説明

薄膜光電変換装置

【課題】1100nm以上の長波光を利用可能な特性の高い薄膜光電変換装置を提供する。
【解決手段】基板1上に、第一電極層2、p型半導体層31とn型半導体層35の間に光電変換層を備えた一以上の光電変換ユニット3、第二電極層4を順次配置した薄膜光電変換装置であって、少なくとも一つの光電変換ユニットの光電変換層が実質的に真性または弱n型の結晶質ゲルマニウム半導体を含む結晶質ゲルマニウム光電変換層33であり、かつp型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板から遠い側の界面に、実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層からなる第二界面層を配置したことを特徴とする薄膜光電変換装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜光電変換装置の改善に関し、特に結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む光電変換ユニットの長波長光に対する光電変換効率の改善された薄膜光電変換装置に関する。なお、本発明における「結晶質」および「微結晶」の用語は、当該技術分野において用いられているように、部分的に非晶質を含む場合も包含する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体内部の光電効果を用いて光を電気に変換する光電変換装置が注目され、開発が精力的に行われているが、その光電変換装置の中でもシリコン系薄膜光電変換装置は、低温で大面積のガラス基板やステンレス基板上に形成できることから、低コスト化が期待されている。
【0003】
このようなシリコン系薄膜光電変換装置は、一般に透明絶縁基板上に順に積層された透明電極層と1つ以上の光電変換ユニットと裏面電極層とを含んでいる。ここで、光電変換ユニットは一般にp型半導体層、i型層、及びn型半導体層がこの順、またはその逆順に積層されてなり、その主要部を占めるi型の光電変換層が非晶質のものは非晶質光電変換ユニットと、またi型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットと呼ばれている。
【0004】
光電変換層は、光を吸収して電子・正孔対を発生させる層である。一般に、シリコン系薄膜光電変換装置では、pin接合のうちi型層が光電変換層であり、光電変換層であるi型層が光電変換ユニットの主要な膜厚を占めている。
【0005】
i型層は、理想的には導電型決定不純物を含まない真性の半導体層である。しかし、微量の不純物を含んでいても、フェルミ準位が禁制帯のほぼ中央にあれば、pin接合のi型層として機能するので、これを「実質的にi型の層」と呼ぶ。一般に、実質的にi型の層は、導電型決定不純物を原料ガスに添加せずに作製する。この場合、i型層として機能する許容範囲で導電型決定不純物を含んでも良い。また、実質的にi型の層は、大気や下地層に起因する不純物がフェルミ準位に与える影響を取り除くために、微量の導電型決定不純物を意図的に添加して作製しても良い。ここで、i型層をn型化する不純物をn型不純物と呼ぶことにすると、i型層として機能する許容範囲でn型不純物を含むi型層を弱n型の層と呼ぶ。
【0006】
また、光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2つ以上の光電変換ユニットを積層した、積層型と呼ばれる構造を採用した光電変換装置が知られている。この方法においては、光電変換装置の光入射側に大きな光学的禁制帯幅を有する光電変換層を含む前方光電変換ユニットを配置し、その後ろに順に小さな光学的禁制帯幅を有する(たとえばシリコン−ゲルマニウム合金などの)光電変換層を含む後方光電変換ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたる光電変換を可能にし、入射する光を有効利用することにより装置全体としての変換効率の向上が図られている。
【0007】
例えば非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットとを積層した2接合型薄膜光電変換装置の場合、i型の非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長は長波長側において700nm程度までであるが、i型の結晶質シリコンはそれより長い約1100nm程度の波長の光までを光電変換することができる。ここで、光吸収係数の大きな非晶質シリコンからなる非晶質シリコン光電変換層では、光電変換に充分な光吸収のためには0.3μm程度の厚さでも十分であるが、これと比較して光吸収係数の小さな結晶質シリコンからなる結晶質シリコン光電変換層では長波長の光をも十分に吸収するためには2〜3μm程度以上の厚さを有することが好ましい。すなわち、結晶質シリコン光電変換層は、通常は、非晶質シリコン光電変換層に比べて10倍程度の大きな膜厚が必要となる。なお、この2接合型薄膜光電変換装置の場合、光入射側にある光電変換ユニットをトップセル、後方にある光電変換ユニットをボトムセルと呼ぶこととする。
【0008】
さらに光電変換ユニットを3つ備える3接合型薄膜光電変換装置も用いられる。本明細書では、3接合型薄膜光電変換装置の光電変換ユニットを光入射側から順にトップセル、ミドルセル、ボトムセルと呼ぶこととする。3接合の積層型薄膜光電変換装置にすることによって、開放電圧(Voc)が高く、短絡電流密度(Jsc)が低くなり、2接合の場合に比べてトップセルの非晶質シリコン光電変換層の膜厚を薄くできる。このため、トップセルの光劣化を抑制することができる。また、ミドルセルの光電変換層の光学的禁制帯幅をトップセルより狭く、ボトムセルより広くすることによって、入射した光をより有効に利用することができる。
【0009】
3接合の積層型薄膜光電変換装置の例として、ミドルセルの光電変換層に非晶質シリコンゲルマニウムを用いた、非晶質シリコン光電変換ユニット/非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニット/非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニットの順に積層した薄膜光電変換装置、あるいは非晶質シリコン光電変換ユニット/非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニット/結晶質シリコン光電変換ユニットの順に積層した薄膜光電変換装置が挙げられる。非晶質シリコンゲルマニウムの膜中のゲルマニウム濃度を適宜調整することによって、ミドルセルの光電変換層の非晶質シリコンゲルマニウムの光学的禁制帯幅をトップセルとボトムセルの間の値に制御することができる。また、ミドルセルとボトムセルの両方に非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層を用いた場合、ミドルセルよりボトムセルのゲルマニウム濃度が高くなるようにする。
【0010】
しかし、非晶質シリコンに比べて、合金層である非晶質シリコンゲルマニウムは欠陥密度が高くて半導体特性が劣っており、また、光照射による欠陥密度の増加が大きいことがわかっている。このため、非晶質シリコンゲルマニウムをミドルセルまたはボトムセルの光電変換層に用いた3接合の積層型薄膜光電変換装置は2接合の薄膜光電変換装置に比べて効率の向上が十分でない。また、非晶質シリコンゲルマニウムの光劣化が大きいため、3接合の積層型薄膜光電変換装置にしたにもかかわらず、光劣化の抑制が十分でない問題がある。
【0011】
ボトムセルに非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニットを用いた場合は光電変換し得る光の波長は長波長側において900nm程度まで、ボトムセルに結晶質シリコン光電変換ユニットを用いた場合の光電変換し得る光の波長は長波長側において1100nm程度までで、長波長側の利用できる波長の限界は2接合の薄膜光電変換装置と同様の波長で改善されず、3接合の薄膜光電変換装置の変換効率の向上が十分でない課題がある。
