薄片状の物質を投与するためのディスペンサー
本発明は、薄片状の物質(1)を投与するためのディスペンサーであって、ハウジング(2,2′)を有しており、該ハウジング(2,2′)が、薄片状の物質(1)のスタック(4)を貯蔵するための中空室(3,3′)を有しており、前記ハウジング(2,2′)は、薄片状の物質(1)のための取り出し開口(5,5′)を形成していて、該取り出し開口(5,5′)は、蓋(6,6′)によって開放可能、かつ再び閉鎖可能であり、前記蓋(6,6′)はハウジング(2,2′)に接続され、かつ取り出しアーム(7,7′)に接続されており、該取り出しアーム(7,7′)が蓋(6,6′)と共に、薄片状の物質(1)を搬送するために可動である形式のものに関する。本発明の課題は、個別の薄片状の物質をハウジング内部から、蓋を運動させるだけによって、汚染されることなく、確実に送り出すことができるディスペンサーを提供することである。この課題は、本発明によれば、前記取り出しアーム(7,7′)が弾性的にプリロードをかけられていて、前記取り出し開口(5,5′)の閉じた状態において前記取り出しアーム(7,7′)が薄片状の物質(1)のスタック(4)から間隔を保つように、前記取り出しアーム(7,7′)がハウジング(2,2′)内に支承されていることによって、解決された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄片状の物質を投与するためのディスペンサーであって、ハウジングを有しており、該ハウジングが、薄片状の物質のスタックを貯蔵するための中空室を有しており、前記ハウジングは、薄片状の物質のための取り出し開口を形成していて、該取り出し開口は、蓋によって開放可能、かつ再び閉鎖可能であり、前記蓋はハウジングに接続され、かつ取り出しアームに接続されており、該取り出しアームが蓋と共に、薄片状の物質を搬送するために可動である形式のものに関する。
【0002】
従来技術によれば、薄片状の物質を収容し、かつ投与するための前記のような形式のディスペンサーが公知である。薄片状の物質は、多くの場合、経口投与又はその他の形式で投与するための、飲食可能な水溶性の薄片である。薄片状の物質は、医薬品、食品、お菓子、化粧品又は衛生用品として構成されたものが公知である。薄片状の物質は、しばしば規則的な短冊状に前もって切断され、ハウジング内に積み重ねられたスタックとして貯蔵される。
【0003】
薄片状の物質は、一般的に取り出し開口を通じてハウジングから取り出される。しかしながらこの場合、取り出し開口は、しばしば比較的小さので、薄片状の物質を取り出すのは困難である。
【0004】
以上のような背景から、米国特許出願第2005/0092763号明細書によれば、蓋をずらすことによって開放されるようになっているディスペンサーが開示されている。薄片状の物質は、隆起部によって取り出し開口に向かって押しやられることによって、取り出すことができるようになっている。
【0005】
薄片状の物質は、湿気に対して比較的敏感なフィルム状の水溶性の薄片である。この場合、特に薄片状の物質は短時間で湿気を吸収し、この際に分解しかつ互いに接着する、という問題がある。
【0006】
湿気に対してシールされたディスペンサーは、国際公開第2005/051822号明細書に記載されている。このディスペンサーは、ハウジングの閉じた状態で薄片状の物質のスタック上に載る取り出しアームを有している。しかしながら、この場合、敏感な薄片状の物質は互いに押し付けられ、互いに接着することになる。
【0007】
さらに、取り出し開口内に人間の身体が侵入すると、ハウジング内に残る薄片状の物質を汚染する、という問題がある。特に、前記ディスペンサーに医薬品が収容されている場合、ディスペンサーの別の使用者に病原菌が移されることがある。
【0008】
このような問題は、米国特許出願第2005/0274733号明細書に開示された、薄片状の物質をスライドさせることによってハウジングから取り出すディスペンサーにおいてみられる。このために、ディスペンサーは取り出しアームを有しており、この取り出しアームは、ハウジングの閉じた状態において薄片状の物質のスタック上に載っている。これによって、薄片状の物質は互いに押し付けられ、互いに接着することになる。
【0009】
ドイツ連邦共和国実用新案登録第20119188号明細書並びに国際公開第2004/024593号明細書により公知のディスペンサーによれば、薄片状の物質が人間の手の力を加えることによって送り出すようになっている。取り出しアームは手の力によって、薄片状の物質を送り出すために薄片状の物質に押し付けられる。この場合、2枚又はそれ以上の薄片状の物質が送り出されることがないように、手によって加えられる力を非常に正確に調節しなければならない。このような問題は特に、薄片状の物質が互いに接着する場合に、発生する。
【0010】
従って、ハウジングの開放時に、薄片状の物質を間違いなく確実に個別に投与することができるようなディスペンサーが要求されている。この場合、使用者の手指がハウジング内に又は薄片状の物質に達することなしに、手に与えるか又は直接経口投与できなければならない。このようなディスペンサーに関する要求は、医療において特に医薬品を投与する際に存在する。
【0011】
そこで本発明の課題は、冒頭に述べた形式のディスペンサーを改良して、蓋を動かすだけでハウジングの中から、薄片状の物質を個別に汚染されることなく確実に提供することができるようなものを提供することである。
【0012】
この課題は本発明によれば、請求項1に記載した特徴を有するディスペンサーによって解決された。
【0013】
本発明の請求項1によれば、冒頭に述べた形式のディスペンサーは、取り出しアームが弾性的にプリロードをかけられていて、取り出し開口の閉じた状態において前記取り出しアームがスタックから間隔を保つように、前記取り出しアームがハウジング内に支承されていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、まず第1に、手指をハウジングの内部に入れる必要なしに、薄片状の物質をハウジングの内部から取り出し開口を通して取り出すことができるように、取り出しアームを使用できる。また、弾性的なプリロード下にある取り出しアームは、薄片若しくは個別の薄片状の物質をスタックから確実に個別に取り出して、取り出し開口に送ることができるように、所定の押圧力を加えることができる。また、取り出しアーム及びひいては薄片状の物質を動かすために、手指は蓋に触れるだけでよい。従ってハウジングの内部が汚染されることはない。そして、スタックから間隔を保って位置する取り出しアームは、薄片状の物質を押し付けることはなく、従って薄片状の物質が接着することは避けられる。以上のように、汚染されることがなく、しかも薄片状の物質を個別にディスペンサーの取り出し開口へ確実に送ることができるディスペンサーが提供された。
【0015】
取り出しアームは、取り出し開口の閉じた状態において、スタックから間隔を保つためにスペーサホルダ上に載っている。これによって、取り出しアームが、ハウジングの閉じた状態で薄片状の物質に押圧力を加えることはない。薄片状の物質は互いに押圧されることはなく、従って互いに接着することはない。
【0016】
取り出しアームは、取り出し開口の開放時に、薄片状の物質をスタックから連行して取り出し開口へ搬送する搬送ストロークを実施する。このような構成によって、薄片状の物質は、蓋を操作するだけでハウジングの内部から取り出し開口へもたらされ、しかも薄片状の物質が部分的に取り出し開口から突き出るようになっている。従って、ディスペンサーを操作する作業員は、ハウジングの中空室内に残存する薄片状の物質を汚染することなく、取り出し開口から突き出た薄片状の物質を指によって掴むことができる。
【0017】
このために、取り出しアームは、搬送ストローク中に少なくとも部分的にガイド軌道の下を通るようになっている。取り出しアームが、斜面状のガイド軌道の下を通ることによって、取り出しアームは、丸味を付けられた隆起部状の接触面で以て、スタックの最上位にある薄片状の物質に接触し、この薄片状の物質を取り出し開口へ連行することができる。
【0018】
取り出しアームは、蓋の所定の開放位置において、ガイド軌道の始端部に当接させるために、係止部の下を通過するようになっている。このような構成によって、取り出しアームは、弾性的に変形可能な係止部の下をくぐり抜け、係止部は弾性的に変形した後に、取り出しアームの端部から停止位置(非作用位置)に向かって下方にジャンプする。これによって、取り出しアームは、既に進んだ搬送ストロークを戻ることはない。係止部は、取り出しアームに対して既に進んだ搬送ストロークをしゃ断する。このような構成において、弾性的に変形可能な係止部は、逆止弁と同じように機能する。係止部の下を走行した後、取り出しアームは、斜面状のガイド軌道の始端部に当接する。
【0019】
取り出しアームは、取り出し開口の閉鎖時に、薄片状の物質のスタックを無接触で通過するように、ハウジング内においてガイド軌道に沿って滑動するようになっている。蓋の閉鎖時には、取り出しアームは、斜面状のガイド軌道上をガイドされ、蓋の開口時に取り出しアームが通る経路の上側に存在する経路に沿って移動する。斜面状のガイド軌道上をガイドされることによって、取り出しアームは、薄片状の物質のスタックから間隔を保っていて、この薄片状の物質のスタックに接触することはない。これによって、取り出しアームが、ハウジング内に残存する薄片状の物質を押しずらし、圧縮し、折り畳み又はしわくちゃにすることは避けられる。
【0020】
前記ガイド軌道は、ハウジング内に係止された構成部材に形成された斜面として構成されている。この構成部材は、ハウジングとは別個に製作され、ハウジング内に堅固に係止される。これによって、ハウジングとは無関係に、種々異なる傾斜勾配及び長さを有するガイド軌道を形成することができる。特に、前記構成部材は、ハウジングの材料とは異なる材料より製作することができる。具体的には、前記構成部材は、乾燥剤を含んでいるか、又は乾燥剤化合物より製作することが考えられる。乾燥剤は、ハウジング内に侵入した液体を吸収する。この構成部材はトレイとも称呼される。
【0021】
取り出しアームは、取り出し開口を閉鎖する際に、その弾性的なプリロードに基づいてガイド軌道の始端部からスペーサホルダへジャンプし、この際にハウジングのカバーを閉鎖する。それによって蓋は押圧され、ハウジングに気密に引き寄せられる。弾性的に変形可能な取り出しアームは、蓋をハウジングに気密に引き寄せるために利用される戻し力を発揮する。
