説明

蛍光体波長変換を有する発光装置

熱伝導性基板(MCPCB)、基板の表面と熱的にやり取りできるように取り付けられる、少なくとも一つのLED、基板に取り付けられていて、かつ、ハウジングおよび基板がともに少なくとも一つのLEDをすべて囲む容積を定めるように構成されるハウジングで、少なくとも光透過性の一部(窓)を含むハウジング、および前記の容積中のハウジングの内部表面上に設置される少なくとも一つの蛍光体材料で、少なくとも一つの発光ダイオードによって放出した励起光の少なくとも一部を吸収するよう機能し、かつ第2波長範囲の光を放出するよう機能する前記蛍光体、を含む発光装置。容積が実質的に防水で、好ましくは気密/耐ガス構造であるように、ハウジングは基板に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月16日に出願された、Yi−Qun Liらによる「Light Emitting Device with Phosphor Wavelength Conversion」と題される米国特許出願12/639,688に基づく利益の優先権を主張する。同様に本出願は、明細書と図が参考として本明細書に組み込まれる、2008年12月31日に出願された、Yi−Qun Liらによる米国特許仮出願61/141,948に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
1.発明の分野
本発明は、蛍光体波長変換を有する発光装置に関して、かつ具体的には、排他的にではないが一つ以上の発光ダイオード(LED)に基づく白色光発生装置に関する。さらに、本発明の実施形態は、一般照明への適用のための高放出強度(すなわち、50ルーメン以上の光放出強度、または1W以上の入力電力)白色光発生装置のパッケージ配列に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
白色発光LED(「白色LED」)は、比較的最近の革新であって、エネルギー効率の良い照明システムの全く新しい世代が出現する可能性を提供する。潜在的に何十万時間という長時間の動作寿命および低電力消費の観点からの高効率性の理由から、白色LEDがフィラメント(白熱灯)、蛍光灯、および小型蛍光光源に取って代ることが予測される。LEDが電磁スペクトルの青色/紫外線部分を放出することが開発されて初めて、LEDに基づく白色光源の開発が実用的になった。たとえば米国特許5,998,925中で教示するように、白色LEDは、LEDで放出される放射の一部を吸収し、かつ異なる色(波長)の放射を再放出する一つ以上のフォトルミネセンス材料である蛍光体材料を含む。一般的に、LEDチップまたはダイは青色光を生成させ、かつ蛍光体は青色光の一部を吸収し、かつ黄色光または、緑色および赤色光、緑色および黄色光または黄色および赤色光の組み合わせを再放出する。蛍光体によって吸収されないLEDによって生成する青色光の一部分は、蛍光体によって放出される光と組み合わさって人間の目にはほとんど白色に映る光を形成する。
【0004】
高電圧(110/220V)・交流電源(AC)で作動することができるLEDに基づく発光装置の実施例は、2009年12月3日に公開された米国特許同時係属出願公開番号2009/0294780に記載されていて、図1に概略的に示される。図1を参照すると、装置10は、9個の円形のくぼみ(空洞)14のアレイを有する、たとえば低温同時焼成セラミックス(LTCC)のようなセラミックパッケージ12を含み、各々のくぼみ14は、LEDチップ16をそれぞれひとつずつ格納するように構成され、LEDチップ16は、一般的には青色放出の窒化ガリウムを主成分とするLEDチップである(図1は横3列・縦3列の正方形に配置される9個のくぼみのアレイを示す)。各々のくぼみ14が、装置からの光の放出を増やすための反射カップを含むために、くぼみ14の壁は傾斜していて、たとえば銀またはアルミニウムのメタライズ層のような反射面17を含むことができる。パッケージ12は、多層構造であって、かつ目的とする配置(たとえば連続的に結合されるストリングまたは自己整流配置のためのブリッジ配置)のLEDチップ16を相互接続するように構成される導電性トラック18の構造を組み込む。各々のLEDチップ16への電気的接続のための一対の電極パッド20をくぼみ14の底部に設置するために、導電性トラック18は、その一部がくぼみに伸びるように構成されている。装置10を交流電源に電気的に接続するために、パッケージ12の下面に一つ以上のはんだパッド22が設置される。はんだパッド22は、導電性ビア24で導電性トラック18に接続している。各々のLEDチップ16は、くぼみの底部と熱的にやり取りできるように、銀を含有したエポキシ樹脂のような熱伝導性接着剤を用いるか、またははんだ付けによって取り付けられる。LEDチップ16上の電極26、28はボンドワイヤ30、32によってくぼみの底部上の各々の電極パッド20に接続される。各々のくぼみ14は、完全に、たとえば粉末状の蛍光体材料を含有するシリコーンのような透明なポリマー材料34で充填される(埋め込まれる)。
【0005】
従来の発光装置、具体的には一般照明を目的とする、約500から600ルーメンまたはそれより高い高強度出力(すなわち約6.5から8Wの入力電力)を必要とする白色光発光装置、の問題は、相関色温度(CCT)および/または装置によって放出される光の強度の重要な変化をもたらす、蛍光体材料の経時的な熱的劣化である。さらに発明者は、装置の動作中の蛍光体材料による水の吸収が、蛍光体材料および、それ故に装置の性能に大幅な影響を同様に及ぼしうるということを十分理解する。フォトルミネセンスにおよぼす吸水の影響は蛍光体組成物により変化し、かつより容易に水溶性複合物を形成しうる、ケイ酸塩を主成分とする蛍光体材料においてはより明白でありうる。最初の試験は、蛍光体材料がたとえばシリコーンのようなポリマー結合剤に封入されるときでも、水の吸収が起こりうることを示唆し、かつ、約10%の光の放出の減少が、25℃の温度で200時間より長く湿潤環境中(すなわち相対湿度80%以上)で動作したオルトケイ酸塩蛍光体を有する装置においておこりうる。蛍光体の劣化と同様に、ほかのパッケージ材料は、たとえば封入するポリマー材料の透明度、反射面の反射率およびLEDチップの性能のように、水の存在で影響を受けうる。
【発明の概要】