【0012】
(先行例1)
非特許文献1に、光電変換層に弱n型微結晶ゲルマニウムを用いた単接合の薄膜光電変換装置が開示されている。薄膜光電変換装置の構造は、ステンレス基板/n型非晶質シリコン/i型非晶質シリコン/微結晶シリコンゲルマニウムの組成傾斜層/弱n型微結晶ゲルマニウム光電変換層/微結晶シリコンゲルマニウムの組成傾斜層/p型微結晶シリコン層/酸化インジウム錫(ITO)を順次積層した構造である。薄膜光電変換装置の特性は開放電圧Voc=0.22V、短絡電流密度Jsc=25mA/cm2、曲線因子FF=0.36、変換効率Eff=2.0%、長波長側で量子効率が10%となる波長は約1080nm、量子効率が5%となる波長は1130nmである。微結晶ゲルマニウム光電変換層はマイクロ波放電を用いたECRリモートプラズマCVD法で形成している。
【0013】
(先行例2)
非特許文献2に、ゲルマニウム組成が0%から最大35%までの微結晶シリコンゲルマニウムを光電変換層に用いた単接合の薄膜光電変換装置が開示されている。具体的には、薄膜光電変換装置の構造は、ガラス基板/凹凸形状をもつ酸化亜鉛/p型微結晶シリコン/i型微結晶シリコンゲルマニウムの光電変換層/n型微結晶シリコン層/酸化亜鉛/銀を順次積層した構造である。薄膜光電変換装置の特性は、微結晶シリコンゲルマニウムの膜中ゲルマニウム組成が20%の場合Jsc、Effが最大となり、Voc=0.427V、Jsc=24.1mA/cm2、FF=0.616、Eff=6.33%を示す。膜中ゲルマニウム組成を20%以上に増加するとVoc、Jsc、FFがいずれも低下してEffが低下する。特に膜中ゲルマニウム組成を30%以上にするとFFが著しく低下し、膜中ゲルマニウム組成35%ではFFが約0.4となり、Effが約2%と低くなる。また、量子効率が10%となる波長は膜中のゲルマニウム組成が最大の35%の場合でも約1050nmである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Xuejun Niu, Jeremy Booher and Vikran L. Dalal, "Nanocrystalline Germanium and Germanium Carbide Films and Devices", Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.862, A10.2 (2005).
【非特許文献2】Takuya Matsui, Chia-Wen Chang, Tomoyuki Takada, Masao Isomura, Hiroyuki Fujiwara and Michio Kondo, "Microcrystalline Si1-xGex Solar Cells Exhibiting Enhanced Infrared Response with Reduced Absorber Thickness", Japanese Applied Physics Express, vol.1, 031501-1〜3、2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
2接合または3接合の積層型薄膜光電変換装置のボトムセルに非晶質シリコンゲルマニウム(a−SiGe)光電変換ユニット、または結晶質シリコン光電変換ユニットを用いた薄膜光電変換装置の場合、長波長側で利用できる波長の上限は900〜1100nmで、長波長光の利用が十分でなく変換効率の向上が不十分な課題がある。
【0016】
また、先行例1に示されるように、微結晶ゲルマニウム光電変換ユニットにおいてp型半導体層と弱n型微結晶ゲルマニウム光電変換層の間に微結晶シリコンゲルマニウムの組成傾斜層を用い、かつn型半導体層と弱n型微結晶ゲルマニウム光電変換層の間に微結晶シリコンゲルマニウムの組成傾斜層を用いた薄膜光電変換装置はFFが低く、変換効率が低い課題がある。また、光電変換可能な長波長光の波長の上限が約1080nmで十分な向上が得られない問題がある。
【0017】
さらに、先行例2に示されるように、微結晶シリコンゲルマニウムを光電変換層に用いた薄膜光電変換装置は、微結晶シリコンゲルマニウム膜中のゲルマニウム組成を20%以上にするとVoc、Jsc、FFいずれも低下してEffが急減する課題があった。また、膜中ゲルマニウム組成35%までの微結晶シリコンゲルマニウムを用いた場合の光電変換可能な長波長光の波長の上限が約1050nmであり、十分な向上が得られない問題がある。
【0018】
上記を鑑み、本発明は1100nm以上の長波長光を利用可能な特性の高い薄膜光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明による薄膜光電変換装置は、第一電極層、p型半導体層とn型半導体層の間に光電変換層を備えた一以上の光電変換ユニット、第二電極層を順次配置した薄膜光電変換装置であって、少なくとも一つの光電変換ユニットの光電変換層が真性または弱n型の結晶質ゲルマニウム半導体を含む結晶質ゲルマニウム光電変換層であり、かつp型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板から遠い側の界面に、実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層からなる第二界面層を配置したことを特徴とすることによって課題を解決する。第二界面層として実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層を配置することによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層の欠陥を低減して、界面における電子と正孔の再結合による損失が減って、薄膜光電変換装置の特性が向上する。より具体的には、第二界面層が結晶質ゲルマニウム光電変換層より基板の後方に配置されることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層より後に第二界面層が形成されることになり、結晶質ゲルマニウム光電変換層で発生しやすいピンホールや空隙、ボイドなどの欠陥が、第二界面層が埋められて低減して、薄膜光電変換装置の特性が向上すると考えられる。
【0020】
前記薄膜光電変換装置において、p型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板から近い側の界面に実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層、または実質的に真正な非単結晶シリコンゲルマニウム半導体層からなる第一界面層を配置することによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層の欠陥生成を抑制して、界面における電子と正孔の再結合による損失が減って、薄膜光電変換装置の特性が向上する。
【0021】
前記薄膜光電変換装置において、結晶質ゲルマニウム光電変換層はシリコン原子を含まないことが好ましい。ここで「シリコン原子を含まない」とは、X線光電子分光法(XPS)、エネルギー分散X線分光法(EDX)、オージェ電子分光法のいずれかを用いて測定したときに、ほぼ測定限界の1%以下であることを示すことを意味する。シリコン原子を含まないことによって、意外なことにシリコンゲルマニウムより結晶性が向上し、長波長の吸収係数を向上することができる。
【0022】
本発明による好ましい薄膜光電変換装置は、p型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板に遠い側の界面に、実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層からなる第二界面層を配置することによって課題を解決する。第二界面層を配置することによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層における欠陥が減少することにより、薄膜光電変換装置の特性が向上する。
