説明

薄膜部材取出装置

【課題】捌きにくい切れ込みが形成された薄膜部材を一枚ずつ分離して取り出すこと
【解決手段】収容部(26)に積載された複数の切れ込みが形成された薄膜部材(8)の中の最上面に対して接触・離間可能に支持され且つ先端に吸着口(98a)が形成された複数の吸引部(98)と、薄膜部材(8)が捌かれる非対称な方向に各吸引部(98)を移動させる捌き方向移動部材(92)と、積載された薄膜部材(8)に対して吸引部(98)を接触・離間する接離方向に移動させる接離方向移動部材(82)と、を備え、気体を吸引することで最上面に積載された薄膜部材(8)を吸引部(98)に吸引し、且つ、吸引部(98)どうしが接近した状態で、吸引部(98)が収容部(26)から離間して取り出す薄膜部材取出装置(FT)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜部材取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるフィルムやシート等の薄膜部材を一枚ずつ分離して取り出す薄膜部材取出装置として、下記の特許文献1〜3記載の技術が知られている。
特許文献1としての特開平10−203660号公報には、まず、段積みした軟質シートに吸着体(3a,3b)を接触させた状態で一定時間保持し、シートを加熱してシート間の接着力を低下して剥離しやすくし、次に、吸着体(3a,3b)で軟質シートを吸着して、浮上させ、シート間の境界部分にエアー噴射ノズル(5)からエアを噴射して分離させ、次に、エア噴射でも分離しないシートに対して、一方の吸着体(3a)を他方の吸着体(3b)に対して接近させることでシートを撓ませて分離する技術が記載されている。したがって、特許文献1記載の技術では、浮上して取り出されたシートの下面にシートが吸着している場合に、浮上した状態でエアを吹付けたり、撓ませて下側のシートを落下させ、落下時の気流や撓み時の変形や力のバラツキで姿勢や落下位置が不安定になりやすいシートを次の吸着動作で取り出している。
【0003】
特許文献2としての特開2002−252441号公報には、切れ込み等が形成されていない回路基板(P)が段積みされた状態において、最上部に積載された回路基板(P)に吸着部(13a,13b)を接触させた状態でエアの吸引を行い、吸着部(13a,13b)を互いに接近、離間させるモータ(M)を回転させて、吸着部(13a,13b)を互いに接近させて最上部の回路基板(P)を下側の回路基板から分離し、移動機構11を上昇させることで、最上部の回路基板(P)を取り出す技術が記載されている。
【0004】
特許文献3としての特開2002−128297号公報には、切れ込み等が形成されていないフォトポリマー板(102)が収容されたカセット(208)に対して、複数の吸盤(124)でフォトポリマー板(102)を吸着して持ち上げる際に、カセット(208)の周縁部に形成されたさばき板(66)に、フォトポリマー板(102)の周縁が引っ掛かって湾曲することで、下のフォトポリマー板(102)と分離して持ち上げる技術が記載されている。なお、フォトポリマー板(102)の湾曲時には、周縁部を吸着していた吸盤(124)はフォトポリマー板(102)から離間する。
また、特許文献3記載の技術では、カセット(208)の底板(212)に対する吸盤(124)の位置の初期設定を行なう場合、先ず、空の状態のカセット(208)に対して、接触センサ(70)が底板(212)に接触するまで吸盤(124)を一定速度で下降させる。次に、吸盤(124)で吸引を行ないながら、一定量(0.1mm)下降させ、圧力を読み込み、読み込んだ圧力が所定値になるまで、下降と圧力の読み込みを繰り返し、全ての吸盤(124)が底板(212)に接触して吸着した状態となると、底板(212)に接触したと判断し、その位置に基づいて、フォトポリマー板(102)を取り出す制御を行っている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−203660号公報(「0022」〜「0024」、図3)
【特許文献2】特開2002−252441号公報(「0017」〜「0018」、図3〜図5)
【特許文献3】特開2002−128297号公報(「0059」〜「0060」、「0079」〜「0125」、図5、図7〜図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の構成に比べて、捌きにくい切れ込みが形成された薄膜部材を一枚ずつ分離して取り出すことを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の薄膜部材取出装置は、
切れ込みが形成された薄膜部材が複数枚積載されて収容される収容部と、
前記収容部に積載された複数の前記薄膜部材の中の最上面に積載された前記薄膜部材に対して接触・離間可能に支持され且つ先端に吸着口が形成された複数の吸引部と、
前記各吸着口から気体を吸引する気体吸引装置と、
前記薄膜部材が捌かれる方向に前記吸引部を移動させる捌き方向移動部材と、
積載された前記薄膜部材に対して前記吸引部を接触・離間する接離方向に移動させる接離方向移動部材と、
を備え、
気体を吸引することで前記最上面に積載された薄膜部材を前記吸引部に吸引し、且つ、前記吸引部どうしが接近した状態で、前記吸引部が前記収容部から離間して取り出すことを特徴とする。
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項2に記載の発明の薄膜部材取出装置は、
切れ込みが形成された薄膜部材が複数枚積載されて収容される収容部と、
前記収容部に積載された複数の前記薄膜部材の中の最上面に積載された前記薄膜部材に対して接触・離間可能に支持され且つ先端に吸着口が形成された複数の吸引部と、前記各吸着口から気体を吸引する気体吸引装置と、前記各吸引部どうしを接近・離間する捌き方向に移動させる捌き方向移動部材と、積載された前記薄膜部材に対して前記吸引部を接触・離間する接離方向に移動させる接離方向移動部材と、
前記気体吸引装置を制御して、気体を吸引することで、前記最上面に積載された薄膜部材を前記吸引部に吸引する吸引装置制御手段と、
前記吸着口を移動させる前記捌き方向移動部材の移動を制御する吸着捌き制御手段であって、前記吸引部が前記最上面に積載された前記薄膜部材に接触する際に、前記吸引部どうしを離間した状態に保持すると共に、前記吸引部が前記最上面に積載された前記薄膜部材に接触した状態で前記吸引部どうしを接近・離間させて前記薄膜部材を1枚ずつ分離して捌いた後に、前記吸引部どうしが接近した状態で保持する前記吸着捌き制御手段と、
前記接離方向移動部材の移動を制御する接離制御手段であって、前記吸引部どうしが接近した状態で、前記吸引部を前記収容部から離間させる方向に移動させる前記接離制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の薄膜部材取出装置において、
前記収容部内で昇降可能に支持され且つ前記複数の薄膜部材が上面に積載される積載部材であって、前記吸引部の重力方向下方に対応する位置に形成され且つ外気が自由に流動可能な気流自由部を有する前記積載部材と、
前記吸着口から吸引される気体の圧力を検出する圧力検出部材と、
前記圧力検出部材の検出結果に基づいて、前記積載部材上に積載された前記薄膜部材が無くなったか否かを判別する空検知手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の薄膜部材取出装置において、
多角形状の前記薄膜部材の所定の一辺に形成された前記切れ込みと、
前記収容部内に配置され且つ、前記切れ込みが形成された一辺が揃えられた状態で複数枚の前記薄膜部材が積載される前記積載部材と、
前記積載部材上に配置されると共に、積載された複数枚の前記薄膜部材の前記切れ込みが形成された一辺側とは反対側の最下面を持ち上げた状態で支持する嵩上げ部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の薄膜部材取出装置において、
前記収容部の重力方向上端、且つ、前記切れ込みが形成された一辺側に配置され、最上面に積載された薄膜部材の上面に接触して押さえる薄膜押さえ部材、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれかに記載の薄膜部材取出装置において、
前記積載部材を前記収容部内で昇降させる積載昇降部材と、
前記収容部の重力方向上端に対応して配置され、前記薄膜部材を検出する薄膜検出部材と、
前記吸着口から吸引される気体の圧力を検出する圧力検出部材と、
前記積載昇降部材を制御する積載昇降制御手段であって、前記積載部材に積載された薄膜部材を前記薄膜検出部材が検出するまで前記積載部材を上昇させた後、前記薄膜検出部材が前記薄膜部材を不検出するまで前記積載部材を下降させる粗位置決めを実行し、前記粗位置決めされた前記積載部材を前記圧力検出部材が予め設定された圧力となるまで上昇させて位置決めを実行する前記積載昇降制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の薄膜部材取出装置において、
前記粗位置決めされた前記積載部材を前記圧力検出部材が予め設定された圧力となるまで上昇させて仮位置決めを実行し、前記仮位置決めされた前記積載部材を予め設定された上昇量だけ上昇させて前記薄膜部材を前記吸引部に押し当てて最終位置決めを実行する前記積載昇降制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の薄膜部材取出装置において、
前記粗位置決めされた前記積載部材を、前記薄膜部材の厚みに基づく移動量ずつ上昇させて前記仮位置決めを実行する前記積載昇降制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項6ないし8のいずれかに記載の薄膜部材取出装置において、
透明材料で構成された前記薄膜部材の前記切れ込みが形成された一辺が揃えられた状態で積載された前記薄膜部材に対して、光を照射して、前記切れ込みが形成された一辺側の縁を検出する前記薄膜検出部材、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合と比べて、捌きにくい切れ込みが形成された薄膜部材を一枚ずつ分離して取り出すことができる。
請求項3記載の発明によれば、圧力を検出することで薄膜部材の空検知を行なうことができる。
請求項4、5記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、切れ込みで一辺側と他辺側で厚みが異なっても最上面を水平に近づけることができ、薄膜部材を湾曲させやすく、捌きやすくすることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、切れ込みで最上面の位置がばらつきやすい薄膜部材の位置を精度良く位置出しすることができる。
請求項7記載の発明によれば、薄膜部材と吸引部とを上昇量に応じた一定の圧力で押し当てることができ、押し当てられていない場合と比べて、吸引部と薄膜部材との滑りを低減でき、確実に捌くことができる。
請求項8記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、精度を向上しつつ高速で位置出しを行なうことができる。
請求項9記載の発明によれば、切れ込みが形成されていない側で検出する場合に比べて、精度良く検出を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1の薄膜部材捌き装置が使用されて組み立てられる交換容器が使用される画像形成装置の一例としてのプリンタの斜視図である。
図2は図1に示すプリンタにおいて、サイドカバーが開放された状態の説明図である。
図1、図2において、本発明の画像形成装置の実施例1のフルカラーデジタルプリンタUは、画像形成装置本体U1を有する。前記画像形成装置本体U1の下部には、画像形成が表面に記録される媒体が収容される媒体供給部の一例としての給紙トレイTR1が、前後方向に抜き差し可能に支持されている。前記画像形成装置本体U1の上面には、画像が形成された媒体が排出される媒体排出部の一例としての排出トレイTRhが形成されている。前記画像形成装置本体U1の右側面には、新規現像剤の補給や排気現像剤が回収された交換容器の一例として、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の4色のトナーカートリッジTCy,TCm,TCc,TCkの交換を行う際に開閉される容器交換用開閉部材の一例としてのサイドカバーU2が後端を中心として開閉可能に支持されている。
【0020】
図3は図1に示すプリンタにおいて使用されるトナーカートリッジの斜視図である。
図4は図3に示すトナーカートリッジの説明図であり、図4Aは平面図、図4Bは図4Aの矢印IVB方向から見た図、図4Cは図4AのIVC−IVC線断面図、図4Dは図4AのIVD―IVD線断面図、図4Eは図4AのIVE―IVE線断面図、図4Fは図4BのIVF―IVF線断面図である。
次に、前記プリンタUで使用されるトナーカートリッジTCy〜TCkの説明をするが、各色のトナーカートリッジTCy〜TCkは同様に構成されているので、黄色用のトナーカートリッジTCyについて説明し、その他の色のトナーカートリッジTCm,TCc,TCkについては説明を省略する。
【0021】
図3、図4において、前記トナーカートリッジTCy〜TCkは、水平方向の幅が鉛直方向の高さに比べて大きな扁平状の概略直方体形状に形成されている。前記トナーカートリッジTCy〜TCkは、画像形成装置本体U1から排出された廃棄現像剤が内部に収容される前側の廃棄現像剤収容部1と、画像形成装置本体U1での画像形成により現像剤が消費された場合に補給される現像剤が内部に収容された後側の補給現像剤収容部2と、前記廃棄現像剤収容部1と補給現像剤収容部2との間を仕切る仕切壁3とを有する。
【0022】
