説明

薬用多孔性ビーズをもつ手袋

エラストマー性物品は、エラストマー性材料から形成された基材本体と、ビーズの孔の中に処理剤を収容し、処理剤をエンド・ユーザに供与することができる複数の多孔性ビーズとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば、手袋のようなエラストマー性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用及び試験用手袋のようなぴったりと着用されるエラストマー性物品は、手袋エラストマー同士が付着する傾向があり、塞がりを生ずるために着用が困難である。結果として手袋は、着用を容易にするために、着用者の肌に接触する表面に粉末潤滑剤を含むものとされることが多い。最も一般的なものとして、エピクロルヒドリン処理され、架橋結合されたコーンスターチが、製造中に手袋の内部表面にふりかけられる。
コーンスターチの使用は、手袋の着用特性を改善するものではあるが、すべての用途に実行可能なものではない。このような状況の1つに、手術用手袋の用途における粉末剤の使用がある。手術領域に粉末剤の一部が不注意で入り込むと、患者に合併症を引き起こすことがある。例えば、粉末剤が病原体を運ぶことがあり、かつ、患者が粉末剤に対しアレルギー体質であることがある。
外科用及び試験用手袋の着用特性を改善するために、他の技術を使用することができる。これらの技術は、例えば、改質ラテックスから手袋を製造するもの、親水性ポリマーの内部層を使用するもの、手袋の内側表面に剥離コーティングを付与するもの、及び同様なものを含む。しかしながら、これらの技術を用いても、依然として、ある程度の塞がりが起こることがあるので、改善された着用特性を持つ手袋の必要性が残っている。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、一般に、例えば、手袋のようなエラストマー性物品に関する。物品は、エラストラマー性材料から形成された基材本体と、該エラストラマー性材料に共有結合された複数の多孔性ビーズとを含む。多孔性ビーズは、約0.01ミクロンから約0.5ミクロンまでの範囲に及ぶ大きさを有する。孔の中には、環境に放出することができる処理剤がある。多孔性ビーズは、一般に、ビニル基を有するポリマーから形成することができる。ビニル基は、カーボン・カーボン・ビニル基又はアクリレート基とすることができる。他の実施形態においては、環境は、エンド・ユーザの皮膚である。処理剤は、保湿剤、軟膏、薬剤、及び軟化剤で構成することができる。幾つかの場合には、物品は、約0.0001質量%から約10質量%までの多孔性ビーズを含むことができる。他の場合においては、物品は、約0.001質量%から約5質量%までの多孔性ビーズを含むことができる。さらに他の場合においては、物品は、約0.01質量%から約3質量%までの多孔性ビーズを含むことができる。
本発明は、さらに、第1の表面を有する基材本体と、該第1の表面の上に重なる着用層とを含むエラストマー性物品に関し、該着用層は、ポリマー性材料及び共有結合された複数の多孔性ビーズを含む。幾つかの場合においては、ポリマー性材料は、ヒドロゲルを含むことができる。多孔性ビーズは、約0.01ミクロンから約0.5ミクロンまでの範囲に及ぶ大きさを有する。孔の中には、環境に放出することができる処理剤がある。幾つかの場合においては、着用層は、約0.01質量%から約80質量%までの多孔性ビーズを含むことができる。他の場合においては、着用層は、約1質量%から約50質量%までの多孔性ビーズを含むことができる。さらに他の場合においては、着用層は、約10質量%から約25質量%までの多孔性ビーズを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明は、一般に、例えば、コンドーム又は手袋等の改善された着用特性を有するエラストマー性物品に関する。ここで用いられる「エラストマー性物品」という用語は、主にエラストマー性材料から形成される物品のことを指す。この物品は、複数の多孔性ビーズを物品の着用者に接触する表面上に含んで、着用を容易にし、かつ、処理剤を含有して供与する。ビーズは、物品を形成する材料に共有結合されるため、該ビーズを物品に付着するのに、どのような別個のバインダ材料も不要である。ビーズは、着用者に接触する表面の表面積全体を減少させるようにし、これによって着用を容易にする。ビーズは、さらに、エンド・ユーザに対して望ましい利点を与えることができる処理剤を、ある期間にわたり含有して供与することができる。本発明をさらに理解するために、より詳細な説明が以下に与えられる。
【0005】
形成されるべきエラストマー性物品、例えば手袋20(図1)は、内側すなわち着用者に接触する表面22と、外側表面24とを含む。内側表面22は、該内側表面22を形成する材料に共有結合された複数の多孔性ビーズ34(図2A及び図2Bにおいて最もよく見られる)の存在により、テクスチャード加工トポグラフィを有する。ここで用いられる「内側表面」とは、着用者の身体に接触する物品の表面のことを指す。ここで用いられる「外側表面」とは、着用者の身体から遠位側にある物品の表面のことを指す。ビーズは、手袋の厚さ全体を貫通するものではないため、該手袋の障壁特性が犠牲になることはない。
【0006】
手袋は、第1の表面28と第2の表面30とを有する基材本体26を含む(図2Aないし図2B)。ここで用いられる「第1の表面」とは、着用者の身体の近位側にある基材の表面のことを指す。ここで用いられる「第2の表面」とは、着用者の身体の遠位側にある基材の表面のことを指す。
本発明の物品は、要望に応じて単一層又は多層を含むものとすることができる。基材本体のみを含む単一層の手袋においては、第1の表面は、手袋の内側表面を形成することができる。しかしながら、着用者の身体の近位側に付加的な層を有する多層の手袋においては、該付加的な層の各々は、要望通りに内側表面の一部又は内側表面全体を形成することができる。同様に、基材本体のみを含む単一層の手袋においては、第2の表面は、手袋の外側表面を形成することができる。しかしながら、着用者の身体から遠位側に付加的な層を有する多層の手袋においては、該付加的な層の各々は、要望に応じて外側表面の一部又は外側表面全体を形成することができる。
【0007】
例えば、図2Aに示すように、物品は、基材本体26の第1の表面28の少なくとも一部の上に重なる着用層32を含むことができる。このような物品においては、着用層32は、手袋20の内側表面22の少なくとも一部を形成する。幾つかのこのような実施形態においては、着用層は、該着用層を形成する材料に共有結合された複数の多孔性ビーズ34を含むことができる。図2Bに示すように、物品はさらに、着用層32の少なくとも一部の上に重なる潤滑剤層36等の他の層を含むことができる。このような物品においては、潤滑剤層36は、手袋20の内側表面22の少なくとも一部を形成する。