【0023】
第二界面層として、実質的に真性な結晶質シリコン層と実質的に真性な非晶質シリコン層を積層した構造をもつことが好ましい。特に、p型半導体層に近い側から結晶質シリコン層と非晶質シリコン層とを順次配置することが、より好ましい。
【0024】
また、薄膜光電変換装置の光電変換ユニットが基板に近い側からp型半導体層、光電変換層、n型半導体層を順次配置した、いわゆる「pin接合構造」を有する場合、第二界面層はn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間に配置される。一方、薄膜光電変換装置の光電変換ユニットが基板に近い側からn型半導体層、光電変換層、p型半導体層を順次配置した、いわゆる「nip接合構造」を有する場合、第二界面層はp型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間に配置される。
【0025】
本発明による好ましい薄膜光電変換装置は、p型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板に近い側の界面に、実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層、または実質的に真正な非単結晶シリコンゲルマニウム半導体層からなる第一界面層を配置することによって課題を解決する。第一界面層を配置することによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層における欠陥が減少することにより、薄膜光電変換装置の特性が向上する。
【0026】
第一界面層として、実質的に真性な結晶質シリコン層と実質的に真性な非晶質シリコン層を積層した構造をもつことが好ましい。特に、p型半導体層に近い側から順に、実質的に真性な結晶質シリコン層、実質的に真性な非晶質シリコン層を配置することが、より好ましい。
【0027】
また、薄膜光電変換装置がpin接合構造を有する場合、第一界面層はp型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間に配置される。一方、薄膜光電変換装置がnip接合構造を有する場合、第一界面層はn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間に配置される。
【0028】
結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む光電変換ユニットのp型半導体層が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、結晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンゲルマニウムのうち少なくとも一つ以上からなることが好ましい。これらのいずれかの層を用いることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層とpi接合を形成することができる。また、結晶質ゲルマニウム光電変換層と同じ製膜装置を用いることができる。特に、p型半導体層が結晶質ゲルマニウムからなることがより好ましい。p型半導体層が結晶質ゲルマニウムからなることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層からp型半導体層への正孔の移動が潤滑になるのでより好ましい。
【0029】
結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む光電変換ユニットのn型半導体層が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、結晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンゲルマニウム、結晶質ゲルマニウム、非晶質ゲルマニウムのうち少なくとも一つ以上からなることが好ましい。これらのいずれかの層を用いることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層とni接合を形成することができる。また、結晶質ゲルマニウム光電変換層と同じ製膜装置を用いることができる。特に、n型半導体層が非晶質シリコンからなることがより好ましい。n型半導体層が非晶質シリコンからなることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層からn型半導体層への正孔の拡散を抑制して、正孔の移動が潤滑になるのでより好ましい。
【発明の効果】
【0030】
結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む光電変換ユニットに実質的に真性な非単結晶シリコンからなる第二界面層、さらには第一界面層を導入することにより、界面における欠陥密度を低減して、界面における電子と正孔の再結合による損失を減少させ、薄膜光電変換装置の特性を向上することができる。結晶質ゲルマニウム光電変換層が光を吸収したとき発生する電子と正孔がそれぞれn型半導体層とp型半導体層に潤滑に移動すると考えられ、薄膜光電変換装置の1100nmを超える長波長光の利用が可能になるとともに、曲線因子(FF)と開放電圧(Voc)が向上して、薄膜光電変換装置の特性が向上する。
【0031】
第二界面層の効果としては、結晶質ゲルマニウム光電変換層における欠陥密度を減少させ、電子と正孔の再結合に由来する電流損失を抑制する働きがあると考えられる。第一界面層の効果としては、結晶質ゲルマニウム光電変換層における欠陥生成を抑制することで、欠陥密度を減少させ、電子と正孔の再結合に由来する電流損失を抑制する働きがあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態に係る3接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図4】本発明の比較例1に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図7】本発明の実施例4に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図8】本発明の実施例5に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図9】本発明の実施例6に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図10】本発明の実施例7に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図11】本発明の実施例8に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図12】本発明の実施例9に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図13】本発明の実施例10に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図14】本発明の実施例11に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図15】本発明の実施例12に係る3接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図16】本発明の実施例13に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【図17】本発明の比較例2に係る単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
【0034】
