説明

虚血再灌流障害の治療方法

本発明は、虚血再灌流障害(IRI)の予防、軽減、治療又は対応のためにデザインされた方法と組成物に関する。本発明の方法は、製剤中に活性化組成物を含む1又は複数の治療用製剤の有効量を投与することを含み、かかる製剤は、マクロファージや単細胞に限らず食細胞の活性を低下させ又は阻害し、及び/又は食細胞の量を除去し又は減少させる。好ましい実施態様では、活性化合物はビスホスフォネートである。本発明は、虚血再灌流障害に現時点で罹患している、最近罹患した、又は罹患しそうな患者への投与のための治療用製剤の医薬組成物もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年6月27日付で提出された米国出願第10/607,623号の一部継続出願である、2004年6月18日付で提出された米国出願第10/871,488号の一部継続出願である。上記関連出願の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、虚血再灌流障害(ischemia-reperfusion injury)(IRI)の治療又は対応(management)のためにデザインされた方法と組成物に関する。本発明の方法は、製剤中に活性組成物を含む1又は複数の治療用製剤(therapeutic formulations)の有効量を必要とする患者に投与することを含み、かかる製剤は、マクロファージや単球を含むがそれに限定されない食細胞の活性を低下又は阻害し、及び/又は食細胞の量を除去し又は減少させる。
【背景技術】
【0003】
重要臓器への虚血性損傷(ischemic injury)は、世界中の死亡率及び発病率に有意に影響するものとなっている。酸素を運搬している血液を奪われると細胞呼吸は、数分の内にダメージにより鈍化する。循環の迅速な回復は、生命を維持するために不可欠であるが、自身を危険にさらすことになる。再灌流は、局所ダメージを増大するとともに、全身的侵襲(systemic insult)をも導く炎症反応を誘導(produce)する。心筋梗塞(myocardial infarction)、脳卒中(stroke)、心不全(cardiac arrest)などの急性発症が、IRIを誘導しうる。しかしながら、臓器移植及び動脈瘤の治療などの予定された外科処置の多くは、処置の間に虚血期間を必要とし、それゆえIRI発症をも誘導しうる。
【0004】
虚血組織における炎症細胞の存在は、損傷に対する病態生理学的反応を提示するものと従来考えられてきた。しかしながら、研究実験によると、治癒のために重要ではあるけれども、炎症細胞、特に食細胞であるマクロファージの組織への流入が、虚血のみによってひきおこされる組織損傷を超える組織損傷をもたらすことを示してきた。かかる損傷は、心臓、脳、肝臓、脾臓、腸、肺、及び膵臓などの多様な組織に影響を与えうる。
【0005】
誘導低体温法(induced hypothermia)、再灌流障害コントロール(controlled reperfusion)、虚血プレコンディショニングなどの、再灌流障害に歯止めをかけるための様々な方法が報告されてきた。低体温法とは、患者に中等度(moderate)の低体温(28℃〜32℃)を導入することである。軽度(mild)低体温法は、再灌流障害に関連する多くの化学反応を抑制すると考えられている。これらの潜在的な利点にもかかわらず、低体温法は、不整脈(arhythmias)、感染、凝血などの副作用ももたらす。制御された再灌流(controlled reperfusion)とは、高浸透圧、アルカローシス、そして濃縮基質となるように改変した血液を用いて、低圧にて組織を再灌流することにより、再灌流の初期をコントロールすることを意味する。虚血プレコンディショニングとは、より長期間の虚血発症の間に細胞のメタボリズムを鈍化させることにより、防御的効果を有する短期の虚血発症を故意にひきおこすことである。これらの治療は、外科的設定において(例えば、予定された心臓手術の前後に)有用でありうるが、通常は、要求されるコントロールされた、既定の状況であることは適当ではない。
【0006】
(マクロファージと炎症反応)
マクロファージと他の白血球は、虚血が起こった直後にその領域に湿潤する。マクロファージは、線維芽細胞の増殖を刺激するいくつかのサイトカインを分泌する。しかしながら、活性化されたマクロファージは、組織のダメージを促進するサイトカインや他のメディエーターも分泌する。したがって、かかる領域へのマクロファージの流入は、組織壊死(tissue necrosis)を増加させ、梗塞域を拡大する。それゆえ、炎症の急性期は治癒のプロセスのために必要な反応であるけれども、持続的な活性化は、梗塞領域やその周辺領域のいわゆる「梗塞周囲ゾーン」に実際有害である。虚血に引き続いておこる炎症反応は、活性化されたマクロファージによりひきおこされる結果としておこるダメージの重症度を決定するにおいて重要である。マクロファージ走化性活性タンパク質−1(macrophage chemoattractant protein-1)(MCP−1)の血漿レベルが、虚血再灌流障害の患者では上昇し、かかるケモカインの中和が梗塞サイズを有意に縮小する。
【0007】
それゆえ、因子の分泌を含む食細胞(特にマクロファージや単球)の蓄積、及び/又は生物学的機能を低下又はブロックすることができる、虚血再灌流障害に罹患している患者のための治療の必要性が存在している。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、虚血再灌流障害(IRI)の予防、軽減、治療又は対応のためにデザインされた方法と組成物に関する。本発明の方法としては、例えば、マクロファージや単球などを含むがこれに限定されない食細胞の活性を阻害し、及び/又は量を減少させるように処方された活性化合物(active compound)を含む1又は複数の治療用製剤の有効量の投与を挙げることができる。本発明の方法による1又は複数の治療用製剤の投与は、IRI患者にもたらされるダメージ(例えば組織壊死)を最小限にすることを目標とする救急治療として作用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
好ましい実施態様では、治療用製剤は、マクロファージ及び/又は単球を特異的に標的とする。マクロファージや単球は、食細胞であるので、かかる実施態様では、治療用製剤は、貪食を通じて主として又は排他的に細胞内に進入することができる粒子及び/又は微粒子を含むように調製される。製剤は、活性化合物が提供されてもよい形態(すなわち粒子又は微粒子形態に製剤化されてもよい)に関する。治療用製剤は、製剤の、例えばサイズ又は電荷などの生理化学的特性が、貪食によってのみ又は主として内在化されることができるような治療用製剤中の活性化合物を含む。治療用製剤は、粒子にカプセル化された若しくは包埋された活性化合物、又は微粒子活性化合物を含んでもよい。例えばマクロファージや単球などの標的細胞によりいったん貪食されると、活性化合物は、細胞の機能を低下させ若しくは阻害し、及び/又は細胞を破壊する。好ましい実施態様では、治療用製剤中の活性化合物は、ビスホスフォネートである。より好ましい実施態様では、ビスホスフォネートは、クロンドロネート(clondronate)又はアレンドロネート(alendronate)である。
【0010】
一実施態様では、本発明は、特定の寸法の粒子にカプセル化された活性化合物を含む治療用製剤の有効量を、必要とする個人に投与することによりIRIを予防し、治療し、又は対応する方法に関する。治療用製剤は、例えば、治療用製剤が貪食によって主として又は排他的に取り込まれることを可能にするサイズ又は電荷を用いるなど、特定の特性により食細胞を標的とする。いったん治療用製剤が食細胞に取り込まれると、カプセル化された活性化合物は、放出され、食細胞の活性を低下又は阻害し、及び/又は食細胞を破壊することができる。
【0011】
別の実施態様では、本発明は、特定の寸法の粒子に包埋された活性化合物を含む治療用製剤の有効量を必要とする個人に投与することによりIRIを予防し、治療し、又は対応する方法に関する。治療用製剤は、例えば、治療用製剤が貪食によって主として又は排他的に取り込まれることを可能にするサイズ又は電荷を用いるなど、特定の特性により食細胞を標的とする。いったん治療用製剤が食細胞に取り込まれると、包埋された活性化合物は、放出され、食細胞の活性を低下又は阻害し、及び/又は、食細胞を破壊することができる。
【0012】