【0022】
従って、取り出しアームは弾性的に変形可能な部材として構成されており、該変形可能な部材の両側からサイドアームが突き出している。取り出しアームは、弾性的に変形可能な部材として構成されていることによって、開放及び閉鎖過程時にフレキシブルかつリバーシブルに曲げることができる。このために、蓋の開閉時に取り出しアームを湾曲させる湾曲補助手段を、ハウジング内に設けることができる。両サイドから突き出しサイドアームによって、取り出しアームを湾曲させながらガイド軌道に沿ってガイドすることができる。この場合、サイドアームはガイド軌道に沿ってガイドされ、取り出しアームの基幹部が、移動せしめられる蓋の引っ張り力又は押し力をサイドアームに伝達する。
【0023】
蓋及び取り出しアームは、一体的に構成されていてよく、蓋は緊締カムを介してハウジングに接続されている。緊締カムが設けられていることによって、蓋を別個に構成し、かつハウジングに堅固に結合することができる。取り出しアームに一体的に構成された蓋は、ハウジングよりも柔軟な材料より成っている。これによって、蓋はハウジングに押し付ける際に、非常に良好なシール作用を発揮する。蓋を、特に2成分射出成形によって、2つの成分より製造することも考えられる。
【0024】
緊締カムは、剛性部分と一体的に構成することができ、この剛性部分に、蓋がフィルムヒンジを介して旋回可能にヒンジ結合されている。このような構成によって、取り出しアームは、蓋の開閉時(つまりフィルムヒンジを中心にした旋回時)に、湾曲補助手段によってガイドされて蓋の湾曲軌道に沿って移動する。
【0025】
また、蓋が、取り出し開口の開閉時に平行移動を行うようにすることも考えられる。この場合、蓋は、引き出しのように、ハウジングから引き出されか又はハウジング内に押し込まれる。このように構成されたディスペンサーは、非常にフラットに、かつコンパクトに構成される、という特徴を有している。
【0026】
蓋は、取り出し開口に向いた側に環状のシールを有している。このシールによって、取り出し開口は、蓋の閉じた状態において湿気に対して又は空気に対して気密に閉鎖可能である。このような構成のディスペンサーは、湿気に弱い医薬品、化粧品、経口投与可能な香料又は衛生用品を収容することができる。ディスペンサーは、口の中で湿気によって短時間で溶解するが、ディスペンサー内では長期間貯蔵しておくことができる作用物質を収容することができる。このために、ディスペンサー内に乾燥剤を入れておくことができる。
【0027】
シールは、長円形シールとして構成することができる。長円形シールは、凸状の隆起部を有しており、該隆起部は、凹状に構成された溝内に係止されるか又はスナップ式に係合する。長円形シールによって、蓋は力を加えるだけでハウジングから解除される。長円形シールは、薄く平面状に構成されているのではなく、ハウジングの内部に延在するように構成されている。
【0028】
ディスペンサーは、3つの部分、つまりそれぞれ別個の射出成形される3つの個別部分よりなっていてよい。このような構成によって、ディスペンサーは、簡単に構成することができ、しかも、互いに係止させるか又は押し付けるだけでよい、少数の個別部から構成することができる。
【0029】
以上のような構成のディスペンサーは、例えば爪の汚れ落とし剤、食品補助剤、香水、睡眠薬、調味料、避妊薬、ホルモン剤、食欲抑制剤、経口投与可能な香料、及び運動選手のための電解液を収容することができる。
【0030】
また、ディスペンサーは、液滴状の肌の手入れ剤、特に日焼け止めクリームを収容するために、使用することができる。ディスペンサーは、石けん、化粧品、紙特に名刺、又は家庭用品を収容するために使用することもできる。
【0031】
以上述べたディスペンサーは、ディスペンサーのハウジング内に積み重ねて収容することができる、すべての薄い薄片を収容し、かつ提供することができる。薄片は、有利には幅が23mmで、長さが28mmである。
【0032】
以上述べたディスペンサーは、高いコンパクト性を特徴としていて、例えばズボンのポケット又はハンドバックに入れるのに適している。またこのディスペンサーは取り扱いが簡単である。何故ならば、蓋を開けるだけで薄片状の物質を提供することができるからである。
【0033】
錠剤を飲み込むことができない人に、薄片状の物質を経口投与することができる。このディスペンサーは、幼児及び老人のために、非常に良好な経口投与を可能にする。薄片状の物質は、粘膜による作用物質の迅速な搬送を可能にする。この場合、ディスペンサーにチャイルドセーフティーを設けることも考えられる。
【0034】
以上述べたディスペンサーは、安価な投与の可能性を提供し、65mgまでの作用物質を運ぶことができる。
【0035】
本発明のその他の目的、特徴、利点及び使用可能性は、図示の実施例を用いて以下に記載されている。以下に説明した及び/又は図示したすべての特徴は、単独でも又は任意の組み合わせでも、個別の請求項の要約又はその引用関係とは無関係に、本発明の対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】湾曲されたハウジングを備えた閉じたディスペンサーの断面図である。
【図2】蓋が開放されている状態の、図1に示したハウジングの断面図である。
【図3】蓋が閉鎖運動を行っている状態の、図1に示したハウジングの断面図である。
【図4】図1に示したディスペンサーの、上部と下部とから成るハウジングの斜視図である。
【図5】取り出しアーム及び、該取り出しアームに一体的に結合された蓋の斜視図である。
【図6】ガイド軌道を有し、図4に示したハウジングの下部と係止可能である構成部分の斜視図である。
【図7】図1に示したディスペンサーの分解図における、図4及び図5の3つの詳細部分の斜視図である。
【図8】開放した蓋を備えた、図1に示したディスペンサーの斜視図である。
【図9】図1に示した閉じたディスペンサーを異なる3方向から見た図である。
【図10】閉じたディスペンサーの側面図であって、該ディスペンサーの蓋が平行移動運動(つまり軸方向の運動)によって可動である。
【図11】開放した蓋を有する、図10に示したディスペンサーの断面図である。
【図12】図10に示したディスペンサーを形成する3つの個別部分の斜視図である。
【図13】図10に示したディスペンサーのハウジングに不動に係止されている構成部分の斜視図である。
【図14】図10に示したディスペンサーの蓋の斜視図である。
【図15】図10に示したディスペンサーを異なる3方向から見た図である。
【0037】
図1〜図15では、それぞれのディスペンサーのそれぞれ同じ部材は同じ符号で示されている。
【0038】
図1は、薄片状の物質1を投与するためのディスペンサーを示す。このディスペンサーは、ハウジング2を有していて、該ハウジング2が、薄片状の物質1のスタック(積み重ね)4を貯蔵するための中空室3を有しており、またハウジング2は、薄片状の物質1のための取り出し開口5を形成しており、この取り出し開口5は蓋6によって開放可能であり、かつ再び閉鎖可能である。この場合、蓋6はハウジング2に接続されている。蓋6は、取り出しアーム7に接続されており、該取り出しアーム7は、蓋6と協働して薄片状の物質1を取り出すために可動である。取り出しアーム7は、弾性的にプリロード(予備荷重)がかけられていて、ハウジング2の閉じた状態若しくは取り出し開口5の閉じた状態でスタック4に対して間隔を保っている。
【0039】
取り出しアーム7は、蓋6の閉じた状態において、スタック4に対して間隔を保つためにスペーサホルダ8上に載っている。スペーサホルダ8は間隔維持斜面として構成されている。蓋6には、蓋6を掴むためのグリップ9が形成されている。
【0040】
図2は、開放した蓋6を備えた、図1に示したディスペンサーの断面図を示す。取り出しアーム7は、蓋6の開放時に、薄片状の物質1をスタック4から連行して取り出し開口5へ搬送する搬送ストロークを行う。蓋6の開放時に取り出しアーム7によって取り出し開口5まで送られた薄片状の物質1は、取り出し開口5から突き出して、手指によって掴むことができる。取り出しアーム7は、手指が取り出し開口5内に入り込むのを防止するように、蓋6にヒンジ結合されている。
【0041】
搬送ストローク中に、取り出しアーム7は少なくとも部分的に湾曲しながら、ガイド軌道10の下、つまりガイド軌道10の、スタック4に向いた側に移行する。蓋6が所定の程度だけ開放すると、取り出しアーム7は係止部11の下を通って、ガイド軌道10の始端部12に当接する。
【0042】
図3は、蓋6が閉鎖運動を実施する際の、図1に示したディスペンサーの断面図を示す。蓋6の閉鎖時には、取り出しアーム7は、薄片状の物質1のスタック4を無接触で通過し、このスタック4上を間隔を保って移動する。取り出しアーム7は、第1の湾曲補助手段13及びガイド軌道10によって、弾性的なプリロードを受けて湾曲せしめられる。
【0043】
ガイド軌道10は斜面として構成されていて、ハウジング2内に係止する構成部材14上に取り付けられている。構成部材14は、トレイとも称呼される。
【0044】
取り出しアーム7は、蓋6の閉鎖時に、その湾曲及び弾性的なプリロードに基づいて、ガイド軌道10の終端部15からスペーサホルダ8に向かってジャンプし、この際に、蓋6がハウジング2を閉鎖する。取り出しアーム7は、第2の湾曲補助手段16によって、スペーサホルダ8へ向かって下方へ移動せしめられる。
【0045】
蓋6は、取り出し開口5の開閉時に旋回運動を実施する。蓋6の開放時に、弾性的に変形可能な取り出しアーム7は、第1の湾曲補助手段13及び第3の湾曲補助手段17によって湾曲せしめられる。この場合、第3の湾曲補助手段17は、取り出しアーム7をストッパ18へ移動させる。蓋6の閉鎖時に、弾性的に変形可能な取り出しアーム7は、第1の湾曲補助手段13及び斜面状のガイド軌道10によって湾曲せしめられる。第2の湾曲補助手段16は、弾性的なプリロード下にある取り出しアーム7を、蓋6の閉鎖時にスペーサホルダ8に向けて湾曲させる。ストッパ18は、弾性的な取り出しアーム7が、蓋6の開放時に所定の取り出し位置を越えてハウジング2から突き出すのを阻止する。
【0046】
