説明

薬剤揮散装置

【課題】自然揮散用の薬剤揮散器具と強制揮散用の薬剤揮散器具を簡単に組み合わせて使用できると共に、離れた場所にそれぞれ設置して使用できる薬剤揮散装置とする。
【解決手段】薬剤容器体10に収容した薬剤11を自然揮散して揮散口12から薬剤を大気に放散する自然揮散用の第1薬剤揮散器具1と、器具本体20に送風機21と薬剤22とを設け、その送風機21を駆動することで強制揮散して薬剤を大気に放散する第2薬剤揮散器具2を備え、前記薬剤容器体10の揮散口12以外の部分に器具本体取付部13を設け、この器具本体取付部13に器具本体20を着脱自在に取付けした薬剤揮散装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、消臭剤、芳香消臭剤、除菌剤、殺虫剤、害虫忌避剤などの揮散性の薬剤を揮散させる薬剤揮散装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤などの揮散性の薬剤を揮散させる薬剤揮散器具には、器具内に薬剤を含むゲル製剤などを収容し、薬剤を開放部分から揮散させる、などの自然に揮散させる自然揮散方式の薬剤揮散器具がある(特許文献1参照)。
また、ファンを備えた器具内に薬剤を含む通気性の薬剤保持体などを配置し、ファンによる発生気流で薬剤を拡散させる、などの強制的に揮散させる強制揮散方式の薬剤揮散器具がある(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】実公昭55−51471号公報
【特許文献2】特開平11−187799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した自然揮散方式の薬剤揮散器具は、薬剤を自然揮散するので、薬剤効果の持続性が優れたものである。
前述した強制揮散方式の薬剤揮散器具は、薬剤を強制揮散するので、薬剤効果の拡散性、速効性が優れたものである。
このようであるから、前述した自然揮散方式の薬剤揮散器具と、強制揮散方式の薬剤揮散器具を組み合わせることで、薬剤効果の持続性、拡散性、速効性がそれぞれ優れたものとすることが可能と考えられる。
【0005】
しかしながら、前述した自然揮散方式の薬剤揮散器具、強制揮散方式の薬剤揮散器具は、それぞれ単独で使用することを前提として作製したものであり、その2つの薬剤揮散器具を組み合わせて使用することは考慮されていないので、前述した自然揮散方式の薬剤揮散器具と強制揮散方式の薬剤揮散器具を組み合わせることは事実上無理である。
また、前述の2つの薬剤揮散器具を一体化して自然揮散と強制揮散を実施できるものとすることが考えられるが、ただ単に2つの薬剤揮散器具を一体化したのでは、全体が大きくなり、実用的ではない。
しかも、2つの薬剤揮散器具を一体化したのでは、薬剤を1ヶ所から揮散することになり、薬剤を離れた複数ヶ所から揮散することができない。
【0006】
本発明の目的は、自然揮散式の薬剤揮散器具と強制揮散式の薬剤揮散器具を簡単に組み合わせて使用できると共に、それぞれの薬剤揮散器具を離れた場所に設置して複数ヶ所から薬剤を揮散できるようにした薬剤揮散装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、揮散口12を有した薬剤容器体10内に薬剤11が収容され、自然揮散した薬剤が揮散口12から大気に放散する自然揮散用の第1薬剤揮散器具1と、
器具本体20に送風機21と薬剤22を設け、その送風機21を駆動することで空気流れを薬剤22に作用させて強制揮散し、薬剤を大気に放散する強制揮散用の第2薬剤揮散器具2を備え、
前記薬剤容器体10の揮散口12以外の部分に器具本体取付部13を有し、
この器具本体取付部13に、前記第2薬剤揮散器具2の器具本体20を、その器具本体20で前記揮散口12を閉塞しないように着脱自在に取付けたことを特徴とする薬剤揮散装置である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、第1薬剤揮散器具1の薬剤容器体10を、容器本体14に蓋体15を着脱自在に取付けたものとし、その容器本体14に薬剤11を収容すると共に、蓋体15に揮散口12と器具本体取付部13を設け、
