説明

蛍光標識に基づくポリマー認証方法、認証可能ポリマー、認証可能ポリマー及び認証可能製品の製造方法、並びにそれで製造される製品

認証可能ポリマーが認証信号を有すると共に基板ポリマー及び光学的可変標識を含み、光学的可変標識が経時的に変化する波長又は強度を有する蛍光発光を示し、好ましくは蛍光発光の波長及び強度が経時的に変化する場合において、試験ポリマーが認証可能ポリマーであることを認証する方法であって、光学的可変標識の蛍光を生起させるのに十分な刺激に試験ポリマーを暴露し、試験ポリマーの蛍光からの試験信号を測定し、試験信号が認証可能ポリマーの認証信号と同じであれば試験ポリマーが認証可能ポリマーであると認証することを含んでなる方法が開示される。本発明は特に、コンパクト・ディスク(CD)やディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)のような、ポリカーボネートで作製された情報記憶媒体で使用するための非破壊的認証技術に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマー系製品の認証技術に関し、特に、ポリマー系製品の認証方法、かかる認証を容易にする方法、及び認証可能な製品の製造方法に関する。特に本発明は、コンパクト・ディスク(CD)及びディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)のような、ポリカーボネートで作製された情報記憶媒体で使用するための非破壊認証技術に関する。
【背景技術】
【0002】
CD及びDVDのような情報記憶媒体又は光記憶媒体は、伝統的に機械で読取り可能な符号、音声、映像、テキスト及び/又はグラフィックスのような情報を含んでいる。情報記憶媒体は、多くの場合、ポリカーボネートのようなポリマーで作製された1以上の基板を含んでいる。
【0003】
情報記憶媒体の様々なメーカー及びユーザーが直面している大きな問題は、無許可製造者、販売者及び/又はユーザーによる情報の無許可複製又はコピーである。情報記憶媒体のかかる無許可複製又はコピーは、しばしば海賊行為といわれ、最終使用時点での消費者レベル海賊行為並びに商業レベルでのデータ、基板及び海賊行為防止情報の大規模な複製を含む様々な形態で起こり得る。その形態にかかわらず、情報記憶媒体の海賊行為は合法のソフトウェア及び娯楽コンテンツ供給者及び本来の電子装置製造者から多大の収益及び利得を奪い去る。
【0004】
消費者レベルで海賊行為を止めようとする試みとして、保護すべき情報と共に電子的な海賊行為防止信号を情報担持基板上に配置することが行われてきた。かかる情報記憶媒体の機械リーダー及びプレイヤーは、所望情報へのアクセスを許す前にかかる海賊行為防止信号の確認を要求するように構成されている。理論的には、消費者レベルの複製ではこれらの電子的な海賊行為防止信号を無許可コピー上に複写することができず、したがって得られる複製物及びコピーは使用できない。
【0005】
しかし、かかる消費者レベルの海賊行為防止技術の裏をかくための多数の技術が開発されており、それは今も続いている。その上、商業レベルの複製は、無許可複製物が今では本来の電子的な海賊行為防止回路、コードなどを含む程度にまで進化している。例えば、商業レベルの複製方法には、ピットコピー、高周波(RF)コピー、「ビット・トゥー・ビット」コピー及び他の鏡像コピー技術があり、これらは保護すべき情報と共に海賊行為防止信号も複製物の情報担持基板上に配置する。ハッカーが常用する他の技術には、コンピューターコードを修正することで、海賊行為防止(コピープロテクト又はコピー防止ともいう)特性を除去してデータへの無制限のアクセスを可能にするものもある。
【0006】
これらの一層巧妙な消費者レベル及び商業レベルの複製及びコピー方法に対抗することを目指した1つの海賊行為防止技術は、情報記憶媒体の構成に使用する基板中に「標識」又は認証マーカーを配置することを含んでいる。かかる標識又は認証マーカーは、情報記憶媒体の製造又は配給系統に沿った1以上の時点で、或いは特定のCD又はDVD上のデータにアクセスするために使用する最終用途リーダー又はプレイヤーで検出できる。
【0007】
例えば、米国特許第6099930号(Cyrら)では、ディジタル・コンパクト・ディスクのような材料中に標識物質が配置される。コーティング、混合、ブレンディング又は共重合により、近赤外蛍光物質がコンパクト・ディスク中に導入される。蛍光物質が670〜1100ナノメートルの範囲内の波長を有する電磁放射に暴露された場合、蛍光が検出できる。
【0008】
米国特許第6514617号(Hubbardら)には、有機蛍光染料、無機蛍光物質、有機金属蛍光物質、半導体発光ナノ粒子又はこれらの組合せからなる標識物質を含んでなるポリマーが開示されている。この場合、標識物質は約350℃以上の温度安定性を有すると共に、分光蛍光計によって標識物質を約100〜約1100ナノメートルの励起波長で検出可能とするのに十分な量で存在する。
【0009】
国際公開第00/14736号では、基板材料の1以上の固有の物理的又は化学的特性に頼って情報担持基板の無許可複製を識別する。かかる海賊行為防止特性は、(例えば光ディスクに関しては)ディスクの重量及び/又は密度、ディスクの回転速度、ディスクの加速度及び減速度、ディスクの慣性、ディスクの反射率のような分光特性、ディスクの光透過率のような光学的特性、ディスクの吸水性及び寸法安定性、ディスクのデータ伝送速度並びにディスクのウォッブル度、又はかかる特性の組合せのような性能特性に基づくものであり得る。
【0010】
米国特許第6296911号(Catarineu Guille’n)には、外部刺激に応答して対象物の色変化を得るための方法であって、発光顔料、温度に従って色の変化を可能にする熱変色性顔料、及び/又は湿度に従って色特性の変化を引き起こす吸湿性顔料を含む、複合効果を有する各種顔料を所望の対象物中に配合することを含んでなる方法が開示されている。
【0011】
米国特許第5329127号には、相異なるプラスチックを識別する方法であって、各プラスチックには発光周波数及び/又は蛍光の持続時間について異なる複数の蛍光染料を付与する結果、蛍光の持続時間及び/又は生じる周波数で識別される蛍光パターンを各プラスチックに一義的に割り当てることができる方法が開示されている。
【0012】
しかし、情報記憶媒体の無許可製造者、販売者及び/又はユーザーがかかる方法を出し抜く能力は、ますます巧妙化する方法によって高まり続けている。例えば、情報記憶媒体の無許可製造者は、無許可複製物を製造する目的で、合法的に製造され標識された基板を不法に入手することを知っている。その上、海賊行為の高い利得性は、以前には知られていない標識を同定して同様に標識された情報記憶媒体基板を製造する目的で、一部の無許可製造者及びその供給者が標識基板材料のリバースエンジニアリングを行うことも可能にした。
【0013】
したがって、情報記憶媒体の無許可製造者、販売者及び/又はユーザーにとって現在知られておらず及び/又は利用できない情報記憶媒体の標識及び認証方法を発見することの必要性が存在している。特に、情報記憶媒体基板及び情報記憶媒体を認証する目的で情報記憶媒体基板中に使用するための、入手、複製、使用及び/又は発見するのが困難な認証マーカー又は認証マーカーの組合せを発見することが望ましいであろう。
【特許文献1】米国特許第6099930号明細書
【特許文献2】米国特許第6514617号明細書
【特許文献3】国際公開第00/14736号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6296911号明細書
【特許文献5】米国特許第5329127号明細書
【特許文献6】米国特許第4238524号明細書
【特許文献7】米国特許第4304899号明細書
【特許文献8】米国特許第5005873号明細書
【特許文献9】米国特許第5201921号明細書
【特許文献10】米国特許第5314072号明細書
【特許文献11】米国特許第5423432号明細書
【特許文献12】米国特許第5461136号明細書
【特許文献13】米国特許第5510619号明細書
【特許文献14】米国特許第5553714号明細書
【特許文献15】米国特許第5703229号明細書
【特許文献16】米国特許第5959065号明細書
【特許文献17】米国特許第6001953号明細書
【特許文献18】米国特許第6060577号明細書
【特許文献19】米国特許第6072011号明細書
【特許文献20】米国特許第6143839号明細書
【特許文献21】米国特許第6475588号明細書
【特許文献22】米国特許第6475589号明細書
【特許文献23】米国特許第6477134号明細書
【特許文献24】米国特許第6537636号明細書
【特許文献25】米国特許第6607814号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2002/0149003号明細書
【特許文献27】英国特許第2264558号明細書
【特許文献28】英国特許第2330408号明細書
【特許文献29】特開平08−096508号公報
【特許文献30】特開平08−138268号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書には、ポリマー又は製品の認証方法、認証可能ポリマー、認証可能ポリマー及び製品の製造方法、並びに開示された方法で製造される認証可能製品に関する実施形態が開示される。
【0015】
一実施形態では、試験ポリマーが認証可能ポリマーであることを認証する方法であって、認証可能ポリマーが認証信号を有していて基板ポリマーと光学的可変標識とを含んでおり、光学的可変標識が経時的に変化する波長又は強度を有する蛍光発光を示すものであり、当該方法が、光学的可変標識の蛍光を生起させるのに十分な刺激に試験ポリマーを暴露し、試験ポリマーの蛍光からの試験信号を測定し、試験信号が認証可能ポリマーの認証信号と同じであれば試験ポリマーが認証可能ポリマーであると認証することを含んでなる方法が開示される。