前記廃棄現像剤収容部1の内部には、廃棄現像剤が収容される廃棄現像剤収容空間1aが形成されている。前記廃棄現像剤収容部1の前端面の左側上部には、画像形成装置本体U1に装着された場合に、廃棄現像剤が搬送されてくる図示しない廃棄現像剤搬送路が貫通して接続される廃棄側流入口1bが形成されている。したがって、画像形成装置本体U1の動作に伴って廃棄された廃棄現像剤は、廃棄現像剤搬送路を搬送され、廃棄側流入口1bを介して廃棄現像剤収容空間1aに廃棄される。また、前記廃棄側流入口1bには、廃棄現像剤搬送路が離脱した場合に、廃棄側流入口を塞いで内部の廃棄現像剤が漏れ出すことを防止するための流入口閉塞部材の一例としての流入口シャッタ1cが支持されている。前記流入口シャッタ1cは、弾性部材の一例としてのコイルバネ1dにより常時閉塞する方向に押されており、廃棄現像剤搬送路が接続される際に、廃棄現像剤搬送路の先端に押されて廃棄現像剤収容空間1a内側に移動する。
また、廃棄現像剤収容部1の前端部右側には、トナーカートリッジTCy〜TCkを利用者が把持して操作するための操作部1eが設けられている。
【0023】
前記補給現像剤収容部2の内部には、補給現像剤が収容される補給現像剤収容空間2aが形成されている。前記補給現像剤収容容器2の後端部の左下側には、画像形成装置本体U1に装着された場合に、画像形成装置本体U1側の図示しない流入口が接続して、補給現像剤収容空間2aに収容された現像剤を流出させる補給側流出口2bが形成されている。前記補給側流出口2bの外側には、画像形成装置本体U1からトナーカートリッジTCyが取り外される際に、補給側流出口2bを塞ぐために、流出口閉塞部材の一例としての流出口シャッタ2cが前後方向に移動可能に支持されている。
【0024】
前記補給現像剤収容部2の後端壁2dには、被駆動伝達部材の一例としての被駆動ギア4が回転可能に支持されている。前記被駆動ギア4は、トナーカートリッジTCyが画像形成装置本体U1に装着された状態で、画像形成装置本体U1の図示しない駆動伝達部材に噛み合って駆動が伝達される。
図4C〜図4Fにおいて、前記補給現像剤収容部2の内部には、前後方向に延びる現像剤搬送部材の一例としてのアジテータ6が配置されている。前記アジテータ6の前端は、仕切壁3に形成された凹み状の一端支持部3aにより回転可能に支持されている。前記アジテータ6の後端は、補給現像剤収容部2の後端壁2dに支持された被駆動ギア4に連結されており、被駆動ギア4に駆動が伝達されると一体的に回転する。
【0025】
図5はトナーカートリッジで使用されるアジテータの回転軸の説明図であり、図5Aは斜視図、図5Bは図5Aの矢印VB方向から見た側面図である。
図3、図4において、前記アジテータ6は、前後方向に延びる回転軸7と、回転軸7に支持された搬送部材本体の一例であって薄膜部材の一例としてのフィルム部材8とを有する。図5において、前記回転軸7は、前後方向に延びる四角柱状の回転軸本体7aを有する。図5において、前記回転軸本体7aの一側面には、現像剤を撹拌するための複数の撹拌部7bが外方に突出して形成されている。前記撹拌部7bとは異なる回転軸本体7aの一側面には、搬送部材本体位置決め部の一例として、2つのフィルム位置決め凸部7cが形成されている。前記フィルム位置決め凸部7cの前後両側には、茸型の形状に形成された搬送部材本体固定部の一例としてのフィルム固定部7dが形成されている。
【0026】
図6は実施例1のアジテータの搬送部材本体の一例としてのフィルム部材の説明図である。
図6において、前記フィルム部材8は、多角形の一例としての長方形の薄膜状のフィルム本体8aを有する。なお、実施例1では、厚さ100μm程度のPET:ポリエチレンテレフタレート製のフィルムを使用している。フィルム本体8aの回転軸7に支持される基端部には、前記回転軸7の2つのフィルム位置決め凸部7cの配置位置に対応して、位置決め孔8b、8cが形成されている。前記位置決め孔8b、8cは、位置決めするために、一方が丸孔8bで構成され、他方が長孔8cにより構成されている。
【0027】
前記位置決め孔8b、8cの両側には、前記フィルム固定部7dの配置位置に対応して、被固定孔8dが形成されている。前記被固定孔8dは、スリットの中央部に丸孔が設けられた形状に形成されており、フィルム固定部7dの貫通時に弾性変形して通過すると共に、通過後にはフィルム固定部7dの茸状の先端部により抜け止めがされる。なお、前記位置決め孔8b、8cおよび被固定孔8dとフィルム位置決め凸部7c、フィルム固定部7dは、フィルム部材8が表裏逆に回転軸7に装着されないように、位置決め孔8b、位置決め孔8c、被固定孔8dどうしの軸方向の配置間隔が全て異なる間隔となるように設定されている。すなわち、回転軸7とフィルム部材8との誤組み立てを防止するために、位置決め孔8b、8cおよび被固定孔8dとフィルム位置決め凸部7c、フィルム固定部7dが配置されている。
【0028】
前記フィルム本体8aの自由端部側の縁部、すなわち、長方形状のフィルム本体8aの自由端側の一辺には、補給側流出口2b側である後側に向けて傾斜する主搬送切込部11が、所定の間隔をあけて、複数形成されている。前記主搬送切込部11の基端側端部には、使用中に切込が成長しないようにするため、丸孔状の切込成長防止部11aが形成されている。前記主搬送切込部11の間には、複数の副搬送切込部12が形成されている。前記副搬送切込部12は、補給側流出口2bから離れるほど大きな切込となるように形成されている。すなわち、補給現像剤収容空間2aに収容された現像剤を補給側流出口2bに向けて効率的に搬送可能とするために、副搬送切込部12は、補給側口2bから離れるほど切込が大きくなるように形成されている。
【0029】
前記フィルム本体8aの回転軸7の軸方向に沿って、補給側流入口2bに対応する位置には、詰まり防止部13が設けられている。実施例1の詰まり防止部13は、回転軸7の径方向に沿って形成された一対の切込部13aにより囲まれた部分により構成されており、詰まり防止部13の切込部13aの基端側端部にも切込成長防止部13bが形成されている。前記詰まり防止部13は、回転軸7の回転に伴って周期的に補給側流出口2bに進入して、補給側流入口2bに付着した現像剤を崩す。すなわち、重力方向から傾斜した側方に排出される補給側流入口2bでの現像剤の詰まりを防止して、供給を安定化させるために、詰まり防止部13が設けられている。
したがって、実施例1のフィルム部材8には、自由端側である一辺側に、切れ込みの一例として、主搬送切込部11、副搬送切込部12および切込部13aが形成されている。
【0030】
なお、回転時に現像剤から受ける力により切込が成長して破損することを防止するために、大きな力が作用しやすい切込が大きな主搬送切込部11および詰まり防止部13には、切込成長防止部11a,13bが形成されている。
また、図4Dに示すように、実施例1では、フィルム本体8aは、撓んだ状態で補給現像剤収容空間2aの内周面に接触しながら回転するような自由長に設定されている。また、詰まり防止部13は、撓んだ状態で補給現像剤収容空間2aの内周面に接触しながら回転すると共に、他のフィルム本体8aよりも自由長が短く形成されている。
【0031】
(薄膜部材取出装置の説明)
図7は本発明の薄膜部材取出装置の実施例1のフィルム取出装置の全体説明図であり、フィルム捌き装置が上昇位置に移動し且つフィルム搬送装置が取出初期位置に移動した状態の説明図である。
図8は実施例1のフィルム取出装置の全体説明図であり、フィルム捌き装置が図7に示す状態から下降位置に移動した状態の説明図である。
図9は実施例1のフィルム取出装置の全体説明図であり、図7に示す状態からフィルム搬送装置が取出位置に移動した状態の説明図である。
図7〜図9において、実施例1の薄膜部材取出装置の一例としてのフィルム取出装置FTは、薄膜部材昇降装置の一例としてのフィルム昇降装置FT1と、薄膜部材捌き装置の一例としてのフィルム捌き装置FT2と、薄膜部材搬送装置の一例としてのフィルム搬送装置FT3とを有する。
【0032】
(フィルム昇降装置の説明)
図7〜図9において、前記フィルム昇降装置FT1は、昇降装置本体の一例としての板状のベース部材21と、ベース部材21から下方に延びる脚部22とを有する。前記ベース部材21の上面の左右方向中央前部には、収容容器支持部材の一例としてのカートリッジ装着部材23が左右で合計2組支持されている。前記各装着部材23は、前後方向の延びる左右一対の案内部の一例としてのガイドレール23aと、ガイドレール23aの後端に支持された停止部23bとを有し、前記各装着部材23には、薄膜部材収容容器の一例としてのフィルムカートリッジ24が着脱可能に支持される。なお、実施例1では、左右両側の前記フィルムカートリッジ24は、右側と左側とで前後逆向きの状態で装着される。なお、以下のフィルムカートリッジ24の説明において、左右に装着されるフィルムカートリッジ24は、装着される際の方向が異なるだけで、同様に構成されているため、左側のフィルムカートリッジ24について詳細に説明し、右側のフィルムカートリッジ24については詳細な説明を省略する。
【0033】
図10は実施例1の薄膜部材収容容器の一例としてのフィルムカートリッジの説明図であり、図10Aは斜視図、図10Bは図10Aの矢印XB方向から見た図、図10Cは図10AのXC−XC線断面図である。
図7〜図10において、前記フィルムカートリッジ24は、収容部の一例として、上方が開放された箱状の容器本体26を有し、容器本体26の内部に薄膜部材収容空間の一例としてのフィルム収容空間26aが形成されている。図10において、前記容器本体26には、底部から側方に張り出して前記ガイドレール23aに案内される被案内部の一例としての被ガイド部27が形成されている。図10B、図10Cにおいて、前記容器本体26の底部には、フィルム収容空間26aの前後方向の長さおよび左右方向の幅よりも小さい大きさであり、上下方向に貫通する四角形状の開口である昇降部材通過口26bが形成されている。
【0034】
前記容器本体26の前後両側壁28,29には、気体通過口の一例として、前後方向に貫通し且つ上下方向に延びる長孔状のエア通過長孔28a,29aが形成されている。また、前記容器本体26の左右両側壁31,32には、前後方向中央部に、気体通過口の一例として左右方向に貫通し且つ上方から下方に延びるU字状のエア通過U溝31a,32aが形成されている。なお、実施例1のエア通過U溝31a,32aは、気体通過口の機能の他にも、フィルム収容空間26aにフィルム部材8を収容、取り出す際に作業者がフィルム部材8を取り扱うための開口としての機能や、後述する底板36の保守・点検作業、いわゆるメンテナンス作業を行うための開口としての機能も有する。前記エア通過U溝31a,32aの前後両側には、気体通過口の一例として、側壁31,32を左右方向に貫通し且つ上下方向に延びる長孔状のエア通過長孔31b,32bが形成されている。
【0035】
図11はフィルムカートリッジを上方から見た状態の説明図であり、図11Aはフィルムカートリッジにフィルム部材が収容されていない状態の説明図、図11Bはフィルムカートリッジにフィルム部材が収容された状態の説明図である。
図10Aにおいて、前記前壁28、後壁29および右側壁31には、上端面から上方に突出する落下薄膜部材用案内体の一例として、落下フィルム用ガイド突起33が形成されている。前記落下フィルム用ガイド突起33は、図10Cに示すように、案内面の一例として、フィルム収容空間26a側に向けて傾斜するガイド面33aが形成されている。
図7〜図11において、前記フィルムカートリッジ24の左壁32の上端部には、薄膜押さえ部材の一例として、フィルム収容空間側26a側に突出する押さえ爪34が支持されている。
【0036】
図12はフィルム収容空間に収容されたフィルムの検知を行なう状態の説明図である。
図10C、図11A、図12において、前記フィルム収容空間26aの底部には、フィルム部材8が積載される積載部材の一例としての底板36が、フィルム収容空間26a内を上下方向に移動可能な状態で支持されている。前記底板36の大きさは、フィルム収容空間26aの長さ×幅よりも小さく且つ、昇降部材通過口26bの長さ×幅よりも大きな形状に形成されている。前記底板36には、昇降部材通過口26bに対応する位置に、気流自由部の一例としての上下方向に貫通する複数の孔を有する網状部の一例として、メッシュ部36aが形成されている。
【0037】
また、図10C、図11A、図12において、前記底板36には、前記押さえ爪34が配置された側とは逆側である右部に、嵩上げ部材37が支持されている。実施例1の嵩上げ部材37は、弾性部材の一例としての発泡性のウレタン材、いわゆるウレタンスポンジにより構成されており、右側に行くほど高さが高くなるように段差状に形成されている。前記図11Aにおいて、前記嵩上げ部材37は、右側壁31に形成されたエア通過U溝31aおよびエア通過長孔31bを避ける形で配置されている。すなわち、前側のエア通過長孔31bとエア通過U溝31aの間と、後側のエア通過長孔31bとエア通過U溝31aの間に、嵩上げ部材37が配置されている。
【0038】
図11B、図12において、実施例1のフィルムカートリッジ24では、底板36上に複数のフィルム部材8が積載される。このとき、フィルム部材8の主搬送切込部11、副搬送切込部12、切込部13aが形成された側の一辺が左側、すなわち押さえ爪34側に配置され、切れ込みが形成されていない側の他辺が右側、すなわち嵩上げ部材37側に配置されるように、フィルム部材8がフィルム収容空間26aに収容される。
したがって、図12に示すように、複数のフィルム部材8が積載された状態では、切れ込み部分がばらけたり、切れ込み部分の成形時に発生する屑、いわゆるバリにより、左側の高さが右側に比べて高くなることに対応して、最も上のフィルム部材8が水平に近い状態で配置されるように、押さえ爪34および嵩上げ部材37が配置されている。
【0039】
図7〜図9、図10Cにおいて、前記ベース部材21には、昇降部材通過口26bに対応して、下方に延びる積載部材昇降装置の一例としての底板昇降装置41が支持されている。実施例1の底板昇降装置41は、積載昇降部材の一例として、昇降部材通過口26bに対応してベース部材21に形成されたベース側通過口42を上下方向に通過可能な底板昇降レバー43を有する。図10Cにおいて、前記底板昇降レバー43の下部には歯車部の一例としてのネジ溝43aが形成されており、前記ネジ溝43aには昇降制御歯車の一例としての昇降制御ギア44が噛み合っている。前記昇降ギア44には、積載部材用昇降駆動源の一例としての底板昇降モータ45からの駆動が伝達され、底板昇降モータ45が駆動することで、昇降レバー43が上下方向に移動し、底板36を昇降させる。
