説明

蛍光増白剤、それの調製方法、蛍光増白剤の組成物、ならびにそれらの調製方法および使用

式(I)の化合物であって、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C20芳香族官能基であり、ただしRがメチル基または水素の場合にはRおよびRは水素ではなく;RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C10芳香族官能基であり;RおよびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C10芳香族官能基であり;RはC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C20芳香族官能基であり;ならびに「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、0から3の値を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光増白剤に関する。より特には、本開示は、蛍光増白剤、蛍光増白剤の調製方法、蛍光増白剤を含む組成物に関し、特には蛍光増白剤を含む重合体(ポリマー)組成物、ならびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光増白剤(Fluorescent brighteners)は、蛍光増白剤(Fluorescent whitening agents)、蛍光増白剤(Fluorescent whiteners)、蛍光増白剤(Optical brighteners)および蛍光増白剤(Optical whiteners)として知られ、重合体の視覚特性を変化させる添加剤である。蛍光増白剤は無色から薄い色の有機化合物である。溶解させると、基質に対して作用し、または重合体と結合し、主に300から400ナノメートル(nm)の範囲の紫外線を吸収する。吸収されるエネルギーのほとんどは、次に、400から500nmの範囲で、可視の紫から青色の蛍光を再放射する。このようにして蛍光増白剤は、変色した重合体特有の黄色さを隠すことに役立ち、特殊プラスチック製品に対して特有で強力な色を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高いTg値を示す蛍光増白剤はほとんどない。加えて、多くの蛍光増白剤は、重合体を処理するために用いられる通常の温度で分解する。Tgの高い蛍光増白剤の1つに、2,2’−(2,5−チオフェンジイル)ビス[5−(1,1−ジメチルエチル)]−ベンゾオキサゾール(CAS番号[7128−64−5])があり、UVITEX(登録商標)−OBの名前でCibaより手に入る。それにも関わらず、さまざまな重合体、特には熱可塑性の重合体における使用を可能にするための、高いTgを有する蛍光増白剤への技術の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で開示されるのは、式(I)の化合物であって、
【0005】
【化1】

【0006】
式中、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基(aliphatic functionality)、C−C10脂環式官能基(cycloaliphatic functionality)、またはC−C20芳香族官能基であり、ただしRがメチル基または水素の場合にはRおよびRは水素ではなく;
およびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
およびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
はC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり;
ならびに「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、0から3の値を有する。
【0007】
ある実施態様において、式(I)の化合物を調製する方法は、第1の溶媒の存在下で、式(IV)の無水化合物が式(V)のアニリン化合物と反応することを含み、
【0008】
【化2】

【0009】
それにより式(VI)の化合物を提供し、
【0010】
【化3】

【0011】
塩基および第2の溶媒の存在下で、式(VI)の化合物が式(VII)のヒドロキシ化合物と反応し、
−OH (VII)
【0012】
それにより式(I)の化合物を提供し、
【0013】
【化4】

【0014】
式中、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C20芳香族官能基であり、ただしRがメチル基または水素の場合にはRおよびRは水素ではなく;
およびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
およびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
はC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり;
Xは、塩素、臭素またはヨウ素から選択されるハロゲンであり;ならびに
「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、0から3の値を有する。
【0015】
本明細書で開示されるのは、また、式(I)の化合物を含む組成物、この組成物を製造する方法、および式(I)の化合物を含むこれらの組成物を含む物品である。
【0016】
前記において記載され、ならびに他の特徴は、以下の詳細な規定により例証される。
【0017】
本明細書で開示されるのは、高いTgを有する化合物であって、それは、いくつかの実施態様においては、蛍光増白剤として用いてもよい。
【0018】
単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈ではっきりと明示しない限り、複数形の指示対象を含む。本明細書で開示される値域の全ては、エンドポイントを含んでおり、独立して化合できる(例えば、「5重量パーセントを希望する20重量パーセントに加えた、25重量(wt)パーセントまで」の値域には、「5重量パーセントから25重量パーセントまで」の値域のエンドポイントおよび全ての中間値が含まれる)。
【0019】
量に関連するものとして用いられる、修飾語句「約(about)」には、表示される値が含まれ、文脈によって明示される意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連のある誤差の程度が含まれる)。
【0020】
「BPA」はビスフェノールAとして本明細書で規定され、ならびに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、およびp,p−BPAとしても知られる。
【0021】
特に明記しない限り、用語「脂環式官能基」は、環状の脂肪族官能基を指し、少なくとも1つの原子価を有し、ならびに、環状ではあるが芳香族ではない原子の配列を含んでいる。脂環式官能基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、例えばそれは、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、および酸素原子であり、あるいは炭素原子および水素原子のみから構成されていてもよい。脂環式官能基は、環状基を介して、または環状基に接する他の基を介して連結されていてもよい。例えば、シクロヘキシルメチル基(C11CH−)は、脂環式官能基であって、それはシクロヘキシル環(環状ではあるが芳香族ではない原子の配列)およびメチレン基(非環状の構成要素)を含む。「脂環式の部分(cycloaliphatic moiety)」はさらに、置換されないでもよくまたは置換されてもよく、例えばそれは、1もしくはそれより多い非環状の構成要素を含んでおり、官能基(例として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロゲン、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルやアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基およびニトロ基)を含んでいて、これらの官能基(複数可)がその化合物の意図する作用に実質的に悪影響を及ぼさないように提供される。例えば、4−メチルシクロペンタ−1−イル基は、メチル基を含んでいるC脂環式官能基であり、ここでこのメチル基はアルキル官能基である。同様に、2−ニトロシクロブタ−1−イル基は、ニトロ基を含んでいるC脂環式官能基であり、ここでこのニトロ基は官能基である。典型的な脂環式官能基には、シクロプロピル、シクロブチル、1,1,4,4−テトラメチルシクロブチル、ピペリジニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、シクロヘキシル、およびシクロペンチルが含まれる。
【0022】
本明細書で用いられているように、用語「芳香族官能基」は、少なくとも1つの原子価を有する原子の配列を指し、および少なくとも1つの芳香族基を有している。少なくとも1つの芳香族基を含んでいる原子の配列は、ヘテロ原子を含んでもよく、例えばそれは、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、および酸素原子、あるいは炭素原子および水素原子のみから構成されていてもよい。本明細書で用いられているように、用語「芳香族官能基」には、それだけには限られないが、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレン、およびビフェニルの官能基が含まれる。芳香族官能基はまた、非芳香族の構成要素を含んでもよい。例えば、ベンジル基は芳香族官能基であって、それは、フェニル環(芳香族基)およびメチレン基(非芳香族の構成要素)を含んでいる。同様に、テトラヒドロナフチル官能基は、非芳香族の構成要素である−(CH−に結合している芳香族基(C)を含んでいる、芳香族官能基である。「芳香族官能基」はさらに、置換されないでもよく、または幅広い官能基で置換されてもよく、例えばそれは、
アルキル基、ハロアルキル基、ハロ芳香族基、ハロゲン、アルコール基、エーテル基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルやアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基およびニトロ基であって、これらの官能基(複数可)がその化合物の意図する作用に実質的に悪影響を及ぼさないように提供される。例えば、4−メチルフェニル官能基は、メチル基を含んでいるC芳香族官能基であり、ここでこのメチル基はアルキル官能基である。同様に、2−ニトロフェニル基は、ニトロ基を含んでいるC芳香族官能基であり、ここでこのニトロ基は官能基である。典型的な芳香族官能基には、それだけには限られないが、フェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−クロロメチルフェン−1−イル(4−chloromethylphen−1−yl)、3−トリクロロメチルフェン−1−イル(3−trichloromethylphen−1−yl)(3−CClPh−)、4−(3−ブロモプロパ−1−イル)フェン−1−イル(4−BrCHCHCHPh−)、4−アミノフェン−1−イル(4−HNPh−)、4−ヒドロキシメチルフェン−l−イル(4−HOCHPh−)、4−メチルチオフェン−l−イル(4−CHSPh−)、3−メトキシフェン−l−イル、2−ニトロメチルフェン−l−イル(2−NOCHPh−)、およびナフチルが含まれる。
【0023】
本明細書で用いられているように、用語「脂肪族官能基」は、少なくとも1つの炭素原子、少なくとも1つの原子価を有している有機官能基を指し、および環状でない原子の線状配列または分岐配列から構成されている。脂肪族官能基を含んでいる原子の配列は、ヘテロ原子を含んでもよく、例えばそれは、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、セレン原子、および酸素原子、あるいは炭素原子および水素原子のみから構成されていてもよい。「脂肪族官能基」は、置換されないでもよく、または幅広い官能基で置換されてもよく、例えばそれは、アルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン、アルコール基、エーテル基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルやアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基、およびニトロ基であって、これらの官能基(複数可)がその化合物の意図する作用に実質的に悪影響を及ぼさないように提供される。例えば、4−メチルペンタ−1−イルは、メチル基を含んでいるC脂肪族官能基であり、ここでこのメチル基はアルキル基である官能基である。同様に、4−ニトロブタ−1−イル基は、ニトロ基を含んでいるC脂肪族官能基であり、ここでこのニトロ基は官能基である。典型的な脂肪族官能基には、それだけには限られないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、トリフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、クロロメチル、トリクロロメチル、ブロモエチル、2−へキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(−CHOH)、メルカプトメチル(−CHSH)、メチルチオ(−SCH)、メチルチオメチル(−CHSCH)、メトキシ、メトキシカルボニル(CHOCO−)、ニトロメチル(−CHNO)およびチオカルボニルが含まれる。
【0024】
ある実施態様では、式(I)の化合物が開示されており、
【0025】
【化5】