【0016】
別の実施形態では、基板ポリマー、及び経時的に変化する波長又は強度を有する蛍光発光を示す光学的可変標識を含んでなる認証可能ポリマーが開示される。
【0017】
また、認証可能ポリマーの製造方法であって、基板ポリマーと光学的可変標識を組合せて認証可能ポリマーを製造することを含んでなり、光学的可変標識が経時的に変化する波長又は強度を有する蛍光発光を示すものである方法も開示される。
【0018】
最後に、認証可能製品の製造方法であって、特許請求の範囲に開示される認証可能ポリマーを用意し、認証可能ポリマーから認証可能製品を形成することを含んでなる方法が開示される。
【0019】
図面の簡単な説明
次に、例示的であって限定的ではない図面について説明する。
【0020】
図1A、1B、1C及び1Dは、ポリカーボネート中に配合した蛍光標識tert−ブチルフェニルオキサジアゾールの時間依存性蛍光スペクトルに対する濃度の効果を示すグラフである。
【0021】
図2は、ポリカーボネート中に配合した様々なレベルのtert−ブチルフェニルオキサジアゾールを含む試料の386nmでの時間依存性蛍光強度を示すグラフである。
【0022】
図3は、386nmでの蛍光強度をポリカーボネート中のtert−ブチルフェニルオキサジアゾールの濃度の関数として示す検量線の図である。
【0023】
図4は、2つの適正に選択された蛍光波長の蛍光強度の比は、基板ポリマー中に標識が存在しなければ測定時間の関数として減少し、標識が様々なレベルで存在すれば増加することを示すグラフである。
【0024】
図5は、ポリマー中の標識のレベルと2.5分の測定後の蛍光比との間に直接の相関関係があることを示す図である。
【0025】
図6A、6B、6C及び6Dは、測定中における蛍光ピーク位置のシフトに基づいて標識の存在及び量を測定することを示している。
【0026】
図7は、ポリカーボネート中に様々な濃度のビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含む試料の386nmでの時間依存性蛍光強度を示している。
【0027】
図8は、ポリカーボネート中に配合した様々なレベルのビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含む試料の386nmでの時間依存性蛍光強度を示すグラフである。
【0028】
図9は、様々なレベルのビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含むポリマーに関し、2つの選択された蛍光波長の蛍光強度の比を測定時間の関数として示す図である。
【0029】
図10は、ポリマー中のビス(ビフェニル)オキサジアゾールのレベルと2.5分の測定前後の蛍光比との間に直接の相関関係があることを示す図である。
【0030】
図11A、11B及び11Cは、様々な濃度のビス(ビフェニル)オキサジアゾール及び対照品の吸収スペクトルを示している。
【0031】
図12は、0.001pphのビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含む標識ポリマー及びビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含まない対照品からの蛍光を比較して示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本明細書には、認証可能ポリマー及びポリマー系製品の認証を容易にする方法、並びに認証可能製品を製造するために使用できる認証可能ポリマーの製造方法が開示される。本明細書に開示される認証可能ポリマーを様々なポリマー系製品中に使用することは、製造系統に沿った任意の時点、配給系統に沿った任意の時点、販売時点、又は製品の使用時点で1以上の関係者が認証可能ポリマーの有無を確認又は認定することを可能にする。
【0033】
本明細書に開示される認証可能ポリマーは、本明細書に開示される認証方法に関しては参照標準として使用される。開示される試験ポリマーの認証方法は、価値ある情報を提供する。例えば、試験ポリマーを認証可能ポリマーとして認定することは、試験ポリマー又は試験製品の供給源、試験ポリマーの組成、試験ポリマー又は試験製品が無許可複製物又はコピーであるか否か、試験ポリマーの通し番号(又はロット番号)、製造日などの1以上の情報を提供し得る。場合によっては、試験ポリマーが認証可能ポリマーであると認証できないことは、無許可複製又はコピーの証拠として役立つ。本明細書に開示される認証可能ポリマーは、認証可能製品を形成するために使用できる。開示される認証方法は、ポリマー又は製品を認証するために使用できる。
【0034】
開示される認証可能ポリマーは、一般に基板ポリマー及び光学的可変標識を含んでなる。
【0035】
基板ポリマーとして使用できる好適なポリマーの若干の可能な例には、特に限定されないが、非晶質、結晶質及び半結晶質熱可塑性材料、即ち、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(特に限定されないが、線状及び環状ポリオレフィンを包含し、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレンなどを含む)、ポリエステル(特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルメチレンテレフタレートなどを含む)、ポリアミド、ポリスルホン(特に限定されないが、水素化ポリスルホンなどを含む)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ポリスチレン(特に限定されないが、水素化ポリスチレン、シンジオタクチック及びアタクチックポリスチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、スチレン−コ−アクリロニトリル、スチレン−コ−無水マレイン酸などを含む)、ポリブタジエン、ポリアクリレート(特に限定されないが、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−ポリイミドコポリマーなどを含む)、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(特に限定されないが、2,6−ジメチルフェノールから導かれるもの、2,3,6−トリメチルフェノールとのコポリマーなどを含む)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、液晶ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、芳香族ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン及びテフロン(登録商標)、並びにエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、無機充填材入りシリコーン、ビス−マレイミド、シアネートエステル、ビニル樹脂及びベンゾシクロブテン樹脂のような熱硬化性樹脂、加えて上述のプラスチックの1種以上を含むブレンド、コポリマー、混合物、反応生成物及び複合物がある。
【0036】
本明細書で使用する「ポリカーボネート」、「ポリカーボネート組成物」及び「芳香族カーボネート連鎖単位を含む組成物」という用語は、下記の式(I)の構造単位を有する組成物を包含する。
【0037】
【化1】

式中、R基の総数の約60%以上は芳香族有機基であり、その残部は脂肪族基、脂環式基又は芳香族基である。好ましくは、Rは芳香族有機基であり、さらに好ましくは下記の式(II)の基である。
【0038】
【化2】

式中、A及びAの各々は単環式二価アリール基であり、YはAとAとを隔てる1つ又は2つの原子を有する橋かけ基である。例示的な実施形態では、1つの原子がAとAとを隔てている。この種の基の非限定的な実例は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、メチレン、シクロヘキシル−メチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン及びアダマンチリデンである。橋かけ基Yは、炭化水素基或いは飽和炭化水素基(例えばメチレン、シクロヘキシリデン又はイソプロピリデン)であり得る。
【0039】
ポリカーボネートは、ただ1つの原子がAとAとを隔てているジヒドロキシ化合物の界面反応で製造できる。本明細書で使用する「ジヒドロキシ化合物」という用語は、例えば、下記の一般式(III)を有するビスフェノール化合物を包含する。
【0040】
【化3】

式中、R及びRは各々ハロゲン原子又は一価炭化水素基を表し、同一であっても相異なっていてもよく、p及びqは各々独立に0〜4の整数であり、Xは下記の式(IV)の基の1つを表す。
【0041】
【化4】

式中、R及びRは各々独立に水素原子又は一価線状若しくは環状炭化水素基を表し、Rは二価炭化水素基である。
【0042】
好適なジヒドロキシ化合物の若干の非限定的な実例には、二価フェノール、及び米国特許第4217438号に名称又は式(一般式若しくは特定式)で開示されているジヒドロキシ置換芳香族炭化水素がある。式(III)で表すことができる種類のビスフェノール化合物の具体例の非排他的リストには、下記のものが包含される。即ち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以後は「ビスフェノールA」又は「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシーt−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカンなど、並びに上述のものを含む組合せである。
【0043】