【0040】
なお、実施例1では、昇降制御ギア44が一回転した場合の昇降レバー43が上下方向に移動する移動量、いわゆる1ピッチが、フィルム部材8の1枚分の厚みに対応するようにネジ溝43aおよび昇降制御ギア44が形成されている。そして、底板昇降モータ45は、1ピッチに対応する回転量を1単位として回転する微調整回転と、連続的に回転する粗調整回転の2つの回転が可能なモータにより構成されている。このようなモータとしては、例えば、従来公知のステッピングモータを採用することが可能である。
【0041】
図7〜図9において、前記装着部材23の左右方向外側には、各カートリッジ装着部材23に対応して配置された薄膜検出部材の一例としてのフィルムセンサ46が支持されている。前記フィルムセンサ46は、検知部材本体の一例としての上方に延びる板状のセンサ支持部材46aと、センサ支持部材46aのカートリッジ装着部材23側の面に支持された検査光を照射する発光および反射された検査光を受光する受光部とを有する照受光一体部46bとを有する。すなわち、実施例1のフィルムセンサ46は、照受光一体型センサであって、検査光の受光強度に基づいて検知を行なう光センサにより構成されている。なお、実施例1では、前記フィルムセンサ46は、検査光が、左側壁32のエア通過U溝32aの位置を通過するように設定されており、図12に示すように、照受光一体部46bから照射された検査光は、押さえ爪34の基端部に対応するエア通過U溝32aの上端の検査位置P1に、フィルム部材8がある場合には、検査位置P1のフィルム部材8の縁で反射して、照受光一体部46bで受光することでフィルム部材8を検出する。
【0042】
(フィルム捌き装置の説明)
図7〜図9において、前記ベース部材21の後端部の左右方向両端部には、捌き装置案内部材の一例として、上方に延びる左右一対のガイド部材51が支持されている。また、前記ガイド部材51の内側には、フィルム捌き装置FT2の吹出し部昇降装置の一例としての捌きユニットエレベータ52が支持されている。前記捌きユニットエレベータ52は、上下方向に延びるエレベータ本体52aと、エレベータ本体52aに上下方向に沿って移動可能に支持された昇降部52bとを有する。なお、実施例1の捌きユニットエレベータ52は、いわゆるエアシリンダにより構成されており、エアの供給の制御により昇降部52bが上下方向に昇降するように構成されている。
【0043】
前記昇降部52bには、捌き装置本体の一例として、板状の捌きユニットベース53が支持されている。前記捌きユニットベース53は、左右方向の幅が、左右一対のフィルムセンサ46どうしの幅よりも短く形成されており、後端部の左右方向中央部で前記昇降部52bに支持されている。前記捌きユニットベース53の後端部の左右方向両端部には、ガイド部材51が貫通して案内される被案内部の一例としての被ガイド貫通孔54が形成されている。前記捌きユニットベース53の前部には、フィルムカートリッジ24の位置に対応して、収容部通過部の一例としてのカートリッジ通過口56,57が左右一対形成されている。前記捌きユニットベース53の下面には、下降位置停止部材の一例として、下方に突出する捌き脚部58が支持されている。
【0044】
図7〜図9において、前記ユニットベース53の上面には、気体吹出し部材の一例として、カートリッジ通過口56,57を囲むようにエア吹出し部材61が支持されている。前記エア吹出し部材61は、気体吹出し部の一例として、複数のエア吹出し部61a〜61gを有する。すなわち、前記左側のフィルムカートリッジ24に対応する左側のカートリッジ通過口56の前側には、前壁28のエア通過長孔28aに対応する吹出し口の一例としてのノズル62aを有する左前側気体吹出し部61aが配置されており、左側カートリッジ通過口56の後側には、後壁29のエア通過長孔29aに対応するノズル62bを有する左後側気体吹出し部61bが配置されている。同様に、右側のカートリッジ通過口57の前側および後側には、右側のフィルムカートリッジ24のエア通過長孔28a,29aに対応するノズル62c,62dを有する右前側気体吹出し部61cおよび右後側気体吹出し部61dが配置されている。また、各カートリッジ通過口56,57の左右方向外側には、フィルムカートリッジ24のエア通過U溝32aおよびエア通過長孔32bに対応するノズル62e,62fを有する1方向吹出し部の一例としての左側気体吹出し部61eおよび右側気体吹出し部61fが配置されている。前記カートリッジ通過口56,57の間には、フィルムカートリッジ24のエア通過U溝31aおよびエア通過長孔31bに対応するノズル62gを有する二方向吹出し部の一例としての中央側気体吹出し部61gが配置されている。
【0045】
図13は気体吹出し部を組み立てる工程の説明図であり、図13Aは右側気体吹出し部および左側気体吹出し部の説明図、図13Bは中央側気体吹出し部の説明図である。
図13において、実施例1の右側気体吹出し部61e、左側気体吹出し部61f、中央側気体吹出し部61gは、共に、共通吹出し部材の一例としての共通吹出し片66を有する。前記共通吹出し片66は、内部に、前後方向に貫通して形成され気体が供給される供給路66aと、供給路66aから分岐する第1の分岐路の一例としての第1吹出し路66bと、第1吹出し路66bの気体移送方向下流端に形成された第1の吹出し口の一例としての各ノズル62e〜62gとが形成されており、供給路66aの第1吹出し路66bが分岐する側とは逆側の面の一部または全体が外部に開放された供給路開放部66cが形成されている。
【0046】
図13Aにおいて、右側気体吹出し部61eおよび左側気体吹出し部61fでは、前記供給路開放部66cには、気密部材の一例としてのシール67を介して、供給路開放部66cを閉塞する開放部閉塞部材の一例としての閉塞蓋68が装着される。また、供給路66aの他端側には、閉塞部材の一例としての封止栓69が装着されている。したがって、右側気体吹出し部61eおよび左側気体吹出し部61fでは、供給路66aから供給された気体は、各第1の吹出し路66bを流れてノズル62e,62fから吹付けられる。
図13Bにおいて、中央側気体吹出し部61gでは、供給路開放部66cには、気密部材の一例としてのシール70を介して、第2吹出し形成部材の一例としての追加吹出し片71が装着される。前記追加吹出し片71は、供給路開放部66cに装着された状態で第1吹出し路66bとは逆側の方向に延び且つ供給路66aから分岐する第2の分岐路の一例としての第2吹出し路71aと、第2吹出し路71aの気体移送方向下流端に形成された第2の吹出し口の一例としてのノズル62gと、を有する。なお、前記シール70には、第2吹出し路71aを塞がないように、複数の通気口70aが形成されている。したがって、中央側気体吹出し部61gでは、供給路66aから供給された気体は、各吹出し路66b、71aを流れて、ノズル62gから吹付けられる。
【0047】
図7〜図9において、実施例1では、左後側気体吹出し部61bに接続部材の一例としての柔軟チューブ72を介して、気体供給装置の一例としてのエア供給装置73が接続されており、左後側気体吹出し部61bに供給された気体は、接続路74を介して右後側気体吹出し部61dおよび中央側気体吹出し部61gに気体が供給されると共に、中央側気体吹出し部61gから接続路74を介して、左前側気体吹出し部61aおよび右前側気体吹出し部61cに気体が供給されるように構成されている。また、前記左側気体吹出し部61eおよび右側気体吹出し部61fも柔軟チューブ72を介してエア供給装置73に接続されており、気体が供給される。
【0048】
したがって、実施例1のフィルム捌き装置FT2では、捌きユニットエレベータ52が昇降することで、捌きユニットベース53が、図7に示す上方の上昇位置と、図8に示す下方の下降位置との間を移動する。この移動に伴って、気体吹出し部材61は、フィルムカートリッジ24に対して上下方向に移動する。なお、実施例1の前記捌き脚部58の下端には、下降位置検出部材の一例としての接触式の下降位置検出センサが支持されており、捌き脚部58がベース部材21の表面に接触すると、捌きユニットベース53が下降位置に移動したことを検出する。また、ガイド部材51の上端部51aには、上昇位置検出部材の一例としての接触式の上昇位置検出センサが支持されており、捌きユニットベース53の上面が接触すると、捌きユニットベース53が上昇位置に移動したことを検出する。すなわち、前記上昇位置検出センサと、下降位置検出センサとからなる吹出し位置検出部材の一例としての吹出し位置検出センサにより、気体吹出し部61a〜61gの位置が検出される。
【0049】
(フィルム搬送装置の説明)
図7〜図9において、実施例1のフィルム搬送装置FT3は、ベース部材21の右方に配置され且つ前後方向に延びて、フィルム取出装置FTで取り出されたフィルム部材8が搬送されて、回転軸7に組付けられる図示しないフィルム組付け装置まで延びる搬送用移動装置81を有する。前記搬送用移動装置81には、搬送用移動装置81により搬送方向である前後方向に移動可能に支持され且つ上方に延びる搬送用昇降装置であってフィルム部材8に対して後述する吸着パッドを接触、離間させる方向に移動させる接離方向移動部材の一例としての搬送用昇降エレベータ82が支持されている。
【0050】
前記搬送用昇降エレベータ82には、搬送用昇降エレベータ82により上下方向に移動可能な搬送用進退装置の一例としての搬送用進退ユニット83が支持されている。前記搬送用進退ユニット83には、搬送用進退ユニット83により、図7、図8に示す退避位置と図9に示す進入位置との間で、左右方向に進退移動可能な捌き取出装置の一例としての捌き取り出しユニット84が支持されている。なお、実施例1の搬送用昇降エレベータ82および搬送用進退ユニット83は、前記捌きユニットエレベータ52と同様にエアシリンダにより構成されている。
【0051】
図14は実施例1の吸着捌き機構の説明図であり、図14Aは要部断面側面図、図14Bは図14AのXIVB−XIVB線断面図である。
図7〜図9において、前記捌き取り出しユニット84は、板状の取出ユニット本体86を有する。図7〜図9において、前記取出ユニット本体86の下面には、2つのフィルムカートリッジ24に対応して、左右一対の吸着捌き機構収容部87が支持されている。図14において、各吸着捌き機構収容部87は、中空の箱状に形成されており、吸着捌き機構収容部87の内部には、取出ユニット本体86の内部に支持された吸着捌き用駆動源の一例として吸着捌き用モータ88から駆動が伝達される吸着捌き用駆動歯車の一例としての吸着捌き用ギア89が支持されている。
【0052】
図14Bにおいて、前記吸着捌き機構収容部87の底壁87aには前後方向に延びる前後一対の開口87bが形成されている。前記底壁87aには、前側の開口87bの左側および後側の開口87bの右側に、案内部材の一例として、上方に延びる前後2対のガイドピン91が支持されている。また、前記吸着捌き機構収容部87内には、吸着捌き用ギア89を挟んで左右両側に、捌き方向移動部材の一例としてのラック92が配置されている。前記各ラック92は、前後方向に延びる歯車部の一例としてのギア部92aを有し、前記ギア部92aの吸着捌き用ギア89側には、吸着捌き用ギア89に噛み合う噛み合い部の一例としてのギア歯92bが形成されている。前記ギア部92aには、前記ガイドピン91が貫通すると共に、ガイドピン91により前後方向に移動可能に支持される被案内部の一例としての被ガイド長孔92cが形成されている。前記ギア部92aの前後方向外端部には、開口87b側に延びる取出部材支持部92dが形成されている。
【0053】
図14A、図14Bにおいて、前記取出部材支持部92dの下面には、開口87bを通して下方に延びる取出部材93が支持されている。前記取出部材93は、取出部材支持部92dに支持されて一体的に前後方向に移動する基部94を有する。図14Aにおいて、前記基部94の下面には、下方に延びる筒状の伸縮保持部96が支持されている。前記伸縮保持部96の内部には、上下方向に延びる筒状の空間である伸縮許容部96aが形成されており、下端には伸縮許容部96aよりも内径の小さい脱落防止部の一例としてのストッパ96bが形成されている。
【0054】
前記伸縮保持部96には、取出部本体97が支持されている。前記取出部本体97は、上下方向に移動可能な状態で伸縮許容部96a内に収容された円柱状の被支持部97aと、被支持部97aの下端に一体的に形成され且つ被支持部97aよりも大径の吸着支持部の一例としてのパッド支持部97bとを有する。前記被支持部97aの上端部には、被脱落防止部の一例として、ストッパ96bに対応する大径の被ストッパ97cが形成されている。
図14Aにおいて、パッド支持部97bの内部には、パッド支持部97bの側面と、パッド支持部97bの下端の吸引口97dと接続するL字形状に折れ曲がった吸引路97eが形成されている。
【0055】
図14Aにおいて、前記各パッド支持部97bの下面には、吸引部の一例としての吸着パッド98が支持されている。なお、実施例1の前後一対の吸着パッド98では、前側の吸着パッド98Fの外形は、後側の吸着パッド98Rの外形に比べて、小さく形成されている。前記各吸着パッド98には、吸引口97eに接続される吸着口98aが形成されている。
図7〜図9、図14Aにおいて、前記パッド支持部97bの側面には、吸引接続部材の一例としての柔軟チューブ99が接続されており、柔軟チューブ99は、薄膜部材吸引源の一例としてのエア吸引装置101に接続されている。なお、柔軟チューブ99の途中には、柔軟チューブ99で吸引する気体の圧力を検出する圧力検出部材の一例としての図示しない圧力センサが配置されている。
【0056】
前記パッド支持部97bの上面とストッパ96bの下面との間には、弾性部材の一例としての圧縮バネ102が装着されており、圧縮バネ102の弾性力によりストッパ96bからパッド支持部97bが離れる方向の力が作用している。したがって、取出部材本体97は伸縮保持部96に対して、上下方向に移動可能に支持されており、基部94と吸着パッド98の下端との間隔が伸縮可能に支持されている。
