説明

蛋白質加水分解物の製造方法および蛋白質加水分解物

畜肉または正肉を取った残りの残渣骨、特に鶏肉、鶏骨、廃鶏から、酵素による高度に分解された安全性の高い調味料の製造法を提供すると共に、今まで低窒素利用率に留まっているのを、高度に利用する。鶏肉、廃鶏、鶏骨の蛋白質を分解するに当たり、肉質蛋白質のみの状態で、自己消化酵素のみにより、あるいは自己消化酵素とペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解する。そして、鶏肉を原料とした場合には、肉中の微量成分(タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等)を含み、Hyp(オキシプロリン)が蛋白質に対して0.5質量%以下とし、廃鶏または鶏骨を原料とした場合には、肉中の微量成分(タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等)を含み、Hyp(オキシプロリン)が蛋白質に対して1.0質量%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜肉または正肉を取った残りの残渣骨の蛋白質を酵素で加水分解することにより、安全な蛋白質加水分解物を製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の調味に使用される調味料として、グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ソーダ等の化学調味料と、動植物を主原料とした天然調味料とがある。天然調味料は、畜産物、野菜や魚介類等から抽出・濃縮されるエキス系調味料と、蛋白質をアミノ酸まで分解した蛋白質加水分解物のアミノ酸系調味料とが大きな比重を占めている。
【0003】
蛋白質をアミノ酸まで分解する方法としては、塩酸による酸分解法と酵素による酵素分解法とがある。アミノ酸系調味料の中で、植物性蛋白質を塩酸で分解したものはHVP(Hydrolyzed Vegetable Protein)、動物性蛋白質を塩酸で分解したものはHAP(Hydrolyzed Animal Protein)と呼ばれ、食品の調味に広く使用されている。HVP、HAPは、脱脂大豆の植物性蛋白質や、魚、正肉を取った残りの残渣骨の蛋白質等の動物性蛋白質を原料としている。HVP、HAPのように塩酸で分解するものでは、安価に、また高度に分解することができ、強い旨味が得られるが、塩酸と油脂成分との反応により、有害なクロロヒドリンや変異原性物質の生成の恐れがあり、安全性が疑われている。
【0004】
また、酵素により蛋白質を分解する酵素分解法では、塩酸を使用しないので安全性の高い調味料が得られるが、高度に(アミノ化率が55%以上)分解しなければ、生成するペプチドにより苦みを呈し調味料とならない場合が多い。ところが、酵素分解法で高度に分解するのは技術的困難さを伴い、多量の酵素を使用するので価格的に合わない場合が多い。なお、アミノ化率とは、蛋白質の分解率を示す一つの指標であり、高ければ分解が進んでいることを示すものである。アミノ化率(%)は、フォルモール窒素(F−N)/全窒素(T−N)×100で表される。
【0005】
また、酵素や麹を用いた蛋白質の分解方法が多く提案されているが、多くは植物性蛋白質(主として小麦蛋白質)である。植物性蛋白質を高度に分解する技術としては、醤油が代表的なものであり、商品化されている。しかしながら、動物性蛋白質については、高度に分解することは困難とされており、現在、畜肉、骨類から酵素にて分解された調味料は少なく、技術的にまだ確立されていない。
【0006】
例えば、特許文献1には、骨類より肉質蛋白質を酵素で溶解・回収し、麹と混合した調味料が記載されている。当該技術は窒素利用率が高まる有効な手段であるが、分解・発酵工程においての腐敗を防止するために多量の食塩が加えられるので、この食塩の影響により酵素活性が抑えられ、分解・醗酵時間が長くなるという問題がある。また、アミノ化率が33.0%と低いという問題もある。
【0007】
一方、エキス系調味料は、畜肉蛋白質の場合、肉類に水を加えて加熱抽出(熱水抽出)したエキスがほとんどである。ところが、肉類の熱水抽出では多量の残渣が生じるが、この残渣の有効利用はなされていない。残渣に麹を添加して分解する方法としては、例えば特許文献2に記載の方法が知られている。残渣を酵素により分解することも検討されているが、酵素を用いて高度かつ安価に分解する方法は完成されておらず、商品化もなされていない。したがって、正肉では価格的に高価となるので、その代替として正肉を取った残りの骨類に水を加えて加熱抽出したものが多い。例えば、鶏骨から抽出したエキスはチキンエキス、豚骨から抽出したエキスはポークエキスと称され、スープのベースとして広く利用されている。
【0008】
肉は大きく分けて、肉質蛋白質(筋繊維を構成する蛋白質でアクトミオシン、ミオゲンやグロブリン等)と基質蛋白質(結合組織を構成する蛋白質でコラーゲンやエラスチン等)とに分けることができる(表1(肉の完全蛋白質含量(食肉の化学、1964年、p.163))参照。)。肉質蛋白質は水や塩溶液では一部溶解するが、加熱すると凝固する性質がある。一方、基質蛋白質の主要成分であるコラーゲンは水には不溶であるが、加熱により熱分解を受けてゼラチンとなり、溶解してくる。ゼラチンを酵素分解し、膜で分離することにより調味料を得る方法は、特許文献3に記載されている。