【0006】
本実施形態は、周知の構成の限界を少なくとも部分的に克服する発光装置を提供し、かつ排他的にではないが具体的には、50ルーメン以上(すなわち入力電力1W以上)の出力放出強度を有する装置中の蛍光体劣化を低減しようとするものである。より具体的には、本発明はケイ酸塩を主成分とする蛍光体材料を利用する発光装置中の吸水を除去するか、または少なくとも減少させることを求める。
【0007】
本発明の実施形態は、一つ以上の発光ダイオード(LED)および蛍光体材料が防水の、望ましくは気密/耐ガス構造のハウジング中に格納される発光装置を対象にする。望ましくは、一つ以上の蛍光体材料が、一般的には約0.2から1mmの最小距離でLEDから離れたハウジングの内表面上に設置される。LEDおよび蛍光体材料を、防水/耐ガス構造の(密閉されている)ハウジング内に組み込むことは、周囲からの水の取り込みによる蛍光体材料の劣化を予防する。さらに、蛍光体材料が、LEDと熱的にやり取りできるようにではなく、LEDから離れて設置されるとき、蛍光体材料の熱的劣化を減少させることができる。
【0008】
本発明によると、設置される発光装置は、
熱伝導性基板、
基板の表面と熱的にやり取りできるように取り付けられ、かつ第1波長範囲の主波長を有する励起光を放出するように機能する、少なくとも一つの発光ダイオード(LED)、
基板に取り付けられていて、かつ、ハウジングおよび基板がともに少なくとも一つの発光ダイオードをすべて囲む容積を定めるように構成されるハウジングで、少なくとも光透過性の一部を含むハウジング、
および前記容積中のハウジングの内表面上に設置される少なくとも一つの蛍光体材料で、容積が実質的に防水であるようにハウジングが基板に取り付けられる、励起光の少なくとも一部を吸収するように、かつ第2波長範囲の主波長を有する光を放出するように機能する前記蛍光体材料、
を含む。
本特許明細書においては、「防水」は、水または水蒸気の通過を予防することができるということを意味する。有利には、容積が実質的に気密/耐ガス構造であるように、ハウジングは基板に取り付けられる。
【0009】
目的とする放出強度を得るために、装置は、基板の表面と熱的にやり取りできるように取り付けられる複数のLEDを含むことができ、かつハウジングおよび基板が共に複数のLEDをすべて囲む容積を定めるようにハウジングが構成される。本発明の装置は、放出光が一般的に白色を呈する光であり、かつ第1および第2波長範囲の光からなる、一般照明への特定の用途をみいだす。一般照明への適用のために、装置は、少なくとも50ルーメン、望ましくは少なくとも100ルーメン、より望ましくは少なくとも250ルーメンおよびさらにより望ましくは少なくとも500ルーメンの強度の光を放出する。したがって、たとえば窒化ガリウム(GaN)を主成分とするような従来のLEDにおいては、少なくとも一つのLEDまたは複数のLEDは、1ワットもしくはそれより高い入力電力、かつ望ましくは10ワット台もしくはそれより高い入力電力を有する。
【0010】
ひとつの配置においては、容積は少なくとも部分的に、たとえばゲル、鉱油または熱伝導性ポリマーのような光透過性(透明)熱伝導性材料で充填されている。それらの材料は、LEDによって発生する熱の散逸の助けとなることができる。望ましくは、光透過性材料は、ある屈折率整合性を提供することによって、LEDからの光の放出を増やすために、できるだけLEDおよび蛍光体材料の屈折率に近い屈折率を有する。実際には、光透過性材料の屈折率は1.2以上である。
【0011】
もう一つの方法として、ハウジングが耐ガス構造であるときに、たとえば窒素、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノンのような乾性ガスによって容積を充填することができる。このような配置は、蛍光体材料が乾燥した不活性雰囲気中で維持されることを確実にし、それにより、蛍光体および/またはほかのパッケージ材料の酸化および/または還元の可能性を減少させる。
【0012】
防水/耐ガス構造の密封を形成するために、金/ゲルマニウム(Au/Ge)、金/スズ(Au/Sn)またはほかのスズの合金を用いたはんだ付け、銅、銅/タングステン(Cu/W)または鉄−ニッケル(Fe/Ni)合金を使用しているろう付け、またはたとえば金属含有エポキシのような接着剤の使用によってハウジングを基板に取り付けることができる。
【0013】
ひとつの配置においては、光透過性であるハウジングの一部は、ハウジングに取り付けられる窓で覆われるハウジングの開口部を含む。たとえばはんだ付け、圧縮シールにより、または、たとえば金属含有エポキシのような接着剤を使用することにより、防水、望ましくは気密/耐ガス構造の密封を形成するように窓はハウジングに取り付けられる。
一般的に、窓は、ガラス、たとえばシリカガラス、石英ガラスまたは、透明なアルミナ(Al)のような光透過性無機材料を含む。気密/耐ガス構造とは対照的にハウジングが防水であることが必要である場合は、窓がポリカーボネートまたはアクリルのようなポリマー材料を含みうることが想定される。
【0014】
もう一つの方法として、ハウジングは、シリカガラス、石英ガラスのような光透過性材料または、透明なアルミナ(Al)のような光透過性無機材料を含むことができる。装置が防水である場合には、ハウジング材料はポリカーボネートまたはアクリルのようなポリマー材料を含むことができる。光透過性材料から製造されるハウジングは、防水/耐ガス構造の密封の数を最小化する利点を提供する。一つの配置において、ハウジングは、実質的に半球状の外郭を含む。
【0015】
熱の散逸の助けとするために、ハウジングは、ニッケル鉄合金であるInvar(登録商標)のような望ましくは低い熱膨張係数を有する金属のような熱伝導性材料を含むことができる。もう一つの方法として、ハウジングは、アルミニウムまたは銅または熱伝導性ポリマーまたは熱伝導性セラミックのようなほかの金属および/または合金を含むことができる。ひとつの配置においては、ハウジングは、実質的に放物線型反射体を含む。
【0016】