また、ホモポリマーではなくカーボネートコポリマーの使用が所望される場合には、2種以上の二価フェノール、或いは二価フェノールとグリコール、ヒドロキシ−若しくは酸−末端ポリエステル、二塩基酸又はヒドロキシ酸とのコポリマーを使用することも可能である。ポリアリーレート及びポリエステルカーボネート樹脂又はこれらのブレンドも使用できる。枝分れポリカーボネート並びに線状ポリカーボネートと枝分れポリカーボネートのブレンドも有用である。枝分れポリカーボネートは、重合中に枝分れ剤を添加することで製造できる。
【0044】
これらの枝分れ剤は公知であり、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、及び上述のものの1種以上を含む混合物であり得る3以上の官能基を含む多官能性有機化合物を包含し得る。その具体例には、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメリト酸三塩化物、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビスフェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エチル)−α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸などがある。枝分れ剤は、約0.05〜2.0重量%のレベルで添加し得る。枝分れ剤及び枝分れポリカーボネートの製造方法は、米国特許第3635895号及び同第4001184号に記載されている。本発明では、あらゆる種類のポリカーボネート末端基が想定されている。
【0045】
一実施形態では、ポリマーは、A及びAの各々がp−フェニレンであり、YがイソプロピリデンであるビスフェノールAを基剤とするポリカーボネートである。一実施形態では、ポリカーボネートの平均分子量は約5000〜約100000である。別の例示的な実施形態では、ポリマーとして使用するポリカーボネートの平均分子量は約10000〜約65000であるのに対し、別の例示的な実施形態では、ポリマーとして使用するポリカーボネートは約15000〜約35000の平均分子量を有する。
【0046】
ポリカーボネート合成の監視及び評価に際しては、ポリカーボネート中に存在するフリース生成物の濃度を測定することが特に重要である。米国特許第5151491号及び同第5142018号に記載されているもののような、溶融法又は活性化カーボネート溶融法で製造されるポリカーボネートは、通例、顕著に高い濃度のフリース生成物を含んでいる。前述の通り、顕著なフリース生成物の生成はポリマーの枝分れを引き起こし、制御不可能な溶融物挙動をもたらすことがある。本明細書で使用する「フリース」及び「フリース生成物」という用語は、下記の式(V)を有するポリカーボネート中の繰返し単位を意味する。
【0047】
【化5】

式中、Xは上記の式(III)に関連して記載した二価基である。
【0048】
基板ポリマーとして使用するのに適したポリカーボネート組成物は、この種の樹脂組成物中に通常配合される各種の添加剤も含み得る。かかる添加剤は、例えば、充填材又は補強材、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、追加の樹脂、発泡剤など、並びに上述の添加剤の1種以上を含む組合せである。充填材又は補強材の例には、ガラス繊維、石綿、炭素繊維、シリカ、タルク及び炭酸カルシウムがある。熱安定剤の例には、トリフェニルホスファイト、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(混合モノ−及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、ジメチルベンゼンホスホネート及びトリメチルホスフェートがある。酸化防止剤の例には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート及びペンタエリトリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]がある。光安定剤の例には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンがある。可塑剤の例には、ジオクチル−4,5−エポキシ−ヘキサヒドロフタレート、トリス(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリステアリン及びエポキシ化大豆油がある。帯電防止剤の例には、グリセロールモノステアレート、ステアリルスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがある。離型剤の例には、ステアリルステアレート、みつろう、モンタンろう及びパラフィンろうがある。他の樹脂の例には、特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート及びポリフェニレンオキシドがある。上述の添加剤の任意の組合せも使用できる。かかる添加剤は、組成物を製造するための成分混合中の適当な時点で混合できる。
【0049】
「光学的可変標識」という用語は、一般に、蛍光強度及び/又は波長が時間の関数として変化する蛍光発光を示す化合物をいう。認証可能ポリマーは、光学的可変標識の可変蛍光発光に基づく認証信号を有する。一実施形態では、本明細書に開示される認証可能ポリマーは数回にわたり評価し得るように設計できる(即ち、認証信号が反復性のものである)のに対し、他の実施形態では、1以上の認証過程後に分解する光学的可変標識を使用することで認証信号は1回だけ評価できる。例示的な一実施形態では、認証可能ポリマーは、複数回にわたり(例えば、配給又は供給系統中の様々な時点で)認証できる光学的可変標識を含む。
【0050】
一実施形態では、本明細書に開示される認証可能ポリマーは、光学的可変標識の蛍光発光の固有波長のシフト(即ち、認証時間中における可変蛍光ピーク位置)である認証信号で確認できる。認証可能ポリマー中に使用する基板ポリマーは、光学的可変標識の不存在下ではいかなる波長シフトも示さない。一実施形態では、光学的可変標識は肉眼には見えない蛍光発光を有する。これは、発光が可視域内にないか、又は隠されている(例えば、ポリカーボネートの「自然」蛍光発光の陰に隠されている)からである。さらに別の一実施形態では、認証可能ポリマー又は製品中の光学的可変標識の存在は、標準UVランプを用いて目視で検出することはできなかった。
【0051】
光学的可変標識は、経時的に変化する波長及び強度を有する蛍光発光を示す。一実施形態では、光学的可変標識は、初期時刻での第一のピーク位置及び第二の後の時刻での第二のピーク位置で特徴づけられる蛍光発光を示す。第二のピーク位置は、一般に第一のピーク位置からのシフトで確認できる。一実施形態では、蛍光発光の第一のピーク位置は約160〜約1100nmにあるのに対し、蛍光発光の他のピーク位置は第一のピークから約2〜約300nmだけシフトしている。例示的な一実施形態では、第一のピークは約250〜約750nmにあるのに対し、第二のピークは約5〜約200nmだけシフトしている。別の例示的な実施形態では、第一のピークは約300〜約700nmにあるのに対し、第二のピークは約10〜約100nmだけシフトしている。
【0052】
別の実施形態では、本明細書に開示される認証可能ポリマーは、2以上の予備選択波長での発光強度の蛍光比の所定変化である認証信号で確認できる。これらの予備選択波長は、光学的可変標識を含まないポリマーの蛍光比がある方向に変化する(通常は減少する)のに対し、光学的可変標識を含む認証可能ポリマーの蛍光比は反対の方向に変化する(通常は増加する)ように選択される。
【0053】
予備選択波長は、好ましくは最大蛍光発光として選択される。通例、第一の予備選択波長は第一のピーク発光に対応する一方、第二の予備選択波長は第二のピーク発光に対応する。一実施形態では、予備選択波長は約160〜1100nmである。例示的な一実施形態では、1つの予備選択波長は最大ピーク発光の±10nm以内の波長に選択される。別の実施形態では、予備選択波長は最大ピーク発光の±30nm以内の波長に選択される。さらに別の実施形態では、予備選択波長は最大ピーク発光の±50nm以内の波長に選択される。例示的な一実施形態では、1以上の予備選択波長は約300〜約400nmの範囲内にある。
【0054】
一実施形態では、蛍光強度の比は認証過程中に最初又は初期の蛍光比に比べて±5%以上変化する。即ち、蛍光強度の比は最初又は初期の値に比べて5%増減し得る。別の実施形態では、変化は約±25%以上になる。さらに別の実施形態では、変化は約±95%以上になる。さらに別の実施形態では、蛍光比の変化は約5〜約200%である。
【0055】
さらに、光学的可変標識を含む認証可能ポリマーの認証信号は、光学的可変標識の蛍光発光の可変強度でもあり得る。
【0056】
蛍光発光の変化は、経時的に完全な発光スペクトルの変化又はスペクトルの局部の変化を観察すること(即ち、標識発光のピーク位置における蛍光発光の離散強度を観察すること)で検出できる。
【0057】
例示的な一実施形態では、強度の変化は、時刻T1及び時刻T2(T2はT1より大きい)での強度の差の関数として経時的に評価される。実施形態では、T1及びT2での信号の間には10%以上の差が存在する。認証信号が反復性のものである一実施形態では、T1及びT2での信号の間の差は10〜90%であるのに対し、別の実施形態では、差は15〜75%である。例示的な一実施形態では、反復性の認証信号は20〜40%の差を有する。認証信号が反復性のものでない別の実施形態では、T1及びT2での信号の間の差は10〜100%である。
【0058】
開示される方法で使用するために好適な光学的可変標識は、一般に、ポリマー母材と化学的適合性を有すると共に、エンジニアリングプラスチックの配合、特にポリマー基板の加工条件に矛盾しない熱安定性を有するように選択される蛍光又は発光物質である。一実施形態では、光学的可変標識は比較的良好な熱安定性及びポリカーボネートとの適合性を有するように選択される。
【0059】
