説明

蛍光ランプ

【課題】着脱時において発光管の破損がおこり難い平面渦巻形の蛍光ランプを提供する。
【解決手段】放電路が渦巻状でかつ、発光面が略平面状となるように形成された渦巻形発光管および少なくとも1つの口金を備える蛍光ランプであって、前記発光面から突出するように、口金40から把持取手27a及び把持取手27bが延出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦巻形の蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全のための省エネルギー及び省資源の時代を迎え、照明分野においても低効率の白熱電球や比較的大型の蛍光ランプなどの従来の光源に置き換え可能な省エネ、省資源光源として、種々のコンパクト形蛍光ランプが開発されている。
このコンパクト形蛍光ランプの1種として、図7に示すような放電路が二重螺旋状に旋回し、端部が隣接する発光管の下方に位置した構成の発光管1110を備えた蛍光ランプ110が知られている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
また、図8に示すように、放電路が略一平面を二重渦巻状に旋回する発光管1210を備えた蛍光ランプ1200が開示されている。(例えば、特許文献1)
この蛍光ランプ1200は、いわゆる両口金タイプであって、発光管1210の管端部1211a及び管端部1211bに、それぞれ一対の電源接続用の端子ピンが配されたG型口金1240aおよびG型口金1240bが装着されている。
【0004】
蛍光ランプ1200は、発光管1210の外形が略円盤形状をなすいわゆる面光源であって、特許文献1に記載の蛍光ランプ110の発光管1100よりも全体的な厚みが薄くなるように構成されていることに特徴がある。
このため、灯具を薄く設計することができ、天井や壁にいわゆる直付けのダウンライトやウオールライト用の光源として好適である。
【0005】
また、蛍光ランプ1200は、発光面が略円板状であるため被照射面の配光分布が良好で、殊に店舗や住宅の照明用として好適である。
【非特許文献1】EU意匠25861−0005
【特許文献1】特開平9−45283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術による両口金タイプの蛍光ランプ1200は、図8に示すように、発光管1210の管端部1211a及び管端部1211bにそれぞれ装着された口金1240a及び口金1240bが、それぞれ独立した別部材となっているため、実際の蛍光ランプ1200の灯具への着脱は、管端部1211a及び管端部1211bにそれぞれにおいて行わなければならず、作業が煩雑となり時間がかかる上に、特に機械的強度が比較的小さい薄肉の屈曲ガラス管で構成されている発光管1210を直に手で持って着脱作業を行わざるを得ないため、作業の不手際から、例えば管中央付近で発光管破損が起こる可能性がある。
【0007】
従って蛍光ランプ1200を商品化するには、特に灯具への着脱時などにおける発光管の破損を確実に防止できる手段を見出すことが主要な技術課題である。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、放電路が渦巻状でかつ、発光面が略平面状となるように形成された渦巻形発光管および少なくとも1つの口金を備える蛍光ランプにおいて、灯具へのランプ着脱作業をより簡易にでき、さらに、着脱作業での発光管破損を確実に防止可能であって、安全性が高く使い易い蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る蛍光ランプは、放電路が渦巻状でかつ、発光面が略平面状となるように形成された渦巻形発光管および少なくとも1つの口金を備える蛍光ランプであって、前記発光面から突出するように前記口金から把持部が延出されている構成を有する。もしくは、放電路が渦巻状でかつ、発光面が略平面状となるように形成された渦巻形発光管および少なくとも1つの口金を備える蛍光ランプであって、前記発光管の端部近傍を基点としてさらに外方に突出するように前記口金から把持部が延出されている構成を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、本発明の蛍光ランプは、把持部が口金から延出されている構成を備えているため、蛍光ランプの着脱作業時において、前記把持部を作業者が把持することで、発光管に負荷をかけることなく着脱を実施することができ、着脱作業における発光管破損を確実に防止できる。
また、把持部が発光面から突出した部分を有しているので、発光管の周囲や裏側に器具に囲まれている状態でも、作業者が把持部の突出した部分を掴むことによって、灯具へのランプ着脱作業を簡易に行うことができる。
