2の上面より少し下方に位置し、基材Aの上面とジグ貫通孔J3とで画成される凹部に被加工品Wが位置決め配置される(図9(A)参照)。
【0042】
図9(A)に示す上昇位置から、エアシリンダを作動させて中間移動板14(図6参照)、上部ヒータ板16、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を下降させ、図9(B)に示すように、上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接し、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aを下枠部材10の内周面に摺接し、膜部材水平保持部材20の下端部20cを中央突出部J2の上面に膜部材19を介して当接し、一方被加工部材Wを基材Aと耐熱伸縮性膜部材19との間に挟持する。
【0043】
その後、被加工部材Wを加熱された熱媒体Mによって予熱し、図9(C)に示すようにエアシリンダをさらに作動させてスプリングSPに抗してジグJを押し下げることによって、被加工部材Wを基材Aの曲面状の上面に順次貼着する。貼付終了後、エアシリンダを逆方向に作動させ、エア噴出し通路7に圧縮空気を供給して基材Aと貼付け加工品を取り出す。図9(D)参照。本実施例は、例えば、上面が湾曲面状の成形物にフレキシブルなプリント配線板、湾曲可能な有機ELパネルあるいはタッチパネル等の薄板状被加工品を、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、貼り合わせる場合に適用することができる。
【0044】
図10(a)乃至図10(c)は、膜部材水平保持部材20によって耐熱伸縮性膜部材19を保持する構成を説明する。膜部材水平保持部材20は2列設けられ、各列には3個の膜部材水平保持部材20が配置され、各列の膜部材水平保持部材20の下端部20cは連続して1列となっている。図10(a)に示すように、膜固定部30が均熱板17の下面に固定され、一方、耐熱伸縮性膜部材19の底面に立設した膜部材水平保持部材20は水平保持部材固定部材20d−1,20d−2,20d−3(断面L字状、凸状、逆L字状のもの)に挟持され連結金具MTによって挟持状態を保持されている。次に、耐熱伸縮性膜部材19の上端部を膜固定部30の外周に沿って均熱板の下面に当接し、水平保持部材固定部材20d−1,20d−2,20d−3を均熱板17にねじ止めし、最後に上枠部材18を膜部材の外周に嵌合し、耐熱伸縮性膜部材19の上端外周部を均熱板17との間に挟持し、均熱板17と上部ヒータ板16とにねじ止め固定する。それによって、耐熱伸縮性膜部材は膜部材水平保持部材20により上下摺動自在に保持される。
【0045】
図11(a)と図11(b)に、容器形状の耐熱伸縮性膜部材19の内部に膜部材水平保持部材20が3列設けられ、各列には3個の膜部材水平保持部材20が離間して配置された別の実施態様を示す。図11(a)は容器形状の耐熱伸縮性膜部材19の内部に膜部材水平保持部材20が設けられた斜視図であり、図11(b)は線A−Aで切断して見た断面図である。図中19aは補強リブである。膜部材水平保持部材20の下端部はナットとし膜部材形成時に膜部材の内面に埋め込み固定し、上端部の頭部つき軸部下端部をナットにねじ止めしている。
【0046】
図12、図13および図14は、膜部材水平保持部材の実施態様を示す。図12は膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部を膜部材に固着する例を示し、図13は膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部ナットを膜部材にインサート成形し、このナットにボルトを螺合する例を示す。図14は、上端部にかしめ蓋を取付けたスプリングの下端部を膜部材にインサート成形する例を示し、上端部のかしめ蓋を固定して熱媒体を耐熱伸縮性膜部材内部に注入した際に膜部材水平保持部材が伸びるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置及び方法は、以下の用途に用いることができ、産業上利用価値が非常に高いものである。
1.プリント配線基板の重ねずれのない積層貼合わせ
2.リジッドフレキ基板のシールドフィルムの凹凸形状の貼合わせ
3.凹凸形状、局面形状を呈する素子内蔵基板、パッケージ基板
等への保護フィルムの貼合わせ
4.印刷したフィルムに対する非印刷部分等の必要箇所のエンボ
ス成形、スピードゲージを印刷した自動車のスピードパネル
の成形等の印刷位置ズレ防止、
5.半導体などの取出し位置の正確さが要求されるパッケージ容
器の成形(精密三次元形成)
6.2層あるいはそれ以上の銅張積層板等からなる伸縮折り曲げ
可能な回路用基板シート積層体を局部に溝成形し貼合わせる
ことにより収縮折り曲げ可能なプリント配線基板の製造
8.上面が湾曲面状の携帯電話本体等の成形物にフレキシブルな
プリント配線板、湾曲可能な有機ELパネルあるいはタッチ
パネル等への薄板状被加工品の貼合加工
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】表面にうねりを生じた多層基板を示す斜視図である。
【図2】薄板状基材の所定の位置に半導体、コンデンサ、抵抗等の薄型素子を固定したパッケージ基板に熱硬化性接着剤付の保護シートを被覆する場合である。
【図3】無接着剤銅張積層板に用いられる銅板と液晶ポリイミドとを本発明によってホットプレスにより溝部形成加工と銅板と液晶ポリイミドとを接着加工する説明図である。
【図4】無接着剤銅張積層板に用いられる銅板と液晶ポリイミドとを本発明によってホットプレスにより凹部形成加工と銅板と液晶ポリイミドとを接着加工する素子収容用エンボス基板あるいは半導体収納用精密パッケージ容器を作成する説明図である。
【図5】自動車のメータパネルを成形するのに本発明を用いた例を示す。
【図6】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様を示す模式図である。
【図7A】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図7B】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図7C】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図7D】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図8】本発明のホットプレス加工装置の別の実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図9A】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図9B】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図9C】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図9D】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図10】容器形状の耐熱伸縮性膜部材の内部に膜部材水平保持部材が3列設けられ、各列には3個の膜部材水平保持部材が離間して配置されたさらに別の実施態様をそれぞれ示す斜視図および断面図である。
【図11】耐熱伸縮性膜部材を形成する際に膜部材水平保持部材をシリコーンゴム等から一体的に成形される例を示す。
【図12】膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部を膜部材に固着する例を示す。
【図13】膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部ナットを膜部材にインサート成形し、このナットにボルトを螺合する例を示す。