一般的に蛍光体材料は、たとえば窓のようなハウジングの光透過性の部分上に、回転塗布法、ドクターブレード、テープ成形、吹き付け、インクジェット印刷またはほかの成膜技術によって実質的に均一な厚みの層状で設置される。最終的な放出光が白色かあるいはほかの色であるかにかかわらず、かつ、放出強度を増やすために、励起光が最終的な放出光の一因となる装置においては、蛍光体材料の層は少なくとも一つの蛍光体材料のない部分(領域)を含むことができる。蛍光体材料を含まない領域は励起光および第2波長範囲のフォトルミネッセンス発光(photoluminescence generated light)の両方を放出させる窓として振る舞う。装置の発光表面部分(すなわちハウジングの光透過性部分)の全域にわたり均一の放出色および/または色温度を得るために、発光表面にわたり規則的な構造またはアレイの形状で実質的に均一に分布している蛍光体材料層は、蛍光体材料のない複数の領域を含む。好都合なことに、蛍光体材料の構造は、たとえばNAZDARのclear screen ink 9700のような、ひとつ以上の蛍光体材料および適切な結合剤の混合物をスクリーン印刷することによりハウジング上に配置される。もう一つの方法として、蛍光体材料の構造は、たとえばインクジェット印刷、オフセットまたはグラビア印刷のようなほかの成膜方法で製造することができる。
【0017】
基板は、たとえばプリント基板(PCB)、メタルコアプリント基板(MCPCB)、セラミック回路基板または低温同時焼成セラミックス(LTCC)またはアルミナのような熱伝導セラミックのような、任意の熱伝導材料を含むことができる。
【0018】
本発明のほかの態様によると、設置される白色光発生装置は、
熱伝導性基板、
基板の表面と熱的にやり取りできるように取り付けられて、かつ第1波長範囲の主波長を有する光を放出するよう機能する複数の発光ダイオード、
基板に取り付けられていて、かつハウジングおよび基板がともに複数の発光ダイオードをすべて囲む体積を定めるように構成されるハウジングで、光透過性である少なくとも一部を含むハウジング、
および、前記容積中で前記蛍光体が励起光の少なくとも一部を吸収して、かつ第2波長範囲の光を放出するように機能し、装置の放出光が第1および第2波長範囲の光を含み、かつ白色を呈する、ハウジングの内表面上に設置される少なくともひとつの蛍光体材料、
を含み、かつ
ハウジングは容積が少なくとも防水となるように基板に取り付けられ、かつ装置の放出光の強度が少なくとも50ルーメンである白色光発光装置である。
【0019】
蛍光体材料がLEDから離れて設置されること(すなわち物理的に分離される)は好ましいことではあるものの、防水の/耐ガス構造の囲いの中に、蛍光体材料を組み込むLED(すなわち蛍光体がLEDチップの表面上に設置されるLED)を格納することが有益でありえると想定される。本発明のさらに追加的な態様では、
熱伝導性基板、
基板の表面と熱的にやり取りできるように取り付けられる蛍光体材料を組み込む少なくとも一つの発光ダイオード、
および、基板に取り付けられ、かつハウジングおよび基板がともに少なくとも一つの発光ダイオードをすべて囲む容積を定めるように構成されるハウジングで、光透過性である少なくとも一部を含むハウジング、
を含む発光装置で、かつ
容積が少なくとも防水であるようにハウジングが基板に取り付けられる発光装置が設置される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明がよりよく理解されるために、本発明の実施形態に従う発光装置が例示のみによって、添付の図面を参照することによって記載される。
【図1】前述の蛍光体波長変換を有する周知の高出力交流白色光発生装置の概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に従う発光装置の部分的に分解組立図で表された概略斜視図である。
【図3】図2に記載の発光装置のA−A線からの概略断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に従う発光装置の概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に従う発光装置の概略断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に従う発光装置の概略断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に従う発光装置の概略断面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に従う発光装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書を通じて参照番号は相当する部分を示すように用いられる。
【0022】
本発明の第1実施例に従う発光装置50は、添付図面の図2および図3を参照して記載される。装置50は、たとえば2700度Kの特定の相関色温度(CCT)および250ルーメン以上の放出強度(すなわち3W以上の入力電力)、望ましくは500−600ルーメン以上の放出強度(すなわち6W以上の入力電力)を有する白色光を生成するように構成される。この装置は、たとえば白熱灯、蛍光灯、または冷陰極蛍光光源の代替品として一般照明に適用することを目的とする。当然のことながら、本発明の装置はそのような適用、放出色または放出強度には限定されない。
【0023】
図2および図3を参照すると、装置50は、たとえばメタルコアプリント基板(MCPCB)のような熱伝導基板52、パッケージされたLEDアレイ54、中空の金属ハウジング(缶)56、光透過性(透明)窓58、および窓58上の一つ以上の蛍光体材料60の層を含む。周知のごとく、MCPCBは、大量の熱(すなわち5W以上)を発生する電気部品を取り付けるために一般的に用いられ、かつ一般的にアルミニウム(Al)のような金属の熱伝導ベース62を含む層状構造および、非電導性/熱伝導性誘電材料64と一般的に銅(Cu)でできている導電性トラック66が交互に重なった層を有する。誘電層64が電気トラック上に取り付けられる部品からの熱をベース62まで伝導することができるように誘電層64は非常に薄い。電気伝導トラック66は、LEDアレイ54に電力を供給するための電気回路を定めるように構成される。図2に最もよく示されているように、導電トラック66は、MCPCBの上側表面(すなわちアルミニウム・ベース62に対向する側の表面)に、
LEDアレイ54を取り付けるための熱伝導取り付け用パッド68、
