説明

融合ポリペプチドおよびその使用

本発明は、DNA結合ドメインなどのポリヌクレオチド結合ドメイン、およびDNAリガーゼ・ドメインなどのリガーゼ・ドメインを含む融合ポリペプチド、こうした融合ポリペプチドを産生するための方法、ならびに例えば、分子生物学的技術の範囲、ならびに診断、タンパク質産生、薬学的、栄養的、および医学的分野における適用における、該融合ポリペプチドの使用にもまた関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、分子生物学の分野に、より詳細には、融合ポリペプチドおよびその使用に関する。特に、本発明は、DNA結合ドメインなどのポリヌクレオチド結合ドメイン、およびDNAリガーゼ・ドメインなどのポリヌクレオチド−リガーゼ・ドメインを含む融合ポリペプチドに関する。こうした融合ポリペプチドを産生するための方法、ならびに例えば、分子生物学技術の範囲における、該融合ポリペプチドの使用もまた提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002]DNAリガーゼなどのポリヌクレオチド・リガーゼは、分子生物学的酵素のうち、最も広く用いられるものの1つである。非常に多様な分子生物学方法論が、DNAリガーゼの効率的な活性に頼っている。
【0003】
[0003]ある範囲の供給源由来のリガーゼが、分子生物学における適用に関して、そしてまた医学、薬学および食品産業を含めて、分子生物学的方法論を使用するますます多くの産業において、研究されてきている。それにもかかわらず、DNAリガーゼなどのリガーゼの活性を修飾する方法に関する研究はほとんどされてこなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]本発明の目的は、DNAリガーゼ活性などのポリヌクレオチド・リガーゼ活性を含む融合ポリペプチドを提供するか、こうした融合ポリペプチドを用いる方法を提供するか、または少なくとも公共に有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]したがって、第一の側面において、本発明は、融合ポリペプチドを産生するための方法であって:
ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
ポリヌクレオチド結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供し;
発現構築物の発現に、そして融合ポリペプチドの形成に適した条件下で、宿主細胞を維持し;そして
宿主細胞から融合ポリペプチドを分離する
工程を含む、前記方法を提供する。
【0006】
[0006]1つの態様において、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドは、DNAリガーゼ・ポリペプチドである。別の態様において、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドは、RNAリガーゼ・ポリペプチドである。
【0007】
[0007]1つの態様において、ポリヌクレオチド結合ポリペプチドはDNA結合ポリペプチドである。別の態様において、ポリヌクレオチド結合ポリペプチドはRNA結合ポリペプチドである。例えば、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドがRNAリガーゼ・ポリペプチドである特定の態様において、ポリヌクレオチド結合ポリペプチドは、好適に、RNA結合ポリペプチドであってもよい。
【0008】
[0008]したがって、1つの態様において、融合ポリペプチドを産生するための方法は:
DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
DNA結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供し;
発現構築物の発現に、そして融合ポリペプチドの形成に適した条件下で、宿主細胞を維持し;そして
宿主細胞から融合ポリペプチドを分離する
工程を含む。
【0009】
[0009]1つの態様において、発現構築物は、高コピー数ベクター中にある。
[0010]1つの態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列は、強いプロモーターに機能可能であるように連結される。
【0010】
[0011]1つの態様において、DNA結合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列は、強いプロモーターに機能可能であるように連結される。
[0012]1つの態様において、強いプロモーターは、ウイルス・プロモーターまたはファージ・プロモーターである。
【0011】
[0013]1つの態様において、プロモーターは、ファージ・プロモーター、例えばT5ファージ・プロモーターまたはT7ファージ・プロモーターである。
[0014]別の態様において、本発明は、融合ポリペプチドを産生するための方法であって:
ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
ポリヌクレオチド結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む少なくとも1つの発現構築物を含むin vitro発現系を提供し;
発現構築物の発現に、そして融合ポリペプチドの形成に適した条件下で、発現系を維持する
工程を含む、前記方法を提供する。
【0012】
[0015]特定の態様において、該方法は、発現系から融合ポリペプチドを分離する工程をさらに含む。
[0016]本発明の別の側面は:
ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
ポリヌクレオチド結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む発現構築物に関する。
【0013】
[0017]1つの態様において、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドは、DNAリガーゼ・ポリペプチドである。別の態様において、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドは、RNAリガーゼ・ポリペプチドである。
【0014】
