説明

蛍光観察装置

【課題】可変透過帯域における蛍光強度を精度よく取得する。
【解決手段】励起光を出射する励起光源と、間隔をあけて対向する光学部材13a,13bの面間隔の変更により透過する光の波長が変化する可変透過帯域と、面間隔の変更にかかわらず透過する光の波長が変化しない固定透過帯域と、これらの間にされる遷移帯域とを備えるファブリペロー型共振器13と、励起光の通過を遮断する励起光カットフィルタ12と、前記遷移帯域を含み、励起光の波長を含まない遮断帯域を有するバンドカットフィルタ20と、これらファブリペロー型共振器13、励起光カットフィルタ12およびバンドカットフィルタ20を透過した蛍光を検出する光検出器14とを備える蛍光観察装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光観察装置としては、例えば、特許文献1に開示された蛍光内視鏡装置が知られている。
内視鏡観察において自家蛍光画像を観察することは反射画像とは異なる生体の情報を得ることができるので、病変の診断・観察にとって有益である。自家蛍光すなわち生体由来の蛍光を観察することにより、生体の変化に基づく病変の様子を観察することができるという利点がある。
【0003】
自家蛍光を利用して診断を行うには、ポルフィリン由来の蛍光領域630〜650nm、コラーゲン由来の蛍光領域450〜550nmの蛍光をそれぞれ取得し、その比を演算して表示することが好ましい(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2006−187598号公報
【特許文献2】特開平9−308604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、固定透過帯域と可変透過帯域とを有するファブリペロー型共振器からなる可変分光素子を用いてポルフィリン由来の蛍光領域の蛍光強度を取得するために、可変分光素子を以下の2つの状態に調節し、それぞれの状態において取得された蛍光の強度に基づいて演算を行うこととしている。
【0005】
すなわち、可変分光素子の2つの状態とは、主にコラーゲン由来の蛍光成分である第1の蛍光領域および主にポルフィリン由来の蛍光成分である第2の蛍光領域の両方の蛍光領域の蛍光を取得する第1の状態と、第1の蛍光領域の蛍光のみを取得する第2の状態である。そして、第1の状態で取得した蛍光強度から第2の状態で取得した蛍光強度を減算することにより、第2の蛍光領域の蛍光強度を取得することができる。
【0006】
しかしながら、第1の状態で取得した蛍光強度から第2の状態で取得した蛍光強度を減算することにより第2の蛍光領域の蛍光強度を精度よく取得するには、可変分光素子の第1の状態と第2の状態とにおいて、可変透過帯域以外の領域における透過率特性が不変であることが望まれる。現実的には、ファブリペロー型共振器からなる可変分光素子の性質上、可変透過帯域の状態を変化させると、固定透過帯域と可変透過帯域との間に形成される遷移領域における透過率特性が変動するという不都合がある。そのため、第2の蛍光領域の蛍光強度を精度よく取得することができないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、可変透過帯域における蛍光強度を精度よく取得することができる蛍光観察装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、励起光を出射する励起光源と、
間隔をあけて対向する光学部材の面間隔の変更により透過する光の波長が変化する可変透過帯域と、面間隔の変更にかかわらず透過する光の波長が変化しない固定透過帯域と、これらの間にされる遷移帯域とを備えるファブリペロー型共振器と、励起光の通過を遮断する励起光カットフィルタと、前記遷移帯域を含み、励起光の波長を含まない遮断帯域を有するバンドカットフィルタと、これらファブリペロー型共振器、励起光カットフィルタおよびバンドカットフィルタを透過した蛍光を検出する光検出器とを備える蛍光観察装置を提供する。
【0009】
上記発明においては、前記バンドカットフィルタの遮断帯域が、ポルフィリンおよびコラーゲンのそれぞれの蛍光ピーク波長の間の帯域に位置することとしてもよい。
また、上記発明においては、前記可変透過帯域内の長波長側の帯域に遮断帯域を有する他のバンドカットフィルタを備えることとしてもよい。
【0010】
また、上記発明においては、前記他のバンドカットフィルタの遮断帯域が、ポルフィリンの蛍光帯域より長波長側に配置されていることとしてもよい。
