説明

薬物送達デバイス

本発明は、ハウジング(12、14)、投薬しようとする医薬品を含有するカートリッジ(17)のピストン(20)に作用する軸方向に変位可能なピストンロッド(88)を含んでなる駆動機構(16)を含んでなり、ハウジング(12)が、もっぱら需要に応じてカートリッジ(17)の遠位端面(24)を貫入するように適合される穿孔エレメント(29)を支持するように適合される、医薬品の用量を投薬するための薬剤送達デバイスに関する。さらにまた、薬物送達デバイスは、カートリッジ(17)をハウジング(12)に対して軸方向において、近位停止位置から遠位停止位置まで変位させる手段(17)を含んでなり、遠位停止位置において、カートリッジ(17)が穿孔エレメント(29)に連結し、そして、近位停止位置において、カートリッジ(17)のインサイドボリュームおよび穿孔エレメント(29)間の流体移送が中断されるようにカートリッジ(17)が穿孔エレメント(29)から連結を外される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の1回分または多数回分の予め設定された用量が投与され得る、ペンタイプ・インジェクタのような薬物送達デバイス、このような薬物送達デバイス内に着脱自在に配置されるカートリッジ、そして、対応する駆動機構に関する。特に、本発明は、医薬品の自己投与のために設計されているこのような薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液体医薬品の必要な用量の複数回分の投与を可能にし、さらにこのような液体薬剤の患者への投与を提供する薬物送達デバイスは、それ自体従来技術では周知である。一般に、このようなデバイスは、普通の注射器とほぼ同じ目的を有する。
【0003】
この種のペンタイプ・インジェクタは、多数のユーザ特定要件を満たさなければならない。たとえば、糖尿病に罹った人々の場合には、多くのユーザは、身体的に虚弱となり、視力を損なっていることもある。したがって、これらのデバイスは、構造が頑丈であり、しかも、部品の取り扱いに関してもユーザの操作についての理解に関しても使いやすくなければならない。さらに、用量設定が容易で明確でなければならない。デバイスが再使用可能ではなくて使い捨てである場合、製造コストが安く、廃棄し易くなければならない。これらの要件を満たすためには、デバイスを組み立てるのに必要な部品点数およびデバイスを作る材料の種類の数を最低限に抑えなければならない。
【0004】
薬物送達デバイスによって投薬されるべき医薬品は、代表的には、薬物送達デバイスの駆動機構のピストンロッドと作動可能に係合するようになっている摺動可能配列のピストンを含んでなるバイアル、アンプルまたはカープルのような使い捨てまたは交換可能カートリッジ内に備えられる。カートリッジのピストンに遠位方向にスラストを加えることによって、液体薬剤の所定用量が、投薬され、カートリッジから排出され得る。
【0005】
代表的には薬物送達デバイス、特にペンタイプ・インジェクタと共に用いられるようなカートリッジは、代表的には、セプタムなどによってシールされる。このようなセプタムは、普通、気密シールを提供するが、注射針またはカニューレのような穿孔エレメントによって貫き通すことのできるゴム・ストッパとして設計される。
【0006】
代表的には、このような薬物送達デバイスは、このような可撓性のある変形可能なセプタムで密封されるカートリッジを受けるようになっているカートリッジ・ホルダを含んでなる。カートリッジ・ホルダは、その下方遠位端部分のところで、たとえば、ニードル・マウントとねじ係合させられ得る。該ニードル・マウントまたはニードル・ホルダは、代表的には、ニードル・ホルダおよびカートリッジ・ホルダを解放自在に相互連結するための、対応してねじを切った円筒形部分を含んでなる。
【0007】
ニードル・ホルダの組み立て中、ニードルの近位位置先端は、カートリッジのセプタムに貫入する。こうして、用量投薬のための流体移送接続が確立され得る。
【0008】
特に、カートリッジ内に収容された医薬流体の用量を投薬する間、それぞれの流体圧が強められる。用量投薬手順中、ピストンが軸方向圧迫作用を受けるか、および/または、セプタムが軸方向に拡張する可能性がある。弾力性により、セプタムおよび/またはピストンは、用量投薬中に弾性エネルギを保存し得る。用量投薬手順の完了直後、セプタムおよび/またはピストンは、代表的には、カートリッジ内部の流体圧が低下するために、その初期形態まで弛緩する。ピストンがピストンロッドの遠位配置ベアリングとの当接位置にあるので、ピストンの弛緩はピストンの遠位方向への膨張を必然的に生じさせる。同様に、セプタムの拡張した部分がカートリッジ内に引っ込む。
【0009】
両弛緩現象は、次いで、無視できない流体圧の投薬後の増強の原因となる可能性がある。その結果、或る量の医薬流体がさらにカートリッジから排出される可能性がある。この排出された医薬流体は、代表的には、注射針の遠位先端のところでの液滴形成の形で観察され得、ニードル・アセンブリがカートリッジ・ホルダと連結し続けるかぎり、カートリッジの内部との常時流体移送接触を続ける。
【0010】
加えて、このような液滴形成は、カートリッジ・ホルダへのニードル・マウントの組み込み中、特に、カートリッジの内部圧力が周囲圧力より大きいときに生じる可能性がある。インスリンまたはエリトロポイエチン(EPO)のようないくつかの分配可能な医薬品は冷凍保存されなければならないので、たとえば、カートリッジまたは薬物送達デバイスが少なくともしばらくの間非冷凍環境に置かれた場合、無視できない圧力増大が熱膨張により生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、好ましくはニードル組み立て中ならびに用量投薬手順の完了後の両方において、液滴生成傾向が低い薬物送達デバイスを提供することが本発明の一目的である。本発明は、さらに、組み立て容易であり、薬物送達デバイス用の種々の駆動機構に普遍的に適用され得る液滴防止用の信頼性高く、経済効率の良い機構に焦点を当てている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、医薬品の用量を投薬するための薬物送達デバイスを提供する。この薬物送達デバイスは、ハウジング、代表的には、近位に位置する主ハウジング部分を有する2要素ハウジング、および遠位に位置するカートリッジ・ホルダ部分を含んでなり、主ハウジング部分が、実質的に、薬物送達デバイスの駆動機構を受けるようになっており、カートリッジ・ホルダ部分が、薬物送達デバイス、好ましくは注入によって、投薬されるようになっている医薬品を収容するカートリッジを受けて、保持するようになっている。
【0013】
薬物送達デバイスの駆動機構は、カートリッジのピストンと作動可能に係合し、このピストンに少なくとも一方向に作用する軸方向変位可能なピストンロッドを含んでなる。カートリッジ自体は、好ましくは、使い捨て可能および交換可能な物品として設計される。全般的に、カートリッジは、薬物送達デバイスの構成要素ではない。薬物送達デバイス全体が使い捨て可能なデバイスとして構成されているような実施形態でのみ、カートリッジは、薬物送達デバイスの一体化された構成要素として考えられ得る。
【0014】