また別の実施態様では、本発明は、微粒子活性化合物を含む治療用製剤の有効量を、必要とする個人に投与することによりIRIを予防し、治療し、又は対応する方法に関する。治療用製剤は、治療用製剤が貪食によって主として又は排他的に取り込まれることを可能にするサイズ又は電荷を用いるなどの特定の特性により食細胞を標的とする。食細胞内では、微粒子活性化合物が、食細胞の活性を低下又は阻害し、及び/又は、食細胞を破壊することができる。
【0013】
さらに別の実施態様では、本発明は、現時点でIRIに罹患している患者、最近罹患していた患者又は罹患しそうな患者に投与する医薬組成物であって、カプセル化された、包埋された微粒子と、IRIの治療、対応、軽減、又は予防用に薬学的に許容されるビヒクル、担体、安定化剤、又は希釈剤とからなる群より選択される製剤内に活性化合物を有する治療用製剤を含む医薬組成物に関する。
【0014】
本発明の製剤は、0.03〜1.0ミクロンの範囲のサイズであることが好ましい。しかしながら、活性化合物及び/又は用いられている処方に依拠して、より好ましい範囲としては、例えば、0.05〜0.75ミクロン、0.07〜0.5ミクロン、0.1〜0.3ミクロンを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、本発明の製剤は、0.07ミクロンより大きい。
【0015】
(5.発明の詳細な説明)
食細胞、特にマクロファージや単球は、虚血再灌流障害(IRI)の原因及び/又は病状に関与する。いったん虚血がおこると、マクロファージ/単球が、ダメージを受けた組織に補充(recruit)され、組織のダメージを促進するサイトカインや他のメディエーターを分泌する。このことは、虚血のみによってひきおこされるものを超える組織損傷をもたらし、組織壊死を増加させ、それゆえ梗塞域、すなわち永久的な組織ダメージを拡大する。食細胞の完全な、そして慢性的な無能力化(incapacitation)及び/又は消失(ablation)は、望ましいものではないが、このような食細胞の活性及び/又は存在の減少又は阻害は、患者を安定化させ、及び/又はIRI発症によりひきおこされたダメージを軽減するために、IRI発症中又は発症後の短い期間においては望ましい。
【0016】
IRIは、心筋梗塞において観察される心筋の損傷として最初に報告された。しかしながら、現在では、かかる状態は、多種多様な臓器又は組織、例えば、これらに限定されないが、大脳、並びに、網膜及び脊髄などの他の神経組織(nervous tissue)、肝臓、胃、腸、腎臓、肺、肌、骨格筋、膵臓等に起こることが明らかとなっている。それゆえ、本発明は、虚血の期間を必要とする手術前、手術中及び/又は手術後に、様々な組織においてIRIを予防し、治療し又は対応するために用いてもよい。心筋梗塞、脳卒中、又は心不全と関連するIRIを予防し、治療し又は対応するために用いてもよい。腸梗塞(bowel infarction)、慢性腸間膜虚血(chronic mesenteric ischemia)、急性下肢虚血(acute lower extremity ischemia)、虚血性腸疾患(ischemic bowel disease)を予防し、治療し又は対応するために用いてもよいし、大動脈瘤(aortic aneurysms)又は胸腹部動脈瘤(thoracoabdominal aneurysms)の複雑な再構築の後に用いてもよい。
【0017】
本発明は、IRIの治療又は対応のためにIRI発症中又はその後に、IRI急性期短期に食細胞(例えば、マクロファージや単球を挙げることができるが、これらに限定されない)の活性を低下させ若しくは阻害し、及び/又は食細胞の量を除去し若しくは減少させるようにデザインされた方法及び組成物に関する。本発明の方法は、食細胞(例えば、マクロファージや単球を挙げることができるが、これらに限定されない)の活性を低下させ若しくは阻害し、及び/又は食細胞の量を除去し若しくは減少させる製剤中の活性化合物を含む、1又は複数の治療用製剤の有効量を患者に投与することを含む。1又は複数の治療用製剤の投与は、患者の安定化及び/又はIRIによる即時の及び長期の損傷を最小限にすることを目指す急性期短期の治療として意図される。
【0018】
本発明の方法において使用される治療用製剤は、特に、患者において、食細胞(例えば、マクロファージや単球を挙げることができるが、これらに限定されない)の活性を低下させ若しくは阻害し、及び/又は食細胞の量を除去し若しくは減少させる。治療用製剤の特異性は、特定の細胞タイプ(マクロファージ及び/又は単球などの食細胞)のみに影響を与える活性化合物の製剤の能力によるものである。好ましい実施態様では、食細胞のための治療用製剤の特異性は、貪食によってのみ又は主として内在化される製剤のサイズや電荷などの生理化学的性質によるものである。いったん貪食され、細胞内にはいると、活性化合物は、製剤から放出され、食細胞の活性を阻害し若しくは減少させ、及び/又は食細胞を破壊する。
【0019】
本発明の治療用製剤、例えばカプセル化された活性化合物、包埋された活性化合物、又は微粒子活性化合物が、炎症反応において重要なトリガーである細胞、すなわちマクロファージ及び/又は単球、を一時的に枯渇及び/又は不活化することにより炎症反応を抑制する。カプセル化された活性化合物、包埋された活性化合物、及び/又は微粒子活性化合物は、マクロファージや単球の貪食を通じて取り込まれる。対照的に非食細胞(non-phagocytic cells)は、製剤の大きい寸法及び/又は別の生理化学的特性のため、製剤を取り込むことが比較的できない。
【0020】
「貪食(phatocytosis)」なる用語は、本明細書中では食細胞への侵入の好ましい手段を意味し、当該技術分野でも周知である。しかしながら、かかる用語は、同一の効果を達成することができる別の形態でのエンドサイトーシスを含むものであることが、理解されなければならない。特に、受容体介在性のエンドサイトーシス、あるいは細胞外からの物質の吸収及び内在化のための細胞による別の手段もまた、本発明の方法及び組成物に含まれるものである。
【0021】
本発明は、IRI発症に現時点で罹患している、最近罹患した、又は罹患しそうな患者への投与のための本発明の1又は複数の治療用製剤を含む医薬組成物もまた提供する。
【0022】
虚血再灌流障害(IRI)による疾患は、本発明の方法により、予防し、治療し又は対応することができる。IRIは、これらに限定されないが、心臓、脳、肝臓、脾臓、腸、肺、及び膵臓等を含む任意の組織に起こり得るものであり、外科的処置などに伴う虚血などの予想される事象、又は脳卒中、又は心筋梗塞など予想外の事象の結果であってもよい。
【0023】
一実施態様では、IRIは、例えば、心筋梗塞(MI)、急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症(unstable angina)、切迫した又は実際の粥腫崩壊(plaque rupture)、及び末梢血管障害等の心臓障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0024】
別の実施態様では、IRIは、例えば、一過性脳虚血発作障害(transient ischemic attack)(TIA)、可逆性虚血性神経障害(reversible ischemic neurologic deficit)(RIND)、脳血管障害(cerebrovascular accidents)(CVA例えば脳卒中)等の脳障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0025】
別の実施態様では、IRIは、例えば、虚血性肝炎(ischemic hepatitis)等の肝臓障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0026】
別の実施態様では、IRIは、例えば、脾梗塞(splenic infarction)等の脾臓障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0027】
別の実施態様では、IRIは、例えば、虚血性腸疾患(ischemic bowel disease)等の腸障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0028】
別の実施態様では、IRIは、例えば、肺塞栓(pneumonitis embolus)及び肺動脈塞栓(pulmonary embolus)等の肺障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0029】
