説明

薬用瓶の蓋

【課題】薬用瓶内の薬液を多数回使用する場合、初回の使用時から最後の使用時まで薬用瓶のゴム栓の上面の汚染を防ぐことができる薬用瓶の蓋の提供を課題とする。
【解決手段】10は口金であり、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の瓶口に装着される。口金10の頂面板12には透孔13が穿設されている。頂面板22と周胴部21とからなる固定用蓋部材20は、その下面の中央部に透孔13に挿入可能な固定用円筒部が形成されており、この固定用円筒部によって口金10に係止状態に保持される。嵌着用蓋部材30には、口金10の透孔13に着脱自在に係合する係止用円筒部31が形成されている。固定用蓋部材20には係止用円筒部31と嵌合可能な円形溝部24が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射剤等の薬液を収納する薬用瓶の瓶口に装着する薬用瓶の蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
注射剤等の薬液を収納しその瓶口が注射針の挿通可能なゴム栓によって閉塞されている薬用瓶に装着されている従来の蓋の構成について、以下、図20,図21を用いて説明する。
【0003】
この薬用瓶の蓋は、図21に示すように、アルミ等の軟質金属薄板によって逆有底円筒状に形成した口金10と、前記口金10の上半部に冠着させることのできる合成樹脂製の固定用蓋部材20との組み合わせによって構成されている。
【0004】
口金10は、適宜の高さをした周胴部11の上面に頂面板12を一体的に形成することによって逆有底円筒状に形成されている。
【0005】
13は頂面板12の中央部に穿設した透孔であり、図20に示すように、この透孔13を通して薬用瓶1の瓶口1aに嵌装したゴム栓3の上面が露出できるようになっている。
【0006】
口金10の上面に冠着する固定用蓋部材20は、適宜の硬度を有する合成樹脂を用いて形成するものであり、円筒状の周胴部21を口金10の周胴部11に少しだけかぶすことができるよう浅い倒皿状となるように形成している。
【0007】
固定用蓋部材20の下面側の中央部には、図20に示すように、口金10の頂面板12に穿設した透孔13の周縁部に当接しながら折り曲げ係止することができる円筒状の固定用円筒部23が突設されていて、この固定用円筒部23を透孔13に嵌合させた後、口金10の内側から折り曲げ加圧して押し広げながら倒伏させることによって固定用蓋部材20を口金10に係止させた状態にすることができる。
【0008】
このように、口金10に係止されている固定用蓋部材20は、薬液2の使用に際しては、図22に示すように口金10から外すことが出来るように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、病院等の医療機関においては、同じ病状の複数の患者に同一の薬液を投与する場合には、それぞれの患者に対して、それぞれの必要量の薬液2が入っている薬用瓶1を、1人1つの割合で消費している。
【0010】
しかしながら、医療費の高騰を抑える観点から、現在は、病院等の医療機関においては、同一の薬液2を複数の患者に投与する場合には、1つの薬用瓶1に入っている薬液2を複数の患者に投与するという薬用瓶1内の薬液2の多数回使用を図る必要性が生じている。この場合、初めに図18に示したように口金10から固定用蓋部材20を外して、ゴム栓3に注射針を挿通させ適量の薬液2を注射器内に移動させて注射針を抜いた後、次回の使用まで薬用瓶1を冷蔵庫等に入れて保管しなければならない。
【0011】
ここで、従来の薬用瓶の固定用蓋部材20は、一旦外すと口金10に係止させることが出来ないために、従来の薬用瓶を用いた場合には、ゴム栓3の上面が露出した状態で冷蔵庫等に保管されることになり、もし冷蔵庫等の内部でゴム栓3の上面が汚染されてしまった場合には、その後の使用に際してゴム栓3に挿通させる注射針ひいては使用される薬液自体が汚染されてしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の問題点を解消するために、本発明の第1の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記口金の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記口金上に載置させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であって且つ前記透孔の周縁部と着脱可能に係合する係止手段を有する係止用円筒部が形成され、前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、その上部に前記嵌着用蓋部材を載置させた際に、前記係止用円筒部が嵌合可能な円形溝部が形成されていることを特徴とするものである。ここで、前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、その断面が、前記嵌着用蓋部材の下面から離れるに従って前記係止用円筒部の外周方向に広がるような台形形状に形成されている係止用円筒部であってもよいし、また前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、該係止用円筒部の端縁部に外周方向に延在するように係止用リム部が形成されている係止用円筒部であってもよい。さらに、上記の構成において、前記口金の前記円形の透孔の周縁部には、上方に向かって延在する円筒状の立上げ部が形成されていてもよい。
【0013】
