説明

薬剤分包機

【課題】汚染に強い薬剤分包機40を簡便に実現する。
【解決手段】多数の薬剤フィーダ13からの排出薬剤を下方へ案内して落下させる複数の上部薬剤収集機構14と、そこから落下した薬剤を収集して下方へ投入する下部薬剤収集機構15と、そこから投入された薬剤を包装帯に区分包装する包装装置17とが上から下へ並んでいる薬剤分包機40において、空気を取り込んで清浄にして吐出する空気清浄装置41を筐体の最上部に設け、その清浄空気44を上部薬剤収集機構14に上から送り込むとともに上部薬剤収集機構14と下部薬剤収集機構15とを迂回する給気管43にて包装装置17に吹き掛けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の薬剤を収容しておき処方箋や調剤指示に応じて所望の薬剤を自動排出して分包する薬剤分包機に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤分包機の典型例である錠剤分包機10,20について、その構造等を、図面を引用して説明する。図4は、(a)が左前から見た錠剤分包機10の外観斜視図、(b)が錠剤分包機10の内部構造を示す模式図、(c)が左前から見た錠剤分包機10の外観斜視図、(d)が薬剤手撒き装置21+22の付いた錠剤分包機20の左側面図である。
錠剤分包機10は薬剤手撒き装置の付いていないものであるが(図4(a)〜(c)参照、例えば特許文献1,2参照)、錠剤分包機20は錠剤分包機10に薬剤手撒き装置21+22が組み込まれたものである(図4(d)参照、例えば特許文献3参照)。
【0003】
薬剤手撒き装置なしの錠剤分包機10は、玉剤等の錠剤やそれに準じたカプセル剤など各種の薬剤1を種類分けして収容した多数の薬剤フィーダ13と、これらの薬剤フィーダ13から排出された薬剤1を収集する薬剤収集機構14,15と、この薬剤収集機構14,15から受けた薬剤1を包装する包装装置17と、マイクロプロセッサシステム等からなるコントローラ18(制御装置)とを具えている。そして、コントローラ18の制御下、処方箋データや派生した調剤指示データ等に応じて該当する薬剤フィーダ13から必要個数の薬剤1を排出させ、それを薬剤収集機構14,15で収集して下方の薬剤投入部16(収集薬剤投入口)へ送り込み、更に包装装置17で分包する。分包は服用単位や施用単位で区分しながら包装帯2(分包紙)で密封包装するようになっている。
【0004】
詳述すると、錠剤分包機10の筐体内には、上の方に薬品庫11(薬品棚部、薬剤収納庫格納部)が設けられるとともに、下の方に包装装置17が設けられ、さらに、これらの間を薬剤収集機構としての上部薬剤収集機構14と下部薬剤収集機構15が連絡しているが、薬品庫11には、個々にスライドしうる複数の薬剤フィーダ格納庫12(薬剤収納庫)が横に並べて配設され、それぞれの薬剤フィーダ格納庫12には、数個から数十個の着脱式の薬剤フィーダ13が縦横に並べて格納されている。
【0005】
各薬剤フィーダ13は、多数の薬剤1を排出可能に収容する薬剤カセットと、この薬剤カセットを着脱可能に支持してその排出駆動を行うベース部とに大別され、指定錠数だけ薬剤1を排出して上部薬剤収集機構14に送り込むようになっている。
上部薬剤収集機構14は、ダクト等の導管からなり、薬剤フィーダ格納庫12に分散して数本ずつ設けられているが、何れも鉛直状態・縦置き状態で装着されていて、多数の薬剤フィーダ13間を並行して走る複数の案内路部分となっている。
【0006】
薬剤フィーダ格納庫12は、水平にスライドさせることで、それに装備されている上部薬剤収集機構14及び薬剤フィーダ13と共に、前方に引き出せるようになっている。
下部薬剤収集機構15は、比較的大きなホッパ状部材や漏斗状部材からなり、薬品庫11の下方であって包装装置17の上方にあたるところに組み込まれて、上部開口が総ての上部薬剤収集機構14の下端をカバーするほどに大きく開いており、下部開口が包装装置17の薬剤投入部16に向けて絞られていて、何れの上部薬剤収集機構14によって案内されて来た薬剤1も下部開口へ向けて集めて包装装置17へ送り込むので、総ての上部薬剤収集機構14から包装装置17に至る共通路部分となっている。
【0007】