また、上記発明においては、前記他のバンドカットフィルタの遮断帯域が、可変透過帯域における一状態の透過帯域に一致していることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可変透過帯域における蛍光強度を精度よく取得することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る蛍光観察装置1について、図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置1は、図1に示されるように、内視鏡システムであって、生体の体腔内に挿入される挿入部2と、該挿入部2内に配置される撮像ユニット3と、複数種の光を発する光源ユニット4と、前記撮像ユニット3および光源ユニット4を制御する制御ユニット5と、撮像ユニット3により取得された画像を表示する表示ユニット6とを備えている。
【0013】
前記挿入部2は、生体の体腔に挿入できる極めて細い外形寸法を有し、その内部に、前記撮像ユニット3および前記光源ユニット4からの光を先端2aまで伝播するライトガイド7を備えている。
前記光源ユニット4は、体腔内の観察対象を照明し、観察対象において反射して戻る反射光を取得するための照明光を発する照明光用光源8と、体腔内の観察対象に照射され、観察対象内に存在する蛍光物質を励起して蛍光を発生させる励起光用光源9と、これらの光源8,9を制御する光源制御回路10とを備えている。
【0014】
前記照明光用光源8は、例えば、図示しないキセノンランプおよびバンドパスフィルタを組み合わせたもので、バンドパスフィルタの50%透過域は、450−480nmである。すなわち、照明光用光源8は、波長帯域450−480nmの照明光を発生するようになっている。
【0015】
前記励起光用光源9は、例えば、図3(d)に示されるように、ピーク波長405±5nmの励起光を出射する半導体レーザである。この波長の励起光によれば、生体内に生来存在するポルフィリンおよびコラーゲン等の自家蛍光物質を励起することができる。
前記光源制御回路10は、後述するタイミングチャートに従う所定のタイミングで、照明光用光源8と励起光用光源9とを交互に点灯および消灯させるようになっている。
【0016】
前記撮像ユニット3は、図2に示されるように、観察対象Aから入射される光を集光する撮像光学系11と、観察対象Aから入射されてくる励起光を遮断する励起光カットフィルタ12と、バンドカットフィルタ20と、制御ユニット5の作動により分光特性を変化させられる可変分光素子13と、撮像光学系11により集光された光を撮影して電気信号に変換する撮像素子14とを備えている。
【0017】
前記可変分光素子13は、平行間隔を空けて配置され対向面に反射膜が設けられた2枚の平板状の光学部材13a,13bと、該光学部材13a,13bの間隔を変化させるアクチュエータ13cとを備えるファブリペロー型共振器である。アクチュエータ13cは、例えば、圧電素子である。この可変分光素子13は、アクチュエータ13cの作動により光学部材13a,13bの間隔寸法を変化させることで、その透過する光の波長帯域を変化させることができるようになっている。
【0018】
さらに具体的には、可変分光素子13は、図3(a)に示されるような透過率波長特性を有している。可変分光素子13は、制御ユニット5からの制御信号に応じて2つの状態に変化するようになっている。図3(a)中、実線で示される波長特性と破線で示される波長特性とは、可変分光素子13を2つの状態に変化させたときの波長特性をそれぞれ示している。なお、図3(a)には、自家蛍光の波長特性が重ねて示されている。
【0019】
第1の状態は、可変透過帯域内のポルフィリン由来の蛍光領域B(620〜670nm)での透過率を最大50%以上に増大させ、ポルフィリン由来の蛍光を透過させる状態である。第2の状態は、最大透過率50%以上の透過帯域を長波長側に移動させることにより、上記蛍光領域の透過率を20%以下に低下させ、蛍光領域Bの蛍光を遮断する状態である。
すなわち、可変分光素子13は、620〜750nmの波長帯域に、その状態に応じて透過率が変化する可変透過帯域を備えている。
【0020】
また、可変分光素子13は、第1,第2の状態にかかわらず、550nm以下の波長帯域において、50%以上の透過率を有している。
ずなわち、可変分光素子13は、550nm以下の波長帯域に、その状態にかかわらず透過率が変化しない固定透過帯域を備えている。
【0021】
固定透過帯域は、コラーゲン由来の蛍光領域C(450〜550nm)に位置し、この波長帯域において透過率60%以上に固定されている。したがって、可変分光素子13は、上記第1および第2の状態のいずれの場合においてもコラーゲン由来の蛍光を撮像素子14に向けて透過させることができるようになっている。