【図14】スプリングの下端部を膜部材にインサート成形し、上端部にかしめ蓋を取付けた例を示す。
【符号の説明】
【0049】
1・・・基台、2・・・レール、3・・・スライドテーブル、4・・・下部ヒータ板、5,6・・・均熱板、7・・・エア噴出通路、8・・・下型部材、8a・・・凹部成形用貫通孔、9・・・スプリング、10・・・下枠部材、11・・・支柱、12・・・プレス上板、13・・・エアシリンダ、14・・・中間移動板、15・・・シリンダロッド、16・・・上部ヒータ板、17・・・均熱板、18・・・上枠部材、19・・・耐熱伸縮性膜部材、19a・・・補強リブ、20・・・膜部材水平保持部材、20a・・・軸部、20b・・・上端部、20c・・・下端部、20d・・・固定部、21・・・熱媒体注入通路、30・・・膜固定部、A・・・基材、J・・・ジグ、M・・・熱媒体、S・・・ストッパ、SP・・・スプリング、W・・・被加工部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置及びホットプレス加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板接着等の薄板状被加工部材のプレス加工工程では均圧による高精度均厚成形が求められ、また薄板状被加工部材自身にも凹凸やうねり等がある場合があり、面加圧で均圧加圧することが求められている。
【0003】
上記目的を達成するため、基板素材を上下両熱板間に設置した時、均一な接着面圧となりかつ熱板の熱が基板へ均一に伝わるように、各熱板の基板素材への加圧面に流体の熱媒体を内部に充填した薄膜製の容器を設けたホットプレスが提案されている(特許文献1)。このホットプレスによって、基板接着工程における高精度な均厚成形、基板のうねりの接着補正等を行っている。
【特許文献1】特開平7−195391
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発明開発過程で以下の考察及び知見を得ることによって、完成されたものである。即ち、接着された素子封止基板等の凹凸形状の張り合わせや、予め印刷された薄板状シートをエンボス加工する場合、被加工部材の印刷位置が所定の加工位置からずれることなく正確に成形加工される必要があり、そのためには、まず固定冶具または移動式スライドテーブルの上の下型部材の上面に被加工部材を位置決め設置して、熱媒体加圧室を上部に固定しなければならない。
【0005】
一方、正確な形状に成形をするためには、熱媒体の圧力を薄膜を介して基板素材に効果的に伝達する必要があり、そのため薄膜の厚さをできるだけ薄くする必要がある(例えば、0.3mm〜1mm程度)。しかしながら、薄膜の厚さを薄くすると、薄膜が熱媒体の重量で中央が釣鐘状に垂れ下がり、薄膜下面が基板素材の上面に均一に当接せず、その結果被加工部材に位置ずれが生ずる可能性があることを発見した。従って、本発明は、薄膜部材が垂れ下がることを防止し、薄膜部材の下面が基板素材の上面に均一に当接し、その結果被加工部材に位置ずれを起させない薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置およびホットプレス加工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工装置は、
(1)基台と、
(2)基台上面に断熱配置された下部ヒータ板と、
(3)下部ヒータ板上面に配置され平坦かつ水平な上面を有する下型部材と、
(4)基台上に立設され下型部材を取り囲む下枠部材と、
(5)下型部材の上面に置かれた被加工部材を取出す取出し手段と、
(6)基台上に立設された支柱と、
(7)支柱上部に固定されたプレス上板と、
(8)プレス上板の下面に断熱配置された上部ヒータ板と、
(9)上部ヒータ板の下面に配置され下端部底面が下枠部材の上端部上面に当接可能とされた上枠部材と、
(10)上枠部材の下端部に張られた耐熱伸縮性膜部材と、
(11)上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填された熱媒体と、
(12)熱媒体充填空間に熱媒体を供給・排出するための開閉可能な熱媒体通路と、
(13)耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持する膜部材水平保持部材であって、水平方向に見て耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられた膜部材水平保持部材と、
(14)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接・離間させる駆動装置とからなり、
(15)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で耐熱伸縮性膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させ、上部ヒータ板及び下部ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行うことを特徴とする。
【0007】
以下に、本発明に係る薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置の好ましい実施の態様を挙げる。
(1)膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、上端部が上部ヒータ板に保持されている。
(2)膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、膜部材水平保持部材の軸部及び/または上端部が水平方向に固定され上下方向には摺動自在に受け部に保持される。この場合、耐熱伸縮性膜部材が下降して被加工部材に接触した際に、膜部材水平保持部材の下端部により膜部材を被加工品に押圧することもきる。
(3)膜部材水平保持部材が複数列設けられ、各列に離間して複数の膜部材水平保持部材が配置され、各列に離間して配置された複数の膜部材水平保持部材の下端部が所要の間隔で非連続的とされ、あるいは連続して1列をなす態様とされている。
【0008】
(4)耐熱伸縮性膜部材が上枠部材の下端部底面から下方に突出し、下枠部材の内周面が下型部材の外周面を摺動可能とされ、下型部材と上枠部材とを相対移動させて上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させた際に、耐熱伸縮性膜部材の外周側面が下枠部材の内周面に当接することによって半径方向外方への伸張が防止される。
(5)下型部材には膜部材水平保持部材に対向しない箇所に上面開口の凹部あるいは貫通孔が設けられ、熱媒体圧をかけて耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して凹部形成加工を行う。
【0009】
(6)下枠部材をスプリングを介して基台上に設置し、プレス上板を支柱の上部に固定し、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、プレス上板の上方に移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部をプレス上板を通って中間移動板に固定する。
(7)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下部ヒータ板がスライドテーブル上に配置され、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブルをホットプレス加工装置本体の内部に出し入れすることによって、下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材をホットプレス加工装置本体の内部に出し入れして加工品を取出し、新たに被加工部材を装着した後ホットプレス加工装置本体の内部に配置する。
【0010】
