説明

蛍光インク組成物および蛍光粒子

【課題】蛍光固体インク、およびインクビヒクルと蛍光粒子とを含む、このようなインクを製造する方法。
【解決手段】蛍光粒子は、蛍光顔料(例えば、trans−ジカルボン酸−インデノフルオレノン)と、この蛍光顔料に化学的に結合した少なくとも1つの安定化ワックスとを含む。安定化ワックスは、末端にアミン基を含み、蛍光顔料は、少なくとも1つのカルボン酸基を含み、このアミン基が、カルボン酸基と反応し、アミド結合を形成する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
蛍光染料は、典型的には、セキュリティ機能をゼログラフィー式および電子写真式で印刷するための蛍光インクに使用されている。しかし、蛍光染料の主な欠点は、熱で変性することである。例えば、125℃で連続して約12日間加熱すると、蛍光が失われる場合がある。この欠点は、固体インクプリンタでは、出力する際に長時間にわたって高温が必要となり、蛍光染料に悪影響を与えるため、不利益である。
【0002】
目的の染料を含有する固くて丈夫な顔料にも、欠点が存在する。例えば、市販の昼光色蛍光顔料の粒径は、約3〜5ミクロンか、またはそれ以上である。現時点で、蛍光顔料系のインクは、輪転グラビアシステム、フレキソ印刷システム、シルクスクリーンシステムおよびオフセットシステムで印刷されている。粒径がもっと大きくなると、これらの顔料は、顔料がインクジェットノズルを物理的に目詰まりさせてしまうため、インクジェット印刷(例えば、固体インクまたはUV硬化性インクを使用するインクジェット印刷)で使用することができない。例えば、従来の顔料を固体インク基剤に加えることによって固体インク組成物を調製する場合、粒径が約1ミクロンの顔料は、粒径が大きいためにインクジェットプリンタのノズルを詰まらせる傾向があるため、使用することはできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
用語「蛍光染料」は、他の任意の有機分子と同様にビヒクルに可溶性であり、簡単に均一な印刷用組成物が得られる蛍光材料を指す。
【0004】
用語「蛍光顔料」は、ビヒクルに不溶性であり、一般的に、これを使用するには、ビヒクル中で均一な分散物に置き換えることを必要とする蛍光材料を指す。ほとんどの場合、蛍光顔料を溶解させることが可能な唯一の入手可能な媒体は、濃硫酸のような強酸である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、ワックス状カルボン酸およびアミンに結合したモノカルボン酸−インデノフルオレノン顔料を含む、顔料粒子の一般化した構造を示す。
【図2】図2は、ワックス状カルボン酸およびアミンに結合した2個のモノカルボン酸−インデノフルオレノン顔料を含む、顔料粒子の一般化した構造を示す。
【図3】図3は、ワックス状カルボン酸およびアミンに結合したジカルボン酸−インデノフルオレノン顔料を含む、顔料粒子の一般化した構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の実施形態は、インクビヒクルと蛍光粒子とを含む、セキュリティ印刷用途のための蛍光固体インク組成物、およびこのような固体インク組成物を製造する方法を提供する。
【0007】
実施形態では、蛍光固体インクは、蛍光粒子を含み、この蛍光粒子は、蛍光顔料が、少なくとも1つの安定化ワックスに化学的に結合したものである。当該技術分野で知られている、安定化ワックスを化学的に結合させることが可能な任意の蛍光顔料を、本開示で用いてもよい。蛍光顔料は、安定化ワックスのアミン基とアミド結合を形成するように、芳香族環に少なくとも1つのカルボン酸基を有していてもよい。このような蛍光顔料の実例としては、カルボン酸−インデノフルオレノン、例えば、モノカルボン酸−インデノフルオレノン、ジカルボン酸−インデノフルオレノンが挙げられる。他の適切な蛍光顔料としては、種々の誘導体化した類似体、例えば、ローダミン、ペリレン(C.I.Pigment Orange 43およびC.I.Pigment Red 194を含む)、ペリノン、スクアレイン、BONA顔料(例えば、C.I.Pigment Red 57およびC.I.Pigment Red 48)が挙げられる。
【0008】
安定化ワックスは、例えば、インクビヒクルに存在する樹脂と相溶性であり、インクビヒクル中に顔料を分散させ、安定化するような、ワックス状の脂肪族鎖を指す。安定化ワックスの実例としては、天然ワックス、天然ワックスを改質したもの、合成ワックス、混合ワックスが挙げられる。天然ワックスは、植物由来であっても、動物由来であっても、鉱物由来であってもよい。改質ワックスは、化学的に処理され、性質および特性が変えられた天然ワックスである。合成ワックスは、化学物質を反応させるか、または重合させることによって製造される。混合ワックスは、種々のワックスの混合物、またはワックスと、樹脂または樹脂に加えた他の化合物との混合物である。これらのワックスをそのまま使用してもよく、または、蛍光顔料とのその後の化学反応を可能にするために、(例えば、アミン基を含むように)官能基化してもよい。官能基は、化学構造のどこに位置していてもよいが、このような官能基は、一般的に末端官能基である。
【0009】
また、インク組成物を作るのに適切なワックスとしては、パラフィン、オレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、微晶質ワックス、エステルワックス、脂肪酸および他のワックス状の材料、脂肪酸アミドを含む材料、スルホンアミド材料、異なる天然源から作られる樹脂状材料(例えば、トールオイルロジンおよびロジンエステル)を挙げることができ、また、多くの合成樹脂、これらのオリゴマー、ポリマー、コポリマー、混合物を挙げることができる。
【0010】
安定化ワックスは、構造CH−(CH−COOH(鎖長nの平均が約16〜約50の範囲であってもよい混合物である)と、同様の平均鎖長の直鎖低分子ポリエチレンとの混合物を含む、末端がカルボン酸のポリエチレンワックスを含んでいてもよい。このようなワックスの適切な例としては、限定されないが、UNICID(登録商標)350、UNICID(登録商標)425、UNICID(登録商標)550、UNICID(登録商標)700が挙げられ、それぞれ、Mは、約390、約475、約565、約720g/molに等しい。構造CH−(CH−COOHを有する他の適切なワックス、例えば、n=14のヘキサデカン酸またはパルミチン酸、n=15のヘプタデカン酸またはマルガリン酸またはダツル酸、n=16のオクタデカン酸またはステアリン酸、n=18のエイコサン酸またはアラキジン酸、n=20のドコサン酸またはベヘン酸、n=22のテトラコサン酸またはリグノセリン酸、n=24のヘキサコサン酸またはセロチン酸、n=25のヘプタコサン酸またはカルボセリン酸、n=26のオクタコサン酸またはモンタン酸、n=28のトリアコンタン酸またはメリシン酸、n=30のドトリアコンタン酸またはラクセロン酸、n=31のトリトリアコンタン酸またはセロメリシン酸またはフィリン酸、n=32のテトラトリアコンタン酸またはゲディン酸、n=33のペンタトリアコンタン酸またはセロプラスチン酸。ゲルベ(Guerbet)酸は、2,2−ジアルキルエタン酸で特徴づけられるが、これも適切な化合物である。例示的なゲルベ酸としては、16〜36個の炭素を有するものが挙げられ、多くは、Jarchem Industries Inc.(ニュージャージー州ニューアーク)から入手可能である。PRIPOL(登録商標)1009(下式
【化1】



