説明

薬剤ピッキングシステム

【目的】 調剤のために必要な錠剤シートをピッキングするための時間を短縮化して調剤薬局の患者の待ち時間を少なくすることができる薬剤ピッキングシステムを提供する。
【構成】 同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、未だ一部が切り離されていない完全シートを、複数枚、それぞれ平坦状に形成されている底面を上側にして互いに積層された状態で収納するための完全シート収納部と、前記完全シート収納部を上下左右方向に多数配置して成る薬品棚と、前記完全シート収納部内の積層された完全シートの中の最上部のシートを吸着するための吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドの下方に配置され前記吸着ヘッドの吸着部が自らの下方に露出可能な切り欠き部又は開口部を備えており前記完全シート収容部内の複数の完全シートを一度にまとめて持ち上げるための持ち上げ部と、を含む薬剤ピッキングシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤薬局において患者の処方箋データに基づいて必要な薬剤を必要な個数だけピッキングできる薬剤自動ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調剤薬局における薬剤のピッキング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。この特許文献1は本明細書に取り込む)。特許文献1は、本出願人の出願に係るものである。この特許文献1においては、薬剤毎に、薬品棚に配置された多数の完全シート収容部内に、それぞれ複数の完全シートを積層して収容しておき、前記各完全シート収容部の下方にそれぞれ配置した残部シート収容部には、残部シート(完全シートから端数を切除した残りのシート)又は完全シートを一枚だけ収容するようにしている。そして、(1)一枚又は複数枚の完全シートが必要なときは、前記完全シート収容部内に積層された完全シートの最上部のシートを吸着ヘッドを使用して一枚ずつ吸着してピッキングし、他方、(2)一枚の完全シートの中の一部の端数が必要なときは、前記残部シート収容部に配置された残部シート又は完全シートの端部をチャックユニットで把持してカッティング部で必要な端数だけカッティングしてピッキングするようにしている。
【特許文献1】特許第3673273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記の特許文献1のシステムにおいては、複数枚の完全シートが必要なときも、前記完全シート収容部内に積層された完全シートの最上部のシートを一枚ずつ吸着ヘッドにより吸着してピックアップしていたので、ピックアップすべき完全シートの枚数が多いときは、ピックアップに長い時間が掛かってしまい、調剤薬局の患者の待ち時間が長くなってしまうという問題があった。また、前記の特許文献1のシステムにおいては、カッティング部において残部シート又は完全シートから所望の端数をカッティングするとき、シートをカッティングする回数が多いために長い時間が掛かってしまい、調剤薬局の患者の待ち時間が長くなってしまうという問題があった。
【0004】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、調剤のために必要な錠剤シートをピッキングするための時間を短縮化して調剤薬局の患者の待ち時間を少なくすることができる、薬剤ピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような課題を解決するための本発明による薬剤ピッキングシステムは、同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、未だ一部が切り離されていない完全シートを、複数枚、互いに積層された状態で収納するための完全シート収納部と、前記完全シート収納部を上下左右に多数配置して成る少なくとも一つの薬品棚と、前記完全シート収納部内の積層された完全シートの中の最上部のシートを吸着するための吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドの下方に配置され、前記吸着ヘッドの吸着部を自らの下方に露出可能な切り欠き部又は開口部を備えている持ち上げ部であって、前記完全シート収納部内の積層された完全シートの中の最上部のシートから1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートの下側に挿入されてその完全シートとその上方に在る一つ又は複数の完全シートとをまとめて持ち上げるための持ち上げ部と、前記吸着ヘッド及び前記持ち上げ部を、前記薬品棚の中の所定の完全シート収納部の前方で且つ前記完全シート収容部内に積層された完全シートの最上部のシートの斜め上方の第1の位置に、移動させるための第1の移動手段と、前記吸着ヘッド及び前記持ち上げ部を、前記第1の位置から、前記完全シート収納部内に積層された複数の完全シートの最上部のシートの上側に対向する第2の位置に、移動させるための第2の移動手段と、前記吸着ヘッド及び前記持ち上げ部を、前記第2の位置から、前記吸着ヘッドの吸着部が前記最上部のシートの上側に接触する第3の位置に、下降させるための第3の移動手段と、前記持ち上げ部だけを、前記吸着ヘッドと離して、前記第1の位置から、前記完全シート収容部内の積層された完全シートの最上部のシートより1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートの前方の第4の位置に、下降させるための第4の移動手段と、前記第4の移動手段により互いに離された前記吸着ヘッド及び持ち上げ部を、前記吸着ヘッドは前記第1の位置から前記完全シート収容部内に積層された完全シートの最上部のシートの上側と対向し、且つ、前記持ち上げ部は前記第4の位置から前記完全シート収容部内の積層された完全シートの最上部のシートより1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートの下側と対向するように挿入される第5の位置に、共に移動させるための第5の移動手段と、前記持ち上げ部を、前記第5の位置から、前記持ち上げ部の上方の複数の完全シートの中の最上部のシートが前記吸着ヘッドと接触するような第6の位置に、上昇させるための第6の移動手段と、一枚の完全シートだけをピッキングするときは、前記の第1の移動手段、第2の移動手段、及び第3の移動手段を順次作動させ、複数枚の完全シートをピッキングするときは、前記の第1の移動手段、第4の移動手段、第5の移動手段、及び第6の移動手段を順次作動させるための移動制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記の各完全シート収納部にそれぞれ近接して配置されている残部シート収納部であって、同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シート又は前記完全シートを、いずれか1枚だけ、収納するための残部シート収納部と、前記吸着ヘッド及び持ち上げ部と共に移動するように構成されたチャックユニットであって、前記各残部シート収納部に収容された1枚の残部シート又は完全シートの端部を把持するためのチャックユニットと、前記チャックユニットにより端部が把持された残部シート又は完全シートから、1個以上の錠剤を含む端数シートを切り離すためのカッティング部と、前記吸着ヘッド、持ち上げ部、及びチャックユニットの下方に配置され、(a)前記吸着ヘッドにより吸着された一枚の完全シート、(b)前記持ち上げ部により持ち上げられた複数枚の完全シート、(c)前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シート、及び(d)前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シートから前記カッティング部により切り離された端数シートの中の少なくとも一つ、を受け取るためのシート受け取り部と、を備えることが望ましい。
【0007】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記持ち上げ部は、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から上方向に突出又は下方向に湾曲する湾曲部であって、これから挿入される2枚の完全シート間の上側の完全シートを上方に持ち上げて前記完全シート間の隙間を形成・拡大し、その後の持ち上げ部の前記完全シート間への挿入をスムーズにするための湾曲部、が備えられている、ことが望ましい。
【0008】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記持ち上げ部は、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から第1の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲する第1の湾曲部と、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲する第2の湾曲部とを備え、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が所定の距離よりも小さいときは前記第1の湾曲部を前記完全シート間に挿入し、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の隙間の上下方向の距離が所定の距離よりも大きいときは前記第2の湾曲部を前記完全シート間に挿入するための湾曲部切替手段を備えた、ことが望ましい。
【0009】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記持ち上げ部は、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から上方向に突出又は下方向に湾曲する湾曲部を備え、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が所定の距離よりも小さいときは、前記湾曲部を第1の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲させるようにし、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が所定の距離よりも大きいときは、前記湾曲部を前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲させるようにした湾曲量調整手段を備えた、ことが望ましい。
【0010】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記持ち上げ部又は吸着ヘッドには、前記持ち上げ部により持ち上げられた(前記持ち上げ部と前記吸着ヘッドとの間に挟まれた)複数の完全シートを束ねるための束ね手段が備えられている、ことが望ましい。
【0011】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記完全シート収容部は、箱状の容器により構成されており、前記容器の前記吸着ヘッド及び持ち上げ部に対向する側には、前記完全シート収容部内に積層された完全シートが崩れ落ちることを防止するための棒状のストッパであって、通常は前記積層された完全シートと前記吸着ヘッド及び持ち上げ部との間の位置に配置されている棒状のストッパが備えられており、前記吸着ヘッド及び持ち上げ部には、前記棒状のストッパがその中を通過可能な切り欠き又は挿通穴が形成されている、ことが望ましい。
【0012】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムにおいては、前記カッティング部は、カッティング対象となるシートの平面と略平行な断面が略L字状のカッター、を備えている、ことが望ましい。
【0013】
