説明

薬剤送出装置

少なくともハウジングと、作動装置と、医薬用物質である複数の別個の単位用量分の薬と、送出手段、少なくとも1回、好ましくは正確に1回の単位用量分の薬を一度に投与するための送出手段、好ましくはスプレーノズルと、用量分の薬の一回一回の投与の間にロックアウトインターバルを課す遅延手段とを備える、特に液体の形態でかつ手動作動によって医薬用物質を投与するためのディスペンサが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともハウジングと、作動装置と、用量分の薬の一回一回の投与の間にロックアウトインターバル、すなわち所定の時間のインターバルを課す遅延手段とを備える、特に液体の形態でかつ手動作動によって医薬用物質を投与するためのディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の種類のディスペンサは、鎮痛剤または不眠症薬などの医薬用物質の自己投与を可能にする。ロックアウトインターバルは、物質の過剰投与および物資に対する依存を防ぐのを助け、また、ディスペンサを子供に対してより安全なものにする。
【0003】
当技術分野では、そのようなディスペンサは、特に、注入システムまたは静脈内薬物投与システム(IVシステム)と共に使用するように構成されている。ディスペンサのユーザフレンドリーさおよび信頼性、投薬される薬の量の正確性、ならびにロックアウトインターバルの信頼性という相反する側面が、技術的に複雑な装置および/または意図されたロックアウトインターバルにおいて追加の物質の投薬を十分に阻止しない装置を生み出す結果となる。
【0004】
例えば、米国特許第4,828,551号明細書は、機械式/油圧式であり、リザーバ、およびリザーバから患者のIVシステムに用量分の薬を一回一回投薬するための患者によって作動可能なポンプを備える、患者自己管理鎮痛法(PCA)用装置について記載している。1ストローク当りのポンプの能力は、調整可能であり得、それによって、投与される各々の用量分の薬のサイズが調節される。タイミング装置は、用量分の薬の一回一回の投薬の間に特定の時間のインターバル(ロックアウトインターバル)が経過しなければならないことを確実にする。
【0005】
国際公開第2005/089836号パンフレットは、患者に投与される必要がある鎮痛剤などの液体を患者に投薬するために提供される装置および方法について記載している。装置は、ハンドセットを介して針またはカニューレなどの投与手段に連結された、鎮痛剤が充填されたリザーバを含む。ハンドセットは、入口弁および排出弁、ならびに弾性の多孔性反跳構造を含む。鎮痛剤は、リザーバから入口弁を通って反跳構造の孔に流れ込み、反跳構造から排出弁を通って流れて患者に投与される。患者は、鎮痛剤の一回分の用量を投与するために反跳構造を圧縮することができ、反跳構造が解放されると、その反跳特性が液体を液体リザーバから反跳構造の孔内に引き入れ、その孔を満たす。この流れは、所定の最大量を超えないように制限されている。
【0006】
米国特許第6,010,483号明細書は、鎮痛剤を患者に供給するための自己管理されたポンプまたは方法について記載している。鎮痛剤の注入流量は、鎮痛剤を受ける患者によって与えられた命令に応じて増加し、患者によるポンプの作動が、鎮痛剤の流量においてさらなる漸進的増加を生み出さない時間帯のロックアウトインターバルが設けられる。
【0007】
例えば不眠症、糖尿病および/または精神病を治療するための一部の医薬用物質に関しては、注入システムを用いた投与は不必要であり、または所望ではなく、経口噴霧が好ましい投与形態である場合がある。経口噴霧はまた、錠剤よりも飲み込みやすく、すばやい生物学的利用能を示し、そのため、錠剤またはカプセル形態の薬に比べて組成物のより即時的な効果を得ることができる。
【0008】
しかし、既存のスプレーボトルは、吸入チューブおよび/またはリザーバは空気で充填されている場合があり、それによって1回の作動ストロークですべての用量分の薬が投薬されないため、投薬される薬の量の正確性が欠如するという問題に悩まされている。また、作動装置が部分的または不十分な力で作動されると、過少な用量分の薬がもたらされる。このため、ユーザは2回以上の投薬を試み、それによって過剰な用量分の薬をもたらすことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、改良されたディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、ディスペンサは、医薬用物質である複数の別個の単位用量分の薬、および少なくとも1回、好ましくは正確に1回の単位用量分の薬を一度に投与するための送出手段、好ましくはスプレーノズルを含む。
