説明

薬理学的に活性なN,N’−置換型3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類、それらに基づく医薬組成物、及びそれらの使用方法

本発明は、一般式(I)のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類に関連し、基の意味は明細書中に表された意味に対応し、AMPA受容体の正アロステリック調節機構及び強力なAMPA受容体遮断効果の特性を有しており、神経変性疾患の治療及び予防に用いられ、とりわけAD(アルツハイマー病)、PD(パーキンソン病)、及びその他の神経変性の病状の治療に用いられる。本発明はまた、化合物1の医薬組成物に関連し、上述した疾患の治療方法にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、AMPA(2-アミノ-3-(3-ヒドロキシ-5-メチルイソオキサゾール-4-イル)-プロピオン酸)受容体のアロステリック調節を可能とするN,N’-置換型ジアザビシクロノナン類の新規誘導体に関するものである。具体的には、本発明は、薬理学的に活性な新規のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類に関連し、それらはAD(アルツハイマー病)、PD(パーキンソン病)、及びその他の神経変性疾患の治療に有用である。本発明はまた、前記化合物を含む医薬組成物に関連する。本発明は、上述した疾患の治療方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
AMPA受容体が属するグルタミン酸系は、ヒトを含む哺乳類の脳内の主要興奮性神経伝達物質系であり、すべての生理学的及び病理学的プロセスの一連の発現に関与している。PD、AD、及び同様の神経変性障害など、広範に及ぶ精神神経的疾患が、それらプロセスの異常な調節に関与していることが知られている〔Doble A.、Pharmacology and Therapeutics 1999年、81巻、3号、163〜221ページ(非特許文献1)を参照〕。
【0003】
AMPA受容体は脳内に不均一に分布される。これら受容体の多くは大脳新皮質の表面層及び海馬に存在している〔Monaghan、Brain Res.、1984年、324巻、160〜164ページ(非特許文献2)〕。動物及びヒトの研究において、それらの構造が感覚運動プロセスに主に関与することを示しており、これらが高度な行動反応の母体となっている。したがって、AMPA受容体によって、一連の認知プロセスに関連する脳の神経回路網のシグナル伝達が実現される。
【0004】
上記述べた理由により、AMPA受容体機能を高める薬物は、記憶を形成するプロセスのみならず、神経の回復に寄与するプロセスの制御に関与している。試験により、AMPAを介するシナプス反応の増強は長期増強現象(LTP)の誘導を増大させることが明らかとなった〔Arai、Brain Res.、1992年、598巻、173〜184ページ(非特許文献3)〕。LTPは、学習過程において典型的である脳内の恒久的な生理作用を伴うシナプスの伝達効率の増強である。NMDA受容体の機能を増強する物質はLTPの発現を促進する〔Granger、Synapse、1993年、15巻、326〜329ページ(非特許文献4);Arai、Brain Res.、638巻、343〜346ページ(非特許文献5)〕。
【0005】
LTPが生理的記憶の基礎であることを示唆する多くの証拠が存在する。例えば、LTPを阻害する物質は、動物及びヒトの記憶のメカニズムを妨げる〔Cerro、Neuroscience、1992年、46巻、1〜6ページ(非特許文献6)〕。
【0006】
現在、例えばアニラセタムなど、AMPA受容体を活性化する数多くの化合物が知られている〔Ito、J. Physiol.、1990年、424巻、533〜543ページ(非特許文献7)〕。Staubli及びXiaoは、アニラセタムが幾つかの海馬領域においてシプナスシグナルを高める一方で、NMDA媒介によるシグナルには影響を及ぼさないことを開示している〔Staubli、Psychobiology、1990年、18巻、377〜381ページ(非特許文献8);Xiao、Hippocampus、1991年、1巻、373〜380ページ(非特許文献9)〕。アニラセタムは「即効性(a fast attack)」の特性を有しているが、「行動関連性」薬剤の特性である持続的効能を有していないために長期的な使用には適していない。この薬物は高濃度(0.1mM)でのみ効果的であり、一般的な使用方法では、アニラセタムと同様の効能を有していないアニソイル-GABAに変換される(薬物の約80%)ことが示された〔Guenzi、J. Chromatogr.、1990年、530巻、397〜406ページ(非特許文献10)〕。しかしながら、多くの場合において、神経保護活性を有する化合物は高用量で効力があるか、或いは強い毒性を有している。
【0007】
近年、Ampakines(登録商標)という名前の、比較的広義の類に属する物質が発見された。これらの物質は、生理作用より、AMPA受容体のアロステリック調節因子である。これらの化合物は、既知の化合物と比較してより安定であり、かつより効果的であることが実験的に示された〔Staubli、PNAS、1994年、91巻、11158〜11162ページ(非特許文献11)〕。
【0008】
類似化合物の薬理効果の研究に関連する調査の広範囲な発展からみれば、後に生じるシナプス後膜の脱分極を含む、AMPA受容体のアロステリック調節因子の影響によって誘発される強力なイオン電流は、近年、神経組織の成長因子であるニューロトロフィンNGF(神経成長因子)及びBDNF(脳由来成長因子)の合成に関与する遺伝子の発現誘発作用について実験的に究明された。〔Legutko B.、Neuropharmacology、2001年、40巻、1019〜1027ページ(非特許文献12);Ebadi、Neurochemistry International、2000年、30巻、347〜374ページ(非特許文献13)〕ニューロトロフィンの合成に関与する遺伝子の発現プロセスは、神経変性障害及びその他の精神−神経病学的疾患を治療する際にとりわけ重要である。故に、BDNFは、絶望状態において抗うつ作用を有しており〔Siuciak、Brain Research、1994年、633巻、326〜330ページ(非特許文献14)〕、糖尿病を発症しているマウスで血糖濃度を低下させることが示された〔Ono、J. Biochem. And Bioph. Res. Commun.、1997年、238巻、633〜637ページ(非特許文献15)〕。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Doble A.、Pharmacology and Therapeutics 1999年、81巻、3号、163〜221ページ
【非特許文献2】Monaghan、Brain Res.、1984年、324巻、160〜164ページ
【非特許文献3】Arai、Brain Res.、1992年、598巻、173〜184ページ
【非特許文献4】Granger、Synapse、1993年、15巻、326〜329ページ
【非特許文献5】Arai、Brain Res.、638巻、343〜346ページ
【非特許文献6】Cerro、Neuroscience、1992年、46巻、1〜6ページ
【非特許文献7】Ito、J. Physiol.、1990年、424巻、533〜543ページ
【非特許文献8】Staubli、Psychobiology、1990年、18巻、377〜381ページ
【非特許文献9】Xiao、Hippocampus、1991年、1巻、373〜380ページ
【非特許文献10】Guenzi、J. Chromatogr.、1990年、530巻、397〜406ページ
【非特許文献11】Staubli、PNAS、1994年、91巻、11158〜11162ページ
【非特許文献12】Legutko B.、Neuropharmacology、2001年、40巻、1019〜1027ページ
【非特許文献13】Ebadi、Neurochemistry International、2000年、30巻、347〜374ページ
【非特許文献14】Siuciak、Brain Research、1994年、633巻、326〜330ページ
【非特許文献15】Ono、J. Biochem. And Bioph. Res. Commun.、1997年、238巻、633〜637ページ
【非特許文献16】Litchfield及びWilcoxon、J. Pharmacol. Exp. Ther.、1949年、96巻、99〜114ページ
【非特許文献17】D.N.Plutitskyら、Chem. Pharm. J.、1986年、10号、1209〜1231ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、AMPA受容体の新規有効なアロステリック調節因子として有用な薬剤の幅を広げることをを解決するために成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
とりわけ、同様の活性を有する化合物の中から、神経組織の成長因子であるニューロトロフィンの合成に関与する遺伝子の発現誘発作用を含むそのような化合物の探索を目的とする研究において、本発明者は、以下に示され、かつ本発明の一実施態様を表すいくつかの詳細な特性を有する、幅広いN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類の新規誘導体を遊離塩基及び薬理学的に許容される酸との塩類の形態で見出した。
【0012】
本発明の他の実施態様は、AMPA受容体もしくは拮抗作用の正アロステリック調節を誘発する能力を有しているそれら化合物の生理活性である。これは、一方では、異なる濃度において認知機能を向上させる正アロステリック調節機構に関し、もう一方では、より高い濃度におけるAMPA受容体の強力な遮断効果に関する、本発明に係る化合物を検討するにあたっての基準を提供することになる。
【0013】
本発明のさらなる態様として、遊離塩基及び薬理学的に許容される酸類との塩の形態である一般式(I)のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類の誘導体を5〜30%、及びキャリア、賦形剤などの治療上許容される不活性助剤を含む医薬組成物、ならびにそれらの使用方法を提供することを含む。
【0014】
本発明の技術的成果は、遊離塩基及びこれらと薬理学的に許容される酸類との塩の形態であるN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンの新規誘導体の開発に基づくものであり、それら化合物は一般式(1)で表される。
【化1】