図4は、図1〜図3に示したディスペンサーのハウジング2の斜視図を示す。ハウジング2は、プラスチック射出成形により形成されていて、上部2aと下部2bとから成っている。上部2aと下部2bとは、フィルムヒンジとして構成された接続ウエブ19によって、互いに旋回可能にヒンジ結合されている。上部2aには取り出し開口5が形成されており、該取り出し開口5を通って取り出しアーム7を貫通させることができる。上部2aはさらに、第1の湾曲補助手段13を有しており、該第1の湾曲補助手段13は、ほぼL字形、U字形又はフック状の湾曲された舌片として構成されている。この場合、舌片の端部は取り出し開口5の方向に突き出している。また、上部2aの両側に、構成部材14を保持するための2つのホルダ2c,2dが形成されている。
【0047】
下部2bには第3の湾曲補助手段17が形成されている。この第3の湾曲補助手段17にストッパ18が続いている。第3の湾曲補助手段17及びストッパ18は、下部2bの両側に配置されている。さらに、下部2bには、間隔保持斜面として構成されたスペーサホルダ8が形成されている。スペーサホルダ8は、それぞれ異なって湾曲された2つの傾斜段部を備えた2段状の間隔保持斜面として構成されている。
【0048】
下部2bには薄片ガイド31が形成されている。薄片ガイド31は、斜面状に構成されていて、薄片状の物質1を取り出し開口5に向かってガイドする。下部2bにはさらに両側にウエブ状の突起2eが形成されており、これらの突起2e上に構成部材14が載せられるようになっている。ハウジング2は、スライダなしで射出成形型から離型することができるように、構成されている。
【0049】
図5は、取り出しアーム7と一体的に構成された蓋6の斜視図を示す。取り出しアーム7は、両側にサイドアーム20,21が突き出している、弾性的に変形可能な部材として構成されている。サイドアーム20,21は、取り出しアーム7の端部から突き出している。蓋6は、緊締カム(突起)23を介してハウジング2に緊締されている。具体的には、4つの緊締カム23が、これらの緊締カム23のための、上部2aに設けられた4つの受容部24内に係合するようになっている。従って、蓋6は、ハウジング2の上部2aと堅固に結合されている。緊締カム23は、剛性部分25と一体的に構成されており、該剛性部分25に、蓋6がフィルムヒンジ26を介して旋回可能にヒンジ結合されている。
【0050】
蓋6は、取り出し開口5に向いた側に環状に延在するシール27を有している。このシール27は、長円形のシールとして構成されている。取り出しアーム7は基幹部28を有しており、該基幹部28は、第1の湾曲補助手段13及び第3の湾曲補助手段17によって弾性的に変形せしめられ、湾曲せしめられる。第2の湾曲補助手段16は、取り出しアーム7の端部22(この端部22からサイドアーム20,21が突き出している)をスペーサホルダ8に向かって押しやる。サイドアーム20,21は、斜面状のガイド軌道10に沿ってガイドされる。
【0051】
取り出しアーム7は、その端部22に、隆起部状に湾曲した接触面32を有しており、該接触面32は、取り出しアーム7が、薄片状の物質1を連行する際に、薄片状の物質1と接触する。
【0052】
蓋6を2成分射出成形によって製造するか又は、異なる成分より成る2分割で製造することも考えられる。
【0053】
図6は、構成部分14を示しており、この構成部分14は、凹部として構成された係止切欠29によってハウジング2の下部2bに係止される。この構成部分14はさらに、フォーク状のセンタリング補助手段30を有しており、このセンタリング補助手段30は、ハウジング2の下部2bに設けられたウエブ状の突起2eを把持する。係止切欠29とセンタリング補助手段30とは、構成部材14の2つの側に形成されている。構成部材14はさらに、斜面状のガイド軌道10を有していて、このガイド軌道10に沿って、取り出しアーム7のサイドアーム20,21がガイドされる。ガイド軌道10の一部は係止部11であって、この係止部11は、弾性的に変形可能な舌片として構成されている。係止部11は、ガイド軌道10の始端部12を有しており、この始端部12を介して取り出しアーム7のサイドアーム20,21がガイド軌道10に沿ってガイドされる。サイドアーム20,21がこのようにガイドされることによって、取り出しアーム7は無接触でスタック4の傍らを通過せしめられるようになっている。構成部材14にはさらに、第2の湾曲補助手段16が形成されており、該湾曲補助手段16は、取り出しアーム7の端部22(この端部22からサイドアーム20,21が突き出している)を、スペーサホルダ8に向かって押しやる。
【0054】
図7は、図1に示したディスペンサーを構成する3つの構成部分を分解した斜視図を示す。ディスペンサーを製造するために、プラスチックから射出成形された構成部材14としてのトレイが、ハウジング2の下部2b内に係止せしめられる。このトレイ14上において下部2bは、板状の物質1で満たされる。次いで、蓋6が緊締カム23によって上部2a内に押し込まれる。
【0055】
取り出しアーム7はプリロードがかけられた状態で組み付けられ、それによって取り出しアーム7は、薄片状の物質1を取り出して送るために十分な圧力を、薄片状の物質1に作用させることができる。蓋6を取り付ける際に、取り出しアーム7はガイド軌道10に載せられる。
【0056】
次いで、上部2aが下部2bに接続される。この組立段階において、取り出しアーム7がガイド軌道10から滑り落ちないように注意しなければならない。この組立段階を実施する際に、取り出しアーム7がスペーサホルダ8に向かってジャンプする。所望であれば、互いに当接し合う滑らかな接合面を超音波溶接又は摩擦溶接することによって、或いは接着することによって、上部2aを下部2bと堅牢に接続することができる。
【0057】
ディスペンサーが組立完成されると、薄片状の物質1を取り出し準備が完了する。薄片状の物質1の取り出し終了毎に、取り出しアーム7は、蓋6が閉鎖する際にスペーサホルダ8に跳ね戻り、蓋6が開放されると、新たに取り出し作業を開始する。取り出しアーム7の弾性的なプリロード(このプリロードによって取り出しアーム7はスタック4に接触する))は、取り出しアーム7が、スタック4上に残っている薄片状の物質1をより確実に取り出し開口5に送るように、選定されている。
【0058】
図8は、開放された蓋6を有するディスペンサーの斜視図を示す。取り出し開口5から、薄片状の物質1が突き出している。取り出しアーム7は、手指がハウジング2内に入り込むのを防止するように、取り出し開口5に侵入する。これによって、ハウジング2内の薄片状の物質1の汚染は効果的に避けられる。蓋6の長円形シール27は、ハウジング2を、大気に対して液密に、かつ気密にシールする。
【0059】
図9は、図1に示した閉じたディスペンサーを異なる3方向から見た図である。図9の左上は、ハウジング2の長手方向軸線の方向で蓋6を見た図を示す。図9の右上は、ディスペンサーの側面図を示す。図9の右下は、ディスペンサーの蓋6の平面図である。
【0060】
図10は、薄片状の物質1を投与するためのディスペンサーの別の実施例を示す。この別の実施例によるディスペンサーは、ハウジング2′を有しており、該ハウジング2′は、薄片状の物質1のスタック4を貯蔵するための中空室3′を有しており、ハウジング2′は、薄片状の物質1のための取り出し開口5′を形成しており、この取り出し開口5′は、蓋6′によって開放可能、かつ再び閉鎖可能であり、この場合、蓋6′はハウジング2′に結合されている。蓋6′は取り出しアーム7′に接続されており、該取り出しアーム7′は蓋6′と共に、薄片状の物質1を搬送するために可動である。取り出しアーム7′は、弾性的にプリロードをかけられていて、ハウジング2′若しくは取り出し開口5′の閉じた状態でスタック4から間隔を保って配置されるように、ハウジング2′内に支承されている。
【0061】
取り出しアーム7′は、蓋6′の閉じた状態でスタック4から間隔を保ってスペーサホルダ8′上に位置している。取り出しアーム7′の、丸味を付けられた隆起部状の接触面32′は、スタック4に接触しない。
【0062】
図11は、蓋6′が開放されている状態の、図10に示したディスペンサーを示す。取り出しアーム7′は、蓋6′の開放時に、薄片状の物質1をスタック4から連行して取り出し開口5′に搬送するための搬送ストロークを実施する。薄片状の物質1は、取り出し開口5′から突き出るので、手指によって掴むことができる。この際に、薄片状の物質1は薄片ガイド31′上に載る。この薄片ガイド31′は、真っ直ぐな区分と湾曲した区分とを有している。薄片ガイド31′の湾曲した区分は、薄片状の物質1を取り出し開口5′から上方へ突き出し、それによって薄片状の物質1は手指によって簡単に掴むことができる。
【0063】
取り出しアーム7′は、蓋6′の開放時に、薄片状の物質1をスタック4から連行して取り出し開口5′へ搬送するための搬送ストロークを行う。この際に、弾性的なプリロード下にある取り出しアーム7′は、搬送ストローク中に、少なくとも部分的にガイド軌道10′の下側を移動し、取り出しアーム7′の接触面32′で以て、スタック4の最上位にある薄片状の物質1に接触する。
【0064】
蓋6′の所定の開放位置において、取り出しアーム7′は、舌片状の弾性的な係止部11′の下側を走行し、それによって取り出しアーム10′の始端部12′に当接する。取り出しアーム7′は、ガイド軌道10′の下側を走行する際に、その接触面32′が弾性的なプリロードを受けてスタック4上に載る。取り出しアーム7′の弾性的なプリロードは常に、最後の薄片状の物質1もスタック4から取り出されるように、選定されている。これによって、ディスペンサーを確実に空にすることができる。ディスペンサーを確実に空にするための、取り出しアーム7′のプリロード、並びに接触面32′の構成は、図1に示したディスペンサーのためにもあてはまる。
【0065】
蓋6′を閉鎖すると、取り出しアーム7′は、薄片状の物質1のスタック4を無接触で通過するように、ハウジング2′内でガイド軌道10′に沿って滑動する。
【0066】
ガイド軌道10′は、ハウジング2′内に係止する構成部材14′に形成された斜面として構成されている。構成部材14′は、トレイとも称呼される。構成部材14′は、ハウジング2′及び蓋6′とは別個に製造され、組立時にハウジング2′に係止する。
【0067】
取り出しアーム7′はその湾曲及び弾性的なプリロードに基づいて、蓋6′の閉鎖時に、ガイド軌道10′の始端部15′からスペーサホルダ8′へジャンプし、この際に蓋6′はハウジング2′を閉鎖する。この際に、取り出しアーム7′は湾曲ガイド部16′によって強制的にガイドされる。
