説明

蛍光蛋白質

【課題】 CFPからYFPへのFRETの効率が高く、励起されたCFPのエネルギーの多くがYFPへと伝達され、CFPの蛍光がほとんど観察さないようなCFPとYFPとの融合蛋白質を提供すること。
【解決手段】 シアン蛍光蛋白質(CFP)のアミノ酸配列からC末端を11アミノ酸欠失させたアミノ酸配列と、黄色蛍光蛋白質(YFP)のアミノ酸配列からN末端を5アミノ酸欠失させたアミノ酸配列とを、-Leu-Glu-で表されるリンカー配列を介して、N末端側にCFPのアミノ酸配列が配置され、C末端側にYFPのアミノ酸配列が配置されるように連結することにより得られる、蛍光蛋白質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CFPとYFPとを融合させて得られる新規な蛍光蛋白質に関する。より詳細には、本発明は、C末端を欠失させたCFPとN末端を欠失させたYFPとをリンカー配列を介して結合することにより得られる新規な蛍光蛋白質及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
クラゲのエクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria)に由来する緑色蛍光蛋白質(GFP)は、生物系において多くの用途を有する。最近、ランダム突然変異誘発法および半合理的(semi-rational)突然変異誘発法に基づいて、色を変化させたり、折りたたみ特性を改善したり、輝度を高めたり、あるいはpH感受性を改変したといった様々なGFP変異体が作製されている。遺伝子組み換え技術により他の蛋白質をGFP等の蛍光蛋白質に融合させて、それらの発現および輸送のモニタリングを行うことが行われている。
【0003】
最もよく使用されるGFP変異体の一つとして黄色蛍光蛋白質(YFP)が挙げられる。YFPは、クラゲ(Aequorea)GFP変異体の中でも最長波長の蛍光を示す。また、GFP変異体の他の例として、シアン色蛍光蛋白質(CFP)があり、ECFP(enhanced cyan fluorescent protein)が知られている。また、イソギンチャク(Discoma sp.)からは赤色蛍光蛋白質(RFP)も単離されており、DasRedが知られている。このように蛍光蛋白質は、緑色、黄色、シアン色、赤色の4種が次々と開発されスペクトルの範囲は大幅に広がっている。
【0004】
CFPとYFPを利用して蛋白質のダイナミクスを解析する手法として、FLAP(fluorescence localization after photobleaching)がある(非特許文献1)。非特許文献1に記載のFLAPにおいては、局在化する蛋白質には2つの蛍光物質を保持させておく。片方の蛍光物質(即ち、YFP)を光消光し、他方の蛍光物質(即ち、CFP)を対照用の標識として作用させる。FLAP法では、特定の領域にある蛍光物質を強力な光を照射することによって不可逆的にブリーチ(消光)し、その領域の蛍光強度を測定し、その後の同領域の蛍光回復を観察する。FLAPの技術は、基本的にはFRAP(fluorescence recovery after photobleaching)である。即ち、FRAPでは、ブリーチされた領域への周囲の領域からのブリーチされていない蛍光物質の流入から、目的蛋白質の拡散などに関する情報を得る。FLAPでは、ブリーチする蛍光物質のほかに、ブリーチされない蛍光物質を融合させ、試料の厚みなどに由来する蛍光物質の量を補正する。即ち、CFPは対照として機能しており、YFPとCFPの融合方法は特に工夫されていなかった。
【0005】
【非特許文献1】Journal of Microscopy, January 2002. Dunn GA et al., 109-12
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、CFPからYFPへのFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用して機能蛋白質の拡散などのダイナミクスを解析する方法を提供することである。より具体的には、本発明は、CFPからYFPへのFRETの効率が高く、励起されたCFPのエネルギーの多くがYFPへと伝達され、CFPの蛍光がほとんど観察さないようなCFPとYFPとの融合蛋白質を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、CFPのC末端を11アミノ酸、YFPのN末端を5アミノ酸削ったものを−ロイシン−グルタミン酸−(制限酵素XhoIサイトに由来)を介して融合した蛋白質が、CFPからYFPへの高いFRET効率を示すことを見出した。この融合蛋白質(Cy11.5)は、432nmに吸収の極大、528nmに蛍光の極大を示す。さらに、2種のGFP変異体をリンカーで連結した構築物は通常はトリプシンなどのプロテアーゼによって切り離されることが多いので、本発明の融合蛋白質(Cy11.5)のプロテアーゼに対する抵抗性を調べた。その結果、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カテプシンB、カテプシンD、及びパパインの処理前後でスペクトルは変化せず、融合蛋白質(Cy11.5)はプロテアーゼに対して抵抗性を示すことが分かった。さらに、YFPをブリーチしてCFPの蛍光の回復を観察したところ、5倍程度の蛍光の増大を示し、蛋白質の動態の観察に用いることが十分に可能であることが分かった。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0008】
即ち、本発明によれば、シアン蛍光蛋白質(CFP)のアミノ酸配列からC末端を11アミノ酸欠失させたアミノ酸配列と、黄色蛍光蛋白質(YFP)のアミノ酸配列からN末端を5アミノ酸欠失させたアミノ酸配列とを、-Leu-Glu-で表されるリンカー配列を介して、N末端側にCFPのアミノ酸配列が配置され、C末端側にYFPのアミノ酸配列が配置されるように連結することにより得られる、蛍光蛋白質が提供される。
【0009】
本発明の別の側面によれば、以下の(a)又は(b)に示す蛍光蛋白質が提供される。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、以下の(a)又は(b)に示す蛍光蛋白質をコードするDNAが提供される。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、以下の(a)又は(b)に示すDNAが提供される。
(a)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA
(b)配列番号1に記載の塩基配列において、1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつ配列番号1に記載の塩基配列がコードする蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質をコードする塩基配列を有するDNA。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のDNAを有する組み換えベクターが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のDNA又は組み換えベクターを有する形質転換体が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の蛍光蛋白質と他の蛋白質とから成る融合蛍光蛋白質が提供される。
好ましくは、他の蛋白質は細胞内に局在する蛋白質であり、さらに好ましくは細胞内小器官に特異的な蛋白質である。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の蛍光蛋白質あるいは融合蛋白質を細胞内で発現させることを特徴とする、細胞内における蛋白質の局在または動態を分析する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の蛍光蛋白質、DNA、組み換えベクター、形質転換体、又は融合蛋白質を含む、蛍光試薬キットが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明により提供されるCFPとYFPとを融合させて得られる蛍光蛋白質は、CFPからYFPへのFRETの効率が高く、励起されたCFPのエネルギーの多くがYFPへと伝達され、CFPの蛍光がほとんど観察さないという特徴を有する。従って、YFPをブリーチするとCFPの蛍光が大幅に上昇する。上昇したCFPの蛍光強度のみから機能蛋白質のダイナミクスを追跡することも可能であるし、YFPの蛍光強度との比を用いて定量的に解析することも可能である。また、本発明の融合蛋白質はCFPの蛍光が殆ど観察されないことから、435nmで励起され、528nmの蛍光を発するストークスシフトの長い蛍光蛋白質である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1)本発明の蛍光蛋白質