LEDアレイ54への電気的接続のために取り付け用パッド68の両端に沿って配置される2つの導体パッド70、72、
取り付け用パッド68および導体パッド70、72を囲む、ハウジング56を取り付けるための環状の取り付け用パッド74、
および、装置50を電源に接続するための環状の取り付け用パッド68の外側の位置する一対の電極導体パッド76、78
を定める。電極導体パッド76、78は、環状の取り付け用パッド74(図3)の下を通過するそれぞれの埋設された導電トラック80、82によって、導体パッド70、72のそれぞれの一つに、電気的に接続している。
【0024】
図2および図3の例示的実施形態において、パッケージされたLEDアレイ54は、たとえば、明細書と図が参考として本明細書に組み込まれる、2009年12月3日に公開された米国特許同時係属出願公開番号第2009/0294780号にて記載の種類のセラミックパッケージ(図1を参照)中にパッケージされた、青色放出のInGaN/GaN(インジウム窒化ガリウム/窒化ガリウム)を主成分とするLEDチップ83のアレイを含む。セラミックパッケージは、各々のくぼみがそれぞれのLEDチップ83を格納するように構成される円形くぼみ(空洞)のアレイを有する低温同時焼成セラミックス(LTCC)でありえる。各々のくぼみが装置からの光の放出を増大させるための反射カップを含むようにさせるために、くぼみの壁は傾斜していて、銀またはアルミニウムのメタライズ層のような光反射面17を含むことができる。LEDアレイ54がくぼみの中に蛍光体材料を組み込まない点に留意する必要がある。例示目的のためだけに、LEDアレイ54のみが9個のLEDチップ83の正方形のアレイを含むものとして示されるが、実際には、LEDアレイは一般的に目的とする放出強度を得るために、それよりはるかに多くのLEDチップを含む。たとえば110Vの動作の場合、各々のアレイが約2.9Wの入力電力および光出力強度約220ルーメンを有するように、装置50は、各々が45個の直列接続される65mWのLEDチップ83を含む、一つ以上のアレイ54を含むことができる。各々のLEDチップ83は、蛍光体材料60を励起するために励起エネルギー(放射)を与える、第1波長範囲(たとえば青色約400nmから480nm)の主波長λを有する光を発生するよう機能し、かつこの機能の観点から、LEDアレイ54によって発生する光は以下、励起光(放射)と称する。LEDアレイ54は、表面実装パッケージであって、そのベースの両端に沿って伸びる一対の電極パッド84、86を有する。
LEDアレイ54は、たとえば放熱板複合物のような熱伝導材料88を用いて、熱的取り付け用パッド68と熱的にやり取りできるように取り付けられ、かつ電極パッド84、86はたとえばはんだ89により、各々対応する電極パッド70、72に電気的に接続している。
【0025】
金属ハウジング56(缶)は、MCPCB52上に取り付けられるときに、パッケージされたLEDアレイ54をすべて包囲しかつ囲むように構成される。図示されるように、ハウジング56は通常、形状において円筒状で、かつ一方の端で、ハウジング56を環状の取り付け用パッド74に取り付けるための環状の足を定める、外側に(半径方向に)伸びるフランジ(唇)90を有し、かつ対向端部で窓58を取り付けるための内側に伸びる唇(フランジ)92を有する。ハウジング56は、好ましくは、たとえばニッケル鉄合金であるInvar(登録商標)のような、高熱伝導率および低熱膨張率を有する金属で構成される。代替実施形態においては、それは、銅(Cu)または銅合金を含むことができる。環状の取り付け用パッド74の形状および寸法は環状フランジ90の設置部分に対応するように構成され、かつフランジ90の取り付け用パッド74への、金/ゲルマニウム(Au/Ge)、金/スズ(Au/Sn)またはほかのスズ合金はんだでのはんだ付け94を行うことにより、ハウジング56はMCPCB52に取り付けられる。さらに記載されるように、はんだ接合94は、ハウジング56およびMCPCB52との間に、防水の、望ましくは気密/耐ガス構造の密封(密閉)を形成し、かつ装置内への水の浸入を予防する。この特許明細書の文脈において、「密封」とは、実質的に防水または耐ガス構造である密封を意味する。
【0026】
窓58は、LEDチップ83によって発生する光および蛍光体材料60によって発生するフォトルミネセンス光に対して実質的に透過性(透明)である、防水/耐ガス構造材料を含む。一般的に、窓58は、たとえばシリカガラスまたは石英ガラスのようなガラスまたはたとえば透明なアルミナ(Al)のような光透過性無機材料を含むことができる。図示されるように、窓58はハウジング56の中に収まるように構成される円形の平面板を含むことができる。窓58は、ハウジング56および窓58の間で、防水の、望ましくは気密/耐ガス構造で密閉性の密封を形成する、たとえばはんだ接合のような密封96によって唇92の内表面に取り付けられ、かつ装置内への水の侵入を防止する。密封96は、たとえば金/ゲルマニウム(Au/Ge)、金/スズ(Au/Sn)またはほかのスズの合金のようなはんだ接合や、たとえば銅、銅/タングステン(Cu/W)または鉄−ニッケル(Fe/Ni)合金を使用しているろう付け接合、または金属含有エポキシまたはシリコーン材料のような接着剤接合を含むことができる。窓は、金属ハウジングとの接合を容易にするためのメタライズ層を含むことができる。当然のことながらMCPCB52、ハウジング56および窓58はともに、防水(防湿)、望ましくは気密性/耐ガス構造の、LEDアレイ54および蛍光体材料60をすべて囲む容積(囲いまたは空洞)98を定める。
【0027】
一般的に粉末状である蛍光体材料60は、あらかじめ選択された比率で、たとえば熱または紫外線硬化性シリコーン、熱または紫外線硬化性エポキシ材料、適切な溶媒またはNazdar 9700 screen inkのような透明インクのごときポリマー材料の光透過性(透明な)結合剤材料と十分に混合される。適切なシリコーン材料の実施例は、GEのシリコーンRTV615である。ポリマー結合剤に対する蛍光体の重量配合比率は一般的に35から95パーセントであり、装置の放出光の目的CCTに応じて正確に配合される。蛍光体/ポリマーは、窓の全表面にわたって実質的に均一な厚みの層を形成するように、窓58の表面を覆って配置される。結合剤材料に応じて、回転塗布法、ドクターブレード(すなわち、スキージまたは可撓性のブレードの使用で)、テープ成形、吹き付け、インクジェット印刷または、当業者にとって明らかなほかの成膜技術によって、蛍光体/ポリマー層60をウェーハに塗布することができる。蛍光体/ポリマー層60の厚みは、一般的には約10μmから500μm、望ましくは約10μmから100μmの範囲内である。ポリマーに対して蛍光体を重量配合する場合は、蛍光体/ポリマー層60の厚みは、装置によって発生する光の目標CCTに依存する。