また、本発明による薬剤ピッキングシステムは、投薬のためにピッキングされた薬剤に関する情報を、投薬対象である患者を識別するための患者識別データと関連付けて記録しておくための投薬履歴データベースと、前記完全シート収容部内の完全シートをピッキングするとき、前記完全シートから読み取り可能な前記完全シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報を含む)を読み取るための投薬情報読取手段と、前記投薬情報読取手段により読み取られたデータを、その投薬対象の患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに書き込むための投薬情報書込み手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明による薬剤ピッキングシステムは、投薬のためにピッキングされた薬剤に関する情報を、投薬対象である患者を識別するための患者識別データと関連付けて記録しておくための投薬履歴データベースと、前記完全シート収容部内の完全シートをピッキングするとき、前記完全シートから読み取り可能な前記完全シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報を含む)を読み取るための第1の投薬情報読取手段と、前記第1の投薬情報読取手段により読み取られたデータを、その投薬対象の患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに書き込むための第1の投薬情報書込み手段と、前記完全シート収容部内の完全シートを前記残部シート収容部内に移動させるとき、又は前記残部シート収容部内の残部シートの錠剤の全部又は一部をピッキングするとき、前記残部シートから読み取り可能な前記残部シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報を含む)を読み取るための第2の投薬情報読取手段と、前記残部シート収容部内の残部シートの全部又は一部をピッキングするとき、前記第2の投薬情報読取手段により読み取られたデータを、その投薬対象の患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに書き込むための第2の投薬情報書込み手段と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、前記完全シート収容部内に積層された完全シートの中の複数枚をピッキングするときは、前記持ち上げ部を調剤のために必要な複数枚の完全シートの下側の面に挿入・対向させて持ち上げると共に、前記吸着ヘッドを前記持ち上げ部の上方の複数枚の完全シートの中の最上部のシートに当接させて上方から押さえて崩れ落ちないように支持するようにしている。これにより、前記の必要な複数枚の完全シートをまとめて持ち上げて且つ崩れ落ちないように安定的にピッキングすることができる。よって、本発明によれば、調剤のために必要な複数枚の完全シートをピッキングするための時間を従来(前記の特許文献1のシステムでは、複数枚の完全シートをピッキングするときでも吸着ヘッドにより一枚ずつ何回もピッキングするようにしていた)より短縮化して、調剤薬局の患者の待ち時間を少なくすることができる。
【0016】
また、本発明において、前記持ち上げ部に前記湾曲部を備えたときは、前記湾曲部により、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上側の完全シートが上方に持ち上げられて前記完全シート間に隙間が形成・拡大されるので、その後の持ち上げ部の前記完全シート間への挿入がスムーズに行えるようになる。
【0017】
また、本発明においては、前記持ち上げ部に、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から第1の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲する第1の湾曲部と、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲する第2の湾曲部と、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が小さいときは前記第1の湾曲部を前記完全シート間に挿入し、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が大きいときは前記第2の湾曲部を前記完全シート間に挿入するための湾曲部切替手段とを備えるようにしている。前記第1の湾曲部だけしか備えていない場合は、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が通常よりも大きいときは、前記第1の湾曲部によっては前記上側の完全シートを上方に十分に持ち上げられないので、その後の持ち上げ部の前記完全シート間への挿入をスムーズに行うことができない。他方、前記第2の湾曲部だけしか備えていない場合は、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が小さいときは、前記第2の湾曲部が邪魔になって前記持ち上げ部を前記完全シート間に挿入できない場合が起こりうる。これに対して、本発明において、前述のように、第1及び第2の湾曲部を使い分けるようにしたときは、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の間隔が小さい場合でも大きい場合でも、いずれの場合でも、前記持ち上げ部の前記完全シート間への挿入をスムーズに行えるようになる。
【0018】
また、本発明においては、前記持ち上げ部に、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から上方向に突出又は下方向に湾曲する湾曲部を備え、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が小さいときは、前記湾曲部を第1の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲させるようにし、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が通常よりも大きいときは、前記湾曲部を前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲させるようにするための湾曲量調整手段を備えるようにしている。前記湾曲部が前記第1の距離だけ突出又は湾曲している場合は、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が通常よりも大きいとき、前記湾曲部によっては前記完全シートを上方に十分に持ち上げられないので、その後の持ち上げ部の前記完全シート間への挿入をスムーズに行うことができない。他方、前記湾曲部が前記第2の距離だけ突出又は湾曲している場合は、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が小さいとき、前記湾曲部が障害となって前記持ち上げ部を前記完全シート間に挿入できない場合が起こりうる。これに対して、前述のように、前記湾曲部の突出量(突出形状)又は湾曲量(湾曲形状)を制御するようにしたときは、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の間隔が小さい場合でも大きい場合でも、いずれの場合でも、前記持ち上げ部の前記完全シート間への挿入をスムーズに行えるようになる。
【0019】
また、本発明において、前記持ち上げ部及び/又は吸着ヘッドに、前記持ち上げ部により持ち上げられた(前記持ち上げ部と前記吸着ヘッドとの間に挟まれた)複数の完全シートを(接着剤などで)束ねるための束ね手段を備えるようにしたときは、複数の完全シートを束ねた状態で薬袋に入れることができるので、薬袋への収容作業などが効率化できるようになる。
【0020】
また、本発明において、前記完全シート収容部に、前記積層された完全シートと前記吸着ヘッド及び持ち上げ部との間に配置される棒状のストッパを備えるようにしたときは、前記積層された完全シートが前記完全シート収容部の前方に崩れ落ちることが防止されるので、前記持ち上げ部と吸着ヘッドによる複数の完全シートの持ち上げ動作をより正確に行えるようになる。
【0021】
また、本発明において、前記カッティング部に、カッティング対象となるシートの平面と略平行な断面が略L字状となっているカッターを備えるようにしたときは、前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シートから所望の端数をカッティングするとき、シートをカッティングする回数を少なくして(2回以下の回数でカッティングするようにして)、カッティングのための時間を従来より短縮化し、調剤薬局の患者の待ち時間を短くすることができる。
【0022】
また、本発明においては、前記完全シート又は前記残部シートのピッキング時に、前記完全シート又は前記残部シートの薬剤の製造履歴情報などの情報を読み取って、この読み取った投薬情報をその投薬対象である患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに記録するようにしている。よって、本発明によれば、前記投薬履歴データベースに記録される各患者への投薬履歴情報の中に、その薬剤の製造履歴(製造メーカー、製造工場、製造年月日など)などを含む様々な情報が自動的に含まれるようになるので、患者が調剤薬局から投薬された薬剤を持ち帰った後に、ある薬剤について製造工程でのミスや新たな副作用や薬剤の取り間違えなどの問題が発見された場合でも、前記投薬履歴データベースから、前記製造ミスが存在した製造履歴などを有する薬剤を特定、それが投与された複数の患者のリストを容易に抽出して、適切な対処を採ることが容易にできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1について述べるような形態である。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明の実施例1による薬剤ピッキングシステムを説明する。本実施例1は、本出願人の出願に係る前記特許文献1に開示したシステムを基本とし、これに以下に述べるような改良を加えたものである。図1は調剤薬局などで使用される本実施例1に係る薬剤ピッキングシステムの全体構成を示す概念ブロック図である。図1において、1は調剤薬局に持参される処方箋のデータをスキャナと文字認識装置などにより読み取るための処方箋読み取り部、2はこの処方箋読み取り部1からの処方箋データ(テキストデータ)が入力されるレセプトコンピュータ、3はこのレセプトコンピュータ2から出力された処方箋データに基づいて後述の薬剤ピッキング機構を制御するためのコントローラ(パソコンなどで構成)、である。
【0025】
また、図1において、4は複数の薬品棚5と各薬品棚5をX軸方向(後述の図2Aの図示左右方向)にスライドさせるスライド機構6とから構成される薬品棚ユニット、7は前記各薬品棚5の上下左右に多数配置されている完全シート収容部、8は前記各完全シート収容部7の上方にそれぞれ近接して設置されている残部シート収容部、である。前記完全シート収容部7には、同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、未だ一部が切り離されていない完全シートが、複数枚、その底面の平坦面が上側になるように積層された状態で収容されている。また、前記残部シート収容部8には、一枚の残部シート(一枚の完全シートから1個以上の端数の錠剤が切除された残りのシート)又は一枚の完全シートのいずれか一方のみが収容されている。
【0026】
また、図1において、11は薬剤ピッキング機構、12は前記残部シート収容部8内の残部シートの端部を把持するためのチャックユニット、13は前記完全シート収容部7内の積層された完全シートの最上部のシートの上側の平坦面に当接し減圧状態を作出して吸着するための吸着ヘッド、14は前記完全シート収容部7内に積層された完全シートの最上部のシートから1枚だけ又は複数枚だけ下方の完全シートの下側に挿入されてその上方に在る複数の完全シートを持ち上げるための持ち上げ部、である。なお、前記吸着ヘッド13は、詳しくは後述するが、前記持ち上げ部14により複数枚の完全シートを下方から持ち上げるときに、複数枚の完全シートを上方から押さえることにより前記複数の完全シートが崩れないように支持するための押さえ部としても使用される。