本発明に係る薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工方法は、下部ヒータ板上面に配置され平坦かつ水平な上面を有する下型部材の上面に薄板状被加工部材を配置し、下面を開口した熱媒体充填容器の下面部に垂れ防止して実質的に水平に保持された耐熱伸縮性膜部材の上方かつ熱媒体充填容器内に熱媒体を充填し、耐熱伸縮性膜部材の下面を実質的に水平に保持した状態でかつ水平方向に位置ずれすることなく均一に被加工部材の上面に当接し、被加工部材を熱媒体並びに耐熱伸縮性膜部材及び下枠部材を介して予熱し、その後熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成により、膜部材水平保持部材は耐熱伸縮性膜部材の垂れ防止して実質的に水平に保持し、水平方向に見て膜部材水平保持部材で耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられるので、耐熱伸縮性膜部材は位置ずれすることなく被加工部材の上面に当接できる。それに加えて、被加工部材を予熱後、耐熱伸縮性膜部材を外周半径外側方向に拡がるのを防止され位置決めを保持した状態で、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行うので、被加工部材の加工位置がずれることなく均一な圧力下で正確なホットプレス加工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の理解を容易とするために、本発明を適用できる薄板状被加工部材について説明する。図1は、表面にうねりを生じた多層基板の例であり、本発明を適用することによって位置ずれを起こすことなく、平坦な表面の多層基板とすることができる。本例では、上面を平坦面とした下型部材を用いる。
【0013】
図2は薄板状基材の所定の位置に半導体、コンデンサ、抵抗等の薄型素子を固定したパッケージ基板に熱硬化性接着剤付の保護シートを被覆する例を示す。従って、本例では、薄板状基材、基材上に固定した薄型素子及び保護シートを全体として薄板状被加工部材とみる。本例では、本発明を適用することによって薄型素子の位置ずれを起こすことなく素子及び基板に均一に保護シートを被覆することができる。本例でも、上面を平坦面とした下型部材を用いる。
【0014】
図3は、ポリイミド等からなる液晶ポリマー等のフィルムを基材としその上に銅箔を設けた2層銅張積層板に溝部形成加工をする例を示す。熱硬化性ポリイミドフィルムを基材とする場合は、同種類の熱可塑性ポリイミドを塗布またはシート状で積層し加熱溶融させて冷却硬化させ熱硬化性ポリイミドフィルムと銅箔とを接着している。液晶ポリマーを機材とする場合は、液晶ポリマーは熱可塑性のため銅箔との積層境界面を加熱溶融させて接着している。したがって2層銅張積層板に折り曲げ溝部を形成加工する場合には加熱軟化させた状態で成形加工する。さらに、本発明では3層銅張積層板の場合にも用いることができる。3層銅張積層板は熱硬化性ポリイミドフィルムと銅箔の間に非ポリイミド系の熱硬化性接着剤を塗布又はシート積層し加熱硬化させるが、この加熱硬化時間はホットプレスの加熱成形時間より長いので、上下2層の接着層がまだ接着硬化しない軟化状態の間に均一な圧力で、位置ずれを起すことなく溝部を形成加工することができる。本発明では、3層以上の薄板状多層板を接着・溝成形加工する場合にも適用できる。本例は、成形貼合わせ収縮折り曲げ可能なプリント配線基板の製造に適用できる。
【0015】
図4は、本発明によりホットプレスによって、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、素子収容用エンボス基板あるいは半導体収納用精密パッケージ容器を作成する例を示す。上面に開口する凹部あるいは貫通孔を有する下型部材を用いる。
【0016】
図5は、自動車のメータパネルを成形するのに本発明を用いた例を示す。予め上面に環状のメータゲージを印刷し四隅に取付け孔を印刷したメータゲージの中央に指針取付け孔を有するシートを、本発明によって、ホットプレスして、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、自動車用メータパネルを得る例である。本例では、上面に開口しV字状断面の環状溝を有する下型部材を用いる。印刷されたメータゲージは環状突起の内側斜面に位置するようにする。
また、後述する図9(A)乃至図9(D)に示すように、上面が湾曲面状の成形物にフレキシブルなプリント配線板、湾曲可能な有機ELパネルあるいはタッチパネル等の薄板状被加工品を、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、貼り合わせることもできる。
【0017】
(1)基台、下部ヒータ板
基台の上面に下部ヒータ板を断熱配置する。本発明においては、基台上にポストを立設しポスト上に下部ヒータ板を設置することによって断熱配置することもでき、またポスト上に断熱板を配置しその上に下部ヒータ板を設置してもよい。さらに、基台上面に後述するスライドテーブルを設置し、その上に下部ヒータ板を断熱配置することもできる。本発明にいう「基台上面に断熱配置された下部ヒータ板」には上記態様の全てが含まれるものとする。
【0018】
(2)下型部材
下型部材は、被加工部材をプレス加工するためのもので、下型部材の上面に被加工部材が配置される。下型部材は下部ヒータ板上に直接設けることもできるが、均熱板を介して下部ヒータ板上に間接的に設けることもできる。本発明にいう「下部ヒータ板上面に配置された・・・下型部材」は、上記直接及び間接的に下部ヒータ板上に置かれた場合を含む。均熱板は、下型部材ひいては被加工部材を均一加熱するために用いられるが、均熱板に冷却水を流すことによって加工部材を急冷することを可能とする。下型部材の「平坦」とは、略平坦ということであり、図2に示す態様も含む。図1乃至図5に示す薄板状被加工部材の説明から分かるように、下型部材は被加工部材の種類に応じて適宜交換して使用する。
【0019】
(3)下枠部材
下枠部材は、基台上面に配置され、下型部材を取り囲む。本発明にいう「基台の上面に配置された・・・下型部材」は、基台上面に直接あるいは間接的に下型部材を配置する場合および下部ヒータ板あるいは均熱板を介して間接的に配置する場合を含むものとする。後者の場合には、下部ヒータ板あるいは下部ヒータ板および均熱板を介して基台上面に配置され、よりコンパクトな構成とすることができる。また、下枠部材の下端部下方にスプリングを設けて、上枠部材を下枠部材に当接させ、耐熱伸縮性部材が外周半径方向に外方に広がるのを防止しつつ下降プレス動作を可能とすることもできる。後述するように、下枠部材をシリンダ機構により上下動するようにすることもできる。その場合には、後述する上部ヒータ板と上枠部材の上部端部上面の間にスプリングを配置し、下枠部材を上枠部材に当接する際の衝撃を緩和し上昇プレス動作を可能とすることもできる。
【0020】
(4)被加工部材取出し手段
被加工部材取出し手段は、被加工部材を加工後に下型部材から加工済み部材を剥がすためのもので、下部ヒータ板あるいは均熱板の上面に開口したエア噴出通路を設け高圧空気を噴出させることによって形成することができる。あるいは、ピン孔を下部ヒータ板あるいは均熱板の上面に開口し、ピンで加工済製品を突き上げるようにしても良い。あるいは、吸着手段を加工済製品の上面に吸着させて下型部材から囲う製品を引き離すようにしても良い。
【0021】
(5)支柱、プレス上板、上部ヒータ板
支柱を複数本基台上に立設し、支柱上部にプレス上板を固定する。上部ヒータ板はプレス上板の下面に断熱配置する。プレス上板と上部ヒータ板とをポストにより連結して断熱配置することもでき、またポスト端部に断熱板を配置して連結してもよい。その場合には、下型部材を上下動してホットプレス加工をすることになる。あるいは、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板と上部ヒータ板との間をポストによって断熱連結しても良い。この場合には、中間移動板を上下に移動させてホットプレス加工をする。