[式中、
HYは、ここで及び本明細書中を通して、薬理学的に許容される酸であり、
Eは、カルボニル基、CHRであり、
Rは、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ基、ハロゲン、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-Q
で示される基であり、式中、nは1〜10であり、Qは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR5基(式中、R5は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR5基(式中、R5は、上記定義のとおりである)、
NR6R7基(式中、R6及びR7は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R6またはR7のいずれか1つの置換基がC(O)R5基(式中、R5は、上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R1は、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、アシル、ニトロ基、ニトリル、または一般式:
-(CH2)n-W
で示される基であり、式中、nは上記定義のとおりであり、かつWは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR8基(式中、R8は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR8基(式中、R8は、上記定義のとおりである)、
NR9R10基(式中、R9及びR10は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R9またはR10のいずれか1つの置換基がC(O)R8基(式中、R8は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R2は、一般式(1.1a)、(1.2a)、(1.3a)、及び(1.4a)で表され、
【化2】

式中、Lは、CHR11、カルボニル基であり、
R11は、H、低級アルキル、アルコキシ、アシル、シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、または一般式:
-(CH2)n-M
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、かつMは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
ハロゲン、
COOR12基(式中、R12は、H、アルキルである)、
CH2OR12基(式中、R12は、上記定義のとおりである)、
NR13R14基(式中、R13及びR14は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルであり、R13またはR14のいずれか1つの置換基がC(O)R12基(式中、R12は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R15は、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ基、ニトリル、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-U
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Uは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR16基(式中、R16は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルである)、
CH2OR16基(式中、R16は、上記定義のとおりである)、
NR17R18基(式中、R17及びR18は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロシクロアルキルであり、R17またはR18のいずれか1つの置換基がC(O)R16基(式中、R16は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R19、R19’、R20、及びR20’は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれは、独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ基、ニトリル、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-D
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Dは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロシクロアルキル、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR21基(式中、R21は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルである)、
CH2OR21基(式中、R21は、上記定義のとおりである)、
NR22R23基(式中、R22及びR23は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロシクロアルキルであり、R22またはR23のいずれか1つの置換基がC(O)R21基(式中、R21は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R24及びR25は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれは独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ基、ニトリル、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-A
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Aは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロシクロアルキル、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR26基(式中、R26は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルである)、
CH2OR26基(式中、R26は、上記定義のとおりである)、
NR27R28基(式中、R27及びR28は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロシクロアルキルであり、R27またはR28のいずれか1つの置換基がC(O)R26基(式中、R26は上記定義のとおりである)であってよい)であって、塩基の形態または薬理学的に許容される酸類HYとそれらの塩の形態、
から成る群から選択され、
R3及びR3’は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、アシル、ニトロ基、ニトリル、または一般式:
-(CH2)n-G
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Gは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR29基(式中、R29は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR29基(式中、R29は、上記定義のとおりである)、
NR30R31基(式中、R30及びR31は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R30またはR31のいずれか1つの置換基がC(O)R29基(式中、R29は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R4及びR4’は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ基、ニトリル、ハロゲン、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-V
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Vは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR32基(式中、R32は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR32基(式中、R32は、上記定義のとおりである)、
NR33R34基(式中、R33及びR34は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R33またはR34のいずれか1つの置換基がC(O)R32基(式中、R32は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
Xは、一般式
-(CH2)m-Z-
で示される基であり、式中、mは0〜4であり、Zは、
アシル、
イソ-アルキル、
アセトキシ、
から成る群から選択されるか、或いはXは、原子価結合である。
【0015】
前記に定義され、かつ下記において用いられる用語「低級アルキル」とは、1乃至10の炭素原子を含む直鎖または分岐したアルキル基を意味し、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、イソペンチル及び類似化合物によって例示される。
【0016】
用語「シクロアルキル」とは、3乃至7の環炭素原子を有する環状飽和炭化水素基であり、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び類似の化合物を含む。
【0017】
用語「ヘテロシクロアルキル」とは、4、5、もしくは6員環のN、O、もしくはSを含むアルキル複素環、またはそれらの置換された類縁体を意味する。それらの例として、任意に置換されていてもよいテトラヒドロフラン、テトラヒドロピロール、ピペリジンなどを含む。
【0018】
用語「アリール」とは、非置換もしくは置換されたフェニルもしくはナフチル基を意味する。フェニル基の置換基は、ハロゲン類(例えば、フルオロ、クロロ、及び類似のハロゲン類)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、及び類似の基)及び類似の基)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、及び類似の基)であってよい。ナフチル基の置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、及びメトキシ基であってよい。
【0019】
用語「アラルキル」とは、上記のアリールに上記アルキル基が置換して形成される基を意味する。
【0020】
用語「ヘテロアリール」とは、5もしくは6員環のN、O、もしくはSを含む芳香族複素環またはそれらのベンゾ誘導体を意味する。それらの例として、任意に置換されていてもよいフラン、チオフェン、ピロール、インドール、ピリジン、キノリンなどが挙げられる。
【0021】
本明細書中で使用される用語「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0022】
用語「アルコキシ」とは、アルキルO-基を意味し、ここでアルキル部分は、例えば上記に定義したアルキル基である。アルコキシ基の例として、メトキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、及び類似の基が挙げられる。
【0023】
用語「アシル」とは、C(O)R基(ここでRは、上記定義したH、アルキル、アリール、及びアラルキルである)を意味する。アシル基の例として、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、及び類似の基が挙げられる。
【0024】
用語「アミノ」とは、NR’R”(ここでR’及びR”は、同一であっても異なってもよく、それぞれ独立して、上記定義したH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ハロゲンである)を意味する。アミノ基の例として、ジイソプロピルアミン、ジフェニルアミン、メチルエチルアミンなどが挙げられる。
【0025】
用語「薬理学的に許容される酸」とは、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)及び有機酸(例えば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、パラトルエンスルホン酸、メチル硫酸など)の両方を含む薬理学的に許容される塩すべてを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の主題事項の1つである式(1)の化合物の間で、好ましくは以下に示す式(1.1)、(1.2)、(1.3)、及び(1.4)で表すことができる4つの化合物の群である。具体的には、好適な化合物は、
1.1. 一般式(1.1)で示すN,N’-置換3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類:
【化3】

1.2. 一般式(1.2)で示すN,N’-置換3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類:
【化4】

1.3. 一般式(1.3)で示すN,N’-置換3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類:
【化5】

1.4. 一般式(1.4)で示すN,N’-置換3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類:
【化6】

式中、
HYは、ここで及び本明細書中を通して、薬理学的に許容される酸であり、
E、R1、R3、R3’、R4、R4’、X、L、R15、R19、R19’、R20、R20’、R24及びR25は、上記に式(I)について定義したとおりである。
【0027】
(薬理学的に許容される塩及び/または遊離塩基の形態で)式1.1の最も好ましい化合物は、
3,7-ビス(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ヨード-2,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ヨード-2,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(3-アセチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(3-アセチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジメトキシ-8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジメトキシ-8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ) -2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ) -2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ) -8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ) -8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(3-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(3-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジシクロプロピル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジシクロプロピル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
N,N’-{(1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス[カルボニル(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-7,2-ジイル)]}ジアセタミド、
N,N’-{(1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス[カルボニル(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-7,2-ジイル)]}ジアセタミド、
ジメチル7,7’-[(1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ジ(カルボニル)]ビス(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボキシレート)、及び
ジメチル7,7’-[(1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ジ(カルボニル)]ビス(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボキシレート)
である。
【0028】
(薬理学的に許容される塩及び/または遊離塩基の形態で)式1.2の最も好ましい化合物は、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(4-クロロ-2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2-アセチル-4-クロロ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(4-クロロ-2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2-アセチル-4-クロロ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(7-ブロモ-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ブロモ-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
1,5-ジエチル-3,7-ビス[(6-ヨード-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジエチル-3,7-ビス[(6-ヨード-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(6-ヨードスピロ[1,3-ベンゾジオキソール-2,1-シクロヘキサン]5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(6-ヨードスピロ[1,3-ベンゾジオキソール-2,1-シクロヘキサン]5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(6-ヨード-2,2-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(6-ヨード-2,2-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス{[6-ヨード-2-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス{[6-ヨード-2-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2-アセチル-1,3-ベンジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、及び
3,7-ビス[(2-アセチル-1,3-ベンジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン
である。
【0029】
(薬理学的に許容される塩及び/または遊離塩基の形態で)式1.3の最も好ましい化合物は、
1,5-ジメチル-3,7-ビス(キノキサリン-6-イルカルボニル)-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス(キノキサリン-6-イルカルボニル)-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジイソプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジイソプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(7-ヨード-3-メトキシキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ヨード-3-メトキシキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2-ニトロキノキサリン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2-ニトロキノキサリン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(3-ブロモ-7-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(3-ブロモ-7-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
N,N’-[(1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス(カルボニルキノキサリン-6,2-ジイル)]ジアセタミド、
N,N’-[(1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス(カルボニルキノキサリン-6,2-ジイル)]ジアセタミド、
3,7-ビス[(3-シクロプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジエチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(3-シクロプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジエチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(8-ヨード-3-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(8-ヨード-3-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[1-(2-アセチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[1-(2-アセチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[1-(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、及び
3,7-ビス[1-(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン
である。
【0030】
(薬理学的に許容される塩及び/または遊離塩基の形態で)式1.4の最も好ましい化合物は、
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス[4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンジル]-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス[4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンジル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
3,7-ビス[1-({3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}アミノ)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[1-({3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}アミノ)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
N,N’-ビス{3-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-ニトロベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-ニトロベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-(アセチルアミノ)-5-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-(アセチルアミノ)-5-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{4-メトキシ-3-[{4-メトキシ-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{4-メトキシ-3-[{4-メトキシ-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
1,5-ジエチル-N,N’-ビス{3-[{3-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]-4-メトキシベンジル}-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、及び
1,5-ジエチル-N,N’-ビス{3-[{3-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]-4-メトキシベンジル}-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド
である。
【0031】
以下に、具体的な化合物の調製例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【0032】
出発原料ならびに最終化合物は、既知の方法を用いて調製するか、或いは市販されている。
【0033】
最終化合物の合成スキームを以下に示す。
【化7】

