説明

蛍光管を自由に選択出来る軽量ペンダント蛍光灯具

【課題】街の照明灯売場は、インバーター灯具の競売状態である一方、地方の旧家には超重量級の蛍光灯がぶら下がり、防災上問題あり。灯具の軽量化と省エネを実現する。
【解決手段】100V蛍光灯の軽量化に取組み、「変則定電流回路」による点灯方式に辿り着き、また「エネルギー効率の低下と言う犠牲無くしては、出力20W.以上にも以下にも出来ない。」と言う結論にも達した。これらを踏まえて、32W.型以上の蛍光灯具は全て、出力20W.とし、30W.型以下の灯具は、軽い白熱灯をバラストにした「ハイブリッド方式」として、高級で明る過ぎるインバーター点灯方式の向こうを張る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
民生用照明灯
【背景技術】
【0002】
100v.系の蛍光灯は、安定器を用いた従来型灯具はまだ現存するが、現在は電源周波数を数十倍に上げ、エネルギー密度を高めた高性能インバーター方式が主流である。
然し、この周波数変換装置;インバーターは、一灯毎に一台必要であり、人口爆発を迎える地球上に、あまねく普及するには、資源面からの制約が囁かれている。
軽量化を提唱し、電磁コイルの代わりに白熱灯を用いたハイブリッド方式、軽量電磁コイル(L)とコンデンサー(C)による直列共振を応用する、「変則定電流回路」方式がある。
我国の100V.系で用いる蛍光灯には、200V.系では必要としない「点灯管」が必要となり、劣化すれば種々不具合を誘発するから、点灯管▲3▼は無い方がよい。
物理的、美観的に「始めに蛍光管有りき」で、管に合せて設計して来たから、点灯回路は、管種別に異なり同一回路を共用するものは、インバータ式以外にはない。
家庭用照明灯売り場の現状は、高性能インバータ方式による高輝度製品の熾烈な、競売状態にあり、回路複雑、部品多数の、資源浪費型製品があふれている。
設置後は、局所集中的「明る過ぎる照明」となり、何となく落ち着かない。
「ハイブリッド蛍光灯」は、バラストが白熱灯の為軽く、力率1の明るい灯具である。
「登録第3153174号」;「節電指向の軽量蛍光灯」は、バラストにインダクター(l)を用いた「変則定電流回路」による点灯方式で、これをFCL40型陽連環付蛍光管に応用した場合、エネルギー効率が極大化することを実証したものである。
(注)正規「定電流回路」は(L)と(C)が共振開係にあるが*印は容量(C)が少ない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
「変則定電流回路」点灯方式は、ポストインバーターを自認し、これをFCL32蛍光管に適用した場合、点灯性能が極大化し、従来100V.系では不可欠であった「点灯管」を用いないで、白熱灯以上の「即時点灯性能」を安全に確保することを実証する。
FCL32、FCL40蛍光管との共通課題2点、その他計4点の課題は下記の通り、
▲1▼外部由来の、電圧変動や周波数変動による、擾乱に弱く「チラツキ」易い。
▲2▼蛍光管の管端に「黒ずみ」が発生し易い。
▲3▼冷態からの「一発点灯」に必要な初期入力電圧は、少なくとも200V.必要。
