薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置
【課題】0.8mmを超えない薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えることができて孔明けを行うことができる薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置を提供すること。
【解決手段】薄板金属用孔明け装置1は、油圧ラム等により昇降される上型ホルダ2と、上型ホルダ2に固着された押圧板3と、上型ホルダ2に弾性部材4を介して吊り下げられている押圧パッド5と、押圧パッド5にボルト6等を介して固着されたパンチユニットとして構成されたパンチホルダ7と、孔明け加工が施される薄肉の薄板金属8が載置される下型9と、下型9に埋設されたダイス10とを具備している。
【解決手段】薄板金属用孔明け装置1は、油圧ラム等により昇降される上型ホルダ2と、上型ホルダ2に固着された押圧板3と、上型ホルダ2に弾性部材4を介して吊り下げられている押圧パッド5と、押圧パッド5にボルト6等を介して固着されたパンチユニットとして構成されたパンチホルダ7と、孔明け加工が施される薄肉の薄板金属8が載置される下型9と、下型9に埋設されたダイス10とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−262263号公報
【特許文献2】特開2002−153920号公報
【0003】
ダイスの孔径よりも小さい外径を有した円柱状のパンチ本体とこのパンチ本体の一方の端面に一体的に形成された円錐形の突起とを有したパンチを薄板金属に押し付け、パンチの突起により薄板金属に先行して突き破り孔を明け、突き破り孔に挿入された突起で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチ本体をダイスの円孔に、当該ダイスの円孔の開口から挿入することによりパンチ本体と協同してダイスの円孔の一端を規定するダイスの内周面の円環状縁の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようにした孔明け装置が提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斯かる孔明け装置によれば、突起でもって薄板金属を位置決めし、しかも、剪断力よりも主として引っ張り力をパンチ本体とダイスとにより薄板金属に加えてパンチ本体とダイスとの間で薄板金属を引き千切ってパンチ本体の外周面形状に相当した貫通孔を形成するために、バリを生じさせることなく正確に貫通孔を薄板金属に形成できるのであるが、例えば、板厚が0.8mm以上の薄板金属の場合には、引っ張り(引き千切り)力による切断よりも剪断力による切断が主となる結果、剪断による大きなバリが貫通孔の周りの薄板金属の一方の面に生じてしまう虞がある。
【0005】
したがって、特許文献1及び2において提案されている孔明け装置は、0.8mmを超えない板厚の薄板金属に対しては極めて有効であるが、0.8mm以上の板厚の薄板金属の場合には、大きな(高さの高い)バリの発生の虞という点で未だ十分に満足できるものではない。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、0.8mmを超えない薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えることができて孔明けを行うことができる薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による薄板金属孔明け用のダイスは、孔明けすべき薄板金属に対面する端面と、この端面で開口すると共にこの端面での開口からパンチが挿入される貫通孔と、この貫通孔を規定する内周面とを具備しており、端面と内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している。
【0008】
斯かる薄板金属孔明け用のダイスによれば、端面と内周面との互いの連接が鋭角θをもってなされているために、言い換えると、ダイスの刃先である端面と内周面との互いの連接部が鋭角θをもっているために、パンチとの協働で薄板金属に孔明けを行う際に、鋭角θをもった端面と内周面との互いの連接部で薄板金属に極めて大きな集中応力を発生させることができる結果、薄板金属の伸びを極力抑えて、薄板金属を端面と内周面との互いの連接部で切断でき、而して、0.8mmを超えない板厚の薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の板厚の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えることができて孔明けを行うことができる。
【0009】
好ましい例では、端面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、内周面は、パンチの軸心と平行に伸びており、傾斜して伸びた端面と平行に伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接しており、他の好ましい例では、端面は、パンチの軸心に対して直交して伸びており、内周面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、直交して伸びた端面と傾斜して伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している。