一実施形態では、安定な光学的可変標識はオキサジアゾール誘導体又は発光共役ポリマーの1種以上である。好適な発光共役ポリマーの実例は、ポリ−p−フェニレンビニレン誘導体のような青色発光ポリマーである。好適なオキサジアゾール誘導体の実例には、2位がビフェニル又は置換ビフェニルで置換され、5位がフェニル誘導体で置換されたオキサジアゾール誘導体がある。
【0060】
例示的な一実施形態では、光学的可変標識は、tert−ブチルフェニルオキサジアゾール、ビス(ビフェニリル)オキサジアゾール、又はtert−ブチルフェニルオキサジアゾールとビス(ビフェニリル)オキサジアゾールの混合物の1種である。例示的な一実施形態では、光学的可変標識はtert−ブチルフェニルオキサジアゾールである。別の例示的な実施形態では、光学的可変標識はビス(ビフェニリル)オキサジアゾールである。
【0061】
光学的可変標識は、蛍光分光法で検出するのに十分な量で基板ポリマー中に添加される。一実施形態では、光学的可変標識は、認証可能ポリマーの重量を基準にして約2重量%以下の量で認証可能ポリマー中に存在する。別の実施形態では、光学的可変標識は、認証可能ポリマーの全重量を基準にして約10−18重量%以下の量で認証可能ポリマー中に存在する。例示的な一実施形態では、光学的可変標識は、認証可能ポリマーの全重量を基準にして約10−12重量%以下の量で認証可能ポリマー中に存在する。さらに別の例示的な実施形態では、光学的可変標識は、認証可能ポリマーの全重量を基準にして約10−6重量%以下の量で認証可能ポリマー中に存在する。一実施形態では、光学的可変標識は、認証可能ポリマーの全重量を基準にして約0.0001重量%以上の量で認証可能ポリマー中に存在する。別の実施形態では、光学的可変標識は、認証可能ポリマーの重量を基準にして約0.0001〜0.05重量%の添加量で認証可能ポリマー又は製品(例えば、光記憶ディスク)中に存在する。
【0062】
本明細書に開示される認証可能ポリマー中には、非光学的可変化合物を任意に使用できる。例示的な一実施形態では、非光学的可変化合物は光学的可変標識からの信号を増強させるように選択された蛍光標識である。本明細書で使用する蛍光標識とは、有機蛍光物質、無機蛍光物質、有機金属蛍光物質、半導体発光ナノ粒子及びこれらの組合せの1種以上をいう。その上、使用する蛍光標識はポリマー添加剤並びにポリマーの化学的及び物理的老化に対して感受性を示さない。
【0063】
例示的な一実施形態では、蛍光標識は、周囲環境条件に対して高い頑強性を示すと共に、約350℃以上、好ましくは約375℃以上、さらに好ましくは約400℃以上の温度安定性を示す部類の染料から選択される。通例、蛍光標識は約20秒以上の時間にわたって温度安定性を有する。一実施形態では、蛍光標識は約1分以上の時間にわたって温度安定性を有するのに対し、別の実施形態では、蛍光標識は約5分以上の時間にわたって温度安定性を有する。一実施形態では、蛍光標識は約10分以上の時間にわたって温度安定性を有する。
【0064】
光学的可変標識及び/又は蛍光標識は、母材吸収の陰に隠れていることが望ましい。母材吸収とは、本明細書では、ポリマー基板或いは標識ポリマー配合物中に存在する任意の添加剤又は着色剤に由来する基幹吸収として定義される。一般に、増強用蛍光標識は、光学的可変標識の吸収と重なり合う励起波長を有するように選択される。一実施形態では、蛍光標識の発光及び励起波長は光学的可変標識のものと重なり合う。かかる蛍光標識を使用する場合、試験信号を評価する検出波長は通例は蛍光標識の最大発光であり、認証波長又は波長スペクトルは蛍光標識の最大励起波長である。一実施形態では、認証波長又は波長スペクトルは蛍光標識の最大励起波長の±50nm以内にあるのに対し、別の実施形態では、認証波長又は波長スペクトルは蛍光標識の最大励起波長の±30nm以内にある。例示的な一実施形態では、認証波長又は波長スペクトルは蛍光標識の最大励起波長の±10nm以内にある。
【0065】
好適な蛍光標識の励起範囲は、典型的には約100〜約1100ナノメートル、さらに典型的には約200〜約1000ナノメートル、最も典型的には約250〜約950ナノメートルである。好適な蛍光標識の発光範囲は、典型的には約250〜約2500ナノメートルである。
【0066】
例示的な蛍光標識には、下記の染料、特に限定されないが、米国特許第5573909号に記載されたものを始めとするポリアザインダセン類又はクマリン類のような染料からなる蛍光標識がある。他の好適な部類の染料には、ランタニド錯体、炭化水素及び置換炭化水素染料、多環式芳香族炭化水素、シンチレーション染料(好ましくはオキサゾール類及びオキサジアゾール類)、アリール置換及びヘテロアリール置換ポリオレフィン(C〜Cオレフィン部分)、カルボシアニン染料、フタロシアニン染料及び顔料、オキサジン染料、カルボスチリル染料、ポルフィリン染料、アクリジン染料、アントラキノン染料、アントラピリドン染料、ナフタルイミド染料、ベンゾイミダゾール誘導体、アリールメタン染料、アゾ染料、ジアゾニウム染料、ニトロ染料、キノンイミン染料、テトラゾリウム染料、チアゾール染料、ペリレン染料、ペリノン染料、ビス−ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT)、キサンテン及びチオキサンテン染料、並びにインジゴイド及びチオインジゴイド染料がある。蛍光標識にはまた、近赤外波長の光を吸収して可視波長の光を放出する反ストークスシフト染料がある。
【0067】
以下は、蛍光標識として有用で商業的に入手できる好適な蛍光染料及び/又は発光染料の部分リストである。即ち、5−アミノ−9−ジエチルイミノベンゾ(a)フェノキサゾニウムペルクロレート、7−アミノ−4−メチルカルボスチリル、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ビフェニリル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ビフェニル)−6−フェニルベンゾオキサゾール−1,3、2,5−ビス(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ビフェニリル)オキサゾール、4,4’−ビス(2−ブチルオクチルオキシ)−p−クアテルフェニル、p−ビス(o−メチルスチリル)ベンゼン、5,9−ジアミノベンゾ(a)フェノキサゾニウムペルクロレート、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン、1,1’−ジエチル−2,2’−カルボシアニンヨージド、1,1’−ジエチル−4,4’−カルボシアニンヨージド、3,3’−ジエチル−4,4’,5,5’−ジベンゾチアトリカルボシアニンヨージド、1,1’−ジエチル−4,4’−ジカルボシアニンヨージド、1,1’−ジエチル−2,2’−ジカルボシアニンヨージド、3,3’−ジエチル−9,11−ネオペンチレンチアトリカルボシアニンヨージド、1,3’−ジエチル−4,2’−キノリルオキサカルボシアニンヨージド、1,3’−ジエチル−4,2’−キノリルチアトリカルボシアニンヨージド、3−ジエチルアミノ−7−ジエチルイミノフェノキサゾニウムペルクロレート、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−ジエチルオキサジカルボシアニンヨージド、3,3’−ジエチルチアカルボシアニンヨージド、3,3’−ジエチルチアジカルボシアニンヨージド、3,3’−ジエチルチアトリカルボシアニンヨージド、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、2,2’−ジメチル−p−クアテルフェニル、2,2−ジメチル−p−テルフェニル、7−ジメチルアミノ−1−メチル−4−メトキシ−8−アザキノロン−2、7−ジメチルアミノ−4−メチルキノロン−2、7−ジメチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、2−(4−(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−3−エチルベンゾチアゾリウムペルクロレート、2−(6−(p−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−1,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウムペルクロレート、2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムペルクロレート、3,3’−ジメチルオキサトリカルボシアニンヨージド、2,5−ジフェニルフラン、2,5−ジフェニルオキサゾール、4,4’−ジフェニルスチルベン、1−エチル−4−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)ピリジニウムペルクロレート、1−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)ピリジニウムペルクロレート、1−エチル−4−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)キノリウムペルクロレート、3−エチルアミノ−7−エチルイミノ−2,8−ジメチルフェノキサジン−5−イウムペルクロレート、9−エチルアミノ−5−エチルイミノ−10−メチル−5H−ベンゾ(a)フェノキサゾニウムペルクロレート、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、7−エチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチル−4,4’,5,5’−ジベンゾ−2,2’−インドトリカルボシアニンヨージド、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチルインドジカルボシアニンヨージド、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチルインドトリカルボシアニンヨージド、2−メチル−5−t−ブチル−p−クアテルフェニル、N−メチル−4−トリフルオロメチルピペリジノ−<3,2−g>クマリン、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、2−(1−ナフチル)−5−フェニルオキサゾール、2,2’−p−フェニレン−ビス(5−フェニルオキサゾール)、3,5,3"",5""−テトラ−t−ブチル−p−セキシフェニル、3,5,3"",5""−テトラ−t−ブチル−p−キンキフェニル、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−アセチルキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−カルボエトキシキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−メチルキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−(3−ピリジル)キノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、3,3’,2”,3"'−テトラメチル−p−クアテルフェニル、2,5,2"",5"'−テトラメチル−p−キンキフェニル、p−テルフェニル、p−クアテルフェニル、ナイルレッド、ローダミン700、オキサジン750、ローダミン800、IR125、IR144、IR140、IR132、IR26、IR5、ジフェニルヘキサトリエン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタレン、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、ピレン、クリセン、ルブレン、コロネン、フェナントレンである。
【0068】
本明細書で使用する蛍光標識には、約1〜約50ナノメートルの粒度の発光ナノ粒子も含まれる。例示的な発光ナノ粒子には、特に限定されないが、CdS、ZnS、Cd、PbS又はこれらの組合せのような半導体ナノ粒子がある。他の発光ナノ粒子には、特に限定されないが、ユウロピウム及びジスプロシウムをドープしたアルミン酸ストロンチウムを始めとする希土類アルミン酸塩もある。
【0069】
一実施形態では、アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリン−1,3,8,10(2H,9H)−テトラオン及び2,9−ビス[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−5,6,12,13−テトラフェノキシのようなペリレン類からなる蛍光標識が蛍光標識として使用される。
【0070】
蛍光標識の濃度は、標識の量子効率、励起及び発光波長、並びに使用する検出技術に依存し、一般に認証ポリマーの約10−18重量%ないし約2重量%の量で存在する。別の実施形態では、蛍光標識は認証ポリマーの約10−15重量%ないし約0.5重量%の量で存在する。例示的な一実施形態では、蛍光標識は認証ポリマーの約10−12重量%ないし約0.05重量%の量で存在する。
【0071】
試験ポリマーの試験信号の測定は、一般に、確認が望まれる認証可能ポリマーの特定の蛍光発光に関する予備知識を用いて行われる。認証可能ポリマーの特定の蛍光発光は、光学的可変標識の性質、光学的可変標識の添加量、蛍光標識の存在、蛍光標識の添加量、蛍光標識の性質、基板ポリマーの種類などの様々な因子に依存する。かかる予備知識が入手できないことは、開示される方法の利点である。
【0072】
認証すべき試験ポリマーは、光学的可変標識を励起して蛍光又は発光を生じさせ得る刺激に暴露される。好適な刺激の例には、ランプ、レーザー、発光ダイオード(LED)などの電磁放射源(即ち、光源)がある。
【0073】
一実施形態では、試験ポリマーは約160〜1100nmの電磁放射に暴露されるのに対し、別の実施形態では、試験ポリマーは約250〜750nmの電磁放射に暴露される。例示的な一実施形態では、試験ポリマーは約300〜700nmの電磁放射に暴露される。
【0074】
試験ポリマーは、試験信号を得るのに十分な時間にわたって刺激に暴露される。一実施形態では、暴露時間は1秒以上であるのに対し、別の実施形態では、暴露時間は約10分以下である。一実施形態では、暴露時間は1〜600秒であるのに対し、別の実施形態では、暴露時間は約5〜300秒である。刺激への暴露時間は、刺激の強度及び化学的性質の感受性に依存することに注意されたい。応答時間が速い点(即ち、刺激時間が短い点)で、レーザー光源が好ましい。
【0075】
一実施形態では、光学的可変標識の蛍光発光は第一の波長を示し、次いで認証中に第二の波長を示す。
【0076】
一実施形態では、光学的可変標識の蛍光発光はその初期位置から約2〜約300nmの波長範囲にわたって変化する。別の実施形態では、蛍光発光は5〜200nmにわたって変化する。さらに別の実施形態では、蛍光発光は10〜100nmにわたって変化する。
【0077】
試験信号は、光学的可変標識及び認証可能ポリマーに関して上述した認証信号として使用される信号のいずれかであり得る。即ち、試験信号は、可変ピーク位置又はシフト波長の測定値、T1及びT2での強度差、2以上の予備選択波長での蛍光強度の可変比、及びこれらの信号の組合せ、並びにこれの信号のいずれかに基づく計算値であり得る。
【0078】
試験信号は、蛍光分光法及びルミネセンス分光法のような分析技術を用いて測定できる。例示的な一実施形態では、試験信号は蛍光分光法を用いて測定される。
【0079】
別の実施形態では、励起のために使用する光源が上方から製品を照明している間に、蛍光を生起させる刺激への暴露に由来する蛍光発光の変化の検出が製品の薄い縁端(縁端蛍光)で行われる。
【0080】
試験信号が認証可能ポリマーの認証信号と実質的に同じであれば、試験ポリマーは認証可能ポリマーとして認証できる。一実施形態では、これは試験ポリマー及び認証可能ポリマーの両方に関する試験信号の値が約5%以下の差を有することを意味する。他の実施形態では、試験ポリマー及び認証可能ポリマーの試験信号間における±20%以下の変動が実質的に同じ信号として許容できる一方、他の実施形態では、約±10%未満の変動が実質的に同じ信号として認められる。
【0081】
基板ポリマー、光学的可変標識及び蛍光標識に加えて、本明細書に開示される認証可能ポリマーは、この種の樹脂組成物中に通常配合される各種添加剤を任意に含み得る。かかる添加剤には、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤(ベンゼンスルホン酸テトラアルキルアンモニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラアルキルホスホニウム塩など)、離型剤(ペンタエリトリトールテトラステアレート、グリセロールモノステアレートなど)など、及び上述のものを含む組合せがある。例えば、認証可能ポリマー組成物は、認証可能ポリマーの全重量を基準にして約0.01〜約0.1重量%の熱安定剤、約0.01〜約1重量%の帯電防止剤、及び約0.1〜約1重量%の離型剤を含み得る。
【0082】
若干の使用可能な酸化防止剤には、例えば、有機亜リン酸エステル(例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイトなど)、アルキル化モノフェノール、ポリフェノール、及びポリフェノールとジエンとのアルキル化反応生成物(例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、オクタデシル−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイトなど)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンとのブチル化反応生成物、アルキル化ヒドロキノン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデン−ビスフェノール、ベンジル化合物、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、チオアルキル又はチオアリール化合物のエステル(例えば、ジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネートなど)、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドなど、並びに上述のものの1種以上を含む組合せがある。
【0083】
使用できる他の可能な添加剤には、とりわけ、UV吸収剤、光安定剤や熱安定剤のような安定剤(例えば、酸性リン系化合物)、ヒンダードフェノール、酸化亜鉛や硫化亜鉛粒子又はこれらの組合せ、潤滑剤(鉱油など)、可塑剤、着色剤として使用される染料(キニン類、アゾベンゼン類など)、並びに上述の添加剤の1種以上を含む組合せがある。
【0084】
特にポリマーがポリカーボネートである場合、認証可能ポリマーの加工を助けるため(即ち、押出機又は他の混合装置内で)、触媒も使用できる。触媒は、通例、得られる材料の粘度を調節するために役立つ。使用可能な触媒には、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルホスホニウムなどの水酸化物があり、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム及び水酸化テトラブチルホスホニウムが好ましい。触媒は単独でも使用でき、或いはリン酸などの酸のような失活剤と組み合わせても使用できる。さらに、配合時にポリマー溶融物中に水を注入し、ベントから水蒸気として除去することで、残留揮発性化合物を除去することもできる。
【0085】
本明細書に開示される認証可能ポリマーは、各種前駆体を適切に混合できる反応器(例えば、一軸又は二軸押出機、ニーダー、ブレンダーなど)を用いて製造される。
【0086】