【0027】
また、15は、前記チャックユニット12、吸着ヘッド13、及び持ち上げ部14の下方に配置されて、前記吸着ヘッド13及び持ち上げ部14によりピッキングされている完全シートを受け取るための仮受トレー、である。なお、前記仮受トレー15は、前記残部シート又は完全シートから後述のカッティング部17により必要な数の錠剤を含む部分だけが切り出された端数シートを受け取るためにも使用される。
【0028】
また、16は前記チャックユニット12、吸着ヘッド13、持ち上げ部14、及び仮受トレー15を、X軸方向(前記薬品棚5のスライド方向)、Y軸方向(前記薬品棚5のスライド方向と直交する水平方向)、及びZ軸方向(前記薬品棚5のスライド方向と直交する上下方向)に移動させて、必要な錠剤が入っている完全シート収容部7及び残部シート収容部8の前方(正面側)の位置に移動させるためのXYZキャリッジ、である。また、17は前記チャックユニット12にその端部が把持された残部シート又は完全シートから必要な数の錠剤を含む部分だけを切り出すためのカッティング部、である。前記カッティング部17は、前記チャックユニット12、吸着ヘッド13、持ち上げ部14、及び仮受トレー15が前記XYZキャリッジ16によりX軸方向に移動させられるとき、これらと一緒に移動させられる。しかし、前記カッティング部17は、前記チャックユニット12、吸着ヘッド13、持ち上げ部14、及び仮受トレー15が前記XYZキャリッジ16によりY軸方向又はZ軸方向に移動させられるときは、これらと一緒に移動することなく、停止した状態を保つ。また、前記カッティング部17により切り出された端数シートは、カッティング後に自重によって落下し、前記仮受トレー15によって受け取られる。
【0029】
本実施例1では、(1)1枚の完全シートをピッキングするときは、前記コントローラ3が、前記吸着ヘッド13を制御して、前記完全シート収容部7内に積層された完全シートの中の最上部のシートを吸着した後、前記仮受トレー15に落下させる(図1の符合a1,a2で示す破線の矢印を参照)。また、(2)複数枚の完全シートをピッキングするときは、前記コントローラ3が、前記吸着ヘッド13及び持ち上げ部14を制御して、前記持ち上げ部14により、前記完全シート収容部7内に積層された完全シートの中の複数枚をまとめて一度に、それらの下方から持ち上げる(また、持ち上げたとき、前記吸着ヘッド13により、前記複数枚の完全シートの最上部のシートを上方から押さえるようにして、前記持ち上げ部14により持ち上げている複数枚の完全シートの積層状態が崩れないように、支持する)。そして、その後、これらの持ち上げられた複数枚の完全シートを、前記仮受トレー15に落下させる(図1の符合b1,b2で示す破線の矢印を参照)。また、(3)端数シートをピッキングするときは、前記コントローラ3からの指令により、前記残部シート収容部8内の一枚の残部シート又は完全シートを前記チャックユニット12により把持しながら、前記カッティング部17に移動させて、前記カッティング部17により前記把持された残部シート又は完全シートから必要な端数だけをカッティングし、この端数シートを前記仮受トレー15内に落下させる(図1の符合c1,c2,c3で示すの破線の矢印を参照)。
【0030】
また、図1において、18は前記仮受トレー15により受け取られた完全シート及び/又は端数シートや前記レセプトコンピュータ2から出力される薬袋(患者名や薬剤の説明などが印刷されている)などを入れるためのトレー、である。調剤薬局においては、薬剤師が、このトレー18内の完全シート及び/又は端数シートなどについて監査した後、これらを前記薬袋の中に入れて患者に交付する。
【0031】
また、図1には図示していないが、前記コントローラ3には、ハードディスクなどで構成される錠剤シートデータベースが接続されている。この錠剤シートデータベースは、前記薬品棚ユニット4の各薬品棚5の中に収められている種々の錠剤シートに関して、それぞれの識別コード、薬品名、メーカー名、各錠剤シートの高さ情報(各錠剤シートの各錠剤を封入する部分(袋部)を含む全体の高さ情報)、各錠剤シートが収容されている完全シート収容部7及び残部シート収容部8の前記薬品棚ユニット4内における位置情報、前記各完全シート収容部7内に収容されている完全シートの現在の枚数、前記各残部シート収容部8内に収容されている残部シート又は完全シートに含まれる現在の錠剤(袋部)の個数、などの情報が随時更新記録されている。
【0032】
前記コントローラ3は、前記レセプトコンピュータ2から処方箋データを受信すると、ピッキングのために必要な錠剤シートに関する情報(前記薬品棚ユニット4内における位置情報、各錠剤シートの高さ情報、前記各完全シート収容部内の収容枚数、前記各残部シート収容部内の残部シート又は完全シートに含まれる残りの錠剤の個数など)を前記錠剤シートデータベースから読み取って、前記XYZキャリッジ16、吸着ヘッド13、持ち上げ部(フォーク)14、チャックユニット12、及びカッティング部17などに対して必要な制御を行うようにしている。
【0033】
次に、図2A及び図2Bを参照して、前記薬品棚ユニット4(図1参照)の構成を説明する。図2Aは前記薬品棚ユニット4を正面からから見たときの斜視図、図2B(a)は前記薬品棚ユニット4を上方から見た平面図、図2B(b)は前記薬品棚ユニット4を正面から見た正面図である。図2A及び図2Bにおいて、5は各薬品棚、21は複数のトレー18を積層したトレー・ストッカーである。前記の複数の薬品棚5は、前記スライド機構6(図1参照)により、図2A及び図2B(b)の横方向(X軸方向=スライド方向)に個別にスライド可能に構成されている。前記各薬品棚5には、多数の完全シート収容部7及び残部シート収容部8のセットが、上下左右に配置されている。
【0034】
また、図2C及び図2Dは、前記薬品棚ユニット4の各薬品棚5の上下左右に多数配置されている完全シート収容部7及び残部シート収容部8の構成を説明するための図である。本実施例1では、図2C及び図2Dに示すように、各完全シート収容部7及び残部シート収容部8は、併せて一つの箱状に形成されている。図2C及び図2Dに示すように、前記完全シート収容部7の背面側(図2Dの図示右側)には、図2Dの図示左右方向にスライド可能な背板(アジャスタ)41が備えられている。この背板41は、前記完全シート収容部7内に複数の完全シートが収容されるとき、その完全シートのサイズ(図2Dの左右方向のサイズ)に合わせて図2Dの左右方向にスライドされることにより、前記積層された各完全シートの端部(図2Dの図示左側の端部)が前記完全シート収容部7の開口部(図2Dの図示左側)に近接した位置に配置されるように、それらの前記完全シート収容部7内の位置を調整するためのものである。また、前記背板41は、その下端部41aが前記完全シート収容部7の枠体に接続されており、この接続部分(前記下端部41a)を支点として図の矢印a方向に回動可能に構成されている。
【0035】
また、本実施例1では、図2C及び図2Dに示すように、前記完全シート収容部7の前方側(開口部側=図2Dの図示左側)に、棒状のストッパー20が備えられている。
【0036】
次に、前記背板41の動作・使用方法を説明する。前記完全シート収容部7の中にこれから完全シートを補充しようとするときは、前記背板41を図2Dの図示右側方向に回動させて倒れた状態とする(このようにしないと、前記背板41が邪魔になって完全シートを前記完全シート収容部7の内部に入れることができない)。そして、前記完全シート収容部7の内部への完全シートの補充が終了したら、前記背板41を図2Dの図示左側方向に回動させて略垂直に立てられた状態(図2C,図2Dに示す状態)とする。このように前記背板41を略垂直に立てられた状態とすることにより、前記完全シート収容部7内に積層された複数の完全シートが、前記背板41と前記ストッパー20との間に整然と配置されるようになる。また、本実施例1では、前記ストッパー20により、前記複数の完全シートが前記完全シート収容部7の前方(図2Dの図示左側)の開口部から崩れ落ちてしまうことを防止できるようになっている。
【0037】
次に、図3A及び図3Bは前記吸着ヘッド13及び持ち上げ部14(図1参照)を説明するための図である。図3Aにおいて、(a)は前記吸着ヘッド13及び持ち上げ部14の側面図、(b)はそれらを上方から見た平面図、(c)はそれらを下方から見た底面図、(d)はそれらの斜視図である。また、図3Bは前記吸着ヘッド13及び持ち上げ部14の斜視図である。図3A及び図3Bにおいて、13は吸着ヘッド、14はフォーク(持ち上げ部)、である。図3A及び図3Bに示すように、前記吸着ヘッド13には、その底面の略中央部に、減圧状態で完全シートの平坦面を吸着するための吸着部13aが、前記底面から突出するように備えられている。この吸着部13aは、完全シートの平坦面を損傷しないように、スポンジなどの軟性素材により形成されている。また、前記吸着部13aには、複数の吸着穴13b(図3A(c)参照)が形成され、これらの各吸着穴13bには、図示していない真空ポンプが接続されている。
【0038】
また、図3A及び図3Bに示すように、前記フォーク14の略中央部には、前記吸着ヘッド13の底面から突出する吸着部13a(前記吸着穴13bを含む)を自らの下方に露出可能とするための切り欠き部14aが形成されている。前記吸着ヘッド13の吸着部13a(前記吸着穴13bを含む)は、このフォーク14の切り欠き部14aを介して、前記完全シートの平坦面に接触可能となっている。また、前記フォーク14の切り欠き部14aは、詳細は後述するが、前記の図2C,図2Dに示した棒状のストッパー20をこの切り欠き部14aに通過させることを通して、前記フォーク14の全体が、完全シート収容部7内の前記挿入位置まで下降され、且つ、そこから2枚の完全シート間に挿入されることを可能にするためにも必要な構成となっている。
【0039】
また、図3A及び図3Bにおいては図示を省略しているが、前記吸着ヘッド13と前記フォーク14との図示右側端部は図3A(d)及び図3Bの上下方向に延びる軸(図示せず)により接続され、且つ、前記フォーク14は前記吸着ヘッド13に対して図3A(d)及び図3Bの上下方向に移動可能に構成されている。すなわち、詳細は後述するが、前記フォーク14及び前記吸着ヘッド13は、前記完全シート収容部7から1枚の完全シートをピッキングするときは、互いに近接した状態(図3A(a)に示す状態)のまま一体的に作動して、前記一枚の完全シートを、前記フォークの切り欠き部14aから下方に露出した前記吸着部13aにより、吸着するようにしている。他方、前記フォーク14及び前記吸着ヘッド13は、前記完全シート収容部7から複数枚の完全シートをピッキングするときは、互いに離反した状態(図3A(d)及び図3Bに示す状態)で作動して、前記複数枚の完全シートをまとめて、前記フォーク14により下方から持ち上げながら、前記吸着ヘッド13により上方から押さえて崩れないように支持するようにしている。
【0040】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、前記コントローラ3による、前記の吸着ヘッド13、フォーク14、チャックユニット12、カッティング部17、及びXYZキャリッジ16などの制御動作を説明する。なお、以下では、各完全シートにはそれぞれ10個の錠剤が含まれているものとして説明する。
【0041】
まず、前記コントローラ3は、患者が調剤薬局に持参した処方箋をスキャナなどで読み取って得られる処方箋データをレセプトコンピュータ2経由で受信すると(ステップS1)、この処方箋データに基づいて、前記XYZキャリッジ16を制御して、図1で説明したチャックユニット12、吸着ヘッド13、フォーク(持ち上げ部)14、及び仮受トレー15を、調剤のために必要な錠剤シートが収容されている薬品棚5の完全シート収容部7の前方に移動させる(ステップS2)。このとき、カッティング部17も、前記薬品棚5に対応する位置まで移動させる。次に、ステップS3で、「調剤に必要な錠剤の数が20個以上か否か」を判定する。このステップS3の判定がYESのときは、ステップS4に進み、前記コントローラ3は、前記吸着ヘッド13とフォーク14とを以下のように作動させて、前記完全シート収容部7から、複数枚の完全シートをまとめて一度に持ち上げてピッキングする。