【0022】
図3(a)に示されるように、固定透過帯域と可変透過帯域との間に配置される遷移領域(550〜600nm)においては、可変分光素子13の状態の変化に応じて透過率特性が変動している。そこで、本実施形態においては、図3(c)に示されるように、前記バンドカットフィルタ20が、550〜600nmの波長帯域で、OD値2以上(=透過率1×10−2以下)に設定されている。
【0023】
これにより、遷移領域に含まれる波長の蛍光がバンドカットフィルタ20により遮断され、固定透過帯域および可変透過帯域に含まれる波長の蛍光が、バンドカットフィルタ20を通過して撮像素子14により取得されるようになっている。
また、図3(b)に示されるように、前記励起光カットフィルタ12は、400〜450nmの波長帯域でOD値4以上(=透過率1×10−4以下)、450〜750nmの波長帯域で透過率80%以上に設定されている。
なお、図3(e)は、可変分光素子13、励起光カットフィルタ12およびバンドカットフィルタ20を総合した透過率特性と蛍光の波長特性とを重ねた図である。
【0024】
前記制御ユニット5は、図1に示されるように、撮像素子14を駆動制御する撮像素子駆動回路15と、可変分光素子13を駆動制御する可変分光素子制御回路16と、撮像素子14により取得された画像情報を記憶するフレームメモリ17と、該フレームメモリ17に記憶された画像情報を処理して表示ユニット6の出力する画像処理回路18とを備えている。
【0025】
撮像素子駆動回路15および可変分光素子制御回路16は、前記光源制御回路10に接続され、光源制御回路10による照明光用光源8および励起光用光源9の切り替えに同期して可変分光素子13および撮像素子14を駆動制御するようになっている。
具体的には、図4のタイミングチャートに示されるように、光源制御回路10の作動により、励起光用光源9から励起光が発せられるときには、可変分光素子制御回路16が、可変分光素子13を所定時間にわたって第1の状態として、撮像素子駆動回路15が撮像素子14から出力される画像情報を第1のフレームメモリ17aに出力させるようになっている。次いで可変分光素子制御回路16は所定時間経過後に可変分光素子13を第2の状態として、撮像素子駆動回路15が撮像素子14から出力される画像情報を第2のフレームメモリ17bに出力させるようになっている。
【0026】
また、照明光用光源8から照明光が発せられるときには、可変分光素子制御回路16が、可変分光素子13を第2の状態に維持して、撮像素子駆動回路15が撮像素子14から出力される画像情報を第3のフレームメモリ17cに出力するようになっている。
【0027】
また、前記画像処理回路18は、例えば、励起光の照射により得られる蛍光画像情報を第1、第2のフレームメモリ17a,17bから受け取って、差分演算を行い、得られた差分蛍光画像情報を表示ユニット6の第1のチャネルに、第2のフレームメモリ17bから受け取った蛍光画像情報を表示ユニット6の第2のチャネルにそれぞれ出力するようになっている。また、画像処理回路18は、照明光の照射により得られる反射光画像情報を第3のフレームメモリ17cから受け取って表示ユニット6の第3のチャネルに出力するようになっている。
【0028】
このように構成された本実施形態に係る蛍光観察装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置1を用いて、生体の体腔内の撮影対象Aを撮像するには、挿入部2を体腔内に挿入し、その先端2aを体腔内の撮影対象Aに対向させる。この状態で、光源ユニット4および制御ユニット5を作動させ、光源制御回路10の作動により、照明光用光源8および励起光用光源9を交互に作動させて照明光および励起光をそれぞれ発生させる。
【0029】
光源ユニット4において発生した励起光および照明光は、それぞれライトガイド7を介して挿入部2の先端2aまで伝播され、挿入部2の先端2aから撮影対象Aに向けて照射される。
励起光が撮影対象Aに照射された場合には、撮影対象Aに生来存在しているポルフィリンやコラーゲン等の自家蛍光物質が励起されて蛍光が発せられる。撮影対象Aから発せられた蛍光は、撮像ユニット3の撮像光学系11により集光され励起光カットフィルタ12およびバンドカットフィルタ20を透過し可変分光素子13に入射される。
【0030】