【0022】
(6)上枠部材、耐熱伸縮性膜部材、熱媒体、開閉自在な熱媒体通路
上枠部材は、上部ヒータ板の下面に直接あるいは均熱板を介して間接的に取付ける。本発明にいう「上部ヒータ板の下面に配置され・・・上枠部材」は、上記直接的かつ間接的に上部ヒータ板の下面に配置した場合を含む。耐熱伸縮性膜部材は耐熱伸縮性材料からなり、上枠部材の下端開口部とほぼ同一面となるように張ってもよく、あるいは上枠部材の下端開口部の下方に突出して張っても良い。前者の場合には、熱媒体に圧力をかけた場合に上枠部材により耐熱伸縮性膜部材の外周半径方向外側への拡がりが防止されている。一方、後者の場合には、耐熱伸縮性膜部材の外周側面を補強部材で形成し、上枠部材と下枠部材とが当接した場合に補強部材の外周面が下枠部材の内周面に当接し、熱媒体に圧力をかけた場合に耐熱伸縮性膜部材の外周半径方向外側への拡がりが防止されるように構成する。なお、プレス成形する箇所における耐熱伸縮性膜部材としては、耐熱性弾性シリコーンゴムや耐熱性弾性フッ素ゴム等を例示することができ、その厚さは、本発明の均一精密プレス加工の観点から、例えば、0.3〜1mmとすることができる。また、熱媒体充填空間内の熱媒体にかける圧力は、所要のプレス加工するのに十分な圧力であればよく、たとえば、1〜10MPaとすることができる。
【0023】
熱媒体は、上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填される。ここで、均熱板を介して上枠部材を上部ヒータ板に取付ける場合には、厳密には「熱媒体は、上部ヒータ板の下の均熱板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填される」ということになるが、簡略にするため、本発明では、後者の場合も「熱媒体は、上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填される」の中に含まれているものとする。また、熱媒体充填空間に熱媒体を供給・排出するための開閉可能な熱媒体通路が上部ヒータ板あるいは均熱板に設けられている。熱媒体としては、油等が挙げられる。
【0024】
(7)膜部材水平保持部材
膜部材水平保持部材は、耐熱伸縮性膜部材の垂れを防止して実質的に水平に保持するためのものであり、水平方向に見て膜部材水平保持部材で耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられる。「垂れを防止して実質的に水平に保持する」とは、耐熱伸縮性膜部材を外周部のみで支持する場合には熱媒体の重みで下方に垂れ下がるが、膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持することによって、部分的に見ると垂れ下がりがあるが、全体的に見てその垂れ下がり小さくなって本発明の効果を達成するに十分な程度の水平を保持することをいう。
【0025】
また、膜部材水平保持部材が耐熱伸縮性膜部材の垂れを防止して実質的に水平に保持し、水平方向に見て膜部材水平保持部材で耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定とするので、平坦かつ水平な下枠部材に置かれた薄板状被加工部材上に耐熱伸縮性膜部材を当接させると位置ずれが生ずることなく位置決めされる。耐熱伸縮性膜部材が被加工部材の上面に接触すると、膜部材水平保持部材の下端部も直接あるいは耐熱伸縮性膜部材を介して被加工部材の上面に接触する。
【0026】
膜部材水平保持部材は上方に耐熱伸縮性膜部材を下面が水平になるように懸架するが、例えば上部ヒータ板あるいは均熱板に対して耐熱伸縮性膜部材を懸架するように構成することができる。また、膜部材水平保持部材の耐熱伸縮性膜部材への取付け位置は、プレス加工の邪魔にならない位置とする。
【0027】
また、膜部材水平保持部材を複数列設け、各列に離間して複数の膜部材水平保持部材を配置するようにすることもできる。各列に離間して配置された複数の膜部材水平保持部材の下端部を所要の間隔にて非連続的としても良いし、あるいは連続して1列をなす態様としてもよい。膜部材水平保持部材は、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と、膜部材水平保持部材の下降範囲を規制する上端部とから構成し、上端部を上部ヒータ板に保持することができる。この場合、少なくとも耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に当接させた時に、上端部が上部ヒータ板あるいはその下方の均熱板の下面で係止されるように軸部の長さを設定すると、プレス成形時に耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に緊密かつ位置決めされた態様で押さえることができる。また、膜部材水平保持部材の上端部を上下方向に摺動自在にガイドし、水平方向には固定することもできる。
【0028】
膜部材水平保持部材の別な例としては、上下方向に撓まない格子状の剛性構造体を耐熱伸縮性膜部材のプレス面に対応する内面に直接あるいは間接的に取付ける態様としてもよい。この場合、少なくとも耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に当接させた時に、格子状構造体により耐熱伸縮性膜部材を被加工部材の上面に緊密かつ位置決めされた態様で押圧する構成を採用することが好ましい。
膜部材水平保持部材は、耐熱伸縮性膜部材を形成する際に一体成形するか、あるいは硬質樹脂や金属具のインサート成形、ねじ込み等により一体的に形成することができる。また、一体的に形成する際に固定するのではなく、内部に上下伸縮可能なスプリングを配置して膜部材水平保持部材を上下伸縮可能とすることもできる。
【0029】
(8)駆動装置
駆動装置は、下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で耐熱伸縮膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させるものである。下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材を上下動させる構成としても良いし、あるいは上部ヒータ板、上枠部材及び熱媒体を含む耐熱伸縮性膜部材を上下動させる構成としても良い。
【0030】
前者の場合には、シリンダ及びシリンダロッド等の機構で下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材を上下動し上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接、離間させる。後者の場合には、プレス上板を支柱の上部に固定し、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、プレス上板の上方に移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部をプレス上板を通って中間移動板に固定するよう構成し、上枠部材を上下動し上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接、離間させる。 上部ヒータ板及び下部ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかける方法としては、上下動させない上枠部材あるいは下枠部材をスプリングで支持し下枠部材あるいは上枠部材をさらに移動させて、耐熱伸縮性部材を外周半径方向に外方に広がるのを防止しつつ熱媒体に圧力をかけることができる。あるいは、スプリング構成に代えて、またはスプリング構成に加えて外部から熱媒体を熱媒体通路を通して供給して圧力をかけもよい。熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけることによって、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して平面化加工、パッケージ基板上に固定した薄型素子への保護シート被覆加工、エンボス加工等の凹凸または曲面化加工等の所定のホットプレス加工を行う。
