説明

蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備

【課題】塗膜の幅方向における乾燥状態の不均一や、塗膜に傷等の欠陥を生じさせない浮揚乾燥設備を提供する。
【解決手段】一方面Rwが塗着面側で他方面Rdが非塗着面側となるウエブ走行路Rの両面に一方側及び他方側のノズル箱3から気体を吹き付ける乾燥室2aの二つを隣接させ、乾燥室2a,2aの間に配置した蛇行修正装置4は、ウエブ通路Rの他方面Rdに接触するように平行に配置された複数本のガイドロール6と、隣接するガイドロール6,6の隙間Jを吸引状態とする吸引具5と、ウエブ通路Rの一方面外側からウエブ通路Rの一方面Rwに向かって気体を吹き付け、ウエブ通路Rにガイドロール6の外周面6aに沿う巻掛け領域Rbを形成させてウエブ通路Rと非接触になる巻掛け用気体吹付け具7と、これらガイドロール6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7を左右方向に対して傾動させる傾動操作具8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム又は紙等のウエブの上下両面にノズルから熱風を吹き付けてウエブを浮揚させながらウエブの片側表面に塗着されている塗膜を乾燥させる浮揚乾燥装置において、浮揚乾燥装置の内部を走行中に生じるウエブの幅方向への蛇行を修正するようにした蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備に関する。
【背景技術】
【0002】
浮揚乾燥装置の内部のウエブ通路を走行するウエブの蛇行を修正する蛇行修正装置(前者)は、ウエブ通路の上面側においてウエブ通路の幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第1の吸引ノズルおよび第2の吸引ノズルと、ウエブ通路の下面側においてウエブ通路の幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第3の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルと、第1の吸引ノズルおよび第3の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第1のダクトと、第2の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第2のダクトと、第1および第2のダクト内の気体を吸引する吸引装置とを有し、第1のダクトの開度調整機構と第2のダクトの開度調整機構とを独立して操作可能としたものがある(特許文献1)。
【0003】
走行するウエブにウエブの幅方向への蛇行を生じた場合には、第1のダクトおよび第2のダクトの開度調整機構を操作することによって、ウエブの一方側の端部に設けられた第1の吸引ノズルおよび第3の吸引ノズルからウエブの他方側の端部に設けられた第2の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズル側へ、あるいはその逆方向へウエブ付近の気体が流動するために、ウエブの幅方向への気体の流動によってウエブを蛇行方向と逆方向へ移動させて蛇行を修正しようとする。
【0004】
また、浮揚乾燥装置の外側でウエブの蛇行を修正する蛇行修正装置(後者)としては、走行中のウエブの一方表面に接する二本のロール及び他方表面に接する一本のロールを、ウエブ走行方向の幅方向へ傾動自在としたものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3676599号公報
【特許文献2】特開2009−190854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前者の蛇行修正装置は、ウエブの蛇行を修正するときに、ウエブの幅方向の一方側へ流動する気体の風量と他方側へ流動する気体の風量との割合が変化するので、ウエブの幅方向の全域における乾燥能力に不均一が生じ、その結果、ウエブの片側表面に塗着されている塗膜の幅方向について乾燥状態の不均一を生じさせる問題がある。
【0007】
後者の蛇行修正装置は、浮揚乾燥装置のウエブ通路の途中に配置したとき、ウエブの片側表面に塗着されている塗膜がロールに接触するため、塗膜に傷等の欠陥を生じさせる問題がある。
【0008】
本発明は、前記問題を解決するために、塗膜の幅方向における乾燥状態の不均一や、塗膜に傷等の欠陥を生じさせない蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
塗膜の幅方向における乾燥状態の不均一や、塗膜に傷等の欠陥を生じさせないために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図10に示す如く、前後方向へ延びて一方面Rwが塗着面側で他方面Rdが非塗着面側となるウエブ通路Rの両面に一方側及び他方側のノズル箱3から気体を吹き付ける乾燥室2aの二つを隣接させた浮揚乾燥装置2と、隣接する乾燥室2a,2aの間に配置された蛇行修正装置4とを備えた蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備であって、蛇行修正装置4は、ウエブ通路Rの他方面Rdに接触するように平行に配置された複数本のガイドロール6と、これらガイドロール6に対してウエブ通路Rの反対側に配置され、隣接するガイドロール6,6の隙間Jを吸引状態とする吸引具5と、ウエブ通路Rの一方面外側からウエブ通路Rの一方面Rwに向かって気体を吹き付け、ウエブ通路Rにガイドロール6の外周面6aに沿う巻掛け領域Rbを形成させてウエブ通路Rと非接触になる巻掛け用気体吹付け具7と、これらガイドロール6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7を左右方向に対して傾動させる傾動操作具8とを備えたことを特徴とする蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0010】
ガイドロール6にウエブWを確実にガイドさせるために請求項2記載の本発明が採用した手段は、図6及び図13に示す如く、前記巻掛け用気体吹付け具7が、通路上流側のガイドロール6に接するウエブ通路Rの巻掛け領域Rbにおける上流側縁部Rc近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口7cと、通路下流側のガイドロール6に接するウエブ通路Rの巻掛け領域Rbにおける下流側縁部Rc近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口7cと、隣接するガイドロール6,6の間に向かって気体を吹き付ける中間の吹出し口7cとを備えている請求項1に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0011】
ガイドロール6にウエブWを確実にガイドさせるために請求項3記載の本発明が採用した手段は、図11、図12、図14及び図15に示す如く、前記巻掛け用気体吹付け具7が、通路上流側のガイドロール6に接するウエブ通路Rの巻掛け領域Rbにおける上流側縁部Rc近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口7cと、通路下流側のガイドロール6に接するウエブ通路Rの巻掛け領域Rbにおける下流側縁部Rc近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口7cと、ウエブ通路Rを介してこれらガイドロール6に対面する気体案内面部7dを備え、気体案内面部7dの両縁部に曲成したコアンダ部7e,7eの各々に吹出し口7cを面するようにした請求項1に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0012】
