説明

蛍光顕微鏡装置

本発明は、それを用いてサンプル(20)内にある磁気及び/又は電気感受性蛍光マーカ(21)の空間分布が決められる顕微鏡装置及び方法に関する。蛍光放射線(VF)は、サンプル(20)内の一次放射線(VE)により励起し、顕微鏡により撮像される。同時にサンプル(20)内において、空間的に不均一な磁場及び/又は電場(33)が発生し、これは例えば最小の場の強度の小さな焦点領域(22)を持つ。蛍光放射線の放出は、この焦点領域(22)において局所的に変更され、測定される強度分布(IFM)で観察されることができる。このようにして、顕微鏡の光学解像度よりも下のサイズを持つ領域(22)にある蛍光マーカ(21)の分布でさえも再現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンプル内の蛍光マーカの分布を撮像するための蛍光顕微鏡を持つ顕微鏡装置に関する。本発明はさらに、サンプル内の蛍光マーカの空間分布を決める方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光顕微鏡において、サンプル内の蛍光マーカの前記分布は、その目的のために設計された顕微鏡を用いて観察される。蛍光マーカは化学物質であり、適当な一次放射線により励起された後、固有スペクトル範囲の蛍光光を放射する。この蛍光光はそのために“蛍光色素(fluorescent dye)”という言葉がしばしば用いられる。蛍光マーカが他の分子、例えば薬剤又はたんぱく質と結合することにより、例えば生体組織における代謝過程に関する情報が得られる。しかしながら、現在の蛍光顕微鏡を用いて達成される解像度は、約100nmから30nmの範囲に限られているので、比較的小さな構造又は分子レベルでの処理の研究は不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この欠点に対抗するために、本発明の目的は、透明及び不透明な媒体における蛍光顕微鏡の解像度を改善するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、請求項1の特徴を持つ顕微鏡装置と、請求項5の特徴を持つ方法とにより達成される。有利な実施例は、従属請求項に含まれている。
【0005】
本発明による顕微鏡装置は、蛍光マーカを含むサンプル(例えば生体サンプル)を撮像するのに用いられる。ここで蛍光マーカは、磁気及び/又は電気感受性のあるマーカである、すなわち、これを用いてこのマーカの蛍光特性(蛍光強度、蛍光のスペクトルシフト、分極、時間における前記強度の変化等)が外部磁場又は電場により影響を受ける。
【0006】
前記顕微鏡装置は、以下の構成要素、
−前記サンプルから蛍光放射線を励起させ、撮像する蛍光顕微鏡であり、本目的に適した顕微鏡は蛍光顕微鏡の分野から知られている蛍光顕微鏡、及び
−空間的に不均一な磁場及び/又は空間的に不均一な電場をサンプル内に発生させる場発生器であり、この場の不均一さは少なくとも局所的な領域に存在しなければならない場発生器、
を含んでいる。
【0007】
記載した顕微鏡装置を使用すると、従来の蛍光顕微鏡を使用したときよりも多くの情報をサンプルの研究から抽出することが可能である。これは、必要条件に従って、観察されるべき蛍光マーカの放出特性に影響を及ぼす空間的に不均一な場をサンプル内に発生させることが可能であるという事実によるものである。これにより、前記場はサンプル内において局所的な状態を明確に変更し、その結果、蛍光に影響を及ぼすという機会をユーザに与える。特に、この方法では、蛍光放射線に関する顕微鏡装置の解像度が改善され、この装置の特有の応用は以下に詳細に説明される。その上、この顕微鏡装置を使用する場合、不透明な媒体の分析を改善した解像度で行うことも可能である。
【0008】
第1の好ましい実施例によれば、顕微鏡装置は、例えばその位置をシフトする及び/又はその分布を変化させるために、サンプル内の不均一な磁場及び/又は電場を規定の方法で変更するように構成される。所与のサンプルの容積が前記場の変化にどのように反応するかを観察することにより、そこに含まれる蛍光マーカに関する重要な情報が得られる。例えば、前記場が特別な状態(例えば最小の場の強度)である小さな焦点領域を持つ場合、この状態でサンプル内の異なるポイントにおいて選択的に、蛍光マーカの存在が分析されることができる。
【0009】
所望の特性を持つ場発生器を構築する様々な可能性が存在する。この点に関し、ある程度、例えば磁性粒子の撮像(例えばDE 101 51 778A1であり、これを参照することによりその全てを本出願に含むものとする)のような他の応用に対しても知られる解決法に対する手段を持つことができる。好ましい実施例によれば、前記場発生器は、第1の極性(磁場の場合は例えば“北”、電場の場合は例えば“陰”)からなる第1の極体を有し、この第1の極体は、少なくとも2つの対辺に他の極性(それぞれ“南”、“陽”)からなる第2の極体が隣接している。前記第1の極体は、好ましくは頂部を有する。図の説明において詳細に説明されるように、上記構成の場合、前記場の強度が最小であると仮定する場発生器の付近にポイント形の領域が一般的に存在する。これは、サンプルを観察する場合、焦点領域として適当である。
