説明

蛍光標準およびその使用

【課題】
従来の蛍光標準の欠点:簡単に褪色、狭いスペクトル範囲内でのみ使用が可能、高価、機械的、熱的、および化学的に不安定、および、劣化による蛍光強度の変化とは無縁の蛍光標準を提供すること。
【解決手段】
本発明は、蛍光標準、特に、光学的検出器を較正するための蛍光標準に関する。本発明によれば、蛍光標準として使用するために、蛍光鉱物、または鉱物の混合物を用いる。蛍光鉱物は、天然産鉱物または合成的に生産される鉱物であってもよい。蛍光標準として使用するのに好ましい蛍光鉱物は、コランダム、ほたる石、トルコ石、琥珀、ジルコン、ゾイサイト、アイオライトまたは菫青石、スピネル、トパーズ、フッ化カルシウム、閃亜鉛鉱またはジンクブレンド、方解石またはキャルクスパ、アパタイト、灰重石またはタングステン酸カルシウム、ケイ酸亜鉛鉱、長石、ソーダライト、ウラニウム鉱石、または、Al3+を含む鉱石であり、特に、ルビーおよびサファイアである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光標準または光学的標準、およびその使用に関し、特に、光学検出器および蛍光分光光度計測器械、例えば、顕微鏡、画像収集装置、分光光度計測プレートリーダー、側方流(Lateral flow)検出器などを較正するための蛍光標準に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光とは、異なる波長の光、すなわち、一般に、電磁放射による励起後、励起された電子状態から低エネルギー状態へ遷移する際に起こる、一波長の、短持続、自発性の光の発射を指す。蛍光現象が起こる、したがって蛍光発色団と呼ばれる、天然および合成物質または化合物は多数ある。
【0003】
蛍光分光光度計測の場合、実行すべき測定のための参照点を得るために、蛍光標準が必要である。従来の蛍光標準または蛍光染料は、一般に、有機化合物から構成される。これらの蛍光染料使用の基礎は、該蛍光染料の分子は、それらが可視光または紫外光によって照射されると、吸収エネルギーの一部を、既知の、異なる波長を持つ蛍光として発射するということにある。これらの染料分子は、種々の異なる生物アッセイにおいて、例えば、それらの発射する蛍光信号が、研究対象の系に関する情報を提供することが可能なアッセイにおいて使用される。
【0004】
しかしながら、従来技術による蛍光標準および蛍光染料は、下記の欠点の内の一つ以上を持つ、すなわち、それらの蛍光標準および蛍光染料は、運用期間を通じて安定ではない、簡単に褪色する(特に、長期の照射、および、高強度で照射された場合)、狭いスペクトル範囲内でのみ使用が可能である、高価である、機械的、熱的、および化学的に不安定である、および、経時劣化または乾燥劣化して、蛍光強度に変化を生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】PCT/EP2009/002333
【特許文献2】PCT/EP2008/001468
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】"Fluorescence: Gems and Minerals under Ultraviolet Light(蛍光:紫外線暴露下の宝石および鉱石)," Manuel Robbins, GeoSciences Press, Inc., Phoenix, Arizona, 1994
【非特許文献2】"The World of Fluorescent Minerals(蛍光鉱物の世界)," Stuart Schneider, Schiffer Publishing Ltd., Atglen, PA, 2006
【非特許文献3】"Artificial Gemstones(人工的宝石原石)," Michael O'Donoughue, NAG Press, London, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、これらの欠点を有さない蛍光標準を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、上記の目的は、蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む物質が、蛍光標準として使用される手段によって達成される。これは、天然鉱物、または合成鉱物であってもよい。
【0009】
この蛍光鉱物は、コランダム、特に、ルビーまたはサファイア、ほたる石、緑光ほたる石、トルコ石、ジルコン、ゾイサイト、アイオライトまたは菫青石(コーディェライト)、スピネル、トパーズ、フッ化カルシウム、閃亜鉛鉱またはジンクブレンド、ウルツ鉱、方解石またはキャルクスパ、アパタイト、灰重石またはタングステン酸カルシウム、パウエル石、ケイ酸亜鉛鉱、長石、ソーダライト、ウラニウム鉱石、アパタイトまたはフルオロアパタイトまたはクロールアパタイトまたはヒドロキシルアパタイト、岩塩、タンザナイト、アクアマリン、電気石、透閃石、ジェントヘルビン、ゴナルダイト、ヘルビン、メイオナイト、リューコフェナイト、タグタパイト、ビリオム石、バリライト、ベルリーライト、曹長石、方沸石、ウォーレル石、バスタム石、セレスタイン、コンドロダイト、貴橄欖石または単斜貴橄欖石、金緑石、異極鉱、ヘキサハイドライト、ストロンチアナイト、アンモライト、中性長石、アンケライト、霰石、バーマイト、玉髄、白鉛鉱、チャロアイト、ダイヤモンド、透輝石、ダイアスポア、エカナイト、ユージアライト、フリーデライト、硫カドミウム鉱、グロシュラ、クンツァイト、ラピス・ラズリ、リシア雲母、鉛丹、ノルベルグ石、オリゴクレース、オパール、ペイナイト、フォスゲン石、フォスフォフィライト、ローディサイト、菱マンガン鉱、マグネサイト、硫黄、ショータイト、菱鉄鉱、スパーライト、リシア輝石、鉛重石、バナジナイト、鉄マンガン重石、モリブデン鉛鉱、YAG(ヤグ、イットリウムアルミニウムガーネット)、紅亜鉛鉱、辰砂、ズニアイト、菱亜鉛鉱、硫酸鉛鉱、微斜長石、正長石、ダンブリ石、ラウリオン石、パララウリオン石、ブラソフ石、トール石、ベニト石、フェナカイト、ユークリプタイト、ドロマイト、スワブ石、ペクトライト、チロディ閃石、マンガン斧石、エスパー石、ロブリンガイト、ハースティジャイト、菱カドミウム鉱、ジョンバウム石、藍晶石、ウバロバイト、玻璃長石、スカポライト、モアサナイト(SiC)、キュービックジルコニア、琥珀、珊瑚類、真珠類、真珠層、象牙、または、Al3+または酸化物または水酸化物鉱物を含む鉱石であると有利である。
