説明

融合タンパク質の免疫原性の低減

【課題】 免疫原性が低減された融合タンパク質を製造するための方法を開示する。
【解決手段】 本発明の方法は、T細胞エピトープを識別し、それがT細胞レセプターと相互作用する能力を低減させるように、融合タンパク質の接合部の1個または複数のアミノ酸をアッセイし、変更し、修飾することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2001年3月30日に出願された米国仮出願特許出願シリアル番号60/280,625号(その全開示内容は言及によって本願に組込まれる)に基づく優先権およびその利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概括的に言えば、治療剤として免疫原性が低減されているか免疫原性のない修飾された融合タンパク質を製造および使用するための方法および組成物に関する。より具体的には、本発明は、T−細胞エピトープ候補を識別し、そうしたエピトープを除去するようにアミノ酸配列を修正することにより免疫原性を低減した融合タンパク質に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
多くの治療用タンパク質は正常なヒトタンパク質である。例えば、インターロイキン−2、エリスロポエチンおよび成長ホルモンは、すべて、通常これらのタンパク質を既に内成的なレベルで産生しているヒトに与えるヒトタンパク質である。一般に、これらのタンパク質を治療用に用いる場合、完全に正常なヒトタンパク質に対する免疫反応は稀にしか起こらない。
【0004】
最近では、人工的な活性を有する多くの融合タンパク質が治療用タンパク質として有用であることが明らかになってきている。例えば、Enbrelは、TNFレセプターの細胞外ドメインとIgG1 Fc領域との融合体である。Enbrelは慢性関節リウマチを治療するために使用され、TNFと反応してTNFの作用を妨げることにより機能すると考えられる。しかし、Enbrelで治療された患者に抗Enbrel抗体が顕著に発生することがわかった。
【0005】
治療上有用な融合タンパク質の別の種類の例は、イムノサイトカイン(immunocytokines;免疫サイトカイン)である。これらのタンパク質は抗体部分とサイトカイン部分を含み、癌細胞などの疾病状態の細胞をサイトカインの標的とするのに有用である。しかし、これらの融合タンパク質の多くの治療目的での使用は、哺乳動物、特にヒトにおいてその免疫原性により制限される。
【0006】
したがって、これらのタンパク質を治療に使用するためには免疫原性の低減された融合タンパク質を生成する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
本発明は、治療目的で使用される免疫原性の低減された融合タンパク質を産生するのに有用な方法および組成物を特色とする。例えば、本発明はイムノサイトカイン、イムノフュージン(immunofusins;免疫融合体)、イムノリガンド(immunoligands;免疫リガンド)、他の抗体およびFc融合タンパク質、サイトカイン−サイトカイン融合タンパク質および免疫原性の低減されたアルブミン融合タンパク質を特色とする。
【0008】
本発明は、部分的には、融合タンパク質が「非自己」である配列を含んでいる点への着目に関する。例えば、2個のヒトのタンパク質どうしの融合体であっても、融合接合部周辺の領域は、通常、人体に存在しないペプチド配列を含む。例えば、Enbrelなどのタンパク質薬剤は、2個の正常なヒトのタンパク質:TNFレセプターとIgG1に由来する。しかし、TNFレセプターとIgG1との間の接合部分は人体内には通常見出されないペプチド配列である。
【0009】
本発明の好ましい方法は、MHC分子に結合する能力(その結合親和性)を減少させることによって、接合部エピトープ(接合部ペプチド)がT細胞レセプターと相互作用する能力を低減させ、これにより融合タンパク質の免疫原性を低減することを含む。本発明によれば、接合部のエピトープまたはペプチドは好ましくは「非自己」である。一般に、治療用タンパク質を含めタンパク質が免疫原となるのは、部分的には、タンパク質が抗原提示細胞によってエンドサイトーシスされてタンパク質分解を受け、生じたペプチドが主要組織適合複合体(MHC)と呼ばれる分子に結合し、これがペプチドをT細胞に提示するためである。抗原提示細胞(APC)表面の抗原ペプチド−MHC複合体は、T細胞を活性化して増殖、分化させ、サイトカインを放出させる。平行してB細胞の分化および抗体産生が誘導され、これらによる除去によりさらに治療用タンパク質の有効性が制限される。したがって抗原ペプチドは治療用タンパク質に由来する場合一連の望ましくない免疫反応を誘導し得る。治療用タンパク質の有効性は抗体による反応により制限され、多くの場合T細胞およびB細胞応答の誘導は患者における炎症性のアレルギー反応のために有害である。
【0010】
本発明は、(1)免疫グロブリン−標的タンパク質接合領域における1個または複数のT−細胞エピトープ候補を有する新規なアミノ酸配列の識別;および(2)接合部配列に由来しT−細胞エピトープとして機能するペプチドの存在を消失させるか低減させるこれらのアミノ酸配列の修飾を提供する。
【0011】
本発明は、免疫原性の低減に関係する組成物および方法として2種類の一般的なクラスを提供する。本発明の1つの実施形態によれば、潜在的な非自己T−細胞エピトープは、融合接合部にわたる配列中に識別される。例えば、潜在的な非自己T−細胞エピトープは、MHCクラスII分子に結合するペプチドのモデル化に基づく計算上の方法によって識別される。次いで、接合領域に由来するペプチドのMHCクラスIIへの結合能力が低減または除去されるように置換を行う。MHCクラスIIに結合するペプチドを識別し修飾するこの過程は、「脱−免疫化」と呼ばれ、生じた修飾されたタンパク質分子は「脱−免疫化された」と表現される。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、融合接合部に1個または複数のグリコシル化部位を導入する。O−結合グリコシル化部位も使用できるが、N−結合グリコシル化部位が好適に使用される。好ましい実施形態によれば、野生型の融合接合部を囲む接合領域中のアミノ酸は、N−末端融合パートナーの最後のアミノ酸をアスパラギンに変異させ、第2の融合パートナーの最初の2個のアミノ酸を、グリシン、これに続いてセリンまたはトレオニンとなるように変異させる。
【0013】
本発明によれば、バクテリア中で、または酵母や昆虫細胞など、哺乳類のグリコシル化パターンを生成しない有機体中でタンパク質が産生される状況では、MHCクラスII結合の除去が好ましい。
【0014】
タンパク質が、哺乳類の細胞系で、または哺乳動物に無害のグリコシル化パターンを創製する細胞系で産生される場合は、グリコシル化部位の導入が好ましい。
【0015】
好ましい実施形態では、融合タンパク質の構成成分はサイトカインである。「サイトカイン」という用語は、ここでは、そのサイトカインに対するレセプターを有する細胞の特異的反応を誘導する、天然に存在するまたは遺伝子組換えによるタンパク質、それらのアナログおよびそれらの断片について使用する。好ましくは、サイトカインは細胞によって産生され分泌され得るタンパク質である。好ましくは、サイトカインは、インターロイキン−2(IL−2)、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16およびIL−18などのインターロイキン、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、G−CSFおよびエリスロポエチンなどの造血因子、TNFαなどの腫瘍壊死因子(TNF)、リンホトキシンなどのリンホカイン、レプチンなどの代謝プロセスの制御因子、インターフェロンα、インターフェロンβおよびインターフェロンγなどのインターフェロン並びにケモカインを含む。好ましくは本発明の抗体-サイトカイン融合タンパク質はサイトカイン特異的生物活性を示す。
【0016】
別の好ましい実施形態では融合タンパク質の構成成分は抗肥満サイトカインである。例えば構成成分はレプチン、CNTFまたはAcrp30の一部である。
【0017】
さらに別の好ましい実施形態では融合タンパク質の構成成分はホルモンである。例えば、構成成分は、インシュリン、成長ホルモンまたはグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)でよい。
【0018】
さらに別の実施形態では融合タンパク質の構成成分は生物活性を有するリガンド結合タンパク質である。好ましい実施形態ではTNFレセプターの細胞外領域が用いられる。
【0019】
一連の実施形態によれば本発明の融合タンパク質は抗体部分のC−末端に非抗体部分のN−末端が融合されたものを含む。別の一連の実施形態によれば本発明の融合タンパク質は抗体部分のN−末端に非抗体部分のC−末端が融合されたものを含む。本発明によれば抗体部分は未処置の免疫グロブリンでもよいし未処置の免疫グロブリンの一部でもよい。免疫グロブリンの一部としては可変領域もしくは定常領域またはその両方を含むことができる。好ましい免疫グロブリンは、Fc領域またはその一部を含む。本発明の好ましい実施形態としては免疫原性が低減されおよび/またはより長い血中半減期を有するように修飾されたIgG1免疫グロブリンアイソタイプまたはその一部を含む。例えばCH3−サイトカイン接合部近傍のアミノ酸残基が修飾されたIgG1が好ましい。場合によってはIgG2またはIgG4アイソタイプ由来の抗体部分が好ましい。
【0020】
イムノサイトカインは腫瘍を標的とする融合タンパク質治療の一例にすぎない。腫瘍特異的抗体への融合によって他の腫瘍有毒分子も腫瘍を標的とすることができる。さらに抗体融合タンパク質はウイルスに感染した細胞など他のタイプの疾病細胞を攻撃することができる。標的化融合タンパク質を造り出す別のアプローチは、Fc−XおよびX−Fc(ここでXはポリペプチドである)技術の使用である。これらの技術は、対象とするポリペプチドが免疫グロブリンのFc部分に連結する場合、標的タンパク質の産生と収集が改善されるという知見を利用する。Fc−X融合タンパク質については、シグナルペプチド(その後に免疫グロブリン遺伝子のFc断片が続く)が標的タンパク質のN−末端融合パートナーである。いくつかの例ではX−Fcの向きで融合タンパク質を造り出すことが特に有利である。こうした構成体で、標的タンパク質はN末端融合タンパク質であり、Fc断片がこれに続く。リンパ細胞細胞表面糖タンパク質(LHR)(米国特許第5,428,130号)およびグルカゴン様ペプチド(GLP−1)が示されているように、いくつかのタンパク質については、このアプローチは有用である。
【0021】
従って、本発明の方法および組成物は免疫原性が低減されたFcXおよびX−Fc融合タンパク質の形態を提供する。本発明によれば、融合タンパク質の免疫原性は当技術分野で知られた方法またはここに開示する方法によってアッセイすることができる。
【0022】
本発明の方法および組成物は、さらに免疫原性の低減されたアルブミン融合タンパク質を提供する。ヒト血清アルブミン(HSA)は、その半減期が著しく長く、生体内に広く分配され、酵素機能や免疫学機能を有しないことから、治療用ペプチド/タンパク質のためにキャリアーとして使用されてきた(Yehら、PNAS 89:1904−1908,1992)。生体活性ペプチドのHSAへの遺伝的融合は、分泌された治療用HSA誘導体の回復に有用である。しかし、本発明によれば、HSA−CD4などのアルブミン融合タンパク質は、MHCクラスII分子上で提示され得る1個または複数のT−細胞エピトープを一般に含む、新規な接合部を有する。本発明は、アルブミン融合タンパク質の免疫原性の低減された形態、およびアルブミン融合タンパク質の免疫原性を低減する一般的な方法を提供する。本発明によれば、有用なアルブミンタンパク質は、アルブミンの種、対立形質および変異された変異体、並びにそれらの断片を含む。好ましいアルブミンタンパク質は、HSAなどの野生型アルブミンタンパク質の構造と機能的な特性を保持する。
【0023】
別の態様では、本発明は、有用な変異を含む正常なまたは変異またはハイブリッド化されたアイソタイプを備えた脱−免疫化抗体融合タンパク質を提供する。これらの変異は、接合部近傍でもよいしまたは接合領域とは別の位置でもよい。
【0024】
例えば、本発明は、IgGと非IgG部分との間の接合部に点変異を含む、接合部で修飾された脱−免疫イムノサイトカインを提供する。サイトカイン部分はいかなるサイトカインも含むが、好ましくはIL−2またはIL−12である。1つの実施形態では、アミノ酸変更は、抗体部分のC−末端リジンをアラニンまたはロイシンなどの疎水性アミノ酸に変更することを含む。こうした変異を本発明の脱−免疫化修飾と組み合わせることの重要な利点は、変異が、血中半減期の増加と免疫原性の低減にともに作用するということである。ここに記載する、融合接合部の脱免疫を血中半減期を変える変異と組み合わせる方法は、これらの融合タンパク質の臨床での効能を著しく改善するのに有用である。
【0025】
別の態様では、本発明は、異なるIgアイソタイプ(好ましくは、IgG1およびIgG2アイソタイプの両方)に由来するドメインを含むハイブリッド抗体部分と融合接合部での脱−免疫化修飾とを含むイムノサイトカインを提供する。例えば、本発明は、IgG2およびIgG2h(ヒンジ領域をIgG1に修飾したIgG2)ハイブリッドを使用した、脱−免疫化、接合部修飾イムノサイトカインを提供する。好ましい実施形態では、ハイブリッド融合タンパク質は、IgG(γ1:CH1−H)(γ2:CH2−CH3)からなる脱−免疫化免疫グロブリン部分とサイトカイン部分からなる。
【0026】
別の態様では、本発明は、免疫原性の低減された融合タンパク質をコードするか、免疫原性の低減された融合タンパク質の発現、産生および分泌を促進する新規な核酸配列を提供する。このような核酸は標準的な組換えDNA技術によって生成される。