カートリッジは、代表的には、バイアル、カープルまたはアンプルとして設計される。カートリッジは、明確な方法で、代表的には複数回分の用量として投薬されるようになっている医薬品で満たされる、または、満たされるようになっている。
【0015】
ヘパリンまたはインスリンのような液体薬剤を収容するカートリッジは、その遠位端面のところで、代表的には可撓性のある変形可能なセプタムによって密封される。このセプタムは、注射針またはカニューレのような穿孔エレメントで刺し貫くことができる。ハウジング、特にカートリッジ・ホルダ部分の遠位端部分は、少なくとも用量投薬のために流体移送可能にカートリッジの内部に接続するようになっている交換可能な穿孔エレメントを支持するようになっている。
【0016】
本発明は、特に、ハウジングに関して軸方向にカートリッジを前後に変位させる手段によって特徴づけられる。特に、カートリッジは、少なくとも、近位停止位置から遠位停止位置まで変位可能である。近位停止位置から遠位停止位置へのカートリッジの移動は、代表的には、ハウジングの対称軸線に沿った、すなわちハウジングの長軸に沿った軸方向直線運動によって特徴づけられる。この状況において、カートリッジの可逆変位は、カートリッジがその近位停止位置、遠位停止位置間で前後に軸方向に変位させられることが意図されていることを意味する。
【0017】
近位停止位置において、好ましくは、穿孔エレメントとカートリッジの内部との流体移送接続が中断されるように、カートリッジは、穿孔エレメントから連結を外される。しかしながら、その遠位停止位置で、カートリッジは、流体移送可能に穿孔エレメントに連結させられる。少なくとも、遠位停止位置に達すると、カートリッジの遠位端面、すなわちそのセプタムが、穿孔エレメントと交差し、それによって、刺し貫かれる。
【0018】
ハウジング内部でのカートリッジの軸方向変位は、好ましくは、駆動機構により起動され、制御される。したがって、駆動機構およびカートリッジが作動可能に係合する。カートリッジが、穿孔エレメントおよびハウジングの組み立て中に、その近位停止位置にあると特に有利である。こうすれば、穿孔エレメントが、注入前にカートリッジのセプタムと交差したり、このセプタムを刺し貫いたりすることはない。好ましくは、セプタム穿刺は、もっと後の段階、 好ましくは、カートリッジおよび駆動機構が全体として遠位方向の軸方向変位を行うことになる用量投薬作動中に発生する。
【0019】
さらにまた、本発明は、用量投薬手順が終了した直後の穿孔エレメントおよびカートリッジの自働分離を提供することも意図している。それ故、カートリッジを変位させる手段は、必要に応じて 二方向にカートリッジを変位させるようになっている。用量投薬手順の終了後にカートリッジが穿孔エレメントから分離させられ得るので、カートリッジの弾性構成要素の弛緩プロセスを原因とするかもしれない投薬後の液滴生成現象は、効果的に排除され得る、または少なくとも著しく減らされ得る。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、カートリッジを変位させる手段は、ハウジング内において、カートリッジを近位停止位置、遠位停止位置間で前後に変位させるようになっている。したがって、カートリッジは、カートリッジと穿孔エレメントの選択的な連結、分離をそれぞれ可能にする二方向において、軸方向に変位可能にハウジング内に支持される。
【0021】
さらなる好ましい実施形態において、カートリッジは、ハウジングの遠位端部分に対して遠位方向にスプリング支持される。ここで、カートリッジの遠位方向の変位中に圧縮され、機械的なエネルギを保存するようにスプリング・エレメント、好ましくは、圧縮スプリング・エレメントがカートリッジ・ホルダ内に配列される。この圧縮スプリング・エレメントは、特に用量投薬手順の完了後のカートリッジおよび穿孔エレメントの自働分離を提供するのに役立つ。
【0022】
別の好ましい実施形態において、駆動機構は、カートリッジの側壁の近位端部分に、または、ピストンの近位端面に選択的に作用するようになっている。この実施形態によれば、駆動機構は、複数の機能を提供する。この駆動機構により、カートリッジ自体が、遠位方向において、ハウジングまたはカートリッジ・ホルダに関して変位させられ得る。ひとたびカートリッジがその遠位停止位置に達すると、駆動機構は、さらに、 液体医薬品の所定の量を排出するためのために、カートリッジのピストンの近位端面に遠位方向のスラストを加えてピストンを遠位方向に変位させるようになっている。
【0023】
好ましくは、用量注入プロセスは、2つの続いて起こる段階に分かれている。第1段階において、カートリッジは、その遠位停止位置に留まるまで遠位方向に変位させられる。続く第2段階において、さらに、遠位方向のスラストが、選択的にカートリッジのピストンへ向けられ、用量投薬を行う。ここで、駆動機構は、選択的に、ハウジングに関するカートリッジの遠位方向変位ならびにカートリッジの側壁に関するカートリッジのピストンの遠位方向変位を提供する。カートリッジ、ピストンの相対的な変位を行うこれらの異なった方法は、好ましくは、順次に行われ、同時に行われることはない。こうすることによって、カートリッジ自体が流体移送要領で注射針またはカニューレに接続するその遠位停止位置にあるときにピストンがカートリッジの側壁に関して移動し始めることが保証され得る。
【0024】
さらなる好ましい実施形態によれば、ピストンロッドは、カートリッジの側壁またはカートリッジのピストンのいずれかに遠位方向のスラストを伝えるようになっているクラッチ・アセンブリによって半径方向に案内される。クラッチのそれぞれの構成に依存して、ピストンロッドの遠位方向の動きは、全体としてカートリッジの遠位方向の変位に転換されるか、または、カートリッジのピストンの遠位方向の変位に転換させる。遠位方向の変位において、カートリッジ自体は、薬物送達デバイスのハウジングに関して軸方向に固定またはインターロックされる。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、クラッチ・アセンブリは、ハウジング内を軸方向に変位可能に案内される。こうして、カートリッジ、クラッチ・アセンブリならびに駆動機構は、カートリッジおよび穿孔エレメントを連結または分離する組み合った遠位方向または近位方向の変位を行うことができる。好ましくは、クラッチ・アセンブリも、カートリッジの遠位停止位置、近位停止位置それぞれに相関している近位停止位置、遠位停止位置間で軸方向に変位可能である。
【0026】
さらなる好ましい局面において、クラッチ・アセンブリは、ハウジングに関して回転しないように固着される。ハウジング(代表的には円筒状または管状の形状である)は、側壁の内面のところに保持手段を含んでなっていてもよい。一方、クラッチ手段は、その外周のところに対応する保持手段を含んでなっていてもよい。
【0027】
別の実施形態において、クラッチ・アセンブリは、ロッキングおよび解放構成に選択的に転換できる。そのロック構成において、クラッチ・アセンブリは、ハウジングに関するピストンロッドの回転を妨げる。代表的には、クラッチ・アセンブリは、クラッチ・アセンブリにねじ係合させられていてもよいし、あるいは、クラッチ・アセンブリと一緒に回転可能に係合させられていてもよい。そのロック構成において、クラッチ・アセンブリは、クラッチ・アセンブリに対するピストンロッドの回転を実質的に妨げる。したがって、ピストンロッドの遠位方向の変位は、クラッチ・アセンブリおよびカートリッジの側壁に直接伝わる。
