薬剤投与を監視する差圧利用薬剤投与フローセンサ組立体用のカセットとその作製方法
センサ組立体と共に用いる使い捨て可能組立体とその作製方法で、使い捨て可能部は本体とフロー制限要素と流体圧力膜とを備える。本体は、蓋部と基部とを有する。本体は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定している。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路に沿って配置される。流体圧力膜は、流入口と流出口との間の流体流路の所定箇所にある。流体圧力膜は、フロー制限要素を受容する開口を画定している。流体圧力膜は、本体の蓋部と基部との間に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差圧利用フローセンサ組立体ならびに差圧利用フローセンサ組立体を収容したシステムを用いる薬剤投与を監視する方法に概ね関するものであり、より具体的には使い捨て可能部分と再利用可能部分とを有する差圧利用フローセンサ組立体に関するものである。より具体的には、本発明はこの種のフローセンサ組立体の使い捨て可能部分として機能するカセットとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用ポンプを含む最新の医療デバイスは、患者に流体、溶液、薬剤、薬物を投与するのにますますマイクロプロセッサ利用システムにより制御されつつある。医用ポンプ用の一般的な制御には、開業医が投与対象である流体の薬量、流体投与流量、継続時間、患者に点滴する流体の体積を入力できるようにするユーザインタフェースが含まれる。一般に、薬剤投与は連続的な点滴として、あるいは単一の注入器による一回注入量として行なわれるようプログラムされる。
【0003】
各チャネルから異なる流体を施薬する多チャネル点滴ポンプの使用もしくは複数の単一チャネル点滴ポンプの使用により複数の薬剤を患者に点滴することは、当たり前のことである。複数の薬剤を患者へ投与する別の方法は、点滴ポンプを使用する第1の薬剤と単一の注入器による一回注入量を介する追加の薬剤の投与である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一の注入器による一回注入量(bolus dose)を介して薬剤を投与するときは、患者に正規の薬剤が投与されていることの検証に加え患者に正規の量の薬剤が投与されていることの検証もまた重要である。一般に、介護者は患者の書面カルテ上に注入器による一回注入量を介して投与される薬剤の量を単純に手書きで注記し、その情報を後刻患者の記録内に電子的に入力することができる。こうして、人為的過失が偶発的な薬剤の過剰投与または過小投与に通ずることがあるものの、介護者は適切な薬量が投与されたものと信ずることになる。薬剤投薬の過失に加え、人為的過失が単一の注入器による一回注入量中に投与される薬剤を記録する上での障害を生ずることもある。こうして、患者に投与されてきた各薬剤が患者の医療記録に反映されないような可能性がある。広範な流体と流量を計測することのできる点滴ライン(IV line)内のセンサは、そのラインを介してその患者に与えられる各薬剤の流量と体積の文書記録に役立つことになる。さらに、低コストで、特に使い捨て可能な薬剤投与配管セットに対し低い割増コストをもたらすしっかりとした流量検出方法論を提供することが望ましい。さらに、厳密には知ることの出来ない流体粘性を含む所定範囲の物理的特性を有する流体の流量を正確に検出することのできる流量検出方法論を提供することが望ましい。その結果、薬剤投与を監視するよう適合させた差圧利用フローセンサシステムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、流体システムの流量(rate)を特定するよう適合させた差圧利用フローセンサ組立体は使い捨て可能部分と再利用可能部分とを備える。使い捨て可能部分は、流入口と流出口とを形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路沿いに位置決めする。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定位置に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置する。
【0006】
再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めされる。
【0007】
下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜にて流体圧力を測定するよう位置決めされる。
【0008】
別の実施形態によれば、差圧利用流体フロー組立体と共に用いる使い捨て可能組立体は、本体とフロー制限要素と上流流体圧力膜と下流流体圧力膜とを備える。本体は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する。フロー制限要素は、流体流路内で流入口と流出口との間に位置決めされる。上流流体圧力膜は、流入口と流体制限要素との間の流体流路内に配置される。下流流体圧力膜は、流体制限要素と流出口との間の流体流路内に配置される。
【0009】
一つの方法によれば、流体フローシステム内の流体流量が測定される。本方法は、差圧利用フローセンサ組立体を用いる。センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とで構成される。使い捨て可能部分は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路に沿って位置決めする。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置される。再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。
【0010】
上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。
【0011】
下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。流体は、流体流路を通って案内される。本方法は、上流流体圧力センサの出力と下流流体圧力センサの出力との間の差圧に基づき流体の流量を算出する。
【0012】
さらなる実施形態によれば、第1の薬剤源から患者へ流体薬剤を投与して流体の流量を測定する流体投与システムは、点滴ポンプと差圧利用フローセンサ組立体とプロセッサとを備える。点滴ポンプは、流体ラインを介する第1の薬剤源からの第1の薬剤の流量を選択的に変更する。差圧利用フローセンサ組立体は、流体ライン内の第1の薬剤の流量を測定する。
【0013】
センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とを有する。使い捨て可能部分は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路に沿って位置決めされる。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置する。
【0014】
再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。
【0015】
下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。
【0016】
プロセッサは、差圧利用フローセンサ組立体が供給する情報に基づき第1の薬剤の流量を変更することで点滴ポンプを制御するよう適合させる。プロセッサはまた、患者に供給される第1の薬剤の量を測定するよう適合させる。
【0017】
さらに別の方法は、差圧利用フローセンサ組立体を用いて患者へ薬剤を投与し、流体ライン内の第1の薬剤の流量を測定する。センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とを備える。使い捨て可能部分は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路に沿って位置決めする。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置する。
【0018】
再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。
【0019】
本方法は、フローセンサ組立体を用いて第1の薬剤の流量を検出する。第1の薬剤の流量を選択的に変更する点滴ポンプは、流体センサ組立体がプロセッサへ供給する情報に基づき制御する。本方法は、患者へ給送される第1の薬剤の量を流体センサ組立体がプロセッサへ供給する情報に基づき決定する。
【0020】
さらなる方法は、流体フローシステム内の流体の流量を測定する。上流圧力センサを、流体流路に配設する。下流圧力センサもまた、流体流路に配設する。本方法は、上流圧力センサと下流圧力センサとの間の流体流路沿いにフロー制限要素を用いる。流体は、流体流路を介して導かれる。流体の流量は、上流流体圧力センサの出力と下流流体圧力センサの出力との間の差圧に基づき算出される。
【0021】
別の実施形態によれば、流体システムの流量を測定する差圧利用流体センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とを備える。使い捨て可能部分は、本体と流体圧力膜とフロー制限要素とを有する。本体は、流入口と流通口を形成する流体流路を画定する。本体は、基部と蓋部とを有する。流体圧力膜は、流入口と流出口との間の流体流路内に配置される。流体圧力膜は、基部と本体蓋部との間に位置決めされる。フロー制限要素は、流入口と流出口と間の流体流路に沿って位置決めされる。流体圧力膜は、フロー制限要素を受容する開口を画定している。再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の上流箇所で上流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の下流箇所で下流流体圧力を検出する。
【0022】
さらにもう一つの実施形態によれば、センサ組立体と共に使用する使い捨て可能組立体が本体とフロー制限要素と流体圧力膜とを備える。本体は、蓋部と基部とを有する。本体は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定している。フロー制限要素は、流入口と流出口間との間の流体流路に沿って位置決めされる。流体圧力膜は、流入口と流出口との間の流体流路内の所定箇所にある。流体圧力膜は、フロー制限要素を受容する開口を画定している。
【0023】
他の方法によれば、差圧利用流体フローセンサ組立体と共に用いる使い捨て可能組立体が形成される。本方法は、基部と蓋部とを用いる。フロー制限要素が、流体圧力膜内に挿入される。流体圧力膜は、フロー制限要素を受容する開口を画定する。流体圧力膜は、基部内に位置決めされる。本方法は、流体圧力膜が蓋部と基部との間に存在するよう蓋部を基部に隣接配置する。蓋部は、基部に固着される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一実施形態になる差圧利用フローセンサ組立体を有する点滴ラインに接続した患者を示す概観図である。
【図2】図1の差圧利用フローセンサ組立体のより接近したより詳細な概観図を示す。
【図3】図1の実施形態の差圧利用フローセンサ組立体の等角投影図である。
【図4】図3の4−4線に沿う断面図である。
【図5a】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5b】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5c】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5d】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5e】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図6】図1の差圧利用フローセンサ組立体を有する点滴ラインを通過させる点滴注入あるいは注入器による一回注入量を介する患者への薬剤投与を示す概観図である。
【図7】一つの基本的な方法による差圧利用フローセンサ組立体を有するシステムを用いた薬剤投与方法を略示する。
【図7a】図7よりも精緻な方法による差圧利用フローセンサ組立体付きシステムを用いた薬剤投与方法を略示する。
【図8a】別の方法による差圧利用フローセンサ組立体付きシステムを用いた薬剤投与方法を概略示す。
【図8b】図8aに続く、別の方法による差圧利用フローセンサ組立体付きシステムを用いた薬剤投与方法を概略示す。
【図9】別の実施形態による差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分の分解概観図である。
【図10】図9の使い捨て可能部分を有する差圧利用フローセンサ組立体の分解概観図である。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図である。
【図12】図9と共に使用するよう適合させたフロー制限要素の一実施形態の概観図である。
【図13】図9の13−13線に沿う流体圧力膜の断面図である。
【図14】さらに別の実施形態による差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分の分解概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は多くの異なる形態の実施形態を許容するものであるが、本発明の一実施例を図面に示し、本明細書にて説明することにする。本開示は、本発明原理の一例として見なすべきである。本発明の幅広き態様を図示の例に限定することは、意図していない。
【0026】
図1は、薬剤投与システム1に接続され、薬剤貯槽14から点滴ポンプ12を介して第1の薬剤を受容する患者10を表わす概観図である。第1の流体ラインセグメント16は、貯槽14から点滴ポンプ12へ第1の薬剤を給送する。第2の流体ラインセグメント18は、点滴ポンプ12から差圧利用フローセンサ組立体100へ薬剤を給送する。第3の流体ラインセグメント22が、差圧利用フローセンサ100から患者10へ薬剤を投与する。3本の流体ラインセグメントは図1に関連して説明したが、本発明に関連して用いる流体ラインあるいはラインセグメントの数は変更することができ、3本の流体ラインよりも少なくもあるいは多くもできる。第3の流体ラインセグメント22は通常、コネクタバルブ23とカテーテル25等の患者アクセスデバイスとを介して患者10に接続される。
【0027】
第2の流体ラインセグメント18は、第2の薬剤源から第2の薬剤を受容するよう適合させたコネクタ20を有する。図1に示したコネクタは通常Yサイトと呼ばれるが、本発明に関連して他種のコネクタならびに構成を用いることもできる。
【0028】
図2に追加の詳細をもって図示したコネクタ20は、看護者26による手動の点滴注入あるいは注入器による一回注入の形で注入器24から第2の薬剤を受け取ることができる(図6参照)。第2の薬剤が、第2の薬剤貯槽あるいは他の知られている薬剤投与源から等の別の方式で供給できることは、さらに想到される。薬剤投与システム1はさらに、差圧利用フローセンサ組立体100を有する。例示実施形態では、差圧利用フローセンサ組立体100をコネクタ20の下流に配置し、患者10に固定する。こうして、フローセンサ組立体はセンサ組立体100を通って流れる第1と第2の薬剤流路の両方を有するよう適合させられる。しかしながら、センサ組立体100は、これらに限定はされないが、第2の薬剤源とコネクタ20との間に接続され、あるいはコネクタ20の分岐の一つの上またはその中に一体形成された第1と第2の薬剤の間の流体合流箇所の上流を含む任意の数の場所にも配置し得る。フローセンサ組立体100は、必ずしも患者10に直接固定する必要はない。
【0029】