本発明の物品は、あらゆる好適なエラストマー性材料、及び、例えば、浸漬、噴霧、タンブリング、乾燥及び硬化といったあらゆる好適な技術により形成することができる。ここで用いられる「エラストマー性材料」という用語は、容易に延伸又は伸張させることが可能で、延伸力又は伸長力が解除されたときには、実質的に元の形状に戻る、ポリマー性材料のことを指す。一実施形態においては、エラストマー性材料は、一般に、天然ゴム・ラテックスとして与えられる天然ゴムを含むことができる。別の実施形態においては、エラストマー性材料は、ニトリル・ブタジエン・ゴムを含むことができ、特定的には、カルボキシル化ニトリル・ブタジエン・ゴムを含むことができる。他の実施形態においては、エラストマー性材料は、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・ブロック共重合体、合成イソプレン、クロロプレン・ゴム、ポリ塩化ビニル、シリコーン・ゴム、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0008】
本発明の物品は、例えば、手袋20は、基材本体26の第1の表面28の少なくとも一部の上に重なる着用層32を含むことができる(図2A)。着用層は、手袋の着用を容易にすることができるポリマー性材料のいずれからも形成することができる。着用層28に好適な幾つかの材料の例は、以下に限定されるものではないが、例えば、1,2−シンジオタクチック・ポリブタジエンのようなポリブタジエン、ポリウレタン、アクリル・ポリマー、及び同様なものを含む。
【0009】
一実施形態においては、着用層を形成するポリマー性材料は、ヒドロゲルを含むことができる。ここで用いられる「ヒドロゲル」は、水中で、区別できる3次元構造を維持しながら、その重量の20%より多くを吸収することができるポリマー性材料のことを指す。ヒドロゲルは、様々な親水性モノマーから形成することができる。本発明と併せて用いるのに好適とすることができるヒドロゲルを形成するのに用いることができるモノマーの例は、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート(HEMA)、ヒドロキシ・エチル・アクリレート(HEA)、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、ビニル・ピロリドン、アクリルアミド、ジメチル・アクリルアミドなどを含む。幾つかの親水性モノマーがここに述べられているが、あらゆる親水性モノマーを重合して、本発明と併せて用いるのに好適とすることができるヒドロゲルを形成できることを理解すべきである。
【0010】
幾つかの場合においては、疎水性モノマーと親水性モノマーを共重合することが望ましいとすることができる。こうすることにより、結果としてもたらされるヒドロゲルの機械的特性及び性能特徴を、特定の用途のために改質することができる。このような親水性モノマーの例は、2−エチル・ヘキシル・アクリレート(EHA)、メチル・メタクリレート、スチレン、ブチル・アクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、及びアクリル化シリコーン・オリゴマーを含む。幾つかの疎水性モノマーがここに述べられているが、あらゆる疎水性モノマーを親水性モノマーと共重合して、本発明と併せて用いるのに好適とすることができるヒドロゲルを形成できることを理解すべきである。
【0011】
さらに、2つより多いモノマーを用いて、本発明と併せて用いるヒドロゲルを形成することができる。例えば、ヒドロゲルは、HEMA、MAA、及びEHAを種々の割合で含むことができる。あらゆる割合が所定の用途に好適であり、一実施形態においては、HEMA:MAA:EHAの割合は約5:1:1とすることができる。より疎水性の特徴がヒドロゲルに望まれる場合には、EHAの濃度を増加させることができる。このようにして、ヒドロゲルの特性を所定の用途のために改質することができる。
【0012】
別の実施形態においては、着用層を形成するポリマー性材料は、トリ・ブロック又はラジアル・ブロックを有する不飽和スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)ブロック共重合体を含むことができる。1つのこのような実施形態においては、SISブロック共重合体は、SISブロック共重合体の総重量の約10質量%から約20質量%までのポリスチレン・エンド・ブロック含量を有することができる。別のこのような実施形態においては、SISブロック共重合体は、SISブロック共重合体の総重量の約15質量%から約18質量%までのポリスチレン・エンド・ブロック含量を有することができる。さらに、ポリスチレン・エンド・ブロックの分子量は、典型的には、少なくとも約5,000グラム/モルとすることができる。好適なミッド・ブロックの不飽和SISブロック共重合体の幾つかの例は、以下に限定されるものではないが、Kraton PolymersからKRATON(登録商標)D1107という名称で入手可能なもの、及びテキサス州ヒューストン所在のDexco PolymersからVECTOR(登録商標)511及びVECTOR(登録商標)4111という名称で入手可能なものを含む。
【0013】
さらに別の実施形態においては、着用層を形成するポリマー性材料は、不飽和スチレン・ブチレン・スチレン(SBS)ブロック共重合体を含むことができる。着用層として用いるのに好適なSBSブロック共重合体の一例は、Dexco Polymers(テキサス州ヒューストン所在)からVECTOR(登録商標)8508という商品名で商業的に入手可能である。VECTOR(登録商標)8508は、アニオン重合を用いて生成された、線形の純粋なトリブロック共重合体(1%より少ないジブロック共重合体を含有する)であると考えられている。着用層として用いるのに好適とすることができるSBSポリマーの別の例は、さらに、Dexco Polymers(テキサス州ヒューストン所在)からVECTOR(登録商標)8550という商品名で商業的に入手可能である。
着用層を形成するのに用いることができる種々のポリマー性材料がここに述べられたが、要望に応じて、あらゆる好適なポリマー性材料を用いることができることを理解すべきである。
【0014】
本発明によれば、基材本体又は着用層は、複数の多孔性ビーズを含むことができる。ビーズは、どのような形状であってもよく、幾つかの場合においては、球状の形状を有することができる。他の実施形態においては、ビーズは、楕円形の形状を有することができる。さらに他の実施形態においては、ビーズは不規則な形状を有することができる。
多孔性ビーズは、該ビーズが物品の形成中に、可塑化したり、溶解したり、分離したり、或いは劣化したりしないのであれば、基材本体又は着用層を形成する材料に共有結合することができるあらゆる材料から形成してもよい。