【化8】

式中、式1の場合、R”はハロゲンもしくはヒドロキシ基であり、式2の場合、R”はアミノ基である。
【0034】
合成された化合物の構造は、物質のデータ、スペクトル解析及びその他の物理的−化学的特性により同定した。
【0035】
以下に表す実施例は、本発明を具体化するものであり、限定するものではない。
【0036】
化合物例1:3,7-ビス(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン(一般式1.1に対応する化合物1)
ベンゾジオキサンカルボン酸の酸塩化物39.8g(0.2モル)の無水ベンゼン溶液に、撹拌しながら微粉状の乾燥した炭酸カリウム55.2g(0.4モル)と1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン塩酸塩24.1g(0.1モル)とを添加した。その混合物を6時間還流で加熱した。その後に、沈殿物を濾過して取り除いた。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出液としてクロロホルムを用いた。クロロホルム:エタノール(50:1)系のシルフォール(silufol)にてRf=0.43を有する溶出画分を回収した。溶媒を蒸留除去し、無色透明のオイルとして得て、それを約30分間エチルエーテル中で沸騰させることでそれらの結晶を得た。
収率:72%。
1HNMR (CDCl3 δ, ppm): 1.00 s(6H); 3.00 d (2H, J 12 Hz); 3.34 d(2H, J 12 Hz); 4.22 d (2H, J 12 Hz); 4.84d (2H, J 12 Hz); 4.3 s (8H); 芳香族プロトン[7.06 dd (2H, J2,1 8.4 Hz, J2,3 2.4 Hz); 7.09 d (2H, J3,2 2.4 Hz)]。
【0037】
化合物例2:3,7-ビス(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン(一般式1.2に対応する化合物2)
ピペロニル酸の酸塩化物37.0g(0.2モル)の無水ベンゼン溶液に、撹拌しながら微粉状の乾燥した炭酸カリウム55.2g(0.4モル)と1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン塩酸塩24.1g(0.1モル)とを添加した。その混合物を7時間還流で加熱した。その後に、沈殿物を濾過して取り除いた。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出液としてクロロホルムを用いた。クロロホルム:エタノール(50:1)系のシルフォールにてRf=0.4を有する溶出画分を回収した。溶媒を蒸留除去し、得られた無色透明のオイルは約30分間エチルエーテル中で沸騰させ、結晶化させた。
収率:69%。
1HNMR (CDCl3 δ, ppm): 1.00 s(6H); 3.00 d (2H, J 12 Hz); 3.34 d(2H, J 12 Hz); 4.22 d (2H, J 12 Hz); 4.84 d (2H, J 12 Hz); 4.3 s (8H); 芳香族プロトン[7.06 dd (2H, J2,1 8.4 Hz, J2,3 2.4 Hz); 7.09 d (2H, J3,2 2.4 Hz)]。
【0038】
化合物例3:3,7-ビス[(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン(一般式1.3に対応する化合物3)
2,3-ジメチルキノキサリン-6-カルボン酸40.4g(0.2モル)の無水ジメチルホルムアミド溶液に、撹拌および氷浴中で冷却しながらCDI(N,N’-カルボニルジイミダゾール)35.64g(0.22モル)を添加した。撹拌を8時間行った。次いで、反応溶液に、1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン塩酸塩24.1g(0.1モル)のDBU(1,8-ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7)溶液を添加した。反応系を50℃に昇温し、9時間加熱した。続いて、沈殿物を濾過して取り除いた。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出液としてクロロホルムを用いた。クロロホルム:エタノール(20:1)系のシルフォールにてRf=0.57を有する溶出画分を回収した。溶媒を蒸留除去して無色透明のオイルを得た後、長時間かけて結晶化させた。
収率:58%。
1HNMR (CDCl3 δ, ppm): 0.97 s(6H); 3.00 d (2H, J 12 Hz); 3.34 d(2H, J 12 Hz); 4.22 d (2H, J 12 Hz); 4.84 d (2H, J 12 Hz); 芳香族プロトン [7.80 d (1H, J=5,8 Hz), 8.18 s (1H), 8.20 d (1H, J=5.8 Hz), 8.94 s (2H)]。
【0039】
化合物例4:N,N’-ビス[4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンジル]-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド(一般式1.4に対応する化合物4)
4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)安息香酸52g(0.2モル)の無水ジメチルホルムアミド溶液に、撹拌および氷浴中で冷却しながらCDI35.64g(0.22モル)を添加した。撹拌を6時間継続した。続いて、1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン塩酸塩24.1g(0.1モル)のDBU溶液を反応溶液に添加した。混合物を50℃に加熱し、7時間加熱を継続した。続いて、沈殿物を濾過して取り除いた。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出液としてクロロホルムを用いた。クロロホルム:エタノール(50:1)系のシルフォールにてRf=0.68を有する溶出画分を回収した。溶媒を蒸留除去し、針状白色結晶を生成した。
収率:79%。
1HNMR (CDCl3 δ, ppm): 0.97 s(6H); 2.93 d (2H, J 12 Hz); 3.22 d(2H, J 12 Hz); 3.9 s (6H), 4.05 d (2H, J 12 Hz); 4.82 d (2H, J 12 Hz); 5,36 (4H); 芳香族プロトン [6.23 s (2H), 6.97 d (2H, J 5.7 Hz), 7.05 s (2H), 7.5 s (4H), 7.62 d (2H, J 5.9 Hz)]。
【0040】
化合物例5:3,7-ビス[(キノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン(一般式1.3に対応する化合物5)
キノキサリン-6-カルボン酸34.8g(0.2モル)の無水ジメチルホルムアミド溶液に、撹拌および氷浴中で冷却しながらCDI35.64g(0.22モル)を添加した。撹拌を5時間行った。続いて、反応溶液に、1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン塩酸塩24.1g(0.1モル)のDBU(1,8-ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7)溶液を添加した。反応系を50℃に昇温し、8時間加熱した。続いて、沈殿物を濾過して取り除いた。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに供した。溶出液としてクロロホルムを用いた。クロロホルム−エタノール(20:1)系のシルフォールにてRf=0.52を有する溶出画分を回収した。溶媒を蒸留除去して無色透明のオイルを得た後、長時間かけて結晶化させた。
収率:64%。
1HNMR (CDCl3 δ, ppm): 0.97 s(6H); 3.00 d (2H, J 12 Hz); 3.34 d(2H, J 12 Hz); 4.22 d (2H, J 12 Hz); 4.84 d (2H, J 12 Hz); 芳香族プロトン[7.80 d (1H, J=5.8 Hz), 8.18 s (1H), 8.20 d (1H, J=5.8 Hz)].
【0041】
化合物例6:3,7-ビス{N-[4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンジル]グリシル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン
