説明

蛍光増白剤の組成物

本発明は、a)少なくとも1種の水溶性蛍光増白剤、b)少なくとも1種のモノマーがアクリルアミドであり、水溶性ポリマーが500〜49,000の平均(重量平均)分子量を有することを特徴とする、エチレン性不飽和モノマー又はモノマー配合物から形成されるポリマー、場合により、c)500〜6000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、及びd)水を含む組成物、ならびに、被覆及びサイズプレス又はフィルムプレス塗布の際の紙の蛍光増白のための組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に、少なくとも1種の水溶性蛍光増白剤、エチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマー、及び、場合により、ポリエチレングリコールを含み、被覆及びサイズプレス若しくはフィルムプレス用途の紙の蛍光増白に有用な水性組成物に関する。
【0002】
特定の性質、例えば印刷適性、光沢及び、光学特性、例えば白色度、を向上させるために、顔料被覆組成物を、形成された紙又は厚紙の表面に塗布することは既知である。これらの顔料被覆組成物は被覆色素(coating color)として知られている。典型的には、被覆組成物は、結合剤を有する顔料の配合物を含む水性分散体として紙表面に塗布される。
【0003】
一般に、被覆色素組成物は、1種以上の顔料、蛍光増白剤(FWA)、結合剤、レオロジー調節剤、及び、場合により、その他の補助剤、例えば防腐剤、pH調節剤、潤滑剤を含む。
【0004】
そのような被覆組成物に適した蛍光増白剤は一般にアニオン性であり、これらの被覆色素のその他の組成物と組み合わせにおいて、紙表面に塗布した場合、完全な増白能力を実現しないことが多い。
【0005】
FWAに対する、いわゆる促進剤又は活性剤としてのポリビニルアルコールの使用は長く知られてきたが、それらを含有する被覆色素のレオロジーについての問題が生じている。
【0006】
この問題を克服する一つの試みが、FWA及び、ヒドロキシアルキルメタクリラートのコポリマーを含む活性量のポリマーを含む組成物に関する、EP145,267A2に開示されている。
【0007】
しかし、被覆のレオロジーに関する問題が差し迫っているようではないという事実にも関わらず、この組成物で得られる最大の白色度は、ポリビニルアルコールの添加で達成される白色度を相当下回る。
【0008】
US4,717,502には、特に、1000〜3000の分子量のポリエチレングリコールと共に4,4’−ビストリアジニル−アミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸FWAのアニリノ誘導体を含む組成物が開示されており、これは被覆紙にとって有用で、高い白色度を達成する。しかし、この主張を支持する数値は示されていない。
【0009】
したがって、FWAを含有する表面被覆に使用する促進剤又は活性剤を供給する必要性があるが、その効果は最大の白色度を実現しながら、所望のレオロジー特性を維持することである。
【0010】
WO01/07714A1は、50,000〜500,000の平均分子量を有し、水性被覆色素分散体中のレオロジー調節剤として有用な、特定のアクリルアミドコポリマーを開示している。
【0011】
しかし、白色度における向上は特に見られず、ポリマーの好ましい平均分子量は200,000である。
【0012】
驚くべきことに、比較的低分子量の特定のアクリルアミドホモ−及びコポリマーの、被覆色素への添加が、ポリエチレングリコールの促進剤の使用で得られるものと比較して優れた、被覆紙の非常に高い白色度だけではなく、被覆の間、レオロジーに関する問題も得られないことを生じる、ということが現在分かっている。
【0013】
したがって、本発明は、
a)少なくとも1種の水溶性蛍光増白剤、
b)少なくとも1種のモノマーがアクリルアミドであり、ポリマーが500〜49,000の平均(重量平均)分子量を有することを特徴とする、エチレン性不飽和モノマー又はモノマー配合物から形成されるポリマー、場合により
c)500〜6000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び
d)水
を含む組成物に関する。
【0014】
好ましくは、蛍光増白剤は、セルロース繊維を白色化するために通常使用されるものであり、式:
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、
、R、R及びRは互いに独立して、−NH、−OC−Cアルキル、−Oアリール、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cヒドロキシアルキル)、−NHC−Cヒドロキシアルキル、−N(C−Cヒドロキシアルキル)、又は−NHアリールを表し、ここでアリールはフェニルであり、それは非置換であるか、又は1個若しくは2個のスルホン酸基、−COOH、−COOC−Cアルキル、−CONH、−CONHC−Cアルキルで、若しくは−CON(C−Cアルキル)、モルホリノ、ピペリジノ若しくはピロリジノ残渣、−SC−Cアルキル若しくはアリール、若しくは水素原子がアミノ基から引き抜かれたアミノ酸若しくはアミノ酸アミド残渣で置換されていてもよく、
Mは、水素、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム又は、C−Cアルキル若しくはC−Cヒドロキシアルキルでモノ−、ジ−、トリ−若しくはテトラ置換たアンモニウムを表す)の4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸誘導体の化合物から、ならびに式:
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、
は、水素、塩素又はC−Cアルコキシであり、
Mは上記に定義されたとおりである)
のジスチリルビフェニル誘導体及びその混合物から選択される。
【0019】