【0026】
式中、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり、ただしRがメチル基または水素の場合にはRおよびRは水素ではなく;RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;RおよびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;RはC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり;ならびに「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、0から3の値を有する。
【0027】
ある実施態様では、R、R、およびRはそれぞれ水素であり、RおよびRはそれぞれ同じか異なり得る、C−C脂肪族官能基であり、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、またはC−C脂肪族官能基であり、ならびにnおよびmはそれぞれ0から3である。
【0028】
具体的な実施態様において、R、R、およびRは水素であり、RおよびRはともにC脂肪族官能基であり、RはC−C脂肪族官能基またはC6−18芳香族官能基であり、ならびにnおよびmはそれぞれ0である。
【0029】
ある実施態様では、化合物が式(II)または式(III)の化合物であって
【0030】
【化6】

【0031】
ここで式(II)では、「p」は2から4の値を有する。式(II)の化合物は、「p」が2から4である場合には、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオン;2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6−(3−ヒドロキシプロポキシ)−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンおよび2−(2,6−ジイソプロピル−フェニル)−6−(4−ヒドロキシ−ブトキシ)−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンをそれぞれ指してもよく、ならびに式(III)の化合物は2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェノキシ]−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンを指してもよい。
【0032】
ある実施態様において、式(I)の蛍光増白剤の化合物を製造する方法は以下の通りである。第1の溶媒の存在下で、式(IV)の無水化合物(ここで、Xはハロゲンである)を式(V)のアニリン化合物と反応させ
【0033】
【化7】

【0034】
それにより式(VI)の化合物を提供し、ここでR、R、R、R、R、R、R、「n」および「m」は前記で規定したのと同じ意味を有する。
【0035】
【化8】

【0036】
式(IV)の好適な無水化合物には、4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物、4,5−ジブロモ−l,8−ナフタル酸無水物、2−ベンゾイル−4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物、2−アセチル−4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物、2−エチル−4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物、4,6−ジブロモ−1,8−ナフタル酸無水物、および前述の無水物の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0037】
式(V)の好適なアニリン化合物には、2,6−ジイソプロピルアニリン、4−プロピルアニリン、4−ヨード−2−メチルアニリン、4−ブロモ−3−メチルアニリン、3−ブロモ−2,4,6−トリメチルアニリン、2−ブロモ−4−クロロアニリン、4−(1H−イミダゾール−1−イル)−アニリン、および前述のアニリン化合物の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0038】
反応で使用される式(V)のアニリン化合物の量は、使用される式(IV)の無水化合物で1モルあたり約1.0モルから約3.0モルであることが可能である。この範囲内では、この量は1.2モル以上であってよく、または、より特には、約1.5モル以上であってもよい。また、この範囲内では、この量は約2.5モル以下であってよく、または、より特には、約2.0モル以下であってもよい。
【0039】
式(VI)の化合物を産生するための、式(IV)の無水化合物と式(V)のアニリン化合物の反応において使用可能である、好適な第1の溶媒の具体的な例には、それだけには限られないが、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、または前述の溶媒の1つまたはそれより多いものの組合せが含まれる。ある実施態様において、使用される溶媒には酢酸が含まれる。特定の実施態様において、式(V)のアニリン化合物と式(IV)の無水化合物の反応において使用される溶媒の量は、式(IV)の無水化合物で1モルあたり約10モルから約50モルリットルであることが可能である。この範囲内では、この量は約15モル以上であってよく、または、より特には、約20モル以上であってもよい。また、この範囲内では、この量は約40モル以下であってよく、または、より特には、約30モル以下であってもよい。
【0040】
式(IV)の無水化合物と式(V)のアニリン化合物の反応が生ずる温度は、約80℃から約180℃であってもよい。この範囲内では、この温度は約90℃以上であってよく、または、より特には、約100℃以上であってもよい。また、この範囲内では、この温度は約160℃以下であってよく、または、より特には、約150℃であってもよい。式(IV)の無水化合物と式(V)のアニリン化合物の反応にかかる時間は、約3時間から約20時間が可能である。この範囲内では、この時間は約5時間以上であってよく、または、より特には、約10時間以上であってもよい。また、この範囲内では、この時間は約18時間以下であってよく、また、より特には、約15時間以下であってもよい。
【0041】
塩基および第2の溶媒の存在下で、式(VI)の化合物は、式(VII)のヒドロキシ化合物と反応し、
−OH(VII)
ここでRは前記で規定したとおりであり、それにより前記で規定したように式(I)の化合物を提供する。
【0042】
式(VII)の好適なヒドロキシ化合物には、それだけには限られないが、1,2−エチレンジオール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、4−クミルフェノール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、および前述のヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含んでいる組合せが含まれる。
【0043】
この反応において使用される式(VII)のヒドロキシ化合物の量は、式(VI)の化合物の1モルに対して1モルから5モルであり得る。この範囲内では、この量は約2モル以上であってよく、また、より特には、約2.5モル以上であってもよい。また、この範囲内では、この量は約4.5モル以下であってよく、また、より特には、約4モル以下であってもよい。
【0044】
好適な塩基には、それだけには限られないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、またはアルカリ土類金属炭酸塩が含まれる。具体的なアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物には、それだけには限られないが、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および水酸化マグネシウムが含まれる。
【0045】
ある実施態様において、式(VI)の化合物と式(VII)の水酸化物との反応に、触媒を使用してもよい。説に拘束されないのであれば、触媒の使用は、反応速度を上昇させるのに役立つので、反応時間を減少させると考えられている。好適な触媒には、それだけには限られないが、相間移動触媒が含まれ、例えばそれは、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、チオシアン酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、硫酸水素ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化メチルトリオクタデシルアンモニウム、臭化メチルトリオクチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムフルオリド二水和物、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、硫酸水素テトラヘキシルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ヘキサメチルホスホラミド、塩化トリブチルメチルホスホニウム、塩化トリブチルメチルホスホニウム、臭化ヘキシルトリブチルホスホニウム、塩化トリブチルメチルアンモニウム、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、ジシクロヘキサノ−24−クラウン−8、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−18−クラウン−6、15−クラウン−5、1−アザ−15−クラウン−5、12−クラウン−4、臭化テトラブチルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウムおよび臭化トリブチルヘキサデシルホスホニウムである。前述の触媒の少なくとも1つを含んでいる組合せを使用することが可能である。
【0046】
好適な第2溶媒の具体的な例には、それだけには限られないが、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、または前述の溶媒の少なくとも1つを含んでいる組合せが含まれる。式(VI)の化合物と式(VII)のヒドロキシ化合物との反応において使用する第2溶媒の量は、式(VI)の化合物の1モルに対して約5モルから約100モルであることが可能である。この範囲内では、この量は約10モル以上であってよく、または、より特には、約20モル以上であってもよい。また、この範囲内では、この量は約90モル以下であってよく、また、より特には、約80モル以下であってもよい。特定の実施態様において、式(VII)のヒドロキシ化合物は第2溶媒に加えて、または代わりに、用いてもよい。この実施態様では、この反応において存在するヒドロキシ化合物の量は、式(VI)の化合物の1モルに対して5モルから105モルであることが可能である。
【0047】
式(VI)の化合物と式(VII)のヒドロキシ化合物との反応温度は、約80℃から約180℃であることが可能である。この範囲内では、この温度は約90℃以上であってよく、または、より特には、約100℃以上であってもよい。また、この範囲内では、この温度は約160℃以下であってよく、または、より特には、約150以下であってもよい。式(VI)の化合物と式(VII)のヒドロキシ化合物との反応時間は、約4時間から約15時間であることが可能である。この範囲内では、この時間は約6時間以上であってよく、またはより特には、約8時間以上であってもよい。また、この範囲内では、この時間は約14時間以下であってよく、または、より特には、約12時間以下であってもよい。
【0048】
重合体組成物もまた、本明細書で開示されており、前記組成物は、重合体および前記で規定される式(I)の化合物および/または式(VIII)の化合物を含んでおり
【0049】
【化9】