3,7-ビス(クロロアセチル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン48g(0.15モル)の無水ジメチルホルムアミド溶液に、撹拌しながら[4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンジル]アミン64g(0.3モル)のDBU溶液を添加した。撹拌を30分間行った。続いて、溶媒を全体積の約3分の2に濃縮した。残渣を溶液に対して5倍量もの水で希釈し、塩化メチレンを用いて4回抽出を行った。抽出物を一緒に混合し、乾燥するまで蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィーに供した。溶出液としてクロロホルムを用いた。クロロホルム−エタノール(50:1)系のシルフォールにてRf=0.73を有する溶出画分を回収した。溶媒を蒸留除去して無色透明のオイルが得られ、ジエチルエーテルより再結晶した。
収率:85%。
1HNMR (CDCl3 δ, ppm): 0.97 s(6H); 2.93 d (2H, J 12 Hz); 3.22 d(2H, J 12 Hz), 3.5 s (4H); 3.9 s (6H), 4.05 d (2H, J 12 Hz), 4.5 br.s (2H); 4.82 d (2H, J 12 Hz); 4.9 s (4H); 5.3 d (4H); 芳香族プロトン[6.23 s (2H), 6.97 d (2H, J 5.7 Hz), 7.05 s (2H), 7.3 d (4H, J 5.8 Hz), 7.62 d (2H, J 5.9 Hz)]。
【0042】
本発明の以下の態様は、グルタミン酸AMPA受容体を増強(促進的に調節)できる、一般式(I)の化合物に関連する。
【0043】
本発明者は、AMPA受容体の応答を増強させる(かつそれ故に、記憶及び認識機構の改善をもたらす)ことが可能な化合物の探索を目的とした、ラットの小脳プルキンエ神経細胞におけるカイニン酸誘発性膜透過電流に関する新規化合物の増強効果の測定を行った。
【0044】
[CNSのグルタミン酸神経伝達系に対して影響を与える化合物のAMPA受容体特性を増強する評価方法]
AMPA受容体における物質の効果を評価するための実験は、ラット(12〜15日齢)の小脳から単離された新鮮なプルキンエ神経細胞にパッチ・クランプ法を用いて実施した。単離するのに改良された方法を用いた。厚さ400〜600μmの小脳切片を10ml恒温槽内に配置した。単離に使用される溶媒は、以下の組成物を含む:NaCl 150.0mM、KCl 5.0mM、CaCl2 2.0mM、MgSO4・7H2O 2.0mM、HEPES 10.0mM、グルコース 15.0mM、pH7.42。切片をこの溶液中で60分間インキュベートし、続いて、プロナーゼ(2mg/ml)及びコラゲナーゼ(1mg/ml)を含む同様の溶液と置換して、70分間インキュベートした。原溶液で20分間洗浄した後、切片をペトリ皿に配置し、パスツールピペットを用いた機械的方法で分離した。34℃で100%O2を用いて継続的に溶媒を吹き飛ばした。プルキンエ神経細胞を0.6mlの作業用チャンバー内に配置した。処理溶液は以下の組成を有する:NaCl 150.0mM、KCl 5.0mM、CaCl2 2.6mM、MgSO4・7H2O 2.0mM、HEPES 10.0mM、グルコース 15.0mM、pH 7.36。
【0045】
膜透過電流は、急速潅流法(fast superfusion method)を用いた、AMPA受容体のアゴニスト溶液、すなわちカイニン酸(CA)を適用することによるAMPA受容体の活性によって誘発される。カイニン酸は、AMPA受容体のアゴニストであり、AMPA受容体の特性を研究するために用いられている。AMPA自体は、受容体の極めて強い脱感作作用を示し、そのような実験において使用されない。電流は、以下の組成物で充填されたホウケイ酸微量電極(電気抵抗1.5〜2.5mOhm)を用いて測定した:KCl 100.0mM、EGTA 11.0mM、CaCl2 1.0mM、MgCl2 1.0mM、HEPES 10.0mM、ATP 5.0mM、pH7.2。
【0046】
測定するのに装置EPC-9(HEKA社、ドイツ)を用いた。電流はパルスソフトウェア(HEKA社より購入)を用いてPC Pentium(登録商標)4ハードディスクに記録した。結果はパスルフィットソフトウェア(HEKA社)を用いて処理した。
【0047】
KKを適用することで、プルキンエ神経細胞内で膜透過内向き電流が誘発される。式(I)に示す化合物をかん流液に添加することで、電流の振幅が増幅される。この増幅は、化合物、それらの濃度、化合物の適用開始後の経時変化に依存する。
【0048】
[実施例1]化合物1の用量が0.001μMでカイニン酸誘発性電流は40〜50%増幅し、0.01μMで80%増幅し、0.1μMで0%であり、1μMで-20〜-40%電流がブロックされる。3〜5分の洗浄で応答の振幅がコントロール値に戻った。
【0049】
[実施例2]化合物2の用量が0.00001μMでカイニン酸誘発性電流は10%増幅し、0.0001μMで50〜90%増幅し、0.001μMで60〜140%増幅し、0.01μMで0〜20%増幅し、0.1μMで-20〜-40%電流がブロックされる。4〜6分の洗浄で応答の振幅がコントロール値に戻った。
【0050】
得られた結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
上記の表に示すように、一般式(I)の化合物はAMPA受容体活性によって誘発される電流を増幅する特性を備えている。AMPA応答の増幅試験において、化合物の活性は標準物質メマンチンの33,000〜3,000,000倍に及び。また、活性試験において顕著な神経毒性作用は認められず(LD50値は90〜900mg/kgである)、医療分野においての使用、とりわけアルツハイマー病のような神経変性疾患を治療するのに適している。
【0053】
[急性毒性を評価するための試験の実施]
物質の急性毒性は、体重が22〜26グラムの白色非近交系マウスを用いて評価した。物質は、溶液または1%でんぷん溶液中の懸濁液として腹腔内に投与した。投与後の観察期間は14日間とした。毒性値LD50は、Litchfield及びWilcoxonの方法に従って算出した〔Litchfield及びWilcoxon、J. Pharmacol. Exp. Ther.、1949年、96巻、99〜114ページ(非特許文献16)〕。
【0054】
本発明に係る化合物の毒性の例を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
実施された試験によって、本発明に係る化合物のLD50は、90〜900mg/kgであることが示された。化学物質の毒性分類によると、これらの化合物は中程度及び低度の毒性をもつ化合物に属することになる。本発明に係る化合物の急性毒性はメマンチンの急性毒性値を若干上回るものの、比率LD50/ED50として決定される治療指数パラメータの比較より〔D.N.Plutitskyら、Chem. Pharm. J.、1986年、10号、1209〜1231ページ(非特許文献17)〕、本発明の大半の化合物がメマンチンよりも極めて有利な点を有していることを示している。
【0057】
一般的に医薬で認められているように、本発明に係る式(I)の化合物が本発明の次の実施態様をそれぞれ構成する組成物の形態で使用されることが望ましい。
【0058】
本発明に係る医薬組成物は従来知られている技術的手法を用いて調製され、医薬的に有効な量(一般的には5〜30質量%)の式(I)の化合物で表される活性薬剤またはそれらの医薬上許容される塩(以下、「活性化合物」と称す)を含み、1つ以上の医薬上許容される補助添加剤、例えば、希釈剤、結合剤、崩壊剤、吸収剤、香料、香味剤などと併用してよい。既知の方法に従って、医薬組成物は様々な液体もしくは固体の形態であってもよい。
【0059】
固体の剤形の例として、錠剤、丸薬、ゼラチンカプセルなどが挙げられる。
【0060】
注射及び非経口投与用の液体の剤形の例として、溶液、乳剤、懸濁液などが挙げられる。
【0061】
概して、組成物は、有効成分と、液体もしくは細挽きの固体キャリアとが混合される標準的な方法を用いて調製される。
【0062】
本発明に係る錠剤形態の組成物は、5〜30%の有効成分と、賦形剤もしくはキャリアとを含む。錠剤の原材料として、以下の薬剤が使用される:a)希釈剤:甜菜糖、ラクトース、グルコース、塩化ナトリウム、ソルビトール、マンニトール、グリコール、二置換リン酸カルシウム;b)結合剤:ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、澱粉糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドン;c) 崩壊剤:デキストロース、寒天、アルギニン酸もしくはその塩、澱粉、Tween(商標)。
【0063】
【表3】