式(1)の化合物のうち、組成物の成分a)として最も使用に適したのは、それらのビス−トリアジニルアミノスチルベンジスルホン酸(式中、R及びRが同一で、R及びRが同一で、互いに独立して、−NH、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cヒドロキシアルキル)、−N(C−Cヒドロキシアルキル)、−NHアリール(ここで、アリールは非置換フェニルであるか、又は1個若しくは2個の−SOM基、モルホリノ残渣、若しくは水素原子がアミノ基から引き抜かれたアミノ酸若しくはアミド残渣で置換されているフェニルである)を表す)である。水素原子が取り除かれた、好ましいアミノ酸又はアミド残渣は、グリシン、アラニン、セリン、システイン、フェニルアラニン、チロシン(4−ヒドロキシフェニルアラニン)、ジヨードチロシン、トリプトファン(β−インドリルアラニン)、ヒスチジン((β−イミダゾリルアラニン)、α−アミノ酪酸、メチオニン、バリン(α−アミノイソ吉草酸)、ノルバリン、ロイシン(α−アミノイソカプロン酸)、イソロイシン(α−アミノ−β−メチル吉草酸)、ノルロイシン(α−アミノ−n−カプロン酸)、アルギニン、オルニチン(α,δ−ジアミノ吉草酸)、リジン(α,ε−ジアミノカプロン酸)、アスパラギン酸(アミノコハク酸)、グルタミン酸(α−アミノグルタル酸)、トレオニン、ヒドロキシグルタミン酸及びタウリン、ならびに混合物及びその光学異性体から得られたものであり、グリシン及びアスパラギン酸が特に好ましい。
【0020】
アミノ酸残渣が得られてもよいアミノ酸の更に好ましい例は、イミノ二酢酸又はその一酸若しくは二酸アミドであり、一方好適なアミノ酸アミドは、2−ヒドロキシエチルアミノプロピオンアミドである。
【0021】
組成物の成分a)としての、好ましいジスチリルビフェニル蛍光増白剤は、式:
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、
M’は、水素、リチウム、カリウム又はナトリウムを表す)
の化合物から選択されたものであり、ここで式(3)の2,2’−ジスルホン酸誘導体が最も好ましい。
【0024】
式(1)及び(2)の化合物中の置換基の定義の範囲内で、C−Cアルキル基は分岐鎖又は非分岐状で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はn−、sec−若しくはtert−ブチルであり;それらは非置換であっても又は、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素若しくは臭素で置換されていてもよい。C−Cアルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ又はn−ブトキシであり、一方C−Cヒドロキシアルキルは、例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又はヒドロキシブチルである。
【0025】
蛍光増白剤は、既知の化合物であるか、又は既知の方法で調製されてもよい。
【0026】
本発明の好ましい態様において、組成物の成分b)であるポリマーは、アクリルアミドのみから得られる繰り返し単位を含むホモポリマーである。
【0027】
しかし、更に好ましい態様においては、組成物の成分b)であるポリマーは、アクリルアミドに加えて、メタクリルアミド、ヒドロキシアルキルアクリラート、例えばヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシアルキルメタクリラート、例えばヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルメタクリラート、N−アルキルアクリルアミド、例えばN−メチル及びN−エチルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、例えばN−メチル及びN−エチルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、例えばN−ヒドロキシアルキルアクリルアミド、N,N−ジエチル、特にN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、例えばN,N−ジメチル及びN,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシアルキル)アクリルアミド、例えばN,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、モルホリノアクリルアミド、とりわけアクリル酸、更にメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸及びビニルスルホン酸からなる群より選択されるモノマーから得られる繰り返し単位を含むポリマーであってよく、ここで酸モノマーは、その遊離酸又は水溶性塩、例えばそのアルカリ金属(例えば、リチウム、カリウム若しくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩の形態である。
【0028】
好ましくは、ポリマーの重量平均分子量は、500〜40,000の範囲内にあり、1,000〜25,000の範囲が最も好ましい。
【0029】
本発明の組成物のために有用なポリマーは、既知のポリマー材料であるか、或いは既知の重合手順で調製されてもよい。
【0030】
組成物の種々の成分比は広い範囲にわたって変化してもよい。したがって、たとえば、水溶性蛍光増白剤、成分a)のポリマー、成分b)に対する比率は、1:0.1〜1:5重量部の範囲で変化してもよいが、好ましくは1:0.2〜1:4重量部、特に1:0.5〜1:3重量部の範囲内にあり、一方、組成物は水の少なくとも20重量%を含有する。
【0031】
特定の場合においては、組成物を、500〜6000の重量平均分子量のポリエチレングリコールで補うことも有益でありうる。しかし、1,000〜6,000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールが最も好適であり、1500のポリエチレングリコールが最も好ましい。
【0032】