【0027】
好ましい実施形態において、核酸分子はイムノサイトカイン融合タンパク質をコードする。好ましいイムノサイトカインは、サイトカイン(例えばインターロイキン2)、およびヒト上皮細胞接着分子KSA(EP−CAM)(huKS)に対する抗体などの腫瘍特異的モノクローナル抗体を含む。
【0028】
別の好ましい実施形態では、核酸分子は様々な配置においてFc融合タンパク質をコードする。核酸分子は、5'から3'の方向に連続的にコードする、(i)シグナル配列、免疫グロブリンFc領域そして標的タンパク質配列、または(ii)シグナル配列、標的タンパク質そして免疫グロブリンFc領域、または(iii)シグナル配列、第1の標的タンパク質、免疫グロブリンFc領域そして第2の標的タンパク質。生じる核酸分子は、これにより、Fc−X、X−FcまたはX−Fc−Y構造(ここで、XとYは標的タンパク質である)をコードする。別の実施形態では、核酸はシグナル配列を有しないFc−X、X−FcまたはX−Fc−Yタンパク質をコードする。
【0029】
別の好ましい実施形態では、本発明の核酸は変異体またはハイブリッドのアイソタイプとのIg融合タンパク質をコードする。特に、核酸は、ハイブリッドのアイソタイプあるいは変更されたヒンジ領域を備えた抗体部分を提供する。例えば、融合タンパク質は、ヒンジ領域に含まれるジスルフィド結合が少なくなるように修飾されたIgG2またはヒンジ領域が別の抗体(好ましくは正常もしくは変異体IgG1ヒンジ領域)に由来するIgG2 CH2およびCH3領域からなる。
【0030】
好ましくは、本発明の核酸は、作用可能な結合状態で複製可能な発現ベクター中に組み込み、次いでこの発現ベクターは融合タンパク質を産生するのに能力を有する哺乳類宿主細胞に導入する。生じる融合タンパク質は効率的に産生され、哺乳類の宿主細胞から分泌される。続いて分泌された融合タンパク質を哺乳類の宿主細胞を溶解せずに培養培地から回収する。タンパク質製品は必要に応じて慣用の試薬を使用して、活性アッセイおよび/または精製し、かつ/または、融合パートナーから開裂させる。これらはすべて慣用の技術を使用できる。
【0031】
したがって、本発明はさらに免疫原性の低減された融合タンパク質を産生する方法を提供する。
【0032】
さらに、本発明の方法および組成物は、免疫原性の低減された融合タンパク質を使用して、治療処置を提供するのに有用である。本発明の全体的な目的は、有効かつ廉価である方法とともに免疫原性の低減されたタンパク質を提供する。本発明の好ましい治療用組成物は治療上有効な量の脱−免疫化融合タンパク質を含む。好ましくは、脱−免疫化された融合タンパク質は、薬学的に許容できる担体とともに投与される。
【0033】
これまでに述べてきた、また他の本発明の態様、特徴および利点は、以下に続く詳細な記述、図面および特許請求の範囲からより明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
治療用途での使用のために患者に投与される、抗体を含むタンパク質はすべて、レシピエントホストにおいて免疫反応を引き起こす可能性を有する。この免疫反応は、Tリンパ球(T細胞)によって仲介されるが、これは、次いで、Bリンパ細胞(B細胞)を起動して抗体を産生させる。治療剤に対する抗体産生は、治療剤のより多くの迅速な除去に結びつき、アレルギー反応を引き起こすおそれがあるため不利益である。
【0035】
本発明は、融合タンパク質の免疫原性を低減する方法を提供する。本発明の1つの方法によれば、潜在的なT−細胞エピトープは、融合タンパク質の融合接合部の接合領域中で識別される。T−細胞エピトープは、コンピュータモデリングによる構造に基づく予測やペプチド合成、特異的MHCクラスII分子への結合試験、または免疫原性アッセイを含む、種々の計算的および非計算的(コンピュータを用いたおよび非コンピュータ的な)方法により識別される。
【0036】
本発明によると、融合接合部は、融合タンパク質において、第1のタンパク質またはペプチドの最後(C−末端)のアミノ酸と、第2のタンパク質またはペプチドの最初(N−末端)のアミノ酸との間の位置として定義される。したがって、融合接合部は、1つのタンパク質の最後のアミノ酸と第2のタンパク質の最初の任意のアミノ酸を含む。1つの実施形態では融合接合部はリンカーを含む。
【0037】
本発明によれば、接合領域は2つのタンパク質間の融合接合部を囲むかその範囲にわたる融合タンパク質の領域である。接合領域は、好ましくは1と約100個の間のアミノ酸、より好ましくは1と約50個の間のアミノ酸、または1と約25個の間のアミノ酸、さらに好ましくは1と約15個の間のアミノ酸、または1と9個の間のアミノ酸を含む。1つの実施形態では、接合領域は2つのタンパク質間の接合ポイントに挿入されたスペーサーまたはリンカーペプチドを含む。本発明によれば、スペーサーまたはリンカーペプチドを含む接合領域も、スペーサーまたはリンカーを含む融合タンパク質に対する患者の反応を最小限にするために脱−免疫化することができる。
【0038】
本発明によれば、接合部のT−細胞エピトープは、少なくとも2つの異なる融合パートナータンパク質の各々に由来する少なくとも1つのアミノ酸を含む、MHCクラスIIを結合可能なペプチド配列として定義される。例えば、Paul(Fundamental Immunology、第4版[2000]、p.276、8章、表8)は、MHCクラスII分子に結合することができる10個のアミノ酸のセグメントを例として挙げている。接合部のT−細胞エピトープにおいて、これらの10個のアミノ酸ペプチドは異なる融合パートナーに由来する。本発明によれば、融合接合部にわたる潜在的なすなわち候補となるT−細胞エピトープ(候補となる接合部T−細胞エピトープ)は、好ましくは接合部の一方の側から1〜8個のアミノ酸、より好ましくは接合部の一方の側から1〜10個または1〜11個のアミノ酸を含む。候補エピトープは好ましくは9個、11個または12個のアミノ酸長である。したがって、本発明の接合部T−細胞エピトープは、接合の各側に由来する少なくとも1個のアミノ酸を含むため、好ましい候補T−細胞エピトープは、結合の一方の側に由来する1〜8個(または1〜10個もしくは11個)のアミノ酸を含んでおり、さらに9〜12個のアミノ酸(最も好ましくは9個のアミノ酸)を有するエピトープとなるように、これを補足する数のアミノ酸を接合の他方の側から含む接合部エピトープである。
【0039】
本発明によれば、次いで、接合部のT−細胞エピトープ内のアンカー残基を変異させて、MHCクラスII分子への結合を防ぐ。一般に、追加的な潜在的なT−細胞エピトープを導入しないように、かつ各融合パートナーの機能を保存するように注意する。
【0040】
本発明によれば、野生型の配列の融合は、融合接合部のN−末端またはC−末端における配列が天然に存在する配列に直接由来する融合である。
【0041】
本発明によれば、脱−免疫化された融合接合部は、野生型配列の接合に対して1個または複数の置換変異が導入された接合部配列である。最も好ましい実施形態では、融合接合部の脱免疫化は、「免疫原性でない」Gly−Serリンカーなどのリンカーの導入を含まず、融合パートナーの空間的関係は脱−免疫化された融合タンパク質において変更されない。本発明によれば、1個または複数のアミノ酸は、接合領域中、融合接合部に対するN−末端、融合接合部に対するC−末端、融合接合部に対するN−末端とC−末端の両方のいずれでも置換または変更することができる。
【0042】
本発明によれば、潜在的なT−細胞エピトープは、単離されたペプチドと見なしたとき、MHCクラスII分子または非ヒト種における等価物に結合すると予測される配列である。潜在的なT−細胞エピトープは、抗原提示細胞にタンパク質が取り込まれる効率、完全なタンパク質中の複数部位で分裂してMHCクラスIIに結合可能なペプチドを生成する効率など、抗原処理の他の面を考察することなく定義される。したがって、動物にタンパク質を投与した後、MHCクラスII上に現実に提示されるT−細胞エピトープの集合は、潜在的なT−細胞エピトープの部分集合である。
【0043】
本発明によれば、T−細胞エピトープはMHCクラスII分子と相互作用するタンパク質上のエピトープである。特定の理論に拘束されるものではないが、T−細胞エピトープはタンパク質または融合タンパク質中のアミノ酸配列であって、T細胞の成育発展の間に否定的なT細胞選別過程を経ることなく、したがってMHCクラスII分子によって提示され、T細胞レセプターによって認識されると予想される配列であると理解される。本発明の好ましい実施形態では、非自己T−細胞エピトープは、融合タンパク質を形成する2つのタンパク質の融合接合部において接合領域中に存在する。
【0044】
本発明は、精巧なコンピュータシミュレーションまたはタンパク質三次元構造を必要とせずに、融合タンパク質結合中のT−細胞エピトープの数を低減するか除去する非コンピュータ的方法を提供する。1つの実施形態では、本発明の方法は、9個のアミノ酸のコアセグメントが抗原提示の間、T細胞レセプターともMHCクラスII分子ともその両方に相互作用するという事実を利用する。N−末端の多くのアミノ酸は「アンカー」位置残基と呼ばれ、MHCクラスII分子内の深いポケットに結合する。MHCクラスII分子に結合する上で重要なアンカー位置には、典型的には以下のアミノ酸のうちの1つが存在する:ロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン。本発明によれば、コアの9個のアミノ酸に隣接するさらに2〜3個のアミノ酸もMHC分子との相互作用に影響する。さらに、融合タンパク質の第1のタンパク質中のC−末端の多くのアミノ酸が一般に置換できる。これは特に、N−末端融合パートナーまたは第1のタンパク質が、C−末端融合パートナーまたは第2のタンパク質のC−末端に融合されたときに活性であるとわかっている場合、有用である。
【0045】
本発明の一般的な方法は、融合タンパク質中のN−末端融合パートナーの最もC−末端側(C-terminal most)の8アミノ酸に存在するいかなるロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンを変異させることを含む。1つの実施形態では、候補となる接合部のT−細胞エピトープアミノ酸中のこれらの1個または複数のアミノ酸を、優先的にトレオニン、アラニンまたはプロリンに変異させる。これは、交換されたアミノ酸の疎水性の性質を幾分か保持する。本発明の別の実施形態では、1個または複数の前述のアミノ酸が、候補となるすなわち潜在的な接合部T−細胞エピトープから除去するか、または適当なアミノ酸類似体に置換する。本発明によれば、潜在的なT−細胞エピトープを破壊するためアミノ酸を除去する場合、除去部近くのアミノ酸を含む新たなT−細胞エピトープを生成しないように注意する。
【0046】
本発明によれば、最後の8個のアミノ酸に1個または複数の疎水性残基の変異を含むN末端融合パートナーをコードする配列を含む一般化された発現プラスミド構築中間体を構築することが、多くの場合有用である。一般に、このようなプラスミドは、N末端融合パートナーのC−末端をコードするDNA部またはその近傍に、1個または複数の便利な制限酵素サイトを有する。
【0047】
中間プラスミド構築の目的は、融合タンパク質(ここで、1個または複数のN−末端融合パートナーは、8個のC−末端アミノ酸において、ロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンの1個または複数を別のアミノ酸とする置換を有する)をコードする発現プラスミドを構築することである。このような最終発現プラスミドの構築は、当業者にはよく知られた他の方法、例えば、PCR断片または合成核酸の生成後、断片を適当なベクターにライゲートするか、よく知られたPCR技術によって他の配列に結合させて行ってもよい。
【0048】
特に好ましい実施形態は、Fc−X融合プラスミド、アルブミン−X融合プラスミド、scFv−X融合プラスミドおよびFab−X融合プラスミドを含む。Fc(ガンマ)−Xの場合、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4分子のFc領域のC−末端の近くにロイシン−セリン−ロイシン−セリンセグメントのアミノ酸置換をもたらすようにコード配列中に変異を導入することが有用である(ここではIgG1について図解する)。IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に由来するヒトFc領域のアミノ酸配列を配列番号:1、2、3および4にそれぞれ示す。
【0049】
一例として、KSLSLSPGK(配列番号:5)をKSATATPGK(配列番号:6)に変更する。この変異は、潜在的な接合部T−細胞エピトープを除去し、また、上流のフェニルアラニンまたはチロシンが位置1アンカー残基として機能するT−細胞エピトープを除去するべく設計されている。
【0050】
あるいは、候補となる接合部T−細胞エピトープを除去する変異を血中半減期を延長する変異と組み合わせることが時として有用である。例えば、KSLSLSPGK(配列番号:5)をKSATATPGA(配列番号:7)に変更することによる。
【0051】
他の実施形態は、LSLSセグメント中でのグリシンまたはプロリンなど他のアミノ酸への置換を含む。
【0052】
IgA融合タンパク質を作製するために使用する発現ベクターの場合には、C−末端アミノ酸のうちのいくつかを除去し、その結果、IgAのオリゴマー化に関係するC末端近くのシステインが除去されるようにすることが有用である。例えば、第2のタンパク質に融合される前に、IgA重鎖配列がプロリン−トレオニン−ヒスチジンで終わるように15個のアミノ酸を除去することができる。さらに、IgA Fc領域のCH3ドメインのC−末端近くに以下の変更を導入することが有用である:
QKTIDRLAGKPTH(配列番号:8)をQKTADRTAGKPTH(配列番号:9)に変更。
【0053】
IgA−X融合タンパク質中のさらなる脱−免疫化配列は以下のものである。
【0054】
【化1】