【0011】
遅延手段は、好ましくは主ばね、ギヤトレイン、および脱進機を備える、機械式タイミングシステムを備えることが好ましい。したがって、ユーザによって作動可能であり、例えば長期保管中に放電し、ディスペンサの寿命を事実上短縮させることがある、電池などの追加の電源を必要としない、信頼性の高い、比較的低価のロックアウトタイマが提供される。機械式タイミングシステムはまた、電磁信号および/またはノイズの影響を受けない。
【0012】
単位用量分の薬は、ストリップによって相互連結され、および/またはストリップの一部であることが好ましい。ストリップは、例えば、治療の全過程または特定の期間、すなわち1ヶ月を意図した、またはそれを示す複数の単位用量分の薬用の好都合なパッケージを提供する。
【0013】
ディスペンサは、送出手段に動作結合して順次に単位用量分の薬を移動させ、好ましくはストリップを第1のスプールから別のスプールに段階的に移動させるための輸送機構を備えることが好ましい。このようにして、新しい単位用量分の薬が各々の投与に対して準備可能になることが保証され得る。スプールは、その上に巻き取られたストリップを格納するための好都合な比較的低ボリュームの手段を提供する。2つのスプールを設けることにより、ディスペンサ内側にストリップの充填部分および空の部分の両方を容易に含むことができる。
【0014】
好ましい実施形態では、機械式タイミングシステムは、機械式タイミングシステムの主ばねが、ストリップの輸送によって、および/またはストリップの輸送中に巻かれ、ロックアウトインターバルが作動装置を作動させることによって開始されるように輸送機構に連結される。このように、ディスペンサのタイミングシステムは、送出手段に新たな単位用量分の薬を輸送する間、用量分の薬の投与に備えて「準備(arm)」される。作動装置の作動によって用量分の薬を投与した後、タイマによるロックアウト期間のタイミングが開始され、その結果、新たな用量分の薬が準備可能でなくなり得るため投薬が止められる。ロックアウトインターバルが経過した後、ディスペンサは再度もう一回分の用量分の薬を投与する準備ができ、新しくサイクルを開始する。
【0015】
ロックアウトインターバル中、機械式タイミングシステムが輸送機構をロックすることが好ましい。
【0016】
このロックは、ロックアウトインターバルの終了前に投薬のために新たな用量分の薬を準備することを防止し、それにより、偶発的な用量分の薬の早期放出および起こり得る誤用が防止される。
【0017】
次に、本発明は、より詳細に、また、機械式タイミングシステムを備える本発明によるディスペンサの現在好ましい実施形態を概略的に示す図を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本明細書では2つの半分のシェル2Aおよび2Bをそれぞれ備えるハウジング2を含むディスペンサ1を示している。ディスペンサは、さらに、プッシュボタン形態の作動装置3、スプレーノズル4、および用量分の薬輸送ホイール5を備える。図2に概略的に示されるように、ディスペンサ1のハウジング2の内側には、用量分の薬輸送機構6およびタイミングシステムまたはタイマ7、ならびに輸送ブロッキング機構8およびタイマブロッキング機構9が配置されている。
【0019】
用量分の薬輸送アセンブリ6は、ストリップ11の一部である複数の単位用量分の薬10、および第1および第2のスプール12、13を含み、これらのスプールにはストリップ11が巻き付けられる。文字Aは、スプレーノズル4の位置を示している。
【0020】
ストリップ11は、単位用量分の薬10がその各々の中に含まれるブリスタ14がその中にまたはその上に形成されているフィルムまたは薄層(laminate)を含む可撓性ストリップである。
【0021】
単位用量分の薬10を含むストリップ11の部分は、第1のスプール12に巻き付けられ、空のストリップ11を巻き取るための第2のスプール13が設けられる。
【0022】
