説明

薬物性肝障害抑制組成物

【課題】薬物性肝障害抑制作用を有する組成物を提供し、ひいては該組成物を含有する飲食品又は医薬品または飼料を提供することにある。
【解決手段】ゴーヤ種子の成分を含有することを特徴とする薬物性肝障害抑制組成物、及び該組成物を含有する飲食品または医薬品または飼料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴーヤ種子の成分を含有することを特徴とした薬物性肝障害抑制組成物に関する。
本発明における薬物性肝障害抑制組成物とは、薬物性肝障害の予防、薬物性肝障害の進行・進展の防止、及び/または薬物性肝障害患者における肝臓の機能の改善のため、更には肝臓の機能を正常に維持するために、ヒト若しくはヒト以外の動物に与えられる医薬品(動物用治療薬も含む)用、飲食品用、及び飼料用の組成物を意味する。
【背景技術】
【0002】
薬物性肝障害は、薬物療法を継続する過程において発現する副作用である。薬剤使用の頻度や、薬剤の種類が増加する近年、本疾患は増加してきている。薬物性肝障害はアレルギー性と中毒性の2つの発生機序に分けられる。肝機能改善剤としては、肝保護作用、利胆作用、抗酸化作用を有する薬剤が考えられ、ウルソデオキシコール酸、アミノエチルスルホ酸などが使用されているが、臨床上、薬効や副作用の点において十分に満足できる薬剤は未だなく、効果が高く副作用の少ない肝機能改善剤が望まれている。また、肝機能を改善する食品としては、ウコン、シリマリンなどが使用されている。
【0003】
ゴーヤ(学名 Momordica charantia L.)は別名ニガウリともよばれるウリ科の植物で、インドを中心とした熱帯アジア原産であり、日本では沖縄県や南九州で多く栽培されている。ゴーヤ通常可食部(果実)には細胞傷害防御・修復作用、アルコール脱水素酵素促進作用、発癌予防作用、血糖値低下作用、脂質代謝改善作用、育毛作用、美白作用、消臭作用があるといわれている。しかしゴーヤ種子において肝機能改善に有効であるという報告は全くない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は肝機能改善作用を有する組成物を提供し、ひいては該組成物を含有する飲食品又は医薬品または飼料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、ゴーヤ種子が四塩化炭素誘導薬物性肝障害モデルマウスにおいて薬物性肝障害を抑制することを見出した。すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
(1)ゴーヤ種子の成分を含有することを特徴とする薬物性肝障害抑制組成物
(2)上記の成分がゴーヤ種子のメタノール抽出物である(1)に記載の薬物性肝障害抑制組成物
(3)上記(1)または(2)に記載の薬物性肝障害抑制組成物を含む飲食品または医薬品または飼料
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ゴーヤ種子の成分を含有することを特徴とする薬物性肝障害抑制組成物、及び該組成物を含有する飲食品または医薬品または飼料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関わる「ゴーヤ種子」は(英名 Bitter melon 、学名 Momordica charantia)をさす。
【0008】
本発明に関わるゴーヤ種子は生のまま使用することができ、乾燥もしくは乾燥後粉砕した粉末としても使用することができる。また、熱水抽出、エタノール、または酢酸エチル等有機溶媒で抽出した抽出物としても使用できる。
【0009】
本発明に関わる薬物性肝障害抑制剤を製造するには、上記の方法で製造したゴーヤ種子粉末もしくは抽出物を用いることができ、常法に従って公知の医薬用無毒性担保と組み合わせて製剤化すればよい。本発明に関わる抗骨粗鬆症剤は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば、経口投与剤としては錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤等が挙げられ、非経口投与剤としては、注射剤のほか、坐剤、噴射剤、経皮吸収剤等が挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調整することができる。上記の医薬用無毒性担保としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて安定化剤、滑剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加することができる。本発明に関わる抗骨粗鬆症剤においてモモタマナ粉末もしくは抽出物の投与量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与スケジュール、製剤形態などにより、適宜選択・決定されるが、例えば、一日当たり0.01〜10g/体重程度とされ、一日数回に分けて投与してもよい。
動物においても同様に製剤化すればよい。動物の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与スケジュール、製剤形態などにより、適宜選択・決定されるが、例えば、一日あたり0.01〜10g/kg体重程度とされ、一日数回に分けて投与してもよい。
【0010】
また、本発明に関わるゴーヤ種子は、食経験も豊富なことから安全性が高いと考えられ、薬物性肝障害抑制作用を目的として、機能性食品としても摂取することができる。本発明に関わるゴーヤ種子の成分を含有することを特徴とする機能性食品は、特定保健用食品、栄養機能性食品、又は健康食品として位置づけることができる。機能性食品としては、例えば、ゴーヤ種子の抽出物に適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることができる。この機能性食品はそのまま食用に供してもよく、また種々の食品、例えばハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、パン、バター、粉乳、菓子などに添加して使用したり、水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用したりしてもよい。かかる食品の形態における本発明のゴーヤ種子の成分摂取量は、対象の年齢、体重、症状、摂取スケジュール、製剤形態などにより、適宜選択・決定されるが、例えば、一日当たり0.01〜10g/kg体重程度とされる。
動物においても同様に、例えばゴーヤ種子の抽出物に適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることができる。また、飼料およびペットフードに添加して使用したり、水などの飲料水に添加してもよい。かかる食品の形態における本発明のゴーヤ種子の成分摂取量は、動物の年齢、体重、症状、摂取スケジュール、製剤形態などにより、適宜選択・決定されるが、例えば、一日当たり0.01〜10g/kg体重程度とされる。
【実施例】
【0011】
以下に本発明をより詳細に説明する為に実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0012】
実施例 ゴーヤ種子の薬物性肝障害抑制効果
四塩化炭素は、ヒト薬物性肝障害によく似た症状が得られることから急性肝障害モデルとして汎用されている。そこでゴーヤ種子の薬物性肝障害に対する効果を調べるために以下の実験を行った。
7週齢のddY系雌性マウスを実験動物として用い、24時間絶食後0.6%四塩化炭素を強制経口投与して肝障害を誘導した。ゴーヤ種子をミルで破砕後メタノール抽出したエキス1000mg/kg体重は、0.6%四塩化炭素投与の1時間前と24時間前に強制経口投与した。0.6%四塩化炭素投与後、20時間後に尾採血を行い肝障害のマーカーである血清AST・ALT活性値の測定を行った。コントロール群はゴーヤ種子抽出物の代わりに蒸留水を投与した。コントロール群と比較してサンプル併用群において血清AST・ALT活性の有意な抑制がみられた場合に、肝機能改善作用があると判断される。表1に各群の血清AST活性値±標準誤差(IU/L)と血清ALT活性値±標準誤差(IU/L)を示した。各群の四塩化炭素投与群に対する有意差の検定は、Student’st−testにより行った。四塩化炭素投与群と比較して危険率0.5%で有意差があり、表1中において###で示す。
【0013】
【表1】

【0014】
この結果から、ゴーヤ種子メタノール抽出物が薬物性肝障害に有効であることが判明した。
【産業上の利用の可能性】
【0015】
本発明により、ゴーヤ種子の成分を含有することを特徴とする薬物性肝障害抑制効果組成物及び該組成物を含有する飲食品または医薬品または飼料を提供することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴーヤ種子の成分を含有することを特徴とする薬物性肝障害抑制組成物。
【請求項2】
上記の成分がゴーヤ種子メタノール抽出物である請求請1に記載の薬物性肝障害抑制組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬物性肝障害抑制組成物を含有する飲食物又は医薬品又は飼料。

【公開番号】特開2009−269895(P2009−269895A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140140(P2008−140140)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(300076688)有限会社湘南予防医科学研究所 (54)
【Fターム(参考)】