【0010】
必要に応じて、この蛍光鉱物に、一活性剤または複数の活性剤の組み合わせをドープ(微量添加)してもよい。その場合、適切な活性剤は:二価のマンガン、鉛、アンチモン、セリウム、特に、三価のセリウム、三価のクロム、二価または三価の鉄、三価または四価のチタン、銅、銀、二価のサマリウム、二価または三価のユーロピウム、三価のテルビウム、三価のジスプロシウム、三価のホルミウム、三価のエルビウム、ウラニル化合物、ルテニウム化合物、錫化合物、タリウム化合物、ビスマス化合物、タングステン酸化合物、モリブデン酸化合物、硫黄、バナジウム化合物、ランタン化合物、プラセオジム化合物、ネオジム化合物、プロメチウム化合物、ガドリニウム化合物、ツリウム化合物、イッテルビウム化合物、ルテチウム化合物である。
【0011】
鉱物において、活性剤は、添加不純物(ドーパント)として0.001%から20%(重量パーセント)存在してもよい。
【0012】
該蛍光鉱物は、蛍光標準として種々の形態を取ることが可能であり、例えば、円筒形、プリズム型、平板型、セル、チューブ、毛細管、直方体、薄片、ペレットまたはビーズ、ナノ粒子であってもよいし、あるいは、粉末として存在してもよい。ビーズ、ナノ粒子、または粉末の場合、この蛍光鉱物は、例えば、ガラス、プラスチック、またはヒドロゲルから製造されるポリマーまたは担体基質の中に埋設または重合させることが可能である。蛍光鉱物を蛍光標準として、ビーズなどの複数の小粒子の形状で使用することは、測定時にその統計的平均を確認することが可能であるから、その標準の均一性を向上させる。
【0013】
必要に応じて、蛍光鉱物は、蛍光標準として、所望の応用に応じて機能化されてもよい。その際、所望の機能を持つ官能基が、該蛍光鉱物の表面に化学的に付着される。特に、酸化物および水酸化物鉱物は、化学的に修飾することが容易である。次に、官能基付着鉱物は、蛍光標準として、検出マーカーとして他の分子に結合させることが可能である。もう一つのタイプの結合は、あらかじめ機能化されているか、または、封入後に機能化させることが可能な、例えば、ビーズ、ナノ物質、ポリマー、ゲル、ヒドロゲル、ガラス、およびペレット中に封入することによって実行される。
【0014】
この蛍光鉱物は、光学器械を較正するための蛍光標準として使用されると有利である。
【0015】
この蛍光鉱物は、産物または対象物を特定するための蛍光標準として使用されると有利である。
【0016】
この蛍光鉱物は、該蛍光鉱物に対する入射光の量を定量するための蛍光標準として使用されると有利である。
【0017】
この蛍光鉱物は、温度を測定し、かつ、適用可能であるならば、温度を制御するための蛍光標準として使用されると有利である。
【0018】
本発明の別の局面によれば、蛍光標準として、蛍光鉱物(天然または合成)、または、蛍光鉱物を含む物質を含む、少なくとも一つのサンプルを収容するためのサンプルプレートが準備される。
【0019】
このサンプルプレートは、例えば、複数のウェル(例えば、96ウェル)を有するマイクロタイタープレートとして設計されてもよいし、あるいは、好ましくは、下記の構成を持つウェルプレートとして、すなわち、そこにおいては、複数のウェルが該ウェルプレートを完全に貫通して延び、これらのウェルのサイズは、これらのウェルの中に導入されるサンプルが、毛管力のために、重力に抗して該ウェルの中に保持される寸法を持つウェルプレートとして設計されてもよい。
【0020】
本発明によれば、サンプルプレート全体、またはサンプルプレートのごく一部は、蛍光標準として、蛍光鉱物、または、蛍光鉱物を含む物質から製造されてもよい。
【0021】
それとは別に、複数のウェルを有するマイクロタイタープレートの場合、蛍光鉱物または蛍光鉱物を含む物質は、蛍光標準として、上記複数のウェルの少なくとも一つの中に、すなわち、取り外し可能となるように、あるいは、サンプルプレートに対し恒久的に接着されるように配置させることが可能である。複数ウェルを有するウェルプレートの場合、蛍光鉱物は、蛍光標準として、上記複数のウェルの少なくとも一つの中に配置させることが可能である。この別態様では、マイクロタイタープレートまたはウェルプレートそのものを、プラスチックまたはガラスなどの公知の材料から製造することが可能である。蛍光標準としての蛍光鉱物は、マイクロタイタープレートのウェル、または、ウェルプレートのウェルの形状に合致する形状(好ましくは円筒形)を有することが好ましい。
【0022】
本発明の局面を持つ、さらに別の有利な実施態様は、従属請求項において定義される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1aは、蛍光標準としての本発明の蛍光鉱物の、好ましい円筒形状を示す。図1bは、図1aの本発明の蛍光鉱物を、蛍光標準として設けたサンプルプレートの、平面模式図を示す。図1cは、直線A-Aに沿う、図1bの断面図を示す。
【図2】本発明の蛍光標準と共に使用するのに特に好適な、光学リーダーを模式的に示す。