本発明者は、薄膜光電変換装置の変換効率を向上するために、従来のシリコン系薄膜光電変換装置では利用できなかった1100nmを超える長波長の光を効率的に光電変換するために、結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む薄膜光電変換装置の構成について検討した。その結果、結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む光電変換ユニットに第一界面層や第二界面層を導入することによって1100nmを超える長波長光を効率的に光電変換できることを見出した。
【0035】
先行例1に示したように、pi界面とni界面に微結晶シリコンゲルマニウムの組成傾斜層を配置した薄膜光電変換装置の場合では、長波長側で量子効率が10%となる波長は約1080nm、量子効率が5%となる波長は1130nmと長波長光の光電変換効率が低い。これは、微結晶シリコンゲルマニウムの組成傾斜層のゲルマニウム組成が大きくなるにつれて欠陥密度が増加することが原因と考えられる。
【0036】
また、先行例2に示したように微結晶シリコンゲルマニウムは、膜中ゲルマニウム濃度を増加するとともに薄膜光電変換装置の特性が急激に低下する。これは、微結晶シリコンゲルマニウムの膜中ゲルマニウム濃度とともに欠陥が増加するためと考えられる。
【0037】
図1に、本発明の実施形態の一例による単接合の薄膜光電変換装置の模式的断面図を示す。透明基板1上に、透明電極層2、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3および裏面電極層4の順に配置されている。本発明において、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニットとは、光電変換層に実質的に真性または弱n型の結晶質ゲルマニウム半導体を含む結晶質ゲルマニウム光電変換層を用いた光電変換ユニットをいう。
【0038】
基板側から光を入射するタイプの光電変換装置にて用いられる透明基板1には、ガラス、透明樹脂等からなる板状部材やシート状部材が用いられる。特に、透明基板1としてガラス板を用いれば、それが高い透過率を有しかつ安価であるので好ましい。
【0039】
すなわち、透明基板1は薄膜光電変換装置の光入射側に位置するので、より多くの太陽光を透過させて光電変換ユニットに吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましい。同様の意図から、太陽光の入射面における光反射ロスを低減させるために、透明基板1の光入射面上に無反射コーティングを設けることが好ましい。
【0040】
基板側から光を入射するタイプの光電変換装置にて用いられる第一電極層としては、透明電極層2が挙げられる。特に、透明電極層2としては、太陽光を透過させて光電変換ユニットに吸収させる為にできるだけ透明であることが望ましく、かつ光電変換ユニットで発生した正孔を損失なく輸送する為に、導電性を有することが望ましい。
【0041】
そのため、透明電極層2は酸化すず(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の導電性金属酸化物からなることが好ましく、例えば化学気相蒸着(CVD)、スパッタ、蒸着等の方法を用いて形成されることが好ましい。透明電極層2はその表面に微細な凹凸形状を有することにより、入射光の散乱を増大させる効果を有することが望ましい。
【0042】
結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3は、たとえばプラズマCVD法によって、p型半導体層31、第一界面層32、光電変換層33、第二界面層34、およびn型半導体層35の順に積層して形成される。
【0043】
p型半導体層31は、p型不純物がドープされた、結晶質シリコン、非晶質シリコン、結晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンゲルマニウム、結晶質ゲルマニウム、非晶質ゲルマニウムのうち少なくとも一つ以上から形成されうる。これらのいずれかの層を用いることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層とpi接合を好適に形成することができる。また、結晶質ゲルマニウム光電変換層と同じ製膜装置を用いることができる。たとえば、ボロンが0.01原子%以上ドープされた微結晶シリコンを用いることができる。特に、p型半導体層31が結晶質ゲルマニウムからなることがより好ましい。p型半導体層が結晶質ゲルマニウムからなることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層からp型半導体層への正孔の移動が潤滑になるのでより好ましい。
【0044】
p型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板から近い側の界面に配置する実質的に真性な非単結晶シリコンからなる第一界面層32は、具体的には結晶質シリコンまたは非晶質シリコンを用いることが好ましい。さらに第一界面層32として、実質的に真性な結晶質シリコン層と実質的に真性な非晶質シリコン層を積層した構造をもつことがより好ましい。特に、p型半導体層に近い側から実質的に真性な結晶質シリコン層と実質的に真性な非晶質シリコン層の順で配置した層であることが好ましい。これは、結晶質ゲルマニウム光電変換層における欠陥密度を減少させ、電子と正孔の再結合に由来する電流損失を抑制する働きがあるためと考えられる。第一界面層32における実質的に真性な結晶質シリコン層の膜厚としては、0.5nmから500nmの範囲が好ましい。特に1nmから100nmの範囲の膜厚がより好ましい。第一界面層32における実質的に真性な非晶質シリコン層の膜厚としては、0.1nmから100nmの範囲が好ましい。特に0.5nmから50nmの範囲の膜厚がより好ましい。
【0045】
結晶質ゲルマニウム光電変換層33は実質的に真性型または弱n型である。結晶質ゲルマニウム光電変換層の製膜時には、一般に導電型決定不純物元素を含有するガスは用いない。それにもかかわらず、結晶質ゲルマニウムが弱n型になる場合があり、結晶質ゲルマニウムが酸素などの大気由来の不純物を膜中に取り込みやすいためと考えられる。光電変換層として利用可能な弱n型の指標としては、ホール効果測定で求めた結晶質ゲルマニウムのキャリア濃度が1017cm-3以下、移動度が1cm2/(V・s)以上が望ましい。キャリア濃度が高すぎると光電変換装置の暗電流が増大してリーク電流が増えて、光電変換装置のFFが低下する傾向がある。
【0046】
結晶質ゲルマニウム光電変換層33は、反応ガスとしてたとえばGeH4、H2を用い、高周波プラズマCVD法で形成することが望ましい。このとき、H2/GeH4比を200〜5000の範囲にすることが望ましい。H2/GeH4比が200より小さいと結晶化率が低下して非晶質化する傾向があるため望ましくなく、逆にH2/GeH4比が5000より大きいと製膜速度が低下して生産性が低下する傾向がある。良好な結晶性と工業的に許容できる製膜速度を得るためには、H2/GeH4比を500〜2000の範囲にすることがより望ましい。
【0047】
結晶質ゲルマニウム光電変換層33を大面積に均一にプラズマCVD法で製膜するためには、2.45GHzなどのマイクロ波の周波数を用いるより、容量結合型平行平板電極を用い、10〜100MHzの周波数を用いることが望ましい。特に工業的に使用が認められている13.56MHz、27.12Mz、40MHzを用いることが好適である。高周波パワー密度は、結晶化を促進するために200mW/cm2以上が望まししく、550mW/cm2以上にすることがより望ましい。
【0048】
結晶質ゲルマニウム光電変換層33を製膜する際の基板温度は、製膜時の粉の発生を抑制するために200℃以上にすることが望ましく、250℃以上にすることがより望ましい。導電型層から光電変換層への不純物の拡散を抑制するために、基板温度は500℃以下が望ましく、400℃以下がさらに望ましい。
【0049】