【0042】
ここで、このステップS4で行われる持ち上げ動作(前記コントローラ3による吸着ヘッド13及びフォーク14の制御動作)を、図5−1A以下を参照して説明する。この場合は、まず、(1)前記コントローラ3は、前記吸着ヘッド13及び前記フォーク14を、前記XYZキャリッジ16により、前記完全シート収納部7の前方で前記完全シート収容部7内に積層された完全シートAの最上部のシートの斜め上方(且つ前記棒状のストッパー20の斜上方)の第1の位置に移動させる(図5−1A,図5−1Bに示す状態)。なお、前記コントローラ3は、この制御を行うに先立って、予め前記錠剤シートデータベースにアクセスして、ピッキング対象となる錠剤シートの薬品棚ユニット4内の位置情報を取得しておくことにより、前記吸着ヘッド13及びフォーク14を移動させるべき位置の情報を知るようにしている。
【0043】
次に、(2)前記コントローラ3は、前記フォーク14だけを、前記吸着ヘッド13と離して、前記第1の位置から、前記完全シート収容部7内の積層された完全シートAの最上部のシートより1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートAの前方の第4の位置に、下降させる(図5−2A,図5−2Bに示す状態)。なお、このとき、図3A及び図3Bに関して前述したように、前記フォーク14には切り欠き部14aが形成されているので、図2C及び図2Dに示した棒状のストッパー20をこの切り欠き部14aの中に(図示上下方向に)通過させることにより前記フォーク14の全体が前記第4の位置まで下降されることが可能となっている。また、前記コントローラ3は、この下降動作の制御に先立って、予め前記錠剤シートデータベースにアクセスして、ピッキング対象となる錠剤シートの高さ情報を取得しておくことにより、ピッキング対象である完全シートの枚数と前記高さ情報とにより、前記フォーク14が下降すべき距離を予め算出するようにしている。また、本実施例1では、前記コントローラ3は、前記錠剤シートデータベースにアクセスして前記情報を取得することに代えて、前記完全シート収容部7に備えられたICタグにアクセスして同様の情報を取得するようにしてもよい。また、これ以外に、例えば前記吸着ヘッド13の先端部にCCDカメラなどを搭載しておき、前記コントローラ3が、このカメラからの撮像データを参照しながら、ピッキングに必要な完全シートの枚数の位置だけ前記フォーク14が下降するように制御するようにしてもよい。
【0044】
次に、(3)前記コントローラ3は、前記の互いに離された前記吸着ヘッド13及びフォーク14を、前記吸着ヘッド13は前記第1の位置から前記完全シート収容部7内に積層された完全シートAの最上部のシートの上側の平坦面と対向し、且つ、前記フォーク14は前記第4の位置から前記完全シート収容部7内の積層された完全シートAの最上部のシートより1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートAの下側と対向するように挿入される第5の位置に、共に移動させる(図5−3A,図5−3Bに示す状態)。なお、このとき、図3A及び図3Bに関して前述したように、前記フォーク14には切り欠き部14aが形成されているので、図2C及び図2Dに示した棒状のストッパー20をこの切り欠き部14aの中に(図示右方向に)通過させることにより前記フォーク14の全体が前記第5の位置(前記完全シートの下側)へ移動(挿入)されることが可能となっている。
【0045】
次に、(4)前記コントローラ3は、前記フォーク14を(前記吸着ヘッド13は停止させたまま)、前記第5の位置から、前記フォーク14の上方の複数の完全シートAの中の最上部のシートの上面が前記吸着ヘッド13と接触するような第6の位置まで、上昇させる(図5−4A,図5−4Bに示す状態)。最後に、(5)前記コントローラ3は、前記複数枚の完全シートAを、前記フォーク14により持ち上げられ且つ前記吸着ヘッド13によりその上方から押さえられて崩れないように支持されている状態のまま、前記完全シート収容部7から離れる方向(図示右方向)に移動させて(図5−5A,図5−5Bに示す状態)、前記複数枚の完全シートAを前記仮受トレー15内に落下させる。
【0046】
次に、図4のフローチャートの前記ステップS3における「調剤に必要な錠剤の数が20個以上か否か」の判定がNOであったときは、ステップS5に進んで、「調剤に必要な錠剤の数が10個以上か否か」を判定する。このステップS5の判定がYESのときは、ステップS6に進み、前記コントローラ3は、前記吸着ヘッド13とフォーク14とを以下のように作動させて、前記完全シート収容部7から、1枚の完全シートだけを吸着してピッキングする。
【0047】
ここで、このステップS6で行われる前記コントローラ3による吸着ヘッド13及びフォーク14の吸着のための制御動作を、図6−1A以下を参照して説明する。この場合は、まず、(1)前記吸着ヘッド13及び前記フォーク14を、前記XYZキャリッジ16により、前記薬品棚5の中の所定の完全シート収納部7の前方で前記完全シート収容部7内に積層された完全シートAの最上部のシートの斜め上方(且つ前記棒状のストッパー20の斜上方)の第1の位置に、移動させる(前記のステップS4に関して説明した図5−1A,図5−1Bに示すものと同じ状態)。次に、(2)前記吸着ヘッド及び前記フォーク14を、一体的に、前記第1の位置から、前記完全シート収納部7内に積層された複数の完全シートAの最上部のシートの上側の平坦面に対向する第2の位置に、移動させる(図6−1A,図6−1Bに示す状態)。次に、(3)前記吸着ヘッド及び前記フォーク14を、前記第2の位置から、前記吸着ヘッド13の吸着部13aが前記最上部のシートAの上側の平坦面に接触する第3の位置まで、下降させて吸着させる(図6−2A,図6−2Bに示す状態)。次に、(4)前記吸着ヘッド及び前記フォーク14を、前記吸着部13aが前記シートAを吸着した状態のまま、上昇させる(図6−3A,図6−3Bに示す状態)。最後に、(4)前記吸着ヘッド及び前記フォーク14を、前記の上昇した位置から、前記完全シート収容部7の前方まで移動させて(図6−4A,図6−4Bに示す状態)、前記吸着した一枚の完全シートAを前記仮受トレー15の中に落下させる。
【0048】
次に、前記図4のフローチャートの前記ステップS4又はステップS6のピッキング動作(持ち上げ、又は吸着)が終了したとき、又は、前記ステップS5における「調剤に必要な錠剤の数が10個以上か否か」の判定がNOであったときは、ステップS7に進んで、「調剤に必要な錠剤の個数の中に9個以下の端数が在るか否か」を判定する。このステップS7の判定がNOのときは、調剤に必要な錠剤は前記のステップS4(持ち上げ)又はステップS6(吸着)でピッキングした複数枚又は1枚の完全シートだけで足りることになるから、薬剤ピッキング処理を終了する。
【0049】
他方、前記ステップS7おける「調剤に必要な錠剤の数の中に9個以下の端数が在るか否か」の判定がYESのときは、次のステップS8に進み、「調剤に必要な端数は、残部シート収容部内のシート(残部シート又は完全シート)に含まれている錠剤の個数よりも少ないか否か」を判定する。このステップS8の判定は、前記コントローラ3が、前記処方箋データから得られる調剤に必要な9個以下の端数と、前記錠剤シートデータベースにアクセスして得られる前記残部シート収容部内のシートに含まれている錠剤(袋部)の個数とを比較することにより行われる。このステップS8の判定がNOのとき、すなわち、調剤に必要な端数が残部シート収容部内のシートに含まれる錠剤の個数よりも多いか又はそれと等しいときは、前記コントローラ3は、次のステップS9に進む。このステップS9では、前記チャックユニット12を制御して前記残部シート収容部8内のシートをチャック(把持)してそのまま(カッティングすることなく)仮受トレー15に落下させる。そして、次のステップS10で、前記吸着ヘッド13を制御して前記完全シート収容部7から1枚の完全シートを吸着し、これを前記残部シート収容部8の中に補充する。
【0050】
ここで、前記ステップS10の残部シートの補充動作について説明する。図8A以下は、この前記ステップS10における1枚の完全シートAを残部シート収納部8内へ補充するときの動作を説明するための図である。このときは、まず、前記コントローラ3は、前記吸着ヘッド13及びフォーク14を制御して、前記完全シート収容部7から最上部の完全シートAを吸着するが、この動作は前記ステップS6の吸着動作(図5−1A以下の図参照)に関して説明したので説明を省略する。次に、このように吸着した完全シートAを前記完全シート収容部7の前方に移動させる(図8−1A、図8−1Bに示す状態)。次に、前記の吸着した状態のまま、前記吸着ヘッド13及びフォーク14を上昇させて、前記残部シート収容部8の前方に対向させる(図8−2A、図8−2Bに示す状態)。次に、前記吸着ヘッド13及びフォーク14を前記残部シート収容部8の内部に移動させる(図8−3A、図8−3Bに示す状態)。次に、前記吸着ヘッド13及びフォーク14による完全シートAの吸着を停止して、前記完全シートAを残部シート収容部8の底面に載置させる(図8−4A、図8−4Bに示す状態)。最後に、前記吸着ヘッド13及びフォーク14を前記残部シート収容部8の外部の前方に移動させる(図8−5A、図8−5Bに示す状態)。
【0051】
図4のフローチャートに話を戻して、前記ステップS10の補充動作が終了すると、次に、ステップS11に進み、「調剤に必要な端数が前記ステップS9でピッキングした残部シート収容部内のシートに含まれている錠剤の個数と等しいか否か」を判定する。このステップS11の判定がYESの場合は、その前の前記ステップS9における残部シート収容部内のシートのピッキングにより、今回の調剤に必要な端数が確保されたということなので、薬剤ピッキング処理を終了する。
【0052】
他方、前記ステップS11の判定がNOの場合、すなわち、調剤に必要な端数が前記ステップS9でピッキングした残部シート収容部内のシートに含まれている錠剤の個数よりも多い場合は、ステップS12に進む。このステップS12では、前記コントローラ3は、前記チャックユニット12により前記残部シート収容部8内のシート(残部シート又は完全シート)の端部を把持させて、カッティング部17に移動させ、このカッティング部17で更に必要な個数の錠剤を含む端数シートを切除する。この切除した端数シートは前記チャックユニット12により前記仮受トレー15に落下させる。次に、前記カッティング部17により切除した残りの残部シートは、前記チャックユニット12により前記残部シート収容部8に戻し(ステップS13)、薬剤ピッキング処理を終了する。
【0053】
ここで、前記ステップS12で使用されるカッティング部17の構成及び動作を図7を参照して説明する。図7(a)はチャックユニット12及びカッティング部17を示す図で、22は前記チャックユニット12の一部を構成するチャック・ハンド(前記残部シートBの端部を掴む部分)、23はカッティング部17の一部を構成するカッター、24は前記カッター23の刃を受けるための受け部、である。
【0054】
また、図7(b)は前記カッティング部17のカッター23の構成及び動作を説明するための図である。本実施例1においては、図7(b)に示すように、前記カッター23の前記残部シートBの平面と略平行な断面が、直角の端部を有する略L字状に、形成されている。本実施例1では、このように前記カッター23が断面略L字状に形成されていることから、前記カッター23の断面が従来(前記特許文献1)のように直線状の場合に比べて、前記残部シートBから必要な個数だけを含む端数シートを切除するためのカッティング動作の回数を減らし、カッティングのための時間を短縮化させることができる(本実施例1では、2回以下のカッティング動作により端数の切除が可能である)。
【0055】