一般に、ビーズは、ビニル基を有するあらゆるポリマーから形成することができる。ビニル基は、次いで、要望に応じて、ビーズを基材本体又は着用層を形成する材料に共有結合するのに用いることができる。幾つかの実施形態においては、材料は、カーボン・カーボン・ビニル基を含むことができる。他の実施形態においては、材料は、アクリレート基を含むことができる。
本発明のビーズは、様々な方法により形成することができる。種々の技術がここに述べられているが、あらゆる他の好適な技術を用いることができることを理解すべきである。
【0015】
一実施形態においては、ビーズは、必要なビニル官能基を含むように合成することができる。この技術が用いられる場合には、ビニル官能基は、多孔性ビーズ全体にわたり存在する可能性がある。このような材料は、ヒドロキシ・エチル・メタクリレート(HEMA)、ヒドロキシ・エチル・アクリレート(HEA)、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、ビニル・ピロリドン、アクリルアミド、ジメチル・アクリルアミド、2−エチル・ヘキシル・アクリレート(EHA)、メチル・メタクリレート、スチレン、ブチル・アクリレート、ヒドロキシ・プロピル・メタクリレート、及びアクリル化シリコーン・オリゴマーなどのようなビニル基を有するモノマーのポリマー、共重合体、ターポリマーなどを含むことができる。幾つかのこのようなモノマーがここに述べられているが、ビニル官能基を有するあらゆるポリマー性ビーズを本発明と併せて用いることができることを理解すべきである。
【0016】
別の実施形態においては、ビーズは、ヒドロキシル官能基を有する材料から形成することができる。ビーズは次いで、必要なビニル基を有する材料と反応させられて、ビニル基を、ビーズを形成する材料に導入する。ヒドロキシル官能基を含む材料の例は、ポリビニル・アルコール、シリカ、及び、ビニル官能基(例えば、ビニル・アルコール)をもつモノマーと及び別のモノマー(例えば、スチレン、マチル・メタクリレート(MMA)、エチレン、又はプロピレン)との共重合体を含む。
【0017】
さらに別の実施形態においては、ビーズは、ヒドロキシル官能基をもたないが、表面変換を受けてヒドロキシル基を該ビーズの表面に生成することができる材料から形成することができる。このような材料の例は、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン樹脂、カルボキシル化メラミン樹脂、ポリビニルトルエン、ポリスチレン、スチレン及びブタジエンの共重合体、スチレン及びビニルトルエンの共重合体、スチレン及びジビニルベンゼンの共重合体、及び、スチレン及びメタクリル酸の共重合体を含む。このようなビーズは、次いで、表面変換工程を受けて、これによってヒドロキシル基が初めの材料に導入される。例えば、PMMAにエステル交換工程を受けさせて、ヒドロキシル基を導入することができる。ポリプロピレン及びポリウレタンのような他の材料を、例えば、オゾンに曝し、次いで加熱して、必要なヒドロキシル基を導入することができる。ここでは、例示的な酸化技術が述べられているが、当業者であれば、要望に応じて、他の酸化技術を採用できることを理解すべきである。ヒドロキシル基は、次いで、これを適切な化学物質と反応させることにより、アクリレート基に変換することができる。
【0018】
したがって、1つの場合においては、初めの材料は、後に、基材本体又は着用層に共有取り付けするのに必要なビニル官能基を含まない複数のビーズを含むことができる。PMMAビーズは、水性エチレン・グリコール中に懸架することができる。酸性条件又は塩基条件を用いてエステル交換反応を触媒することにより、PMMAのメチル基がヒドロキシル基と置き換えられる。ヒドロキシル基は、次いで、例えば、2−イソシアナトエチル・メタクリレートと反応可能になる。2−イソシアナトエチル・メタクリレートのイソシアナト部分が、ヒドロキシル改質されたPMMAビーズと反応して、表面アクリル化官能基ビーズをもたらす。別の例においては、ヒドロキシル基は、グリシジル・メタクリレートと反応させることができる。この場合においては、グリシジル・メタクリレートのエポキシ部分がヒドロキシル改質されたPMMAビーズと反応して、ここでも表面アクリル化官能基ビーズをもたらす。
【0019】
必要な孔をビーズに付与するのに、多数の技術が好適となり得る。例えば、1つの合成技術では、ビーズを製造するのに用いられるモノマーの乳化重合中に、別のポリマーを溶液に加えることができる。この加えられたポリマーは、ビーズのマトリックス内に物理的にトラップされるが、ビーズに化学的に付着するわけではない。ビーズが、取り込まれたポリマーと重合されると、次いで、加えられたポリマーを溶解できる溶剤を用いて、加えられたポリマーを抽出することが可能になる。可溶ポリマーが抽出されると、制御可能で望ましい程度の孔を呈するビーズが残る。
【0020】
多孔性ビーズを製造するための別の好適な方法は、超臨界二酸化炭素の付加によるものである。この場合には、モノマーは、超臨界二酸化炭素流体に溶ける。次いで、ビーズの重合が生じることが可能になる。しかし、合成工程の終わりには、超臨界二酸化炭素が気圧に放出される。このことにより、超臨界二酸化炭素が膨張し、合成ビーズに望ましい程度の多孔率を生成する。
【0021】
幾つかの実施形態においては、ビーズの孔は、約0.01ミクロンから約0.5ミクロンまでの範囲の直径にすることができる。ビーズは、次いで、例えば、ユーザの皮膚の健康を高めることができる望ましい処理剤又は薬剤に含浸させることができる。このような処理剤の典型的な例は、これらに限定されるものではないが、保湿剤、軟膏、薬剤、及び軟化剤を含む。これらの幾つかの特定の例は、これらに限定されるものではないが、アロエ、ビタミンE、ラノリン、ポリエチレン・グリコール、グリセリン、及び鉱物油を含む。
【0022】
これらの処理剤は、ビーズが手袋に適用される前に孔に組み込んでもよいし、又は、手袋を処理剤又はそれぞれの薬剤溶液に浸漬、被覆、又は漬けることにより孔が充填される工程の後に組み込んでもよい。後者の場合には、処理剤の適用の後には、水リンスのようなすすぎが続き、余分な薬剤を手袋表面から除去する。処理剤は、実質的には、ビーズの孔の中だけに含有されることが望ましい。しかし、処理剤の幾らかの量は、ビーズ表面上に現れるが、処理剤を孔自体の中に完全に収容することが目的であることが理解される。
【0023】