また、結晶質ゲルマニウム光電変換層33を製膜する際の圧力は、良好な結晶性を有する観点から、40Pa以上2000Pa以下の範囲が好ましい。また、200Pa以上1500Pa以下が大面積の均一性を向上する観点からより好ましい。さらに、500Pa以上1330Pa以下が結晶性と高い製膜速度を両立する上でより好ましい。
【0050】
結晶質ゲルマニウム光電変換層33はシリコン原子を含まないことが好ましい。ここで「シリコン原子を含まない」とは、X線光電子分光法(XPS)、エネルギー分散X線分光法(EDX)、オージェ電子分光法のいずれかを用いて測定したときに、ほぼ測定限界の1%以下であることを示すことをいう。結晶質ゲルマニウム光電変換層33がシリコン原子を含まないことによって、意外なことにシリコンゲルマニウムより結晶性が向上し、長波長の吸収係数を向上することができる。
【0051】
また、p型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板に遠い側の界面に配置する実質的に真性な非単結晶シリコンからなる第ニ界面層34については、具体的には結晶質シリコンまたは非晶質シリコンを用いることができる。第ニ界面層34として、実質的に真性な結晶質シリコン層と実質的に真性な非晶質シリコン層を積層した構造をもつことが好ましい。特に、p型半導体層に近い側から実質的に真性な非晶質シリコン層と実質的に真性な結晶質シリコン層の順で配置した層であることが好ましい。これは、接合界面における欠陥密度を減少させ、電子と正孔の再結合に由来する電流損失を抑制する働きがあるためと考えられる。第ニ界面層34における実質的に真性な結晶質シリコン層の膜厚としては、0.5nmから500nmの範囲が好ましい。特に、膜厚として1nmから100nmの範囲がより好ましい。第ニ界面層34における実質的に真性な非晶質シリコン層の膜厚としては、0.1nmから100nmの範囲が好ましい。特に0.5nmから50nmの範囲の膜厚がより好ましい。
【0052】
次に、n型半導体層35は、n型不純物がドープされた、結晶質シリコン、非晶質シリコン、結晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンゲルマニウム、結晶質ゲルマニウム、非晶質ゲルマニウムのうち少なくとも一つ以上から形成されることが好ましい。これらのいずれかの層を用いることによって、結晶質ゲルマニウム光電変換層33とni接合を好適に形成することができる。また、結晶質ゲルマニウム光電変換層33と同じ製膜装置を用いることができる。たとえば、リンが0.01原子%以上ドープされたドープされた微結晶シリコンを用いることができる。n型半導体層としては、結晶質シリコン層よりも非晶質シリコン層が好ましい。これは、結晶質シリコン層に比べ非晶質シリコン層の光学的禁制帯幅が広いため、結晶質ゲルマニウム光電変換層からn型半導体層への正孔の拡散を抑制して、正孔がn型半導体層で再結合することを防ぐ働きがあるためと考えられる。
【0053】
基板側から光を入射するタイプの光電変換装置に用いられる第二電極層としては、裏面電極層4が挙げられる。裏面電極層4は、光電変換ユニットを透過した太陽光を光電変換ユニット側に反射することにより、光電変換層における太陽光の吸収効率を高める働きがある。そのため裏面電極層4としては太陽光に対する反射率が高いことが望ましい。また光電変換ユニットで発生した電子を損失なく輸送する為に、導電性を有することが望ましい。
【0054】
そのため、裏面電極層4としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)およびクロム(Cr)から選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも一層の金属層をスパッタ法または蒸着法により形成することが好ましい。また、光電変換ユニットと金属層との間に、ITO、SnO2、ZnO等の導電性酸化物からなる層を形成しても構わない(図示せず)。
【0055】
図2は、本発明の他の実施形態による3接合の薄膜光電変換装置を概略的に示す断面図である。この薄膜光電変換装置は図1の単接合の薄膜光電変換装置の透明電極層2と結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3の間に、非晶質シリコン光電変換ユニット5および結晶質シリコン光電変換ユニット6を順次配置した構造になっている。すなわち、光入射側から順に非晶質シリコン光電変換ユニットがトップセル、結晶質シリコン光電変換ユニットがミドルセル、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニットがボトムセルに相当する。
【0056】
基板、透明電極層、ボトムセルである結晶質ゲルマニム光電変換ユニット、裏面電極層は図1の場合と同様の構成、製造方法で形成することができる。ただし、図2では、p型半導体層31をp型微結晶シリコン層311として、n型半導体層35をn型非晶質シリコン層351として表している。
【0057】
トップセルである非晶質シリコン光電変換ユニット5は、たとえばp型半導体層、i型層、およびn型半導体層の順に積層して形成される。具体的には、ボロンが0.01原子%以上ドープされたp型非晶質シリコンカーバイド層51、実質的にi型の非晶質シリコンの光電変換層52、およびリンが0.01原子%以上ドープされたn型非晶質シリコン層53がこの順に堆積される。
【0058】
ミドルセルである結晶質シリコン光電変換ユニット6は、たとえばp型半導体層、i型層、およびn型半導体層の順に積層して形成される。具体的には、ボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン層61、実質的にi型の結晶質シリコン光電変換層62、およびリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン層63がこの順に堆積される。
【0059】
なお、図2では3接合の薄膜光電変換装置を示したが、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニットを光入射側から最も遠い光電変換ユニットに配置すれば、2接合あるいは4接合以上の光電変換ユニットが積層された薄膜光電変換装置であってもよいことは言うまでもない。
【0060】
また、図1では基板側から光を入射する薄膜光電変換装置を示したが、基板と反対側から光を入射する薄膜光電変換装置においても、本発明が有効であることは言うまでもない。基板と反対側から光を入射する場合、例えば、基板、裏面電極層、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット、透明電極層の順に積層すればよい。この場合、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニットは、n型半導体層、結晶質ゲルマニウム光電変換層、p型半導体層の順に積層することが好ましい。また、基板と反対側から光を入射する薄膜光電変換装置において、第一電極層は裏面電極層であり、第二電極層は透明電極層となる。
【0061】
本発明はレーザーパターニングを用いて同一の基板上に直列接続構造を形成した集積型薄膜光電変換装置においても有効であることは言うまでもない。集積型薄膜光電変換装置の場合、レーザーパターニングが容易にできるので図1に示すように基板側から光入射する構造が望ましい。
【実施例】
【0062】
以下、本発明による実施例と、従来技術による比較例に基づいて詳細に説明する。各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
実施例1として、図3に示す構造の単接合の薄膜光電変換装置7を作製した。透明基板1は、厚さ1.8mmのガラス基板を用いた。透明基板1の上に、第一電極層である透明電極層2を形成した。透明電極層2は微小なピラミッド状の表面凹凸を含みかつ平均厚さ700nmのSnO2膜が透明基板1の上に熱CVD法にて形成された。さらにスパッタ法でAlドープされたZnO膜を20nm形成し、SnO2とZnOが積層した透明電極層2を作製した。得られた透明電極層2のシート抵抗は約9Ω/□であった。またC光源で測定したヘイズ率は12%であり、表面凹凸の平均高低差dは約100nmであった。ヘイズ率はJISK7136に基づき測定した。