【0057】
図15は実施例1の吸着パッドとフィルム部材や底板との位置関係の説明図であり、図15Aは吸着パッドとフィルム部材の位置関係の説明図、図15Bは吸着パッドと底板との位置関係の説明図である。
したがって、実施例1のフィルム搬送装置FT3では、搬送用移動装置81および搬送用進退ユニット83を作動させることで、吸着パッド98をフィルムカートリッジ24の上方でフィルム部材8の束の最上面から離間した上昇離間位置に移動させることができる。そして、搬送用昇降エレベータ82を作動させることで、吸着パッド98がフィルムカートリッジ24に積載されたフィルム部材8に接触する取出位置に移動させることが可能となっている。
【0058】
このとき、図15Bに示すように、実施例1では、吸着パッド98は、積載されたフィルム部材8に対して、実線で示すようにフィルム部材8の短手方向中央部で長手方向の中央外寄りの位置で接触するように設定されている。特に、実施例1では、吸着パッド98は、図15Bの実線で示すように、フィルム部材8の切れ込みの位置を避けて、すなわち、切れ込みが形成されていない場所に接触するように設定されている。
なお、図15Aに示すように、フィルム部材8が空の状態では、吸着パッド98は、底板36のメッシュ部36aに接触するように設定されている。また、実施例1では、底板36の上下反対側に配置される前記吸着パッド98と底板昇降レバー43とは、ずれた位置となるように設定されており、吸着パッド98がメッシュ部36aに接触した状態で吸引が行なわれると、メッシュ部36aを通じて、大気が吸着パッド98から吸引されるように設定されている。
【0059】
そして、エア吸引装置101でエアを吸引することで、吸着パッド98にフィルム部材8が吸着される。この状態で、吸着捌き用モータ88が正逆回転駆動すると、吸着捌き用ギア89およびラック92を介して、吸着パッド98どうしが、図15Aの実線で示す吸着位置と破線で示す吸着捌き位置との間で互いに接近、離間する方向に移動し、フィルム部材8が捌かれる。
そして、搬送用移動装置81、搬送用昇降エレベータ82、搬送用進退ユニット83の作動により、吸着パッド98にフィルム部材8が吸着された状態で、図示しないフィルム組付け装置の治具台に搬送され、回転軸7に組付けられる。
【0060】
(実施例1の制御部の説明)
図16は実施例1のフィルム取出装置における制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
図16において、実施例1のフィルム取出装置FTの制御部Cは、いわゆる、マイクロコンピュータにより構成されており、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/Oである入出力機器、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶された記憶装置ROM,HDDや、必要なデータを一時的に記憶するための一次記憶装置RAM、前記記憶装置ROM,HDD,RAM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置CPU、ならびに回路の同期を取るための周期的信号、いわゆるクロックを発振する図示しない発振器等を有する。
図16において、前記構成のフィルム取出装置FTは、前記記憶装置の一例であるリードオンリーメモリーROMやハードディスクHDDや一次記憶装置の一例であるランダムアクセスメモリーRAM等に記憶された画像形成プログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0061】
(前記制御部Cに接続された信号入力要素)
前記制御部Cには、操作部U1やフィルムセンサ46、上昇位置検出センサSN1、下降位置検出センサSN2、圧力センサSN3、その他の信号出力要素等の出力信号が入力されている。
U1:操作部
図16において、前記操作部U1は、画像が表示される表示部U1aや、各種入力を行うための入力釦U1b〜U1d等を備えている。なお、前記表示部U1aとしては、例えば、液晶ディスプレイを使用可能である。前記入力釦としては、エアを吹付けて捌くエア捌き動作を開始するためのエア捌き開始キーU1bや、フィルムカートリッジ24の底板36に積載されたフィルム部材8の最上面の位置を予め設定された位置に移動させるフィルム位置設定動作を開始するためのフィルム位置設定開始キーU1c、フィルムカートリッジ24からフィルム部材8を取り出して搬送するフィルム取出動作を開始するためのフィルム取出開始キーU1d、やその他のキー、いわゆるテンキーや矢印キー等がある。
46:フィルムセンサ
フィルムセンサ46は、フィルムカートリッジ24に収容されたフィルム部材8が検査位置P1にあるか否かを検出する。
【0062】
SN1:上昇位置検出センサ
上昇位置検出センサSN1は、エア吹出し部材61を支持する捌きユニットベース53が上昇位置に移動したことを検出する。
SN2:下降位置検出センサ
下降位置検出センサSN2は、エア吹出し部材61を支持する捌きユニットベース53が下降位置に移動したことを検出する。
SN3:圧力センサ
圧力センサSN3は、圧力パッド98から吸引されるエアの圧力を検出する。
【0063】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、次の被制御要素の制御信号を出力している。
D1:底板昇降モータ用制御回路
積載部材昇降用制御回路の一例としての底板昇降モータ用制御回路D1は、底板昇降モータ45の駆動を制御することで、底板36を昇降させる。
D2:捌き昇降制御回路
捌き昇降制御回路D2は、捌きユニットエレベータ52を制御することで、捌きユニットベース53やエア吹出し部材61を昇降させる。
D3:エア吹出し制御回路
気体吹出し制御回路の一例としてのエア吹出し制御回路D3は、エア供給装置73を制御することで、エア吹出し部材61からのエアの吹出しを制御する。
【0064】
D4:搬送用移動制御回路
搬送用移動制御回路D4は、搬送用移動装置81を制御して、吸着パッド98を前後方向である搬送方向に移動させる。
D5:搬送用昇降制御回路
搬送用昇降制御回路D5は、搬送用昇降エレベータ82を制御して、吸着パッド98を上下方向に移動させる。
D6:搬送用進退制御回路
搬送用進退制御回路D6は、搬送用進退ユニット83を制御して、吸着パッド98を左右方向である進退方向に移動させる。
【0065】
D7:吸着捌き用制御回路
吸着捌き用制御回路D7は、吸着捌き用モータ88を制御して、一対の吸着パッド98を互いに接近・離間する方向に移動させる。
D8:エア吸引制御回路
気体吸引制御回路の一例としてのエア吸引制御回路D8は、エア吸引装置101を制御して、吸着パッド98からのエアの吸引を制御し、フィルム部材8を吸着させる。
【0066】
(前記制御部Cの機能)
図16において、前記制御部Cは、前記各信号出力要素からの出力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を実現する機能実現手段、いわゆる、プログラムモジュールを有している。前記制御部Cの各種機能を実現する機能実現手段を次に説明する。
C1:昇降装置制御手段
積載昇降制御手段の一例としての昇降装置制御手段C1は、底板初期位置設定手段C11と、取出時底板上昇制御手段C12とを有し、フィルム昇降装置FT1を制御して、フィルムカートリッジ24に収容されたフィルム部材8の束の最上面の位置を調整したり、最上面のフィルム部材8が取り出される毎に底板36を上昇させて、次のフィルム部材8の位置を上昇させる。
【0067】
C11:底板初期位置設定手段
底板初期位置設定手段C11は、フィルム検知手段C11Aと、粗調整制御手段C11Bと、微調整調制御手段C11Cと、を有し、底板36を制御して、フィルム部材8の束の最上面のフィルム部材8の位置が予め設定された所定の初期位置に設定されるように移動させる。なお、実施例1では、前記初期位置は、最上面のフィルム部材8を吸着パッド98が吸着した状態での圧力が吸着した状態で保持、搬送が可能な予め設定された保持圧力以上になった位置から、底板36を20ピッチ、すなわち、フィルム部材8の20枚分の厚みに相当する量だけ上昇させて、フィルム部材8が吸着パッド98に押付けられる位置に設定されている。
【0068】
C11A:フィルム検知手段
フィルム検知手段C11Aは、フィルムセンサ46の検出信号に基づいて、検査位置P1でフィルム部材8が検出されたか否か、すなわち、フィルム部材8の束の最上面が検査位置P1に到達したか否かを検出する。
C11B:粗調整制御手段
粗調整制御手段C11Bは、粗調上昇到達判別手段C11B1と、粗調下降到達判別手段C11B2と、を有し、フィルム検知手段C11Aの検出結果に基づいて、底板昇降モータ45の粗調整駆動、すなわち、連続駆動を制御する。
【0069】
C11B1:粗調上昇到達判別手段
粗調上昇到達判別手段C11B1は、フィルム検知手段C11Aの検知結果に基づいて、底板昇降モータ45を粗調整駆動させて底板36を上昇中に、フィルム部材8の束の最上面が検査位置P1まで到達したか否かを判別する。すなわち、最上面のフィルム部材8の縁が検査位置P1に到達して、フィルムセンサ46で検出されたか否かを判別する。なお、実施例1では、粗調上昇到達判別手段C11B1により検査位置P1まで到達したと判別された場合、粗調整制御手段C11Bは、底板昇降モータ45を逆回転駆動させて、粗調整駆動で底板36を下降させる。
【0070】
C11B2:粗調下降到達判別手段
粗調下降到達判別手段C11B2は、フィルム検知手段C11Aの検知結果に基づいて、底板昇降モータ45を粗調整駆動させて底板36を下降中に、フィルム部材8の束の最上面が検査位置P1よりも下方に到達したか否かを判別する。すなわち、粗調整駆動で上昇中にフィルム部材8が検出された後に、底板昇降モータ45を停止させた場合に、停止までの回転で行きすぎ、いわゆるオーバーシュートした場合に、底板を粗調整駆動で下降させて、フィルム部材8が検査位置P1よりも下方に移動してフィルム46で検出されなくなったか否かを判別する。なお、実施例1では、粗調下降到達判別手段C11B2により検査位置P1よりも下方に移動したと判別された場合、粗調整制御手段C11Bは、底板昇降モータ45を停止させて、底板36の移動を停止させる。
【0071】
C11C:微調整制御手段
微調整制御手段C11Cは、微調位置到達判別手段C11C1と、押付け用上昇制御手段C11C2と、を有し、フィルム検知手段C11Aの検知結果に基づいて、底板昇降モータ45の微調整駆動、すなわち、1ピッチ単位で駆動を制御して、底板36を1ピッチ単位で昇降させる。
C11C1:微調位置到達判別手段
微調位置到達判別手段C11C1は、粗調下降到達判別手段C11B2の判別結果に基づいて、底板36の下降が停止した状態から、底板36を微調整駆動で上昇中に、底板36に積載されたフィルム部材8の最上面が予め設定された微調整到達位置に到達したか否かを判別する。実施例1の微調位置到達判別手段C11C1は、1ピッチずつ上昇中に、圧力センサSN3の検出結果に基づいて、吸着パッド98で吸引中の圧力が予め設定された閾値である保持圧力以下になったか否かを判別することで、フィルム部材8の最上面が微調整到達位置に到達したか否かを判別する。なお、実施例1では、微調位置到達判別手段C11C1により、微調整位置に到達したと判別された場合、微調整位置への移動を停止する。また、実施例1では、前記保持圧力は−45[kPa]に設定されているが、保持圧力の値は設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。
【0072】
C11C2:押付け用上昇制御手段
押付け用上昇制御手段C11C2は、微調整到達位置に移動した場合に、底板昇降モータ45を微調整駆動させて、予め設定された押付け用上昇量だけ底板36を上昇させる。実施例1の押付け用上昇制御手段C11C2は、微調整到達位置に移動した場合に、押付け用上昇量の一例として20ピッチ分だけ、底板36を微調整駆動で上昇させ、フィルム部材8の最上面と吸着パッド98との接触圧力を予め設定された捌き圧力以上にして、底板初期位置の設定を終了する。なお、なお、実施例1では、フィルム部材8の厚みは、前述のように、約100μm=0.1mmになっており、20ピッチで2mm上昇する。
C12:取出時底板上昇制御手段
取出時底板上昇制御手段C12は、吸着パッド98によりフィルム部材8の吸着、搬送が開始された場合に、フィルム部材8が1枚搬送される度に、底板昇降モータ45を制御して底板36を上昇させる。実施例1の取出時底板上昇制御手段C12は、フィルム部材8が1枚搬送される度に、フィルム部材8の1枚分の厚みに対応する1ピッチ分だけ、底板昇降モータ45を微調整駆動して、底板36をフィルム部材8の1枚分上昇させる。なお、実施例1では、フィルム部材8の厚みは、前述のように、約100μm=0.1mmになっており、1ピッチで0.1mm上昇する。
【0073】
C2:捌き装置制御手段
捌き装置制御手段C2は、気体吹出し制御手段の一例としてのエア吹出し制御手段C21と、昇降制御手段の一例としての吹出し部昇降制御手段C22と、昇降回数計数手段の一例としての昇降回数カウント手段C23と、捌き終了判別手段C24とを有し、フィルム捌き装置FT2を制御して、装着されたフィルムカートリッジ24に収容されたフィルム部材8の束に気体を吹付けて1枚ずつ分離して、捌く。
C21:エア吹出し制御手段
エア吹出し制御手段C21は、エア供給装置73を制御して、気体吹出し部61a〜61gからのエアの吹出しを制御する。
【0074】
C22:吹出し部昇降制御手段
吹出し部昇降制御手段C22は、上昇位置到達判別手段C22Aと、下降位置到達判別手段C22Bと、昇降方向切り替え制御手段C22Cと、を有し、捌きユニットエレベータ52を制御して、捌きユニットベース53に支持された気体吹出し部61a〜61gを昇降させる。すなわち、捌きユニットベース53を昇降させることで、フィルムカートリッジ24のエア通過長孔28a,29a,31b,32bやエア通過U溝31a,32aに沿って気体吹出し部61a〜61gを上下方向に移動させる。