そして、用量や用法等を記した処方箋等の指定に基づく操作パネル19の操作あるいは図示しない適宜な入力装置や処方オーダリングシステムでの調剤指示に応じて、コントローラ18の制御の下、幾つかの薬剤フィーダ13から排出された薬剤1は、各上部薬剤収集機構14を介して下部薬剤収集機構15内へ落下し、その下部薬剤収集機構15で集められて、その下方の出口から包装装置17の薬剤投入部16へ投入される。このような薬剤収集経路を経て、薬剤1は、包装装置17によって包装帯2に分包される。包装装置17は、包装帯2を所定長ずつ送り出すとともに加熱シーリングしながら分包を行う。このように、薬剤の自動分包に際し、薬剤1が適宜の薬剤フィーダ13から薬剤収集機構14,15を経て包装装置17へ一錠またはその倍数ごとに供給されるようになっている。
【0008】
薬剤手撒き装置付きの錠剤分包機20は(図4(d)参照、例えば特許文献3参照)、上述したように錠剤分包機10に薬剤手撒き装置21+22が組み込まれたものであり、薬剤手撒き装置21+22は、例えばカセット式の予備撒き部21と、例えばコンベア式の作動部22とからなる。予備撒き部21には多数の区画室が縦横に並べて形成されており、各区画室は、上面が薬剤投入のため解放され、下面・底面が薬剤排出のためシャッタ等で出来ていて開閉するようになっている。予備撒き部21は、各区画室への薬剤手撒きのために、錠剤分包機20の筐体から引き出し可能になっている。また、予備撒き部21への薬剤投入は手撒きでも、作動部22は、自動で薬剤を排出するようになっている。具体的には、薬剤分包機20の筐体内で、押し込まれた予備撒き部21の下方に位置する所に設けられていて、予備撒き部21の区画室から排出された薬剤1を受け取って一区画室分ずつ下部薬剤収集機構15を介して包装装置17へ送り込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−192702号公報
【特許文献2】特開2006−109860号公報
【特許文献3】特開2007−209600号公報
【特許文献4】特開平11−226089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の薬剤分包機では、薬剤の飛散や付着などによる汚染を除去防止することが必要な場合、必要な箇所に除塵機や吸引排出機構が組み込まれている。このような吸引排気式清浄手段の装備は、散薬分包機では一般的であり、錠剤分包機でも錠剤裁断機構組込タイプには実施されている(例えば特許文献4参照)。
これに対し、清浄な陽圧の空気中で調剤することが求められる場合は、クリーンルームやクリーンベンチが使用され、その中で手作業による調剤が行われているのが現況であり、上述したような薬剤分包機での陽圧下自動調剤は行われていない。
【0011】
しかしながら、汚染を強く嫌う薬剤や汚れを引き起こしやすい薬剤でも自動調剤の要請は強く、また、汚染に比較的強い薬剤や汚れを比較的起こしにくい薬剤でも調剤動作が長期に亘って繰り返えされれば何時かは汚染が限界に達するので、薬剤分包機の汚染防止機能を付加・強化することには、自動調剤可能剤種の拡大や清掃保守頻度の低減といった観点から、意義がある。一方、価格や操作性の観点からは、従来構造を引き継いで改造を小規模に抑えながらも所望の機能を具体化することが求められる。
そこで、汚染に強い薬剤分包機を簡便に実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の薬剤分包機は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、各種の薬剤を収容して逐次排出する多数の薬剤フィーダと、その排出薬剤を下方へ案内して落下させる複数の上部薬剤収集機構と、その下方に設けられていて前記上部薬剤収集機構から落下した薬剤を収集して下方へ投入する下部薬剤収集機構と、前記下部薬剤収集機構の下方に設けられていて前記下部薬剤収集機構から投入された薬剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えた薬剤分包機において、空気を取り込んで清浄にして吐出する空気清浄装置を筐体の最上部に設け、その清浄空気を前記上部薬剤収集機構に上から送り込むとともに前記上部薬剤収集機構と前記下部薬剤収集機構とを迂回する給気管にて前記包装装置に吹き掛けるようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の薬剤分包機は(解決手段2)、上記解決手段1の薬剤分包機に複数の汚れ検出部材を設けたものである。