【0010】
鋭角θは、できるだけ小さければよいのであるが、あまり小さいと、機械的強度が低下して刃先の早期の劣化、損傷が生じる虞があり、斯かる観点から、好ましくは、45°〜87°であり、より好ましくは、65°〜85°であり、更により好ましくは、75°〜83°である。
【0011】
孔明けされた薄板金属の孔形状となる開口は、円形に限らないのであって、楕円形、長円形、三角形、正方形及び長方形を含む矩形、多角形又はその他の形状であってもよく、正方形及び長方形を含む矩形及び多角形等の角部を有する形状の場合には、角部を適宜に丸み付けしてもよい。
【0012】
本発明の薄板金属用孔明け装置は、上記のいずれかの態様のダイスと、ダイスの貫通孔に挿入されるパンチとを具備しており、パンチは、軸心に平行に伸びた筒面を有した柱状のパンチ本体と、ダイスの貫通孔への挿入側のパンチ本体の一方の端面に一体的に設けられている突起とを具備しており、突起が設けられているパンチ本体の一方の端面は、突起の底面を囲繞していると共に軸心に直交して伸びた環状面と、この環状面の環状外縁から筒面の環状縁まで伸びる湾曲面とを具備しており、鋭角θをもって互いに連接しているダイスの端面及び内周面とパンチ本体の湾曲面との協働で薄板金属に孔明けを行うようになっている。
【0013】
本発明のダイス及びこのダイスを用いた本発明の薄板金属用孔明け装置は、板厚が0.8mmを超える薄板金属の孔明けに用いられるものに限らないのであって、板厚が0.8mm以下の薄板金属の孔明けに用いられてもよく、斯かる薄板金属の孔明けに用いられると、従来のものに比較して、バリのない極めて満足し得る孔明けされた薄板金属を製造できる。
【0014】
本発明において、パンチの湾曲面は、バリの原因となる剪断の効果を減じて薄板金属をより良好に引っ張り破断させるために、好ましくは、0.1mmから5mmの曲率半径Rをもっているとよい。
【0015】
貫通孔を規定するダイスの内周面に対する刃先の部位でのパンチ本体のクリアランスとしての差は、薄板金属の厚みをtとすると、0.15t以上であって、2mm以下であればよい。
【0016】
本発明の薄板金属用孔明け装置によって孔明けされる薄板金属は、良好な結果を得るには、その板厚が0.4mmから2.0mm程度のものであるが、より良好な結果を得るには、その板厚が0.6mmから1.6mm程度のものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、0.8mmを超えない薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えることができて孔明けを行うことができる薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0019】
図1から図5において、本例の薄板金属用孔明け装置1は、油圧ラム等により昇降される上型ホルダ2と、上型ホルダ2に固着された押圧板3と、上型ホルダ2に弾性部材4を介して吊り下げられている押圧パッド5と、押圧パッド5にボルト6等を介して固着されたパンチユニットとして構成されたパンチホルダ7と、孔明け加工が施される薄肉の薄板金属8が載置される下型9と、下型9に埋設されたダイス10とを具備している。
【0020】
パンチホルダ7は、押圧パッド5にボルト6等を介して固着された円筒状のケース11と、ケース11に上下方向に摺動自在に装着された円筒状のスライダ12と、スライダ12内に上下方向に摺動自在に装着されたパンチ13と、スライダ12内に配されていると共にパンチ13を介してスライダ12を上方向に弾性的に付勢してパンチ13及びスライダ12を初期位置に復帰させるコイルばね14を具備した復帰手段と、パンチ13の上下方向の移動を案内するようにケース11に設けられた滑り案内部材15とを具備している。
【0021】
スライダ12は、凹所21を具備しており、コイルばね14の弾性力によってケース11から抜け出さないように、ケース11に固着された抜け止めピン22に凹所21において係合するようになっており、上型ホルダ2の下降において押圧板3により下方に押圧されるようになっている。
【0022】
薄板金属8の孔明け用のパンチ13は、円柱状のパンチ本体25と、パンチ本体25の一方の端面である円形端面26に一体的に設けられた突起27と、パンチ本体25の他方の端面である円形端面28に一体的に設けられた鍔29とを具備している。
【0023】
パンチ本体25は、軸心31に平行に伸びた筒面としての円筒面32と、軸心31に直交して伸びた円環状面33と、円環状面33の外縁から円筒面32の外縁まで伸びる湾曲面34とを具備しており、パンチ本体25の直径D1(=2×r1)は、1mmから25mm、1mmから10mm又は1mmから5mmの範囲であり、湾曲面34の曲率半径r2は、0.1mmから5mmの範囲である。
【0024】
突起27は、パンチ本体25の一方の円形端面26に、当該円形端面26と同心に配されていると共に当該円形端面26の直径D1よりも小さな直径D3(=2×r3)を有する円形底面41及び円形頂面42をもって当該円形底面41で一体的に設けられた高さhの円柱状部43と、円柱状部43の円形頂面42に、当該円形頂面42と同心に配されていると共に当該円形頂面42の直径D3と同じ直径を有する円形底面44をもって当該円形底面44で一体的に設けられた円錐状部45とを具備しており、円柱状部43の円形底面41は、パンチ本体25の円環状面33で囲繞されている。