別の実施態様では、IRIは、例えば、急性膵炎(acute pancreatitis)等の膵臓障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0030】
別の実施態様では、IRIは、例えば、肢虚血(limb ischemia)等の四肢障害に関するものであるがこれらに限定されない。
【0031】
特定の実施態様では、IRI障害は、腎臓に関するものではない。
【0032】
(5.1.活性化合物)
本発明の治療用製剤及び方法において用いられる活性化合物は、製剤のサイズや電荷などの生理化学的性質により、特異的に、患者におけるマクロファージ及び/又は単球の活性を低下させ若しくは阻害し、及び/又はマクロファージ及び/又は単球の量を除去し若しくは減少させる。活性化合物は、マクロファージ又は単球などの食細胞内に一旦入ると、正常に機能及び/又は生存できないように、食細胞を阻害し、破壊し、拘束し、修飾し、及び/又は変更する、細胞内の阻害剤、不活性化剤、毒素、拘束物質(arresting substance)及び/又は細胞増殖抑制性(cytostatic)/細胞障害性(cytotoxic)物質でもよい。
【0033】
本明細書中の「活性化合物」なる用語は、治療用製剤の全部又は一部となり、治療用製剤に不活化性/毒性を提供するようカプセル化され、包埋され、微粒子化される分子を意味し、例えば、マクロファージ及び/若しくは単球の活性を低下させ又は阻害し、あるいはマクロファージ及び/若しくは単球の量を除去し又は減少させる。活性化合物となりうる化合物としては、例えば、無機化合物又は有機化合物;無機化合物又は有機化合物を含むがこれに限定されない小分子(500ダルトン未満)又は大分子;タンパク質性分子;核酸分子を挙げることができるがこれらに制限されず、タンパク質性分子としては、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、翻訳後修飾されたタンパク質、抗体その他、又は核酸分子を挙げることができるがこれらに制限されず、核酸分子としては、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、又は三重らせん核酸分子を挙げることができるがこれらに制限されない。活性化合物は、任意の公知の生物に由来する天然物(例えば、動物、植物、バクテリア、真菌類、原生動物(protista)若しくはウイルスを含むがこれらに限定されない)でもよいし、又は合成分子のライブラリーに由来するものでもよい。活性分子は、モノマー化合物でも、ポリマー化合物でもよい。
【0034】
好ましい実施態様では、活性化合物は、そのビスホスフォネート又はそのアナログである。本明細書中の「ビスホスフォネート」なる用語は、ジェミナルな及び非ジェミナルなビスホスフォネート両方を意味する。特定の実施態様では、ビスホスフォネートは、以下の式(I)で表される:
【0035】
【化1】

【0036】
(式中、RはH、OH又はハロゲン原子を示し;Rは、ハロゲン;直鎖若しくは分岐鎖のC−C10アルキル若しくはC−C10アルケニル(ヘテロアリール、ヘテロシクリルC−C10アルキルアミノ若しくはC−Cシクロアルキルアミノで置換されていてもよく、アミノは1級、2級又は3級アミノであってもよい);−NHY(Yは水素、C−Cシクロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールである);又は−SZ(Zはクロロ置換されたフェニル若しくはピリジニルである)を示す)。
【0037】
特定の実施態様では、ビスホスフォネートは、アレンドロネート又はそのアナログである。かかる実施態様では、アレンドロネートは、以下の化学式(II)で表される。
【0038】
【化2】

【0039】
別の実施態様では、ビスホスフォネートは、クロドロネート又はそのアナログである。かかる実施態様では、アレンドロネートは、以下の化学式(III)で表される。
【化3】

【0040】
別の具体的な実施態様では、別のビスホスフォネートが本発明の方法において用いられてもよい。ビスホスフォネートの別の例としては、チルドロネート(tiludronate)、3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸、例えばジメチルAPD;1−ヒドロキシ−エチリデン(ethylidene)−1,1−ビスホスホン酸、例えばエチドロネート;1−ヒドロキシ−3−(メチルペンチルアミノ)−プロピィリデン−ビスホスホン酸(イバンドロン酸)(ibandronic acid)、例えばイバンドロネート(ibandronate);6-アミノ−1−ヒドロキシへキサン−1,1−ジホスホン酸、例えばアミノ−へキシル−BP;3−(N−メチル‐N−ペンチルアミノ)−1−ヒドロキシプロパン−1,l−ジホスホン酸、例えばメチル−ペンチル−APD;1−ヒドロキシ−2−(イミダゾール−1−イル)エタン−1,1−ジホスホン酸、例えばゾレドロン酸(zoledronic acid);1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジル)エタン−l,l−ジホスホン酸(リセドロン酸)(risedronic acid)、例えばリセドロネート(risedronate);3−[N−(2−フェニルチオエチル)−N−メチルアミノ]−1−ヒドロキシプロパン−1,1−ビスホスホン酸;1−ヒドロキシ−3−(ピロリディン−1−イル)プロパン−1,1−ビスホスホン酸、1−(N−フェニルアミノチオカルボニル)メタン−l,l−ジホスホン酸、例えばFR78844(フジサワ社製);5−ベンゾイル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3,3−ジホスホン酸テトラエチルエステル、例えばU81581(アップジョン社製);及び1−ヒドロキシ−2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)エタン−1,1−ジホスホン酸、例えばYM529、2−(2−アミノピリミヂニオ)エチリデン−1,1−ビスホスホン酸ベタイン(ISA−13−1)、又はそのアナログを挙げることができるがこれらに制限されない。
【0041】
本発明は、食細胞の活性又は寿命を阻害し、破壊し、拘束し、修飾し、及び/又は変更する別の活性化合物を含む治療用製剤も含む。かかる活性化合物としては、細胞内阻害剤、細胞内不活化剤、細胞内アレスター、細胞内毒素、細胞増殖抑制物質、細胞毒性物質、ガリウム、金、セレニウム、ガドリニウム、シリカ、ミトラマイシン(mithramycin)、シロリムス(sirolimus)、パクリタキセル(paclitaxel)、エベロリムス(everolimus)、及びその他の類似のアナログを挙げることができるがこれらに制限されない。一般的に、例えば5−フルオロウラシル、シスプラチン、アルキル化剤、及び例えば、ステロイド、アスピリン及び非ステロイド系抗炎症性薬剤等の他の抗増殖性又は抗炎症性化合物などの化学療法製剤をもまた、活性化合物として用いることができる。
【0042】
本発明は、IRIを予防し、対応し、又は治療するために、1又は複数の治療用製剤を組み合わせた投与を含むことを意味する。「組み合わせた」なる用語は、厳格に同時に治療用製剤を投与することに制限されず、むしろ、治療用製剤は、他の方法で投与される場合よりも高い効果を提供するよう、共に作用することができるようにインターバルの時間内に順々に患者に投与されてもよい。例えば、各治療用製剤は、同時に、又は、時間内の異なる時点で任意の順序で連続的に投与されてもよい。しかしながら、同時に投与されない場合は、所望の治療効果を提供できるように十分に接近した期間内に投与されなければならない。各治療用製剤は、適切な又は所望の作用部位に治療用製剤を効果的に輸送する任意の適切な形態で、任意の経路により、別々に投与されてもよい。
【0043】
様々な実施態様では、治療用製剤は、1時間未満ごとに、約1時間ごとに、約1時間から約2時間ごとに、約2時間から約3時間ごとに、約3時間から約4時間ごとに、約4時間から約5時間ごとに、約5時間から約6時間ごとに、約6時間から約7時間ごとに、約7時間から約8時間ごとに、約8時間から約9時間ごとに、約9時間から約10時間ごとに、約10時間から約11時間ごとに、約11時間から約12時間ごとに、約24時間未満から約48時間未満ごとに投与される。一実施態様では、2以上の治療用製剤は、同時に、又は患者の診察内に投与される。
【0044】