第2薬剤揮散器具2の器具本体20は、薬剤収容部23と、その薬剤収容部23に開口連通した空気入口24と空気出口25を有し、
第2薬剤揮散器具2の送風機21は、ハウジング21aにモータ21bとファン21cを設け、そのハウジング21aに前記空気出口25と連通した吸込口26と吐出口27を
有する薬剤揮散装置である。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、第2薬剤揮散器具2の器具本体20は、その底面20cに空気入口24を有し、上面20bに空気出口25を有し、送風機21を駆動することで、その薬剤収容部23に収容した薬剤22の下面から上面まで空気が流通するようにした薬剤揮散装置である。
【0010】
第4の発明は、第1の発明において、第1薬剤揮散器具1の薬剤容器体10は、その周面の一部と上面、下面に開口した凹部40を有し、
第2薬剤揮散器具2の器具本体20は、前記凹部40に嵌め合う形状で、その凹部40を器具本体取付部13とし、
前記薬剤容器体10の上面が、器具本体20の上面よりも高く、その薬剤容器体10の上面に揮散口12が形成され、前記器具本体20の上面に空気入口24が形成され、
送風機21が器具本体20の上面に、その吐出口27が空気入口24と反対側に向かうように取付けた薬剤揮散装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、第1薬剤揮散器具1の器具本体取付部13に、第2薬剤揮散器具2の器具本体20を取付けることで、第1薬剤揮散器具1の揮散口12から自然揮散した薬剤を大気に放散できると共に、第2薬剤揮散器具2の送風機21を駆動することで、その薬剤22を強制揮散して薬剤を大気に放散できる。
したがって、自然揮散式の第1薬剤揮散器具1と強制揮散式の第2薬剤揮散器具2を簡単に組み合わせて使用できる。
また、第1薬剤揮散器具1と第2薬剤揮散器具2を分離して離れた場所にそれぞれ設置して複数ヶ所から薬剤を揮散できる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、蓋体15を取り外すことで容器本体14内の薬剤11を交換したり、補給したりできる。
また、送風機21を駆動することで、空気入口24、薬剤22、空気出口25、吸込口26、吐出口27と空気が流通し、その薬剤22を強制揮散して薬剤をスムーズに大気に放散できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、薬剤22の下面から上面まで空気が流通するので、その薬剤22を強制揮散して薬剤を効率良く大気に放散できる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、揮散口12と空気入口24が上下に位置がずれていることから、揮散口12から自然揮散した薬剤が空気入口24から器具本体20の薬剤収容部23に入り込むことがなく、自然揮散した薬剤をスムーズに大気に放散できる。
また、送風機21の吐出口27は空気入口24と反対側に向かうようにしてあるので、吐出口27から吐出した空気が再び空気入口24から入り込むことがなく、強制揮散した薬剤を大気にスムーズに放散できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1と図2に示すように、自然揮散用の第1薬剤揮散器具1と強制揮散用の第2薬剤揮散器具2を分離自在に組み合わせて薬剤揮散装置としてある。
前記第1薬剤揮散器具1は、薬剤容器体10内に薬剤11を収容してある。その薬剤容器体10は揮散口12を有し、その揮散口12から自然揮散した薬剤を大気に放散する。
前記第2薬剤揮散器具2は、器具本体20に送風機21と薬剤22を設け、その送風機21を駆動することで吐出空気又は吸い込み空気(空気流れ)を薬剤22に作用して強制揮散することで薬剤を大気に放散する。
前記薬剤容器体10の揮散口12以外の部分に器具本体取付部13が設けてある。この器具本体取付部13に前記器具本体20が着脱自在に取付けてある。
前述の説明において、薬剤11、薬剤22は揮散性の薬剤を含有する製剤で、ただ単に薬剤としたのは揮散性の薬剤のことである。
【0016】