【0050】
式中、R、R10およびR11はそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C20芳香族官能基であり;RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C10芳香族官能基であり;RおよびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C10芳香族官能基であり;RはC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C20芳香族官能基であり、「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、1から3の値および重合体を有する。
【0051】
ある実施態様において、R、R、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素またはC−C脂肪族官能基であり、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、またはC−C脂肪族官能基であり、ならびにnおよびmはそれぞれ0から3である。
【0052】
この化合物は、式(I)の化合物の調製のために記載したのと同様の方法で調製してもよい。
【0053】
式(I)および(VIII)の化合物は蛍光増白剤として使用することが可能である。ある実施態様において、蛍光増白剤として用いることが可能である化合物は、300から400nmの値域に吸収極大を有し、400から500nmの値域に放射極大を有し、それは適切な溶媒(例としてジクロロメタン)において測定させる。蛍光増白剤は、幅広い範囲の物質への添加剤としての利用が見出され、物質には織物、紙、洗剤、および重合体が含まれる。例えば、蛍光増白剤は、二酸化チタンで着色される重合体に対して「白よりも白い」外観を与えるために用いられることが可能で;黄色みを隠し、薄青色のきれいな重合体を産生させ;より鮮やかに見える明るい色の重合体を作り出し;および/または再生重合体の白さを回復させることに役立つ。
【0054】
前述の効果の1つまたはそれより多くを、裸眼で観察することが可能であり、または測定することが可能であり、測定には三刺激反射比色計(tristimulus reflection colorimeter)が用いられ、CIELABカラースケール、L*、a*、およびb*が用いられ、ここでL*は明度を規定し、a*軸は緑/赤(+/−)を示しb*軸は青/黄(+/−)を規定する。より高いL*値は、光がより反射されることを示す。蛍光増白剤の添加により、b*値が結果的により低くなり得る。青色の値域はb*軸のマイナス(−)面を占めている一方で、黄色の値域はプラス(+)面を占めている。b*値が低くなるほど、裸眼で知覚できる黄色が少なくなり、さらに、低いb*値は、白みと青色がより強く知覚できることを示す。したがって、蛍光増白剤として用いる場合、式(I)の化合物は、式(I)の化合物を含まない同じ組成物と比較して、式(I)の化合物を含んでいる組成物のb*値を減少させる。ある実施態様において、式(I)の化合物を含んでいる組成物のb*値は、式(I)の化合物を含んでいない同じ組成物のb*値に比べて、少なくとも5%は減少する。同様に、蛍光増白剤として用いる場合、式(VIII)の化合物は、式(VIII)の化合物を含まない同じ組成物と比較して、式(VIII)の化合物を含んでいる組成物のb*値を減少させる。ある実施態様において、式(VIII)の化合物を含んでいる組成物のb*値は、式(VIII)の化合物を含んでいない同じ組成物のb*値に比べて、少なくとも5%は減少する。
【0055】
式(I)および(VIII)の化合物はともに、(単一または組合せで)重合体、特に熱可塑性重合体を増白させるのに用いることが可能であり、例えばそれには、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリウレタン、重合体を含んでいるエポキシド、ポリビニルクロライドなどがある。前述の重合体を1つまたはそれより多く含んでいる組合せで使用することもまた可能であり、例えばそれは、ポリカーボネートおよび/またはポリカーボネート共重合体とポリアミド、ポリエステル、他のポリカーボネート;共重合ポリエステルーポリカーボネート、オレフィン重合体(例としてアクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン、ポリエチレン;ポリシロキサン、ポリシランおよび/またはポリスルフォン)との組合せである。本明細書で用いられるように、「組合せ」はあらゆる混合物(mixtures)、混紡(blends)、および合金(alloys)を含む。この組合せが熱可塑性でない重合体である場合には、特定の実施態様において熱可塑性でない重合体は、40重量パーセント以下の量で存在してもよく、特には35重量パーセント以下の量で存在してもよく、より特には約30重量パーセント以下の量で存在してもよく、これらは、重合体の組成物の全重量に基づく。
【0056】
重合体組成物において蛍光増白剤として用いる場合には、式(I)および/または(VIII)の化合物は約0.05重量パーセントから約20重量パーセントの量で存在することが可能であり、これらは組成物の全重量に基づく。
【0057】
重合体に加えて、重合体組成物は、このタイプのレジン(resin)組成物に通常取り込まれるさまざまな添加剤を含んでもよく、ただしこれらの添加剤は、熱可塑性組成物の望ましい特性に重大な悪影響を与えないように選択されるのが好ましい。添加剤の混合物を用いてもよい。これらの添加剤の量は、これらの組成物の望ましい特性に依存するであろうし、ならびに必要以上の実験を行うことなく当業者の一人によって容易に決定可能である。
【0058】
典型的な添加剤には、物質であって例えば、充填剤または強化剤、熱安定剤、放射線安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外(UV)線安定剤、可塑剤、視覚効果の増強剤(visual effect enhancers)、増量剤、静電気防止剤、触媒クエンチャー(catalyst quenchers)、離型剤、難燃剤、赤外線遮蔽剤、増白剤、発泡剤、抗点滴剤(anti−drip agents)、衝撃改質剤および加工助剤である。本発明の重合体組成物に取り込まれ得るさまざまな添加剤は、通常一般的に用いられ、当業者に周知である。
【0059】
好適な充填剤(fillers)または強化剤には、例えば、ケイ酸塩およびシリカ粉末(例としてケイ酸アルミニウム(ムライト)、合成ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、石英ガラス、結晶質のグラファイトシリカ(crystalline silica graphite)、天然けい砂、または同様のもの);ホウ素粉末(例として窒化ホウ素粉末、ケイ酸ホウ素粉末、または同様のもの);酸化物(例として、TiO、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、または同様のもの);硫酸カルシウム(それの無水物、二水和物または三水和物として);炭酸カルシウム(例としてチョーク(chalk)、石灰石、大理石、合成沈降炭酸カルシウム、または同様のもの);タルク(繊維状の、モジュラーの、針状の、薄板状のタルク、または同様のものを含んでいる);珪灰石;表面加工済み珪灰石;ガラス球(例として中空のおよび固体のガラス球、ケイ酸塩の球、セノスフェア、アルミノケイ酸塩(アルモスフェア(armospheres))、または同様のもの);カオリン(硬質カオリン(hard kaolin)、軟質カオリン(soft kaolin)、焼成カオリン、当該技術分野で周知のさまざまなコーティング(coatings)を含むカオリンであってポリマーマトリクスレジン(polymeric matrix resin)との適合を容易にするカオリン、または同様のもの);単結晶繊維つまり「ひげ(結晶)」(例として炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケル、銅、または同様のもの;繊維(長繊維および短繊維を含む)(例としてアスベスト、炭素繊維、ガラス繊維(例えばE、A、C、ECR、R、S、D、またはNEガラス)、または同様のもの);硫化物(例として硫化モリブデン、硫酸亜鉛、または同様のもの);バリウム化合物(例としてチタン酸バリウム、バリウム・フェライト、硫酸バリウム、重晶石、または同様のもの);金属および金属酸化物(例として微粒子のまたは繊維状のアルミニウム、青銅、亜鉛、銅およびニッケルまたは同様のもの);剥離した充填剤(flaked fillers)(例としてガラスフレーク、剥離した炭化ケイ素、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレーク、スチールフレークまたは同様のもの);繊維状の充填剤(例として無機短繊維であって、例えば、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および硫酸カルシウムの半水化物または同様のものの少なくとも一つを含んでいる混紡(blends)由来の無機短繊維);天然の充填剤および強化剤(例として微粉砕された木材より得られる木粉、繊維製品であって例えばセルロース、綿、サイザル麻、ジュート、でんぷん、コルクの粉、リグニン、挽いたナッツの殻、トウモロコシ、米粒の殻または同様のもの;有機充填剤(例としてポリテトラフルオロエチレン);繊維を形成することが可能である有機重合体より形成される強化用の有機の繊維状の充填剤(例として、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ硫化フェニレン、ポリエステル、ポリエチレン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリルレジン(アクリル樹脂)、ポリビニルアルコールまたは同様のもの;また、さらなる充填剤および強化剤(例として雲母、粘土、長石、煙塵、フィライト(fillite)、石英、珪岩、パーライト、トリポリ石、珪藻土、カーボンブラック、または同様のもの、あるいは前述の充填剤または強化剤の少なくとも一つを含んでいる組合せが含まれる。
【0060】
充填剤および強化剤は金属層でコーティングしてもよく、それにより伝導性を促進することができ、またはシランで表面加工してもよく、それによって、ポリマーマトリクスレジンとの接着および分散を改善することができる。さらに、強化用充填剤は、モノフィラメント繊維またはマルチフィラメント繊維の形態で提供してもよく、および他のタイプの繊維との組合せまたは単独のどちらかで使用してもよく、例えばそれは、重ね織り(co−weaving)または芯鞘型、サイドバイサイド(side−by−side)、オレンジタイプ(orange−type)またはマトリックスおよびフィブリル構造、または繊維製造分野の当業者の1人によって周知の他の方法を介して使用される。好適な重ね織り構造(cowoven structures)には、例えば、ガラス繊維・炭素繊維、炭素繊維・芳香族ポリイミド(アラミド)繊維、および芳香族ポリイミド繊維ガラス(aromatic polyimide fiberglass fiber)または同様のものが含まれる。繊維状の充填剤は、例としてロービング、織物強化(例えば0/90度繊維(0−90 degree fabricsまたは同様のもの);織物強化でないもの(例として連続ストランドマット、チョップドストランドマット、ティッシュペーパー、紙およびフェルトまたは同様のもの);または三次元的な強化剤(例として三つ編み)の形態で供給してもよい。
【0061】
好適な熱安定剤の添加剤には、例えば有機リン酸塩(例としてトリフェニルホスファイト、トリス−(2,6−ジメチルフェニル)亜リン酸、トリス−(モノ−およびジ−ノニルフェニルが混合の)ホスファイト);ホスホン酸塩(例としてジメチルベンゼンホスホン酸塩)、リン酸塩(例として、トリメチルリン酸)、および前述の熱安定剤の少なくとも一つを含んでいる組合せが含まれる。
【0062】