【0025】
以上のパンチ13において、パンチ本体25の半径をr1(=D1×1/2)、湾曲面34の曲率半径をr2、円柱状部43の半径をr3(=D3×1/2)、円柱状部43の高さをh、孔明けすべき薄板金属8の板厚をtとした場合、r3<r1−r2であって、h>t+r3である。
【0026】
コイルばね14は、一端では鍔29に他端では滑り案内部材15のフランジ部51に当接しており、滑り案内部材15は、フランジ部51に加えてフランジ部51と一体であると共にケース11の孔52において当該ケース11に嵌装されている円筒部53を有しており、円筒部53の内周面においてパンチ13のパンチ本体25の下端部を摺動自在に案内支持している。
【0027】
ダイス10は、孔明けすべき薄板金属8に対面する環状の端面60と、端面60で開口すると共に端面60での開口61からパンチ13のパンチ本体25が挿入される貫通孔としての円孔62と、円孔62を規定する内周面63と、円孔62と連続していると共に円孔62よりも大径であってパンチ屑64(図9参照)を排出する円孔65と、円筒状の外周面66とを有している。
【0028】
截頭円錐外面となる端面60は、パンチ13の軸心31に対して傾斜して伸びており、円筒面となる内周面63は、パンチ13の軸心31と平行に伸びており、傾斜して伸びた端面60と平行に伸びた内周面63とは、円孔62の端面60での開口61において鋭角θをもって互いに連接しており、而して、ダイス10は、開口61において鋭角θの刃先67を有することになる。
【0029】
円形端面26の直径D1に対する円孔62の直径D4の比D1/D4は0.80以上であって、孔明けすべき薄板金属8の厚みをtとすると、円形端面26の半径r1(=D1×1/2)とダイス10の円孔62の半径r4(=D4×1/2)との差(クリアランス)fは0.15t以上であって2mm以下であり、ダイス10は、外周面66で下型9に嵌着されて埋設されている。
【0030】
以上の孔明け装置1では、上型ホルダ2の下降と共に押圧板3、押圧パッド5及びパンチホルダ7が下降されると、下型9に載置された薄板金属8が押圧パッド5により押圧されて下型9と押圧パッド5との間に挟まれて固定されると共にスライダ12が押圧板3に押され、スライダ12の押下と共にパンチ13が下降され、パンチ13の下降で、図6に示すように突起27の円錐状部45により、そして続いて円柱状部43により薄板金属8に突き破り孔71が明けられ、突き破り孔71に挿入された突起27の円柱状部43で薄板金属8の移動が規制された状態で図7に示すように更にパンチ13が下降されてダイス10の円孔62にパンチ13のパンチ本体25が挿入されると、円形端面26の円環状面33に接触した薄板金属8が当該円環状面33に押されてパンチ本体25の下降と共に下降され、この下降において、円形端面26の湾曲面34とダイス10の刃先67とでその間にある薄板金属8が引っ張られて伸ばされて、その後、ダイス10の刃先67側で薄板金属8は、図8に示すように剪断と共に引き千切られて破断され、薄板金属8のダイス10の刃先67側での破断後、図9に示すようにパンチ13は上昇される一方、パンチ屑64は円孔65を通って排出され、こうして薄板金属8には貫通孔72が形成される。
【0031】
ところで、ダイス10では、端面60と内周面63との互いの連接が鋭角θをもってなされているために、言い換えると、ダイス10の刃先67が鋭角θをもっているために、パンチ13のパンチ本体25との協働で薄板金属8に孔明けを行う際に、鋭角θをもった端面60と内周面63との互いの連接部で薄板金属8に極めて大きな集中応力を発生させる結果、刃先67近傍の薄板金属8の伸びを極力抑えて、薄板金属8を端面60と内周面63との互いの連接部で精確に切断でき、而して、0.8mmを超えない板厚の薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の板厚の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えて孔明けを行うことができる。
【0032】
しかも、鋭角θをもって互いに連接している端面60及び内周面63と湾曲面34との協働で薄板金属8に孔明けを行うようになっている孔明け装置1では、突起27がパンチ本体25の一方の円環状面33に円形底面41及び円形頂面42をもって一体的に設けられた円柱状部43を有しているために、突起27の円錐状部45の先端の円錐角を十分な強度及び耐久性を得られるように大きくすると共に突起27による突き破り孔71の形成後における突き破り孔71からの突起27の抜け出しを防止するように突起27の全体を高くしても、突起27の円柱状部43の円形底面41を囲繞していると共に軸心31に直交して伸びた円環状面33を十分な広さをもってパンチ本体25の円形端面26に確保でき、而して、パンチ本体25と協働してダイス10の刃先67周りで薄板金属8を確実に破断させて薄板金属8に貫通孔72を精度よく形成でき、その上、湾曲面34が0.1mmから5mmの曲率半径r2をもっているために、ここでのバリの原因となる剪断の効果を減じて薄板金属8をより良好に引っ張り破断させることができ、加えて、比D1/D4が0.80以上であって、差fが0.15t以上であるために、多少の剪断に加えて主に引っ張り破断を生じさせて効果的に薄板金属8に貫通孔72を形成することができる。