用量分の薬輸送アセンブリ6は、単位用量分の薬10をスプレーノズル4に動作結合して順次に移動させ、ストリップ11を第1のスプール12から別のスプール13に段階的に移動させる機構を提供する。
【0023】
スプレーノズル4は、ハウジング2の正面壁内に配置され、または形成され、図3Cに詳細に示されるように、渦流室15およびノズルチャネル16を含む。ノズル4の一部は、ディスペンサのハウジング2内に延在し、用量分の薬の空洞17を画定する。鋭敏な突起18が、チャネルに隣接して用量分の薬の空洞17と渦流室15の間に配置されている。
【0024】
例えば経口噴霧のような用量分の薬の投与では、本明細書ではブリスタ14に含まれる単位用量分の薬10が、ノズル4と位置合せするように、より具体的には本実施形態では用量分の薬の空洞17と位置合せするように移動される。プッシュボタン3を作動させることにより、プランジャ(図示せず)が、ディスペンサ1の内部で用量分の薬10を含むブリスタ14を用量分の薬の空洞17内に押し出すように作動される。プランジャによってブリスタ14上に及ぼされ、かつ本実施形態では鋭敏な突起18によって補助された圧力により、ブリスタ14は破裂し、用量分の薬10の液体を渦流室15内に放出し、ノズルチャネル16から微細な噴霧を生じさせる。
【0025】
単位用量分の薬の量は、通常、0.02mlから0.5mlの範囲であり、好ましくは0.05mlから0.2mlの範囲である。
【0026】
図4は、用量分の薬輸送機構6、タイミングシステム7、輸送ブロッキング機構8、タイマブロッキング機構9、ならびに上記の部分に相互連結する第1および第2のギヤ19、20、解放レバー21および歯車22の実施形態の展開図を示す。歯車22は、ストリップ11の縁部の少なくとも一方に沿って設けられているスロット23内に入り込む。
【0027】
本実施形態の輸送機構およびタイマブロッキング機構8、9は、実質的に同一のものである。同様の要素は、同じ参照番号で示されており、タイマブロッキング機構9の要素は追加の接尾語「A」を有する。ブロッキング機構8、9の作動は、用量分の薬の輸送を参照して以下に説明される。
【0028】
用量分の薬輸送アセンブリは、用量分の薬輸送ホイール5、用量分の薬輸送機構6、輸送ブロッキング機構8、および歯車22を備える。このアセンブリはさらに、用量分の薬輸送ホイール5ののこぎり状の刃の周縁と接触して弾性的に取り付けられたフラッグ24を備える。
【0029】
輸送ブロッキング機構8は、写真用カメラのものと類似しており、ロッキングホイール25、レバー26、グリッパ27、およびハンマ28を備える。ロッキングホイール25のヘッドには、本明細書では底部にくぼみおよび非対称の側面が設けられる。レバー26は、アーム29およびポスト30を備える。グリッパ27は、フック31、くぼみ32、および後部アーム33を備える。ハンマ28は、フラッグ34およびアーム35を備える。レバー26およびグリッパ27は、1つのピン36上に枢動可能に取り付けられている。レバー26は、ばね37によってアーム29の方向にピン36の周りでばね張力がかけられている。グリッパ27は、後部アーム33上に作用するばねアーム38によってフック31の方向にピン36の周りでばね張力がかけられている。ばねアーム38は、レバーばね37の上端部である。ハンマ28は、フラッグ34の方向にばね39によって軸(図示せず)の周りでばね張力がかけられている。
【0030】
最初のブロックされていない状況では、レバー26は、アーム29がロッキングホイール25のヘッドの下方を延び、グリッパ27がばねアーム38によってポスト30に押し付けられ、フック31がロッキングホイール25との接触から解放され、ハンマ28のフラッグ34がグリッパ27のくぼみ32内に突出し、ハンマ28のアーム35が用量分の薬輸送ホイール5から解放されるように配置される。
【0031】
新たな単位用量分の薬10をノズル4の位置Aに輸送するために、用量分の薬輸送ホイール5は、ストリップ11が第2のスプール13に巻き取られ、第1のスプール12から巻き出されるように回転される。輸送方向は、フラッグ24が用量分の薬輸送ホイール5ののこぎり状の歯の周縁を通過するか、係合するかによって決定される。
【0032】