重合体組成物において用いることが可能である抗酸化剤の非制限的な例には、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)亜リン酸;3,9−ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;3,9−ジ(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;トリス(p−ノニルフェニル)ホスファイト;2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス[3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2’−ジイル]ホスファイト];3,9−ジステアリルオキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;ジラウリルホスファイト;3,9−ジ[2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ]−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビス(ジフェニレン)ホスホニット;ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト;ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト;2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト;トリステアリルソルビトールトリホスファイト;テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホニット;(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト;トリイソデシルホスファイト;および前述の抗酸化剤の少なくとも一つを含んでいる組合せが含まれる。
【0063】
用いることが可能である紫外線安定剤の非制限的な例には、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば、5’−メチル−;3’,5’−ジ−tert.−ブチル−;5’−tert−ブチル−;5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−;5−クロロ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−;5−クロロ−3’−tert.−ブチル−5’−メチル−;3’−sec.−ブチル−5’−tert.−ブチル−;3’−α−メチルベンジル−5’−メチル;3’−α−メチルベンジル−5’−メチル−5−クロロ−;4’−ヒドロキシ−;4’−メトキシ−;4’−オクトキシ−;3’,5’−ジ−tert.−アミル−;3’−メチル−5’−カルボメトキシエチル−;および5−クロロ−3’,5’−ジ−tert−アミル誘導体;およびTinuvin(登録商標)234(Ciba Specialty Chemicalsより入手可能)が含まれる。また好適なものには、2,4−ビス−(2’−ヒドロキシフェニル)−6−アルキル−s−トリアジン、例えば、6−エチル−;6−ヘプタデシル−;および6−ウンデシル誘導体がある。2−ヒドロキシベンゾフェノンもまた使用可能であり、例えば、4−ヒドロキシ−;4−メトキシ−;4−オクトキシ−;4−デシルオキシ−;4−ドデシルオキシ−;4−ベンジルオキシ−;4,2’,4’−トリヒドロキシ−;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−および2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体がある。1,3−ビス−(2’−ヒドロキシベンゾイル)−ベンゼン、例えば、1,3−ビス−(2’−ヒドロキシ−4’−ヘキシルオキシ−ベンゾイル)−ベンゼン;l,3−ビス−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシ−ベンゾイル)−ベンゼン;および1,3−ビス−(2’−ヒドロキシ−4’−ドデシルオキシベンゾイル)−ベンゼンもまた用いてもよい。場合により置換されている安息香酸のエステル、例として、サリチル酸フェニル;サリチル酸オクチルフェニル;ジベンゾイルレゾルシン;ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)−レゾルシン;ベンゾイルレゾルシン;3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルエステルまたは−オクタデシルエステルまたは−2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルエステルもまた同様に使用してもよい。アクリレート、例えば、α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリル酸−エチルエステルまたはイソオクチルエステル、α−カルボメトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−ケイ皮酸メチルエステルまたは−ブチルエステルまたはN−(β−カルボメトキシビニル)−2−メチル−インドリンもまた同様に使用してもよい。シュウ酸ジアミド、例えば、4,4’−ジオクチルオキシ−オキサニリド;2,2’−ジ−オクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブチル−オキサニリド;2,2’−ジ−ドデシルオキシ−5,5−ジ−tert−ブチル−オキサニリド;2−エトキシ−2’−エチル−オキサニリド;N,N’−ビス−(3−ジメチル−アミノプロピル)−オキサルアミド;2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エチルオキサニリドおよび2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブチル−オキサニリドとのそれらの混合物;またはオルト−およびパラ−メトキシ−の他にさらにo−およびp−エトキシ−の、二置換されているオキサニリドの混合物もまた紫外線安定剤として好適である。好ましくは、紫外線安定剤は2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール;2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール;2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール;2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール;2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン;ニッケルビス(O−エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート);2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール;2,2’−チオビス(4−tert−ブチルフェノール)とのニッケルブチルアミン複合体;2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド;および2−エトキシ−2’−エチル−5,5’−ジテルト−ブチルオキサニリドである。前述の紫外線安定剤の少なくとも1つを含んでいる組合せを用いることが可能である。
【0064】
可塑剤、滑剤、および/またはモールド(mold)離型剤の添加剤をもまた用いてもよい。これらのタイプの物質間にもかなりの重複が存在しており、それには例えば、フタル酸エステル(例として、ジオクチル−4,5−エポキシ−ヘキサヒドロフタレート);トリス−(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;二(di−)または多官能性芳香族ホスフェート(例として、レソルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェートおよびビスフェノール−Aのビス(ジフェニル)ホスフェート);ポリ−α−オレフィン;エポキシ化大豆油;シリコーン油を含む、シリコーン;エステルであって、例えば脂肪酸エステル(例として、アルキルステアリルエステル(例として、メチルステアラート));ステアリルステアラートおよびペンタエリトリトールテトラステアラート、メチルステアラートならびに親水性および疎水性の非イオン界面活性剤(ポリエチレングリコールポリマー、ポリプロピレングリコールポリマー、およびそれらの共重合体(コポリマー)が含まれる)の混合物、例えば、好適な溶媒におけるメチルステアラートおよびポリエチレン−ポリプロプレングリコール共重合体;ならびにワックス(例として、蜜蝋、モンタン・ワックス、パラフィン蝋)が含まれる。前述の物質の少なくとも1つを含んでいる組合せを用いることが可能である。
【0065】
視覚効果の増強剤は、しばしば視覚効果添加剤または顔料または着色剤として知られているものであるが、封入された形態、封入されていない形態で存在してもよく、またはポリマーレジン(高分子樹脂)を含んでいる粒子に対してラミネート加工してもよい。視覚効果添加剤の非制限的ないくつかの例としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、硫化ニッケル、硫化コバルト、硫化マンガン、金属酸化物、白雲母、黒雲母、真珠雲母、合成雲母、二酸化チタンでコーティングされている雲母、金属でコーティングされているガラスフレーク、および着色剤でそれだけには限られないが含まれるものとしてペリレン(赤)がある。これらの視覚効果添加剤は、高いまたは低いアスペクト比を持っていてよいし、1より大きいファセットを含んでもよい。染料を用いてもよく、それは例えば、ソルベント(青35)(Solvent Blue35)、ソルベント(青36)(Solvent Blue36)、ディスパース(紫26)(Disperse Violet26)、ソルベント(緑3)(Solvent Green3)、アナプラスト(オレンジLFP)(Anaplast Orange LFP)、ペリレン(赤)、およびモープラス(赤36)(Morplas Red36)がある。蛍光染料もまた使用してよく、それにはそれだけには限られないが含まれるものとして、パーマネントピンクR(Permanent Pink R)(カラーインデックスピグメント(赤181)(Pigment Red181)、Clariant社より)、ホスタゾル(赤5B)(Hostasol Red5B)(カラーインデックス#73300,CAS#522−75−8,Clariant社より)およびマクロレックス(蛍光黄10GN)(Macrolex Fluorescent Yellow 10GN(カラーインデックスソルベント(黄160:1)(Solvent Yellow160:1)、Bayer社より)がある。顔料として例えば二酸化チタン、硫化亜鉛、カーボンブラック、コバルトクロム酸塩、コバルトチタン酸塩、硫化カドミウム、酸化鉄、スルホケイ酸ナトリウムアルミニウム、スルホケイ酸ナトリウム、クロムアンチモンチタニウム金紅石、ニッケルアンチモンチタニウム金紅石、および酸化亜鉛を使用してもよい。前述の視覚効果添加剤の少なくとも1つを含んでいる組合せを使用することも可能である。封入された形態での視覚効果添加剤は、通常視覚効果物質を含んでおり、例えばそれには、高いアスペクト比の物質である、重合体によって封入されたアルミニウムフレークのようなものがある。封入されている視覚効果添加剤はビーズの形を有し得る。
【0066】
用語「静電気防止剤」はモノマー(単量体)、オリゴマー、またはポリマー(重合体)の物質を指しており、それらはポリマーレジン内で処理されることが可能であり、ならびに/あるいは物質または物品の上でスプレーすることによって導電性を改良し全体的な物理的性能を改善させることが可能になる。単量体の静電気防止剤の例としては、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、エトキシ化アミン、第1級、第2級および第3級アミン、エトキシ化アルコール、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート、アルキルホスフェート、アルキルアミンサルフェート、アルキルスルホン酸塩(例としてナトリウムステアリルスルホネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート)、第4級アンモニウム塩、第4級アンモニウムレジン、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミド、ベタイン、および前述の単量体の静電気防止剤の少なくとも1つを含んでいる組合せが含まれる。
【0067】