このようであるから、薬剤容器体10の器具本体取付部13に器具本体20を取付けることで、第1薬剤揮散器具1と第2薬剤揮散器具2を簡単に組み合わせできる。その薬剤容器体10内の薬剤11は自然揮散して揮散口12から矢印aのように薬剤が大気に放散する。
前記揮散口12と器具本体取付部13は位置がずれ、器具本体20で揮散口12が閉塞されていることがなく、その揮散口12から放散された薬剤は、第2薬剤揮散器具2と干渉することがなく、スムーズに大気に放散する。
前述の状態で送風機21を駆動することで、薬剤22に空気の流れが作用して強制揮散し、薬剤が大気に放散される。
【0017】
また、薬剤容器体10の器具本体取付部13から器具本体20を取り外すことで、図3に示すように第1薬剤揮散器具1と第2薬剤揮散器具2を離れた場所にそれぞれ設置して、第1薬剤揮散器具1で自然揮散、第2薬剤揮散器具2で強制揮散を実施することができる。
【0018】
このようであるから、薬剤の自然揮散と強制揮散を同時にそれぞれ実施でき、薬剤効果の持続性(薬剤の効力が長時間持続する)、拡散性(薬剤分布のスピード化、薬剤分布状態の安定化)、速効性(効力の発現が速い)をそれぞれ優れたものにできる。
また、第1薬剤揮散器具1と第2薬剤揮散器具2を図1、図2に示すように組み合わせることで、前述の自然揮散と強制揮散を1ヶ所で集中的に実施できる。
また、第1薬剤揮散器具1と第2薬剤揮散器具2を図3に示すように分離して離れた場所に設置することで、前述の自然揮散と強制揮散を離れた場所でそれぞれ独立して実施できるから、複数ヶ所から薬剤を揮散できる。
【0019】
次に、前述した薬剤揮散装置の各部材の具体形状を説明する。
前記薬剤容器体10は容器本体14に蓋体15を着脱自在に取付けたもので、その容器本体14に薬剤11が収容され、蓋体15に揮散口12と器具本体取付部13が形成してある。
【0020】
前記容器本体14は底面板14aと周面板14bで上面が開口した箱形状である。
前記蓋体15は横板15aとフランジ15bを備え、その横板15aに揮散口12が形成されていると共に、環状の突起が設けられて器具本体取付部13としてある。
前記横板15aの器具本体取付部13の内側には補助揮散口16が形成してある。
【0021】
前記器具本体20は周面板20aと上面板20bと下面板20cで薬剤収容部23を有する箱形状で、その下面板20cは着脱自在で薬剤22を交換、補充等できるようにしてある。前記周面板20aに網目形状などの空気入口24が形成され、上面板20bに空気出口25が形成してある。
前記送風機21はハウジング21aにモータ21bとファン21cを設け、そのハウジング21aに吸込口26と吐出口27が形成してある。このハウジング21aは電池収納室21dを有し、図示しない電池が収納してある。
この実施の形態では上面板20bにハウジング21aが一体的に設けてあり、空気出口25と吸込口26が共通である。
【0022】
前述のようであるから、図1、図2に示すように、第1薬剤揮散器具1と第2薬剤揮散器具2を組み合わせた時には、蓋体15の補助揮散口16が第2薬剤揮散器具2の器具本体20で閉塞され、自然揮散した薬剤は揮散口12からのみ大気に放散される。
また、図3に示すように第1・第2薬剤揮散器具1,2を分離して離れて設置して使用する場合には、補助揮散口16が開放するので、より多く自然揮散する。
【0023】
また、送風機21を駆動することで、矢印bのように空気入口24から空気が流通し、薬剤22を通して吸込口26(空気出口25)から送風機21内に吸い込まれ、矢印cのように吐出口27から大気に放出されるので、薬剤22を強制揮散して薬剤が効率良く大気に放散される。
【0024】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図4と図5に示すように、第1薬剤揮散器具1の薬剤容器体10の上面(蓋体15の横板15a)に環状の凹陥部17を形成し、その凹陥部17に第2薬剤揮散器具2を嵌め込んで取付け、器具本体20の底面板20cを凹陥部17の底面17aに接する。つまり、凹陥部17を器具本体取付部13とする。
前記凹陥部17の形状と器具本体20の形状を異ならせて両者の間に隙間18を形成し、その隙間18を通して空気が流通するようにする。
例えば、凹陥部17を矩形状、器具本体20を円形状として隙間18を形成し、この隙間18を通して空気入口24に空気が流れ、吐出口27から吐出した空気が隙間18を通って大気に放出するようにする。