ストリップ11の(スロット23の)輸送作動により、歯車22および連結されたロッキングホイール25の回転が引き起こされる。ブロッキングホイール25のヘッドの下部は、レバー26のアーム29に係合し、それにより、レバー26は、グリッパ27がもはやポスト30にもたれず、ロッキングホイール25の周縁をフック31に当接させるようになるまでピン36の周りを枢動する。
【0033】
ストリップ11に沿った隣接する用量分の薬10間の距離は、歯車22および連結されたロッキングホイール25の全回転に対応し、フック31がロッキングホイール25のくぼみに係合することを可能にする。これにより、ハンマ28のフラッグ34は、くぼみ32の縁部を通過し、グリッパ27の側面を押さえ付け、この位置においてグリッパ27はポスト30に再度当接する。さらに、ハンマのアーム35の先端部が、用量分の薬輸送ホイール5の歯に引っかかる。この位置では、ロッキングホイール25および連結された歯車22、ならびに用量分の薬輸送ホイール5のさらなる回転が止められ、それによってストリップ11のさらなる輸送を停止する。
【0034】
輸送ブロッキングは、ハンマ28のアーム35のくさび形状の部分に対して垂直の圧力をかけることによって外され、ハンマ28をその軸(図示せず)の周りで枢動させる。ハンマ28の回転により、アーム35が用量分の薬輸送ホイール5の歯から外され、フラッグ34をグリッパ27のくぼみ32に滑り込ませ、それにより、レバー26およびグリッパ27がばね37によってそれらの最初のブロッキングされていない位置に枢動して戻ることが可能になる。
【0035】
タイミングシステム7は、ロッキングホイール25および歯車22によって輸送機構に連結される。タイミング機構の1つの実施形態が、図5に示されており、これは、主ばね41を有する動力ホイール40と、複数のギヤを有するギヤトレイン42と、脱進機ホイール43と、アンカ44と、バランスばね45を有するバランスホイールとを備える。
【0036】
主ばね41は、動力ホイール40の回転を引き起こす歯車22の回転によるストリップの輸送によって巻かれる。ロッキングホイール25Aは、動力ホイール40に連結され、同時に回転される。動力ホイール40が全回転した後、タイミング機構7は、ロッキングホイール25Aをグリッパ27Aに係合させ、ハンマ28Aのアーム35Aに取り付けられたバー(図示せず)を脱進機ホイール43の歯の間に置くことにより、タイマブロッキング機構9によってブロックされる。
【0037】
ロックアウトインターバルは、作動装置3を作動させることによって開始される。ハンマ28Aのアーム35Aのくさび形状の部分に対して作動装置3によって垂直の圧力をかけることにより、ハンマ28Aがその軸(図示せず)の周りを枢動する。ハンマ28Aの回転が、バーを脱進機ホイール43の歯から外し、フラッグ34Aをグリッパ27Aのくぼみ32A内に滑り込ませ、それにより、レバー26Aおよびグリッパ27Aが、ばね37Aによって最初のブロッキングされていない位置に枢動して戻ることが可能になる。
【0038】
ロックアウトインターバルは、主ばね41の巻き出しおよびタイミング機構7の他の要素の協調運動によって決定された動力ホイール40の全回転の所要時間である。ロックアウトインターバルは、ギヤトレイン42の歯の相対的大きさを用いて設定されてよい。使用される医薬用物質にもよるが、ロックアウトインターバルは、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間続くことが好ましい。他の好ましいロックアウトインターバルは、4から24時間、より好ましくは4から18時間の範囲であり、例えば1日3回、8時間ごとに投与されなければならない製剤に対しては6時間のロックアウトインターバル、あるいは1日2回、12時間ごとに投与されなければならない製剤に対しては10時間のロックアウトインターバルになる。22時間のロックアウトインターバルは、1日1回投与されなければならない、不眠症薬または例えば経口避妊薬などの製剤に特に適している。
【0039】
ロックアウトインターバル中の動力ホイール40の全回転により、第1のギヤホイール19を介して第2のギヤホイール20の全回転が引き起こされる。第2のギヤホイール20は、底部に回転勾配を有し、この回転勾配は、解放レバー21の勾配側と当接し、回転の終了時にそれを押し下げる。次いで、解放レバー21の下方のピンは、ハンマ28のアーム35のくさび形状部分を押さえ付け、ハンマ28を枢動させ、それにより、上記で説明されたように輸送ブロッキング機構8のブロッキングが解除される。