【0009】
【表1】

【0010】
【特許文献1】特許第2960894号公報
【特許文献2】特許第2631200号公報
【特許文献3】特開平5−84050号公報
【非特許文献1】菅野三郎,「骨の食化利用」,月刊フードケミカル7月号,株式会社食品化学新聞社,1991年7月1日,p.69
【非特許文献2】ジェイ・オー・オピアチャ(J.O.Opiacha)、エム・ジー・マスト(M.G.Mast)、ジェイ・エイチ・マクニール(J.H.MacNEIL),“ア リサーチ ノート インヴィトロ プロテイン ダイジェスティビリティ オブ ディハイドレイティッド プロテイン エクストラクト フロム ポウルトリー ボーン レジデュー(A Research Note In−Vitro Protein Digestibility of Dehydrated Protein Extract from Poultry Bone Residue)”,ジャーナル オブ フード サイエンス(Journal of Food Science),(米国),インスティテュート オブ フード テクノロジスツ(Institute of Food Technologists),1991年,第56巻,第6号,p.1751−1752
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
熱水抽出においては、肉質蛋白質中の微量成分(アミノ酸、核酸等)は抽出され、風味に富んだエキスが得られるが、肉質蛋白質そのものは加熱により凝固しているので利用されていない。一方、基質蛋白質のコラーゲンは加熱によりゼラチン化し、溶解してくるが、ゼラチン自体、濃度感はあるものの、呈味性が低い。
【0012】
このように熱水抽出では、肉質蛋白質を利用しておらず、窒素利用率が低い原因となっている。また、骨から抽出したエキスはゼラチンが主成分であるため、呈味性が弱い原因となっている。また、鶏骨から熱水抽出したエキスを市販の酵素で分解しても高度に分解することができない。例として、鶏肉、鶏骨から加熱抽出したエキス(回収蛋白質)の分析値を表2に示す。
【0013】
【表2】

但し、蛋白質(C−P(Crude−Protein))=全窒素(T−N)×6.25
ゼラチン(gelatin)=オキシプロリン(Hyp)×10(暫定的)
なお、オキシプロリン(ヒドロキシプロリン(Hyp))は、コラーゲン(collagen)に特異的に含まれるアミノ酸で、オキシプロリンを測定することで、コラーゲンまたはゼラチン(gelatin)量を知ることができる。
【0014】
本発明は、畜肉または正肉を取った残りの残渣骨から蛋白質を、酵素により高度に分解、すなわちアミノ化率55%以上で分解し、安全性の高い蛋白質加水分解物を得ること、今まで低窒素利用率に留まっているのを、高度に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は前記の課題を解決するため、種々検討を重ねた結果、次の知見を得て本発明を完成するに至った。
1.畜肉の基質蛋白質であるゼラチン分は、酵素により分解され難く、基質蛋白質を除いた肉質蛋白質(水・塩溶性蛋白質)のみの状態の方が分解され易い。
2.肉や骨の中に自己消化酵素を含んでいるが、プロテイナーゼと共に、種々のペプチダーゼを有しており、自己消化酵素のみで、または、少量のペプチダーゼ剤の添加で高度に分解することが可能となり、経済的に製造することが可能となる。
3.廃鶏や鶏骨の肉質蛋白質は成分的に多いにも関わらず、エキスとして今まで利用されていなかったものであるが、この廃鶏や鶏骨の肉質蛋白質を利用することで、窒素の利用率が飛躍的に高まる。
【0016】
鶏骨から熱水抽出したエキスを酵素分解しても、高度に分解することはできない。そこで、鶏骨から、微アルカリ溶液で肉質蛋白質を可溶化し、さらに、加熱して全蛋白質を抽出し、同様に酵素分解したところ、アミノ化率の向上が見られた。すなわち、蛋白質中のゼラチンの比率が低くなるに従って、アミノ化率の向上が確認されたことにより、可溶化した基質蛋白質であるゼラチン分が分解を阻害していることが分かった。したがって、基質蛋白質の溶解のない蛋白質、すなわち、肉質蛋白質のみで分解すれば、効率的に分解が進行することが確認された。
【0017】
鶏骨について、非特許文献1には、蛋白質含量は15〜22%の範囲内にあり、一般肉と同程度で、蛋白質の供給素材として利用できると記載されている(表3(畜骨の一般成分)参照。)。しかし、この非特許文献1には、蛋白質を水溶性蛋白質、塩溶性蛋白質、不溶性蛋白質に分画すると、55〜65%が不溶性蛋白質であり、消化性や栄養価等の検討が必要とも記載されている。不溶性蛋白質は牛、豚骨では多いが、鶏骨の場合はそれ程多くないので、原料として都合が良い。
【0018】
【表3】

【0019】
なお、肉質蛋白質の抽出法としては、中性塩溶液や希釈アルカリ溶液で処理する方法が知られている。鶏骨中の肉質蛋白質を利用しようとする試みは、米国において、既に、1970年代から行われており、中性塩溶液や希釈アルカリ溶液で抽出後、粉末化し、肉の増量剤として利用している報告がある(例えば、非特許文献2参照。)また、骨類からの肉質蛋白質を調味料に利用する技術は、特許文献1に記載されており、麹を利用して分解しているが、蛋白質の分解についての考慮はなされておらず、アミノ化率が低く、風味調味料に留まっている。