本発明の蛍光蛋白質は、シアン蛍光蛋白質(CFP)のアミノ酸配列からC末端を11アミノ酸欠失させたアミノ酸配列と、黄色蛍光蛋白質(YFP)のアミノ酸配列からN末端を5アミノ酸欠失させたアミノ酸配列とを、-Leu-Glu-で表されるリンカー配列を介して、N末端側にCFPのアミノ酸配列が配置され、C末端側にYFPのアミノ酸配列が配置されるように連結することにより得られる蛍光蛋白質である。
【0017】
本発明の蛍光蛋白質の具体例としては、以下の(a)又は(b)に示す蛍光蛋白質が挙げられる。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
【0018】
本発明では、CFPとYFPの融合部分を工夫することによりCFPからYFPへのFRET効率が非常に高い融合蛋白質を作製することに成功した。本発明の融合蛋白質は、CFPに由来する480nm付近の蛍光は殆ど観察されず、FRETによる528nm付近の蛍光の約13分の1である。この融合蛋白質のYFPをFLAPの場合と同様にブリーチすると、YFPの蛍光強度が減少するだけでなく、CFPの蛍光強度が4〜5倍程度上昇する。CFP/YFPは10〜15倍変化する。即ち、FLAPよりも感度が上昇することになる。また、本発明の融合蛋白質は、プロテアーゼに対して耐性を示す。また、本発明の融合蛋白質は、528nmに単一の蛍光のピークを持つ。この性質から、435nmで励起され、528nmの蛍光を発する単一の蛍光蛋白質として用いることができる。本発明の蛍光蛋白質は、ストークスシフトが長いため、多重染色に有用である。
【0019】
本発明で用いるシアン蛍光蛋白質(CFP)の塩基配列及びアミノ酸配列の一例を配列表の配列番号3及び4に示し、黄色蛍光蛋白質(YFP)の塩基配列及びアミノ酸配列の一例を配列表の配列番号5及び6に示す。しかしながら、本発明で用いるシアン蛍光蛋白質(CFP)及び黄色蛍光蛋白質(YFP)は上記アミノ酸配列で特定される蛋白質に限定されるわけではなく、上記アミノ酸配列で特定されるシアン蛍光蛋白質(CFP)及び黄色蛍光蛋白質(YFP)と同等の蛍光特性を有する限り、その改変体を用いることもできる。ここで言う改変体とは、配列番号3又は配列番号4に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有する蛋白質を言う。
【0020】
本明細書で言う「1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
【0021】
本明細書で言う「同等の蛍光特性」とは、同等の蛍光強度、同等の励起波長、同等の蛍光波長、同等のpH感受性などを有することを意味する。
【0022】
本発明の蛍光蛋白質の取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白質でもよい。
組み換え蛋白質を作製する場合には、先ず当該蛋白質をコードするDNAを入手することが必要である。先ず、シアン蛍光蛋白質(CFP)のアミノ酸配列からC末端を11アミノ酸欠失させたアミノ酸配列をコードするDNAと、黄色蛍光蛋白質(YFP)のアミノ酸配列からN末端を5アミノ酸欠失させたアミノ酸配列をコードするDNAとを用意する。これらのDNA断片は、全長CFP又は全長YFPをコードするDNAと好適なプライマーを用いてPCRを行うことにより調製することができる。また、これらの断片を調製する際には、末端に制限酵素部位を有するように調製することができる。次いで、これらのDNA断片を、-Leu-Glu-で表されるリンカー配列をコードするDNA配列を介して、N末端側にCFPのアミノ酸配列をコードするDNAが配置され、C末端側にYFPのアミノ酸配列をコードするDNAが配置されるように連結することにより、本発明の蛋白質をコードするDNAを入手することができる。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明の蛍光蛋白質を産生することができる。発現系での発現については本明細書中後記する。
【0023】
(2)本発明のDNA
本発明によれば、本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAが提供される。
本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAの具体例としては、以下の(a)又は(b)に示す蛋白質をコードするDNAが挙げられる。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
【0024】
本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAの更なる具体例としては、以下の(a)又は(b)に示すDNAもまた挙げられる。
(a)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA
(b)配列番号1に記載の塩基配列において、1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつ配列番号1に記載の塩基配列がコードする蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質をコードする塩基配列を有するDNA。
【0025】
本発明のDNAは、例えばホスホアミダイト法などにより合成することができるし、特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって製造することもできる。本発明のDNA又はその断片の作製方法については、本明細書中上述した通りである。
【0026】
また、所定の核酸配列に所望の変異を導入する方法は当業者に公知である。例えば、部位特異的変異誘発法、縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR、核酸を含む細胞の変異誘発剤又は放射線への露出等の公知の技術を適宜使用することによって、変異を有するDNAを構築することができる。このような公知の技術は、例えば、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989、並びにCurrent Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987-1997)に記載されている。
【0027】
(3)本発明の組み換えベクター
本発明のDNAは適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えばプラスミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよい。
【0028】
好ましくは、本発明で用いるベクターは発現ベクターである。発現ベクターにおいて本発明のDNAは、転写に必要な要素(例えば、プロモータ等)が機能的に連結されている。プロモータは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜することができる。
【0029】
細菌細胞で作動可能なプロモータとしては、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子(Bacillusstearothermophilus maltogenic amylase gene)、バチルス・リケニホルミスαアミラーゼ遺伝子(Bacillus licheniformis alpha-amylase gene)、バチルス・アミロリケファチエンス・BANアミラーゼ遺伝子(Bacillus amyloliquefaciens BAN amylase gene)、バチルス・サブチリス・アルカリプロテアーゼ遺伝子(Bacillus Subtilis alkaline protease gene)もしくはバチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺伝子(Bacillus pumilus xylosldase gene)のプロモータ、またはファージ・ラムダのPR若しくはPLプロモータ、大腸菌の lac、trp若しくはtacプロモータなどが挙げられる。