具体的には、薬剤を収容して逐次排出する薬剤フィーダと、前記薬剤フィーダを複数装備しており筐体から引出可能な薬剤フィーダ格納庫と、前記薬剤フィーダ格納庫を複数装備した薬品庫と、前記薬剤フィーダ格納庫に装備されていて前記薬剤フィーダから排出された薬剤を下方へ案内して落下させる上部薬剤収集機構と、前記薬品庫の下方に設けられていて前記上部薬剤収集機構から落下した薬剤を収集して下方へ投入する下部薬剤収集機構と、前記下部薬剤収集機構の下方に設けられていて前記下部薬剤収集機構から投入された薬剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えた薬剤分包機において、空気を取り込んで清浄にして吐出する空気清浄装置を前記筐体の最上部に設け、その清浄空気を前記上部薬剤収集機構に上から送り込むとともに前記上部薬剤収集機構と前記下部薬剤収集機構とを迂回する給気管にて前記包装装置に吹き掛けるようにし、更に、空気の汚れを検出する汚れ検出部材を前記薬品庫の中と前記包装装置の近傍とに設けたことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の薬剤分包機は(解決手段3)、上記解決手段2の薬剤分包機であって、前記汚れ検出部材の検出結果に応じて前記空気清浄装置の風量を可変するようになっていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の薬剤分包機は(解決手段4)、上記解決手段2,3の薬剤分包機であって、前記汚れ検出部材の検出結果を報せる汚れ報知手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明の薬剤分包機にあっては(解決手段1)、空気清浄装置が筐体の最上部に位置していて床から離れているので、相対的に汚れの少ない空気が空気清浄装置に取り込まれる。また、空気清浄装置と上部薬剤収集機構の上端とが近いので、上部薬剤収集機構に上から清浄空気を送り込む機構は簡素なもので足りる。しかも、上部薬剤収集機構に上から送り込まれた清浄空気が、薬剤落下経路に沿って上から下へ流れ、更には下部薬剤収集機構にも送り込まれるので、清浄化の必要な箇所を広範にカバーする。さらに、それでカバーしきれない包装装置については、迂回用の給気管を設けて清浄空気を分流させ、その清浄空気を吹き掛けるようにしたので、包装装置も簡素な機構で清浄化される。したがって、この発明によれば、汚染に強い薬剤分包機を簡便に実現することができる。
【0017】
また、本発明の薬剤分包機にあっては(解決手段2〜4)、薬品庫の中と包装装置の近くの空気の汚れ具合を知ることや、その汚れの程度に応じて清浄化力を適切に加減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1について、薬剤分包機の典型例の錠剤分包機の構造を示し、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
【図2】その錠剤分包機の内部構造を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例2について、薬剤手撒き装置付き錠剤分包機の右側面図である。
【図4】従来の薬剤分包機の構造を示し、(a)が左前から見た錠剤分包機の外観斜視図、(b)が錠剤分包機の内部構造を示す模式図、(c)が左前から見た錠剤分包機の外観斜視図、(d)が薬剤手撒き装置付き錠剤分包機の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
このような本発明の薬剤分包機について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1〜4(出願当初の請求項1〜4)を具現化したものであり、図3に示した実施例2は、その変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,電動モータ等の駆動源,タイミングベルト等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