【0020】
肉質蛋白質のみを抽出するには、基質蛋白質が溶解しない温度で、水、微アルカリ溶液、または酵素を作用させる。また、このように基質蛋白質(主として、コラーゲン)が溶解しない温度、すなわち未加熱で抽出することにより、自己消化酵素も合わせて抽出することができる。さらに、抽出した自己消化酵素中には、強いペプチダーゼ作用のある酵素が多量に含まれていることを見出した。
【0021】
高度分解に必要なペプチダーゼは骨の中に多く含まれ、鶏骨は豚骨や牛骨と比べて肉質蛋白質の多いことと、自己消化酵素の多いことで格好の原料と考えられる。原料中の自己消化酵素を利用すれば、ペプチダーゼ剤の添加なしで、あるいは、少ない酵素の添加で高度に分解することが可能となる。すなわち、鶏骨から肉質蛋白質のみを抽出し、その自己消化酵素を利用することで、鶏肉由来の酵素による分解調味料の製造が技術的かつ経済的に可能となる。
【0022】
このような作用を利用し、本発明の蛋白質加水分解物の製造方法では、畜肉または正肉(骨を取り除いた肉)を取った残りの残渣骨、特に鶏肉、廃鶏または鶏骨の蛋白質を分解するに当たり、肉質蛋白質のみの状態で、自己消化酵素のみにより、あるいは自己消化酵素とペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解する方法とした。肉質蛋白質のみを抽出し、これに含まれる自己消化酵素を利用して分解すれば、この自己消化酵素のみで、またはペプチダーゼ作用を有する酵素剤を少量使用することで、高度に分解することが可能となる。
【0023】
図1に、塩可溶性蛋白質(肉質蛋白質)のみを抽出し、ペプチダーゼ剤を添加して分解した結果を示している。図1において、横軸は時間、縦軸はアミノ化率を表している。図1によると、自己消化酵素のみでも高い分解率が得られることが示されている。また、ペプチダーゼの添加に比例して分解率が向上している。図1のグラフ(a)(b)(c)の分解率はいずれもアミノ化率55%以上を示し、グルタミン酸(Gul)/全窒素(T−N)は0.7であった。また、官能検査では苦みはなく、バランスの取れた味で、HAP、HVPと比較して遜色のないものであった。なお、肉中に存在する有効成分(タウリン、クレアチン、アンセリン、カルノシン等)は損なわれずそのまま濃縮され、呈味性と共に、身体にとって有用と考えられる。
【0024】
基質蛋白質の大部分を占めるコラーゲン(または、ゼラチン)は、特異的なアミノ酸組成を示し、その特徴は、肉質蛋白質には含まれないオキシプロリンを多量に含むことである(表4(肉中の主な蛋白質のアミノ酸組成(天野他編:食肉加工ハンドブック))参照。)。
【0025】
【表4】

数値は、蛋白質100g中のg数である。
【0026】
本発明の蛋白質加水分解物の製造方法では、基質蛋白質を含まず、肉質蛋白質のみを利用することにより、蛋白質を高度に分解(アミノ化率55%以上)することができる。また、この製造方法により得られる蛋白質加水分解物(最終製品)には、肉質蛋白質の分解物と肉質蛋白質に含まれている微量成分、すなわち、タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等が含まれる。すなわち、この製造方法によれば、肉質蛋白質のみを選択的に分解するので、オキシプロリンは含まれず、通常、肉質蛋白質に含まれる上記微量成分は含まれることになる。
【0027】
ここで、鶏肉を原料とした場合には、肉中の微量成分(タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等)を含み、Hyp(オキシプロリン)が蛋白質に対して1.0質量%以下とする。すなわち、一般的な鶏肉(胸肉)の場合、蛋白質に対するオキシプロリンの量は0.8質量%(表2より)であるが、肉質蛋白質のみを分解した調味料の場合では、蛋白質に対して0.5質量%以下とする。また、鶏骨や廃鶏の場合、鶏骨では、オキシプロリンは蛋白質に対して約4〜5質量%であるが(表2および非特許文献1より)、基質蛋白質を除去して分解する方法であることから、1.0質量%以下とする。
【0028】
なお、肉質蛋白質は、基質蛋白質が溶解しない温度で、水、微アルカリ溶液または酵素を作用させることにより鶏肉、廃鶏または鶏骨から抽出することが望ましい。基質蛋白質が溶解しない温度、すなわち基質蛋白質中のコラーゲンがゼラチン化しない温度で抽出することにより、ゼラチンを含まない肉質蛋白質のみからなる抽出液が得られる。また、基質蛋白質が溶解しない温度では、自己消化酵素が損なわれないので、抽出された肉質蛋白質をこの自己消化酵素により高度に分解することができる。
【0029】
また、肉質蛋白質の抽出は、60℃以下で行うことが望ましい。60℃以下であれば、基質蛋白質が溶解することはなく、基質蛋白質中のコラーゲンがゼラチン化して溶出することは少ない。また、自己消化酵素も損なわれない。60℃超で抽出した場合、基質蛋白質の溶解が始まり、また自己消化酵素が損なわれ始めるので、肉質蛋白質の分解効率が下がり始めることになる。
【0030】
