薄膜電子源を有する画像表示装置
【課題】薄膜電子源からの電子放出のエミッション効率を向上して高輝度化を実現した画像表示装置を提供する。
【解決手段】薄膜電子源として、絶縁基板上にアルミニウム又はアルミニウム合金を好適とする金属で形成した下部電極11と、この下部電極11の上にトンネル絶縁層12を有し、さらにこの上層にシリコンの上部電極23を積層した構造とする。上部電極23の膜厚を5〜10nmの範囲とする。電圧OFFの状態では伝導帯24、価電子帯25のエネルギー順位は(a)の状態にある。下部電極11と上部電極23の間に電圧を印加したときには、(b)に示したように、上部電極23に電子で占有されるエネルギー準位が生成し、電子はシリコンの上部電極23にトンネルする。
【解決手段】薄膜電子源として、絶縁基板上にアルミニウム又はアルミニウム合金を好適とする金属で形成した下部電極11と、この下部電極11の上にトンネル絶縁層12を有し、さらにこの上層にシリコンの上部電極23を積層した構造とする。上部電極23の膜厚を5〜10nmの範囲とする。電圧OFFの状態では伝導帯24、価電子帯25のエネルギー順位は(a)の状態にある。下部電極11と上部電極23の間に電圧を印加したときには、(b)に示したように、上部電極23に電子で占有されるエネルギー準位が生成し、電子はシリコンの上部電極23にトンネルする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置にかかり、特に複数の薄膜電子源をアレイ配列した自発光型のフラット・パネル・ディスプレイと称する画像表示装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
微少で集積可能な電子源を利用する画像表示装置(フィールド・エミッション・ディスプレイ:FED)が開発されている。この種の画像表示装置の電子源は、薄膜の積層構造で構成される。
【0003】
この種の薄膜電子源として、MIM(Metal-Insulator-Metal)型と称するものが知られている。図13は、MIM型の薄膜電子源の原理説明図である。この薄膜電子源は、上部電極13と下部電極11との間に駆動電圧Vdを印加して、トンネル絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすることで、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子がトンネル現象により障壁を透過し、電子加速層である絶縁層12の伝導帯へ注入されて上部電極13の伝導帯へ流入する。これらの電子のうち、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーをもって上部電極13表面に達したものが真空中に放出される。
【0004】
図14は、従来のMIM型の薄膜電子源の構造を説明する断面図である。画像表示装置では、この電子源を複数個アレイ状に配列して二次元の表示領域を構成する。薄膜電子源は、ガラス等の絶縁基板(電子源アレイ基板、以下単に基板とも称する)上に形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金(アルミニウム−ネオジム合金等)を好適とする金属の下部電極11、絶縁層(トンネル絶縁層)12、貴金属を好適とする金属の上部電極13の積層構造を有する。
【0005】
トンネル絶縁層12は、その周囲で電子放出領域を区画する保護絶縁層14と共に下部電極11を陽極酸化した膜であり、陽極酸化の条件を異ならせることによって保護絶縁層14とトンネル絶縁層12を作り分けている。上部電極13は、層間絶縁膜15で下部電極11と絶縁されている。すなわち、薄いトンネル絶縁膜12を金属の上部電極13と金属の下部電極11で挟んだ構造である。
【0006】
上部電極13と下部電極11を共に金属としたことの理由は、電極の抵抗を下げ、電子放出時の電極での横方向の電圧降下を抑制し、トンネル絶縁膜に一様な電圧が印加されるようにするためである。
【0007】
このような薄膜電子源における電極に金属以外の材料を用いることに関して、例えばリンPを高濃度にドープして低抵抗化したシリコン半導体を上部電極に用いるものが特許文献1に開示されている。また、上部電極の材料にシリコンよりも大きな禁制帯を有し、かつ導電性をもつものを用いることについて特許文献2に開示されている。なお、非特許文献1はシリコン薄膜で直接遷移に起因する発光を開示する。
【特許文献1】特開平7−130282号公報
【特許文献2】特開平11−162328号公報
【非特許文献1】Jpn.J. Appl. Phys., vol45,No. 27,pp L679-L682 (2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した従来のMIM型の薄膜電子源を構成する上部電極に貴金属等の金属を用いたものでは、上部電極側に電子によって占有されていないエネルギー準位が存在し、下部電極からトンネルした電子が運動量とエネルギーを保存するプロセスによって上部電極に吸収される。このため、電子放出率(エミッション効率)が低下する。
【0009】