[0018]1つの態様において、ポリヌクレオチド結合ポリペプチドはDNA結合ポリペプチドである。別の態様において、ポリヌクレオチド結合ポリペプチドはRNA結合ポリペプチドである。
【0015】
[0019]したがって、1つの態様において、発現構築物は:
DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
DNA結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む。
【0016】
[0020]1つの態様において、発現構築物は、DNAリガーゼ・ポリペプチドおよびDNA結合ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする。
[0021]1つの態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列およびDNA結合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
【0017】
[0022]1つの態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列は、プロモーター、例えば強いプロモーターに機能可能であるように連結される。
【0018】
[0023]1つの態様において、DNA結合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列は、プロモーター、例えば強いプロモーターに機能可能であるように連結される。
[0024]本発明の別の側面は、本発明の発現構築物を含むベクターに関する。
【0019】
[0025]1つの態様において、ベクターは、高コピー数ベクターである。
[0026]1つの態様において、ベクターは、低コピー数ベクターである。
[0027]1つの態様において、ベクターは、宿主細胞ゲノム内に安定に組み込まれるためのものである。
【0020】
[0028]本発明の別の側面は、上に定義するような発現構築物またはベクターを含む、宿主細胞に関する。
[0029]本発明の別の側面は、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、融合ポリペプチドに関する。
【0021】
[0030]1つの態様において、融合ポリペプチドは、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
[0031]本発明の別の側面は、上に定義する方法にしたがって産生された融合ポリペプチドに関する。
【0022】
[0032]本発明の別の側面は、融合ポリペプチドを含む組成物であって、該融合ポリペプチドが、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、前記組成物に関する。
【0023】
[0033]1つの態様において、組成物は、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む、融合ポリペプチドを含む。
【0024】
[0034]本発明の別の側面は、上に定義する方法にしたがって産生された融合ポリペプチドを含む、組成物に関する。
[0035]本発明の別の側面は、上に定義するような、発現構築物、ベクター、または宿主細胞を含む組成物に関する。
【0025】
[0036]本発明の別の側面は、上に定義するような組成物を含む試薬に関する。
[0037]1つの態様において、試薬は診断試薬である。別の態様において、試薬は実験室試薬である。
【0026】
[0038]本発明の別の側面は、上に定義するような組成物を含むキットに関する。
[0039]1つの態様において、キットは診断キットである。別の態様において、キットは実験室キットである。多様な態様において、キットは、1またはそれより多い他の試薬、使用説明書等を場合によって含む。
【0027】
[0040]1つの態様において、組成物は、融合ポリペプチドの均質な集団を含む。
[0041]1つの態様において、組成物は、融合ポリペプチドの混合集団を含む。
[0042]1つの態様において、組成物は、以下:
1またはそれより多いポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えば1またはそれより多いDNA結合ポリペプチド、
1またはそれより多いポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えば1またはそれより多いDNAリガーゼ・ポリペプチド、
1またはそれより多い補因子、あるいは
1またはそれより多い補酵素
の1またはそれより多くをさらに含む。
【0028】
[0043]本発明の別の側面は、1またはそれより多い核酸分子を連結する方法であって、1またはそれより多い融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含む、ここで、1またはそれより多い融合ポリペプチドが、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、前記方法に関する。
【0029】
[0044]1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子を連結する方法は、1またはそれより多い融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含み、ここで、1またはそれより多い融合ポリペプチドは、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0030】
[0045]1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子はDNA分子である。別の態様において、1またはそれより多い核酸分子は少なくとも2つのDNA分子である。
[0046]1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子は1またはそれより多いDNA二重鎖である。
【0031】
[0047]1つの態様において、DNA二重鎖の1またはそれより多くは、5’または3’オーバーハングを含む。
[0048]1つの態様において、1またはそれより多いDNA二重鎖は、5’または3’オーバーハングを含まない。
【0032】