また、本発明の蛋白質加水分解物の製造方法は、肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質、特に鶏骨から抽出した自己消化酵素を含む肉質蛋白質に混合し、自己消化酵素のみにより、あるいは自己消化酵素とペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする。加熱抽出後の残渣は基質蛋白質を含まないが、加熱されることにより自己消化酵素も損なわれている。この残渣を前述のように肉質蛋白質のみの状態とした肉質蛋白質に混合することで、この肉質蛋白質に含まれる自己消化酵素のみにより、あるいは自己消化酵素とペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、高度に分解することができる。
【0031】
ここで、残渣は、エンド型プロテアーゼを含む酵素剤により可溶化した後、肉質蛋白質に混合することが望ましい。残渣は、鶏肉に限らず、牛や豚等の肉類を加熱抽出した後の残渣である。プロテアーゼは、蛋白質を大まかに切ってペプトンおよびペプチドとするプロテイナーゼ(エンド・ペプチダーゼ=エンド型)と、ペプチドを端から切っていきアミノ酸とするペプチダーゼ(エキソ・ペプチダーゼ=エキソ型)とに区別される。エンド型ではアミノ化率は向上せず、エキソ型を使用した場合のみ向上する。通常、プロテアーゼと言えばエンド型を指す。エンド型プロテアーゼにより可溶化するのは、後のペプチダーゼ作用を強調するためである。なお、エンド型とエキソ型とを混合して使用することも可能であるが、後のペプチダーゼ効果を解析するのが困難となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の蛋白質加水分解物の製造方法では、鶏肉、鶏骨、廃鶏を使用するので、基質蛋白質が牛や豚に比べて少なく、効率的に肉質蛋白質を分解することができる。
また、自己消化酵素を利用することで蛋白質分解を、高度に効率良く行うことができ、経済的に動物性の蛋白質加水分解物(酵素分解調味料)を製造することが可能となる。
さらに、肉質蛋白質を抽出した残りの固形物を、水と共に加熱することで、ゼラチン様のエキスも得られ、窒素の利用率も高まる。
本発明では、従来の加熱抽出法と比べ、窒素の利用率の向上と共に、新たに、安全な酵素分解調味料の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】酵素分解によるアミノ化率の推移を示す図である。
【図2】市販のペプチダーゼ剤による分解率の推移を示す図である。
【図3】肉類に鶏骨の肉質蛋白質の抽出液を混合して分解した場合のアミノ化率の推移を示す図である。
【図4】本実施形態における蛋白質加水分解物の製造方法をまとめて示したフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の蛋白質加水分解物の製造方法を実現する最良の実施の形態を説明する。
【0035】
(A)鶏肉、廃鶏、鶏骨を原料とした酵素分解調味料の製造
(1)原料について
原料としては、鶏肉、廃鶏(産卵終了後の成鶏)のと体(頭、羽根、内臓、足先を除去したもの)、ブロイラー・と体や鶏の肉を取った残りの骨(鶏骨)等が利用できる。
蛋白質加水分解物としての酵素分解調味料を得るには、原理的に肉質蛋白質を利用するので、肉質部の多い原料が適している。その点、肉が固くほとんど利用価値のない廃鶏のと体や鶏肉製造時の副産物である鶏骨は、大量に安定して、しかも安価に入手可能であるため、格好の原料となる。
その他、利用価値の低い屑肉等が原料として利用できる。
【0036】
(2)原料の前処理
水を加えて肉質蛋白質を抽出するためには、原料は予めミンチしておく。ミンチのサイズとしては3〜10mm目が適当である。
そして、前処理の時点で基質蛋白質を含む筋、皮、骨等を除くことも可能である。すなわち、肉、骨等を細断し、細かいスクリーンを通せば、基質蛋白質を除去することができる。
【0037】
(3)肉質蛋白質の抽出および固形物の分離
ミンチ(細断)した原料100質量部に対して、水を100〜300質量部加え、攪拌する。
肉質蛋白質を抽出するには、若干のアルカリを加えるか、または、そのままで、あるいは、蛋白質分解酵素を加えて、蛋白質を溶解させる。
水、または微アルカリで肉質蛋白質を抽出した場合には、抽出液は粘度を帯びてくるので、若干の酵素処理は、粘度を下げるので有効である。
ここで、注意することは、コラーゲンがゼラチン化しない温度で、また、自己消化酵素を損なわず、しかも、蛋白質回収率の高い酵素および抽出条件を選定する必要がある。
蛋白質分解酵素としては、特に限定されるものではないが、例えば次のものを使用することができる。
(a)天野製薬:プロテアーゼN,S(商品名)
(b)ノボ・ノルデスク:アルカラーゼ(商品名)、プロタメックス(商品名)
(c)大和化成:プロチン PC(商品名)
(d)エイチビィアイ(阪急共栄物産):オリエンターゼ 22BF,90N(商品名)
【0038】
微アルカリ溶液を添加した場合には、酵素を添加する前にpHの調整を行う必要がある。
pHの範囲は自己消化酵素の働きやすい6〜8(至適pH)が適当である。
温度はコラーゲンがゼラチン化しない40〜55℃が好ましく、時間はコラーゲンの関係や菌の増殖(腐敗防止)を考慮して0.5〜2時間が適当である。通常は分解中の腐敗を防止するため塩を加えるが、本実施形態における製造方法では分解が短時間で終了するため、菌が増殖しないうちに分解が終了するので、塩を加えることなく分解することが可能である。