すなわち、図7(b)に示すように、前記残部シートBから、例えば4個の錠剤を含む端数シートを切除する場合は、図7(b)の23’で示すように前記断面L字状のカッターをただの1回だけ前記受け部24に押し付ければよい。また、前記残部シートBから、例えば1個の錠剤だけを含む端数シートを切除する場合は、図7(b)の23’’で示すように前記断面L字状のカッターをただの1回だけ前記受け部24に押し付ければよい(これに対して、従来の直線状のカッターによるときは、1個の錠剤だけを含む端数シートを切除する場合は2回以上のカッターの押し付け動作が必要であった)。
【0056】
再び、図4のフローチャートに戻って、前記ステップS8の「調剤に必要な端数が残部シート収容部内のシートに含まれている錠剤の個数よりも少ないか否か」の判定がYESの場合は、ステップS12に進み、残部シート収容部8内のシートをチャックユニット12により把持してカッティング部17に移動させ、ここで必要な端数シートをカッティングして仮受トレー15に入れる。さらに、ステップS13で前記端数シートを切除した残りの残部シートを残部シート収容部8内に戻して、薬剤ピッキング処理を終了する。以上により、図4のフローチャートによる本実施例1の動作の説明を終了する。
【0057】
次に、本実施例1の前記フォーク14の構成について追加的に説明する。本実施例1では、前記フォーク14による複数枚の完全シートAの持ち上げ動作(図4のステップS4、及び図5−1A以下参照)において、前記2枚の完全シート間への前記フォーク14の挿入動作を滑らかに行えるようにするために、図9(a)に示すように、前記フォーク14の完全シート収容部7に対向する側(図9(a)の図示左側)の先端部14aの近傍の上面に、図示上方に突出する湾曲部25を備えるようにしている。
【0058】
図9(b)(c)は、この湾曲部25の作用を説明するための図である。図9(b)は、本実施例1の前記フォーク14が前記湾曲部25を備えていないと仮定した場合を示す図である。この場合は、前記フォーク14の先端部14aを前記2枚の完全シートA1,A2間に図示左方向に挿入しようとすると、前記フォーク14の先端部14aが、図示上側の完全シートA1の錠剤が収容された袋部26の側面に当たってしまい、それ以上、図示左方向には進めなくなってしまう。これに対して、本実施例1のように、前記フォーク14の先端部14aの上面に前記湾曲部25を備えた場合は、図9(c)に示すように、前記フォーク14の先端部14aが前記完全シートA1の袋部26の側面に当たる前に、前記湾曲部25が前記完全シートA1の図示右端部27の下面に当たって前記右端部27を図示上方に少しだけ持ち上げるようになる。その結果、図9(c)の図示上側の完全シートA1の前記袋部26の下面と図示下側の完全シートA2の上面との間に所定の隙間Cが形成され、前記フォーク14の先端部14aは、この隙間Cから入り込むことにより、前記上下2つの完全シートA1,A2の間に容易に滑らかに挿入されるようになる。
【実施例2】
【0059】
次に、本発明の実施例2による薬剤ピッキングシステムを説明する。本実施例2の構成は、前記実施例1の図9に示す前記フォーク(持ち上げ部)の構成を除いては、前記実施例1と基本的に同一である。そこで、以下では、本実施例2の前記実施例1と異なる部分(フォークの構成)についてのみ説明し、それ以外の説明は省略する。
【0060】
まず、図10A(a)(b)に基づいて、前記実施例1によるフォーク14の構成の問題点について説明する。図10A(a)に示すように、上下2枚の完全シートA1,A2間に前記フォーク14を挿入するときは、前記フォーク14の先端部14aが前記完全シートA1の錠剤が封入された各袋部26の側面に当たる前に、前記フォーク14の先端部14aの近傍に備えられた湾曲部25が前記上側の完全シートA1の右端部27の下面に当たってそこを持ち上げる。その結果、前記フォーク14の先端部14aは、前記の持ち上げられた上側の完全シートA1の袋部26の下面と下側の完全シートA2の上面との間に形成される隙間Cから、前記2枚の完全シートA1,A2間に、容易に挿入されうる。
【0061】
しかしながら、一般に、錠剤シートに封入される錠剤の高さ寸法は一様ではなく、したがってこの錠剤を封入するために形成される袋部26の図示上下方向の高さ寸法も一様ではなく、通常のものよりも高さ寸法が大きい袋部を備えた錠剤シート(図10A(b)の完全シートA1’,A2’参照)も存在する。その場合は、前記フォーク14に前記湾曲部25を備えた場合でも、図10A(b)に示すように、前記湾曲部25が前記完全シートA1’の右端部27を少し持ち上げたとしても、それが十分でないために、なお前記フォーク14の先端部14aが前記完全シートA1’の袋部26’(通常よりも高さ寸法が大きい袋部)の側面に当たってスムーズに挿入できなくなってしまう、という問題が生じる。
【0062】
そこで、本実施例2においては、図10A(b)に示すような通常の錠剤シートにおける袋部26よりも高さ寸法が大きな袋部26’を有する完全シートA1’,A2’の間に前記フォークを挿入しようとする場合は、図10A(c)に示すように、「通常の湾曲部25を備えたフォーク14」に代えて、「通常よりも突出の高さ寸法が大きい湾曲部25’を備えたフォーク14’」を使用するようにしている。これにより、本実施例2では、通常の錠剤シートにおける袋部26よりも高さ寸法が大きな袋部26’を有する完全シートA1’,A2’の間に前記フォーク14’を挿入する場合、前記上側の完全シートA1’を前記の「通常よりも高さ寸法の大きい湾曲部25’」により十分に大きく持ち上げることができるので、前記フォーク14’の先端部14a’を前記完全シートA1’,A2’の間の隙間C’にスムーズに挿入することができる。
【0063】
図10Bは、錠剤シートの袋部の高さ寸法の大小により、「通常の湾曲部25を備えたフォーク14」と「通常よりも高さ寸法が大きい湾曲部25’を備えたフォーク14’」とを切り替え使用するための構成を説明するための図である。図10Bに示すように、本実施例2では、前記実施例1の「通常の湾曲部25を備えたフォーク14」と「通常よりも高さ寸法が大きい湾曲部25’を備えたフォーク14’」とを、連結部28により、互いがほぼ直角な角度をなすように接続している。また、前記2つのフォーク14及び14’は、モータ29により、前記連結部28を中心として図示α方向に回動自在に構成している。また、図10Bにおいて、矢印βは、前記完全シート収容部7内に積層された完全シートの間に前記フォークを挿入するときの挿入方向を示している。よって、本実施例2では、前記2つのフォーク14及び14’は、そのいずれかが前記モータ29により前記挿入方向βに向けられることにより、そのいずれかが選択的に、前記完全シート収容部7内の2枚の完全シート間に挿入されるようになっている。
【0064】
このように前記2つのフォーク14及び14’のいずれかを選択的に前記挿入方向βの方向に切り替えるための前記モータ29は、前記コントローラ3により制御されている。前記コントローラ3は、前記完全シート収容部7から複数枚の完全シートをピッキングするとき、前記錠剤シートデータベース30にアクセスして、ピッキング対象である完全シートの錠剤が封入されている袋部の高さ寸法データを取得する。そして、前記コントローラ部3は、この取得したデータに基づいて、ピッキング対象となる完全シートが、通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものか通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものか否かを判定し、この判定にしたがって、前記モータ29を制御する。すなわち、前記コントローラ3は、ピッキング対象の複数の完全シートが通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものであるときは、前記モータ29を制御して、図10B(a)に示すように、前記フォーク14を矢印β方向にセットして前記完全シート間に挿入させる。他方、前記コントローラ3は、ピッキング対象の複数の完全シートが通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものであるときは、前記モータ29を制御して、図10B(b)に示すように、前記フォーク14’を矢印β方向にセットして前記完全シート間に挿入させる。
【0065】
なお、本実施例2においては、前述のように、前記コントローラ3は前記錠剤シートデータベース30からのデータに基づいて通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものか通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものかを判定するようにしているが、本発明ではこれ以外に、例えば、前記完全シート収容部7に備えられたICタグから無線送信されてくる情報に基づいて、前記完全シートが通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものか通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものかを判定するようにしてもよい。また、本発明では、例えば前記フォーク14又は吸着ヘッド13の先端部にCCDカメラを備えておき、このCCDカメラからの撮像データに基づいてピッキング対象の完全シートが通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものか通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものかを判定するようにしてもよい。
【0066】
以上のように、本実施例2によれば、「通常の湾曲部25を備えたフォーク14」と「通常よりも高さ寸法が大きい湾曲部25’を備えたフォーク14’」とを選択的に前記完全シート収容部7内の積層した完全シートの間に挿入することができるので、ピッキング対象の完全シートが通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものであっても、また通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものであっても、いずれの場合でも、スムーズに挿入できるようになる。
【実施例3】
【0067】
次に、本発明の実施例3による薬剤ピッキングシステムを説明する。本実施例3の構成は、前記実施例1の図9に示す前記フォーク(持ち上げ部)の構成を除いては、前記実施例1と基本的に同一である。そこで、以下では、本実施例3の前記実施例1と異なる部分(フォークの構成)についてのみ説明し、それ以外の説明は省略する。
【0068】
本実施例3においては、前記の実施例2の中で図10Aを参照して説明した前記実施例1の問題(前記実施例1のように前記フォーク14に前記湾曲部25を備えた場合でも、前記完全シートA1の袋部26の高さ寸法が通常よりも大きい場合は、図10A(b)に示すように、前記湾曲部25が前記完全シートA1の右端部27を少し持ち上げても、それが十分でないために、前記フォーク14の先端部14aが前記完全シートA1の袋部26’の側面に当たってスムーズに進めなくなってしまうという問題)を解決するために、前記フォーク(持ち上げ部)に関して、前記実施例2とは異なる次のような構成を採用した。
【0069】
すなわち、本実施例3では、前記フォーク14に、図11Aに示すような湾曲部31を備えるようにした。図11A(a)は前記フォーク14を上方から示す平面図、図11A(b)(c)はそれを横方向から示す側面図である。本実施例3では、前記湾曲部31を形状記憶合金(又は形状記憶樹脂でもよい)により図11Aに示すような突状に形成している。この湾曲部(形状記憶合金)31は、所定の基準温度以下(例えば通常の室温)の状態においては図11A(b)に示すような通常の高さ寸法を有するように、また、所定の基準温度より加温された状態においては図11A(c)に示すような通常(図11A(b)の状態)よりも大きい高さ寸法を有するように、形成されている。
【0070】
