説明

蛍光灯用ソケットの取付構造

【課題】 蛍光灯用ソケットをハウジングに対して固定するための取付金具を廃止し、照明装置の組立工数を低減させることができる蛍光灯用ソケットの取付構造を提供する。
【解決手段】 蛍光灯用ソケット23をソケットホルダ22を介してハウジング13に固定するようにした照明装置11において、ソケットホルダ22をハウジング13と一体形成した。また、ハウジング13にはソケット取付用孔45を形成し、蛍光灯用ソケット23をハウジング13の裏面側からソケット取付用孔45を介してソケットホルダ22に対して装着可能とした。そして、別部材として設けたソケットスペーサ61を蛍光灯用ソケット23とソケットホルダ22との間にハウジング13の裏面側からソケット取付用孔45を介して挿入することにより、両者22,23間の係合状態が保持されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯用ソケットをハウジングに対して工具を使用することなく取り付ける蛍光灯用ソケットの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、蛍光灯用ソケットのハウジングに対する取付け構造としては次のような構成が知られている。即ち、図6(a),(b)に示すように、蛍光灯用ソケット71は専用の取付金具72を介してハウジングの取付位置に固定されている。取付金具72には、例えば図6(a)に示すL字状に形成されたもの、及び図6(b)に示す円板状に形成されたものがある。図6(a),(b)に示す両取付金具72,72において、蛍光灯用ソケット取付面72aの両側縁中央又は外周縁にはそれぞれL字状の係合爪73,73が互いに対向するように形成されている。両係合爪73,73はその先端部間の距離が蛍光灯用ソケット71の外径よりも若干大きくなるようにその基端部を支点に拡開されている。
【0003】
一方、前記蛍光灯用ソケット71の外周には前記両係合爪73,73を係合可能とした一対の係合凹部74,74が互いに対角に位置するように形成されている。
【0004】
蛍光灯用ソケット71をハウジングに固定する場合、まず取付金具72をハウジング内面に対してボルト、リベット又は溶接等により固定する。次に、蛍光灯用ソケット71の固定面を取付金具72の蛍光灯用ソケット取付面72aに対して密着させると共に、両係合爪73,73と両係合凹部74,74とをそれぞれ対応させる。この状態で、ラジオペンチ等の工具により取付金具72の両係合爪73,73を外側(側方)から挟み付ける。すると、両係合爪73,73はその基端部を支点に互いに近接する方向へ塑性変形して両係合凹部74,74にそれぞれ係合する。これにより蛍光灯用ソケット71は取付金具72に対して固定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記従来の蛍光灯用ソケットの取付構造においては、次のような問題があった。即ち、蛍光灯用ソケット71を取付金具72に対して固定する場合には、取付金具に形成された両係合爪73,73を挟み付けるために、ラジオペンチ等の工具が必要であった。また、取付金具72,72をハウジングに対して取り付ける場合においても、各種の工具が必要であった。例えばボルトにより固定する場合はドライバー又は六角レンチが、リベットにより固定する場合はリベッタが、さらに溶接により固定する場合は溶接装置が必要であった。
【0006】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、蛍光灯用ソケットをハウジングに対して固定するための取付金具を廃止し、照明装置の組立工数を低減させることができる蛍光灯用ソケットの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、蛍光ランプを電気的に接続する蛍光灯用ソケットをソケットホルダを介してハウジングに固定するようにした蛍光灯用ソケットの取付構造において、前記ソケットホルダをハウジングと一体形成したことをその要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ハウジングには、蛍光灯用ソケットを同ハウジングの裏面側からソケットホルダに対して装着可能としたソケット取付用孔を設けたことをその要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ソケットホルダには、蛍光灯用ソケットを係止するためのソケット係合構造を設けたことをその要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記ソケット係合構造は、蛍光灯用ソケットに形成された単数又は複数の係合凹部に対してそれぞれ係合可能とした単数又は複数の係合凸部であることをその要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の発明において、前記蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