【0025】
前述のようにした場合には、凹陥部17の4つのコーナー部と器具本体20との間に4つの隙間18が形成されるので、2つの隙間18を通して空気入口24に空気が流れ、残りの2つの隙間18を通って吐出口27から吐出した空気が大気に放出するようにすることが好ましい。
【0026】
前述の凹陥部17は環状に限ることはなく、一直線形状で、長手方向両端部が蓋体15の外周面にそれぞれ開口したもの、十文字形状で、4つの端部が蓋体15の外周面にそれぞれ開口したもの、一端部のみが蓋体15の外周面に開口したもの等でも良い。
例えば、図6に示すように、蓋体15に、4つの溝17bを有する十文字形状の凹陥部17を形成し、その4つの溝17bの交差部をほぼ円形状として器具本体取付部13とする。
第2薬剤揮散器具2の器具本体20を器具本体取付部13に嵌め込むようにして取付ける。
そして、空気入口24を2つの溝17bに向け、残りの2つの溝17に吐出口27を向ける。
【0027】
前述の図1、図2及び図6に示す第2薬剤揮散器具2は、その器具本体20が送風機21よりも大きく、図4、図5に示す第2薬剤揮散器具2は、その器具本体20と送風機21が同一大きさであるが、これらに限ることはなく、器具本体20の大きさと送風機21の大きさは同一でも良いし、一方が大きく、他方が小さくとも良い。
【0028】
前述の各実施の形態では、第2薬剤揮散器具2の器具本体20の周面板20aに空気入口24を形成したが、これに限ることはなく、上面板20b又は底面板20cに空気入口24を形成しても良い。
例えば、図7、図8に示すように容器本体14を底面板14aと周面板14bと内周板14cで、中央部に縦孔部14dを有すると共に、リング状の上向き凹部14eを有する形状とする。前記器具本体20の底面板20cに空気入口24を形成する。
前記蓋体15の横板15aに、前記縦孔部14dに嵌合する凹部30を形成し、この凹部30に第2薬剤揮散器具2(器具本体20)を嵌合して取付け、その凹部30を前述の器具本体取付部13とする。
この凹部30の底面30aに孔31を形成し、この孔31と前記空気入口24を連通する。
【0029】
このようにすることで、送風機21を駆動することによって、図8に矢印dに示すように孔31、空気入口24を通って空気が薬剤22の下面に流れる。
この空気は薬剤22の下面から上面に向けて流通し、空気出口25(吸込口26)から吸い込みされ、吐出口27から大気に放出する。
よって、薬剤22のほぼ全域に亘って空気が流通するので、強制揮散により薬剤が効率良く大気に放散される。
【0030】
前述の各実施の形態では、第1薬剤揮散器具1の薬剤容器体10の中央部に器具本体取付部13を形成し、第2薬剤揮散器具2の器具本体20を嵌合、嵌め込み等で取付けしたが、これに限ることはなく、薬剤容器体10の一側寄りに器具本体取付部13を形成しても良い。
例えば、図9と図10に示すように、薬剤容器体10に外周面の一部に開口した切欠部40を上下面に連続して形成し、その切欠部40を器具本体取付部13とする。
器具本体20を、前記切欠部40に嵌合する形状とする。
【0031】
具体的には、薬剤容器体10の容器本体14を、円板の一部をC字形状で切欠いた底面板14aと、円弧形状の周面板14bと、底面板14aの切欠いた部分に沿って設けたC字形状の内周板14fで囲まれた形状とする。
蓋体15を前記容器本体14の周面板14bと内周板14fに嵌合する形状とする。
器具本体20の周面板20aを前記容器本体14の内周板14fに嵌まり合う形状とし、上面板20bに空気入口24と空気出口25を離れた位置に形成すると共に、その空気出口25の周縁に送風機取付部28を形成する。
送風機21のハウジング21aを送風機取付部28に嵌め合わせて取付け、その吸込口26と空気出口25を連通すると共に、吐出口27を空気入口24と反対側に位置させる。
【0032】
このようにすることで、送風機21を駆動することによって、空気入口24から空気が器具本体20内に流入して薬剤22に作用し、空気出口25から吸込口26に吸い込まれ、吐出口27から薬剤が大気に放散される。
また、空気入口24に流れる空気と吐出口27から吐出される空気が混合することがなく、薬剤22を強制揮散して薬剤を大気にスムーズに放散できる。
