説明

薬学的処方物

本発明の1つの態様は、プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を含有する溶液を含む薬剤を規定し、その溶液を含む少なくとも1つの溶媒は、プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボンである。また、本発明の1つの態様において、前記溶液は、プレコナリル溶解グリセリド油、プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボン、およびそれらの2つ以上の混合物から成る群から選ばれる少なくとも1つの溶媒を含む。本発明は、新規な投薬形態においてプレコナリルを単独または1つ以上の他の薬学的に活性な薬剤との組み合わせのいずれかで含有する処方物およびその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な投薬形態においてプレコナリル(Pleconaril)を単独または1つ以上の他の薬学的に活性な薬剤との組み合わせのいずれかで含有する処方物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本出願のこのセクションまたは任意のセクションにおける任意の参照の識別は、そのような参照が本出願に対する先行技術であることを認めるものではない。プレコナリルは、1,2,4−オキサジアゾール3−[3,5−ジメチル−4−[3−(3−メチル−5−イソオキサゾリル)プロポキシ]フェニル]−5−(トリフルオロメチル)として知られている。これは、PICOVIR(登録商標)、VP63843およびWin63843のような他の名称を有する。プレコナリルは、ピコルナウイルス複製阻害剤であり、ライノウイルスに対して活性を有することが明らかにされた新規化学物質(NCE:new chemical entity)である。メルク・インデックスによれば、プレコナリルは、特許文献1に従って調製することができ、この特許は、参照により組み込まれる。
【0003】
感冒の処置のための抗ウイルス剤としてのプレコナリルの有効性により、感冒、ウイルス誘発性呼吸器疾患および/または他の疾患状態に関連する症状を軽減する他の医薬品と共におよび/または特定の投薬形態においてこれを投与することが有益であろう。NCE薬は、全身投与される場合に、安全性問題を引き起こすことがある。従って、プレコナリルを投与する場合、例えばライノウイルス感染症と戦う場合、この種の薬剤を、例えば、呼吸吸入により、例えば、上気道および/または下気道の処置のための口を介した吸入(経口吸入送達)ならびに洞粘膜および/または鼻粘膜の処置のための鼻を介した吸入(経鼻吸入送達)により、局所的に投与することが好ましい。
【0004】
呼吸送達向け薬剤は一般に、例えば、水ベースまたは脂質ベースの液状キャリアを含み、キャリア中の治療薬の懸濁物およびキャリア中に治療薬が溶解された溶液双方を含み得る。従来、一般に、経鼻吸入用に処方された薬剤は、不溶性治療薬の水性懸濁物あるいは可溶性治療薬の水溶液のいずれかの水ベースであった。いくつかの治療薬は、経口吸入による投与に適した乾燥微粒子として処方されてきた。
【0005】
呼吸送達のための乾燥粉末または懸濁物の形態の薬剤の投薬一貫性および効力は、小さい平均粒径および狭い粒径分配を有する成分粒子に依存する。これは議論されてきた。例えば、Pritchard,J.N.,の非特許文献1、およびMeyer,K.C.et al.,の非特許文献2を参照のこと。加えて、粒子状材料を用いた症状の効果的な局所的処置は、処置部位体にわたって効果的に分散される粉末または懸濁物中に含有される治療化合物の能力により制限される。従って、懸濁物または乾燥粉末薬剤中の平均粒径および/または粒径分配を変え、これに影響を及ぼす条件は、意図される処置部位に分散される薬剤中の治療薬の能力、およびひとたび投与された際のそのバイオアベイラビリティ双方に影響を及ぼし得る。懸濁物を含む組成物は、フロキュレーションおよび/または凝集により物理的不安定になりやすい。乾燥粉末組成物は、保管中に凝集しやすい。加えて、粒子状材料の局所塗布は、塗布部位上に治療薬を分散するその能力において制限される。この制限により、粒子状の治療薬の局所塗布によるいくつかの症状の処置は、非実用的になる。さらに、場合によっては、各々が異なる治療薬に反応する複数の症状を有することがある疾患状態の投与において処置部位に複数の治療薬を供給することがより効率的かつ効果的である。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2005年8月3日提出の米国特許出願第11/196,745号は、プレコナリルと各種治療薬との組み合わせを論じているが、プレコナリル溶液を含有またはチキソトロピー性キャリア中のプレコナリルの懸濁物を含有のいずれかの投薬形態を議論または示唆していない。
【0006】
プレコナリルは、水性溶媒中で不溶性であり、この理由のために、治療薬としてプレコナリルのみを含有する水性粒子状懸濁物として調製されてきた。従来、これらの懸濁物が経鼻吸入により投与される場合、それらの懸濁物は、鼻腔内に保持される能力を欠いていた。
【0007】
目的
上記を考慮して、必要とされるものは、プレコナリルを含有する溶液を含み、さらに1つ以上の付加的な治療薬を任意に含む薬剤である。同じく必要とされるものは、例えば、計量投薬吸入器を介して、または吸入送達のための計量ポンプスプレーによって、エアゾールの形態で送達され得るプレコナリルを含有する溶液を含む薬剤である。
【0008】
同じく必要とされるものは、1つ以上の付加的な治療薬を任意に含む、プレコナリルの水性懸濁物であり、この懸濁物は、経鼻吸入による投与に適したチキソトロピー的挙動および鼻腔中に保持されるための投与後の十分な粘度を有する。これらおよびその他の目的および/または利点が本発明により提供される。
【特許文献1】米国特許第5,464,848号明細書
【非特許文献1】The Influence of Lung Deposition on Clinical Response,Journal of Medicine,2001,14(1).pp.19〜26
【非特許文献2】Drug Delivery to the Lung in Polymeric Site−Specific Pharmacology;Eds,A.J.Domb;John Willey and Sons:New York,1994,ppp 347〜367
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
従って、本発明の1つの態様において、プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を含有する溶液を含む薬剤が開示され、前記溶液は、プレコナリル溶解グリセリド油、プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボン、およびそれらの2つ以上の混合物から成る群から選ばれる少なくとも1つの溶媒を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液は、カプリン酸とカプリル酸の混合物をグリセリンと共にエステル化することにより作ることができるトリエステルから成る群から選ばれる1つ以上の溶媒を含む。いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液は、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、およびそれらの混合物をから成る群のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液は、Miglyol812(登録商標)(Sasol North America Inc.製の約50wt%〜約65wt%のCおよび約30wt%〜約45wt%のC10を含む飽和脂肪酸混合物から作られるトリグリセリド)を含む。
【0011】
本発明の別の態様は、(i)プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を含有する少なくとも1つの溶液と、(ii)コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド系抗炎症薬、鬱血除去薬、抗コリン作用薬、薬学的に許容される亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類似物、エキナセア、ビタミンC、およびビタミンEから成る群のうちの1つ以上と、を含む薬剤の提供である。
【0012】
本発明の別の態様は、プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩、および任意に1つ以上の付加的な治療薬を含有する溶液を含む薬剤の提供であって、この溶液は、吸入経路を介して投与されるように適合されている。いくつかの好ましい実施形態において、薬剤は、プレコナリル、または薬学的に許容されるその塩、および任意に、それらと会合させられた、フランカルボン酸モメタゾン、および任意にその中に懸濁された、塩酸オキシメタゾリンを含有する1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン溶液を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を含有する溶液と乳化された塩酸オキシメタゾリンの水溶液を含む。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤(「プレコナリル薬剤」とも呼ばれる)はそれ自体、プレコナリル薬剤の投与のための機器中に含有される。いくつかの実施形態において、プレコナリル薬剤および1つ以上の付加的な治療薬を含有する1つ以上の別個の薬剤は、プレコナリル薬剤を、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド系抗炎症薬、鬱血除去薬、抗コリン作用薬、薬学的に許容される亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類似物、エキナセア、ビタミンC、およびビタミンEから成る群のうちの1つ以上と共に投与するために機器中に一緒に梱包され、この機器は、プレコナリル薬剤およびこれと同梱された1つ以上の別個の薬剤の同時、逐次または別個の投与に適合される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレコナリル薬剤が、任意にこのプレコナリル薬剤の投与と一緒に同時に、逐次的にまたは別個に投与される1つ以上の付加的な治療薬を含有する1つ以上の別個の薬剤と共にキット形態で梱包され、このキットは、キット中に含まれるプレコナリル薬剤の吸入投与を容易にする機器を備えている。
【0014】
いくつかの実施形態において、1つ以上の付加的な治療薬を任意に含有するプレコナリル薬剤は、上気道または下気道のウイルス性の炎症性または閉塞性疾患の処置において、単独でまたは付加的な治療薬を含有する1つ以上の別個の薬剤と共に、そのような処置を必要とする患者に対し投与される。
【0015】
いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤は、経口吸入および経鼻吸入から選ばれる吸入経路を介して投与される。いくつかの好ましい実施形態において、投与は、噴霧器、計量ポンプスプレー装置、および与圧計量投薬吸入器から選ばれる機器を用いて実施される。いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤を投与するために吸入機器を用いる場合、吸入機器は、任意に、経口吸入経路または経鼻吸入経路のいずれかを介した薬剤の投与のために投与者により適合され得る。1つの実施形態において、単一の与圧計量投薬吸入器が、経鼻送達用に設計されたアクチュエータと経口送達用に設計されたアクチュエータとの間で単に切り替えることによって経口吸入経路または経鼻吸入経路用に適合させられ得る。いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤が、例えば真皮への局所適用のための形態で提供される。
【0016】
別の態様において、本発明は、鼻粘膜への投与のための計量投薬ポンプスプレー装置による送達用に処方化された、プレコナリルの水性懸濁物および任意に1つ以上の付加的な治療薬を含む薬剤を提供する。いくつかの実施形態において、プレコナリルは、1つ以上の付加的な水不溶性の治療薬、例えば、フランカルボン酸モメタゾンと共に共懸濁され、ならびに1つ以上の付加的な水溶性の治療薬、例えば、塩酸オキシメタゾリンも任意に含む。いくつかの実施形態において、薬剤懸濁物は、鼻粘膜に適用される時に、「ノードリップ(no−drip)」特性を提供するために投与後に十分な粘度を有するチキソトロピー性キャリア溶液を含む。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態において、プレコナリルの水性懸濁物を含む薬剤は、水、プレコナリル、任意にオキシメタゾリンまたは薬学的に許容されるその塩、微結晶性セルロースとアルカリ金属カルボキシアルキルセルロースとの混合物約2.5〜約3.5重量%、およびポリビニルピロリドン約0.5〜約5重量%、を含む鼻スプレー組成物であり、この組成物の複合粘度は、高せん断条件の終了後約20秒以内に、高せん断条件下で測定された時の組成物の最小複合粘度の少なくとも約10倍に増大する。
【0018】
本発明の別の態様は、眼用組成物の提供である。好ましい眼用組成物としては、液体、軟膏、または水性ゲルが含まれる。1つの好ましい実施形態において、組成物は、油中水型エマルジョンであって、付加的な治療薬が水性液滴中に溶解または懸濁されており、これらの水性液滴が今度は、例えば、ペトロラタム、鉱油等を含むローションまたは流動性軟膏基剤中に懸濁されており、この組成物は、適切なプレコナリル溶解グリセリド油または適切なプレコナリル溶解HFC中に溶解されたプレコナリルを含んでいる。
【0019】
いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤は、液状経口投薬形態で提供される。いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤は、ゼラチンカプセル中にカプセル化されて提供される。
【0020】
本発明の他の利点は、当業者に明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明の説明において用いられる用語の定義が以下に続く。
【0022】
用語「薬学的に許容される塩」は、無機酸、無機塩基、有機酸、および有機塩基を含む薬学的に許容される酸または塩基から調製される非毒性の塩を指す。適切な無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、および燐酸である。適切な有機酸は、例えば、有機酸のうちの脂肪酸、芳香族酸、カルボン酸およびスルホン酸類から選ばれ、その例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニン酸(パモイン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、およびガラクツロン酸である。適切な無機塩基例としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から作られる金属塩が含まれる。適切な有機塩基は、例えば、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、メグルミン(N−メチルメグルカミン)、リジンおよびプロカインから選ばれ得る。
【0023】
「治療有効量」という文言は、投与された時に、疾患または疾患状態の処置または管理において治療上の利益をもたらす、その中に含有される1つ以上の薬学的に有効な作用薬の量を供給する薬剤の量を意味する。
【0024】
投薬形態(dosage form)は、計量された量または単位量で提供される薬剤組成物の投与可能な形態を意味し、少なくとも1つの治療薬を、送達システム、例えば、キャリア、希釈剤、および着色剤を含む1つ以上の他の賦形剤と共に含む。投薬形態の例としては、カプセル剤、吸入用に提供される計量された量のエアゾール剤、および吸収用に提供される計量された量の液体が含まれる。
【0025】
従来、プレコナリルは、エアゾールの形成に適さない低極性液体、例えば、コーン油およびエタノールにのみ可溶性であることが知られていた。従って、吸入経路を介した投与に適するプレコナリル含有薬剤はこれまで、吸入投与のための微粒子形態のプレコナリルの提供に依拠してきた。これの例としては、液体キャリア、一般に水性キャリアであって、エアゾールとして分散され、プレコナリル含有粉末化吸入剤を空気流中で飛沫同伴する液体キャリア中の、唯一の治療薬としてのプレコナリルの懸濁物が含まれ、その各々は、吸入により投与される。しかしながら、いくつかの状況において、プレコナリル微粒子形態の送達は、例えばピコナウイルス誘発性疾患、例えば感冒の処置において不利であり、微粒子プレコナリルの吸入により粉末が患部組織に適用されるが、薬剤の微粒子的性質により、治療レベルのプレコナリルを欠く組織の領域が残される。例えば感冒の処置における、疾患状態の管理または治療の準備において、治療薬によって処理される組織を完全にカバーすることは利点である。
【0026】
意外にも、本発明者らは、プレコナリルが特定のグリセリド油に溶解され、ポンプスプレーボトルから送達されるエアゾールとしての分散に適する、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤が提供されることを発見した。有利なことに、このタイプのプレコナリルを含有する溶液を含む薬剤は、例えば、計量ポンプスプレーディスペンサ、計量与圧エアゾール吸入器(噴射剤と共に梱包される場合)を用いて投与、あるいは噴霧器中で利用され得る。さらに有利なことには、特定のグリセリド油、例えば、Miglyol812(登録商標)(Sasol North America Inc.製の約50wt%〜約65wt%Cおよび約30wt%〜約45wt%C10を含む飽和脂肪酸の混合物から作られるトリグリセリド)は、MDI機器において一般的に用いられるハイドロフルオロカーボン噴射剤と混和できる。プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤は、プレコナリルの局所適用により処置可能な病状を有する患者への吸入投与に適する。便宜上、これらの溶液(以下で詳細に説明される)を含むグリセリド油は、本明細書中で「プレコナリル溶解グリセリド油」と称される。プレコナリル溶解グリセリド油を利用するプレコナリル含有溶液は、経口摂取、吸入(経鼻および経口)、ならびに外皮および目への局所適用による送達のための薬剤の調製において有用であることが予想される。プレコナリルのプレコナリル溶解グリセリド油溶液を含む薬剤は、噴霧器からの経口吸入および計量ポンプスプレーにより提供または与圧計量吸入機器からエアゾールとして送達される薬剤のエアゾールの経鼻および経口吸入による投与において、ならびに局所適用される眼用処方物において最も有用であると考えられる。
【0027】
適切なプレコナリル溶解グリセリド油は、約33cP未満の室温動的粘度を有し、カプリン酸、カプリル酸、およびカプリン酸とカプリル酸との混合物の存在下でグリセリンをエステル化することにより作られるトリグリセリドを含む。好ましくは、プレコナリル溶解グリセリド油は、カプリル酸とカプリン酸との混合物の存在下でのグリセリンのエステル化により製造され、人体と接触しても安全と認められるトリグリセリドを含むものが選ばれる。最高約45wt%のカプリン酸を含み脂肪酸混合物の残部が実質的にカプリル酸である、カプリン酸とカプリル酸との混合物の存在下でのグリセリンのエステル化により製造されるトリグリセリドがより好ましい。約20wt%〜約45wt%のカプリン酸および約50wt%〜約80wt%のカプリル酸を含み、脂肪酸混合物の合計5wt%までが、C、C12およびC14脂肪酸の組み合わせからなる脂肪酸の混合物の存在下でのグリセリンのエステル化により製造されるトリグリセリドが好ましい。約30wt%〜約45wt%のカプリン酸および約50wt%〜約65wt%のカプリル酸を含み、脂肪酸混合物の合計5wt%までが、C、C12およびC14脂肪酸の組み合わせからなる脂肪酸の混合物の存在下でのグリセリンのエステル化により製造されるトリグリセリドがより好ましい。商業的に入手可能なカプリン酸およびカプリル酸の混合物の存在下でエステル化されたグリセリンを含む適切なグリセリド油の例としては、Sasol North Americaから入手可能なMiglyol812(登録商標)が含まれるが、これに限定されない。Sasolの製品資料は、Miglyol812(登録商標)を、約50wt%〜約65wt%のカプリル酸(本明細書中ではC)および約30wt%〜約45wt%のカプリン酸(本明細書中ではC10)を含み、混合物中には2wt%以下のカプロン酸、2wt%以下のラウリン酸および1wt%以下のリノール酸が存在する脂肪酸の混合物から作られたトリグリセリドとして記載しており、本明細書中では、便宜上、「Sasol North America Inc.製の約50wt%〜約65wt%のCおよび約30wt%〜約45wt%のC10を含む脂肪酸の混合物から作られたトリグリセリド」として記載される。
【0028】
加えて、本発明者らは、プレコナリルがハイドロフルオロカーボン(本明細書中では、便宜上「プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボン」とも称される)の特定の凝縮相中に溶解され得ることを意外にも発見した。従って、与圧計量投薬吸入機器からの投与に適するプレコナリル含有溶液を含む薬剤が提供される。十分に高い室温蒸気圧を有するプレコナリル含有溶液を調製するためにあるハイドロフルオロカーボン(HFC)が選ばれれば、その選ばれたHFCは、溶媒および噴射剤双方として働くことができる。1つのそのようなHFCの例は、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン(HFA227、Solvay)であり、これは約66psiaの室温蒸気圧を有する。室温で沸騰しない十分に低い室温蒸気圧を有するHFCを選ぶことにより、計量ポンプスプレー機器または噴霧器を利用する投与に適するプレコナリルのHFC溶液がもたらされることが分かるであろう。そのような低蒸気圧HFC溶液は、もし適切な推進体がその溶液と共に梱包されれば、与圧計量服投薬吸入機器からも投与され得ることが分かるであろう。
【0029】
プレコナリルのプレコナリル溶解HFC溶液を含む薬剤は、計量ポンプスプレーから提供または与圧計量吸入機器から送達される薬剤のエアゾールの、経鼻吸入または経口吸入のいずれかを介した吸入による投与において最も有用であろうと考えられる。
【0030】
好ましいプレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボンは、プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩が室温(約25℃)で少なくとも約1g/mlの溶解度を示すものであり、室温(約25℃)蒸気圧が約66psiaの例えば1,1,1,2テトラフルオロエタン、例えばHFA−134a(DuPont)から約96psiaの例えば1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン、例えばHFA−227(Solvay)までである。
【0031】
プレコナリルを全身的にではなく局所的に送達することが好ましいので、HFCベースの薬剤は、経口吸入または経鼻吸入のいずれかにより投与される薬剤組成物において最も広範な実用性を見出すであろうと考えられる。薬剤が液体として胃腸管に経口投与される用途については、十分に不揮発性のHFCも用いられ得ることが分かるが、プレコナリル溶解グリセリド油を用いるのが好ましい。
【0032】
本発明の1つの態様において、プレコナリル含有溶液を含む薬剤は、プレコナリル溶解グリセリド油またはプレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボン溶媒中に秤量されたプレコナリルを溶解させてプレコナリルを含有する溶液を提供することにより提供される。薬剤は、プレコナリルを含有する溶液の適量を、任意に、1つ以上の他の所望の治療薬および任意に1つ以上の他の賦形剤、例えば、所望のエアゾール液滴形成を促進するための表面活性剤と組み合わせて、結果として生じるプレコナリルを含有する溶液を所望の投与装置、例えば、計量ポンプスプレーディスペンサ、与圧計量吸入器(必要であれば、噴射剤と共に)、および噴霧器中に充填することにより調製される。
【0033】
本発明の1つの態様において、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤は、秤量されたプレコナリルを、適切な容器、例えば、与圧計量投薬吸入器胴部中に置き、計量バルブを胴部上に取り付け、プレコナリル溶解グリセリド油、プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボン、およびそれらのうちの2つ以上の混合物から選ばれた溶媒の計算された重量を、もし必要であれば付加的な噴射剤と共に、容器中に充填することにより提供される。
【0034】
薬剤の吸入送達は、薬剤を鼻道または気道内の意図される位置に投与するために、適切なサイズの液滴を含む薬剤のエアゾールの準備を必要とすることが分かるであろう。研究者らは、エアゾールの効果的な吸入投与の研究の結果を報告しており、例えば、Newman,S.P.Aerosol Generators and Delivery Systems,Respiratory Care,1991,36,pp.939−951,Clay,M.et al.,Effect of Nebulized Aerosol Size on Lung Deposition in Patients With Mild Asthma,Thorax 1987,42,120,Dolovich,M.B.et.al.,Optimal Delivery of Aerosols from Metered Dose Inhalers,Chest,80(supplemental)1981,pp.911−915,Pritchard,J.N.,The Influence of Lung Deposition on Clinical Response,Journal of Medicine,2001,14(1),S19−S26(2001)、およびMeyer,K.C.et al.,Drug Delivery to the Lung in Polymeric Site−Specific Pharmacology;Eds,A.J.Domb;John Wiley and Sons:New York,1994,ppp 347−367であり、これらの各々は、参照によりその全体が組み込まれる。従って、これらの送達機器において使用するための本発明の薬剤は、当業者により理解されるように、意図される投与部位に薬剤を投与するための適切な分散を形成するための狭いサイズ範囲を有し、適切な平均サイズの液滴の供給を助長する表面活性剤を任意に含有し得る。経鼻投与については、分散は、約20ミクロン〜約100ミクロンの平均直径[D(v,0.5)]を有することが好ましく、液滴[D(v,0.9)]の90%は、200ミクロン以下の直径を有し、液滴[D(v,0.1)]の10%は、45ミクロン以下の直径を有する。経口吸入を介した投与については、質量中央空力(mass median aerodynamic)粒径は、約1ミクロン〜約5ミクロンであるべきである。
【0035】
次に、本発明の薬剤を吸入によって投与するために、従ってプレコナリルを含有する溶液を含む薬剤を全身的ではなく局所的に投与するために用いられ得る種々の送達機器の例が論じられる。これらの送達機器としては、計量ポンプスプレーディスペンサ、与圧計量投薬吸入器および噴霧器が含まれる。計量ポンプスプレーディスペンサは、手動操作されるポンプを備えており、このポンプは、作動されると、エアゾール吸入時に薬剤が投与されるべき作用部位に達するのに適した平均直径およびサイズ分布の呼吸可能なサイズを有する液滴のエアゾールを準備するために、その中に含まれる薬剤を計量された量だけオリフィスを通して汲み上げる。本明細書中で記載される本発明の組成物のエアゾールを提供するのに適切な1つのそのような手動作動ポンプの例は、Valois Pharmaceutical Division(フランス)から入手可能なVP3ポンプ製品群、例えば、圧着型93マイクロリットル手動操作計量投薬エアゾールポンプであるVP3/93モデルである。本発明の薬剤処方物と共に使用するの適したポンプスプレーディスペンサの例としては、特定の計量された液体または懸濁物を投与するポンプスプレーボトル、例えば、水性懸濁物を吐出するために用いられる商品名NASONES(登録商標)Nasal Sprayの下で商業的に利用可能なポンプスプレーボトルおよび1993年6月1日にHague Unionにより登録されたSchering Corporation Industrial Design Deposit DM/026304に開示されるスプレーボトル(各々Schering Corporationから入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
与圧計量投薬吸入器(「MDI」)は、機器中に含有される薬剤の正確な量のエアゾールを生成するために、噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン噴射剤、例えば、CFC−11、CFC−12、ハイドロフルオロカーボン噴射剤、例えば、HFC−134A、HFC−227を含有しており、薬剤は、エアゾールを経口で吸入(上気道または下気道のいずれかに入る)するか、あるいは経鼻で吸入するかのいずれかによって投与され、鼻粘膜および/または上顎洞を処置する。
【0037】
本発明の薬剤処方物を送達するために使用できる与圧計量投薬吸入器の例としては、Schering Ploughから入手可能な、Proventil HFAの送達のために現在市販されているMDI機器が含まれるが、これに限定されない。
【0038】
本発明の薬剤処方物を含有する与圧計量投薬吸入器、または計量ポンプスプレーエアゾール送達機器のいずれかを利用するいくつかの実施形態において、送達機器は、2つの交換可能なアクチュエータを備えることができ、各々が薬剤の経口および経鼻吸入送達用である。従って、口腔および鼻腔両方のウイルス感染部位を処置するために薬剤を送達するための機構が提供される。経鼻送達のための典型的なアクチュエータは、約1ミリメートルのオリフィス直径を有する円形であり得る。経口送達において使用するアクチュエータは、マウスピース内に封入されてもよく、アクチュエータは、約0.5ミリメートルのオリフィス直径を一般に有する。
【0039】
本発明の薬剤処方物は、噴霧機器を用いて投与することもできる。典型的な市販の噴霧機器は、2つの方法のうちの1つによってガス流中の液滴の分散を生成する。ジェット噴霧器は、ベンチュリ作用によりチューブおよびオリフィスを通して液体を汲み上げるために圧縮給気を用い、その液体を流れているガス流中に浮遊される液滴として導入し、その後、流体は過度に大きい液滴を除去するために1つ以上の静止バッフルに衝突させられる。
【0040】
超音波噴霧器は、流体を高周波数発振器にかけるために電気駆動トランスデューサを用いて、移動ガス流中で飛沫同伴され得る液滴の雲を生成し、これらの機器は、懸濁物の送達にはあまり好ましくない。
【0041】
圧搾バルブ給気により液体を噴霧する手持ち式噴霧器も利用可能であるが、より広く用いられる装置は、電動式コンプレッサーを内蔵または圧縮ガスのシリンダに接続している。商業的に利用可能な種々の機器は、それらのそれぞれの呼吸可能な液滴の出力が同一からはほど遠いので、所与の薬剤についてのそれらの送達効率においてかなり異なるが、処方作成者が、各特定の機器に充填される薬剤組成物の正確な量を指定する場合、本発明の薬剤の送達のためにいずれを用いてもよい。
【0042】
本発明は、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID薬)、鬱血除去薬、抗コリン作用薬、薬学的に許容される亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、SYKキナーゼ類似物、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、「FLAPアンタゴニスト」(以下で説明)、酸化防止剤、およびエキナセア、ビタミンC、ビタミンE等の感冒の処置用に知られている化合物を含むが、これらに限定されない1つ以上の他の治療薬(以下でより詳細に説明されるが、一般的には処置される疾患状態に応じて選択される)を任意に含有する、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤の提供も包含する。本発明は、1つ以上の付加的な治療薬を任意に含むプレコナリルを含有する溶液を含む、少なくとも1つの薬剤を含むキット、そして1つ以上の付加的な治療薬を含有する完全に別個の薬剤およびプレコナリル含有薬剤を投与するための少なくとも1つの装置を任意に含む。付加的な薬剤がキット内に含まれる場合、装置は、プレコナリル含有薬剤および付加的な治療薬を含有する別個の薬剤の同時、逐次、または別個の投与に適合させられる。
【0043】
上記の付加的な治療薬は、例えば、1つ以上の付加的な治療薬をプレコナリル含有溶液中に共溶解させることにより、微粒子形態を有する1つ以上の付加的な治療薬を、プレコナリルを含有する溶液中で懸濁させることにより、プレコナリル含有溶液と混和性の溶媒に1つ以上の付加的な治療薬を溶解させて2つの溶液を混合し、混合を促進するために共溶媒または表面活性剤を任意に含有させることにより、プレコナリル含有溶液と非混和性の溶液に1つ以上の付加的な治療薬を溶解させて2つの溶液間でエマルジョンを形成することにより、ならびにこれらの手法のうちの2つ以上を用いてプレコナリルを含有する溶液および付加的な治療薬を含む薬剤を提供することにより、プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤中に組み入れることができる。プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤が、1つ以上の付加的な治療薬を含む少なくとも1つの別個の薬剤と共に提供される場合、これら2つ以上の薬剤は、別個の薬剤の同時、逐次、または別個の投与を可能にする形態でエンドユーザに供給され得る。さらに、プレコナリルを含有する溶液および付加的な治療薬ならびに1つ以上の他の賦形剤は、疾患を処置する方法において、組み合わせてまたは別個に投与され得る。例えば、それらは同時にまたは逐次的に投与することができ、すなわち、それらは、同時か、適切な順序での組成物の成分の逐次投与により、組み合わせて投与され得る。