次に図3と図4を参照すると、差圧利用フローセンサ組立体100が追加の詳細もって図示してある。差圧利用フローセンサ組立体100は、使い捨て可能部分102と再利用可能部分104とを有する。本明細書に使用する再利用可能とは、安全に再利用することのできる構成要素として定義される。例えば、同じ再利用可能部分104は、使い捨て可能部分102を少なくとも72時間程度ごとに取り替えながら、同じ患者に対し複数回使用することができる。同じ再利用可能部分104を、新規の使い捨て可能部分102を組み込むことで製造業者あるいは健康管理施設が推奨する洗浄方針に従い、異なる患者に対し百回あるいは千回までも使用することができる。これが可能なのは、再利用可能部分104が流体の侵入を阻止するよう設計されているからである。図4から最も良く見てとれるように、使い捨て可能部分102は流体流入口106、上流流体チャンバ108、上流流体圧力膜110、フロー制限要素112、下流流体チャンバ114、下流流体圧力膜116、流体流出口118を有する。膜110、116は、流体不透過性である。膜全体を図示したが、これらに限定はされないが、1つ以上のガスケットおよびO−リングを含む他種のシールが再利用可能部分の筺体の外部に流体を保持するのに十分なことになることが想到される。必要に応じ、洗浄溶液を用いてあらゆる露出領域を洗浄し得る。
【0030】
図4に示すように、薬剤は流体流入口106を介して使い捨て可能部分102に流入する。薬剤は、流体流入口106から上流流体チャンバ108内へ流入する。次に、薬剤はフロー制限要素112を通り、下流流体チャンバ114内へ流入する。フロー制限要素112を通過する薬剤の流れは、流体が上流流体チャンバ108からフロー制限要素112を介して下流流体チャンバ114へ流れる際に流体圧力の降下を生ずる。こうして、通常の条件下での順方向の流体フロー期間中は、上流流体チャンバ108内の流体圧力が下流流体チャンバ114内の流体圧力を概ね上回る。上流流体チャンバ108内の流体圧力が、上流流体圧力膜110を押圧する。同様に、下流流体チャンバ114内の流体圧力が下流流体圧力膜116を押圧する。
【0031】
使い捨て可能部分102の製造用に様々な材料が利用できることが想到される。使い捨て可能部分102は、熱可塑材を備え得る。。フロー制限要素112を使い捨て可能部分102の残りの部分と同じ熱可塑材で作製したり、あるいは使い捨て可能部分102とは異なる材料にできることが想到される。フロー制限要素112の形成に用いることのできる材料の非限定的な実例には、シリコン、ガラス、医用品質等級の熱可塑材およびエラストマーが含まれる。流体圧力膜110、116は、TPE(熱可塑性エラストマー)またはシリコン等の様々なポリマー材料あるいはエラストマー材料で構成することができる。
【0032】
フロー制限要素112が使い捨て可能部分102の残りの部分と一体に形成できたり、あるいはフロー制限要素112を下記に説明するように使い捨て可能部分102内に配置した個別構成要素にできることも加えて想到される。
【0033】
図4からも見てとれるように、差圧利用流量センサ組立体100の再利用可能部分104が、どれも筺体128内に収容される上流圧力センサ120、下流圧力センサ122、回路基板124、電気結線126を有する。上流圧力センサ120は、上流流体圧力膜110と相互作用して上流流体チャンバ108内の流体圧力の読み取り値を生成するよう適合させる。同様に、下流圧力センサ122は下流流体圧力膜116と相互作用し、下流流体チャンバ114内の流体圧力の読み取り値を生成するよう適合させる。回路基板124は、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の両方からの出力を受け取る。回路基板124は上流流体チャンバ108と下流流体チャンバ114との間の差圧を算出することができ、あるいは回路基板126が上流チャンバ108と下流チャンバ114との間の差圧を算出する点滴ポンプ12等のプロセッサ付きの別装置へ送信する出力信号を生成することができる。回路基板124の出力は、電気結線126を介して点滴ポンプ12(図1)へ送られる。
【0034】
図4には導線による電気結線126を示したが、システムは点滴ポンプ12または他のシステム構成要素との無線の電気接続および通信を随意選択的に配設することができる。幾つかの代替実施形態によれば、再利用可能部分104がさらに電池、1つ以上のメモリ、増幅器、信号調整構成要素、アナログ/デジタル変換器、電力変換器、LEDインジケータ、ディスプレイ、音声生成構成要素、無線通信エンジン、点滴ポンプ12または他ソースから電力を受け取る誘導コイル、能動的あるいは受動的な電波による個体識別装置(RFID)等の追加の電子部品を収容させることができることもさらに想到される。本明細書に説明した計算と処理は、必要に応じてあるいは所望に応じて、回路基板124上、点滴ポンプ12内、遠隔プロセッサ(図示せず)内にて行なうことができ、あるいはシステム構成要素のうちの1つにだけ集中させたり、1つ以上のシステム間に分散させることができる。
【0035】
再利用可能部分104の構成要素は、筺体128内に収容される。筺体128は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリルまたは他の知られている材料等のポリマー材料から製造することができる。上流の再利用可能部分の膜130が上流の流体圧力センサ120から上流流体圧力膜110を分離できることも、さらに想到される。同様に、下流の再利用可能部分の膜132は下流の流体圧力センサ122から下流流体圧力膜116を分離することができる。
【0036】
次に図5aを参照すると、使い捨て可能部分202の断面がフロー制限要素212aの輪郭を図示すべくフロー制限要素212aと共に略示してある。フロー制限要素212aはフロー制限要素112と同一であるが、変えることもできる。フロー制限要素212aは、オリフィスの形をしている。オリフィスは有用なフロー制限要素であり、なぜならオリフィスの性能は毛細管チャネル等の他のフロー制限要素とは粘性が異なる流体間でばらつきが少ないからである。すなわち、所与の流量についてオリフィスを挟んで計測される差圧は実際の溶液の粘性とは殆ど無関係であり、ここでは毛細管等の代替制限体を挟んで計測される差圧が流体の粘性に対する強い依存性を実証することになる。フロー制限要素212aは、フロー制限要素212aの上流側に配置される前面214aと、フロー制限要素212aの下流側の背面216aとを有する。フロー制限要素212aを挿通して開口218aが形成してあり、フロー制限要素212aを介して流体がフローできるようにしている。
【0037】
開口218aには様々な断面形状を持たせることができるが、円形開口が一般に用いられる。フロー制限要素212aの開口218aを通過する流体のフローに対する流体粘性の影響低減に役立たせるべく、開口218aにはほぼ100対1からほぼ2000対1の開口218aの全周と開口218aを通過する流体の移動長の比を持たせることができる。すなわち、開口の全周は開口218aを流れる流体のフロー長を十分に上回っており、開口218aを介する圧力低下は流体に対する依存度はより低く、開口218aの幾何形状により多く依存する。ほぼ1000対1の全周対流路長を有する開口が有効であることが、判っている。例えば、寸法12ミクロンの流路長を有する直径430ミクロンの円形オリフィスは数100から数1000ml/hrの流量に対応する。より少量の流量と用途には、より小径のオリフィスが必要となることになる。
【0038】
フロー制限要素の開口218aの肉厚は、ほぼ5ミクロンからほぼ25ミクロンまで変えることができる。ほぼ12ミクロンの肉厚を有する開口218aが有効であることが、判っている。所望のフロー特性を実証するには、固体構造内にフローオリフィスあるいは開口を配設することが重要である。オリフィスの有効流体力学直径と流入口の高さの比は、少なくとも10対4あるいはほぼ5対1のように、やや大きなものとすべきである。しかしながら、所望のオリフィスの長さに等しい一定の肉厚の膜は、膜が全域にわたって大きい場合には機械的に脆弱となることがある。一旦オリフィス開口が確立されると、その中にオリフィスを有する膜材料はオリフィス周縁から遠ざかるにつれより厚肉とすることができる。その結果、オリフィス自体は所望の制限的流路長を備えることができ、一方でオリフィスがその中に有する膜はオリフィスから離れた場所でオリフィスの長さを上回って厚肉となる。こうして、フロー制限要素の形成に他の様々な幾何形状もまた用いることができることが想到される。
【0039】
図5aに示すように、フロー制限要素212aはより厚肉の断面形状から開口218a近傍のより薄肉の断面形状へと遷移する。フロー制限要素212aに対しこの種の幾何形状を作製することで、フロー制限要素212aに対する様々な低コストの製造手法が可能となる。この種の構造を作製することはフロー制限要素212aの性能に対し限定された影響を有するものであり、なぜならこの種の構造は異なる粘性を有しながら同じ流体流量を有する流体にとって多大な圧力差をもたらさないからである。こうして、開口218a近傍のフロー制限要素212aの薄さが開口218aを介する圧力降下に対する流体粘性の影響を制限し、一方で開口218aから離れた厚肉の材料がフロー制限要素212aの全長を増大させる。
【0040】
図5bから図5eは、フロー制限要素212aと同様に機能する代替フロー制限要素212b〜212eを示す。フロー制限要素212bは一定の肉厚を維持し、一方でフロー制限要素212c〜212eは開口218c〜218e近傍でより薄肉となる。背面216a〜216eの幾何形状は、開口218a〜218eを流れるフロー特性に対し大きな影響をもたない。これは、開口218a〜218eを流れる流体が通常、背面216a〜216eの幾何形状がオリフィスから離れて適当な勾配をとる限り、オリフィス背面に対する最小の流体/壁の動的相互作用を有する良好に規定された流体流量分布を特徴付け、その結果、粘性により引き起こされる圧力損失を最小化するからである。これらオリフィス構造の一部が、それらに製造利点を加える。例えば、オリフィス218aは、エッチング、リソグラフィ、マスキング、他のMEMS処理等のシリコン処理技法を介して効率的に成形することができる。オリフィス218bは、薄い平坦な原材料をレーザ加工により効率的に成形することができる。オリフィス218c、218dは、写真撮影ガラス処理技法を用いて簡単に形成し得る。オリフィス218c、218d、218eは、成形あるいはエンボス加工技法により形成し得る。さらなる技術の組み合わせを、本発明範囲内で用い得る。
【0041】
上流圧力センサ、共通の組立体内のフロー制限要素、共通の組立体内の下流圧力センサに関連して多くの実施形態を説明してきたが、さらなる代替実施形態によれば、これらの構成要素を流体フローシステム内の個別の独立した構成要素とすることができることもさらに想到される。流体流量と流体流の体積を計測する方法と処理は、この代替実施形態に従って先に説明したものと概ね同一である。こうして、独立したフロー制限要素を通って流れる流体が生成する独立した上流圧力センサと独立した下流圧力センサとの間の差圧を監視することで、流体流量を算出することができる。
【0042】
次に図6を参照すると、点滴注入あるいは注入器による一回注入が患者10に対し投与中であることが図示してある。介護者26が、コネクタ20を介して注入器24を第2の流体ライン18に接続する。介護者26はそこで、注入器24内の薬剤をコネクタ20を介して患者に投与する。薬剤は、差圧利用流体フローセンサ100と第3の流体ライン22を通って患者10へ送られる。差圧利用フローセンサ組立体100は、センサ組立体100を介して薬剤の流量を監視する。センサ組立体100を流れる流量を監視することで、患者10に投与される薬剤の量を算出することができる。
【0043】
圧力センサ組立体100を通過する流体の流量は、次の式、
【数1】
により算出することができ、ここでQは体積流量であり、ΔPは上流圧力センサと下流圧力センサとの間の差圧であり、ρは流体密度であり、CDは開口の流量係数であり、Aは開口の面積である。開口用のオリフィスの使用は流体粘性に対する誘導差圧の依存度を最小化することを経験的に示しており、流量係数は実質一定に止まり、こうして流量は圧力、密度、面積の関数とされる。
【0044】
流量Qが一旦算出されると、流体の体積は次式、
【数2】
を用いて流量を一定時間期間にわたり積分することで測定することができる。この式を用いることで、センサ組立体100を通過する順方向と逆方向の両方の流れを算出することができる。負の流量は、下流センサ122における圧力が上流センサ120における圧力を上回り、こうして流体は患者10から離れてセンサ組立体100を通って逆流することを示すことになる。
【0045】
より正確にΔPをもたらすべく、圧力のゼロ調整(tare)、すなわちセンサの較正を好ましくは無フロー状態において、実行することができる。圧力のゼロ調整は、流体給送期間中に上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の個々の読み取り値から上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の両方の平均圧力を減算する。この種の圧力ゼロ調整の使用が、圧力供給ドリフト、増幅、温度変動、注入器による一回注入の投与および記録に先立つあらゆる呼び水ステップからの残留圧力による信号ドリフトの発生を低減する。
【0046】
センサを流れる流体の逆流は、負のΔPをもって計測することもできる。この場合、流れはΔPの絶対値をとり、負号を根号外に移動させ、
【数3】
とする。負の流量は注入器からの真の正味の順方向体積給送の計算に集約する上で重要であり、なぜならそれらは注入器から投与される全正味体積の精度に対し大きな影響を及ぼすことがあるからである。加えて、閉塞状態(すなわち、カテーテル25あるいは患者の静脈を閉じるか閉塞すること)は、順方向流体投与、すなわち通常の臨床行為に先立って注入器の引き戻しを用いて検出することができる。通常の条件下では、流体の逆流を直接計測し、正味の順方向体積投与に集約することができる。しかしながら、閉塞状況下では、閉塞された逆流は、負の真空圧力を引く下流センサと上流センサの負の閾値限界を用いてセンサにより素早く検出することができる。
【0047】
上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の出力はさらに、体動アーチファクトの検出を監視してこの種のアーチファクトを真のフローパターンから識別できるようにする。体動アーチファクトを検出すべく、上流圧力センサ120の出力の下流圧力センサ122の出力に対する比を監視する。例えば、その比が3対1のように所定の閾値未満である場合、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122とが指示するどのような圧力変化も順方向の流体の流れではなくセンサ組立体100内の体動アーチファクトの結果である可能性がある。こうして、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122とが指示する圧力の比が閾値量を上回るときにのみ流れの指示がなされる。これは、一旦流れが始まると、フロー制限要素112が上流圧力センサ120の圧力を下流圧力センサ122の圧力を相当に上回るようにさせるからである。別の選択肢として、流体の逆流は上流圧力センサに対する下流圧力センサの比が3対1等の限界閾値未満である場合に、体動アーチファクトとは同様に識別され、それ以外はその信号は体動アーチファクトと考えられる。体動アーチファクトに起因して得られる圧力値は、流量から排除し、体積計算に集約することができる。体動アーチファクト事象はまた、注入器24を介する注入器による一回注入量の開始をゲート制御あるいは判定するのに用いるフローの真の開始を指示する事象から識別される。
【0048】
単一の注入器による一回注入量の開始と終了を検出するアルゴリズムもまた、想到される。この種のアルゴリズムは、流量の1次微分と短期間平均値とに依拠させることができる。流量平均値が例えば300ml/hr等の所定の閾値を上回り、流量平均微分値が50(ml/hr)sec等の別の閾値を上回る場合、この流量と流量微分値とが注入器による一回注入量の開始を示す。閾値は、典型的な注入器による一回注入量がほぼ300ml/hrからほぼ5000ml/hrの流量を有するのに対し、人為的に注入される注入器による一回注入量が通常は秒単位基準でほぼ50ml/hr未満の流量での注入投与が不可能であるとの知見に基づき選択される。
【0049】