本発明は、活性化合物として用いてもよい化合物のためのスクリーニングの方法を提供する。特定の作用のメカニズムにしばられることはないが、本発明の方法に用いられる活性化合物である化合物は、製剤自体の生理化学的特性によりいったんマクロファージ及び/又は単球を標的とすると、i)食細胞活性を阻害する;ii)食細胞活性を低下させる;iii)循環系(circulation)から、マクロファージ/単球を除去する;及び/又はiv)循環系におけるマクロファージ及び/又は単球の数を低下させる;ことができる。
【0045】
活性化合物のためのスクリーニング方法は、候補活性化合物を食細胞(例えばマクロファージ及び/又は単球)とインビトロ又はインビボのいずれかで培養することと、その後の食細胞の活性又は寿命における変化(例えば低下)をアッセイし、それによって本発明において用いられるための活性化合物を同定することとに、一般的に関与する。当該技術分野の任意の公知の方法を、食細胞の活性又は寿命をアッセイするために用いることができる。
【0046】
一実施態様では、食作用活性が、刺激を活性化することに反応する細胞活性化のレベルによりアッセイされる。例えば、マクロファージ/単球の活性化は、マクロファージ走化性活性タンパク質−1(MCP−1)、及びマクロファージ炎症タンパク質−1アルファ(MIP−1アルファ)などの走化性因子レベルを定量化することによりアッセイでき、同様に、インターロイキン1ベータ(IL−1β)、組織壊死因子アルファ(TNF−α)、ヒスタミン、トリプターゼ、PAFなどのマクロファージにより産生される別の物質のレベルや、TXA、TXB、LTB、LTB、LTC、LTD、LTE、PGD及びTXDなどのエイコサノイドのレベルを定量化することによりアッセイできる。食細胞分泌物レベルをアッセイするために用いることができる当該技術分野に任意の公知の方法としては、ELISA、免疫沈降、及び定量ウエスタンブロットを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
別の実施態様では、食細胞の寿命がアッセイされる。例えば、細胞増殖は、H−チミジンの取込みを測定することにより、直接細胞計数により、プロトオンコジーン(例えばfos、myc)若しくは細胞周期マーカーなどの公知の遺伝子の転写活性における変化を検出することにより、又はトリパンブルー染色により、アッセイできる。当該技術分野における任意の公知の方法が、mRNAの転写レベルをアッセイするため(例えば、ノーザンブロット、RT−PCR、Q−PCR、その他)、又はタンパク質レベルをアッセイするため(例えば、ELISA、ウエスタンブロット、その他)に用いることができる。
【0048】
一実施態様では、食細胞の活性を低下させる化合物は以下の(a)及び(b)により同定される:
(a)食細胞を第一の化合物及び第二の化合物と接触させるステップであって、前記第一の化合物が前記食細胞を活性化する化合物であり、第二の化合物が候補化合物であるステップ、及び
(b)前記接触させた食細胞における活性化のレベルを決定するステップであって、前記第二化合物の非存在下で前記第一の化合物を接触させた食細胞(すなわち、コントロール細胞)の活性のレベルと比較して、前記接触した細胞において活性が低下しているときは、前記第二化合物が食細胞の活性を低下させることを示唆するステップ。
【0049】
別の実施態様では、食細胞の量を低下させる化合物は以下の(a)及び(b)により同定される:
(a)化合物を食細胞と接触させるステップ、及び
(b)前記接触させた食細胞の生存率(viability)決定するステップであって、前記化合物と接触させていない食細胞(すなわち、コントロール細胞)の生存率と比較した、前記接触させた細胞における生存率の低下が、前記化合物が食細胞の量を低下させることを示唆するステップ。
【0050】
さらに別の実施態様では、候補化合物は、いわば、治療において望ましい方法で、食細胞の活性又は寿命を変更することが知られている化合物(例えば、ビスホスフォネート)と比較して、実質的に同様若しくはよりよく、食細胞の活性又は寿命を変更する能力についてアッセイされる。本明細書中の「実質的に同様に(substantially similar to)」なる用語は、例示された活性化合物、すなわち、食細胞の活性、機能、運動性(motility)、及び/又は欠乏を阻害する化合物と同様の食細胞に対する作用を有する化合物を意味する。
【0051】
さらに、候補化合物はその能力を評価するために本発明の方法において用いるIRIの動物モデルにおいて用いることができる。
【0052】
(5.2 活性化合物の製剤)
治療用製剤は、活性化合物が、食細胞によってのみ又は主として内在化され、それゆえマクロファージや単球などの食細胞への特異性を付与するように充分に大きい粒子内にあるように製剤中に活性化合物を含む。非食細胞は、細胞内に入ったときは、活性化合物により影響を及ぼされることがあるが、かかる方法で製剤化された場合に(すなわち、治療用製剤として)、活性化合物を効果的に内在化する非食細胞のメカニズムはない。治療用製剤は、0.01〜1.0ミクロン、0.03〜1.0ミクロン、0.05〜0.75ミクロン、0.07〜0.5ミクロン、0.1〜0.3ミクロン、又は0.1〜0.18ミクロンのサイズの範囲内で製剤化された活性化合物を含む。一実施例では、本発明の製剤は、0.07ミクロンより大きい。しかしながら、これらは単なる例示であって、マクロファージ及び/又は単球による貪食に適当な別のサイズの範囲が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく用いられることができる。
【0053】
当該技術分野において公知の方法を、貪食を介してのみ又は主として内在化されるように活性化合物を製剤に組み込むために用いることができる。活性化合物の製剤(すなわち治療用製剤)は、標的部位(例えば、マクロファージや単球)への化合物のデリバリーを促進するために、活性化合物を十分な時間不溶性の形態に隔離する。さらに、活性化合物の製剤は、標的部位内にある場合、粒子からの化合物を放出してもよい。それゆえ、治療用製剤が細胞外にある場合に、不溶性の形態における活性化合物(例えばカプセル化された、包埋された、又は微粒子)のみが存在する。
【0054】
活性化合物の製剤は、実質的に不溶性である。通常、「不溶性(insoluble)」なる用語は、一万(10,000)以上の溶媒のパートに対する、1個の微粒子活性化合物の溶解性を意味する。一実施態様では、治療用製剤は実質的に不溶性であり、治療用製剤が貪食され、食細胞内(すなわち細胞内)に入った後までに、製剤中に活性化合物のすべてが実質的に残存する。別の実施態様では、治療用製剤は実質的に不溶性であり、治療用製剤が、生理学的媒体(例えば、水、生理食塩水、血液、血漿、その他)において、1時間、2時間、5時間、10時間、24時間、3日、10日、30日、60日後に製剤内に活性化合物が50%、60%、70%、80%、又は90%以上残存する。別の実施態様では、治療用製剤は実質的に不溶性であり、活性化合物は、体内において非食細胞タイプに実質的に効力を有するレベルの可溶性の形態ではない。
【0055】
一実施態様では、活性化合物は、所望の特性を有する粒子内にカプセル化(すなわち、カプセル化剤(encapsulating agent))されている。特定の実施態様では、カプセル化剤は、リポソームである。リポソームは、当該技術分野で公知の任意の方法により調製してもよい(例えば、Monkkonen, J. et al., 1994, J. Drug Target, 2:299-308; Monkkonen, J. et al., 1993, Calcif. Tissue Int., 53:139-145; Lasic DD., Liposomes Technology Inc., Elsevier, 1993, 63-105.(chapter 3); Winterhalter M, Lasic DD, Chem Phys Lipids, 1993; 64(1-3):35-43参照)。
【0056】
一般的に、リポソームは、脂質薄膜(thin lipid films)又は脂質ケーキが水和され、液性結晶性二重層の積重ねが、流体となり、膨張すると形成される。水和脂質シートが、攪拌中に分離し、大きい多重膜小嚢(LMV)を形成するように自己接近(self-close)する。いったんかかる粒子が形成されると、粒子のサイズを縮小するためには、超音波エネルギー(超音波処理 (sonication))、又は力学的エネルギー(押出)(extrusion))の形態におけるエネルギーインプットを必要とする。