【0068】
蓋6′は、取り出し開口5′の開閉時に、平行移動運動、つまりハウジング2′に対して相対的な軸方向運動を実施する。蓋6′は、ハウジング2′内で引き出しのようにガイドされ、その取り出し開口5′に、長円形シールとして構成されたシール27′を有している。
【0069】
図12は、図10に示したディスペンサーの分解図を示す。図12は、図10に示したディスペンサーが3つの部分を有していることを示している。3つの部分はそれぞれプラスチックより射出成形されている。
【0070】
蓋6′と取り出しアーム7′とは、一体的に構成されている。取り出しアーム7′は、弾性的に変形可能な部材として構成されており、該部材の両側からサイドアーム20′,21′が突き出している。
【0071】
構成部材14′は、ハウジング2′に係止可能である。構成部材14′にガイド軌道10′が形成されている。また、構成部材14′にスペーサホルダ8′が形成されており、該スペーサホルダ8′は間隔保持斜面として構成されている。ガイド軌道10′に係止部11′が配属されている。さらに構成部材14′にストッパ18′が形成されており、該ストッパ18′内にサイドアーム20′,21′が係止するようになっている。ストッパ18′は、両側にフック状の舌片を有しており、これらの舌片内にサイドアーム20′,21′が係合する。これによって、蓋6′が所定の開放位置を越えて引き出されることは、阻止されるようになっている。
【0072】
取り出しアーム7′がストッパ18′に到達し、係止部11′の下をくぐり抜けてから、取り出しアーム7′は無接触でスタック4上を通過することができる。次いで、取り出しアーム7′は、始端部15′から、湾曲ガイド部16′の作用によってスペーサホルダ8′上にジャンプし、蓋6′が新たに開放されるまでスペーサホルダ8′上に止まる。フック状の湾曲ガイド部16′は、取り出しアーム7′をスペーサホルダ8′に押しつける。湾曲ガイド部16′は構成部材14′の両側に形成されている。湾曲ガイド部16′は、上方に突き出す湾曲したフックの形に構成されている。
【0073】
構成部14′はさらに、薄片ガイド31′を有しており、この薄片ガイド31′は、薄片状の物質1を取り出し開口5′に向かってガイドする。
【0074】
図10に示したディスペンサーを組み立てるために、構成部材14′は容器のハウジング2′内に係止せしめられる。構成部材14′は、ハウジング2′に対して相対的に不動に固定される。この固定が行われると、構成部材14′にスタック4が満たされる。次いで蓋6′が組み付けられる。この場合、取り出しアーム7′は、ガイド軌道10′上に載せられる。蓋6′が構成部材14′に係止せしめられると、取り出しアーム7′は、前述のように、ガイド軌道10′の始端部15′からジャンプする。蓋6′が構成部材14′と係止することによって、ハウジング2′若しくは取り出し開口5′は閉鎖される。蓋6′に長円形シール27が設けられていることによって、ハウジング2′は液密かつ気密に閉鎖される。
【0075】
構成部材14′の両側に、横断面がL字形のガイドレール33が形成されており、これらのガイドレール33内に、蓋6′に設けられたガイドウエブ34が走入する。蓋6′は両側に配置された係止突起35によって、構成部材14′に係止せしめられ、ハウジング2′に対して相対的に、かつ構成部材14′に対して相対的に摺動可能である。
【0076】
図13は、構成部材14′の斜視図を示す。図14は、蓋6′の斜視図を示す。
【0077】
図15は、図10に示した閉じたディスペンサーを3つの異なる方向から見た図を示す。図15の左上は、蓋6′のスライド方向で見た図を示す。図15の右上は、図10に示したディスペンサーの側面図を示す。図15の左下は、図10に示したディスペンサーの平面図を示す。
【0078】
本発明のその他の有利な構成及び実施態様は、実施例の説明及び特許請求の範囲に記載されている。
【符号の説明】
【0079】
1 薄片状の物質、 2,2′ ハウジング、 2a、上部、 2b 下部、 2c,2d ホルダ、 3 中空室、 4 スタック、 5,5′ 取り出し開口、 6,6′ 蓋、 7,7′ 取り出しアーム、 8,8′ スペーサホルダ、 9 グリップ、 10,10′ ガイド軌道、 11,11′ 係止部、 12、12′ 始端部、 13 第1の湾曲補助手段、 14,14′ 構成部材、トレイ、 15,15′ 始端部、 16 第2の湾曲補助手段、 16′ 湾曲ガイド部、 17 第3の湾曲補助手段、 18 ストッパ、 19 接続ウエブ、 31 薄片ガイド、 20,21;20′,21′ サイドアーム、 22 端部、 23 緊締カム、 25 剛性部分、 27 長円形シール、 28 基幹部、 29 係止切欠、 30 センタリング補助手段、 31′ 薄片ガイド、 32,32′ 接触面、 33 ガイドレール、 34 ガイドウエブ、 35 係止突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄片状の物質を投与するためのディスペンサーであって、ハウジングを有しており、該ハウジングが、薄片状の物質のスタックを貯蔵するための中空室を有しており、前記ハウジングは、薄片状の物質のための取り出し開口を形成していて、該取り出し開口は、蓋によって開放可能、かつ再び閉鎖可能であり、前記蓋はハウジングに接続され、かつ取り出しアームに接続されており、該取り出しアームが蓋と共に、薄片状の物質を搬送するために可動である形式のものに関する。
【0002】
従来技術によれば、薄片状の物質を収容し、かつ投与するための前記のような形式のディスペンサーが公知である。薄片状の物質は、多くの場合、経口投与又はその他の形式で投与するための、飲食可能な水溶性の薄片である。薄片状の物質は、医薬品、食品、お菓子、化粧品又は衛生用品として構成されたものが公知である。薄片状の物質は、しばしば規則的な短冊状に前もって切断され、ハウジング内に積み重ねられたスタックとして貯蔵される。
【0003】
薄片状の物質は、一般的に取り出し開口を通じてハウジングから取り出される。しかしながらこの場合、取り出し開口は、しばしば比較的小さので、薄片状の物質を取り出すのは困難である。
【0004】
以上のような背景から、米国特許出願第2005/0092763号明細書によれば、蓋をずらすことによって開放されるようになっているディスペンサーが開示されている。薄片状の物質は、隆起部によって取り出し開口に向かって押しやられることによって、取り出すことができるようになっている。
【0005】
薄片状の物質は、湿気に対して比較的敏感なフィルム状の水溶性の薄片である。この場合、特に薄片状の物質は短時間で湿気を吸収し、この際に分解しかつ互いに接着する、という問題がある。
【0006】
湿気に対してシールされたディスペンサーは、国際公開第2005/051822号明細書に記載されている。このディスペンサーは、ハウジングの閉じた状態で薄片状の物質のスタック上に載る取り出しアームを有している。しかしながら、この場合、敏感な薄片状の物質は互いに押し付けられ、互いに接着することになる。
【0007】
さらに、取り出し開口内に人間の身体が侵入すると、ハウジング内に残る薄片状の物質を汚染する、という問題がある。特に、前記ディスペンサーに医薬品が収容されている場合、ディスペンサーの別の使用者に病原菌が移されることがある。
【0008】
このような問題は、米国特許出願第2005/0274733号明細書に開示された、薄片状の物質をスライドさせることによってハウジングから取り出すディスペンサーにおいてみられる。このために、ディスペンサーは取り出しアームを有しており、この取り出しアームは、ハウジングの閉じた状態において薄片状の物質のスタック上に載っている。これによって、薄片状の物質は互いに押し付けられ、互いに接着することになる。
【0009】
ドイツ連邦共和国実用新案登録第20119188号明細書並びに国際公開第2004/024593号明細書により公知のディスペンサーによれば、薄片状の物質が人間の手の力を加えることによって送り出すようになっている。取り出しアームは手の力によって、薄片状の物質を送り出すために薄片状の物質に押し付けられる。この場合、2枚又はそれ以上の薄片状の物質が送り出されることがないように、手によって加えられる力を非常に正確に調節しなければならない。このような問題は特に、薄片状の物質が互いに接着する場合に、発生する。
【0010】
従って、ハウジングの開放時に、薄片状の物質を間違いなく確実に個別に投与することができるようなディスペンサーが要求されている。この場合、使用者の手指がハウジング内に又は薄片状の物質に達することなしに、手に与えるか又は直接経口投与できなければならない。このようなディスペンサーに関する要求は、医療において特に医薬品を投与する際に存在する。
【0011】
そこで本発明の課題は、冒頭に述べた形式のディスペンサーを改良して、蓋を動かすだけでハウジングの中から、薄片状の物質を個別に汚染されることなく確実に提供することができるようなものを提供することである。
【0012】
この課題は本発明によれば、請求項1に記載した特徴を有するディスペンサーによって解決された。
【0013】
本発明の請求項1によれば、冒頭に述べた形式のディスペンサーは、取り出しアームが弾性的にプリロードをかけられていて、取り出し開口の閉じた状態において前記取り出しアームがスタックから間隔を保つように、前記取り出しアームがハウジング内に支承されていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、まず第1に、手指をハウジングの内部に入れる必要なしに、薄片状の物質をハウジングの内部から取り出し開口を通して取り出すことができるように、取り出しアームを使用できる。また、弾性的なプリロード下にある取り出しアームは、薄片若しくは個別の薄片状の物質をスタックから確実に個別に取り出して、取り出し開口に送ることができるように、所定の押圧力を加えることができる。また、取り出しアーム及びひいては薄片状の物質を動かすために、手指は蓋に触れるだけでよい。従ってハウジングの内部が汚染されることはない。そして、スタックから間隔を保って位置する取り出しアームは、薄片状の物質を押し付けることはなく、従って薄片状の物質が接着することは避けられる。以上のように、汚染されることがなく、しかも薄片状の物質を個別にディスペンサーの取り出し開口へ確実に送ることができるディスペンサーが提供された。