典型的な重合体の静電気防止剤には、特定のポリエステルアミド、ポリエーテルポリアミド(ポリエーテルアミド)ブロック共重合体、ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体、ポリエーテルエステル、またはポリウレタンが含まれ、それぞれが、ポリアルキレングリコール部分(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコール)であってよいポリアルキレン酸化物ユニットを含んでいる。このような重合体の静電気防止剤は商業的に入手可能であり、例えばそれは、例としてPelestat(商標)6321(Sanyo)、Pebax(商標)H1657(Atofina)、およびIrgastat(商標)P18およびP22(Ciba−Geigy)がある。他の重合体物質であって静電気防止剤として使用してもよいものには、固有の導電性ポリマーがあり、例えばそれはポリアニリン(Panipol社よりPANIPOL(登録商標)EBとして商業的に入手可能である)、ポリピロールおよびポリチオフェン(Bayer社より商業的に入手可能である)であり、それらは、温度を上昇させて溶解加工後に、固有の導電性をいくらか保持している。前述の重合体の静電気防止剤の少なくとも1つを含んでいる組合せを用いることが可能である。ある実施態様において、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、カーボンブラック、または前述のいずれかの組合せを、ポリマーレジンで使用してもよく、このポリマーレジンは化学的な静電気防止剤を含んでいるので、静電気的な散逸を組成物に与えることができる。
【0068】
使用することが可能であるモールド離型剤とその組合せの非制限的な例としては、長鎖脂肪酸エステルおよびアルコールが含まれ、それらは例えば、ペンタエリスリトール、ゲルベ(guerbet)アルコール、長鎖ケトン、シロキサン、α−オレフィン重合体、長鎖アルカンならびに15から600の炭素原子を有する炭化水素である。
【0069】
使用することが可能である難燃剤の非制限的な例としては、カリウムジフェニルスルホンスルフォネート、ペルフルオロアルカンスルフォネート、多価フェノール(例えばレソルシノールおよびビスフェノールA)の亜リン酸塩エステル、および前述の難燃剤の少なくとも1つを含んでいる組合せが含まれる。
【0070】
熱可塑性組成物は場合によって、衝撃改質剤を含んでもよい。衝撃改質剤は、組成物の全重量に対して、約1重量パーセントから約30重量パーセントの量で熱可塑性組成物に加えてもよい。好適な衝撃改質剤には、いくつもの異なる種類のゴム状の改質剤の1つを含んでいるものが含まれ、例えばそれは、グラフトゴムまたはコアシェルゴムまたはこれらの改質剤の少なくとも1つを含んでいる組合せである。衝撃改質剤の例示としては、アクリルゴム、ASAゴム、ジエンゴム、オルガノシロキサンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン(SEBS)ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)ゴム、メタクリル・ブタジエン・スチレン(MBS)ゴム、スチレン・アクリロニトリル共重合体およびグリシジル・エーテル衝撃改質剤がある。
【0071】
使用することが可能である加工助剤の非制限的な例としては、Doverlube(登録商標)FL−599(Dover Chemical社より入手可能)、Polyoxyter(登録商標)(Polychem Alloy社より入手可能)、Glycolube(登録商標)P(Lonza Chemical Companyより入手可能)、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、Metablen(登録商標)A−3000(三菱レーヨンより入手可能)およびネオペンチルグリコールジベンゾエートが含まれる。
【0072】
放射線安定剤は、熱可塑性組成物、特にガンマ(放射)線安定剤内に存在してもよい。好適なガンマ放射線安定剤には、ジオール(例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、meso−2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオールおよび1,4−ヘキサンジオール);脂環式アルコール(例として、1,2−シクロペンタンジオールおよび1,2−シクロヘキサンジオール;分岐非環式ジオール(branched acyclic diols)(例として、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール(ピナコール)、およびポリオール、さらにアルコキシ基置換のアルカンまたは脂環式アルカン)が含まれる。不飽和部位を有するアルケノールもまた、有用なクラスのアルコールであり、例として、4−メチル−4−ペンテン−2−オール、3−メチル−ペンテン−3−オール、2−メチル−4−ペンテン−2−オール、2,4−ジメチル−4−ペンテン−2−オール、および9−デセン−1−オールが含まれる。好適なアルコールの別のクラスとしては、第3級アルコールがあり、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されている第3級炭素を有する。これらの例としては、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、2−フェニル−2−ブタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタンおよび脂環式第3級炭素(例として、1−ヒドロキシ−1−メチル−シクロヘキサン)が含まれる。好適なアルコールの別のクラスとしては、ヒドロキシメチル芳香族であって、それは、芳香族環内の不飽和炭素に接触している飽和炭素についてヒドロキシル基の置換を有する。ヒドロキシル基で置換されている飽和炭素はメチロール基(−CHOH)であってよく、またはもっと複雑な炭化水素基(例として、(−CRHOH)または(−CROH)の場合があろうし、ここでRは複雑なまたは単純な炭化水素である)の員(member)であってもよい。特定のヒドロキシメチル芳香族は、ベンズヒドロール、1,3−ベンゼンジメタノール、ベンジルアルコール、4−ベンジルオキシベンジルアルコールおよびベンジルベンジルアルコールであってよい。特定のアルコールは、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(ヘキシレングリコールとしても知られる)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールである。
【0073】
発泡体が好ましい場合、発泡剤を組成物に添加してもよい。好適な発泡剤には例えば、低沸点のハロ炭化水素が含まれる;それらは二酸化炭素を生成させる;室温で固体であり、熱分解温度よりも高い温度で加熱させられると、発泡剤は、例えば窒素、二酸化炭素、アンモニアガスまたは同様のガスを生成し、それには例えば、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミドの金属塩、4,4’オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ナトリウムビカルボネート、アンモニウムカルボネート、または同様のもの、あるいは前述の発泡剤の少なくとも1つを含んでいる組合せがある。
【0074】
抗点滴剤(anti−drip agents)を使用してもよく、例えばそれは、繊維形成のまたは繊維非形成のフッ素重合体(例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))である。抗点滴剤は、前記で記載したように硬質共重合体(例えば、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN))によって封入してもよい。SAN内に封入されているPTFEはTSANとして知られている。封入されているフッ素重合体は、フッ素重合体の存在下で、例えば水分散液で、重合体を封入させるのに重合させることによって作製してもよい。TSANはPTFEに対して有意な利点を提供する可能性があり、それは、TSANが組成物内で、より容易に分散する可能性がある点においてである。好適なTSANは、例えば、封入されているフッ素重合体の全重量に対して、約50wtパーセントのPTFEと約50wtパーセントのSANを含んでよい。SANは、例えば、共重合体の全重量に対して、約75wtパーセントのスチレンと約25wtパーセントのアクリロニトリルを含んでよい。また、フッ素重合体は、2番目の重合体(例として、芳香族ポリカーボネート樹脂またはSAN)と同様の方法で事前に混合してもよく、それにより、抗点滴剤として使用するための造粒物を形成することができる。いずれかの方法を、封入されているフッ素重合体を作製するために使用してよい。
【0075】
熱可塑性重合体の組成物は、当該技術分野で一般的に入手可能である方法によって製造してもよく、ある実態形態においては、例えばそれは、粉末ポリマー樹脂(powdered polymer resin)および/または他の任意の構成要素を、例えばHenschel(商標)高速ミキサーで、初めに混合させる。他の低せん断処理には、それだけには限られないが含まれるものとして、手練り(hand mixing)によってこの混合を行って成遂げてもよい。次いで、この混合物をホッパー(hopper)を介して、2軸押し出し機(twin−screw extruder)のスロート(throat)内に供給する。また、1つまたはそれより多い構成要素を、スロートおよび/またはサイドスタッファー(sidestuffer)を介した下流(downstream)で、押し出し機の中に直接供給することによって、組成物を取り入れてもよい。このような添加剤は、希望のポリマーレジンとともにマスターバッチ(masterbatch)内に混ぜ入れてもよく、ならびに押し出し機内に供給してもよい。この押し出し機は通常、組成物が流れるのを引き起こすのに必要な温度よりも高い温度で運転される。押し出し物をすぐにウォーターバッチ内で急冷させ、ペレット化させる。このペレットは
4分の1インチ長(6.35ミリメートル)または望むならそれより小さくてよい。このようなペレットは、引き続き、型入れ(molding)、成形(shaping)、形成(forming)のために使用してもよい。
【0076】
重合体組成物を含んでいる、成形され、形成され、または型入れされた物品も提供される。重合体組成物はさまざまな方法によって、有用な形態の物品へと型入れされてもよく、それには例えば、射出成形、押し出し、回転成形、ブロー成形および熱形成があり、それらによって物品を形成することができるが、物品の例としては例えば、コンピューター事務機器付き住宅(例として、監視装置付き住宅)、携帯電子機器付き住宅(例として、携帯電話付き住宅)、電気コネクタ、および避雷用付属品の構成部分(components of lightning fixtures)、装飾品、家庭用電化製品、屋根、温室、サンルーフ、スイミングプールの囲いおよび自動車用途(例えば、車のヘッドランプの前方ライトの筐体)がある。
【0077】
本開示は、以下の非制限的な例に対する参照によって、より詳細に説明される。
【0078】
本研究のために用いられる試薬は実験用試薬グレードであり、さらなる精製なしに使用した。試薬の入手先は以下の通りであった;4−ブロモナフタル酸無水物(Anshan Huifeng Chemical社、中国)、酢酸(S.D.Fine.Chem社、最少含量99%),アニリン(S.D.Fine.Chem社、最少含量98%)、ジエチルアニリン(Aldrich Chemicals社、純度98.00%)、エチレングリコール(S.D.Fine.Chem社、最少含量98.00%)、プロピレングリコール(S.D.Fine chem社、インド、最少含量99%)、ブタンジオール(Aldrich Chemicals社、純度99.00)、水酸化ナトリウム(S.D.Fine.Chem社、最少含量99%)、UVITEX(登録商標)OB(Ciba Specialty Chemicals社)。
【0079】
溶離液系(酢酸エチル:n−ヘキサン(10:90))を用いるTLCを用いて反応の進行をモニターした。
【0080】
Bruker 300MHzの分光光度計でのH−NMRを用いて構造を決定した。
【0081】
島津HPLCクラス−VP機器およびRP XterraカラムC18(Waters社によって製造されるHPLCカラム、USA)、4.6X50ミリメートル(mm)、5マイクロメーター(μm)を用いて、HPLCデータを得た。
【0082】
オートサンプラーを備えるTGA2950機器を用いてTGA解析を行い、それはTA Instrumentsより入手可能であった。
【0083】
蛍光増白剤のUV−VISスペクトル特性(ラムダが極大になる(λmax)吸収)を、波長域300nmから800nmにおいて、複光束UV/VISパーキンエルマー社製ラムダ900UV/VIS/NIR分光計を用いて、ジクロロメタンにおいて測定した。
【0084】