間の係合状態を保持するためのソケット保持部材を別部材として設け、同ソケット保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入することにより、蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間の係合状態が保持されるようにしたことをその要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記ソケットホルダには、ソケット保持部材を係止するためのソケット保持部材係合構造を設けたことをその要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記ソケット保持部材係合構造は、前記ソケット保持部材に設けた係合部を係合可能とした被係合部であることをその要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記ソケットホルダの被係合部は複数の係合孔であり、前記ソケット保持部材の係合部は弾性を有する複数のアーム部にそれぞれ前記各係合孔に対応するように形成した係合突部であり、前記ソケット保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入する際、前記係合突部とソケットホルダの内面との摺接に基づいて、前記アーム部が弾性変形した後弾性復帰し、係合突部が係合孔に係合して、ソケット保持部材が蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に係合保持されるようにしたことをその要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明では、ソケットホルダがハウジングと一体形成されることにより、ソケットホルダをハウジングに対して固定する必要がない。このため、照明装置の組立工数が低減する。また、ソケットホルダをハウジングに対して固定するための工具が不要になる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用に加えて、蛍光灯用ソケットはソケット取付用孔を介してハウジングの裏面側からソケットホルダに対して装着される。一般に、各種の基盤及び配線等の電気部品はハウジングの裏面側(ハウジングの固定面側)に組み付けられ、これらの組付作業はハウジングの裏面側から行われる。そして、これらの組付作業が完了すると、ハウジングの表面側(蛍光ランプ取付側)から蛍光灯用ソケット間に蛍光ランプが取り付けられて各種チェック等が行われる。このように、照明装置の組立工程の点からみれば、ハウジングの裏面側から蛍光灯用ソケット等の部品を取付けるようにした方が、組付作業効率が向上する。
【0017】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、蛍光灯用ソケットはソケットホルダにより係止される。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明の作用に加えて、蛍光灯用ソケットに形成された単数又は複数の係合凹部に対して、それぞれ前記ソケットホルダに形成した単数又は複数の係合凸部が係合する。
【0019】
請求項5に記載の発明では、請求項3又は請求項4に記載の発明の作用に加えて、ソケット保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入することにより、蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間の係合状態が保持される。
【0020】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明の作用に加えて、ソケット保持部材はソケットホルダにより係止される。
【0021】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明の作用に加えて、前記ソケット保持部材の係合部はソケットホルダの被係合部に係合する。
【0022】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明の作用に加えて、ソケット保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入する際、前記係合突部とソケットホルダの内面との摺接に基づいて、前記アーム部が弾性変形した後弾性復帰し、係合突部が係合孔に係合して、ソケット保持部材が蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に係合保持される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ソケットホルダをハウジングと一体形成したことにより、蛍光灯用ソケットをハウジングに対して固定するための取付金具を廃止し、照明装置の組立工数を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を、例えば大型車等の車室内照明を行う照明装置における蛍光灯用ソケットの固定構造に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0025】