【0064】
錠剤は、活性化合物を1つ以上の付加的成分とともに圧縮するか、或いは成形することで製造することができる。
【0065】
圧縮された錠剤は、特殊な機械で製造される。粉末もしくは顆粒などの自由な形状の有効成分1g(10,000個の錠剤を製造するのに必要な物質量)を、結合剤(トラガカント、200g)と共に撹拌し、希釈剤(ラクトース、549g)と混合し、崩壊剤(アルギニン酸、200g)及び香味料(クエン酸、50g)を混合物に添加した。
【0066】
ゼラチンカプセルの場合、さらに着色剤及び安定剤を用いた。着色剤としてテトラジン及びインディゴが用いられ、安定剤としてメタ重亜硫酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。ここで提案されるゼラチンカプセルは、有効成分を1〜20%含む。
【0067】
【表4】

【0068】
5gの有効成分(化合物2)(10,000個の錠剤を製造するのに必要な物質量)を細かく挽き、グリセロール(1,000g)及びシュガーシロップ(3,395g)と共にミキサーで混合した。撹拌した後、ハッカ油(400g)、安息香酸ナトリウム(100g)、アスコルビン酸(50g)、テトラジン(50g)を混合物に添加した。ゼラチンカプセルは滴下法を用いて調製した。この方法は、冷却されたワセリン油中に、薬物溶液と加熱したゼラチンの塊(900gのゼラチン)とを同時に滴下注入を行うことを可能としている。これによって、カプセルがすぐに使える状態にあり、かつ50mgの有効成分を含む医薬混合物で充填された均一球状ゼラチンカプセルの形成をもたらす。
【0069】
組成物の注入形態は、好ましくは等張液もしくは懸濁液である。上記の形態は滅菌されてよく、防腐剤(メタ重亜硫酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンとプロピルパラベンとの混合物)、安定剤(アプリコットガム(apricot gum)及びアカシアガム(acacia gum)、デキストリン、澱粉糊、メチルセルロース、Tween(商標))、浸透圧を調節する塩(塩化ナトリウム)、または緩衝剤などの添加物を含んでよい。それらは、その他の治療に有用な成分をされに含んでもよい。
【0070】
【表5】