C22A:上昇位置到達判別手段
上昇位置到達判別手段C22Aは、上昇位置検出センサSN1の検出結果に基づいて、捌きユニットベース53が図7、図9に示す吹出し部上昇位置に移動したか否かを判別する。
【0075】
C22B:下降位置到達判別手段
下降位置到達判別手段C22Bは、下降位置検出センサSN2の検出結果に基づいて、捌きユニットベース53が図8に示す吹出し部下降位置に移動したか否かを判別する。
C22C:昇降方向切り替え制御手段
昇降方向切り替え制御手段C22Cは、上昇位置到達判別手段C22Aおよび下降位置到達判別手段C22Bの判別結果に基づいて、捌きユニットエレベータ52の昇降方向を切り替える。実施例1の昇降方向切り替え制御手段C22Cは、エアの吹きつけによる捌き動作が実行中に、吹出し部上昇位置に移動したことが判別された場合に、移動方向を上昇方向から下降方向に切り替え、吹出し部下降位置に移動したことが判別された場合に、移動方向を下降方向から上方方向に切り替える。なお、実施例1の昇降方向切り替え制御手段C22Cは、エアの吹きつけが行なわれていない状態で吹出し部上昇位置に移動すると、昇降方向の切り替えを行なわずに停止し、エア捌き動作が終了する。
【0076】
C23:昇降回数カウント手段
昇降回数カウント手段C23は、気体吹出し部61a〜61gを昇降させた回数である昇降回数N1を計数、すなわちカウントする。なお、実施例1では、下降位置検出センサSN2で検出された回数を昇降回数N1として計数する。
C24:捌き終了判別手段
捌き終了判別手段C24は、予め設定された昇降を終了する回数である昇降終了回数Naを記憶する昇降終了回数記憶手段C24Aを有し、昇降回数カウント手段C23でカウントされた昇降回数と、昇降終了回数N1とに基づいて、吹出し部61a〜61gの昇降を終了して、捌き動作を終了するか否かを判別する。なお、実施例1では、昇降終了回数Naは、捌き時間30分間に相当する回数に設定されている。
【0077】
C3:搬送装置制御手段
搬送装置制御手段C3は、搬送用移動制御手段C31と、接離制御手段の一例としての搬送用昇降制御手段C32と、搬送用進退制御手段C33と、吸引装置制御手段C34と、フィルム取り出し制御手段C35とを有し、フィルム搬送装置FT3を制御して、取出部材93でフィルムカートリッジ24に収容されたフィルム部材8を1枚ずつ分離して吸引して、搬送する。
C31:搬送用移動制御手段
搬送用移動制御手段C31は、搬送用移動制御回路D4を介して搬送用移動装置81を制御し、吸着パッド98を搬送方向に移動させる。
【0078】
C32:搬送用昇降制御手段
搬送用昇降制御手段C32は、搬送用昇降制御回路D5を介して搬送用昇降エレベータ82を制御し、取出部材93を上下方向に昇降移動させる。
C33:搬送用進退制御手段
搬送用進退制御手段C33は、搬送用進退制御回路D6を介して搬送用進退ユニット83を制御して、取出部材93を進退方向である左右方向に移動させる。
C34:吸引装置制御手段
吸引装置制御手段C34は、エア吸引制御回路D8を介してエア吸引装置101を制御して、取出部材93でのフィルム部材8の吸着を制御する。なお、実施例1では、前記エア吸引装置101は、安定真空圧−75[kPa]で吸引するように設定されている。なお、実施例1の吸引装置制御手段C34は、吸着したフィルム部材8を取出部材93から離脱させる際に、正圧を付与、すなわち、大気圧よりも高い圧力を付与し、空気を吹き出して離脱、剥離させるように構成されている。
【0079】
C35:フィルム取り出し制御手段
フィルム取り出し制御手段C35は、空検知手段C35Aと、空告知手段C35Bと、吸着捌き制御手段C35Cと、を有し、取出部材93によるフィルムカートリッジ24からのフィルム部材8の取出を制御する。
C35A:空検知手段
空検知手段C35Aは、フィルムカートリッジ24内のフィルム部材8が空になったか否かを検知する。実施例1の空検知手段C35Aは、取出部材93の吸着パッド98がフィルム部材8の最上面に接触して吸着し、取り出す取出位置に移動させた状態で、エア吸引装置101でエアの吸引を行なった状態で、圧力センサSN3が保持圧力以下にならなかった場合に、フィルム部材8が空で、吸着パッド98が底板36のメッシュ部36bに接触して、メッシュ部36bの孔を通じて空気を吸引しており、圧力が大気圧のままで、保持圧力以下にならないものと判別する。
【0080】
C35B:空告知手段
空告知手段C35Bは、空検知手段C35Aでフィルム部材8が空であると判別された場合に、表示部U1aにフィルム部材8が空になったことを告知する画像を表示する。
C35C:吸着捌き制御手段
吸着捌き制御手段C35Cは、吸着捌き用制御回路D7を介して吸着捌き用モータ88を制御し、吸着パッド98どうしを接近、離間させる。すなわち、吸着パッド98に最上面のフィルム部材8を吸着した状態で、吸着パッド98どうしを接近、離間させることで、最上面のフィルム部材8と、その下に積載されているフィルム部材8とを分離させて、捌く。なお、実施例1の吸着捌き制御手段C35Cでは、各吸着パッド98の移動量は、吸着パッド98の半径よりも小さく設定されている。移動量が半径よりも小さくすることで、フィルム部材8を吸着した吸着パッド98とフィルム部材8との間の滑りが防止されると共に、捌きに必要な時間の短縮が図られている。
【0081】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1のフィルム取出装置FTの処理の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(エア捌き処理のフローチャートの説明)
図17は実施例1のフィルム取出装置でのエア捌き処理のフローチャートである。
図17のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、フィルム取出装置FTの制御部Cのハードディスク等に記憶されたエア捌きプログラムに従って行われる。また、この処理はフィルム取出装置FTの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図17に示すフローチャートはフィルム取出装置FTの電源が投入された時に開始される。
【0082】
図17のST1において、エア捌き開始キーU1bの入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST3に進む。
(1)エア供給装置73からのエアを供給して、エア吹出し部61a〜61gからエアの吹出しを開始する。
(2)昇降回数N1を0に初期化する。
ST3において、捌きユニットエレベータ52を作動させて、捌きユニットベース53に支持されたエア吹出し部61a〜61gの下降を開始する。そして、ST4に進む。
【0083】
ST4において、エア吹出し部61a〜61gが図8に示す吹出し部下降位置に到達したか否かを判別する。すなわち、下降位置検出センサSN2で検出がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
ST5において、昇降回数N1が昇降終了回数Na以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST7に進む。
ST6において、エアの吹出しを停止し、ST7に進む。
ST7において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST8に進む。
(1)捌きユニットエレベータ52の昇降方向を切り替えて、捌きユニットベース53に支持されたエア吹出し部61a〜61gの上昇を開始する。
(2)昇降回数N1を1加算する。すなわち、N1=N1+1とする。
【0084】
ST8において、エア吹出し部61a〜61gが図7に示す吹出し部上昇位置に到達したか否かを判別する。すなわち、上昇位置検出センサSN1で検出がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST8を繰り返す。
ST9において、エアの吹出しが継続されているか否か、すなわち、エアの吹出しが停止されていないか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に戻り、ノー(N)の場合はST10に進む。
ST10において、エア吹出し部61a〜61gの昇降を停止し、ST1に戻る。
【0085】
(フィルム位置設定処理のフローチャートの説明)
図18は実施例1のフィルム取出装置でのフィルム位置設定処理のフローチャートである。
図18のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、フィルム取出装置FTの制御部Cのハードディスク等に記憶されたフィルム位置設定プログラムに従って行われる。また、この処理はフィルム取出装置FTの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。なお、実施例1のフィルム位置設定処理は、右側のフィルムカートリッジ24および左側のフィルムカートリッジ24に対してそれぞれ個別に行なわれる。
図18に示すフローチャートはフィルム取出装置FTの電源が投入された時に開始される。
【0086】
図18のST21において、フィルム位置設定開始キーU1cの入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST22に進み、ノー(N)の場合はST21を繰り返す。
ST22において、底板昇降モータ45を粗調整駆動で正回転させて、底板36を粗調整で上昇開始する。そして、ST23に進む。
ST23において、フィルムセンサ46がフィルム部材8を検出したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST24に進み、ノー(N)の場合はST23を繰り返す。
ST24において、底板昇降モータ45を粗調整駆動で逆回転させて、底板36を粗調整で下降開始する。そして、ST25に進む。
【0087】
ST25において、フィルムセンサ46がフィルム部材8を検出しなくなったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST26に進み、ノー(N)の場合はST25を繰り返す。
ST26において、底板昇降モータ45の粗調整駆動を停止し、底板36の粗調整移動を停止する。そして、ST27に進む。
ST27において、搬送用移動装置81および搬送用進退ユニット83を駆動させて、取出部材93を図7、図8に示す取出部材93がフィルムカートリッジ24から退避した取出初期位置から、図9に示すフィルムカートリッジ24に収容されたフィルム部材8の束の最上面の上方に吸着パッド98が移動した上昇離間位置に向けて移動させる。そして、ST28に進む。
ST28において、上昇離間位置への移動が完了したか、すなわち、取出部材93が上昇離間位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST29に進み、ノー(N)の場合はST28を繰り返す。
【0088】
ST29において、搬送用昇降エレベータ82を作動させて、取出部材93を上昇離間位置から下降させて、フィルム部材8を吸着して取り出す取出位置に向けて移動させる。そして、ST30に進む。
ST30において、取出位置への移動が完了したか否か、すなわち、取出位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST31に進み、ノー(N)の場合はST30を繰り返す。
ST31において、エア吸引装置101による吸引を開始させて、吸着パッド98によるフィルム部材8の吸着を開始する。そして、ST32に進む。
ST32において、圧力センサSN3の検出圧力が保持圧力以下になったか否かを判別する。すなわち、底板36の仮位置決めが完了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST33に進み、イエス(Y)の場合はST34に進む。
ST33において、底板昇降モータ45を微調整駆動させて、1ピッチ、すなわち、フィルム部材8の1枚分の厚さだけ上昇させる。そして、ST32に戻る。
【0089】
ST34において、底板昇降モータ45を微調整駆動させて、20ピッチ分底板36を上昇させる。すなわち、仮位置決めの状態から、底板36を20ピッチ分上昇させて、フィルム部材8が吸着パッド98に押し当てられた最終位置決めされた状態に移動させる。そして、ST35に進む。
ST35において、エア吸引装置101による吸引を停止し、エア吸着パッド98による吸引を停止する。そして、ST36に進む。
ST36において、搬送用移動装置81、搬送用昇降エレベータ82、搬送用進退ユニット83を作動させて、上昇離間位置を経て取出初期位置に向かう、取出部材93の移動を開始する。そして、ST37に進む。
ST37において、取出初期位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST38に進み、ノー(N)の場合はST37を繰り返す。
ST38において、取出部材の移動を停止し、ST21に戻る。
【0090】
(フィルム取出処理のフローチャートの説明)
図19は実施例1のフィルム取出装置でのフィルム取出処理のフローチャートである。
図19のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、フィルム取出装置FTの制御部Cのハードディスク等に記憶されたフィルム取出プログラムに従って行われる。また、この処理はフィルム取出装置FTの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図19に示すフローチャートはフィルム取出装置FTの電源が投入された時に開始される。
【0091】
図19のST51において、フィルム取出開始キーU1dの入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST52に進み、ノー(N)の場合はST51を繰り返す。