また、本発明の第2の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記口金の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、当該円形の透孔の周縁部には、上方に向かって延在する円筒状の立上げ部が形成され、前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記口金上に載置させた際に当該口金の前記立上げ部と係合可能な円型状凹部が形成され、前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、前記口金の立上げ部と略同じ大きさの円筒状突起部が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の第3の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記口金の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、当該円形の透孔の周縁部には、上方に向かって延在する円筒状の立上げ部が形成され、前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記口金上に載置させた際に当該口金の前記立上げ部に嵌合可能な円状の溝である嵌合溝部が形成され、前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、前記口金の立上げ部と略同じ大きさの円筒状突起部が形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の第4の手段は、ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の蓋用ベース部材と、該蓋用ベース部材の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記蓋用ベース部材の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、前記蓋用ベース部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該蓋用ベース部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され且つ当該固定用円筒部の内側の上部にあたる頂面板は切除されて透孔が形成されており、前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記蓋用ベース部材に冠着させた際に当該蓋用ベース部材の透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記蓋用ベース部材上に載置させた際に当該蓋用ベース部材の透孔に挿入可能な円筒体であって且つ前記蓋用ベース部材の透孔の周縁部と着脱可能に係合する係止手段を有する係止用円筒部が形成され、前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、その上部に前記嵌着用蓋部材を載置させた際に、前記係止用円筒部が嵌合可能な円形溝部が形成されていることを特徴とするものである。ここで、前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、その断面が、前記嵌着用蓋部材の下面から離れるに従って前記係止用円筒部の外周方向に広がるような台形形状に形成されている係止用円筒部であってもよいし、また前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、該係止用円筒部の端縁部に外周方向に延在するように係止用リム部が形成されている係止用円筒部であってもよい。さらに、上記の構成において、前記蓋用ベース部材の固定用円筒部の長さは、前記固定用蓋部材の固定用円筒部の長さよりも長い長さに選ばれていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように構成された本発明によれば、薬用瓶内の薬液を多数回使用する場合、初回の使用時から最後の使用時まで薬用瓶のゴム栓の上面の汚染を防ぐことができる薬用瓶の蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す斜視図である。
【図2】薬用瓶の瓶口に装着された図1に示す実施例1の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例1の使用状態の説明図である。
【図4】本発明の実施例1の使用状態の説明図である。
【図5】本発明の実施例1の使用状態の説明図である。
【図6】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図7】本発明の実施例2の構成を示す斜視図である。
【図8】薬用瓶の瓶口に装着された図7に示す実施例2の構成を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例2の構成の説明図である。
【図10】本発明の実施例3の構成を示す斜視図である。
【図11】薬用瓶の瓶口に装着された図10に示す実施例3の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例3の構成の説明図である。
【図13】本発明の実施例4の構成を示す斜視図である。
【図14】薬用瓶の瓶口に装着された図13に示す実施例4の構成を示す断面図である。
【図15】本発明の実施例4の構成の説明図である。
【図16】本発明の実施例5の構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施例5の裏面側から視た構成を示す斜視図である。