【0033】
また、器具本体20の上面20aが薬剤容器体10の上面よりも低く、空気入口24と揮散口12が離隔するので、揮散口12から自然揮散した薬剤が空気入口12から器具本体20内に流入することがなく、スムーズに自然揮散できる。
なお、図示は省略するが前述の器具本体20の上面20aを薬剤容器体10の上面と同一高さとしても良いし、高くしても良い。
【0034】
前述の各実施の形態で説明した第2薬剤揮散器具2を、それを上下反転(裏返)して第1薬剤揮散器具1の器具本体取付部13に取付けるようにしても良い。
図示は省略するが、例えば前述の図4及び図5に示す薬剤揮散装置において、その第2薬剤揮散器具2の器具本体20の底面板20cに図8に示すように空気入口24を形成し、その第2薬剤揮散器具2を裏返して、その底面板20cが上になるようにして、第1薬剤揮散器具1の薬剤容器体10の上面に形成した凹陥部17(器具本体取付部13)に嵌め込んで取付けると、器具本体20の送風機21(ハウジング21aの電池収納室21d)が凹陥部17の底面17aに接し、器具本体20の底面板20c(空気入口24)が大気に直面する。
このようにすることで、送風機21を駆動することによって、空気が前記器具本体20の底面板20cに形成した空気入口24から入り、吐出口27から吐出した空気が凹陥部17と器具本体20との両者の間に形成された隙間18を通して大気に放出される。
【0035】
前述の各実施の形態において、薬剤の自然揮散(薬剤11)と強制揮散(薬剤22)を同時にそれぞれ実施でき、強制揮散により薬剤を空間の隅々まで拡散、スピーディな拡散による速効性、自然揮散により空間の薬剤分布の安定化を維持することで、薬剤効果の持続性、拡散性、速効性をそれぞれ優れたものにできる。
また、広い広域空間や天井が高い高所空間において、自然揮散で近方範囲や低所範囲、強制揮散で遠方範囲や高所範囲と空間全域の薬剤分布の安定化を図り、薬剤効果の持続性、拡散性、速効性を優れたものにできる。
また、出入口が開放されて空気の流れがある準閉鎖空間において、薬剤の空間外への流出による薬剤分布の低下を強制揮散により補い、薬剤効果の持続性、拡散性、速効性を優れたものにできる。
【0036】
前記薬剤11,12については、それに使用する揮散性の薬剤は、同一の薬剤であっても良いし、異なる薬剤であっても良い。
前記の異なる薬剤を使用する実施場面として、害虫駆除では、例えば落下仰転効果の高い薬剤と致死効果の高い薬剤、又は害虫の侵入を防止する忌避剤と侵入害虫を殺虫する殺虫剤、又は種類の違う棲息害虫に効力のあるそれぞれの殺虫剤などが例示できる。
消臭、芳香消臭では、例えば違う悪臭に効力のあるそれぞれの消臭剤や芳香消臭剤、又は臭いを消臭し、良い香りを漂わせる消臭剤と芳香剤などが例示できる。
また、前記殺虫剤と消臭剤の使用による害虫駆除と消臭、除菌剤と消臭剤の使用による空間環境の清浄化などが例示できる。
【0037】
また、薬剤11(第1薬剤揮散器具)と薬剤22(第2薬剤揮散器具)を分離して使用する場合、使用空間内で離れた場所にそれぞれを設置して使用、例えば第1薬剤揮散器具を居住空間のほぼ中央に設置、第2薬剤揮散器具を出入口や高所に設置するなどが例示できる。また、複数の使用空間にそれぞれの薬剤揮散器具を設置して使用、例えば居住空間とそれと隣接する廊下や出入口などが例示できる。
または、使用途中、例えば一定時間使用した後、一方の薬剤揮散器具を別の場所で使用する、また一定時間使用した後、一方の薬剤揮散器具の使用を中断し、しばらくした後再び使用するなどが例示できる。
【0038】
本発明に用いる揮散性の薬剤としては、従来から害虫駆除剤(殺虫剤、害虫忌避剤、害虫成長阻害剤など)、芳香・消臭剤(香料、ハーブ、消臭剤など)、防菌・防黴剤(殺菌剤、除菌剤、防カビ剤など)等の目的で使用されている自然下で揮散する各種の薬剤を、目的に応じて単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
【0039】
本発明に用いる製剤は、形状として、多量の揮散性の薬剤を含有し、取扱いが簡便であればよく、例えばゲル状、ジェル状、粒状、粉状、マット状、綿状、繊維状、ハニカム構造状、又は液状などが例示される。