図15は、従来のMIM型の薄膜電子源における電子放出率低下のメカニズムを説明する図である。図15の(a)は、下部電極と上部電極の間に電圧を印加しない(電圧OFF)の状態で、図15の(b)は下部電極と上部電極の間に電圧を印加した(電圧ON)状態を示す。図15の(b)に示したように、下部電極と上部電極の間に電圧を印加したとき、金属の上部電極13に電子によって占有されていないエネルギー準位が生成する。これが下部電極11からトンネル絶縁層12をトンネルした電子を、その運動量とエネルギーを保存するプロセスによって上部電極に吸収する。その結果、電子放出の効率(エミッション効率)が低下し、画像表示装置の輝度向上を妨げると共に、消費電力の低減を抑制する原因となっていた。
【0010】
本発明の目的は、2つの電極間にトンネル絶縁層を挟んで構成される薄膜電子源からの電子放出のエミッション効率を向上して高輝度化を実現した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の画像表示装置は、その薄膜電子源として、ガラス等の絶縁基板上にアルミニウム又はアルミニウム合金を好適とする金属で形成した下部電極と、この下部電極の上にトンネル絶縁層を有し、さらにこの上層にシリコンの上部電極を積層した構造とする。そして、上部電極をシリコンで形成し、その膜厚を5〜10nmの範囲とする。
【0012】
トンネル絶縁層は、その周囲で電子放出領域を区画する保護絶縁層と共に下部電極を陽極酸化した膜とし、陽極酸化の条件を異ならせることによって保護絶縁層とトンネル絶縁層を作り分けている。上部電極は、層間絶縁膜で下部電極と絶縁される。すなわち、薄膜電子源は、薄いトンネル絶縁膜を金属の薄い上部電極と金属の下部電極で挟んだ構造とされる。
【発明の効果】
【0013】
薄膜電子源からの電子放出のエミッション効率が向上し、高輝度の画像表示装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態につき、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の薄膜電子源における電子放出率向上のメカニズムを説明する図である。図1の(a)は、下部電極11と上部電極23の間に電圧を印加しない(電圧OFF)の状態で、図1の(b)は下部電極11と上部電極23の間に電圧を印加した(電圧ON)状態を示す。本発明の実施例では、図1の(a)に示したように、上部電極23としてシリコンを用いる。電圧OFFの状態では伝導帯24、価電子帯25のエネルギー順位は図1の(a)の状態にある。
【0016】
下部電極と上部電極の間に電圧を印加したときには、図1の(b)に示したように、上部電極23に電子で占有されるエネルギー準位が生成し、電子はシリコンの上部電極23にトンネルする。
【0017】
図2は、シリコンのエネルギー帯構造の説明図である。図2の横軸kは波動ベクトル、縦軸Eはエネルギー準位を示す。上部電極にシリコンを使用した場合も、伝導帯にトンネルするプロセスはエネルギー保存則を満たす。しかし、シリコンのエネルギー帯構造を考えると、伝導帯はΓ点に最小点を持たないため、運動量の保存の法則を満たしてシリコン電極に捕獲されることはない。したがって、シリコン電極への捕獲率が減り、エミッション効率が増大する。ただし、シリコンの伝導帯はΓ点が金属の下部電極より下がるほど電圧を印加すれば運動量も保存される。
【0018】
したがって、絶縁膜の膜厚を薄くすることが望ましいが、シリコン電極の膜厚は直接遷移化するほど薄くしない方がよい。実際に、非特許文献1によると、シリコンの薄膜では直接遷移に起因した発光が観察され、発光効率は1.3nmのシリコンに対して、4.0nmでは数%、6.3nmでは1%程度まで減少する。
【0019】
一方で、上部電極のシリコンの膜厚を厚くし過ぎると、フォノン散乱により電子のエネルギーが低下し、エミッションの低下を来たす。このことから、最適なシリコンの膜厚は、5〜10nmの範囲である。
【0020】
次に、本発明の画像表示装置と、その薄膜電子源の構造を説明する。薄膜電子源の構造は製造プロセスで説明する。図3は、本発明の画像表示装置を説明する模式平面図である。なお、図3では、ガラスを好適とする主として電子源を有する第1の絶縁基板(陰極基板)10の平面を示すが、一部に蛍光体を形成した、同じくガラスを好適とする第2の絶縁基板(蛍光体基板、表示側基板)は、その内面に有するブラックマトリクス120と3色の蛍光体111,112,113のみを部分的に示してある。
【0021】
第1の絶縁基板10には、信号線駆動回路50に接続する信号線(データ線)をも構成する下部電極11、走査線駆動回路60に接続して信号線と直交配置された走査線21を構成する金属膜下層16、金属膜中間層17、金属膜上層18、保護絶縁膜(フィールド絶縁膜)14、その他の後述する機能膜等が形成されている。なお、薄膜電子源(陰極、電子放出部)は、図示しない上部バス電極に接続し、トンネル絶縁層12を介して下部電極11に積層する上部電極(図示せず)で形成され、当該トンネル絶縁層12の部分(トンネル絶縁層12の上層に積層されたシリコンの上部電極)から電子が放出される。
【0022】
表示側基板である第2の絶縁基板の内面には、表示画像のコントラストを上げるための遮光層すなわちブラックマトリクス120、赤色蛍光体111、緑色蛍光体112と青色蛍光体113とからなる。蛍光体としては、例えば、赤色にY2O2S:Eu(p22−R)、緑色にZnS:Cu、Al(p22−g)、青色にZnS:Ag、Cl(p22−B)を用いることができる。第1の絶縁基板10と第2の絶縁基板とはスペーサ30で所定の間隔で保持され、薄膜電子源をアレイは位置した領域(表示領域)の外周に封止枠(図示せず)を介在させて内部が真空封止される。