【0028】
その解放構成において、クラッチ・アセンブリは、カートリッジの側壁に関するピストンロッドの軸方向運動を可能にする。ここで、ピストンロッドの遠位方向の変位は、カートリッジのピストンのそれぞれの変位に直接転換する。
【0029】
クラッチ・アセンブリおよびピストンロッドがねじ係合させられている実施形態においては、ピストンロッドは、クラッチ・アセンブリに関して複合した軸方向変位、回転変位を行うことができる。
【0030】
ロック構成、解放構成間でのクラッチ・アセンブリの切り替えは、クラッチ・アセンブリ自体の軸方向圧縮により起こされ得る。たとえば、クラッチ・アセンブリは、標準設定によればロック構成であり、ハウジング内でその遠位停止位置に達したときに解放構成になってもよい。
【0031】
さらなる好ましい実施形態によれば、クラッチ・アセンブリは、第1、第2のクラッチ・エレメントおよび第1、第2のクラッチ・エレメントを互いから軸方向に分離するように適合される中間スプリング・エレメントを含んでなる。その結果として、第1、第2のクラッチ・エレメント間に挟まれたスプリング・エレメントは、クラッチ・アセンブリの軸方向拡張量を増大させるように作用する。したがって、第1、第2のクラッチ・エレメントは、該スプリング・エレメントによって軸方向に付勢される。
【0032】
さらなる変形例において、ピストンロッドは、第1、第2のクラッチ・エレメントの両方にねじ係合させられる。したがって、第1および第2のクラッチ・エレメントは、ピストンロッドを受けるねじ付き通しの開口部を含んでなる。好ましくは、第1、第2のクラッチ・エレメントの該通しの開口部は、同じねじ山を含んでなる。それ故、ピストンロッドは、第1、第2のクラッチ・エレメントが中間スプリング・エレメントの影響の下に互いから分離されるとき、保持されて回転できないように固着される。クラッチ・エレメントとピストンロッドのねじ係合は、好ましくは、自己抑止タイプである。第1、第2のクラッチ・エレメントのスプリング付勢変位により達成されるクランピングによる非自己抑止タイプであってさえよい。こうすれば、クラッチ手段に関する、または、ハウジングに関するピストンロッドの回転運動が効果的に阻止され得る。
【0033】
クラッチ・アセンブリ自体がハウジングに関して回転できないように固着されているので、クラッチ・アセンブリは、そのロック構成において、ピストンロッドの軸方向変位、代表的にはクラッチ・アセンブリのそれぞれの同じ軸方向変位と組み合わせられたピストンロッドの軸方向変位を可能にする。
【0034】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のクラッチ・エレメントは、第2のクラッチ・エレメントを少なくとも部分的に半径方向に囲む少なくとも1つの軸方向に延びるストラット部分を含んでなる。それ故、第1および第2のクラッチ・エレメントは、少なくとも部分的な挿入状態で配置される。 第1クラッチ・エレメントの少なくとも1つの軸方向に延びるストラット部分は、カートリッジの側壁とも作動可能に係合する。代表的な実施形態において、第1、第2のクラッチ・エレメントは、入れ子状態で構成、配置される。好ましくは、第1クラッチ・エレメントは、その全周に沿って規則的に配置された少なくとも2つまたはそれ以上のストラット部分を含んでなる。
【0035】
該軸方向に、好ましくは遠位方向に向いたストラット部分は、第2クラッチ・エレメントの対応する形状の半径方向ディスク状の突起を受けるようになっている間隙を第1クラッチ・エレメントの周縁に形成する。
【0036】
スプリング・エレメント(スプリング・ワッシャ、ディスク・スプリングまたは軸方向に付勢されるスプリング・アームを含んでなるディスク状のワッシャとして設計され得る)は、好ましくは第1および/または第2のクラッチ・エレメントのいずれかと共に回転できないようにロックされる。
【0037】
本発明の別の好ましい実施形態において、第2のクラッチ・エレメントは、第1クラッチ・エレメントの隣接するストラット部分間を半径方向に延びる少なくとも1つの突起を含んでなる。カートリッジの、その遠位停止位置までの変位中に、該突起は、代表的には該第2のクラッチ・エレメントがその遠位停止位置に達したときに、停止エレメントと軸方向に当接する。ハウジングの一構成要素として設計され得る停止エレメントは、第2のクラッチ・エレメントのさらなる遠位方向の変位を妨げる。それ故に、ピストンロッドの連続的な遠位変位の過程において、クラッチ・アセンブリがその解放構成に移行させられるまで中間スプリング・エレメントが圧縮されることになる。
【0038】
クラッチ解放に応答して、ピストンロッドが自由に回転し、クラッチ・アセンブリに関して軸方向変位することになる。ピストンロッドが、好ましくは、ベアリングによってピストンの近位端面に対する常時接触状態に留まるので、駆動機構に作用している遠位方向に外部から与えられた力は、第1、第2の遠位方向のスラストに分かれ、これらのスラストがカートリッジの側壁およびピストンにそれぞれ作用する。
【0039】
用量投薬手順の終りで、外部から加えられる力が所定の閾値より低下したならば、スプリング付勢カートリッジがその近位停止位置に戻ることになる。この運動は、クラッチ・アセンブリの回転阻止ロッキング作用の原因となる第1、第2のクラッチ・エレメントのそれぞれの相互の軸方向変位を伴う可能性がある。
【0040】
それ故、カートリッジの遠位方向変位の終りで、第2クラッチ・エレメントの半径方向に延びる突起がハウジングの停止エレメントに当接し、その結果、第1、第2のクラッチ・エレメントが中間スプリング・エレメントの作用に抗して結合される。その結果、クラッチ・アセンブリが解放する。これとは逆に、駆動機構に加えられるスラストが所定の閾値より低下するとすぐに、クラッチのスプリング・エレメントならびにハウジングおよびカートリッジの遠位端部分間に配置された中間スプリング・エレメントは、初期構成またはデフォルト構成にデバイスを戻すように作用する。
【0041】
さらなる好ましい実施形態によれば、第2のクラッチ・エレメントと作動可能に係合するようになっている停止エレメントは、主ハウジング部分またはカートリッジ・ホルダ部分のいずれかの一体構成要素として設計される。好ましい実施形態において、薬物送達デバイスのハウジングは、2つの構成要素、すなわち、主ハウジング部分およびカートリッジ・ホルダ部分を含んでなる。ここで、カートリッジ・ホルダ部分の近位端部分は、主ハウジング部分の遠位に位置するレセプタクルに組み込まれる。さらにまた、カートリッジ・ホルダ部分の近位端面は、軸方向停止エレメントとして役立つ。それ故、主ハウジング部分およびカートリッジ・ホルダ部分を入れ子状態または挿入状態で組み立てることによって、クラッチ・エレメントと作動可能に係合するようになっている周方向ストッパが生成され得る。
【0042】