【0010】
さらに、両口金タイプのように、口金が複数あって、それぞれが独立して配されている場合であっても、着脱の対象となる口金が配されている発光管端部の近傍を基点として把持部が外方に突出しているので、着脱を行う際に把持部に加えた力が、口金に直接的に作用し易く、発光管に負荷がかかることが防止され、高い安全性と扱い易さが実現される。
また、本発明の蛍光ランプは、前記把持部の前記発光面から突出する部分は、凹部、凸部、スリット及びシボのうちいずれかひとつ、もしくは、これらのうちの少なくとも2つの組み合わせからなる形状であることが好ましい。
【0011】
これにより、把持部が滑り難い構造を有しているので作業者は、把持部を把持し易くなり、着脱作業性が向上する。
また、本発明の蛍光ランプは、前記把持部は、透光性を有することが好ましい。
これにより、蛍光ランプが露出する状態で使用されたとしても、把持部が目立ち難く、デザイン性が損なわれない。さらに、蛍光ランプから放射された光が、把持部によって遮光され難く、光学特性が低下し難い。
【0012】
また、前突把持部は、前記発光面と略直交する方向に延出しているとしてもよい。
これにより、前記発光面の外周において、他の部材との隙間が小さな場合であっても、前記把持部が前記他の部材と干渉することがない。
また、前突把持部は、前記発光面の略沿面方向に延出しているとしてもよい。
これにより、蛍光ランプの照射方向側において、セードなどの部材が近接している場合であっても、前記把持部が前記部材と干渉することがない。つまり、薄型化を図り易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る蛍光ランプについて、図面を参照しながら説明する。
(構成)
図1(a)及び図1(b)は、本発明の実施形態に係る蛍光ランプを示す図である。
本発明の一実施形態における蛍光ランプ1は、店舗・住宅照明等の天井直付ダウンライト用、ウオールライト用等として用いられる管入力が20Wの蛍光ランプであって、発光管10と、前記発光管10を固定する保持部材20とを備えており、この保持部材20には、作業者が灯具への着脱作業を容易に行えるように発光面から突出した把持取手27a及び把持取手27bが付設されている。
【0014】
ここで、上記発光面とは、発光管10を構成している後述の屈曲ガラス管12の外表面において、保持部材20が配されている側と相反する側を上側とした場合の稜線を滑らかに結んで得られる平面をいう。
1.発光管
図2(a),図2(b)は、保持部材20に取り付けられる以前の状態の発光管10を示す図である。
【0015】
発光管10は、管端部11a及び11bにそれぞれ配置されたタングステンフィラメントコイル電極13a及びタングステンフィラメントコイル電極13b間に形成される放電路が、管中央部12cを中心として略一平面を渦巻状に旋回するとともに、管端部11a,11bが管中央部12cを挟んで互いに対向する形状の屈曲ガラス管12を備え、屈曲ガラス管12の管中央部12cに折返し部を有する平面二重渦巻形状を有している。
【0016】
略対向して離間する屈曲ガラス管12の管端部11a及び11bにおいて、それぞれタングステンフィラメントコイル電極13aの両端を掴持する一対の電極リード線14a及び14bと、タングステンフィラメントコイル電極13bの両端を掴持する一対の電極リード線14c及び14dとが、その一部を露出させた状態で気密封着されている。
さらに、一方の管端部11aには、併せて排気管16(発光管排気後に、先端部封止)が封着されている。
【0017】
なお、前記一対の電極リード線14a及び14bは、ビーズガラスマウント15aを介して互いの位置が固定されており、またこれと同様に前記一対の電極リード線14c及び14dも、ビーズガラスマウント15bを介して互いの位置が固定されている。
さらに、屈曲ガラス管12は、その主要な内表面に、希土類蛍光体(不図示)が塗布され、さらに、5mgの水銀17の他に、緩衝ガスとして約350Paのアルゴン(Ar)が封入されている。
【0018】
発光管10の中央に位置する管中央部12cは、その表面が照射方向側、即ち、口金40が配設されていない側に突出した凸形状で構成されており、ここにランプ点灯時における最冷点個所Scが形成されている。
より具体的には、管中央部12cにおける凸部のサイズおよび肉厚は、高いランプ効率を得られるように、例えば電極間に位置する発光管10の主要部内径を4mm以上、18mm以下に設定した場合、管中央部12cにおける最冷点温度Tcが40℃以上、55℃以下の範囲に収まるように設定される。
【0019】
また、屈曲ガラス管12の部材としてバリウム・ストロンチウムシリケートガラス(軟化点675℃の軟質ガラス)を用い、また希土類蛍光体として3種類の赤、緑及び青発光のY:Eu、LaPO:Ce、Tb及びBaMgAl1627:Eu、Mn蛍光体を混合したものを用いる。