ST52において、搬送用移動装置81、搬送用進退ユニット83を作動させて、取出部材93を取出初期位置から上昇離間位置に向けて移動させる。そして、ST53に進む。
ST53において、取出部材53が上昇離間位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST54に進み、ノー(N)の場合はST53を繰り返す。
ST54において、搬送用昇降エレベータ82を作動させて、取出部材93の上昇離間位置から取出位置に向けての移動を開始する。そして、ST55に進む。
【0092】
ST55において、取出部材93が取出位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST56に進み、ノー(N)の場合はST55を繰り返す。
ST56において、エア吸引装置101を作動させて、吸着パッド98によるフィルム部材8の吸着を開始する。そして、ST57に進む。
ST57において、圧力センサSN3の検出する圧力が保持圧力以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST58に進み、ノー(N)の場合はST67に進む。
ST58において、吸着捌き用モータ88を作動させて、吸着パッド98がフィルム部材8を吸引し且つ20ピッチ分押し当てられた状態で、図15Aの実線で示す互いに離間した吸着位置から破線で示す互いに接近した吸着捌き位置に接近させた後、吸着位置に離間させ、もう一度吸着捌き位置に接近させる。そして、ST59に進む。
【0093】
ST59において、搬送用昇降エレベータ82を制御して、取出部材93を、取出位置から上昇離間位置に向けて移動させる。そして、ST60に進む。
ST60において、取出部材93が上昇離間位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST61に進み、ノー(N)の場合はST60を繰り返す。
ST61において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST62に進む。
(1)吸着捌き用モータ88を作動させて、吸着パッド98どうしが離間した吸着位置に移動させる。
(2)底板昇降モータ45を微調整駆動して、底板36を1ピッチ、すなわち、フィルム部材8の厚み1枚分だけ上昇させる。
ST62において、搬送用移動装置81、搬送用昇降エレベータ82および搬送用進退ユニット83を作動させて、吸着されたフィルム部材8を図示しないフィルム組付け装置の治具台に搬送して、図示しないフィルム組付け装置において回転軸7に対して組付けられる組付け位置に向けて移動する。そして、ST63に進む。
ST63において、組付け位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST64に進み、ノー(N)の場合はST63を繰り返す。
【0094】
ST64において、エア吸引装置101を制御して、吸着パッド98によるフィルム部材8の吸引保持を停止し、吸着パッド98からフィルム部材8を離脱させる。そして、ST65に進む。
ST65において、搬送用移動装置81、搬送用昇降エレベータ82および搬送用進退ユニット83を作動させて、取出部材93を組付け位置から取出初期位置に向けて移動させる。そして、ST66に進む。
ST66において、取出部材93が取出初期位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST52に戻り、ノー(N)の場合はST66を繰り返す。
【0095】
ST67において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST68に進む。
(1)フィルムカートリッジ24内のフィルム部材8が空であることを表示部U1aに表示して、作業者に告知する。
(2)エア吸引装置101を制御して、吸着パッド98の吸引を停止する。
ST68において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST69に進む。
(1)搬送用昇降エレベータ82を作動させて、取出部材93を上昇離間位置に向けて移動させる。
(2)底板昇降モータ45を作動させて、底板36がフィルム収容空間26aの底に接触する底位置まで、底板36を移動させる。
ST69において、取出部材93が上昇離間位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST70に進み、ノー(N)の場合はST69を繰り返す。
ST70において、搬送用移動装置81、搬送用進退ユニット83を作動させて、取出部材93を取出初期位置に向けて移動させる。そして、ST71に進む。
ST71において、取出初期位置に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST51に戻り、ノー(N)の場合はST71を繰り返す。
【0096】
(実施例1の作用)
図20はエア捌き処理の作用説明図である。
前記構成を備えた実施例1のフィルム取出装置FTでは、フィルム部材8が収容されたフィルムカートリッジ24がカートリッジ装着部材23に装着された状態で、エア捌き開始キーU1bの入力がされると、底板36が底位置に保持された状態で、エアを吹出しながらエア吹出し部61a〜61gが昇降する。したがって、吹出し部61a〜61fから吹き出されたエアは、エア通過長孔28a,29a,31b,32b、エア通過U溝31a,32aを通じて、フィルム収容空間26a内に吹付けられる。図20において、このとき、フィルム部材8の束には、エア吹出し部61a〜61gが上方から下方に移動しながら、エアが吹付けられており、フィルム部材8の束8の上方に積載されたフィルム部材8が浮遊した状態となり、フィルム部材8どうしが分離されて捌かれる。仮に、下方から上方に上昇しながら吹付けられる場合は、上方に積載されているフィルム部材8の束により下方のフィルム部材8は持ち上げられにくく、浮遊しにくくなる。
【0097】
したがって、実施例1では、下方から上方に上昇しながら吹付けられる場合に比べて、効率的にフィルム部材8どうしが分離されて、捌かれる。特に、主搬送切込部11、副搬送切込部12、切込部13aのような切れ込みが形成されており、バリどうしが引っかかって分離しにくい切れ込み付きのフィルム部材8の束でも、浮遊させて分離させることで、確実且つ効率的に分離され、捌かれる。
特に、実施例1のエア捌き処理では、ST4〜ST6に示すように、下降中に昇降終了回数Naになると、エアの吹出しが停止される。したがって、分離する能力が比較的高い下降しながらエアを吹付けて分離した後に、エアによるフィルム部材8の捌き動作が停止され、吹出し部上昇位置に戻って捌き動作が終了する。
【0098】
また、実施例1のフィルム捌き装置FT2では、右側気体吹出し部61eおよび左側気体吹出し部61fは、共通吹出し片66、シール67、閉塞蓋68および封止栓69により組み立てられ、中央側気体吹出し部61gは、共通吹出し片66、シール70および追加吹出し片71により組み立てられている。すなわち、最も大きな構成要素、いわゆるパーツである共通吹出し片66が共通化されており、個別の部品を作製する場合に比べて、作製費用が低減されている。
特に、実施例1では、フィルムカートリッジ24が2つの構成であるが、フィルムカートリッジ24を3つ以上とする場合、例えば、3つ目のフィルムカートリッジ24を左側のフィルムカートリッジ24のさらに左側に配置することを考えた場合、現在の左側気体吹出し部61fのシール67、閉塞蓋68および封止栓69を、シール70および追加吹出し片71に交換することで、さらに左側に向いたノズル62を容易に設置することが可能になっている。したがって、共通吹出し片66が共通化された実施例1の気体吹出し部では、フィルム取出装置FTの設置後に、フィルムカートリッジの増設、減少に容易に対応することが可能な構成となっており、構成変更の自由度が高くなっている。
【0099】
図21はフィルム位置設定処理の作用説明図であり、図21Aは粗調整駆動で上昇中の状態の説明図、図21Bは図21Aの状態から粗調整でフィルム部材がフィルムセンサで検出されて下降を開始する状態の説明図、図21Cは図21Bの状態から粗調整で底板が下降して、フィルム部材がフィルムセンサで検出されなくなった状態の説明図、図21Dは図21Cの状態から取出部材が取出位置に移動した状態の説明図、図21Eは図21Dの状態から底板が微調整駆動で上昇して仮位置決めされた状態の説明図、図21Fは図21Eの状態から底板が20ピッチ分上昇して最終位置決めされた状態の説明図である。
フィルムカートリッジ24に収容されたフィルム部材8がエアで捌かれた状態で、フィルム位置設定開始キーU1cの入力がされると、図18のST21〜ST22に示すように、底板昇降モータ45が粗調整駆動して、図21Aに示す状態のように底板36が上昇する。
【0100】
図21Bにおいて、最上面のフィルム部材8がフィルムセンサ46で検出されると、底板36の上昇が停止する。このとき、透明素材で構成され、光が透過しやすくフィルムセンサ46で検出しにくいのフィルム部材8に対して、実施例1では、フィルム部材8の中央部に比べて光が反射、散乱されやすいフィルム部材8の縁が検査位置P1に対応するように設定されており、フィルム部材8の検知が精度良く行なわれている。
図21Bにおいて、フィルムセンサ46でフィルム部材8が検知されて底板36の上昇が停止した状態では、連続駆動した底板昇降モータ45の慣性により底板36の位置が上方に行きすぎた状態となることがある。これに対応して、図18のST24〜ST26の処理が実行され、フィルム部材8がフィルムセンサ46で検出されなくなるまで、底板36が粗調整で下降する。
図21B、図21Cにおいて、底板36が下降して、フィルムセンサ46でフィルム部材8が検出されなくなると、底板36の下降が停止する。したがって、粗調整での上昇及び下降によりフィルム部材8の最上面が検査位置P1に移動した状態に粗位置決めされる。
【0101】
図21C、図21Dにおいて、底板36の粗位置決めが行なわれると、図18のST27〜ST30の処理が実行されて、図21Dに示すように、取出部材93が取出位置に移動し、吸着パッド98がフィルム部材8の最上面に近接する。この状態で、図18のST31の処理が実行されて、エアの吸引でフィルム部材8の吸着パッド98への吸引が行なわれる。この状態では、フィルム部材8が吸着パッド98から離間または軽く接触している程度であり、フィルム部材8が吸着パッド98に密着していないことがある。
したがって、図18のST32〜ST33の処理が実行され、圧力センサSN3の検出する圧力が保持圧力以下となるまで、底板36が1ピッチずつ上昇し、保持圧力以下となると、図21Eに示すように、最も上のフィルム部材8と吸着パッド98とが密着した仮位置決めの状態となる。
【0102】
図21E、図21Fにおいて、フィルム部材8と吸着パッド98とが密着して保持圧力以下となると、図18のST34の処理が実行されて、底板36が20ピッチ分上昇する。したがって、図21Fに示すように、取出部材93の圧縮バネ102が弾性変形して縮んだ状態となり、取出部材93にフィルム部材8が、予め設定された吸着捌き用の圧力で押し当てられる。したがって、吸着パッド98がフィルム部材8に吸着捌き用の圧力で押し当てられた最終位置決めがされる。
したがって、実施例1では、フィルム位置設定処理において、まず、粗調整駆動で、底板36を上昇させて、粗位置決めした後に、微調整駆動で最終位置決めを行なっており、最初から微調整駆動で位置決めを行なう場合に比べて、位置決めが高速化されている。
【0103】
また、粗調整駆動時に、フィルムセンサ46でフィルム部材8が検出された後に、底板36を下降させている。すなわち、底板36を粗調整で上昇させた場合、フィルム部材8の束の積載のムラや、フィルム部材の反り、切れ込みのバリ、底板36の行きすぎ、いわゆるオーバーシュートの程度等のばらつきで、高さのバラツキが発生することがあり、フィルムセンサ46の検知結果だけでは、十分な精度が出ない場合がある。これに応じて、実施例1では、フィルムセンサ46で検出後に、フィルムセンサ46が検出しなくなるまで、底板36を下降させており、フィルム部材8の位置が、検査位置P1に対して、安定しやすくなっている。すなわち、底板36上昇後に下降させずに微調整を実行する場合に比べて、各種ばらつきの影響が抑制され、精度良く、安定して、最終位置決めの位置に位置決めすることが可能になっている。
【0104】
図22はフィルム取出処理における吸着捌き動作の説明図であり、図22Aは吸着パッドが吸着捌き位置に移動した状態の説明図、図22Bは図22Aに示す状態から吸着パッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図22Cは図22Bに示す状態から吸着パッドが吸着捌き位置に移動した状態の説明図、図22Dは図22Cに示す状態から取出部材が上昇離隔位置に移動した状態の説明図である。
前記フィルム位置設定処理で、最も上のフィルム部材8の位置が最終位置決めされた状態で、フィルム取出開始キーU1dの入力がされると、図19のST52〜ST56の処理が実行され、取出部材93が、図21Fに示す取出位置に移動し、エアの吸引でフィルム部材8が吸着パッド98に吸着される。フィルム部材8が空でない場合は、ST58の処理が実行され、吸着パッド98どうしが接近離間する方向に移動する。すなわち、図22に示すように、吸着パッド98が、フィルム部材8を吸引しつつ吸着捌き用圧力で押し当てられた状態で、図22Aに示す吸着捌き位置に移動した後、図22Bに示す吸着位置に戻し、図22Cに示す吸着捌き位置に移動する。
【0105】
この結果、図22A〜図22Cにおいて、吸着パッド98に吸着された最も上のフィルム部材8が湾曲、復元、湾曲して、下側のフィルム部材8から分離され、捌かれる。そして、図19のST59の処理が実行され、図22Dに示すように、取出部材93が上方に移動して、1枚のフィルム部材8が取り出される。