【0040】
要約すると、ユーザによるディスペンサ1の作動は、図6の流れ図に示されたように2つの主要な動作を含む。第1に、ユーザは用量分の薬輸送ホイール5を回転させ、それによって新たな用量分の薬10がノズル4の前に配置され、それと同時に機械式タイミング機構7(の主ばね41)が巻き取られる。十分に回転した後、ブロッキングシステム8および9の両方が係合される。第2に、ユーザは、作動装置3を押さえ、用量分の薬10を投薬し、それと同時にタイマブロッキング機構9をリセットし、それによってタイミング機構7のブロッキングが解除され、ロックアウトインターバルが開始される。ロックアウトインターバルが経過した後、タイミング機構7は輸送ブロッキング機構8をリセットし、それにより、輸送機構6のブロッキングが解除され、次の用量分の薬10を投与するためにディスペンサ1がリセットされる。
【0041】
本発明のディスペンサは、持ち運びでき、自己充足型であり、すなわちそのタスクを実行することができる他の構成要素を必要とせず、またはIVシステムなどの別のシステムへの連結を必要としない。しかし、ディスペンサは、そのようなシステムに合うように構成されてもよい。
【0042】
ディスペンサは、ヒトまたは動物の治療のための医薬用組成物と使用できるように非常に良好に適合されている。ディスペンサは、用量分の薬の一回一回の投与の間においてロックアウトインターバルが望ましい、不眠症、糖尿病、および/または精神病を治療するための活性成分を少なくとも含む医薬用組成物に使用されることが好ましい。同様に、ディスペンサは、経口避妊薬の投与に使用されてもよい。
【0043】
本発明は、上記で説明された機械式の実施形態に制限されないが、特許請求の範囲内において複数の方法で変更されてよい。
【0044】
例えば、異なる機械式または電気式のタイミング機構、輸送機構および/またはブロッキング機構、ならびに相互に異なるブロッキング機構が使用されてよい。
【0045】
特定の実施形態では、好ましくは用量分の薬輸送システム内に含まれたおよび/または連結されたディスペンサには、電気式ロックアウトタイミング機構を作動するための電気エネルギーを生成するためのダイナモなどの発電機が備えられる。そのような実施形態は、作動が正しいことおよび/または十分なエネルギーが生成されていることを信号で伝えるLEDなどのインジケータが設けられることが好ましい。
【0046】
さらに、ディスペンサは、粉末、錠剤、またはカプセルをハウジング内の噴出口または簡易なオリフィスなどの送出手段から投薬するように構成されてよい。ディスペンサはまた、単位用量分の薬の静脈内投与を可能にするために、注射針と連結して提供されてもよい。
【0047】
単位用量分の薬は、可能であれば脱着可能に、鎖のリンクとして相互連結されてもよい。同様に、1つのストリップまたは鎖に含まれる単位用量分の薬は、等しくある必要はなく、特定の治療または投薬計画もしくはその段階に対応して様々な治療薬、組成物、または濃度が、例えば避妊薬の場合ではサイクルの様々な段階に対して、同じ装置で投与されてよい。
【0048】
ディスペンサにはまた、消費されたおよび/または装置内部に残存している用量分の薬の数を示すためのインジケータが設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明によるディスペンサの斜視図である。
【図2】ハウジングの正面部が取り外された、図1のディスペンサの斜視図である。
【図3A】図1および2のディスペンサの正面半分のシェルの側面図である。
【図3B】線IIIBに沿った、図3Aのディスペンサの正面半分のシェルの断面図である。
【図3C】図3Bの断面の拡大図である。
【図4】輸送機構およびロックアウトシステムの分解図である。
【図5】ディスペンサのタイミングシステムを示す図である。
【図6】ディスペンサの作動の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともハウジング(2)と、作動装置(3)と、医薬用物質である複数の別個の単位用量分の薬(10)と、少なくとも1回、好ましくは正確に1回の単位用量分の薬(10)を一度に投与するための送出手段、好ましくはスプレーノズル(4)と、用量分の薬の一回一回の投与の間にロックアウトインターバルを課すための遅延手段(7)とを備える、特に液体の形態でかつ手動作動によって医薬用物質を投与するためのディスペンサ(1)。