【0010】
磁場又は電場により生じるサンプル内の蛍光特性の変化は、最も簡単な場合、単純に顕微鏡装置のユーザの目で観察される。しかしながら、好ましくは蛍光顕微鏡を用いて記録された画像の高度な画像処理は、データ処理装置を用いて行われる。これに関して、このデータ処理装置は、1つ以上の記録中に(空間的及び任意には時間的に)不均一な場の既知の強度分布から、及び測定される蛍光放射線から、サンプル内の蛍光マーカの分布を再現するように構成される。例えば、前記場が最小の場の強度からなる焦点領域を有する場合、前記データ処理装置は、この領域における蛍光はそれに応じて変化(増加又は減少)する事実を考慮することもできる。
【0011】
本発明はさらに、サンプル内における磁気及び/又は電気感受性蛍光マーカの空間分布を決める方法にも関する。この方法は、
−前記サンプル内に不均一な磁場及び/又は不均一な電場を一時的に静止又は変化を発生させるので、前記蛍光マーカが局所的に異なる状態となるステップ、
−例えば適当な量子エネルギーの一次放射線によりサンプル内の蛍光放射線を励起するステップ、
−前記サンプルから来る蛍光放射線の少なくとも1つの光学画像を生成するステップ、及び
−前記少なくとも1つの上述した画像及び不均一な場の既知の関連する強度分布を用いて、蛍光マーカの空間分布を計算するステップであり、好ましくは、前記計算は、空間的に異なる場の強度分布の場合、少なくとも2つの画像に基づき、この場の強度分布は、ポイント形の領域又はピクセル/ボクセルの分析を各々可能にする場合、通常はN個の異なる場の強度分布がN個のピクセル/ボクセルの表示するのに必要とされるステップ
を有する。
【0012】
前記方法は一般的なやり方で上述した種類の顕微鏡装置と共に行われることが可能であるステップに関する。本発明の詳細、利点及び他の態様に関しては、特に上記記載を参照する。前記方法は、空間的に不均一な場を用いて前記サンプル内の蛍光の状態を局所的に変化させ、それらに感受性を持つ蛍光マーカを使用することにより情報を高い局所的な解像度で前記サンプルから抽出されることを可能にする。
【0013】
不均一な磁場が前記方法に用いられる場合、その磁場は(少なくとも1つのポイントにおいて)好ましくは少なくとも10T/mの勾配、特に好ましくは10T/mの勾配、さらに特に好ましくは10T/mの勾配を有する。この勾配のこのような値において、1nm当りの磁場強度は約0.1から1mTだけ変化し、ここで既知の磁気感受性蛍光マーカは既に上記変化に反応している。前記勾配において、1nmの範囲にある空間解像度が達成される。
【0014】
不均一な電場が前記方法に用いられる場合、その電場は(少なくとも1つのポイントにおいて)好ましくは少なくとも1011V/mの勾配、特に好ましくは1015V/mの勾配を有する。これらの値において、普通の電気感受性蛍光マーカを使用する場合、nmの範囲にある解像度が同様に得られる。
【0015】
本発明の好ましい実施例において、前記不均一な場は、場の強度の極小値を持つように構成される。特に、この極小値が零値を持つ、すなわち無場(field-free)領域に対応することが可能である。好ましくは、この極小値の幅は蛍光顕微鏡の光学解像度よりも小さい。ここで、前記極小値の“幅”は、考慮中の蛍光マーカ上の場の効果に依存して便宜上規定される。例えば消失する場において後者は、その場が増大するに連れて最大値へ増加する最小限の蛍光生産量を有する場合、前記“幅”は、最大値の特定のパーセンテージ(例えば50%)より下の蛍光生産量を持つ領域として規定されることができる。極小値の空間的に制限された領域において、特別な状態はこれにより前記蛍光に対し形成され、この状態がサンプルから放射される蛍光放射線における効果を観測可能にする。前記最小値はサンプル内の僅かな容積の標的分析(targeted analysis)に対する焦点領域として使用されることができる。
【0016】
本発明の他の態様によれば、サンプルは、それの分析中に蛍光マーカを含む溶液中において位置特定される。このようにして、漂白(bleaching)により失われた及び/又は劣化した蛍光マーカは、前記溶液から絶えず置き換えられるので、サンプル内の蛍光は比較的長い期間維持されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明される実施例から明らかであると共に、これら実施例を参照して説明する。
【0018】