差圧センサ組立体100の出力は、単一の注入器による一回注入量を介するものと点滴ポンプを介するもの、その両方の薬剤投与を監視するのに用いることもできる。この種のアルゴリズムは、例えば300ml/hr等の閾値レベル未満の流量が注入器による一回注入量からではないことを示すことになる。同様に、点滴ポンプサイクルは各ポンプ給送サイクルごとに一貫した正弦波パターンの投与をもたらす。フーリエ変換等を介して周波数領域においてセンサ組立体100の出力を分析する手法を用いることで、ポンプ点滴サイクルは単一の注入器による一回注入量を介して導入される流量をずっと上回る周波数にて出現する。単一の注入器による一回注入量を介する手動投与に対し、点滴ポンプの動作に起因する周波数帯を分離する遮断周波数を有する低域通過フィルタは、各源泉に起因する流量信号を分離することができる。別の選択肢として、ポンプ動作により影響を受ける周波数未満の帯域における周波数の逆フーリエ変換が差圧利用センサ組立体100からの時間領域流量信号を再生し、単一の注入器による一回注入量で流れる流量を定量化することができる。手動点滴に起因する流れからポンプ源に起因する流れを分離するこの種のアルゴリズムを用い、点滴ポンプ流量もまた検証し得る。同様に、センサが動脈血管に直接流体接続された状態にあるときの動脈の脈動の結果として生起する圧力脈動を検出し、遮断周波数未満の周波数領域低域通過フィルタを用いて数学的に補償できるが、それは手動注入が通常動脈脈動よりも低い周波数だからである。別の選択肢として、センサにて計測された圧力値の線形荷重平均は、脈動の影響を低減する上で信号に対し適用することのできる濾波あるいは平滑化の形をとる。一般的な点滴ポンプはフロー体積を計測はしないが、むしろポンプの流体力学的変位に基づきフロー体積を計測する。こうして、差圧利用フローセンサ組立体100は点滴ポンプ機能を検証したり、あるいはポンプ流量を制御する閉帰還ループ内で使用することができる。
【0050】
想到されるさらに別のアルゴリズムにより、差圧利用センサ組立体100を用いてセンサ組立体100を流れる流体内のエアポケットが検出できるようになる。エアポケットは通常、センサ組立体100を通過する流体よりも密度がずっと小さい。こうして、流体媒体中のエアポケットあるいは気泡は圧力値内に急激な変化を生成し、これに予想されるレベルへの復帰が続く。圧力値における急激な変化の開始と終了は、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の出力の1次微分値と2次微分値とを監視することで検出される。圧力における急激な変化は先ず上流圧力センサ120上で検知され、これに下流圧力センサ122上の圧力の急激な変化が続くことになる。これらの圧力変化は、一旦エアポケットが通過すると、エアポケットを受け取る前の圧力レベルへの急激な復帰が続くことになる。典型的な圧力からの偏差継続時間が、エアポケットの大きさを示す。
【0051】
図7は、差圧利用センサ組立体100を用い、注入器による一回注入あるいは他の投与を通じて投与される流体流の瞬間流量および/または体積を測定する基本的な方法を示す。本方法は、ステップ602において、差圧利用フローセンサ組立体100を設ける。ステップ604において、流体がセンサ組立体を通って流れる。上流圧力センサ120の出力はステップ606Aにおいて計測され、下流圧力センサ122の出力がステップ606Bにおいて計測される。センサ120、122からの信号は、ステップ608において、濾波し、増幅し、さもなければ(例えば、前記したように)処理することができる。ステップ610において、タイムスタンプが計測値に関連付けられる。ステップ612において、観察計測値に基づいて差圧が算出される。ステップ614において、瞬間流体流量が算出される。ステップ616において、流量は時間軸上で積分され、注目する時間期間中に投与された体積を導出する。ステップ618において、センサ信号、計測値、タイムスタンプ情報、差圧、投与された流量および/または体積が、センサ組立体100、点滴ポンプ12、他のコンピュータ等に配置することのできるメモリへ伝達される。
【0052】
ここで図7aを参照すると、差圧利用センサ組立体を用いて流体を投与する方法が、投与システム内の閉塞可能性の監視を含め図示してある。本方法は、ステップ702において、フローセンサに基づき差圧を供給する。ステップ704において流体がセンサを介して流れ、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサの両方の出力を、ステップ706において監視する。本方法は、ステップ708において、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサの両方の出力が予測範囲内にあるかどうか判定する。そうである場合、本方法はステップ710において前述のアルゴリズムを用いて流体流量を算出する。流量が一旦測定されると、本方法はステップ712において所与の時間期間にわたりセンサ組立体100を通過した体積を導出する。図7について上述したように、センサ信号や計測値、タイムスタンプ情報、差圧、投与された流量および/または体積が、センサ組立体100や点滴ポンプ12や他のプロセッサ等に配置することのできるメモリへ伝達される。
【0053】
上流と下流の流体圧力センサの出力が予測範囲内に含まれない場合、本方法はステップ714において、上流流体圧力センサの出力が最低レベルを上回るかどうか判定する。圧力が予め設定された最低レベルを上回らない場合、ステップ716においてエラー信号が生成され、差圧利用フローセンサ組立体100の上流に障害物の可能性があることを示す。しかしながら、上流流体圧力センサの出力が最低レベルを上回る場合は、本方法はステップ718において、下流流体圧力センサの出力レベルが予め設定された最低レベルを上回るかどうか判定する。下流流体圧力センサの出力が予め設定された最低レベルを上回らない場合は、ステップ720においてエラー信号が生成され、フロー制限要素112に障害物があることを示す。しかしながら、下流流体圧力センサが予め設定された最低レベルを上回る圧力を検出した場合、ステップ722においてエラー信号が生成され、差圧利用フローセンサ組立体100の下流に障害物があることを示す。
【0054】
かくして、図7aに示す方法を用い、差圧利用フローセンサ組立体を介して投与される流体の流量に加え流体の体積も算出することができ、閉塞が起きたときにエラーメッセージを提供することができる。
【0055】
図8aと図8bに示すように、点滴ポンプを有する薬剤投与システムを用いて患者に薬剤を投与する方法が、ブロック線図形式にて描かれている。本方法は、先に本明細書に記載したセンサ組立体100等の差圧利用フローセンサ組立体を、ステップ802において設ける。ステップ804において、フローセンサ組立体を介して患者10に第1の薬剤を供給する。ステップ806において、センサ組立体を通過する流れを検出する。ステップ808において、本方法は第1の薬剤を投与する点滴ポンプをプロセッサを介して制御する。患者に投与される第1の薬剤の量あるいは体積を、プロセッサと差圧利用フローセンサ組立体100から受け取った信号とを用い、ステップ810において算出する。患者に投与される第2の薬剤に関する情報が、ステップ812においてプロセッサへ供給される。第2の薬剤に関し供給される情報を、ステップ814において患者の治療計画内の情報と比較する。本方法は、ステップ816において、患者が医療上の処方もしくは第2の薬剤に関する処方箋を有するかどうか照合する等し、第2の薬剤が患者が具体的な治療計画にあるかどうか判定する。第2の薬剤が患者の治療計画に見出せない場合、ステップ818においてエラーメッセージが供給され、第2の薬剤が患者の治療計画に見当たらず、介護者は医師あるいは他の介護者に確認し、第2の薬剤を患者に供給することが適切かどうか判定する。第2の薬剤が患者の治療計画に見出された場合、ステップ820において第2の薬剤の投与指針が生成され表示される。この指針には、これらに限定はしないが上限と下限とを有する目標投与流量や、注入器による一回注入量期間中に投与する全体積あるいは全量や、点滴注入や注入器による一回注入を投与する時間期間を含めることができる。
【0056】
ここで図8bに続き、ステップ822において第2の薬剤を患者に投与する。本方法は、ステップ824において差圧利用流量センサ組立体100を用いて第2の薬剤の投与流量を算出する。図7について上述したように、投与流量算出値をメモリに保存することができる。第2の薬剤の投与流量が投与指針に合致するかどうか判定すべく、ステップ826において比較対照を行なう。投与流量が投与指針に合致しない場合、ステップ828において介護者に投与流量警告が提供される。投与流量警告が供給された場合、患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)がステップ830において更新され、第2の薬剤が投与指針あるいはプロトコルと相反する流量にて投与されたことを示す。患者に投与する第2の薬剤の量は、ステップ832においても算出することができる。ステップ834における方法は、投与された第2の薬剤の量を患者が受け取りを予定していた第2の薬剤の量と比較する。患者が受け取った第2の薬剤の量が患者の治療計画に合致しない場合は、ステップ836において投薬警告が介護者に供給される。この警告は、患者が過小薬量の第2の薬剤を供給されたこと、あるいは患者が過剰薬量の第2の薬剤を供給されたことを示すことができる。患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)は、患者に供給された第2の薬剤の量に加え第2の薬剤の投薬量が患者の治療計画に合致していなかったことを示す情報も含むよう、ステップ838において更新される。患者に投与された第2の薬剤の量が患者の具体的指針に合致する場合、患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)がステップ840において更新され、適切な薬量の第2の薬剤が患者に投与されたことが示される。患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)への各更新が、患者に薬剤を投与した時刻に加えその薬剤の患者への投与を担当する介護者も書き留めることになることは、塾慮されたい。
【0057】
さらなる実施形態によれば、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分を有する使い捨て可能な点滴配管セットが提供される。配管セットは、第1の薬剤貯槽に接続するよう適合させた少なくとも第1の管と、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分上流の配管セットの第1の管内に第2の薬剤が導入できるようにする接続箇所とを含むことになる。使い捨て可能な点滴配管セットはさらに、患者アクセス装置を接続するよう適合させた第2の管を有する。第2の管は、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分の下流に位置決めするよう適合させる。上記のように、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分は、対象とするライン圧力条件、投与流量、あるいは流体体積投与量に応じて使い捨て可能な点滴配管セット内の他の箇所に配置することができる。
【0058】
さらに別の実施形態によれば、差圧利用流量センサ組立体は圧力利用事象検出センサにより置き換えられる。圧力利用事象検出センサは、注入器による一回注入等の事象を検知させて圧力スパイクに注意させることができる。この種の事象検出センサは投与された薬剤の体積の算出を可能にはしないことになるが、何らかの薬剤が特定の時間に投与されたという記述を患者の記録に載せることになる。こうして、患者に薬剤が供給されたことを裏付ける記録が存在することになる。
【0059】
またさらなる実施形態によれば、差圧利用フローセンサ組立体は誘導電源により給電することができる。この種の実施形態は、本明細書に記載する差圧利用フローセンサ組立体と同じ多数の特徴を含むことになる。同様に、無線差圧利用センサ組立体が上流圧力センサの圧力に関する情報と下流圧力センサに関する情報とをシステム内の他の構成要素へ送信できることが想到される。最後に、差圧利用フローセンサ組立体100の一部104が、MEMS、集積回路あるいは他の技術を用い、この一部104が使い捨て可能であるとも見なし得るよう小型化ならびに低コスト態様にて製造し得ることが想到される。
【0060】
次に、図9を参照すると、差圧利用フローセンサ組立体900(図10と図11)用の使い捨て可能部分902の別の代替実施形態が図示してある。使い捨て可能部分902は、流体流入口906、上流流体チャンバ908、流体圧力膜910、フロー制限要素912、下流流体チャンバ914、流体流出口918を備える。後述する場合を除き、膜910は通常、不透過性である。使い捨て可能部分902は、基部920および蓋922を有する。
【0061】
図9に示すように、薬剤あるいは一部の他の流体は、流体流入口906を通って使い捨て可能部分902に流入する。薬剤は、流体流入口906から上流流体チャンバ908内に流入する。次に、薬剤はフロー制限要素912を通り、下流流体チャンバ914内へ流入する。フロー制限要素912を流れる薬剤の流れは、流体が上流流体チャンバ908からフロー制限要素912を通って下流流体チャンバ914へ流れる際に流体圧力の降下を生ずる。こうして、通常の状態での順方向への流体フロー中は、上流流体チャンバ908内の流体圧力は下流流体チャンバ914内の流体圧力を一般的に上回る。流体圧力膜910は、流入口906と流出口918の間の流体流路に沿って配置される。流体圧力膜910は、基本的には流体流路の壁を画定する。上流流体チャンバ908内の流体圧力は、流体圧力膜910の第1の領域911を押圧する。同様に、下流流体チャンバ914内の流体圧力が流体圧力膜910の第2の領域913を押圧する。
【0062】
蓋922が上流開口924と下流開口926を形成し、流体圧力膜910の第1と第2の領域911、913を再利用可能部分104の上流圧力センサ120と下流圧力センサ122とにそれぞれ連通させるようにできる。第1と第2の領域911、913は、開口924、926内に延出させるかあるいは好ましくは貫通させてセンサ120、122に係合させるよう、持ち上げることができる。第1と第2の領域911、913を持ち上げることは、組み立て中の蓋922と膜910の位置決めを追加的に支援する。
【0063】
図9に示すように、流体圧力膜910は可撓性ダイヤフラム型膜である。流体圧力膜910は、シリコンやあるいは何らかの他の可撓性ポリマー材料あるいはエラストマー材料から形成することができる。図9中、膜910は、流体流路内へ延出する折り込みによりフランジを形成するかあるいは元々の成形形状のままのフランジを有する。フランジあるいは折り込みが、フロー制限要素912を受容する開口915を画定する。開口915は、膜910の第1の領域911と第2の領域913との間に配置する。孔917a、917bは、それぞれ開口915の両側壁を挿通している。フロー制限要素912は、流体圧力膜910の開口915内に配置されるよう適合させる。図12により明瞭に示されるように、フロー制限要素912はそこに貫通形成した開口930を有し、上流側と下流側の一方または両方の開口930周りにその中に形成される陥凹面928を随意選択的に有する。開口930は、流体が開口930内を流れる際に圧力降下を発生させ、上述したように流体の流量が測定できるようにする。図9に示した実施形態では、フロー制限要素は楔形状のプレートである。
【0064】
フロー制限要素912を一旦フロー制限膜910の受容開口915内に配置すると、基部920内に膜910を配置することができる。膜910は、開口915を収縮させフロー制限要素912を完全に取り囲むよう、折り込むかあるいは圧縮することができる。基部920には、フロー制限要素の受容開口915を含む膜910の一部を受容し案内し支持しかつ/または圧縮する少なくとも1個の直立ガイド、好ましくは一対の離間する直立ガイド931a、931bを含ませることができる。ガイド931a、931bはそれぞれ孔933a、933bを含んでおり、それらは組み付けた状態で膜の孔917a、917bおよびフロー制限要素912の開口930と連通する。蓋922は、基部920と蓋922との間に流体圧力膜910が位置決めされるよう位置決めする。蓋922と基部920を互いに超音波溶接し、図10に見られるように完全に組み付けられた使い捨て可能部分902を形成することができる。流体圧力膜910はこうして、基部920あるいは蓋922のいずれかに流体圧力膜910を係着する接着剤を一切使用せずに基部920と蓋922の間に確実に固定することができる。基部920あるいは蓋922のいずれかに流体圧力膜910を係着する必要性を排除したことで、使い捨て可能部分902の製造が簡単化される。フロー制限要素はまた、係着具、接着剤、精密加工組立技法を必要とすることなく流体流路沿いの適切な位置に流体密封態様にて固定される。