【0033】
傾斜した端面60をもっているダイス10によれば、更に、薄板金属8の形状に対応させて端面60を加工する必要がないので、コスト低減を図り得る。
【0034】
孔明け装置1では、パンチ13を上下動させて貫通孔72を形成したが、パンチ13を斜めに移動させて薄板金属8の傾斜部に貫通孔72を形成するようにしてもよい。
【0035】
上記のダイス10では、鋭角θをもった刃先67をパンチ13の軸心31に対して傾斜して伸びた端面60で具体化したが、これに代えて又はこれと共に図10に示すように、内周面63をパンチ13の軸心31に対して傾斜して伸ばして截頭円錐内面とし、端面60と内周面63とを円孔62の端面60での開口61において鋭角θをもって互いに連接させてもよく、この場合、端面60をパンチ13の軸心31に対して直交して伸びていてもよい。
【0036】
開口61は、上記の例では、円形であるが、これに代えて、例えば図11に示すように、角部が丸み付けられた四角形であっても、図12に示すように、長円形であっても、その他の楕円形、三角形、矩形、多角形であってもよい。
【0037】
また、上記の例のダイス10では、円孔65を円孔62に連続して形成したが、例えば図13に示すように、円孔62と円孔65との間に、円孔62の径よりも少しだけ小径であると共に円孔62と同心であってパンチ本体25の径よりも大径の円孔75を介在させて、貫通孔72の形成後のパンチ13の下降においてパンチ屑64を円孔75まで押し出し、パンチ屑64の円孔75までの押し出し後のパンチ13の上昇において、パンチ屑64が円孔75を規定するダイス10の内周面76に引っ掛かってパンチ13に引き連られて上昇しないで確実に円孔65に排出されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態の好ましい一例の断面図である。
【図2】図1に示す例に用いたパンチの一部の説明図である。
【図3】図2に示すパンチの正面図である。
【図4】図1に示す例に用いたパンチとダイスとの説明図である。
【図5】図1に示す例に用いたダイスの正面図である。
【図6】図1に示す例の動作説明図である。
【図7】図1に示す例の動作説明図である。
【図8】図1に示す例の動作説明図である。
【図9】図1に示す例の動作説明図である。
【図10】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の正面図である。
【図13】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 薄板金属用孔明け装置
2 上型ホルダ
3 押圧板
4 弾性部材
5 押圧パッド
6 ボルト
7 パンチホルダ
8 薄板金属
9 下型
10 ダイス
13 パンチ
25 パンチ本体
60 端面
61 開口
62 円孔
63 内周面
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−262263号公報
【特許文献2】特開2002−153920号公報
【0003】
ダイスの孔径よりも小さい外径を有した円柱状のパンチ本体とこのパンチ本体の一方の端面に一体的に形成された円錐形の突起とを有したパンチを薄板金属に押し付け、パンチの突起により薄板金属に先行して突き破り孔を明け、突き破り孔に挿入された突起で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチ本体をダイスの円孔に、当該ダイスの円孔の開口から挿入することによりパンチ本体と協同してダイスの円孔の一端を規定するダイスの内周面の円環状縁の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようにした孔明け装置が提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斯かる孔明け装置によれば、突起でもって薄板金属を位置決めし、しかも、剪断力よりも主として引っ張り力をパンチ本体とダイスとにより薄板金属に加えてパンチ本体とダイスとの間で薄板金属を引き千切ってパンチ本体の外周面形状に相当した貫通孔を形成するために、バリを生じさせることなく正確に貫通孔を薄板金属に形成できるのであるが、例えば、板厚が0.8mm以上の薄板金属の場合には、引っ張り(引き千切り)力による切断よりも剪断力による切断が主となる結果、剪断による大きなバリが貫通孔の周りの薄板金属の一方の面に生じてしまう虞がある。
【0005】
したがって、特許文献1及び2において提案されている孔明け装置は、0.8mmを超えない板厚の薄板金属に対しては極めて有効であるが、0.8mm以上の板厚の薄板金属の場合には、大きな(高さの高い)バリの発生の虞という点で未だ十分に満足できるものではない。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、0.8mmを超えない薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えることができて孔明けを行うことができる薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による薄板金属孔明け用のダイスは、孔明けすべき薄板金属に対面する端面と、この端面で開口すると共にこの端面での開口からパンチが挿入される貫通孔と、この貫通孔を規定する内周面とを具備しており、端面と内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している。