【実施例1】
【0031】
以下に、本発明の具体的実施態様を図面に沿って説明するが、かかる実施例は本発明の例示に過ぎず、本発明は図示された実施態様に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0032】
図6乃至図7は、本発明のホットプレス加工装置の一実施態様を示す。図6において、基台1の上面にはレール2が設けられ、レール2上には横方向に移動可能とされたスライドテーブル3が配置され、下部ヒータ板4がスライドテーブル上にポストおよび断熱板を介して設置されている。下部ヒータ板4の上には均熱板5,6が配置され、均熱板5,6には図示するエア噴出通路7が設けられており、高圧空気を噴出させて後述するように被加工部材Wをプレス加工後下型部材8から剥して取出す。本実施態様では、下型部材8は交換可能部材とされ、凹部成形用貫通孔8aが設けられている。均熱板5の上面にはスプリング9を介して下枠部材10が配置され、下枠部材10は均熱板6および下型部材8の外周面に摺動可能に嵌合されている。均熱板6および下型部材8の断面形状は方形あるいは円形等とすることができ、下枠部材10の断面形状もそれらに対応して方形あるいは円環形状とすることができる。
【0033】
基台上の4隅には支柱11が立設され、支柱11の上端部にはプレス上板12がナットにより固定されている。プレス上板12の上面にはエアシリンダ13が固定されている。プレス上板12の下方には中間移動板14が支柱11に対して摺動自在に保持され、中間移動板14の上面にはエアシリンダ13のシリンダロッド15の下端部が固定され、中間移動板14はエアシリンダ13によって上下動可能とされている。シリンダ13の上方のSはシリンダロッドの下降範囲を規制するストッパである。中間移動板14の下面には、取付け板、放熱ポスト、断熱板を介して上部ヒータ板16が固定され、上部ヒータ板16の下面には均熱板17を介して上枠部材18が固定されている。図示するように、Oリングを用いて上枠部材18を均熱板17に対して液密としている。
【0034】
上枠部材18には耐熱伸縮性膜部材19が設けられている。耐熱伸縮性膜部材19の外周部は上枠部材18の内部にOリングにより液密に収容されており、膜部材19の外周側部は補強部19aとされている。膜部材19には、膜部材水平保持部材20が取付けられている。膜部材水平保持部材20は、軸部20aと、上端部20bと、下端部20c及び軸部20aの上部と上端部20bとを摺動可能に受ける固定部20dとからなり、下端部20cは膜部材19の内面に固定されている。このような構成により、膜部材水平保持部材20は平面的にみて略固定された位置を通り上下動可能となっているので、耐熱伸縮性膜部材を平面的にみて略固定された位置で支持し、その結果被加工部材の位置ずれを防止し位置決めを保持することが可能となる。膜部材水平保持部材20は2列に設けられている。膜部材水平保持部材20は2列に限らず、3列以上設けてもよい。膜部材水平保持部材の各列には複数個の膜部材水平保持部材20を設けてもよく、また各列に配列した複数個の膜部材水平保持部材20の下端部20cを連続して設けても良い。
【0035】
均熱板17には下面に一端が開口する開閉可能な熱媒体注入通路21が設けられ、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19で画成された空間には熱媒体Mが充填されている。熱媒体注入通路21の他端には熱媒体貯蔵容器及び熱媒体注入シリンダ(ともに図示せず)が取付けられている。本実施態様では、上枠部材18を下降して上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接する際に、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aが下枠部材10の内周面に摺動することによりプレス加工の過程で耐熱伸縮性膜部材19の外周半径方向の拡がりが防止されるようになっている。
【0036】
次に、図7(A)乃至図7(D)を参照して、本発明に係る第1の実施態様のホットプレス加工装置の動作を説明する。
まず、図7(A)に示す上昇位置から、エアシリンダ13を作動させて中間移動板14(図6参照)、上部ヒータ板16、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を下降させ、図7(B)に示すように、上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接し、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aを下枠部材10の内周面に摺接させ、耐熱伸縮性膜部材19を被加工部材の上面に当接し、被加工部材Wを下型部材8と耐熱伸縮性膜部材19との間に挟持する。この位置で、シリンダの作動バルブを途中で閉めることにより、シリンダロッド15の下降を一時的に停止する。そして、加熱された熱媒体Mによって被加工部材Wを予熱する。なお、下端部20cは膜部材を介して被加工部材Wの被加工部位以外の部分に当接している。
【0037】
図7(C)に示すように、さらに、熱媒体供給通路を閉じた状態で、エアシリンダ13により上枠部材18を下降するとスプリング9が収縮し下枠部材10が押し下げられ、一方膜部材水平保持部材20の軸部20aの上部と上端部20bとは固定部20dに沿って上方に摺動し、ストッパS(図6)によりシリンダロッド15の下降を停止させる。従って、ストッパSのストローク調整によりシリンダ13のシリンダロッド15の下降範囲を制限することができる。この時、膜部材水平保持部材20の上端部20bの上面は均熱板17の下面に当接固定させて、耐熱伸縮性膜部材を膜部材水平保持部材20の非加工部分を下端部20cで押さえるようにしてもよい。上述したように、ストッパSによりエアシリンダ13の下降が停止させられるまでの間に、耐熱伸縮性膜部材によって被加工部材Wに凹部が形成される。本実施態様では、ストッパSを設けて成形加工動作を途中で停止しているが、下型部材の凹部面に沿って成型加工をする場合にはストッパSによりエアシリンダの下降領域を制限する必要はない。
【0038】
被加工部材Wのホットプレス加工終了後、エアシリンダ13を駆動させて上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を上方に移動させ、エア噴出通路7から高圧空気を噴出することによって加工済部材を下型部材8から剥がす。その後、レール2に沿ってスライドテーブル3を横方向に移動させて、下部ヒータ板4、均熱板5,6、下型部材8、下枠部材10等をホットプレス加工装置外部に移動させて、加工済部材を取出し、新たな被加工部材Wを下型部材8の上面に置き、スライドテーブル3により下部ヒータ板4、均熱板5,6、下型部材8、下枠部材10等をホットプレス加工装置内部に移動させ、次のホットプレス工程を行う。
【0039】
図8(a)と図8(b)は、本発明のホットプレス加工装置の第2の実施態様を示す。第1の実施態様と第2の実施態様とは、第2の実施態様においては、膜部材水平保持部材20’の軸部20a’の上部と上端部20b’とが固定部20d’に固定されている点で異なる。したがって、膜部材水平保持部材20’は常時固定された位置にあり、耐熱伸縮性膜部材を固定された位置で支持している。
【0040】