【0065】
流体圧力膜910の開口915の両側壁の少なくとも一方は、その中に形成されてフロー制限要素912を受容するスロットあるいは陥凹950a、950b、932を随意選択的に有する。好ましくは、両側壁はフロー制限要素912を受容し位置決めし配向できるような大きさと形状と位置とを有するスロットあるいは陥凹950a、950b、932を含む。開口915を収縮させるべく膜910を折り込むかあるいは圧縮すると、スロットあるいは陥凹950a、950b、932はフロー制限要素912を完全に取り囲むよう適合させることができる。スロット950a、950bは、孔917a、917bに対しフロー制限要素912を位置決めし、使い捨て可能部分902の適切な流体流を保証するよう役立つ。スロットや陥凹部はまた、フロー制限要素912の周りにシールを形成するのを支援する。
【0066】
流体圧力膜910の一実施形態のより詳細な断面図が、図13に見て取れる。開口915における膜910の1つ以上の対向面が、フロー制限要素912を受容すべくその中に形成した陥凹932を有する。陥凹932は孔917a、917bと流体連通しており、膜910とフロー制限要素912を通って流体を流せるようにしている。陥凹932は、フロー制限要素912に対する位置決め(位置合わせと配向の両方を含む)をもたらす。陥凹932はまた、弾性可撓性膜の能力を高め、フロー制限要素周りに有効な流体シールを生み出す。流体圧力膜910はさらに、開口915の一側に配置した第1のリブ935aと、この第1のリブ935aとは反対側の開口915に位置する第2のリブ935bとを有する。リブ935a、935bは、膜910を折り込むかあるいは圧縮して開口915を収縮させたときに合一する。リブ935a、935bは、蓋922に対する流体圧力膜910の位置決めを支援するよう適合させてある。蓋922は、リブ935a、935bを受容し、使い捨て可能部分902の組み立て中に蓋922に対し移動する膜910の能力を制限するよう適合させた陥凹(図示せず)を持たせることができる。
【0067】
ここで図10と図11を参照すると、差圧利用流量センサ組立体900(図11)の構成を含め、使い捨て可能部分902と再利用可能部分104との関係が図示してある。使い捨て可能部分902は、概ね先に説明したのと同一の方式で再利用可能部分104と協働する。
【0068】
図11に示すように、薬剤は流体流入口906を介して使い捨て可能部分902に流入する。薬剤は、流体流入口906から上流流体チャンバ908内に流入する。次に、薬剤はフロー制限要素912を通り、下流流体チャンバ914内へ流入する。フロー制限要素912を流れる薬剤の流れは、流体が上流流体チャンバ908からフロー制限要素912を通って下流流体チャンバ914内へ流れる際に流体圧力の降下に生ずる。こうして、通常の条件下での前進流体流の期間中、上流流体チャンバ908内の流体圧力は一般的に下流流体チャンバ914内の流体圧力を上回る。上流流体チャンバ908内の流体圧力が流体圧力膜910を押圧し、この膜910を蓋922の上流開口924を通過させて上流流体圧力センサ120を押圧させる。同様に、下流流体チャンバ914内の流体圧力が流体圧力膜910を押圧し、この膜910を蓋922の下流開口926を通過させ、下流流体圧力センサ122に押圧させる。
【0069】
使い捨て可能部分902の製造に様々な材料が利用できることが想到される。使い捨て可能部分902は、熱可塑材で構成することができる。フロー制限要素912を使い捨て可能部分902の残りの部分と同じ熱可塑材で作製するか、あるいは使い捨て可能部分902とは異なる材料にできることが想到される。フロー制限要素912を形成するよう利用することのできる材料の非限定的な例には、シリコン、ガラス、医用品質等級熱可塑材、エラストマーが含まれる。フロー制限要素912さえも、全部あるいは一部をステンレス鋼で作製することができる。ステンレス鋼オリフィス板は、熱可塑性フレームあるいはエラストマーフレーム内に収容することができる。流体圧力膜901は、TPEやシリコン等の様々なポリマー材料あるいはエラストマー材料で構成することができる。
【0070】
図4に関連して前述したように、差圧利用流量センサ組立体900の再利用可能部分104は回路基板124を用いて個々の圧力センサ120、122から受信した信号に基づき上流流体チャンバ908と下流流体圧力チャンバ914との間の差圧を算出し、あるいは回路基板124が上流チャンバ908と下流チャンバ914との間の差圧を算出する点滴ポンプ12等のプロセッサ付きの他の装置へ送信される出力信号を生成する。回路基板124の出力は、電気結線126を通って点滴ポンプ12(図1)へ送られる。
【0071】
図14は、使い捨て可能部分1402のもう一つの代替実施形態を示す。使い捨て可能部分1402は、図9に示した使い捨て可能部分902と極めて類似するものである。事実、流体圧力膜1410と使い捨て可能部分1402のフロー制限要素1412だけが使い捨て可能部分902と異なる点が想到される。使い捨て可能部分1402の他の構成要素は使い捨て可能部分902のものと同一であるから、図9に関連して前述した説明がこれら構成要素に適用可能である。
【0072】
流体圧力膜1410は、可撓性ダイヤフラム型の膜である。流体圧力膜1410は、シリコンや一部の他の可撓性ポリマー材料あるいはエラストマー材料から形成することができる。膜1410は、フロー制限要素1412を受容する開口1415を画定するフランジを折り込んで形成するかあるいは元々の成形形状のままのフランジを有する。フロー制限要素は、開口1430を有する。開口1430は、この開口1430を流体が流れる際に圧力降下を生ぜしめ、流体の流量が前述のように測定できるようにする。膜1410の開口1415は、膜1410の第1の領域1411と第2の領域1413との間に配置する。孔1417a、1417bは、それぞれ開口1415の両側壁を挿通して延在する。開口1415には、膜1410を折り込むか圧縮して開口1415を収縮させたときにフロー制限要素1412を受容して囲繞できるような大きさと位置とを与える。こうして、開口1415は膜1410を折り込むか圧縮したときにフロー制限要素1412を完全に囲い込む。フロー制限要素1412は、ステンレス鋼板等の薄いプレートとすることができるが、他材料を使用することもできる。フロー制限要素1412は、一実施形態では好ましくは実質平坦もしくは平面的とする。フロー制限要素1412の薄さは、膜1410を折り込むかあるいは圧縮して開口1415を収縮させるときに、膜1410とフロー制限要素1412との間の流体密封シールの形成を支援する。フロー制限要素1412は、このフロー制限要素1412の周りにシールを形成することを支援すべく膜1410の開口1415の近傍にスロットも陥凹も一切不要であるほどに薄くする。
【0073】
流体制限膜910内の開口915あるいは折り込みを内転させ、フロー制限要素912を受容できることが想到される。フロー制限要素912を受容すべく基部920内あるいは基部と膜910の両方の中にスロットあるいは開口915が配設できることもまた、想到される。
【0074】
前述した内容は最良の態様および/または他の実施例と見なされるものを説明したものであるが、様々な改変が可能であり、本明細書に開示した主題が様々な形態と実施例とで実施することができ、その一部しか本明細書に説明してこなかった数多くの他の応用例や組み合わせや環境において適用できることは理解されたい。当業者は、主題範囲から逸脱することなく開示態様を変更しあるいは補正できることを認識されたい。その結果、主題は具体的細部や提出内容や本説明中の例示実施例には限定はされない。本明細書に開示した好都合な概念の真正な範囲に含まれるありとあらゆる改変例と変形例を保護することを、意図するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、差圧利用フローセンサ組立体ならびに差圧利用フローセンサ組立体を収容したシステムを用いる薬剤投与を監視する方法に概ね関するものであり、より具体的には使い捨て可能部分と再利用可能部分とを有する差圧利用フローセンサ組立体に関するものである。より具体的には、本発明はこの種のフローセンサ組立体の使い捨て可能部分として機能するカセットとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用ポンプを含む最新の医療デバイスは、患者に流体、溶液、薬剤、薬物を投与するのにますますマイクロプロセッサ利用システムにより制御されつつある。医用ポンプ用の一般的な制御には、開業医が投与対象である流体の薬量、流体投与流量、継続時間、患者に点滴する流体の体積を入力できるようにするユーザインタフェースが含まれる。一般に、薬剤投与は連続的な点滴として、あるいは単一の注入器による一回注入量として行なわれるようプログラムされる。
【0003】
各チャネルから異なる流体を施薬する多チャネル点滴ポンプの使用もしくは複数の単一チャネル点滴ポンプの使用により複数の薬剤を患者に点滴することは、当たり前のことである。複数の薬剤を患者へ投与する別の方法は、点滴ポンプを使用する第1の薬剤と単一の注入器による一回注入量を介する追加の薬剤の投与である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一の注入器による一回注入量(bolus dose)を介して薬剤を投与するときは、患者に正規の薬剤が投与されていることの検証に加え患者に正規の量の薬剤が投与されていることの検証もまた重要である。一般に、介護者は患者の書面カルテ上に注入器による一回注入量を介して投与される薬剤の量を単純に手書きで注記し、その情報を後刻患者の記録内に電子的に入力することができる。こうして、人為的過失が偶発的な薬剤の過剰投与または過小投与に通ずることがあるものの、介護者は適切な薬量が投与されたものと信ずることになる。薬剤投薬の過失に加え、人為的過失が単一の注入器による一回注入量中に投与される薬剤を記録する上での障害を生ずることもある。こうして、患者に投与されてきた各薬剤が患者の医療記録に反映されないような可能性がある。広範な流体と流量を計測することのできる点滴ライン(IV line)内のセンサは、そのラインを介してその患者に与えられる各薬剤の流量と体積の文書記録に役立つことになる。さらに、低コストで、特に使い捨て可能な薬剤投与配管セットに対し低い割増コストをもたらすしっかりとした流量検出方法論を提供することが望ましい。さらに、厳密には知ることの出来ない流体粘性を含む所定範囲の物理的特性を有する流体の流量を正確に検出することのできる流量検出方法論を提供することが望ましい。その結果、薬剤投与を監視するよう適合させた差圧利用フローセンサシステムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、流体システムの流量(rate)を特定するよう適合させた差圧利用フローセンサ組立体は使い捨て可能部分と再利用可能部分とを備える。使い捨て可能部分は、流入口と流出口とを形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路沿いに位置決めする。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定位置に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置する。
【0006】
再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めされる。
【0007】
下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜にて流体圧力を測定するよう位置決めされる。
【0008】
別の実施形態によれば、差圧利用流体フロー組立体と共に用いる使い捨て可能組立体は、本体とフロー制限要素と上流流体圧力膜と下流流体圧力膜とを備える。本体は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する。フロー制限要素は、流体流路内で流入口と流出口との間に位置決めされる。上流流体圧力膜は、流入口と流体制限要素との間の流体流路内に配置される。下流流体圧力膜は、流体制限要素と流出口との間の流体流路内に配置される。
【0009】
一つの方法によれば、流体フローシステム内の流体流量が測定される。本方法は、差圧利用フローセンサ組立体を用いる。センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とで構成される。使い捨て可能部分は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路に沿って位置決めする。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置される。再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。
【0010】
上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。
【0011】
下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。流体は、流体流路を通って案内される。本方法は、上流流体圧力センサの出力と下流流体圧力センサの出力との間の差圧に基づき流体の流量を算出する。
【0012】
さらなる実施形態によれば、第1の薬剤源から患者へ流体薬剤を投与して流体の流量を測定する流体投与システムは、点滴ポンプと差圧利用フローセンサ組立体とプロセッサとを備える。点滴ポンプは、流体ラインを介する第1の薬剤源からの第1の薬剤の流量を選択的に変更する。差圧利用フローセンサ組立体は、流体ライン内の第1の薬剤の流量を測定する。
【0013】
センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とを有する。使い捨て可能部分は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路に沿って位置決めされる。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置する。
【0014】
再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。
【0015】
下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。
【0016】
プロセッサは、差圧利用フローセンサ組立体が供給する情報に基づき第1の薬剤の流量を変更することで点滴ポンプを制御するよう適合させる。プロセッサはまた、患者に供給される第1の薬剤の量を測定するよう適合させる。
【0017】
さらに別の方法は、差圧利用フローセンサ組立体を用いて患者へ薬剤を投与し、流体ライン内の第1の薬剤の流量を測定する。センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とを備える。使い捨て可能部分は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定する本体を有する。フロー制限要素は、流入口と流出口との間の流体流路に沿って位置決めする。使い捨て可能部分はさらに、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所に上流流体圧力膜を有する。下流流体圧力膜は、フロー制限要素と使い捨て可能部分の流出口との間の流体流路内に配置する。
【0018】
再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の所定箇所で上流流体圧力を検出する。上流流体圧力センサは、上流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の所定箇所で下流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、下流流体圧力膜の流体圧力を測定するよう位置決めする。
【0019】
本方法は、フローセンサ組立体を用いて第1の薬剤の流量を検出する。第1の薬剤の流量を選択的に変更する点滴ポンプは、流体センサ組立体がプロセッサへ供給する情報に基づき制御する。本方法は、患者へ給送される第1の薬剤の量を流体センサ組立体がプロセッサへ供給する情報に基づき決定する。
【0020】