【0030】
哺乳動物細胞で作動可能なプロモータの例としては、SV40プロモータ、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモータ、またはアデノウイルス2主後期プロモータなどがある。昆虫細胞で作動可能なプロモータの例としては、ポリヘドリンプロモータ、P10プロモータ、オートグラファ・カリホルニカ・ポリヘドロシス塩基性蛋白プロモータ、バキュウロウイルス即時型初期遺伝子1プロモータ、またはバキュウロウイルス39K遅延型初期遺伝子プロモータ等がある。酵母宿主細胞で作動可能なプロモータの例としては、酵母解糖系遺伝子由来のプロモータ、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモータ、TPI1プロモータ、ADH2-4cプロモータなどが挙げられる。
糸状菌細胞で作動可能なプロモータの例としては、ADH3プロモータまたはtpiAプロモータなどがある。
【0031】
また、本発明のDNAは必要に応じて、例えばヒト成長ホルモンターミネータまたは真菌宿主についてはTPI1ターミネータ若しくはADH3ターミネータのような適切なターミネータに機能的に結合されてもよい。本発明の組み換えベクターは更に、ポリアデニレーションシグナル(例えばSV40またはアデノウイルス5E1b領域由来のもの)、転写エンハンサ配列(例えばSV40エンハンサ)および翻訳エンハンサ配列(例えばアデノウイルス VA RNA をコードするもの)のような要素を有していてもよい。
本発明の組み換えベクターは更に、該ベクターが宿主細胞内で複製することを可能にするDNA配列を具備してもよく、その一例としてはSV40複製起点(宿主細胞が哺乳類細胞のとき)が挙げられる。
【0032】
本発明の組み換えベクターはさらに選択マーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはシゾサッカロマイセス・ポンベTPI遺伝子等のようなその補体が宿主細胞に欠けている遺伝子、または例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン若しくはヒグロマイシンのような薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。
本発明のDNA、プロモータ、および所望によりターミネータおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これらを適切なベクターに挿入する方法は当業者に周知である。
【0033】
(4)本発明の形質転換体
本発明のDNA又は組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。
本発明のDNAまたは組み換えベクターを導入される宿主細胞は、本発明のDNA構築物を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞等が挙げられる。
【0034】
細菌細胞の例としては、バチルスまたはストレプトマイセス等のグラム陽性菌又は大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行えばよい。
哺乳類細胞の例としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられる。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法も公知であり、例えば、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等を用いることができる。
【0035】
酵母細胞の例としては、サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevis1ae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
【0036】
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス、ニューロスポラ、フザリウム、またはトリコデルマに属する細胞である。宿主細胞として糸状菌を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことができる。DNA構築物の宿主染色体への組み込みは、公知の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。
【0037】
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、蛋白質を発現させることができる(例えば、Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manua1;及びカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Bio/Technology, 6, 47(1988)等に記載)。
【0038】
バキュロウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)等を用いることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、Trichoplusia niの卵巣細胞であるHiFive(インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法又はリポフェクション法等を挙げることができる。
【0039】
上記の形質転換体は、導入されたDNA構築物の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養する。形質転換体の培養物から、本発明の蛍光融合蛋白質を単離精製するには、通常の蛋白質の単離、精製法を用いればよい。
例えば、本発明の蛋白質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常の蛋白質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
【0040】
(5)本発明の蛍光蛋白質及びそれを含む融合蛍光蛋白質の利用
本発明は蛍光蛋白質を他の蛋白質と融合させることにより、融合蛍光蛋白質を構築することができる。
本発明の融合蛍光蛋白質の取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白質でもよい。
組み換え蛋白質を作製する場合には、先ず当該蛋白質をコードするDNAを入手することが必要である。本明細書の配列表の配列番号1、3又は5に記載した塩基配列、及び配列番号2、4又は6に記載したアミノ酸配列の情報を利用することにより適当なプライマーを設計し、本発明の蛍光蛋白質の遺伝子を含むDNA断片を鋳型にしてPCRを行うことにより、本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAを構築するのに必要なDNA断片を作製することができる。また同様に、融合すべき蛋白質をコードするDNA断片も入手する。
【0041】
次いで、これらのDNA断片を順番に遺伝子組み換え技術により連結することにより、所望の融合蛍光蛋白質をコードするDNAを得ることができる。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明の融合蛍光蛋白質を産生することができる。
【0042】
本発明の蛍光蛋白質は、特に、標識としての利用価値が高い。即ち、本発明の蛍光蛋白質を被検アミノ酸配列との融合蛋白質として精製し、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入し、該融合蛋白質の分布を経時的に観察すれば、被検アミノ酸配列の細胞内におけるターゲッティング活性を検出することが可能である。
【0043】
本発明の蛍光蛋白質を融合させる他の蛋白質(被検アミノ酸配列)の種類は特に限定されるものではないが、例えば、細胞内に局在する蛋白質、細胞内小器官に特異的な蛋白質、ターゲティングシグナル(例えば、核移行シグナル、ミトコンドリアプレ配列)等が好適である。なお、本発明の蛍光蛋白質は、マイクロインジェクション法などにより細胞内に導入する以外に、細胞内で発現させて用いることも可能である。この場合には、本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAが発現可能に挿入されたベクターが宿主細胞に導入される。
【0044】