取り出されたフィルム部材8は、図19のST60〜ST63の処理で、組付け位置に搬送され、エアの吸引が停止されて、フィルム部材8が吸着パッド98から離脱し、組付けが行なわれる。そして、取出部材93は、再び、取出位置に戻り、次のフィルム部材8の取出が行なわれる。このとき、ST61の処理で底板36が取り出されたフィルム部材8の厚みに対応する量だけ底板36が上昇しており、次のフィルム部材8に対しても、同様の吸着捌き用圧力で吸着パッド98に押し当てられた状態で、捌き、取出が行なわれる。
【0106】
フィルム部材8が取り出されて、フィルムカートリッジ24内のフィルム部材8が空になると、吸着パッド98は底板36のメッシュ部36aに接触する。この状態では、吸着パッド98はエアが自由に通過するメッシュ部36aに接触しており、圧力センサSN3が大気圧のままとなる。したがって、図19のST67〜ST70の処理が実行され、フィルム部材8が空になったことが告知されると共に、底板昇降レバー43や取出部材93がそれぞれの初期状態の位置に戻り、フィルム取出処理が終了する。なお、実施例1では、左右のフィルムカートリッジ24のいずれか一方で空である検知されると、フィルム取出処理が終了する。
そして、作業者がフィルム部材8が空になったフィルムカートリッジ24を取り外して、フィルム部材8の束が収容された新たなフィルムカートリッジ24が装着されると、前記エア捌き処理、フィルム位置設定処理が順に実行された後、フィルム取出処理が実行される。
【0107】
したがって、実施例1では、フィルム位置設定処理で、20ピッチ分底板36が上昇しており、フィルム部材8が吸着パッド98に、吸着捌き用圧力で押し当てられており、吸着パッド98が吸着しつつ圧力がかかった状態で、接近、離間する吸着捌き動作が実行されている。よって、吸着捌き圧力で押し当てられていない場合では、吸引力だけで吸着パッド98にフィルム部材8が吸着されており、吸着捌き動作時に吸着力不足で吸着パッド98とフィルム部材8との位置がずれる可能性があるが、実施例1では、エアの吸引力だけでなく吸着捌き用圧力で押し当てられており、フィルム部材8を確実に湾曲させて、下のフィルム部材8と分離して捌くことが可能になっている。
【0108】
また、実施例1では、吸着パッド98どうしが接近、離隔する動作を繰り返してフィルム部材8を捌いた後、吸着パッド98どうしが離隔した状態ではなく、接近してフィルム部材8を湾曲させた状態で、上昇して、フィルム部材8を取り出している。すなわち、一般的に行なわれているように、吸着パッド98どうしを離間した状態に戻してから上昇させる場合、離間した状態に戻した際に、バリや切れ込み等で下側のフィルム部材8と絡まり、上昇させた場合に、下側のフィルム部材8が一緒に持ち上げられる場合がある。特に、実施例1のフィルム部材8は切れ込みが形成されており、吸着パッド98どうしを離間した状態に戻すと、フィルム部材8の切れ込みどうしが絡み合う可能性が高くなっている。これに対して、実施例1では、フィルム部材8が湾曲して分離された状態のまま吸着パッド98が上昇しており、捌かれたフィルム部材8が再び絡み合う等して複数枚のフィルム部材8が取り出されることが低減されている。
【0109】
さらに、実施例1では、前側の吸着パッド98Fと、後側の吸着パッド98Rとが異なる大きさで形成されており、弾性のある吸着パッド98F,98Rの剛性、いわゆる腰が異なる。したがって、仮に2つの吸着パッド98の大きさが同じ場合、フィルム部材8を吸引した状態で、取出部材93が互いに接近、離間する捌き動作の際に、吸着パッド98の腰が弱いと、吸着パッド98の部分で柔軟に弾性変形して移動量を吸収してしまい、フィルム部材8を確実に湾曲させることができない場合がある。これに対して、吸着パッド98F,98Rの大きさを変えた実施例1では、吸着パッド98F,98Rの腰が異なり、大きさが同じ場合に比べて、フィルム部材8が確実に湾曲させられ、フィルム部材8どうしを分離して捌きやすくなっている。
また、実施例1では、吸着パッド98の移動量が、吸着パッド98の半径よりも小さくなっており、吸着パッド98とフィルム部材8との滑りが防止され、捌く時間が短縮されている。
【0110】
また、実施例1では、底板36にメッシュ部36aが形成されており、エアの圧力を測定することで、フィルム部材8の有無を検知可能な構成となっている。すなわち、メッシュ部36aが形成されていない場合では、吸着パッド98が底板36に接触した状態でエアの吸引が実行されると、フィルム部材8の吸引を行なっている状態と同様に、圧力が変動し、フィルム部材8の吸引か、底板36に接触しているのか判別ができない。したがって、メッシュ部36aを形成しない構成では、フィルム部材8の有無を検知するセンサや、フィルム部材8の数を管理して有無を判別する必要があり、構成が複雑化する恐れがあるが、これに比べて、実施例1では、底板36にメッシュ部36aを形成するという簡易な構成で、フィルム部材8の有無を容易に検出することが可能になっている。
【0111】
なお、実施例1では、吸着パッド98がフィルム部材8の切れ込みを避けた位置で吸着するように設定されており、切れ込みを跨ぐように吸着パッド98が接触する場合に比べて、切れ込みからの空気の漏れで吸着が不十分になったり、漏れた空気で圧力センサSN3が空であると誤検出したりすることが低減されている。
【0112】
さらに、実施例1のフィルムカートリッジ24では、フィルム部材8の端が押さえ爪34で支持されており、底板36が上昇して、フィルム部材8が検査位置P1に到達した場合に、押さえ爪34で位置決めがされ、フィルム部材8が確実に検出されるように構成されている。また、底板36が上昇してオーバーシュートしてもフィルム部材8が上方に飛び出さないように支持される。
さらに、押さえ爪34は、フィルム部材8の切れ込みが形成されている一端側を押さえ爪34で押さえている。仮に、切れ込みが形成されていない側でフィルム部材8の端縁が押さえ爪34で押さえた場合には、取出部材93が上昇してフィルム部材8を上方に取り出す際に、フィルム部材8の端縁が押さえ爪34に引っ掛かって湾曲し、上昇させる動作の抵抗となる。これに対して、実施例1では、切れ込みが形成されている側でフィルム部材8が押さえ爪34で押さえられており、取出部材93が上昇する際に、切れ込み部分で囲まれた短冊状の部分が個別に湾曲可能になっており、押さえ爪34に引っ掛かる短冊状の個別部分が湾曲するため、全体が湾曲せず、上昇させる動作の抵抗が小さくなっている。したがって、取出部材93でフィルム部材8を吸着して上昇する際に、フィルム部材8が押さえ爪34に引っ掛かって吸着パッド98から外れてしまうことが低減され、フィルム部材8が確実に取り出される。
【0113】
また、前記エア捌き処理で、フィルム部材8どうしが捌かれた状態では、切れ込みやバリで厚さ方向にばらつきが発生し、フィルム部材8の束において、フィルム部材8どうしの間に隙間が発生する。したがって、フィルム部材8の束は、切れ込みが形成された一辺側が、切れ込みの形成されていない他辺側に比べて、厚く、高さが高くなる。実施例1のフィルムカートリッジ24では、一辺側が他辺側に比べて厚くなることに対応して、底板36の他辺側に嵩上げ部材37が配置されており、フィルム部材8の束の他辺側が嵩上げされており、図12に示すように、フィルム部材8の束の最上面でフィルム部材8が水平状態で配置されるように更正されている。特に、実施例1では、嵩上げ部材37は、弾性材料により構成されており、フィルム部材8の枚数が多くなってフィルム部材8の束の重量が増えたり、上方に取出部材93が押し当てられた場合に、弾性変形して、最上面が水平に近い状態を保持するように作用する。あるいは、フィルム部材8が取り出されてフィルム部材8の枚数が少なくなると、弾性復元して、やはり最上面が水平に近い状態に保持する。
【0114】
図23は嵩上げ部材が設けられていない場合の作用説明図であり、図23Aは要部断面図、図23Bは要部斜視図である。
仮に、嵩上げ部材37が配置されていない場合には、図23Aに示すように、フィルム部材8の束の最上面において、切れ込みやバリ等でフィルム部材8の一辺側が他辺側に比べて高い状態となり、取出部材93に吸着されて取り出されることとなる。この状態では、図23A、図23Bに示すように、取出部材93が押し当てられたフィルム部材8が湾曲し、反った状態となりやすい。フィルム部材8が反った状態で、取出部材93どうしが接近、離間する方向に移動して捌こうとすると、図23Bに示すように、反ったフィルム部材8を反りに垂直な方向に湾曲させようとするため、フィルム部材8が湾曲しにくく、結果として、捌きにくくなる。これに対して、実施例1では、嵩上げ部材37で最も上のフィルム部材8が水平状態に近い状態で保持され、吸着パッド98が接触した状態でフィルム部材8の反りが少なく、嵩上げ部材37が設けられていない場合に比べて、容易且つ確実に捌くことが可能になっている。
【0115】
図24はフィルム部材が十分に捌ききれずに取り出された後に、捌ききれなかったフィルム部材が落下した状態を説明する説明図であり、図24Aは複数のフィルム部材が取り出された状態の説明図、図24Bは下側のフィルム部材が落下した状態の説明図である。
図22に示すように、取出部材93の接近、離隔動作で、フィルム部材8が捌かれても、バリや切れ込み等で、フィルム部材8が1枚ずつ分離されず、図24Aに示すように、複数枚のフィルム部材8が取り出されることがある。複数枚のフィルム部材8が取り出されると、上昇中に、下側のフィルム部材8は、自身の弾性復元で湾曲した状態から平らな膜状に戻る力が発生しやすく、吸着パッド98に吸着されたフィルム部材8から離脱し、落下しやすい。落下したフィルム部材8は、周囲の気流や弾性復元時の力の方向のバラツキ等で、重力方向真下に落下せず、前後左右方向にずれることがある。実施例1では、フィルム部材8が前後左右方向にずれても、フィルムカートリッジ24の上端に配置された落下フィルム用ガイド突起33のガイド面33aに接触して、フィルム収容空間26aの内側に案内される。したがって、ガイド面33aにガイドされて通常の位置に戻されたフィルム部材8を、次の取出動作で吸着パッド98で吸着して、確実に取り出すことが可能になっている。
【実施例2】
【0116】
図25は実施例2のフィルム取出装置の説明図であり、実施例1の図7に対応する図である。
図26は実施例2のフィルム取出装置のフィルムカートリッジの説明図であり、実施例1の図15に対応する図である。
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0117】
図25において、実施例2のフィルム取出装置FTでは、実施例1と比較して、右側気体吹出し部61eおよび左側気体吹出し部61fの柔軟チューブ72′が、エア供給装置73ではなく、エア吸引装置101に接続されている。すなわち、図26に示すように、実施例2のフィルムカートリッジ24では、左前側気体吹出し部61a、左後側気体吹出し部61b、右前側気体吹出し部61c、右後側気体吹出し部61dおよび中央側気体吹出し部61gからのエアは、エア通過長孔28a,29a,31b、エア通過U溝31aを通じて、フィルム収容空間26a内に吹付けられると共に、フィルム収容空間26a内のエアは、エア通過U溝32a、エア通過長孔32bを通じて、右側気体吹出し部61eおよび左側気体吹出し部61fから排気される。
【0118】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のフィルム取出装置FTでは、フィルムカートリッジ24に対して、フィルム部材8の他端辺側からエアを供給しつつ、一端側からエアを吸引している。実施例1のように、切れ込みが形成された側からもエアを吹付けると、切れ込み部分がバタついて、上下のフィルム部材8の切れ込み部分と絡み合って十分に捌けなくなる可能性があるが、実施例2では、切れ込みが形成された一辺側では、エアを吸引しており、切れ込み部分のバタつきが低減され、捌く能力がさらに高くなっている。
また、実施例1のように、前後左右からエアを供給した場合、供給されたエアは上方または下方に流れ、上方に流れた場合、最も上のフィルム部材8がばたついて、姿勢が不安定になりやすく、フィルムセンサ46で検出しにくくなる場合があった。これに対して、実施例2では、一端側から吸引しており、フィルム部材8の姿勢が不安定になることが低減されている。
【0119】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H011)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置のトナーカートリッジのアジテータで使用されるフィルム部材8について例示したが、この構成に限定されず、切れ込み、スリットが形成された任意の薄膜部材に適用可能である。本発明は、一辺側に切れ込みが形成され、他辺側には切れ込みが形成されていないフィルム部材に対して、特に好適に使用可能であるが、両側に切れ込みが形成されているフィルム部材や、一辺側の一部に切れ込みが形成されているフィルム部材にも好適に使用可能である。すなわち、切れ込みの形状や位置は、実施例に例示した構成に限定されず、任意の形状、位置とすることが可能である。
【0120】
(H02)前記実施例において、フィルムセンサ46や上昇位置検出センサSN1、下降位置検出センサSN2等は、実施例に例示した構成に限定されず、任意のセンサを使用可能である。例えば、押さえ爪の下面に圧力センサや接触式センサを配置してフィルム部材8を検出したり、上昇位置検出センサSN1および下降位置検出センサSN2に替えて光センサを使用可能である。また、センサを使用せずに、移動距離を底板昇降モータ45や捌きユニットエレベータ52の駆動時間等から演算して位置を測定することも可能である。
(H03)前記実施例において、フィルムカートリッジ24を2つ装着可能な構成としたが、この構成に限定されず、1つのみ装着可能としたり、3つ以上装着可能な構成とすることも可能である。
【0121】
(H04)前記実施例において、吸着パッド98の大きさを前後で異なる大きさとすることが望ましいが、同じ大きさとすることも可能である。
(H05)前記実施例において、嵩上げ部材37は配置することが望ましいが、省略することも可能である。また、嵩上げ部材37の形状は、階段状の形状に限定されず、断面三角形状や四角形状、台形状等、任意の形状とすることが可能である。さらに、嵩上げ部材37の材料も、ウレタンや発泡樹脂、ゴム等の弾性材料であることが望ましいが、設計や仕様等に応じて弾性材料以外の任意の材料とすることが可能である。また、配置する位置や、大きさも任意に変更可能である。