【0055】
アルブミン−X融合の場合には、アルブミン−X発現プラスミドに次の変化を導入してアルブミンのC−末端タンパク質を以下のように修飾することが有用である:
KKLVAASQAALGL(配列番号:13)をKKLVAASQAATTA(配列番号:14)に変更。
【0056】
したがって、本発明は免疫原の低減された融合タンパク質の構築において有用な核酸配列およびタンパク質を提供する。特に、本発明は、最後の8個のアミノ酸中の任意のロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンの変異を有するタンパク質を提供する。タンパク質は好ましくは人体中に見出される配列に概ね相当する配列を有するヒトタンパク質である。本発明はこのようなタンパク質をコードする核酸配列も提供する。本発明のこの態様について核酸配列はプラスミド、PCR−生成断片、または化学合成によって生成された核酸として存在してもよい。
【0057】
本発明はまた、1個または複数のN−末端融合パートナーが、8個のC−末端のアミノ酸中、ロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンを別のアミノ酸とする1個または複数の変異を有する融合タンパク質をコードする発現プラスミドを提供する。
【0058】
例えば、Fc領域が上記のように変異されているFc−IL2または全抗体−IL2融合タンパク質をコードするプラスミドが、本発明によって提供される。さらに、WO01/36489に記載されているエリスロポエチンの形態などのエリスロポエチンの正常な形態または変異された形態に上記のように変異されたFc領域を含む融合体が、本発明によって提供される。
【0059】
本発明は、さらにN−結合またはO−結合グリコシル化部位を、融合接合部近傍、好ましくは融合接合部に導入することにより、融合タンパク質結合の免疫原性を低減する方法を提供する。例えば、アスパラギン、セリンまたはトレオニンといったアミノ酸、および第3の残基を以下のように導入する。XがN−末端融合パートナーのアミノ酸を表わす配列であり、ZがC−末端融合パートナーのアミノ酸を表わす配列を考えられたい:
【0060】
【化2】

【0061】
この方法によれば、結合ペプチドの接合はグリコシル化部位の導入によって必ずしも阻まれない。しかし、MHCクラスII溝内に結合し、N−末端最端アンカー残基に対してグリコシル化したアスパラギンC−末端を有する任意のペプチドは、T−細胞エピトープとして機能しない。大きなグリコシル化部分の存在は、立体的にMHCクラスII/ペプチド複合体の認識を妨害するであろう。好ましいグリコシル化部位は、配列Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr(ここでXは好ましくはGlyであるが、任意のアミノ酸であり得る)を含む。
【0062】
さらに、グリシンおよびセリン残基を導入する変異の導入は新しいT−細胞エピトープを生成しない。グリシンもセリンもアンカー残基の役割を果たすことができない。抗原処理において、融合タンパク質は原則としてはグリコシル化したアスパラギンとグリシンの間、またはグリシンとセリンの間で開裂される。いずれの場合も、生じるペプチドはアンカー残基に対し変異体グリシンおよび/またはセリン残基N−末端を有し、したがって変異体グリシンおよび/またはセリン残基は、T細胞レセプターによって認識されない。アンカー残基に対する残基N−末端はTCRによって認識される領域の外部にあるためである。
【0063】
この方法の変形では、融合接合領域は、グリシン、セリン、アラニンなどのアミノ酸残基が先行するセリンまたはトレオニンを既に含む。接合領域が柔軟で各融合パートナーの疎水性コアから変位する場合、好ましくは第2の方法が使用され、その結果、新規なN−結合グリコシル化はいずれの融合パートナーの機能やフォールディングとも干渉しない。
【0064】
タンパク質工学の技術における当業者にとって、グリコシル化部位の導入がどのような場合に実現可能かを決めるのは単純明快な問題である。例えば、各融合パートナーの三次元構造、または融合パートナーに近似した同族体が知られていることもあろう。タンパク質のN−末端またはC−末端に少数のアミノ酸がX線構造解析で解決されなかったり、NMR構造が多くの可能なコンホメーションを示すことはしばしばある。グリコシル化部位のいずれかの側で3個またはそれ以上のアミノ酸が乱される場合、生じる融合タンパク質が正確に折り畳まれ、両方のパートナーが活性になる確信がある。所与の融合タンパク質が機能的であるかどうか決定するのには、ある種の定型的実験が必要である。
【0065】
本発明の好ましい実施形態では、融合タンパク質のN−末端およびC−末端パートナーの両方が、ヒトのタンパク質である。このような融合タンパク質中での潜在的なT−細胞エピトープは、C−末端パートナー(第2のタンパク質)の最初の8個のアミノ酸と結合した、N−末端パートナー(第1のタンパク質)の最終の8個のアミノ酸から創製される。これは、第1と第2のタンパク質から創製された一連の8個の9−merハイブリッドを提供する。第1のタンパク質の最後の8個のアミノ酸に脂肪族または芳香族性のいずれかの残基(ロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはチロシン)が含まれる場合、第1の位置(アンカー位置)にMHC分子のポケットを結合するアミノ酸を伴うMHC結合ペプチドを生成する危険が高い。したがって、前述のアミノ酸のうちのいずれかの置換は前述のアミノ酸のうちの1つでないアミノ酸、好ましくはアラニン、プロリンまたはトレオニンで行い、候補T−細胞エピトープを除去することになろう。
【0066】
例えば、以下の配列:
【0067】
【化3】

【0068】
を含むFc融合タンパク質の場合には、ロイシン残基は2つの潜在的なエピトープを生成する。したがって、配列はLをAに、およびSをTに変更し
【0069】
【化4】