また、本発明の蛍光蛋白質は、レポーター蛋白質としてプロモータ活性の測定に用いることも可能である。即ち、被検プロモータの下流に、本発明の蛍光蛋白質をコードするDNAが配置されたベクターを構築し、これを宿主細胞に導入し、該細胞から発せられる本発明の蛍光蛋白質の蛍光を検出することにより、被検プロモータの活性を測定することが可能である。被検プロモータとしては、宿主細胞内で機能するものであれば、特に制限はない。
【0045】
上記アミノ酸配列のターゲティング活性の検出やプロモータ活性の測定において用いられるベクターとしては、特に制限はないが、例えば、動物細胞用ベクターでは、「pNEO」(P. Southern, and P. Berg (1982) J. MOl. Appl. Genet. 1:327)、「pCAGGS」(H.Niwa,K.Yamamura,and J.Miyazaki. Gene 108,193-200(1991))、「pRc/CMV」(インビトロゲン社製)、「pCDM8」(インビトロゲン社製)などが、酵母用ベクターでは、「pRS303」,「pRS304」,「pRS305」,「pRS306」,「pRS313」,「pRS314」,「pRS315」,[pRS316](R.S.Sikorski and P.Hieter (1989) Genetics 122: 19-27)、「pRS423」,「pRS424」,「pRS425」,「pRS426」(T.W.Christianson, R.S.Sikorski, M.Dante, J.H.Shero, and P. Hieter (1992) Gene 110: 119-122)などが好適に用いられる。
【0046】
また、使用可能な細胞の種類も特に限定されず、各種の動物細胞、例えば、L細胞、BalbC-3T3細胞、NIH3T3細胞、CHO(Chinese hamster ovary)細胞、HeLa細胞、NRK(normal rat kidney)細胞、「Saccharomyces cerevisiae」などの酵母細胞や大腸菌(E. coli)細胞などを使用することができる。ベクターの宿主細胞への導入は、例えば、リン酸カルシウム法やエレクトロポレーション法などの常法により行うことができる。
【0047】
上記のようにして得た、本発明の蛍光蛋白質と他の蛋白質(蛋白質Xとする)とを融合させた融合蛍光蛋白質を細胞内で発現させ、発する蛍光をモニターすることにより、細胞内における蛋白質Xの局在や動態を分析することが可能になる。即ち、本発明の融合蛍光蛋白質をコードするDNAで形質転換またはトランスフェクトした細胞を蛍光顕微鏡で観察することにより細胞内における蛋白質Xの局在や動態を可視化して分析することができる。
【0048】
例えば、蛋白質Xとして細胞内オルガネラに特異的な蛋白質を利用することにより、核、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、分泌小胞、ペルオキソームなどの分布や動きを観察できる。
また、例えば、神経細胞の軸索、樹状突起などは発生途中の個体の中で著しく複雑な走向の変化を示すので、こういった部位を蛍光ラベルすることにより動的解析が可能になる。
【0049】
本発明の蛍光蛋白質の蛍光は、生細胞のまま検出することが可能である。この検出は、例えば、蛍光顕微鏡(カールツァイス社 アキシオフォト フィルターセット09)や画像解析装置(ATTO デジタルイメージアナライザー)などを用いて行うことが可能である。
顕微鏡の種類は目的に応じて適宜選択できる。経時変化を追跡するなど頻回の観察を必要とする場合には、通常の落射型蛍光顕微鏡が好ましい。細胞内の詳細な局在を追及したい場合など、解像度を重視する場合は、共焦点レーザー顕微鏡の方が好ましい。顕微鏡システムとしては、細胞の生理状態を保ち、コンタミネーションを防止する観点から、倒立型顕微鏡が好ましい。正立顕微鏡を使用する場合、高倍率レンズを用いる際には水浸レンズを用いることができる。
【0050】
フィルターセットは蛍光蛋白質の蛍光波長に応じて適切なものを選択できる。本発明の蛍光蛋白質は、432nmに吸収の極大を示し、528nmに蛍光の極大を示すことから、励起光420〜450nm、蛍光520〜540nm程度のフィルターを使用することが好ましい。
【0051】
また、蛍光顕微鏡を用いた生細胞での経時観察を行う場合には、短時間で撮影を行うべきなので、高感度冷却CCDカメラを使用する。冷却CCDカメラは、CCDを冷却することにより熱雑音を下げ、微弱な蛍光像を短時間露光で鮮明に撮影することができる。
【0052】
本発明の蛍光蛋白質は、特に、FLAP法に適用することができる。FLAP法では、特定の領域にある蛍光物質を強力な光を照射することによって不可逆的にブリーチ(消光)し、その領域の蛍光強度を測定し、その後の同領域の蛍光回復を観察する。本発明の蛍光蛋白質の場合には、例えば、NDフィルター 10%transmission、励起フィルター 440DF20, ダイクロイックミラー 455DRLP、蛍光フィルター 480AF30(CFPチャネル用)、535AF25(YFP用)を用いてCCDカメラにより観察を行うことができる。YFPのブリーチングは30秒間励起フィルター 525AF45、ダイクロイックミラー 560DCLPを用いて行えばよい。
【0053】
FLAP法においては、拡散速度等を調べたい蛋白質に二種類の蛍光蛋白質のペアを融合させる(AとBとする)。片方の蛍光蛋白質Aをブリーチしてももう片方の蛍光蛋白質Bは影響を受けず蛍光強度は変化しない。Bはある領域に存在する蛍光蛋白質量を補正するために用いる。具体的には、A由来の蛍光強度をBの蛍光強度で除する(Bの蛍光強度をAの蛍光強度で除しても可)。この操作によりブリーチした領域に存在した蛋白質は(Aの蛍光強度)/(Bの蛍光強度)の値が小さくなることを目印にラベルされることになる。本手法においてはA(本発明ではYFP)をブリーチするとB(本発明ではCFP)の蛍光強度が上昇する。よって一般的に用いられている手法よりも(Aの蛍光強度)/(Bの蛍光強度)の変化量が大きくなる。つまり感度が上がる。
【0054】
フィルターとはある波長域のみを透過させる性質をもつ。例えば440DF20は440 nm±10nmの光のみ、480AF30は480 nm±15 nmの光、535AF25は535 nm±12.5 nmの光のみを透過させる。ダイクロイックミラーとはある波長を境に透過域と不透過域が別れる性質をもつ。455DRLPは455 nm以下の光は反射し、455 nm以上の光は透過させる。つまり励起光(440 nm±10 nmの光)は反射し、サンプルに向けられ、サンプルから放射された455 nm以上の蛍光は透過する。これらフィルターとダイクロイックミラーは蛍光物質を特異的に励起し蛍光を特異的に観察するために用いられる。440DF20, 455DRLP, 480AF30の組み合わせでは440 nm付近の光で励起し、480 nm付近の蛍光を観察するために用いられる。もしも480AF30の代わりに535AF25を使用すれば、535 nm付近の蛍光が観察されることになる。
【0055】
(6)本発明のキット
本発明によれば、本明細書に記載した蛍光蛋白質、融合蛍光蛋白質、DNA、組み換えベクター又は形質転換体から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、細胞内成分の局在の分析及び/又は生理活性物質の分析のためのキットが提供される。本発明のキットは、それ自体既知の通常用いられる材料及び手法で調製することができる。
蛍光蛋白質又はDNAなどの試薬は、適当な溶媒に溶解することにより保存に適した形態に調製することができる。溶媒としては、水、エタノール、各種緩衝液などを用いることができる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0056】
実施例1:Cy11.5の構築
CFPのcDNAを全長及び1〜227アミノ酸(CFPd11)に対応する領域をBamHIを付加するフォワードプライマーとXhoIサイトを付加するリバースプライマーを用いて増幅した。また、YFPについてはXhoIを付加するフォワードプライマーと、終始コドン及びEcoRIサイトを付加するリバースプライマーを用いて全長、5〜238アミノ酸(d4YFP)、11〜238アミノ酸(d10YFP)に対応する領域を増幅した。上記で用いたプライマーの配列を以下に示す。
【0057】
CFPにBamHIサイトを付加するフォワードプライマー
CGGGATCCCATGGTGAGCAAGGGCGAG (配列番号7)
【0058】
CFPにXhoIサイトを付加するリバースプライマー
CCCTCGAGGGCGGCGGTCACGAACTC (配列番号8)