【図18】薬用瓶の瓶口に装着された図16に示す実施例5の構成を示す断面図である。
【図19】本発明の実施例5の構成の説明図である。
【図20】従来の薬用瓶の蓋の構成を示す断面図である。
【図21】従来の薬用瓶の蓋の構成を示す斜視図である。
【図22】従来の薬用瓶の蓋の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1の構成を示す斜視図であり、図2は薬用瓶1に装着された本実施例1の構成を示す断面図である。
【0020】
本実施例1において、先に説明した従来の薬用瓶の蓋の構成と異なるところは、口金10の透孔13や固定用蓋部材20に着脱自在に係合する円筒状の係止用円筒部31が、その下面の中央部に形成されている円盤状の嵌着用蓋部材30を具えているところである。この嵌着用蓋部材30は、合成樹脂によって口金10の頂面板12と略同じ大きさとなるように構成されている。
【0021】
また、固定用蓋部材20の頂面板22の上面の中央部には、係止用円筒部31が嵌合可能な円形溝部24が形成されている。固定用蓋部材20のその他の構成については、先に説明した従来例と同様であるので、その説明は省略する。
【0022】
さらに、口金10の構成は先に説明した従来例と同様であるので、その説明は省略する。
【0023】
以上のように構成された本実施例1においては、薬用瓶1内の薬液2を最初に使用する場合には、図3に示したように、口金10から従来と同様に固定用蓋部材20を外し、さらに固定用蓋部材20から嵌着用蓋部材30を外して、ゴム栓3に注射針を挿通させて、薬用瓶1内の薬液2を適量注射器に移動させる。その後、図4に示したように口金10の透孔13に嵌着用蓋部材30の係止用円筒部31を嵌め合わせて、口金10に嵌着用蓋部材30を係止させた状態にしてから冷蔵庫等に保管する。
【0024】
以上のような状態にして保管することにより、その保管中にゴム栓3の上面が汚染されることを防ぐことができる。次回以降の使用に際しては、その都度、嵌着用蓋部材30を脱着するようにすればよい。
【0025】
図5は、図4に示した状態の断面構成を示した図である。また、図6(a)は、図5における係止用円筒部31と口金10との接触部分を拡大した図である。
【0026】
本実施例1においては、係止用円筒部31を口金10に係止させるときに、その係止状態が確実になるような係止手段を、係止用円筒部31は有している。即ち、この係止手段とは、図6(a)に示したように、係止用円筒部31の断面が、嵌着用蓋部材30の下面から離れるに従って係止用円筒部31の外周方向に広がるような台形形状としてあることである。なお、この係止手段は、断面が台形形状の係止用円筒部31に限られるものではなく、図6(b)に示したように係止用円筒部31自体は単なる円筒状に形成し、その端縁部に外周方向に延在するように係止用リム部31aを形成し、この係止用リム部31aを係止手段としてもよい。
【実施例2】
【0027】
図7は、本発明の実施例2の構成を示す斜視図であり、図8は薬用瓶1に装着された本実施例2の構成を示す断面図である。
【0028】
本実施例2が、実施例1と異なるところは、口金10の透孔13の周縁部に上方に向かって延在する円筒状の立上げ部14が形成されているところであり、その他の構成は実施例1と同様であるのでその説明は省略する。
【0029】
図9(a)は、本実施例2において、固定用蓋部材20を口金10から外して、嵌着用蓋部材30の係止用円筒部31を口金10の透孔13に嵌め合わせた状態を示す断面図であり、図9(b)は、図9(a)の係止用円筒部31と口金10の立上げ部14との接触部分を拡大した拡大図である。
【0030】
図9(b)に示したように、立上げ部14が設けられている場合には、その分だけ係止用円筒部31の長さを長くすることができるために、係止用円筒部31と口金10との係止状態をより確実にすることができる。
【実施例3】
【0031】
図10は、本発明の実施例3の構成を示す斜視図であり、図11は薬用瓶1に装着された本実施例3の構成を示す断面図である。
【0032】
本実施例3が、実施例2と異なるところは、嵌着用蓋部材30の下面側の中央部に、口金10の立上げ部14に着脱自在に係合する円型形状に形成された円型状凹部32が設けられていることと、固定用蓋部材20の頂面板22の上面の中央部に、口金10の立上げ部14と略同じ大きさの円筒状突起部25が設けられているところであり、その他の構成は実施例2の構成と同様であるのでその説明は省略する。
【0033】
図12(a)は、本実施例3において、固定用蓋部材20を口金10から外して、嵌着用蓋部材30の円型状凹部32を口金10の立上げ部14に係合させた状態を示す断面図であり、図12(b)は、図12(a)の円型状凹部32の側壁面部と口金10の立上げ部14との接触部分を拡大した拡大図である。
【0034】
図12(b)に示したように、このような円型状凹部32が設けられている場合には、嵌着用蓋部材30の下面側と口金10の上面側とが密着状態となるように構成することができるので、嵌着用蓋部材30を使用するときに、高い安定性を確保することができる。
【0035】
なお、本実施例3においては、固定用蓋部材20の円筒状突起部25は、内部が詰まっている円柱状の突起部としてもよい。
【実施例4】
【0036】
図13は、本発明の実施例4の構成を示す斜視図であり、図14は薬用瓶1に装着された本実施例4の構成を示す断面図である。
【0037】
本実施例4が、実施例3と異なるところは、嵌着用蓋部材30の下面側の中央部に、口金10の立上げ部14に着脱自在に嵌合する円状の溝である嵌合溝部33が設けられているところであり、その他の構成は実施例3の構成と同様であるのでその説明は省略する。
【0038】