さらなる方法は、流体フローシステム内の流体の流量を測定する。上流圧力センサを、流体流路に配設する。下流圧力センサもまた、流体流路に配設する。本方法は、上流圧力センサと下流圧力センサとの間の流体流路沿いにフロー制限要素を用いる。流体は、流体流路を介して導かれる。流体の流量は、上流流体圧力センサの出力と下流流体圧力センサの出力との間の差圧に基づき算出される。
【0021】
別の実施形態によれば、流体システムの流量を測定する差圧利用流体センサ組立体は、使い捨て可能部分と再利用可能部分とを備える。使い捨て可能部分は、本体と流体圧力膜とフロー制限要素とを有する。本体は、流入口と流通口を形成する流体流路を画定する。本体は、基部と蓋部とを有する。流体圧力膜は、流入口と流出口との間の流体流路内に配置される。流体圧力膜は、基部と本体蓋部との間に位置決めされる。フロー制限要素は、流入口と流出口と間の流体流路に沿って位置決めされる。流体圧力膜は、フロー制限要素を受容する開口を画定している。再利用可能部分は、上流流体圧力センサと下流流体センサとを有する。上流流体圧力センサは、流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の上流箇所で上流流体圧力を検出する。下流流体圧力センサは、フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の下流箇所で下流流体圧力を検出する。
【0022】
さらにもう一つの実施形態によれば、センサ組立体と共に使用する使い捨て可能組立体が本体とフロー制限要素と流体圧力膜とを備える。本体は、蓋部と基部とを有する。本体は、流入口と流出口を形成する流体流路を画定している。フロー制限要素は、流入口と流出口間との間の流体流路に沿って位置決めされる。流体圧力膜は、流入口と流出口との間の流体流路内の所定箇所にある。流体圧力膜は、フロー制限要素を受容する開口を画定している。
【0023】
他の方法によれば、差圧利用流体フローセンサ組立体と共に用いる使い捨て可能組立体が形成される。本方法は、基部と蓋部とを用いる。フロー制限要素が、流体圧力膜内に挿入される。流体圧力膜は、フロー制限要素を受容する開口を画定する。流体圧力膜は、基部内に位置決めされる。本方法は、流体圧力膜が蓋部と基部との間に存在するよう蓋部を基部に隣接配置する。蓋部は、基部に固着される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一実施形態になる差圧利用フローセンサ組立体を有する点滴ラインに接続した患者を示す概観図である。
【図2】図1の差圧利用フローセンサ組立体のより接近したより詳細な概観図を示す。
【図3】図1の実施形態の差圧利用フローセンサ組立体の等角投影図である。
【図4】図3の4−4線に沿う断面図である。
【図5a】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5b】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5c】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5d】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図5e】様々な実施形態による差圧利用フローセンサ組立体内のフロー制限要素の断面図を示す。
【図6】図1の差圧利用フローセンサ組立体を有する点滴ラインを通過させる点滴注入あるいは注入器による一回注入量を介する患者への薬剤投与を示す概観図である。
【図7】一つの基本的な方法による差圧利用フローセンサ組立体を有するシステムを用いた薬剤投与方法を略示する。
【図7a】図7よりも精緻な方法による差圧利用フローセンサ組立体付きシステムを用いた薬剤投与方法を略示する。
【図8a】別の方法による差圧利用フローセンサ組立体付きシステムを用いた薬剤投与方法を概略示す。
【図8b】図8aに続く、別の方法による差圧利用フローセンサ組立体付きシステムを用いた薬剤投与方法を概略示す。
【図9】別の実施形態による差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分の分解概観図である。
【図10】図9の使い捨て可能部分を有する差圧利用フローセンサ組立体の分解概観図である。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図である。
【図12】図9と共に使用するよう適合させたフロー制限要素の一実施形態の概観図である。
【図13】図9の13−13線に沿う流体圧力膜の断面図である。
【図14】さらに別の実施形態による差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分の分解概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は多くの異なる形態の実施形態を許容するものであるが、本発明の一実施例を図面に示し、本明細書にて説明することにする。本開示は、本発明原理の一例として見なすべきである。本発明の幅広き態様を図示の例に限定することは、意図していない。
【0026】
図1は、薬剤投与システム1に接続され、薬剤貯槽14から点滴ポンプ12を介して第1の薬剤を受容する患者10を表わす概観図である。第1の流体ラインセグメント16は、貯槽14から点滴ポンプ12へ第1の薬剤を給送する。第2の流体ラインセグメント18は、点滴ポンプ12から差圧利用フローセンサ組立体100へ薬剤を給送する。第3の流体ラインセグメント22が、差圧利用フローセンサ100から患者10へ薬剤を投与する。3本の流体ラインセグメントは図1に関連して説明したが、本発明に関連して用いる流体ラインあるいはラインセグメントの数は変更することができ、3本の流体ラインよりも少なくもあるいは多くもできる。第3の流体ラインセグメント22は通常、コネクタバルブ23とカテーテル25等の患者アクセスデバイスとを介して患者10に接続される。
【0027】
第2の流体ラインセグメント18は、第2の薬剤源から第2の薬剤を受容するよう適合させたコネクタ20を有する。図1に示したコネクタは通常Yサイトと呼ばれるが、本発明に関連して他種のコネクタならびに構成を用いることもできる。
【0028】
図2に追加の詳細をもって図示したコネクタ20は、看護者26による手動の点滴注入あるいは注入器による一回注入の形で注入器24から第2の薬剤を受け取ることができる(図6参照)。第2の薬剤が、第2の薬剤貯槽あるいは他の知られている薬剤投与源から等の別の方式で供給できることは、さらに想到される。薬剤投与システム1はさらに、差圧利用フローセンサ組立体100を有する。例示実施形態では、差圧利用フローセンサ組立体100をコネクタ20の下流に配置し、患者10に固定する。こうして、フローセンサ組立体はセンサ組立体100を通って流れる第1と第2の薬剤流路の両方を有するよう適合させられる。しかしながら、センサ組立体100は、これらに限定はされないが、第2の薬剤源とコネクタ20との間に接続され、あるいはコネクタ20の分岐の一つの上またはその中に一体形成された第1と第2の薬剤の間の流体合流箇所の上流を含む任意の数の場所にも配置し得る。フローセンサ組立体100は、必ずしも患者10に直接固定する必要はない。
【0029】
次に図3と図4を参照すると、差圧利用フローセンサ組立体100が追加の詳細もって図示してある。差圧利用フローセンサ組立体100は、使い捨て可能部分102と再利用可能部分104とを有する。本明細書に使用する再利用可能とは、安全に再利用することのできる構成要素として定義される。例えば、同じ再利用可能部分104は、使い捨て可能部分102を少なくとも72時間程度ごとに取り替えながら、同じ患者に対し複数回使用することができる。同じ再利用可能部分104を、新規の使い捨て可能部分102を組み込むことで製造業者あるいは健康管理施設が推奨する洗浄方針に従い、異なる患者に対し百回あるいは千回までも使用することができる。これが可能なのは、再利用可能部分104が流体の侵入を阻止するよう設計されているからである。図4から最も良く見てとれるように、使い捨て可能部分102は流体流入口106、上流流体チャンバ108、上流流体圧力膜110、フロー制限要素112、下流流体チャンバ114、下流流体圧力膜116、流体流出口118を有する。膜110、116は、流体不透過性である。膜全体を図示したが、これらに限定はされないが、1つ以上のガスケットおよびO−リングを含む他種のシールが再利用可能部分の筺体の外部に流体を保持するのに十分なことになることが想到される。必要に応じ、洗浄溶液を用いてあらゆる露出領域を洗浄し得る。
【0030】
図4に示すように、薬剤は流体流入口106を介して使い捨て可能部分102に流入する。薬剤は、流体流入口106から上流流体チャンバ108内へ流入する。次に、薬剤はフロー制限要素112を通り、下流流体チャンバ114内へ流入する。フロー制限要素112を通過する薬剤の流れは、流体が上流流体チャンバ108からフロー制限要素112を介して下流流体チャンバ114へ流れる際に流体圧力の降下を生ずる。こうして、通常の条件下での順方向の流体フロー期間中は、上流流体チャンバ108内の流体圧力が下流流体チャンバ114内の流体圧力を概ね上回る。上流流体チャンバ108内の流体圧力が、上流流体圧力膜110を押圧する。同様に、下流流体チャンバ114内の流体圧力が下流流体圧力膜116を押圧する。
【0031】
使い捨て可能部分102の製造用に様々な材料が利用できることが想到される。使い捨て可能部分102は、熱可塑材を備え得る。。フロー制限要素112を使い捨て可能部分102の残りの部分と同じ熱可塑材で作製したり、あるいは使い捨て可能部分102とは異なる材料にできることが想到される。フロー制限要素112の形成に用いることのできる材料の非限定的な実例には、シリコン、ガラス、医用品質等級の熱可塑材およびエラストマーが含まれる。流体圧力膜110、116は、TPE(熱可塑性エラストマー)またはシリコン等の様々なポリマー材料あるいはエラストマー材料で構成することができる。
【0032】
フロー制限要素112が使い捨て可能部分102の残りの部分と一体に形成できたり、あるいはフロー制限要素112を下記に説明するように使い捨て可能部分102内に配置した個別構成要素にできることも加えて想到される。
【0033】
図4からも見てとれるように、差圧利用流量センサ組立体100の再利用可能部分104が、どれも筺体128内に収容される上流圧力センサ120、下流圧力センサ122、回路基板124、電気結線126を有する。上流圧力センサ120は、上流流体圧力膜110と相互作用して上流流体チャンバ108内の流体圧力の読み取り値を生成するよう適合させる。同様に、下流圧力センサ122は下流流体圧力膜116と相互作用し、下流流体チャンバ114内の流体圧力の読み取り値を生成するよう適合させる。回路基板124は、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の両方からの出力を受け取る。回路基板124は上流流体チャンバ108と下流流体チャンバ114との間の差圧を算出することができ、あるいは回路基板126が上流チャンバ108と下流チャンバ114との間の差圧を算出する点滴ポンプ12等のプロセッサ付きの別装置へ送信する出力信号を生成することができる。回路基板124の出力は、電気結線126を介して点滴ポンプ12(図1)へ送られる。
【0034】
図4には導線による電気結線126を示したが、システムは点滴ポンプ12または他のシステム構成要素との無線の電気接続および通信を随意選択的に配設することができる。幾つかの代替実施形態によれば、再利用可能部分104がさらに電池、1つ以上のメモリ、増幅器、信号調整構成要素、アナログ/デジタル変換器、電力変換器、LEDインジケータ、ディスプレイ、音声生成構成要素、無線通信エンジン、点滴ポンプ12または他ソースから電力を受け取る誘導コイル、能動的あるいは受動的な電波による個体識別装置(RFID)等の追加の電子部品を収容させることができることもさらに想到される。本明細書に説明した計算と処理は、必要に応じてあるいは所望に応じて、回路基板124上、点滴ポンプ12内、遠隔プロセッサ(図示せず)内にて行なうことができ、あるいはシステム構成要素のうちの1つにだけ集中させたり、1つ以上のシステム間に分散させることができる。
【0035】
再利用可能部分104の構成要素は、筺体128内に収容される。筺体128は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリルまたは他の知られている材料等のポリマー材料から製造することができる。上流の再利用可能部分の膜130が上流の流体圧力センサ120から上流流体圧力膜110を分離できることも、さらに想到される。同様に、下流の再利用可能部分の膜132は下流の流体圧力センサ122から下流流体圧力膜116を分離することができる。
【0036】
次に図5aを参照すると、使い捨て可能部分202の断面がフロー制限要素212aの輪郭を図示すべくフロー制限要素212aと共に略示してある。フロー制限要素212aはフロー制限要素112と同一であるが、変えることもできる。フロー制限要素212aは、オリフィスの形をしている。オリフィスは有用なフロー制限要素であり、なぜならオリフィスの性能は毛細管チャネル等の他のフロー制限要素とは粘性が異なる流体間でばらつきが少ないからである。すなわち、所与の流量についてオリフィスを挟んで計測される差圧は実際の溶液の粘性とは殆ど無関係であり、ここでは毛細管等の代替制限体を挟んで計測される差圧が流体の粘性に対する強い依存性を実証することになる。フロー制限要素212aは、フロー制限要素212aの上流側に配置される前面214aと、フロー制限要素212aの下流側の背面216aとを有する。フロー制限要素212aを挿通して開口218aが形成してあり、フロー制限要素212aを介して流体がフローできるようにしている。
【0037】
開口218aには様々な断面形状を持たせることができるが、円形開口が一般に用いられる。フロー制限要素212aの開口218aを通過する流体のフローに対する流体粘性の影響低減に役立たせるべく、開口218aにはほぼ100対1からほぼ2000対1の開口218aの全周と開口218aを通過する流体の移動長の比を持たせることができる。すなわち、開口の全周は開口218aを流れる流体のフロー長を十分に上回っており、開口218aを介する圧力低下は流体に対する依存度はより低く、開口218aの幾何形状により多く依存する。ほぼ1000対1の全周対流路長を有する開口が有効であることが、判っている。例えば、寸法12ミクロンの流路長を有する直径430ミクロンの円形オリフィスは数100から数1000ml/hrの流量に対応する。より少量の流量と用途には、より小径のオリフィスが必要となることになる。
【0038】
フロー制限要素の開口218aの肉厚は、ほぼ5ミクロンからほぼ25ミクロンまで変えることができる。ほぼ12ミクロンの肉厚を有する開口218aが有効であることが、判っている。所望のフロー特性を実証するには、固体構造内にフローオリフィスあるいは開口を配設することが重要である。オリフィスの有効流体力学直径と流入口の高さの比は、少なくとも10対4あるいはほぼ5対1のように、やや大きなものとすべきである。しかしながら、所望のオリフィスの長さに等しい一定の肉厚の膜は、膜が全域にわたって大きい場合には機械的に脆弱となることがある。一旦オリフィス開口が確立されると、その中にオリフィスを有する膜材料はオリフィス周縁から遠ざかるにつれより厚肉とすることができる。その結果、オリフィス自体は所望の制限的流路長を備えることができ、一方でオリフィスがその中に有する膜はオリフィスから離れた場所でオリフィスの長さを上回って厚肉となる。こうして、フロー制限要素の形成に他の様々な幾何形状もまた用いることができることが想到される。
【0039】
図5aに示すように、フロー制限要素212aはより厚肉の断面形状から開口218a近傍のより薄肉の断面形状へと遷移する。フロー制限要素212aに対しこの種の幾何形状を作製することで、フロー制限要素212aに対する様々な低コストの製造手法が可能となる。この種の構造を作製することはフロー制限要素212aの性能に対し限定された影響を有するものであり、なぜならこの種の構造は異なる粘性を有しながら同じ流体流量を有する流体にとって多大な圧力差をもたらさないからである。こうして、開口218a近傍のフロー制限要素212aの薄さが開口218aを介する圧力降下に対する流体粘性の影響を制限し、一方で開口218aから離れた厚肉の材料がフロー制限要素212aの全長を増大させる。
【0040】