【0028】
本発明の発光装置は、無機蛍光体または有機蛍光体の両方の用途に適していて、前者の実施例は一般式ASi(O,D)またはASi(O,D)のケイ酸塩を主成分とする蛍光体で、ここでSiはシリコーンであり、Oは酸素であり、Aはストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)またはカルシウム(Ca)を含み、Dは塩素(Cl)、フッ素(F)、窒素(N)または硫黄(S)を含む。ケイ酸塩を主成分とする蛍光体の実施例は我々の米国特許同時係属出願公開番号US2007/0029526A1および、全てIntematix Corporationに譲渡される、米国特許US7,311,858B2、US7,575,697B2、および、US7,601,276B2において開示され、各々の内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0029】
US7,575,697B2において教示されるように、ユーロピウム(Eu2+)で活性化されたケイ酸塩を主成分とする緑色蛍光体は一般式(Sr,A(Si,A)(O,A2+x:Eu2+を有して、A1は、たとえばMg、Ca、Ba、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、ビスマス(Bi)、イットリウム(Y)またはセリウム(Ce)のような、2カチオン、1および3カチオンの組み合わせのうちの少なくとも1つである。Aはたとえばボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、カーボン(C)、ゲルマニウム(Ge)N、またはリン(P)のような3、4または5カチオンであり、かつAはたとえばF、Cl、臭素(Br)、NまたはSのような1、2または3アニオンである。式は、AカチオンがSrに置き換わることを示すように記載され、AカチオンはSiに置き換わり、かつ、Aアニオンは酸素に置き換わる。xの値は、1.5から2.5の間の整数または非整数である。
【0030】
US7,311,858B2は、式ASiO:Eu2+Dを有するケイ酸塩を主成分とする黄緑色の蛍光体を開示して、ここでAは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znまたはカドミウム(Cd)を含む二価金属のうちの少なくとも1つであり、かつDは、F、Cl、Br、ヨウ素(I)、P、SおよびNを含むドーパントである。ドーパントDは約0.01から20モルパーセントの量範囲で蛍光体中に存在しえて、かつドーパントの少なくともいくつかは蛍光体の結晶格子に組み込まれるために酸素アニオンと置換する。蛍光体は(Sr1−x−yBa)SiO:Eu2+Dを含みえて、式中のMはCa,Mg,ZnまたはCdを含み、ここで0≦x≦1かつ0≦y≦1である。
【0031】
US7,601,276B2は、第1相の結晶構造が実質的に(M1)SiOと同じ結晶構造を有し、かつ第2相の結晶構造が実質的に(M2)SiOと同じ結晶構造を有して、M1およびM2が各々Sr,Ba,Mg,CaまたはZnを含む、二相のケイ酸塩を主成分とする蛍光体を教示する。少なくとも一つの相は二価のユーロピウム(Eu2+)によって活性化され、かつ、相のうちの少なくとも1つはF、Cl、Br、SまたはNを含むドーパントDを含む。ドーパント原子の少なくともいくつかがホストのケイ酸塩結晶の酸素原子格子サイト上に位置すると考えられている。
【0032】
ChengらのUS2007/0029526A1は、MがBa、Mg、CaまたはZnを含む二価金属のうちの少なくとも1つであり、0<x<0.5で、2.6<y<3.3で、かつ0.001<z<0.5である、一般式(Sr1−xEuSiOを有する ケイ酸塩を主成分とする橙色蛍光体を開示する。蛍光体は、約565nmより大きいピーク放出波長を有する可視光を放出するように構成される。
【0033】
蛍光体は同様に、我々の米国特許同時係属出願公開番号US2006/0158090A1および同様にIntematix Corporationに譲渡される、米国特許US7,390,437B2で教示されるように、アルミン酸塩を主成分とする材料を含むことができるか、または同時係属出願公開番号US2008/0111472A1で教示されるように、ケイ酸アルミニウム蛍光体を含むことができて、各々の内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0034】
WangらのUS2006/0158090A1は、MがBa,Sr,Ca,Mg,Mn,Zn,Cu,Cd,Smまたはツリウム(Tm)を含む二価金属のうちの少なくとも1つであって、0.1<x<0.9であって、かつ0.5≦y≦12であるアルミン酸塩を主成分とする、一般式がM1−xEuAl[1+3y/2]の緑色蛍光体を教示する。
【0035】
US7,390,437B2は、Mが二価金属BaまたはSrのうちの少なくとも1つである、一般式(M1−xEu2−zMgAl[2+3y/2]を有するアルミン酸塩を主成分とする青色蛍光体を開示する。ひとつの組成においては、蛍光体が、約280nmから420nmの波長範囲の放射を吸収し、かつ約420nmから560nmの波長範囲を有する可視光を放出し、0.05<x<0.5または0.2<x<0.5で、3≦y≦12かつ0.8≦z≦1.2であるように構成される。蛍光体はさらに、Cl,BrまたはIのようなハロゲンドーパントHでドープされることができて、一般組成は(M1−xEu2−zMgAl[2+3y/2]:Hとなりうる。
【0036】