【0023】
スペーサ30は、第1の絶縁基板10の上部バス電極配線で構成する走査電極21上に配置し、第2の絶縁基板のブラックマトリクス120の下に隠れるように配置する。下部電極11は信号線駆動回路50へ接続し、上部バス電極配線である走査電極21は走査線駆動回路60に接続する。
【0024】
この薄膜電子源の構造では、耐熱性、耐酸化性があり低抵抗のAlまたはAl合金の配線を耐熱性と耐酸化性のあるCrまたはCr合金などにより挟んで積層構造としたことにより、封着工程を通しても劣化しない上部バス電極を作成することができ、表示装置の配線抵抗による電圧降下を抑制することができる。
【0025】
図3に示した薄膜電子源は、第1の絶縁基板10上にデータ電極となる下部電極11、トンネル絶縁層12、シリコン膜の上部電極が積層されて電子放出部を形成し、トンネル絶縁層12以外の部分はフィールド絶縁膜14、層間絶縁膜15で走査電極と電気的に分離されている。後述するように、上部電極は、走査電極21と配線の片側で接続されており、反対側で下層CrまたはCr合金16のアンダーカットにより断切れされて各走査線毎に分離されている。これにより、各走査電極を電気的に分離する(走査方向の隣接画素の分離)ことが可能である。
【0026】
次に、本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を図4〜図12の製造プロセスを参照して説明する。先ず、図4に示したように、第1の絶縁基板10上に下部電極11用の金属膜を成膜する。下部電極11の材料としてアルミニウムAl又はその合金を用いる。Al又はその合金を用いるのは、陽極酸化により良質の絶縁膜を形成できるからである。ここでは、アルミニウムAlにネオジムNdを2原子量%ドープしたAl−Nd合金を用いる。その成膜には、スパッタリング法を用いるが、他の同様の方法でもよい。膜厚は300nmとした。
【0027】
成膜後はパターニング工程、エッチング工程によりストライプ形状の下部電極11を形成する(図5)。下部電極11の電極幅は画像表示装置のサイズや解像度により異なるが、そのカラー副画素(サブピクセル:赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体)のピッチ程度、大体100〜200ミクロン(μm)程度とする。エッチングは、例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる。この電極は幅の広い簡易なストライプ構造のため、レジストのパターニングは安価なプロキシミティ露光や、印刷法などで行うことができる。
【0028】
次に、薄膜電子源の電子放出部を制限し、下部電極11のエッジへの電界集中を防止する保護絶縁層14と、トンネル絶縁層12を形成する。まず、図6に示した下部電極11上の電子放出部となる部分をレジスト膜25でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化して保護絶縁層14とする。化成電圧を100Vとすれば、厚さ約136nmの保護絶縁層14が形成される。その後、レジスト膜25を除去して残りの下部電極11の表面を陽極酸化する。例えば、化成電圧を6Vとすれば、下部電極11上に厚さ約10nmのトンネル絶縁層12が形成される(図7)。
【0029】
次に、層間膜(層間絶縁膜)15と、上部電極13への給電線となる上部バス電極とスペーサ30を配置するためのスペーサ電極となる金属膜を例えばスパッタリング法等で成膜する(図8)。層間膜15としては、シリコン窒化膜を用い、膜厚は100nmとした。この層間膜15は、陽極酸化で形成する保護絶縁層14にピンホールがあった場合、その欠陥を埋め、下部電極11と上部バス電極配線間の絶縁を保つ役割を果たす。金属膜は金属膜中間層17としてAlをCrの金属膜下層16、金属膜上層18間に挟んだ3層膜とする。
【0030】
ここでは、金属膜中間層17に純Al、金属膜下層16、金属膜上層18にCrを用いた。純Alの膜厚は配線抵抗を低減するため、できるだけ厚くしておく。また金属膜上層の膜厚を金属膜下層以上としておく。ここでは、金属膜下層16を100nm、金属膜中間層17を4.5μm、金属膜上層18を200nmの膜厚とした。
【0031】
続いて、2段階のパターニングとエッチング工程により金属膜上層18と、金属膜中間層17を、下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する。金属膜上層18のCrのエッチングは例えば硝酸アンモニウムセリウム水溶液でのウェットエッチング、金属膜中間層17の純Alのエッチングは例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる(図9)。金属膜上層18の電極幅は金属膜中間層の電極幅より狭くし、金属膜上層18が庇状にならないようにする。
【0032】