【0044】
プレコナリルを含有する溶液および1つ以上の付加的な治療薬を含む薬剤の一例は、体腔に適用できる局所薬剤の準備における、本発明のプレコナリル例えば、グリセリド油中に溶解され、微結晶性セルロースを含むチキソトロピー性処方物と混合されたプレコナリルを含有する溶液、付加的な治療薬、例えば、塩酸オキシメタゾリン、ならびにアルカリ金属カルボキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドンポリマー、およびそれらの混合物から選ばれるポリマーの組み合わせである。1つのそのような薬剤の一例は、吸入投与を介した鼻腔への適用のための処方物であり、これは、適用後、鼻腔内で保持される。鼻粘膜への投与に適する水性チキソトロピー性組成物は知られており、例えば、米国特許第6,841,146号(‘146特許、2005年1月11日発行)、同第6,824,762号(‘762特許、2001年11月13日発行)、同第6,565,832号(‘832特許、2003年5月20日発行)、同第6,316,483号(‘484特許、2001年11月13日発行)、および同第5,897,858号(‘858特許、1999年4月27日発行)であり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
プレコナリル含有溶液と上記の水性チキソトロピー性処方物とのエマルジョンを含む薬剤に加え、本発明は、水性チキソトロピー性処方物およびその中に懸濁されたプレコナリル微粒子材料を含む、鼻粘膜への投与に適した薬剤を包含する。そのような組成物は、水性チキソトロピー性処方物中に共懸濁された1つ以上の付加的な微粒子状治療薬、例えば、フランカルボン酸モメタゾンをさらに含み得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,127,353号は、エアゾール投与に適した水性チキソトロピー性処方物中にフランカルボン酸モメタゾンを懸濁させるためのプロセスを記載している。意外にも、‘353特許に記載される技法および賦形剤を利用することにより、微粉化プレコナリル粉末を用いて、例えば、本明細書中に記載される計量投薬ポンプスプレー機器から懸濁物を取り出すことにより鼻粘膜に投与するのに適した、プレコナリルがその中に懸濁された水性チキソトロピー性処方物を含む薬剤を提供することができる。
【0046】
本発明者らは意外にも、鼻粘膜への投与に適した平均粒径および粒径分布を有する微粒子形態のプレコナリルが、投与後に鼻腔内に保持されることを可能にする「ノードリップ」特性を有する鼻腔への投与に適した水性チキソトロピー性処方物中に懸濁され得ることを発見した。「ノードリップ」特性を有する水性処方物の例としては、米国特許第6,841,146号(‘146特許)、同第6,824,762号(‘762特許)、同第6,565,832号(‘832特許)、同第6,316,483号(‘484特許)、および同第5,897,858号(‘858特許)の各々に記載されるものが含まれる。‘146特許、‘762特許、‘832特許、‘484特許、および‘858特許における処方物および処方化技法は、例えば、上記で説明されたタイプの計量投薬ポンプスプレーボトルを用いた鼻粘膜への投与に適する。従って、上記で参照された特許に記載される処方化技法および賦形剤を、微粉化プレコナリル粉末と共に用いることにより、プレコナリルを鼻粘膜に投与するためのエアゾールを提供するのに適しており、ひとたび投与されると、薬剤が粘膜と接触したまま残ることができるようにする「ノードリップ」特性を発揮する、本発明によるプレコナリル微粒子の水性懸濁物が提供される。
【0047】
本発明による水性チキソトロピー性キャリア中の適切なプレコナリル懸濁物は、他の治療薬を任意に含有する分散形態の微粒子状プレコナリルを、分散されたゲル化剤、例えば、‘858特許および‘483特許において教示されるように、ポリビニルピロリドンを含む混合物、あるいは‘146特許、‘762特許および‘832特許において教示されるように、任意にポリビニルピロリドンを伴う、微結晶性セルロースと少なくとも1つのアルカリ金属カルボキシアルキルセルロースとの混合物に添加することにより調製することができ、完成された組成物は、湿潤剤、例えば、ポリソルベート80、防腐剤、緩衝剤、保湿剤、香味剤、およびそれらのうちの2つ以上の混合物から選ばれる群うちの1つ以上も含有している。一般に、例えば、治療薬微粒子材料を湿潤剤、例えば、ポリソルベート80の水溶液中にブレンドして微粒子状治療薬の分散物を提供することにより各治療薬微粒子材料の液体懸濁物を別個に調製し、そのような治療薬分散物各々をゲル化剤分散物中に添加することが好ましい。あるいは、微粒子形態の治療薬のブレンド物を提供することができ、これから上記の手順に従って分散物が作られ、次にこれがゲル化剤分散物に添加される。そのような懸濁物の成分の各々およびそれらの懸濁物を調製するための技法に関する‘858特許、‘483特許、‘146特許、‘762特許、および‘832特許の各々の教示、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0048】
鼻粘膜への適用に適した粒子状材料は、10ミクロン未満の粒子が少なくとも80%、20ミクロン未満の粒子が90%、そして20ミクロンより大きい粒子が10%以下である。適切なプレコナリル粒子は、乾燥粉末を標準のミル微粉化にかけることにより提供することができる。
【0049】
本発明の薬剤が、プレコナリルを含有する溶液中の付加的な治療薬の懸濁(例えば、プレコナリル溶解グリセリド油溶媒を含むプレコナリルを含有する溶液中に懸濁された塩酸オキシメタゾリン)を含む実施形態について、懸濁物は、投与部位に適したサイズの粒子を含まなければならないことが認められるであろう。例えば、経口吸入用薬剤は、好ましくは最大寸法が約5ミクロン未満およびより好ましくは最大寸法が約2ミクロン未満の呼吸できるサイズならびに約1ミクロン〜約5ミクロンのサイズ分布を有する粒子を含む。認められるように、薬剤を投与するために用いられる送達機器、例えば、噴霧器、計量ポンプスプレー、および与圧計量投薬吸入器は、呼吸器系の所望領域上での堆積に適したサイズ範囲を有する粒子含有液滴を提供しなければならない。
【0050】
プレコナリルを単独で、または他の治療薬と組み合わせて含有する溶液を含む本発明の薬剤は、喘息、ライノウイルス、新生児敗血症、ALS、1型糖尿病、上気道および下気道のウイルス誘発性感染症、ウイルス性髄膜炎、ならびに慢性髄膜脳炎、新生児エンテロウイルス性疾患、ポリオおよび心筋炎のような生命にかかわる疾患を含むがそれらに限定されない疾患状態の処置において有用であろう。本発明の組成物は、上気道の疾患のある人におけるそのような疾患と関連した症状の悪化を防止するために予防的に使用されることもできる。
【0051】
本発明の組成物により処置され得るウイルス性疾患としては、感冒の処置および/または予防が含まれる。本発明の組成物は、上気道および下気道の疾患の悪化の防止にも利用され得る。上気道疾患に関しては、例えば、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、真菌誘発性副鼻腔炎、細菌性副鼻腔炎、ポリープ症等に関連した鬱血および鼻詰まりである。下気道疾患に関する例としては、下気道疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性喘息、肺気腫について救命薬物治療の必要を防止するための本発明の組成物の投与が含まれる。本発明の組成物は、鼻鬱血を含む季節性および通年性のアレルギー性鼻炎の鼻に関する症状(鼻詰まり/鬱血、鼻漏、鼻の痒み、くしゃみ)および鼻に関係しない症状(痒い/ひりひりする眼、流涙/涙眼、目の赤み、耳/口蓋の痒み)の処置および防止を必要としている患者における、そのような処置および/または防止についても有用であり得る。
【0052】
本発明の処方物は、ウイルス暴露後の処置にも用いられ得る。この組成物は、例えば、家族の一員、例えば、子供が風邪をひいた場合に予防的に用いること、あるいはウイルス性または細菌性病原体の発生率の高い状況にある人に投与することもできる。後者の例としては、病院、療養所、薬局等が含まれる。
【0053】
本発明の薬剤のいくつかは、プレコナリルを含有する溶液を含まない薬剤に比べて、経口および経鼻経路を介した吸入によるプレコナリルの投与および/または高用量負荷の利用可能性を含むがこれらに限定されない利点を有すると考えられる。本発明の薬剤のいくつかは、小児治療における準備および特定の薬剤による処置に適する疾患状態のための治療の準備におけるそれらの薬剤の局所投与による処置の円滑化における利点も提供すると考えられる。
【0054】
プレコナリル投与が効く疾患状態の処置において、本発明の薬剤は一般的に、病状、例えば、ウイルス感染症、またはより具体的にはウイルス誘発性呼吸器感染症を処置するのに十分な期間毎日、単回または分割用量で、約1mg〜約600mg、好ましくは約200mg〜約400mgの範囲の量のプレコナリルを提供する量で用いられる。
【0055】
本発明は、プレコナリルを含有する眼用組成物も包含する。眼用組成物については、本発明の組成物は様々な形態を取り得る。例えば、本発明の組成物は、水性ゲルまたは液体、あるいは軟膏であり得る。好ましい実施形態において、組成物は、油中水型エマルジョンであって、付加的な治療薬が水性液滴中に溶解または懸濁されており、これらの水性液滴が今度は、例えば、ペトロラタム、鉱油等を含むローションまたは流動性軟膏基剤中に懸濁されており、この組成物は、適切なプレコナリル溶解グリセリド油または適切なプレコナリル溶解HFC中に溶解されたプレコナリルを含んでいる。ミリスチン酸イソプロピルのような付加的な緩和成分も添加することができる。そのようなローションまたは軟膏は、結膜および角膜を薄い膜で覆い、この膜が有効成分を保持し、鼻涙管を通っての長期間の排液に備える。この膜は、角膜支質からの水分の蒸発損失に対するバリヤにもなる。
【0056】
プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤中に混和され得るまたは疾患状態の処置においてプレコナリルを含有する溶液を含む薬剤と共に別個の薬剤として投与することができる上記の付加的な治療薬の例を例示するが、網羅的に列挙するものではないリストが以下に続く。
【0057】
従って、本発明において用いられ得るコルチコステロイドの例としては、フランカルボン酸モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコート、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコート、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノールまたはトリアムシノロンが含まれるが、これらに限定されない。好ましいコルチコステロイドは、フルチカゾンおよびフランカルボン酸モメタゾンである。特に好ましいコルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾンである。
【0058】