さらなる局面において、本発明は、本発明による薬物送達デバイスに挿入されてそれと相互作用するカートリッジも提供する。カートリッジは、軸方向に変位可能なピストンによって、シールされる近位端部分を含んでなる。好ましくは、カートリッジは、少なくとも部分的に投薬されるべき医薬品を満たされる。カートリッジは、さらに、シールされた遠位端部分を含んでなり、この遠位端部分は、好ましくは、ボトルネック状の形状を含んでなる。カートリッジの遠位端部分は、たとえば、固定スリーブによって、カートリッジの側壁に固着されるセプタムのようなシールによって、シールされる。固定スリーブは、好ましくは金属製のクランピング・エレメントまたはクリンピング・エレメントとして設計され、シールに貫入するように穿孔エレメントがそこを通して案内される中心の通しの開口部を含んでなる。
【0043】
固定スリーブの通しの開口部の直径または表面は、固定スリーブの直径または横断面の30%よりも小さく、好ましくは20%よりも小さく、より好ましくは10%よりも小さく、最も好ましくは5%よりも小さい。言い換えれば、シールの穿刺可能部分の直径または表面は、特に、カートリッジの側壁のチューブ状部分により構成される直径または横断面よりも30%、20%、10%よりも小さく、好ましくは5%よりも小さい。
【0044】
固定スリーブのこのような小さな通しの開口部は、カートリッジがその遠位停止位置に向かう方向において遠位変位を行うとき、穿孔エレメントがすでにその最終組み立て位置にあるので、実際に実現され得る。ハウジング内でのカートリッジの半径方向案内により、シールの充分に精密な穿孔が達成され得る。
【0045】
したがって、カートリッジの遠位端部分の穿刺可能な領域は、従来の液体薬剤収容カートリッジと比較して著しく減らされ得る。セプタムの有効表面が大幅に減らされるので、セプタムも用量投薬手順中、遠位方向の突起に対して小さくなる傾向がある。また、カートリッジの穿刺可能なシールを小型化することによって投薬後の液滴生成が相殺され得る。
【0046】
ここで用いられる「薬剤」または「医薬品」という用語は、少なくとも1つの薬学的に活性がある化合物を含有する医薬製剤を意味している。
【0047】
この場合、一実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、1500Daまでの分子量を有するか、および/または、ペプチド、プロテイン、ポリサッカリド、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチドまたは上述の薬学的に活性がある化合物の混合物である。
【0048】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、糖尿病性網膜症のような糖尿病と関連した糖尿病または併発症、深静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症のような血栓塞栓症疾患、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症および/または慢性関節リウマチの治療および/または予防のために有用である。
【0049】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症のような糖尿病と関連した併発症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドで含んでなる。
【0050】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンまたはヒトインスリン類似化合物もしくは派生物、グルカゴン様のペプチド(GLP−1)またはその類似化合物もしくはその派生物またはエキセンジン−3またはエキセンジン−4またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似化合物または派生物含んでなる。
【0051】
インスリン類似化合物は、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン; Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン; Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;
Asp(B28)ヒトインスリン; B28位置にあるプロリンが、Asp、Lys、Leu、ValまたはAlaにより置き換えられ、そして、B29位置において、LysがProにより置き換えら得るヒトインスリン; Ala(B26)ヒトインスリン; Des(B28−B30)ヒトインスリン; Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0052】
インスリン派生物は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン; B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン; 1329−N−ミリストイル・ヒトインスリン; B29−N−パルミトイル・ヒトインスリン; B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン; B28−N−パルミトイルLysB28ProB29ヒトインスリン; B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル−des(B30)ヒトインスリン; B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン; B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリンおよびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0053】
エキセンジン−4は、たとえば、エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−GlyGlu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−PheIle−GIu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0054】
エキセンジン−4派生物は、たとえば、以下の化合物リストから選定される。
H−(Lys)4−des Pro36、des Pro37 エキセンジン− 4−(1−39)NH2、
H−(Lys)5−des Pro36、des Pro37 エキセンジン− 4−(1−39)NH2、
des Pro36[Asp28]エキセンジン− 4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンジン− 4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、Asp28]エキセンジン− 4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、IsoAsp28]エキセンジン− 4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、Asp28]エキセンジン− 4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、IsoAsp28]エキセンジン− 4(1−39)、