の異性体と、不飽和部分および環状基を含んでいてもよい他の分枝鎖異性体とを含む、Uniqema(デラウェア州ニューキャッスル)から入手可能なC−36ダイマー酸混合物;この種のC36ダイマー酸に関するさらなる情報は、例えば、「Dimer Acids」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第8巻、第4版(1992)、pp.223から237に開示されている)を用いることもできる。
【0011】
安定化ワックスは、さらに、末端にアミン基を含んでいてもよい。例えば、安定化ワックスは、末端がカルボン酸のポリエチレンワックスと、ジアミンまたはトリアミンとを、モル比約1:1、温度約110℃〜約220℃(例えば、180℃)で反応させることによって調製されてもよい。このようなジアミンの実例としては、脂肪族、環状または芳香族のジアミンおよびポリアミンが挙げられ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、3,3−ジアミノ−N−メチル−ジプロピルアミン、1,8−ジアミノ−p−メンタン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,7−ジアミノフルオレン、2,4−ジアミノトルエン、2,3−ジアミノトルエン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、エチレンアミン E−100およびトリス(2−アミノエチルアミン)が挙げられる。
【0012】
蛍光粒子は、高沸点溶媒中、蛍光顔料を安定化ワックスに化学的に結合させることによって調製されてもよい。この反応は、安定化ワックス中、または高沸点溶媒(例えば、トルエン、キシレン、1−メチル−2−ピロリジノン)中、希釈しない状態で、温度約110℃〜約220℃(例えば、180℃)で行ってもよい。この反応は、アルゴンのような不活性雰囲気下で進めてもよい。
【0013】
蛍光粒子は、粒径が約2.8μm(2800nm)〜約100nm、例えば、約200nm、約300nm、または約400nmであってもよい。したがって、この粒子は、約2.8μm以下、例えば、2μm以下、約1μm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、または約100nm以下であってもよい。
【0014】
上述の蛍光粒子の例としては、以下の表の化合物が挙げられ、それぞれの酸は、それぞれのアミンと反応することが可能である。
【表1】



【表1−2】



【表1−3】



【0015】
実施形態では、固体インクは、インクビヒクル(キャリア材料としても知られている)または2種類以上のインクビヒクルの混合物を含む。
【0016】
インクビヒクルまたは混合物は、27℃未満の温度(例えば、室温)で固体であり、特に、約40℃未満の温度で固体である。しかし、インクビヒクルは、加熱すると相転移し、吐出温度では融解状態である。
【0017】
インクビヒクルは、融点が、約60℃〜約150℃、例えば、約80℃〜約120℃、約85℃〜約110℃、約100℃〜約110℃、または約105℃〜約110℃であってもよい。もっと高い融点のものも許容されるが、150℃よりも高い温度では、印刷ヘッドの寿命が短くなる場合がある。
【0018】
インクビヒクルは、粘度が、インクジェット印刷に適した高温、例えば、約50℃〜約150℃、約70℃〜約130℃、または約80℃〜約130℃の温度で、約1〜約40センチポイズ(cP)、例えば、約5〜約15cP、または約8〜約12cPであってもよい。インクをもっと低い温度で吐出させる場合もあり、この場合、吐出させるのに必要なエネルギー量は少なくなる(低エネルギーインク)。低エネルギーインクは、約107℃〜約111℃の吐出温度で、吐出時の粘度が、約9〜約13cP、例えば、約10〜約11cP、約10.25〜約10.75cP、または約10.45〜約10.85cPである。
【0019】
適切なビヒクルとしては、エチレン/プロピレンコポリマー、高分枝型炭化水素、炭化水素系ワックス、パラフィン、高分子量直鎖アルコール、微晶質ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、脂肪酸および他のワックス状の材料、脂肪酸アミドを含む材料、スルホンアミド材料、異なる天然源から作られる樹脂状材料(例えば、トールオイルロジンおよびロジンエステル)を挙げることができ、また、多くの合成樹脂、これらのオリゴマー、ポリマー、コポリマー(例えば、以下にさらに記載されているもの)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0020】
適切な特定のインクビヒクルの例としては、ポリエチレン、例えば、以下の一般式
【化2】



を有する、Baker Petroliteから入手可能なものが挙げられ、式中、xは、約1〜約200、例えば、約5〜約150、または約12〜約105の整数である。これらの物質は、融点が、約60℃〜約150℃、例えば、約70℃〜約140℃、または約80℃〜約130℃であってもよく;分子量(Mn)が、約100〜約5,000、例えば、約200〜約4,000、または約400〜約3,000であってもよい。ワックスインクビヒクルの例としては、POLYWAX 400(Mnが約400)、約110℃で、蒸留していないPOLYWAX 400の粘度よりも約10〜約100%高い粘度を有する蒸留したPOLYWAX 400、POLYWAX 500(Mnが約500)、約110℃で、蒸留していないPOLYWAX 500の粘度よりも約10〜約100%高い粘度を有する蒸留したPOLYWAX 500、POLYWAX 655(Mnが約655)、約110℃で、蒸留していないPOLYWAX 655の粘度よりも約10〜約50%低い粘度を有する蒸留したPOLYWAX 655、約110℃で、蒸留していないPOLYWAX 655の粘度よりも約10〜約50%高い粘度を有する蒸留したPOLYWAX 655、POLYWAX 850(Mnが約850)、POLYWAX 1000(Mnが約1,000)などが挙げられる。
【0021】
さらなる例としては、エチレン/プロピレンコポリマー、例えば、以下の一般式
【化3】



を有する、Baker Petroliteから入手可能なものが挙げられ、式中、zは、0〜約30、例えば、0〜約20、または0〜約10の整数をあらわし、yは、0〜約30、例えば、0〜約20、または0〜約10の整数をあらわし;xは、約21−yに等しい。側鎖の分布は、炭素鎖にそってランダムであってもよい。コポリマーは、例えば、融点が、約70℃〜約150℃、例えば、約80℃〜約130℃、または約90℃〜約120℃であってもよく;分子量範囲が、約500〜約4,000であってもよい。このようなコポリマーの商業的な例としては、例えば、Petrolite CP−7(Mn=650)、Petrolite CP−11(Mn=1,100)、Petrolite CP−12(Mn=1,200)などが挙げられる。
【0022】
さらなる例としては、高度に分枝した炭化水素が挙げられ、典型的には、オレフィン重合で調製されるもの、例えば、Baker Petroliteから入手可能なVYBAR材料(VYBAR 253(Mn=520)、VYBAR 5013(Mn=420)などを含む)が挙げられる。別の種類のインクビヒクルは、n−パラフィン系炭化水素、分枝型パラフィン系炭化水素、および/または芳香族炭化水素であってもよく、典型的には、炭素原子を約5〜約100個、例えば、約20〜約80個、または約30〜約60個有しており、一般的には、天然に存在する炭化水素の精錬によって調製され、例えば、Baker Petroliteから入手可能なBE SQUARE 185およびBE SQUARE 195(分子量(Mn)が、約100〜約5,000、例えば、約250〜約1,000、または約500〜約800)が挙げられる。
【0023】
別の例としては、グラフト共重合によって調製される、ポリオレフィンに、改質した無水マレイン酸炭化水素が付加したもの、例えば、以下の一般式
【化4】



を有する、Baker Petroliteから入手可能なものが挙げられ、式中、Rは、炭素原子が約1〜約50個、例えば、約5〜約35個、または約6〜約28個のアルキル基であり;R’は、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、または、炭素原子が約5〜約500個、例えば、約10〜約300個、または約20〜約200個のアルキル基であり;xは、約9〜約13の整数であり;yは、約1〜約50、例えば、約5〜約25、または約9〜約13の整数である。上述の物質は、融点が、約50℃〜約150℃、例えば、約60℃〜約120℃、または約70℃〜約100℃である。
【0024】
また、上述の物質としては、Baker Petroliteから入手可能であり、一般式
【化5】



を有する物質が挙げられ、式中、xは、約1〜約50、例えば、約5〜約25、または約9〜約13の整数であり;yは、1または2であり;zは、約1〜約50、例えば、約5〜約25、または約9〜約13の整数である。
【0025】
また、上述の物質としては、Baker Petroliteから入手可能であり、一般式
【化6】



を有するものが挙げられ、式中、RおよびRは、炭化水素基であり、Rは、以下の一般式
【化7】



のいずれか1つを有するもの、またはこれらの混合物であり、式中、R’は、イソプロピル基である。この物質は、融点が、約70℃〜約150℃、例えば、約80℃〜約130℃、または約90℃〜約125℃であってもよく、改質された無水マレイン酸コポリマーの例としては、CERAMER 67(Mn=655、Mw/Mn=1.1)、CERAMER 1608(Mn=700、Mw/Mn=1.7)などが挙げられる。
【0026】
さらなる例としては、高分子量直鎖アルコール、例えば、Baker Petroliteから入手可能であり、一般式
【化8】



を有するものが挙げられ、式中、xは、約1〜約50、例えば、約5〜約35、または約11〜約23の整数である。これらの物質は、融点が、約50℃〜約150℃、例えば、約70℃〜約120℃、または約75℃〜約110℃であってもよく;分子量範囲が、約100〜約5,000、例えば、約200〜約2,500、または約300〜約1,500であってもよい。商業的な例としては、UNILIN材料、例えば、UNILIN 425(Mn=460)、UNILIN 550(Mn=550)、UNILIN 700(Mn=700)などが挙げられる。
【0027】
それに加え、インクビヒクルは、エトキシル化アルコール、例えば、Baker Petroliteから入手可能であり、一般式
【化9】



を有するものが挙げられ、式中、xは、約1〜約50、例えば、約5〜約40、または約11〜約24の整数であり;yは、約1〜約70、例えば、約1〜約50、または約1〜約40の整数である。この物質は、融点が、約60℃〜約150℃、例えば、約70℃〜約120℃、または約80℃〜約110℃であってもよく、分子量範囲が、約100〜約5,000、例えば、約500〜約3,000、または約500〜約2,500であってもよい。商業的な例としては、UNITHOX 420(Mn=560)、UNITHOX 450(Mn=900)、UNITHOX 480(Mn=2,250)、UNITHOX 520(Mn=700)、UNITHOX 550(Mn=1,100)、UNITHOX 720(Mn=875)、UNITHOX 750(Mn=1,400)などが挙げられる。
【0028】
それに加え、米国特許第6,906,118号に記載されているインクビヒクルを用いてもよい。また、インクビヒクルとして適しているのは、例えば、米国特許第5,122,187号に開示されているような液体結晶性物質である。
【0029】
酸化した合成ワックスまたは石油ワックスのウレタン誘導体、尿素誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、例えば、Baker Petroliteから入手可能であり、以下の一般式
【化10】