ポリエチレングリコールが存在する場合、同程度の量が上記ポリマーについて使用される。すなわち、成分a)である水溶性蛍光増白剤の、成分c)であるポリエチレングリコールに対する比率は、1:0.1〜1:5重量部の範囲で変化してもよいが、好ましくは1:0.2〜1:4重量部、特に1:0.5〜1:3重量部の範囲内にある。
【0033】
本発明の増白剤組成物は、成分a)、b)、場合により、c)及びd)を、機械的に混合し、混合物が均一になるまで撹拌することで調製する。
【0034】
紙被覆組成物に用いる本発明の組成物の使用量は、所望の増白効果に依存するが、通常、蛍光増白剤の0.01〜5%を含有する量に相当する。
【0035】
紙被覆組成物は、通常、35〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の固体含有量を有する。本発明の増白剤組成物0.01〜10重量部に加えて、紙被覆組成物は、通常、無機顔料100部当たり、
(i)結合剤及び結合補助剤3〜25重量部、
(ii)レオロジー調節剤0〜1重量部、
(iii)湿潤紙力増強剤0〜2重量部、及び
(iv)更なる蛍光増白剤及び/若しくはシェーディング着色剤ならびに/又は更なる補助剤0〜5重量部を含む。
【0036】
本発明による増白剤組成物は、織物、塗料、接着剤、プラスチック、木材及び紙産業において通例使用される、場合により着色された被覆組成物を増白する上で非常に好適である。そのような被覆組成物は、結合剤(結合補助剤)として、ブタジエン及びスチレンの、ナフタレンスルホン酸及びホルムアルデヒドの、ポリエチレン及びポリプロピレンオキシドの、アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの、アクリル酸エステルの、エチレン及び塩化ビニルの、ならびにエチレン及び酢酸ビニルのコポリマーに基づいたプラスチック分散体、或いはホモポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール又はポリウレタンに基づいたプラスチック分散体を含む。
【0037】
所望であれば、被覆組成物は、増白組成物に加えて、更に蛍光増白材及び/又はシェーディング染料若しくは顔料を含有する。
【0038】
被覆組成物を着色する目的のために、通常、ケイ酸アルミニウム、例えば陶土すなわちカオリン、更に硫酸バリウム、サテンホワイト、二酸化チタン、又はカルシウム化合物が用いられる。これらは、例として、J.P. Casey "Pulp and Paper; Chemistry and Chemical Technology", 2nd Ed. Vol. III; p. 1648-1649 及び Mc Graw-Hill "Pulp and Paper Manufacture", 2nd Ed. Vol. II, p. 497 、ならびに EP−A−0003568に記載されている。
【0039】
本発明による増白組成物は、特に紙の被覆、より特にインクジェット紙及び印画紙、木材、金属薄片、織物、不織材料、ならびに好適な建築資材の被覆用に特に使用してもよい。紙及び厚紙への使用、ならびに印画紙及びインクジェット紙への使用が特に好ましい。
【0040】
したがって、本発明の更なる態様は、上記被覆組成物、本発明の組成物、又は下記のサイズプレス若しくはフィルムプレス液体組成物で処理した紙である。
【0041】
組成物は、あらゆる種類の被覆器具、例えばブレードコーター、ロールコーターなどを使用する被覆で、下地に塗布してもよい。
【0042】
被覆に加えて、本発明の組成物は、サイズプレス若しくはフィルムプレスを用いて、水溶液として紙表面に塗布してもよい。
【0043】
したがって、本発明の更なる態様は、紙の蛍光増白に有用なサイズプレス若しくはフィルムプレス液体組成物であって、
a)本発明の蛍光増白組成物0.001〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%;
b)1種以上の結合剤、例えばアニオン性デンプン1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、最も好ましくは7〜12重量%;
c)顔料及び/又は更なる補助剤0〜10重量%、
ならびに100%になる量の水を含む。
【0044】
被覆組成物又はサイズプレス若しくはフィルムプレス液体組成物は、更なる補助剤として、結合剤、レオロジー及び印刷製を向上させる薬剤、固着剤、湿潤紙力増強剤、消泡剤、及び/又は殺生物剤を含有していてもよい。結合剤の例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、アクリル酸エステル/スチレンコポリマー、カルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマー、ポリビニルピロリドン、酸化デンプン、カルボキシメチルセルロース、及びその他の水溶性セルロース誘導体があり、一方、例えばポリアクリルアミド及びそのコポリマーはレオロジー及び印刷製を向上させる上で役立つ場合がある。
【0045】
こうして得られた被覆又は外被は、高い耐光堅牢度に加えて、優れた白色度を有する。
【0046】
後述の実施例は、本発明を説明するが、限定することを意図するものではない。部及び%は、特に明記しない限り、重量部及び重量%である。
【0047】
A.ポリマーの調製
一般手順
反応器に、水100g及びテトラロン(登録商標)Bの6%水溶液0.5mlの混合物を充填し、混合物を撹拌し、95℃に加熱し、次に特定量の過硫酸アンモニウム(表1参照)を加えた。この混合物に、水300g中の50%アクリルアミド水溶液600gを、2時間15分間かけて連続的に供給し、一方同時に水50ml中の特定量の過硫酸アンモニウム(表1参照)及び水40ml中の特定量の次亜リン酸ナトリウム(表1参照)の溶液を3時間かけて反応器に連続的に供給した。添加後、反応混合物を95℃で更に30分間撹拌し、65℃に冷却し、水20g中のメタ重亜硫酸ナトリウム2gの溶液で処理した。撹拌を65℃で更に1時間続け、冷却して、適切なポリマーの示された%(表1参照)を含有する水溶液を得た。
【0048】
使用した試薬の量、及び得られた各ポリマーの重量平均分子量を、下記表1にまとめた。
【0049】
【表1】