(全体)
図1に示すように、照明装置11は例えば車室内の天井に取付用ブラケット(図示略)を介して取り付けられている。照明装置11は、蛍光ランプ12を収容するハウジング13及び同ハウジング13に対して蛍光ランプ12を覆うように取り付けられたレンズ(図示略)を備えている。ハウジング13は不透明の、また、レンズは透明又は半透明の合成樹脂材料によりそれぞれインジェクション成形により一体形成されている。
【0026】
(ハウジング)
図1に示すように、ハウジング13の表面(照明面)中央部には、蛍光ランプ12の収容凹部21が形成されている。収容凹部21内には一対のソケットホルダ22,22がハウジング13の長手方向において所定距離だけ離間するように突設されている。両ソケットホルダ22,22にはそれぞれ蛍光灯用ソケット23,23が装着されており、この装着状態は後述するソケットスペーサ61により保持されている。両蛍光灯用ソケット23,23間には蛍光ランプ12が取り付けられている。
【0027】
また、ハウジング13の表面外周部、即ちハウジング13の表面における前記レンズにより覆われていない領域には、一対の固定用凹部24,24がハウジング13の長手方向において所定距離だけ離間して形成されている。ハウジング13の表面外周縁には、両固定用凹部24,24をそれぞれ閉鎖可能とした一対の閉鎖蓋25,25が両固定用凹部24,24にそれぞれ対応するように設けられている。閉鎖蓋25はその基端縁の厚みが薄くされることにより、同基端縁を中心に揺動可能となっており、図3に実線で示す開放位置と同じく一点鎖線で示す閉鎖位置との間を移動する。
【0028】
図1に示すように、閉鎖蓋25の両側縁部先端側には、それぞれ係合突片26,26が形成されており、閉鎖蓋25を閉じたとき(前記開放位置から前記閉鎖位置まで移動させたとき)、固定用凹部24の両内側面にそれぞれ形成した係合突部27,27に対して係合するようになっている。そして、両係合突片26,26がそれぞれ両係合突部27,27に対して係合することにより、閉鎖蓋25は前記閉鎖位置に保持される。
【0029】
(ボルト締め固定部)
図2及び図3に示すように、ハウジング13の裏面外周部には、一対の円筒状のボルト締め固定部31,31が突設されている。両ボルト締め固定部31,31はそれぞれ前記両固定用凹部24,24に対応するようにハウジング13の長手方向において所定距離だけ離間している。即ち、両ボルト締め固定部31,31は、それぞれハウジング13表面における前記レンズ取付け領域の外側の領域に対応する位置にある。図2に示すように、固定部31の先端面にはボルト挿通孔31aが形成されている。また、固定部31の内部は固定用凹部24内に連通しており、同固定用凹部24側からボルト(図示略)を前記ボルト挿通孔31aに挿通可能となっている。
【0030】
(掛止部)
図2及び図3に示すように、ハウジング13の裏面外周部における両固定部31,31の反対側には、複数(本実施形態では3つ)の掛止部32,32,32が所定間隔毎に突設されている。掛止部32は側面L字状に形成されており、その外面には複数の板状の補強リブ33が所定間隔毎に設けられている。各掛止部32,32,32は車室の天井に対して固定された前記取付用ブラケットの被掛止部(図示略)に対して掛止可能となっている。
【0031】
(ソケットホルダ)
図4に示すように、前記ソケットホルダ22は、収容凹部21の内底面に対して突設された半小判形状の外壁41と、同外壁41の外周縁に沿うように、即ち帯状且つU字状に形成された外周壁42とから、蛍光ランプ12装着側の面が開口した箱体状に形成されている。外周壁42内面の曲率半径は後述する蛍光灯用ソケット23の外周面の曲率半径よりも若干大きくされており、蛍光灯用ソケット23の外周面が外周壁42の内周面に対して沿うようになっている。外周壁42の先端部(円弧頂点部分)における蛍光ランプ12装着側の側縁には、切欠部42aが形成されており、蛍光灯用ソケット23をソケットホルダ22に装着したとき、同蛍光灯用ソケット23の電極通路51が露出するようになっている。
【0032】
外周壁42の蛍光ランプ12装着側の側縁には、一対の係合凸部43,43がそれぞれ外周壁42に対して直交して互いに対向するように、且つ外周壁42の内面から突出するように形成されている。また、外周壁42の外壁41側には、一対の係合孔44,44が互いに対向するように、且つ後述するソケットスペーサの両係合突起に対してそれぞれ対応するように形成されている。
【0033】