【0064】
この透明電極層2の上に、13.56MHzの周波数の平行平板電極を備えた容量結合型の高周波プラズマCVD装置を用いて、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3を作製した。反応ガスとしてSiH4、H2及びB26を導入しp型微結晶シリコン層311を10nm形成した後、GeH4、H2を導入し結晶質ゲルマニウム光電変換層33を2.0μm形成した。このとき、H2/GeH4の流量比は1000倍とし、基板温度300℃、圧力800Pa、高周波パワー密度850mW/cm2とした。反応ガスとしてSiH4、H2を導入し第二界面層として結晶質シリコン層341を100nm形成した。さらに引き続いて反応ガスとしてSiH4、H2及びPH3を導入しn型非晶質シリコン層351を20nm形成することで結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3を形成した。
【0065】
その後、第二電極層として裏面電極層4を形成した。裏面電極層4は、厚さ30nmのAlドープされたZnO膜と厚さ300nmのAg膜がスパッタ法にて順次形成された。
【0066】
裏面電極層4形成後、レーザースクライブ法により透明電極層2の上に形成された膜を部分的に除去して、1cm2のサイズに分離を行い、単接合の薄膜光電変換装置7(受光面積1cm2)を作製した。
【0067】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置7(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例1に示すように、開放電圧(Voc)が0.313V、短絡電流密度(Jsc)が34.45mA/cm2、曲線因子(FF)0.633、そして変換効率(Eff)が6.83%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は9.94%であった。
【0068】
(比較例1)
比較例1として、図4に示す実施例1に類似の単接合の薄膜光電変換装置8を作製した。比較例1は、第ニ界面層である結晶質シリコン層341を取り除いた以外は、実施例1と同様に作製した。
【0069】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置8(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の比較例1に示すように、開放電圧(Voc)が0.271V、短絡電流密度(Jsc)が24.34mA/cm2、曲線因子(FF)が0.583、そして変換効率(Eff)が3.85%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は4.58%であった。
【0070】
(実施例2)
実施例2として、図5に示す実施例1に類似の単接合の薄膜光電変換装置9を作製した。実施例2は、第ニ界面層として、結晶質ゲルマニウム光電変換層33に近い側から実質的に真性な非晶質シリコン層342を10nm配置したことを除いて、実施例1と同様に作製した。
【0071】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置9(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例2に示すように、開放電圧(Voc)が0.318V、短絡電流密度(Jsc)が34.40mA/cm2、曲線因子(FF)が0.635、そして変換効率(Eff)が6.95%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は9.94%であった。
【0072】
(実施例3)
実施例3として、図6に示す実施例1に類似の単接合の薄膜光電変換装置10を作製した。実施例3は、第ニ界面層として、結晶質ゲルマニウム光電変換層33に近い側から実質的に真性な非晶質シリコン層342を10nmと、実質的に真性な結晶質シリコン層341を100nmとを順次積層したことを除いて、実施例1と同様に作製した。
【0073】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置10(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例3に示すように、開放電圧(Voc)が0.321V、短絡電流密度(Jsc)が34.50mA/cm2、曲線因子(FF)が0.638、そして変換効率(Eff)が7.07%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は9.96%であった。
【0074】
(実施例4)
実施例4として、図7に示す実施例1に類似の単接合の薄膜光電変換装置11を作製した。実施例4は、第ニ界面層として、結晶質ゲルマニウム光電変換層33に近い側から実質的に真性な結晶質シリコン層341を100nmと、実質的に真性な非晶質シリコン層342を10nmとを順次積層したことを除いて、実施例1と同様に作製した。
【0075】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置11(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例4に示すように、開放電圧(Voc)が0.325V、短絡電流密度(Jsc)が34.20mA/cm2、曲線因子(FF)が0.642、そして変換効率(Eff)が7.14%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は9.85%であった。
【0076】
(実施例5)
実施例5として、図8に示す実施例4に類似の単接合の薄膜光電変換装置12を作製した。実施例5は、第一界面層として、結晶質シリコン層321を100nm形成したことを除いて、実施例4と同様に作製した。
【0077】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置12(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例5に示すように、開放電圧(Voc)が0.320V、短絡電流密度(Jsc)が35.70mA/cm2、曲線因子(FF)が0.638、そして変換効率(Eff)が7.29%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は10.87%であった。
【0078】
(実施例6)
実施例6として、図9に示す実施例4に類似の単接合の薄膜光電変換装置13を作製した。実施例6は、第一界面層として、非晶質シリコン層322を10nm形成したことを除いて、実施例4と同様に作製した。
【0079】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置13(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例6に示すように、開放電圧(Voc)が0.322V、短絡電流密度(Jsc)が36.10mA/cm2、曲線因子(FF)が0.635、そして変換効率(Eff)が7.38%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は10.90%であった。
【0080】
(実施例7)
実施例7として、図10に示す実施例4に類似の単接合の薄膜光電変換装置14を作製した。実施例7は、第一界面層として、p型半導体層に近い側から非晶質シリコン層322を10nmと結晶質シリコン層321を100nmとを順次積層したことを除いて、実施例4と同様に作製した。