【図3a】図3aは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3b】図3bは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3c】図3cは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3d】図3dは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3e】図3eは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3f】図3fは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3g】図3gは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3h】図3hは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3i】図3iは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3j】図3jは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3k】図3kは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3l】図3lは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3m】図3mは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図3n】図3nは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【図4a】図4aは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を、概観的に棒グラフの形で示す。
【図4b】図4bは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を、概観的に棒グラフの形で示す。
【図4c】図4cは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を、概観的に棒グラフの形で示す。
【図4d】図4dは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を、概観的に棒グラフの形で示す。
【図4e】図4eは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を、概観的に棒グラフの形で示す。
【図4f】図4fは、本発明の蛍光標準の測定蛍光強度、および、比較のために、異なる励起および発光波長を持つ、いくつかの従来の蛍光標準の測定蛍光強度を、概観的に棒グラフの形で示す。
【図5】ルビーの形状を取る本発明の蛍光標準の測定蛍光強度を、532 nmの励起波長を持つ光による照射時間の関数として示す。
【図6】ルビーの形状を取る本発明の蛍光標準の発光スペクトルの温度依存性を示す。
【図7】摂氏約200または250度に加熱された、ルビーの形状を取る本発明の蛍光標準の蛍光強度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
広範な試験および実験の結果、驚くべきことに、蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む物質または材料は、本発明の下記の詳細な説明から明らかになるように、従来の蛍光標準に勝る数多くの利点を有する、蛍光標準として有利な使用に相応しいものであると判断された。
【0025】
当業者には知られるように、いくつかの天然産鉱物は、少量の一つ以上の活性剤を含み、その際、活性剤は、該鉱物の結晶構造の中に組み込まれる原子、分子、またはイオンの形で存在し、該鉱物が照射によって励起されると、蛍光現象をもたらす。一方、非晶質蛍光鉱物も存在する。これに関して、ある鉱物は、励起光および発射光に関して広範な波長範囲に亘って蛍光を呈することが可能である。理想的蛍光標準は、その用途において対象とされる範囲に存在する光の全スペクトルに亘って事実上定常な蛍光強度を示し、安価で、褪色せず、処理が簡単で、様々な形状に製造することが可能であり、温度変化に対しできるかぎり安定であり、化学的に不活性であり、かつ、経時劣化を示さない。この背景で言うと、化学的不活性とは、該蛍光標準が化学的物質に暴露されても、その蛍光特性を変えないことを意味する。しかしながら、本発明による蛍光標準は、下記にさらに詳述するように化学的に機能化させることも可能である。
【0026】
驚くべきことに、広範な実験の結果、ルビー(天然産または合成)が上記理想に比較的近い蛍光標準であることが示された。しかしさらに、他の材料も、例えば、サファイア、ほたる石、トルコ石、琥珀、ジルコン、ゾイサイト、アイオライトまたは菫青石(コーディェライト)、スピネル、トパーズ、フッ化カルシウム、閃亜鉛鉱またはジンクブレンド、方解石またはキャルクスパ、アパタイト、灰重石またはタングステン酸カルシウム、ケイ酸亜鉛鉱、長石、ソーダライト、ウラニウム鉱石、または、Al3+を含む鉱石も使用が可能である。本発明にしたがって蛍光標準として使用が可能な、その他の蛍光鉱物は、非特許文献1および2に記載される。なお、これらの非特許文献の全体を引用により本明細書に含めることを明言する。
【0027】
当業者であれば、本発明の蛍光標準の特徴をさらに改善するには、特に、広い波長範囲に亘って蛍光強度の低波長依存性について改善するには、異なる蛍光鉱物の混合物において、用途に対し、蛍光強度が所望の波長依存性を持つようにそれらの蛍光鉱物が互いに協力し合う混合物を提供することが有利となる可能性のあることを認識するであろう。