乾燥室内2bの気体を蛇行修正装置4を介して外部へ漏洩させないために請求項4記載の本発明が採用した手段は、図2、図4及び図7に示す如く、前記蛇行修正装置4が、隣接する乾燥室2a,2aの間に蛇行修正室4aを設け、蛇行修正室4aの室内4bを囲む仕切壁部4cが、各乾燥室2aの室内2bを囲む仕切壁部2cへ気密状に接合され、前記蛇行修正装置4の左右両端側が、蛇行修正室4aの仕切壁部4cに開設されている開口部4dを挿通して、蛇行修正室4aの室外に配置されている非通気性の連結板9に連結され、これら開口部4dの周縁及び連結板9が、蛇行修正装置4の左右両端側を囲む可撓性且つ非通気性の接合筒部10で気密状に接合され、傾動操作具8が、蛇行修正室4aの室外で連結板9に連結されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0013】
ウエブWをガイドロール6で昇温させないために請求項5記載の本発明が採用した手段は、図10に示す如く、前記巻掛け用気体吹付け具7に送気側34bを接合すると共に前記蛇行修正室4aの室内4b及び吸引具5に吸気側34aを接合する循環通路34と、循環通路34に配置した循環ファン35及び温度調節器付きの加熱器36と、循環通路34に接合した風量調節用ダンパ付き排気路38とを有する気体循環装置25を備え、加熱器36を温度調節することで、蛇行修正室4aの室内4bにおけるガイドロール6の周囲の気体の温度を、乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2以下にできるようにした請求項4に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0014】
塗膜の幅方向における乾燥状態の不均一や、塗膜に傷等の欠陥を生じさせないために請求項6記載の本発明が採用した手段は、図18乃至図20に示す如く、前後方向へ延びて一方面Rwが塗着面側で他方面Rdが非塗着面側となるウエブ通路Rの両面に一方側及び他方側のノズル箱3から気体を吹き付ける乾燥室2aの二つを隣接させた浮揚乾燥装置2と、隣接する乾燥室2a,2aの間に配置された蛇行修正装置4とを備えた蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備であって、蛇行修正装置4は、ウエブ通路Rの他方面Rdに接触するように平行に配置された複数本のガイドロール6と、これらガイドロール6に対してウエブ通路Rの反対側に配置され、隣接するガイドロール6,6の隙間を吸引状態とする吸引具5と、これらガイドロール6及び吸引具5を左右方向に対して傾動させる傾動操作具8とを備えたことを特徴とする蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0015】
乾燥室内2bの気体を蛇行修正装置4を介して外部へ漏洩させないために請求項7記載の本発明が採用した手段は、図18及び図19に示す如く、前記蛇行修正装置4が、隣接する乾燥室2a,2aの間に蛇行修正室4aを設け、蛇行修正室4aの室内4bを囲む仕切壁部4cが、各乾燥室2aの室内2bを囲む仕切壁部2cへ気密状に接合され、前記蛇行修正装置4の左右両端側が、蛇行修正室4aの仕切壁部4cに開設されている開口部4dを挿通して、蛇行修正室4aの室外に配置されている非通気性の連結板9に連結され、これら開口部4dの周縁及び連結板9が、蛇行修正装置4の左右両端側を囲む可撓性且つ非通気性の接合筒部10で気密状に接合され、傾動操作具8が、蛇行修正室4aの室外で連結板9に連結されている請求項6に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0016】
ウエブWをガイドロール6で昇温させないために請求項8記載の本発明が採用した手段は、図18に示す如く、前記吸引具5に吸気側34aを接合すると共に前記蛇行修正室4aの室内4bに送気側34bを接合する循環通路34と、循環通路34に配置した循環ファン35及び温度調節器付きの加熱器36と、循環通路34に接合した風量調節用ダンパ付き排気路38とを有する気体循環装置25を備え、加熱器36を温度調節することで、蛇行修正室4aの室内4bにおけるガイドロール6の周囲の気体の温度を、乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2以下にできるようにした請求項7に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【0017】
隣接する乾燥室2a,2aを屈折させた状態で連ねるために請求項9記載の本発明が採用した手段は、図15及び図16に示す如く、隣接する乾燥室2a,2aが、各乾燥室2aの一方側及び他方側のノズル箱3の間でウエブ通路Rに沿って延びる仮想平面Pについて、仮想平面P,Pどうしを交差させた請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、吸引具による吸引で隣接するガイドロールの隙間がウエブを引き込むと共に、巻掛け用気体吹付け具から噴出する気体がウエブをガイドロールへ圧着させる相乗作用でウエブをガイドロールに確実に巻掛けさせて、ウエブを左右方向へ横滑りさせることなく確実にガイドして蛇行修正を行うため、蛇行修正が乾燥室のノズル箱から吹き付けられてウエブの表面を通過する気体の移動状況に変化を生じさせることもなく、塗膜の幅方向における乾燥状態の均一を保持できると共に、ウエブの塗着面側と蛇行修正装置との接触がないため、塗膜に傷等の欠陥を生じさせることもない。
【0019】
請求項2の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、巻掛け用気体吹付け具の両側の吹出し口及び中間の吹出し口から吹き出す気体で、ウエブ通路を走行するウエブを複数本のガイドロールに巻掛けて巻掛け長さを増大させることで、ガイドロールにウエブを滑らすことなくウエブを確実にガイドさせることができる。
【0020】
請求項3の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、巻掛け用気体吹付け具の両側の吹出し口から吹出した気体が、コアンダ部のコアンダ効果で気体案内面部へ方向転換して、ウエブ通路を走行するウエブと気体案内面部の間に、ウエブ通路の他方面側の静圧に比べて大きいプラス静圧を生じさせ、このプラス静圧でウエブをガイドロールに圧着させて、ガイドロールにウエブを滑らすことなくウエブを確実にガイドさせることができる。
【0021】
請求項4の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、蛇行修正室の室内が蛇行修正室の仕切壁部、連結板及び接合筒部で気密状に囲まれているため、乾燥室内から蛇行修正室内へ移動した気体を外部へ漏洩させることがない。
【0022】
請求項5の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、ガイドロールのウエブに接する外周面の温度値が、乾燥室から送り出されるウエブの温度値を越えないため、ガイドロールでウエブを昇温させることもなく、加熱による熱的収縮等のダメイジをウエブに与えることがない。
【0023】
請求項6記載の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、ウエブ通路を走行するウエブに対して、蛇行修正装置のガイドロール及び吸引具を傾動操作具で傾動させて蛇行修正を行うときに、乾燥室のノズル箱から吹き付けられてウエブの表面を通過する気体の移動状況に変化を生じさせないことから、塗膜の幅方向における乾燥状態の均一を保持できると共に、ウエブの塗着面側と蛇行修正装置との接触がないため、塗膜に傷等の欠陥を生じさせることもない。
【0024】
請求項7記載の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、蛇行修正室の室内が蛇行修正室の仕切壁部、連結板及び接合筒部で気密状に囲まれているため、乾燥室内から蛇行修正室内へ移動した気体を外部へ漏洩させることがない。
【0025】
請求項8記載の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、ウエブに接するガイドロールの外周面の温度値が、乾燥室から送り出されるウエブの温度値を越えないため、ガイドロールでウエブを昇温させることもなく、加熱による熱的収縮等のダメイジをウエブに与えることがない。
【0026】