フランカルボン酸モメタゾンは、コルチコステロイド応答性皮膚疾患の炎症性症状および/または掻痒性症状を処置するための局所的な皮膚用使用のために承認されたコルチコステロイドである。この化合物は、米国特許第4,472,393号、同第4,731,447号、同第4,873,335号、同第5,837,699号および同第6,127,353号に開示される手順に従って調製することができ、これらの米国特許はすべて、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。フランカルボン酸モメタゾンは、容易に生体利用できない局所的に活性なステロイドである。これは、Nasonex(登録商標)の名称の下で鼻腔内投与のためのスプレーとして市販されている。気道経路および肺疾患の処置のためのモメタゾンの使用は、米国特許第6,677,323号、同第6,677,322号、同第6,365,581号、同第6,187,765号、同第6,068,832号、同第6,057,307号、同第5,889,015号、同第5,837,699号および同第5,474,759号に開示されており、これらの米国特許はすべて、参照によりその全体が組み込まれる。
【0059】
典型的には、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎および/または上気道経路または下気道経路の炎症性疾患の処置、例えば、喘息の処置(ただしこれには限定されない)において、フランカルボン酸モメタゾンは、実質的に非全身的に利用可能な形態で、例えば、経鼻吸入剤として、単回または分割用量において、約10〜5000マイクログラム(「mcg」)/日、10〜4000mcg/日、10〜2000mcg/日、25〜1000mcg/日、25〜400mcg/日、25〜200mcg/日、25〜100mcg/日または25〜50mcg/日の範囲で投与される。
【0060】
さらなる例において、コルチコステロイドがフリチカゾンである場合、これは1日に1回、各鼻孔への各々50μgのプロピオン酸フルチカゾンの2回スプレーの用量で投与され得る。代わりに、これは、1日に1回、各鼻孔への各々50μgのプロピオン酸フルチカゾンの1回スプレーの用量で投与され得る。コルチコステロイドがトリアムシノロンである場合、これは、1日に1回、各鼻孔への2回スプレーとして1日あたり220μgのトリアムシノロンの用量で投与され得る。代わりに、これは、1日に1回、各鼻孔への1回スプレーとして1日あたり110μgの用量で投与され得る。コルチコステロイドがブデソニドである場合、ブデソニドの投与される用量は、1日に1回、鼻孔あたり32μgの1回スプレーとして投与され、1日あたり64μgであり得る。
【0061】
プレコナリルを含有する溶液を含む薬剤中に含まれ、またはこれと共に投与され得るH受容体アンタゴニスト(本明細書中では抗ヒスタミン薬とも呼ばれる)の例としては、プレコナリルは、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェミラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスロラタジン、ドキシラミン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、ジメンヒドリネート、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、トリプロリジンおよび前記のいずれかのうちの2つ以上の混合物が含まれるが、それらに限定されない。好ましいH受容体アンタゴニストは、デスロラタジン、ロラタジン、フェキソフェナジンおよびセテラジンである。1つ以上の抗ヒスタミン薬(薬剤中に含まれるか、同時、逐次または別個の投与のための形態で提供される)と共にプレコナリルを含有する溶液を含む薬剤は、本明細書中で述べられたように、経口的または局所的のいずれかで投与され得る。
【0062】
デスロラタジンは、デスカルボエトキシロラチジンおよびDCLとも呼ばれる。DCLは、非鎮静抗ヒスタミン薬であり、その専門的名称は、8−クロロ−6,11−ジヒドロ−11−(4−ピペリジリデン)−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2]ピリジンである。この化合物は、Quercia,et al.,Hosp.Formul.,28:137−53(1993)、米国特許第4,659,716号および国際公開第96/20708号に記載されている。鬱血の処置のためのデスロラタジンの使用は、米国特許第6,432,972号に開示されている。DCLは、Hヒスタミン受容体タンパク質のアンタゴニストである。H受容体は、従来の抗ヒスタミン薬によって拮抗される反応を媒介するものである。H受容体は、例えば、ヒトおよび他の哺乳動物の回腸、皮膚、および気管支平滑筋中に存在する。本発明の組成物の単位(すなわち、単回)投薬形態において使用され得るDCLの量は、約2.5〜約45mg、また、約2.5〜約20mg、また、約5〜約10mgの範囲であり得る。好ましい投薬量としては、2.5mg、5.0mg、10.0mgおよび20.0mgが含まれる。
【0063】
ロラタジンは、非鎮静抗ヒスタミン薬であり、その専門的名称は、11−(4−ピペリジリデン)−5H−ベンゾ−[5,6]−シクロヘプタ−[1,2−b]−ピリジンである。この化合物は、米国特許第4,282,233号に記載されている。ロラタジンは、徐放性で強力な三環式の抗ヒスタミン性薬物であり、周辺性H受容体活性の選択的アンタゴニストを有する。
【0064】
フェキソフェナジンは報告されているところによれば、非鎮静抗ヒスタミン薬であり、その専門的名称は、4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−ジフェニルメチル)−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α−ジメチル−ベンゼン酢酸である。好ましくは、薬学的に許容される塩は、塩酸フェキソフェナジンとしても知られる塩酸塩である。本発明の組成物の単位投薬形態において使用され得るフェキソフェナジンの量は、約40〜200mg、また、約60〜約180mgの範囲、また、約120mgであり得る。
【0065】
塩酸セチリジンは報告されているところによれば、H受容体アンタゴニストである。その専門的名称は、(±)−[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸ジヒドロクロライドである。塩酸セチリジンは、C2125ClN・2HClの実験式を有するラセミ化合物である。塩酸セチリジンは、白色の結晶性粉末であり、水溶性である。塩酸セチリジンは、商品名ZYRTEC(登録商標)の下でPfizer Inc.,New York,NYから入手可能である。本発明の組成物の単位投薬形態において使用され得るセチリジンの量は、約0〜40mg、また、約5〜約10mgの範囲であり得る。セチリジンの左旋性異性体も、本発明の処方物中でプレコナリルと共に組み合わされ得る。本発明において使用するためのセチリジンの別の形態は、セチリジン二硝酸塩である。
【0066】
プレコナリルの溶液を含む薬剤と組み合わせての使用に適する去痰薬の例としては、アンブロキソール、グアヤフェネシン、抱水テルピン、およびグアイアコールスルホン酸カリウムが含まれるが、それらに限定されない。アンブロキソールは、ブロムヘキシン代謝産物であり、トランス−4(2−アミノ−3,5−ジブロモベンジル,アミン)塩酸シクロヘキサンとして化学的に同定されており、これは、去痰薬または刺激性肺界面活性因子として20年以上にわたり、広範に使用されている。この化合物は、米国特許第3,536,712号に記載されている。グアヤフェネシンは去痰薬であり、その専門的名称は、3−(2−メトキシフェノキシ)−1,2−プロパンジオールである。この化合物は、米国特許第4,390,732号に記載されている。抱水テルピンは去痰薬であり、その専門的名称は、4−ヒドロキシ−α,α,4−トリメチルシクロヘキサン−メタノールである。グアイアコールスルホン酸カリウム(potassium guaicolsulfonate)は、去痰薬であり、その専門的名称は、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンゼンスルホン酸とモノ−カリウム4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゼンスルホネートとの混合物である。
【0067】
本発明の範囲内で使用するための適切な鬱血除去薬の例としては、プレコナリルと併用する経口鬱血除去薬および経鼻鬱血除去薬双方である。本発明において有用な経鼻鬱血除去薬の例としては、交感神経様作用アミン経鼻鬱血除去薬が含まれるが、これに限定されない。現在、米国において局所的使用のために承認されているものとしては、レブメタムフェタミン(1−デソキシエフェドリンとしても知られている)、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンおよび薬学的に許容されるその塩、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニレフリン、およびプロピルヘキセドリンが含まれるが、これらに限定されない。本発明において使用するための経口鬱血除去薬としては、フェニルプロパノールアミン、フェニレフリンおよびプソイドエフェドリンならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれるが、それらに限定されない。プソイドエフェドリンおよびその酸付加塩、例えば、HClまたはHSOの酸付加塩は、鼻腔鬱血を処置するために安全かつ効果的な交感神経作用性治療薬であると当業者によって認識されている。これらは通常、アレルギー性鼻炎と関連する鼻腔鬱血を処置するために抗ヒスタミン薬と同時に経口投与される。本発明において鼻腔鬱血除去薬として使用される場合、1日に1〜4回投薬される約120mgの硫酸プソイドエフェドリンに相当する量で偽エフェドリンを使用するのが好ましい。しかしながら、より少量の硫酸プソイドエフェドリンをプレコナリルと併用することができる。
【0068】
本発明において使用するための適切なヒスタミンH受容体アンタゴニストの例としては、チオペラミド、インプロミジン、ブリマミド、クロベンプロピット、イムペンタミン、ミフェチジン、S−ソプロミジン、R−ソプロミジン、3−(イミダゾール−4−イル)−プロポリグアニジン(SKF−91486)、3−(4−クロロフェニル)メチル−5−2−(1H−イミダゾール−4イル)エチル1,2,3−オキサジアゾール(GR−175737)、4−(1−シクロヘキシルペンタノイル−4−ピペリジル)1H−イミダゾール(GT−2016)、2−{2−4(5)−イミダゾリルエチルチオ}−5−ニトロピリジン(UCL−1199)クロザピン、SCH497079およびSCH539858が含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい化合物は、米国特許第6,720,328号および米国特許出願公開第20040097483A1号に開示および特許請求されており、両方ともSchering Corp.に譲渡され、両方とも参照により本明細書中に組み込まれる。他の好ましい化合物としてはさらに、米国特許第5,869,479号に開示されるようなHおよびH受容体アンンタゴニストの両方が含まれ、この米国特許も、Schering Corp.に譲渡され、参照により本明細書中に組み込まれる。他の化合物は、両方とも米国特許出願第5,352,707号に記載されているモルモット脳膜アッセイおよびモルモット神経回腸収縮アッセイを含む既知の方法によりH受容体における活性を決定するために容易に評価され得る。別の有用なアッセイは、ラットの脳膜を利用し、これは、West et al.,「Identification of Two H−Histamine Receptor Subtypes」、Molecular Pharmacology、Vol.38,ページ610−613(1990)に記載されている。