[0049]1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子を連結する方法は、1またはそれより多い融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含み、ここで、1またはそれより多い融合ポリペプチドは、少なくとも1つのRNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのRNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0033】
[0050]1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子はRNA分子である。別の態様において、1またはそれより多い核酸分子は少なくとも2つのRNA分子である。1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子は、少なくとも1つのDNA分子および少なくとも1つのRNA分子である。
【0034】
[0051]多様な態様において、1またはそれより多い融合ポリペプチドは、少なくとも1つのRNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含むか、あるいは1またはそれより多い融合ポリペプチドは、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0035】
[0052]多様な態様において、1またはそれより多い融合ポリペプチドは、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのRNAリガーゼ・ポリペプチドを含むか、あるいは1またはそれより多い融合ポリペプチドは、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0036】
[0053]本発明の別の側面は、ホスホジエステル結合の形成を触媒する方法であって、融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含む、ここで、融合ポリペプチドが、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、前記方法に関する。
【0037】
[0054]1つの態様において、ホスホジエステル結合の形成を触媒する方法は、融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含み、ここで、融合ポリペプチドは、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0038】
[0055]1つの態様において、ホスホジエステル結合の形成を触媒する方法は、融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含み、ここで、融合ポリペプチドは、少なくとも1つのRNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのRNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0039】
[0056]1つの態様において、ホスホジエステル結合は分子内結合である。別の態様において、ホスホジエステル結合は分子間結合である。
[0057]1つの態様において、方法は、5’または3’オーバーハングを含む、1またはそれより多いDNA二重鎖の連結を含む。特に意図されるのは、適合するオーバーハング末端を持つ1またはそれより多いDNA二重鎖の連結(すなわち、いわゆる「粘着性(sticky)」または「付着末端(cohesive−ended)」連結)を含む方法である。
【0040】
[0058]1つの態様において、方法は、5’または3’オーバーハングを含まない、1またはそれより多いDNA二重鎖の連結(すなわち、いわゆる「平滑端連結」)を含む。
[0059]適合するオーバーハング末端を含む1またはそれより多いDNA二重鎖の連結を含む態様において、好ましい融合ポリペプチドは、p50−リガーゼ、リガーゼ−p50、NFAT−リガーゼ、リガーゼ−cTF、PprA−リガーゼ、リガーゼ−PprA、p50−LigA、およびLigA−p50を含む群より選択可能であり、p50−リガーゼ、リガーゼ−cTF、リガーゼ−PprA、p50−LigA、およびLigA−p50が特に好ましい。
【0041】
[0060]5’または3’オーバーハングを持たないか、あるいは適合する末端を持たない、1またはそれより多いDNA二重鎖の連結を含む態様において、好ましい融合ポリペプチドは、p50−リガーゼ、リガーゼ−cTF、リガーゼ−p50、NFAT−リガーゼ、リガーゼ−PprA、およびLigA−p50を含む群より選択可能であり、p50−リガーゼ、リガーゼ−cTF、およびリガーゼ−PprAが特に好ましい。
【0042】
[0061]本発明の別の側面は、1またはそれより多い核酸分子を連結するための融合ポリペプチドであって、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、前記融合ポリペプチドに関する。
【0043】
[0062]1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子を連結するための融合ポリペプチドは、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0044】
[0063]1つの態様において、融合ポリペプチドは、Sso7d−リガーゼ、p50−リガーゼ、リガーゼ−p50、NFAT−リガーゼ、リガーゼ−NFAT、cTF−リガーゼ、リガーゼ−cTF、PprA−リガーゼ、リガーゼ−PprA、p50−LigAおよびLigA−p50を含む群より選択され、その代表的な例を、本明細書において、実施例に記載する。
【0045】
[0064]1つの態様において、1またはそれより多い核酸分子を連結するための融合ポリペプチドは、少なくとも1つのRNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのRNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。
【0046】
[0065]1またはそれより多い核酸分子の連結のための、あるいはホスホジエステル結合の形成を触媒するための、組成物の調製における、上記のような融合ポリペプチドの使用もまた、特に予期される。
【0047】