LiuらのUS2008/0111472A1は、一般式が(Sr1−x−y3−mEu(Si1−zAl)Oの、二価および三価カチオンの混合をともなうケイ酸アルミニウム橙色−赤色蛍光体を教示し、ここで、Mは0≦x≦0.4の量の範囲で、Ba、MgまたはCaから選択される少なくとも一つの二価金属であり、Tは、Y、ランタン(La)、Ce、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、Tm、イッテルビウム(Yt)、ルテチウム(Lu)、トリウム(Th)、プロトアクチニウム(Pa)またはウラン(U)から選択された三価金属であり、0≦y≦0.4の量範囲で、zおよびmは0≦z≦0.2および0.001≦m≦0.5の量範囲である。ハロゲンがケイ酸塩の結晶内で酸素格子サイト上にあるように、蛍光体は構成されている。
【0037】
各々の内容が本明細書に組み込まれる、我々の同時係属米国仮特許出願、2008年5月19日出願の、「Nitridosilicate−based red phosphors」と題される61/054,399、および、2008年12月15日出願の、「Nitride−based red phosphors」と題される61/122,569が教示するように、蛍光体は同様に窒化物を主成分とする赤色蛍光体材料を含むことができる。61/054,399および61/122,569は、一般式M3w[(2/3)m+z+a+(4/3)b−w]を有する窒化物を主成分とする赤色蛍光体を教示し、ここでMmはベリリウム(Be)、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cdまたは水銀(Hg)から選択される二価の元素であり、Maは、B、Al、Ga、In、Y、Se、P、As、La、Sm、アンチモン(Sb)またはBiから選択される、三価元素であり、Mbは、C、Si、Ge、スズ(Sn)、Ni、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、Cr、Pb、Tiまたはジルコニウム(Zr)から選択される、四価元素であり、Dは、F、Cl、BrまたはIから選択されるハロゲンであり、Zは、Eu,Ce,Mn,TbまたはSmから選択される活性化剤で、かつNは0.01≦m≦1.5、0.01≦a≦1.5、0.01≦b≦1.5,0.0001≦w≦0.6および0.0001≦z≦0.5である窒素である。蛍光体は、640nmより大きい発光ピーク波長を有する可視光を放出するように構成される。
【0038】
当然のことながら蛍光体材料は本明細書に記載される実施例に限定されず、かつたとえば窒化物および/または硫酸塩蛍光体材料、オキシ窒化物およびオキシ硫酸塩蛍光体またはガーネット材料(YAG)のような、有機または無機蛍光体材料の両方を含む任意の蛍光体材料を含むことができる。本発明の装置は、たとえばケイ酸塩を主成分とする蛍光体材料のように、性能が水の取り込みに影響を受ける蛍光体材料に特に適している。
【0039】
すでに記載のごとく、MCPCB52、ハウジング56および窓58は、ともに防水(防湿)で望ましくは気密/耐ガス構造の、LEDアレイ54および蛍光体材料60が格納される容積(空洞)98を定める。蛍光体60がLEDチップ83の発光表面から一般的に0.2mm〜1mmの最小距離をおくように、ハウジング56は構成されている。蛍光体材料60をLEDチップ83から切り離すことは、蛍光体材料が一般的にLEDチップの表面上に設置される周知の装置と比較して、蛍光体材料がより広い表面積にわたって設置されるため、発生する光により整合的なCCTおよび/または色調があること、および蛍光体材料がLEDチップから離れて(分離されて)設置されるため、蛍光体材料の熱的劣化が減少することといった多くの利点を提供する。
【0040】
間隔をおいたLEDチップ83からの熱伝導を改良するために、および/またはLEDチップから光の放出を改良するために、容積(空洞)98を光透過性材料100で充填するかもしくは少なくとも部分的に充填することが想定される。たとえば、空洞98が気密/耐ガス構造であるときに、窒素、二酸化炭素のような乾性気体、またはネオン、アルゴンまたはクリプトンのような不活性気体で空洞98を充填することができる。空洞98を乾性気体で充填する利点は、蛍光体材料60が乾燥した不活性雰囲気中に維持されることで、その結果、水および/または酸素の取り込みが予防できるので蛍光体材料の劣化を減少させることができると想定される。
【0041】
もう一つの方法として、たとえば鉱油または光透過性ゲルのような光透過性液体で空洞98を充填することができる。有利には、その屈折率が実行可能なかぎりLEDチップ83および蛍光体材料の屈折率に近くなるように液体/ゲルが選択される。たとえば、InGaN/GaN LEDチップの屈折率nは約2.4から2.5であるのに対して、高屈折率シリコーンの屈折率nは約1.2から1.5である。従って実行上、ゲル/液体は、望ましくは1.2以上の屈折率を有する。光透過性ゲル/液体を含むことで、屈折率に整合性が与えられることにより、LEDチップ83からの光の放出を増加させることができる。空洞98を、たとえばシリコーンまたはエポキシ材料のごときポリマー材料のような光透過性固体で充填することが、さらに想定される。同様に、材料は、望ましくは1.2以上の屈折率を有する。製作の容易さのために、たとえばはんだ付けで密封しうるハウジング56(図示せず)の開口部をとおして、空洞98に選択された材料を充填することができる。
【0042】
図4を参照すると、ハウジング/窓の組立部品56/58の代わりに単一の光透過性カバー102を用いる、本発明の第2実施形態に従う発光装置50の概略断面図が示される。カバー102は望ましくは、シリカガラスまたは石英ガラスのようなガラスまたは透明なアルミナ(Al2O3)のような光透過性無機材料を含む。カバー102の内表面上すべてにわたり、蛍光体材料60が均一層として設置される。たとえば銅(Cu)、ニッケル(Ni)またはクロミウム(Cr)を含むメタライズ層104は、カバー102がはんだ付け(94)できるように、さもなければ取り付け用パッド74に取り付けられるように、少なくともカバー102のベース上に設置することができる。単一のガラスカバー部材102を使用することの利点は、基板52との間に単一の密封94のみが必要とされることである。
【0043】
図5は、本発明の第3実施形態に従う発光装置50の概略断面図である。