また、それらについて背景技術の欄で述べたことは以下の各実施例についても共通するので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の薬剤分包機の実施例1について、その典型例である錠剤分包機40の具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、錠剤分包機40の三面図で、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。また、図2は、その錠剤分包機40の内部構造を示す模式図である。
【0021】
錠剤分包機40は、既述した従来の錠剤分包機10と同様、薬剤を収容して逐次排出する薬剤フィーダ13を多数と、薬剤フィーダ13を複数装備しており筐体から引出可能な薬剤フィーダ格納庫12を複数と、薬剤フィーダ格納庫12を複数装備した薬品庫11と、薬剤フィーダ格納庫12に装備されていて薬剤フィーダ13から排出された薬剤を下方へ案内して落下させる上部薬剤収集機構14を複数と、薬品庫11の下方に設けられていて上部薬剤収集機構14から落下した薬剤を収集して下方の薬剤投入部16へ投入する下部薬剤収集機構15と、下部薬剤収集機構15の下方に設けられていて下部薬剤収集機構15から薬剤投入部16に投入された薬剤を包装帯に区分包装する包装装置17と、コントローラ18や操作パネル19を備えている。
【0022】
この錠剤分包機40が既述した従来の錠剤分包機10と相違するのは、筐体の外から空気を取り込んでそれを清浄にしてから吐出する空気清浄装置41が筐体の最上部に設けられた点と、空気清浄装置41の吐出した清浄空気44を一時貯留する給気室42が空気清浄装置41と薬品庫11との間に設けられた点と、清浄空気44を給気室42から薬品庫11の薬剤フィーダ格納庫12の上部薬剤収集機構14それぞれに上から送り込むようになっている点と、例えば筐体内の背面側に縦置きダクトからなる給気管43が一本か幾本が設けられた点と、その給気管43によって清浄空気44の一部が給気室42から上部薬剤収集機構14も薬剤フィーダ13も薬剤フィーダ格納庫12も更には下部薬剤収集機構15も迂回しながら下方へ導かれて包装装置17の薬剤投入部16に向けて吹き掛けられるようになっている点と、汚れ検出部材45〜47が設けられている点と、シャッタ開閉式の一時貯留部14aが上部薬剤収集機構14の下端に設けられている点である。
【0023】
空気清浄装置41は、適宜な風量の送風ファンにHEPAフィルタやULPAフィルタといった清浄化部材を組み合わせたクリーンエア供給ユニットであり、上方空間から空気を取り込んで、空気を例えばクラス1000程度まで清浄化し、できた清浄空気44を直下の給気室42へ送り込むようになっている。給気室42は、清浄空気44を一時貯留して気流や気圧の乱れを緩和できれば簡素な箱体で足りる。給気室42から下方の上部薬剤収集機構14へ清浄空気44を送り込むのは、給気室42の底板の貫通穴と上部薬剤収集機構14の上端開口とを直に或いは短いホース等で間接的に連通すれば足りるので、これも簡便に実装することができるものである。給気管43は、それよりも長くなるが、やはりフレキシブルホース等の配管で間に合うので、やはり簡便に実装しうるものである。
【0024】
汚れ検出部材45〜47は、何れも、各々の設置箇所で、空気の汚れを検出するものであり、光学式のパーティクルセンサが使い易く価格も安い。汚れ検出部材45は薬品庫11の中で前寄りの所に設けられており、汚れ検出部材46は包装装置17にも近いが下部薬剤収集機構15にはもっと近くであって前寄りの所に設けられており、汚れ検出部材47は包装装置17に最も近くて薬剤投入部16の直ぐ側に設けられている。汚れ検出部材45〜47の検出結果は総て信号ケーブル等でコントローラ18に送信されるようになっている。報知手段にもケーブル等で直接的に汚れ検出部材45〜47の検出結果が送出されるようにしても良いが、ここではコントローラ18が介在するようになっている。
【0025】
報知手段は、筐体に外装された多色の表示器や音調可変のブザー等からなり、汚れ検出部材45〜47の検出結果をレベル分けして周囲の者に報せるようになっている。