【0081】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置14(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例7に示すように、開放電圧(Voc)が0.318V、短絡電流密度(Jsc)が36.13mA/cm2、曲線因子(FF)が0.636、そして変換効率(Eff)が7.31%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は10.85%であった。
【0082】
(実施例8)
実施例8として、図11に示す実施例4に類似の単接合の薄膜光電変換装置15を作製した。実施例8は、第一界面層として、p型半導体層に近い側から結晶質シリコン層321を100nmと非晶質シリコン層322を10nmとを順次積層したことを除いて、実施例4と同様に作製した。
【0083】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置15(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例8に示すように、開放電圧(Voc)が0.323V、短絡電流密度(Jsc)が36.40mA/cm2、曲線因子(FF)が0.645、そして変換効率(Eff)が7.58%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は11.02%であった。
【0084】
(実施例9)
実施例9として、図12に示す実施例8に類似の単接合の薄膜光電変換装置16を作製した。実施例9は、n型半導体層として、n型非晶質シリコン層351の代わりに、n型結晶質シリコン層352を形成したことを除いて、実施例8と同様に作製した。
【0085】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置16(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例9に示すように、開放電圧(Voc)が0.316V、短絡電流密度(Jsc)が35.80mA/cm2、曲線因子(FF)が0.640、そして変換効率(Eff)が7.24%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は10.80%であった。
【0086】
(実施例10)
実施例10として、図13に示す実施例5に類似の単接合の薄膜光電変換装置17を作製した。実施例10は、第一界面層として、結晶質シリコン層321のかわりに結晶質シリコンゲルマニウム層323を100nm形成したことを除いて、実施例5と同様に作製した。
【0087】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置17(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例10に示すように、開放電圧(Voc)が0.328V、短絡電流密度(Jsc)が35.20mA/cm2、曲線因子(FF)が0.633、そして変換効率(Eff)が7.31%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は10.55%であった。
【0088】
(実施例11)
実施例11として、図14に示す実施例4に類似の単接合の薄膜光電変換装置18を作製した。実施例11は、p型半導体層として、p型微結晶質シリコン層311の代わりに、p型結晶質ゲルマニウム層312を10nm形成したことを除いて、実施例4と同様に作製した。
【0089】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置17(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例10に示すように、開放電圧(Voc)が0.283V、短絡電流密度(Jsc)が39.42mA/cm2、曲線因子(FF)が0.680、そして変換効率(Eff)が7.59%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は12.05%であった。
【0090】
(実施例12)
実施例12として、図15に示す3接合の薄膜光電変換装置19を作製した。実施例12は、(1)実施例8の透明電極層2と結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3の間に非晶質シリコン光電変換ユニット5と結晶質シリコン光電変換ユニット6を順次配置したこと、(2)結晶質ゲルマニウム光電変換層33の膜厚を2.5μmとしたこと、(3)透明電極層2をSnO2だけから構成したことの3点を除いて、実施例1と同様に作製した。
【0091】
透明基板1の上に透明電極層2としてSnO2だけを形成した。
【0092】
透明電極層2の上に、プラズマCVD装置を用いて、非晶質シリコン光電変換ユニット5を作製した。反応ガスとしてSiH4、H2、CH4及びB26を導入しp型非晶質シリコンカーバイド層51を15nm形成後、反応ガスとしてSiH4を導入し実質的に真性な非晶質シリコン光電変換層52を80nm形成し、その後反応ガスとしてSiH4、H2及びPH3を導入しn型非晶質シリコン層53を10nm形成することで非晶質シリコン光電変換ユニット5を形成した。
【0093】
非晶質シリコン光電変換ユニット5形成後、反応ガスとしてSiH4、H2及びB26を導入しp型微結晶シリコン層61を10nm形成後、反応ガスとしてSiH4とH2を導入し実質的に真性な結晶質シリコン光電変換層62を1.5μm形成し、その後反応ガスとしてSiH4、H2及びPH3を導入しn型微結晶シリコン層63を15nm形成することで結晶質シリコン光電変換ユニット6を形成した。
【0094】
結晶質シリコン光電変換ユニット6形成後、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3、裏面電極層4を順次形成した。
【0095】
以上のようにして得られた3接合の薄膜光電変換装置19(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が1.73V、短絡電流密度(Jsc)が12.1mA/cm2、曲線因子(FF)が0.690、そして変換効率(Eff)が14.44%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は11.03%であった。
【0096】
(実施例13)
実施例13として、図16に示す構造の単接合の薄膜光電変換装置20を作製した。基板と第一電極層を兼ねるステンレス基板21の上に、13.56MHzの周波数の平行平板電極を備えた容量結合型の高周波プラズマCVD装置を用いて、結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3を作製した。この場合、ステンレス基板の第一電極層は裏面電極層となる。反応ガスとしてSiH4、H2及びPH3を導入しn型非晶質シリコン層351を100nm形成した後、第ニ界面層として、n型半導体層に近い側から非晶質シリコン層342を10nmと結晶質シリコン層341を100nm順次積層した。さらにGeH4、H2を導入し結晶質ゲルマニウム光電変換層33を2.0μm形成した。このとき、H2/GeH4の流量比は2000倍とし、基板温度300℃、圧力800Pa、高周波パワー密度850mW/cm2とした。反応ガスとしてSiH4、H2を導入し第一界面層として結晶質ゲルマニウム光電変換層に近い側から非晶質シリコン層322を10nmと結晶質シリコン層321を100nmとを順次積層した。さらに引き続いて反応ガスとしてSiH4、H2及びB26を導入しp型微結晶シリコン層311を10nm形成することで結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット3を形成した。
【0097】