【0008】
斯かる薄板金属孔明け用のダイスによれば、端面と内周面との互いの連接が鋭角θをもってなされているために、言い換えると、ダイスの刃先である端面と内周面との互いの連接部が鋭角θをもっているために、パンチとの協働で薄板金属に孔明けを行う際に、鋭角θをもった端面と内周面との互いの連接部で薄板金属に極めて大きな集中応力を発生させることができる結果、薄板金属の伸びを極力抑えて、薄板金属を端面と内周面との互いの連接部で切断でき、而して、0.8mmを超えない板厚の薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の板厚の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えることができて孔明けを行うことができる。
【0009】
好ましい例では、端面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、内周面は、パンチの軸心と平行に伸びており、傾斜して伸びた端面と平行に伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接しており、他の好ましい例では、端面は、パンチの軸心に対して直交して伸びており、内周面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、直交して伸びた端面と傾斜して伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している。
【0010】
鋭角θは、できるだけ小さければよいのであるが、あまり小さいと、機械的強度が低下して刃先の早期の劣化、損傷が生じる虞があり、斯かる観点から、好ましくは、45°〜87°であり、より好ましくは、65°〜85°であり、更により好ましくは、75°〜83°である。
【0011】
孔明けされた薄板金属の孔形状となる開口は、円形に限らないのであって、楕円形、長円形、三角形、正方形及び長方形を含む矩形、多角形又はその他の形状であってもよく、正方形及び長方形を含む矩形及び多角形等の角部を有する形状の場合には、角部を適宜に丸み付けしてもよい。
【0012】
本発明の薄板金属用孔明け装置は、上記のいずれかの態様のダイスと、ダイスの貫通孔に挿入されるパンチとを具備しており、パンチは、軸心に平行に伸びた筒面を有した柱状のパンチ本体と、ダイスの貫通孔への挿入側のパンチ本体の一方の端面に一体的に設けられている突起とを具備しており、突起が設けられているパンチ本体の一方の端面は、突起の底面を囲繞していると共に軸心に直交して伸びた環状面と、この環状面の環状外縁から筒面の環状縁まで伸びる湾曲面とを具備しており、鋭角θをもって互いに連接しているダイスの端面及び内周面とパンチ本体の湾曲面との協働で薄板金属に孔明けを行うようになっている。
【0013】
本発明のダイス及びこのダイスを用いた本発明の薄板金属用孔明け装置は、板厚が0.8mmを超える薄板金属の孔明けに用いられるものに限らないのであって、板厚が0.8mm以下の薄板金属の孔明けに用いられてもよく、斯かる薄板金属の孔明けに用いられると、従来のものに比較して、バリのない極めて満足し得る孔明けされた薄板金属を製造できる。
【0014】
本発明において、パンチの湾曲面は、バリの原因となる剪断の効果を減じて薄板金属をより良好に引っ張り破断させるために、好ましくは、0.1mmから5mmの曲率半径Rをもっているとよい。
【0015】
貫通孔を規定するダイスの内周面に対する刃先の部位でのパンチ本体のクリアランスとしての差は、薄板金属の厚みをtとすると、0.15t以上であって、2mm以下であればよい。
【0016】
本発明の薄板金属用孔明け装置によって孔明けされる薄板金属は、良好な結果を得るには、その板厚が0.4mmから2.0mm程度のものであるが、より良好な結果を得るには、その板厚が0.6mmから1.6mm程度のものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、0.8mmを超えない薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えることができて孔明けを行うことができる薄板金属孔明け用のダイス及びこのダイスを具備した薄板金属用孔明け装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0019】
図1から図5において、本例の薄板金属用孔明け装置1は、油圧ラム等により昇降される上型ホルダ2と、上型ホルダ2に固着された押圧板3と、上型ホルダ2に弾性部材4を介して吊り下げられている押圧パッド5と、押圧パッド5にボルト6等を介して固着されたパンチユニットとして構成されたパンチホルダ7と、孔明け加工が施される薄肉の薄板金属8が載置される下型9と、下型9に埋設されたダイス10とを具備している。
【0020】