蛍光増白剤の蛍光特性(ラムダが極大になる(λmax)放射)を、日立F−4500分光光度計を用いて評価した。ポリカーボネートとともに式(I)または(VIII)の化合物を0.005%含有している1mmの厚さの成形のチップを用いて、蛍光特性を決定した。
【実施例】
【0085】
[実施例1]
この実施例は、2−(2,6−ジイソプロピル−フェニル)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製を2段階で記載する。
【0086】
段階A:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−ブロモナフタルイミドの調製。
【0087】
4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物(10g(グラム))、2,6−ジイソプロピルアニリン(6.74g)および酢酸(75ミリリットル(ml))の混合物を撹拌しながら還流下で10時間(hrs)過熱した。反応混合物を室温まで冷却してからろ過した。得られた固体はまず酢酸で洗浄した後に、水で洗浄し、それから120℃で8時間乾燥させて13.1gの生成物を得た。
【0088】
段階B:2−(2,6−ジイソプロピル−フェニル)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製。
【0089】
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−ブロモナフタルイミド(4.0グラム(g))、水酸化ナトリウム(0.54g)、および1,2−エチレングリコール(50ミリリットル(ml))の混合物を120℃で10時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、この混合物に100mlの水を加えてから、分離した固体をろ過し、水で洗浄して、それから100℃で8時間乾燥させて2.25gの収量で粗生成物を得た。この粗生成物は、酢酸エチルとn−ヘキサン混合物(20:80)から成る溶離液系において、カラムクロマトグラフィーを用いてさらに精製された。H−NMR:1.06 δ(d,12プロトン);2.63 δ(m,2プロトン);3.92 δ(m,2プロトン);4.38 δ(三重項(triplet),2プロトン);5.14 δ(三重項,1プロトン);7.36 δ(m,4プロトン);7.88 δ(m,1プロトン);8.54 δ(三重項,2プロトン);8.76 δ(d,1プロトン);マス(Mass)(M+):418。
[実施例2]
【0090】
この実施例は、2−(2,6−ジイソプロピル−フェニル)−6−(3−ヒドロキシプロポキシ)−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製を記載する。
【0091】
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−ブロモナフタルイミド(4.0g、実施例1の段階Aで調製したように)、水酸化ナトリウム(0.54g)および1,3−プロパンジオール(50ml)の混合物を120℃で10時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、この混合物に100mlの水を加えてから、分離した固体をろ過し、水で洗浄して、それから100℃で8時間乾燥させて3.1gの収量で粗生成物を得た。この粗生成物は、酢酸エチルとn−ヘキサン混合物(20:80)から成る溶離液系において、カラムクロマトグラフィーを用いてさらに精製された。H−NMR:1.18 δ(d,12プロトン);2.01 δ(s,1プロトン);2.25 δ(m,2プロトン);3.96 δ(m,2プロトン);4.47 δ(m,2プロトン);7.13 δ(m,1プロトン);7.34 δ(m,2プロトン);7.48 δ(m,1プロトン);7.76 δ(m,1プロトン);8.65 δ(m,3プロトン)。
[実施例3]
【0092】
この実施例は、2−(2,6−ジイソプロピル−フェニル)−6−(4−ヒドロキシブトキシ)−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製を記載する。
【0093】
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−ブロモナフタルイミド(4.0g、実施例1の段階Aで調製したように)、水酸化ナトリウム(0.54g)および1,3−ブタンジオール(50ml)の混合物を120℃で10時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、この混合物に100mlの水を加えてから、分離した固体をろ過し、水で洗浄して、それから100℃で8時間乾燥させて3.1gの収量で粗生成物を得た。この粗生成物は、酢酸エチルとn−ヘキサン混合物(20:80)から成る溶離液系において、カラムクロマトグラフィーを用いてさらに精製された。H−NMR:1.17 δ(m,12プロトン);1.68 δ(s,1プロトン);1.90 δ(m,2プロトン);2.12 δ(m,2プロトン);2.76 δ(m,2プロトン);3.82 δ(m,2プロトン);4.38 δ(m,2プロトン);7.343 δ(m,4プロトン);7.77 δ(m,1プロトン);8.69 δ(m,3プロトン)。
[実施例4]
【0094】
この実施例は、2−(2,6−ジイソプロピル−フェニル)−6−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェノキシ]−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製を記載する。
【0095】
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4−ブロモナフタルイミド(4.0g)、水酸化カリウム(0.77g)およびジメチルホルムアミド(30ml)、18−クラウン−6(0.02g)、およびp−クミルフェノール(3.89g)の混合物を50℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、この混合物に100mlの水を加えてから、分離した固体をろ過し、水で洗浄して、それから60℃で8時間乾燥させて5.0gの収量で粗生成物を得た。この粗生成物は、酢酸エチルとn−ヘキサン混合物(20:80)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60−120メッシュ)を行うことによってさらに精製した。H−NMR:1.18 δ(m,12プロトン);1.79 δ(s,6プロトン);2.79 δ(m,2プロトン);7.34 δ(m,14プロトン);7.83 δ(m,1プロトン);8.56 δ(m,1プロトン);8.79 δ(m,2プロトン)。
[実施例5]
【0096】
この実施例は、6−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−2−p−トリル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製を記載する。
【0097】
段階A:6−ブロモ−2−p−トリル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製。
【0098】
4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物(10g)、p−トルイジン(4.08g)および酢酸(75ml)の混合物を撹拌しながら10時間還流した。水(200ml)を室温で添加し、分離した固体をろ過し、酢酸で洗浄した後に水で洗浄し、それから100℃で8時間乾燥させると11.5gの生成物が産生された。
【0099】
段階B:6−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−2−p−トリル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオン。
【0100】
6−ブロモ−2−p−トリル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオン(4.0g)、水酸化ナトリウム(0.65g)、および1,2−エチレングリコール(50ml))の混合物を120℃で10時間撹拌しながら還流下において維持した。次いで、反応混合物を室温まで冷却してから水(100ml)を混合物に加えた。分離された固体をろ過し、水で洗浄して、それから100℃で8時間乾燥させた(収量=2.71g)。この粗生成物を120mlのモノクロロベンゼンと0.25gの活性炭を用いて精製し、1.32gの重さがある純生成物を得た。H−NMR:2.39 δ(s,3プロトン);3.92 δ(m,2プロトン);4.35 δ(t,2プロトン);5.13 δ(t,1プロトン);7.22 δ(m,2プロトン);7.31 δ(m,3プロトン);7.83 δ(t,1プロトン);8.44 δ(m,2プロトン);8.68 δ(d,1プロトン)。
[実施例6]
【0101】
この実施例は、6−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−2−フェニル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製を記載する。
【0102】
段階A:6−ブロモ−2−フェニル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製。
【0103】
4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物(10g)、アニリン(3.54g)および酢酸(75ml)の混合物を撹拌しながら10時間還流した。次いで、この反応混合物を室温まで冷却するとすぐに固体が分離された。この固体をろ過し、水(50ml)で洗浄した後、酢酸(50ml)で洗浄してから、100℃で8時間乾燥させた(収量=10.8gm)。
【0104】
段階B:6−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−2−フェニル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製。
【0105】
6−ブロモ−2−フェニル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオン(4.0g)、水酸化ナトリウム(0.67g)および1,3−プロパンジオール(50ml)の混合物を120℃で10時間撹拌しながら維持した。この反応混合物を室温まで冷却した。水(100ml)を混合物に加えてから固体を分離した。この固体をろ過し、水で洗浄して、それから100℃で8時間乾燥させて、1.90gの収量で粗生成物を得た。この粗生成物をモノクロロベンゼン(60ml)と活性炭(0.20g)を用いて精製した。それによって得られた純生成物の重量は1.15gであった。H−NMR:3.93 δ(m,2プロトン);4.35 δ(m,1プロトン);2.25 δ(m,2プロトン);3.96 δ(m,2プロトン);4.47 δ(m,2プロトン);7.13 δ(m,2プロトン);5.14 δ(m,1プロトン);7.36 δ(m,3プロトン);7.51 δ(m,3プロトン);7.84 δ(m,1プロトン);8.46 δ(m,2プロトン);8.69 δ(m,1プロトン)。
[実施例7]
【0106】
この実施例は、6−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−2−フェニル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオンの調製を記載する。
【0107】
6−ブロモ−2−フェニル−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3−ジオン(2.0g;実施例5の段階Aで調製した)、水酸化ナトリウム(0.34g)および1,2−エチレングリコール(25ml)の混合物を120℃で10時間撹拌して維持した。反応混合物を室温まで冷却し、この混合物に水(100ml)を加えてから固体を分離させた。この固体をろ過し、水で洗浄して、それから100℃で8時間乾燥させて1.80gの収量で粗生成物を得た。H−NMR:2.07 δ(m,2プロトン);3.70 δ(m,2プロトン);4.42 δ(t,2プロトン);4.68 δ(t,1プロトン);7.35 δ(m,3プロトン);7.50 δ(m,3プロトン);7.83 δ(t,1プロトン);8.46 δ(m,2プロトン);8.58 δ(d,1プロトン)。
【0108】
実施例1から7に関する前記結果の要約を、以下の表1において示す。
【0109】
【表1】