des Pro36[Met14(O) Trp(O2)25(Asp28)]エキセンジン− 4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25、Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25、IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4派生物のC末端に結びつけられてもよい);
【0055】
または、配列
H−(Lys)6−des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
des [Met(O)14, Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5 des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−des Pro36 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, [Trp(O2)25, エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)NH2、
des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(S1−39)(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン− 4(1−39)−(Lys)6−NH2のエキセンジン−4派生物;
または前述のエキセンジン−4派生物のうちの任意一つの薬理学的に許容される塩または溶媒和化合物。
【0056】
ホルモン類は、たとえば、下垂体ホルモン類または視床下部ホルモン類または調節性活性ペプチドおよびゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン、デスモプレッシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンのような、Rote Liste、編集2008、第50章に挙げられるそれらの拮抗剤である。
【0057】
ポリサッカリドは、たとえば、グルコサミノグルカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンまたはその派生物、または、硫酸処理形態、たとえば、ポリ硫酸処理形態の上述ポリサッカリドおよび/またはその薬理学的に許容される塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬理学的に許容される塩の例としてはエノキサパリンナトリウムがある。
【0058】
薬学的に許容される塩類は、たとえば、酸添加塩類および塩基性塩類である。酸添加塩類は、たとえば、HClまたはHBr塩類である。塩基性塩類は、たとえば、アルカリから選んだカチオンまたはアルカリ性カチオン、たとえば、Na+、K+またはCa2+、またはアンモニウム・イオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩類である。ここで、R1−R4は、互いに独立して、水素、随意に置換されたC1−C6−アルキル基、随意に置換されたC2−C6−アルケニル基、随意に置換されたC6−C10−アリール基または随意に置換されたC6−C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩類のさらなる例は、「Remingtonの薬学」17版、Alfonso R Gennaro(編集)、Mark出版社、Easton、Pa.、U.S.A.、1985年および医薬技術の百科事典に記載されている。
【0059】
薬学的に許容される溶媒和化合物は、たとえば、水和物である。
【0060】
発明の趣旨および範囲を逸脱することなく本発明に種々の修正、変更がなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。さらに、添付の請求項で使用される参照符号が発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0061】
好ましい実施形態に関連して図面を参照しながら本発明を限定なしに以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】薬物送達デバイスの種々の構成要素を透視展開図で示す。
【図2】カートリッジ・ホルダ部分を透視図で示す。
【図3】カートリッジ・ホルダ部分を部分切断図で示す。
【図4】主ハウジング部分を部分的に切断して示す。
【図5】駆動機構を透視図で示す。
【図6】クラッチ・アセンブリを示す。
【図7】クラッチ・アセンブリを展開図で示す。
【図8】第1クラッチ・エレメントを透視図で示す。
【図9】近位方向から見た第2クラッチ・エレメントを示す。
【図10】図の遠位点から見た第2クラッチ・エレメントを示す。
【図11】中間スプリング・エレメントを透視法で示す。
【図12】カートリッジの遠位端部分を拡大透視視図で示す。
【図13】ニードル・マウントを部分的に切断して示す。
【図14】薬物送達デバイス全体をデフォルト構成の断面図で示す。
【図15】図14による構成の拡大部分をロック構成にあるクラッチ・アセンブリと共に示す。
【図16】用量の設定中または用量の設定後のペンタイプ薬物送達デバイスを示す。
【図17】図16による薬物送達デバイスを遠位停止位置にあるカートリッジおよびクラッチ・アセンブリと共に示す。
【図18】解放されたクラッチ・アセンブリが遠位停止位置にある、図17の拡大抜粋部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1に展開図で示す薬物送達デバイス10は、近位の主ハウジング部分14および遠位に位置するカートリッジ・ホルダ部分12を有する2要素ハウジングを含んでなる。カートリッジ・ホルダ部分12は、代表的には流体医薬品で満たされるカートリッジ17を受けるようになっている。カートリッジ17、特にその側壁18は、管状の形状であり、カートリッジ17の内部をシールする、近位方向に可動のピストンまたは栓20を受ける。遠位方向において、カートリッジ17またはカートリッジ壁18は、セプタム24によってシールされる縮径ネック部またはボトルネック部を含んでなる。
【0064】
セプタム24は、代表的にはアルミニウム・クリンプとして設計される固定スリーブ22によってカートリッジ壁18に固定される。カップ状のニードル・マウント30を有するニードル・アセンブリ26は、カートリッジ・ホルダ部分12の遠位端のところでねじ付き縮径部分32に螺合され得る。図13に示すように、穿孔エレメントまたは注射針28は、ニードル・マウント30と常時連結される。ニードル・マウント30は、その内側側壁面のところに、カートリッジ・ホルダ12の遠位端部分32のねじ山と一致するねじ山33を含んでなる。
【0065】