【0015】
取り出しアームは、取り出し開口の閉じた状態において、スタックから間隔を保つためにスペーサホルダ上に載っている。これによって、取り出しアームが、ハウジングの閉じた状態で薄片状の物質に押圧力を加えることはない。薄片状の物質は互いに押圧されることはなく、従って互いに接着することはない。
【0016】
取り出しアームは、取り出し開口の開放時に、薄片状の物質をスタックから連行して取り出し開口へ搬送する搬送ストロークを実施する。このような構成によって、薄片状の物質は、蓋を操作するだけでハウジングの内部から取り出し開口へもたらされ、しかも薄片状の物質が部分的に取り出し開口から突き出るようになっている。従って、ディスペンサーを操作する作業員は、ハウジングの中空室内に残存する薄片状の物質を汚染することなく、取り出し開口から突き出た薄片状の物質を指によって掴むことができる。
【0017】
このために、取り出しアームは、搬送ストローク中に少なくとも部分的にガイド軌道の下を通るようになっている。取り出しアームが、斜面状のガイド軌道の下を通ることによって、取り出しアームは、丸味を付けられた隆起部状の接触面で以て、スタックの最上位にある薄片状の物質に接触し、この薄片状の物質を取り出し開口へ連行することができる。
【0018】
取り出しアームは、蓋の所定の開放位置において、ガイド軌道の始端部に当接させるために、係止部の下を通過するようになっている。このような構成によって、取り出しアームは、弾性的に変形可能な係止部の下をくぐり抜け、係止部は弾性的に変形した後に、取り出しアームの端部から停止位置(非作用位置)に向かって下方にジャンプする。これによって、取り出しアームは、既に進んだ搬送ストロークを戻ることはない。係止部は、取り出しアームに対して既に進んだ搬送ストロークをしゃ断する。このような構成において、弾性的に変形可能な係止部は、逆止弁と同じように機能する。係止部の下を走行した後、取り出しアームは、斜面状のガイド軌道の始端部に当接する。
【0019】
取り出しアームは、取り出し開口の閉鎖時に、薄片状の物質のスタックを無接触で通過するように、ハウジング内においてガイド軌道に沿って滑動するようになっている。蓋の閉鎖時には、取り出しアームは、斜面状のガイド軌道上をガイドされ、蓋の開口時に取り出しアームが通る経路の上側に存在する経路に沿って移動する。斜面状のガイド軌道上をガイドされることによって、取り出しアームは、薄片状の物質のスタックから間隔を保っていて、この薄片状の物質のスタックに接触することはない。これによって、取り出しアームが、ハウジング内に残存する薄片状の物質を押しずらし、圧縮し、折り畳み又はしわくちゃにすることは避けられる。
【0020】
前記ガイド軌道は、ハウジング内に係止された構成部材に形成された斜面として構成されている。この構成部材は、ハウジングとは別個に製作され、ハウジング内に堅固に係止される。これによって、ハウジングとは無関係に、種々異なる傾斜勾配及び長さを有するガイド軌道を形成することができる。特に、前記構成部材は、ハウジングの材料とは異なる材料より製作することができる。具体的には、前記構成部材は、乾燥剤を含んでいるか、又は乾燥剤化合物より製作することが考えられる。乾燥剤は、ハウジング内に侵入した液体を吸収する。この構成部材はトレイとも称呼される。
【0021】
取り出しアームは、取り出し開口を閉鎖する際に、その弾性的なプリロードに基づいてガイド軌道の始端部からスペーサホルダへジャンプし、この際にハウジングのカバーを閉鎖する。それによって蓋は押圧され、ハウジングに気密に引き寄せられる。弾性的に変形可能な取り出しアームは、蓋をハウジングに気密に引き寄せるために利用される戻し力を発揮する。
【0022】
従って、取り出しアームは弾性的に変形可能な部材として構成されており、該変形可能な部材の両側からサイドアームが突き出している。取り出しアームは、弾性的に変形可能な部材として構成されていることによって、開放及び閉鎖過程時にフレキシブルかつリバーシブルに曲げることができる。このために、蓋の開閉時に取り出しアームを湾曲させる湾曲補助手段を、ハウジング内に設けることができる。両サイドから突き出しサイドアームによって、取り出しアームを湾曲させながらガイド軌道に沿ってガイドすることができる。この場合、サイドアームはガイド軌道に沿ってガイドされ、取り出しアームの基幹部が、移動せしめられる蓋の引っ張り力又は押し力をサイドアームに伝達する。
【0023】
蓋及び取り出しアームは、一体的に構成されていてよく、蓋は緊締カムを介してハウジングに接続されている。緊締カムが設けられていることによって、蓋を別個に構成し、かつハウジングに堅固に結合することができる。取り出しアームに一体的に構成された蓋は、ハウジングよりも柔軟な材料より成っている。これによって、蓋はハウジングに押し付ける際に、非常に良好なシール作用を発揮する。蓋を、特に2成分射出成形によって、2つの成分より製造することも考えられる。
【0024】
緊締カムは、剛性部分と一体的に構成することができ、この剛性部分に、蓋がフィルムヒンジを介して旋回可能にヒンジ結合されている。このような構成によって、取り出しアームは、蓋の開閉時(つまりフィルムヒンジを中心にした旋回時)に、湾曲補助手段によってガイドされて蓋の湾曲軌道に沿って移動する。
【0025】
また、蓋が、取り出し開口の開閉時に平行移動を行うようにすることも考えられる。この場合、蓋は、引き出しのように、ハウジングから引き出されか又はハウジング内に押し込まれる。このように構成されたディスペンサーは、非常にフラットに、かつコンパクトに構成される、という特徴を有している。
【0026】
蓋は、取り出し開口に向いた側に環状のシールを有している。このシールによって、取り出し開口は、蓋の閉じた状態において湿気に対して又は空気に対して気密に閉鎖可能である。このような構成のディスペンサーは、湿気に弱い医薬品、化粧品、経口投与可能な香料又は衛生用品を収容することができる。ディスペンサーは、口の中で湿気によって短時間で溶解するが、ディスペンサー内では長期間貯蔵しておくことができる作用物質を収容することができる。このために、ディスペンサー内に乾燥剤を入れておくことができる。
【0027】
シールは、長円形シールとして構成することができる。長円形シールは、凸状の隆起部を有しており、該隆起部は、凹状に構成された溝内に係止されるか又はスナップ式に係合する。長円形シールによって、蓋は力を加えるだけでハウジングから解除される。長円形シールは、薄く平面状に構成されているのではなく、ハウジングの内部に延在するように構成されている。
【0028】
ディスペンサーは、3つの部分、つまりそれぞれ別個の射出成形される3つの個別部分よりなっていてよい。このような構成によって、ディスペンサーは、簡単に構成することができ、しかも、互いに係止させるか又は押し付けるだけでよい、少数の個別部から構成することができる。
【0029】
以上のような構成のディスペンサーは、例えば爪の汚れ落とし剤、食品補助剤、香水、睡眠薬、調味料、避妊薬、ホルモン剤、食欲抑制剤、経口投与可能な香料、及び運動選手のための電解液を収容することができる。
【0030】
また、ディスペンサーは、液滴状の肌の手入れ剤、特に日焼け止めクリームを収容するために、使用することができる。ディスペンサーは、石けん、化粧品、紙特に名刺、又は家庭用品を収容するために使用することもできる。
【0031】
以上述べたディスペンサーは、ディスペンサーのハウジング内に積み重ねて収容することができる、すべての薄い薄片を収容し、かつ提供することができる。薄片は、有利には幅が23mmで、長さが28mmである。
【0032】
以上述べたディスペンサーは、高いコンパクト性を特徴としていて、例えばズボンのポケット又はハンドバックに入れるのに適している。またこのディスペンサーは取り扱いが簡単である。何故ならば、蓋を開けるだけで薄片状の物質を提供することができるからである。
【0033】
錠剤を飲み込むことができない人に、薄片状の物質を経口投与することができる。このディスペンサーは、幼児及び老人のために、非常に良好な経口投与を可能にする。薄片状の物質は、粘膜による作用物質の迅速な搬送を可能にする。この場合、ディスペンサーにチャイルドセーフティーを設けることも考えられる。
【0034】
以上述べたディスペンサーは、安価な投与の可能性を提供し、65mgまでの作用物質を運ぶことができる。
【0035】
本発明のその他の目的、特徴、利点及び使用可能性は、図示の実施例を用いて以下に記載されている。以下に説明した及び/又は図示したすべての特徴は、単独でも又は任意の組み合わせでも、個別の請求項の要約又はその引用関係とは無関係に、本発明の対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】湾曲されたハウジングを備えた閉じたディスペンサーの断面図である。
【図2】蓋が開放されている状態の、図1に示したハウジングの断面図である。
【図3】蓋が閉鎖運動を行っている状態の、図1に示したハウジングの断面図である。
【図4】図1に示したディスペンサーの、上部と下部とから成るハウジングの斜視図である。
【図5】取り出しアーム及び、該取り出しアームに一体的に結合された蓋の斜視図である。
【図6】ガイド軌道を有し、図4に示したハウジングの下部と係止可能である構成部分の斜視図である。
【図7】図1に示したディスペンサーの分解図における、図4及び図5の3つの詳細部分の斜視図である。
【図8】開放した蓋を備えた、図1に示したディスペンサーの斜視図である。
【図9】図1に示した閉じたディスペンサーを異なる3方向から見た図である。
【図10】閉じたディスペンサーの側面図であって、該ディスペンサーの蓋が平行移動運動(つまり軸方向の運動)によって可動である。
【図11】開放した蓋を有する、図10に示したディスペンサーの断面図である。
【図12】図10に示したディスペンサーを形成する3つの個別部分の斜視図である。
【図13】図10に示したディスペンサーのハウジングに不動に係止されている構成部分の斜視図である。
【図14】図10に示したディスペンサーの蓋の斜視図である。
【図15】図10に示したディスペンサーを異なる3方向から見た図である。
【0037】
図1〜図15では、それぞれのディスペンサーのそれぞれ同じ部材は同じ符号で示されている。