コントローラ18は、既述した調剤制御に加え、汚れ検出部材45〜47の検出結果に応じて空気清浄装置41の風量を可変するようにもなっている。例えば汚れ検出部材45〜47の検出結果のうち最も汚染度の高い値を採択したり或いは汚れ検出部材45〜47の検出結果から平均値を算出する等のことで複数の汚れ検出部材45〜47の検出結果を一つに統合してから、汚染度が高くなったときには空気清浄装置41の風量を増し、清浄度が高くなったときには空気清浄装置41の風量を減らすようになっている。
【0026】
この実施例1の錠剤分包機40(薬剤分包機)について、その使用態様及び動作を説明する。基本的な使い方や動作については、上部薬剤収集機構14に案内されて落下した薬剤が一時貯留部14aで一旦留め置かれてから適切な時期に放出されて下部薬剤収集機構15へ落下するようになったこと以外は、従来と同様である。
そのため、繰り返しとなる説明は割愛して、ここでは、従来との相違点である新設の筐体内空気清浄化手段41〜46に関する動作等を詳述する。
【0027】
空気清浄装置41が作動すると、錠剤分包機40の上方の空気が空気清浄装置41に取り込まれて浄化され、それによって作られた清浄空気44が先ず給気室42に送り込まれて一時貯留される。そして、そのうちの多くの部分が給気室42から上部薬剤収集機構14の上端部に送り込まれ、残部が給気室42から給気管43の上端部に送り込まれる。上部薬剤収集機構14に上から送り込まれた清浄空気44は、薬剤落下経路をなす上部薬剤収集機構14の中空を上から下へ流れ、下りきったところで上部薬剤収集機構14から吹き出て、やはり薬剤落下経路をなす下部薬剤収集機構15の中にも届くため、薬剤落下経路の塵埃が清浄空気44によって吹き払われるので、薬剤落下経路が綺麗になる。
【0028】
また、給気管43に上から送り込まれた清浄空気44は、薬剤フィーダ13も上部薬剤収集機構14も下部薬剤収集機構15も迂回して清浄なまま給気管43から吹き出て、包装装置17に吹き付けるため、包装装置17の塵埃も清浄空気44によって吹き払われるので、薬剤落下経路が最下端・最終点まで綺麗になる。
なお、筐体の中に送り込まれた清浄空気44は、薬剤フィーダ格納庫12を引出可能にする間隙や開閉扉の隙間などから筐体外へ漏れ出るため、筐体の中が大気より圧力の高い陽圧に維持されるので、装置外から塵埃が侵入するおそれも無い。
【0029】
しかも、汚れ検出部材45によって薬品庫11の中の空気の汚れが測定され、汚れ検出部材46によって下部薬剤収集機構15の周りの空気の汚れが測定され、汚れ検出部材47によって包装装置17の薬剤投入部16の辺りの空気の汚れが測定され、それぞれの測定値・検出値が例えば所定の閾値との比較等にて良好・注意・不良などに分類され、その分類結果が表示器に表示されるとともにブザー音などで発報されるので、錠剤分包機40の近くにいる者は錠剤分包機40の中の汚れ具合を容易に把握することができる。
【0030】
さらに、汚れ検出部材45〜47の測定値・検出値がコントローラ18によって一つに統合されて錠剤分包機40の筐体の中の空気の汚れが求まる。そして、コントローラ18によって、筐体の中の空気が清浄であることが判明すると空気清浄装置41の風量が減らされ、筐体の中の空気が汚れていることが判明すると空気清浄装置41の風量が増やされる。なお、空気清浄装置41の風量すなわち清浄空気44の流量に関する増量は、薬剤の排出落下収集に悪影響の無い範囲か時期に限定して行われる。
【実施例2】
【0031】
図3に右側面図を示した錠剤分包機50(薬剤分包機)は、薬剤手撒き装置付き錠剤分包機であり、既述した錠剤分包機20と対比されるものである。
この錠剤分包機50が上述した実施例1の錠剤分包機40と相違するのは、予備撒き部21と作動部22とを具備した薬剤手撒き装置21+22が装備されている点である。
【0032】
また、錠剤分包機50が既述した錠剤分包機20と相違するのは、錠剤分包機20では作動部22が下部薬剤収集機構15に固定されていて保守作業等のため作動部22を装置筐体から引き出すときには下部薬剤収集機構15を引き出すようになっていたのに対し、錠剤分包機50にあっては、作動部22と下部薬剤収集機構15とが分離されていて、作動部22は下部薬剤収集機構15の引出操作の制約を受けることなく単独で筐体から前方へ引き出すことができ、下部薬剤収集機構15は作動部22の引出操作の制約を受けることなく単独で筐体から後方へ引き出すことができるようになっている。これにより、保守作業はもちろん下部薬剤収集機構15の清掃作業も遣り易くなっている。