[0066]以下の態様は、上記側面のいずれに関連することも可能である。
[0067]多様な態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドは、原核DNAリガーゼ、原核DNAリガーゼ変異体、またはその機能性断片である。
【0048】
[0068]1つの態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドは、細菌DNAリガーゼ、細菌DNAリガーゼ変異体、またはその機能性断片である。
[0069]1つの態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドは、ウイルスDNAリガーゼ、ウイルスDNAリガーゼ変異体、またはその機能性断片であり、例えばバクテリオファージDNAリガーゼ、その変異体、もしくは機能性断片を含む。
【0049】
[0070]特に意図されるのは、大腸菌(E. coli)DNAリガーゼ・ポリペプチド(例えば、GenBank寄託番号M24278)、その変異体または機能性断片、あるいはバクテリオファージT4 DNAリガーゼ・ポリペプチド(例えば、GenBank寄託番号X00039)、その変異体または機能性断片である。
【0050】
[0071]多様な態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドは、真核DNAリガーゼ、その変異体、または機能性断片であり、真菌DNAリガーゼ、または哺乳動物DNAリガーゼ、あるいはその変異体または機能性断片を含む。いくつかの態様において、DNAリガーゼ・ポリペプチドは、哺乳動物DNAリガーゼI、DNAリガーゼII、DNA修復タンパク質XRCC1と組み合わされたDNAリガーゼIIIを含むDNAリガーゼIII、XRCC4と組み合わされたDNAリガーゼIVを含むDNAリガーゼIV、あるいはその変異体または機能性断片を含む群より選択される。
【0051】
[0072]多様な態様において、RNAリガーゼ・ポリペプチドは、T4 RNAリガーゼ、例えばT4 RNAリガーゼIまたはT4 RNAリガーゼIIである。
[0073]多様な態様において、DNA結合ポリペプチドは、配列非特異的DNA結合ポリペプチドである。
【0052】
[0074]多様な態様において、DNA結合ポリペプチドは、染色体タンパク質、ヒストン、HMf様タンパク質、および古細菌(archeal)低分子塩基性DNA結合タンパク質を含む群より選択される。
【0053】
[0075]特定の態様において、DNA結合ポリペプチドは、
デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)のPprAタンパク質(GenBank寄託番号BAA21374);
ヒト(Homo sapiens)由来のNF−カッパBタンパク質(GenBank寄託番号NP_003989)、または1もしくはそれより多いその断片、例えばNF−カッパB p65タンパク質、NF−カッパB p50タンパク質、もしくはヒトNF−カッパBタンパク質のアミノ酸40〜366を含む断片を含む、哺乳動物NF−カッパBタンパク質;
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来のKuタンパク質(GenBank寄託番号NP_215452);
スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)由来のSso7dタンパク質(GenBank寄託番号NP_343889);
スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)由来のSac7dタンパク質(GenBank寄託番号P13123);
デイノコッカス・ラディオデュランスのDdrAタンパク質(本明細書にその全体が援用される、米国特許第7550564号に記載されるようなもの);
哺乳動物NFATcタンパク質、例えば、マウス(Mus musculus)由来のNFATc1タンパク質(GenBank寄託番号NP_058071)、またはマウス由来のNFATc1タンパク質のアミノ酸403〜703を含む断片などの1もしくはそれより多い機能性断片、または1もしくはそれより多い機能性変異体;
あるいは1もしくはそれより多いその相同体、機能性変異体もしくは機能性断片、またはその2もしくはそれより多い組み合わせ、例えば、ヒトNF−カッパB由来のアミノ酸249〜366に、アラニン残基を通じて融合した、マウス由来のNFATcのアミノ酸403〜579を含む、NFAT−Ala−p50ハイブリッドDNA結合タンパク質(本明細書においてcTFと称される;本明細書にその全体が援用される、de Lumleyら(2004), J. Mol. Biol. 339, 1059−1075を参照されたい)
を含む群より選択される。
【0054】
[0076]1つの態様において、DNA結合ポリペプチドは、配列特異的DNA結合ポリペプチド、あるいはその機能性変異体または機能性断片である。
[0077]多様な態様において、DNA結合ポリペプチドは、ジンクフィンガー・ポリペプチド、ヘリックス−ターン−ヘリックス・ポリペプチド、ヘリックス−ループ−ヘリックス・ポリペプチド、ロイシンジッパー・ポリペプチド、およびRelファミリー転写因子を含む転写因子を含む群より選択される。
【0055】
[0078]多様な態様において、融合ポリペプチドをコードする核酸配列は:
DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする核酸配列の5’もしくは3’端と連続した、DNA結合ポリペプチドをコードする核酸配列、または
DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする核酸配列の5’もしくは3’端と、所望の長さのポリヌクレオチド・リンカーもしくはスペーサー配列を通じて、間接的に融合した、DNA結合ポリペプチドをコードする核酸配列;または
DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする核酸配列内に、場合によって所望の長さのポリヌクレオチド・リンカーもしくはスペーサー配列を通じて挿入された、DNA結合ポリペプチドをコードする核酸配列;または
DNA結合ポリペプチドをコードする核酸配列内に、場合によって所望の長さのポリヌクレオチド・リンカーもしくはスペーサー配列を通じて挿入された、DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする核酸配列;または