可変分光素子13は、可変分光素子制御回路16の作動により励起光用光源9の作動に同期して、まず第1の状態に切り替えられているので、ポルフィリン由来の蛍光に対する透過率が増大させられており、コラーゲン由来の蛍光とともに入射された蛍光を透過させることができる。この場合に、撮影対象Aに照射された励起光の一部が、撮影対象Aにおいて反射され、蛍光とともに撮像ユニット3に入射されるが、撮像ユニット3には励起光カットフィルタ12が設けられているので、励起光は遮断され、撮像素子14に入射されることが阻止される。
そして、可変分光素子13を透過した蛍光は撮像素子14に入射され、蛍光画像情報が取得される。取得された蛍光画像情報は、第1のフレームメモリ17aに記憶される。
【0031】
次いで、可変分光素子13は、可変分光素子制御回路16の作動により第2の状態に切り替えられると、ポルフィリン由来の蛍光に対する透過率が低減されるので、コラーゲン由来の蛍光のみを透過させることができる。可変分光素子13を透過した蛍光は撮像素子14に入射され、蛍光画像情報が取得される。取得された蛍光画像情報は、第2のフレームメモリ17bに記憶される。
【0032】
画像処理回路18は、第1、第2のフレームメモリ17a,17bから蛍光画像情報を受け取って、差分演算を行う。第1のフレームメモリ17aには、コラーゲン由来の蛍光およびポルフィリン由来の蛍光の両方を含む蛍光画像情報が記憶され、第2のフレームメモリ17bにはコラーゲン由来の蛍光のみを含む蛍光画像情報が記憶されているので、両者の差分演算を行うことにより、ポルフィリン由来の蛍光のみを含む蛍光画像情報を算出することができる。
【0033】
算出されたポルフィリン由来の蛍光のみを含む蛍光画像情報は、画像処理回路18から表示ユニット6の第1のチャネルに出力され、第2のフレームメモリ17bに記憶されているコラーゲン由来の蛍光のみを含む蛍光画像情報は、画像処理回路18から表示ユニット6の第2のチャネルに出力され、それぞれ表示される。
【0034】
この場合において、本実施形態に係る蛍光観察装置1によれば、固定透過領域と可変透過領域との間の遷移領域の波長の光を遮断するバンドカットフィルタ20を備えるので、可変分光素子13の状態の変化による遷移領域の透過率波長特性の変動を防止することができる。その結果、画像処理回路18による差分演算によってポルフィリン由来の蛍光のみを含む蛍光画像情報を精度よく算出することができるという利点がある。
【0035】
一方、照明光が撮影対象Aに照射された場合には、撮影対象Aの表面において照明光が反射され、撮像光学系11により集光されて励起光カットフィルタ12およびバンドカットフィルタ20を透過し、可変分光素子13に入射される。照明光の反射光の波長帯域は、可変分光素子13の固定透過帯域に位置しているので、可変分光素子13に入射された反射光は全て可変分光素子13を透過させられる。
【0036】
そして、可変分光素子13を透過した反射光は撮像素子14に入射され、反射光画像情報が取得される。取得された反射光画像情報は、第3のフレームメモリ17cに記憶され、画像処理回路18によって、表示ユニット6の第3のチャネルに出力されて表示ユニット6により表示される。
【0037】
このように、本実施形態に係る蛍光観察装置1によれば、2種類の自家蛍光物質由来の自家蛍光画像と反射光画像とを合成した画像を使用者に提供することができる。
この場合において、本実施形態に係る蛍光観察装置1によれば、平板状の光学部材13a,13bの間隔を変更するだけで光の透過率特性を変化させる可変分光素子13を用いているので、極めて小型の可変分光素子13および撮像素子14を挿入部2先端2aに配置することができる。したがって、撮影対象Aからの蛍光や反射光をファイババンドルを用いて体外に取り出す必要がない。
【0038】
また、本実施形態においては、光源ユニット4における複数の光源8,9の切替と同期させて可変分光素子13の状態を切り替えるので、波長帯域の異なる複数種の光を同一の撮像素子14により撮影することができる。したがって、蛍光や反射光に対応した複数の撮影光学系を設ける必要がない。その結果、挿入部2を細径化することができる。
【0039】
また、生体の体腔内であっても生体組織を透過する外光が存在するため、特に蛍光観察のように微弱な光を観察する際にはノイズを低減することが重要であるが、本実施形態においては、撮像ユニット3に可変分光素子13を設けることによって、観察する波長帯域が変わっても常に観察対象の波長以外の光を遮光することができるため、ノイズを低減した良好な画像を得ることができる。
【0040】
さらに、本実施形態においては、照明光用光源8が、波長帯域450−480nmの照明光を発生する。この波長帯域は、ヘモグロビンの吸収帯域を含んでいるので、その反射光を撮像すると生体の表面に比較的近い血管の構造等の情報を取得することができる。
【0041】