図8(a)に示す上昇位置から、エアシリンダ13を作動させて中間移動板14(図6参照)、上部ヒータ板16、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を下降させ、図8(b)に示すように、上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接し、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aを下枠部材10の内周面に摺接し、被加工部材Wを下型部材8と耐熱伸縮性膜部材19との間に挟持する。この位置で、耐熱伸縮性膜部材19を介して膜部材水平保持部材20の下端部20cは被加工部材Wに当接、押圧し、耐熱伸縮性膜部材19を下型部材8に固定する。その後、被加工部材Wを加熱された熱媒体Mによって予熱し、熱媒体供給通路を開いた状態で、エアシリンダ13により上枠部材18をスプリング9に抗して収縮させ下枠部材10を押し下げることにより、耐熱伸縮性膜部材を介して熱媒体充填空間内の熱媒体により被加工部材Wに凹部を形成する。
【0041】
図9(A)乃至図9(D)は、本発明のホットプレス加工装置の第3の実施態様を示す。上面が曲面上(本実施態様では、上部の縁部が曲面状)とされたアクリル樹脂等からなる基材Aの上に被加工品Wを貼り合わせる場合に適合する。上述の実施態様と同じ構成部分については同一の符号を付け、その説明は省略する。本実施態様では、均熱板6の上面に凹部6aを設け、均熱板6の上方に成形ジグJを凹部6aに配置したスプリングSPを介して保持する。ジグJは周辺板状部J1と中央突出部J2とからなり、中央突出部J2の中央には基材Aを収容する角筒状貫通孔J3が設けられている。J1及びJ2の上面は実質的に水平となっている。基材Aを底面を均熱板6の上面に配置し、ジグJの貫通孔J3に嵌合すると、基材Aの上面はジグ中央突出部J2の上面より少し下方に位置し、基材Aの上面とジグ貫通孔J3とで画成される凹部に被加工品Wが位置決め配置される(図9(A)参照)。
【0042】
図9(A)に示す上昇位置から、エアシリンダを作動させて中間移動板14(図6参照)、上部ヒータ板16、均熱板17、上枠部材18と耐熱伸縮性膜部材19を下降させ、図9(B)に示すように、上枠部材18の下端部底面を下枠部材10の上端部上面に当接し、耐熱伸縮性膜部材19の外周側面の補強部19aを下枠部材10の内周面に摺接し、膜部材水平保持部材20の下端部20cを中央突出部J2の上面に膜部材19を介して当接し、一方被加工部材Wを基材Aと耐熱伸縮性膜部材19との間に挟持する。
【0043】
その後、被加工部材Wを加熱された熱媒体Mによって予熱し、図9(C)に示すようにエアシリンダをさらに作動させてスプリングSPに抗してジグJを押し下げることによって、被加工部材Wを基材Aの曲面状の上面に順次貼着する。貼付終了後、エアシリンダを逆方向に作動させ、エア噴出し通路7に圧縮空気を供給して基材Aと貼付け加工品を取り出す。図9(D)参照。本実施例は、例えば、上面が湾曲面状の成形物にフレキシブルなプリント配線板、湾曲可能な有機ELパネルあるいはタッチパネル等の薄板状被加工品を、均一な圧力で位置ずれを起すことなく、貼り合わせる場合に適用することができる。
【0044】
図10(a)乃至図10(c)は、膜部材水平保持部材20によって耐熱伸縮性膜部材19を保持する構成を説明する。膜部材水平保持部材20は2列設けられ、各列には3個の膜部材水平保持部材20が配置され、各列の膜部材水平保持部材20の下端部20cは連続して1列となっている。図10(a)に示すように、膜固定部30が均熱板17の下面に固定され、一方、耐熱伸縮性膜部材19の底面に立設した膜部材水平保持部材20は水平保持部材固定部材20d−1,20d−2,20d−3(断面L字状、凸状、逆L字状のもの)に挟持され連結金具MTによって挟持状態を保持されている。次に、耐熱伸縮性膜部材19の上端部を膜固定部30の外周に沿って均熱板の下面に当接し、水平保持部材固定部材20d−1,20d−2,20d−3を均熱板17にねじ止めし、最後に上枠部材18を膜部材の外周に嵌合し、耐熱伸縮性膜部材19の上端外周部を均熱板17との間に挟持し、均熱板17と上部ヒータ板16とにねじ止め固定する。それによって、耐熱伸縮性膜部材は膜部材水平保持部材20により上下摺動自在に保持される。
【0045】
図11(a)と図11(b)に、容器形状の耐熱伸縮性膜部材19の内部に膜部材水平保持部材20が3列設けられ、各列には3個の膜部材水平保持部材20が離間して配置された別の実施態様を示す。図11(a)は容器形状の耐熱伸縮性膜部材19の内部に膜部材水平保持部材20が設けられた斜視図であり、図11(b)は線A−Aで切断して見た断面図である。図中19aは補強リブである。膜部材水平保持部材20の下端部はナットとし膜部材形成時に膜部材の内面に埋め込み固定し、上端部の頭部つき軸部下端部をナットにねじ止めしている。
【0046】
図12、図13および図14は、膜部材水平保持部材の実施態様を示す。図12は膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部を膜部材に固着する例を示し、図13は膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部ナットを膜部材にインサート成形し、このナットにボルトを螺合する例を示す。図14は、上端部にかしめ蓋を取付けたスプリングの下端部を膜部材にインサート成形する例を示し、上端部のかしめ蓋を固定して熱媒体を耐熱伸縮性膜部材内部に注入した際に膜部材水平保持部材が伸びるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置及び方法は、以下の用途に用いることができ、産業上利用価値が非常に高いものである。
1.プリント配線基板の重ねずれのない積層貼合わせ
2.リジッドフレキ基板のシールドフィルムの凹凸形状の貼合わせ
3.凹凸形状、局面形状を呈する素子内蔵基板、パッケージ基板
等への保護フィルムの貼合わせ
4.印刷したフィルムに対する非印刷部分等の必要箇所のエンボ
ス成形、スピードゲージを印刷した自動車のスピードパネル
の成形等の印刷位置ズレ防止、
5.半導体などの取出し位置の正確さが要求されるパッケージ容
器の成形(精密三次元形成)
6.2層あるいはそれ以上の銅張積層板等からなる伸縮折り曲げ
可能な回路用基板シート積層体を局部に溝成形し貼合わせる
ことにより収縮折り曲げ可能なプリント配線基板の製造
8.上面が湾曲面状の携帯電話本体等の成形物にフレキシブルな
プリント配線板、湾曲可能な有機ELパネルあるいはタッチ
パネル等への薄板状被加工品の貼合加工
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】表面にうねりを生じた多層基板を示す斜視図である。
【図2】薄板状基材の所定の位置に半導体、コンデンサ、抵抗等の薄型素子を固定したパッケージ基板に熱硬化性接着剤付の保護シートを被覆する場合である。
【図3】無接着剤銅張積層板に用いられる銅板と液晶ポリイミドとを本発明によってホットプレスにより溝部形成加工と銅板と液晶ポリイミドとを接着加工する説明図である。
【図4】無接着剤銅張積層板に用いられる銅板と液晶ポリイミドとを本発明によってホットプレスにより凹部形成加工と銅板と液晶ポリイミドとを接着加工する素子収容用エンボス基板あるいは半導体収納用精密パッケージ容器を作成する説明図である。
【図5】自動車のメータパネルを成形するのに本発明を用いた例を示す。
【図6】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様を示す模式図である。
【図7A】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図7B】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図7C】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図7D】本発明のホットプレス加工装置の一実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図8】本発明のホットプレス加工装置の別の実施態様のホットプレス動作を説明する図である。