【0057】
超音波エネルギー(超音波処理(sonication))を用いたLMVの崩壊は、小単層小嚢(small, unilamellar vesicles)(SUV)を通常産生する。超音波処理された粒子の調製のための最も一般的な器具としては、バスとプローブチップソニケーターを挙げることができる。一方、脂質押出は、用いられるフィルターの孔径に近い直径を有する粒子が生じるように規定された孔径のポリカーボネートフィルターを通して、脂質懸濁液を押し出す技術である。
【0058】
リポソームは、正に荷電しても、中性でも、より好ましくは負に荷電してもよい。
リポソームは、脂質単層でもよいし、多重膜でもよい。本発明による適当なリポソームは、無毒のリポソームが好ましく、例えば、ホスファチジルコリンホスホグリセロール及びコレステロールから調製されたリポソームを挙げることができる。リポソーム及び/又は各構成要素の量は、公知技術を用いて変更することができ、望ましい特徴(例えば、貪食されるまでのカプセル化された活性化合物の滞留)を有する製剤を実験的に決定できる。
【0059】
特定の実施態様では、リポソームは、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、及びコレステロールを(1:2:1の比で)クロロホルム:メタノール(9:1)中に溶解することにより調製される。溶媒を蒸発させた後に、水和ジイソプロピルエーテルが溶液に添加される。化合物が、45分間55℃の超音波前に添加される。有機相は、その後蒸発する。
【0060】
別の実施態様では、活性化合物は、所望の特性の粒子(すなわち包埋剤)に包埋されている。包埋されている活性化合物としては、粒子に包埋され、封入され、及び/又は吸着されている活性化合物、粒子マトリックスに分散している活性化合物、粒子表面に吸着又は結合している活性化合物、あるいは、これらの形態の任意の組合せを挙げることができる。特定の実施態様では、包埋剤は、マイクロ粒子、ナノ粒子、マイクロスフェア、マイクロカプセル、又はナノカプセルである(例えば、M. Donbrow in: Microencapsulation and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy, CRC Press, Boca Raton, FL, 347, 1991参照)。包埋剤としては、ポリマー性及び非ポリマー性調製物を挙げることができる。特定の実施形態では、包埋剤はナノ粒子である。ナノ粒子は、球状、非球状、又はポリマー粒子でよい。活性化合物は、ナノ粒子に包埋されてもよく、ポリマーマトリックスに均一に又は不均一に分散してもよく、表面に吸着若しくは結合してもよく、あるいは、これらの形態の任意の組合せでもよい。好ましい実施態様では、ナノ粒子を作製する(fabricating)ために用いられるポリマーは、生体適合性及び生分解性があり、例えば、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(PLGA)を挙げることができる。しかしながら、ナノ粒子を作製するために用いてもよいポリマーとしては、PLA(ポリ乳酸)とそのコポリマー、ポリ無水物やポリアルキルシアノアクリレート(ポリイソブチルシアノアクリレートなど)やポリエチレングリコールやポリエチレンオキシドとこれらの誘導体、キトサン、アルブミン、ゼラチン、その他をさらに挙げることができるが、これらに制限されない。
【0061】
特定の実施態様では、ナノ粒子は、両面エマルジョンシステム(double emulsion system)を用いた溶媒気化ポリマー沈殿技術により調製される。活性化合物及びNaHCOは、トリスバッファーに溶解される。ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー(PLGA)は、ジクロロメタンに溶解される。水性活性化合物溶液は、PLGA有機溶液に添加され、水中油型(W/O)エマルジョンがプローブタイプソニケーターを用いてアイスバス上で超音波により形成される。かかるW/Oエマルジョンは、ポリビニルアルコール(PVA)フィルター滅菌溶液にその後添加され、CaClを活性化合物に対して2:1のモル比にて含むNaOH溶液で、pHを7.4に調製した。混合液は、アイスバス上で混合され、両面エマルジョン(W/O/W)を形成する。エマルジョンは、有機溶媒が気化できるように、4℃にて一晩攪拌される。
【0062】
別の実施態様では、活性化合物は、粒子がそれぞれ望ましい特性を有する微粒子である。微粒子活性化合物は、粒子中又は粒子上にカプセル化、取込み、又は吸収されていない、任意の不溶性の懸濁した又は分散した活性化合物の微粒子形態を含む。微粒子形態における活性化合物としては、活性化合物の懸濁した又は分散した、不溶性コロイド、不溶性凝集体(insoluble aggregates)、不溶性凝集物(insoluble flocculates)、不溶性塩、不溶性複合体、及び不溶性ポリマー鎖を挙げることができる。かかる微粒子は、保存され/投与される液体(例えば、生理食塩水又は水)において不溶性であり、同様に治療効果を提供する液体(例えば、血液又は血清)において不溶性である。粒子又は凝集体を作製するために、当該技術分野で公知の任意の技術を用いてもよい。微粒子は、任意の形状でよい。
【0063】
(5.3 粒子サイズの決定)
治療用製剤は、その粒子(例えば、カプセル化され、包埋され、粒子化(particularized)される活性化合物)のサイズが、貪食によってのみ又は主として内在化されるために十分に大きく製剤化される活性化合物を含む;すなわち、好ましくは0.03ミクロンより大きく、より好ましくは0.07ミクロンより大きい。好ましい実施態様では、かかる製剤は、0.03〜1.0ミクロン、0.05〜0.75ミクロン、0.07〜0.5ミクロン、又は0.1〜0.3ミクロンである。当該技術分野で公知の任意の技術が、必要とする患者への投与の前に治療用製剤における粒子のサイズを決定するために用いられてもよい。例えば、レーザー光散乱を用いるNicompサブミクロン粒子サイザー(Nicomp Submicron Particle Sizer) (モデル370、 Nicomp社製)、又はMalvernゼータサイザーナノZS(Malvern Zetasizer Nano ZS) (モデルZS−ZEN3600、Malvern社製)を用いてもよい。
【0064】
好ましい実施態様よりも小さい又は大きい様々なサイズの粒子を生産する活性化合物をカプセル化し、包埋し、粒子化するための方法を用いてもよい。当該技術分野で公知の任意の技術が、カプセル化され、包埋され、粒子化された望ましいサイズの活性化合物を、所望のサイズの範囲外(例えば小さすぎる又は大きすぎる)の化合物から分けるために用いられてもよい。治療用製剤は、所望のサイズの範囲内であると決定された活性化合物の粒子のみ含んでもよいし、それらを主に含んでもよい。
【0065】
(5.4 製剤の投与)
本発明の治療用製剤の有効量は、短期間治療、救急治療を意図しており、慢性的な投与を意味するものではない。治療期間は、標的食細胞の阻害/欠乏を、1ケ月未満、好ましくは2週間未満、最も好ましくは1週間以内に誘導する期間が好ましい。実験的に、かかる期間は、必要とする患者(かかる個々の動物モデル)に治療用製剤を投与し、異なる時点の阻害/欠乏のレベルをモニターして決定できる。阻害の時間と、IRIの急性リスクの減少などの適切な所望の臨床効果とを関連づけてもよい。
【0066】
(5.5 治療の有用性の特徴)
「有効量」なる用語は、食細胞の活性を阻害し又は低下させ、及び/又は食細胞の量を除去し又は減少させるという、望ましい治療結果を達成するために効果的な治療用製剤の量を意味する。一実施態様では、食細胞の活性を阻害し又は低下させ、及び/又は食細胞の量を除去し又は減少させるという、望ましい治療結果は、IRIを罹患した患者における梗塞面積及び/又は組織壊死の量を最小限にするものである。
【0067】
本発明の治療方法の毒性と有効性は、例えば、LD50(集団の50%致死量)、無毒性量(No Observable Adverse Effect Level)(NOAEL)、及びED50(集団の50%有効量)の細胞培養又は実験動物における標準的な医薬行為によって決定することができる。毒性効果と治療効果間の用量比(dose ratio)は治療係数(therapeutic index)であり、LD50/ED50又はNOAEL/ED50で表すことができる。提示される治療係数が大きい治療用製剤が好ましい。中毒性副作用を呈する治療用製剤を用いてもよいが、影響を受けない細胞に対する潜在的なダメージを最小限にして、副作用を縮小するため、かかる治療用製剤を損傷した部位を標的とするデリバリーシステムをデザインするにあたっては注意を払われなければならない。