DNA結合ポリペプチドをコードする核酸配列およびDNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする核酸配列の間に配置された、プロテアーゼ切断部位をコードする核酸配列;または
DNA結合ポリペプチドをコードする核酸配列およびDNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする核酸配列の間に配置された、自己スプライシング要素をコードする核酸配列;あるいは
その2またはそれより多い任意の組み合わせ
を含む。
【0056】
[0079]多様な態様において、少なくとも1つの融合ポリペプチドは:
DNAリガーゼ・ポリペプチドを含むアミノ酸配列のNもしくはC末端と連続した、DNA結合ポリペプチドを含むかもしくはDNA結合ポリペプチド結合ドメインを含むアミノ酸配列;または
DNAリガーゼ・ポリペプチドを含むアミノ酸配列のNもしくはC末端と、所望の長さのペプチド・リンカーもしくはスペーサー配列を通じて、間接的に融合した、DNA結合ポリペプチドを含むアミノ酸配列;または
DNAリガーゼ・ポリペプチドを含むアミノ酸配列内に、所望の長さのペプチド・リンカーもしくはスペーサー配列を通じて挿入された、DNA結合ポリペプチドを含むアミノ酸配列;または
DNA結合ポリペプチドを含むアミノ酸配列およびDNAリガーゼ・ポリペプチドをコードするアミノ酸配列の間に配置された、プロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸配列;または
DNA結合ポリペプチドを含むアミノ酸配列およびDNAリガーゼ・ポリペプチドをコードするアミノ酸配列の間に配置された、自己スプライシング要素を含むアミノ酸配列;あるいは
その2またはそれより多い任意の組み合わせ
を含む。
【0057】
[0080]多様な態様において、少なくとも1つの融合ポリペプチドは、改善された安定性、例えば室温での改善された安定性、あるいは、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、15℃、14℃、13℃、12℃、11℃、10℃、9℃、8℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、20℃、2℃、1℃、または0℃での改善された安定性を有する。例えば、融合ポリペプチドは、室温で、あるいは20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、15℃、14℃、13℃、12℃、11℃、10℃、9℃、8℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、20℃、2℃、1℃、または0℃で保存された際、少なくとも約24時間、少なくとも約20時間、約16時間、約12時間、約11時間、約10、9、8、7、6、5、4、3、または約2時間または約1時間、活性を保持する。
【0058】
[0081]多様な態様において、発現構築物は、恒常的または制御可能プロモーター系を含む。
[0082]多様な態様において、制御可能プロモーター系は、誘導可能または抑制可能プロモーター系である。
【0059】
[0083]多様な態様において、制御可能プロモーター系は、LacI、Trp、ファージλ、ファージRNAポリメラーゼ、および大腸菌RNAポリメラーゼ・プロモーター系より選択される。
【0060】
[0084]1つの態様において、プロモーターは、当業者に知られる、任意の強いプロモーターである。適切な強いプロモーターは、アデノウイルスプロモーター、例えばアデノウイルス主要後期プロモーター;または異種プロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター;呼吸器合胞体ウイルス(RSV)プロモーター;サルウイルス40(SV40)プロモーター;誘導可能プロモーター、例えばMMTプロモーター、メタロチオネイン・プロモーター;熱ショックプロモーター;アルブミン・プロモーター;ApoAIプロモーター;ヒト・グロビン・プロモーター;ウイルス・チミジン・キナーゼ・プロモーター、例えば単純ヘルペス・チミジン・キナーゼ・プロモーター;レトロウイルスLTR;b−アクチン・プロモーター;ヒト成長ホルモン・プロモーター;ファージ・プロモーター、例えばT5、T7、SP6およびT3 RNAポリメラーゼプロモーター、およびカリフラワー・モザイク35S(CaMV 35S)プロモーターを含む。
【0061】
[0085]多様な態様において、プロモーターは、配列番号5のヌクレオチド1〜95に示すような配列を有するプロモーターである。
[0086]多様な態様において、融合ポリペプチドは、配列番号6、8、10、または16の1つに由来する10またはそれより多い連続アミノ酸を含む。好ましくは、融合ポリペプチドは、配列番号6、8、10、または16の1つに由来する少なくとも15、少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、より好ましくは少なくとも80、より好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも150、またはより好ましくは少なくとも200の連続アミノ酸を含む。
【0062】
[0087]1つの態様において、融合ポリペプチドは、配列番号6、8、10、または16の1つの配列を含むポリペプチドの機能性変異体または機能性断片である。
[0088]多様な例示的態様において、融合ポリペプチドは:
配列番号6のアミノ酸18〜344;
配列番号8のアミノ酸18〜300;
配列番号10のアミノ酸18〜79;または
配列番号16のアミノ酸514〜842
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続アミノ酸;
および:
配列番号6のアミノ酸358〜843;
配列番号8のアミノ酸311〜796;
配列番号10のアミノ酸90〜575;または
配列番号16のアミノ酸18〜503
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続アミノ酸
を含む。
【0063】
[0089]多様な例示的態様において、融合ポリペプチドは、配列番号6、8、10、または16の1つの配列を含む。