管内に封入される水銀17は、水銀単体のほかに、例えば亜鉛水銀及び錫水銀や、更にはビスマス・インジウム水銀などのアマルガムの形態で封入されてもよく、また緩衝ガスとしてアルゴン、ネオン、クリプトン等の混合ガスが封入されてもよい。
【0020】
2.保持部材
図1(a)及び図1(b)に示すように保持部材20は、発光管10の中心を横切るように配置された長尺体であり、この長尺体の中央に4つの電源接続用の端子ピン付きで柱状の口金40が付設されたものであって、長尺体の両端部において発光管10の管端部11a及び11bを保持している。
【0021】
端子ピンは、保持部材の長さ方向と直交する方向で、かつ、発光管10とは、反対側に延びて設けられている。
保持部材20には、作業者が指で把持可能な把持取手27a及び把持取手27bが付設されている。
把持部である把持取手27a及び把持取手27bは、口金40のうち端子ピンが設けられた側とは反対方向の箇所に立設して設けられ、発光管10の発光面から突出するように延出して設けられている。
【0022】
作業者がこれら把持取手27a及び把持取手27bで把持して蛍光ランプ1の着脱作業を行うことにより、図8に示す従来の両口金形のランプ1200のように、発光管を直に手で持って着脱する必要がなくなり、発光管に負荷をかけずに着脱作業を実施できるので、着脱作業での発光管破損を防止できる。また、保持部材20に付設された口金40により、両口金型のランプ1200に比べ、蛍光ランプ1の灯具への着脱作業がより簡易化される。
【0023】
この結果、本実施の形態の蛍光ランプ1は、安全性が高くて使い易くなる。
以下、保持部材20の構成について詳細に説明する。
保持部材20は、図3に示すような保持部材本体21と図4に示すような保持部材蓋体22とが重ね合わされた状態で接合されている。
この保持部材20は、発光管10の管端部11a,11bを保持するための保持部材本体21と、発光管10に電力を供給する保持部材蓋体22とから構成されている。
【0024】
保持部材本体21は成形加工された樹脂部材であり、また、保持部材蓋体22は、電源接続用の端子ピン43a,43b,43c及び43dがインサート成型された樹脂部材である。
より具体的には、保持部材本体21は、図3(a),図3(b)及び図3(c)に示すように、円盤状の中央円形部23aの外縁における2箇所から、中央円形部23aの中心を通る直線上に存するように矩形板状の翼部23b及び翼部23cが外方に向かって延出されてなる保持基板23に対して、翼部23b及び翼部23cの両端それぞれにおいて、管端部11a及び11bそれぞれの収容部としての管端保持部24a及び24bが配設されて構成されている。
【0025】
管端保持部24a及び管端保持部24bにおいて、それぞれZ1方向における底面が半円形に湾曲している溝部25a及び溝部25bが配されており、さらに、溝部25a及び溝部25bの長手方向の一方に、それぞれ開口部26a及び開口部26bを有している。
保持部材20として組み立てられた後の開口部26a及び開口部26bは、それぞれ管端部11a及び管端部11bの挿入先となり、この挿入の際、溝部25a及び溝部25bの内部は、固定用のシリコン樹脂により満たされることとなる。
【0026】
保持部材本体21の中央円形部23aのZ1方向側に存する面には、一対の把持取手27a及び把持取手27bが一体成型されている。
この把持取手27a及び把持取手27bは、発光管10の発光面から照射方向側に突出している。
実際の蛍光ランプ1の着脱は、作業者が把持取手27a及び把持取手27bを、例えば親指と人差指で挟み持って行う。
【0027】
また、翼部23b及び翼部23cのZ方向側に存する面には、管端部11a及び管端部11bからの一対の電極リード線14a及び電極リード線14bと、一対の電極リード線14c及び電極リード線14dとを口金40にそれぞれ配線するための一対の配線溝28a及び配線溝28bと、配線溝28c及び配線溝28dとが形成されている。
一方、保持部材蓋体22は、図4(a),図4(b)及び図4(c)に示すように、保持基板蓋部29と、その両端に保持部材本体21の管端保持部24a及び管端保持部24bのZ軸方向に存する開口部に蓋をするように接合される管端蓋部30a及び30bとからなっている。そして、保持基板蓋部29の中央円形部の上面には、一個の口金40、例えばJIS−GU10q型が付設されている。
【0028】
口金40は、全体が円筒形状の外枠部41のZ方向上面において、略正方形の凹部42が配された上蓋部41aが形成され、さらに、凹部42に発光管10から延出された電極リード線14a,電極リード線14b、電極リード線14c及び電極リード線14dそれぞれの接続先となる端子ピン43a,端子ピン43b、端子ピン43c及び端子ピン43dが挿設されている。