【0068】
細胞培養アッセイや動物実験から得られたデータは、ヒトにおいて用いられる製剤の投薬量の範囲を決定するために用いてもよい。かかる治療用製剤の投薬量は、ほとんど又は全く毒性がない、ED50を含む循環濃度の範囲内に位置することが好ましい。投薬量は、利用される投薬形態や使用される投薬の経路によってかかる範囲内で変化してもよい。本発明の方法において用いられる任意の治療用製剤において、有効量は、まず細胞培養アッセイにより推定することができる。投薬量は、細胞培養で決定されたIC50(すなわち、症状の半分の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環している血漿濃度範囲に到達するために、動物モデルにおいて処方されてもよい。かかる情報は、ヒトにおいて有用な投薬量をより正確に決定するために用いることができる。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定してもよい。
【0069】
本発明のプロトコールと組成物は、ヒトにおいて用いられる前に、望ましい治療活性について、インビトロで続いてインビボで試験されることが好ましい。かかるインビボアッセイの一つの例としては、インビトロの細胞培養アッセイであって、食細胞を培地で生育させ、1若しくは複数の治療用製剤に曝露し、又は1若しくは複数の治療用製剤を投与し、例えば活性の阻害若しくは低下、及び/又は、完全な若しくは部分的な細胞死等の効果を観察するアッセイである。食細胞は、確立された細胞系から、又は初代細胞系(primary cell line)として個人から近年単離されたものから得ることもできる。当該技術分野の多数の標準アッセイは、食細胞についての製剤の活性を測定するために用いることができ、例えば、マクロファージ/単球活性は、マクロファージ走化性活性タンパク質−1(MCP−1)、インターロイキン1ベータ(IL−1β)、組織壊死因子アルファ(TNF−α)、及びマクロファージ炎症タンパク質−1アルファ(MIP−1アルファ)などの走化性因子レベルを定量化することによりアッセイできる。当該技術分野の多数の標準アッセイは、食細胞の生存及び/又は成長を評価することができ、例えば、細胞増殖は、H−チミジンの取込みを測定することにより、直接細胞計数により、プロトオンコジーン(例えばfos、myc)若しくは細胞周期マーカーなどの公知の遺伝子の転写活性における変化を検出することにより、アッセイできる。細胞生存率は、トリパンブルー染色により評価できる。
【0070】
好ましい有効投薬量の選択は、当業者に公知のいくつかの因子についての考慮に基づいて、熟練者により決定される。かかる因子としては、例えば、予防すべき、対応すべき、又は治療すべき疾患、関連する症状、患者の体重、患者の免疫状況及び投与される医薬組成物の正確度を反映する、熟練者に公知の他の因子を挙げることができる。
【0071】
(5.6 医薬化合物と投与経路)
本発明の方法において使用される治療用製剤は、各患者に特異的な様々な因子、(例えば、疾患の重症度及びタイプ、年齢、体重、応答性(response)及び患者の既往歴)、製剤中の活性化合物の数及びタイプ、製剤のタイプ (例えば、カプセル化され、包埋され、微粒子、その他)、組成物の形態(e.g.,液体で、準液体で、又は固型で)、及び/又は投与経路(例えば、経口の、静脈の、筋肉内の、動脈内の、髄内の(intramedullary)、髄腔内の(intrathecal)、心室内の(intraventricular)、経皮の(transdermal)、皮下の(subcutaneous)、腹腔内の(intraperitoneal)、鼻腔内の(intranasal)、腸内の(enteral)、非経口の、局所の、舌下腺の(sublingual)、膣の又は直腸の手段で)に依拠して、数々の形態をとってよい。医薬担体、ビヒクル(vehicles)、賦形剤(excipients)、又は希釈剤(diluents)は、本発明の組成物に含めることができるが、例えば、水、生理食塩水、緩衝食塩水、溶液、油(例えば、石油、動物油、植物油、又は合成油)、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、エタノール、デキストロース、その他を挙げることができる。組成物は、望ましい場合は、少量の湿潤剤、乳化剤、又はpH緩衝剤を含んでもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、タブレット、ピル、カプセル、パウダー、徐放性形態、その他の形態をとることができる。
【0072】
非経口投与のために適した医薬製剤は、水溶液において処方されてもよく、ハンクス液や、リンゲル液や、生理的緩衝食塩水などの生理的に適合したバッファーにおいて処方されてもよい。水性懸濁注入液が、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトール又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含んでもよい。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性懸濁注入液として調製されてもよい。適切な親油性溶媒又はビヒクルとしては、ごま等の油脂や、オレイン酸エチル、トリグリセリド等の合成脂肪酸エステルや、リポソームなどを挙げることができる。あるいは、懸濁液は、高濃度溶液の調製を可能とするために組成物の溶解性を増加させる適当な安定化剤又は試薬を含んでもよい。
【0073】
医薬組成物は、塩として提供されてもよく、多数の酸の形態をとることもでき、例えば、塩酸(hydrochloric)、硫酸(sulfuric)、酢酸(acetic)、乳酸(lactic)、酒石酸(tartaric)、リンゴ酸(malic)、コハク酸(succinic)、その他を挙げることができるがこれらに制限されない。塩は、水性溶媒又は他のプロトン性溶媒においては、その相当する遊離塩基形態よりも溶解性が増加する。
【0074】
医薬組成物は、全身的に、又はIRIの病変部位の近傍等に局所的に投与することができる。さらに、全身的投与とは、所望の特異領域又は組織タイプを標的とすることができる投与を包含することを意味する。
【0075】
好ましい投与方法としては、例えば、静脈内(IV)、動脈内(IA)を挙げることができる。他の適当な投与方法としては、筋肉内(IM)、皮下(SC)、腹腔内(IP)及び経口(PO)を挙げることができる。かかる投与は、ボーラス注入法又はボーラス投与法でもよい。別の投与方法としては、血管周囲(perivascular)デリバリーによるものを挙げることができる。治療用製剤は、直接投与しても希釈後投与してもよい。本発明において、上記投与経路のいずれかを組み合わせて用いることもできる。
【0076】
一実施態様では、1又は複数の治療用製剤を含む医薬組成物は、IRIの初発症状の発症後即座に投与される。
【0077】
別の実施態様では、1又は複数の治療用製剤を含む医薬組成物は、いずれの虚血性疾患発症後即座に投与される。具体的な実施態様では、1又は複数の治療用製剤を含む医薬組成物は、虚血性疾患発症後であって、再灌流前に投与される。別の具体的な実施態様では、1又は複数の治療用製剤を含む医薬組成物は、虚血性疾患発症後であって、再灌流中に投与される。
【0078】
別の実施態様では、1又は複数の治療用製剤を含む医薬組成物は、IRIの症状の発症直後に、例えば症状の発生から数分以内に投与されてもよい。あるいは、及び/又は、さらに、組成物は、症状の発生後1時間、又は約2時間、又は約3時間、又は約4時間、又は約5時間、又は約6時間以内や、最長1〜3日以内に投与されてもよい。
【0079】
別の実施態様では、1又は複数の治療用製剤を含む医薬組成物は、IRIの発症前にIRIのリスクが増加した患者に投与される。例えば、本発明の1又は複数の治療用製剤は、動脈粥腫崩壊、及び急性心筋梗塞又は心筋梗塞のリスクを増加させる血管形成処置(例えば、経皮経管冠動脈形成)処置の前に、患者に投与されてもよい。かかる処置の3日前までに組成物を投与することが好ましい。投与は、処置の1〜6時間前、処置の1時間以内、又は処置の1時間未満、若しくは数分前までであることが好ましい。当業者であれば、体重、既往歴、及び遺伝性素因、行われる処置の複雑性のなどの、粥腫崩壊の予想されるリスクに影響する様々な因子に依拠して、適切な投与の時期を決定することができる。