【0069】
本発明において使用するための抗コリン作用薬の例としては、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、メタンテリン、プロパンテリン、ジシクロミン、スコポラミン、メスコポラミン、テレンゼピン、ベンズトロピン、QNX−ヘミオキサレート、塩酸ヘキサヒドロ−シラ−ジフェニドールおよびピレンゼピンが含まれるが、これらに限定されない。これらの化合物を、当業者に公知の量で以下に記載されるように経口または経鼻のいずれかで投与するのが好ましい。
【0070】
本発明においてプレコナリルと併用するための抗生物質としては、マクロライド、セファロスポリン、および抗菌剤が含まれるが、これらに限定されない。適切な抗生物質の例としては、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジトロマイシン、ツラトロマイシン、セフロキシム、セフチブテン、セフチオフル、セファドロキシル、アモキシシリン、ペニシリン、クラブラン酸または他の適切なβ−ラクタマーゼ阻害薬とのアモキシシリン、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール;ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。投与され得る化合物の治療量は、当業者に公知である。
【0071】
本発明において使用するためのP2Y受容体アゴニストとしては、ジクアホソル四ナトリウムが含まれるが、これに限定されない。ジクアホソル四ナトリウムは、眼の表面上および瞼の内層の受容体を活性化して、水、塩、ムチンおよび脂質(天然の涙の重要成分)の遊離を刺激するP2Y受容体アゴニストである。ムチンは、特殊細胞で作られ、表面を滑らかにするために作用する。眼の中の脂質は、涙液膜の最外層を形成し過剰な涙液蒸発の防止を担う油性物質である。前臨床試験において、ジクアホソルは、報告されているところによれば、天然の涙成分の分泌を増加させる。ジクアホソルは、Inspireから入手可能である。P2Y受容体アゴニストは、慢性気管支炎および嚢胞性繊維症(CF)を含む粘膜繊毛クリアランス(MMC)が損なわれた種々の病状の処置のために開発されている化合物の新規な種類である。他の粘液溶解薬としては、N−アセチルシステインおよび内因性リガンド化合物UTPが含まれ得る。これらの化合物は、当業者に公知の量で以下に記載されるように経口または経鼻のいずれかで投与され得る。
【0072】
本発明と共に使用するための非ステロイド系抗炎症(「NSAID」)薬の例としては、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、テノキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナブメトン、ケトロラク、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、スリンダク、ジフルニサル、チアプロフェン酸、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、アセクロフェナク、ドロキシカム、オキサプロジン、フロクタフェニン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、フルルビプロフェン、トルメチンおよびフェンブフェンが含まれるが、これらに限定されない。これらの化合物は、当業者に公知の量で以下に記載されるように経口または経鼻のいずれかで投与され得る。
【0073】
本発明における使用に適するロイコトリエンDアンタゴニストおよび/または阻害薬の例としては、ジレウトン、ドセベノン、ピリポスト、ICI−D2318、MK−591、MK−886、ナトリウム1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エチニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)メチル)シクロプロパン−アセテート(本明細書中では便宜上、「化合物Lアセテート」とも呼ばれる);1−((((R)−(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エチニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)チオ)−メチル)シクロプロパン酢酸(本明細書中では便宜上、「化合物L酸」とも呼ばれる)、プランルカスト、ザフィルカスト、およびモンテルカストならびに化合物[2−[[2−(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸(本明細書中では便宜上、「化合物FK011」または「FR150011」とも呼ばれる)が含まれるが、これらに限定されない。モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルカスト、「化合物FK011」、「Lアセテート」、および「L酸」が好ましい。これらの化合物を含有する組成物は、当業者に公知の量で以下に記載されるように経口または経鼻のいずれかで投与され得る。
【0074】
モンテルカストは、システイニルロイコトリエンのための受容体を拮抗し得るロイコトリエンDアンタゴニストである。モンテルカストの専門的名称は、[R−(E)]−1−[[[1−[3−[2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル]フェニル]−3−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロピル]チオ]メチル]−シクロプロパン酢酸である。この化合物は、欧州特許第480,717号に記載されている。モンテルカストの好ましい薬学的に許容される塩は、モンテルカストナトリウムとしても知られる、モノナトリウム塩である。本発明の単位投薬形態において使用され得るモンテルカストの量は、約1〜100mg、また、約5〜約20mgの範囲、好ましくは、約10mgであり得る。
【0075】
化合物1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)メチルシクロプロパン酢酸は、国際公開第97/28797号および米国特許第5,270,324号に記載されるロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物の薬学的に許容される塩は、ナトリウム1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)−メチルシクロプロパンアセテートとしても知られるナトリウム塩である。
【0076】
化合物1−(((1(R)−3(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)−チオ)メチル)シクロプロパン酢酸は、国際公開第97/28797号および米国特許第5,472,964号に記載されるロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物の薬学的に許容される塩は、ナトリウム1−(((1(R)−3(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)−チオ)メチル)シクロプロパンアセテートとしても知られるナトリウム塩である。
【0077】
プランルカストは、国際公開第97/28797号および欧州特許第173,516号に記載されるロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物についての専門的名称は、N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]−p−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミドである。単位投薬形態において使用され得るプランルカストの量は、約100mg〜約700mg、好ましくは約112mg〜約675mg;また、約225mg〜約450mg;また、約225mg〜約300mgの範囲であり得る。
【0078】
ザフィルカストは、国際公開第97/28797号および欧州特許第199,543号に記載されるロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物についての専門的名称は、シクロペンチル−3−[2−メトキシ−4−[(o−トリルスルホニル)カルバモイル]ベンジル]−1−メチリンドール−5−カルバメートである。
【0079】
化合物[2−[[2−(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸は、ロイコトリエンアンタゴニストおよび/または阻害薬であり、その調製方法は、米国特許第5,296,495号および特開平08−325265号に記載されている。この化合物についての別の名称は、2−[[[2−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−チアゾリル]−5−ベンゾフラニル]オキシ]メチル]−ベンゼン酢酸である。この化合物についてのコード番号は、FK011またはFR150011である。
【0080】
本発明における使用が想定される薬学的に許容される亜鉛塩は、感冒に対して有益な効果を有することが報告されている水溶性塩である。典型的には、そのような調製物は、粘膜に対する刺激を引き起こす濃度以下の濃度の亜鉛イオンを含む水溶液または生理食塩水溶液を含む。一般に、そのような溶液中のイオン性亜鉛は実質的に、キレート化されていない亜鉛として存在し、自由イオン溶液の形態である。本発明において使用するための亜鉛イオン溶液は典型的には、約0.004〜約0.12%(w/vol)の濃度の実質的にキレート化されていない亜鉛イオンを含有する。好ましくは、実質的にキレート化されていない亜鉛イオン化合物は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、および酢酸亜鉛から成る群から選ばれる亜鉛の鉱酸塩を含む。これらの組成物は、当業者に公知の量で以下に記載されるように経口または経鼻のいずれかで投与され得る。
【0081】
SYKキナーゼ類似物は、新規な機構、すなわちブロッキングSYKキナーゼを介して働く分子のクラスである。Rigel Pharmaceuticals,Inc.から入手可能な化合物R112は、SYKキナーゼ類似物の一例である。報告されているところによれば、最近の研究によって、R112についてプラシーボに対し20%以上の相対的向上(プラシーボに対し9%の絶対的差異)、およびプラシーボに対し慢性鼻鬱血(例えば、鼻詰まり)に関連する症状のベースライン測定(薬物開始前)からR112について最高38%の向上が示された。
【0082】
本明細書中で用いられるように、用語「5−リポキシゲナーゼ阻害薬」(「5−LO阻害薬」とも呼ばれる)は、5−リポキシゲナーゼの酵素的作用を阻害、制限、遅延またはそうでなければ相互作用する薬剤、または化合物を含む。5−リポキシゲナーゼ阻害薬の例としては、ジレウトン、ドセベノン、ピリポスト等が含まれるが、それらに限定されない。本明細書中で用いられるように、関連する用語「5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質アンタゴニスト」または「FLAPアンタゴニスト」としては、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質の作用または活性を阻害、制限、遅延またはそうでなければ相互作用する任意の因子または化合物が含まれ、その例としては、「FLAPアンタゴニスト」MK−591およびMK−886が含まれるが、それらに限定されない。