請求項9記載の本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備は、隣接する乾燥室のウエブ通路に沿う仮想平面どうしを交差させることで、隣接する乾燥室の間でのウエブの浮揚状態を確保隣接しつつ隣接する乾燥室を屈折させた状態で連ねたい要請に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備(以下、「本発明浮揚乾燥設備」と言う。)の第1の実施の形態を示す右側面図である。
【図2】図1のC2−C2線で断面した中間省略した平面図である。
【図3】図2のC3−C3線で断面した右側面図である。
【図4】図1のC4−C4線で断面した正面図である。
【図5】第1の実施の形態における乾燥室2aの上下両側のノズル箱3を拡大して示す断面した側面図である。
【図6】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7の回りを拡大して示す断面した側面図である。
【図7】第1の実施の形態における吸引具5を構成する左右の端シール部材45,45の間隔を調整するための間隔調整装置47の近辺を示す断面した正面図である。
【図8】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の状態を示す中間省略した平面図であり、図(A)は二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7が左右方向に対して傾動していない状態、図(B)は二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7が右側へ移動して傾動している状態、図(C)は二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7が左側へ移動して傾動している状態を示す。
【図9】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の機構を簡略的に示す平面図である。
【図10】第1の実施の形態における浮揚乾燥装置2の気体循環装置24及び蛇行修正装置4の気体循環装置25を示す概略面である。
【図11】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の二本のガイドロール6,6、吸引具5及び別態様の巻掛け用気体吹付け具7の回りを拡大して示す断面した側面図である。
【図12】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の二本のガイドロール6,6、吸引具5及び別態様の巻掛け用気体吹付け具7の回りを拡大して示す断面した側面図である。
【図13】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の三本のガイドロール6,6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7の回りを拡大して示す断面した側面図である。
【図14】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の三本のガイドロール6,6,6、吸引具5及び別態様の巻掛け用気体吹付け具7の回りを拡大して示す断面した側面図である。
【図15】第1の実施の形態における蛇行修正装置4の三本のガイドロール6,6,6、吸引具5及び更に別態様の巻掛け用気体吹付け具7の回りを拡大して示す断面した側面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備61を示す断面した側面図である。
【図17】第3の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備71を示す断面した側面図である。
【図18】第4の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備81を示す断面した側面図であって、浮揚乾燥装置2の気体循環装置24及び蛇行修正装置4の気体循環装置25を概略的に示すものである。
【図19】第4の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備81の断面した正面図である。
【図20】第4の実施の形態における蛇行修正装置4のガイドロール6,6及び吸引具5の回りを拡大して示す断面した側面図であって、図(A)は二本のガイドロール6,6の場合を示し、図(B)は三本のガイドロール6,6,6の場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備1は、図1乃至図3に示す如く、前後方向へ延びて一方面Rw(図3参照)が塗着面側で他方面Rdが非塗着面側となるウエブ通路Rの両面に一方側(一方面Rwに面する側)及び他方側(他方面Rdに面する側)のノズル箱3から気体を吹き付ける乾燥室2aの二つを隣接させた浮揚乾燥装置2と、隣接する乾燥室2a,2aの間に配置した蛇行修正装置4とを備えている。本例におけるウエブWは、ウエブ通路Rを前から後へ向かって走行するようになっている。
【0029】
前記乾燥室2aは、図3に示す如く、ウエブ通路Rが貫通する室内2bを囲む仕切壁部2cと、ウエブ通路Rを挟んで上下側に配置したノズル群N1,N2と、上側(一方側)のノズル群N1の各ノズル箱3に連通する給気ダクト19と、下側(他方側)のノズル群N2の各ノズル箱3に連通する給気ダクト20とを備えている。ノズル群N1,N2の各々は、本発明浮揚乾燥設備1の左右方向(前後方向と直交する方向)へ延びる複数個のノズル箱3,3…を適宜寸法S(例えば、150〜500mmの範囲内で選択される寸法)の間隔を開けて配置し、ノズル群N1の隣接するノズル箱3,3の間に、ノズル群N2のノズル箱3を対向させるようにしてある。給気ダクト19,20の各々は、図10に示す如く、気体循環装置24から供給される気体(例えば、空気や窒素気体等)Gを各ノズル箱3へ分配するようにしてある。また、乾燥室2aは、仕切壁部2cに開口部2d,2eが開設され、上側(一方側)のノズル群N1の各ノズル箱3から噴出した気体を開口部2dを介して気体循環装置24へ還流させると共に、下側(他方側)のノズル群N2の各ノズル箱3から噴出した気体を開口部2eを介して気体循環装置24へ還流させるようにしてある。
【0030】
前記ノズル箱3は、図2及び図5に示す如く、左右方向に長い気体案内板17と、気体案内板17の前後外縁に開設された左右方向に長い前後一対の気体噴出スリツト18,18とを有している。該気体案内板17は、図5に示す如く、静圧保持部となる平坦部17aと、平坦部17aの前後縁部で彎曲形成した前後一対のコアンダ部17b,17bと、コアンダ部17b,17bから延設した前後一対の裾部17c,17cとが形成されている。前記気体噴出スリツト18,18は、裾部17c,17cの外表面を気体Gの案内面とするように開設されている。該気体噴出スリツト18,18から噴出した気体Gは、裾部17c,17cに案内されてコアンダ部17b,17bに達し、コアンダ部17b,17bでコアンダ効果により平坦部17aへ方向転換し、ウエブ通路Rを走行するウエブWと平坦部17aの間に、室内2bの気体の静圧に比べてプラス側に大きいプラス静圧を発生させつつ平坦部17aから離反してウエブWへ吹き付けられる。ウエブWは、各ノズル箱3の平坦部17aとの間に発生したプラス静圧のクッション的な支持作用により波動曲線を描くように支持されて浮揚しながら走行する。ノズル箱3は、上記の構造に限定するものではなく、適宜変更することも可能である。
【0031】