多孔性ビーズの中に組み込むことができる処理剤の量は、合計空隙体積の関数であり、すなわち、合計ビーズに対するビーズの孔である。すなわち、孔が、40%の空隙体積を含むビーズをもたらした場合には、残りの60%は固体ビーズからなり、40%の空隙体積は、それぞれの処理剤を収容するのに利用可能である。幾つかの実施形態においては、例示的なビーズの合計体積の約0.1%から約90%までの範囲の空隙体積を与えることが望ましいとすることができる。他の実施形態においては、例示的なビーズの合計体積の約20%から約50%までの範囲の空隙体積を与えることが望ましいとすることができる。
【0024】
薬剤がビーズから放出される速度は、典型的には、孔を通る処理剤の拡散速度の関数である。さらに、ビーズの空隙体積、物品が着用されるとき或いは別の方法により曝されるときにビーズにかかる剪断力は、拡散速度にある程度作用する。放出速度は、単位時間にわたりビーズの単位面積毎に、ビーズから放出された処理剤のグラムにより定義することができる。したがって、ビーズの孔の空隙体積が増加すると、放出速度が増加することが予測でき、さらに、放出速度は、ビーズが曝される剪断力に応じて増加する。
【0025】
ユーザに対する処理剤の制御されたタイミングの放出には2つの基本的な機構がある。第1のものは、ビーズにおける孔からの処理剤をユーザの手に拡散することによるものである。これは、目標点、例えば、手袋の場合においては、ユーザの手と比較した、孔の中に収容される処理剤との間の濃度勾配によるものである。処理剤は、孔においては100%の濃度であり、目標すなわちユーザの手では0%の濃度を有する。換言すると、エンド・ユーザの手には、手袋着用前に、どのような処理剤もない。この100%から0%への濃度勾配は、処理剤を孔の外に拡散させて、手と接触させるようにする。処理剤の放出を引き起す他の機構は、多孔性ビーズ表面上を手でこする摩擦によるものである。これは、孔表面における処理剤に「ひきずり」剪断力をもたらして、ユーザの手に流れ出ていくようにする。
【0026】
長時間の処置のためには、処理剤が孔から放出される速度を遅くすることが有利になる。これにより、放出がより長く続くようになり、エンド・ユーザによって、さらに効率的に使用できるようになる。対照的に、検診のように短時間の処置のためには、処置が完了する前に、できるだけ多くの処理剤が出てくることが有利とすることができる。このことは、潜在的に、ビーズの中に収容される処理剤を十分に使用できるようにする。処理剤の放出速度を速くする1つの方法は、界面活性剤を処理製剤に加えて、処理剤がエンド・ユーザの手を「濡らす」能力を高めることである。エンド・ユーザが発生した水分で処理剤が濡れることは、処理剤がビーズの孔から流れ出る速度が増加する理由になる。
【0027】
概して、拡散速度は、孔表面からのほとんど即時的な放出から、数時間にわたり行われるタイミングされた放出に及ぶ範囲で生じるようにすることができる。上述のように、ほとんど即時的な放出は、「ひきずり」剪断力により生成することができる。
【0028】
物品に対するビーズの適用は、上述のように達成される。多孔性ビーズは、基材本体を形成する材料に共有結合される。着用層が本発明の物品に含まれる場合には、ビーズ34を、着用層32自体を形成する材料に共有結合することが望ましいとすることができる(図2A)。上述のように、多孔性ビーズは、多孔性ビーズの直接合成及びポリマー・ビーズの表面変換を含む様々な方法により形成することができる(適切な化学物質との反応と結合されたエステル交換により、アクリレート基を表面に付着させる)。1つの場合には、多孔性ビーズを、例えばHEMA及び上述される他のモノマーから形成することができるヒドロゲル着用層に共有結合することができる。これを行うためには、多孔性ビーズを、例えば、ヒドロゲル着用層を形成するのに用いられるモノマー及びフリー・ラジカル開始剤の水溶液に懸架することができる。フリー・ラジカル重合が開始されると、モノマーが長さにおいて成長するポリマー鎖を形成し、さらに、多孔性ビーズを、このビーズのアクリレート官能基により、構造の中に組み込む。このように、ビーズが、手袋の着用層を形成するのに用いられるヒドロゲル・ポリマー材料に共有結合される。さらに、上述されるように、処理剤は、ビーズが物品に結合される前又は後のいずれにおいても、ビーズに組み込むことができる。
【0029】
ビーズは、着用層の物理的一体性を犠牲にしたり、又は、その目的を妨げることなく着用を容易にするあらゆる好適な量で存在することができる。幾つかの実施形態においては、ビーズは、結果としてもたらされる(乾燥した)着用層の約0.01質量%から約80質量%までの量で存在することができる。他の実施形態においては、ビーズは、結果としてもたらされる(乾燥した)着用層の約1質量%から約50質量%までの量で存在することができる。さらに他の実施形態においては、ビーズは、結果としてもたらされる(乾燥した)着用層の約10質量%から約25質量%までの量で存在することができる。
幾つかの場合においては、結果としてもたらされる(乾燥した)着用層は、結果としてもたらされる(凝固された)手袋の約5質量%で存在することができる。したがって、一実施形態においては、多孔性ビーズは、結果としてもたらされる(凝固された)手袋の約0.0001質量%から約10質量%までの量で存在することができる。別の実施形態においては、多孔性ビーズは、結果としてもたらされる(凝固された)手袋の約0.001質量%から約5質量%までの量で存在することができる。さらに別の実施形態においては、多孔性ビーズは、結果としてもたらされる(凝固された)手袋の約0.01質量%から約3質量%までの量で存在することができる。
【0030】
幾つかの実施形態においては、物品の着用を助けるために、着用層32の少なくとも一部の上に潤滑剤層36を重ねることができる(図2B)。一実施形態においては、潤滑剤層は、シリコーン又はシリコーンベースの成分を含むことができる。ここで用いられる「シリコーン」という用語は、一般に、これらに限定されるものではないが、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、ポリエーテル基、アルデヒド基、ケトン基、アミド基、エステル基及びチオール基からなる群から選択された水素結合官能基を有するポリジメチルシロキサン及びポリシロキサンを含む、反復ケイ素・酸素主鎖を有する幅広い合成ポリマー系のことを指す。幾つかの実施形態においては、ポリジメチルシロキサン及び/又は改質ポリシロキサンを、本発明によるシリコーン成分として用いることができる。本発明に用いることができる幾つかの好適な改質ポリシロキサンとしては、これらに限定されるものではないが、フェニル改質ポリシロキサン、ビニル改質ポリシロキサン、メチル改質ポリシロキサン、フルオロ改質ポリシロキサン、アルキル改質ポリシロキサン、アルコキシ改質ポリシロキサン、アミノ改質ポリシロキサン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
