説明

虫除け用薬剤放散器

【課題】容器より虫除け薬剤を良好に放散できるようにした虫除け用薬剤放散器を提供する。
【解決手段】開口部8を形成した大きな面積の前面1及び後面2を有した六面体状の容器7を備え、この容器7の内部に虫除け薬剤を含浸させた含浸シート10を収容して、この含浸シート10に含浸させた虫除け薬剤を容器7の前面1及び後面2に形成した開口部8より外部に放散するようになる虫除け用薬剤放散器において、容器7の上部にひも13及びフック14を取り付けることによって、容器7を吊り下げ可能にすると共に、容器7の形状を横断面略S字形にした虫除け用薬剤放散器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虫除け薬剤を放散することにより、蚊などの害虫を寄せつけないようにする虫除け用薬剤放散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の虫除け用薬剤放散器については、特開2008−194034号公報に開示されているようなものが知られていた。この虫除け用薬剤放散器としては、大きな面積の前面及び後面を有した縦長の直方体である六面体状の平らな形状となる容器を備え、この容器の前面及び後面とに開口部を形成したものであり、この容器の内部に虫除け薬剤を含浸させた担体を収容して、この担体に含浸させた虫除け薬剤を容器の前面及び後面に形成した開口部より外部に放散するようにしている。また、この容器の上部にはフックを取り付けることで、容器を吊り下げることができるようにしており、これにより、容器を吊り下げて、担体に含浸させた虫除け薬剤を自然に放散させることで、害虫を寄せつけないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−194034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の虫除け用薬剤放散器にあっては、含浸させた虫除け薬剤を自然に放散させていることから、虫除け薬剤を良好に放散することが難しいといった問題があり、これは、たとえば、吊り下げて使用したときに、容器が平らな形状となっていることから、風などを受けても容器が単に前後に揺れるだけであって、容器より虫除け薬剤をうまく放散させることができずにいた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑み、容器より虫除け薬剤を良好に放散できるようにした虫除け用薬剤放散器を提供することを、その課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、開口部を形成した大きな面積の前面及び後面を有した六面体状の容器を備え、この容器の内部に虫除け薬剤を含浸させた含浸シートを収容して、この含浸シートに含浸させた虫除け薬剤を容器の前面及び後面に形成した開口部より外部に放散するようになる虫除け用薬剤放散器において、容器の上部にひも及びフックを取り付けることによって、容器を吊り下げ可能にすると共に、容器の形状を横断面略S字形にした虫除け用薬剤放散器である。
【0007】
第二の発明は、第一の発明において、容器の内部に収容した含浸シートの虫除け効果の効果消失時期を表す目盛であるインジケーターを、容器の前面及び後面の両側より見ることができるようにした虫除け用薬剤放散器である。
【発明の効果】
【0008】
第一の発明によれば、虫除け用薬剤放散器における容器の形状を横断面略S字形にしたことで、横方向360°のどこからの風を受けても、容易に旋回するようになり、これにより、容器の内部に収容した含浸シートから安定して虫除け薬剤を容器の外部に良好に放散させることができ、使用開始から使用終了まで常に安定して虫除け薬剤を放散し続けることができる。
【0009】
また、第二の発明によれば、インジケーターを容器の前面及び後面の両側より見ることができるようにしたことで、当該虫除け用薬剤放散器が旋回してどのような向きになろうとも、インジケーターを容易に見ることができ、虫除け効果の効果消失時期を常に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による虫除け用薬剤放散器における容器の正面図である。
【図2】本発明による虫除け用薬剤放散器における容器の背面図である。
【図3】本発明による虫除け用薬剤放散器における容器の右側面図である。
【図4】本発明による虫除け用薬剤放散器における容器の左側面図である。
【図5】本発明による虫除け用薬剤放散器における容器の平面図である。
【図6】本発明による虫除け用薬剤放散器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による虫除け用薬剤放散器の一実施形態について説明する。