【0110】
実施例1から7および比較例1(CE−1)の特徴解析
この例は、商業的に入手可能である蛍光増白剤である、UVITEX(登録商標)−OB(比較例1)と前記実施例1から7の特性についての比較研究である。
【0111】
サンプル群を、Tg、ラムダが極大となる吸収値および放射値について試験した。結果を表2において示す。
【0112】
【表2】

【0113】
表2において提供される結果は、式(I)および式(VIII)の化合物が、商業的に入手可能である蛍光増白剤UVITEX−OBに比べて相対的に低い波長を吸収しかつ放射することを示唆する。10パーセント重量減少時のTgは、この化合物が分解し始める温度を示す目安であり、ならびに、ガラス転移温度(Tg)を測定するために用いられるサンプルの初期量と比較しての、10パーセント減少した重量を有するサンプルにおけるその温度を示す。
【0114】
一般的な実施態様を例示の目的のために前述した一方で、前述の記載は本開示の範囲の制限となってはならない。したがって、さまざまな改良、適合、および代替が、本開示の範囲および精神から離れることなく、当業者の一人によって実施されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】

式中、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり、ただしRがメチル基または水素の場合にはRおよびRは水素ではなく;
およびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
およびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
はC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C20芳香族官能基であり;ならびに
「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、0から3の値を有する、化合物。
【請求項2】
、R、R、R、およびRはそれぞれ水素であり、RおよびRはそれぞれC脂肪族官能基であり、RはC−C脂肪族官能基またはC15芳香族官能基であり、ならびに「n」および「m」がそれぞれ0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(II)を有する、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項4】
式(III)を有する、請求項1に記載の化合物。
【化3】