前記浮揚乾燥装置2の各乾燥室2aは、図10に示す如く、二組の気体循環装置24,24が接続されている。各組の気体循環装置24は、乾燥室2aの給気ダクト19(又は20)と乾燥室2aの開口部2d(又は2e)とを連通させる循環通路26と、循環通路26の上流側に配置した循環ファン27と、循環通路26の下流側に配置した蒸気ヒータ又は電気ヒータ等からなる加熱器28と、循環通路26の上流側に接続した風量調節用ダンパ付き新鮮気体取入れ具29とを備え、循環通路26における新鮮気体取入れ具29よりも上流側に風量調節用ダンパ付き排気路30を接合してある。各気体循環装置24は、乾燥室内2bを通過するウエブWを浮揚させた後にウエブWから離れる気体を、循環ファン27の吸引力で開口部2d(又は2e)から循環通路26へ吸引して循環させるときに、加熱器28で設定温度まで加熱して乾燥室2aの給気ダクト19(又は20)へ供給し、ノズル群N1(又はN2)の各ノズル箱3からウエブ通路Rに向かって気体を噴出させるようにしてある。また、各気体循環装置24は、開口部2d(又は2e)から還流させた気体の一部を排気路30及び集合排気ダクト33を介して排気装置31の排気ファン32に吸引させると共に、新鮮気体取入れ具29から新鮮気体を循環通路26へ取り入れて、各ノズル箱3から噴出する気体の溶媒蒸気濃度を設定値となるようにしてある。本例の本発明浮揚乾燥設備1は、ノズル群N1用とノズル群N2用の二組の気体循環装置24,24を備えているが、一組の気体循環装置24でノズル群N1及びN2へ設定温度の気体を供給して循環させるように構成することも可能である。
【0032】
前記蛇行修正装置4は、図1乃至図4並びに図6乃至図10に示す如く、ウエブ案内装置13と、ウエブ案内装置13を傾動させる傾動操作具8と、ウエブ案内装置13に接続した気体循環装置25とからなる。ウエブ案内装置13は、左右の連結板9,9を連結フレーム15,15で連結した支持具16と、支持具16の連結フレーム15,15に取付けた二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7とを備えている。
【0033】
前記二本のガイドロール6,6は、図2、図4及び図6に示す如く、連結フレーム15,15に軸受14,14を介して取付けられ、ウエブ通路Rの他方面Rdに接触するように平行に配置されている。二本のガイドロール6,6は、外周面6aの直径が50〜150mm程度の範囲から選択され、外周面6aを金属表面とする他に、巻掛けるウエブWの横滑りを防止して蛇行修正を確実に実行させるために、ロール外周面が摩擦抵抗の大きなゴム層で形成されている。また、二本のガイドロール6,6は、回転自在なフリーロール、または、ロール外周面を形成する筒部を軸支する軸部を強制的に回転駆動させるテンデンシーロール(連れ回りロール)が、ウエブWの特性に応じて選択される。
【0034】
前記吸引具5は、図6及び図7に示す如く、二本のガイドロール6,6に対してウエブ通路Rの反対側(下側)に配置され、隣接するガイドロール6,6の外周面6a,6aの間に形成されている隙間Jを吸引状態とするように構成されている。吸引具5は、ガイドロール6,6の長手方向(左右方向)に延びる凹溝部材44と、凹溝部材44の対向する側板部44a,44aに外周面6aへ向かって進退可能に取付られ、長手先端部45aをガイドロール6の外周面6aに接近させた前後の長手シール部材45,45と、凹溝部材44における溝内側の長手両側の各々に移動可能に配置され、先端部46aをガイドロール6の外周面6aに接近させた左右の短手シール部材46,46とを備え、前後の連結フレーム15,15に左右の支持部材53,53を介して凹溝部材44を取付け固定してある。各支持部材53は、前後の連結フレーム15,15に架設した連結部53aと、凹溝部材44の底板部44bに接合したブラケット53bとからなり、連結部53aとブラケット53bを螺子53c,53cで接合してある。
【0035】
前記吸引具5は、凹溝部材44、前後の長手シール部材45,45及び左右の短手シール部材46,46で囲まれて溝内側に形成された吸引空間部5aを、二本のガイドロール6,6の外周面6a,6aにおけるウエブ通路Rと反対側に臨ませると共に、長手シール部材45,45及び短手シール部材46,46の各先端部45a,46aをガイドロール6,6の各外周面6aに当接させることなく接近させ、ガイドロール6の自在回転を阻害しないようにしある。吸引具5は、凹溝部材44の底板部44bに開設した吸引口44cに、可撓性(フレキシブル)のダクト54を介して気体循環装置25の吸引側34aを接合して吸引空間部5aを吸引することで、吸引空間部5aと連通する隣接するガイドロール6,6の間の隙間Jを吸引状態にすることができる。
【0036】
隣接するガイドロール6,6の間の隙間Jは、隣接するガイドロール6,6で案内されて走行するウエブWで隙間長手領域(左右領域)が覆われるため、後述する蛇行修正室4a内の気体を開口状態の隙間両端側から吸引することになり、隙間両端側の開口面積が大きいくなると、吸引風量も増大して気体循環装置25の吸引負荷も増大することになる。そこで、隣接するガイドロール6,6は、隙間Jの両端側の開口面積を極力小さくするために、ロール外周面6a,6aの最も接近する最少寸法を2〜5mm程度の範囲で選択するとよい。
【0037】
前記吸引具5は、図7に示す如く、ウエブ通路Rを走行するウエブWにおけるを左右幅寸法の異なる仕様の変更に対応して、左右の短手シール部材46,46をウエブWの左右両端近辺へ移動できるように間隔調整装置47を備えている。間隔調整装置47は、凹溝部材44の底板部44bに両端側が回転自在に軸支49,49されると共に一方(左側)の短手シール部材46に螺合する一方螺子48a、及び凹溝部材44の底板部44bに両端側が回転自在に軸支49,49されると共に他方(右側)の短手シール部材46に螺合する他方螺子48aからなり、一方螺子48aと他方螺子48aが逆螺子関係となる移動操作用螺子48と、一方螺子48aと他方螺子48aを連結する軸継手50と、他方螺子48bから延長して右側の連結板9に軸支される延長棒51と、延長棒51の端部に取付けた回転操作用ハンドル52とを備え、ハンドル52を回転操作することで移動操作用螺子48を回転させて、両方の短手シール部材46,46を接近又は離反させるようにしてある。
【0038】
ガイドロール6,6の外周面6a,6aに接しながら走行するウエブWは、吸引具5で吸引状態となっている隣接するガイドロール6,6の間の隙間Jを跨ぐとき、隙間Jへ引き込まれるように引っ張られ、ウエブ張力と釣り合う位置を通過することになる。
【0039】
前記巻掛け用気体吹付け具7は、図6に示す如く、ウエブ通路Rの一方面外側(上側)からウエブ通路Rの一方面Rwに向かって気体(例えば、空気や窒素気体等)Gを吹き付けるように構成され、蛇行修正装置用の気体循環装置25(図10参照)から可撓性ダクト21を介して気体が供給されるノズル箱本体7aと、ノズル箱本体7aの前後側からウエブ通路Rへ向かって突設する前後のノズル7b,7b及び二本のガイドロール6,6の間へ向かって突設する中間のノズル7bとを備え、前後のノズル7b,7bの先端の吹出し口7c,7c及び中間のノズル7bの先端の吹出し口7cからウエブ通路Rの一方面Rwに向かって気体を吹き付けることで、各ガイドロール6の外周面6aの周方向に沿ってウエブ通路Rの巻掛け領域Rbを形成させるようにしてある。巻掛け用気体吹付け具7は、前方のノズル7bが、前方のガイドロール6の巻掛け領域Rbにおける通路上流側の縁部近辺箇所Rcへ向かって気体を吹き付けると共に、後方のノズル7bが、後方のガイドロール6の巻掛け領域Rbにおける通路下流側の縁部近辺箇所Rcへ向かって気体を吹き付けて、更に、中間のノズル7bが、ウエブ通路Rにおけるガイドロール6,6の間の跨ぎ箇所Reへ向かって気体を吹き付けることで、吹き付ける気体の圧力(動圧)でウエブWを引っ張る方向へ押圧しつつガイドロール6,6の各外周面6aに巻掛ける。なお、ノズル箱本体57aは、図6及び図4に示す如く、内部に整流具57hを配置して各吹出し口57cから気体が左右方向の全域にわたって均一に吹き出させることで、ウエブWを左右幅方向の全域で均一に引っ張るようにしてある。
【0040】
前記蛇行修正装置4は、図2及び図3に示す如く、隣接する乾燥室2a,2aの間に蛇行修正室4aが設けられ、蛇行修正室4aの室内4bを囲む仕切壁部4cと各乾燥室2aの室内2bを囲む仕切壁部2cとを気密状に接合してある。蛇行修正装置4の支持具6は、図2及び図4に示す如く、連結フレーム15,15の両端側が、蛇行修正室4aの左右の仕切壁部4cに開設されている開口部4d,4dを挿通して、蛇行修正室4aの室外の左右に位置する非通気性の連結板9,9に連結してある。これら開口部4dの周縁及び連結板9は、連結フレーム15,15の端側を囲む可撓性且つ非通気性の接合筒部10で気密状に接合されている。蛇行修正装置4は、図1に示す如く、仕切壁部4cの適所に点検扉56及び点検窓57が設けられている。