を有するものをインクビヒクルとして使用してもよく、式中、Rは、式CH(CHのアルキル基であり;nは、約5〜約400、例えば、約10〜約300、または約20〜約200の整数であり;R’は、トリル基である。実施形態では、ウレタン誘導体、尿素誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体は、直鎖、分枝鎖、環状であってもよく、これらの任意の組み合わせであってもよい。これらの物質は、融点が、約60℃〜約120℃、例えば、約70℃〜約100℃、または約70℃〜約90℃であってもよい。このような物質の商業的な例としては、例えば、ビス−ウレタン、例えば、PETROLITE CA−11、PETROLITE WB−5、PETROLITE WB−17などが挙げられ、これらはすべてBaker Petroliteから入手可能である。また、適切な例としては、米国特許第6,620,228号、第6,380,423号、第6,464,766号、第6,309,453号に開示されているウレタン誘導体、尿素誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体が挙げられる。
【0030】
さらなる樹脂およびワックスは、米国特許第5,782,996号に記載されているように調製した、2当量のABITOL Eヒドロアビエチルアルコールと、1当量のイソホロンジイソシアネートとの反応から得られるウレタン樹脂;米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されているように調製した、3当量のステアリルイソシアネートと、グリセロール系アルコールとの付加物であったウレタン樹脂;例えば、ジアミド、トリアミド、テトラ−アミド、環状アミドなどを含む適切なアミドからなる群からさらに選択されてもよい。また、モノアミド、テトラ−アミド、およびこれらの混合物を含む脂肪酸アミドも、例えば、米国特許第4,889,560号、第4,889,761号、第5,194,638号、第4,830,671号、第6,174,937号、第5,372,852号、第5,597,856号、第6,860,930号、英国特許第GB 2 238 792号に記載されているようなインクビヒクル中、および米国特許第6,620,228号に記載されているような類似のインクビヒクル中に含まれてもよい。
【0031】
また、脂肪酸アミド、例えば、モノアミド、テトラ−アミド、およびこれらの混合物など、例えば、米国特許第6,858,070号に記載されているようなものを使用してもよい。適切なモノアミドは、融点が、少なくとも約50℃、例えば、約50℃〜約150℃であってもよいが、融点は、この温度より低くてもよい。適切なモノアミドの特定の例としては、一級モノアミドおよび二級モノアミドが挙げられる。例示的な一級モノアミドとしては、ステアリン酸アミド、例えば、Chemtura Corp.から入手可能なKEMAMIDE S、Crodaから入手可能なCRODAMIDE S;ベヘン酸アミド/アラキドアミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE B、Crodaから入手可能なCRODAMIDE BR;オレアミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE U、Crodaから入手可能なCRODAMIDE OR、工業グレードのオレアミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE O、Crodaから入手可能なCRODAMIDE O、Uniqemaから入手可能なUNISLIP 1753;エルカ酸アミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE E、Crodaから入手可能なCRODAMIDE ERが挙げられる。例示的な二級アミドとしては、ベヘニルベヘン酸アミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE EX666;ステアリルステアリン酸アミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE S−180およびKEMAMIDE EX−672;ステアリルエルカ酸アミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE E−180、Crodaから入手可能なCRODAMIDE 212;エルシルエルカ酸アミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE E−221;オレイルパルミチン酸アミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE P−181、Crodaから入手可能なCRODAMIDE 203;エルシルステアリン酸アミド、例えば、Chemturaから入手可能なKEMAMIDE S−221が挙げられる。さらなる適切なアミド材料としては、KEMAMIDE W40(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド)、KEMAMIDE P181(オレイルパルミチン酸アミド)、KEMAMIDE W45(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド)、KEMAMIDE W20(N,N’−エチレンビスオレアミド)が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用するのに適した、さらなる樹脂としては、トリアミド、例えば、米国特許第6,860,930号および米国特許公開第2008/0098929号に開示されているものが挙げられる。使用するのに適したトリアミドとしては、3個すべてのアミド基が同じ分子鎖または側鎖から出ている分子である直鎖トリアミドが挙げられる。直鎖トリアミドの例としては、以下の式
【化11】



を有するトリアミドが挙げられ、Rは、炭素原子が約1〜約200個、例えば、約25〜約150個、または約30〜約100個の任意の炭化水素であってもよい。
【0033】
直鎖トリアミドとしては、さらに、1個のアミド基が、通常は異なる線から出ている場合であっても、3個のアミド基が1個の線に描かれているものを挙げることができる。このようなトリアミドの一例は、以下の式
【化12】