パンチホルダ7は、押圧パッド5にボルト6等を介して固着された円筒状のケース11と、ケース11に上下方向に摺動自在に装着された円筒状のスライダ12と、スライダ12内に上下方向に摺動自在に装着されたパンチ13と、スライダ12内に配されていると共にパンチ13を介してスライダ12を上方向に弾性的に付勢してパンチ13及びスライダ12を初期位置に復帰させるコイルばね14を具備した復帰手段と、パンチ13の上下方向の移動を案内するようにケース11に設けられた滑り案内部材15とを具備している。
【0021】
スライダ12は、凹所21を具備しており、コイルばね14の弾性力によってケース11から抜け出さないように、ケース11に固着された抜け止めピン22に凹所21において係合するようになっており、上型ホルダ2の下降において押圧板3により下方に押圧されるようになっている。
【0022】
薄板金属8の孔明け用のパンチ13は、円柱状のパンチ本体25と、パンチ本体25の一方の端面である円形端面26に一体的に設けられた突起27と、パンチ本体25の他方の端面である円形端面28に一体的に設けられた鍔29とを具備している。
【0023】
パンチ本体25は、軸心31に平行に伸びた筒面としての円筒面32と、軸心31に直交して伸びた円環状面33と、円環状面33の外縁から円筒面32の外縁まで伸びる湾曲面34とを具備しており、パンチ本体25の直径D1(=2×r1)は、1mmから25mm、1mmから10mm又は1mmから5mmの範囲であり、湾曲面34の曲率半径r2は、0.1mmから5mmの範囲である。
【0024】
突起27は、パンチ本体25の一方の円形端面26に、当該円形端面26と同心に配されていると共に当該円形端面26の直径D1よりも小さな直径D3(=2×r3)を有する円形底面41及び円形頂面42をもって当該円形底面41で一体的に設けられた高さhの円柱状部43と、円柱状部43の円形頂面42に、当該円形頂面42と同心に配されていると共に当該円形頂面42の直径D3と同じ直径を有する円形底面44をもって当該円形底面44で一体的に設けられた円錐状部45とを具備しており、円柱状部43の円形底面41は、パンチ本体25の円環状面33で囲繞されている。
【0025】
以上のパンチ13において、パンチ本体25の半径をr1(=D1×1/2)、湾曲面34の曲率半径をr2、円柱状部43の半径をr3(=D3×1/2)、円柱状部43の高さをh、孔明けすべき薄板金属8の板厚をtとした場合、r3<r1−r2であって、h>t+r3である。
【0026】
コイルばね14は、一端では鍔29に他端では滑り案内部材15のフランジ部51に当接しており、滑り案内部材15は、フランジ部51に加えてフランジ部51と一体であると共にケース11の孔52において当該ケース11に嵌装されている円筒部53を有しており、円筒部53の内周面においてパンチ13のパンチ本体25の下端部を摺動自在に案内支持している。
【0027】
ダイス10は、孔明けすべき薄板金属8に対面する環状の端面60と、端面60で開口すると共に端面60での開口61からパンチ13のパンチ本体25が挿入される貫通孔としての円孔62と、円孔62を規定する内周面63と、円孔62と連続していると共に円孔62よりも大径であってパンチ屑64(図9参照)を排出する円孔65と、円筒状の外周面66とを有している。
【0028】
截頭円錐外面となる端面60は、パンチ13の軸心31に対して傾斜して伸びており、円筒面となる内周面63は、パンチ13の軸心31と平行に伸びており、傾斜して伸びた端面60と平行に伸びた内周面63とは、円孔62の端面60での開口61において鋭角θをもって互いに連接しており、而して、ダイス10は、開口61において鋭角θの刃先67を有することになる。
【0029】
円形端面26の直径D1に対する円孔62の直径D4の比D1/D4は0.80以上であって、孔明けすべき薄板金属8の厚みをtとすると、円形端面26の半径r1(=D1×1/2)とダイス10の円孔62の半径r4(=D4×1/2)との差(クリアランス)fは0.15t以上であって2mm以下であり、ダイス10は、外周面66で下型9に嵌着されて埋設されている。
【0030】
以上の孔明け装置1では、上型ホルダ2の下降と共に押圧板3、押圧パッド5及びパンチホルダ7が下降されると、下型9に載置された薄板金属8が押圧パッド5により押圧されて下型9と押圧パッド5との間に挟まれて固定されると共にスライダ12が押圧板3に押され、スライダ12の押下と共にパンチ13が下降され、パンチ13の下降で、図6に示すように突起27の円錐状部45により、そして続いて円柱状部43により薄板金属8に突き破り孔71が明けられ、突き破り孔71に挿入された突起27の円柱状部43で薄板金属8の移動が規制された状態で図7に示すように更にパンチ13が下降されてダイス10の円孔62にパンチ13のパンチ本体25が挿入されると、円形端面26の円環状面33に接触した薄板金属8が当該円環状面33に押されてパンチ本体25の下降と共に下降され、この下降において、円形端面26の湾曲面34とダイス10の刃先67とでその間にある薄板金属8が引っ張られて伸ばされて、その後、ダイス10の刃先67側で薄板金属8は、図8に示すように剪断と共に引き千切られて破断され、薄板金属8のダイス10の刃先67側での破断後、図9に示すようにパンチ13は上昇される一方、パンチ屑64は円孔65を通って排出され、こうして薄板金属8には貫通孔72が形成される。
【0031】