また、前記湾曲部(形状記憶合金)31の下面には、前記湾曲部(形状記憶合金)31を短時間で加温するためのヒーター32を張り付けるようにしている。このヒーター32は前記コントローラ3により制御されるスイッチ33によりON/OFFされるようになっている。前記コントローラ3は、前記実施例2と同様の錠剤シートデータベースに接続されている。前記コントローラ3は、前記完全シート収容部7から複数枚の完全シートをピッキングするとき、例えば錠剤シートデータベース30にアクセスすることにより、ピッキング対象となる完全シートが、通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものか通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものかを判定し、この判定にしたがって、前記スイッチ33を制御して前記ヒーター32の温度を制御し、前記湾曲部(形状記憶合金)31の高さ寸法を調整するようにしている。
【0071】
なお、本実施例3においても、前記実施例2で述べたと同じように、前記判定をICタグからの情報により行うようにしても良い。また、前記フォーク14の先端部にCCDカメラを備えておき、このCCDカメラからの撮像データを前記コントローラ3に入力することにより、前記コントローラ3に、ピッキング対象の完全シートが通常の高さ寸法を有する袋部を備えたものか通常よりも大きな高さ寸法の袋部を備えたものかを判定させるようにしてもよい。
【実施例4】
【0072】
次に、本発明の実施例4による薬剤ピッキングシステムを説明する。本実施例4の構成は、前記実施例1の図9に示す前記フォーク(持ち上げ部)の構成を除いては、前記実施例1と基本的に同一である。そこで、以下では、本実施例4の前記実施例1と異なる部分(フォークの構成)についてのみ説明し、それ以外の説明は省略する。
【0073】
本実施例4においては、前記実施例1などで説明したような「前記フォーク14の先端部14aを前記各完全シートA1,A2の間に挿入するときに、前記先端部14aが前記完全シートA1の袋部26に当たってスムーズに挿入できなくなってしまう」という問題(図9B(b)参照)を解決するために、前記実施例1とは異なる次のような構成を採用した。すなわち、本実施例4では、前記フォーク14の前記挿入側の先端部14aから図示下方に湾曲する湾曲部14bを形成するようにした(図11B(a)参照)。このように、本実施例4では、前記フォーク14の前記挿入側の先端部14aに、図示下方に湾曲する湾曲部14bを形成するようにしているので、前記挿入側先端部14aが前記各完全シートA1,A2間に挿入されるとき、前記湾曲部14bが、前記上側の完全シートA1の右端部27を少し上方に持ち上げて、図11Bに示すような隙間Cを形成し、前記フォーク14の挿入側先端部14aがこの隙間Cの中にスムーズに挿入されるようになる。よって、本実施例4によれば、前記の「前記フォーク14の挿入側先端部14aが前記上側の完全シートA1の袋部26の側面に当たって進めなくなってしまうという不都合」(図9(b)参照)が回避される。
【0074】
また、本実施例4においては、前記の実施例2の中で図10A(b)を参照して説明した前記実施例1の問題(前記実施例1のように前記フォーク14に前記湾曲部25を備えた場合でも、前記完全シートA1の袋部26の高さ寸法が通常よりも大きい場合は、図10A(b)に示すように、前記湾曲部25が前記完全シートA1の右端部27を少し持ち上げても、それが十分でないために、前記フォーク14の先端部14aが前記完全シートA1の袋部26’の側面に当たってスムーズに進めなくなってしまうという問題)を解決するために、前記フォーク(持ち上げ部)14に関して、前記実施例2とは異なる次のような構成を採用した。
【0075】
すなわち、本実施例4では、図11B(b)に示すような通常の錠剤シートにおける袋部26よりも高さ寸法が大きな袋部26’を有する完全シートA1’,A2’の間に前記フォーク14を挿入しようとする場合は、図11B(c)に示すように、「通常の湾曲部14bを備えたフォーク14」に代えて、「通常よりも下方に湾曲する寸法が大きい湾曲部14b’を備えたフォーク14’」を使用するようにしている。図11B(d)は前記の2つの湾曲部14b,14b’を比較するための図である。図11B(d)に示すように、前記の通常の完全シートA1,A2に対して適用される前記湾曲部14bは、前記フォーク14の前記先端部14aから所定の距離mだけ図示斜め下方へ湾曲するように形成されている。これに対して、前記の通常の錠剤シートよりも高さ寸法が大きい袋部26’を有している完全シートA1’,A2’に対して適用される前記湾曲部14b’は、前記フォーク14’の前記先端部14a’から前記距離mより所定の距離だけ大きい距離m’だけ図示斜め下方へ湾曲するように形成されている。
【0076】
このように、本実施例4では、通常の錠剤シートにおける袋部26よりも高さ寸法が大きな袋部26’を有する完全シートA1’,A2’の間に前記フォーク14’を挿入する場合、前記上側の完全シートA1’を前記の「通常よりも高さ寸法の大きい湾曲部14b’」により十分に大きく持ち上げることができるので、前記フォーク14’の先端部14a’を前記完全シートA1’,A2’の間の隙間C’にスムーズに挿入することができる。なお、前記のように錠剤シートの袋部の高さ寸法の大小により、「通常の湾曲部14bを備えたフォーク14」と「通常よりも高さ寸法が大きい湾曲部14b’を備えたフォーク14’」とを切り替え使用するための構成に関しては、前記の実施例2に関して説明したモータなどを使用する構成(図10B参照)を採用することもできるし、前記の実施例3に関して説明した形状記憶合金などを使用した構成(図11A参照)を採用することもできる。また、ICタグやCCDカメラなどを使用できることも、前記の実施例2及び実施例3におけると同様である。
【実施例5】
【0077】
次に、本発明の実施例5による薬剤ピッキングシステムを図12に基づいて説明する。本実施例5の構成は、前記実施例1と基本的に同一で、これに前記フォーク14で持ち上げた複数の完全シートを束ねるための機構を追加したものである。そこで、以下では、本実施例5の前記実施例1と異なる部分(前記フォーク14で持ち上げた複数の完全シートを束ねるための機構)についてのみ説明し、それ以外の説明は省略する。
【0078】
図12は本実施例5における吸着ヘッド及びフォーク(持ち上げ部)の構成を示す図である。図12において、13は吸着ヘッド、14はフォーク、Aは前記完全シート収容部7内から前記フォーク14により持ち上げ移動されている途中の複数枚の完全シート、26は前記完全シートAの錠剤が封入されている袋部、35は前記吸着ヘッド13及び/又はフォーク14に図示しない支持部により固定されているホットメルト排出部、36はこのホットメルト排出部35の先端の細いノズルから排出されたホットメルト(加温状態では液体状で、排出して室温になると短時間で固化する接着剤)、である。
【0079】
本実施例5では、図4のフローチャートのステップS4などで説明した前記完全シート収容部7内からの複数枚の完全シートを前記フォーク14で持ち上げて(且つ前記吸着ヘッド13で上方から押さえて支持しながら)仮受トレー15の方へ移動している途中において、前記ホットメルト排出部35から、前記複数枚の完全シートAの一方の側面の端部に連続的にホットメルト36を糸状に排出するようにしている(図12に示す状態)。すると、前記ホットメルト36は直ちに固化するので、前記複数枚の完全シートAはその一方の側面の端部が互いに束ねられた状態となり、この束ねられた状態のまま前記仮受トレー15に落下する。
【0080】
よって、本実施例5によれば、前記仮受トレー15により受け取られた前記複数枚の完全シートAは、既に束ねられた状態になっているので、調剤師がこれらを薬袋に入れる作業が効率化され、患者にとっても錠剤シートの取り扱いが容易になるというメリットが得られる。なお、本実施例5においては、前述のようにホットメルト排出部35からホットメルト36を糸状に排出することにより前記複数枚の完全シートAを束ねるようにしたが、本発明においては、例えば、粘着テープを排出するテープ排出部を前記吸着ヘッド13及び/又はフォーク14に備えておき、前記完全シート収容部7内からの複数枚の完全シートを前記フォーク14で持ち上げて(且つ前記吸着ヘッド13で上方から押さえて支持しながら)仮受トレー15の方へ移動している途中に、前記テープ排出部から前記粘着テープを前記複数枚の完全シートAの側面端部に排出することにより、前記複数枚の完全シートAを束ねるようにしてもよい。
【実施例6】
【0081】
次に、本発明の実施例6による薬剤ピッキングシステムを説明する。本実施例6の構成は、前記実施例1と基本的に同一であるので、以下では、本実施例6の構成及び動作の中で、前記実施例1と異なる部分についてのみ説明し、それ以外の説明は省略する。本実施例6においては、投薬のためにピッキングされた薬剤に関する情報を、投薬対象である患者を識別するための患者識別データと関連付けて記録しておくための投薬履歴データベースを備えるようにしている。前記データベースはコンピュータに接続されたハードディスクなどで構成され、前記コントローラ3により書込み又は読み出しが行われる。また、本実施例6において、前記完全シート又は残部シートの端部(耳部)には、そのシートに含まれる錠剤の商品コード、製造番号(例えば、メーカー名、製造工場、製造年月日などの製造履歴が分かる情報)、及び有効期限などの情報が、JANコード又はRSSコードの規格に基づいてバーコードで印刷されている(前記バーコードは2次元バーコードでもよい)。
【0082】
また、本実施例6では、前記吸着ヘッド13の例えば前方にバーコードリーダーが搭載されている。前記バーコードリーダーは前記コントローラ3により制御される。本実施例6では、前記完全シート収容部7内の完全シートをピッキングするとき(例えば、前記吸着ヘッド13が前記完全シートを吸着するとき、前記吸着ヘッド13が前記持ち上げ部14により持ち上げられた複数の完全シートの上方に近接するとき)、前記コントローラ3の制御により、前記バーコードリーダーが、前記完全シートに印刷されたバーコードから、前記完全シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報などを含む)を読み取る。この読み取られた情報は、前記コントローラ3により、前記投薬履歴データベースに当該の患者識別コードと対応させて記録される(このときの患者識別コードは、前記レセプトコンピュータ2などからの処方箋データにより取得される)。
【0083】
また、本実施例6では、前記残部シート収容部8内の残部シートが存在しなくなったために前記完全シート収容部7内の完全シートの一枚を前記残部シート収容部8内に移動させるために前記吸着ヘッド13が前記完全シートを吸着するとき、前記コントローラ3が、前記バーコードリーダーを制御して、前記完全シートに印刷されたバーコードから、前記完全シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報などを含む)を読み取り、この読み取った情報を、所定の記録装置(例えば前記コントローラ3のメモリ)又は前記投薬履歴データベースに患者識別コードと対応させて記録するようにしている(このときの患者識別コードは前記レセプトコンピュータ2などからの処方箋データにより取得される)。よって、本実施例6では、前記残部シートの中の一つ又は複数の錠剤をピッキングするときでも、常に、前記残部シート収容部8内にある残部シートの前記バーコード情報は記録・把握されているので、この記録されたバーコード情報と前記残部シートのピッキング情報(ピッキングした個数などの情報)と前記患者識別コードとを互いに対応させて前記投薬履歴データベースに記録するようにすれば、前記残部シートの薬剤についても、各患者毎にその投薬情報を記録管理することが可能となる。
【0084】
また、本実施例6では、前記完全シート収容部7に複数の完全シートを収容するとき、前記コントローラ3は、前記バーコードリーダーを制御して、前記各完全シートの前記バーコード情報を読み取り、これを各完全シートの上下に配列されている順番情報と対応させて所定の記録装置(例えば前記コントローラ3のメモリ)又は前記投薬履歴データベースに患者識別コードと対応させて記録するようにしている。よって、本実施例6では、前記完全シート収容部7内の複数の完全シートを一度にピッキングするときでも、その最上段にある完全シートのバーコードを前記バーコードリーダーで読み取るだけで、前記一度にピッキングした複数の完全シートの各バーコード情報を取り出して、それらを各患者の識別コードと対応させて前記投薬履歴データベースに記録することができる。