【0050】
アクリルアミドを、アクリルアミド及びアクリル酸、又はアクリルアミド及びジメチルアクリルアミド(DMACM)のいずれかの混合物で置き換えたことを除いては上記の通り進行し、下記表2にまとめたコポリマーを、連鎖移動試薬(次亜リン酸ナトリウム)及び各開始剤の表に示した量を用いることで得た。
【0051】
【表2】

【0052】
注釈:重合のための開始剤は、過硫酸アンモニウム(APS)又はV50(和光ケミカルから入手可能な市販品であり、その化学名は2,2−アゾジイソブチルアミジン二塩酸塩、CAS Reg. Nr. 2997-92-4である)のいずれかである。
【0053】
B.蛍光増白剤
用いた一般式(1a)のFWAの構造式を、下記表3にまとめた:
【0054】
【化6】

【0055】
【表3】

【0056】
C.被覆塗布
64%の固体含有量を有し、無機顔料として炭酸カルシウム70部及び粘土30部、SBRラテックス結合剤9部、ポリアクリル酸を基とした粘度調整剤0.25部、ならびにポリビニルアルコール0.2部からなる水性被覆色素を調製し、4N水酸化ナトリウム水溶液0.17部の添加で、pHを8.5に調節した。その被覆色素に、適切な蛍光増白剤0.4部及び適切なポリマー0.8部(両者とも無機顔料の総重量に基づいた重量部)を含む本発明の組成物の溶液。
【0057】
最終的な被覆色素を、中間的な大きさでFWAを含まない、85g/mの重量を有する原紙に、ドローダウンロッドを使用して、10g/mの最終被覆重量を得て、その紙を乾燥、調整した。次いで、得られた用紙の白色度、W(CIE)、及びISO蛍光度、F(ISO)を、Datacolor Elrepho 3000 分光光度計を使用して測定した。
結果を下記表4にまとめた:
【0058】
【表4】

【0059】
表4の結果は、本発明の組成物の添加から得られた白色度及び蛍光度の増加を明確に実証している。
【0060】
更なる一連の実験においては、上記の通りに、しかし本発明の組成物の更なる態様であるポリエチレングリコール(PEG)をも含有する被覆色素を調製した。
【0061】
結果を下記表5にまとめた:
【0062】
【表5】

【0063】
上記結果は本発明の組成物の優れた上昇効果を実証するだけでなく、ポリエチレングリコールとポリマーの組み合わせの相乗的な影響をも実証する。
【0064】
更なる一連の実験においては、13.7g/mの平均被覆重量を有し、FW204の活性物質0.4重量部及び0.8重量部(無機顔料の総重量に基づく)ならびに表2に記載のコポリマー(FWA1重量部に対してコポリマー2.3重量部の比率)の本発明の組成物を含有する被覆を上記の通り調製した。
結果を下記表6にまとめた:
【0065】
【表6】