【0070】
として脱−免疫化することができる。これらの変更は、MHC結合ポケット中の第1のアミノ酸としてロイシンを、MHC結合ポケット中の第1のアミノ酸としてチロシンをそれぞれ有するエピトープを除去する。
【0071】
これらの置換は、人体においてすべてのFc融合タンパク質を脱−免疫化するため、リンカー配列を伴う場合も伴わない場合も、好ましくは1)融合タンパク質における両方のタンパク質が、ヒトのタンパク質である場合;2)両方のタンパク質の天然配列でのMHC結合ペプチドは無視される場合;および3)本来の配列と同一の9−merも無視される場合に機能する。
【0072】
本発明の方法は、一般にすべての脊椎動物において、好ましくは哺乳動物において、また、最も好ましくはヒトにおいて適用可能である。以下の実施例よって本発明をさらに説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0073】
実施例1:huKS−IL2イムノサイトカインの免疫原反応性エピトープの除去
HuKS−IL2は、ヒト化されたVHおよびVL領域をヒトのHおよびL鎖定常領域と組み合わせてなる。H鎖は、前に述べたようにそのカルボキシル末端をヒトIL−2の成熟配列に融合した。このH鎖はγ1アイソタイプであり、Fcレセプターに高い親和性がある。この高い親和性のためHuKS−IL2は血液循環からすばやく取り除かれた。特定の理論に拘束されるものではないが、HuKS−IL2の除去は肝臓(クッパー(Kupffer)細胞)および脾臓(抗原提示細胞)中のFcR担持細胞を介して生じると推測される。
【0074】
ある患者がhuKS−IL2分子のある部分に対し免疫反応を示すことが以前に確証されている。しかしこれらの抗体によって認識されたエピトープは知られていない。反応的なエピトープを低減するために、huKS−IL2を有する患者の血清の相対的な活性を他の関連するタンパク質と比較した:
(1)Hu14.18−IL2、完全に異なるヒト化されたV領域を備えているが正確に同じC領域およびIL−2との融合接合部を有する分子;
(2)VH1、ヒト残基に張り合わせされた(veneered)、表面露出マウスB細胞エピトープを備えたマウスV領域に由来する、VHおよびVLの領域中にT−細胞エピトープを含まないhuKS−IL2の脱−免疫形;
(3)VH2、ヒト残基に張り合わせされた(veneered)、表面露出マウスB細胞エピトープを備えたマウスV領域に由来する、CDR3中に1個の残存T−細胞エピトープを含むhuKS−IL2の脱−免疫形で、このVHは1個のT−細胞エピトープを含む;
(4)KOLまたはEU Cγ1領域(KSではなく)のいずれかで構築された425−IL2(アロタイプの活性と比較するため);
(5)huKS−mIL2−、マウスC領域およびマウスIL−2に融合したhuKS V領域を備えた分子;
(6)ヒトFc−IL2;
(7)ヒトFcのみ;
(8)ヒトIL−2のみ。
【0075】
免疫グロブリン融合タンパク質および断片をタンパク質Aセファロースクロマトグラフィーによって精製し、重炭酸ソーダバッファー中96−ウエルプレートに塗り、次いで、1%BSAを含有する1%ヤギ血清でブロックした。患者血清の稀釈液をインキュベートし、次いで、結合しない物質をPBS−Tweenで3回洗浄して除去した。患者血清から得た結合したヒト抗体を、結合タンパク質に依存する様々なHRP複合抗体(HRP-conjugated antibodies)で検知した。一般に、ヤギ抗ヒトγ鎖HRPを使用した。プレートに結合されたタンパク質のほとんどがヒトFcおよびヒトκ鎖からなっていたためである。
【0076】
ある患者血清は、同じ患者からの注入前血清においては検知されなかったhuKS−IL2に明瞭な反応を示した。免疫前(preimmune)抗血清はベースライン(基線)となる非免疫対照を確立するために使用した。患者血清で見られた反応は、(1)抗IL2反応、(2)抗Fc(アロタイピック)反応、(3)新規な接合配列に対する反応または(4)KSイディオタイプとの抗イディオタイプ、またはこれらの反応の組合せによるものとすることができる。
【0077】
患者血清は、組換えIL−2やFc領域(上記1および2)とは顕著には反応しなかった。何人かの患者はKS V領域に抗イディオタイプ反応を示した。患者血清はすべて、Fc−IL2とは反応を示した。4人の患者のうちの3人はFc−IL2と反応を示した。Fc−IL2に対するが、FcまたはIL2のいずれかに対するものではない反応の存在は、FcとIL2の間の結合が患者の抗血清によって認識されたことを示唆している。
【0078】
実施例2:MHCクラスIIの除去によって免疫原性を低減するための抗体−サイトカイン融合タンパク質の接合部におけるアミノ酸残基の修飾
ペプチドスレッディング分析により、強いMHC可能性を有する2個の重複するペプチドセグメントが、イムノサイトカインのFcとIL2部分の間の接合部に識別された。潜在的なT−細胞エピトープのペプチドスレッディングおよび識別は、Carr(WO00/34317)に開示されるように実行した。アミノ酸の変更は、既存の潜在的なMHCクラスII結合エピトープを除去するが、新たな潜在的なMHCクラスIIエピトープを導入しないように行われた。
【0079】
接合部配列LSLSPGK−AP(配列番号:17)のATATPGA−AP(配列番号:18)への修飾(「LSLSからATATへ」)(ここで、ハイフンはイムノサイトカインhuKS−IL2接合部である)は、接合部由来ペプチド配列を、免疫原性にもたらすのに十分に高い親和性をもって任意のヒトのMHCクラスIIに結合できないようにする。
【0080】
実施例3:免疫原性を低減するためのサイトカイン融合タンパク質の接合部におけるアミノ酸残基の修飾
接合部配列LSLSPGK−AP(配列番号:17)のLNLSPGA−AP(配列番号:19)への修飾(「LSLSからLNLSへ」)(ここで、ハイフンはイムノサイトカインhuKS−IL2接合部である)によっても、接合部由来ペプチド配列はある種のヒトのMHCクラスIIには結合可能である。しかし、KS−IL2タンパク質が哺乳類細胞中で発現され分泌される場合、タンパク質は、NXS/T配列であるため接合部近傍でN−グリコシル化される。
【0081】
生じる接合部由来ペプチドは、接合部由来ペプチドがMHCクラスIIによってT細胞に提示されたとき、大きなグリコシル化部分がT細胞レセプターとMHCクラスIIの間の特異的ドッキングを妨げるため、T−細胞エピトープのように有効ではない。
【0082】
実施例4:脱−免疫化されたhuKS−IL2イムノサイトカインとの比較におけるイムノサイトカインhuKs−IL2への抗原提示細胞の免疫反応性の同定
反応性エピトープの修飾による免疫原性の低減を、LSLSをATATに変化させることにより以下のように直接試験する。この配列を模倣する合成ペプチドは、樹状細胞(DC)などの古典的抗原提示細胞の免疫反応を変更する。以下の合成ペプチド:
【0083】
【化5】

【0084】
(ここで、ハイフンがKS−IL2結合である)は、自己T細胞へのDC−仲介抗原提示を刺激するために使用される。続いて行うペプチド抗原による挑戦に対する反応においてこれらのT細胞が示す増殖能力は、そうしたペプチドの免疫原性の基準として有用である。
【0085】
特に、標準の密度勾配技術によりリューコパック(leukopack)から末梢血単核細胞(PBMC)を分離する。単核細胞を血清を含まないAim V培養培地中に再懸濁させ、付着させる。37℃で2時間後、付着していない細胞を除去する。付着細胞は、未成熟樹状細胞(DC)を誘導するためにヒトGM−CSF(50ng/ml)およびIL−4(20ng/ml)を含む培地中で7日間培養する。7日後に細胞を収穫し、適当なFITCラベルが付けられたMHCクラスI、MHCクラスII、CD80およびCD40に対するAbsを用いてフローサイトメトリーを行って発現型を同定し、未熟なDCを確認した。
【0086】
付着していない細胞は、IL2およびIL7とともに培養し、後の機能的な研究で用いる自己由来のエフェクター細胞(T細胞)を得る。機能的な研究では、T細胞を未熟な樹状細胞に加え(比率10:1)、huKS、脱−免疫化huKS、ペプチド接合部13mer(KSLSLSPGK−APTS)(配列番号:20)および修飾され、脱−免疫化された13merペプチド(KSATATPGK−APTS)(配列番号:21)とともに共培養する。イムノサイトカインまたは免疫原性ペプチドおよび修飾され、脱−免疫化されたペプチドの各々に暴露した後、トリチウムを含むチミジンを組み入れることにより測定した増殖指数を比較して、各分子の免疫原性の程度を示す。すなわち、放射性の組込みの増加は、各ペプチドがDC上のMHCクラスII分子に結合してT細胞に提示される能力にほぼ比例する。
【0087】
実施例5:アルブミン融合タンパク質中に見出される免疫原性反応性エピトープの除去および免疫原性を低減するための融合接合部におけるアミノ酸残基の修飾
ヒト血清アルブミン(HSA)は、その著しい半減期の長さのため、生体内で広く分配されるとともに酵素的または免疫学的機能が欠如していることから、治療用のペプチド/タンパク質用の担体として用いられてきた。遺伝子的に操作されたHSA−CD4ハイブリッドは、生体外で可溶性CD4に似た抗ウイルス性を示すとともにCD4+細胞中へのヒト免疫不全ウイルスの侵入を阻むことが示されている(Yehら、PNAS 89:1904−190S、1992年)。したがって、HSAに生体に影響するペプチドを遺伝的に融合することは、分泌される治療用HSA誘導体を設計および回復に有用である。しかし、すべての融合タンパク質と同様に、HSA−CD4は新規な接合部を有し、これは免疫原になり得るとともに、MHCクラスII分子上で提示され得るT−細胞エピトープを含む。実施例1、2、3および4の方法を使用したHSAとCD4との間の接合部の分析はペプチドを、MHCと結合する可能性を識別する。潜在的に免疫原性の配列は、潜在的なTおよびB細胞エピトープを減少または除去させて免疫原性を低減するために修飾される。同様に、免疫原性を低減するために新規なグリコシル化部位を接合領域に導入することができる。
【0088】
【化6】

【0089】
本発明では、HSA−IFNalpha融合タンパク質接合領域が3つの候補T−細胞エピトープ:
【0090】
【化7】

【0091】
を含むことが想定される。
【0092】
配列番号13と23で描かれるT−細胞エピトープは重複し、LV(太字)をF、I、L、M、V、WおよびY以外の任意のものに変更することにより脱−免疫化することができる。あるいは、ペプチドスレッディングスコアは、LGをTTに変更することにより著しく低減することができる。配列番号:24中のT−細胞エピトープは、2番目のL(太字)をAに変更することにより脱−免疫化することができる。
【0093】
さらに、HSA−X融合(ここでXは任意のタンパク質でよい)の場合、融合接合部の脱−免疫化は、アミノ酸配列AALGL(配列番号:25)をTATTA(配列番号:26)に変更することにより実現できる。
【0094】
【化8】

【0095】
実施例6:X−Fc融合タンパク質および免疫原性を低減するための融合接合部のアミノ酸残基の修飾
いくつかの例では、X−Fcの向きの融合タンパク質を創出するのが有利である。これらの構成体により、標的タンパク質はN−末端融合タンパク質であり、Fc断片が続く。例えば、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)は、その活性のために遊離N−末端が必要であり、したがって、GLP−1−Fc融合体が有用である。
【0096】
GLP−1−Fc融合タンパク質は、当技術分野の文献に記載された標準的技術によって構築される。この融合タンパク質は、γ1重鎖のヒンジと接合したGLP−1のC−末端を有する。CysからSer(残基5)への変異体(これは、IgG1の軽鎖とのジスルフィド結合を形成するCys残基を除去する)を含むγ1ヒンジ配列(Loら(1998)Protein Engineering 11:495−500)が使用される。非変異Fc配列は、
【0097】
【化9】

【0098】
であり、下線部がヒンジ領域で、この後にCH2領域配列の開始点が続く。
【0099】
GLP−1(7−37)と変異体Fc間の融合接合部は次の通りである:
【0100】
【化10】

【0101】
GLP−1(7−37)間と正常Fcの融合接合部は次の通りである:
【0102】
【化11】

【0103】
3個の潜在的エピトープがGLP−1−Fc融合接合部におけるペプチドスレッディングにより識別される。
【0104】
【化12】

【0105】
実施例1〜3と同様に行ったGLP−1(太字テキスト)とFc(通常テキスト)の間の融合接合部の分析により、MHC結合性を有するペプチドが識別される。ペプチドスレッディング分析によって潜在的なサイトを識別した後、潜在的に免疫原性の配列をアミノ酸置換により修飾し、潜在的なT細胞およびB細胞結合エピトープを低減または除去して免疫原性を低減する。
【0106】
配列番号:31、32および33で示される前記の潜在的T−細胞エピトープは単一のアミノ酸置換をなすことにより脱−免疫化される。例えば、配列番号:31で示されるペプチドはリジン(太字で示す)をトレオニンにおよびアルギニン(太字で示す)をトレオニンに変更することにより脱−免疫化される。配列番号:32で示されるペプチドは、イソロイシン(太字で示す)をアラニンまたはプロリンに替えることにより脱−免疫化され、配列番号:33のペプチドは、ロイシンをアラニンまたはプロリンに替えることにより脱−免疫化される。生じる脱−免疫化接合部は次の通りである:
【0107】
【化13】