【0041】
前記傾動操作具8は、図2、図4及び図7に示す如く、蛇行修正室4aの室外に配置されて、左右の連結板9,9の各々に取着した支持部9aを回転自在(回転中心線は上下方向へ延びる)に軸支43(図4、図8(A)参照)する左右のスライダー40,40と、各スライダー40を案内する左右の固定されたレール41,41と、左右のスライダー40,40の一方(本例は左側)をスライド移動させる油圧シリンダ又はサーボモータ等のアクチュエータを有する原動部42とを備えている。蛇行修正装置4は、図9に示す如く、その機構を簡略的にみると、支持具16、二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7からなるウエブ案内装置13を一つの節(リンク)L1とし、左右のスライダー40,40の各々を一つの節L2,L3とし、固定したレール41,41を一つの節L4とした四節限定連鎖となり、節L2(左のスライダー40)及び節L3(右のスライダー40)の各々の直線移動方向に垂直な直線M1,M2の交点Oが、固定した節L4(レール41,41)に対する移動する節L1(ウエブ案内装置13)の瞬間中心となる。蛇行修正装置4は、この瞬間中心Oをウエブ通路Rの左右幅方向の範囲内に位置させ、ウエブ案内装置13の二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7が走行中のウエブWに皺を発生させ難くい状態で蛇行修正できるようにしてある。傾動操作具8は、図2に示す如く、蛇行修正室4aの室内4bに配置した非接触式の検知器23でウエブWの幅方向の位置(例えば耳端の位置)を監視してウエブWの蛇行を検知し、検知器23の検知信号に基づいて傾動操作具8の原動部42を起動・停止させて、ウエブWの蛇行を修正させるようにしてある。検知器23は、ウエブWの左右幅寸法の変更に対応できるように、左右方向へ移動可能に設けられ、検知器用操作ハンドル58を回転操作することで検知位置を変更できるようにしてある。
【0042】
前記蛇行修正装置4は、図9に示す節L1の左右の連結板9,9、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7が一体となって移動するめた、前記蛇行修正室4aの開口部4dの周縁と連結板9を接合する接合筒部10、吸引具5に接合されるダクト54、並びに、巻掛け用気体吹付け具7に接合されるダクト21を可撓性(フレキシブル)としてある。
【0043】
ところで、ウエブWの上下両面にノズル箱3,3から気体(熱風)を吹き付けてウエブWを浮揚させながらウエブWの片側表面に塗着されている塗膜を乾燥させる本発明浮揚乾燥設備1は、図5に示す如く、ウエブWに接触伝熱するものとして熱風以外のものがないため、ウエブWの温度値T2が塗膜から蒸発する溶媒の湿球温度(温度計を溶媒で湿したときに示される温度)と略等しくなり、ウエブWをガイドロールに接触伝熱させつつ塗膜に熱風を吹き付ける乾燥方式に比べ、ノズル箱3から噴出する気体(熱風)Gの温度値T1を高くすることが可能となる。そして、乾燥室2aの室内2bは、ノズル箱3からウエブWに吹き付けた後にウエブWから離れた熱風が充満するため、気体(熱風)温度値T1より若干低温の室内温度T3となる。仮に、図3に示す乾燥室2aの室内2bの室内温度T3の気体が蛇行修正室4aの室内4bへ流出して蛇行修正室室内4bに充満した場合には、二本のガイドロール6,6の温度値が乾燥室2aを出た直後のウエブWの温度値T2よりも相当高くなって、高温のガイドロール6,6に接触伝熱するウエブWに熱的収縮等のダメイジを与えることもある。そこで、本発明浮揚乾燥設備1は、二本のガイドロール6,6でウエブWを加熱させないための気体循環装置25を備えている。
【0044】
前記蛇行修正装置4用の気体循環装置25は、図10に示す如く、蛇行修正室4の室内4b及び吸引具5と巻掛け用気体吹付け具7とを連通させる循環通路34と、循環通路34の上流側に配置した循環ファン35と、循環通路35の下流側に配置した温度調節器付きの加熱器36と、循環通路34に接合した風量調節用ダンパ付き排気路38と、循環通路34における排気路38よりも下流側に設けた風量調節用ダンパ付き新鮮気体取入れ具37とを備え、循環通路34の上流側となる吸気側34aを分岐して吸引具5の吸引空間部5a(図6参照)に連通させると共に蛇行修正室室内4bに連通させ、循環通路34の下流側となる送気側34bを巻掛け用気体吹付け具7のノズル箱本体7a(図6参照)の内部に連通させてある。気体循環装置25は、加熱器36を温度調節して、巻掛け用気体吹付け具7の各ノズル7bから吹出す気体Gの温度値T4(図6参照)を制御することで、蛇行修正室4の室内4bにおける二本のガイドロール6,6の周囲の気体の温度を、乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2以下にできるようにしてある。気体循環装置25は、二本のガイドロール6,6の何れか一方又は両方におけるウエブが巻掛けられていない外周面近傍に温度センサー39(図6参照)を配置し、温度センサー39で検知した温度値(ガイドロール外周面6aの温度値)が乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2を越えないで温度値T2に近づくように、加熱器36を温度調節するようにしてある。蛇行修正室内4bへ進入するウエブWの温度値T2は、蛇行修正室内4bに配置した非接触式の温度センサー(図示略)で検知するとよい。気体循環装置25は、乾燥室2aの室内2bの気体を蛇行修正室4の室内4bへ流入させないように、排気路38及び新鮮気体取入れ具37の各ダンパ開度を調節することで、蛇行修正室4の室内4bの気体の静圧を隣接する乾燥室2a,2aの各室内2bの気体の静圧と同等又は若干高くして、乾燥室内2bの気体を蛇行修正室内4bへ流入するのを阻止することで、二本のガイドロール6,6の周囲の気体を温度値T2以下にすることを確保させるようにしてある。また、気体循環装置25は、排気路38及び新鮮気体取入れ具37の各ダンパ開度を調節することで、蛇行修正室内4bに所定濃度以上の溶媒蒸気を充満させないようにしてある。
【0045】
本発明浮揚乾燥設備1は、図8に示す如く、蛇行修正装置4の二本のガイドロール6,6、吸引具5及び巻掛け用気体吹付け具7からなるウエブ案内装置13を傾動操作具8で操作し、図(A)に示すようにウエブWが蛇行していないときには、ウエブ案内装置13について左右方向へ移動させずに停止状態を維持させ、また、図(B)に示すようにウエブWが左側へ蛇行するときには、ウエブ案内装置13について右側が右前方向(左側が右後方向)へ移動するように傾動角度β1で傾動させて蛇行修正を行ない、逆に、図(C)に示すようにウエブWが右側へ蛇行するときには、ウエブ案内装置13について右側が左後方向(左側が左前方向)へ移動するように傾動角度β2で傾動させて蛇行修正を行なう。なお、傾動角度β1,β2は、本発明浮揚乾燥設備1の左右方向Eとガイドロール6の回転中心線Dとの交差角度を指し、ウエブWの蛇行の程度に応じて変化する。
【0046】
本発明浮揚乾燥設備1のウエブ通路Rを走行するウエブWは、図3及び図6に示す如く、ウエブ通路上流側(前側)の乾燥室2aを通過して蛇行修正装置4へ至ると、蛇行修正装置4における二本のガイドロール6,6の巻掛け領域Rb,Rbに巻掛けられつつ案内され、ウエブ通路下流側(後側)の乾燥室2aへ向かって走行する。ウエブWが二本のガイドロール6,6の巻掛け領域Rb,Rbに巻掛けられるのは、吸引具5で吸引状態となっている隣接するガイドロール6,6の間の隙間Jを跨ぐウエブWが吸引状態の隙間Jへ引き込まれるように引っ張られると共に、巻掛け用気体吹付け具7の前後のノズル7b,7bから前後のガイドロール6,6の巻掛け領域Rb,Rbにおける通路上下流側の縁部近辺箇所Rc,Rcへ向かって吹き付けられる気体及び中間のノズル7bからウエブ通路Rにおける跨ぎ箇所Reへ向かって吹き付けられる気体の圧力(動圧)でウエブWが引っ張る方向へ押圧されることに拠るものである。二本のガイドロール6,6の巻掛け領域Rb,Rbに巻掛けらながら走行するウエブWは、ウエブ張力値に応じて各ガイドロール6の外周面6a上に押圧されることになるため、各ガイドロール6の外周面上における左右方向への横滑りが阻止され、蛇行修正のときに傾動するガイドロール6,6と一体になって移動することになる。