図5bから図5eは、フロー制限要素212aと同様に機能する代替フロー制限要素212b〜212eを示す。フロー制限要素212bは一定の肉厚を維持し、一方でフロー制限要素212c〜212eは開口218c〜218e近傍でより薄肉となる。背面216a〜216eの幾何形状は、開口218a〜218eを流れるフロー特性に対し大きな影響をもたない。これは、開口218a〜218eを流れる流体が通常、背面216a〜216eの幾何形状がオリフィスから離れて適当な勾配をとる限り、オリフィス背面に対する最小の流体/壁の動的相互作用を有する良好に規定された流体流量分布を特徴付け、その結果、粘性により引き起こされる圧力損失を最小化するからである。これらオリフィス構造の一部が、それらに製造利点を加える。例えば、オリフィス218aは、エッチング、リソグラフィ、マスキング、他のMEMS処理等のシリコン処理技法を介して効率的に成形することができる。オリフィス218bは、薄い平坦な原材料をレーザ加工により効率的に成形することができる。オリフィス218c、218dは、写真撮影ガラス処理技法を用いて簡単に形成し得る。オリフィス218c、218d、218eは、成形あるいはエンボス加工技法により形成し得る。さらなる技術の組み合わせを、本発明範囲内で用い得る。
【0041】
上流圧力センサ、共通の組立体内のフロー制限要素、共通の組立体内の下流圧力センサに関連して多くの実施形態を説明してきたが、さらなる代替実施形態によれば、これらの構成要素を流体フローシステム内の個別の独立した構成要素とすることができることもさらに想到される。流体流量と流体流の体積を計測する方法と処理は、この代替実施形態に従って先に説明したものと概ね同一である。こうして、独立したフロー制限要素を通って流れる流体が生成する独立した上流圧力センサと独立した下流圧力センサとの間の差圧を監視することで、流体流量を算出することができる。
【0042】
次に図6を参照すると、点滴注入あるいは注入器による一回注入が患者10に対し投与中であることが図示してある。介護者26が、コネクタ20を介して注入器24を第2の流体ライン18に接続する。介護者26はそこで、注入器24内の薬剤をコネクタ20を介して患者に投与する。薬剤は、差圧利用流体フローセンサ100と第3の流体ライン22を通って患者10へ送られる。差圧利用フローセンサ組立体100は、センサ組立体100を介して薬剤の流量を監視する。センサ組立体100を流れる流量を監視することで、患者10に投与される薬剤の量を算出することができる。
【0043】
圧力センサ組立体100を通過する流体の流量は、次の式、
【数1】
により算出することができ、ここでQは体積流量であり、ΔPは上流圧力センサと下流圧力センサとの間の差圧であり、ρは流体密度であり、CDは開口の流量係数であり、Aは開口の面積である。開口用のオリフィスの使用は流体粘性に対する誘導差圧の依存度を最小化することを経験的に示しており、流量係数は実質一定に止まり、こうして流量は圧力、密度、面積の関数とされる。
【0044】
流量Qが一旦算出されると、流体の体積は次式、
【数2】
を用いて流量を一定時間期間にわたり積分することで測定することができる。この式を用いることで、センサ組立体100を通過する順方向と逆方向の両方の流れを算出することができる。負の流量は、下流センサ122における圧力が上流センサ120における圧力を上回り、こうして流体は患者10から離れてセンサ組立体100を通って逆流することを示すことになる。
【0045】
より正確にΔPをもたらすべく、圧力のゼロ調整(tare)、すなわちセンサの較正を好ましくは無フロー状態において、実行することができる。圧力のゼロ調整は、流体給送期間中に上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の個々の読み取り値から上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の両方の平均圧力を減算する。この種の圧力ゼロ調整の使用が、圧力供給ドリフト、増幅、温度変動、注入器による一回注入の投与および記録に先立つあらゆる呼び水ステップからの残留圧力による信号ドリフトの発生を低減する。
【0046】
センサを流れる流体の逆流は、負のΔPをもって計測することもできる。この場合、流れはΔPの絶対値をとり、負号を根号外に移動させ、
【数3】
とする。負の流量は注入器からの真の正味の順方向体積給送の計算に集約する上で重要であり、なぜならそれらは注入器から投与される全正味体積の精度に対し大きな影響を及ぼすことがあるからである。加えて、閉塞状態(すなわち、カテーテル25あるいは患者の静脈を閉じるか閉塞すること)は、順方向流体投与、すなわち通常の臨床行為に先立って注入器の引き戻しを用いて検出することができる。通常の条件下では、流体の逆流を直接計測し、正味の順方向体積投与に集約することができる。しかしながら、閉塞状況下では、閉塞された逆流は、負の真空圧力を引く下流センサと上流センサの負の閾値限界を用いてセンサにより素早く検出することができる。
【0047】
上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の出力はさらに、体動アーチファクトの検出を監視してこの種のアーチファクトを真のフローパターンから識別できるようにする。体動アーチファクトを検出すべく、上流圧力センサ120の出力の下流圧力センサ122の出力に対する比を監視する。例えば、その比が3対1のように所定の閾値未満である場合、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122とが指示するどのような圧力変化も順方向の流体の流れではなくセンサ組立体100内の体動アーチファクトの結果である可能性がある。こうして、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122とが指示する圧力の比が閾値量を上回るときにのみ流れの指示がなされる。これは、一旦流れが始まると、フロー制限要素112が上流圧力センサ120の圧力を下流圧力センサ122の圧力を相当に上回るようにさせるからである。別の選択肢として、流体の逆流は上流圧力センサに対する下流圧力センサの比が3対1等の限界閾値未満である場合に、体動アーチファクトとは同様に識別され、それ以外はその信号は体動アーチファクトと考えられる。体動アーチファクトに起因して得られる圧力値は、流量から排除し、体積計算に集約することができる。体動アーチファクト事象はまた、注入器24を介する注入器による一回注入量の開始をゲート制御あるいは判定するのに用いるフローの真の開始を指示する事象から識別される。
【0048】
単一の注入器による一回注入量の開始と終了を検出するアルゴリズムもまた、想到される。この種のアルゴリズムは、流量の1次微分と短期間平均値とに依拠させることができる。流量平均値が例えば300ml/hr等の所定の閾値を上回り、流量平均微分値が50(ml/hr)sec等の別の閾値を上回る場合、この流量と流量微分値とが注入器による一回注入量の開始を示す。閾値は、典型的な注入器による一回注入量がほぼ300ml/hrからほぼ5000ml/hrの流量を有するのに対し、人為的に注入される注入器による一回注入量が通常は秒単位基準でほぼ50ml/hr未満の流量での注入投与が不可能であるとの知見に基づき選択される。
【0049】
差圧センサ組立体100の出力は、単一の注入器による一回注入量を介するものと点滴ポンプを介するもの、その両方の薬剤投与を監視するのに用いることもできる。この種のアルゴリズムは、例えば300ml/hr等の閾値レベル未満の流量が注入器による一回注入量からではないことを示すことになる。同様に、点滴ポンプサイクルは各ポンプ給送サイクルごとに一貫した正弦波パターンの投与をもたらす。フーリエ変換等を介して周波数領域においてセンサ組立体100の出力を分析する手法を用いることで、ポンプ点滴サイクルは単一の注入器による一回注入量を介して導入される流量をずっと上回る周波数にて出現する。単一の注入器による一回注入量を介する手動投与に対し、点滴ポンプの動作に起因する周波数帯を分離する遮断周波数を有する低域通過フィルタは、各源泉に起因する流量信号を分離することができる。別の選択肢として、ポンプ動作により影響を受ける周波数未満の帯域における周波数の逆フーリエ変換が差圧利用センサ組立体100からの時間領域流量信号を再生し、単一の注入器による一回注入量で流れる流量を定量化することができる。手動点滴に起因する流れからポンプ源に起因する流れを分離するこの種のアルゴリズムを用い、点滴ポンプ流量もまた検証し得る。同様に、センサが動脈血管に直接流体接続された状態にあるときの動脈の脈動の結果として生起する圧力脈動を検出し、遮断周波数未満の周波数領域低域通過フィルタを用いて数学的に補償できるが、それは手動注入が通常動脈脈動よりも低い周波数だからである。別の選択肢として、センサにて計測された圧力値の線形荷重平均は、脈動の影響を低減する上で信号に対し適用することのできる濾波あるいは平滑化の形をとる。一般的な点滴ポンプはフロー体積を計測はしないが、むしろポンプの流体力学的変位に基づきフロー体積を計測する。こうして、差圧利用フローセンサ組立体100は点滴ポンプ機能を検証したり、あるいはポンプ流量を制御する閉帰還ループ内で使用することができる。
【0050】
想到されるさらに別のアルゴリズムにより、差圧利用センサ組立体100を用いてセンサ組立体100を流れる流体内のエアポケットが検出できるようになる。エアポケットは通常、センサ組立体100を通過する流体よりも密度がずっと小さい。こうして、流体媒体中のエアポケットあるいは気泡は圧力値内に急激な変化を生成し、これに予想されるレベルへの復帰が続く。圧力値における急激な変化の開始と終了は、上流圧力センサ120と下流圧力センサ122の出力の1次微分値と2次微分値とを監視することで検出される。圧力における急激な変化は先ず上流圧力センサ120上で検知され、これに下流圧力センサ122上の圧力の急激な変化が続くことになる。これらの圧力変化は、一旦エアポケットが通過すると、エアポケットを受け取る前の圧力レベルへの急激な復帰が続くことになる。典型的な圧力からの偏差継続時間が、エアポケットの大きさを示す。
【0051】
図7は、差圧利用センサ組立体100を用い、注入器による一回注入あるいは他の投与を通じて投与される流体流の瞬間流量および/または体積を測定する基本的な方法を示す。本方法は、ステップ602において、差圧利用フローセンサ組立体100を設ける。ステップ604において、流体がセンサ組立体を通って流れる。上流圧力センサ120の出力はステップ606Aにおいて計測され、下流圧力センサ122の出力がステップ606Bにおいて計測される。センサ120、122からの信号は、ステップ608において、濾波し、増幅し、さもなければ(例えば、前記したように)処理することができる。ステップ610において、タイムスタンプが計測値に関連付けられる。ステップ612において、観察計測値に基づいて差圧が算出される。ステップ614において、瞬間流体流量が算出される。ステップ616において、流量は時間軸上で積分され、注目する時間期間中に投与された体積を導出する。ステップ618において、センサ信号、計測値、タイムスタンプ情報、差圧、投与された流量および/または体積が、センサ組立体100、点滴ポンプ12、他のコンピュータ等に配置することのできるメモリへ伝達される。
【0052】
ここで図7aを参照すると、差圧利用センサ組立体を用いて流体を投与する方法が、投与システム内の閉塞可能性の監視を含め図示してある。本方法は、ステップ702において、フローセンサに基づき差圧を供給する。ステップ704において流体がセンサを介して流れ、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサの両方の出力を、ステップ706において監視する。本方法は、ステップ708において、上流流体圧力センサと下流流体圧力センサの両方の出力が予測範囲内にあるかどうか判定する。そうである場合、本方法はステップ710において前述のアルゴリズムを用いて流体流量を算出する。流量が一旦測定されると、本方法はステップ712において所与の時間期間にわたりセンサ組立体100を通過した体積を導出する。図7について上述したように、センサ信号や計測値、タイムスタンプ情報、差圧、投与された流量および/または体積が、センサ組立体100や点滴ポンプ12や他のプロセッサ等に配置することのできるメモリへ伝達される。
【0053】
上流と下流の流体圧力センサの出力が予測範囲内に含まれない場合、本方法はステップ714において、上流流体圧力センサの出力が最低レベルを上回るかどうか判定する。圧力が予め設定された最低レベルを上回らない場合、ステップ716においてエラー信号が生成され、差圧利用フローセンサ組立体100の上流に障害物の可能性があることを示す。しかしながら、上流流体圧力センサの出力が最低レベルを上回る場合は、本方法はステップ718において、下流流体圧力センサの出力レベルが予め設定された最低レベルを上回るかどうか判定する。下流流体圧力センサの出力が予め設定された最低レベルを上回らない場合は、ステップ720においてエラー信号が生成され、フロー制限要素112に障害物があることを示す。しかしながら、下流流体圧力センサが予め設定された最低レベルを上回る圧力を検出した場合、ステップ722においてエラー信号が生成され、差圧利用フローセンサ組立体100の下流に障害物があることを示す。
【0054】
かくして、図7aに示す方法を用い、差圧利用フローセンサ組立体を介して投与される流体の流量に加え流体の体積も算出することができ、閉塞が起きたときにエラーメッセージを提供することができる。
【0055】
図8aと図8bに示すように、点滴ポンプを有する薬剤投与システムを用いて患者に薬剤を投与する方法が、ブロック線図形式にて描かれている。本方法は、先に本明細書に記載したセンサ組立体100等の差圧利用フローセンサ組立体を、ステップ802において設ける。ステップ804において、フローセンサ組立体を介して患者10に第1の薬剤を供給する。ステップ806において、センサ組立体を通過する流れを検出する。ステップ808において、本方法は第1の薬剤を投与する点滴ポンプをプロセッサを介して制御する。患者に投与される第1の薬剤の量あるいは体積を、プロセッサと差圧利用フローセンサ組立体100から受け取った信号とを用い、ステップ810において算出する。患者に投与される第2の薬剤に関する情報が、ステップ812においてプロセッサへ供給される。第2の薬剤に関し供給される情報を、ステップ814において患者の治療計画内の情報と比較する。本方法は、ステップ816において、患者が医療上の処方もしくは第2の薬剤に関する処方箋を有するかどうか照合する等し、第2の薬剤が患者が具体的な治療計画にあるかどうか判定する。第2の薬剤が患者の治療計画に見出せない場合、ステップ818においてエラーメッセージが供給され、第2の薬剤が患者の治療計画に見当たらず、介護者は医師あるいは他の介護者に確認し、第2の薬剤を患者に供給することが適切かどうか判定する。第2の薬剤が患者の治療計画に見出された場合、ステップ820において第2の薬剤の投与指針が生成され表示される。この指針には、これらに限定はしないが上限と下限とを有する目標投与流量や、注入器による一回注入量期間中に投与する全体積あるいは全量や、点滴注入や注入器による一回注入を投与する時間期間を含めることができる。
【0056】
ここで図8bに続き、ステップ822において第2の薬剤を患者に投与する。本方法は、ステップ824において差圧利用流量センサ組立体100を用いて第2の薬剤の投与流量を算出する。図7について上述したように、投与流量算出値をメモリに保存することができる。第2の薬剤の投与流量が投与指針に合致するかどうか判定すべく、ステップ826において比較対照を行なう。投与流量が投与指針に合致しない場合、ステップ828において介護者に投与流量警告が提供される。投与流量警告が供給された場合、患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)がステップ830において更新され、第2の薬剤が投与指針あるいはプロトコルと相反する流量にて投与されたことを示す。患者に投与する第2の薬剤の量は、ステップ832においても算出することができる。ステップ834における方法は、投与された第2の薬剤の量を患者が受け取りを予定していた第2の薬剤の量と比較する。患者が受け取った第2の薬剤の量が患者の治療計画に合致しない場合は、ステップ836において投薬警告が介護者に供給される。この警告は、患者が過小薬量の第2の薬剤を供給されたこと、あるいは患者が過剰薬量の第2の薬剤を供給されたことを示すことができる。患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)は、患者に供給された第2の薬剤の量に加え第2の薬剤の投薬量が患者の治療計画に合致していなかったことを示す情報も含むよう、ステップ838において更新される。患者に投与された第2の薬剤の量が患者の具体的指針に合致する場合、患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)がステップ840において更新され、適切な薬量の第2の薬剤が患者に投与されたことが示される。患者の電子的な薬剤施薬記録(eMAR)への各更新が、患者に薬剤を投与した時刻に加えその薬剤の患者への投与を担当する介護者も書き留めることになることは、塾慮されたい。