【0066】
上記結果はコポリマーの優れた上昇効果を実証するだけでなく、FW204のみの場合と対照的に、極めて高い白色度の紙を製造するための非常に望ましい特性である、高い濃度で緑色化傾向の減少のために、FWAの濃度の増加が白色度の増加をももたらすことを実証する。
【0067】
D.サイズプレス塗布
アニオン性デンプン8.0gを含有する水溶液100gに、適切な蛍光増白剤(FWA)0.3g及び適切なポリマー0.3gを含有する本発明の組成物を加えた。
【0068】
この溶液を、80g/mの重量を有する、上質原紙及びFWAを含まない原紙に、ピックアップが24%になるように、サイズプレスを用いて塗布した。
【0069】
乾燥及び調整後、得られた被覆面の白色度、W(CIE)、及びISO蛍光度、F(ISO)を、Datacolor Elrepho 3000分光光度計を使用して測定した。
【0070】
結果を下記表7にまとめた:
【0071】
【表7】

【0072】
再び、大部分の事例において、本発明の組成物の上昇効果が明確に実証された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の水溶性蛍光増白剤、
b)少なくとも1種のモノマーがアクリルアミドであり、水溶性ポリマーが500〜49,000の平均(重量平均)分子量を有することを特徴とする、エチレン性不飽和モノマー又はモノマー配合物から形成されるポリマー、場合により、
c)500〜6000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール、及び
d)水
を含む組成物。
【請求項2】
蛍光増白剤が、式:
【化1】


(式中、
、R、R及びRは、互いに独立して、−NH、−OC−Cアルキル、−Oアリール、−NHC−Cアルキル、−N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cヒドロキシアルキル)、−NHC−Cヒドロキシアルキル、−N(C−Cヒドロキシアルキル)、又は−NHアリールを表し、ここでアリールはフェニルであり、それは非置換であるか、或いは1個若しくは2個のスルホン酸基、−COOH、−COOC−Cアルキル、−CONH、−CONHC−Cアルキルで、又は−CON(C−Cアルキル)、モルホリノ、ピペリジノ若しくはピロリジノ残渣、−SC−Cアルキル若しくはアリール、又は水素原子がアミノ基から引き抜かれたアミノ酸若しくはアミノ酸アミド残渣で置換されていてよく、
Mは、水素、アルカリ若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム又は、C−Cアルキル若しくはC−Cヒドロキシアルキルでモノ−、ジ−、トリ−若しくはテトラ置換されているアンモニウムを表す)の化合物から、ならびに式:
【化2】


(式中、
は、水素、塩素又はC−Cアルコキシであり、
Mは上記と同義である)の化合物及びその混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリマーが、アクリルアミドから得られる繰り返し単位を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリマーが、アクリルアミドに加えて、メタクリルアミド、ヒドロキシアルキルアクリラート、ヒドロキシアルキルメタクリラート、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−ヒドロキシアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシアルキル)アクリルアミド、モルホリノアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸及びビニルスルホン酸からなる群より選択されるモノマーから得られる繰り返し単位を含み、ここで酸モノマーが、その遊離酸又は水溶性塩の形態である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
水溶性蛍光増白剤、成分a)のポリマー、成分b)に対する比率が、1:0.1〜1:5重量部の範囲内にあり、組成物が水の少なくとも20重量%を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物の、紙の蛍光増白のための使用。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物0.01〜10重量部に加えて、無機顔料100部当たり、
(i)結合剤及び結合補助剤3〜25重量部、
(ii)レオロジー調節剤0〜1重量部、
(iii)湿潤紙力増強剤0〜2重量部、及び
(iv)更なる蛍光増白剤及び/又はシェーディング着色剤ならびに/或いは更なる補助剤0〜5重量部を含む、紙被覆組成物。
【請求項8】
a)請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光増白組成物0.001〜2重量%;
b)1種以上の結合剤1〜20重量%;
c)顔料及び/又は更なる補助剤0〜10重量%、ならびに
d)100%になる量の水
を含む、紙の蛍光増白に有用なサイズプレス若しくはフィルムプレス液体組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の紙被覆組成物又は請求項8に記載のサイズプレス若しくはフィルムプレス液体組成物の、紙の蛍光増白への使用。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物、請求項7に記載の紙被覆組成物又は請求項8に記載のサイズプレス若しくはフィルムプレス液体組成物で処理した紙。

【公表番号】特表2008−518068(P2008−518068A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538385(P2007−538385)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055301
【国際公開番号】WO2006/045714
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】