幾つかの好適なフェニル改質ポリシロキサンの例は、以下に限定されるものではないが、ジメチルジフェニルポリシロキサン共重合体、ジメチル及びメチルフェニルポリシロキサン共重合体、ポリメチルフェニルシロキサン、及びメチルフェニル及びジメチルシロキサン共重合体を含む。比較的低いフェニル含量(約50モル%より少ない)を有するフェニル改質ポリシロキサンが、本発明において特に有効とすることができる。例えば、フェニル改質ポリシロキサンは、ジフェニルシロキサン改質ジメチルポリシロキサンのようなジフェニル改質シリコーンとすることができる。幾つかの実施形態においては、フェニル改質ポリシロキサンは、約0.5モル%から約50モル%までの量のフェニル単位を含有する。他の実施形態においては、フェニル改質ポリシロキサンは、約25モル%より少ない量のフェニル単位を含有する。さらに他の実施形態においては、フェニル改質ポリシロキサンは、約15モル%より少ない量のフェニル単位を含有する。1つの特定の実施形態においては、約5モル%より少ない量のジフェニルシロキサン単位を含有するジフェニルシロキサン改質ジメチルポリシロキサンを用いることができる。さらに別の実施形態においては、約2モル%より少ない量のジフェニルシロキサン単位を含有するジフェニルシロキサン改質ジメチルポリシロキサンを用いることができる。ジフェニルシロキサン改質ジメチルポリシロキサンは、ジフェニルシロキサンをジメチルシロキサンと反応させることにより合成することができる。
上述のように、フルオロ改質ポリシロキサンを、さらに、本発明と併せて用いることができる。例えば、用いることができる1つの好適なフルオロ改質ポリシロキサンは、トリフルオロプロピルシロキサン改質ジメチルポリシロキサンのようなトリフルオロプロピル改質ポリシロキサンである。トリフルオロプロピルシロキサン改質ジメチルポリシロキサンは、メチル3,3,3,トリフルオロプロピルシロキサンをジメチルシロキサンと反応させることにより合成することができる。フルオロ改質シリコーンは、トリフルオロプロピルシロキサン単位のようなフルオロ基の、約5モル%から約95モル%までを含有することができる。別の実施形態においては、フルオロ改質シリコーンは、フルオロ基の約40モル%から約60モル%までを含有することができる。さらに別の実施形態においては、50モル%のトリフルオロプロピルシロキサン単位を含有するトリフルオロプロピルシロキサン改質ジメチルポリシロキサンを用いることができる。
【0032】
他の改質ポリシロキサンを本発明と併せて使用することができる。例えば、幾つかの好適なビニル改質ポリシロキサンは、以下に限定されるものではないが、ビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサン、ビニルメチル及びジメチルポリシロキサン共重合体、ビニルジメチル末端ビニルメチル及びジメチルポリシロキサン共重合体、ジビニルメチル末端ポリジメチルシロキサン、及びビニルフェニルメチル末端ポリジメチルシロキサンを含む。さらに、用いることができる幾つかのメチル改質ポリシロキサンは、以下に限定されるものではないが、ジメチルヒドロ末端ポリジメチルシロキサン、メチルヒドロ、及び、ジメチルポリシロキサン共重合体、メチルヒドロ末端メチルオクチルシロキサン共重合体、及び、メチルヒドロ、及びフェニルメチル・シロキサン共重合体を含む。さらに、アミノ改質ポリシロキサンの幾つかの例は、これらに限定されるものではないが、ポリメチル(3−アミノプロピル)−シロキサン及びポリメチル[3−(2−アミノエチル)アミノプロピル]−シロキサンを含む。
【0033】
上述の特定のポリシロキサンは、適切な末端キャップ単位を有する環状ジメチルシロキサン及び環状ジフェニルシロキサン又は環状トリフルオロプロピルシロキサンの重合又は共重合から形成された、ヘテロ又は共重合体を含むように意味される。したがって、例えば、「ジフェニル改質ジメチルポリシロキサン」及び「ジフェニルポリシロキサン及びジメチルポリシロキサンの共重合体」という用語は、区別なく用いることができる。さらに、本発明と併せて用いることができる適切なポリシロキサンの他の例は、Chenに付与された米国特許第5,742,943号、及びWeikel他に付与された米国特許第6,306,514号に説明されると考えられ、これらの特許は、全ての目的についてその全体を引用により本明細書に組み入れる。
【0034】
幾つかの実施形態においては、潤滑剤層は、シリコーン・エマルジョンを含むことができる。本発明と共に用いるのに好適とすることができるこのようなシリコーン・エマルジョンの1つは、Dow Corning Corporation社(ミシガン州ミッドランド所在)から市販されているDC365という予乳化シリコーン(35%TSC)である。DC365は、40ないし70質量%の水(水性溶剤)と、30ないし60質量%のメチル改質ポリジメチルシロキサン(シリコーン)と、1ないし5質量%のプロピレン・グリコール(非水性溶剤)と、1ないし5質量%のポリエチレン・グリコール・ソルビタン・モノラウレート(非イオン性界面活性剤)と、1ないし5質量%のオクチルフェノキシ・ポリエトキシ・エタノール(非イオン性界面活性剤)とを含有すると考えられている。本発明と共に用いるのに好適とすることができる別のシリコーン・エマルジョンは、GE Silicones社(ニューヨーク州ウォーターフォールド所在)から市販されているSM2140である。SM2140は、30ないし60質量%の水(水性溶剤)と、30ないし60質量%のアミノ改質ポリジメチルシロキサン(シリコーン)と、1ないし5質量%のエトキシ化ノニル・フェノール(非イオン性界面活性剤)と、1ないし5質量%のトリメチル−4−ノニルオキシポリエチレンオキシ・エタノール(非イオン性界面活性剤)と、少量の割合のアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、及び1,4ジオキサンとを含有すると考えられている。予乳化シリコーン(50%TSC)である。本発明と共に用いるのに好適とすることができる別のシリコーン・エマルジョンは、GE Silicones社(ニューショーク州ウォーターフォールド所在)から入手可能なSM2169である。SM2169は、30ないし60質量%の水と、60ないし80質量%のポリジメチルシロキサンと、1ないし5質量%のポリオキシエチレン・ラウリル・エーテルと、少量の割合のホルムアルデヒドとを含有すると考えられている予乳化シリコーンである。本発明と共に用いるのに好適とすることができるさらに別のシリコーンは、AF−60という商標名で、GE Silicones社(ニューショーク州ウォーターフォールド所在)から市販されている。AF−60は、ポリジメチルシロキサンと、アセチルアルデヒドと、少量の割合の乳化剤とを含有すると考えられている。所望の場合には、使用する前に、これらの予乳化シリコーンを水又は他の溶剤で希釈することができる。
【0035】