【0029】
また、外枠部41の凹部42におけるX1方向側及びX方向側の各側面において、Z方向に延びる溝部44a及び溝部44bが形成されている。
これらの溝部44a及び溝部44bは、それぞれ上蓋部41aの上面から外枠部41の底部に達する範囲に形成されており、さらに、この範囲の中間に灯具ソケットの爪部と嵌合するための爪部44d及び爪部44eが形成されている。
【0030】
つまり、溝部44a及び溝部44bは、口金40を灯具ソケットに装着する際、ガイドの役割を果たし、また、爪部44d及び爪部44eは、装着が容易に解除されないように固定するために灯具に設けられたフック(不図示)と係合する。
(具体的寸法形状の一例)
以下、蛍光ランプ1の管入力を20Wとした場合における、蛍光ランプ1の具体的な形状寸法について説明する。
【0031】
まず、発光管10の各部位の寸法については、主要部の管外径を9.0mm、管内径を7.6mm、電極間距離Leを800mm、二重渦巻形状の渦巻の一般部位における屈曲ガラス管12の管壁同士の隙間Gbを2.0mm、発光管10の最大外囲径Aを120mmにそれぞれ設定した。
ここで、上述の二重渦巻形状の渦巻の一般部位とは、発光管10における、中央の折り返し部の近傍及び管両端11a,11bの近傍を含まない部位のことである。
【0032】
また、発光管10の管両端11a,11bの近傍における屈曲ガラス管12の管壁同士の隙間Geを4.0mmに設定した。これは、電極部封着工程において発光管10の管端部11a,11bが加熱される際、加熱を要しない部位へ熱が伝導するのを軽減し、熱の伝導に起因する不具合の発生を抑制して歩留まりを向上させるためである。
保持部材20は、保持部材本体21の中央円形部23aの直径を48mm、翼部23b及び翼部23cの長手方向における長さを40mm、幅を16mm、また管端保持部24a及び管端保持部24bにそれぞれ設けられた溝部25a及び溝部25bについては、溝の長さを18mm、溝の深さを12mmに設定した。
【0033】
そして、保持部材20に付設された把持取手27a及び把持取手27bは、板状であって、その長手方向と直交する平面と交錯して得られる断面が楕円状となっており、長手方向の長さを25mm、幅を15mm及び中央肉厚を2.5mmにそれぞれ設定し、把持取手27aと把持取手27bとの間隔を18mmに設定した。
管中央部12cの底面は、厚さ約1mmのシリコン樹脂を介して保持部材20の中央円形部23aに接合されており、保持部材20から発光管10の主要部(外径9.0mm)における発光面までの距離が約10mmとなるため、把持取手27a及び把持取手27bの発光面からの突出量は約15mmとなっている。
【0034】
また、保持部材蓋体22における、口金40の外枠部41については、その外径を48mm、高さを20mmに設定した。
(製造方法)
以下、本実施形態である蛍光ランプ1の組み立て工程について説明する。
蛍光ランプ1の組立工程における実施手順を時系列で列挙する。
(1)管端部11a及び11bを、それぞれ管端保持部24a及び管端保持部24bに挿入した後、挿入部分をシリコン樹脂により固定するとともに、管中央部12cの底面も保持部材本体21における中央円形部23aのZ1方向側に存する面と厚み約1mmのシリコン樹脂を用いて固定する。
(2)次いで発光管10の電極リード線14a,電極リード線14b、電極リード線14c及び電極リード線14dを保持部材蓋体22の口金40の端子ピン43a,43b、43c及び43dにカシメにより接続する。
(3)保持部材本体21と保持部材蓋体22を超音波融着や嵌め込みなどにより接合して保持部材20とすると共に、蛍光ランプ1の組立を完了する。
(作業性確認)
本実施の形態に係る管入力を20Wとする蛍光ランプ1を量産試作し、この蛍光ランプ1と試作された灯具ソケットとの間で着脱作業を繰り返し実施した。
【0035】
この結果、蛍光ランプ1の保持部材20の把持取手27a及び把持取手27bを手で持って着脱作業を行うことによって、着脱作業時における発光管破損の発生は略100%防止できることがわかった。
(性能確認)
量産試作された蛍光ランプ1の光学特性を測定したところ、管入力20Wにおいて光束1800lmでランプ効率90lm/Wという優れたランプ特性と、また約11000hrsの定格寿命時間が得られた(数値は、いずれも平均値)。
【0036】
なお、本実施形態である蛍光ランプ1の構成は、基本的に管入力が20Wの品種以外の、例えば発光管内径が4.0mm〜18.0mmの管入力8W〜80Wの品種に適用したときでも、同様の効果を発揮するものである。