【0047】
本発明浮揚乾燥設備1は、本例では、図3に示す如く、隣接する乾燥室2a,2aが、各乾燥室2aの一方側及び他方側のノズル箱3の間でウエブ通路Rに沿って延びる仮想平面Pについて、水平で且つ両仮想平面P,Pを同一面となるように連続させてあるが、これに限定するものではなく、図示は省略したが、両仮想平面P,Pを水平に対して傾斜させるように隣接する乾燥室2a,2aを傾斜姿勢にする場合もある。
【0048】
なお、前記蛇行修正装置4のウエブ案内装置13は、図11乃至図15に示す如く、変更することも可能である。
【0049】
図11に示す蛇行修正装置4のウエブ案内装置13は、ウエブWを二本のガイドロール6,6の各外周面6aに気体の静圧で圧着させる巻掛け用気体吹付け具7を備えている。巻掛け用気体吹付け具7は、ウエブ通路Rを介して二本のガイドロール6,6に対面する気体案内面部7dと、気体案内面部7dの前後両縁部に曲成したコアンダ部7e,7eと、コアンダ部7e,7eから延設した前後一対の裾部7f,7fと、コアンダ部7e,7eに面する吹出し口7c,7cとをノズル箱本体7aに形成してある。前側の吹出し口7cは、通路上流側(前側)のガイドロール6に接するウエブ通路Rの巻掛け領域Rbにおける上流側縁部近辺箇所Rcへ向かって気体を吹き付け、また、後側の吹出し口7cは、通路下流側(後側)のガイドロール6に接するウエブ通路Rの巻掛け領域Rbにおける下流側縁部近辺箇所Rcへ向かって気体を吹き付けるようになっている。巻掛け用気体吹付け具7は、両側の吹出し口57c,57cから吹出した気体が、各コアンダ部57eのコアンダ効果で気体案内面部7dへ向かうように方向転換して、走行するウエブWと気体案内面部7dの間に、ウエブ通路Rの他方面Rd側の静圧に比べてプラス側に大きいプラス静圧を生じさせ、このプラス静圧でウエブWを二本のガイドロール6,6の各外周面6aに圧着させて、ガイドロール6にウエブWを滑らすことなくウエブWを確実にガイドさせることができる。なお、巻掛け用気体吹付け具7は、隣接するガイドロール6,6の間へ向かって気体を吹出させる複数個の吹出し孔7jを気体案内面部7dに開設して、隣接するガイドロール6,6に跨がるウエブWに気体を吹付けることで、ガイドロール6の外周面に対するウエブWの巻掛け長さ寸法を増大させるようにすることも可能である。図11において、巻掛け用気体吹付け具7を除く他の構成については、図6に示す前記構成と実質的に同一であり、同一符号は同一の構成部材等を示している。
【0050】
蛇行修正装置4の巻掛け用気体吹付け具7は、図11に示す如く気体案内面部7dを平坦に形成する以外に、図12に示す如く、気体案内面部7dを彎曲形成して気体案内面部7dと各ガイドロール6の外周面6aとの距離を略一定にすることで、各ガイドロール6の外周面6aに気体案内面部7dを接近可能にして、気体案内面部7dの前後全域とウエブWとの間に大きなプラス静圧を生じさせ、ウエブWを各ガイドロール6の外周面6aへ確実に圧着させるようにすることもある。
【0051】
図13に示す蛇行修正装置4のウエブ案内装置13は、ウエブ通路Rの他方面Rdに接触するように平行に配置された三本のガイドロール6,6,6と、これらガイドロール6に対してウエブ通路Rの反対側に配置され、隣接するガイドロール6,6の二箇所の隙間J,Jを吸引状態とする吸引具5と、ウエブ通路Rの一方面外側(上側)からウエブ通路Rの一方面Rwに向かって気体を吹き付け、ウエブ通路Rにガイドロール6の外周面6aに沿う巻掛け領域Rbを形成させてウエブ通路Rと非接触になる巻掛け用気体吹付け具7とを備えている。巻掛け用気体吹付け具7は、図6に示す巻掛け用気体吹付け具7に比べ、ガイドロール6が増加した分だけ中間のノズル7bを増加させてある。なお、ウエブ案内装置13は、図示は省略したが、ガイドロール6を四本以上のn本にすると共に、(n−1)箇所の隙間Jを吸引具5で吸引し、(n+1)個のノズル7bを設けることも可能である。
【0052】
図14に示す蛇行修正装置4のウエブ案内装置13は、図11に示す蛇行修正装置4に比べ、ガイドロール6を増加させて三本にすると共に、隣接するガイドロール6,6の二箇所の隙間J,Jを吸引具5で吸引状態にし、ガイドロール6の増加分だけ巻掛け用気体吹付け具7の気体案内面部7dの前後長さを長くして、走行するウエブWと気体案内面部7dの間に生じるプラスの静圧でウエブWを三本のガイドロール6,6,6の各外周面6aに圧着させるよにしてある。なお、ウエブ案内装置13は、図示は省略したが、ガイドロール6を四本以上のn本にすると共に、n−1箇所の隙間Jを吸引具5で吸引し、ガイドロール6の増加分だけ巻掛け用気体吹付け具7の気体案内面部7dの前後長さを長くすることも可能である。
【0053】
蛇行修正装置4の巻掛け用気体吹付け具7は、図14に示す如く気体案内面部7dを平坦に形成する以外に、図15に示す如く、気体案内面部7dを彎曲形成して気体案内面部7dと各ガイドロール6の外周面6aとの距離を略一定にすることで、各ガイドロール6の外周面6aに気体案内面部7dを接近可能にして、気体案内面部7dの前後全域とウエブWとの間に大きなプラス静圧を生じさせ、ウエブWを各ガイドロール6の外周面6aに確実に圧着させるようにすることもある。
【0054】
本発明浮揚乾燥設備1は、ウエブ通路Rを走行して乾燥室2aを通過中のウエブの蛇行修正を行うときに、図3に示す如く、乾燥室2aのノズル箱3から吹き付けられてウエブWの表面を通過する気体の移動状況に変化を生じさせないことから、塗膜の幅方向における乾燥状態の均一性を保持できると共に、図6及び図9に示す如く、蛇行修正装置4を通過しているウエブWの塗着面側と蛇行修正装置4との接触がないため、塗膜に傷等の欠陥を生じさせることもない。また、本発明浮揚乾燥設備1は、蛇行修正室4aの室内4bが蛇行修正室4aの仕切壁部4c、連結板9及び接合筒部10で気密状に囲まれているため、乾燥室2aの室内2bから蛇行修正室4aの室内4bへ移動した気体を外部へ漏洩させることがなく、乾燥室2a及び蛇行修正室4aの室外における作業環境を悪化させることもない。
【0055】
更に、本発明浮揚乾燥設備1は、蛇行修正室4aの室内4bにおける各ガイドロール6の外周面6aの温度値が乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2を越えることがないため、ウエブWに接触するガイドロール6でウエブWを異常に昇温させることもなく、ウエブWに加熱による熱的収縮等のダメイジを与えることがない。
【0056】
(第2の実施の形態)
図16に示す第2の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備61は、蛇行修正装置4を介して隣接する乾燥室2a,2の配置を前側から後側へ向かって下り傾斜させた点が、隣接する乾燥室2a,2の配置を前側から後側へ向かって一直線とした前記第1の実施の形態(図3参照)と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図16において図1乃至図10と同一符号は相当部分を示す。
【0057】
本例の本発明浮揚乾燥設備61は、蛇行修正装置4を介して隣接する乾燥室2a,2aが、各乾燥室2aの一方側のノズル箱3及び他方側のノズル箱3の間でウエブ通路Rに沿って延びる仮想平面Pについて、仮想平面P,Pどうしを交差角度θ(例えば、1〜30度の範囲で選択される角度)で交差させてある。なお、本例の本発明浮揚乾燥設備61は、蛇行修正装置4のウエブ案内装置13を図11乃至図15に示すウエブ案内装置13のいずれかに変更することも可能である。
【0058】
本例の本発明浮揚乾燥設備61は、隣接する乾燥室2a,2の仮想平面P,Pどうしを交差させることで、隣接する乾燥室2a,2を屈折させた状態で連ねることができ、ウエブWの耳端カール防止、又は建物の内部の構造に乾燥室2a,2aの配置を対応させることができる。
【0059】
(第3の実施の形態)