ところで、ダイス10では、端面60と内周面63との互いの連接が鋭角θをもってなされているために、言い換えると、ダイス10の刃先67が鋭角θをもっているために、パンチ13のパンチ本体25との協働で薄板金属8に孔明けを行う際に、鋭角θをもった端面60と内周面63との互いの連接部で薄板金属8に極めて大きな集中応力を発生させる結果、刃先67近傍の薄板金属8の伸びを極力抑えて、薄板金属8を端面60と内周面63との互いの連接部で精確に切断でき、而して、0.8mmを超えない板厚の薄板金属は勿論のこと、0.8mm以上の板厚の薄板金属に対してもバリの発生を十分に抑えて孔明けを行うことができる。
【0032】
しかも、鋭角θをもって互いに連接している端面60及び内周面63と湾曲面34との協働で薄板金属8に孔明けを行うようになっている孔明け装置1では、突起27がパンチ本体25の一方の円環状面33に円形底面41及び円形頂面42をもって一体的に設けられた円柱状部43を有しているために、突起27の円錐状部45の先端の円錐角を十分な強度及び耐久性を得られるように大きくすると共に突起27による突き破り孔71の形成後における突き破り孔71からの突起27の抜け出しを防止するように突起27の全体を高くしても、突起27の円柱状部43の円形底面41を囲繞していると共に軸心31に直交して伸びた円環状面33を十分な広さをもってパンチ本体25の円形端面26に確保でき、而して、パンチ本体25と協働してダイス10の刃先67周りで薄板金属8を確実に破断させて薄板金属8に貫通孔72を精度よく形成でき、その上、湾曲面34が0.1mmから5mmの曲率半径r2をもっているために、ここでのバリの原因となる剪断の効果を減じて薄板金属8をより良好に引っ張り破断させることができ、加えて、比D1/D4が0.80以上であって、差fが0.15t以上であるために、多少の剪断に加えて主に引っ張り破断を生じさせて効果的に薄板金属8に貫通孔72を形成することができる。
【0033】
傾斜した端面60をもっているダイス10によれば、更に、薄板金属8の形状に対応させて端面60を加工する必要がないので、コスト低減を図り得る。
【0034】
孔明け装置1では、パンチ13を上下動させて貫通孔72を形成したが、パンチ13を斜めに移動させて薄板金属8の傾斜部に貫通孔72を形成するようにしてもよい。
【0035】
上記のダイス10では、鋭角θをもった刃先67をパンチ13の軸心31に対して傾斜して伸びた端面60で具体化したが、これに代えて又はこれと共に図10に示すように、内周面63をパンチ13の軸心31に対して傾斜して伸ばして截頭円錐内面とし、端面60と内周面63とを円孔62の端面60での開口61において鋭角θをもって互いに連接させてもよく、この場合、端面60をパンチ13の軸心31に対して直交して伸びていてもよい。
【0036】
開口61は、上記の例では、円形であるが、これに代えて、例えば図11に示すように、角部が丸み付けられた四角形であっても、図12に示すように、長円形であっても、その他の楕円形、三角形、矩形、多角形であってもよい。
【0037】
また、上記の例のダイス10では、円孔65を円孔62に連続して形成したが、例えば図13に示すように、円孔62と円孔65との間に、円孔62の径よりも少しだけ小径であると共に円孔62と同心であってパンチ本体25の径よりも大径の円孔75を介在させて、貫通孔72の形成後のパンチ13の下降においてパンチ屑64を円孔75まで押し出し、パンチ屑64の円孔75までの押し出し後のパンチ13の上昇において、パンチ屑64が円孔75を規定するダイス10の内周面76に引っ掛かってパンチ13に引き連られて上昇しないで確実に円孔65に排出されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態の好ましい一例の断面図である。
【図2】図1に示す例に用いたパンチの一部の説明図である。
【図3】図2に示すパンチの正面図である。
【図4】図1に示す例に用いたパンチとダイスとの説明図である。
【図5】図1に示す例に用いたダイスの正面図である。
【図6】図1に示す例の動作説明図である。
【図7】図1に示す例の動作説明図である。
【図8】図1に示す例の動作説明図である。
【図9】図1に示す例の動作説明図である。
【図10】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の正面図である。
【図13】本発明の実施の形態の好ましいダイスの他の例の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 薄板金属用孔明け装置
2 上型ホルダ
3 押圧板
4 弾性部材
5 押圧パッド
6 ボルト
7 パンチホルダ
8 薄板金属
9 下型
10 ダイス
13 パンチ
25 パンチ本体
60 端面
61 開口
62 円孔
63 内周面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔明けすべき薄板金属に対面する端面と、この端面で開口すると共にこの端面での開口からパンチが挿入される貫通孔と、この貫通孔を規定する内周面とを具備しており、端面と内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項2】
端面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、内周面は、パンチの軸心と平行に伸びており、傾斜して伸びた端面と平行に伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している請求項1に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項3】