【0038】
図1は、薄片状の物質1を投与するためのディスペンサーを示す。このディスペンサーは、ハウジング2を有していて、該ハウジング2が、薄片状の物質1のスタック(積み重ね)4を貯蔵するための中空室3を有しており、またハウジング2は、薄片状の物質1のための取り出し開口5を形成しており、この取り出し開口5は蓋6によって開放可能であり、かつ再び閉鎖可能である。この場合、蓋6はハウジング2に接続されている。蓋6は、取り出しアーム7に接続されており、該取り出しアーム7は、蓋6と協働して薄片状の物質1を取り出すために可動である。取り出しアーム7は、弾性的にプリロード(予備荷重)がかけられていて、ハウジング2の閉じた状態若しくは取り出し開口5の閉じた状態でスタック4に対して間隔を保っている。
【0039】
取り出しアーム7は、蓋6の閉じた状態において、スタック4に対して間隔を保つためにスペーサホルダ8上に載っている。スペーサホルダ8は間隔維持斜面として構成されている。蓋6には、蓋6を掴むためのグリップ9が形成されている。
【0040】
図2は、開放した蓋6を備えた、図1に示したディスペンサーの断面図を示す。取り出しアーム7は、蓋6の開放時に、薄片状の物質1をスタック4から連行して取り出し開口5へ搬送する搬送ストロークを行う。蓋6の開放時に取り出しアーム7によって取り出し開口5まで送られた薄片状の物質1は、取り出し開口5から突き出して、手指によって掴むことができる。取り出しアーム7は、手指が取り出し開口5内に入り込むのを防止するように、蓋6にヒンジ結合されている。
【0041】
搬送ストローク中に、取り出しアーム7は少なくとも部分的に湾曲しながら、ガイド軌道10の下、つまりガイド軌道10の、スタック4に向いた側に移行する。蓋6が所定の程度だけ開放すると、取り出しアーム7は係止部11の下を通って、ガイド軌道10の始端部12に当接する。
【0042】
図3は、蓋6が閉鎖運動を実施する際の、図1に示したディスペンサーの断面図を示す。蓋6の閉鎖時には、取り出しアーム7は、薄片状の物質1のスタック4を無接触で通過し、このスタック4上を間隔を保って移動する。取り出しアーム7は、第1の湾曲補助手段13及びガイド軌道10によって、弾性的なプリロードを受けて湾曲せしめられる。
【0043】
ガイド軌道10は斜面として構成されていて、ハウジング2内に係止する構成部材14上に取り付けられている。構成部材14は、トレイとも称呼される。
【0044】
取り出しアーム7は、蓋6の閉鎖時に、その湾曲及び弾性的なプリロードに基づいて、ガイド軌道10の終端部15からスペーサホルダ8に向かってジャンプし、この際に、蓋6がハウジング2を閉鎖する。取り出しアーム7は、第2の湾曲補助手段16によって、スペーサホルダ8へ向かって下方へ移動せしめられる。
【0045】
蓋6は、取り出し開口5の開閉時に旋回運動を実施する。蓋6の開放時に、弾性的に変形可能な取り出しアーム7は、第1の湾曲補助手段13及び第3の湾曲補助手段17によって湾曲せしめられる。この場合、第3の湾曲補助手段17は、取り出しアーム7をストッパ18へ移動させる。蓋6の閉鎖時に、弾性的に変形可能な取り出しアーム7は、第1の湾曲補助手段13及び斜面状のガイド軌道10によって湾曲せしめられる。第2の湾曲補助手段16は、弾性的なプリロード下にある取り出しアーム7を、蓋6の閉鎖時にスペーサホルダ8に向けて湾曲させる。ストッパ18は、弾性的な取り出しアーム7が、蓋6の開放時に所定の取り出し位置を越えてハウジング2から突き出すのを阻止する。
【0046】
図4は、図1〜図3に示したディスペンサーのハウジング2の斜視図を示す。ハウジング2は、プラスチック射出成形により形成されていて、上部2aと下部2bとから成っている。上部2aと下部2bとは、フィルムヒンジとして構成された接続ウエブ19によって、互いに旋回可能にヒンジ結合されている。上部2aには取り出し開口5が形成されており、該取り出し開口5を通って取り出しアーム7を貫通させることができる。上部2aはさらに、第1の湾曲補助手段13を有しており、該第1の湾曲補助手段13は、ほぼL字形、U字形又はフック状の湾曲された舌片として構成されている。この場合、舌片の端部は取り出し開口5の方向に突き出している。また、上部2aの両側に、構成部材14を保持するための2つのホルダ2c,2dが形成されている。
【0047】
下部2bには第3の湾曲補助手段17が形成されている。この第3の湾曲補助手段17にストッパ18が続いている。第3の湾曲補助手段17及びストッパ18は、下部2bの両側に配置されている。さらに、下部2bには、間隔保持斜面として構成されたスペーサホルダ8が形成されている。スペーサホルダ8は、それぞれ異なって湾曲された2つの傾斜段部を備えた2段状の間隔保持斜面として構成されている。
【0048】
下部2bには薄片ガイド31が形成されている。薄片ガイド31は、斜面状に構成されていて、薄片状の物質1を取り出し開口5に向かってガイドする。下部2bにはさらに両側にウエブ状の突起2eが形成されており、これらの突起2e上に構成部材14が載せられるようになっている。ハウジング2は、スライダなしで射出成形型から離型することができるように、構成されている。
【0049】
図5は、取り出しアーム7と一体的に構成された蓋6の斜視図を示す。取り出しアーム7は、両側にサイドアーム20,21が突き出している、弾性的に変形可能な部材として構成されている。サイドアーム20,21は、取り出しアーム7の端部から突き出している。蓋6は、緊締カム(突起)23を介してハウジング2に緊締されている。具体的には、4つの緊締カム23が、これらの緊締カム23のための、上部2aに設けられた4つの受容部24内に係合するようになっている。従って、蓋6は、ハウジング2の上部2aと堅固に結合されている。緊締カム23は、剛性部分25と一体的に構成されており、該剛性部分25に、蓋6がフィルムヒンジ26を介して旋回可能にヒンジ結合されている。
【0050】
蓋6は、取り出し開口5に向いた側に環状に延在するシール27を有している。このシール27は、長円形のシールとして構成されている。取り出しアーム7は基幹部28を有しており、該基幹部28は、第1の湾曲補助手段13及び第3の湾曲補助手段17によって弾性的に変形せしめられ、湾曲せしめられる。第2の湾曲補助手段16は、取り出しアーム7の端部22(この端部22からサイドアーム20,21が突き出している)をスペーサホルダ8に向かって押しやる。サイドアーム20,21は、斜面状のガイド軌道10に沿ってガイドされる。
【0051】
取り出しアーム7は、その端部22に、隆起部状に湾曲した接触面32を有しており、該接触面32は、取り出しアーム7が、薄片状の物質1を連行する際に、薄片状の物質1と接触する。
【0052】
蓋6を2成分射出成形によって製造するか又は、異なる成分より成る2分割で製造することも考えられる。
【0053】
図6は、構成部分14を示しており、この構成部分14は、凹部として構成された係止切欠29によってハウジング2の下部2bに係止される。この構成部分14はさらに、フォーク状のセンタリング補助手段30を有しており、このセンタリング補助手段30は、ハウジング2の下部2bに設けられたウエブ状の突起2eを把持する。係止切欠29とセンタリング補助手段30とは、構成部材14の2つの側に形成されている。構成部材14はさらに、斜面状のガイド軌道10を有していて、このガイド軌道10に沿って、取り出しアーム7のサイドアーム20,21がガイドされる。ガイド軌道10の一部は係止部11であって、この係止部11は、弾性的に変形可能な舌片として構成されている。係止部11は、ガイド軌道10の始端部12を有しており、この始端部12を介して取り出しアーム7のサイドアーム20,21がガイド軌道10に沿ってガイドされる。サイドアーム20,21がこのようにガイドされることによって、取り出しアーム7は無接触でスタック4の傍らを通過せしめられるようになっている。構成部材14にはさらに、第2の湾曲補助手段16が形成されており、該湾曲補助手段16は、取り出しアーム7の端部22(この端部22からサイドアーム20,21が突き出している)を、スペーサホルダ8に向かって押しやる。
【0054】
図7は、図1に示したディスペンサーを構成する3つの構成部分を分解した斜視図を示す。ディスペンサーを製造するために、プラスチックから射出成形された構成部材14としてのトレイが、ハウジング2の下部2b内に係止せしめられる。このトレイ14上において下部2bは、板状の物質1で満たされる。次いで、蓋6が緊締カム23によって上部2a内に押し込まれる。
【0055】
取り出しアーム7はプリロードがかけられた状態で組み付けられ、それによって取り出しアーム7は、薄片状の物質1を取り出して送るために十分な圧力を、薄片状の物質1に作用させることができる。蓋6を取り付ける際に、取り出しアーム7はガイド軌道10に載せられる。
【0056】
次いで、上部2aが下部2bに接続される。この組立段階において、取り出しアーム7がガイド軌道10から滑り落ちないように注意しなければならない。この組立段階を実施する際に、取り出しアーム7がスペーサホルダ8に向かってジャンプする。所望であれば、互いに当接し合う滑らかな接合面を超音波溶接又は摩擦溶接することによって、或いは接着することによって、上部2aを下部2bと堅牢に接続することができる。
【0057】
ディスペンサーが組立完成されると、薄片状の物質1を取り出し準備が完了する。薄片状の物質1の取り出し終了毎に、取り出しアーム7は、蓋6が閉鎖する際にスペーサホルダ8に跳ね戻り、蓋6が開放されると、新たに取り出し作業を開始する。取り出しアーム7の弾性的なプリロード(このプリロードによって取り出しアーム7はスタック4に接触する))は、取り出しアーム7が、スタック4上に残っている薄片状の物質1をより確実に取り出し開口5に送るように、選定されている。
【0058】
図8は、開放された蓋6を有するディスペンサーの斜視図を示す。取り出し開口5から、薄片状の物質1が突き出している。取り出しアーム7は、手指がハウジング2内に入り込むのを防止するように、取り出し開口5に侵入する。これによって、ハウジング2内の薄片状の物質1の汚染は効果的に避けられる。蓋6の長円形シール27は、ハウジング2を、大気に対して液密に、かつ気密にシールする。
【0059】