図17に示す第3の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備71は、蛇行修正装置4を介して隣接する乾燥室2a,2aの配置を前側から後側へ向かって上り傾斜させた点が、隣接する乾燥室2a,2の配置を前側から後側へ向かって一直線とした前記第1の実施の形態(図3参照)と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図17において図1乃至図10と同一符号は相当部分を示す。
【0060】
本例の本発明浮揚乾燥設備71は、蛇行修正装置4を介して隣接する乾燥室2a,2aが、各乾燥室2aの一方側のノズル箱3及び他方側のノズル箱3の間でウエブ通路Rに沿って延びる仮想平面Pについて、仮想平面P,Pどうしを交差角度θ(例えば、1〜30度の範囲で選択される角度)で交差させてある。なお、本例の本発明浮揚乾燥設備61は、蛇行修正装置4のウエブ案内装置13を図11乃至図15に示すウエブ案内装置13のいずれかに変更することも可能である。
【0061】
本例の本発明浮揚乾燥設備71は、隣接する乾燥室2a,2の仮想平面P,Pどうしを交差させることで、隣接する乾燥室2a,2を屈折させた状態で連ねることができ、ウエブWの耳端カール防止、又は建物の内部の構造に乾燥室2a,2aの配置を対応させることができる。
【0062】
(第4の実施の形態)
図18乃至図20は第4の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備81を示すものであって、本例の本発明浮揚乾燥設備81が前記第1の実施の形態に係る本発明浮揚乾燥設備1(図1乃至図10)と大きく異なる点は、蛇行修正装置4のウエブ案内装置83である。ウエブ案内装置83は、第1の実施の形態に係るウエブ案内装置13の巻掛け用気体吹付け具7(図6参照)を設けることなく、左右の連結板9,9を連結フレーム15,15で連結した支持具16と、支持具16の連結フレーム15,15に取付けた二本のガイドロール6,6及び吸引具5とで構成したことである。
【0063】
本例の本発明浮揚乾燥設備81は、図18に示す如く、前後方向へ延びて一方面Rwが塗着面側で他方面Rdが非塗着面側となるウエブ通路Rの両面に一方側及び他方側のノズル箱3から気体を吹き付ける乾燥室2aの二つを隣接させた浮揚乾燥装置2と、隣接する乾燥室2a,2aの間に配置された蛇行修正装置4とを備え、蛇行修正装置4が、図20に示すウエブ通路Rの他方面Rdに接触するように平行に配置された複数本のガイドロール6(同図(A)は二本の場合を示し、同図(B)は三本の場合を示している)と、これらガイドロール6に対してウエブ通路Rの反対側に配置され、隣接するガイドロール6,6の隙間を吸引状態とする吸引具5と、これらガイドロール6及び吸引具5を左右方向に対して傾動させる傾動操作具8(図19参照)とを備えている。
【0064】
ウエブ案内装置83を構成するガイドロール6、吸引具5及び支持具16の内容は、前記第1の実施の形態に係るガイドロール6、吸引具5及び支持具16と実質的に同一であるため、ここでの説明を省略する。
【0065】
蛇行修正装置4用の気体循環装置25は、図18に示す如く、蛇行修正室4の室内4bと吸引具5とを連通させる循環通路34と、循環通路34の上流側に配置した循環ファン35と、循環通路35の下流側に配置した温度調節器付きの加熱器36と、循環通路25に接合した風量調節用ダンパ付き排気路38と、循環通路34における排気路38よりも下流側に設けた風量調節用ダンパ付き新鮮気体取入れ具37とを備え、循環通路34の上流側となる吸気側34aを吸引具5の吸引空間部5a(図20参照)に連通させ、循環通路34の下流側となる送気側34bを蛇行修正室内4bに連通させてある。気体循環装置25は、加熱器36を温度調節して、蛇行修正室内4bに供給する気体の温度値T4を制御することで、蛇行修正室内4bにおける二本のガイドロール6,6の周囲の気体の温度を、乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2以下にできるようにしてある。気体循環装置25は、二本のガイドロール6,6の何れか一方又は両方におけるウエブが巻掛けられていない外周面近傍に温度センサー39を配置し、温度センサー39で検知した温度値(ガイドロール外周面6aの温度値)が乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2を越えないで温度値T2に近づくように、加熱器36を温度調節するようにしてある。蛇行修正室内4bへ進入するウエブWの温度値T2は、蛇行修正室内4bに配置した非接触式の温度センサー(図示略)で検知するとよい。気体循環装置25は、乾燥室2aの室内2bの気体を蛇行修正室4の室内4bへ流入させないように、排気路38及び新鮮気体取入れ具37の各ダンパ開度を調節することで、蛇行修正室4の室内4bの気体の静圧を隣接する乾燥室2a,2aの各室内2bの気体の静圧と同等又は若干高くして、乾燥室内2bの気体を蛇行修正室内4bへ流入するのを阻止することで、二本のガイドロール6,6の周囲の気体を温度値T2以下にすることを確保させるようにしてある。また、気体循環装置25は、排気路38及び新鮮気体取入れ具37の各ダンパ開度を調節することで、蛇行修正室内4bに所定濃度以上の溶媒蒸気を充満させないようにしてある。
【0066】
本発明浮揚乾燥設備81は、ウエブ通路Rを走行して乾燥室2aを通過中のウエブの蛇行修正を行うときに、図18に示す如く、乾燥室2aのノズル箱3から吹き付けられてウエブWの表面を通過する気体の移動状況に変化を生じさせないことから、塗膜の幅方向における乾燥状態の均一性を保持できると共に、蛇行修正装置4のウエブ案内装置83を通過しているウエブWの塗着面側とウエブ案内装置83との接触がないため、塗膜に傷等の欠陥を生じさせることもない。また、本発明浮揚乾燥設備81は、図19に示す如く、蛇行修正室4aの室内4bが蛇行修正室4aの仕切壁部4c、連結板9及び接合筒部10で気密状に囲まれているため、乾燥室2aの室内2bから蛇行修正室4aの室内4bへ移動した気体を外部へ漏洩させることがなく、乾燥室2a及び蛇行修正室4aの室外における作業環境を悪化させることもない。
【0067】
更に、本発明浮揚乾燥設備81は、蛇行修正室4aの室内4bにおける各ガイドロール6の外周面6aの温度値が乾燥室2aから送り出されるウエブWの温度値T2を越えることがないため、ウエブWに接触するガイドロール6でウエブWを異常に昇温させることもなく、ウエブWに加熱による熱的収縮等のダメイジを与えることがない。
【0068】
(その他の実施の形態)
本発明浮揚乾燥設備は、図16に示す本発明浮揚乾燥設備61及び図17に示す本発明浮揚乾燥設備71の各蛇行修正装置4のウエブ案内装置13を、図20に示すウエブ案内装置83に置換することも可能である。ウエブ案内装置83に置換する場合の気体循環装置25は、図18に示す第4の実施の形態の如く、循環通路34の吸気側34aを吸引具5に連通させると共に、送気側34bを蛇行修正室内4bに連通させるとよい。
【符号の説明】
【0069】
1(61,71,81)…本発明乾燥設備、2…浮揚乾燥装置、2a…乾燥室、2b…室内、2c…仕切壁部、2d…開口部、2e…開口部、3…ノズル箱、4…蛇行修正装置、4a…蛇行修正室、4b…室内、4c…仕切壁部、4d…開口部、5…吸引具、5a…吸引空間部、6…ガイドロール、6a…外周面、7…巻掛け用気体吹付け具、7a…ノズル箱本体、7b…ノズル、7c…吹出し口、7d…気体案内面部、7e…コアンダ部、7f…裾部、7h…整流具、7i…支持枠、7j…吹出し孔、8…傾動操作具、9…連結板、9a…支持部、10…接合筒部、11…立上げ支持フレーム、11a…覗き開口部、12…支持脚、13…ウエブ案内装置、14…軸受(ガイドロール6用)、15…連結フレーム、16…支持具、17…気体案内板、17a…平坦部、17b…裾部、17c…コアンダ部、18…気体噴出スリット、19…給気ダクト、20…給気ダクト、21…(可撓性)ダクト、23…検知器、24…気体循環装置(浮揚乾燥装置用)、25…気体循環装置(蛇行修正装置用)、26…循環通路、27…循環ファン、28…加熱器、29…新鮮気体取入れ具、30…排気路、31…排気装置、32…排気ファン、33…集合排気ダクト、34…循環通路、34a…吸気側、34b…送気側、35…循環ファン、36…加熱器、37…新鮮気体取入れ具