【0108】
融合接合部にグリコシル化部位を導入する典型的な方法によれば、次の変更が導入される:
【0109】
【化14】

【0110】
実施例7:Enbrel、TNFR−Fc融合タンパク質の免疫原性反応性エピトープの除去、および免疫原性を低減するための融合接合部のアミノ酸残基の修飾
ENBRELまたはエタネルセプト(FDAによって承認されたX−Fc融合タンパク質)は、慢性関節リウマチを治療するために使用される腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤である。ENBRELは、ヒトIgG1のFcタンパク質に結合されたTNFレセプターの細胞外のリガンド結合ドメインからなる二量体の融合タンパク質である。TNFR−Fcは、TNFのそのレセプターへの結合を競争的に阻害し、結合したTNFを生物学的に不活性にし、炎症性の活性を顕著に低減させる。GLP−1−Fcについて上述したように、TNFR−Fcは潜在的なT−細胞エピトープを含む新規な接合部を有する。
【0111】
TNF−RのC−末端部分(太字テキスト)のg1ヒンジN−末端(通常テキストで示しヒンジ領域を、下線を付して表す)への直接融合間の接合部は以下の通りである:
【0112】
【化15】

【0113】
実施例1〜4と同様に行ったTNF−RとFc間の融合接合部の分析により、MHC結合性を有するペプチドが識別される。ペプチドスレッディング分析により潜在的なサイトを識別した後、潜在的に免疫原性の配列をアミノ酸置換により修飾し、潜在的なT細胞およびB細胞結合エピトープを低減または除去して免疫原性を低減する。
【0114】
融合接合部にグリコシル化部位を導入する典型的な方法によって以下の変化を導入した:
【0115】
【化16】

【0116】
実施例8:Fc−IL12−IL2などのFc−X−Y融合タンパク質の免疫原性反応性エピトープの除去、および免疫原性を低減するための融合接合部のアミノ酸残基の修飾
Fc−IL12−IL2などのFc−X−Yの配置の融合タンパク質は、潜在的に免疫原性である多数の新規な融合接合部を有する。例えば、Fc−IL12は、他のFc−X融合タンパク質またはイムノサイトカイン(実施例1)に類似した融合接合部を有するが、サイトカインIL12の使用のために新規である。融合接合部は免疫原性の結合サイトについて分析され、従って修飾される。第2に、融合タンパク質を構成する2個の異なるサイトカインとともに、実施例5に記載されたそれに匹敵するX−Y融合接合部がある。ペプチドスレッディング分析が融合接合部の各々について使用される。
【0117】
接合部の分析は、FcのC−末端(太字テキスト)とIL12p35のN−末端(通常テキスト)との間に
【0118】
【化17】

【0119】
を、およびIL12p40のC−末端(太字テキスト)とIL2のN−末端(通常テキスト)との間に
【0120】
【化18】

【0121】
を、ペプチドスレッディングによりMHC結合性を有するペプチドを識別する。潜在的に免疫原の配列は、潜在的なT−細胞エピトープを低減させるかまたは除去するために修飾される。
【0122】
例えば、上記の配列(1)では、次の変更が行われる:
【0123】
【化19】

【0124】
これらの変更は、FcとIL12のp35サブユニットの接合部におけるいくつかのT−細胞エピトープのMHCクラスII結合可能性を低減または除去する。
【0125】
別の例では、上記の配列(2)はIL−2内の最初の2つの位置にアスパラギンおよびグリシンを導入することで、グリコシル化部位を導入するように修飾される。この戦略は成熟IL−2の位置3で天然に存在するトレオニンを使用する。さらに、p40部分中のジスルフィド結合の形成を開裂させないことが重要である。したがって、少なくとも1個または2個のアミノ酸によってグリコシル化部位をp40の中のシステインから分離することが有用である。
【0126】
【化20】

【0127】
IL12p40−IL2融合の場合には、上に論じたようなグリコシル化部位の導入が以下の潜在的なT−細胞エピトープを生成する。
【0128】
【化21】

【0129】
しかし、T−細胞エピトープのグリコシル化は、MHCクラスIIの結合を妨げて低減された免疫原性をもたらす。
【0130】
実施例9:X−Fc−Y融合タンパク質の接合部における免疫原性反応性エピトープの除去、およびMHCクラスII結合を低減するための融合接合部のアミノ酸残基の修飾
IL4−Fc−GMCSFなどのX−Fc−Y配置の融合タンパク質は、潜在的なT−細胞エピトープを含む多数の新規な融合接合部を有する。IL4−Fcは、他のX−Fc融合タンパク質(実施例6および7)と類似している接合であるが、サイトカインIL4の使用のために新規である。例えば、ヒンジ領域を使用するFc、CH2およびヒトγ1からのCH3領域を用いる形態が使用される。前述のように、pdCshuFcγl中のγ1ヒンジ配列は、IgG1中の軽鎖とのジスルフィド結合を形成するCys残基を除去するCysのSerへの変異(下線)を含んでもよいし(Loら(1998)Protein Engineering 11:495−500)、これにより、分析のための第3の潜在的に免疫原の融合接合部を生成してもよい。融合接合部は潜在的なT−細胞エピトープについて分析し、実施例1〜4の方法によって修飾した。
【0131】
融合タンパク質を構成する異なるサイトカインGMCSFとともに、イムノサイトカインhuKS−IL2について実施例1に記載したそれに匹敵するFcY融合接合部が存在する。この融合接合部も潜在的なT−細胞エピトープのために分析し、実施例1〜4の方法によって修飾した。
【0132】
特に、接合部の分析は、IL4のC−末端(太字テキスト)とFcのN−末端(通常テキスト)との間に
【0133】
【化22】

【0134】
を、およびFcのC−末端(太字テキスト)とGMCSF N−末端(通常テキスト)との間に
【0135】
【化23】

【0136】
を、ペプチドスレッディングにより、MHC結合性を有するペプチドを識別する。潜在的なT−細胞エピトープは、免疫原性を減少するために潜在的なTエピトープを除去または低減するために修飾される。
【0137】
IL4−Fc融合タンパク質の接合部での候補T−細胞エピトープは以下の通りである:
【0138】
【化24】

【0139】
ここで、E(太字)をTに変更することでペプチドスレッディングスコアすなわちMHCクラスII結合可能性を著しく低減する。修飾されたIL4−Fc融合の配列は以下の通りである:
【0140】
【化25】

【0141】
Fc−GMCSF融合接合部は、以下に示すように配列LSLSをATATに変更することにより脱−免疫化される。
【0142】
【化26】

【0143】
実施例10:ハイブリッドアイソタイプにより調製してイムノサイトカインとイムノフュージンの融合接合部におけるT−細胞エピトープを除去するためのアミノ酸残基の修飾
抗体またはハイブリッドアイソタイプとの抗体に基づく融合タンパク質を構築し、その結果、異なるアイソタイプの有用な特徴を単一の分子中に組み合わせることは多くの場合有用である。ハイブリッドアイソタイプとの融合タンパク質は免疫原性を低減するために本発明によって修飾してもよい。
【0144】
次の構成成分を備えた抗体融合タンパク質を標準的な組換えDNA技術によって構築する:軽鎖および重鎖、腫瘍特異的抗原を認識するV領域、典型的な軽鎖である軽鎖、およびIgG2由来のCH1、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖、並びにIgG1由来ヒンジ領域、さらに上記の融合接合部を含む重鎖のC−末端に融合されたサイトカイン。
【0145】
このタンパク質は、CHlg2とヒンジ−g1との間およびヒンジ−g1とCH2g2との間に新規な接合部を含んでいる。これらの接合部における潜在的なT−細胞エピトープの識別および修飾は、以下のように実行される。IgG2またはIgG2hアイソタイプのいずれかで調製されたイムノサイトカインおよびFc−X融合タンパク質については、これらの修飾は、上記実施例1、2、3および8におけるのと同一である。X−Fc IgG2hイムノフュージンについては、FcのN−末端が、IgG1タイプに修飾されたIgG2hタンパク質のヒンジ領域内にあるので、新規な結合も同一である。しかし、IgG2免疫グロブリンに挿入されたIgG1ヒンジは、IgG2 CH1とIgG1ヒンジとの間、およびIgG1ヒンジとIgG2 CH2との間に2つの新規な接合部を生成するという点で、2個の新規な融合接合部がある。
【0146】
【化27】

【0147】
したがって、接合部の分析は、IgG2 CH1のC−末端(太字テキスト)とIgG1ヒンジのN−末端(通常テキスト)間に
【0148】
【化28】

【0149】
を、および、IgG1ヒンジのC−末端(太字テキスト)とIgG2 CH2 FのN−末端(通常テキスト)の間に、
【0150】
【化29】

【0151】
を、ペプチドスレッディングにより、MHC結合性を有するペプチドを識別するであろう。潜在的な免疫原性配列は、免疫原性を減少するために潜在的なTおよびB細胞エピトープを除去または低減するように修飾される。
【0152】
IgG2CH1−IgG1ヒンジ融合接合部での2つの潜在的なT−細胞エピトープは、以下の通りである:
【0153】
【化30】

【0154】
IgG2CHl−IgG1ヒンジ融合接合部は、V(太字)をA、TまたはPに変更することにより脱−免疫化される。修飾された融合接合部の配列は配列番号:53
【0155】
【化31】

【0156】
に示される。
【0157】
前述のように、pdCs−huFcγl中のγ1ヒンジ配列は、IgG1中の軽鎖とジスルフィド結合を形成するCys残基を除去するCysのSerへの変異(下線)を含んでもよいし(Loら(1998)Protein Engineering 11:495−500)、これにより、分析および修飾のためのさらに2個の潜在的に免疫原性の以下の融合接合部を生成してもよい。
【0158】
【化32】

【0159】
実施例11:IgG1とIgG4のハイブリッドアイソタイプFc構成成分を使用するFc−EPO融合タンパク質の生成
Fcエリスロポエチン融合タンパク質を生成するために、次の発現プラスミドを標準的分子生物学技術を使用して構築した。アミノ酸置換His32Gly、Cys33Pro、Trp88CysおよびPro90Alaをもたらす変異を備えた配列をコードするヒトエリスロポエチンの形態を含むXmaI−XhoI DNA断片を、WO01/36489に示されるように、使用した。対応するタンパク質配列は配列番号:56
【0160】
【化33】

【0161】
に示される。
【0162】
CH3C−末端の領域のアミノ酸置換をもたらす2セットの変異を施したこと以外、このXmaI−XhoI DNA断片を、IgG1からのヒンジ領域およびIgG2からのCH2とCH3領域をコードするプラスミドベクターに挿入した。CH3 C−末端とEpo N−末端の接合部の配列を以下の通りである:
【0163】
【化34】