続いて、パターニングとエッチング工程により金属膜下層16を、下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する(図10)。エッチングは例えば硝酸アンモニウムセリウム水溶液でのウェットエッチングで行う。その際、金属膜下層16の片側は金属膜中間層17より張り出させて、後の工程で上部電極との接続を確保するコンタクト部とし、金属膜下層16の反対側では金属膜上層18と金属膜中間層17の一部をマスクとしてアンダーカットを形成し、後の工程で上部電極13を分離する庇を形成する。金属膜下層16、金属膜中間層17、金属膜上層18で形成する走査電極21の電極幅は画像表示装置のサイズや解像度により異なるが、低抵抗化のためできるだけ幅広とし、走査線ピッチの半分以上、大体300〜400ミクロン程度とする。
【0033】
続いて、層間膜15を加工し、電子放出部を開口する。電子放出部はサブピクセル内の1本の下部電極11と、下部電極11と直交する2本の上部バス電極に挟まれた空間の直交部の一部に形成する。エッチングは、例えばCF4やSF6を主成分とするエッチング剤を用いたドライエッチングによって行うことができる(図11)。
【0034】
最後に、上部電極23の成膜を行う。この成膜法は、例えばCVD成膜を用いる。上部電極23としてシリコンを用い、膜厚は5〜10nmとする。この時、上部電極23は電子放出部を挟む2本の上部バス電極の一方(図12の右側)で、金属膜中間層17の庇構造により切断される。もう一方(図12の左側)では、上部バス電極とは金属膜下層16のコンタクト部により断線を起こさずに接続され給電される構造となる(図12)。このように、上部電極23を隣接する走査線とは自己整合的に分離できる。
【0035】
このプロセスで製作した薄膜電子源の構造は、上部電極がシリコンであることを除いて図14に示したものと同じものとなる。この薄膜電子源をアレイ配列した第1の絶縁基板を用いて画像表示装置を構成することで、エミッション効率が向上し高輝度表示を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の薄膜電子源における電子放出率向上のメカニズムを説明する図である。
【図2】シリコンのエネルギー帯構造の説明図である。
【図3】本発明の画像表示装置を説明する模式平面図である。
【図4】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための製造プロセス図である。
【図5】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図4に続く製造プロセス図である。
【図6】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図5に続く製造プロセス図である。
【図7】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図6に続く製造プロセス図である。
【図8】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図7に続く製造プロセス図である。
【図9】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図8に続く製造プロセス図である。
【図10】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図9に続く製造プロセス図である。
【図11】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図10に続く製造プロセス図である。
【図12】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図11に続く製造プロセス図である。
【図13】MIM型の薄膜電子源の原理説明図である。
【図14】従来のMIM型の薄膜電子源の構造を説明する断面図である。
【図15】従来のMIM型の薄膜電子源における電子放出率低下のメカニズムを説明する図である。
【符号の説明】
【0037】
10・・・第1の絶縁基板、11・・・下部電極、12・・・トンネル絶縁層、13・・・上部電極、14・・・保護絶縁層、15・・・層間絶縁膜、16・・・金属膜下層、17・・・金属膜中間層、18・・・金属膜上層、21・・・走査電極(上部バス電極配線)、25・・・レジスト膜、30・・・スペーサ、50・・・信号線駆動回路、60・・・走査線駆動回路、111・・・赤色蛍光体、112・・・緑色蛍光体、113・・・青色蛍光体、120・・・ブラックマトリクス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置にかかり、特に複数の薄膜電子源をアレイ配列した自発光型のフラット・パネル・ディスプレイと称する画像表示装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
微少で集積可能な電子源を利用する画像表示装置(フィールド・エミッション・ディスプレイ:FED)が開発されている。この種の画像表示装置の電子源は、薄膜の積層構造で構成される。
【0003】
この種の薄膜電子源として、MIM(Metal-Insulator-Metal)型と称するものが知られている。図13は、MIM型の薄膜電子源の原理説明図である。この薄膜電子源は、上部電極13と下部電極11との間に駆動電圧Vdを印加して、トンネル絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすることで、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子がトンネル現象により障壁を透過し、電子加速層である絶縁層12の伝導帯へ注入されて上部電極13の伝導帯へ流入する。これらの電子のうち、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーをもって上部電極13表面に達したものが真空中に放出される。