【0085】
以上のように、本実施例6においては、前記完全シート又は前記残部シートのピッキング時に、前記完全シート又は前記残部シートの薬剤の製造履歴情報などの情報を読み取って、この読み取った投薬情報をその投薬対象である患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに記録するようにしているので、例えば患者が調剤薬局から投薬された薬剤を持ち帰った後に、ある薬剤について製造工程でのミスや新たな副作用や薬剤の取り間違えなどの問題が発見された場合でも、前記投薬履歴データベースの情報から、前記製造ミスが存在した製造履歴などを有する薬剤を特定し、それが投与された複数の患者のリストを容易に抽出して、適切な対処を採ることが容易にできるようになる。
【0086】
なお、本実施例6においては、前記完全シート又は残部シートの錠剤の商品コード、製造番号(例えば、メーカー名、製造工場、製造年月日などが分かる情報)、及び有効期限などの情報を、前記各シートの耳部にバーコードを印刷することにより光学的に読取可能としているが、これ以外に、前記情報を記録した微小サイズのICタグ(RFID)を前記各シートに付着又は内蔵させておき、例えば前記吸着ヘッドなどに搭載したICタグリーダにより前記情報を無線により非接触で読み取るようにしてもよい。このICタグを使用する場合は、前記完全シート収容部7内の複数の完全シートを一度にピッキングする場合でも、前記複数の完全シートの各薬剤情報を一度に無線で読み取ることが可能となる。
【0087】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明及び本発明を構成する各構成要件は、それぞれ、前記の各実施例及び前記の各実施例を構成する各要素として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記各実施例においては、前記コントローラ3は、前記錠剤シートデータベースからの情報に基づいて、前記完全シート収容部8内に現在何枚の完全シートが収容されているか、前記残部シート収容部8内のシート(残部シート又は完全シート)に現在何個の錠剤が含まれているかなどの情報を知るようにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、前記完全シート収容部7及び残部シート収容部8にICタグ(RFID)を備えて、このICタグに前記情報を記録するようにしておき、前記吸着ヘッド13などにICタグ用リーダーライターを備えて、前記ICタグから前記情報を取得したり前記情報を前記ICタグに随時新たに書き込むようにしてもよい。
【0088】
また、例えば、前記各実施例においては、前記完全シート収容部7内に収容する完全シートA1,A2,・・・の積層方法に関しては、図13(a)に示すように各完全シートの平坦面がいずれも図示上方になるように配置するようにしたが、本発明では、これに限られるものではなく、各完全シートの平坦面がいずれも図示下方になるように配置してもよいし、また、図13(b)に示すように各完全シートの平坦面が交互に図示上方と図示下方となるように配置してもよい。図13(b)に示すように、各完全シートA1,A2,・・・の平坦面が交互に図示上方と図示下方となるように配置した場合は、図13(c)に示すように、完全シートA2の袋部26が在る側が図示上方を向いてしまう(完全シートA2の平坦面が図示下方を向いてしまう)場合が生じるが、この場合でも、前記完全シートを前記各実施例の吸着ヘッド13により吸着して移動することが可能である。すなわち、この場合でも、前記吸着ヘッド13に比較的狭い領域(例えば直径数mmの円形領域)を吸着する吸着部を複数箇所形成しておき、前記複数の吸着部で図13(c)の完全シートA2の複数の袋部26の表面を吸着することにより、前記完全シートA2全体を吸着して移動することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例1の全体構成を示す概念ブロック図。
【図2A】本実施例1の薬品棚ユニットを説明するための図。
【図2B】本実施例1の薬品棚ユニットを説明するための図。
【図2C】本実施例1の薬品棚を説明するための図。
【図2D】本実施例1の薬品棚を説明するための図。
【図3A】本実施例1の吸着ヘッド及びフォークを説明するための図。
【図3B】本実施例1の吸着ヘッド及びフォークを説明するための図。
【図4】本実施例1のコントローラによる制御動作を説明するためのフローチャート。
【図5−1A】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−1B】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−2A】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−2B】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−3A】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−3B】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−4A】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−4B】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−5A】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図5−5B】本実施例1の完全シートの持ち上げによるピッキング動作を説明する図。
【図6−1A】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図6−1B】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図6−2A】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図6−2B】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図6−3A】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図6−3B】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図6−4A】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図6−4B】本実施例1の完全シートの吸着によるピッキング動作を説明する図。
【図7】本実施例1のチャックユニット及びカッティング部の構成及び動作を示す図。
【図8−1A】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−1B】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−2A】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−2B】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−3A】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−3B】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−4A】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−4B】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−5A】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図8−5B】本実施例1の完全シートの残部シート収容部への補充動作を説明する図。
【図9】本実施例1の湾曲部を備えたフォークの構成及び動作を説明するための図。
【図10A】本実施例2の湾曲部を備えたフォークの構成及び動作を説明するための図。
【図10B】本実施例2の湾曲部を備えたフォークの構成及び動作を説明するための図。
【図11A】本実施例3の湾曲部を備えたフォークの構成及び動作を説明するための図。
【図11B】本実施例4の湾曲部を備えたフォークの構成及び動作を説明するための図。
【図12】本実施例5の束ね部を備えた吸着ヘッド及びフォークを説明するための図。
【図13】本発明における完全シート収容部内での完全シートの積層方法を説明するための図。
【符号の説明】
【0090】
1 処方箋読み取り部
2 レセプトコンピュータ
3 コントローラ
4 薬品棚ユニット
5 薬品棚
6 スライド機構
7 完全シート収容部
8 残部シート収容部
12 チャックユニット
13 吸着ヘッド
13a 吸着部
13b 吸着穴
14 フォーク
15 仮受トレー
16 XYZキャリッジ
17 カッティング部
18 トレー
20 ストッパー
23 カッター
24 受け部
25,25’,14b,14b’,31 湾曲部
26 袋部
27 完全シートAの右端部
28a 隙間
28 連結部
29 モータ
30 錠剤シートデータベース
32 ヒーター
33 スイッチ
35 ホットメルト排出部
36 ホットメルト
41 背板
A,A1,A2 完全シート
B 残部シート
C 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、未だ一部が切り離されていない完全シートを、複数枚、互いに積層された状態で収納するための完全シート収納部と、
前記完全シート収納部を上下左右に多数配置して成る少なくとも一つの薬品棚と、
前記完全シート収納部内の積層された完全シートの中の最上部のシートを吸着するための吸着ヘッドと、
前記吸着ヘッドの下方に配置され、前記吸着ヘッドの吸着部を自らの下方に露出可能な切り欠き部又は開口部を備えている持ち上げ部であって、前記完全シート収納部内の積層された完全シートの中の最上部のシートから1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートの下側に挿入されてその完全シートとその上方に在る1枚又は複数枚の完全シートとをまとめて持ち上げるための持ち上げ部と、
前記吸着ヘッド及び前記持ち上げ部を、前記薬品棚の中の所定の完全シート収納部の前方で且つ前記完全シート収容部内に積層された完全シートの最上部のシートの斜め上方の第1の位置に、移動させるための第1の移動手段と、
前記吸着ヘッド及び前記持ち上げ部を、前記第1の位置から、前記完全シート収納部内に積層された複数の完全シートの最上部のシートの上側に対向する第2の位置に、移動させるための第2の移動手段と、
前記吸着ヘッド及び前記持ち上げ部を、前記第2の位置から、前記吸着ヘッドの吸着部が前記最上部のシートの上側に接触する第3の位置に、下降させるための第3の移動手段と、
前記持ち上げ部を、前記吸着ヘッドと離して、前記第1の位置から、前記完全シート収容部内の積層された完全シートの最上部のシートより1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートの前方の第4の位置に、下降させるための第4の移動手段と、
前記第4の移動手段により互いに離された前記吸着ヘッド及び持ち上げ部を、前記吸着ヘッドは前記第1の位置から前記完全シート収容部内に積層された完全シートの最上部のシートの上側と対向し、且つ、前記持ち上げ部は前記第4の位置から前記完全シート収容部内の積層された完全シートの最上部のシートより1枚だけ又は複数枚だけ下方に在る完全シートの下側と対向するように挿入される第5の位置に、共に移動させるための第5の移動手段と、
前記持ち上げ部を、前記第5の位置から、前記持ち上げ部の上方の複数の完全シートの中の最上部のシートが前記吸着ヘッドと接触するような第6の位置に、上昇させるための第6の移動手段と、