【0164】
変異の第1のセット(これは、KSLSLSPG(配列番号:58)のIgG2 CH3領域の配列をKSATATPG(配列番号:59)に変更する)は、米国特許出願シリアル番号第60/280,625号に開示されている。Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号:58の位置3から位置6)をAla−Thr−Ala−Thr(配列番号:59の位置3から位置6)に置き換える置換の効果は、ヒトFcとヒトエリスロポエチンとの間の結合が非自己ペプチド配列を含むことから発生するかもしれない潜在的なヒト非自己T−細胞エピトープを除去することである。CH3領域のC−末端アミノ酸においてKからAへの単一アミノ酸置換からなる第2のセットは、米国特許出願シリアル番号第09/780,668号に開示されている。
【0165】
生じるプラスミドはNS/0細胞に感染させ、当技術分野で知られた操作によってFc−Epo融合タンパク質を発現させ精製した。タンパク質Aへの結合に基づく精製後、IgG2 CH3および上記エリスロポエチン置換を含むhuFcγ2h−huEpoタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって同定され、2つの独立した調製物中で97%のモノマーおよび90%のモノマーからなることが見出された。IgG2 CH3および上記エリスロポエチン置換を含むhuFcγ2h−huEpoタンパク質は、細胞ベースのアッセイ(エリスロポエチンタンパク質がTF−1細胞分裂を刺激するという能力を測定する)においてヒトエリスロポエチンと、モル基準で、ほぼ同様な活性を有することが見出された。アッセイはWO01/36489に記述されるようにして行われた。
【0166】
さらに、IgG1(ヒンジ−CH2−CH3)、IgG2(ヒンジ−CH2−CH3)またはIgG1(ヒンジ)−IgG2(CH2−CH3)のいずれかからなるFc領域のC−末端に非変異ヒトエリスロポエチンを融合したものを同定した。非変異ヒトFc配列および非変異エリスロポエチン配列を含む発現プラスミドを、上記プラスミドと同様に構築した。NS/0細胞を、Fcγ1−Epo、Fcγ2−EpoおよびFcγ2h−Epo発現プラスミドに感染させ、各プラスミドのほぼ等しい数のクローンをスクリーニングした後に安定したクローンを分離した。産生性が最良のクローンは、Fcγ1−Epoを50μg/ml、Pcγ2−Epoを20μg/mlおよびFcγ2h−Epoを120μg/ml産生した。
【0167】
以下の例は、本発明で示される融合タンパク質の配列内に免疫原性の配列領域(T−細胞エピトープ)の識別するための好ましい方法について詳細に記述する。しかし、既知の他の方法でもこの分子を得ることができる点が指摘されるべきである。
【0168】
実施例12:計算上の方法によるT−細胞エピトープの識別
本発明によれば、融合タンパク質の接合領域のエピトープは、その免疫系との相互作用を調整するためにタンパク質中に変異体を導入する方法を使用して修飾することができる。本発明によれば、本発明によって適用することができる当業者には知られた方法は、先行技術(WO92/10755およびWO96/40792(Novo Nordisk)、EP 0519 596(Merck & Co.)、EP 0699 755(Centro de Immunologia Moelcular)、WO98/52976およびWO98/59244(Biovation Ltd.)に記載されたもの、さらに関連する方法を含む。
【0169】
しかし、前記エピトープの識別がここに詳細に記載する以下の新しい方法によって実現され、本発明による融合タンパク質の接合領域に適用されるのであれば、有利な変異体タンパク質を得ることができる。
【0170】
タンパク質、ポリペプチドまたは免疫グロブリンの全体的構造を決定するのに重要な役割を果たす要因は多数存在する。第1に、ペプチド結合、アミノ酸を鎖状に互いに連結するその結合は、共有結合である。この結合は平面構造であり実質的に置換アミドである。「アミド」は−CONH−基を含む有機化合物の任意の基である。
【0171】
隣接アミノ酸のCαを連結する平面状ペプチド結合は以下に示すように表すことができる:
【0172】
【化35】