【請求項5】
ジクロロメタン内で300から400nmの値域に吸収極大を有し、400から500nmの値域に放射極大を有する、式(I)の化合物。
【請求項6】
第1の溶媒の存在下で、式(IV)の無水化合物が式(V)のアニリン化合物と反応し、
【化4】

それにより式(VI)の化合物を提供し、
【化5】

式中、R、R、R、R、R、R、R、「n」および「m」は前記で規定したのと同じ意味を有し;
塩基および第2の溶媒の存在下で、式(VI)の化合物が式(VII)の化合物と反応し、
−OH (VII)
それにより式(I)の化合物を提供することを含み、
【化6】

式中、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり、ただしRがメチル基または水素の場合にはRおよびRは水素ではなく;
およびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
およびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
はC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり;
Xは、塩素または臭素から選択されるハロゲンであり;ならびに
「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、0から3の値を有する、方法。
【請求項7】
式(IV)の無水化合物と式(V)のアニリン化合物の前記反応を、約80℃から約180℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(VI)の化合物と式(VII)のヒドロキシ化合物の前記反応を、約80℃から約180℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
、R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり、RおよびRはそれぞれイソプロピル基であり、Xは臭素であり、ならびにmおよびnはそれぞれ0であり;前記第1の溶媒が酢酸であり、および前記第2の溶媒が式(VII)のヒドロキシ化合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
式(III)の化合物が4−ブロモナフタル酸無水物である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
式(IV)の化合物が3,5−ジイソプロピルアニリンである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
式(VII)の化合物がp−クミルフェノール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたは1,4−ブタンジオールである、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
式(VI)の化合物が式(VII)の化合物と反応することが、さらに触媒存在下で反応することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が相間移動触媒である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物を含む物品。
【請求項16】
ポリマー;および
式(I)および/または式(VIII)の化合物を含む組成物であって;
【化7】

式中、R、RおよびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり、ただしRがメチル基または水素の場合にはRおよびRは水素ではなく;
およびRはそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
およびRはそれぞれの存在が独立して、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C10芳香族官能基であり;
、R10およびR11はそれぞれの存在が独立して、水素、ハロゲン、シアノ官能基、C−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基、またはC−C20芳香族官能基であり;
はC−C20脂肪族官能基、C−C10脂環式官能基またはC−C20芳香族官能基であり;ならびに
「n」および「m」はそれぞれ独立な整数であって、0から3の値を有する、組成物。
【請求項17】
式(I)および/または(VIII)の化合物が、組成物の全重量に対して、約0.05重量パーセントから約20重量パーセントの量で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
式(I)および/または(VIII)の化合物が、ジクロロメタン内で測定時、300から400nmの値域に吸収極大を有し、および400から500nmの値域に放射極大を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
式(I)および/または(VIII)の化合物を含んでいる組成物のb*値が、式(I)および/または(VIII)の化合物を含んでいない同じ組成物のb*値に比べて減少している、請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
請求項16に記載の組成物を含む物品。

【公表番号】特表2009−516689(P2009−516689A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541415(P2008−541415)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/044998
【国際公開番号】WO2007/062002
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】