【0028】
上記蛍光鉱物に、下記の活性剤またはそれらの組み合わせの内の一つをドープ(微量添加)してもよい、すなわち、二価のマンガン、鉛、アンチモン、セリウム、特に、三価のセリウム、三価のクロム、二価または三価の鉄、三価または四価のチタン、銅、銀、二価のサマリウム、二価または三価のユーロピウム、三価のテルビウム、三価のジスプロシウム、三価のホルミウム、三価のエルビウム、ウラニル化合物、ルテニウム化合物、タングステン酸化合物、モリブデン酸化合物、硫黄、および、その他の希土類である。この文脈では、活性剤は、添加不純物(ドーパント)として0.001%から20%(重量パーセント)存在してもよい。
【0029】
本発明の利点は、上記鉱物が、少なくとも一つの活性剤と組み合わせて適用可能である場合、UV光によって励起されるときに蛍光を発するだけでなく、広い波長範囲において、すなわち、ある場合には600 nmを超える波長でも励起可能となることである。
【0030】
天然の蛍光鉱物の外にも、合成的に生産される鉱物(よく、合成宝石原石とも呼ばれる)も、蛍光標準として本発明の使用にとって好適である。例えば、下記の鉱物または宝石原石は、合成的に生産することが可能であり、市販されている、すなわち、ダイヤモンド、炭化ケイ素(モアサナイト)、ルビー、サファイア、ジルコン、緑柱石、エメラルド、オパール、水晶、翡翠、トパーズ、トルコ石、ラピス・ラズリ、金緑石、琥珀、スピネル、電気石、タンザナイト、ジンクブレンド、ウルツ鉱、およびその他である。合成鉱物または宝石原石の詳細な記述に関して、我々は、当業者に対し非特許文献3への参照を挙げる。なお、この文献の全体を引用により本明細書に含める。
【0031】
蛍光標準として使用される、本発明の上述の蛍光鉱物は、通常固体であるので、蛍光標準として、所望の用途に応じて種々の形態で、例えば、薄片、円筒形、プリズム形、または、その他、研磨済みか、または肌理の粗い、切断、圧潰、細切された幾何学的形状、好ましくは、あらゆる大きさに加工、または調製/生産することが可能な粉末、または、埋設または重合粉末として提供することが可能である。粉砕は、無駄が生産されず、切断および研磨の高コストが排除され、蛍光標準の不均等が平均化され、異なる材料から成る粉末は一緒に混ぜ合わせることが可能であるという点で有利であり、さらに、粉末は、他の材料(例えば、ポリマー、樹脂、ゲルなど)の中に埋設することが可能である。
【0032】
蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物は、図1aに模式的に示すように、円筒形を有することが好ましい。このために、例えば、粉砕ルビー(例えば、ルビーナノ粒子)は、ポリマー(例えば、COC[環状オレフィンコポリマー]、COP[環状オレフィンポリマー]、アクリル、その他)、またはヒドロゲルの中に埋設することが可能であり、種々の直径および長さを持つ円筒形として金型成形する、いわば完全重合である、ことが可能である。そのような円筒は必要に応じて適宜短い複数の円筒に切断できる。これは、種々の円筒サイズのための、簡単で、経済的な生産法を代表する。上述したように、蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物は、図1aでは円筒形状を有するが、円筒2の長さおよび直径は、円筒4の長さおよび直径よりは小さい。
【0033】
蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物の円筒形状が好まれるもう一つの理由は、この形態で蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物は、例えば、対応器械を較正する目的で、該器械の対応形状細孔の中にきわめて容易に挿入することが可能だからである。
【0034】
蛍光標準として使用される、上述の本発明の蛍光鉱物は、複数のサンプルを収容するためのサンプルプレートまたはサンプル担体の中に組み込みが可能であると有利である。このサンプルプレートは、例えば、顕微鏡スライド、または、複数ウェル(例えば、96ウェル)を有するマイクロタイタープレートとして導入されてもよい。このコンセプトでは、全体顕微鏡スライドまたはマイクロタイタープレート、または、その一部を、蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物から製造することが可能である。それとは別に、本発明のサンプル担体は、複数の毛細管、セル、反応容器、ゲル、ポリマー、チューブ、および/または微少流チップを収容するように設計することも可能である。
【0035】
マイクロタイタープレートの場合は、蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物は、ウェルの少なくとも一つの中に配置することが可能である。例えば、蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物が上述の円筒形状として存在する場合、マイクロタイタープレートのウェルは、それに対応して相補的円筒形状を有するならば、蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物は、これらのウェルの一つ以上の中に簡単に挿入することが可能であり、すなわち、それは、取り外すことが可能であり、あるいは、例えば、接着性結合によって恒久的にサンプルプレートに結合される。
【0036】