▲4▼バラストに「白熱灯」を用いるFCL30蛍光管は、電圧低下時に、やや点灯し難い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
▲1▼のチラツキ発生の元凶は、コンデンサー(C)と蛍光管▲1▼を含む回流路に介在させた、インダクター(l)のインダクタンスの値が過剰である時に発生し易いことが判明した。
▲2▼管端の「黒ずみ発生」を防止する最も有効な手段は、バラストを適正に設けた上、「点灯管無しに、瞬時に一発点灯」させることである。
▲3▼一般に放電灯の放電電圧(V)と電流の関係は、「最高効率点の電流値付近を境に電圧(V)が急激な垂下特性を示す。」ことから、「最高効率点を特定し、その付近に放電電流値に設定すべきである。」と考えた。実験結果、蛍光灯入力電圧を左右する電磁コイル(L)は従来型灯具中、電流控えめで最高エネルギー効率;85%を記録したFL20蛍光管用安定器が最適と決定した。重量も300Grと軽量である。
従って本案点灯回路の出力は約20W.に制限されるが、「100V.のポテンシャルエネルギーを最強の放電エネルギーに変換する灯具出力は約20W.である。」との仮説を立てた。仮説は結果で実証する。(インバーター蛍光灯でも電気的出力は強18W.弱10W.位である。)
従って取付け可能で、点灯可能であれば、本点灯回路は、20W.型以上40W.型迄の全ての蛍光管を約20W.で点灯可能となる。勿論、放電抵抗の過小部分を小型電球等で補えば、FL15以下の蛍光管も点灯可能であるが、必要性は皆無と思う。
コイルの「Q」即ち電磁的品質は点灯性を支配し、特にインダクター(l)は、敏感である。
▲4▼バラストに白熱灯を用いる「ハイブリッド点灯方式」の共通問題は、点灯回路に全くリアクタンス成分が無い為、明るい反面、溜め(タイムラグ)が全く無いから、スイッチング(キック)時点と電圧ピーク時点とのミスマッチングが起り易い。対策は、重量的、価格的負担のない小インダクター(Ll)と、小容量のコンデンサー(Lc)、漏洩抵抗(Lr)の「セット」を追設した。
【作用】
【0005】
FCL32蛍光管の場合、点灯管が要らないので「グロー時間」無く、コンデンサー(C)からの放電が先行するから、スイッチONするやいなや「パッ」と「一発点灯」する。従って、常用灯にすれば、至極便利であり、出力は低いから、遠慮なく使える。
この位置には、20W.型以上40W.型迄の、蛍光管を差し替えて使用可能であるが、20W.管には物理的無理があるなど、実際には40W.管のみ即、差し替え可能である。
中央のFCL30蛍光管と95W.白熱灯からなる「ハイブリッド蛍光灯」は、エネルギー効率は高くないが、照度が比較的大であるから臨時に用いる加勢灯として最適である。
吊り下げ式照明灯は地震の時、大きく横振れを起こし、凶器となり得るから、その軽量化は勿論、傘▲20▼の材質にも配慮すべきである。本案では軽量で柔軟性に富んだ発泡塩ビ板製としたところ、ほんのりと淡紫色の光を通し、幻想的である。
【実施例】
【0006】
「表1」参照。(注)50Hz電源に於ける点灯テストは実施していない。
【0007】