別の実施形態においては、潤滑剤層は、VERISOFT(登録商標)BTMSという商標名で、オハイオ州ダブリン所在のGoldschmidt Chemical Corporation社から市販されているもの等の第4級アンモニウム化合物を含有することができる。VERISOFT(登録商標)BTMSは、硫酸ベヘニル・トリメチルと、セチル・アルコールとを含有すると考えられている。従って、例えば、一実施形態においては、潤滑剤は、VERISOFT(登録商標)BTMS等の第4級アンモニウム化合物と、SM2169等のシリコーン・エマルジョンとを含む。
別の実施形態においては、潤滑剤層は、例えば、カチオン性界面活性剤(例えば、塩化セチルピリジウム)、アニオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
幾つかの実施形態においては、1つ又はそれ以上のカチオン性界面活性剤を用いることができる。本発明と共に用いるのに適したものとなるカチオン性界面活性剤の例としては、例えば、ベヘントリモニウム・メトサルフェート、ジステアリルジモニウム・クロリド、ジメチル・ジオクタデシル・アンモニウム・クロリド、セチルピリジニウム・クロリド、メチルベンゼトニウム・クロリド、ヘキサデシルピリジニウム・クロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム・クロリド、ベンズアルコニウム・クロリド、ドデシルピリジニウム・クロリド、それらに対応する臭化物、ハロゲン化ヒドロキシエチルヘプタデシルイミダゾリウム、ココ・アミノプロピル・ベタイン、及びココナッツ・アルキルジメチルアンモニウム・ベタインが挙げられる。用いることができる付加的なカチオン性界面活性剤として、メチル・ビス(水素化タロー・アミドエチル)−2−ヒドロキシエチル・アンモニウム・メチル・サルフェート、メチル・ビス(タローアミド・エチル)−2−ヒドロキシエチル・アンモニウム・メチル・サルフェート、メチル・ビス(大豆アミドエチル)−2−ヒドロキシエチル・アンモニウム・メチル・サルフェート、メチル・ビス(カノーラ・アミドエチル)−2−ヒドロキシエチル・アンモニウム・メチル・サルフェート、メチル・ビス(タローアミド・エチル)−2−タロー・イミダゾリニウム・メチル・サルフェート、メチル・ビス(水酸化タローアミド・エチル)−2−水素化タロー・イミダゾリニウム・メチル・サルフェート、メチル・ビス(エチル・タローエート)−2−ヒドロキシエチル・アンモニウム・メチル・サルフェート、メチル・ビス(エチル・タローエート)−2−ヒドロキシエチル・アンモニウム・メチル・サルフェート、ニ水素化タロー・ジメチル・アンモニウム・クロリド、ジデシル・ジメチル・アンモニウム・クロリド、ジオクチル・ジメチル・アンモニウム・クロリド、オクチル・デシル・ジメチル・アンモニウム・クロリド、ジアミドアミン・エトキシレート、ジアミドアミン・イミダゾリン、及び第4級エステル塩が挙げられる。
【0037】
幾つかの実施形態においては、1つ又はそれ以上の非イオン性界面活性剤を用いることができる。非イオン性界面活性剤は、通常、長鎖アルキル基又はアルキル化アリール基等の疎水性塩基と、特定の数(例えば、1から約30まで)のエトキシ及び/又はプロポキシ部分を含む親水鎖とを有する。用いることができる非イオン界面活性剤の幾つかの類の例としては、これらに限定されるものではないが、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化及びプロポキシル化脂肪アルコール、メチル・グルコースのポリエチレン・グリコール・エーテル、ソルビトールのポリエチレン・グリコール・エーテル、エチレン・オキシド・プロピレン・オキシド・ブロック共重合体、脂肪(C8−C18)酸のエトリキル化エステル、長鎖アミン又はアミドを有するエチレン・オキシド縮合生成物、アルコールを有するエチレン・オキシド縮合生成物、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
適切な非イオン性界面活性剤の特定の例として、これらに限定されるものではないが、メチル・グルセス−10、PEG−20メチル・グルコース・ジステアレート、PEG−20メチル・グルコース・セスキステアレート、C11-15パレス−20、セテス−8、セテス−12、ドドキシノール−12、ラウレス−15、PEG−20ひまし油、ポリソルベート20、ステアレス−20、ポリオキシエチレン−10セチル・エーテル、ポリオキシエチレン−10ステアリル・エーテル、ポリオキシエチレン−20セチル・エーテル、ポリオキシエチレン−10オレイル・エーテル、ポリオキシエチレン−20オレイル・エーテル、エトキシル化ノニル・フェノール、エトキシル化オクチルフェノール、エトキシル化ドデシルフェノール、又は3から20までのエチレン・オキシド部分を含むエトキシル化脂肪(C6−C22)アルコール、ポリオキシエチレン−20イソヘキサデシル・エーテル、ポリオキシエチレン−23グリセロール・ラウレート、ポリオキシ−エチレン−20グリセリル・ステアレート、PPG−10メチル・グルコース・エーテル、PPG−20メチル・グルコース・エーテル、ポリオキシエチレン−20ソルビタン・モノエステル、ポリオキシエチレン−80ひまし油、ポリオキシエチレン−15トリデシル・エーテル、ポリオキシ・エチレン−6トリデシル・エーテル、ラウレス−2、ラウレス−3、ラウレス−4、PEG−3ひまし油、PEG600ジオレエート、PEG400ジオレエート、オキシエタノール、2,6,8−トリメチル−4−ノニルオキシポリエチレン・オキシエタノール、オクチルフェノキシ・ポリエトキシ・エタノール、ノニルフェノキシ・ポリエトキシ・エタノール、2,6,8−トリメチル−4−ノニルオキシポリエチレン・アルキレンオキシポリエチレンオキシエタノール、アルキレンオキシポリエチレンオキシエタノール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
用いることができる付加的な非イオン性界面活性剤としては、約5モルから約30モルまでのエチレン・オキシドで縮合された直鎖又は枝分れ鎖構成の、約8から約18までの炭素原子を含有する第2級脂肪族アルコール縮合物である、水溶性アルコール・エチレン・オキシド縮合物が挙げられる。このような非イオン性界面活性剤は、Union Carbide Corp.社(コネチカット州ダンベリー所在)から、Tergitol(登録商標)という商標名で市販されている。上記の種類のこうした市販されている非イオン性界面活性剤の特定の例は、Union Carbide Corp.社(コネチカット州ダンベリー所在)によって販売されている、9モルのエチレン・オキシド(Tergitol(登録商標)15−S−9)か、又は12モルのエチレン・オキシド(Tergitol(登録商標)15−S−12)のいずれかで縮合されたC11−C15第2級アルカノールである。