【0173】
O=CおよびC−N原子は比較的剛性な平面内にあるので、これらの軸の周りに自由な回転は生じない。このため、破線によって模式的に描いた平面は時として「アミド平面」または「ペプチド平面」と呼ばれ、この平面にはペプチド骨格の酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)および水素(H)原子が載る。このアミド平面の相対する両隅にはCα原子が位置する。ペプチド平面すなわちアミド平面内では、O=CおよびC−N原子の周りの回転が実質的にないので、ポリペプチド鎖はCα原子を連結する一連の平面状ペプチド結合を含む。
【0174】
ポリペプチドまたはタンパク質の全体構造または立体構造を規定する上で重要な役割を果たす第2の要因は、共通なCα連結の周りの各アミド平面の回転角である。「回転角」および「ねじり角」という用語は以下では同義語と見なされる。アミド平面にO、C、NおよびH原子が載ると仮定すると(立体構造によってはこれらの原子のうちいくつかは平面から若干ずれるかもしれないが、これは通常有効な仮定である)、これらの回転角はNとRポリペプチドの骨格の立体構造、つまり隣接残基間に存する構造を定義する。これらの2つの角度はφおよびψとして知られている。したがって、1組の角度、φiおよびψi(ここで添字iはポリペプチド鎖の特定の残基を表す)はポリペプチドの2次構造を有効に規定する。角度φおよびψを定義するのに使用される慣用規則、すなわち、所与のポリペプチドについてのアミド平面が角度0を形成する参照ポイント、並びに角度φの定義および角度ψの定義は、文献に定義される。例えば、Ramachandran et al. Adv.Prot.Chem.23:283-437(1968)、特に285−94頁参照(これらのページは言及によって本願に組み込まれる)。
【0175】
本発明の方法は任意のタンパク質に適用することができ、ヒトでは、MHCクラスII分子結合溝の主要なポケット1アンカー位置が、特定のアミノ酸側鎖に対してよく設計された特異性を有するという発見に部分的に基づいている。このポケットの特異性は、MHCクラスII分子のベータ鎖の位置86でのアミノ酸の同一性によって決定される。このサイトはポケット1の底に位置し、このポケットに収容され得る側鎖の大きさを決定する。Marshall, k.W.、 J.Immunol.、 152:4946-4956 (1994)。この残基がグリシンである場合、すべての疎水性脂肪族および芳香族アミノ酸(疎水性脂肪族は以下のものである:バリン、ロイシン、イソロイシンおよびメチオニン、また芳香族は以下のものである:フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン)は、ポケット内に収容され得る(芳香族側鎖が優先される)。このポケット残基がバリンである場合、このアミノ酸側鎖はポケット内部に突出するので、収容できるペプチド側鎖のサイズを制限する(例えば疎水性脂肪族側鎖だけが収容可能である)。したがって、アミノ酸残基配列において、疎水性脂肪族および芳香族側鎖を有するアミノ酸が存在する場合にはいつでも、MHCクラスII制限T細胞エピトープが存在する可能性がある。しかし、側鎖が疎水性脂肪族である場合は、芳香族側鎖の場合と比較して、(全人口において、ポケット1タイプの分布がほぼ均一であると定すれば)T細胞エピトープに関連する可能性はおよそ2倍である。
【0176】
本発明を具体化する計算方法は、以下のようにT細胞エピトープを含むペプチド領域の可能性を特徴づける:
(1)予め定義した長さのペプチドセグメントの1次配列を走査し、存在する疎水性脂肪族と芳香族側鎖をすべて識別する。(2)疎水性脂肪族側鎖には芳香族側鎖用のそれより大きな値、好ましくは芳香族側鎖に割り当てる値の約2倍を割り当てる(例えば、疎水性脂肪族側鎖に対しては値2を、芳香族側鎖に対しては値1を割り当てる)。(3)ペプチド内の予め定義した一定の長さの各重複するアミノ酸残基セグメント(ウィンドウ)について存在が決定された値を合計し、特定のセグメント(ウィンドウ)に対する値の合計を、セグメント(ウィンドウ)の中間位置で単一のアミノ酸残基、好ましくは、サンプリングされたセグメント(ウィンドウ)の中間点付近の残基に割り当てる。この手続きを、サンプリングされた各重複するアミノ酸残基セグメント(ウィンドウ)について繰り返す。したがって、ペプチドの各アミノ酸残基は、特定のセグメント(ウィンドウ)内に存在するT細胞エピトープの可能性に関係のある値を割り当てられる。(4)上記ステップ3に記載するように計算し割り当てた値は、評価するアミノ酸残基配列全体のアミノ酸座標に対してプロットすることができる。(5)予め定義した値(例えば値1)のスコアを有する配列のすべての部分は、T細胞エピトープを含むと認められ、必要であれば、修飾することができる。
【0177】
本発明のこの特定の実施態様は、T細胞エピトープを含むであろうペプチド領域を記述できる一般的な方法を提供する。これらの領域内のペプチドに対する修飾は、MHCクラスII結合特性を修飾する可能性を有する。
【0178】
本発明の別の実施態様によれば、MHCクラスII対立遺伝子モデルによりペプチドの相互作用を考慮に入れたより精巧な計算方法を使用して、T細胞エピトープをより高精度で予想できる。
【0179】
特にこの実施態様によるペプチド内に存在するT細胞エピトープの計算上の予想では、すべての公知のMHCクラスII分子の構造に基づく少なくとも42個のMHCクラスII対立遺伝子のモデルの構築が考えられ、T細胞エピトープの計算による識別におけるこれらのモデルの使用、相対的なペプチド骨格アルファ炭素(Cα)位置の知られた変わりやすさを考慮に入れるための各モデルのペプチド骨格のライブラリーの構築、ペプチドとMHCクラスII分子との間の相互作用において重要な位置での20個のアミノ酸置換各々のための各モデルを備えた各骨格ドック(dock)のアミノ酸側鎖コンホメーションのライブラリーの構築、および特定のMHCクラスII分子に収容(dock)された特定のペプチドについての最適な骨格および側鎖コンホメーション選択のための、これら骨格および側鎖コンホメーションライブラリーの使用、並びにこの相互作用からの結合スコアの誘導が考えられる。
【0180】
MHCクラスII分子のモデルは相同モデリングによって、ブルックヘブン(Brookhaven)タンパク質データバンク(「PDB」)で見出された多数の同様の構造から誘導できる。これらは、エネルギー最小化のためのCHARMm力場(Molecular Simulations Inc.、San Diego、Ca.から入手可能)と共に、シミュレートされたアニーリング機能を組み込んだ半自動的な相同モデリングソフトウェア(Modeller, Sali A.& Blundell TL.、1993.J.Mol.Biol 234:779-815)によって形成できる。別のモデリング方法も同様に利用できる。
【0181】
本願の方法は、MHCクラスII分子の小さな集合について結合溝内の各位置での各アミノ酸選択肢の実験により得た結合データのライブラリーを使用する他の計算方法(Marshall,k.W.、 et al.、 Biomed.Pept.Proteins Nucleic Acids、 1(3):157-162)(1995)や溝内の特定タイプの結合ポケットの結合特性を定義するために実験による同様の結合データを使用し(ここでもまたMHCクラスII分子の比較的小さな部分集合を使用する)次いでこのポケットライブラリーからポケットタイプを「混合およびマッチング」して人為的に別の「仮想的な」MHCクラスII分子を生成するさらに別の計算方法(Sturniolo T.、 et al.、 Nat.Biotech、 17(6):555-561(1999)と著しく異なる。先行技術は両方とも分析が複雑である点および多数のペプチド変異体を合成する必要がある点の不利益を被り、少数のMHCクラスII分子しか実験的に走査できない。したがって、第1の先行技術の方法は少数のMHCクラスII分子の予想しかできない。第2の先行技術の方法は、異なるクラスII対立遺伝子間においては、1個の分子中で類似したアミノ酸で裏打ちされているポケットは同じ結合特性を持つという仮定も前提としており、ポケットライブラリーに含まれるポケットを含むそうしたMHCクラスII分子だけが「仮想的に」生成されるという欠点をさらに有する。本明細書に述べるモデリング手法を使用すれば、任意の数およびタイプのMHCクラスII分子の構造を推定でき、したがって全集団を代表する対立遺伝子を特異的に選択できる。さらに、走査されるMHCクラスII分子の数は、複雑な実験によって追加データを生成する必要以上にさらにモデルを生成することにより増加させることができる。
【0182】
骨格ライブラリーの使用により、走査されている様々なペプチドについて、特定のMHCクラスII分子に収容された時のCα原子位置における変化を考慮に入れることができる。この点もまた、上記の先行技術における計算方法(これらは特定のポケット中でアミノ酸結合を走査するため単純化されたペプチド骨格の使用に依存している)と対照的である。これらの単純化された骨格は、「実際の」ペプチドで見つかる骨格構成の代表ではないであろうし、その結果、ペプチド結合の予想が不正確になる。本発明の骨格ライブラリーは、タンパク質データバンク内で見出されるMHCクラスII分子に結合するすべてのペプチドの骨格を重ね、結合溝内に位置する11個のアミノ酸各々のCα原子間の2乗平均平方根(RMS)偏差を記録することにより生成される。このライブラリーは、より大きな変動の可能性までも考慮に入れるために、少数(現在13個)の適切な利用可能なマウスおよびヒト構造から誘導できる一方、各C''-αについてのRMS数値は、50%増加する。その後、各アミノ酸の平均のCα位置が決定され、その半径がその位置でのRMS偏差プラス50%と等しい球がこの点のまわりに描かれる。この球体は許容されるCα位置をすべて表す。
【0183】
最小のRMS偏差を有するCα(これは、上記のポケット1中のアミノ酸であり、結合溝中の11個の残基の位置2と等価である)を動かして、球体は3次元的にグリッド化され、次いでグリッド内の各頂点はそのアミノ酸のCαのために可能な位置として使用される。結果として得られるアミド平面は、引き続きアミノ酸へのペプチド結合に対応し、これらのCαの各々にグラフトされ、次のCαを位置付けるためにφおよびψ角を所定の間隔で回転させる。引き続きCαがCαに対して「許容される位置の球」内にある場合にはジペプチドの向きが許容され、それが球の外部になる場合には、ジペプチドは拒絶される。その後、先行するCαのあらゆる組合せから9個の後続Cαがすべて位置付けられるまで、ペプチドがポケット1 Cα「種子」から成長するように後続Cα位置の各々についてこのプロセスを繰り返す。次いで、ポケット1の前の単一Cαについてこのプロセスをもう一度繰り返して結合溝内に位置する骨格Cα位置のライブラリーを生成する。
【0184】
生成された骨格の数はいくつかの要因に依存する:「許容される位置の球」の大きさ;ポケット1位置の「1次球」のグリッドの精密さ;後続Cαを位置付けるために用いるφおよびψの段階的回転角の精密さ。このプロセスを使用すると、大きな骨格ライブラリーを生成できる。骨格ライブラリーが大きい程、MHCクラスII分子の結合溝内の特定のペプチドに対して最もよく適合するものが見つかる可能性は大きくなる。各対立遺伝子について、結合領域のアミノ酸との衝突により、必ずしもすべての骨格がMHCクラスII分子のすべてのモデルに収容されるのには適さないため、その対立遺伝子によって収容され得る骨格を含むライブラリーの部分集合が生成される。骨格ライブラリーの使用は、MHCクラスII分子モデルと共に、各許容される骨格に収容される各MHCクラスII分子について結合溝の各位置の各アミノ酸の許容される側鎖コンホメーションからなる徹底的なデータベースを作成する。このデータセットは、単純な立体的重なり関数を用いて生成され、ここで、MHCクラスII分子は骨格と結合し、アミノ酸側鎖は所望の位置で骨格上にグラフトされる。各々の側鎖の回転可能な結合を設定した間隔で段階的に回転させ、得られる原子位置は注目する結合に依存する。原子と結合溝の側鎖の原子との相互作用が注目され、位置は次の基準によって許容されるか拒絶される:ここまでに位置付けられたすべての原子の重なりの合計は、予め決めた値を超過してはならない。したがって、コンホメーション探索の厳格性は、結合の段階的回転で用いる間隔と全重なりについて予め決めた限界の関数である。特定のポケットが剛性であると知られている場合、この後者の値は小さくなり得るが、ポケット側鎖の位置に比較的柔軟性があると知られている場合は、比較的緩和である。したがって、許容は結合溝ポケット内の柔軟性における変化を模倣するようになすことができる。次いで、MHCクラスII分子の各々に収容された時、このコンホメーション探索を各骨格のすべての位置にあるすべてのアミノ酸について繰り返し、側鎖コンホメーションの徹底的なデータベースを作成する。
【0185】
適切な数式を用いて、上記骨格/側鎖コンホメーションの大きなデータベースの走査により経験的に導き出さなければならないペプチドリガンドコンホメーションと組み合うMHCクラスII分子モデル間の結合エネルギーを評価する。したがって、9〜20アミノ酸の範囲で長さが変化する(もっとも、長さは各走査に対しては一定にしておく)可能なペプチドに、以下の計算を施すことにより、タンパク質を潜在的なT細胞エピトープについて走査する:MHCクラスII分子をその分子に許容されるペプチド骨格とともに選択し、所望のペプチド配列に対応する側鎖をグラフトする。骨格上の特定の位置での原子の識別および特定の側鎖に関する原子間距離データを、そのアミノ酸の許容される各コンホメーションについて集める(上記データベースから得られる)。これを骨格に沿って各側鎖に対して繰り返し、スコアリング関数を用いてペプチドスコアを導く。その骨格のための最良のスコアを保持し、選択されたモデルについて各許容される骨格に対してこのプロセスを繰り返す。すべての許容される骨格から得られたスコアを比較し、最高のスコアをそのMHCクラスIIモデル中の所望のペプチドについてのペプチドスコアであると見なす。次いで、このプロセスを、走査されているタンパク質に由来するあらゆる可能なペプチドを備えた各モデルについて繰り返し、ペプチド対モデルのスコアを表示する。
【0186】
本発明の状況では、結合親和性計算のために提示される各リガンドは、上に議論されるようなペプチドまたはタンパク質から選択されるアミノ酸断片である。したがって、リガンドは、公知の配列のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質から得られ、長さがおよそ9〜20個のアミノ酸である選択されたアミノ酸伸張物である。「アミノ酸」および「残基」という用語は以下においては同義語と見なされる。リガンドは、骨格ライブラリーから得た骨格上にグラフトされて検査されるペプチドの連続アミノ酸の形をしており、ペプチド骨格のC"-α原子の座標を介して、MHCクラスII分子モデルライブラリーから得られるMHCクラスII分子の結合溝中に位置し、各側鎖に対して許容されるコンホメーションは許容されるコンホメーションデータベースから選択される。関連する原子同一性および原子間距離もこのデータベースから検索し、ペプチド結合スコアを計算するために使用する。MHCクラスII結合ポケットへの高い結合親和性を備えたリガンドには、部位指図突然変異生成に対する候補としてフラグが立てられる。フラグが立てられたリガンド(したがって対象タンパク質)でアミノ酸置換を行い、これはその後、結合親和性を予め定義した閾値以下に低減する変更を決定するためにスコアリング関数を使用して再試験する。次いで、これらの変更を対象タンパク質に組み入れ、T細胞エピトープを除去する。
【0187】
MHCクラスII分子のペプチドリガンドと結合溝の間は、非共有結合性の相互作用(水素結合、静電気的相互作用、疎水性(親油性)相互作用およびファンデアワールス相互作用を含むが、これらに限定されない)を含む。これらは、以下に詳細に述べるペプチドスコアリング関数に含まれている。水素結合は極性または帯電基間で形成され得るもので、2つの他の原子によって共有された水素原子からなる非共有結合であることが理解されるべきである。水素受容体が部分的に負帯電を有する一方で、水素供与体の水素は正電荷を有する。ペプチド/タンパク質相互作用のために、水素結合供与体は、水素と結合した窒素または酸素もしくは窒素に結合した水素のいずれでもよい。水素結合受容体原子は水素と結合していない酸素、水素が全く結合しておらず1個か2個の結合がある窒素、または1つの結合のみある硫黄でもよい。水素を結合した酸素またはイミン窒素(例えばC=NH−)などのある種の原子は、水素受容体とも供与体ともなり得る。水素結合エネルギーは3〜7kcal/molの範囲であり、ファンデアワールス結合よりはるかに強いが共有結合よりは弱い。水素結合はまた指向性が強く、供与体原子、水素原子および受容体原子が同一直線上にある場合に最も強い。静電的結合は反対荷電のイオン対間で形成され、相互作用の強さはクーロンの法則による原子間の距離の二乗に反比例する。イオン対間の最適距離は約2.8Åである。タンパク質/ペプチド相互作用では、静電的結合がアルギニン、ヒスチジンまたはリジンとアスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩との間で形成され得る。それらは水素結合と強さがほぼ似ているが、結合の強さはイオン化基のpKaおよび媒体の誘電率に依存するであろう。