【0059】
YFPにXhoIサイトを付加するフォワードプライマー(4アミノ酸削る場合(d4YFP))
CCCTCGAGGAGGAGCTGTTCACCGGG (配列番号9)
【0060】
YFPにXhoIサイトを付加するフォワードプライマー(10アミノ酸削る場合(d10YFP))
CCCTCGAGGTGGTGCCCATCCTGGTCG (配列番号10)
【0061】
YFPに終始コドン及びEcoRIサイトを付加するリバースプライマー(上記二種のフォワードプライマーに共通)
GGAATTCTTACTTGTACAGCTCGTC (配列番号11)
【0062】
PCR反応液組成
鋳型 (CFP/pRSETB or YFP/pRSETB) 1μl
フォワードプライマー 2μl
リバースプライマー 2μl
10x pfu buffer (Stratagene) 10μl
dNTP mixture(2.5 mM each)(Takara) 8μl
pfu DNA polymerase (Stratagene) 1μl
水 76μl
全量 100μl
【0063】
PCR反応条件
(1)94℃ 2分
(2)94℃ 30秒
(3)52℃ 30秒
(4)72℃ 1分
(2)〜(4)を合計25サイクル
(5)72℃ 7分
(6)4℃で保持
【0064】
上記のCFPとYFPの断片及びBamHIおよびEcoRIで切断したベクター(pRSETB)を3ピースライゲーションして、それぞれのコンストラクトを構築した。なお、ここで言うアミノ酸の番号には1'のバリンをカウントしていない。
【0065】
Cy11.5の構造を図1に示す。CFPのC末端11アミノ酸、YFPのN末端5アミノ酸を削ったものが−ロイシン−グルタミン酸−(制限酵素XhoIサイトに由来)を介して融合した構造を有している。Cy11.5のアミノ酸配列を配列番号2に示し、塩基配列を配列番号1に示す。
【0066】
実施例2:Cy11.5のスペクトル
実施例1で構築したCy11.5コンストラクトを大腸菌に導入し、蛋白質を作らせた。蛋白質に融合しているHis tagを利用してNi-NTAカラムを用いて精製し、更にゲル濾過でバッファーを置換した。精製した蛋白質を日立の蛍光分光光度計を用いてスペクトルを測定した。励起波長:440 nm。測定の結果を図2に示す。
【0067】
Cy11.5では、CFPからYFPへのFRET効率が非常に高く、440nmで励起したときのCFP由来の蛍光(480nm)が殆ど観察されない。480nmの蛍光と528nmの蛍光強度の比は約13である。そのため、Cy11.5は、実質的に440nmで励起され、528nmの蛍光を発する、ストークスシフトが88nmの単一の蛍光蛋白質として扱うことができる。
【0068】
実施例3:プロテアーゼに対する抵抗性
約10 pmolのCy11.5を1 mlのPBSで希釈して上記の通りスペクトルを測定した。次いで、各プロテアーゼを以下に示す用量で加え、37℃で2時間インキュベートし、その後、再びスペクトルを測定し、両方のスペクトルを比較した。
【0069】
加えたプロテアーゼ量:
トリプシン(trypsin):0.25 mg(310 BAEE unit)
エラスターゼ(elastase): 3 unit
α-キモトリプシン(α-chymotrypsin): 20 unit
カテプシンB(cathepsin B): 1 unit
カテプシンD(cathepsin D): 0.5 unit
パパイン(papain): 0.9 unit
【0070】
測定の結果を図3に示す。図3の結果から分かるように、Cy11.5は、調べた6種類のプロテアーゼに対して安定であり、単一の蛍光蛋白質として扱うことが可能であることが分かった。
【0071】
実施例4:YFPのブリーチングによるCFPの蛍光強度増大
蛋白質の動態を追うトレーサーとしてCy11.5が使用可能かどうかを調べるために、細胞に発現させたYFPをブリーチングしたときのCFPの蛍光強度の増大の程度を下記の通り観察した。先ず、Cy11.5/pRSETBをBamHI, EcoRIで処理することにより、Cy11.5を切り出した。切り出したCy11.5をほ乳類細胞発現用ベクターpcDNA3 (BamHI及びEcoRIで処理したもの)とライゲーションした。Cy11.5/pcDNA3をHeLa S3細胞にトランスフェクションし、NDフィルター 10% transmission, 励起フィルター 440DF20, ダイクロイックミラー 455DRLP, 蛍光フィルター 480AF30(CFPチャネル用)、535AF25(YFP用)を用いてCCDカメラにより観察した。YFPのブリーチングは30秒間励起フィルター 525AF45、ダイクロイックミラー 560DCLPを用いて行った。具体的には、以下の通りである。
【0072】
HeLa S3細胞を、DMEM (Dulbecco's modified eagle medium)[10%FBS(fetal bovine serum)及びpenicillin / streptomycin]中、37℃でガラスボトムディッシュ上に培養した。1ディッシュ当たり1μgのCy11.5/pcDNA3をlipofectin(Qiagen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクションから2日後、培地をHBSS(Hanks' balanced salt solutions)に置換し、観察した。励起フィルターに440DF20、ダイクロイックミラーに455DRLPを用い、CFPの蛍光像とYFPの蛍光像の組を蛍光フィルター480AF30と 535AF25をフィルターチェンジャーを用いて切り替えることにより観察した。ブリーチはNDフィルターを外し、励起フィルターを525AF45、ダイクロイックミラーを560DCLPに交換し、30秒間行った。その後、励起フィルターを440DF20, ダイクロイックミラーを455DRLPに戻し、観察を続けた。
【0073】
測定結果を図4に示す。CFPの蛍光は、YFPのブリーチ前に比べて4〜5倍の増大を示した。この結果より、Cy11.5は、蛋白質の動態の観察に使用できることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、Cy11.5の構造を示す。
【図2】図2は、Cy11.5のスペクトルを示す。
【図3】図3は、Cy11.5のプロテアーゼに対する抵抗性を測定した結果を示す。
【図4】図4は、YFPのブリーチングによるCFPの蛍光強度の増大を測定した結果を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0075】
SEQUENCE LISTING
<110> RIKEN
<120> Fluorescent protein
<130> A51292A
<160> 11
<170> PatentIn version 3.1
<210> 1
<211> 1395
<212> DNA
<213> Aequorea victoria
<220>
<221> CDS
<222> (1)..(1392)
<223>
<400> 1
atg gtg agc aag ggc gag gag ctg ttc acc ggg gtg gtg ccc atc ctg 48
Met Val Ser Lys Gly Glu Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile Leu
1 5 10 15
gtc gag ctg gac ggc gac gta aac ggc cac aag ttc agc gtg tcc ggc 96
Val Glu Leu Asp Gly Asp Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser Gly
20 25 30
gag ggc gag ggc gat gcc acc tac ggc aag ctg acc ctg aag ttc atc 144
Glu Gly Glu Gly Asp Ala Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Phe Ile
35 40 45

tgc acc acc ggc aag ctg ccc gtg ccc tgg ccc acc ctc gtg acc acc 192
Cys Thr Thr Gly Lys Leu Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr Thr
50 55 60
ctg acc tgg ggc gtg cag tgc ttc agc cgc tac ccc gac cac atg aag 240