【0040】
他の適切な非イオン性界面活性剤としては、約5モルから約30モルのエチレン・オキシドを有する直鎖又は枝分れ鎖アルキル基の、約8から約18までの炭素原子を含有する1モルのアルキルフェノールのポリエチレン・オキシド縮合物が挙げられる。アルキル・フェノール・エトキシレートの特定の例としては、ノニル・フェノール1モル当たり約9.5モルのエチレン・オキシドで縮合されたノニル、フェノール1モル当たり約12モルのエチレン・オキシドで縮合されたジノリル・フェノール、フェノール1モル当たり約15モルのエチレン・オキシドで縮合されたジノリル・フェノール、及びフェノール1モル当たり約15モルのエチレン・オキシドで縮合されたジイソオクチル・フェノールが挙げられる。この種類の市販されている非イオン性界面活性剤としては、ISP Corp.社(ニュージャージー州ウェイン所在)によって販売されているIgepal(登録商標)CO−630(ノニル・フェノール・エトキシレート)が挙げられる。適切な非イオン性エトキシル化オクチル及びノニル・フェノールとしては、約7から約13までのエトキシ単位を有するものが挙げられる。
【0041】
幾つかの実施形態においては、1つ又はそれ以上の両性界面活性剤を用いることができる。本発明と共に用いるのに適したものとなる1つの部類の両性界面活性剤としては、直鎖又は枝分れ鎖の脂肪族ラジカルを有する第2級及び第3級アミン誘導体が挙げられ、ここでは、脂肪酸置換基の1つは、約8から18までの炭素原子を含有し、且つ、該脂肪酸置換基の少なくとも1つは、カルボキシ基、スルホン酸塩基、又は硫酸塩基等のアニオン性水可溶化基を含有する。両性界面活性剤の幾つかの例としては、これらに限定されるものではないが、3−(ドデシルアミノ)プロピオン酸ナトリウム、3−(ドデシルアミノ)−プロパン−1−スルホン酸ナトリウム、2−(ドデシルアミノ)エチル硫酸ナトリウム、2−(ドデシルアミノ)オクタデカン酸ナトリウム、3−(N−カルボキシメチル−ドデシルアミノ)プロパン−1−スルホン酸二ナトリウム、1−カルボキシメチル−2−ウンデシルイミダゾールナトリウム、オクタデシルイミノジアセテート二ナトリウム、及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−サルファト−3−ドデコキシプロピルアミンナトリウムが挙げられる。
【0042】
好適な両性界面活性剤の付加的な部類として、ホスホベタイン及びホスフィタインが挙げられる。例えば、このような両性界面活性剤の幾つかの例としては、これらに限定されるものではないが、ココナッツN−メチル・タウレート・ナトリウム、オレイルN−メチル・タウレート・ナトリウム、トール油酸N−メチル・タウレート・ナトリウム、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、パルミトイルN−メチル・タウレート・ナトリウム、オレイルジメチルガンマカルボキシプロピルベタイン、ラウリル・ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−カルボキシエチルベタイン、オレアミドPEG−2スルホスクシネートニナトリウム、ラウリルアミド・ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピルサルタイン、ラウリル・ビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ココアミドジメチルプロピルサルタイン、ステアリルアミドジメチルプロピルサルタイン、TEAオレアミドPEG−2スルホスクシネート、オレアミドMEAスルホスクシネート二ナトリウム、オレアミドMIPAスルホスクシネート二ナトリウム、リシノールアミドMEAスルホスクシネートニナトリウム、ウンデシレンアミドMEAスルホスクシネートニナトリウム、小麦麦芽アミドMEAスルホスクシネートニナトリウム、小麦麦芽アミドPEG−2スルホスクシネートニナトリウム、イソステアラミドMEAスルホスクシネート二ナトリウム、ココアミド・プロピル・ホスフィタイン一ナトリウム、ラウリン酸ミリスチン酸アミド・プロピル一ナトリウム・ホスフィタイン、ココアミド3−ヒドロキシプロピル・ホスホベタイン二ナトリウム、ラウリン酸ミリスチン酸アミド3−ヒドロキシプロピル・ホスホベタイン二ナトリウム、ラウリン酸ミリスチン酸アミド・グリセリル・ホスホベタイン、ラウリン酸ミリスチン酸アミドカルボキシ3−ヒドロキシプロピル・ホスホベタイン二ナトリウム、ココアンホグリシネート、ココアンホカルボキシグリシネート、カプリロアンホカルボキシグリシネート、ラウロアンホカルボキシグリシネート、ラウロアンホグリシネート、カプリロアンホカルボキシプロピオネート、ラウロアンホカルボキシプロピオネート、ココアンホプロピオネート、ココアンホカルボキシプロピオネート、ジヒドロキシエチル・タロー・グリシネート、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0043】
特定の状況においては、1つ又はそれ以上のアニオン性界面活性剤を用いることができる。好適なアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、アルキル硫酸塩、アルキル・エーテル硫酸塩、アルキル・エーテル・スルホン酸塩、アルキルフェノキシ・ポリオキシエチレン・エタノールの硫酸エステル、アルファ・オレフィン・スルホネート、ベータ・アルコキシ・アルカン・スルホネート、アルキルラウリル・スルホン酸塩、アルキル・モノグリセリド硫酸塩、アルキル・モノグリセリド硫酸塩、炭酸アルキル、アルキル・エーテル・カルボキレート、脂肪酸、スルホスクシネート、サルコシネート、オクトオキシノール又はノノオキシノール・ホスフェート、タウレート、脂肪タウリド、脂肪酸アミド・ポリオキシエチレン・サルフェート、イセチオネート、又はそれらの混合物が挙げられる。
幾つかの好適なアニオン性界面活性剤の特定の例としては、これらに限定されるものではないが、C8−C18アルキル硫酸塩、C8−C18脂肪酸塩、1モル又は2モルのエトキシ化を有するC8−C18アルキル・エーテル硫酸塩、C8−C18アルカミン・オキシド、C8−C18アルコイル・サルコシネート、C8−C18スルホ酢酸塩、C8−C18スルホコハク酸塩、C8−C18アルキル・ジフェニルオキシド・ジスルホネート、C8−C18炭酸アルキル、C8−C18アルファ・オレフィン・スルホン酸塩、メチル・エステル・スルホン酸塩、及びそれらの配合物が挙げられる。C8−C18アルキル基は、直鎖(例えば、ラウリル)又は枝分かれ鎖(例えば、2−エチルヘキシル)とすることができる。アニオン性界面活性剤のカチオンは、アルカリ性金属(例えば、ナトリウム又はカリウム)、アンモニウム、C1−C4アルキルアンモニウム(例えば、モノ−、ジ−、トリ−)、又はC1−C3アルカノールアンモニウム(例えば、モノ−、ジ−、トリ−)とすることができる。