【0188】
親油性(脂肪親和性)相互作用は、タンパク質とペプチドリガンド間に生じる良好な疎水性−疎水性接触である。通常、これらは結合溝のポケット内に埋没したペプチドの疎水性アミノ酸側鎖間にそれらが溶媒に露出しないように生じる。疎水性残基の溶媒への露出は、周囲の溶分子が互いに水素結合を強いられ、かご状のクラスレート構造を形成するので非常に不利である。結果として生じるエントロピーの減少は非常に不利である。脂肪親和性の強い原子は、極性でもなく水素受容体でもない硫黄や非極性の炭素原子などである。
【0189】
ファンデアワールス結合は3〜4Å離れた原子間で見られる非特異的な結合である。これは水素結合や静電的結合より弱く特異性も低い。原子のまわりの電荷分布は時間とともに変化し、どの瞬間でも、電荷分布は対称ではない。電荷分布におけるこの一時的な非対称性は、近隣の原子にも同様の非対称性を引き起こす。この結果生じる原子間引力は、ファンデアワールス接触距離で最大に達するが、約2Å〜約1Åに至ると非常に急速に低減する。逆に、原子間の隔たりが接触距離未満になるとともに、原子の外殻電子雲が重なるため、強い斥力が支配的になる。引力は静電的結合や水素結合に比べて比較的弱いが(約0.6Kcal/mol)、斥力は特に、ペプチドリガンドがタンパク質に成功裡に結合するかどうか決する上で非常に重要であろう。
【0190】
1つの実施形態では、ベーム(Boehm)スコアリング関数(SCORE1手法)が結合定数を評価するために使用される(Boehm, H.J.、 J.Comput Aided Mol.Des.、 8(3):243-256(1994)、その内容は言及によってその全体が本願に組み入れられる)。別の実施形態では、スコアリング関数(SCORE2手法)が、T細胞エピトープを含むリガンドの指標として結合親和力を評価するために使用される(Boehm, H.J.、 J.Comput Aided Mol.Des.、 12(4):309-323(1998)、その内容は言及によってその全体が本願に組み入れられる)。しかし、上記の文献に記述されているベームスコアリング関数は、タンパク質へのリガンドの結合親和力を評価するために使用されるが、この場合、リガンドがタンパク質に成功裡に結合することが既に知られており、タンパク質/リガンド複合体はその構造が解明されタンパク質データバンク(「PDB」)の中に存在するものである。したがって、スコアリング関数は、陽性であることが知られた結合データを利用して開発されている。陽性および陰性バインダー間の区別を考慮に入れるために、方程式に反発項を加えなければならない。さらに、結合エネルギーのより満足な評価は、上記のベーム関数の領域ベースのエネルギー項を用いるのではなく対同士の方法で脂肪親和性の強い相互作用を計算することで達成される。したがって、好ましい実施形態では、結合エネルギーは修正されたベームスコアリング関数を使用して評価される。修正されたベームスコアリング関数では、タンパク質とリガンド間の結合エネルギー(ΔGbind)は、以下のパラメーターを考慮して評価される:リガンド(ΔGo)の並進エントロピーと回転エントロピーの全面的な喪失による結合エネルギーの低減;少なくとも1個のパートナーが中性である、理想的な水素結合からの寄与(ΔGhb);摂動のないイオン間相互作用(ΔGionic)からの寄与;脂肪親和性リガンド原子と脂肪親和性受容体原子の間の脂肪親和性相互作用(ΔGlipo);リガンド中の内部自由度の凍結による結合エネルギーの喪失、つまり、各C−C結合の周りの回転自由度が低減する(ΔGrot);タンパク質とリガンド間の相互作用エネルギー(EvdW)。これらの項を考慮すると方程式1が与えられる:
(ΔGbind)=(ΔGo)+(ΔGhbxNhb)+(ΔGionicxNionic)+(ΔGlipoxNlipo)+(ΔGrot+Nrot)+(EvdW
式中、Nは特定の項の相互作用を特徴付ける数であり、1つの実施形態では、ΔGo、ΔGhb、ΔGionic、ΔGlipoおよびΔGrotは、それぞれ5.4、−4.7、−4.7、−0.17および1.4の値を与えられる定数である。
【0191】
hbは方程式2:
hb=Σh-bondsf(ΔR,Δα)×f(Nneighb)×fpcs
によって計算される。
【0192】
f(ΔR,Δα)は、理想状態からの水素結合の大きな偏差を説明し、方程式3によって計算されるペナルティ関数である:
f(ΔR,Δ−α)=f1(ΔR)×f2(Δα)
ここで、f1(ΔR)=1(ΔR<=TOLの場合)、
または =1−(ΔR−TOL)/0.4(ΔR<=0.4+TOLの場合)、
または =0(ΔR>0.4+TOLの場合)。
さらに、f2(Δα)=1(Δα<30°の場合)
または =1−(Δα−30)/50(Δα<=80°の場合)
または =0(Δα>80°の場合)。
【0193】
TOLは水素結合長さ(=0.25Å)で許容される偏差、
ΔRはH−O/N水素結合長さの理想的な値(=1.9Å)からの偏差、
Δαは水素結合角度∠N/O-H,O/Nの理想的な値(=180°)からの偏差、
f(Nneighb)は、タンパク質表面の凹面と凸面の部分を識別し、したがってタンパク質表面で見られるものではなくポケットで見られる極性相互作用に大きな重みを割り当てる。この関数は下記方程式4:
f(Nneighb)=(Nneighb/Nneighb,0)α(ここで、α=0.5)
によって計算される。
【0194】
neighbは任意の所与のタンパク質原子に5Åより接近している非水素タンパク質原子の数であり、
neighb,0=定数25である。
【0195】
pcsは1つの水素結合当たり極性接触表面積を考慮に入れた関数であり、したがって強い水素結合と弱い水素結合を区別し、その値は次の基準によって決定される:
pcs=β(Apolar/NHB<10Å2の場合)、
またはfpcs=1(Apolar/NHB>10Å2の場合)
polarはタンパク質リガンド接触表面の大きさであり、
HBは水素結合の数であり、
βは定数=1.2である。
【0196】
修正されたベームスコアリング関数の実行のためには、イオン相互作用からの寄与、ΔGionicを上記水素結合からの寄与と同様の方法で計算する(同じ幾何学依存性が仮定されるため)。
【0197】
lipo項は方程式5によって計算される:
lipo=ΣILf(rIL
f(rIL)はすべての脂肪親和性リガンド原子について、1また、すべての脂肪親和性タンパク質原子についてLであり、以下の基準により計算される:
f(rIL)=1(rIL<=R1f(rIL)=(rIL−R1)/(R2−R1)でR2<rIL>R1の場合、
f(rIL)=0(rIL>=R2の場合)。
【0198】
ここで、R1はr1vdw+rLvdw+0.5および
R2=R1+3.0であり、
r1vdwは、原子1のファンデアワールスの半径であり、
Lvdwは、原子Lのファンデアワールスの半径である。
【0199】
rotはアミノ酸側鎖の回転可能な結合の数であり、非環式のsp3−sp3結合およびsp3−sp2結合の数である。末端CH3またはNH3の回転は考慮に入れない。
【0200】
最後の項Evdwは方程式6によって計算される:
vdw=ε1ε2((r1vdw+r2vdw12/r12−(r1vdw+r2vdw6/r6)。
【0201】
ここでε1とε2は原子同一性に依存する定数であり、
1vdw+r2vdwはファンデアワールスの原子半径であり、
rは1対の原子間の距離である。
【0202】
方程式6に関して、1つの実施形態では、定数ε1とε2はそれぞれ原子ごとに以下の値を与えられる:C:0.245、N:0.283、O:0.316、S:0.316(つまり、炭素、窒素、酸素および硫黄のそれぞれの原子について)。方程式5および6については、ファンデアワールスの半径はそれぞれ原子ごとに以下の値を与えられる:C:1.85、N:1.75、O:1.60、S:2.00Å。
【0203】
タンパク質リガンド相互作用についての現時点での理解の制約内ではあるが、上記の方程式に現われるすべての所定の値および定数がすべて決定されることは理解されるべきである(特に本願で試みられている計算のタイプについて)。したがって、このスコアリング関数がさらに精緻化された場合には、これらの値および定数を変更することが可能で、したがって、リガンドへのタンパク質の結合エネルギーを評価する項において所望の結果を与える適当な数値を使用してもよく、したがって、本発明の範囲内である。
【0204】
上記のように、スコアリング関数は、側鎖コンホメーション、原子同一性および原子間の距離のデータベースから抽出されたデータに適用される。本発明を説明する目的のために言えば、このデータベースに含まれるMHCクラスII分子の数は42個のモデルと4つの解決された構造である。本発明の計算方法の構築はモジュール化された性質を有するため、新しいモデルを加えペプチド骨格ライブラリーと側鎖コンホメーション関数を用いて走査するだけで、上記のペプチドスコアリング関数によって処理できる追加のデータセットを作成できることは上記の説明から明らかである。これにより、走査されたMHCクラスII分子のレパートリーを容易に増加させることが可能になり、あるいは、データが入手できる場合には構造および関連データを置き換えて、既存の対立遺伝子のより正確なモデルを作成することができる。
【0205】
本発明の予想方法は、様々なMHCクラスII分子に対する有する親和性が実験的に測定された多数のペプチドを含むデータセットにより較正できる。計算値を実験値と比較することによって、すべての実験的に測定したT細胞エピトープが正確に予想されることがわかれば有益性の一端を決定できる。
【0206】
利用可能ないくつかの精巧な方法論と比較して、上記のスコアリング関数は比較的単純であるが、計算が非常に急速に実行される、ということが理解されるべきである。また、目的が、選択されたMHCクラスIIタンパク質の結合溝に収容される各ペプチドについて真の結合エネルギーそれ自身計算するものではないことも理解されるべきである。根本的な目的は、選択されたタンパク質の1次構造(すなわち、アミノ酸配列)に基づいてT細胞エピトープの位置を予想する助けとして相対的な結合エネルギーデータを得ることである。比較的高い結合エネルギー、すなわち選択された閾値以上の結合エネルギーは、リガンド中のT細胞エピトープの存在を示唆するだろう。次いで、リガンドに少なくとも1回のアミノ酸置換を施し、結合エネルギーを再計算すればよい。計算が迅速性を有するため、ペプチド配列のこれらの操作はコストに見合う利用可能なコンピューターハードウェアにおいてプログラムのユーザインターフェース内で対話形式に実行できる。したがって、コンピューターハードウェアへの大きな投資は要求されない。
【0207】
同じ目的のために他の利用可能なソフトウェアを使用できるかもしれないことは当業者には明白であろう。特に、タンパク質結合サイト内にリガンドをドッキングさせ得るより精巧なソフトウェアを、エネルギー最小化と共に使用してもよい。ドッキングソフトウェアの例は次の通りである:DOCK(Kuntz et al.、 J.Mol.Biol.、 161:269-288(1982))、LUDI(Boehm, H.J.、 J.Comput Aided Mol.Des.、 8:623-632(1994))およびFLEXX(Rarey M.、 et al.、 ISMB、3:300-308(1995))。分子モデリングおよび操作ソフトウェアの例としては:AMBER(Tripos)およびCHARm(Molecular Simulations Inc.)。これらの計算方法の使用は、必要な計算を行うために要求される処理時間の長さにより本発明方法の処理能力を厳しく制限するだろう。しかし、本発明の方法によって「陽性なバインダー」であると判明したペプチドについて結合エネルギーのより正確な計算結果を得るために「第2のスクリーン」として、このような方法を使用し得るというのもあり得ることである。洗練された分子の機械的または分子の動的な計算のための処理時間の制限は、これらの計算を行うソフトウェアの設計およびコンピューターハードウェアの現在の技術制限の両者によって決まる。将来的には、より効率的なコードが書かれ、さらにコンピュータープロセッサー速度の持続的な増加によって、より扱いやすい時間枠内でそのような計算を行うことが実現可能になるかもしれない。巨大分子に適用されるエネルギー関数および折り畳まれたタンパク質構造内で起こる様々な相互作用についての考慮に関するさらに詳しい情報は以下に見られる:Brooks, B.R., et al.、 J.Comput.Chem.、 4:187-217(1983)。一般的なタンパク質−リガンド相互作用に関するさらに詳細な情報は以下に見られる:Dauber-Osguthorpe et al.、 Proteins4(1):31-47(1988)。その内容の全体は言及によって本願に組み入れられる。有用な背景的事項は、例えば以下に見られる:Fasman,G.D.、ed.、Prediction of Protein Structure and the Principles of Protein Conformation、Plenum Press、New York、ISBN:0−306 4313−9。
【0208】
(対応するもの)
本発明は他の具体的なかたちでその精神または基本的な特徴から離れることなく具体化することができる。さらなる具体例として、ここに記載されている発明に限定するというよりは実例として全ての面において、従って考えうる。本発明の範囲内で、従って、先述の明細書によってというよりはさらなる特許請求の範囲によって意図される。さらに、本特許請求の範囲の同等の意味および範囲内に起こる全ての変化は、その中に包括されることを意図している。
【0209】
(参考文献による組み込み)
ここで上記に意図する、全ての特許、特許明細書および化学文献は、すべてこの明細書の中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のタンパク質がC−末端側のアミノ酸を介して第2のタンパク質のN−末端側のアミノ酸と連結して融合接合部を形成する、第1のタンパク質と第2のタンパク質とを含む融合タンパク質の非自己T細胞エピトープを除去することにより免疫原性を低減する方法であって、該方法は、該融合接合部を取り囲む接合領域の1から15のアミノ酸が変更され、該変更が、以下のステップ:
(i)N−結合グリコシル化部位またはO−結合グリコシル化部位を導入する、
(ii)融合タンパク質中のN−末端融合パートナーの最もC−末端側の8アミノ酸に存在するロイシン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンをトレオニン、アラニンまたはプロリンに変更する、
(iii)前記第1のタンパク質がIgG分子またはその断片である場合に、アミノ酸配列Leu−Ser−Leu−SerをAla−Thr−Ala−Thrに変更する、
の1つにより行われる方法。
【請求項2】
前記ステップ(i)が、前記融合接合部の10、5または2個のアミノ酸内にグリコシル化部位を導入することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(i)が、Asn−X−Ser/Thrアミノ酸配列(Xは任意のアミノ酸である)を導入することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のタンパク質がIg分子またはその断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタンパク質がIg分子またはその断片であり、前記第2のタンパク質がサイトカインである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
血中半減期を増大するために、さらなる変更がC末端のリジンをアラニンまたはロイシンに変更することにより、融合タンパク質のIgGとサイトカインの部分の間で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接合領域が1から9個のアミノ酸を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2010−222380(P2010−222380A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151743(P2010−151743)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2002−577856(P2002−577856)の分割
【原出願日】平成14年3月30日(2002.3.30)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】