その材料としては、自然下で含有された揮散性薬剤を放出するものであればよく、例えば多孔質無機物質および有機物質、パルプ材、ゲル化材、合成樹脂などが例示される。
送風機のファンとしては、シロッコファンが好ましいが、軸流ファン、プロペラファンを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す薬剤揮散装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】2つの薬剤揮散器具を分離した状態の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す薬剤揮散装置の平面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す薬剤揮散装置の平面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す薬剤揮散装置の平面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態を示す薬剤揮散装置の断面図である
【図10】図9のD−D断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…第1薬剤揮散器具、2…第2薬剤揮散器具、10…薬剤容器体、11…薬剤、12…揮散口、13…器具本体取付部、14…容器本体、15…蓋体、20…器具本体、20a…周面、20b…上面、20c…下面、21…送風機、21a…ハウジング、21b…モータ、21c…ファン、22…薬剤、23…薬剤収容部、24…空気入口、25…空気出口、26…吸込口、27…吐出口、40…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散口12を有した薬剤容器体10内に薬剤11が収容され、自然揮散した薬剤が揮散口12から大気に放散する自然揮散用の第1薬剤揮散器具1と、
器具本体20に送風機21と薬剤22を設け、その送風機21を駆動することで空気流れを薬剤22に作用させて強制揮散し、薬剤を大気に放散する強制揮散用の第2薬剤揮散器具2を備え、
前記薬剤容器体10の揮散口12以外の部分に器具本体取付部13を有し、
この器具本体取付部13に、前記第2薬剤揮散器具2の器具本体20を、その器具本体20で前記揮散口12を閉塞しないように着脱自在に取付けたことを特徴とする薬剤揮散装置。
【請求項2】
第1薬剤揮散器具1の薬剤容器体10を、容器本体14に蓋体15を着脱自在に取付けたものとし、その容器本体14に薬剤11を収容すると共に、蓋体15に揮散口12と器具本体取付部13を設け、
第2薬剤揮散器具2の器具本体20は、薬剤収容部23と、その薬剤収容部23に開口連通した空気入口24と空気出口25を有し、
第2薬剤揮散器具2の送風機21は、ハウジング21aにモータ21bとファン21cを設け、そのハウジング21aに前記空気出口25と連通した吸込口26と吐出口27を有する請求項1記載の薬剤揮散装置。
【請求項3】
第2薬剤揮散器具2の器具本体20は、その底面20cに空気入口24を有し、上面20bに空気出口25を有し、送風機21を駆動することで、その薬剤収容部23に収容した薬剤22の下面から上面まで空気が流通するようにした請求項1記載の薬剤揮散装置。
【請求項4】
第1薬剤揮散器具1の薬剤容器体10は、その周面の一部と上面、下面に開口した凹部40を有し、
第2薬剤揮散器具2の器具本体20は、前記凹部40に嵌め合う形状で、その凹部40を器具本体取付部13とし、
前記薬剤容器体10の上面が、器具本体20の上面よりも高く、その薬剤容器体10の上面に揮散口12が形成され、前記器具本体20の上面に空気入口24が形成され、
送風機21が器具本体20の上面に、その吐出口27が空気入口24と反対側に向かうように取付けた請求項1記載の薬剤揮散装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−35929(P2008−35929A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210527(P2006−210527)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】