ニードル28は、遠位方向ならびに近位方向に延びている。近位位置の先端29で、注射針28は、カートリッジ17のセプタム24を貫き刺すことができる。カートリッジ17自体は、スプリング付勢されており、図14、図16に示すようにカートリッジ・ホルダ部分12内に軸方向変位可能に支持される。このために、カートリッジ・ホルダ部分12の遠位端部分は、螺旋状の圧縮スプリング31を受けるスリット状周方向レセプタクル42を形成する近位方向内方へ延びる軸40を含んでなる。
【0066】
圧縮スプリング31は、カートリッジ17の遠位端面に当接する。特に、スプリング31は、カートリッジの固定スリーブ22と当接する。軸方向に内向きに延びる軸40は、付加的に、カートリッジ17の遠位方向変位の範囲を定めるストッパとして作用し得る。それ故、軸40の軸方向長さは、ハウジング構成要素12に関するカートリッジ17の遠位停止位置を特定できる。
【0067】
2つのハウジング構成要素12、14は、入れ子状態または挿入状態で組み立てられるようになっている。たとえば図1、14に示すように、カートリッジ・ホルダ部分12は、主ハウジング構成要素14の遠位端面に当接する環状リム36を含んでなる。カートリッジ・ホルダ部分12は、図4から明らかなように、管状の主ハウジング部分14の半径方向内向きに突出するキャッチ・エレメント82を受けるようになっている多数のくぼみ38を含んでなる。こうすれば、カートリッジ・ホルダ部分12および主ハウジング部分14が互いに確実かつ解放自在に係合し得る。
【0068】
さらに図1、2に示すように、カートリッジ・ホルダ部分12は、カートリッジ17の充填レベルを視覚的に制御するのを可能にする点検窓34を含んでなる。
【0069】
薬物送達デバイス10は、さらに、第1クラッチ・エレメント52、第2クラッチ・エレメント54および中間スプリング・エレメント56を有するクラッチ・アセンブリ50を含んでなる。主ハウジング部分14は、全般的に、図5に別体として示す駆動機構16を収納するようになっている。駆動機構16は、ピストンロッド88と、このピストンロッド88とねじ係合した駆動スリーブ90とを含んでなる。さらにまた、駆動機構16は、種々のクラッチ手段、たとえば、外側用量ダイヤル・スリーブ92と駆動スリーブ90の間に配置されたクラッチスリーブ98を含んでなる。さらにまた、駆動機構16は、所定の用量を選択し、設定するのを可能にする用量ダイヤル・ボタン94を含んでなる。
【0070】
近位位置の用量ボタン100によって、遠位方向のスラストが駆動機構16全体に加えられ得る。本実施形態において示される駆動機構16は、WO2004/078241A1(ここに全体を参考資料として採用する)から既に知られているペンタイプ・インジェクタの駆動機構とほぼ同じである。
【0071】
ベアリング86およびピストンロッド88は好ましくは確実にロックされる。この場合、ベアリング86はピストンロッド88の長軸に関して自由に回転できるようにしたままにする。該ベアリング86は、さらに、カートリッジのピストン20の近位端面に当接し、カートリッジ17から医薬品の所定の用量を排出させるスラストをピストン20に伝えるようになっている。
【0072】
ピストンロッド88は、第1、第2のクラッチ・エレメント52、54の通しの開口部58、60と係合する遠位ねじ山を含んでなる。はっきりとは示さないが、ピストンロッド88は、さらに、駆動スリーブ90の対応する内ねじ山と係合する近位ねじ山を含んでなる。代表的には、ピストンロッド88の近位ねじ山および遠位ねじ山は、互いに逆巻きであり、異なったリードを含んでなる。
【0073】
好ましい実施形態において、ピストンロッド88および駆動スリーブ90のねじ係合は、非自動ロッキング・タイプである。こうすることで、カートリッジ17がその遠位停止位置にあるとき、駆動スリーブ90の軸方向変位は、ピストンロッド88のそれぞれの回転を生じさせると共に、ピストンロッド88およびクラッチ・アセンブリ50のねじ係合によりピストンロッド88およびカートリッジ17の側壁18のそれぞれの相対的な軸方向変位を生じさせる。
【0074】
図6〜10において、クラッチ・アセンブリ50が詳細に示されている。クラッチ・アセンブリ50は、第1クラッチ・エレメント52と、第2クラッチ・エレメント54を含んでなる。両方のクラッチ・エレメント52、54は、ディスク状の形状であり、図7、10に示すように、直線の軸線を共有するように配置されたねじ付き通しの開口部58、60を含んでなる。第1クラッチ・エレメント52の通しの開口部58は内ねじ山59を含んでなり、第2クラッチ・エレメント54の通しの開口部60は内ねじ山61を含んでなる。両方のねじ山59、61は実質的に同じリードを含んでなる。ねじ山59および61は、さらに、ピストンロッド88の外ねじ山に対応する。
【0075】
第1クラッチ・エレメント52は、その外周面のところに、2つの直径方向に配置され、半径方向に延びる突起66を含んでなる。これらの突起66があるために、第1クラッチ・エレメント52は、主ハウジング部分14内に回転できないように固着される。その内側側壁面のところに、主ハウジング部分14は、第1クラッチ・エレメント52の突起66を受けるようになっている2つの対向して配置され、軸方向に延びる溝84を含んでなる。こうすることで、第1クラッチ・エレメント52およびクラッチ・アセンブリ50全体が、ハウジング14に関して軸方向に変位可能であるが、回転できないようにロックされることになる。
【0076】
第1クラッチ・エレメント52は、さらに、遠位方向に延びる4つの規則的に配置されたストラット部分64を含んでなる。該ストラット部分64は、ねじ付き通しの開口部58を含んでなる第1クラッチ・エレメント52のディスク状部分と一体に形成される。ストラット部分64は、実質的に方形または矩形の形状である。さらに、ストラット部分64は、第1クラッチ・エレメント52の外周近くに配置される。ストラット部分64は、クラッチ・エレメント52の外縁とそれぞれのストラット部分64の間にソケット67を形成するように半径方向内方にシフトされている。さらに、ストラット部分64は、第1クラッチ・エレメント52の実質的に円形の周面に合わせて円弧状となっている。
【0077】
さらに図15、18からわかるように、遠位方向において、ストラット部分64は、カートリッジの円筒形側壁面の近位端面に当接する。それ故、ストラット部分64があるために、カートリッジ17を図17に示すその遠位停止位置に変位させるためのために外部から適用されるスラストがカートリッジ17の側壁18へのみ伝えられ得る。
【0078】
さらに図6〜10に示すように、第1クラッチ・エレメント52のストラット部分64は、互いに隔たっていて、ディスク状の第2クラッチ・エレメント54の半径方向に延びるくさび形の突起62を受けるようになっているクリアランス65を形成する。こうして、第1、第2のクラッチ・エレメント52、54が、軸方向に変位可能に配置される。しかしながら、第1および第2のクラッチ・エレメント52、54は、互いに関して回転できないように固着される。
【0079】
同様に、第2クラッチ・エレメント54も、半径方向に延びているくさび形の突起62間に4つのくぼみ63を含んでなる。組み立て形態においては、図6に示すように、これらのくぼみ63は、第1クラッチ・エレメント52のストラット部分64を受けるようになっている。
【0080】