蛋白質分解酵素の添加量は、原料の蛋白質量にもよるが、原料100質量部に対して0.05〜2.0%である。
【0039】
酵素作用が進み、肉質蛋白質が溶解してきたら、30〜60メッシュの金網で不溶解物を除去し、肉質蛋白質が溶解した液体部と不溶解物の固形物とに分離する。
固形部は、コラーゲンを多量に含むので、加熱抽出することにより、ゼラチン様のエキスの原料となる。
【0040】
(4)肉質蛋白質の分解
抽出された肉質蛋白質液は、油脂分を含むので、遠心分離機で油脂分を除去する。
抽出液は、自己消化酵素および添加された酵素を含んでいる。これらの酵素は、抽出条件により残存活性が異なるが、そのままで、または、必要に応じて、ペプチダーゼ作用を有する酵素剤を添加し分解する。
酵素の種類は、特に限定されるものではないが、例えば次のものを使用することができる。
(a)天野製薬:プロテアーゼ A,P,M(商品名)、ペプチダーゼ R(商品名)
(b)ノボ・ノルデスク:フレーバーザイム(商品名)
(c)麹抽出粗酵素
添加酵素としては、ペプチダーゼ活性の強いもの、特に、麹かび(アスペルギルス(Asp.)属由来の酵素が好ましい。
分解温度は40〜60℃で、2〜40時間で分解が終了し、アミノ化率は、55%以上となる。
【0041】
(5)分離固形物よりゼラチン様エキスの製造
肉質蛋白質を分離した残りの固形物には、多量のコラーゲンを含んでおり、さらに、加水し加熱することで、ゼラチン様のエキスが得られる。
固形物100質量部に対して、水100〜300質量部を加え、80〜100℃で、30分から2時間加熱することで、ゼラチン様のエキスが得られ、不溶解物および油脂分を除去し、通常通り、精製・濃縮することによりチキンエキスが得られる。
【0042】
(6)加水分解調味料の調整
肉質蛋白質の分解が終了したら、アミノ化率を確認し、常法により精製する。すなわち、活性炭を加え加熱し、脱色・濾過するか、そのまま加熱殺菌し、調味料とする。
あるいは濃縮し、中途、おり引き(沈澱した滓(おり)を除去)し、さらに、濃縮して調味料とすることができる。
【0043】
(7)蛋白質回収率について
表5に、鶏骨の加熱抽出法と改良法(本発明の方法)の蛋白質回収率を示す。
本発明の方法によれば、蛋白質回収率が高く、残渣量も大幅に少なくなっており、本発明の有用性が示されている。
【0044】
【表5】

【0045】
(B)鶏肉の加熱抽出残渣を原料とした酵素分解調味料の製造
この発明に用いる原料は、基質蛋白質の少ない鶏の胸肉が適している。鶏肉、特に鶏の胸肉は安定に供給され、肉エキス製造の原料としての可能性がある。この鶏肉をミンチし、2〜3倍量の水を加え、2〜5時間煮出し、エキスを得る。このエキスは、そのままで、または濃縮し、スープやダシとして使用される。本実施形態において製造する酵素分解調味料は、この抽出残渣を原料とする。
【0046】
抽出後の残渣はエンド型プロテアーゼで可溶化させる。このとき、基質蛋白質(ゼラチン分)は含まれていないことを確認する。鶏肉抽出残渣の場合、元々、基質蛋白質の含量が低く、さらに加熱、抽出されていることから、ゼラチン含量は低い。もし、ゼラチン分の比率が高い場合は、さらに加熱してゼラチン分を取り除く。
【0047】
エンド型プロテアーゼ剤としては、特に限定されるものではないが、蛋白質の溶解率ができるだけ良くなるものが好ましく、例えば、次のものを使用することができる。
(a)天野製薬:プロテアーゼ S,N(商品名)
(b)ノボ・ノルデスク:アルカラーゼ(商品名)、プロタメックス(商品名)
(c)大和化成:サモアーゼ(商品名)、プロチン(商品名)
(d)エイチビィアイ:オリエンターゼ N,22BF(商品名)
【0048】
抽出残渣に、2〜5倍量の水を加え、添加酵素の至適pH、温度で分解し、最大の溶解率を示すまで分解を行う。
このとき、酵素の添加量は、10kgに対して0.02〜0.2kgで良い。
溶解率は、しょうゆ試験法によっても良く、そのときの値は80〜90%を示す。なお、アミノ化率は10〜20%であった。
可溶化が終わったら、そのままで、または不溶解物を除去した可溶化液を用意する。
この可溶化液には、肉由来のタウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等の微量成分は、ほとんど含まれていない。
【0049】
このように鶏肉抽出残渣を可溶化し、ペプチダーゼを含む酵素剤を作用させてみたところ、アミノ化率は45〜50%で頭打ちとなり、それ以上分解は進まなかった。ペプチダーゼの量を増やしても、時間を延ばしても、分解率は向上しなかった。すなわち、市販の酵素では、限界の分解率が存在した。分解率は使用する酵素により異なった(図2参照。)。往々にして、頭打ちの状態は、生成するアミノ酸の蓄積による生成物阻害の場合があるが、分解時、精製アミノ酸を多量に添加しての試験では、添加アミノ酸による阻害はあまり見られなかった。本発明者は、これらの事柄から、分解が頭打ちになるのは、使用した酵素では、これ以上分解できない部分が存在し、分解が停止しているためと考えた。
【0050】
そこで、本発明の方法では、この可溶化液に(A)の鶏骨の肉質蛋白質の抽出液を混合して分解する。鶏骨の自己消化酵素を含む抽出液を混合して分解すると、分解が頭打ちにならずに、高度に分解することが可能となる。図3はこの場合のアミノ化率の推移を示す図である。鶏骨の自己消化酵素は、肉質蛋白質を高度に分解するのに適した酵素であり、既に加熱され、自己消化酵素がない状態であっても、他からの自己消化酵素を添加することで、高度に分解することが可能となる。