一枚の完全シートだけをピッキングするときは、前記の第1の移動手段、第2の移動手段、及び第3の移動手段を順次作動させ、複数枚の完全シートをピッキングするときは、前記の第1の移動手段、第4の移動手段、第5の移動手段、及び第6の移動手段を順次作動させるための移動制御手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記の各完全シート収納部にそれぞれ近接して配置されている残部シート収納部であって、同種の錠剤を所定個数だけ互いに区分け可能に封入した錠剤シートの中、1個以上の錠剤を含む端数シートが切り離された後の残りの残部シート又は前記完全シートを、いずれか1枚だけ、収納するための残部シート収納部と、
前記吸着ヘッド及び持ち上げ部と共に移動するように構成されたチャックユニットであって、前記各残部シート収納部に収容されている1枚の残部シート又は完全シートの端部を把持するためのチャックユニットと、
前記チャックユニットにより端部が把持された残部シート又は完全シートから、1個以上の錠剤を含む端数シートを切り離すためのカッティング部と、
前記吸着ヘッド、持ち上げ部、及びチャックユニットの下方に配置され、(a)前記吸着ヘッドにより吸着された一枚の完全シート、(b)前記持ち上げ部により持ち上げられた複数枚の完全シート、(c)前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シート、及び(d)前記チャックユニットにより把持された残部シート又は完全シートから前記カッティング部により切り離された端数シートの中の少なくとも一つ、を受け取るためのシート受け取り部と、
を備えたことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記持ち上げ部は、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から上方向又は下方向に湾曲する湾曲部であって、自らがそれらの間に挿入される2枚の完全シートの中の上側の完全シートを上方に持ち上げることにより前記2枚の完全シート間の隙間を形成・拡大し、これにより、前記持ち上げ部の前記2枚の完全シート間への挿入をスムーズにするための湾曲部、を備えている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記持ち上げ部は、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から第1の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲する第1の湾曲部と、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲する第2の湾曲部とを備え、
前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が所定の距離よりも小さいときは前記第1の湾曲部を前記完全シート間に挿入し、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が所定の距離よりも大きいときは前記第2の湾曲部を前記完全シート間に挿入するための湾曲部切替手段を備えた、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記持ち上げ部は、その前記完全シート側の端部又はその近傍部分から上方向に突出又は下方向に湾曲する湾曲部であって、前記持ち上げ部を前記積層された複数の完全シートの中の所定の2枚の完全シート間に挿入するとき前記2枚の完全シートの上側の完全シートを上方に持ち上げるための湾曲部を備えており、
前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が所定の距離よりも小さいときは、前記湾曲部を第1の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲させるようにし、前記持ち上げ部が挿入される2枚の完全シート間の上下方向の距離が所定の距離よりも大きいときは、前記湾曲部を前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ上方向に突出又は下方向に湾曲させるようにした湾曲量調整手段を備えた、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記持ち上げ部及び/又は吸着ヘッドには、前記持ち上げ部により持ち上げられた複数の完全シートを束ねるための束ね手段が備えられている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項7】
請求項1又は2において、
前記完全シート収容部は、箱状の容器により構成されており、前記容器の前記吸着ヘッド及び持ち上げ部に対向する側には、前記完全シート収容部内に積層された完全シートが崩れ落ちることを防止するための棒状のストッパであって、通常は前記積層された完全シートと前記吸着ヘッド及び持ち上げ部との間の位置に配置されている棒状のストッパが備えられており、
前記持ち上げ部には、前記棒状のストッパがその中を通過可能な切り欠き又は開口部が形成されている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項8】
請求項2において、
前記カッティング部は、カッティング対象となるシートの平面と略平行な断面が略L字状となっているカッター、を備えている、ことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれかにおいて、
投薬のためにピッキングされた薬剤に関する情報を、投薬対象である患者を識別するための患者識別データと関連付けて記録しておくための投薬履歴データベースと、
前記完全シート収容部内の完全シートをピッキングするとき、前記完全シートから読み取り可能な前記完全シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報を含む)を読み取るための投薬情報読取手段と、
前記投薬情報読取手段により読み取られたデータを、その投薬対象の患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに書き込むための投薬情報書込み手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。
【請求項10】
請求項2において、
投薬のためにピッキングされた薬剤に関する情報を、投薬対象である患者を識別するための患者識別データと関連付けて記録しておくための投薬履歴データベースと、
前記完全シート収容部内の完全シートをピッキングするとき、前記完全シートから読み取り可能な前記完全シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報を含む)を読み取るための第1の投薬情報読取手段と、
前記第1の投薬情報読取手段により読み取られたデータを、その投薬対象の患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに書き込むための第1の投薬情報書込み手段と、
前記完全シート収容部内の完全シートを前記残部シート収容部内に移動させるとき、又は前記残部シート収容部内の残部シートの全部又は一部をピッキングするとき、前記残部シートから読み取り可能な前記残部シートの薬剤に関する情報(薬剤の製造履歴情報を含む)を読み取るための第2の投薬情報読取手段と、
前記残部シート収容部内の残部シートの錠剤の全部又は一部をピッキングするとき、前記第2の投薬情報読取手段により読み取られたデータを、その投薬対象の患者の識別データと関連付けて前記投薬履歴データベースに書き込むための第2の投薬情報書込み手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤ピッキングシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5−1A】
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【図5−1B】
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【図5−2A】
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【図5−2B】
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【図5−3A】
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【図5−3B】
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【図5−4A】
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【図5−4B】
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【図5−5A】
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【図5−5B】
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【図6−1A】
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【図6−1B】
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【図6−2A】
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【図6−2B】
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【図6−3A】
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【図6−3B】
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【図6−4A】
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【図6−4B】
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【図7】
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【図8−1A】
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【図8−1B】
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【図8−2A】
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【図8−2B】
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【図8−3A】
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【図8−3B】
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【図8−4A】
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【図8−4B】
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【図8−5A】
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【図8−5B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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