図2及び図4に示すように、前記収容凹部21の内底面において、外周壁42の両基端部及び外壁41にて囲まれた部分(外周壁42の収容凹部21内底面に対する投影部分)には、前記蛍光灯用ソケット23及び後述するソケットスペーサ61を挿通可能とした長方形状のソケット取付用孔45が形成されている。このソケット取付用孔45を介して蛍光灯用ソケット23及びソケットスペーサ61をハウジング13の裏面側からソケットホルダ22に対して装着可能となっている。
【0034】
(蛍光灯用ソケット)
図4に示すように、蛍光灯用ソケット23は、合成樹脂材料にて一端面が開口した薄円筒状に形成されている。蛍光灯用ソケット23の内周面には蛍光ランプ12両端の口金ピン(図示略)に対して電気的に接触するソケット側電極(図示略)が配設されている。蛍光灯用ソケット23の外周壁の一部に切欠形成された電極通路51を介して前記口金ピンを蛍光灯用ソケット23内に進入させた状態で、蛍光ランプ12を所定方向に回動させることにより、口金ピンとソケット側電極とが互いに接触保持されるようになっている。
【0035】
また、蛍光灯用ソケット23における開口端面の外周縁には一対の係合凹部52,52が形成されており、両係合凹部52,52は開口部を間に挟んで互いに対向するように配置されている。両係合凹部52,52はそれぞれ前記ソケットホルダ22の係合凸部43,43が係合可能とされている。
【0036】
(ソケットスペーサ)
図2に示すように、蛍光灯用ソケット23と外壁41内面との間にはソケットスペーサ61が挿入(介在)されている。図4に示すように、ソケットスペーサ61は、合成樹脂材料にて板状に形成されている。ソケットスペーサ61の先端部は円弧状に形成されており、前記ソケットホルダ22の外周壁42内面に対して沿うようになっている。ソケットスペーサ61の両側にはそれぞれアーム部62,62が形成されており、両アーム部62,62はそれぞれの基端部を支点として、互いに近接又は離間する方向へ弾性変位可能となっている。両アーム部62,62の先端外側には、それぞれ係合突部63,63が形成されており、両係合突部63,63は前記ソケットホルダ22の両係合孔44,44に対してそれぞれ係合可能とされている。
【0037】
(蛍光灯用ソケットの取付手順)
次に、蛍光灯用ソケット23をソケットホルダ22に対して取り付ける場合の組立手順について説明する。
【0038】
まず、ハウジング13の裏面側から蛍光灯用ソケット23をソケット取付用孔45を介してソケットホルダ22内に挿入する。次に、蛍光灯用ソケット23の両係合凹部52,52とソケットホルダ22の両係合凸部43,43とを互いに係合可能に対応させた状態で、蛍光灯用ソケット23と外壁41との間にソケットスペーサ61を挿入する。
【0039】
ソケットスペーサ61のソケットホルダ22内への進入に伴い、蛍光灯用ソケット23は外壁41に対して離間する方向へ押圧される。この結果、蛍光灯用ソケット23の両係合凹部52,52にはソケットホルダ22の両係合凸部43,43が係合する。
【0040】
一方、ソケットスペーサ61の両係合突部63,63とソケットホルダ22の内面との接触に基づいて、両アーム部62,62がそれぞれの基端部を支点として互いに近接する方向へ弾性変形する。この状態でソケットスペーサ61はさらにソケットホルダ22内に挿入される。そして、両係合突部63,63がソケットホルダ22の内面に対して摺接しながらソケットホルダ22の両係合孔44,44にそれぞれ対応する位置までソケットスペーサ61が押し込まれると、両アーム部62,62は弾性復帰する。この結果、図5に示すように、両係合突部63,63はそれぞれ両係合孔44,44に対して係合する。これにより、ソケットスペーサ61はソケットホルダ22内における所定の位置に係止保持される。
【0041】
また、ソケットスペーサ61がソケットホルダ22内に保持されることにより、蛍光灯用ソケット23の両係合凹部52,52とソケットホルダ22の両係合孔44,44との係合状態がそれぞれ保持される。この結果、蛍光灯用ソケット23のソケットホルダ22からの脱落及び同ソケットホルダ22内における回動が防止される。即ち、蛍光灯用ソケット23のソケットホルダ22に対する装着状態が保持される。
【0042】
このように、ソケットスペーサ61により蛍光灯用ソケット23はワンタッチでソケットホルダ22に対して固定される。そして、両蛍光灯用ソケット23,23間に蛍光ランプ12を取付けると共に、ハウジング13に対して前記レンズを取り付ければ、照明装置11の組立が終了となる。
【0043】
(照明装置の取付手順)
次に、前述のように構成した照明装置11を例えば車室内の天井に取り付ける場合の手順について説明する。尚、天井における照明装置11取付け部位には予め取付用ブラケットが固定されている。
【0044】
まず、閉鎖蓋25を開放した状態で、前記取付用ブラケットの各被掛止部に対してハウジング13の各掛止部32,32,32をそれぞれ掛止させる。次に、両固定部31の先端面を取付用ブラケットに対して密着させた状態で、固定部31のボルト挿通孔31aにボルト(図示略)を固定用凹部24側から挿通し、前記取付用ブラケットに対して締め付ける。これにより、照明装置11は前記取付用ブラケットを介して天井に固定される。最後に両閉鎖蓋25,25を閉じれば、照明装置11の天井への取付け作業が終了となる。