【0051】
なお、このとき、ペプチダーゼを含む酵素剤を添加すれば、分解が早く進む。
ペプチダーゼ剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば次のものを使用することができる。
(a)天野製薬:プロテアーゼ A,P,M、ペプチダーゼ R(商品名)
(b)ノボ・ノルデスク:フレーバーザイム(商品名)
(c)麹抽出粗酵素
【0052】
添加酵素としては、ペプチダーゼ活性の強いものが好ましいが、特に、Asp.由来のものが好ましい。
分解温度は40〜60℃で、5〜40時間で分解が終了し、アミノ化率は、55%以上となる。
以下、(A)と同様に、分解物を調整して調味料とすることができる。
【0053】
以上のように、本実施形態における蛋白質加水分解物の製造方法では、鶏骨から肉質蛋白質を抽出(自己消化酵素を含む。)したものを、そのまま分解する、または他の肉質蛋白質の溶液に混合し、分解することで、高度に分解することが可能となり、動物性の酵素分解調味料を製造することが可能となる。また、鶏骨からの肉質蛋白質抽出液を、ペプチダーゼ剤として使用することで、高度かつ安価に分解することが可能となる。さらに、酵素部分を濃縮して使用することで、分解が終了した液から酵素を回収して再利用することも可能である。
【0054】
なお、鶏骨に限らず、豚骨や牛骨の中にも自己消化酵素が存在し、鶏骨と同様に利用することも可能である。しかしながら、鶏骨(または廃鶏)は柔らかくミンチが容易であるが、豚骨や牛骨は堅く、微細に磨り潰すことが必要となる。この場合、石臼等で微細に磨り潰すと、熱を生じて自己消化酵素の失活に繋がるので、その防止が必要となる。そのため、ミンチするのと比較して作業が繁雑となる。その点、鶏骨(または廃鶏)は柔らかく、ミンチが容易であるため、発熱もなく都合がよい。
【0055】
また、鶏骨から肉質蛋白質のみを抽出、分解して分解調味料を得て、残りのコラーゲンを主成分とする残渣からは加熱してゼラチン様のエキスを得ることができる。すなわち、今まで加熱抽出では利用されていなかった肉質蛋白質を利用することで、蛋白質の利用率が飛躍的に高まり、残渣を大幅に低減することが可能となる。図4は本実施形態における蛋白質加水分解物の製造方法をまとめて示したフロー図である。
【0056】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0057】
(鶏肉を原料とした酵素分解調味料)
ミンチした鶏肉10kgに、水25kgを加え、攪拌しながら45℃に加温した。蛋白質分解酵素(プロテアーゼ N(天野製薬製))10gを添加し、1時間攪拌した。その後、30メッシュの金網で濾過し、固形物を分離した。
濾過後の液体を遠心分離機にかけて油脂分を除去し、得られた液30.7kgに対して酵素(プロテアーゼ P(天野製薬製))50gを添加し、55℃で15時間分解した。
分解後、90℃で30分加熱して酵素を失活し、不溶解物を除去して透明液を得た。
この液を真空濃縮器で固形分35%まで濃縮し、析出したおりを除去し、さらに濃縮し、固形分70%の酵素分解調味料2.6kgを得た。
さらに、金網で分離した固形物2.6kgに水5kgを加え、90℃で30分加熱した。
不溶解物および油脂分を除去した液を濃縮し、固形分60%のチキンエキスを0.2kg得た。
【0058】
得られた酵素分解調味料は、基質蛋白質が除去され、自己消化酵素とペプチダーゼ剤とが作用することにより、高度に分解されている。
この得られた酵素分解調味料についての分析値を表6に示す。表6の分析値に示すように、得られた酵素分解調味料は、タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等の肉中の微量成分を含み、オキシプロリン(Hyp)/蛋白質(C−P)は、0.06%と、オキシプロリンが蛋白質に対して0.5質量%以下の要件を満たしている。
【0059】
【表6】

分析法
T−N:しょうゆ試験法
F−N: 〃
Glu:ヤマサL−グルタミン測定キット
Hyp:分解−比色定量法
総クレアチン:アルカリピクリン酸法(Jaffe法)
タウリン:高速液体クロマトグラフィ(HPLC法)
カルノシン: 〃
アンセリン: 〃
【実施例2】
【0060】
(鶏骨を原料とした酵素分解調味料)
ミンチした鶏骨10kgに水20kgを加え、攪拌しながら45℃に加温した。
酵素(アルカラーゼ(ノボ・ノルデスク製))32gを添加し、1時間攪拌した後、30メッシュの金網で固形物を分離した。
濾過した液体部分を遠心分離して油脂分を除去し、そのまま、50℃で12時間攪拌し分解した。
その後、90℃で30分間加熱した後、不溶解物を除去し、固形分35%まで濃縮し、析出したおりを濾過し、さらに濃縮して固形分70%の酵素分解調味料1.3kgを得た。
金網で分離した固形物5.2kgに水10.5kgを加え、90℃で30分加熱し処理した。
不溶解物および油脂分を除去した液を濃縮し、固形分60%のチキンエキス0.76kgを得た。
【0061】
得られた酵素分解調味料は、自己消化酵素のみの作用で高度に分解されている。