【図9A】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図9B】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図9C】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図9D】膜部材水平保持部材によって耐熱伸縮性膜部材を支持する構成を説明する斜視図である。
【図10】容器形状の耐熱伸縮性膜部材の内部に膜部材水平保持部材が3列設けられ、各列には3個の膜部材水平保持部材が離間して配置されたさらに別の実施態様をそれぞれ示す斜視図および断面図である。
【図11】耐熱伸縮性膜部材を形成する際に膜部材水平保持部材をシリコーンゴム等から一体的に成形される例を示す。
【図12】膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部を膜部材に固着する例を示す。
【図13】膜部材水平保持部材を硬質樹脂や金属具とし、下端部ナットを膜部材にインサート成形し、このナットにボルトを螺合する例を示す。
【図14】スプリングの下端部を膜部材にインサート成形し、上端部にかしめ蓋を取付けた例を示す。
【符号の説明】
【0049】
1・・・基台、2・・・レール、3・・・スライドテーブル、4・・・下部ヒータ板、5,6・・・均熱板、7・・・エア噴出通路、8・・・下型部材、8a・・・凹部成形用貫通孔、9・・・スプリング、10・・・下枠部材、11・・・支柱、12・・・プレス上板、13・・・エアシリンダ、14・・・中間移動板、15・・・シリンダロッド、16・・・上部ヒータ板、17・・・均熱板、18・・・上枠部材、19・・・耐熱伸縮性膜部材、19a・・・補強リブ、20・・・膜部材水平保持部材、20a・・・軸部、20b・・・上端部、20c・・・下端部、20d・・・固定部、21・・・熱媒体注入通路、30・・・膜固定部、A・・・基材、J・・・ジグ、M・・・熱媒体、S・・・ストッパ、SP・・・スプリング、W・・・被加工部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工装置であって、
(1)基台と、
(2)基台上面に断熱配置された下部ヒータ板と、
(3)下部ヒータ板上面に配置され平坦かつ水平な上面を有する下型部材と、
(4)基台上に立設され下型部材を取り囲む下枠部材と、
(5)下型部材の上面に置かれた被加工部材を取出す取出し手段と、
(6)基台上に立設された支柱と、
(7)支柱上部に固定されたプレス上板と、
(8)プレス上板の下面に断熱配置された上部ヒータ板と、
(9)上部ヒータ板の下面に配置され下端部底面が下枠部材の上端部上面に当接可能とされた上枠部材と、
(10)上枠部材の下端部に張られた耐熱伸縮性膜部材と、
(11)上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填された熱媒体と、
(12)熱媒体充填空間に熱媒体を供給・排出するための開閉可能な熱媒体通路と、
(13)耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持する膜部材水平保持部材であって、水平方向に見て耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられた膜部材水平保持部材と、
(14)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接・離間させる駆動装置とからなるホットプレス加工装置であって、
(15)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で耐熱伸縮性膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させ、上部ヒータ板及び下部ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行う、薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項2】
膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、上端部が上部ヒータ板に保持されている、請求項1に記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項3】
膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、膜部材水平保持部材の軸部及び/または上端部が水平方向に固定され上下方向には摺動自在に受け部に保持されている、請求項1に記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項4】
膜部材水平保持部材が複数列設けられ、各列に離間して複数の膜部材水平保持部材が配置され、各列に離間して配置された複数の膜部材水平保持部材の下端部が非連続的とされ、あるいは連続して1列をなす態様とされている、請求項1乃至3のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項5】
耐熱伸縮性膜部材が上枠部材の下端部底面から下方に突出し、下枠部材の内周面が下型部材の外周面を摺動可能とされ、下型部材と上枠部材とを相対移動させて上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させた際に、耐熱伸縮性膜部材の外周側面が下枠部材の内周面に当接することによって半径方向外方への伸張が防止される、請求項1乃至4のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項6】
下型部材には膜部材水平保持部材に対向しない箇所に上面開口の凹部あるいは貫通孔が設けられ、熱媒体に圧力をかけて耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して凹部形成加工を行う、請求項1乃至5のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項7】
下枠部材をスプリングを介して基台上に設置し、プレス上板を支柱の上部に固定し、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、プレス上板の上方に移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部をプレス上板を通って中間移動板に固定した、請求項1乃至6のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項8】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下部ヒータ板がスライドテーブル上に配置され、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブルをホットプレス加工装置本体の内部に出し入れすることによって、下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材をホットプレス加工装置本体の内部に出し入れして加工品を取出し、新たに被加工部材を装着した後ホットプレス加工装置本体の内部に配置することを可能とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項9】
薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工方法であって、平坦かつ水平な上面を有する下型部材の上面に薄板状被加工部材を配置し、下面を開口した熱媒体充填容器の下面部に垂れ防止して水平方向に位置ずれすることなく実質的に水平に保持した耐熱伸縮性膜部材の上方かつ熱媒体充填容器内に熱媒体を充填し、耐熱伸縮性膜部材の下面を実質的に水平に保持した状態で均一に被加工部材の上面に当接し、被加工部材を熱媒体並びに耐熱伸縮性膜部材及び下型部材を介して予熱し、その後熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行う、ホットプレス加工方法。