図9は、図1に示した閉じたディスペンサーを異なる3方向から見た図である。図9の左上は、ハウジング2の長手方向軸線の方向で蓋6を見た図を示す。図9の右上は、ディスペンサーの側面図を示す。図9の右下は、ディスペンサーの蓋6の平面図である。
【0060】
図10は、薄片状の物質1を投与するためのディスペンサーの別の実施例を示す。この別の実施例によるディスペンサーは、ハウジング2′を有しており、該ハウジング2′は、薄片状の物質1のスタック4を貯蔵するための中空室3′を有しており、ハウジング2′は、薄片状の物質1のための取り出し開口5′を形成しており、この取り出し開口5′は、蓋6′によって開放可能、かつ再び閉鎖可能であり、この場合、蓋6′はハウジング2′に結合されている。蓋6′は取り出しアーム7′に接続されており、該取り出しアーム7′は蓋6′と共に、薄片状の物質1を搬送するために可動である。取り出しアーム7′は、弾性的にプリロードをかけられていて、ハウジング2′若しくは取り出し開口5′の閉じた状態でスタック4から間隔を保って配置されるように、ハウジング2′内に支承されている。
【0061】
取り出しアーム7′は、蓋6′の閉じた状態でスタック4から間隔を保ってスペーサホルダ8′上に位置している。取り出しアーム7′の、丸味を付けられた隆起部状の接触面32′は、スタック4に接触しない。
【0062】
図11は、蓋6′が開放されている状態の、図10に示したディスペンサーを示す。取り出しアーム7′は、蓋6′の開放時に、薄片状の物質1をスタック4から連行して取り出し開口5′に搬送するための搬送ストロークを実施する。薄片状の物質1は、取り出し開口5′から突き出るので、手指によって掴むことができる。この際に、薄片状の物質1は薄片ガイド31′上に載る。この薄片ガイド31′は、真っ直ぐな区分と湾曲した区分とを有している。薄片ガイド31′の湾曲した区分は、薄片状の物質1を取り出し開口5′から上方へ突き出し、それによって薄片状の物質1は手指によって簡単に掴むことができる。
【0063】
取り出しアーム7′は、蓋6′の開放時に、薄片状の物質1をスタック4から連行して取り出し開口5′へ搬送するための搬送ストロークを行う。この際に、弾性的なプリロード下にある取り出しアーム7′は、搬送ストローク中に、少なくとも部分的にガイド軌道10′の下側を移動し、取り出しアーム7′の接触面32′で以て、スタック4の最上位にある薄片状の物質1に接触する。
【0064】
蓋6′の所定の開放位置において、取り出しアーム7′は、舌片状の弾性的な係止部11′の下側を走行し、それによって取り出しアーム10′の始端部12′に当接する。取り出しアーム7′は、ガイド軌道10′の下側を走行する際に、その接触面32′が弾性的なプリロードを受けてスタック4上に載る。取り出しアーム7′の弾性的なプリロードは常に、最後の薄片状の物質1もスタック4から取り出されるように、選定されている。これによって、ディスペンサーを確実に空にすることができる。ディスペンサーを確実に空にするための、取り出しアーム7′のプリロード、並びに接触面32′の構成は、図1に示したディスペンサーのためにもあてはまる。
【0065】
蓋6′を閉鎖すると、取り出しアーム7′は、薄片状の物質1のスタック4を無接触で通過するように、ハウジング2′内でガイド軌道10′に沿って滑動する。
【0066】
ガイド軌道10′は、ハウジング2′内に係止する構成部材14′に形成された斜面として構成されている。構成部材14′は、トレイとも称呼される。構成部材14′は、ハウジング2′及び蓋6′とは別個に製造され、組立時にハウジング2′に係止する。
【0067】
取り出しアーム7′はその湾曲及び弾性的なプリロードに基づいて、蓋6′の閉鎖時に、ガイド軌道10′の始端部15′からスペーサホルダ8′へジャンプし、この際に蓋6′はハウジング2′を閉鎖する。この際に、取り出しアーム7′は湾曲ガイド部16′によって強制的にガイドされる。
【0068】
蓋6′は、取り出し開口5′の開閉時に、平行移動運動、つまりハウジング2′に対して相対的な軸方向運動を実施する。蓋6′は、ハウジング2′内で引き出しのようにガイドされ、その取り出し開口5′に、長円形シールとして構成されたシール27′を有している。
【0069】
図12は、図10に示したディスペンサーの分解図を示す。図12は、図10に示したディスペンサーが3つの部分を有していることを示している。3つの部分はそれぞれプラスチックより射出成形されている。
【0070】
蓋6′と取り出しアーム7′とは、一体的に構成されている。取り出しアーム7′は、弾性的に変形可能な部材として構成されており、該部材の両側からサイドアーム20′,21′が突き出している。
【0071】
構成部材14′は、ハウジング2′に係止可能である。構成部材14′にガイド軌道10′が形成されている。また、構成部材14′にスペーサホルダ8′が形成されており、該スペーサホルダ8′は間隔保持斜面として構成されている。ガイド軌道10′に係止部11′が配属されている。さらに構成部材14′にストッパ18′が形成されており、該ストッパ18′内にサイドアーム20′,21′が係止するようになっている。ストッパ18′は、両側にフック状の舌片を有しており、これらの舌片内にサイドアーム20′,21′が係合する。これによって、蓋6′が所定の開放位置を越えて引き出されることは、阻止されるようになっている。
【0072】
取り出しアーム7′がストッパ18′に到達し、係止部11′の下をくぐり抜けてから、取り出しアーム7′は無接触でスタック4上を通過することができる。次いで、取り出しアーム7′は、始端部15′から、湾曲ガイド部16′の作用によってスペーサホルダ8′上にジャンプし、蓋6′が新たに開放されるまでスペーサホルダ8′上に止まる。フック状の湾曲ガイド部16′は、取り出しアーム7′をスペーサホルダ8′に押しつける。湾曲ガイド部16′は構成部材14′の両側に形成されている。湾曲ガイド部16′は、上方に突き出す湾曲したフックの形に構成されている。
【0073】
構成部14′はさらに、薄片ガイド31′を有しており、この薄片ガイド31′は、薄片状の物質1を取り出し開口5′に向かってガイドする。
【0074】
図10に示したディスペンサーを組み立てるために、構成部材14′は容器のハウジング2′内に係止せしめられる。構成部材14′は、ハウジング2′に対して相対的に不動に固定される。この固定が行われると、構成部材14′にスタック4が満たされる。次いで蓋6′が組み付けられる。この場合、取り出しアーム7′は、ガイド軌道10′上に載せられる。蓋6′が構成部材14′に係止せしめられると、取り出しアーム7′は、前述のように、ガイド軌道10′の始端部15′からジャンプする。蓋6′が構成部材14′と係止することによって、ハウジング2′若しくは取り出し開口5′は閉鎖される。蓋6′に長円形シール27が設けられていることによって、ハウジング2′は液密かつ気密に閉鎖される。
【0075】
構成部材14′の両側に、横断面がL字形のガイドレール33が形成されており、これらのガイドレール33内に、蓋6′に設けられたガイドウエブ34が走入する。蓋6′は両側に配置された係止突起35によって、構成部材14′に係止せしめられ、ハウジング2′に対して相対的に、かつ構成部材14′に対して相対的に摺動可能である。
【0076】
図13は、構成部材14′の斜視図を示す。図14は、蓋6′の斜視図を示す。
【0077】
図15は、図10に示した閉じたディスペンサーを3つの異なる方向から見た図を示す。図15の左上は、蓋6′のスライド方向で見た図を示す。図15の右上は、図10に示したディスペンサーの側面図を示す。図15の左下は、図10に示したディスペンサーの平面図を示す。
【0078】
本発明のその他の有利な構成及び実施態様は、実施例の説明及び特許請求の範囲に記載されている。
【符号の説明】
【0079】
1 薄片状の物質、 2,2′ ハウジング、 2a、上部、 2b 下部、 2c,2d ホルダ、 3 中空室、 4 スタック、 5,5′ 取り出し開口、 6,6′ 蓋、 7,7′ 取り出しアーム、 8,8′ スペーサホルダ、 9 グリップ、 10,10′ ガイド軌道、 11,11′ 係止部、 12、12′ 始端部、 13 第1の湾曲補助手段、 14,14′ 構成部材、トレイ、 15,15′ 始端部、 16 第2の湾曲補助手段、 16′ 湾曲ガイド部、 17 第3の湾曲補助手段、 18 ストッパ、 19 接続ウエブ、 31 薄片ガイド、 20,21;20′,21′ サイドアーム、 22 端部、 23 緊締カム、 25 剛性部分、 27 長円形シール、 28 基幹部、 29 係止切欠、 30 センタリング補助手段、 31′ 薄片ガイド、 32,32′ 接触面、 33 ガイドレール、 34 ガイドウエブ、 35 係止突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片状の物質(1)を投与するためのディスペンサーであって、ハウジング(2,2′)を有しており、該ハウジング(2,2′)が、薄片状の物質(1)のスタック(4)を貯蔵するための中空室(3,3′)を有しており、前記ハウジング(2,2′)は、薄片状の物質(1)のための取り出し開口(5,5′)を形成していて、該取り出し開口(5,5′)は、蓋(6,6′)によって開放可能、かつ再び閉鎖可能であり、前記蓋(6,6′)はハウジング(2,2′)に接続され、かつ取り出しアーム(7,7′)に接続されており、該取り出しアーム(7,7′)が蓋(6,6′)と共に、薄片状の物質(1)を搬送するために可動である形式のものにおいて、
前記取り出しアーム(7,7′)が弾性的にプリロードをかけられていて、前記取り出し開口(5,5′)の閉じた状態において前記取り出しアーム(7,7′)が薄片状の物質(1)のスタック(4)から間隔を保つように、前記取り出しアーム(7,7′)がハウジング(2,2′)内に支承されていることを特徴とする、ディスペンサー。
【請求項2】