表6の分析値に示すように、酵素分解調味料は、タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等の肉中の微量成分を含み、Hyp/C−Pは、0.17%となり、オキシプロリンが蛋白質に対して1%以下の要件を満たしている。
【実施例3】
【0062】
(廃鶏を原料とした酵素分解調味料)
ミンチした廃鶏(中抜きと体)10kgに水20kgを加え、攪拌しながら45℃に加温した。酵素(オリエンターゼ 90N(エイチビィアイ製))10gを添加し、2時間攪拌した後、30メッシュの金網で濾過した。
濾過した液体を遠心分離機にかけて油脂分を除去した液21.5kgに、酵素(フレーバーザイム(ノボ・ノルデスク製))25gを加え、50℃で15時間分解した。
その後、90℃で30分加熱し、不溶解物を除去し透明液21.0kgを得た。
固形分35%迄濃縮し、析出したおりを除去し、さらに、濃縮し固形分70%の酵素分解調味料1.38kgを得た。
金網から分離した固形物5.2kgに水10.4kgを加え、90℃で30分加熱し、不溶解物および油脂を除去した液を濃縮し、固形分60%のチキンエキス0.62kgを得た。
【0063】
得られた酵素分解調味料は、自己消化酵素と添加酵素により高度に分解されている。
表6の分析値に示すように、タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等の肉中の微量成分を含み、Hyp/C−Pは0.22%となり、オキシプロリンが蛋白質に対して1%以下の要件を満たしている。
【実施例4】
【0064】
(鶏肉の抽出残渣を原料とした酵素分解調味料)
鶏の胸肉の場合、水を加え、1〜5時間加熱抽出する。
抽出されたエキスは、調理でブイヨンまたは上湯として利用される。この残りの残渣を原料とする。
【0065】
(A)抽出残渣肉の可溶化
残渣肉5kgに対して、水20kgを加え、プロテアーゼ N(天野製薬製)0.05kg添加し、60℃で15時間攪拌し、可溶化した。
不溶解物を除去し、可溶化液(A)21.3kgを得た。
このときのT−Nは0.68%、アミノ化率は14%であった。
【0066】
(B)可溶化液の分解
ミンチした鶏骨10kgに水20kgを加え、オリエンターゼ 22BF(エイチビィアイ製)10g添加し、45℃で1時間分解した後、オイル、不溶解物を除去し、鶏骨の肉質抽出液(B)21.3kgを得た。
鶏肉抽出残渣の可溶化液(A)と鶏骨の抽出液(B)を混合し、さらに、フレーバーザイム 1000L(ノボ・ノルデスク製)70g添加し、50℃で30時間分解した。
アミノ化率55%以上を確認し、90℃30分加熱し、不溶解物を除去し、固形分35%まで濃縮し、析出したおりを濾過し、さらに濃縮し固形分60%の酵素分解調味料3.0kgを得た。分析値は表6に示している。
【0067】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の蛋白質加水分解物の製造方法は、畜肉または正肉を取った残りの残渣骨、特に鶏肉、鶏骨または廃鶏の蛋白質を酵素で加水分解することにより蛋白質加水分解物を得る方法として有用である。特に、アミノ化率55%以上で分解し、かつ安全性の高い蛋白質加水分解を得る方法として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜肉または正肉を取った残りの残渣骨の蛋白質を分解するに当たり、肉質蛋白質のみの状態で、自己消化酵素のみにより、あるいは自己消化酵素とペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項2】
前記肉質蛋白質は、基質蛋白質が溶解しない温度で、水、微アルカリ溶液または酵素を作用させることにより前記畜肉または残渣骨から抽出することを特徴とする請求の範囲1記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項3】
前記肉質蛋白質の抽出は、60℃以下で行うことを特徴とする請求の範囲2記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項4】
前記畜肉は、鶏肉または廃鶏、前記残渣骨は、鶏骨とした請求の範囲1記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項5】
前記畜肉は、鶏肉または廃鶏、前記残渣骨は、鶏骨とした請求の範囲2記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項6】
前記畜肉は、鶏肉または廃鶏、前記残渣骨は、鶏骨とした請求の範囲3記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項7】