【請求項1】
薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工装置であって、
(1)基台と、
(2)基台上面に断熱配置された下部ヒータ板と、
(3)下部ヒータ板上面に配置され平坦かつ水平な上面を有する下型部材と、
(4)基台上に立設され下型部材を取り囲む下枠部材と、
(5)下型部材の上面に置かれた被加工部材を取出す取出し手段と、
(6)基台上に立設された支柱と、
(7)支柱上部に固定されたプレス上板と、
(8)プレス上板の下面に断熱配置された上部ヒータ板と、
(9)上部ヒータ板の下面に配置され下端部底面が下枠部材の上端部上面に当接可能とされた上枠部材と、
(10)上枠部材の下端部に張られた耐熱伸縮性膜部材と、
(11)上部ヒータ板と上枠部材と耐熱伸縮性膜部材とで画成された熱媒体充填空間に充填された熱媒体と、
(12)熱媒体充填空間に熱媒体を供給・排出するための開閉可能な熱媒体通路と、
(13)耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持する膜部材水平保持部材であって、水平方向に見て耐熱伸縮性膜部材を保持する位置がほぼ一定となるよう取付けられた膜部材水平保持部材と、
(14)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接・離間させる駆動装置とからなるホットプレス加工装置であって、
(15)下型部材と上枠部材とを相対移動させ、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で耐熱伸縮性膜部材の下面を下型部材上の被加工部材の上面に当接させ、上部ヒータ板及び下部ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行う、薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項2】
膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、上端部が上部ヒータ板に保持されている、請求項1に記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項3】
膜部材水平保持部材が、耐熱伸縮性膜部材に取付けられた下端部と、下端部から上方に延びる軸部と軸部上方の上端部とからなり、膜部材水平保持部材の軸部及び/または上端部が水平方向に固定され上下方向には摺動自在に受け部に保持されている、請求項1に記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項4】
膜部材水平保持部材が複数列設けられ、各列に離間して複数の膜部材水平保持部材が配置され、各列に離間して配置された複数の膜部材水平保持部材の下端部が非連続的とされ、あるいは連続して1列をなす態様とされている、請求項1乃至3のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項5】
耐熱伸縮性膜部材が上枠部材の下端部底面から下方に突出し、下枠部材の内周面が下型部材の外周面を摺動可能とされ、下型部材と上枠部材とを相対移動させて上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させた際に、耐熱伸縮性膜部材の外周側面が下枠部材の内周面に当接することによって半径方向外方への伸張が防止される、請求項1乃至4のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項6】
下型部材には膜部材水平保持部材に対向しない箇所に上面開口の凹部あるいは貫通孔が設けられ、熱媒体に圧力をかけて耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して凹部形成加工を行う、請求項1乃至5のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項7】
下枠部材をスプリングを介して基台上に設置し、プレス上板を支柱の上部に固定し、プレス上板の下方に支柱に対して摺動可能に中間移動板を設け、中間移動板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、プレス上板の上方に移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部をプレス上板を通って中間移動板に固定した、請求項1乃至6のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項8】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下部ヒータ板がスライドテーブル上に配置され、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブルをホットプレス加工装置本体の内部に出し入れすることによって、下部ヒータ板、下枠部材及び下型部材をホットプレス加工装置本体の内部に出し入れして加工品を取出し、新たに被加工部材を装着した後ホットプレス加工装置本体の内部に配置することを可能とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置。
【請求項9】
薄板状被加工部材をホットプレス加工するためのホットプレス加工方法であって、平坦かつ水平な上面を有する下型部材の上面に薄板状被加工部材を配置し、下面を開口した熱媒体充填容器の下面部に垂れ防止して水平方向に位置ずれすることなく実質的に水平に保持した耐熱伸縮性膜部材の上方かつ熱媒体充填容器内に熱媒体を充填し、耐熱伸縮性膜部材の下面を実質的に水平に保持した状態で均一に被加工部材の上面に当接し、被加工部材を熱媒体並びに耐熱伸縮性膜部材及び下型部材を介して予熱し、その後熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により被加工部材に対して所定のホットプレス加工を行う、ホットプレス加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(A)】
【図7(B)】
【図7(C)】
【図7(D)】
【図8】
【図9(A)】
【図9(B)】
【図9(C)】
【図9(D)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(A)】
【図7(B)】
【図7(C)】
【図7(D)】
【図8】
【図9(A)】
【図9(B)】
【図9(C)】
【図9(D)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−142862(P2009−142862A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323592(P2007−323592)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【特許番号】特許第4176817号(P4176817)
【特許公報発行日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(391020665)ミカドテクノス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【特許番号】特許第4176817号(P4176817)
【特許公報発行日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(391020665)ミカドテクノス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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