図15(a)は、本実施例4において、固定用蓋部材20を口金10から外して、嵌着用蓋部材30の嵌合溝部33を口金10の立上げ部14に嵌合させた状態を示す断面図であり、図15(b)は、図15(a)の嵌合溝部33の側壁面部と口金10の立上げ部14との接触部分を拡大した拡大図である。
【0039】
図15(b)に示したように、このような嵌合溝部33が設けられている場合には、嵌着用蓋部材30の下面側と口金10の上面側とが密着状態となるように構成することができるので、嵌着用蓋部材30を使用するときに、高い安定性を確保することができる。
【実施例5】
【0040】
図16は、本発明の実施例5の構成を示す斜視図であり、図17は、薬用瓶1に装着された本実施例5の裏面側から視た分解斜視図であり、図18(a)は、薬用瓶1に装着された本実施例5の構成を示す断面図であり、図18(b)は、図18(a)の透孔13,44の端部付近の拡大図である。
【0041】
本実施例5が、先に説明した実施例1と異なるところは、嵌着用蓋部材30の係止用円筒部31と口金10との係止状態を確実にするために、口金10と一体的となるように口金10に固定される蓋用ベース部材40が配設されていることである。
【0042】
この蓋用ベース部材40は固定用蓋部材20と同様に合成樹脂によって構成されており、図16ないし図18に示したように、円筒体の周胴部41の上面に頂面板42を一体的に形成した逆有底円筒状に形成されている。頂面板42の下面側の中央部には、口金10の透孔13に挿入した状態で透孔13の周縁部に当接しながら折り曲げることができる円筒状の固定用円筒部43が突設されている。さらに、この固定用円筒部43の内側の上部にあたる頂面板42は切除されており、そこに透孔44が形成されている。
【0043】
ここで本実施例5においては、嵌着用蓋部材30の係止用円筒部31の外径は蓋用ベース部材40の透孔44に挿入可能な値に選ばれている。この係止用円筒部31は、先に実施例1において説明したように、図6(a),(b)に示したような係止手段を有しているものである。
【0044】
さらに、本実施例5においては、固定用蓋部材20の固定用円筒部23の外径も蓋用ベース部材40の透孔44に挿入可能な値に選ばれている。また、本実施例5においては、図18(b)に示したように、蓋用ベース部材40の固定用円筒部43の長さが、固定用蓋部材20の固定用円筒部23の長さよりも長くなるような値に選ばれている。このような長さに固定用円筒部23,43を選ぶことによって、固定用蓋部材20は上方向に強い力を加えれば蓋用ベース部材40から外すことができ、蓋用ベース部材40は上方向に強い力を加えても口金10から外すことが出来ないような構成とすることができる。
【0045】
以上のように構成された本実施例5においては、図16に示したような状態から順次重ね合わせた状態にして、口金10の裏側に突出している固定用円筒部23,43を一緒に内側から折り曲げ加圧して押し広げながら倒伏させることによって口金10に装着し、その口金10を薬用瓶1の瓶口1aに装着することによって図18(a),(b)に示した状態に組み上げることができる。
【0046】
本実施例5の使用に際しては、固定用蓋部材20に上方向に強い力を加えて固定用蓋部材20および嵌着用蓋部材30を蓋用ベース部材40から外し、蓋用ベース部材40の透孔44を通して露出しているゴム栓3に注射針を刺して内部の薬液2を適量だけ注射器内に移す。その後、嵌着用蓋部材30を固定用蓋部材20から外して、嵌着用蓋部材30の係止用円筒部31を蓋用ベース部材40の透孔44に嵌合させ図19(a),(b)に示したような状態にして、次に使用する時まで薬用瓶1を保管する。
【符号の説明】
【0047】
1 薬用瓶
1a 瓶口
2 薬液
3 ゴム栓
10 口金
11,21,41 周胴部
12,22,42 頂面板
13,44 透孔
14 立上げ部
20 固定用蓋部材
23,43 固定用円筒部
24 円形溝部
25 円筒状突起部
30 嵌着用蓋部材
31 係止用円筒部
31a 係止用リム部
32 円型状凹部
33 嵌合溝部
40 蓋用ベース部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記口金の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、
前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、
前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、
前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記口金上に載置させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であって且つ前記透孔の周縁部と着脱可能に係合する係止手段を有する係止用円筒部が形成され、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、その上部に前記嵌着用蓋部材を載置させた際に、前記係止用円筒部が嵌合可能な円形溝部が形成されていることを特徴とする薬用瓶の蓋。
【請求項2】
前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、その断面が、前記嵌着用蓋部材の下面から離れるに従って前記係止用円筒部の外周方向に広がるような台形形状に形成されている係止用円筒部であることを特徴とする請求項1に記載の薬用瓶の蓋。
【請求項3】
前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、該係止用円筒部の端縁部に外周方向に延在するように係止用リム部が形成されている係止用円筒部であることを特徴とする請求項1に記載の薬用瓶の蓋。