本実施例において、ガラスカバー部材102は、実質的に半球状の(ドーム形の)外郭を含む。装置50から光の放出を最大にするために、カバーのベースから伸びる金属層106を、カバー部材102の内表面上に設置することができる。図5に示すように、個々のLEDチップ83は、パッケージされたLEDのアレイとではなく、MCPCB52と直接熱的にやり取りできるように取り付けられる、チップオンボード(COB)配置である。
【0044】
図6は、ハウジング56が放物線型反射体の形状に構成されていて、一般的に皿状の形状である、本発明の第4実施形態に従う発光装置50の概略断面図を示す。ほかの実施形態では、防水の、望ましくは気密/耐ガス構造の密封を形成するために、ハウジング56がMCPCB(基板)52に取り付けられる。図示される実施形態において、窓58は、圧縮接続108によってハウジングの前面開口部に取り付けられる。熱の散逸を促進するために、ハウジング56は、望ましくはたとえば低熱膨張率の金属のような熱伝導材料で作製される。ハウジングの内表面は、望ましくはたとえば銀、クロミウムまたはアルミニウムのような高反射率金属のメタライズ層110を含む。最終の放出光が白色であるかほかの色であるかにはかかわらず、励起光(λ)が最終の放出光の一因となる装置の光の放出を増加させるために、蛍光体60は蛍光体材料のない窓領域(部分)112の構造(アレイ)を含むことができる。窓領域112は、励起光およびフォトルミネッセンス発光の両方を放出させる窓として機能する。蛍光体フォトルミネセンスの等方性性質の理由で、蛍光体はその放射の約50パーセントを空洞98に戻る方向に放出する。この種の光は、反射ハウジングの内表面によってガラス窓58にむかって反射される。窓領域112は励起光(λ)および蛍光体材料によって発生する光(λ)の両方に透過性(透明)であるので、窓領域112は装置50の総合的放出強度を増加させることができる。装置の全光放出表面積(すなわち窓58)にわたって均一の放出色および/または色温度を得るために、窓領域112は、たとえば円形窓領域の正方形のアレイまたは線状窓領域の格子のような、規則的な構造の形状で発光放出表面にわたって均一に広がる。蛍光体材料の構造は、たとえばNadarの clear screen ink 9700のような、ひとつ以上の蛍光体材料および適切な結合剤の混合物をスクリーン印刷することにより、窓58上に都合よく配置される。もう一つの方法として、蛍光体材料の構造は、たとえばインクジェット印刷、オフセットまたはグラビア印刷のようなほかの成膜方法で作製することができる。
【0045】
図7は、本発明の第5実施形態に従う発光装置50の概略断面図である。図5に記載の実施形態と同様にこの実施形態において、ガラスカバー部材102は、一般的に半球状の(ドーム形の)外郭である。図7に示すように、単一の1ワットの(すなわち50ルーメン以上の出力強度)LEDチップ83はLEDのアレイとではなく、熱伝導基板52と直接熱的にやり取りできるように取り付けられる。熱伝導基板は、電気伝導性の銅のトラック66の構造を伴う、FR−4(難燃剤4)のような電気絶縁キャリア110を含むプリント基板を含む。FR−4が絶縁体であり、それ故に熱伝導性が劣るため、取り付け用パッド68および、基板52の外部表面上(下部表面として図示される)の対応するパッド116の間に熱伝導経路を設置するために、めっきされた貫通ビア114の構造を用いることができる。
【0046】
蛍光体材料がLEDチップから離れて設置される(すなわち物理的に分離される)ことが望ましくはあるが、LEDチップおよび蛍光体材料を、防水/耐ガス構造で、密閉されている囲いの中に格納することは、蛍光体材料がLEDチップの表面に設置されている装置のために有益でありえることが想定される。図8は、蛍光体材料60がパッケージされたLEDアレイ54の中に組み込まれる、本発明の第6実施形態に従う発光装置50の概略断面図である。本実施形態において、LEDチップ83のアレイはセラミックパッケージ54内に格納されて、かつ蛍光体材料60はLEDチップと直接接触する容器封入として設置される。パッケージ54は、MCPCB52上に取り付けられる。ほかの実施形態として、ハウジング56は、防水の、望ましくは気密/耐ガス構造の、密封を形成するように、基板に取り付けられる。
【0047】
当然のことながら本発明は記載されている例示的実施形態に限定されず、かつ本発明の範囲内で変更を加えることができる。たとえば、本発明の装置は、任意の色および/または色調の光を発生させるために用いることができて、励起光の全てが蛍光体材料よって吸収されて、かつ放出光はフォトルミネッセンス発光のみで構成される配置を含む。さらに目的とする色および/または色温度を発生させるために、2つ以上の蛍光体材料の混合物を使用することが想定される。
【0048】
本発明は一般的に50ルーメン以上の高い放出強度を有する装置に関するものではあるものの、より低電力の装置にも等しく適用できるが、特殊な適用目的以外の装置に対しては密閉されているパッケージのコストを正当化することができないかもしれない。さらに、本発明は、個々のLEDチップまたは複数のLEDチップを含んでいるウェーハをパッケージすることに適用することができる。さらに、熱伝導基板は、たとえばアルミナ(Al2O3)または低温同時焼成セラミックスのごとき熱伝導セラミック基板のようなほかの形態を含むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性基板、
基板の表面に熱的にやり取りできるように取り付けられ、かつ第1波長範囲の主波長を有する励起光を放出するよう機能する、少なくとも一つの発光ダイオード、
基板に取り付けられていて、かつ、ハウジングおよび基板がともに少なくとも一つの発光ダイオードをすべて囲む容積を定めるように構成されるハウジングで、少なくとも光透過性の一部を含むハウジング、および
前記容積内でハウジングの内部表面上に設置される少なくとも一つの蛍光体材料で、励起光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲の主波長を有する光を放出するように機能する前記蛍光体
を含む発光装置で、かつ
容積が少なくとも防水であるようにハウジングが基板に取り付けられる発光装置。
【請求項2】
装置の放出光が第1および第2波長範囲の光を含み、白色を呈する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