【0071】
注入形態を製造するためには、有効成分1(1g;1,000個のアンプル剤を製造するのに必要な物質量)を細かく挽き、ハッカ油(400ml)と共にミキサーで混合し、続いてメチルセルロース(10g)を添加し、0.9%塩化ナトリウム水溶液(1,600ml)を混合し、安息香酸(10g)を添加した。調製した溶液を2mlのアンプルに充填し、30分間蒸気で滅菌を行った。
【0072】
本発明の次の態様は、一般式(I)の化合物を効果的な量投与することによるAMPA受容体への影響を通じてグルタミン酸神経伝達における機能不全と関連する神経変性疾患を治療或いは予防する方法である。
【0073】
投与するために処方される有効成分(式(I)の化合物もしくはそれらの医薬上許容される塩)の1回分は、年齢、性別、患者の体重、疾患の症状及び重症度、投与される特有の化合物、投与方法、処方される有効成分の製剤形態などの多くの要因に依存する。
【0074】
一般的には、処方される1日の全用量は0.1〜20mgである。全用量は、服用するのに数回分けてよく、例えば、毎日1〜4回に分けてもよい。経口投与の場合、有効成分の全用量は1日あたり0.1〜20mg、好ましくは0.1〜10mgの範囲であってよい。非経口投与の場合、有効成分の全用量は1日あたり0.5〜20mg、好ましくは0.5〜10mgの範囲であってよく、静脈注射の場合、1日あたり0.05〜5mg、好ましくは0.05〜2.5mgであってよい。正確な用量は担当医によって選択されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類。
【化1】

[式中、
HYは、ここで及び以下の記述において、薬理学的に許容される酸であり、
Eは、カルボニル基、CHRであり、
Rは、H、カルボニル基、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-Q
で示される基であり、式中、nは1〜10であり、Qは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR5基(式中、R5は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR5基(式中、R5は、上記定義のとおりである)、
NR6R7基(式中、R6及びR7は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R6またはR7のいずれか1つの置換基がC(O)R5基(式中、R5は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R1は、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-W
で示される基であり、式中、nは上記定義のとおりであり、かつWは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR8基(式中、R8は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR8基(式中、R8は、上記定義のとおりである)、
NR9R10基(式中、R9及びR10は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R9またはR10のいずれか1つの置換基がC(O)R8基(式中、R8は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R2は、一般式(1.1a)、(1.2a)、(1.3a)、及び(1.4a)で表され、
【化2】

式中、Lは、CHR11、カルボニル基であり、
R11は、H、低級アルキル、アルコキシ、アシル、シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、または一般式:
-(CH2)n-M
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、かつMは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
ハロゲン、
COOR12基(式中、R12は、H、アルキルである)、
CH2OR12基(式中、R12は、上記定義のとおりである)、
NR13R14基(式中、R13及びR14は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルであり、R13またはR14のいずれか1つの置換基がC(O)R12基(式中、R12は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R15は、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ基、ニトリル、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-U
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Uは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR16基(式中、R16は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルである)、
CH2OR16基(式中、R16は、上記定義のとおりである)、
NR17R18基(式中、R17及びR18は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロシクロアルキルであり、R17またはR18のいずれか1つの置換基がC(O)R16基(式中、R16は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R19、R19’、R20、及びR20’は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ基、ニトリル、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-D
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Dは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロシクロアルキル、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR21基(式中、R21は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルである)、
CH2OR21基(式中、R21は、上記定義のとおりである)、
NR22R23基(式中、R22及びR23は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロシクロアルキルであり、R22またはR23のいずれか1つの置換基がC(O)R21基(式中、R21は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R24及びR25は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ基、ニトリル、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-A
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Aは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロシクロアルキル、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR26基(式中、R26は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルである)、
CH2OR26基(式中、R26は、上記定義のとおりである)、
NR27R28基(式中、R27及びR28は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロシクロアルキルでありR27またはR28のいずれか1つの置換基がC(O)R26基(式中、R26は上記定義のとおりである)であってよい)であって、塩基の形態またはそれらと薬理学的に許容される酸類HYとの塩の形態、、
から成る群から選択され、
R3及びR3’は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、アシル、ニトロ基、ニトリル、または一般式:
-(CH2)n-G
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、Gは、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されていてもよいエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR29基(式中、R29は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR29基(式中、R29は、上記定義のとおりである)、
NR30R31基(式中、R30及びR31は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R30またはR31のいずれか1つの置換基がC(O)R29基(式中、R29は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
R4及びR4’は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ基、ニトリル、ハロゲン、アルコキシ、アシル、または一般式:
-(CH2)n-V
で示される基であり、式中、nは、上記定義のとおりであり、
低級アルキルもしくはハロゲンで任意に一もしくは二置換されてエテニル、
シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
ハロゲン、
COOR32基(式中、R32は、H、アルキル、フェニルである)、
CH2OR32基(式中、R32は、上記定義のとおりである)、
NR33R34基(式中、R33及びR34は、同一もしくは異なっていてよく、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキルであり、R33またはR34のいずれか1つの置換基がC(O)R32基(式中、R32は上記定義のとおりである)であってよい)、
から成る群から選択され、
Xは、一般式
-(CH2)m-Z-
で示される基であり、式中、mは0〜4であり、Zは、
アシル、
イソ−アルキル、
アセトキシ、
から成る群から選択されるか、或いはXは、原子価結合である。]
【請求項2】
一般式(1.1)のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類を表す、請求項1に記載の化合物。
【化3】