Leu Thr Trp Gly Val Gln Cys Phe Ser Arg Tyr Pro Asp His Met Lys
65 70 75 80
cag cac gac ttc ttc aag tcc gcc atg ccc gaa ggc tac gtc cag gag 288
Gln His Asp Phe Phe Lys Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln Glu
85 90 95
cgc acc atc ttc ttc aag gac gac ggc aac tac aag acc cgc gcc gag 336
Arg Thr Ile Phe Phe Lys Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala Glu
100 105 110
gtg aag ttc gag ggc gac acc ctg gtg aac cgc atc gag ctg aag ggc 384
Val Lys Phe Glu Gly Asp Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys Gly
115 120 125

atc gac ttc aag gag gac ggc aac atc ctg ggg cac aag ctg gag tac 432
Ile Asp Phe Lys Glu Asp Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu Tyr
130 135 140
aac tac atc agc cac aac gtc tat atc acc gcc gac aag cag aag aac 480
Asn Tyr Ile Ser His Asn Val Tyr Ile Thr Ala Asp Lys Gln Lys Asn
145 150 155 160
ggc atc aag gcc aac ttc aag atc cgc cac aac atc gag gac ggc agc 528
Gly Ile Lys Ala Asn Phe Lys Ile Arg His Asn Ile Glu Asp Gly Ser
165 170 175
gtg cag ctc gcc gac cac tac cag cag aac acc ccc atc ggc gac ggc 576
Val Gln Leu Ala Asp His Tyr Gln Gln Asn Thr Pro Ile Gly Asp Gly
180 185 190
ccc gtg ctg ctg ccc gac aac cac tac ctg agc acc cag tcc gcc ctg 624
Pro Val Leu Leu Pro Asp Asn His Tyr Leu Ser Thr Gln Ser Ala Leu
195 200 205
agc aaa gac ccc aac gag aag cgc gat cac atg gtc ctg ctg gag ttc 672
Ser Lys Asp Pro Asn Glu Lys Arg Asp His Met Val Leu Leu Glu Phe
210 215 220
gtg acc gcc gcc ctc gag gag gag ctg ttc acc ggg gtg gtg ccc atc 720
Val Thr Ala Ala Leu Glu Glu Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile
225 230 235 240
ctg gtc gag ctg gac ggc gac gta aac ggc cac aag ttc agc gtg tcc 768
Leu Val Glu Leu Asp Gly Asp Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser
245 250 255
ggc gag ggc gag ggc gat gcc acc tac ggc aag ctg acc ctg aag ctg 816
Gly Glu Gly Glu Gly Asp Ala Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Leu
260 265 270
atc tgc acc acc ggc aag ctg ccc gtg ccc tgg ccc acc ctc gtg acc 864
Ile Cys Thr Thr Gly Lys Leu Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr
275 280 285
acc ctg ggc tac ggc ctg cag tgc ttc gcc cgc tac ccc gac cac atg 912
Thr Leu Gly Tyr Gly Leu Gln Cys Phe Ala Arg Tyr Pro Asp His Met
290 295 300
aag cag cac gac ttc ttc aag tcc gcc atg ccc gaa ggc tac gtc cag 960
Lys Gln His Asp Phe Phe Lys Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln
305 310 315 320
gag cgc acc atc ttc ttc aag gac gac ggc aac tac aag acc cgc gcc 1008
Glu Arg Thr Ile Phe Phe Lys Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala
325 330 335
gag gtg aag ttc gag ggc gac acc ctg gtg aac cgc atc gag ctg aag 1056
Glu Val Lys Phe Glu Gly Asp Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys
340 345 350
ggc atc gac ttc aag gag gac ggc aac atc ctg ggg cac aag ctg gag 1104
Gly Ile Asp Phe Lys Glu Asp Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu
355 360 365
tac aac tac aac agc cac aac gtc tat atc acc gcc gac aag cag aag 1152
Tyr Asn Tyr Asn Ser His Asn Val Tyr Ile Thr Ala Asp Lys Gln Lys
370 375 380
aac ggc atc aag gcc aac ttc aag atc cgc cac aac atc gag gac ggc 1200
Asn Gly Ile Lys Ala Asn Phe Lys Ile Arg His Asn Ile Glu Asp Gly
385 390 395 400
ggc gtg cag ctc gcc gac cac tac cag cag aac acc ccc atc ggc gac 1248
Gly Val Gln Leu Ala Asp His Tyr Gln Gln Asn Thr Pro Ile Gly Asp
405 410 415
ggc ccc gtg ctg ctg ccc gac aac cac tac ctg agc tac cag tcc gcc 1296
Gly Pro Val Leu Leu Pro Asp Asn His Tyr Leu Ser Tyr Gln Ser Ala
420 425 430
ctg agc aaa gac ccc aac gag aag cgc gat cac atg gtc ctg ctg gag 1344
Leu Ser Lys Asp Pro Asn Glu Lys Arg Asp His Met Val Leu Leu Glu
435 440 445
ttc gtg acc gcc gcc ggg atc act ctc ggc atg gac gag ctg tac aag 1392
Phe Val Thr Ala Ala Gly Ile Thr Leu Gly Met Asp Glu Leu Tyr Lys
450 455 460
taa 1395
<210> 2
<211> 464
<212> PRT