以上のように、蛍光ランプの着脱作業時において、蛍光ランプの照射方向側の発光面から突出した把持取手27a及び把持取手27bを作業者が指でつまむことで、ガラス管に負荷をかけることなく着脱を実施することができ、灯具へのランプ着脱作業をより簡易に実施できるほか、着脱作業における発光管破損を確実に防止できる。つまり、本実施の形態における蛍光ランプは、安全性が高く使い易い。
【0037】
特に、天井埋め込みタイプの照明器具に対して本実施形態の蛍光ランプ1を着脱する場合などでは、照明器具側の蛍光ランプ1の収納スペースとして、蛍光ランプ1の最大外囲径Aより僅かに大きな内径のスペースが用意されていることが多く、そのような場合、管端保持部24aと管端保持部24bとを指で挟み込むようにしても、着脱時に指や手の甲が照明器具側の部材に干渉してうまく保持できないが、照射方向側の発光面から突出した把持取手27a及び把持取手27bを掴めば、指が前記部材と干渉することなく容易に着脱作業が行える。
【0038】
なお、本実施の形態の蛍光ランプは、4つの電源接続用の端子ピンが口金の中央に集中的に配されたいわゆる片口金タイプの蛍光ランプであったが、端子ピンの配設位置は、本実施の形態に記載されている構成に限るものではない。
例えば、電源接続用の端子ピンが、対をなす端子ピン同士がそれぞれ別の位置に配設されていてもよいし、また、端子ピンの方向が横向き、即ち、X軸方向となっていてもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、把持取手27a及び把持取手27bは、板状であって、その長手方向と直交する平面と交錯して得られる断面が楕円状となっているとしたが、この形状に限るものではない。
(変形例1)
例えば、把持取手27a及び把持取手27bの指が接触する面において、図5(a)に示すように凹部を設けたり、図5(b)に示すように凹凸を連続的に設けたり、図5(c)に示すように、その終端部を外方へと直角に折り曲げたり、また、図5(d)に示すようにシボを設けたりして、指でつまんだときに滑り難くすることが好ましい。
【0040】
以上の4形状は、いずれも従来の工法で形成可能であって、しかも、シボについては、安価でかつ簡単に適用可能であり、コスト上昇を抑えることができる。
また、把持取手27a及び把持取手27bを、透明性を有する材料で形成してもよい。
このようにすることで、蛍光ランプが露出する状態で使用されたとしても、把持取手27a及び把持取手27bが目立ち難く、デザイン性が損なわれない。
【0041】
さらに、把持取手27a及び把持取手27bが照射方向側の発光面から突出するように存するため、把持取手27a及び把持取手27bが透明性を有することで、蛍光ランプから放射された光を遮光し難く、光学特性を低下させにくい。
また、本実施の形態では、把持取手27a及び把持取手27bの発光面からの突出量を15mmとしたが、これに限らず、把持取手27a及び把持取手27bの発光面からの突出量を10mm以上、20mm以下(この好ましくは15mm)としてもよい。
【0042】
また、対をなす端子ピンが管端部に配されたいわゆる両口金タイプの蛍光ランプであってもよい。
以下、このような場合における把持取手の適用例について説明する。
(変形例2)
図6(a)及び図6(b)は、いわゆる両口金タイプの蛍光ランプに把持取手を付設した場合における構成の一例を示す。
【0043】
蛍光ランプ100は、発光管10の管端部11a及び管端部11bそれぞれに、円筒状の口金140及び口金130が冠着されており、さらに、口金140と口金130との間に板状の支持体120が架設されている。
口金140は、有底筒状の口金本体部140aにおいて、その底面に一対の端子ピン143a及び143bがインサートされており、口金本体部140aの外周面から外方に向かって平板な把持取手部140bが延出されている。
【0044】
口金140の内部において、発光管10の電極リード線14a及び電極リード線14bが、それぞれ端子ピン143a及び端子ピン143bに接続されている。
また、口金130は、口金140と同様に有底筒状の口金本体部130aにおいて、その底面に一対の端子ピン143c及び端子ピン143dがインサートされており、口金本体部130aの外周面から外方に向かって平板な把持取手部130bが延出されている。
【0045】
口金130の内部において、発光管10の電極リード線14c及び電極リード線14dが、それぞれ端子ピン143c及び端子ピン143dに接続されている。
蛍光ランプ100に対応する灯具ソケットは、電源接続用の端子ピンを灯具ソケット側に押し付けるだけで、灯具ソケット側に配されたバネ部材により端子ピンが保持され、即ち、装着され、また、この保持状態から無理やり端子ピンを灯具ソケットから引き離すことにより、バネ部材による前保持が解除され脱跋される。
【0046】