、38…排気路、39…温度センサー、40…スライダー、41…レール、42…原動部、43…軸支、44…凹溝部材、44a…側板部、44b…底板部、44c…吸引口、45…長手シール部材、46…短手シール部材、47…間隔調整装置、48…移動操作用螺子、48a…一方螺子、48b…他方螺子、49…軸支、50…軸継手、51…延長棒、52…回転操作用ハンドル、53…支持部材、53a…連結部、53b…ブラケット、53c…螺子、53d…、54…(可撓性)ダクト、56…点検扉、57…点検窓、58…検知器用操作ハンドル、83…ウエブ案内装置、D…ガイドロール6の回転中心線、E…設備の左右方向、G…気体、J…隙間、L1…節(5,6,7,16)、L2…節(40)、L3…節(40)、L4…節(41,41)、M1,M2…瞬間中心Oを求める直線、N1…ノズル群(一方側である上側)、N2…ノズル群(他方側である下側)、O…交点(瞬間中心)、P…仮想平面、R…ウエブ通路、Rb…巻掛け領域、Rc…縁部近辺箇所、Rd…他方面(非塗着面側)、Re…跨ぎ箇所、Rw…一方面(塗着面側)、S…隣接するノズルの間隔の寸法、T1…ノズル箱3の吹き付ける気体の温度値、T2…ウエブ温度値、T3…乾燥室内2bの温度値、T4…巻掛け用気体吹付け具7の吹き付ける気体の温度値、W…ウエブ、θ…交差角度、β1,β2…傾動角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向へ延びて一方面が塗着面側で他方面が非塗着面側となるウエブ通路の両面に一方側及び他方側のノズル箱から気体を吹き付ける乾燥室の二つを隣接させた浮揚乾燥装置と、隣接する乾燥室の間に配置された蛇行修正装置とを備えた蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備であって、
蛇行修正装置は、ウエブ通路の他方面に接触するように平行に配置された複数本のガイドロールと、これらガイドロールに対してウエブ通路の反対側に配置され、隣接するガイドロールの隙間を吸引状態とする吸引具と、ウエブ通路の一方面外側からウエブ通路の一方面に向かって気体を吹き付け、ウエブ通路にガイドロールの外周面に沿う巻掛け領域を形成させてウエブ通路と非接触になる巻掛け用気体吹付け具と、
これらガイドロール、吸引具及び巻掛け用気体吹付け具を左右方向に対して傾動させる傾動操作具とを備えた
ことを特徴とする蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項2】
前記巻掛け用気体吹付け具が、通路上流側のガイドロールに接するウエブ通路の巻掛け領域における上流側縁部近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口と、通路下流側のガイドロールに接するウエブ通路の巻掛け領域における下流側縁部近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口と、隣接するガイドロールの間に向かって気体を吹き付ける中間の吹出し口とを備えている
請求項1に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項3】
前記巻掛け用気体吹付け具が、通路上流側のガイドロールに接するウエブ通路の巻掛け領域における上流側縁部近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口と、通路下流側のガイドロールに接するウエブ通路の巻掛け領域における下流側縁部近辺箇所へ向かって気体を吹き付ける吹出し口と、ウエブ通路を介してこれらガイドロールに対面する気体案内面部を備え、気体案内面部の両縁部に曲成したコアンダ部の各々に吹出し口を面するようにした
請求項1に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項4】
前記蛇行修正装置が、隣接する乾燥室の間に蛇行修正室を設け、
蛇行修正室の室内を囲む仕切壁部が、各乾燥室の室内を囲む仕切壁部へ気密状に接合され、
前記蛇行修正装置の左右両端側が、蛇行修正室の仕切壁部に開設されている開口部を挿通して、蛇行修正室の室外に配置されている非通気性の連結板に連結され、
これら開口部の周縁及び連結板が、蛇行修正装置の左右両端側を囲む可撓性且つ非通気性の接合筒部で気密状に接合され、
傾動操作具が、蛇行修正室の室外で連結板に連結されている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項5】
前記巻掛け用気体吹付け具に送気側を接合すると共に前記蛇行修正室の室内及び吸引具に吸気側を接合する循環通路と、循環通路に配置した循環ファン及び温度調節器付きの加熱器と、循環通路に接合した風量調節用ダンパ付き排気路とを有する気体循環装置を備え、
加熱器を温度調節することで、蛇行修正室の室内におけるガイドロールの周囲の気体の温度を、乾燥室から送り出されるウエブの温度値以下にできるようにした
請求項4に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項6】
前後方向へ延びて一方面が塗着面側で他方面が非塗着面側となるウエブ通路の両面に一方側及び他方側のノズル箱から気体を吹き付ける乾燥室の二つを隣接させた浮揚乾燥装置と、隣接する乾燥室の間に配置された蛇行修正装置とを備えた蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備であって、
蛇行修正装置は、ウエブ通路の他方面に接触するように平行に配置された複数本のガイドロールと、これらガイドロールに対してウエブ通路の反対側に配置され、隣接するガイドロールの隙間を吸引状態とする吸引具と、これらガイドロール及び吸引具を左右方向に対して傾動させる傾動操作具とを備えた
ことを特徴とする蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項7】
前記蛇行修正装置が、隣接する乾燥室の間に蛇行修正室を設け、
蛇行修正室の室内を囲む仕切壁部が、各乾燥室の室内を囲む仕切壁部へ気密状に接合され、
前記蛇行修正装置の左右両端側が、蛇行修正室の仕切壁部に開設されている開口部を挿通して、蛇行修正室の室外に配置されている非通気性の連結板に連結され、
これら開口部の周縁及び連結板が、蛇行修正装置の左右両端側を囲む可撓性且つ非通気性の接合筒部で気密状に接合され、
傾動操作具が、蛇行修正室の室外で連結板に連結されている
請求項6に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項8】
前記吸引具に吸気側を接合すると共に前記蛇行修正室の室内に送気側を接合する循環通路と、循環通路に配置した循環ファン及び温度調節器付きの加熱器と、循環通路に接合した風量調節用ダンパ付き排気路とを有する気体循環装置を備え、
加熱器を温度調節することで、蛇行修正室の室内におけるガイドロールの周囲の気体の温度を、乾燥室から送り出されるウエブの温度値以下にできるようにした
請求項7に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。
【請求項9】
隣接する乾燥室が、各乾燥室の一方側及び他方側のノズル箱の間でウエブ通路に沿って延びる仮想平面について、仮想平面どうしを交差させた
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蛇行修正装置付き浮揚乾燥設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−92326(P2013−92326A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235861(P2011−235861)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000119254)株式会社テクノスマート (18)
【復代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
【復代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
【Fターム(参考)】