図1bおよび1cに、複数のサンプルを収容するためのサンプルプレートの、別の1つの好ましい実施態様が示される。この場合、蛍光標準として使用される、上述の本発明の蛍光鉱物が一体的に組み込み可能であるときわめて有利である。図1bおよび1cに示すサンプルプレートは、複数ウェル12a、12b、12c、14a、14b、14cを有するウェルプレートであり、これらのウェルは、ウェルプレート10を完全に貫通して延び、そのサイズは、これらのウェル12a、12b、12c、14a、14b、14cの中に導入されるサンプルが、毛管力によって重力に抗してウェル内に保持されるような寸法を持つ。図1bおよび1cに示すウェルプレート10は、例示として、6ウェル12a、12b、12c、14a、14b、14cを有し、ここに、ウェル12a、12b、12cの直径は、14a、14b、14cの直径よりも小さい。しかしながら、当業者であれば、本発明は、図1aおよび1bに示すウェルの数、形状、および配置に限定されるものではないことを認識するであろう。
【0037】
ちょうど、上述の顕微鏡スライドおよびマイクロタイタープレートの場合と同様、ウェルプレート10全体、または、そのほんの一部だけを、本発明にしたがって、蛍光標準として使用される蛍光鉱物から製造することも可能である。
【0038】
しかしながら、図1の円筒形2および4と同様の円筒形状の蛍光標準として使用される蛍光鉱物が、ウェルプレート10のウェルの少なくとも一つの中に挿入されると、それは好ましい。したがって、例えば、蛍光標準として使用される蛍光鉱物は、図1bに示すウェルプレート10のウェル12bおよび14bのそれぞれの中に配置される。ウェル12aおよび14aの中に配置されるものは液体サンプルであり、ウェル12cおよび14cは空っぽである。上述のマイクロタイタープレートの場合と同様、蛍光標準として使用される、円筒形蛍光鉱物は、ウェルプレート10の中に、取り外し可能となるように、あるいは、例えば、接着性結合によって恒久的にウェルプレート10に対して結合されるように挿入することが可能である。本発明にしたがって使用するのに好適な、ウェルプレートのさらに別の好ましい実施態様は、特許文献1においてさらに詳細に記述される。なお、この文献を引用により完全に本明細書に含めることを明言する。
【0039】
ESE GmbH、ドイツによって販売され、特許文献2によってさらに詳細に記述される、図2に示す光学測定器械50は、上述の蛍光標準およびサンプルプレートと共用するのに特に好適であることが判明している。なお、この文献を引用により完全に本明細書に含めることを明言する。測定器械50は、測定を実行するための光学および電子成分を含む、モノリシック電子光学モジュール52を含む。このモジュールは、これについても同様に上述の特許文献2にさらに詳細に記述される、共焦点設計の光学機器を有する。
【0040】
さらに、測定器械50は、サンプルプレート56を収容するための挿入部54を含み、サンプルプレートは、蛍光標準として使用される蛍光鉱物が、本発明にしたがってその中に組み込まれる、上述のサンプルプレートの一つであってもよい、すなわち、顕微鏡スライド、マイクロタイタープレート、またはウェルプレートであってもよい。サンプルプレート56は、挿入部54の中に設置し、モジュール52に対して相対的に移動させることが可能である。それに加えてさらに、またはそれとは別に、モジュール52は、サンプルプレート56に対して相対的に移動が可能である。測定器械50はさらに、測定を制御するためのキーパッドまたは制御パネル58、および、これまでに得られた測定結果を表示するためのディスプレイ60を備える。
【0041】
上述の、本発明の蛍光標準、および、そのような蛍光標準から製造されるサンプルプレートは、定常状態の蛍光、時間分解蛍光、蛍光寿命、および/または、蛍光偏光を測定するために使用される器械の較正に好適である。この文脈では、較正実行または較正という概念は、蛍光信号の波長、蛍光信号の強度、蛍光信号の寿命または長さ、および/または、サンプルプレートの配向性に関する。配向性は、光学リーダーに対してプレートを相対的に動かすことによって制御または調整することが可能であり、すなわち、最大蛍光強度が観察される位置にプレートを動かすことが可能である。
【0042】
本発明の蛍光標準は、例えば、蛍光センサーの正確性および操作機能性を監視するために使用すべきである。この蛍光標準は、例えば、分析器械(例えば、上述の光学的測定器械50)の中に、その器械の機能性を保証するために組み込むことが可能である。例えば、器械は、センサー機能を含む自己試験を実行する。その実行の際、センサーは、該蛍光標準を照射し、該標準の蛍光強度を測定する。次に、この値は、保存値と比較される。両方の値が承認される許容範囲内にあるならば、この自己試験は合格と報告される。このプロセスの際、該器械の光源、検出器、電子部品、およびさらに機械部品(先ずセンサーを動かさなければならない場合)がチェックされる。
【0043】
本発明の蛍光鉱物の使用は、強度測定のみに限定されない。蛍光は、強度測定として実行されるだけでなく、時間分解的に励起状態の寿命決定、偏光測定、変調強度によって励起される蛍光の位相シフト測定、および、回転相関時間の測定としても実行が可能であり、蛍光分子は励起から発光までの時間遅延の際動くことが可能であるためであり、かつ、偏光的に発光する場合は、ある特定の固体角度に亘って光を放射することが可能である。したがって、本発明の蛍光鉱物、またはそれらの混合物は、これらのタイプの蛍光測定全てのための標準として使用することが可能である。
【0044】
本発明の蛍光鉱物の使用は、蛍光標準としてのその使用に限定されるものではなく、むしろ、これらの鉱物は、色標準または反射光測定標準として、一般に光学的標準として使用することが可能である。
【0045】
同様に、本発明の蛍光鉱物は、例えば、表面に対する官能基の化学的付着によって機能化させることが可能である。当業者であれば、コランダム/ルビー/サファイアまたはケイ酸塩などの酸化物は、シリコン化学(シラン類、シロキサン類)によって、比較的簡単に、あらゆる可能な官能基を装備することが可能であることを認識するであろう。さらに、本発明の蛍光鉱物は、ペレットまたはビーズ、特にナノビーズの中に封入し、それらをフローカウンター中で使用することも可能である。