【0080】
本明細書に挙げた全ての刊行された論文、書籍、参照便覧、及び要約は、本発明が関連する最新技術をより詳細に説明するために、それらの全体を参照により本明細書の一部とする。
【0081】
本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、上述の主題に様々な変更を加えることができるため、上述の説明に含まれているか、又は添付の請求の範囲に定義されている全ての主題は、本発明の記述及び例示として解釈されることが意図される。上述の教示に鑑みて、本発明の変更及び修正が可能である。
【実施例】
【0082】
次の実施例は、本発明の特定の実施形態を説明するものであるが、当然のことながら、いかなる面でも本発明の範囲を限定しない。
【0083】
(6.1 リポソームビスホスフォネートの梗塞域のサイズへの効果)
カプセル化されたビスホスフォネートによる治療の梗塞域のサイズへの効果がウサギAMIモデルで試験された。梗塞域は、IRI発症によりもたらされた組織損傷を意味する。約0.150μmの直径のリポソームのアレンドロネートは、以下のアウトラインを用いて作製された。
a.1/1エタノール/tert-ブタノールに脂質、DSPC、DSPG及びコレステロールを溶解する。
b.大きい多重膜小嚢(multilamellar vesicles)(MLVs)を産生するためにアレンドロネートを含むバッファーに溶媒を希釈する。
c.大きい単層膜150±20nm小嚢(LUVs)を産生するために、200nmポリカーボネートフィルターを通じてMLVを押し出す。
d.カプセル化されていないアレンドロネートを除去するためにLUVを限外ろ過する。
e.無菌ろ過
【0084】
体重2.5〜3.5kgの8匹のニュージーランド白色雄ウサギは、通常の固型飼料と水とを随意に与えられた。ウサギは、生理食塩水(コントロール)、又はリポソームアレンドロネート(3mg/kg、点滴(i.v.))を冠動脈閉塞と同時に単一注入として、無作為に投与された。ウサギは、ケタミン/キシラジン(35mg/kg;5mg/kg)やイソフルレンにより麻酔された。実験は、挿管及び酸素とバランスをとったイソフルレンを伴う機械的人工喚起による呼吸支援、並びに継続的心エコー図(echocardiogram)(ECG)及び動脈圧(耳動脈のカテーテル)のモニターリングにより行われた。開胸術が第四肋間を通じて行われ、心膜切開術(pericardiotomy)と心膜クレードルの形成を行った。左主冠動脈を同定し、主管は、5−0絹縫合とスネアにより取り囲まれた。その後、スネアは、30分間固く締められた。虚血は、ECGの変化(ST上昇)、断片着色と運動低下により検証された。その後30分後、スネアは、解放され、血流の再開が確認された。縫合は、その場所に置いておかれ、解放され、胸腔は、層を成して閉塞されている。ブレネックス(Burenex)が、さらに2〜3日間無痛覚にするためにウサギに投与された。ペンソタールによる安楽死で、ウサギは7日後屠殺され、心臓が摘出された。冠動脈は、生理食塩水で上行大動脈を通じて灌流され、従前に閉塞した冠動脈の縫合を固く締め、0.5%エバンズブルー溶液(シグマ社製)で、再内皮化された部分(reendothelialization)の領域を染色するために(血液の存在下)冠動脈を灌流した。エバンズブルーで、染色されていない左心室のエリアは、リスク域として定義された。心臓は、24時間−20℃にて冷凍し、横断面を2mmごとに切断した。心臓の切片は、30分間培養し、トリテトラゾリウムクロライド(TTC、1%、シグマ社製)で生体染色され、組織処理よりも前には生存していた細胞を染色するために、10%の無添加のホルマリン緩衝液に固定した。TTC(白)で染色されていない左心室エリアは、梗塞領域として定義された。染色されたセクションは撮影され、デジタル面積測定法により処置された(フォトショップ)。
【0085】
リポソームアレンドロネートによって治療されたウサギは、リスク領域の29.5±6%の梗塞域を有していた。このことは、リスク領域の42±5.5%の梗塞域を示していたコントロールのウサギとは対照的である(図1参照)。したがって、リポソームのアレンドロネートは、梗塞域を縮小すること、それゆえ、IRI発症に関連する組織損傷を縮小することに効果があった。副作用は、治療グループにおいて観察されなかった。
【0086】
(6.2 心筋形態(myocardial morphology)へのリポソームビスホスフォネートの効果)
セクション6.1において治療されたウサギは、ヘモトキシリンとエオシン染色で示されるように様々な心筋形態を示した。コントロールのウサギは、歪曲した心筋形態を有していたが(図2A参照)、一方でリポソームアレンドロネートによって治療されたウサギは、より通常の形態をみせた(図2B参照)。
【0087】
(6.3 マクロファージ湿潤(Macrophage Infiltration)へのリポソームビスホスフォネートの効果)
セクション6.1において治療されたウサギは、リポソームアレンドロネートによって治療されたウサギにおけるマクロファージ湿潤における縮小を示した。ウサギの心臓の典型的なセクションは、RAM11+マクロファージの免疫染色に供された。リポソームアレンドロネートによって治療されたウサギからのセクション(図3B参照)は染色がよりなされず、それゆえコントロールウサギのセクション(図3A参照)よりもRAM11+マクロファージの蓄積が少ないものであった。
【0088】
リポソームアレンドロネートは、循環単球数を全身的に縮小することも示した。ウサギには、生理食塩水(コントロール)又はリポソームアレンドロネート(3mg/kg、i.v.)が投与された。循環血液中の単球レベルは、CD−14のFACS分析を用いて決定された。リポソームアレンドロネートの注入後48時間経過時に血液の単球数は、コントロールグループと比較して75〜95%縮小した。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】ウサギにおける一時的な冠動脈閉塞後の梗塞領域のサイズについてのリポソームアレンドロネートの治療効果を示したものである。梗塞域のサイズは、閉塞した動脈により供給される左心室エリアのa%として梗塞域の領域として、及び後に続く梗塞のリスクとして計算された。データは、±SDの平均で表され、n=4/グループで、p値がp<0.05である。
【図2】図2A−2Bは、可逆性冠動脈閉塞症後のウサギの心筋形態に対するリポソームアレンドロネートの治療の効果を示す。コントロールのウサギ(A)は、歪曲した心筋形態を有していたが、リポソームアレンドロネートによって治療されたウサギ(B)は、より通常の形態をみせた。
【図3】図3A−3Bは、可逆性冠動脈閉塞症後にリポソームアレンドロネートによって治療されたウサギのマクロファージ湿潤における縮小を示す。コントロールのウサギ(A)は、リポソームアレンドロネートによって治療されたウサギ(B)と比較して、梗塞域におけるRAM11+マクロファージの蓄積の増加を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化された活性化合物を含む製剤の有効量を必要とする患者に投与することを含み、製剤が梗塞域を縮小し、それゆえ虚血再灌流障害の損傷を最小にすることを特徴とする虚血再灌流障害を治療する方法。
【請求項2】
包埋された活性化合物を含む製剤の有効量を必要とする患者に投与することを含み、製剤が梗塞域を縮小し、それゆえ虚血再灌流障害の損傷を最小にすることを特徴とする虚血再灌流障害を治療する方法。
【請求項3】
微粒子活性化合物を含む製剤の有効量を必要とする患者に投与することを含み、製剤が梗塞域を縮小し、それゆえ虚血再灌流障害の損傷を最小にすることを特徴とする虚血再灌流障害を治療する方法。
【請求項4】
製剤が、血中単球又は組織マクロファージ活性を阻害することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項5】
製剤が、血中単球又は組織マクロファージの数を低下させることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項6】
製剤が、0.01〜1.0ミクロンのサイズ範囲であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項7】