[0090]多様な態様において、本発明は、配列番号5、7、9、または15の1つに由来する少なくとも10の連続ヌクレオチドを含む、単離、精製または組換えポリヌクレオチドを提供する。
【0064】
[0091]多様な例示的態様において、ポリヌクレオチドは:
配列番号5のヌクレオチド166〜1146;
配列番号5のヌクレオチド166〜1185;
配列番号7のヌクレオチド166〜1014;
配列番号7のヌクレオチド166〜1044;
配列番号9のヌクレオチド166〜351;
配列番号9のヌクレオチド166〜381;
配列番号15のヌクレオチド1624〜2640;または
配列番号15のヌクレオチド1654〜2640
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続ヌクレオチド;
および:
配列番号5のヌクレオチド1147〜2643;
配列番号5のヌクレオチド1186〜2643;
配列番号7のヌクレオチド1015〜2502;
配列番号7のヌクレオチド1045〜2502;
配列番号9のヌクレオチド352〜1839;
配列番号9のヌクレオチド382〜1839;
配列番号15のヌクレオチド166〜1623;または
配列番号15のヌクレオチド166〜1653
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続ヌクレオチド
を含む。
【0065】
[0092]1つの態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド166〜1146を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド166〜1185を含む。別の態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド1147〜2643を含む。
【0066】
[0093]さらなる態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド166〜2643を含む。例示的な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号5の配列を含む。
【0067】
[0094]多様な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド166〜1014を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド166〜1044を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド1015〜2502を含む。
【0068】
[0095]例示的な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号7のヌクレオチド166〜2502を含む。さらなる例示的な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号7の配列を含む。
【0069】
[0096]多様な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号9のヌクレオチド166〜351を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号9のヌクレオチド166〜381を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号9のヌクレオチド352〜1839を含む。
【0070】
[0097]1つの例示的な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号9のヌクレオチド166〜1839を含む。さらなる例示的な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号9の配列を含む。
【0071】
[0098]多様なさらなる態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号15のヌクレオチド166〜1623を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号15のヌクレオチド166〜1653を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号15のヌクレオチド1624〜2640を含むか、またはポリヌクレオチドは、配列番号15のヌクレオチド1654〜2640を含む。
【0072】
[0099]例示的な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号15のヌクレオチド166〜2640を含む。さらなる例示的な態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号15の配列を含む。
【0073】
[00100]多様な態様において、細胞は、各々、異なる融合ポリペプチドをコードする、2またはそれより多い異なる発現構築物を含む。
[00101]本明細書に開示する数の範囲(例えば、1〜10)に対する言及はまた、その範囲内のすべての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)、およびまたその範囲内の任意の範囲の有理数(例えば、2〜8、1.5〜5.5および3.1〜4.7)も取り込み、そしてしたがって、本明細書に明らかに開示されるすべての範囲のすべての下位範囲が、本明細書に明らかに開示される。これらは、特に意図されるものの単なる例であり、そして列挙される最低値および最高値の間の数値のすべてのありうる組み合わせが、同様の方式で、本出願に明らかに言及されると見なされるものとする。
【0074】
[00102]本明細書において、特許明細書、他の外部文書、または他の情報供給源に言及する場合、これは一般的に、本発明の特徴を論じるための背景を提供する目的のためである。特に別に言及しない限り、こうした外部文書に対する言及は、こうした文書、またはこうした情報供給源が、いかなる権威においても、先行技術であるか、または当該技術分野における共通の一般的な知識の一部を形成することの承認として解釈されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0075】