【0045】
このように、ハウジング13において、前記レンズにより覆われる領域以外の部分に両固定部31を設けたことにより、レンズをハウジング13に対して装着した状態で前記天井に固定可能となる。また、蛍光ランプ12が前記レンズにより覆われていることから、ボルト締め作業時、工具と蛍光ランプ12とが接触することはない。
【0046】
さらに、両固定部31,31をハウジング13の裏面片側に設けたことにより、仮に前記レンズ未装着状態でも、蛍光ランプ12を跨いでボルト締めする必要がない。このため、ボルト締め作業時における工具と蛍光ランプ12との接触が防止される。ちなみに、従来は、レンズにより覆われる収容凹部21内において、複数(4つ又は5つ)のボルト締め固定部31がそれそれ蛍光ランプ12を間に挟んで両側に設けられていた。このため、各固定部31においてボルト締め作業を行う場合、蛍光ランプ12を跨いでボルト締め作業を行う必要があり、乱雑に扱うとドライバ及びレンチ等の工具が蛍光ランプ12に接触して破損するおそれがあった。
【0047】
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ソケットホルダ22をハウジング13と一体形成した。このため、ソケットホルダ22をハウジング13と別部材とした場合と異なり、ソケットホルダ22のハウジング13に対する取付作業が不要となり、照明装置11の組立工数を低減させることができる。また、ソケットホルダ22をハウジング13に対して取り付けるための工具が不要となり、組立作業を簡単にすることができる。さらに、ソケットホルダ22を独立して設計する必要がなくなるため、設計が簡単になる。
【0048】
(2)ハウジング13には、蛍光灯用ソケット23を同ハウジング13の裏面側からソケットホルダ22に対して装着可能としたソケット取付用孔45を形成した。そして、照明装置11の組立作業時には、ハウジング13の裏面側からソケット取付用孔45を介して蛍光灯用ソケット23をソケットホルダ22に対して装着するようにした。一般に、各種の基盤等の電気部品及び配線等は全てハウジング13の裏面側に配設されることから、照明装置11の組付作業効率を向上させることができる。組立作業の途中でハウジング13の表面側での作業と裏面側での作業とを交互に行う必要がないからである。
【0049】
(3)ソケットホルダ22には、蛍光灯用ソケット23を係止するためのソケット係合構造を設けた。具体的には、蛍光灯用ソケット23の両係合凹部52,52に対してそれぞれ係合可能とした一対の係合凸部43,43をソケットホルダ22に形成した。このため、ソケットホルダ22の両係合凸部43,43に対して蛍光灯用ソケット23の両係合凹部52,52がそれぞれ係合することにより、蛍光灯用ソケット23はソケットホルダ22に対して係止される。このため、簡単な構成にもかかわらず、蛍光灯用ソケット23をソケットホルダ22に対して係止させることができる。
【0050】
(4)蛍光灯用ソケット23とソケットホルダ22との間の係合状態を保持するためのソケットスペーサ61を別部材として設け、同ソケットスペーサ61を蛍光灯用ソケット23とソケットホルダ22との間に挿入することにより、両者22,23間の係合状態が保持されるようにした。ソケットスペーサ61を蛍光灯用ソケット23とソケットホルダ22との間に挿入するだけのため、蛍光灯用ソケット23をソケットホルダ22に対して間単に(ワンタッチで)固定することができる。
【0051】
(5)ソケットホルダ22には、ソケットスペーサ61を係止するための係合構造を設けた。具体的には、ソケットスペーサ61における両アーム部62,62の係合突部63をそれぞれ係合可能とした係合孔44,44をソケットホルダ22に形成した。そして、ソケットスペーサ61を蛍光灯用ソケット23とソケットホルダ22との間に挿入する際、係合突部63とソケットホルダ22の内面との摺接に基づいて、アーム部62が弾性変形した後弾性復帰し、係合突部63が係合孔44に係合するようにした。この結果、ソケットスペーサ61が蛍光灯用ソケット23とソケットホルダ22との間に係合保持されるようにした。従って、ソケットスペーサ61をソケットホルダ22に対して間単に固定することができる。
【0052】
(6)ソケットスペーサ61によりワンタッチで蛍光灯用ソケット23がソケットホルダ22に対して固定される。このため、従来と異なり、蛍光灯用ソケット23取付用の専用金具が不要となり、照明装置11の組立工程内において、蛍光灯用ソケット23の専用金具への固定作業がなくなる。従って、照明装置11の組立作業工数を低減させることができる。
【0053】
(7)照明装置11を前記固定用ブラケットに対して固定するための複数の掛止部32をハウジング13の裏面側に設けた。ハウジング13を天井に固定する際には、各掛止部32を前記固定用ブラケットの被係止部に対して掛止させることによりハウジング13の片側を支持し、この状態で、両固定部31,31を固定用ブラケットに対してボルト締めすることによりハウジング13のもう片側を固定する。従って、各掛止部32を仮に固定部31とした場合と異なり、ボルト締め箇所が少なくなることから、照明装置11の天井への固定作業を簡単にすることができる。