その後、第二電極層として透明電極層2を形成した。透明電極層2は、厚さ80nmのITO膜をスパッタ法で開口1cm2のマスクを用いて形成し、単接合の薄膜光電変換装置20(受光面積1cm2)を作製した。
【0098】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置20(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の実施例12に示すように、開放電圧(Voc)が0.320V、短絡電流密度(Jsc)が37.37mA/cm2、曲線因子(FF)が0.620、そして変換効率(Eff)が7.41%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は10.95%であった。
【0099】
(比較例2)
比較例2として、図17に示す実施例13に類似の単接合の薄膜光電変換装置22を作製した。比較例2は、第ニ界面層と第一界面層を取り除いた以外は、実施例13と同様に作製した。
【0100】
以上のようにして得られた単接合の薄膜光電変換装置22(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、表1の比較例2に示すように、開放電圧(Voc)が0.275V、短絡電流密度(Jsc)が26.13mA/cm2、曲線因子(FF)が0.547、そして変換効率(Eff)が3.93%であった。また、波長1300nmにおける量子効率は4.76%であった。
【0101】
結果を表1にまとめる。
【0102】
【表1】

【符号の説明】
【0103】
1. 透明基板
2. 透明電極層
3. 結晶質ゲルマニウム光電変換ユニット
31. p型半導体層
311.p型微結晶シリコン層
312.p型結晶質ゲルマニウム層
32. 第一界面層
321.実質的に真性な結晶質シリコン層
322.実質的に真性な非晶質シリコン層
323.実質的に真正な結晶質シリコンゲルマニウム層
33. 結晶質ゲルマニウム光電変換層
34. 第ニ界面層
341.実質的に真性な結晶質シリコン層
342.実質的に真性な非晶質シリコン層
35. n型半導体層
351.n型非晶質シリコン層
352.n型結晶質シリコン層
4. 裏面電極層
5. 非晶質シリコン光電変換ユニット
51. p型非晶質シリコンカーバイド層
52. 実質的に真性な非晶質シリコン光電変換層
53. n型非晶質シリコン層
6. 結晶質シリコン光電変換ユニット
61. p型微結晶シリコン層
62. 実質的に真性な結晶質シリコン光電変換層
63. n型微結晶シリコン層
7. 実施例1に記載の単接合薄膜光電変換装置
8. 比較例1に記載の単接合薄膜光電変換装置
9. 実施例2に記載の単接合薄膜光電変換装置
10. 実施例3に記載の単接合薄膜光電変換装置
11. 実施例4に記載の単接合薄膜光電変換装置
12. 実施例5に記載の単接合薄膜光電変換装置
13. 実施例6に記載の単接合薄膜光電変換装置
14. 実施例7に記載の単接合薄膜光電変換装置
15. 実施例8に記載の単接合薄膜光電変換装置
16. 実施例9に記載の単接合薄膜光電変換装置
17. 実施例10に記載の単接合薄膜光電変換装置
18. 実施例11に記載の3接合薄膜光電変換装置
19. 実施例12に記載の単接合薄膜光電変換装置
20. 実施例13に記載の単接合薄膜光電変換装置
21. ステンレス基板
22. 比較例2に記載の単接合薄膜光電変換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第一電極層、p型半導体層とn型半導体層の間に光電変換層を備えた一以上の光電変換ユニット、第二電極層を順次配置した薄膜光電変換装置であって、少なくとも一つの光電変換ユニットの光電変換層が実質的に真性または弱n型の結晶質ゲルマニウム半導体を含む結晶質ゲルマニウム光電変換層であり、かつp型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板から遠い側の界面に、実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層からなる第二界面層を配置したことを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薄膜光電変換装置であって、結晶質ゲルマニウム光電変換層にシリコン原子を含まないことを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置であって、p型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間またはn型半導体層と結晶質ゲルマニウム光電変換層との間の界面のうち、結晶質ゲルマニウム光電変換層からみて基板に近い側の界面に、実質的に真性な非単結晶シリコン半導体層または実質的に真正な非単結晶シリコンゲルマニウム半導体層からなる第一界面層を配置したことを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の薄膜光電変換装置であって、前記第二界面層が、実質的に真性な結晶質シリコン層と実質的に真性な非晶質シリコン層を積層した構造をもつこと特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の薄膜光電変換装置であって、前記第二界面層が、p型半導体層に近い側から順に、実質的に真性な結晶質シリコン層、実質的に真性な非晶質シリコン層を配置した層であることを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項6】
請求項3に記載の薄膜光電変換装置であって前記第一界面層が、実質的に真性な結晶質シリコン層と実質的に真性な非晶質シリコン層を積層した構造をもつこと特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の薄膜光電変換装置であって前記第一界面層が、p型半導体層に近い側から順に、実質的に真性な結晶質シリコン層、実質的に真性な非晶質シリコン層を配置した層であることを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の薄膜光電変換装置であって、前記結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む光電変換ユニットのp型半導体層が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、結晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンゲルマニウム、結晶質ゲルマニウム、非晶質ゲルマニウムのうち少なくとも一つ以上からなることを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の薄膜光電変換装置であって、前記p型半導体層が結晶質ゲルマニウムからなることを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の薄膜光電変換装置であって、前記結晶質ゲルマニウム光電変換層を含む光電変換ユニットのn型半導体層が、結晶質シリコン、非晶質シリコン、結晶質シリコンゲルマニウム、非晶質シリコンゲルマニウム、結晶質ゲルマニウム、非晶質ゲルマニウムのうち少なくとも一つ以上からなることを特徴とする薄膜光電変換装置。
【請求項11】
請求項10に記載の薄膜光電変換装置であって、前記n型半導体層が非晶質シリコンからなることを特徴とする薄膜光電変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−29259(P2011−29259A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171044(P2009−171044)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】