【0083】
本発明によるプレコナリル含有溶液を含む薬剤に組み込まれ得るまたはこれと併用され得る上記の任意の治療薬に加え、そのような薬剤が、例えば、咽頭炎、感冒または口内糜爛、歯肉痛が含まれるがそれらに限定されない口腔咽頭不快を軽減するために投与される場合、プレコナリルを含有する溶液を含む薬物は、フェノール、ヘキシルレゾルシノール、サリチルアルコール、ベンジルアルコール、ジクロニン、ジブカイン、ベンゾカイン、ブチカイン、塩化セチルピリジニウム、ジペリドン、チョウジ油、メントール、ショウノウ、オイゲノールおよび他のような局所麻酔薬を含み得る。皮膚への塗布を意図される本発明の薬剤は同様に、皮膚の不快を軽減するために、リドカイン、ベンゾカイン、テトラカイン、ジブカイン、プラモキシン、ジフェンヒドラミン、およびベンジルアルコールが含まれるがそれらに限定されない治療薬を含む。
【0084】
上述のように、いくつかの実施形態において、プレコナリルを含有する溶液を含む本発明の薬剤は、液体の組み入れに適した任意の他の投薬形態にも組み入れられ得る。例えば、理解されるように、プレコナリルを含有する溶液を含む本発明の薬剤は、例えば、小児科用途のシリンジ分散型液体およびプレコナリル含有溶液のゼラチンカプセル中への組み込みのような、ただしそれらに限定されない、摂取による投与に適した形態で提供され得る。本明細書中で述べられるようなプレコナリルを含有する溶液を含む薬剤を、その薬剤が実質的に非系統的に生体利用可能になるやり方で投与することが好ましい。
【0085】
経口投薬形態調製物については、薬学的に許容されるキャリア(希釈剤、賦形剤またはキャリア材料を含む)も組成物中に存在する。このキャリアは、意図される投与形態、すなわち、経口錠剤、カプセル剤(固体充填、半固体充填または液体充填)、構成用粉剤、経口ゲル、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁液等に関して適切に選択され、従来の製薬実務に適合する。例えば、錠剤またはカプセル形態の経口投与については、活性薬物成分は、ラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、エチルアルコール(液体形態)等のような任意の経口無毒性の薬学的に受容可能な不活性キャリアと組み合わせることができる。さらに、所望または必要とされる場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、殺菌剤および着色剤も、混合物に組み込まれ得る。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールのような天然ゴムおよび合成ゴムならびにワックスが含まれる。これらの投薬形態における使用のために言及され得る滑沢剤としては、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等がある。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、グアーガム等が含まれる。殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウム等が含まれる。甘味料および香味剤ならびに防腐剤も、適宜含まれ得る。
【実施例】
【0086】
以下の非限定的例により本発明を説明する。
【0087】
特に言及されない限り、すべての材料はAPIまたはUSPグレードであった。
【0088】
実施例1 1,1,1,2,3,3,3テトラフルオロエタン中に溶解されたプレコナリルを含有するMDIディスペンサ
標準のアルミニウム製10mlエアゾール缶(ソース)中に、Viropharmaから入手したプレコナリルAPIグレード約150mgを入れた。50マイクロリットル投薬バルブを、Pamasol Autoguard Crimper(登録商標)を用いて缶にかしめた。Solvay Fluorから入手した1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロエタン(HFA227)10gを缶に充填した。
【0089】
プレコナリル150mgおよびHFC227 10gを含む追加の10ml缶2本を同じ方法を用いて用意した。これらの缶を、室温(約25℃)で安定性について評価した。当初、缶の各々は、缶に充填された料および投薬バルブによって吐出された溶液の容積(約50マイクロリットル)に基づいて予想されるプレコナリルの量の約95%を吐出した。表1に示されるように、1ヶ月の逆さ保存後、各缶は、当初吐出されたプレコナリルの同じ量の少なくとも98%を吐出することが見出された。40℃、75%RHでの3ヶ月の逆さ保存後、2本の缶が、当初吐出されたプレコナリルの同じ量の少なくとも98%を吐出し、1本の缶が当初吐出されたプレコナリルの同じ量の少なくとも96%を吐出することが見出された。このことは、本発明のプレコナリルHFA溶液が安定であることを実証している。
【0090】
表1:プレコナリル溶液MDI安定性結果
【0091】
【表1】

プレコナリル含有MDI缶は、表2、3および4に示されるように、40℃、75%RHで6ヶ月保存された後、粒径分配と内容物均質性について評価された。缶は、試験前に缶を4回作動させることにより準備された。内容物均質性試験は、準備後の最初の2回の作動によって実施される。結果は、良好な粒径分配および内容物均質性を示した。
【0092】
表2:プレコナリル溶液エアゾールMDIについての粒径分布
時点:6ヶ月
条件:40℃、75%RH
方法:アンダーセン・インパクション(Andersen Impaction)
プレコナリル理論量:1.056mg/作動
【0093】
【表2】

表3:プレコナリル溶液エアゾールMDIについての粒径分布
薬剤回収率(%)
時点:6ヶ月
条件:40℃、75%RH
方法:アンダーセン・インパクション
プレコナリル理論量:1.056mg/作動
【0094】
【表3】

表4:プレコナリル溶液エアゾールMDIについての内容物均質性データ
【0095】
【表4】

実施例2 プレコナリルを含有する鼻スプレー組成物
プレコナリルを含有する鼻スプレー組成物を、以下の手順に従って調製した。容器中に、精製水5kgを入れた。撹拌しつつ、Avicel RC−591(登録商標)(微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースとの混合物。FMCから入手。受け入れ時の状態で使用)200gを水中に分散させ、続いてグリセリン200gを添加した。精製水400gが入った別の容器に、クエン酸(USP商業品。受け入れ時の状態で使用)20gおよびクエン酸ナトリウム(USP商業品。受け入れ時の状態で使用)28gを溶解させ、クエン酸塩緩衝液を形成した。クエン酸塩緩衝液を、調製されたAvicel/グリセリン分散物に添加した。
【0096】
精製水2.5kgが入った別の容器に、エチレンジアミン四酢酸酸二ナトリウム(二ナトリウムEDTA、USPグレード、商業品、受け入れ時の状態で使用)4.0gを撹拌しつつ溶解させた。別の容器で、ポリソルベート80(ソルビトールおよびその無水物のオレイン酸エステル1モルと酸化エチレン20モルとの共重合生成物を含む商業品の商標、受け入れ時の状態で使用)1.0gを、精製水200g中に撹拌しつつ溶解させた。このポリソルベート80溶液を、ナトリウムEDTA溶液に添加した。撹拌を継続しつつ、ベンジルアルコール25gおよびプレコナリル(Viropharmaから入手したAPI微粉化粉末)150gを、ポリソルベート80/ナトリウムEDTA溶液中に分散させた。ポリソルベート80/プレコナリル分散物を、撹拌を継続しつつAvicel/グリセリン/緩衝混合物に添加した。撹拌を継続しつつ、塩化ベンザルコニウム2gに相当する量の塩化ベンザルコニウム50%溶液をポリソルベート80/プレコナリル分散物中に溶解させた。この混合物に、精製水を加えて10kgにした。この混合物により、プレコナリル15mg/g、ポリソルベート80 0.1mg/gおよびAvicel RC−591 20mg/g、グリセリン20mg/g、クエン酸2.0mg/g、クエン酸ナトリウム2.8mg/g、塩化ベンザルコニウム0.2mg/g、ベンジルアルコール2.5mg/gおよびEDTA0.4mg/gを含有する処方物が提供される。
【0097】
同じ手順を用い、鼻スプレーとしての使用に適した組成物を、以下の表Iに示される量の成分を用いて調製した。前に特定されていない成分は、USPまたは医薬グレードであり、可能であれば、International Cosmetic Ingredeient Dictionary and Handbook,7th edition、J.A.Wenninger et.al.Eds.,The Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association,Washington,D.C.,U.S.A.1997に示されるような採用名により一般に特定される。
【0098】
【表5】

実施例1A〜1Iの組成物の各々のアリコートを、Valois VP3/93クリンプオンポンプを備えた計量投薬ポンプスプレーディスペンサに入れたところ、それらの組成物は、鼻スプレー組成物としての使用に適することが見出された。これらの組成物の各々を、高温(40℃以上)安定性試験にかけたところ、少なくとも3ヶ月間安定であることが見出された。
【0099】
実施例3 プレコナリルを含有するチキソトロピー性鼻スプレー組成物
本発明によるプレコナリル含有チキソトロピー性鼻スプレー組成物を、以下の手順により調製する。容器に、精製水725gを入れる。撹拌しつつ、Avicel RC−591 30gを水中に分散させ、この分散物に高剪断混合を適用してAvicelが確実に分散されるようにする。水約85gが入っている別の容器中で、プロビドン30gを溶解させ、清澄な溶液が得られるまで撹拌する。このプロビドン溶液に、PEG−32(Union CarbideのCarbowaxTM PEG1450)50gを添加し、清澄な溶液が得られるまで撹拌する。このプロビドン/PEG−32溶液を、撹拌を続けつつ、Avicel分散物に添加する。精製水約12mlを入れた別の容器に、二ナトリウムEDTA0.3gを撹拌しつつ添加する。二ナトリウムEDTAが溶解したら、第二リン酸ナトリウム0.95gおよび第一リン酸ナトリウム5.39gをこのEDTA溶液に添加してリン酸塩緩衝液を形成する。このリン酸塩緩衝液を、撹拌を続けつつ、Avicel分散物に添加する。別の容器で、ポリソルベート80 1.2gを、撹拌しつつ精製水400mlに溶解させる。ポリソルベート80溶液中に、プレコナリル微細粉末150gを高剪断撹拌により分散させる。ポリソルベート80/プレコナリル分散物を、撹拌を続けつつ、Avicel分散物に添加する。プレコナリル/Avicel分散物に、塩化ベンザルコニウム2.5gおよびベンジルアルコール3.0gを添加し、溶解するまで撹拌する。撹拌を続けつつ、この混合物に精製水を加えて1kgの混合重量とする。次にこの混合物を、高剪断混合にかけて、どのような凝集粒子も確実に再分散拡散されるようにする。
【0100】
この混合物をValois VP3/93クリンプオンポンプを備えた計量投薬ポンプスプレーディスペンサに入れた場合、この混合物は、鼻粘膜へのプレコナリルの供給における鼻スプレーとしての使用に適するはずである。この混合物は、鼻粘膜に投与された場合に、「ノードリップ」特性を有することが見出されると考えられる。