基板ポリマー中に光学的可変標識及び任意には蛍光標識を導入するための方法には、例えば、コーティング、混合、ブレンディング又は共重合がある。光学的可変標識は、認証可能ポリマー全体に均一に分散するようにして、或いは認証可能ポリマーの一部分上に分散するようにして基板ポリマー中に導入できる。例示的な一実施形態では、光学的可変標識は認証可能ポリマー全体に均一に分散するようにして基板ポリマー中に導入される。光学的可変標識及び蛍光標識は、ポリマー製造段階中、ポリマー配合段階中、製品へのポリマー加工中、又はこれらの組合せで基板ポリマー中に導入できる。光学的可変標識及び蛍光標識を同時に又は別々に導入することが可能である。一実施形態では、ポリマー配合段階中又は製品形成時に、濃縮物(即ち、マスターバッチ)を用いて光学的可変標識及び任意の蛍光標識が導入される。
【0087】
例えば、基板ポリマー用のポリマー前駆体を(例えば、ペレット状、粉末状及び/又は液状の)光学的可変標識及び蛍光標識と予備混合し、ホッパーを通して押出機内に同時に供給することができ、或いは射出成形機又は他の成形機の供給口又は別の注入口を通して光学的可変標識及び蛍光標識を任意に添加することができる。任意には、一実施形態では、基板ポリマーを製造した後、認証可能ポリマーの一部分上へのコーティング、成形又は溶接で光学的可変標識及び蛍光標識を基板ポリマーの一部分上に分散させることができる。例示的な一実施形態では、基板ポリマーと混和しないキャリヤー中に配置しない限りは、光学的可変標識及び任意の蛍光標識は均一に分配される。
【0088】
一実施形態では、光学的可変標識は混合、ブレンディング、配合又は共重合で基板ポリマー中に導入される。例示的な一実施形態では、光学的可変標識は、基板ポリマー中への光学的可変標識のドライブレンドを形成し、得られた混合物を配合することで基板ポリマー中に導入される。
【0089】
一実施形態では、蛍光標識は混合、ブレンディング、配合又は共重合で基板ポリマー中に導入される。例示的な一実施形態では、蛍光標識は、配合段階中に蛍光標識を溶融状態で添加することで基板ポリマー中に導入される。かかる添加は、一実施形態では、サイドフィーダーを通して行うことができる。
【0090】
別の実施形態では、光学的可変標識及び蛍光標識は、配合中に光学的可変標識及び蛍光標識を溶融状態で添加することで基板ポリマー中に導入される。一実施形態では、かかる添加はサイドフィーダーを通して行うことができる。別の例示的な実施形態では、光学的可変標識及び蛍光標識は、二軸押出機を用いて配合を行い、サイドフィーダーを通して光学的可変標識及び蛍光標識を溶融物に添加することで導入される。
【0091】
基板ポリマー前駆体を使用する場合には、押出機は、分解を引き起こすことなしにポリマー前駆体を溶融するのに十分高い温度に維持すべきである。例えばポリカーボネートに関しては、一実施形態では約220〜約360℃の温度を使用できる。別の実施形態では、約260〜約320℃の温度が使用される。同様に、押出機内の滞留時間は分解を最小限に抑えるように制御すべきである。約2分以上までの滞留時間が使用でき、一実施形態では約1.5分までが使用され、別の例示的な実施形態では約1分までが使用される。所望の形態(通例はペレット、シート、ウェブなど)に押し出す前に、例えば溶融濾過及び/又はスクリーンパックの使用などにより、得られた混合物を任意に濾過して望ましくない夾雑物又は分解生成物を除去できる。
【0092】
認証可能ポリマーは、材料の物理的及び化学的性質が所望される任意の用途のために使用できる。一実施形態では、認証可能ポリマーは情報記憶媒体のような成形品を製造するために使用される。例示的な一実施形態では、認証可能ポリマーはCD及びDVDのような情報記憶媒体を製造するために使用される。他の実施形態には、包装材料(特に薬品包装)、レンズのような自動車部品、(携帯電話カバーのような)テレコムアクセサリー、コンピューター及び家電製品、建築材料、医療装置、眼鏡製品、フィルム及びシート(ディスプレイ用途で使用するものを含む)などがある。
【0093】
認証可能ポリマー組成物を製造した後、各種の成形技術、加工技術又はこれらの組合せを用いてそれを情報記憶媒体に成形できる。使用可能な成形技術には、射出成形、フィルムキャスティング、押出し、プレス成形、吹込み成形、スタンピングなどがある。使用可能な一方法は、金型に溶融ポリマーを充填する射出成形−圧縮技術からなる。金型はプレフォーム、インサート、充填材などを含み得る。認証可能ポリマーを冷却し、それが少なくとも部分的に溶融した状態にあるうちに圧縮することで、らせん同心円状又は他の整列状態に配列された所望の表面構造(例えば、ピット、溝、縁端構造、平滑性など)を成形品の所望部分(即ち、所望領域の片面又は両面)に刻印する。次いで、成形品を室温に冷却する。成形品を製造した後、当技術分野で公知のもののうち、電気めっき、(スピンコート法、吹付け塗り、蒸着、スクリーン印刷、塗装、浸し塗りなどの)コーティング技術、ラミネーション、スパッタリング、及び上述の加工技術の1以上を含む組合せのような追加の加工を用いて基板上に所望の層を配設できる。
【0094】
ポリカーボネート情報記憶媒体の一例は、任意に中空コア(バブル、キャビティなど)又は充填材(繊維、球体、粒子などの様々な形態を有する金属、プラスチック、ガラス、セラミックなど)入りのコアを含み得る射出成形ポリカーボネート基板からなる。
【0095】
形成される認証可能製品又は試験製品が情報記憶媒体である一実施形態では、認証可能ポリマーは、情報記憶媒体プレイヤー装置内においてレーザーで読み出される基板を形成するために使用するのが好ましい。その理由は、認証可能ポリマーの応答を捏造すること、及び使用する技術が媒体の再生可能性に影響を及ぼさないように保証することが著しく困難だからである。DVDのように2枚の基板を有する情報記憶媒体では、認証可能ポリマーを用いて一方又は両方の基板を形成することができる。例示的な一実施形態では、認証可能ポリマーで形成されたDVDの基板はDVDプレイヤー装置内においてレーザーで読み出される層である。
【0096】
基板上には、データ層、誘電体層、反射層及び/又は保護層、並びに上述の層を含む組合せを含む各種の層が配設される。これらの層は各種の材料からなり、製造する媒体の種類に従って配設される。
【0097】
例えば、第一面媒体に関しては、これらの層は保護層、誘電体層、データ記憶層、誘電体層、及び次いで基板に接触して配設された反射層であり得ると共に、基板の反対側には任意の化粧層が配設される。他方、光媒体に関しては、これらの層は任意の化粧層、保護層、反射層、誘電体層及びデータ記憶層であり得ると共に、基板に接触して追加の誘電体層が配設される。光媒体は、特に限定されないが、CD、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM、高密度DVD、光磁気ディスクなどのような任意の通常の先行記録型、書換型又は追記型フォーマットのものを含み得る。媒体の形態はディスク形に限定されず、読取り装置に適応し得る任意の形状のものであり得ることは言うまでもない。
【0098】
データ記憶層は、光層、磁気層又は光磁気層のように、検索可能なデータを記憶し得る任意の材料からなり得る。通例、データ層は約600オングストローム(Å)程度までの厚さを有しており、約300Åまでの厚さが好ましい。使用可能なデータ記憶層には、特に限定されないが、酸化物(例えば、酸化ケイ素)、希土類元素−遷移金属合金、ニッケル、コバルト、クロム、タンタル、白金、テルビウム、ガドリニウム、鉄、ホウ素など、及び上述のものの1種以上を含む合金や組合せ、有機染料(例えば、シアニン系又はフタロシアニン系染料)、並びに無機相変化化合物(例えば、TeSeSn、InAgSbなど)がある。
【0099】
粉塵、油及びその他の夾雑物からの保護を行う保護層は、一実施形態では約100ミクロン(μ)超から約10Å未満までの厚さを有し、他の実施形態では約300Å以下の厚さを有し、他の例示的な実施形態では約100Å以下の厚さを有し得る。保護層の厚さは、通常、少なくとも一部では、使用する読取り/書込み機構の種類(例えば、磁気機構、光機構又は光磁気機構)によって決定される。使用可能な保護層には、とりわけ、金、銀、窒化物(例えば、特に窒化ケイ素及び窒化アルミニウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素など)、酸化物(例えば、二酸化ケイ素など)、ポリマー材料(例えば、ポリアクリレート及びポリカーボネート)、炭素フィルム(ダイヤモンド、ダイヤモンド様炭素など)、並びに上述の材料の1種以上を含む組合せのような耐食性材料がある。
【0100】
データ記憶層の片側又は両側に配設されてしばしば熱制御体として使用される誘電体層は、通例、最大では約1000Å以上、最小では約200Å以下の厚さを有し得る。使用可能な誘電体層には、環境に適合すると共に好ましくは周囲の層との反応性を示さない材料のうち、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど)、酸化物(例えば、酸化アルミニウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)及び上述の材料の1種以上を含む組合せがある。
【0101】
反射層は、データ検索を可能にするのに十分な量のエネルギー(例えば、光)を反射するのに十分な厚さを有するべきである。通例、反射層は約700Å程度までの厚さを有し得るが、若干の例示的な実施形態では約300〜約600Åの厚さが使用される。使用可能な反射層には、金属(例えば、アルミニウム、銀、金、チタン、ケイ素、及び上述の金属の1種以上を含む合金や混合物など)を始めとして、特定のエネルギー場を反射し得る任意の材料がある。
【0102】
データ記憶層、誘電体層、保護層及び反射層に加えて、潤滑層などの他の層が使用できる。有用な潤滑剤には、特にフルオロオイル及びグリースなどのフルオロ化合物がある。
【0103】