【0033】
[その他]
上記実施例では、汚れ検出部材が清浄空気44の放出先にだけ設けられ、清浄空気44の供給元には汚れ検出部材が設けられていなかったが、例えば給気室42の中にも汚れ検出部材を設けて、その検出結果まで空気清浄装置41の風量可変調節や汚れ報知に反映させるようにしても良い。
上記実施例では、フィルタが空気清浄装置41にだけ入っていて給気室42には入っていなかったが、給気室42にもフィルタを入れておくようにしても良く、例えば空気清浄装置41のところを送風機にするとともに給気室42のところにフィルタを置くことにより両者が協働して空気清浄装置として機能するようにしても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 …薬剤(錠剤)、2 …包装帯(分包紙)、
10…錠剤分包機(薬剤分包機)、11…薬品庫、
12…薬剤フィーダ格納庫、13…薬剤フィーダ、
14…上部薬剤収集機構、14a…一時貯留部、
15…下部薬剤収集機構、16…薬剤投入部、17…包装装置、
18…コントローラ(制御装置)、19…操作パネル、
20…錠剤分包機(薬剤分包機)、
21…予備撒き部(手撒き装置)、22…作動部(手撒き装置)、
40…錠剤分包機(薬剤分包機)、
41…空気清浄装置、42…給気室、43…給気管、
44…清浄空気、45,46,47…汚れ検出部材
50…錠剤分包機(薬剤分包機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の薬剤を収容して逐次排出する多数の薬剤フィーダと、その排出薬剤を下方へ案内して落下させる複数の上部薬剤収集機構と、その下方に設けられていて前記上部薬剤収集機構から落下した薬剤を収集して下方へ投入する下部薬剤収集機構と、前記下部薬剤収集機構の下方に設けられていて前記下部薬剤収集機構から投入された薬剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えた薬剤分包機において、空気を取り込んで清浄にして吐出する空気清浄装置を筐体の最上部に設け、その清浄空気を前記上部薬剤収集機構に上から送り込むとともに前記上部薬剤収集機構と前記下部薬剤収集機構とを迂回する給気管にて前記包装装置に吹き掛けるようにしたことを特徴とする薬剤分包機。
【請求項2】
薬剤を収容して逐次排出する薬剤フィーダと、前記薬剤フィーダを複数装備しており筐体から引出可能な薬剤フィーダ格納庫と、前記薬剤フィーダ格納庫を複数装備した薬品庫と、前記薬剤フィーダ格納庫に装備されていて前記薬剤フィーダから排出された薬剤を下方へ案内して落下させる上部薬剤収集機構と、前記薬品庫の下方に設けられていて前記上部薬剤収集機構から落下した薬剤を収集して下方へ投入する下部薬剤収集機構と、前記下部薬剤収集機構の下方に設けられていて前記下部薬剤収集機構から投入された薬剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えた薬剤分包機において、空気を取り込んで清浄にして吐出する空気清浄装置を前記筐体の最上部に設け、その清浄空気を前記上部薬剤収集機構に上から送り込むとともに前記上部薬剤収集機構と前記下部薬剤収集機構とを迂回する給気管にて前記包装装置に吹き掛けるようにし、更に、空気の汚れを検出する汚れ検出部材を前記薬品庫の中と前記包装装置の近傍とに設けたことを特徴とする薬剤分包機。
【請求項3】
前記汚れ検出部材の検出結果に応じて前記空気清浄装置の風量を可変するようになっていることを特徴とする請求項2記載の薬剤分包機。
【請求項4】
前記汚れ検出部材の検出結果を報せる汚れ報知手段が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載された薬剤分包機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−182889(P2011−182889A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49905(P2010−49905)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】