<213> Aequorea victoria
<400> 2
Met Val Ser Lys Gly Glu Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile Leu
1 5 10 15
Val Glu Leu Asp Gly Asp Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser Gly
20 25 30
Glu Gly Glu Gly Asp Ala Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Phe Ile
35 40 45
Cys Thr Thr Gly Lys Leu Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr Thr
50 55 60
Leu Thr Trp Gly Val Gln Cys Phe Ser Arg Tyr Pro Asp His Met Lys
65 70 75 80
Gln His Asp Phe Phe Lys Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln Glu
85 90 95
Arg Thr Ile Phe Phe Lys Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala Glu
100 105 110
Val Lys Phe Glu Gly Asp Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys Gly
115 120 125
Ile Asp Phe Lys Glu Asp Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu Tyr
130 135 140
Asn Tyr Ile Ser His Asn Val Tyr Ile Thr Ala Asp Lys Gln Lys Asn
145 150 155 160
Gly Ile Lys Ala Asn Phe Lys Ile Arg His Asn Ile Glu Asp Gly Ser
165 170 175
Val Gln Leu Ala Asp His Tyr Gln Gln Asn Thr Pro Ile Gly Asp Gly
180 185 190
Pro Val Leu Leu Pro Asp Asn His Tyr Leu Ser Thr Gln Ser Ala Leu
195 200 205
Ser Lys Asp Pro Asn Glu Lys Arg Asp His Met Val Leu Leu Glu Phe
210 215 220
Val Thr Ala Ala Leu Glu Glu Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile
225 230 235 240
Leu Val Glu Leu Asp Gly Asp Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser
245 250 255
Gly Glu Gly Glu Gly Asp Ala Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Leu
260 265 270
Ile Cys Thr Thr Gly Lys Leu Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr
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Lys Gln His Asp Phe Phe Lys Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln
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cgc acc atc ttc ttc aag gac gac ggc aac tac aag acc cgc gcc gag 336
Arg Thr Ile Phe Phe Lys Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala Glu
100 105 110
gtg aag ttc gag ggc gac acc ctg gtg aac cgc atc gag ctg aag ggc 384
Val Lys Phe Glu Gly Asp Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys Gly
115 120 125
atc gac ttc aag gag gac ggc aac atc ctg ggg cac aag ctg gag tac 432
Ile Asp Phe Lys Glu Asp Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu Tyr
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Met Val Ser Lys Gly Glu Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile Leu
1 5 10 15
gtc gag ctg gac ggc gac gta aac ggc cac aag ttc agc gtg tcc ggc 96
Val Glu Leu Asp Gly Asp Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser Gly
20 25 30
gag ggc gag ggc gat gcc acc tac ggc aag ctg acc ctg aag ctg atc 144
Glu Gly Glu Gly Asp Ala Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Leu Ile
35 40 45
tgc acc acc ggc aag ctg ccc gtg ccc tgg ccc acc ctc gtg acc acc 192
Cys Thr Thr Gly Lys Leu Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr Thr
50 55 60
ctg ggc tac ggc ctg cag tgc ttc gcc cgc tac ccc gac cac atg aag 240
Leu Gly Tyr Gly Leu Gln Cys Phe Ala Arg Tyr Pro Asp His Met Lys
65 70 75 80
cag cac gac ttc ttc aag tcc gcc atg ccc gaa ggc tac gtc cag gag 288
Gln His Asp Phe Phe Lys Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln Glu
85 90 95
cgc acc atc ttc ttc aag gac gac ggc aac tac aag acc cgc gcc gag 336
Arg Thr Ile Phe Phe Lys Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala Glu
100 105 110
gtg aag ttc gag ggc gac acc ctg gtg aac cgc atc gag ctg aag ggc 384
Val Lys Phe Glu Gly Asp Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys Gly
115 120 125
atc gac ttc aag gag gac ggc aac atc ctg ggg cac aag ctg gag tac 432
Ile Asp Phe Lys Glu Asp Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu Tyr
130 135 140
aac tac aac agc cac aac gtc tat atc acc gcc gac aag cag aag aac 480
Asn Tyr Asn Ser His Asn Val Tyr Ile Thr Ala Asp Lys Gln Lys Asn