なお、本実施形態に係る蛍光観察装置1においては、撮像ユニット3において、挿入部2先端2a側から撮像光学系11、励起光カットフィルタ12、バンドカットフィルタ20および可変分光素子13の順に配列したが、これらの部品の配列順序はこれに限定されるものではなく、任意の配列順序を採用することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る蛍光観察装置1においては、可変分光素子13の固定透過帯域と可変透過帯域との間の遷移領域の光を遮断するバンドカットフィルタ20を用いたが、これに加えて、図5および図6に示されるように、可変透過帯域の長波長側の波長帯域の光を遮断する他のバンドカットフィルタ21を備えることとしてもよい。バンドカットフィルタ21としては、例えば、650〜740nmの波長帯域の光を遮断するものを採用する。
【0043】
このようにすることで、可変分光素子13の第2の状態において撮像素子14により取得されるポルフィリン由来の蛍光量を低減することができ、画像処理回路18における差分演算をさらに精度よく行うことができるという利点がある。
また、このようにすることで、可変透過領域において、透過率が高くなる領域の移動を最小限に抑えることができるという利点がある。
なお、バンドカットフィルタ21に代えて、ローパスフィルタを採用してもよい。
【0044】
また、本発明の蛍光観察装置1は、生体の体腔内に挿入する挿入部2の先端に撮像素子14を有するスコープ型のものに限られるものではなく、光源部、撮像手段および可変分光手段が一つの筐体内に設けられ、該筐体ごと生体の体腔内に挿入可能なカプセル型のものに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る蛍光観察装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の蛍光観察装置の撮像ユニット内部の構成を示す概略構成図である。
【図3】図1の蛍光観察装置を構成する各光学部品の透過率特性、蛍光の波長特性を示す図である。
【図4】図1の蛍光観察装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】図1の蛍光観察装置の撮像ユニットの変形例を示す概略構成図である。
【図6】図5の蛍光観察装置を構成する各光学部品を総合した透過率特性、蛍光の波長特性を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
A 撮影対象
1 蛍光観察装置
9 励起光用光源(励起光源)
12 励起光カットフィルタ
13 可変分光素子(ファブリペロー型共振器)
13a,13b 光学部材
14 撮像素子(光検出器)
20,21 バンドカットフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する励起光源と、
間隔をあけて対向する光学部材の面間隔の変更により透過する光の波長が変化する可変透過帯域と、面間隔の変更にかかわらず透過する光の波長が変化しない固定透過帯域と、これらの間にされる遷移帯域とを備えるファブリペロー型共振器と、
励起光の通過を遮断する励起光カットフィルタと、
前記遷移帯域を含み、励起光の波長を含まない遮断帯域を有するバンドカットフィルタと、
これらファブリペロー型共振器、励起光カットフィルタおよびバンドカットフィルタを透過した蛍光を検出する光検出器とを備える蛍光観察装置。
【請求項2】
前記バンドカットフィルタの遮断帯域が、ポルフィリンおよびコラーゲンのそれぞれの蛍光ピーク波長の間の帯域に位置する請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項3】
前記可変透過帯域内の長波長側の帯域に遮断帯域を有する他のバンドカットフィルタを備える請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項4】
前記他のバンドカットフィルタの遮断帯域が、ポルフィリンの蛍光帯域より長波長側に配置されている請求項3に記載の蛍光観察装置。
【請求項5】
前記他のバンドカットフィルタの遮断帯域が、可変透過帯域における一状態の透過帯域に一致している請求項3に記載の蛍光観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−125934(P2008−125934A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316571(P2006−316571)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】