蛍光顕微鏡の分野において、論点は、サンプル20内の蛍光マーカ21の分布を決めることであり、例えば生体サンプルの場合、この分布は解剖学及び/又は代謝条件に関する情報を提供することができる。例えばOberkochen社のfirm Carl ZeissのLSM 510シリーズに適当な蛍光顕微鏡が見つけられる。蛍光を励起するために、サンプル20は、(一次)フォトンvを照射され、これらフォトンは、蛍光マーカ21の原子及び分子により吸収され、それによりこれらを励起したエネルギー状態にする。このエネルギー状態は次いで、蛍光フォトンvを放出することにより再び減少する。これらフォトンはマーカの波長特性を持っている。
【0019】
関連する顕微鏡10を挿入する蛍光フォトンvから、蛍光放射線の強度分布の画像が顕微鏡の光学系により作成される。この画像上に、観察者は、例えば蛍光マーカの増大した濃度の範囲を目で検出することができる。その上、高度な評価方法の場合、原則として蛍光放射線の強度分布は定量的に測定される。光学解像度が約100から30nmの値に制限されているという事実は、今までに述べた原理に従って動作する既知の蛍光顕微鏡全てに共通する。
【0020】
この制限に打ち勝つために、図に示される装置では、サンプル20内の空間的に不均一な磁場33と同じく、磁気感受性蛍光マーカ21を使用することを目的とする。磁気感受性蛍光マーカは、これらマーカが位置特定される外部磁場の強度に依存して、これらの蛍光特性を変える。このような蛍光マーカの典型的な実施例は、いわゆる“エキシプレックス(exciplex)”であり、これらは励起した錯体から形成される。言い換えると、分子が一次フォトンにより励起状態になり、他の分子と結合して2量体(dimer)を形成する。この2量体において、1重項及び3重項状態のエネルギーレベルは殆ど劣化し、時間経過に連れてシャッフルする。外部磁場が用いられる場合、3重項状態は3つの異なる状態に分割され、これにより1重項及び3重項状態が混ざり合う速度が変化する。前記エキシプレックスは、蛍光フォトンを放出している間、接地状態にすることができる。このフォトンが放出される可能性は1重項又は3重項状態が存在したかに依存している。このようにして、前記蛍光の生産量も外部磁場に影響している。前記磁場による前記蛍光の変化は、30%よりも多く達することができ、効果は2mTよりも小さな場で既に達成されることができる。理想的には、前記エキシプレックスの2つの反応相手は互いに化学結合され、いわゆる分子間エキシプレックスを形成する。磁気感受性蛍光マーカはMARY(Magnetic field effect on Reaction Yield)分光学に関する研究、例えばGunter Grampp他著、RIEKEN Review No.44(February 2002)からも知られている。さらに、これに関しては、N.Kh. Petrovの出版物(例えば、N.Kh. Petrov, V.N. Borisenko, A.V.Starostin, M.V.Alfimov著, “Amplification of the cage effect in binary solvents detected by technique of magnetic modulation of exciplex fluorescence” Izv. AN SSSE, ser. Chim., 1991, no.11, p.2456);
N.Kh. Petrov, V.N. Borisenko, A.V.Starostin, M.V.Alfimov著、”Polar molecular clusters produced upon photoinduced electron transfer in an intermolecular exciplex in binary solvents” J. Phys. Chem., 1992, vol.96, no.7, p.2901;
N.Kh. Petrov, V.N. Borisenko, M.V.Alfimov著、”Study of preferential salvation in binary solvent mixtures by the fluorescence-detected magnetic field effect” J. Chem. Soc., Faraday Trans., 1994, vol.90, no.1, 109-111;N.Kh. Petrov, V.N. Borisenko, M.V.Alfimov著、”Magnetic field Effects of Exciplex Fluorescence of the Pyrene-Azacrown Ether System in the Presence of Alkali and Alkaline Earth Salts” J. Chem. Soc. Mendeleev Commun. 1995;N.Kh. Petrov, V.N. Borisenko, M.V.Alfimov, T. Fiebig, H. Staerk著、”Fluorescene-detected Magnetic Field Effects in Exciplex Systems Containing Azacrown Ethers as Electron Donor” J. Phys. Chem.., 1996, vol.100, no.16, 6368-6370、を参照することもできる。