【0054】
(8)ハウジング13において、前記レンズにより覆われる領域以外の部分に両固定部31,31を設けた。このため、レンズをハウジング13に対して装着した状態でハウジング13を天井に対してボルト締め固定することができる。また、ハウジング13とレンズとを別々に管理する必要もない。さらに、蛍光ランプ12が前記レンズにより覆われていることから、ボルト締め作業時、工具と蛍光ランプ12とが接触することはない。
【0055】
(9)両固定部31,31をハウジング13の裏面片側に設けた。このため、仮に前記レンズ未装着状態でハウジング13を天井に固定する場合においても、蛍光ランプ12を跨いでボルト締めする必要がない。このため、ボルト締め作業時における工具と蛍光ランプ12との接触による破損を防止することができる。
【0056】
(別例)
尚、前記実施形態は以下のように変更して実施してもよい。
・本実施形態では、蛍光灯用ソケット23の係合凹部52及びソケットホルダ22の係合凸部43をそれぞれ2つずつ設けたが、1つ又は3つずつ以上設けるようにしてもよい。
【0057】
・本実施形態では、ハウジング13の裏面に対して固定部31を2箇所設けたが、3箇所、4箇所又は5箇所以上設けるようにしてもよい。
【0058】
・本実施形態では、ハウジング13の裏面に対して掛止部32を3箇所設けたが、2箇所、4箇所又は5箇所以上設けるようにしてもよい。
【0059】
・本実施形態における蛍光灯用ソケットの取付構造を、家庭用、自動車用及び産業機器用等の蛍光灯器具全般に応用するようにしてもよい。
【0060】
・本実施形態では、インジェクション成形によりソケットホルダ22をハウジング13と一体形成したが、それ以外の成形方法で、ソケットホルダ22をハウジング13と一体形成するようにしてもよい。
【0061】
(付記)
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
・前記ハウジングにおいて、レンズにて覆われる部分以外に単数又は複数のボルト締め固定部を設けた請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【0062】
・前記蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間の係合状態を保持するための保持部材を別部材として設け、同保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入することにより、蛍光灯用ソケットの係合凹部とソケットホルダの係合凸部との間の係合状態が保持されるようにした請求項4に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【0063】
・前記ソケットホルダには複数の係合孔を形成し、前記保持部材には前記各係合孔にそれぞれ対応する係合突部を有した複数のアーム部を設け、同保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間へ挿入する際、前記係合突部とソケットホルダの内面との摺接に基づいて、前記アーム部が弾性変形した後弾性復帰し、係合突部が係合孔に係合して、保持部材が蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に係合保持されるようにした請求項7に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態における照明装置の正面図。
【図2】本実施形態における照明装置の背面図。
【図3】本実施形態における照明装置の側面図。
【図4】本実施形態におけるソケットホルダ、蛍光灯用ソケット及びソケットスペーサの組立状態を示す分解斜視図。
【図5】本実施形態におけるソケットホルダ、蛍光灯用ソケット及びソケットスペーサの組立状態を示す斜視図。
【図6】(a),(b)は、それぞれ従来の光灯用ソケットの取付状態を示す斜視図。
【0065】
11…照明装置、12…蛍光ランプ、13…ハウジング、22…ソケットホルダ、23…蛍光灯用ソケット、45…ソケット取付用孔、52…ソケット係合構造を構成する係合凹部、43…ソケット係合構造を構成する係合凸部、44…ソケット保持部材係合構造を構成する被係合部としての係合孔、61…ソケット保持部材を構成するソケットスペーサ、62…アーム部、63…ソケット保持部材係合構造を構成する係合部としての係合突部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光ランプを電気的に接続する蛍光灯用ソケットをソケットホルダを介してハウジングに固定するようにした蛍光灯用ソケットの取付構造において、