であらわされてもよく、また、以下のように描かれてもよい。
【化13】



【0034】
また、トリアミドは、分枝鎖ポリアミドであってもよい。適切な分枝鎖トリアミドの例としては、米国特許第6,860,930号および米国特許公開第2008/0297556号に開示されているトリアミドが挙げられる。米国特許第6,860,930号および米国特許公開第2008/0297556号に開示されている任意の分枝鎖トリアミドが、本明細書で用いるのに適している。
【0035】
固体インクに適したインクビヒクルのさらなる例としては、ロジンエステル、例えば、アビエチン酸グリセリル(KE−100(登録商標));ポリアミド;ダイマー酸アミド;脂肪酸アミド(ARAMID Cを含む);エポキシ樹脂、例えば、Riechold Chemical Companyから入手可能なEPOTUF 37001;液体パラフィンワックス;液体微晶質ワックス;Fischer−Tropschワックス;ポリビニルアルコール樹脂;ポリオール;セルロースエステル;セルロースエーテル;ポリビニルピリジン樹脂;脂肪酸;脂肪酸エステル;ポリスルホンアミド(KETJENFLEX MHおよびKETJENFLEX MS80を含む);安息香酸エステル、例えば、Velsicol Chemical Companyから入手可能なBENZOFLEX S552;フタル酸可塑剤;クエン酸可塑剤;マレイン酸可塑剤;ポリビニルピロリジノンコポリマー;ポリビニルピロリドン/ポリビニルアセテートコポリマー;ノボラック樹脂、例えば、Occidental Chemical Companyから入手可能なDUREZ 12 686;天然産物のワックス、例えば、蜜ろう、モンタンろう、カンデリラろう、GILSONITE(American Gilsonite Company)など;直鎖一級アルコールと、直鎖の長鎖アミドまたは脂肪酸アミドとの混合物、例えば、炭素原子が約6〜約24個のもの、PARICIN 9(プロピレングリコールモノヒドロキシステアレート)、PARICIN 13(グリセロールモノヒドロキシステアレート)、PARICIN 15(エチレングリコールモノヒドロキシステアレート)、PARICIN 220(N(2−ヒドロキシエチル)−12−ヒドロキシステアリン酸アミド)、PARICIN 285(N,N’−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド)、FLEXRICIN 185(N,N’−エチレン−ビス−リシノール酸アミド)などが挙げられる。さらに、炭素原子が約4〜約16個の直鎖の長鎖スルホン、例えば、ジフェニルスルホン、n−アミルスルホン、n−プロピルスルホン、n−ペンチルスルホン、n−ヘキシルスルホン、n−ヘプチルスルホン、n−オクチルスルホン、n−ノニルスルホン、n−デシルスルホン、n−ウンデシルスルホン、n−ドデシルスルホン、n−トリデシルスルホン、n−テトラデシルスルホン、n−ペンタデシルスルホン、n−ヘキサデシルスルホン、クロロフェニルメチルスルホンなどは、適切なインクビヒクル材料である。
【0036】
インクビヒクルは、インクの約25重量%〜約99.5重量%、例えば、約30重量%〜約98重量%、約50重量%〜約85重量%、または約70重量%〜約80重量%含まれていてもよい。
【0037】
インクは、任意の可塑剤を含んでいてもよく、例えば、UNIPLEX 250(Uniplexから市販されている);Monsantoから商品名SANTICIZERで市販されているフタル酸エステル可塑剤、例えば、ジオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、アルキルベンジルフタレート(SANTICIZER 278);トリフェニルホスフェート(Monsantoから市販されている);KP−140、トリブトキシエチルホスフェート(FMC Corporationから市販されている);MORFLEX(登録商標)150、ジシクロヘキシルフタレート(Morflex Chemical Company Inc.から市販されている);トリメリット酸トリオクチル(Eastman Kodak Co.から市販されている);ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、BENZOFLEX S552(Velsicol Chemical Corporation)として市販されている;クエン酸トリメチル、CITROFLEX 1(Monflex Chemical Company)として市販されている;N,N−ジメチルオレアミド、HALCOMID M−18−OL(C.P.Hall Company)として市販されている;ベニルフタレート、SANTICIZER 278(Ferro Corporation)として市販されている;などが挙げられる。
【0038】
可塑剤がインクビヒクルとして機能する場合、可塑剤は、インクのインクビヒクル要素の約1〜約100%を構成していてもよい。または、可塑剤が、別のインクビヒクルに加えて添加剤として機能する場合、可塑剤は、インクの少なくとも約0.05重量%、例えば、少なくとも約1重量%、または少なくとも約2重量%の量で存在してもよいが、典型的には、約15重量%を超えない。
【0039】
インクは、任意の粘度調節剤をさらに含んでいてもよい。適切な粘度調節剤の例としては、脂肪族ケトン;ステアロン;2−ヒドロキシベンジルアルコール;4−ヒドロキシベンジルアルコール;4−ニトロベンジルアルコール;4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアルコール;3−メトキシ−4−ニトロベンジルアルコール;2−アミノ−5−クロロベンジルアルコール;2−アミノ−5−メチルベンジルアルコール;3−アミノ−2−メチルベンジルアルコール;3−アミノ−4−メチルベンジルアルコール;2(2−(アミノメチル)フェニルチオ)ベンジルアルコール;2,4,6−トリメチルベンジルアルコール;2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール;2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール;2,2−ジメチル−1−フェニル−1,3−プロパンジオール;2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール;3−tert−ブチルアミノ−1,2−プロパンジオール;1,1−ジフェニル−1,2−プロパンジオール;1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオール;2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール;2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール;1,1,2−トリフェニル−1,2−エタンジオール;2−ナフタレンメタノール;2−メトキシ−1−ナフタレンメタノール;デカフルオロベンズヒドロール;2−メチルベンズヒドロール;1−ベンゼンエタノール;4,4’−イソプロピリデンビス(2−(2,6−ジブロモフェノキシ)エタノール);2,2’−(1,4−フェニレンジオキシ)ジエタノール;2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノール;ジ(トリメチロールプロパン);2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール;トリシクロヘキシルメタノール;トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンスクシネート;4,4’−トリメチレンビス(1−ピペリジンエタノール);N−メチルグルカミン;キシリトール;またはこれらの混合物が挙げられる。存在する場合、粘度調節剤は、インクの約10〜約55重量%、約15〜約50重量%、または約25〜約40重量%の量で存在している。
【0040】
インクは、場合により、酸化防止剤を含有していてもよい。適切な酸化防止剤の例としては、(1)N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)(IRGANOX 1098、Ciba−Geigy Corporationから入手可能)、(2)2,2−ビス(4−(2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ))エトキシフェニル)プロパン(TOPANOL−205、ICI America Corporationから入手可能)、(3)トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート(CYANOX 1790、41,322−4、LTDP、Aldrich D12,840−6)、(4)2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスホナイト(ETHANOX−398、Ethyl Corporationから入手可能)、(5)テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(ALDRICH 46,852−5;硬度値90)、(6)ペンタエリスリトールテトラステアレート(TCI America #PO739)、(7)トリブチルアンモニウム次亜リン酸塩(Aldrich 42,009−3)、(8)2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(Aldrich 25,106−2)、(9)2,4−ジ−tert−ブチル−6−(4−メトキシベンジル)フェノール(Aldrich 23,008−1)、(10)4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール(Aldrich 34,951−8)、(11)4−ブロモ−3,5−ジジメチルフェノール(Aldrich B6,420−2)、(12)4−ブロモ−2−ニトロフェノール(Aldrich 30,987−7)、(13)4−(ジエチルアミノメチル)−2,5−ジメチルフェノール(Aldrich 14,668−4)、(14)3−ジメチルアミノフェノール(Aldrich D14,400−2)、(15)2−アミノ−4−tert−アミルフェノール(Aldrich 41,258−9)、(16)2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール(Aldrich 22,752−8)、(17)2,2’−メチレンジフェノール(Aldrich B4,680−8)、(18)5−(ジエチルアミノ)−2−ニトロソフェノール(Aldrich 26,951−4)、(19)2,6−ジクロロ−4−フルオロフェノール(Aldrich 28,435−1)、(20)2,6−ジブロモフルオロフェノール(Aldrich 26,003−7)、(21)α−トリフルオロ−o−クレゾール(Aldrich 21,979−7)、(22)2−ブロモ−4−フルオロフェノール(Aldrich 30,246−5)、(23)4−フルオロフェノール(Aldrich F1,320−7)、(24)4−クロロフェニル−2−クロロ−1,1,2−トリ−フルオロエチルスルホン(Aldrich 13,823−1)、(25)3,4−ジフルオロフェニル酢酸(Aldrich 29,043−2)、(26)3−フルオロフェニル酢酸(Aldrich 24,804−5)、(27)3,5−ジフルオロフェニル酢酸(Aldrich 29,044−0)、(28)2−フルオロフェニル酢酸(Aldrich 20,894−9)、(29)2,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸(Aldrich 32,527−9)、(30)エチル−2−(4−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェノキシ)プロピオネート(Aldrich 25,074−0)、(31)テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(Aldrich 46,852−5)、(32)4−tert−アミルフェノール(Aldrich 15,384−2)、(33)3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルアルコール(Aldrich 43,071−4)、NAUGARD 76、NAUGARD 445、NAUGARD 512およびNAUGARD 524(Uniroyal Chemical Company製)など、およびこれらの混合物が挙げられる。酸化防止剤が存在する場合、酸化防止剤は、インクの約0.25重量%〜約10重量%、または約1重量%〜約5重量%の量で存在してもよい。