【0021】
代替としては、磁気感受性蛍光マーカの代わりに、電気感受性蛍光マーカが使用されることが可能である。これらは、蛍光特性が前記マーカが置かれる外部電場に依存するという事実によりそれに応じて識別される。蛍光特性の明白な変化は、およそ10V/mの電場強度において既に頻繁に差が生じている。電気感受性蛍光マーカは、(例えば細胞膜内に)自然に生じる電場強度を測定するのにも使用される。この目的のために、電気感受性蛍光マーカは、例えば米国特許明細書US2002/0155520 A9に記載され、そこに記載されるマーカが本事例に用いられることも可能である。前記文献は参照することにより本出願に完全に含まれるものとする。その上、この内容に関しては、他の刊行物を表すようなJian-young Wu他著、Histochemical Journal, 30 169-187(1998)において参照される。記録するために、磁気感受性蛍光マーカに対し以下に説明される方法は、電気感受性マーカに対するのと類似して同様に実行されることが可能である。
【0022】
蛍光マーカ21の磁場感受性を利用可能にするために、サンプル20内に不均一な磁場33を発生させることが可能である場発生器30は、プローブ20の近くに位置決めされる。図示される実施例において、場発生器30は3つの極体(例えば永久磁石)から成る。好ましくは“磁北(magnetic North)”の極性を持つ第1の極体31は、サンプルへの光学的なアクセスのしやすさを改善するために、頂部を有する。第1の極体31の対辺には、“磁南(magnetic South)”の極性を持つ2つの他の極体32が存在する。これらは前記第1の極体31を交互に環状に取り囲んでいる。この構造の場合、磁場強度が殆ど零である焦点領域22は、破線33により示されるように、第1の極体31の頂部の前に生じている。焦点領域22から頂部への距離は、所望する勾配に依存し、10T/mの勾配では、一般的に約1μmであり、10T/mではミリメートルの範囲にある。焦点領域の幅は、例えば約1nmにすることができる。その上、場発生器30は、焦点領域22の周りにある磁場33の勾配が10T/mよりも大きいような大きさとなる(不均一な電場の場合、勾配は1015V/mよりも大きくすべきである)。
【0023】
図において、前記位置xにわたるサンプル20からの蛍光放射線vの強度Iの分布が顕微鏡装置よりも上に再現される。本実施例において、蛍光マーカ21はサンプル20において略一様に分布されているので、原則的に全てのポイントは同じ強度で蛍光放射線を放出すると仮定される。しかしながら、不均一な磁場33の小さな焦点領域22はこれから除外される。この領域において前記強度は減少する。関連するポイントxにおいて、強度分布Iは従って最小を表す。しかし、顕微鏡10の制限される光学解像度のせいで、前記最小は、鋭く一直線に再現されない。それどころか、顕微鏡装置を用いて観察される蛍光強度IFMの経過は、図の上方に描かれている経過である。この図において最小はそれに応じて広げられ、平坦となっている。それにもかかわらず、この焦点領域22の“ぼやけた(blurred)”再現は、不均一な磁場33、故にサンプル内の焦点領域22の位置が変化することができるので、顕微鏡装置の解像度を改善するのに使用されることができる。測定した強度分布IFMの変化を同時に観察することにより、局所的に規定される領域22における条件に関する数学的結論が導かれることが可能である。結果として、焦点領域22を移動させることにより、蛍光マーカの密度はナノメータ範囲の解像度で走査されることができる。
【0024】
顕微鏡装置を用いて達成可能である再生の品質を最適にするために、後方放射の比率は好ましくは最小にすべきであり、それ故に信号対ノイズ比は最大となる。これを行う1つの方法は、小さなサンプル領域だけを一次放射線vにより励起させ、観察をそれに対応する小さな領域に制限することを有する。理想的には、高品質の共焦走査の顕微鏡が用いられる。その上、例えば2光子励起及び誘導放出のような技術も有用である。前記信号対ノイズ比は、時間にわたる集積化及び/又は前記励起に対する高い光レベルにより改善されることも可能である。この点で、蛍光マーカの光退色はこの方法を強要する。上述した全ての技術と同様に、一般的に蛍光顕微鏡から知られる様々な他の技術は本方法と組み合わせて使用されることができる。
【0025】
その上、励起状態の(例えば酸素との)化学反応の結果として、蛍光マーカ21は時間の経過に連れて劣化するかもしれない。この場合、劣化するマーカ分子は、拡散により好ましくは置き換えられる。例えば、サンプルの表面が観察される場合、これは蛍光マーカの溶液に浸すことができる。蛍光マーカの分子は次いで、サンプルの表面において吸収され、劣化する分子は、前記溶液から蛍光マーカの消費されていない分子と時々置き換えられる。