端面は、パンチの軸心に対して直交して伸びており、内周面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、直交して伸びた端面と傾斜して伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している請求項1又は2に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項4】
鋭角θは、45°〜87°である請求項1から3のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項5】
鋭角θは、65°〜85°である請求項1から3のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項6】
鋭角θは、75°〜83°である請求項1から3のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項7】
開口は、円形、楕円形、長円形、三角形、矩形、多角形である請求項1から6のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のダイスと、ダイスの貫通孔に挿入されるパンチとを具備しており、パンチは、軸心に平行に伸びた筒面を有した柱状のパンチ本体と、ダイスの貫通孔への挿入側のパンチ本体の一方の端面に一体的に設けられている突起とを具備しており、突起が設けられているパンチ本体の一方の端面は、突起の底面を囲繞していると共に軸心に直交して伸びた環状面と、この環状面の環状外縁から筒面の環状縁まで伸びる湾曲面とを具備しており、鋭角θをもって互いに連接しているダイスの端面及び内周面とパンチ本体の湾曲面との協働で薄板金属に孔明けを行うようになっている薄板金属用孔明け装置。
【請求項1】
孔明けすべき薄板金属に対面する端面と、この端面で開口すると共にこの端面での開口からパンチが挿入される貫通孔と、この貫通孔を規定する内周面とを具備しており、端面と内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項2】
端面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、内周面は、パンチの軸心と平行に伸びており、傾斜して伸びた端面と平行に伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している請求項1に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項3】
端面は、パンチの軸心に対して直交して伸びており、内周面は、パンチの軸心に対して傾斜して伸びており、直交して伸びた端面と傾斜して伸びた内周面とは、貫通孔の端面での開口において鋭角θをもって互いに連接している請求項1又は2に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項4】
鋭角θは、45°〜87°である請求項1から3のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項5】
鋭角θは、65°〜85°である請求項1から3のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項6】
鋭角θは、75°〜83°である請求項1から3のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項7】
開口は、円形、楕円形、長円形、三角形、矩形、多角形である請求項1から6のいずれか一項に記載の薄板金属孔明け用のダイス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のダイスと、ダイスの貫通孔に挿入されるパンチとを具備しており、パンチは、軸心に平行に伸びた筒面を有した柱状のパンチ本体と、ダイスの貫通孔への挿入側のパンチ本体の一方の端面に一体的に設けられている突起とを具備しており、突起が設けられているパンチ本体の一方の端面は、突起の底面を囲繞していると共に軸心に直交して伸びた環状面と、この環状面の環状外縁から筒面の環状縁まで伸びる湾曲面とを具備しており、鋭角θをもって互いに連接しているダイスの端面及び内周面とパンチ本体の湾曲面との協働で薄板金属に孔明けを行うようになっている薄板金属用孔明け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−290088(P2008−290088A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136049(P2007−136049)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(500583726)株式会社ワンズ (9)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(500583726)株式会社ワンズ (9)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
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