一実施形態では、認証可能ポリマーは情報記憶媒体の基板に成形される。例示的な一実施形態では、認証可能ポリマーは光記憶媒体の基板を構成する。特に例示的な一実施形態では、認証可能ポリマーはディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)の1以上の基板を構成する。
【0104】
本明細書に開示される認証可能ポリマーを含んでなる例示的なDVDは、それぞれが通例約1.0ミリメートル(mm)以下の厚さ、好ましくは約0.7mm以下の厚さを有する2枚の結合されたプラスチック基板(又は樹脂層)を含んでいる。また、約0.4mm以上の厚さも好ましい。2枚の結合されたプラスチック基板の少なくとも一方は、1以上のデータ層を含んでいる。一般に層0(又はL0)と呼ばれる第一の層は、データを読み出すディスク面(読取り面)に近い。一般に層1(又はL1)と呼ばれる第二の層は、読取り面から遠い。L0(3)とL1(5)との間には、通例は接着剤が配設され、任意には保護被膜又は隔離層が配設されている。片面DVD(即ち、DVDの一方の面上に配設された単一の読取り面から読取りを行うもの)は、さらに、読取り面の反対側にあるDVDの面上に配設されたラベルを含み得る。一実施形態では、第一の層及び第二の層の一方又は両方が認証可能ポリマーからなる。例示的な一実施形態では、第一の層が認証可能ポリマーからなる。
【0105】
読取り面から単一の層を読み出す場合(例えば、DVD5、DVD10)には、スパッタリング又は他の蒸着方法によってスタンプ面を薄い反射性データ層で被覆する。これにより、通例約60〜約100オングストローム(Å)の厚さの金属被膜が形成される。2つのデータ層を同じ読取り面から読み出すDVD(例えば、DVD9、DVD14、DVD18)については、レーザーは第一の層を読み出す場合にはそれで反射されなければならず、第二の層を読み出す場合には第一の層を通過しなければならない。したがって、第一の層は「半透明」(即ち、半反射性)である一方、第二の層は「全反射性」である。Consortium for Optical Mediaによって定められた現行の基準では、(ECMA規格#267に記載されている)電気パラメーターR14Hについて測定した全反射性及び半反射性データ層用の金属被膜の組合せはレーザーの波長で約18〜約30%とすべきである。現在のDVDでは、一般に使用されるレーザー波長は約700nm以下であり、約400〜約675nmが好ましく、約600〜約675nmがさらに好ましい。これらの金属被膜基準は無色の光学品質樹脂と共に使用するDVDデータ層に関して定められたが、これらは着色樹脂を用いるDVD系に対しても等しく適用される。
【0106】
樹脂に色を付与する場合、基板を通過して反射される光の透過率は影響を受ける。半反射層及び全反射層(L0及びL1)上の金属被膜の性質及び厚さは、基板の光透過率に合わせて調整される。所望の反射率を得るためには、半反射性データ層の金属被膜の厚さをその反射率とバランスさせると共に、全反射性データ層の厚さを調整してその反射率が所望の規格範囲内にあるようにすればよい。
【0107】
個々のデータ層用の金属被膜は、各種の反射性材料を用いて得ることができる。半反射性及び/又は全反射性データ層として使用するのに十分な反射率を有し、好ましくはスパッタリングで基板上に配設し得る材料(例えば、金属、合金など)が使用できる。若干の使用可能な反射性材料には、金、銀、白金、ケイ素、アルミニウムなど、並びに上述の材料の1種以上を含む合金及び組合せがある。例えば、第一/第二の反射性データ層金属被膜は、金/アルミニウム、銀合金/アルミニウム、銀合金/銀合金などであり得る。
【0108】
各層の総合反射率に加え、後続層の十分な反射率を確保するため、相次ぐ反射性データ層間の反射率の差を調節すべきである。好ましくは、相次ぐ層(例えば、第一及び第二の層)間の反射率の差は約5%以下であり、約4%以下が好ましく、約3.0%以下がさらに好ましい。さらに、互いに隣接する反射性データ層間の反射率の差は約0.5%以上であることが好ましく、約1%以上がさらに好ましい。2つの層に関して記載したが、3以上の層も使用できることは言うまでもなく、相次ぐ層間の反射率の差は上記に述べた通りにすべきであることに注意されたい。
【0109】
反射性データ層は、通例、スパッタリング又はその他の方法により、成形やエンボシングなどで基板の表面に形成されたパターン(例えば、ピット、溝、アスペリティ、スタート/ストップオリエンテイターなどの表面構造)上に配設される。例えば蒸着は、第一のパターン化表面上に半反射性データ層をスパッターすることからなり得る。次いで、半反射性データ層上に隔離層又は保護被膜を配設できる。複数のデータ層を有するDVD(例えば、DVD14、DVD18など)を形成する場合には、半反射性データ層の反対側にある隔離層の面上に(例えば、スタンピングなどにより)第二のパターン化表面を形成できる。次いで、スパッタリング又はその他の方法により、隔離層上に全反射性データ層を蒸着できる。別法として、DVD14構造の場合には、第二の基板(又は樹脂層)のパターン化表面上に全反射性データ層を蒸着できる。次いで、半反射性データ層及び全反射性データ層の一方又は両方の上に隔離層又は保護被膜が配設される。次いで、2枚の基板の間に結合剤又は接着剤を配置して互いに結合することによってディスクを形成できる。任意には、相次ぐ層間に隔離層を配設しながら、複数の半反射性データ層を蒸着することもできる。
【0110】
反射性データ層の反射率は、反射層の数に応じて約5〜約100%であり得る。単一の反射性データ層を使用する場合、反射率は好ましくは約30〜約100%であり、約35〜約95%がさらに好ましく、約45〜約85%がさらに一段と好ましい。二重の反射性データ層を使用する場合、データ層の反射率は好ましくは約5〜約45%であり、約10〜約40%がさらに好ましく、約15〜約35%がさらに一段と好ましく、約18〜約30%が特に好ましい。最後に、複数の反射性データ層(例えば、単一の読取り面から読取り可能な3以上の反射性データ層)を使用する場合、反射率は好ましくは約5〜約30%であり、約5〜約25%がさらに好ましい。現在、特に好ましい範囲はECMA規格#267に準拠している。それによれば、反射率は2層DVD(例えば、1以上の全反射層及び1以上の半反射層)に関して約18〜約30%であり、1層DVD(例えば、1つの全反射層)に関して約45〜約85%である。
【0111】
一実施形態では、これらのDVD基板を製造するために使用する認証可能ポリマーは、レーザーの波長範囲内で約60%から94%未満までの光の透過を可能にする。その透過範囲内では、透過率は好ましくは約70%以上であり、約74%以上がさらに好ましく、約78%以上が特に好ましい。使用する着色剤の種類及び量に応じ、透過率は約92%以下であり得るが、着色剤の種類に応じて約88%以下、さらには約85%以下でもあり得る。基板の透過率が減少するのに伴い、基板の所望の密着性を達成し得ることが一層困難になる点に注意すべきである。基板はポリカーボネートを含んでなることが好ましく、主としてポリカーボネートからなる(例えば、約80%以上のポリカーボネートを含む)基板が特に好ましい。
【実施例】
【0112】
実施例1 本発明に係る試料の作製
光学的可変有機蛍光物質を分光標識として使用した。標識の種類及び濃度を表1に示す。標識は、成形プロセス中において基板ポリカーボネート材料中に配合した。標識の蛍光発光スペクトルを2.5分間にわたり連続的に測定することで、標識の分光サイン及びこれらの分光サインの変化を評価した。測定は、小形レーザー光源(Nanolase社、フランス、355nm発光波長)及びポータブル分光蛍光計(Ocean Optics,Inc.、ダニーディン、米国フロリダ州、モデルST2000)を含む装置上で行った。分光蛍光計には、200μmのスリット、400nmのブレーズ波長を有すると共に30%を超える効率で250〜800nmのスペクトル範囲をカバーする600本/mmの回折格子、及び線形CCDアレイ検出器が備わっていた。レーザーからの光は、「シックス・アラウンド・ワン」二分岐型又光ファイバー反射プローブ(Ocean Optics,Inc.、モデルR400−7−UV/VIS)の一方のアームに集束させた。試料からプローブに直接反射する光の量を最小限に抑えるため、光ファイバープローブの共通端を試料近くに一定の角度で配置した場合に試料からの光が捕集された。プローブの第二のアームは分光蛍光計に結合した。
【0113】
【表1】


実施例2 tert−ブチルフェニルオキサジアゾールを用いた実験結果
図1は、ポリカーボネート中に配合した蛍光標識tert−ブチルフェニルオキサジアゾール及び対照品として使用したOQ1030DVD基板の時間依存性蛍光スペクトルを示している。図1は、本発明の2つの重要な特徴を例示している。適切に選択されたUV励起の下では、ポリカーボネート及び標識の蛍光は時間依存性を示す。蛍光強度は短い測定時間(時間スケール=2〜3分以下)中に減少する。この時間依存性は、UV光とポリマー及び標識との相互作用に由来する。このような時間依存性蛍光は、新しいタイプの標識識別ツールとして役立つ。図1はまた、測定の初期及び後期における対照品と0.01、0.005及び0.001pphの標識レベルとの識別を例示している。最も簡単な識別は、図1に示すように蛍光強度を測定することによる。
【0114】
図2に示すように、蛍光強度は測定時間の関数として減少する。このような蛍光の減少は、標識の有無にかかわらず、すべての試料について認められる。全体にわたり、386nmでの蛍光と標識濃度とを関係づける検量線を、測定の初期段階及び最終段階(測定の開始から0及び2.5分後)に関して図3に示す。
【0115】
本発明の意外な発見の1つは、ポリマーが標識を含むか否かに応じてその比が測定中に異なる変化を示すように2つの蛍光波長を選択し得ることである。図4は、標識の測定に関するこのような新しい側面を例示している。2つの適切に選択された蛍光波長の蛍光強度の比は、ポリマー中に標識が存在しなければ測定時間の関数として減少し、様々なレベルで標識が存在すれば増加する。図5からわかるように、2.5分の測定後にはポリマー中の標識レベルと蛍光比との間における直接の相関関係が明確に認められたが、初期(測定開始時)にはかかる相関関係が存在しなかった。