【0004】
図14は、従来のMIM型の薄膜電子源の構造を説明する断面図である。画像表示装置では、この電子源を複数個アレイ状に配列して二次元の表示領域を構成する。薄膜電子源は、ガラス等の絶縁基板(電子源アレイ基板、以下単に基板とも称する)上に形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金(アルミニウム−ネオジム合金等)を好適とする金属の下部電極11、絶縁層(トンネル絶縁層)12、貴金属を好適とする金属の上部電極13の積層構造を有する。
【0005】
トンネル絶縁層12は、その周囲で電子放出領域を区画する保護絶縁層14と共に下部電極11を陽極酸化した膜であり、陽極酸化の条件を異ならせることによって保護絶縁層14とトンネル絶縁層12を作り分けている。上部電極13は、層間絶縁膜15で下部電極11と絶縁されている。すなわち、薄いトンネル絶縁膜12を金属の上部電極13と金属の下部電極11で挟んだ構造である。
【0006】
上部電極13と下部電極11を共に金属としたことの理由は、電極の抵抗を下げ、電子放出時の電極での横方向の電圧降下を抑制し、トンネル絶縁膜に一様な電圧が印加されるようにするためである。
【0007】
このような薄膜電子源における電極に金属以外の材料を用いることに関して、例えばリンPを高濃度にドープして低抵抗化したシリコン半導体を上部電極に用いるものが特許文献1に開示されている。また、上部電極の材料にシリコンよりも大きな禁制帯を有し、かつ導電性をもつものを用いることについて特許文献2に開示されている。なお、非特許文献1はシリコン薄膜で直接遷移に起因する発光を開示する。
【特許文献1】特開平7−130282号公報
【特許文献2】特開平11−162328号公報
【非特許文献1】Jpn.J. Appl. Phys., vol45,No. 27,pp L679-L682 (2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した従来のMIM型の薄膜電子源を構成する上部電極に貴金属等の金属を用いたものでは、上部電極側に電子によって占有されていないエネルギー準位が存在し、下部電極からトンネルした電子が運動量とエネルギーを保存するプロセスによって上部電極に吸収される。このため、電子放出率(エミッション効率)が低下する。
【0009】
図15は、従来のMIM型の薄膜電子源における電子放出率低下のメカニズムを説明する図である。図15の(a)は、下部電極と上部電極の間に電圧を印加しない(電圧OFF)の状態で、図15の(b)は下部電極と上部電極の間に電圧を印加した(電圧ON)状態を示す。図15の(b)に示したように、下部電極と上部電極の間に電圧を印加したとき、金属の上部電極13に電子によって占有されていないエネルギー準位が生成する。これが下部電極11からトンネル絶縁層12をトンネルした電子を、その運動量とエネルギーを保存するプロセスによって上部電極に吸収する。その結果、電子放出の効率(エミッション効率)が低下し、画像表示装置の輝度向上を妨げると共に、消費電力の低減を抑制する原因となっていた。
【0010】
本発明の目的は、2つの電極間にトンネル絶縁層を挟んで構成される薄膜電子源からの電子放出のエミッション効率を向上して高輝度化を実現した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の画像表示装置は、その薄膜電子源として、ガラス等の絶縁基板上にアルミニウム又はアルミニウム合金を好適とする金属で形成した下部電極と、この下部電極の上にトンネル絶縁層を有し、さらにこの上層にシリコンの上部電極を積層した構造とする。そして、上部電極をシリコンで形成し、その膜厚を5〜10nmの範囲とする。
【0012】
トンネル絶縁層は、その周囲で電子放出領域を区画する保護絶縁層と共に下部電極を陽極酸化した膜とし、陽極酸化の条件を異ならせることによって保護絶縁層とトンネル絶縁層を作り分けている。上部電極は、層間絶縁膜で下部電極と絶縁される。すなわち、薄膜電子源は、薄いトンネル絶縁膜を金属の薄い上部電極と金属の下部電極で挟んだ構造とされる。
【発明の効果】
【0013】
薄膜電子源からの電子放出のエミッション効率が向上し、高輝度の画像表示装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態につき、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の薄膜電子源における電子放出率向上のメカニズムを説明する図である。図1の(a)は、下部電極11と上部電極23の間に電圧を印加しない(電圧OFF)の状態で、図1の(b)は下部電極11と上部電極23の間に電圧を印加した(電圧ON)状態を示す。本発明の実施例では、図1の(a)に示したように、上部電極23としてシリコンを用いる。電圧OFFの状態では伝導帯24、価電子帯25のエネルギー順位は図1の(a)の状態にある。
【0016】