【請求項2】
ロックアウトインターバルが、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間続く、請求項1に記載のディスペンサ(1)。
【請求項3】
ロックアウトインターバルが、4から18時間の範囲である、請求項2に記載のディスペンサ(1)。
【請求項4】
遅延手段(7)が、好ましくは主ばね(41)と、ギヤトレイン(42)と、脱進機(43、44)とを含む機械式タイミングシステム(7)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)。
【請求項5】
単位用量分の薬(10)が、ストリップ(11)によって相互連結されており、および/またはその一部である、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)。
【請求項6】
ストリップ(11)が、可撓性であり、少なくとも1枚のフィルムまたは薄層を含み、その中にまたはその上にブリスタ(14)が形成されており、単位用量分の薬(10)が、ブリスタ(14)の少なくとも一部、好ましくは各々に含まれる、請求項5に記載のディスペンサ(1)。
【請求項7】
単位用量分の薬(10)を含むストリップ(11)が、スプール(12)に巻き付けられる、請求項6に記載のディスペンサ(1)。
【請求項8】
空のストリップ(11)を巻き取るためのスプール(13)をさらに備える、請求項7に記載のディスペンサ(1)。
【請求項9】
送出手段(4)に動作結合して順次に用量分の薬(10)を移動させ、好ましくはストリップ(11)を第1のスプール(12)から別のスプール(13)へと段階的に移動させるための輸送機構(6)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)。
【請求項10】
機械式タイミングシステム(7)が、輸送機構(6)に連結され、機械式タイミングシステム(7)の主ばね(41)が、ストリップ(11)の輸送によって、および/またはストリップ(11)の輸送中に巻かれ、ロックアウトインターバルが、作動装置(3)を作動させることによって開始される、請求項4に従属する場合の、請求項9に記載のディスペンサ(1)。
【請求項11】
ロックアウトインターバル中、機械式タイミングシステム(7)が、輸送機構(6)をロックする、請求項10に記載のディスペンサ(1)。
【請求項12】
ディスペンサ(1)が、持ち運び可能で自己充足型である、請求項1から11のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)。
【請求項13】
単位用量分の薬(10)の量が、0.02mlから0.5mlの範囲、好ましくは0.05から0.2mlの範囲である、請求項1から12のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)。
【請求項14】
不眠症、糖尿病、および/または精神病を治療するための活性成分を少なくとも含む医薬用組成物を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)。
【請求項15】
経口避妊薬を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)。
【請求項16】
前記請求項5、6、および13のいずれか一項に開示されたストリップ(11)のすべての特徴を示し、そのように構築され、請求項1から15のいずれか一項に記載のディスペンサ(1)において使用するよう明白に意図された、ストリップ(11)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−534071(P2009−534071A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505871(P2009−505871)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053734
【国際公開番号】WO2007/118881
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】