【0046】
さらに、本発明によれば、所望のいずれの産物または対象物についても、本発明の蛍光標準によって一意に(uniquely)特定することが可能である。すなわち、蛍光標準として使用される本発明の蛍光鉱物は、光、温度、およびその他の影響に関して安定であり、そのため、例えば、ラベル、バーコード、包装などと共に簡単に抱き合わせることが可能であり、しかもそれでいて、比較的長期間後も、高い信頼度で読み取り、認識することが可能である。この設計では、蛍光標準として各種の安定な蛍光鉱物を使用し、色に基づいて、すなわち、異なる波長における強度の組み合わせに基づいて元の対象物を導き出すことが可能である。これは、例えば、スーパーマーケットのキャッシュレジスター、多重化生化学アッセイ、税関、偽造耐性(forgery-resistant)IDカード、貨幣、および、例えば、特注され、追跡可能な画家の絵の具における、供給順列および原札の特定、において重要である。
【0047】
さらに、その蛍光特性を温度検出器として使用することによって、本発明の蛍光鉱物、または、そのような本発明の鉱物を含む物質は、温度の監視、および、測定値の温度較正のために使用することが可能である。蛍光強度は、本発明の蛍光鉱物の温度に依存し、かつ、該蛍光鉱物は比較的高い融点を有するので(例えば、ルビーの融点は摂氏約2050度である)、できれば異なるいくつかの波長において、場合によっては単一波長において蛍光強度に基づく蛍光測定によって温度を確かめることが可能である。この文脈において、従来型の温度測定装置では、最大摂氏2000度を超える範囲をカバーするものはごく僅かしかないこと--しかしながら、これは、例えば、工業的焼結プロセスではきわめて重要である--は興味深い。
【0048】
例えば、ルビーのもう一つの利点は、それが無毒であり、溶解しにくいことがある。このため、ルビーは、医用技術において、例えば、インプラントにおいて、および、多くの診断目的のために、例えば、インプラントにおけるグルコース含量監視用標準として使用することが可能である。
【実施例1】
【0049】
蛍光標準としての使用について、市販の着色ガラスを本発明の鉱物と比較した。本比較では、励起(図では略号Exで表す)は、365 nmから660 nmの範囲の数値において行い、発光は、ESE FluoSensセンサーとして導入した上述の測定器械50によって、480 nmから720 nmの範囲の数値において測定した。
【0050】
使用された比較ガラスは、ショット(Schott)ガラス会社から市販される着色ガラスで、製品名OG 550(融解数:339636、寸法50.0×50.0 mm、厚み1.0 mm)、OY 530(寸法13.0 mm、直径、厚み2.0 mm)、および、OY 570(寸法13.0 mm、厚み2.0 mm)である。
【0051】
図3aから3nは、ルビー、琥珀、トルコ石、フッ化カルシウム、および、Schott社から市販される3種の異なる蛍光標準、すなわち、ガラスOG 550、OY 530、およびOY 570について、種々の励起および発光波長における、mVで表した測定蛍光強度を棒グラフの形で示す。
【0052】
蛍光標準として使用される市販のガラスの応用性が限られることは直ちに明らかである。なぜなら、それらは、多くの波長組み合わせにおいて(励起(Ex)/検出(Em))ごく僅かな信号しか示さないか、場合によっては全く信号を示さないからである。
【0053】
それと対照的に、例えば、ルビーは、ほぼ全ての波長組み合わせにおいて、特に、比較的高い波長においてきわめて明瞭な信号を示す。後者の範囲では、「光耐性」を持つ、すなわち、比較的長く照射されても褪色(色あせ)しない蛍光標準として使用される有機化合物はほとんど存在しない。本発明の蛍光鉱物、特にルビーのもう一つの利点は、大きな「ストークスシフト」、すなわち、励起波長(Ex)と発光波長(Em)間の差を持つ、明瞭な蛍光強度であることである。
【0054】
図4aから4fは、種々の波長における試験材料の測定蛍光強度を、概観的に棒グラフの形で示す。図の凡例の中に掲げられるパラメータGは、蛍光センサーの感度設定を表す。一般に、Gの数値が高ければ高いほど感度は高い。Gは、励起用LEDの電力に関係する。LEDに対する電力が高ければ高いほど、それはより明るく輝き、励起はより効率的になる。再び、広い波長範囲に亘る著明な蛍光強度が、特にルビーにおいて目立つ。
【実施例2】
【0055】
図5は、532 nmの励起波長において18 MWの出力を持つレーザーを用いて実行した「褪色」試験の結果を示す。この試験では、ルビーを、該レーザーによって種々の長さの期間照射すなわち励起し、その蛍光強度を測定した。グラフは、回帰直線を示すが、それは事実上水平であった、すなわち、ルビーの蛍光強度は、照射の持続時間とは無関係であり、特に比較的長期の照射期間においてもほとんど減少しない。言い換えると、本発明のルビーを蛍光標準として使用した場合、その蛍光標準の褪色(色あせ)は起こらない。我々はここで単に比較目的のために、従来の、有機物蛍光標準または染料は、日光の強度--これは、18 MWの出力を持つレーザーによって生成される、本実験における励起光よりも、大きさにして数桁低い強度である--を持つ532 nmの励起波長においてわずか数分で事実上褪色することを注意しておく。
【実施例3】
【0056】
図6は、種々の温度におけるルビーの測定蛍光強度を波長の関数として表すグラフを示す。ルビーは、400 nmの波長の光によって励起した。種々の曲線は、室温と摂氏約65度の間の温度における測定値を示し、最大の蛍光強度は、摂氏約65度の温度で約693 nmの発光波長において測定された。
【実施例4】
【0057】