下部電極と上部電極の間に電圧を印加したときには、図1の(b)に示したように、上部電極23に電子で占有されるエネルギー準位が生成し、電子はシリコンの上部電極23にトンネルする。
【0017】
図2は、シリコンのエネルギー帯構造の説明図である。図2の横軸kは波動ベクトル、縦軸Eはエネルギー準位を示す。上部電極にシリコンを使用した場合も、伝導帯にトンネルするプロセスはエネルギー保存則を満たす。しかし、シリコンのエネルギー帯構造を考えると、伝導帯はΓ点に最小点を持たないため、運動量の保存の法則を満たしてシリコン電極に捕獲されることはない。したがって、シリコン電極への捕獲率が減り、エミッション効率が増大する。ただし、シリコンの伝導帯はΓ点が金属の下部電極より下がるほど電圧を印加すれば運動量も保存される。
【0018】
したがって、絶縁膜の膜厚を薄くすることが望ましいが、シリコン電極の膜厚は直接遷移化するほど薄くしない方がよい。実際に、非特許文献1によると、シリコンの薄膜では直接遷移に起因した発光が観察され、発光効率は1.3nmのシリコンに対して、4.0nmでは数%、6.3nmでは1%程度まで減少する。
【0019】
一方で、上部電極のシリコンの膜厚を厚くし過ぎると、フォノン散乱により電子のエネルギーが低下し、エミッションの低下を来たす。このことから、最適なシリコンの膜厚は、5〜10nmの範囲である。
【0020】
次に、本発明の画像表示装置と、その薄膜電子源の構造を説明する。薄膜電子源の構造は製造プロセスで説明する。図3は、本発明の画像表示装置を説明する模式平面図である。なお、図3では、ガラスを好適とする主として電子源を有する第1の絶縁基板(陰極基板)10の平面を示すが、一部に蛍光体を形成した、同じくガラスを好適とする第2の絶縁基板(蛍光体基板、表示側基板)は、その内面に有するブラックマトリクス120と3色の蛍光体111,112,113のみを部分的に示してある。
【0021】
第1の絶縁基板10には、信号線駆動回路50に接続する信号線(データ線)をも構成する下部電極11、走査線駆動回路60に接続して信号線と直交配置された走査線21を構成する金属膜下層16、金属膜中間層17、金属膜上層18、保護絶縁膜(フィールド絶縁膜)14、その他の後述する機能膜等が形成されている。なお、薄膜電子源(陰極、電子放出部)は、図示しない上部バス電極に接続し、トンネル絶縁層12を介して下部電極11に積層する上部電極(図示せず)で形成され、当該トンネル絶縁層12の部分(トンネル絶縁層12の上層に積層されたシリコンの上部電極)から電子が放出される。
【0022】
表示側基板である第2の絶縁基板の内面には、表示画像のコントラストを上げるための遮光層すなわちブラックマトリクス120、赤色蛍光体111、緑色蛍光体112と青色蛍光体113とからなる。蛍光体としては、例えば、赤色にY2O2S:Eu(p22−R)、緑色にZnS:Cu、Al(p22−g)、青色にZnS:Ag、Cl(p22−B)を用いることができる。第1の絶縁基板10と第2の絶縁基板とはスペーサ30で所定の間隔で保持され、薄膜電子源をアレイは位置した領域(表示領域)の外周に封止枠(図示せず)を介在させて内部が真空封止される。
【0023】
スペーサ30は、第1の絶縁基板10の上部バス電極配線で構成する走査電極21上に配置し、第2の絶縁基板のブラックマトリクス120の下に隠れるように配置する。下部電極11は信号線駆動回路50へ接続し、上部バス電極配線である走査電極21は走査線駆動回路60に接続する。
【0024】
この薄膜電子源の構造では、耐熱性、耐酸化性があり低抵抗のAlまたはAl合金の配線を耐熱性と耐酸化性のあるCrまたはCr合金などにより挟んで積層構造としたことにより、封着工程を通しても劣化しない上部バス電極を作成することができ、表示装置の配線抵抗による電圧降下を抑制することができる。
【0025】
図3に示した薄膜電子源は、第1の絶縁基板10上にデータ電極となる下部電極11、トンネル絶縁層12、シリコン膜の上部電極が積層されて電子放出部を形成し、トンネル絶縁層12以外の部分はフィールド絶縁膜14、層間絶縁膜15で走査電極と電気的に分離されている。後述するように、上部電極は、走査電極21と配線の片側で接続されており、反対側で下層CrまたはCr合金16のアンダーカットにより断切れされて各走査線毎に分離されている。これにより、各走査電極を電気的に分離する(走査方向の隣接画素の分離)ことが可能である。
【0026】
次に、本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を図4〜図12の製造プロセスを参照して説明する。先ず、図4に示したように、第1の絶縁基板10上に下部電極11用の金属膜を成膜する。下部電極11の材料としてアルミニウムAl又はその合金を用いる。Al又はその合金を用いるのは、陽極酸化により良質の絶縁膜を形成できるからである。ここでは、アルミニウムAlにネオジムNdを2原子量%ドープしたAl−Nd合金を用いる。その成膜には、スパッタリング法を用いるが、他の同様の方法でもよい。膜厚は300nmとした。
【0027】
成膜後はパターニング工程、エッチング工程によりストライプ形状の下部電極11を形成する(図5)。下部電極11の電極幅は画像表示装置のサイズや解像度により異なるが、そのカラー副画素(サブピクセル:赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体)のピッチ程度、大体100〜200ミクロン(μm)程度とする。エッチングは、例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる。この電極は幅の広い簡易なストライプ構造のため、レジストのパターニングは安価なプロキシミティ露光や、印刷法などで行うことができる。