145 150 155 160
ggc atc aag gcc aac ttc aag atc cgc cac aac atc gag gac ggc ggc 528
Gly Ile Lys Ala Asn Phe Lys Ile Arg His Asn Ile Glu Asp Gly Gly
165 170 175
gtg cag ctc gcc gac cac tac cag cag aac acc ccc atc ggc gac ggc 576
Val Gln Leu Ala Asp His Tyr Gln Gln Asn Thr Pro Ile Gly Asp Gly
180 185 190
ccc gtg ctg ctg ccc gac aac cac tac ctg agc tac cag tcc gcc ctg 624
Pro Val Leu Leu Pro Asp Asn His Tyr Leu Ser Tyr Gln Ser Ala Leu
195 200 205
agc aaa gac ccc aac gag aag cgc gat cac atg gtc ctg ctg gag ttc 672
Ser Lys Asp Pro Asn Glu Lys Arg Asp His Met Val Leu Leu Glu Phe
210 215 220
gtg acc gcc gcc ggg atc act ctc ggc atg gac gag ctg tac aag taa 720
Val Thr Ala Ala Gly Ile Thr Leu Gly Met Asp Glu Leu Tyr Lys
225 230 235
<210> 6
<211> 239
<212> PRT
<213> Aequorea victoria
<400> 6
Met Val Ser Lys Gly Glu Glu Leu Phe Thr Gly Val Val Pro Ile Leu
1 5 10 15
Val Glu Leu Asp Gly Asp Val Asn Gly His Lys Phe Ser Val Ser Gly
20 25 30
Glu Gly Glu Gly Asp Ala Thr Tyr Gly Lys Leu Thr Leu Lys Leu Ile
35 40 45
Cys Thr Thr Gly Lys Leu Pro Val Pro Trp Pro Thr Leu Val Thr Thr
50 55 60
Leu Gly Tyr Gly Leu Gln Cys Phe Ala Arg Tyr Pro Asp His Met Lys
65 70 75 80
Gln His Asp Phe Phe Lys Ser Ala Met Pro Glu Gly Tyr Val Gln Glu
85 90 95
Arg Thr Ile Phe Phe Lys Asp Asp Gly Asn Tyr Lys Thr Arg Ala Glu
100 105 110
Val Lys Phe Glu Gly Asp Thr Leu Val Asn Arg Ile Glu Leu Lys Gly
115 120 125
Ile Asp Phe Lys Glu Asp Gly Asn Ile Leu Gly His Lys Leu Glu Tyr
130 135 140
Asn Tyr Asn Ser His Asn Val Tyr Ile Thr Ala Asp Lys Gln Lys Asn
145 150 155 160
Gly Ile Lys Ala Asn Phe Lys Ile Arg His Asn Ile Glu Asp Gly Gly
165 170 175
Val Gln Leu Ala Asp His Tyr Gln Gln Asn Thr Pro Ile Gly Asp Gly
180 185 190
Pro Val Leu Leu Pro Asp Asn His Tyr Leu Ser Tyr Gln Ser Ala Leu
195 200 205
Ser Lys Asp Pro Asn Glu Lys Arg Asp His Met Val Leu Leu Glu Phe
210 215 220
Val Thr Ala Ala Gly Ile Thr Leu Gly Met Asp Glu Leu Tyr Lys
225 230 235
<210> 7
<211> 27
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 7
cgggatccca tggtgagcaa gggcgag 27
<210> 8
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 8
ccctcgaggg cggcggtcac gaactc 26
<210> 9
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 9
ccctcgagga ggagctgttc accggg 26
<210> 10
<211> 27
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 10
ccctcgaggt ggtgcccatc ctggtcg 27
<210> 11
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 11
ggaattctta cttgtacagc tcgtc 25



【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアン蛍光蛋白質(CFP)のアミノ酸配列からC末端を11アミノ酸欠失させたアミノ酸配列と、黄色蛍光蛋白質(YFP)のアミノ酸配列からN末端を5アミノ酸欠失させたアミノ酸配列とを、-Leu-Glu-で表されるリンカー配列を介して、N末端側にCFPのアミノ酸配列が配置され、C末端側にYFPのアミノ酸配列が配置されるように連結することにより得られる、蛍光蛋白質。
【請求項2】
以下の(a)又は(b)に示す蛍光蛋白質。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
【請求項3】
以下の(a)又は(b)に示す蛍光蛋白質をコードするDNA。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
【請求項4】
以下の(a)又は(b)に示すDNA。
(a)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA
(b)配列番号1に記載の塩基配列において、1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、かつ配列番号1に記載の塩基配列がコードする蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質をコードする塩基配列を有するDNA。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のDNAを有する組み換えベクター。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のDNA又は請求項5に記載の組み換えベクターを有する形質転換体。
【請求項7】
請求項1に記載の蛍光蛋白質と他の蛋白質とから成る融合蛍光蛋白質。
【請求項8】
他の蛋白質が細胞内に局在する蛋白質である、請求項7に記載の融合蛋白質。
【請求項9】
他の蛋白質が細胞内小器官に特異的な蛋白質である、請求項7又は8に記載の融合蛋白質。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の蛍光蛋白質あるいは請求項7から9の何れか1項に記載の融合蛋白質を細胞内で発現させることを特徴とする、細胞内における蛋白質の局在または動態を分析する方法。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の蛍光蛋白質、請求項3又は4に記載のDNA、請求項5に記載の組み換えベクター、請求項6に記載の形質転換体、又は請求項7から9の何れか1項に記載の融合蛋白質を含む、蛍光試薬キット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−271239(P2006−271239A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93542(P2005−93542)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】