【表1】

【発明の効果】
【0008】
回路簡潔、低コストであるから、リビングルームなどには2灯を設けることで、「局所集中的強力な照明」を分散し、適度な明るさの「癒し空間」を演出できる。
課題▲3▼に対し、「部分的直列共振」用電磁コイル(L)として「FL20用安定器」を採用した結果、蛍光管への入力電圧は205V.を確保し、FCL32以下の蛍光管の即時点灯性能は「秀」となり、特定の新管では「陽連環」を外しても、「点灯管なしに瞬時に点灯を果たす」ことが判明し、仮説は実証され、インバータを超えた。但し、電源電圧低下時の点灯に不確実性あり、現時点では「陽連環装着」を原則とする。
「表1」を見ると、電磁コイル(L)と、コンデンサー(C)との間の直列共振回路ではω=377、蛍光管を含む回流路では、ω=1320〜1508、に近い数値であり、基本周波数のそれぞれ、1次、3.5〜4次、に相当する。(ω=2πF、Fは実行周波数。)
一方、「実施例」の光を照射しつつ、「宇宙コマ」を回転させて、その縞模様の同期する様子から、高調波の存在を調べた処、基本波の他に少なくとも3種類の高調波が確認出来た。本案が3波長対応灯具であることを証明する事象である。
*印;特許第2770924号
前段に「変則定電流回路」を頂いた回流路の、インダクター(l)を適正にした結果、点灯初期にこそ、僅かに音を発しながら、高調波を発生する過程で1,2分間程ヒクヒクしたり、色を変えたりするが、その後は電圧変動、周波数変動等、外部由来の擾乱に滅法強くなり、極めて安定し、課題▲1▼は完全に解決した。
「黒ずみ」発生の元凶は、「点灯管の劣化などによる作動不良」であり、従来考えていた「過大な突入電流」だけが原因ではなく、その緩和策として回路にサーミスターを挿入するなどは、逆効果であった。点灯管不要のFCL32以下の蛍光管については、不要に伴う経済効果と共に、この種灯具の機能的課題▲2▼も解決した。
出力当り照度(9Lx/w.)はこの種灯具の筆頭であり、η(=0.72)の低さを補う。
前記課題▲3▼の達成電圧205V.は、FCL40陽連環付蛍光管を点灯管を併用して点灯出来る電圧でもある。従って「図1」の回路の点灯管▲3▼の位置はFCL40蛍光管点灯用点灯管「FG4P」専用としておくことにより、本点灯回路は、FCL40/32/30蛍光管共用回路となる。32/30型蛍光管取付け時は点灯管回路は原則不要である。
陽連環付FCL40蛍光管を取付けた場合、電源電圧が100V.あれば、即時点灯性は32型管同様「秀」であるが、普通は「グロー時間」を要し、「優」である。
使用者には、エネルギー効率抜群の陽連環付FCL40蛍光管か、又は即時点灯性抜群で点灯管不要の陽連環付FCL32蛍光管(管の銘柄によっては、陽連環も不要)を、恣意的に選択する「選択の自由と、交換試用する興味と期待感」を提供できる。また、メーカーには、蛍光管種別生産ロット(品番)が減るから、大きなメリットがある。
課題▲4▼の対策は、臨時加勢灯(FCL30)のペンダントスイッチによる点灯を確実にした。
完成重量は1.5Kg程度になり、最も軽量な吊り下げ式灯具の一つとなった。
点灯失敗を放置すると電磁コイル(L)が過熱するから温度スイッチ(Ts)は省略出来ない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)題記の軽量ペンダント蛍光灯を下面から見た外観図である。外側の蛍光管を「差し替え中」に就きソケット▲8▼が外れている。(b)同電気回路図である。[表1]「実施例」の性能関係データーである。
【符号の説明】
【0010】
▲1▼蛍光管 ▲2▼白熱灯 ▲3▼点灯管 ▲4▼スイッチ ▲5▼引掛プラグ ▲6▼▲7▼陽連環 ▲8▼4穴ソケット(丸形蛍光管用) ▲9▼ペンダントスイッチ ▲10▼偏向リング ▲11▼接続ピン ▲12▼フェライト磁石 ▲13▼天板兼反射板 ▲15▼吊下げコード ▲16▼被覆線(2芯) ▲17▼リード線(単芯) ▲18▼蛍光管保持金物 ▲20▼傘(シェード)
【0011】
(L);電磁コイル、またはそのインダクタンス (C);コンデンサーまたはそのキャパシタンス
(l);回流路のインダクターまたはそのインダクタンス (D);整流ダイオード
(Ll);小インダクター(1〜3mH) (Lc);小コンデンサー(0.05〜0.1μF)
(Lr);漏洩抵抗(0.5〜1MΩ) (Ts);電磁コイル保護用温度スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心にペンダントスイッチ▲9▼で臨時に点灯させる、30W.型「ハイブリッド蛍光灯」の白熱灯と蛍光管を設け、その外又は下に20W.型以上の常用蛍光管1本を設けた上、その蛍光管は恣意的に管種を変更し、差し替え得る様に構成されたことを特徴とする、点灯回路が「変則定電流回路」である軽量ペンダント蛍光灯具。
【請求項2】
「請求項1」の灯具に恣意的に取付けた蛍光管が、特定の32W.型以下の新管である時、又は特定の40W.型新管であり電源電圧が100V.以上ある時、「陽連環」を装着することなく「点灯管無しに瞬時に一発点灯を果す」灯具。
【請求項3】
「請求項2」の灯具の、電磁コイル(L)として、従来型灯具に用いられた「FL20蛍光管点灯用安定器」と略同等の、インダクタンス(L)を持つ電磁コイルを、採用した灯具。
【請求項4】
「請求項2」の灯具の、コンデンサー(C)として、「60Hz用の容量;9±1(50Hz用容量;11±1)μF,耐圧;AC.250V.以上」を採用した灯具。
【請求項5】
「請求項2」の灯具の、コンデンサー(C)を含む回流路のインダクター(l)として、インダクタンスが電磁コイル(L)の15乃至20分の1であるものを採用した灯具。
【請求項6】
紫色透過性白色発泡塩ビ板で作られた「請求項1」の灯具の傘。

【図1】
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【公開番号】特開2011−228237(P2011−228237A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110632(P2010−110632)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(593177387)
【Fターム(参考)】