基板の表面と熱的にやり取りできるように取り付けられる複数の発光ダイオードを含み、かつハウジングおよび基板がともに複数の発光ダイオードをすべて囲む容積を定めるようにハウジングが構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
装置が少なくとも50ルーメン、少なくとも100ルーメン、少なくとも250ルーメン、および、少なくとも500のルーメンを含む集団から選択される強度の放出光を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
光透過性熱伝導性材料で少なくとも部分的に容積を充填することをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
光透過性熱伝導性材料が、ゲル、鉱油、および熱伝導性ポリマーを含む集団から選択される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
容積が実質的に耐ガス構造であるように、ハウジングが基板に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノンを含む集団から選択される気体で容積を充填することをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
はんだ付け、ろう付け、接着剤、および金属含有エポキシを含む集団から選択されるひとつの方法でハウジングが基板に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ハウジングの光透過性部分が、ハウジングに取り付けられる窓で覆われる開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
はんだ付け、接着剤、および圧縮シールを含む集団から選択されるひとつの方法で窓がハウジングに取り付けられる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ガラス、シリカガラス、石英ガラス、透明なアルミナ、ポリマー材料、ポリカーボネート、およびアクリルを含む集団から窓が選択される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ハウジングが金属、アンバー合金、アルミニウム、銅、熱伝導性ポリマー、および熱伝導性セラミックを含む集団から選択される熱伝導性材料を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ハウジングが実質的に放物線型反射体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
ハウジングが光透過性材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
ハウジングがガラス、シリカガラス、石英ガラス、透明なアルミナ、高分子材料、ポリカーボネート、およびアクリルを含む集団から選択される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
ハウジングが半球状の外郭を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
基板がプリント基板、メタルコアプリント基板、セラミック回路基板、熱伝導セラミック、低温同時焼成セラミックス、およびアルミナを含む集団から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも一つの発光ダイオードの発光表面から、少なくとも一つの蛍光体材料への最小距離が0.2mmから1mmの範囲にある、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
蛍光体材料がケイ酸塩を主成分とする材料である、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
熱伝導性基板、
基板表面と熱的にやり取りできるように取り付けられ、かつ第1波長範囲の主波長を有する励起光を放出するよう機能する複数の発光ダイオード、
基板に取り付けられていて、かつハウジングおよび基板がともに複数の発光ダイオードをすべて囲む容積を定めるように構成されるハウジングで、少なくとも光透過性の一部を含むハウジング、および
装置の放出光が第1および第2波長範囲の光を含み、かつ白色を呈する、前記容積内でハウジングの内部表面上に設置される少なくとも一つの蛍光体材料で、励起光の少なくとも一部を吸収し、かつ第2波長範囲の主波長を有する光を放出するように機能する前記蛍光体
を含む白色光発光装置で、かつ
ハウジングは容積が少なくとも防水となるように基板に取り付けられ、かつ装置の放出光の強度が少なくとも50ルーメンである白色光発光装置。
【請求項22】
装置が少なくとも100ルーメン、少なくとも250ルーメン、および少なくとも500ルーメンを含む集団から選択される強度の放出光を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
熱伝導性基板、
基板の表面と熱的にやり取りできるように取り付けられる蛍光体材料を組み込む少なくとも一つの発光ダイオード、および
基板に取り付けられていて、かつ、ハウジングおよび基板がともに少なくとも一つの発光ダイオードをすべて囲む容積を定めるように構成されるハウジングで、少なくとも光透過性の一部を含むハウジング
を含む発光装置で、かつ
容積が少なくとも防水であるようにハウジングが基板に取り付けられる発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−514347(P2012−514347A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544516(P2011−544516)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/069477
【国際公開番号】WO2010/078203
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(506358764)インテマティックス・コーポレーション (40)
【氏名又は名称原語表記】INTEMATIX CORPORATION
【Fターム(参考)】