蛍光ランプ100の着脱時には、操作者は、把持取手部140b及び把持取手部130bを指で摘まんで操作することにより、発光管に負荷をかけることなく着脱を実施することができ、灯具へのランプ着脱作業をより簡易に実施できるほか、着脱作業における発光管破損を確実に防止できる。つまり、本実施の形態における蛍光ランプは、高い安全性と扱い易さが実現される。
【0047】
なお、本変形例2では、口金140と口金130との間に板状の支持体120が架設されているとしたが、この支持体120を配さなくても構わない。
このような場合であっても、把持取手部140b及び把持取手部130bを指で摘まんで操作することにより、着脱対象である電源接続用の端子ピンが配された口金に力点となる把持取手部が直に配されているので、発光管が破損することが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の蛍光ランプは、灯具ソケットを有してユーザによる蛍光ランプの脱着を想定した照明装置に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態の蛍光ランプを示す図であって、(a)は正面方向から見た斜視図、(b)は背面方向からから見た斜視図
【図2】本発明の実施形態の発光管を示す図であって、(a)は平面断面図、(b)は正面図
【図3】本発明の実施形態の保持部材本体21を示す図であって、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)は底面図
【図4】本発明の実施形態の保持部材蓋体22を示す図であって、(a)は正面断面図、(b)は平面図、(c)は底面図
【図5】本発明の実施形態の把持取手の一例を示す図であって、(a)は凹部付加仕様の断面図、(b)は凹凸部付加仕様の断面図、(c)は終端部折り曲仕様の断面図、(d)はシボ追加仕様の模式図
【図6】本発明の実施形態の蛍光ランプの変形例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図
【図7】従来の蛍光ランプを示す図であって、(a)は底面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図
【図8】従来の蛍光ランプを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図
【符号の説明】
【0050】
10 発光管
11a,11b 管端部
15a、15b ビーズガラスマウント
16 排気管
20 保持部材
27a,27b 把持取手
40 口金
42 凹部
43a 端子ピン
130b,140a 把持取手部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電路が渦巻状で、かつ、発光面が略平面状となるように形成された渦巻形発光管および少なくとも1つの口金を備える蛍光ランプであって、
前記発光面から突出するように前記口金から把持部が延出されていることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
放電路が渦巻状で、かつ、発光面が略平面状となるように形成された渦巻形発光管および少なくとも1つの口金を備える蛍光ランプであって、
前記発光管の端部近傍を基点としてさらに外方に突出するように、前記口金から把持部が延出されていることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項3】
前記把持部の前記発光面から突出する部分は、凹部、凸部、スリット及びシボのうちいずれかひとつ、もしくは、これらのうちの少なくとも2つの組み合わせからなる形状であることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記把持部は、透光性を有することを特徴とする請求項1から3に記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
前突把持部は、前記発光面と略直交する方向に延出していることを特徴とする請求項1、3及び4のいずれかに記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
前突把持部は、前記発光面の略沿面方向に延出していることを特徴とする請求項2、3及び4のいずれかに記載の蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−273330(P2007−273330A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98943(P2006−98943)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】