【0057】
さらなる実施形態によれば、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分を有する使い捨て可能な点滴配管セットが提供される。配管セットは、第1の薬剤貯槽に接続するよう適合させた少なくとも第1の管と、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分上流の配管セットの第1の管内に第2の薬剤が導入できるようにする接続箇所とを含むことになる。使い捨て可能な点滴配管セットはさらに、患者アクセス装置を接続するよう適合させた第2の管を有する。第2の管は、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分の下流に位置決めするよう適合させる。上記のように、差圧利用フローセンサ組立体の使い捨て可能部分は、対象とするライン圧力条件、投与流量、あるいは流体体積投与量に応じて使い捨て可能な点滴配管セット内の他の箇所に配置することができる。
【0058】
さらに別の実施形態によれば、差圧利用流量センサ組立体は圧力利用事象検出センサにより置き換えられる。圧力利用事象検出センサは、注入器による一回注入等の事象を検知させて圧力スパイクに注意させることができる。この種の事象検出センサは投与された薬剤の体積の算出を可能にはしないことになるが、何らかの薬剤が特定の時間に投与されたという記述を患者の記録に載せることになる。こうして、患者に薬剤が供給されたことを裏付ける記録が存在することになる。
【0059】
またさらなる実施形態によれば、差圧利用フローセンサ組立体は誘導電源により給電することができる。この種の実施形態は、本明細書に記載する差圧利用フローセンサ組立体と同じ多数の特徴を含むことになる。同様に、無線差圧利用センサ組立体が上流圧力センサの圧力に関する情報と下流圧力センサに関する情報とをシステム内の他の構成要素へ送信できることが想到される。最後に、差圧利用フローセンサ組立体100の一部104が、MEMS、集積回路あるいは他の技術を用い、この一部104が使い捨て可能であるとも見なし得るよう小型化ならびに低コスト態様にて製造し得ることが想到される。
【0060】
次に、図9を参照すると、差圧利用フローセンサ組立体900(図10と図11)用の使い捨て可能部分902の別の代替実施形態が図示してある。使い捨て可能部分902は、流体流入口906、上流流体チャンバ908、流体圧力膜910、フロー制限要素912、下流流体チャンバ914、流体流出口918を備える。後述する場合を除き、膜910は通常、不透過性である。使い捨て可能部分902は、基部920および蓋922を有する。
【0061】
図9に示すように、薬剤あるいは一部の他の流体は、流体流入口906を通って使い捨て可能部分902に流入する。薬剤は、流体流入口906から上流流体チャンバ908内に流入する。次に、薬剤はフロー制限要素912を通り、下流流体チャンバ914内へ流入する。フロー制限要素912を流れる薬剤の流れは、流体が上流流体チャンバ908からフロー制限要素912を通って下流流体チャンバ914へ流れる際に流体圧力の降下を生ずる。こうして、通常の状態での順方向への流体フロー中は、上流流体チャンバ908内の流体圧力は下流流体チャンバ914内の流体圧力を一般的に上回る。流体圧力膜910は、流入口906と流出口918の間の流体流路に沿って配置される。流体圧力膜910は、基本的には流体流路の壁を画定する。上流流体チャンバ908内の流体圧力は、流体圧力膜910の第1の領域911を押圧する。同様に、下流流体チャンバ914内の流体圧力が流体圧力膜910の第2の領域913を押圧する。
【0062】
蓋922が上流開口924と下流開口926を形成し、流体圧力膜910の第1と第2の領域911、913を再利用可能部分104の上流圧力センサ120と下流圧力センサ122とにそれぞれ連通させるようにできる。第1と第2の領域911、913は、開口924、926内に延出させるかあるいは好ましくは貫通させてセンサ120、122に係合させるよう、持ち上げることができる。第1と第2の領域911、913を持ち上げることは、組み立て中の蓋922と膜910の位置決めを追加的に支援する。
【0063】
図9に示すように、流体圧力膜910は可撓性ダイヤフラム型膜である。流体圧力膜910は、シリコンやあるいは何らかの他の可撓性ポリマー材料あるいはエラストマー材料から形成することができる。図9中、膜910は、流体流路内へ延出する折り込みによりフランジを形成するかあるいは元々の成形形状のままのフランジを有する。フランジあるいは折り込みが、フロー制限要素912を受容する開口915を画定する。開口915は、膜910の第1の領域911と第2の領域913との間に配置する。孔917a、917bは、それぞれ開口915の両側壁を挿通している。フロー制限要素912は、流体圧力膜910の開口915内に配置されるよう適合させる。図12により明瞭に示されるように、フロー制限要素912はそこに貫通形成した開口930を有し、上流側と下流側の一方または両方の開口930周りにその中に形成される陥凹面928を随意選択的に有する。開口930は、流体が開口930内を流れる際に圧力降下を発生させ、上述したように流体の流量が測定できるようにする。図9に示した実施形態では、フロー制限要素は楔形状のプレートである。
【0064】
フロー制限要素912を一旦フロー制限膜910の受容開口915内に配置すると、基部920内に膜910を配置することができる。膜910は、開口915を収縮させフロー制限要素912を完全に取り囲むよう、折り込むかあるいは圧縮することができる。基部920には、フロー制限要素の受容開口915を含む膜910の一部を受容し案内し支持しかつ/または圧縮する少なくとも1個の直立ガイド、好ましくは一対の離間する直立ガイド931a、931bを含ませることができる。ガイド931a、931bはそれぞれ孔933a、933bを含んでおり、それらは組み付けた状態で膜の孔917a、917bおよびフロー制限要素912の開口930と連通する。蓋922は、基部920と蓋922との間に流体圧力膜910が位置決めされるよう位置決めする。蓋922と基部920を互いに超音波溶接し、図10に見られるように完全に組み付けられた使い捨て可能部分902を形成することができる。流体圧力膜910はこうして、基部920あるいは蓋922のいずれかに流体圧力膜910を係着する接着剤を一切使用せずに基部920と蓋922の間に確実に固定することができる。基部920あるいは蓋922のいずれかに流体圧力膜910を係着する必要性を排除したことで、使い捨て可能部分902の製造が簡単化される。フロー制限要素はまた、係着具、接着剤、精密加工組立技法を必要とすることなく流体流路沿いの適切な位置に流体密封態様にて固定される。
【0065】
流体圧力膜910の開口915の両側壁の少なくとも一方は、その中に形成されてフロー制限要素912を受容するスロットあるいは陥凹950a、950b、932を随意選択的に有する。好ましくは、両側壁はフロー制限要素912を受容し位置決めし配向できるような大きさと形状と位置とを有するスロットあるいは陥凹950a、950b、932を含む。開口915を収縮させるべく膜910を折り込むかあるいは圧縮すると、スロットあるいは陥凹950a、950b、932はフロー制限要素912を完全に取り囲むよう適合させることができる。スロット950a、950bは、孔917a、917bに対しフロー制限要素912を位置決めし、使い捨て可能部分902の適切な流体流を保証するよう役立つ。スロットや陥凹部はまた、フロー制限要素912の周りにシールを形成するのを支援する。
【0066】
流体圧力膜910の一実施形態のより詳細な断面図が、図13に見て取れる。開口915における膜910の1つ以上の対向面が、フロー制限要素912を受容すべくその中に形成した陥凹932を有する。陥凹932は孔917a、917bと流体連通しており、膜910とフロー制限要素912を通って流体を流せるようにしている。陥凹932は、フロー制限要素912に対する位置決め(位置合わせと配向の両方を含む)をもたらす。陥凹932はまた、弾性可撓性膜の能力を高め、フロー制限要素周りに有効な流体シールを生み出す。流体圧力膜910はさらに、開口915の一側に配置した第1のリブ935aと、この第1のリブ935aとは反対側の開口915に位置する第2のリブ935bとを有する。リブ935a、935bは、膜910を折り込むかあるいは圧縮して開口915を収縮させたときに合一する。リブ935a、935bは、蓋922に対する流体圧力膜910の位置決めを支援するよう適合させてある。蓋922は、リブ935a、935bを受容し、使い捨て可能部分902の組み立て中に蓋922に対し移動する膜910の能力を制限するよう適合させた陥凹(図示せず)を持たせることができる。
【0067】
ここで図10と図11を参照すると、差圧利用流量センサ組立体900(図11)の構成を含め、使い捨て可能部分902と再利用可能部分104との関係が図示してある。使い捨て可能部分902は、概ね先に説明したのと同一の方式で再利用可能部分104と協働する。
【0068】
図11に示すように、薬剤は流体流入口906を介して使い捨て可能部分902に流入する。薬剤は、流体流入口906から上流流体チャンバ908内に流入する。次に、薬剤はフロー制限要素912を通り、下流流体チャンバ914内へ流入する。フロー制限要素912を流れる薬剤の流れは、流体が上流流体チャンバ908からフロー制限要素912を通って下流流体チャンバ914内へ流れる際に流体圧力の降下に生ずる。こうして、通常の条件下での前進流体流の期間中、上流流体チャンバ908内の流体圧力は一般的に下流流体チャンバ914内の流体圧力を上回る。上流流体チャンバ908内の流体圧力が流体圧力膜910を押圧し、この膜910を蓋922の上流開口924を通過させて上流流体圧力センサ120を押圧させる。同様に、下流流体チャンバ914内の流体圧力が流体圧力膜910を押圧し、この膜910を蓋922の下流開口926を通過させ、下流流体圧力センサ122に押圧させる。
【0069】
使い捨て可能部分902の製造に様々な材料が利用できることが想到される。使い捨て可能部分902は、熱可塑材で構成することができる。フロー制限要素912を使い捨て可能部分902の残りの部分と同じ熱可塑材で作製するか、あるいは使い捨て可能部分902とは異なる材料にできることが想到される。フロー制限要素912を形成するよう利用することのできる材料の非限定的な例には、シリコン、ガラス、医用品質等級熱可塑材、エラストマーが含まれる。フロー制限要素912さえも、全部あるいは一部をステンレス鋼で作製することができる。ステンレス鋼オリフィス板は、熱可塑性フレームあるいはエラストマーフレーム内に収容することができる。流体圧力膜901は、TPEやシリコン等の様々なポリマー材料あるいはエラストマー材料で構成することができる。
【0070】
図4に関連して前述したように、差圧利用流量センサ組立体900の再利用可能部分104は回路基板124を用いて個々の圧力センサ120、122から受信した信号に基づき上流流体チャンバ908と下流流体圧力チャンバ914との間の差圧を算出し、あるいは回路基板124が上流チャンバ908と下流チャンバ914との間の差圧を算出する点滴ポンプ12等のプロセッサ付きの他の装置へ送信される出力信号を生成する。回路基板124の出力は、電気結線126を通って点滴ポンプ12(図1)へ送られる。
【0071】
図14は、使い捨て可能部分1402のもう一つの代替実施形態を示す。使い捨て可能部分1402は、図9に示した使い捨て可能部分902と極めて類似するものである。事実、流体圧力膜1410と使い捨て可能部分1402のフロー制限要素1412だけが使い捨て可能部分902と異なる点が想到される。使い捨て可能部分1402の他の構成要素は使い捨て可能部分902のものと同一であるから、図9に関連して前述した説明がこれら構成要素に適用可能である。
【0072】
流体圧力膜1410は、可撓性ダイヤフラム型の膜である。流体圧力膜1410は、シリコンや一部の他の可撓性ポリマー材料あるいはエラストマー材料から形成することができる。膜1410は、フロー制限要素1412を受容する開口1415を画定するフランジを折り込んで形成するかあるいは元々の成形形状のままのフランジを有する。フロー制限要素は、開口1430を有する。開口1430は、この開口1430を流体が流れる際に圧力降下を生ぜしめ、流体の流量が前述のように測定できるようにする。膜1410の開口1415は、膜1410の第1の領域1411と第2の領域1413との間に配置する。孔1417a、1417bは、それぞれ開口1415の両側壁を挿通して延在する。開口1415には、膜1410を折り込むか圧縮して開口1415を収縮させたときにフロー制限要素1412を受容して囲繞できるような大きさと位置とを与える。こうして、開口1415は膜1410を折り込むか圧縮したときにフロー制限要素1412を完全に囲い込む。フロー制限要素1412は、ステンレス鋼板等の薄いプレートとすることができるが、他材料を使用することもできる。フロー制限要素1412は、一実施形態では好ましくは実質平坦もしくは平面的とする。フロー制限要素1412の薄さは、膜1410を折り込むかあるいは圧縮して開口1415を収縮させるときに、膜1410とフロー制限要素1412との間の流体密封シールの形成を支援する。フロー制限要素1412は、このフロー制限要素1412の周りにシールを形成することを支援すべく膜1410の開口1415の近傍にスロットも陥凹も一切不要であるほどに薄くする。
【0073】
流体制限膜910内の開口915あるいは折り込みを内転させ、フロー制限要素912を受容できることが想到される。フロー制限要素912を受容すべく基部920内あるいは基部と膜910の両方の中にスロットあるいは開口915が配設できることもまた、想到される。
【0074】
前述した内容は最良の態様および/または他の実施例と見なされるものを説明したものであるが、様々な改変が可能であり、本明細書に開示した主題が様々な形態と実施例とで実施することができ、その一部しか本明細書に説明してこなかった数多くの他の応用例や組み合わせや環境において適用できることは理解されたい。当業者は、主題範囲から逸脱することなく開示態様を変更しあるいは補正できることを認識されたい。その結果、主題は具体的細部や提出内容や本説明中の例示実施例には限定はされない。本明細書に開示した好都合な概念の真正な範囲に含まれるありとあらゆる改変例と変形例を保護することを、意図するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体システムの流量を測定する差圧利用フローセンサ組立体であって、
使い捨て可能部分で、
流入口と流出口を形成する流体流路を画定し、基部と蓋部を有する本体と、
流入口と流出口との間の流体流路に沿って配置され、本体の基部と蓋部との間に位置決めする可撓性流体圧力膜と、
流入口と流出口との間の流体流路内に位置決めしたフロー制限要素とを有し、
流体圧力膜がフロー制限要素を受容する開口を画定する使い捨て可能部分と、
再利用可能部分で、
流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の上流箇所で上流流体圧力を検出する上流流体圧力センサと、
フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の下流箇所で下流流体圧力を検出する下流流体圧力センサとを有する再利用可能部分とを備える、差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項2】
流体圧力膜がさらに蓋部に対する流体圧力膜の位置決めを支援するよう適合させたリブを有する、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項3】
蓋部が第1の開口と第2の開口を有し、流体圧力膜が蓋部の第1の開口と第2の開口にそれぞれ位置合わせするよう適合させた第1の領域と第2の領域を有する、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項4】