[00103]本発明のさらなる側面は、例示のみによって提供される以下の説明から、そして付随する図を参照すると、明らかとなるであろう。
【図1】[00104]図1aは、T4 DNAリガーゼ融合タンパク質を用いた付着端連結に関する、ゲルに基づくin vitro連結活性アッセイの代表を示す。装填された試料は:分子マーカー(レーン1および9)、Sso7d−リガーゼ(レーン2)、cTF−リガーゼ(レーン3)、リガーゼ−cTF(レーン4)、p50−リガーゼ(レーン5)、リガーゼ−p50(レーン6)、NFAT−リガーゼ(レーン7)、リガーゼ−NFAT(レーン8)、PprA−リガーゼ(レーン10)、リガーゼ−PprA(レーン11)、Ku−リガーゼ(レーン12)、リガーゼ−ku(レーン13)、T4 DNAリガーゼ(レーン14)、陰性対照(レーン15)である。[00105]図1bは、T4 DNAリガーゼ融合タンパク質を用いた平滑端連結に関する、ゲルに基づくin vitro連結活性アッセイの代表を示す。図1aに関するものと同じ試料を装填する。
【図2】[00106]図2aは、大腸菌LigAリガーゼ融合タンパク質を用いた付着端連結に関する、ゲルに基づくin vitro連結活性アッセイの代表を示す。装填された試料は:分子マーカー(レーン1および5)、LigA(レーン2)、LigA−p50(レーン3)、p50−LigA(レーン4)、陽性対照(レーン6)、陰性対照(レーン7)、商業的対照(レーン8)である。 [00107]図2bは、大腸菌LigAリガーゼ融合タンパク質を用いた平滑端連結に関する、ゲルに基づくin vitro連結活性アッセイの代表を示す。図2aに関するものと同じ試料を装填する。
【図3】[00108]図3は、本明細書において実施例5に記載するような定量的PCRに基づく連結活性アッセイの結果を示すグラフである。
【図4】[00108]図4は、本明細書において実施例5に記載するような定量的PCRに基づく連結活性アッセイの結果を示すグラフである。
【図5】[00109]図5は、平滑端連結に関する、ゲルに基づくin vitro連結活性アッセイの代表を示す。装填された試料は:Sso7d−リガーゼ(レーン1)、p50−リガーゼ(レーン2)、リガーゼ−PprA(レーン3)、リガーゼ−cTF(レーン4)、T4 DNAリガーゼ(レーン5)、陰性対照(レーン6)、陽性対照(レーン7)、分子マーカー(レーン8)である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
[00110]本発明は、融合ポリペプチドおよびその使用に関する。特に、本発明は、ポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチドと融合した、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む融合ポリペプチドとともに、こうした融合物を産生する方法、および多様な分子生物学的方法におけるその使用に関する。
【0077】
1.定義
[00111]句「古細菌低分子塩基性DNA結合タンパク質」は、通常、50〜75アミノ酸の間のタンパク質であって、天然古細菌低分子塩基性DNA結合タンパク質、例えばスルホロブス・ソルファタリカス由来のSso−7dに、少なくとも約50%同一性を有するか、または天然古細菌低分子塩基性DNA結合タンパク質に対して生成され、そして該タンパク質に特異的である抗体に結合するかいずれかのタンパク質を指す。
【0078】
[00112]用語「コーディング領域」または「オープンリーディングフレーム」(ORF)は、適切な制御配列の調節下で、転写産物および/またはポリペプチドを産生可能なゲノムDNA配列のセンス鎖またはcDNA配列を指す。コーディング配列は、5’翻訳開始コドンおよび3’翻訳停止コドンの存在によって同定される。遺伝子構築物内に挿入された場合、「コーディング配列」は、プロモーターおよびターミネーター配列に機能可能であるように連結された際に発現されることが可能である。
【0079】
[00113]用語「含む(comprising)」は、本明細書において、「少なくとも一部〜からなる」を意味する。用語「含む」を含む、本明細書中の各言及を解釈する際、該用語によって前置きされる単数または複数のもの以外の特徴もまた、存在可能である。関連する用語、例えば「comprise」および「comprises」は、同じ方式で解釈されるものとする。
【0080】
[00114]当業者は、いくつかのポリヌクレオチド結合ポリペプチドが、DNAおよびRNA両方に(そして実際、他のポリヌクレオチド類似体に)対して活性を有することを認識するであろう。したがって、用語「ポリヌクレオチド結合ポリペプチド」は、1またはそれより多いポリヌクレオチド、例えばDNA、RNA、またはその類似体に結合可能なポリペプチドを指す。
【0081】
[00115]用語「DNA結合ポリペプチド」は、本明細書において、DNAに結合可能なポリペプチドを指し、そして一本鎖DNAに結合するポリペプチド、二本鎖DNAに結合するもの、および別の立体配置のDNAに結合するものを含む。本明細書に記載するとおり、DNA結合ポリペプチドまたはリガーゼのいずれも不活性化することなく、DNA結合ポリペプチドを、DNAリガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼのN末端またはC末端に融合させることも可能である。DNA結合ポリペプチドがまた、DNA以外のポリヌクレオチド、例えばRNA、または天然ヌクレオチドの既知の類似体にもまた結合可能であることを認識しなければならない。
【0082】
[00116]当業者は、いくつかのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドが、DNAおよびRNA両方に(そして実際、他のポリヌクレオチド類似体に)対して活性を有することを認識するであろう。したがって、用語「ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド」は、ホスホジエステル結合の形成を触媒可能なポリペプチドを指す。
【0083】
[00117]用語「DNAリガーゼ・ポリペプチド」は、本明細書において、主に、DNAポリヌクレオチドに対する優先的な活性を示すポリペプチドに関して用いられる可能性もあり、本明細書において、該用語は、一般的に、ホスホジエステル結合の形成を触媒可能なポリペプチドを指す。
【0084】