【0041】
また、インクは、場合により、UV吸収剤を含んでいてもよい。適切なUV吸収剤の特定の例としては、(1)2−ブロモ−2’,4−ジメトキシアセトフェノン(Aldrich 19,948−6)、(2)2−ブロモ−2’,5’−ジメトキシアセトフェノン(Aldrich 10,458−2)、(3)2−ブロモ−3’−ニトロアセトフェノン(Aldrich 34,421−4)、(4)2−ブロモ−4’−ニトロアセトフェノン(Aldrich 24,561−5)、(5)3’,5’−ジアセトキシアセトフェノン(Aldrich 11,738−2)、(6)2−フェニルスルホニルアセトフェノン(Aldrich 34,150−3)、(7)3’−アミノアセトフェノン(Aldrich 13,935−1)、(8)4’−アミノアセトフェノン(Aldrich A3,800−2)、(9)1H−ベンゾトリアゾール−1−アセトニトリル(Aldrich 46,752−9)、(10)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(Aldrich 42,274−6)、(11)1,1−(1,2−エタン−ジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)(Goodrich Chemicalsから市販されている)、(12)2,2,4−トリメチル−1,2−ヒドロキノリン(Mobay Chemicalから市販されている)、(13)2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、(14)2−ドデシル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)スクシンイミド(Aldrich Chemical Co.(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から市販されている)、(15)2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル/β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキソスピロ(5,5)−ウンデカン)ジエチル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(Fairmountから市販されている)、(16)N−(p−エトキシカルボニルフェニル)−N’−エチル−N’−フェニルホルマジン(Givaudanから市販されている)、(17)6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(Monsanto Chemicalsから市販されている)、(18)2,4,6−トリス−(N−1,4−ジメチルペンチル−4−フェニレンジアミノ)−1,3,5−トリアジン(Uniroyalから市販されている)、(19)2−ドデシル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)スクシンイミド(Aldrich Chemical Co.から市販されている)、(20)N−(1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−ドデシルスクシンイミド(Aldrich Chemical Co.から市販されている)、(21)(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル/β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキソ−スピロ−(5,5)ウンデカン)ジエチル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(Fairmountから市販されている)、(22)(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(Fairmountから市販されている)、(23)ニッケルジブチルジチオカルバメート(UV−Chek AM−105としてFerroから市販されている)、(24)2−アミノ−2’,5−ジクロロベンゾフェノン(Aldrich 10,515−5)、(25)2’−アミノ−4’,5’−ジメトキシアセトフェノン(Aldrich 32,922−3)、(26)2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン(Aldrich 40,564−7)、(27)4’−ベンジルオキシ−2’−ヒドロキシ−3’−メチルアセトフェノン(Aldrich 29,884−0)、(28)4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(Aldrich 16,032−6)、(29)5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(Aldrich C4,470−2)、(30)4’−ピペラジノアセトフェノン(Aldrich 13,646−8)、(31)4’−ピペラジノアセトフェノン(Aldrich 11,972−5)、(32)2−アミノ−5−クロロベンゾフェノン(Aldrich A4,556−4)、(33)3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−オクチルカルバゾール(Aldrich 46,073−7)など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
また、インクは、場合により、粘着付与剤を含んでいてもよく、例えば、FORAL 85、水素化アビエチン(ロジン)酸のグリセロールエステル(Herculesから市販されている)、FORAL 105、ヒドロアビエチン(ロジン)酸のペンタエリスリトールエステル(Herculesから市販されている)、CELLOLYN 21、フタル酸のヒドロアビエチン(ロジン)アルコールエステル(Herculesから市販されている)、ARAXAWA KE−311樹脂、水素化アビエチン(ロジン)酸のトリグリセリド(Arakawa Chemical Industries,Ltd.から市販されている)、合成ポリテルペン樹脂、例えば、NEVTAC 2300、NEVIAC 100、NEVRAC 80(Neville Chemical Companyから市販されている)、WINGTACK 86、改質合成ポリテルペン樹脂(Goodyearから市販されている)などを含んでいてもよい。粘着付与剤が存在する場合、粘着付与剤は、インクの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、または約50重量%を超えない量で存在していてもよい。
【0043】
また、場合により、導電性向上剤が含まれていてもよい。導電性向上剤は、有機塩基と酸とから形成される有機塩であってもよい。導電性向上剤の有機塩の有機塩基は、有機アミンであってもよく、少なくとも1つの長鎖炭化水素を有していてもよい。「長鎖炭化水素」は、例えば、炭素が約10〜約50個、例えば、約15〜約40個、または約15〜約30個の直鎖または分枝鎖の炭素アルキル鎖またはアリール鎖を指す。
【0044】
他の内容であることが必要な場合以外、場合により含まれる添加剤が、存在する場合、個々に、または組み合わせた状態で、インク中に任意の所望な量または有効な量で存在してもよく、例えば、インクの約0.1重量%〜約10重量%、または約3重量%〜約5重量%の量で存在してもよい。
【0045】
インク組成物は、任意の所望な方法または適切な方法によって調製することができる。例えば、インクビヒクルの要素をともに混合し、その後、この混合物を少なくとも融点(例えば、約60℃〜約150℃、約80℃〜約120℃、または約85℃〜約110℃)まで加熱してもよい。インク成分を加熱する前、またはインク成分を加熱した後に、蛍光粒子を加えてもよい。融解した混合物に、例えば、高剪断ミキサー、押出機、媒体ミル、ボールミル、ホモジナイザ、またはこれらの装置の組み合わせで、単純な撹拌による混合、高剪断混合、または粉砕を行ない、顔料をインクキャリアに分散させ、実質的に安定で、均質で、均一な融解物を得ることができる。得られた融解物をさらに混合し、他のインク成分とともにさらなる混合または粉砕を行ない、特定の印刷システムに向けて特性を精密に調節してもよい。次いで、得られたインクを120℃で濾過し、周囲温度(典型的には、約20℃〜約25℃)まで冷却する。インクは、周囲温度で固体である。ある実施形態では、形成プロセス中に、融解したインクを型に注ぎ、次いで、冷却して固体インクのスティックを形成させる。適切なインク調製技術は、米国特許第7,186,762号に開示されている。
【0046】
固体インクジェットプロセスは、例えば、米国特許第4,601,777号、第4,251,824号、第4,410,899号、第4,412,224号、第4,532,530号に記載されている。
【0047】
印刷画像を、インクジェットデバイス、例えば、サーマルインクジェットデバイス、音響インクジェットデバイス、または圧電インクジェットデバイスにインクを組み込み、同時に、融解したインクの液滴を、基板上で画像様の様式になるように放出することによって、本明細書に記載されているインクを用いて作成してもよい。また、インクを、間接的な(オフセット)印刷のインクジェット用途で使用してもよく、一方、融解したインクの液滴が、記録基板上で画像様の様式になるように放出される場合、記録基板は中間転写体であり、次いで、画像様の模様になったインクが、中間転写体から最終的な記録基板に転写される。
【0048】
UNICID 700以外のすべての出発物質は、Sigma Aldrichから購入する。UNICID 700は、Baker Petroliteから得ている。
【0049】
(trans−ジカルボン酸−インデノフルオレノンの調製)
trans−ジカルボン酸−インデノフルオレノンを、市販の2,5−ジブロモ−p−キシレンから出発して3工程で調製する。第1の工程では、以下のスキーム1に示されているように、2,5−ジブロモ−p−キシレンとp−トリル−ボロン酸とのSuzuki型反応を用いて生成物Aを調製する。特定的には、250mLの丸底フラスコに磁気撹拌器、環流冷却器、アルゴン注入口、加熱油浴を取り付け、p−トリルボロン酸4.07g(0.029mol)、2,5−ジブロモ−p−キシレン4.0g(0.015mol)、炭酸カリウム9.0g(0.065mol)、テトラメチルアンモニウムブロミド6.0g(0.035mol)、酢酸パラジウム0.136g(0.0014mol)を入れる。この固体にアルゴンを15分間流し、その後、蒸留水40mLを反応混合物に加える。温度を70℃まで上げ、混合物を撹拌しつつ、約4時間加熱する。4時間後、反応物を室温まで冷却し、さらに蒸留水50mLをフラスコに入れる。生成した暗色沈殿を、濾紙を用いて濾過することによって水系母液から単離する。さらに、固体をトルエンに溶解し、スパチュラ1杯の脱色性の炭を溶液に加え、すべてを沸騰するまで加熱する。黒色残渣を濾過によって除去する。水系母液をジクロロメタン40mLで2回抽出し、トルエン40mLで1回抽出する。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。最後に、減圧下で溶媒を除去し、白色固体4.11g(94%)を得る。
【0050】
生成物Aをスキーム1にしたがって調製する。
【化14】