図7は、もう一つの形の、ルビー蛍光の温度依存性を示す。この実験では、加熱ガンによって、ルビーを摂氏約200または250度に加熱した。加熱ガンによる熱の印加を時間t = 0において停止した後、ルビーは冷却して室温に下がった。ルビーの、この冷却相、すなわち、温度低下相の間、同じ波長(470 nm)において蛍光強度を、および、励起光の強度を、時間の、したがって温度の関数として測定した。測定は、520 nmの波長で行った。
【0058】
当業者であれば、本明細書に記載される、本発明の蛍光鉱物、またはそのような鉱物を含む物質は、上記以外の他のやり方でも有利に使用可能であること、および、それらの使用も、添付の特許請求項に定義される通り、本発明の保護の範囲内に含められることが意図されることを簡単に認識するであろう。特に、当業者であれば、本明細書で用いる「蛍光標準」という用語は、広く考えるべきであり、本発明の鉱物の蛍光特徴、すなわち、適切な励起後、明瞭に定められる波長において測定可能な物理的特性(例えば、強度、偏光、寿命、位相シフト、回転相関時間など)を持つ電磁放射を発射する特徴が使用される全ての応用を含むことを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的標準または蛍光標準としての、蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む物質の使用であって、該鉱物が、天然産鉱物または合成的に生産される鉱物であることが可能である使用。
【請求項2】
前記蛍光鉱物が、コランダム、特に、ルビーまたはサファイア、ほたる石、緑光ほたる石、トルコ石、ジルコン、ゾイサイト、アイオライトまたは菫青石、スピネル、トパーズ、フッ化カルシウム、閃亜鉛鉱またはジンクブレンド、ウルツ鉱、方解石またはキャルクスパ、アパタイト、灰重石またはタングステン酸カルシウム、パウエル石、ケイ酸亜鉛鉱、長石、ソーダライト、ウラニウム鉱石、アパタイトまたはフルオロアパタイトまたはクロールアパタイトまたはヒドロキシルアパタイト、岩塩、タンザナイト、アクアマリン、電気石、透閃石、ジェントヘルビン、ゴナルダイト、ヘルビン、メイオナイト、リューコフェナイト、タグタパイト、ビリオム石、バリライト、ベルリーライト、曹長石、方沸石、ウォーレル石、バスタム石、セレスタイン、コンドロダイト、貴橄欖石または単斜貴橄欖石、金緑石、異極鉱、ヘキサハイドライト、ストロンチアナイト、アンモライト、中性長石、アンケライト、霰石、バーマイト、玉髄、白鉛鉱、チャロアイト、ダイヤモンド、透輝石、ダイアスポア、エカナイト、ユージアライト、フリーデライト、硫カドミウム鉱、グロシュラ、クンツァイト、ラピス・ラズリ、リシア雲母、鉛丹、ノルベルグ石、オリゴクレース、オパール、ペイナイト、フォスゲン石、フォスフォフィライト、ローディサイト、菱マンガン鉱、マグネサイト、硫黄、ショータイト、菱鉄鉱、スパーライト、リシア輝石、鉛重石、バナジナイト、鉄マンガン重石、モリブデン鉛鉱、YAG(ヤグ、イットリウムアルミニウムガーネット)、紅亜鉛鉱、辰砂、ズニアイト、菱亜鉛鉱、硫酸鉛鉱、微斜長石、正長石、ダンブリ石、ラウリオン石、パララウリオン石、ブラソフ石、トール石、ベニト石、フェナカイト、ユークリプタイト、ドロマイト、スワブ石、ペクトライト、チロディ閃石、マンガン斧石、エスパー石、ロブリンガイト、ハースティジャイト、菱カドミウム鉱、ジョンバウム石、藍晶石、ウバロバイト、玻璃長石、スカポライト、モアサナイト(SiC)、キュービックジルコニア、琥珀、珊瑚類、真珠類、真珠層、象牙、または、Al3+または酸化物または水酸化物鉱物を含む鉱石であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
下記の群:二価のマンガン、鉛、アンチモン、セリウム、特に、三価のセリウム、三価のクロム、二価または三価の鉄、三価または四価のチタン、銅、銀、二価のサマリウム、二価または三価のユーロピウム、三価のテルビウム、三価のジスプロシウム、三価のホルミウム、三価のエルビウム、ウラニル化合物、ルテニウム化合物、錫化合物、タリウム化合物、ビスマス化合物、タングステン酸化合物、モリブデン酸化合物、硫黄、バナジウム化合物、ランタン化合物、プラセオジム化合物、ネオジム化合物、プロメチウム化合物、ガドリニウム化合物、ツリウム化合物、イッテルビウム化合物、ルテチウム化合物、から選ばれる活性剤または複数の活性剤の組み合わせを、前記蛍光鉱物が含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記鉱物において、前記活性剤または複数活性剤が、添加不純物として0.001%から20%(重量パーセント)含まれることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、円筒形、プリズム型、平板型、薄片、ペレットまたはビーズ、ナノ粒子、または粉末として存在することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、ポリマー、ゲル、ヒドロゲル、ガラス、または担体基質において埋設または重合されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