【0122】
(H06)前記実施例において、押さえ爪34や落下フィルム用ガイド突起33は設けることが望ましいが、省略することも可能である。また、押さえ爪34や落下フィルム用ガイド突起33の位置、大きさ、形状も任意に変更可能である。
(H07)前記実施例において、メッシュ部36aの形状は、底板の中央部に長方形状に形成したが、この構成に限定されず、例えば、吸着パッド98が接触する領域に対応する面のみ複数の細孔を形成することも可能である。また、細孔形状に限定されず、気体が自由に通過可能な任意の形状、例えば、吸着パッド98の外形よりも小さな空孔を形成することも可能である。
【0123】
(H08)前記実施例において、底板36を昇降してフィルム部材8の最上面の位置決めを行なう際に、粗調整駆動と微調整駆動を組み合わせて位置決めを高精度化しつつ高速化したが、この構成に限定されず、精度および速度が許容される範囲内において、任意の調整方法とすることも可能である。例えば、時間が許容される場合には、微調整駆動のみで位置決めをすることも可能であり、精度が許容される場合、粗調整駆動のみとすることも可能である。これに伴い、使用する駆動源も、ステッピングモータに限定されず、任意のDCモータやエアシリンダ等の任意の駆動源を使用可能である。
【0124】
(H09)前記実施例において、気体通過口として、長孔形状やU溝形状のものが組み合わされた構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、全て長孔形状としたり、全てU溝形状とすることも可能であり、丸穴や角穴、多角形穴等任意の形状とすることも可能である。
(H010)前記実施例において、フィルム部材8の最上面の位置を位置決めする際に、仮位置決め状態から20ピッチ分上昇させて最終位置決めを行なったが、この処理に限定されず、仮位置決めの位置を最終位置決めの位置とすることも可能であり、また、上昇させる距離も使用するフィルム部材8の厚み等に応じて任意に変更させることも可能である。
【0125】
(H011)前記実施例において、取出部材93が互いに接近、離間する方向に移動する構成としたが、この構成に限定されず、例えば、一方を固定、他方を一方に対して接近、離間するように構成することも可能である。また、前側と後側とで互いに移動量が異なるように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1は本発明の実施例1の薄膜部材捌き装置が使用されて組み立てられる交換容器が使用される画像形成装置の一例としてのプリンタの斜視図である。
【図2】図2は図1に示すプリンタにおいて、サイドカバーが開放された状態の説明図である。
【図3】図3は図1に示すプリンタにおいて使用されるトナーカートリッジの斜視図である。
【図4】図4は図3に示すトナーカートリッジの説明図であり、図4Aは平面図、図4Bは図4Aの矢印IVB方向から見た図、図4Cは図4AのIVC−IVC線断面図、図4Dは図4AのIVD―IVD線断面図、図4Eは図4AのIVE―IVE線断面図、図4Fは図4BのIVF―IVF線断面図である。
【図5】図5はトナーカートリッジで使用されるアジテータの回転軸の説明図であり、図5Aは斜視図、図5Bは図5Aの矢印VB方向から見た側面図である。
【図6】図6は実施例1のアジテータの搬送部材本体の一例としてのフィルム部材の説明図である。
【図7】図7は本発明の薄膜部材取出装置の実施例1のフィルム取出装置の全体説明図であり、フィルム捌き装置が上昇位置に移動し且つフィルム搬送装置が取出初期位置に移動した状態の説明図である。
【図8】図8は実施例1のフィルム取出装置の全体説明図であり、フィルム捌き装置が図7に示す状態から下降位置に移動した状態の説明図である。
【図9】図9は実施例1のフィルム取出装置の全体説明図であり、図7に示す状態からフィルム搬送装置が取出位置に移動した状態の説明図である。
【図10】図10は実施例1の薄膜部材収容容器の一例としてのフィルムカートリッジの説明図であり、図10Aは斜視図、図10Bは図10Aの矢印XB方向から見た図、図10Cは図10AのXC−XC線断面図である。
【図11】図11はフィルムカートリッジを上方から見た状態の説明図であり、図11Aはフィルムカートリッジにフィルム部材が収容されていない状態の説明図、図11Bはフィルムカートリッジにフィルム部材が収容された状態の説明図である。
【図12】図12はフィルム収容空間に収容されたフィルムの検知を行なう状態の説明図である。
【図13】図13は気体吹出し部を組み立てる工程の説明図であり、図13Aは右側気体吹出し部および左側気体吹出し部の説明図、図13Bは中央側気体吹出し部の説明図である。
【図14】図14は実施例1の吸着捌き機構の説明図であり、図14Aは要部断面側面図、図14Bは図14AのXIVB−XIVB線断面図である。
【図15】図15は実施例1の吸着パッドとフィルム部材や底板との位置関係の説明図であり、図15Aは吸着パッドとフィルム部材の位置関係の説明図、図15Bは吸着パッドと底板との位置関係の説明図である。
【図16】図16は実施例1のフィルム取出装置における制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
【図17】図17は実施例1のフィルム取出装置でのエア捌き処理のフローチャートである。
【図18】図18は実施例1のフィルム取出装置でのフィルム位置設定処理のフローチャートである。
【図19】図19は実施例1のフィルム取出装置でのフィルム取出処理のフローチャートである。
【図20】図20はエア捌き処理の作用説明図である。
【図21】図21はフィルム位置設定処理の作用説明図であり、図21Aは粗調整駆動で上昇中の状態の説明図、図21Bは図21Aの状態から粗調整でフィルム部材がフィルムセンサで検出されて下降を開始する状態の説明図、図21Cは図21Bの状態から粗調整で底板が下降して、フィルム部材がフィルムセンサで検出されなくなった状態の説明図、図21Dは図21Cの状態から取出部材が取出位置に移動した状態の説明図、図21Eは図21Dの状態から底板が微調整駆動で上昇して仮位置決めされた状態の説明図、図21Fは図21Eの状態から底板が20ピッチ分上昇して最終位置決めされた状態の説明図である。
【図22】図22はフィルム取出処理における吸着捌き動作の説明図であり、図22Aは吸着パッドが吸着捌き位置に移動した状態の説明図、図22Bは図22Aに示す状態から吸着パッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図22Cは図22Bに示す状態から吸着パッドが吸着捌き位置に移動した状態の説明図、図22Dは図22Cに示す状態から取出部材が上昇離隔位置に移動した状態の説明図である。
【図23】図23は嵩上げ部材が設けられていない場合の作用説明図であり、図23Aは要部断面図、図23Bは要部斜視図である。
【図24】図24はフィルム部材が十分に捌ききれずに取り出された後に、捌ききれなかったフィルム部材が落下した状態を説明する説明図であり、図24Aは複数のフィルム部材が取り出された状態の説明図、図24Bは下側のフィルム部材が落下した状態の説明図である。
【図25】図25は実施例2のフィルム取出装置の説明図であり、実施例1の図7に対応する図である。
【図26】図26は実施例2のフィルム取出装置のフィルムカートリッジの説明図であり、実施例1の図15に対応する図である。
【符号の説明】
【0127】
8…薄膜部材、
11,12,13a…切れ込み、
26…収容部、
34…薄膜押さえ部材、
36…積載部材、
36a…気流自由部、
37…嵩上げ部材、
43…積載昇降部材、
46…薄膜検出部材、
82…接離方向移動部材、
92…捌き方向移動部材、
98a…吸着口、
98…吸引部、
101…気体吸引装置、
C1…積載昇降制御手段、
C32…接離制御手段、
C34…吸引装置制御手段、
C35A…空検知手段、
C35C…吸着捌き制御手段、
FT…薄膜部材取出装置、
SN3…圧力検出部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切れ込みが形成された薄膜部材が複数枚積載されて収容される収容部と、
前記収容部に積載された複数の前記薄膜部材の中の最上面に積載された前記薄膜部材に対して接触・離間可能に支持され且つ先端に吸着口が形成された複数の吸引部と、
前記各吸着口から気体を吸引する気体吸引装置と、
前記薄膜部材が捌かれる方向に前記吸引部を移動させる捌き方向移動部材と、
積載された前記薄膜部材に対して前記吸引部を接触・離間する接離方向に移動させる接離方向移動部材と、
を備え、
気体を吸引することで前記最上面に積載された薄膜部材を前記吸引部に吸引し、且つ、前記吸引部どうしが接近した状態で、前記吸引部が前記収容部から離間して取り出すことを特徴とする薄膜部材取出装置。
【請求項2】
切れ込みが形成された薄膜部材が複数枚積載されて収容される収容部と、
前記収容部に積載された複数の前記薄膜部材の中の最上面に積載された前記薄膜部材に対して接触・離間可能に支持され且つ先端に吸着口が形成された複数の吸引部と、前記各吸着口から気体を吸引する気体吸引装置と、前記各吸引部どうしを接近・離間する捌き方向に移動させる捌き方向移動部材と、積載された前記薄膜部材に対して前記吸引部を接触・離間する接離方向に移動させる接離方向移動部材と、
前記気体吸引装置を制御して、気体を吸引することで、前記最上面に積載された薄膜部材を前記吸引部に吸引する吸引装置制御手段と、
前記吸着口を移動させる前記捌き方向移動部材の移動を制御する吸着捌き制御手段であって、前記吸引部が前記最上面に積載された前記薄膜部材に接触する際に、前記吸引部どうしを離間した状態に保持すると共に、前記吸引部が前記最上面に積載された前記薄膜部材に接触した状態で前記吸引部どうしを接近・離間させて前記薄膜部材を1枚ずつ分離して捌いた後に、前記吸引部どうしが接近した状態で保持する前記吸着捌き制御手段と、
前記接離方向移動部材の移動を制御する接離制御手段であって、前記吸引部どうしが接近した状態で、前記吸引部を前記収容部から離間させる方向に移動させる前記接離制御手段と、
を備えたことを特徴とする薄膜部材取出装置。
【請求項3】
前記収容部内で昇降可能に支持され且つ前記複数の薄膜部材が上面に積載される積載部材であって、前記吸引部の重力方向下方に対応する位置に形成され且つ外気が自由に流動可能な気流自由部を有する前記積載部材と、
前記吸着口から吸引される気体の圧力を検出する圧力検出部材と、
前記圧力検出部材の検出結果に基づいて、前記積載部材上に積載された前記薄膜部材が無くなったか否かを判別する空検知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜部材取出装置。
【請求項4】
多角形状の前記薄膜部材の所定の一辺に形成された前記切れ込みと、
前記収容部内に配置され且つ、前記切れ込みが形成された一辺が揃えられた状態で複数枚の前記薄膜部材が積載される前記積載部材と、
前記積載部材上に配置されると共に、積載された複数枚の前記薄膜部材の前記切れ込みが形成された一辺側とは反対側の最下面を持ち上げた状態で支持する嵩上げ部材と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の薄膜部材取出装置。
【請求項5】
前記収容部の重力方向上端、且つ、前記切れ込みが形成された一辺側に配置され、最上面に積載された薄膜部材の上面に接触して押さえる薄膜押さえ部材、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の薄膜部材取出装置。
【請求項6】
前記積載部材を前記収容部内で昇降させる積載昇降部材と、
前記収容部の重力方向上端に対応して配置され、前記薄膜部材を検出する薄膜検出部材と、
前記吸着口から吸引される気体の圧力を検出する圧力検出部材と、
前記積載昇降部材を制御する積載昇降制御手段であって、前記積載部材に積載された薄膜部材を前記薄膜検出部材が検出するまで前記積載部材を上昇させた後、前記薄膜検出部材が前記薄膜部材を不検出するまで前記積載部材を下降させる粗位置決めを実行し、前記粗位置決めされた前記積載部材を前記圧力検出部材が予め設定された圧力となるまで上昇させて位置決めを実行する前記積載昇降制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の薄膜部材取出装置。
【請求項7】
前記粗位置決めされた前記積載部材を前記圧力検出部材が予め設定された圧力となるまで上昇させて仮位置決めを実行し、前記仮位置決めされた前記積載部材を予め設定された上昇量だけ上昇させて前記薄膜部材を前記吸引部に押し当てて最終位置決めを実行する前記積載昇降制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の薄膜部材取出装置。
【請求項8】
前記粗位置決めされた前記積載部材を、前記薄膜部材の厚みに基づく移動量ずつ上昇させて前記仮位置決めを実行する前記積載昇降制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項6または7に記載の薄膜部材取出装置。
【請求項9】
透明材料で構成された前記薄膜部材の前記切れ込みが形成された一辺が揃えられた状態で積載された前記薄膜部材に対して、光を照射して、前記切れ込みが形成された一辺側の縁を検出する前記薄膜検出部材、
を備えたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の薄膜部材取出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−47334(P2010−47334A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211029(P2008−211029)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】