【0026】
記載した顕微鏡装置は、電子顕微鏡を用いて現在走査が行われるやり方と同様に、固体の撮像に用いられることができる。上述した磁場に基づく方法において、サンプルは乾いている必要が無く、生体サンプルはさらに依然として生存していることが利点である。電場が用いられる場合、サンプルは電気的に絶縁されるべきである。例えば、これはサンプルを油若しくは純水(deminiralized water)中において位置特定される又は氷らせることにより達成される。
【0027】
その上、前記方法は、生体分子の検出に使用されることができる。その場合、異なる分子からなるサンプルは、(1色以上の)蛍光マーカと混合され、識別されるべき分子に特異的に又は非特異的に接合する。分子の識別は、観察される蛍光マーカの空間分布を介してもたらされる。蛍光マーカを前記分子に非特異的に接合する場合、例えば蛍光マーカが分子の別のポイントに接合し、それにより分子が認識可能である特徴的な空間形式にする事実に、大きな分子が識別されることができる。蛍光マーカを特異的に接合する場合、前記方法は、例えばDNAサンプルの素早いセグメント化を可能に、ここでは、異なる色は異なるヌクレオチドを符号化する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による顕微鏡装置の原理及びその用途を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気及び/又は電気感受性蛍光マーカを含んでいるサンプルを撮像するための顕微鏡装置において、
−前記サンプルからの蛍光放射線を励起すると共に、撮像するための蛍光顕微鏡、及び
−前記サンプル内に不均一な磁場及び/又は不均一な電場を発生させる場発生器
を有する顕微鏡装置。
【請求項2】
前記サンプル内の前記不均一な場を規定される方法で変更するように構成される請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項3】
不均一な場を発生させる前記場発生器は、第1の極性からなる第1の極体を有し、前記第1の極体は、少なくとも2つの対辺に異なる極性からなる第2の極体が隣接していることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項4】
請求項1に記載の顕微鏡装置において、1つ又は好ましい数の記録中に、前記不均一な場の既知の空間強度分布から、前記サンプル内の前記蛍光マーカの分布を再現するように構成される、前記蛍光顕微鏡により記録される前記画像の画像処理を行うためのデータ処理装置を有することを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項5】
サンプル内の磁気及び/又は電気感受性蛍光マーカの前記空間分布を決める方法において、
−前記サンプル内に不均一な磁場及び/又は不均一な電場を発生させるステップ、
−前記サンプル内に蛍光放射線を励起するステップ、
−蛍光顕微鏡を用いて、前記サンプルから来る前記蛍光放射線の画像を生成するステップ、及び
−前記生成した画像を用いると共に、前記場の既知の強度分布を用いて前記蛍光マーカの前記空間分布を計算するステップ
を有する方法。
【請求項6】
前記不均一な磁場は、少なくとも10T/mの勾配、好ましくは少なくとも10t/mの勾配を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記不均一な電場は、少なくとも1011V/mの勾配、好ましくは少なくとも1015V/mの勾配を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記不均一な場は、場の強度の極小値、特に無場ポイント又は領域を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記極小値の幅は、前記蛍光顕微鏡の光学解像度よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルは前記蛍光マーカを用いて溶液中において位置特定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−522502(P2007−522502A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551974(P2006−551974)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050354
【国際公開番号】WO2005/076050
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】