基部が、可撓性膜と相互作用して基部に対する可撓性膜の位置決めを支援するよう適合させた少なくとも1個の直立ガイドを有する、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項5】
少なくとも1個の直立ガイドが一対の離間する直立ガイドを備え、さらに可撓性膜の圧縮を支援し、フロー制限要素を可撓性膜の開口内にフロー制限要素を固定する、請求項4に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項6】
フロー制限要素が非毛細管流体流路である、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項7】
フロー制限要素がオリフィスである、請求項6に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項8】
オリフィスの開口の全周がオリフィスを通って流体が移動する経路の長さを上回る、請求項7に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項9】
全周とオリフィスを介して流体が移動する流路の長さの比をほぼ1000対1とした、請求項8に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項10】
フロー制限要素が蓋部および基部とは別個の構成要素であり、流体圧力膜内に固定される、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項11】
流体圧力膜が流体流路の壁を画定し、使い捨て可能部分の本体の基部と蓋部との間の流体流路内に延出するフランジを有し、フロー制限要素を受容する開口を流体圧力膜のフランジ内に形成した、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項12】
フランジが流体圧力膜内の折り込みにより画定され、フロー制限要素を受容する開口が折り込み内に形成される、請求項11に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項13】
センサ組立体と共に使用する使い捨て可能組立体であって、
蓋部と基部とを有し、流入口と流出組立体とを形成する流体流路を画定する本体と、
流入口と流出口との間の流体流路中に位置決めしたフロー制限要素と、
流入口と流出口の間の流体流路に沿って配設され、フロー制限要素を受容する開口を画定している可撓性流体圧力膜とを備える、使い捨て可能組立体。
【請求項14】
フロー制限要素がオリフィスを有し、フロー制限要素を受容する開口が流体圧力膜により形成された両側壁により画定され、両側壁のそれぞれがフロー制御要素のオリフィスとの流体連通をもたらすようその中を挿通して延在する孔を有する、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項15】
両側壁が流体圧力膜内の折り込みにより画定する、請求項14に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項16】
両側壁の少なくとも一方が、その中に形成されてフロー制限要素を受容して位置決めする陥凹を有する、請求項14に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項17】
両側壁が共に、その中に形成されてフロー制限要素を受容して位置決めする陥凹を有する、請求項14に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項18】
基部が、フロー制限膜と相互作用して基部に対し可撓性膜の位置決めを支援するよう適合させた少なくとも一対の直立ガイドを有する、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項19】
フロー制限要素が楔形プレートである、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項20】
フロー制限要素が流体圧力膜内に固定した別個の構成要素である、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項21】
センサ組立体が差圧利用流体流センサ組立体である、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項22】
流体圧力膜が流体流路の壁を画定し、本体の蓋部と基部との間の流体流路内に延在するフランジを有し、フロー制限要素を受容する開口を流体圧力膜のフランジ内に形成した、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項23】
蓋部が基部に超音波溶接される、請求項22に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項24】
使い捨て可能フローセンサ組立体の形成方法であって、
基部、蓋部、フロー制限要素、可撓性流体圧力膜を設けるステップと、
基部と流体圧力膜の一方に開口を形成し、フロー制限要素を受容するステップと、
フロー制限要素を開口に挿入するステップと、
流体圧力膜とフロー制限要素とを基部と蓋部との間に位置決めするステップと、
基部に蓋部を固定するステップとを含む、方法。
【請求項25】
開口の形成ステップが、流体圧力膜内に開口を形成するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
基部に対する蓋部の固定ステップが、基部と蓋部との間に流体圧力膜を固定する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
開口およびフロー制限要素とに流体連通させてフロー圧力膜内に一対の孔を形成し、流体圧力膜とフロー制限要素とを介する流体連通をもたらすステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
流体圧力膜内の開口の形成ステップが、流体圧力膜を折り込み、フロー制限要素を受け止める折り込みを画定するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
折り込みが両側壁を画定し、方法がさらに、両側壁の一方に陥凹を形成し、フロー制限要素を受容し位置決めするステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
折り込みが両側壁を画定し、方法がさらに、両側壁のそれぞれに陥凹を形成し、フロー制限要素を受容し位置決めするステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
流体圧力膜の陥凹部がフロー制限要素を囲繞する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
フロー制限要素を受容する開口を形成するステップが、基部内にスロットを形成するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項1】
流体システムの流量を測定する差圧利用フローセンサ組立体であって、
使い捨て可能部分で、
流入口と流出口を形成する流体流路を画定し、基部と蓋部を有する本体と、
流入口と流出口との間の流体流路に沿って配置され、本体の基部と蓋部との間に位置決めする可撓性流体圧力膜と、
流入口と流出口との間の流体流路内に位置決めしたフロー制限要素とを有し、
流体圧力膜がフロー制限要素を受容する開口を画定する使い捨て可能部分と、
再利用可能部分で、
流入口とフロー制限要素との間の流体流路内の上流箇所で上流流体圧力を検出する上流流体圧力センサと、
フロー制限要素と流出口との間の流体流路内の下流箇所で下流流体圧力を検出する下流流体圧力センサとを有する再利用可能部分とを備える、差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項2】
流体圧力膜がさらに蓋部に対する流体圧力膜の位置決めを支援するよう適合させたリブを有する、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項3】
蓋部が第1の開口と第2の開口を有し、流体圧力膜が蓋部の第1の開口と第2の開口にそれぞれ位置合わせするよう適合させた第1の領域と第2の領域を有する、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項4】
基部が、可撓性膜と相互作用して基部に対する可撓性膜の位置決めを支援するよう適合させた少なくとも1個の直立ガイドを有する、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項5】
少なくとも1個の直立ガイドが一対の離間する直立ガイドを備え、さらに可撓性膜の圧縮を支援し、フロー制限要素を可撓性膜の開口内にフロー制限要素を固定する、請求項4に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項6】
フロー制限要素が非毛細管流体流路である、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項7】
フロー制限要素がオリフィスである、請求項6に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項8】
オリフィスの開口の全周がオリフィスを通って流体が移動する経路の長さを上回る、請求項7に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項9】
全周とオリフィスを介して流体が移動する流路の長さの比をほぼ1000対1とした、請求項8に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項10】
フロー制限要素が蓋部および基部とは別個の構成要素であり、流体圧力膜内に固定される、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項11】
流体圧力膜が流体流路の壁を画定し、使い捨て可能部分の本体の基部と蓋部との間の流体流路内に延出するフランジを有し、フロー制限要素を受容する開口を流体圧力膜のフランジ内に形成した、請求項1に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項12】
フランジが流体圧力膜内の折り込みにより画定され、フロー制限要素を受容する開口が折り込み内に形成される、請求項11に記載の差圧利用フローセンサ組立体。
【請求項13】
センサ組立体と共に使用する使い捨て可能組立体であって、
蓋部と基部とを有し、流入口と流出組立体とを形成する流体流路を画定する本体と、
流入口と流出口との間の流体流路中に位置決めしたフロー制限要素と、
流入口と流出口の間の流体流路に沿って配設され、フロー制限要素を受容する開口を画定している可撓性流体圧力膜とを備える、使い捨て可能組立体。
【請求項14】
フロー制限要素がオリフィスを有し、フロー制限要素を受容する開口が流体圧力膜により形成された両側壁により画定され、両側壁のそれぞれがフロー制御要素のオリフィスとの流体連通をもたらすようその中を挿通して延在する孔を有する、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項15】
両側壁が流体圧力膜内の折り込みにより画定する、請求項14に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項16】
両側壁の少なくとも一方が、その中に形成されてフロー制限要素を受容して位置決めする陥凹を有する、請求項14に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項17】
両側壁が共に、その中に形成されてフロー制限要素を受容して位置決めする陥凹を有する、請求項14に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項18】
基部が、フロー制限膜と相互作用して基部に対し可撓性膜の位置決めを支援するよう適合させた少なくとも一対の直立ガイドを有する、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項19】
フロー制限要素が楔形プレートである、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項20】
フロー制限要素が流体圧力膜内に固定した別個の構成要素である、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項21】
センサ組立体が差圧利用流体流センサ組立体である、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項22】
流体圧力膜が流体流路の壁を画定し、本体の蓋部と基部との間の流体流路内に延在するフランジを有し、フロー制限要素を受容する開口を流体圧力膜のフランジ内に形成した、請求項13に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項23】
蓋部が基部に超音波溶接される、請求項22に記載の使い捨て可能組立体。
【請求項24】
使い捨て可能フローセンサ組立体の形成方法であって、
基部、蓋部、フロー制限要素、可撓性流体圧力膜を設けるステップと、
基部と流体圧力膜の一方に開口を形成し、フロー制限要素を受容するステップと、
フロー制限要素を開口に挿入するステップと、
流体圧力膜とフロー制限要素とを基部と蓋部との間に位置決めするステップと、
基部に蓋部を固定するステップとを含む、方法。
【請求項25】
開口の形成ステップが、流体圧力膜内に開口を形成するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
基部に対する蓋部の固定ステップが、基部と蓋部との間に流体圧力膜を固定する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
開口およびフロー制限要素とに流体連通させてフロー圧力膜内に一対の孔を形成し、流体圧力膜とフロー制限要素とを介する流体連通をもたらすステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
流体圧力膜内の開口の形成ステップが、流体圧力膜を折り込み、フロー制限要素を受け止める折り込みを画定するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
折り込みが両側壁を画定し、方法がさらに、両側壁の一方に陥凹を形成し、フロー制限要素を受容し位置決めするステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
折り込みが両側壁を画定し、方法がさらに、両側壁のそれぞれに陥凹を形成し、フロー制限要素を受容し位置決めするステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
流体圧力膜の陥凹部がフロー制限要素を囲繞する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
フロー制限要素を受容する開口を形成するステップが、基部内にスロットを形成するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−520572(P2011−520572A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510701(P2011−510701)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/044827
【国際公開番号】WO2009/143336
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(504308442)ホスピラ・インコーポレイテツド (50)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/044827
【国際公開番号】WO2009/143336
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(504308442)ホスピラ・インコーポレイテツド (50)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]