鶏肉を原料とした場合には、肉中の微量成分(タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等)を含み、Hyp(オキシプロリン)が蛋白質に対して0.5質量%以下とし、廃鶏または鶏骨を原料とした場合には、肉中の微量成分(タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等)を含み、Hyp(オキシプロリン)が蛋白質に対して1.0質量%以下とすることを特徴とする請求の範囲1記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項8】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする請求の範囲1記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項9】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする請求の範囲2記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項10】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする請求の範囲3記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項11】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする請求の範囲4記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項12】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする請求の範囲5記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項13】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解することを特徴とする請求の範囲6記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項14】
前記残渣は、エンド型プロテアーゼを含む酵素剤により可溶化した後、前記肉質蛋白質に混合することを特徴とする請求の範囲8記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項15】
前記残渣は、エンド型プロテアーゼを含む酵素剤により可溶化した後、前記肉質蛋白質に混合することを特徴とする請求の範囲9記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項16】
前記残渣は、エンド型プロテアーゼを含む酵素剤により可溶化した後、前記肉質蛋白質に混合することを特徴とする請求の範囲10記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項17】
前記残渣は、エンド型プロテアーゼを含む酵素剤により可溶化した後、前記肉質蛋白質に混合することを特徴とする請求の範囲11記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項18】
前記残渣は、エンド型プロテアーゼを含む酵素剤により可溶化した後、前記肉質蛋白質に混合することを特徴とする請求の範囲12記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項19】
前記残渣は、エンド型プロテアーゼを含む酵素剤により可溶化した後、前記肉質蛋白質に混合することを特徴とする請求の範囲13記載の蛋白質加水分解物の製造方法。
【請求項20】
畜肉または正肉を取った残りの残渣骨の蛋白質を、肉質蛋白質のみの状態で、自己消化酵素のみにより、あるいは自己消化酵素とペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解した蛋白質加水分解物。
【請求項21】
前記畜肉は、鶏肉または廃鶏、前記残渣骨は、鶏骨とした請求の範囲20記載の蛋白質加水分解物。
【請求項22】
鶏肉を原料とした場合には、肉中の微量成分(タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等)を含み、Hyp(オキシプロリン)が蛋白質に対して0.5質量%以下であり、廃鶏または鶏骨を原料とした場合には、肉中の微量成分(タウリン、アンセリン、カルノシン、クレアチン等)を含み、Hyp(オキシプロリン)が蛋白質に対して1.0質量%以下であることを特徴とする請求の範囲20記載の蛋白質加水分解物。
【請求項23】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解した請求の範囲20記載の蛋白質加水分解物。
【請求項24】
肉類の加熱抽出後の残渣を前記肉質蛋白質に混合し、前記自己消化酵素のみにより、あるいは前記自己消化酵素と前記ペプチダーゼを含む酵素剤の作用により、分解した請求の範囲21記載の蛋白質加水分解物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【国際公開番号】WO2005/027657
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514040(P2005−514040)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013443
【国際出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(504320318)アミノジャパン株式会社 (1)
【出願人】(503343299)有限会社巴食品研究所 (1)
【Fターム(参考)】