【0028】
次に、薄膜電子源の電子放出部を制限し、下部電極11のエッジへの電界集中を防止する保護絶縁層14と、トンネル絶縁層12を形成する。まず、図6に示した下部電極11上の電子放出部となる部分をレジスト膜25でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化して保護絶縁層14とする。化成電圧を100Vとすれば、厚さ約136nmの保護絶縁層14が形成される。その後、レジスト膜25を除去して残りの下部電極11の表面を陽極酸化する。例えば、化成電圧を6Vとすれば、下部電極11上に厚さ約10nmのトンネル絶縁層12が形成される(図7)。
【0029】
次に、層間膜(層間絶縁膜)15と、上部電極13への給電線となる上部バス電極とスペーサ30を配置するためのスペーサ電極となる金属膜を例えばスパッタリング法等で成膜する(図8)。層間膜15としては、シリコン窒化膜を用い、膜厚は100nmとした。この層間膜15は、陽極酸化で形成する保護絶縁層14にピンホールがあった場合、その欠陥を埋め、下部電極11と上部バス電極配線間の絶縁を保つ役割を果たす。金属膜は金属膜中間層17としてAlをCrの金属膜下層16、金属膜上層18間に挟んだ3層膜とする。
【0030】
ここでは、金属膜中間層17に純Al、金属膜下層16、金属膜上層18にCrを用いた。純Alの膜厚は配線抵抗を低減するため、できるだけ厚くしておく。また金属膜上層の膜厚を金属膜下層以上としておく。ここでは、金属膜下層16を100nm、金属膜中間層17を4.5μm、金属膜上層18を200nmの膜厚とした。
【0031】
続いて、2段階のパターニングとエッチング工程により金属膜上層18と、金属膜中間層17を、下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する。金属膜上層18のCrのエッチングは例えば硝酸アンモニウムセリウム水溶液でのウェットエッチング、金属膜中間層17の純Alのエッチングは例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる(図9)。金属膜上層18の電極幅は金属膜中間層の電極幅より狭くし、金属膜上層18が庇状にならないようにする。
【0032】
続いて、パターニングとエッチング工程により金属膜下層16を、下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する(図10)。エッチングは例えば硝酸アンモニウムセリウム水溶液でのウェットエッチングで行う。その際、金属膜下層16の片側は金属膜中間層17より張り出させて、後の工程で上部電極との接続を確保するコンタクト部とし、金属膜下層16の反対側では金属膜上層18と金属膜中間層17の一部をマスクとしてアンダーカットを形成し、後の工程で上部電極13を分離する庇を形成する。金属膜下層16、金属膜中間層17、金属膜上層18で形成する走査電極21の電極幅は画像表示装置のサイズや解像度により異なるが、低抵抗化のためできるだけ幅広とし、走査線ピッチの半分以上、大体300〜400ミクロン程度とする。
【0033】
続いて、層間膜15を加工し、電子放出部を開口する。電子放出部はサブピクセル内の1本の下部電極11と、下部電極11と直交する2本の上部バス電極に挟まれた空間の直交部の一部に形成する。エッチングは、例えばCF4やSF6を主成分とするエッチング剤を用いたドライエッチングによって行うことができる(図11)。
【0034】
最後に、上部電極23の成膜を行う。この成膜法は、例えばCVD成膜を用いる。上部電極23としてシリコンを用い、膜厚は5〜10nmとする。この時、上部電極23は電子放出部を挟む2本の上部バス電極の一方(図12の右側)で、金属膜中間層17の庇構造により切断される。もう一方(図12の左側)では、上部バス電極とは金属膜下層16のコンタクト部により断線を起こさずに接続され給電される構造となる(図12)。このように、上部電極23を隣接する走査線とは自己整合的に分離できる。
【0035】
このプロセスで製作した薄膜電子源の構造は、上部電極がシリコンであることを除いて図14に示したものと同じものとなる。この薄膜電子源をアレイ配列した第1の絶縁基板を用いて画像表示装置を構成することで、エミッション効率が向上し高輝度表示を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の薄膜電子源における電子放出率向上のメカニズムを説明する図である。
【図2】シリコンのエネルギー帯構造の説明図である。
【図3】本発明の画像表示装置を説明する模式平面図である。
【図4】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための製造プロセス図である。
【図5】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図4に続く製造プロセス図である。
【図6】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図5に続く製造プロセス図である。