【0116】
実施例3 ビス(ビフェニリル)オキサジアゾールを用いた実験結果
355nmの励起の下で、ビス(ビフェニリル)オキサジアゾール標識ははるかに強い蛍光強度を有する。したがって、それはtert−ブチルフェニルオキサジアゾールに比べて低い濃度(5分の1以下の濃度)で使用できる。蛍光強度の比較のため、tert−ブチルフェニルオキサジアゾールを用いた測定に比べて励起光の量を減少させた。
【0117】
ポリカーボネート中に配合した様々なレベルの標識ビス(ビフェニリル)オキサジアゾールを含む試料の386nmでの時間依存性蛍光強度を図7に示す。蛍光応答の時間依存性挙動の顕著な変化は認められなかった。ポリカーボネート中の標識濃度に対する386nmでの蛍光強度の検量線を図8に示す。これらの実線及び点線は、標識材料の蛍光が測定中に変化しないことを例示している。同じく、図9及び10に示すように、蛍光比も2.5分の測定中にほとんど変化しなかった。
【0118】
ビス(ビフェニリル)オキサジアゾール標識の蛍光がUV線の影響を受けないことに注意するのが重要である。これは、最終用途が接着剤硬化(結合)プロセスの一部として強いUV線量に暴露される光ディスク(特にDVD)である場合に特に重要である。良好な熱安定性、優れた量子効率、及びUV線下でのPC中の蛍光の安定性を併せもつ化合物が選択すべき分子である。ビス(ビフェニリル)オキサジアゾールはこの部類の良い例である。
【0119】
本発明のもう1つの側面は、UV−可視分光法で見ることのできな標識を光媒体製品中に配合できることである。この場合、標識の吸収はポリカーボネート吸収の陰に「隠される」が、これは海賊行為防止目的にとって重要である。図11は、ビス(ビフェニリル)オキサジアゾール及び対照DVDの吸収スペクトルを示している。この図は、0.001pphの濃度でポリマー中に存在するビス(ビフェニリル)オキサジアゾールの吸収特性がポリマーの吸収でほとんど隠されることを例示している。重要なのは、図12に見られるように、わずか0.001pphのビス(ビフェニリル)オキサジアゾールを含むポリマーからの蛍光信号がポリマー自体の蛍光より10倍以上強いことである。したがって、標識の濃度を顕著に低減させることができ、その吸収はポリカーボネートの吸収プロフィル中に完全に隠される。
【0120】
本明細書に開示される方法及び製品は、ポリマー基材基板(特に、ポリカーボネート系材料)及びかかる基板から製造される製品の出所及び素性を認証し確認する際に有用な認証方法を提供する。
【0121】
特定の基板又は情報記憶媒体中における光学的可変標識の存在は、認証可能ポリマーに関して個々に選択される認証信号について様々なオプションを可能にする。その結果、偽造者及び違法の製造者や販売者が、認証可能ポリマー及びそれから合法的に製造される製品についての認証信号を「模造」することは一層困難になる。その上、例示的な一実施形態では、例えば基板ポリマーがポリカーボネートである場合、本発明で使用する光学的可変標識は基板ポリマーの吸収の陰に「隠される」。別の実施形態では、光学的可変標識の蛍光はUV線の影響を受けない。これは、接着剤硬化又は結合のような製造プロセスの一部として強いUV光に暴露される成形品中に認証可能ポリマーが使用される場合において特に有利である。「隠れた」光学的可変標識を使用することで、偽造者及び違法の製造者や販売者を一層容易に確認して逮捕することができる。
【0122】
以上、例示的な実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び同等物による構成要素の置換を行い得ることが理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明はこの発明を実施するために想定される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1A、1B、1C及び1Dは、ポリカーボネート中に配合した蛍光標識tert−ブチルフェニルオキサジアゾールの時間依存性蛍光スペクトルに対する濃度の効果を示すグラフである。
【図2】ポリカーボネート中に配合した様々なレベルのtert−ブチルフェニルオキサジアゾールを含む試料の386nmでの時間依存性蛍光強度を示すグラフである。
【図3】386nmでの蛍光強度をポリカーボネート中のtert−ブチルフェニルオキサジアゾールの濃度の関数として示す検量線の図である。
【図4】2つの適正に選択された蛍光波長の蛍光強度の比は、基板ポリマー中に標識が存在しなければ測定時間の関数として減少し、標識が様々なレベルで存在すれば増加することを示すグラフである。
【図5】ポリマー中の標識のレベルと2.5分の測定後の蛍光比との間に直接の相関関係があることを示す図である。
【図6】図6A、6B、6C及び6Dは、測定中における蛍光ピーク位置のシフトに基づいて標識の存在及び量を測定することを示している。
【図7】ポリカーボネート中に様々な濃度のビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含む試料の386nmでの時間依存性蛍光強度を示している。
【図8】ポリカーボネート中に配合した様々なレベルのビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含む試料の386nmでの時間依存性蛍光強度を示すグラフである。
【図9】様々なレベルのビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含むポリマーに関し、2つの選択された蛍光波長の蛍光強度の比を測定時間の関数として示す図である。
【図10】ポリマー中のビス(ビフェニル)オキサジアゾールのレベルと2.5分の測定前後の蛍光比との間に直接の相関関係があることを示す図である。
【図11】図11A、11B及び11Cは、様々な濃度のビス(ビフェニル)オキサジアゾール及び対照品の吸収スペクトルを示している。
【図12】0.001pphのビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含む標識ポリマー及びビス(ビフェニル)オキサジアゾールを含まない対照品からの蛍光を比較して示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験ポリマーが認証可能ポリマーであることを認証する方法であって、認証可能ポリマーが認証信号を有していて基板ポリマーと光学的可変標識とを含んでおり、光学的可変標識が経時的に変化する波長又は強度を有する蛍光発光を示すものであり、当該方法が、
光学的可変標識の蛍光を生起させるのに十分な刺激に試験ポリマーを暴露し、
試験ポリマーの蛍光からの試験信号を測定し、
試験信号が認証可能ポリマーの認証信号と同じであれば試験ポリマーが認証可能ポリマーであると認証する
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
蛍光発光の波長及び強度が経時的に変化する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
光学的可変標識がオキサジアゾール誘導体からなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
光学的可変標識が、tert−ブチルフェニルオキサジアゾール、ビス(ビフェニリル)オキサジアゾール、及び上述の光学的可変標識の組合せの1種以上からなる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
光学的可変標識が、約160〜約1100nmの第一のピーク位置、及び第一のピーク位置から約2〜約300nmだけシフトした第二のピーク位置を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
光学的可変標識が、認証可能ポリマーの全重量を基準にして約0.0001〜約0.05重量%の量で認証可能ポリマー中に存在する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
試験信号が、蛍光の強度、蛍光ピークの形状、蛍光ピークの位置、経時的な又は熱源除去後の蛍光の持続時間又は減衰度、2以上の異なる波長での蛍光強度の比、及びこれらの組合せからなる群から選択される1以上である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
基板ポリマー、及び
経時的に変化する波長又は強度を有する蛍光発光を示す光学的可変標識
を含んでなる認証可能ポリマー。
【請求項9】
認証可能ポリマーの製造方法であって、
基板ポリマーと光学的可変標識を組合せて認証可能ポリマーを製造することを含んでなり、
光学的可変標識が経時的に変化する波長又は強度を有する蛍光発光を示すものである、方法。
【請求項10】
認証可能製品の製造方法であって、
請求項9記載の認証可能ポリマーを用意し、
認証可能ポリマーから認証可能製品を形成する
ことを含んでなる方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法で製造される認証可能製品。
【請求項12】
光ディスクである、請求項11記載の認証可能製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−513335(P2007−513335A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541515(P2006−541515)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/041349
【国際公開番号】WO2005/054830
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】