スキーム1.Suzukiカップリング法を用いる、生成物Aの調製
【0051】
第2の工程では、以下のスキーム2に示されているように、生成物Aを過マンガン酸カリウムおよびピリジン存在下で酸化し、テトラカルボン酸誘導体(生成物B)を得る。特定的には、生成物A(1.23g、0.0043mol)をピリジン30mLに溶解し、磁気撹拌器、環流冷却器、加熱油浴を取り付けた1Lの丸底フラスコに入れる。過マンガン酸カリウム(28g、0.177mol)を、蒸留水10mL中2〜3gずつ、96時間かけて加える。この間、反応フラスコの温度は100℃付近に維持しておく。反応が終了していると判断したら、得られた二酸化マンガンを濾過によって分離する。二酸化マンガンを熱水(80℃、100mL)中で混合し、濾過する。この2つの液体を合わせ、塩酸でpHが2になるまで酸性にする。白色固体が生じたら、固体をガラスフリットで濾過し、130℃の減圧オーブンで2時間乾燥する。生成物を白色固体として得る(1.385g、79%)。DMSO−d中でのH NMR:δ(ppm):7.5(d,J=7.8Hz,2H,),7.7(s,1H),7.9(d,J=8.1Hz,2H)。
【0052】
生成物Bをスキーム2にしたがって調製する。
【化15】