前記取り出しアーム(7,7′)が、前記取り出し開口(5,5′)の閉じた状態において、薄片状の物質(1)のスタック(4,4′)から間隔を保つために、スペーサホルダ(8,8′)上に載っている、請求項1記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記取り出しアーム(7,7′)が、前記取り出し開口(5,5′)の開放時に、薄片状の物質(1)をスタック(4)から連行して取り出し開口(5,5′)へ搬送するための搬送ストロークを実施する、請求項1又は2記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記取り出しアーム(7,7′)が、前記搬送ストローク中に、少なくとも部分的にガイド軌道(10,10′)の下を通る、請求項3記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記取り出しアーム(7,7′)は、蓋(6,6′)の所定の開放位置において、係止部(11,11′)の下を通って、前記ガイド軌道(10,10′)の始端部(12,12′)に当接する、請求項1から4までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記取り出し開口(5,5′)の閉鎖時に、前記取り出しアーム(7,7′)は、薄片状の物質(1)のスタック(4)と接触することなく該スタック(4)上を通過するように、ハウジング(2,2′)内のガイド軌道(10,10′)に沿って滑動せしめられる、請求項1から5までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記ガイド軌道(10,10′)は、ハウジング(2,2′)内に係止された構成部材(14,14′)に形成された斜面として構成されている、請求項6記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記取り出し開口(5,5′)の閉鎖時に、前記取り出しアーム(7,7′)は、その弾性的なプリロードに基づいて、前記ガイド軌道(10,10′)の始端部(15,15′)からスペーサホルダ(8,8′)にジャンプし、前記蓋(6,6′)が前記ハウジング(2,2′)を閉鎖する、請求項6又は7記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記取り出しアーム(7,7′)は、弾性的に変形可能な部材として構成されており、該弾性的に変形可能な部材の両側からサイドアーム(20,20′,21,21)が突き出している、請求項1から8までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項10】
前記蓋(6)と前記取り出しアーム(7,7′)とが一体的に構成されていて、前記蓋(6)が緊締カム(23)を介して前記ハウジング(2)に接続されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項11】
前記緊締カム(23)が、剛性部分(25)と一体的に構成されており、該剛性部分(25)に前記蓋(6)がフィルムヒンジ(26)を介して旋回可能にヒンジ結合されている、請求項10記載のディスペンサー。
【請求項12】
前記蓋(6′)が、前記取り出し開口(5′)の開閉時に平行移動運を行う、請求項1から9までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項13】
前記蓋(6,6′)が、該蓋(6,6′)の、前記取り出し開口(5,5′)に向いた側に環状のシール(27,27′)を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項14】
前記シール(27,27′)が長円形シールとして構成されている、請求項13記載のディスペンサー。
【請求項15】
3つの構成部分より構成されており、これらの3つの構成部分がそれぞれ射出成形されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項1】
薄片状の物質(1)を投与するためのディスペンサーであって、ハウジング(2,2′)を有しており、該ハウジング(2,2′)が、薄片状の物質(1)のスタック(4)を貯蔵するための中空室(3,3′)を有しており、前記ハウジング(2,2′)は、薄片状の物質(1)のための取り出し開口(5,5′)を形成していて、該取り出し開口(5,5′)は、蓋(6,6′)によって開放可能、かつ再び閉鎖可能であり、前記蓋(6,6′)はハウジング(2,2′)に接続され、かつ取り出しアーム(7,7′)に接続されており、該取り出しアーム(7,7′)が蓋(6,6′)と共に、薄片状の物質(1)を搬送するために可動である形式のものにおいて、
前記取り出しアーム(7,7′)が弾性的にプリロードをかけられていて、前記取り出し開口(5,5′)の閉じた状態において前記取り出しアーム(7,7′)が薄片状の物質(1)のスタック(4)から間隔を保つように、前記取り出しアーム(7,7′)がハウジング(2,2′)内に支承されていることを特徴とする、ディスペンサー。
【請求項2】
前記取り出しアーム(7,7′)が、前記取り出し開口(5,5′)の閉じた状態において、薄片状の物質(1)のスタック(4,4′)から間隔を保つために、スペーサホルダ(8,8′)上に載っている、請求項1記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記取り出しアーム(7,7′)が、前記取り出し開口(5,5′)の開放時に、薄片状の物質(1)をスタック(4)から連行して取り出し開口(5,5′)へ搬送するための搬送ストロークを実施する、請求項1又は2記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記取り出しアーム(7,7′)が、前記搬送ストローク中に、少なくとも部分的にガイド軌道(10,10′)の下を通る、請求項3記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記取り出しアーム(7,7′)は、蓋(6,6′)の所定の開放位置において、係止部(11,11′)の下を通って、前記ガイド軌道(10,10′)の始端部(12,12′)に当接する、請求項1から4までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記取り出し開口(5,5′)の閉鎖時に、前記取り出しアーム(7,7′)は、薄片状の物質(1)のスタック(4)と接触することなく該スタック(4)上を通過するように、ハウジング(2,2′)内のガイド軌道(10,10′)に沿って滑動せしめられる、請求項1から5までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記ガイド軌道(10,10′)は、ハウジング(2,2′)内に係止された構成部材(14,14′)に形成された斜面として構成されている、請求項6記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記取り出し開口(5,5′)の閉鎖時に、前記取り出しアーム(7,7′)は、その弾性的なプリロードに基づいて、前記ガイド軌道(10,10′)の始端部(15,15′)からスペーサホルダ(8,8′)にジャンプし、前記蓋(6,6′)が前記ハウジング(2,2′)を閉鎖する、請求項6又は7記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記取り出しアーム(7,7′)は、弾性的に変形可能な部材として構成されており、該弾性的に変形可能な部材の両側からサイドアーム(20,20′,21,21)が突き出している、請求項1から8までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項10】
前記蓋(6)と前記取り出しアーム(7,7′)とが一体的に構成されていて、前記蓋(6)が緊締カム(23)を介して前記ハウジング(2)に接続されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項11】
前記緊締カム(23)が、剛性部分(25)と一体的に構成されており、該剛性部分(25)に前記蓋(6)がフィルムヒンジ(26)を介して旋回可能にヒンジ結合されている、請求項10記載のディスペンサー。
【請求項12】
前記蓋(6′)が、前記取り出し開口(5′)の開閉時に平行移動運を行う、請求項1から9までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項13】
前記蓋(6,6′)が、該蓋(6,6′)の、前記取り出し開口(5,5′)に向いた側に環状のシール(27,27′)を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【請求項14】
前記シール(27,27′)が長円形シールとして構成されている、請求項13記載のディスペンサー。
【請求項15】
3つの構成部分より構成されており、これらの3つの構成部分がそれぞれ射出成形されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のディスペンサー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−521334(P2012−521334A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501178(P2012−501178)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001799
【国際公開番号】WO2010/108649
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(311013694)ザナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Sanner GmbH
【住所又は居所原語表記】Schillerstrasse76,D−64625 Bensheim,BRD
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001799
【国際公開番号】WO2010/108649
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(311013694)ザナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Sanner GmbH
【住所又は居所原語表記】Schillerstrasse76,D−64625 Bensheim,BRD
【Fターム(参考)】
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