前記ソケットホルダをハウジングと一体形成した蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項2】
前記ハウジングには、蛍光灯用ソケットを同ハウジングの裏面側からソケットホルダに対して装着可能としたソケット取付用孔を設けた請求項1に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項3】
前記ソケットホルダには、蛍光灯用ソケットを係止するためのソケット係合構造を設けた請求項1又は請求項2に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項4】
前記ソケット係合構造は、蛍光灯用ソケットに形成された単数又は複数の係合凹部に対してそれぞれ係合可能とした単数又は複数の係合凸部である請求項3に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項5】
前記蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間の係合状態を保持するためのソケット保持部材を別部材として設け、同ソケット保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入することにより、蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間の係合状態が保持されるようにした請求項3又は請求項4に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項6】
前記ソケットホルダには、ソケット保持部材を係止するためのソケット保持部材係合構造を設けた請求項5に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項7】
前記ソケット保持部材係合構造は、前記ソケット保持部材に設けた係合部を係合可能とした被係合部である請求項6に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項8】
前記ソケットホルダの被係合部は複数の係合孔であり、前記ソケット保持部材の係合部は弾性を有する複数のアーム部にそれぞれ前記各係合孔に対応するように形成した係合突部であり、前記ソケット保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入する
際、前記係合突部とソケットホルダの内面との摺接に基づいて、前記アーム部が弾性変形した後弾性復帰し、係合突部が係合孔に係合して、ソケット保持部材が蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に係合保持されるようにした請求項7に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項9】
前記ハウジングにおいて、レンズにて覆われる部分以外に単数又は複数のボルト締め固定部を設けた請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項10】
前記蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間の係合状態を保持するための保持部材を別部材として設け、同保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に挿入することにより、蛍光灯用ソケットの係合凹部とソケットホルダの係合凸部との間の係合状態が保持されるようにした請求項4に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。
【請求項11】
前記ソケットホルダには複数の係合孔を形成し、前記保持部材には前記各係合孔にそれぞれ対応する係合突部を有した複数のアーム部を設け、同保持部材を蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間へ挿入する際、前記係合突部とソケットホルダの内面との摺接に基づいて、前記アーム部が弾性変形した後弾性復帰し、係合突部が係合孔に係合して、保持部材が蛍光灯用ソケットとソケットホルダとの間に係合保持されるようにした請求項7に記載の蛍光灯用ソケットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−19308(P2006−19308A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226048(P2005−226048)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【分割の表示】特願2001−140245(P2001−140245)の分割
【原出願日】平成13年5月10日(2001.5.10)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】