蛍光標準としての前記使用が、蛍光の強度、偏光、寿命、位相シフト、および/または回転相関時間の測定を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、蛍光標準として、所望の応用に応じて機能化され、その際、所望の機能を持つ官能基が、該蛍光鉱物の表面に化学的に付着されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、所望の応用のためにナノ粒子中に埋設されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、光学器械を較正するための蛍光標準として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、光学測定器械の器械自己試験を実施するために、または、器械の機能性をチェックするために、蛍光標準として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、化学反応、または生化学的または診断的アッセイまたは試験を較正または読み取るために、蛍光標準として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項13】
読み取りの対象とされる前記アッセイまたは試験が、グルコース監視試験、イムノアッセイ、タンパク質検出アッセイ、細胞アッセイ、細胞カウント試験、ホルモン試験、水分析、食物分析、表面分析、または、核酸試験または核酸増幅試験であることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、分子に対するマーカーとして適用される蛍光標準として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項15】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、産物または対象物を特定するための蛍光標準として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項16】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、温度、特に、該蛍光鉱物の温度を測定し、かつ、運用可能であるならば、温度を制御するための蛍光標準として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項17】
蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む物質を、蛍光標準として使用するために含む、少なくとも一つのサンプルを収容するためのサンプルプレート。
【請求項18】
前記サンプルプレートが、前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質から完全に構成されることを特徴とする、請求項17に記載のサンプルプレート。
【請求項19】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、担体基質中に埋設されることを特徴とする、請求項17に記載のサンプルプレート。
【請求項20】
前記サンプルプレートが、複数のウェルを有するマイクロタイタープレートであることを特徴とする、請求項17に記載のサンプルプレート。
【請求項21】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、蛍光標準として使用されるために、前記サンプルプレートの複数ウェルの少なくとも一つの中に、すなわち、取り外し可能となるように、あるいは、該サンプルプレートに対し恒久的に接着されるように配置されることを特徴とする、請求項17に記載のサンプルプレート。
【請求項22】
前記サンプルプレートがウェルプレートであり、該ウェルプレートにおいて、複数のウェルが該ウェルプレートを完全に貫通して延び、これらのウェルのサイズは、これらのウェル中に導入されるサンプルが、毛管力のために重力に抗して該ウェル中に保持される寸法を持つことを特徴とする、請求項17に記載のサンプルプレート。
【請求項23】
前記蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む前記物質が、蛍光標準として使用されるために、
前記ウェルプレートの複数ウェルの少なくとも一つの中に配置され、かつ、該ウェルプレートのウェルの形状に事実上合致する形状を有することを特徴とする、請求項22に記載のサンプルプレート。
【請求項24】
前記サンプルプレートが、毛細管、セル、反応容器、ゲル、ポリマー、チューブ、または微少流チップであることを特徴とする、請求項17に記載のサンプルプレート。
【請求項25】
電磁放射、特に、UV、可視、および赤外領域並びにX線領域における放射の検出器としての、蛍光鉱物、または蛍光鉱物を含む物質の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図3j】
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【図3k】
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【図3l】
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【図3m】
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【図3n】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−516895(P2011−516895A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504381(P2011−504381)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002830
【国際公開番号】WO2009/127424
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(510260008)キアゲン レイク コンスタンツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】