虫除け用薬剤放散器としては、図1、図2、図3、図4、図5に示すように、前面1と後面2、右側面3と左側面4、上面5と下面6とをそれぞれ有した六面体状の容器7を備える。この前面1と後面2とについては縦長の長方形状の大きな面積となる面にすると共に、表面を波状にしている。また、その表面を横格子状にして開口部8を形成している。右側面3と左側面4とについては縦長の幅細状の面にしている。上面5と下面6とについては横長の幅細状で、かつ略S字形となる面にしている。このようになることで、容器7にあっては、その前面1と後面2とに開口部8を形成しつつ、その全体の形状を横断面略S字形にしている。また、容器7の上部中央と下部中央とに係合部9をそれぞれ形成している。なお、この容器7としては、前後の中間にて前後に二分割したもので、この二分割したものを嵌合することにより製作したものである。
【0012】
そして、この容器7の内部に虫除け薬剤を含浸させた含浸シート10を収容する。含浸シート10としては、メッシュ状のシート材であって、この含浸シート10に蚊などの害虫を寄せつけないようにするための虫除け薬剤を含浸させている。
【0013】
また、容器7の中央には含浸シート10の虫除け効果の期間を示す縦長状のインジケーター11を装着する。このインジケーター11は透明材料にて制作されて、その内部に液体を収容するものであり、含浸シート10の虫除け効果が無くなる時、内部に収容した液体も減少して、あらかじめ設定した目盛における効果消失時期を表す最終ラインに到達するようになっている。このインジケーター11にあっては、容器7の前面1と後面2の両側からそれぞれ見ることができるようにしている。
【0014】
そして、図6に示すように、容器7の上部に形成した係合部9に略H字形の吊り下げ具12を介してひも13を係止すると共に、ひも13の上端にフック14を取り付ける。これにより、容器7を吊り下げ可能にしている。
【0015】
このような構成となる虫除け用薬剤放散器としては、窓ぎわや玄関、ベランダや縁側、さらには屋外などにおいて吊り下げて使用する。
【0016】
そして、虫除け用薬剤放散器を吊り下げて使用したとき、風などにより当該虫除け用薬剤放散器が旋回自在となり、特に、容器7を横断面略S字形にすることにより、横方向360°のどこからの風でも容易に虫除け用薬剤放散器が旋回するようになっている。これは、従来のような平らな形状となる容器の場合、風などを受けても容器が単に前後に揺れるだけであるのに対し、横断面略S字形となる容器7の場合、どこからの風でも横断面略S字形となる容器7のどこかに風を受ける仕組みになっており、これにより、常に容器7が吊り下げ位置を中心に横方向に容易に旋回するようになっている。
【0017】
このように虫除け用薬剤放散器が風を受けると、常に容易に旋回するようになることで、容器7の内部に収容した含浸シート10から安定して虫除け薬剤を容器の外部に良好に放散させることができ、使用開始から使用終了まで常に安定して虫除け薬剤を放散し続けることができるようにしている。
【0018】
また、旋回自在となる虫除け用薬剤放散器にあっては、容器7の前面1と後面2の両側から見ることができるインジケーター11を容器7に装着したことで、虫除け用薬剤放散器が旋回してどのような向きになろうとも、インジケーター11を容易に見ることができ、虫除け効果の効果消失時期を常に確認することができるようにしている。
【符号の説明】
【0019】
1…前面、2…後面、3…右側面、4…左側面、5…上面、6…下面、7…容器、8…開口部、9…係合部、10…含浸シート、11…インジケーター、12…吊り下げ具、13…ひも、14…フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部11を形成した大きな面積の前面1及び後面2を有した六面体状の容器7を備え、この容器7の内部に虫除け薬剤を含浸させた含浸シート10を収容して、この含浸シート10に含浸させた虫除け薬剤を容器7の前面1及び後面2に形成した開口部8より外部に放散するようになる虫除け用薬剤放散器において、
容器7の上部にひも13及びフック14を取り付けることによって、容器7を吊り下げ可能にすると共に、容器7の形状を横断面略S字形にしたことを特徴とする虫除け用薬剤放散器。
【請求項2】
容器7の内部に収容した含浸シート10の虫除け効果の効果消失時期を表す目盛であるインジケーター11を、容器7の前面1及び後面2の両側より見ることができるようにしたことを特徴とする請求項1記載の虫除け用薬剤放散器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−19507(P2011−19507A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278297(P2009−278297)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願変更の表示】意願2009−16368(D2009−16368)の変更
【原出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】