[式中、
HYは、ここで及び以下の記述において、薬理学的に許容される酸であり、
E、R1、R3、R3’、R4、R4’、X、L、R15、R19、R19’、R20、及びR20’は、前記式(1)で定義されたとおりである。]
【請求項3】
一般式(1.2)のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類を表す、請求項1に記載の化合物。
【化4】

[式中、
HYは、ここで及び以下の記述において、薬理学的に許容される酸であり、
E、R1、R3、R3’、R4、R4’、X、L、R15、R19、R19’、R20、及びR20’は、前記式(1)で定義されたとおりである。]
【請求項4】
一般式(1.3)のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類を表す、請求項1に記載の化合物。
【化5】

[式中、
HYは、ここで及び以下の記述において、薬理学的に許容される酸であり、
E、R1、R3、R3’、R4、R4’、X、L、R15、R19、R19’、R20、R20’、R24、及びR25は、前記式(1)で定義されたとおりである。]
【請求項5】
一般式(1.4)のN,N’-置換型3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン類を表す、請求項1に記載の化合物。
【化6】

[式中、
HYは、ここで及び以下の記述において、薬理学的に許容される酸であり、
E、R1、R3、R3’、R4、R4’、X、L、R15、R19、R19’、R20、R20’、R24、及びR25は、前記式(1)で定義されたとおりである。]
【請求項6】
3,7-ビス(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ヨード-2,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ヨード-2,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(3-アセチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(3-アセチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジメトキシ-8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジメトキシ-8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ) -2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ)-8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス{[3-(ジメチルアミノ)-8-メチル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(3-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(3-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジシクロプロピル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジシクロプロピル-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
N,N’-{(1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス[カルボニル(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-7,2-ジイル)]}ジアセタミド、
N,N’-{(1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス[カルボニル(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-7,2-ジイル)]}ジアセタミド、
ジメチル7,7’-[(1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ジ(カルボニル)]ビス(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボキシレート)、
ジメチル7,7’-[(1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ジ(カルボニル)]ビス(6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボキシレート)、
で表される請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(4-クロロ-2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2-アセチル-4-クロロ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(4-クロロ-2,2,7-トリメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2-アセチル-4-クロロ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルカルボニル)-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(7-ブロモ-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ブロモ-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
1,5-ジエチル-3,7-ビス[(6-ヨード-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジエチル-3,7-ビス[(6-ヨード-2-メトキシ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(6-ヨードスピロ[1,3-ベンゾジオキソール-2,1-シクロヘキサン]5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(6-ヨードスピロ[1,3-ベンゾジオキソール-2,1-シクロヘキサン]5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(6-ヨード-2,2-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(6-ヨード-2,2-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス{[6-ヨード-2-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス{[6-ヨード-2-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル]カルボニル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2-アセチル-1,3-ベンジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2-アセチル-1,3-ベンジオキソール-5-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
で表される、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
1,5-ジメチル-3,7-ビス(キノキサリン-6-イルカルボニル)-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス(キノキサリン-6-イルカルボニル)-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(2,3-ジイソプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(2,3-ジイソプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(7-ヨード-3-メトキシキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(7-ヨード-3-メトキシキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2-ニトロキノキサリン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
1,5-ジメチル-3,7-ビス[(2-ニトロキノキサリン-6-イル)カルボニル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(3-ブロモ-7-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(3-ブロモ-7-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
N,N’-[(1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス(カルボニルキノキサリン-6,2-ジイル)]ジアセタミド、
N,N’-[(1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジイル)ビス(カルボニルキノキサリン-6,2-ジイル)]ジアセタミド、
3,7-ビス[(3-シクロプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジエチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(3-シクロプロピルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジエチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[(8-ヨード-3-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[(8-ヨード-3-メチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[1-(2-アセチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[1-(2-アセチルキノキサリン-6-イル)カルボニル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
3,7-ビス[1-(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[1-(2,3-ジメチルキノキサリン-6-イル)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
で表される、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス[4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンジル]-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス[4-メトキシ-3-(1H-ピラゾール-1-イルメチル)ベンジル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-メチルベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
3,7-ビス[1-({3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}アミノ)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-9-オン、
3,7-ビス[1-({3-[(4-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシベンジル}アミノ)エチル]-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、
N,N’-ビス{3-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-ニトロベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]-4-メトキシ-2-ニトロベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-(アセチルアミノ)-5-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{3-(アセチルアミノ)-5-[{3,4-[(4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{4-メトキシ-3-[{4-メトキシ-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
N,N’-ビス{4-メトキシ-3-[{4-メトキシ-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]ベンジル}-1,5-ジメチル-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
1,5-ジエチル-N,N’-ビス{3-[{3-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]-4-メトキシベンジル}-9-オキソ-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド、
1,5-ジエチル-N,N’-ビス{3-[{3-ヨード-1H-ピラゾール-1-イル}メチル]-4-メトキシベンジル}-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-3,7-ジカルボキサミド
で表される、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
神経変性疾患を治療及び予防するために使用される、AMPA受容体の正アロステリック調節の誘発または強力なAMPA受容体遮断の特性を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項11】
活性物質が請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(I)で表される化合物を有効量含む、活性成分及び医薬上許容される担体を含有する神経変性疾患を治療及び予防するための医薬組成物。
【請求項12】
1日あたり0.1〜20mgの用量で一般式(I)の化合物を効果的な量投与することによってAMPA受容体への影響を通じてグルタミン酸神経伝達における機能不全と関連する神経変性疾患を治療及び予防する方法。

【公表番号】特表2010−508343(P2010−508343A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535230(P2009−535230)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/RU2007/000595
【国際公開番号】WO2008/054252
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509126128)インスティテューション・オブ・ロシアン・アカデミー・オブ・サイエンスィズ・インスティテュート・オブ・フィジオロジカリー・アクティヴ・コンパウンツ・オブ・ザ・アールエーエス・(アイピーエーシー・アールエ (1)
【Fターム(参考)】