【図7】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図6に続く製造プロセス図である。
【図8】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図7に続く製造プロセス図である。
【図9】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図8に続く製造プロセス図である。
【図10】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図9に続く製造プロセス図である。
【図11】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図10に続く製造プロセス図である。
【図12】本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の構造を説明するための図11に続く製造プロセス図である。
【図13】MIM型の薄膜電子源の原理説明図である。
【図14】従来のMIM型の薄膜電子源の構造を説明する断面図である。
【図15】従来のMIM型の薄膜電子源における電子放出率低下のメカニズムを説明する図である。
【符号の説明】
【0037】
10・・・第1の絶縁基板、11・・・下部電極、12・・・トンネル絶縁層、13・・・上部電極、14・・・保護絶縁層、15・・・層間絶縁膜、16・・・金属膜下層、17・・・金属膜中間層、18・・・金属膜上層、21・・・走査電極(上部バス電極配線)、25・・・レジスト膜、30・・・スペーサ、50・・・信号線駆動回路、60・・・走査線駆動回路、111・・・赤色蛍光体、112・・・緑色蛍光体、113・・・青色蛍光体、120・・・ブラックマトリクス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄膜電子源をアレイ状に配列した第1の絶縁基板と、前記薄膜電子源のそれぞれと対向する位置に配置された複数の蛍光体を形成した第2の絶縁基板とを有し、
前記薄膜電子源は、前記第1の絶縁基板上に形成した下部電極と、該下部電極の上層に形成したトンネル絶縁層と、該トンネル絶縁層の上層に形成した上部電極とを有し、
前記上部電極がシリコン薄膜であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記下部電極は金属であり、前記トンネル絶縁層は前記下部電極の酸化処理で形成されたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記下部電極の金属はアルミニウム又はアルミニウム合金であり、前記トンネル絶縁層は前記下部電極の陽極酸化で形成された絶縁層であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、
前記上部電極の膜厚が5〜10nmの範囲であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記トンネル絶縁層の周囲で電子放出領域を区画する保護絶縁層を有し、前記上部電極と前記下部電極の間に層間絶縁膜を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
複数の薄膜電子源をアレイ状に配列した第1の絶縁基板と、前記薄膜電子源のそれぞれと対向する位置に配置された複数の蛍光体を形成した第2の絶縁基板とを有し、
前記薄膜電子源は、前記第1の絶縁基板上に形成した下部電極と、該下部電極の上層に形成したトンネル絶縁層と、該トンネル絶縁層の上層に形成した上部電極とを有し、
前記上部電極がシリコン薄膜であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記下部電極は金属であり、前記トンネル絶縁層は前記下部電極の酸化処理で形成されたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記下部電極の金属はアルミニウム又はアルミニウム合金であり、前記トンネル絶縁層は前記下部電極の陽極酸化で形成された絶縁層であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、
前記上部電極の膜厚が5〜10nmの範囲であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記トンネル絶縁層の周囲で電子放出領域を区画する保護絶縁層を有し、前記上部電極と前記下部電極の間に層間絶縁膜を有することを特徴とする画像表示装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図15】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図15】
【公開番号】特開2008−153041(P2008−153041A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339444(P2006−339444)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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