【請求項4】
前記口金の前記円形の透孔の周縁部には、上方に向かって延在する円筒状の立上げ部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかの項に記載の薬用瓶の蓋。
【請求項5】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記口金の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、
前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、当該円形の透孔の周縁部には、上方に向かって延在する円筒状の立上げ部が形成され、
前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、
前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記口金上に載置させた際に当該口金の前記立上げ部と係合可能な円型状凹部が形成され、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、前記口金の立上げ部と略同じ大きさの円筒状突起部が形成されていることを特徴とする薬用瓶の蓋。
【請求項6】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記口金の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、
前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、当該円形の透孔の周縁部には、上方に向かって延在する円筒状の立上げ部が形成され、
前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の前記透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、
前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記口金上に載置させた際に当該口金の前記立上げ部に嵌合可能な円状の溝である嵌合溝部が形成され、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、前記口金の立上げ部と略同じ大きさの円筒状突起部が形成されていることを特徴とする薬用瓶の蓋。
【請求項7】
ゴム栓によって瓶口が閉塞されている薬用瓶の蓋であって、当該瓶口に冠着可能な逆有底円筒状のアルミ等の金属薄板からなる口金と、該口金の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の蓋用ベース部材と、該蓋用ベース部材の上部に冠着可能な逆有底円筒状の合成樹脂製の固定用蓋部材と、前記蓋用ベース部材の上面に載置可能な円盤状の合成樹脂製の嵌着用蓋部材との組み合せからなり、
前記口金は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、前記頂面板にはその中央部に円形の透孔が穿設され、
前記蓋用ベース部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該蓋用ベース部材を前記口金に冠着させた際に当該口金の透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され且つ当該固定用円筒部の内側の上部にあたる頂面板は切除されて透孔が形成されており、
前記固定用蓋部材は、円筒体からなる周胴部の上面に頂面板を一体的に形成することにより構成され、当該頂面板の下面側の中央部には、当該固定用蓋部材を前記蓋用ベース部材に冠着させた際に当該蓋用ベース部材の透孔に挿入可能な円筒体であってその外周方向に折り曲げ可能な固定用円筒部が形成され、
前記嵌着用蓋部材の下面側の中央部には、当該嵌着用蓋部材を前記蓋用ベース部材上に載置させた際に当該蓋用ベース部材の透孔に挿入可能な円筒体であって且つ前記蓋用ベース部材の透孔の周縁部と着脱可能に係合する係止手段を有する係止用円筒部が形成され、
前記固定用蓋部材の頂面板の上面側の中央部には、その上部に前記嵌着用蓋部材を載置させた際に、前記係止用円筒部が嵌合可能な円形溝部が形成されていることを特徴とする薬用瓶の蓋。
【請求項8】
前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、その断面が、前記嵌着用蓋部材の下面から離れるに従って前記係止用円筒部の外周方向に広がるような台形形状に形成されている係止用円筒部であることを特徴とする請求項7に記載の薬用瓶の蓋。
【請求項9】
前記嵌着用蓋部材の前記係止手段を有する係止用円筒部は、該係止用円筒部の端縁部に外周方向に延在するように係止用リム部が形成されている係止用円筒部であることを特徴とする請求項7に記載の薬用瓶の蓋。
【請求項10】
前記蓋用ベース部材の固定用円筒部の長さは、前記固定用蓋部材の固定用円筒部の長さよりも長い長さに選ばれていることを特徴とする請求項7に記載の薬用瓶の蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−120824(P2012−120824A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99812(P2011−99812)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(591170500)石田プレス工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】