第1、第2のクラッチ・エレメント52、54の間には、ディスク形の圧縮スプリング56が配置される。圧縮スプリング56は、2つの相対して配置されたレセプタクル70が横切る外側カラーを含んでなる。2つのレセプタクル70があるために、特に、第2クラッチ・エレメント54の近位方向に延びるピン68がスプリング・エレメント56の通しの開口部70を通して延びているとき、スプリング・エレメント56は、第2クラッチ・エレメント54と共に回転できるように固着され得る。半径方向に内側に、スプリング・エレメント56は、近位方向に延び、第1クラッチ・エレメント52の内面に当接する4本のスプリング・アーム72を含んでなる。初期状態によれば、外部の力がなんら適用されていない場合、スプリング・エレメント56は、第1、第2のクラッチ・エレメント52、54を図15に示す軸方向距離76の状態に保つことになる。両方のクラッチ・エレメント52、54がピストンロッド88とねじ係合しているので、第1、第2のクラッチ・エレメント52、54を分離することによって、ピストンロッド88は、クラッチ・アセンブリ50に回転できないように固着され、締付けられ得る。
【0081】
第1クラッチ・エレメント52は、主ハウジング部分14に関して回転できないように固着されているので、その結果生じた前記ロック構成において、ハウジング14に関するピストンロッド88の回転運動が阻止される。したがって、クラッチ・アセンブリ50がそのロック構成にある場合、用量ボタン100に作用する任意の遠位方向に適用されたスラスト96は、カートリッジ18およびクラッチ・アセンブリ50がそれぞれの近位停止位置に達するまで、カートリッジ17、クラッチ・アセンブリ50および駆動機構16の軸方向遠位方向の変位を生じさせる。
【0082】
好ましくは、カートリッジ17の近位停止位置およびクラッチ・アセンブリ50の近位停止位置は、互いに関して相関している。カップ状の固定スリーブ22がハウジングのカートリッジ・ホルダ部分12の近位方向内向きの軸40の近位端面に当接するとき、カートリッジ17はその遠位停止位置にある。第2クラッチ・エレメント54のくさび形の半径方向に延びる突起62が停止エレメント44をもたれかかったとき、クラッチ・アセンブリ50、特にその第2クラッチ・エレメント54がその遠位停止位置に達する。この遠位停止位置は、図示の実施形態では、カートリッジ・ホルダ部分12の近位端面と一致する。
【0083】
図14に示す薬物送達デバイス10の初期構成においては、クラッチ・アセンブリ50はロック構成にある。第1、第2のクラッチ・エレメント52、54は、中間スプリング56の影響の下にギャップ76の分だけ分離されている。さらに図15でわかるように、クラッチ・アセンブリ50はその近位停止位置にあり、そして、第1クラッチ・エレメント52が、本実施形態では、主ハウジング部分14と一体に形成されている半径方向内向きに延びる停止部80と当接する。
【0084】
この初期構成から始まって、注入されるべき所定の用量が、たとえば、用量ダイヤル・ボタン94を回すことにより選定され得る。その結果、駆動機構は、図16に示すように近位方向に変位させられる。
【0085】
図14の初期構成において、ならびに図16に示す用量の設定後、カートリッジ17の内部は、まだ、注射針28の近位方向内方を指す先端29と流体移送接触状態にないということがさらに指摘されるべきである。
【0086】
注射針28およびカートリッジ17の流体移送接続は、引き続く用量投薬手順中に達成され、行われる。このために、ユーザは、図17に示すように、用量ボタン100に遠位方向のスラスト96を加えることができる。適用されたスラスト96の影響の下に、そして、クラッチ・アセンブリ50により提供される相互ロッキングにより、ピストンロッド88が回転移動するのを妨げられているために、カートリッジ17、クラッチ・アセンブリ50および駆動機構16の配置全体が遠位方向に変位させられる。
【0087】
その結果として、カートリッジ17、クラッチ・アセンブリ50および駆動機構16は、カートリッジ17および/またはクラッチ・アセンブリ50がそれらの遠位停止位置に達するまで、遠位方向の変位を行うことになる。この遠位方向移動の間、適用されたスラスト96は、第1クラッチ・エレメント52を介して、その軸方向に延びるストラット部分64によって、カートリッジ17の側壁18にのみほとんど伝えられる。
【0088】
第2クラッチ・エレメント54がカートリッジ・ホルダ部分12の近位端面44に当接するとすぐに、図18に示すように、ピストンロッド88のさらなる遠位方向変位がスプリング・エレメント56の圧縮の原因となる。2つのクラッチ・エレメント52および54は、軸方向において結合され、その結果、ピストンロッド88および2つの内ねじ山59、61の二重のねじ係合のクランピングが効果的に無効にされる。それ故、クラッチ・アセンブリ50が、その解放構成に切替えられる。
【0089】
その結果、ピストンロッド88は、自由に回転できることになり、それ故、カートリッジ17の側壁またはハウジング18に関して組み合わさった回転、遠位方向運動を行うことになる。このようにして、予め設定された用量のサイズにより左右される所定の距離だけピストン20が遠位方向に駆動され得る。
【0090】
図示実施形態において、駆動スリーブ90ならびに回転できないようにロックされたクラッチ・アセンブリ50に関するピストンロッド88の二重ねじ係合は、ピストンロッド88の対向端部部分のところでの異なったリードの比率により左右される歯車比を備える有利な減速歯車機構を提供する。
【0091】
本発明がほんの1つの代表的な駆動機構16で例示したが、穿孔エレメント28およびカートリッジ17の解放自在の連結ならびに駆動機構16およびカートリッジ17の軸方向変位は、全般的に、単一の駆動機構に限られない。種々の駆動機構に普遍的に適用され得るものであり、ピストンロッド88は、全般的に、用量投薬中に軸方向移動および/または回転運動を行う。
【0092】
用量注入の完了後、遠位方向に適用されるスラスト96が減らされるのが普通である。
スラスト96が所定の閾値以下に低下するとすぐに、スプリング・エレメント31は、カートリッジ17、クラッチ・アセンブリ50および駆動機構16の組立体全体をそれぞれの近位停止位置に向かって変位させ、カートリッジ17と注射針28を分離させることになる。同時に、クラッチ・アセンブリ50のスプリング・エレメント56は第1、第2のクラッチ・エレメント52、54を軸方向に分離させることになり、その結果、クラッチ50はその初期の相互ロック構成に戻る。
【0093】
このような分離構成においては、セプタム24および/またはピストン20の弾性弛緩による可能性のある液滴生成が、効果的に最小限に抑えられ得るか、または、完全に排除すらされ得る。
【0094】
参照数字
10 薬物送達デバイス
12 カートリッジ・ホルダ部分
14 主ハウジング部分
16 駆動機構
17 カートリッジ
18 側壁
20 ピストン
22 固定スリーブ
24 セプタム
26 ニードル・アセンブリ
28 注射針
29 先端
30 ニードル・マウント
31 圧縮スプリング
32 ねじ付きソケット
33 内ねじ山
34 点検窓
36 リム
38 くぼみ
40 軸
42 レセプタクル
44 停止エレメント
50 クラッチ・アセンブリ
52 クラッチ・エレメント
54 クラッチ・エレメント
56 圧縮スプリング
58 通しの開口部
59 内ねじ山
60 通しの開口部
61 内ねじ山