【0044】
このようなアニオン性界面活性剤の特定の例としては、これらに限定されるものではないが、ラウリル硫酸塩、オクチル硫酸塩、2−エチルヘキシル硫酸塩、ラウラミン・オキシド、デシル硫酸塩、トリデシル硫酸塩、ココエート、ラウロイル・サルコシネート、ラウリル・スルホコハク酸塩、線状C10ジフェニル・オキシド・ジスルホン酸塩、ラウリル・エーテル硫酸塩(1及び2モルのエチレン・オキシド)、ミリスチル硫酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、トーレート、リシノール酸塩、セチル硫酸塩等が挙げられる。
【0045】
本発明の物品は、向上した着用特性を特徴とする。物品内の共有結合された多孔性ビーズの存在は、表面の摩擦係数全体を減少させ、手袋がより容易に着用されることを可能にし、この物品を着用している或いは別の方法により接触しているエンド・ユーザに付与されるべき望ましい処理剤の適用を可能にする。さらに、粒子が化学的に物品に共有結合されるため、どのような付加的なバインダも不要である。このことは、粒子が手袋から不用意に分離しないことを確実にするようにバインダの使用を要求する他の粒子状組成物に比べて加工上の利点を与える。さらに、潤滑剤が本発明により使用される場合には、着用がさらに向上される。
【0046】
本発明は、その特性の範囲及び精神から逸脱することなく他の特定の形態で実現できる。従って、本実施形態は、あらゆる点で、限定的なものではなく、例示的なものとして考えるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲により示され、従って、特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入るあらゆる変更を本明細書に包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明により形成することができる物品、すなわち手袋を示す。
【図2A】基材本体と、共有結合された複数の多孔性ビーズを含んだ着用層とを含む、線2−2に沿って取られた図1の物品の概略的な断面図である。
【図2B】基材本体と、共有結合された複数の多孔性ビーズを含んだ着用層と、潤滑剤層とを含む、線2−2に沿って取られた図1の物品の別の概略的な断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー性材料を含む基材本体と、
約0.01ミクロンから約0.5ミクロンまでの孔の大きさを有し、前記エラストマー性材料に共有結合された複数の多孔性ビーズと、
前記孔に含浸される環境徐放性の処理剤と、
を含むことを特徴とするエラストマー性物品。
【請求項2】
前記処理剤が、保湿剤、軟膏、薬剤、及び軟化剤からなる群から選択された請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記処理剤が、アロエ、ビタミンE、ラノリン、ポリエチレン・グリコール、グリセリン、及び鉱物油からなる群から選択された請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記環境がエンド・ユーザの皮膚を含み、前記処理剤が、前記エンド・ユーザの皮膚の健康を高めるものである請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記多孔性ビーズを前記エラストマー性材料に結合する前に、前記多孔性ビーズを前記処理剤に含浸させることを含む請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記多孔性ビーズを前記エラストマー性物品に結合し、次いで、前記多孔性ビーズを前記処理剤に含浸させることを含む請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記処理剤を前記物品に噴霧すること、前記物品を前記処理剤に浸漬すること、及び前記物品を前記処理剤で被覆することのいずれか1つにより前記処理剤を適用することによって、前記処理剤を前記孔に組み込むことを含む請求項6に記載の物品。
【請求項8】
余分な処理剤を前記物品からすすいで、前記処理剤が実質的に前記孔の中だけに残るようにする請求項6に記載の物品。
【請求項9】
前記エラストマー性材料を被覆する界面活性剤を含む請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記物品が手袋である請求項1に記載の物品。
【請求項11】
第1の表面を有する基材本体と、
前記第1の表面の上に重なる、約0.01ミクロンから約0.5ミクロンまでの孔の大きさを有する複数の多孔性ビーズを含有するポリマー性材料を含む着用層と、
を含み、前記ビーズが前記着用層と共有結合されており、
前記孔に含浸される環境徐放性の処理剤と、
を含むことを特徴とするエラストマー性物品。
【請求項12】
前記ポリマー性材料がヒドロゲルからなる請求項11に記載の物品。
【請求項13】
例示的なビーズの孔が、前記ビーズの全体積の約0.1%から約90%までを構成する請求項1から請求項11までに記載の物品。
【請求項14】
例示的なビーズの孔が、前記ビーズの全体積の約20%から約50%までを構成する請求項1から請求項11までに記載の物品。
【請求項15】
前記着用層に組み込まれた界面活性剤を含む請求項11に記載の物品。
【請求項16】
前記着用層が、約0.01質量%から約80質量%までの多孔性ビーズを含む請求項11に記載の物品。
【請求項17】
前記着用層が、約1質量%から約50質量%までの多孔性ビーズを含む請求項11に記載の物品。
【請求項18】
前記着用層が、約10質量%から約25質量%までの多孔性ビーズを含む請求項11に記載の物品。
【請求項19】
前記多孔性ビーズが、ビニル基を有するポリマーからなる請求項1又は請求項11に記載の物品。
【請求項20】
前記ビニル基が、カーボン・カーボン・ビニル基及びアクリレート基からなる群から選択された請求項19に記載の物品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2007−511322(P2007−511322A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541125(P2006−541125)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024320
【国際公開番号】WO2005/056074
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】