スキーム2.酸化による、テトラカルボン酸誘導体(生成物B)の調製
【0053】
第3の工程では、以下のスキーム3に示されているように、trans−ジカルボン酸−インデノフルオレノンは、発煙硫酸7%存在下、酸触媒による環化によって得られる。特定的には、100mLの丸底フラスコに、磁気撹拌器、加熱油浴、環流冷却器を取り付け、生成物B(1.2g、0.003mol)と発煙硫酸7% 7mLとを加える。温度を100℃まで上げ、得られた褐色溶液を4時間加熱する。この溶液を室温まで冷却し、蒸留水100mLに注いだ。得られた赤色沈殿を、ガラスフリットを用いた濾過によって単離し、130℃の減圧オーブンで2時間乾燥する。生成物を紫色固体として得る(1.0g、92%)。
【0054】
trans−ジカルボン酸−インデノフルオレノンをスキーム3にしたがって調製する。
【化16】



スキーム3.環化による、trans−ジカルボン酸−インデノフルオレノンの調製
【0055】
以下のスキーム4に示されているように、安定化ワックスは、UNICID(登録商標)700とエチレンジアミンとを比率1:1で反応させることによって調製される。特定的には、1Lの樹脂ケトルに、加熱マントル、機械撹拌器、Dean−Starkトラップ、環流冷却器、温度センサを取り付け、UNICID(登録商標)700樹脂144.59g、1,2−エチレンジアミン(Aldrich)9.02gを入れる。アルゴン流下、ケトルの温度を90℃まで上げ、樹脂を融解させる。樹脂が完全に融解したら、撹拌しつつ、温度を徐々に180℃まで上げ、反応を3時間かけて進めた。水(2.7ml)をDean−Starkトラップに集める。180℃で3時間反応させた後、ケトルの中身を暖かいまま出す。生成物をベージュ色樹脂として得る(145g、96%)。
【0056】
安定化ワックスをスキーム4にしたがって調製する。
【化17】



スキーム4.安定化ワックスの調製
【0057】
以下のスキーム5に示されているように、高沸点溶媒中、蛍光顔料を安定化ワックスに化学的に結合することによって、赤色樹脂を調製する。特定的には、150mLの樹脂ケトルに、加熱マントル、機械撹拌器、Dean−Starkトラップ、環流冷却器、温度センサを取り付け、trans−ジカルボン酸−インデノフルオレノン1.0g(0.0027mol)、安定化ワックス6.036g(0.0078mol)、トルエン20mLを入れる。アルゴン流下、ケトルの温度を110℃まで上げ、樹脂を融解させる。反応を18時間かけて進め、その後、トルエンを留出させ、温度を140℃まで挙げる。反応を3時間かけて進め、その後、ケトルの中身を暖かいまま出す。生成物を赤色蛍光樹脂として得る(6.68g)。
【0058】
赤色樹脂をスキーム5にしたがって調製する。
【化18】



スキーム5.赤色樹脂の調製
【0059】
ここで、「部」は、重量部を指す。600mLのビーカーに、Crompton Corporationから市販されているKEMAMIDE S−180(ステアリルステアリル酸アミド)136部を加える。この物質を120℃のオーブンで融解し、次いで、Union Processから入手可能なSzevari 01磨砕機に移し、120℃まで加熱し、Hoover Precision Productsから入手可能な440Cの直径が1/8インチのステンレス鋼の球1800gを加える。加熱したインペラをこの集合体に接続し、容器上部にある球がお互いに穏やかに転がるように混合を始める。この撹拌している混合物に、スキーム5に示されているような赤色樹脂16部を加える。この速度で30分間濡らした後、インペラの周速度が約150cm/秒になるように速度を上げる。磨砕を18時間続ける。
【0060】
ふるいを介し、ステンレス鋼の球から濃縮物を単離し、あらかじめ加熱した撹拌棒を備える、あらかじめ加熱した容器に12部を入れ、撹拌する。これに、Baker Petrolite製の蒸留したポリエチレンワックス81.54部(ピーク平均分子量が約350〜約730g/モルであり、多分散性が約1.03〜約3.0であり、非対称な高分量側にかたよった分子量分布をもつ、米国特許第7,407,539号に記載されているようなポリエチレンワックス)、トリアミドワックス18.65重量部(米国特許第6,860,930号に記載されているトリアミド)、Crompton Corpから市販されているS−180 16.07重量部(ステアリルステアリル酸アミド)、Arakawa Corporationから市販されているKE−100樹脂18.81重量部(Arakawa Chemical Industries,Ltd.製の水素化アビエチン(ロジン)酸トリグリセリド)、米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されているように調製した、3当量のステアリルイソシアネートとグリセロール系アルコールの付加物であるウレタン樹脂2.58重量部、Crompton Corpから入手可能なNaugard−445(酸化防止剤)0.34重量部を120℃で融解しておき、十分に混合したものをゆっくりと加える。赤色樹脂を含有するインクを2時間撹拌し、120℃で、Parker−Hannefin Corporationから入手可能な1ミクロンフィルターを通して濾過する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクビヒクルと;
蛍光顔料およびこの蛍光顔料に化学的に結合した少なくとも1つの安定化ワックスを含む蛍光粒子とを含む、蛍光固体インク。
【請求項2】
インクビヒクルと、蛍光顔料およびこの蛍光顔料に化学的に結合した少なくとも1つの安定化ワックスを含む蛍光粒子とを混合することと;
この混合物を加熱することと;
この加熱した混合物を冷却して固体インクを形成させることとを含む、蛍光固体インクを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−236417(P2011−236417A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99056(P2011−99056)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】