製剤が、0.07〜0.5ミクロンのサイズ範囲であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項8】
製剤が、0.1〜0.3ミクロンのサイズ範囲であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項9】
製剤が、0.1〜0.18ミクロンのサイズ範囲であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項10】
活性化合物が、細胞内阻害剤であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項11】
活性化合物が、細胞内不活性化剤であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項12】
活性化合物が、細胞内アレスターであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項13】
活性化合物が、細胞内毒素であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項14】
活性化合物が、細胞増殖抑制物質であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項15】
活性化合物が、細胞毒性物質であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項16】
活性化合物が、ガリウム、金、セレニウム、ガドリニウム、シリカ、ミトラマイシン、シロリムス、パクリタキセル、エベロリムス、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ステロイド、及びアスピリンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項17】
活性化合物が、ビスホスフォネートであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項18】
ビスホスフォネートが、式(I)ビスホスフォネートであることを特徴とする請求項17記載の方法:
【化1】


(式中、RはH、OH又はハロゲン基を示し;Rは、ハロゲン;直鎖若しくは分岐鎖のC−C10アルキル若しくはC−C10アルケニル(ヘテロアリール、ヘテロシクリルC−C10アルキルアミノ若しくはC−Cシクロアルキルアミノで置換されていてもよく、アミノは1級、2級又は3級アミノであってもよい);−NHY(Yは水素、C−Cシクロアルキル若しくはヘテロアリールである);又は−SZ(Zはクロロ置換されたフェニル若しくはピリジニルである)を示す。)。
【請求項19】
ビスホスフォネートが、クロドロネート、エチドロネート、チルドロネート、パミドロネート、アレンドロネート、リセンドロネート、及びISA13−1からなる群より選択されることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
活性化合物が、リポソームにカプセル化されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項21】
活性化合物が、マイクロ粒子、ナノ粒子、マイクロスフェア、及びナノスフェアからなる群から選択される担体に包埋されていることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項22】
活性化合物が、凝集体、凝集物、コロイド、ポリマー鎖、不溶性塩及び不溶性複合体なる群から選択される微粒子であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項23】
虚血再灌流障害が、心筋梗塞、急性心筋梗塞、不安定狭心症、切迫又は実際の粥腫崩壊、末梢血管障害、一過性虚血性発作、可逆性虚血性神経障害、脳血管障害、虚血性肝炎、脾梗塞、虚血性腸疾患、肢虚血、肺塞栓、肺動脈塞栓、急性膵炎からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の方法。
【請求項24】
カプセル化されたビスホスフォネートを含む製剤の有効量を必要とする患者に投与し、組織壊死がもたらす損傷を最小にすることを含む、虚血再還流障害、及びその後の組織壊死を治療する方法。
【請求項25】
包埋されたビスホスフォネートを含む製剤の有効量を必要とする患者に投与し、組織壊死がもたらす損傷を最小にすることを含む、虚血再還流障害、及びその後の組織壊死を治療する方法。
【請求項26】
微粒子ビスホスフォネートを含む製剤の有効量を必要時に患者に投与し、組織壊死がもたらす損傷を最小にすることを含む、虚血再還流障害、及びその後の組織壊死を治療する方法。
【請求項27】
製剤が、血中単球又は組織マクロファージ活性を阻害することを特徴とする請求項24〜26いずれか記載の方法。
【請求項28】
製剤が、血中単球又は組織マクロファージの数を低下させることを特徴とする請求項24〜26いずれか記載の方法。
【請求項29】
ビスホスフォネートが、リポソームにカプセル化されていることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項30】
ビスホスフォネートが、マイクロ粒子、ナノ粒子、マイクロスフェア、及びナノスフェアからなる群から選択される担体に包埋されていることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項31】
ビスホスフォネート微粒子が、凝集体、凝集物、コロイド、ポリマー鎖、不溶性塩及び不溶性複合体なる群から選択されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項32】
製剤が、虚血再灌流障害後に投与されることを特徴とする請求項1〜3及び24〜26いずれか記載の方法。
【請求項33】
製剤が、虚血再灌流障害の期間中に投与されることを特徴とする請求項1〜3及び24〜26いずれか記載の方法。
【請求項34】
製剤が、予測される虚血再灌流障害の発病前に投与されることを特徴とする請求項1〜3及び24〜26いずれか記載の方法。
【請求項35】
製剤が、再灌流の期間中に投与されることを特徴とする請求項1〜3及び24〜26いずれか記載の方法。
【請求項36】
製剤が、虚血再灌流障害が起こりうる場合の処置前又は処置中に投与されることを特徴とする請求項1〜3及び24〜26いずれか記載の方法。
【請求項37】
処置が、経皮経管腎血管形成術であることを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項38】
カプセル化されたビスホスフォネートを含む製剤の有効量を必要とする個人に投与することを含む、虚血再灌流障害後の梗塞域を縮小する方法。
【請求項39】
包埋されたビスホスフォネートを含む製剤の有効量を必要とする個人に投与することを含む、虚血再灌流障害後の梗塞域を縮小する方法。
【請求項40】
微粒子ビスホスフォネートを含む製剤の有効量を必要とする個人に投与することを含む、虚血再灌流障害後の梗塞域を縮小する方法。
【請求項41】
ビスホスフォネートがリポソームにカプセル化されていることを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項42】
ビスホスフォネートが、マイクロ粒子、ナノ粒子、マイクロスフェア、及びナノスフェアからなる群から選択される担体に包埋されていることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項43】
ビスホスフォネート微粒子が、凝集体、凝集物、コロイド、ポリマー鎖、不溶性塩及び不溶性複合体なる群から選択されることを特徴とする請求項40記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−504570(P2009−504570A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523480(P2008−523480)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002028
【国際公開番号】WO2007/012947
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(506154351)バイオレスト リミテッド (2)
【Fターム(参考)】