62 突起
63 くぼみ
64 ストラット部分
65 クリアランス
66 突起
67 ソケット
68 プロング
70 レセプタクル
72 スプリング・アーム
74 カラー
76 ギャップ
80 停止部
82 キャッチ・エレメント
84 溝
86 ベアリング
88 ピストンロッド
90 駆動スリーブ
92 用量ダイヤル・スリーブ
94 用量ダイヤル・ボタン
96 スラスト
98 クラッチスリーブ
100 用量ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ハウジング(12、14);
−駆動機構(16)が、投薬しようとする医薬品を含有するカートリッジ(17)のピストン(20)に作用する軸方向に変位可能なピストンロッド(88)を含んでなり、ここでハウジング(12)が、カートリッジ(17)の遠位端面(24)に貫入するように適合される穿孔エレメント(29)を支持するように適合される、該駆動機構(16);
−カートリッジ(17)を、近位停止位置から遠位停止位置まで軸方向にかつハウジング(12)に対して可逆的に変位させる手段;
を含んでなり、ここで遠位停止位置において、カートリッジ(17)は穿孔エレメント(29)に連結し、近位停止位置において、カートリッジ(17)はカートリッジ(17)のインサイドボリュームおよび穿孔エレメント(29)間の流体移送が中断されるように穿孔エレメント(29)から連結を外される、医薬品の用量を投薬するための薬物送達デバイス。
【請求項2】
カートリッジ(17)が、近位停止位置および遠位停止位置間で可逆的に変位できるようにハウジング(12)内に支持される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
カートリッジ(17)が、ハウジング(12)の遠位端部分(32)に対して遠位方向にスプリング支持される、請求項1または2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
駆動機構(16)が、カートリッジの側壁(18)の近位端部分および/またはピストン(20)の近位端面に選択的に作用するように適合される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
ピストンロッド(88)が、遠位に向けられたスラスト(96)をカートリッジ(17)の側壁(18)またはピストン(20)のいずれかに伝達するように適合されるクラッチ・アセンブリ(50)によって、半径方向に案内される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
クラッチ・アセンブリ(50)が、ハウジング(14)内を軸方向に変位可能に案内される、請求項5に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
クラッチ・アセンブリ(50)が、ハウジング(14)に対して回転できないように固着される、請求項5または6に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
ロック構成において、クラッチ・アセンブリ(50)が実質的にピストンロッド(88)の回転を妨げる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
クラッチ・アセンブリ(50)が、その解除構成において、カートリッジ(17)の側壁(18)に対してピストンロッド(88)の軸方向運動を可能にさせる、請求項5〜8のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
クラッチ・アセンブリ(50)が、第1および第2のクラッチ・エレメント(52、54)、並びに第1および第2のクラッチ・エレメント(52、54)を軸方向に分離するように適合される中間スプリング・エレメント(56)を含んでなる、請求項5〜9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
ピストンロッド(88)が、第1のクラッチ・エレメント(52)および第2のクラッチ・エレメント(54)とねじ係合される、請求項10に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
第1のクラッチ・エレメント(52)が、第2のクラッチ・エレメント(54)を少なくとも部分的に半径方向に取り囲み、さらにカートリッジ(17)の側壁(18)と作動可能に係合されるように適合される、少なくとも1つの軸方向に延びるストラット部分(64)を含んでなる、請求項10または11に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
第2のクラッチ・エレメント(54)が、第1のクラッチ・エレメント(52)の隣接ストラット部分(64)間を半径方向に延びる少なくとも1つの突起(62)を含んでなり、カートリッジ(17)のその遠位停止位置への変位中、該突起(62)が、ハウジング(12、14)の停止エレメント(44)に対して軸方向に当接して、それにより第1および第2のクラッチ・エレメント(52、54)が、クラッチ・アセンブリ(50)を解除するための、スプリング・エレメント(56)の作用に抗して結び付けられる、請求項10〜12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
ハウジング(12、14)は、駆動機構(16)を受けるように適合される主ハウジング部分(14)、およびカートリッジ(17)を摺動可能に受けるように適合されるカートリッジ・ホルダ部分(12)を含んでなり、ここでカートリッジ・ホルダ部分(12)の近位端部分が、主ハウジング部分(14)の遠位に位置するレセプタクル内に配置され、それによりカートリッジ・ホルダ部分(12)の近位端面(44)が軸方向停止エレメント(44)としての機能を果たす、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
−実質的にチューブ形状の側壁(18);
−軸方向に変位可能なピストン(20)によって、シールされる近位端部分;
−穿孔エレメント(28)によって、貫入され得るシール(24)によってシールされる遠位端部分;
を含んでなり、ここでシール(24)の穿刺可能な部分の直径または表面が、側壁(18)のそのチューブ状部分によって囲まれる直径又は横断面より30%小さい、好ましくは20%小さい、更に好ましくは10%小さい、そしてなお更に好ましくは5%小さい、薬物送達デバイスによって投薬しようとする医薬品で、少なくとも部分的に充填される薬物送達デバイス用のカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−509215(P2013−509215A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535819(P2012−535819)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066313
【国際公開番号】WO2011/051366
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】