【0101】
実施例4 Miglyol 812(登録商標)を含むプレコナリル溶液を含有する薬剤
容器中に、Miglyol 812(登録商標)(Sasol North America Inc.製の約50wt%〜約65wt%のCおよび約30wt%〜約45wt%のC10を含む飽和脂肪酸混合物から作られるトリグリセリド、USPグレード、受け入れ時の状態で使用)を入れる。このトリグリセリド油中に、微粉末化プレコナリル(APIグレード、Viropharma)4gを加え、プレコナリルが分散されて清澄な溶液になるまで撹拌する。この溶液を計量投薬ポンプスプレーボトルに入れた場合、この溶液は、鼻粘膜へのプレコナリルの吸入投与に適したエアゾールとして吐出され得ると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を含有する溶液を含む薬剤であって、該溶液を含む少なくとも1つの溶媒が、プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボンである、薬剤。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤であって、前記プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパンおよび1,1,1,2テトラフルオロエタンから成る群のうちの少なくとも1つである、薬剤。
【請求項3】
請求項2に記載の薬剤であって、前記プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパンである、薬剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤であって、フランカルボン酸モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシカート、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコート、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロンから成る群から選ばれる少なくとも1つのコルチコステロイドをさらに含む、薬剤。
【請求項5】
請求項4に記載の薬剤であって、前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾンである、薬剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤であって、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、レブメタムフェタミン、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、オキシメタゾリンまたは薬学的に許容されるその塩、塩酸フェニレフリン、プロピルヘキセドリン、および塩酸キシロメタゾリンからから成る群から選ばれた少なくとも1つの鬱血除去薬をさらに含む、薬剤。
【請求項7】
請求項6に記載の薬剤であって、前記鬱血除去薬が、オキシメタゾリンまたは塩酸オキシメタゾリンである、薬剤。
【請求項8】
請求項7に記載の薬剤であって、オキシメタゾリンまたは薬学的に許容されるその塩が、前記プレコナリルを含有する溶液中の懸濁物として存在する、薬剤。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤であって、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド系抗炎症薬、鬱血除去薬、抗コリン作用薬、薬学的に許容される亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類似物、エキナセア、ビタミンC、およびビタミンEから成る群のうちの1つ以上をさらに含む、薬剤。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の薬剤であって、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェミラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスロラタジン、ドキシラミン、ジフェンヒドラミン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、トリプロリジン、およびそれらのうちの2つ以上の混合物から成る群から選ばれる少なくとも1つの抗ヒスタミン薬をさらに含む、薬剤。
【請求項11】
請求項10に記載の薬剤であって、前記抗ヒスタミン薬が、デスロラタジンおよびロラタジンから選ばれる、薬剤。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の薬剤であって、アンブロキソール、グアヤフェネシン、抱水テルピン、グアイアコールスルホン酸カリウム、およびカルボシステインから成る群から選ばれる少なくとも1つの去痰薬をさらに含む、薬剤。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載の薬剤であって、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、テノキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナブメトン、ケトロラク、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、スリンダク、ジフルニサル、チアプロフェン酸、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、アセクロフェナク、ドロキシカム、オキサプロジン、フロクタフェニン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、フルルビプロフェン、トルメチン、およびフェンブフェンから成る群から選ばれる少なくとも1つの非ステロイド系抗炎症薬をさらに含む、薬剤。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかに記載の薬剤であって、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、メタンテリン、プロパンテリン、ジシクロミン、スコポラミン、メチルスコポラミン、テレンゼピン、ベンズトロピン、QNX−ヘミオキサレート、塩酸ヘキサヒドロ−シラジフェニドール、およびピレンゼピンから成る群から選ばれる少なくとも1つの抗コリン作用薬をさらに含む、薬剤。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載の薬剤であって、抗菌剤、マクロライドおよびセファロスポリンから成る群から選ばれる少なくとも1つの抗生物質をさらに含む、薬剤。
【請求項16】
請求項15に記載の薬剤であって、前記抗生物質が、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、フロフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジトロマイシン、ツラトロマイシン、セフロキシム、セフチブテン、セフチオフル、セファドロキシル、アモキシシリン、ペニシリン、β−ラクタマーゼ阻害薬と組み合わされたアモキシシリン、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウムから成る群から選ばれる、薬剤。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の薬剤を含む、エアゾール吸入投薬形態。
【請求項18】
請求項17に記載のエアゾール投薬形態であって、経鼻吸入のためのエアゾールを提供する機器を含む、エアゾール投薬形態。
【請求項19】
請求項17に記載のエアゾール投薬形態であって、経口吸入のためのエアゾールを提供する機器を含む、エアゾール投薬形態。
【請求項20】
請求項1〜3のいずれかに記載の第1の薬剤を含むエアゾール吸入投薬形態であって、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド系抗炎症薬、鬱血除去薬、抗コリン作用薬、薬学的に許容される亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類似物、eエキナセア、ビタミンC、ビタミンEおよびそれらのうちの2つ以上の組み合わせから成る群のうちの少なくとも1つを含有する溶液または懸濁物を含む少なくとも1つの付加的な薬剤の同時、逐次、または別個の吸入投与のために該第1の薬剤が梱包される、エアゾール吸入投薬形態。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれかに記載の薬剤の有効量の投与を含む、上気道または下気道の、ウイルス性、炎症性、あるいは閉塞性の気道疾患の処置方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記投与が、エアゾール投薬形態を用いて実行される、方法。
【請求項23】
請求項1〜16のいずれかに記載の薬剤の少なくとも1つを、該薬剤を投与するための少なくとも1つの吸入機器と共に含む、薬剤キット。
【請求項24】
請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤を含むエアゾール投薬形態を提供する方法であって、選択された計量投薬バルブを備えかつ秤量されたプレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を含むエアゾール缶の中に、プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩の所望の溶液濃度をもたらすように計算された重量のプレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボンを充填するステップを含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2テトラフルオロエタンおよびそれらの混合物から選ばれる、方法。
【請求項26】
プレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を吐出するエアゾール投薬形態を提供するための方法であって、選択された計量投薬バルブを備える缶の中に、プレコナリル溶解ハイドロフルオロカーボン中に溶解されたプレコナリルまたは薬学的に許容されるその塩を含む秤量された溶液を充填するステップと、任意にそこに噴射剤を添加するステップとを含み、該エアゾール投薬形態は、該計量バルブの作動により提供される、方法。
【請求項27】
請求項26の方法であって、前記溶媒が、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2テトラフルオロエタンおよびそれらの混合物から選ばれる、方法。

【公表番号】特表2009−526062(P2009−526062A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554321(P2008−554321)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/003306
【国際公開番号】WO2007/095039
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】