[00118]用語「ドメイン」は、タンパク質またはタンパク質複合体の単位であって、その単位が定義された機能を有する場合、ポリペプチド下位配列、完全ポリペプチド配列、または複数のポリペプチド配列を含む、前記単位を指す。機能は、広く定義されることが理解され、そしてリガンド結合、触媒活性であってもよいし、あるいはタンパク質の構造に対する、安定化された効果を有してもよい。
【0085】
[00119]用語「発現構築物」は、挿入されたポリヌクレオチド分子の転写を可能にし、そして場合によって、転写物を翻訳してポリペプチドにすることを可能にするのに必要な要素を含む、遺伝子構築物を指す。発現構築物は、典型的には、5’から3’方向に:
(1)構築物が導入されるであろう宿主細胞において機能性であるプロモーター、
(2)発現しようとするポリヌクレオチド、および
(3)構築物を導入しようとする宿主細胞において機能性であるターミネーター
を含む。
【0086】
[00120]本発明の発現構築物を、クローニング用または発現用の複製可能ベクター内に挿入してもよいし、あるいは宿主ゲノム内に取り込ませてもよい。
[00121]ポリペプチドの「断片」は、酵素活性または結合活性に必要である機能を果たし、そして/またはポリペプチドの3つの三次元構造を提供するポリペプチドの下位配列である。
【0087】
[00122]用語「融合ポリペプチド」は、本明細書において、融合されて(例えば、それぞれのアミノ残基およびカルボキシル残基を通じたペプチド連結によって)単一の連続ポリペプチドを形成する、2またはそれより多いアミノ酸下位配列、例えば2またはそれより多いポリペプチドドメインを含むポリペプチドを指す。2またはそれより多いアミノ酸配列を直接融合させるか、あるいはリンカーまたはスペーサーまたはさらなるポリペプチドを通じて、それぞれのアミノ末端およびカルボキシル末端を通じ、間接的に融合させるかいずれかが可能であることが理解されなければならない。
【0088】
[00123]1つの態様において、融合ポリペプチドを含むアミノ酸配列の1つは、DNAリガーゼ・ポリペプチドを含む。1つの態様において、融合ポリペプチドを含むアミノ酸配列の1つは、DNA結合ポリペプチドを含む。DNAリガーゼ・ポリペプチドおよびDNA結合ポリペプチドを含む、例示的な融合ポリペプチドは、実施例および配列ID表において、本明細書に提示され、そして本明細書において具体的に予期される。
【0089】
[00124]1つの態様において、融合ポリペプチドのアミノ酸下位配列は、リンカーまたはスペーサーを通じて間接的に融合され、前記融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、例えば、DNAリガーゼ−リンカー−DNA結合ポリペプチドまたはDNA結合ポリペプチド−リンカー−DNAリガーゼ、あるいはDNAリガーゼ−リンカー−DNA結合ポリペプチド結合ドメインまたはDNA結合ポリペプチド結合ドメイン−リンカー−DNAリガーゼの順に配置される。他の態様において、融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、DNAリガーゼ−さらなるポリペプチド−DNA結合ポリペプチドまたはDNAリガーゼ−さらなるポリペプチド−DNA結合ポリペプチド結合ドメイン、あるいはDNAリガーゼ−リンカー−DNA結合ポリペプチド−さらなるポリペプチドまたはDNAリガーゼ−リンカー−DNA結合ポリペプチド結合ドメイン−さらなるポリペプチドの順に配置された、さらなるポリペプチドを通じて間接的に融合しても、またはこうしたものを含んでもよい。再び、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼのN末端伸長およびC末端伸長の両方が、本明細書に明らかに予期される。
【0090】
[00125]本発明記載の融合ポリペプチドはまた、別のポリペプチドの配列内に挿入された、1またはそれより多いポリペプチド配列も含んでもよい。例えば、プロテアーゼ認識配列などのポリペプチド配列を、DNA結合ドメインを含むタンパク質の可変領域内に挿入してもよい。
【0091】
[00126]好適には、本発明の融合ポリペプチドは、単一の核酸配列によってコードされてもよく、ここで、該核酸配列は、各々、ポリペプチドまたはポリペプチドドメインをコードする、少なくとも2つの下位配列を含む。特定の態様において、少なくとも2つの下位配列は、単一のオープンリーディングフレームを含むように「インフレーム」で存在し、そしてしたがって、本明細書に予期するような融合ポリペプチドをコードするであろう。他の態様において、少なくとも2つの下位配列は、「アウトオブフレーム」で存在してもよく、そしてリボソームフレームシフト部位、または翻訳の際に融合ポリペプチドが形成されるように、リーディングフレームにおけるシフトを促進する他の配列によって、分離されていてもよい。特定の態様において、少なくとも2つの下位配列は連続である。他の態様において、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチドドメインが、さらなるポリペプチドを通じて間接的に融合されているような、上に論じるものなどの他の態様において、少なくとも2つの下位配列は、連続でない。
【0092】
[00127]用語「遺伝子構築物」は、ポリヌクレオチド分子、通常、限定されるわけではないが、cDNA分子またはPCR産物などの別のポリヌクレオチド分子(挿入ポリヌクレオチド分子)が挿入されていていてもよい二本鎖DNAを指す。遺伝子構築物は、挿入ポリヌクレオチド分子を転写し、そして場合によって転写物がポリペプチドに翻訳されることを可能にするのに必要な要素を含有してもよい。挿入ポリヌクレオチド分子は、宿主細胞由来であってもよいし、あるいは異なる細胞または生物由来であってもよいし、そして/あるいは組換えポリヌクレオチドであってもよい。ひとたび宿主細胞内部に入ると、遺伝子構築物は、宿主染色体DNA内に組み込まれてもよい。遺伝子構築物は、ベクターに連結されてもよい。
【0093】
[00128]用語「宿主細胞」は、発現構築物の発現を補助可能な細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または動物細胞、例えば哺乳動物宿主細胞を指す。
[00129]用語「リンカー」または「スペーサー」は、本明細書において、2またはそれより多いポリペプチド、あるいは2またはそれより多いポリペプチドをコードする2またはそれより多い核酸配列を間接的に融合させるアミノ酸またはヌクレオチド配列に関する。いくつかの態様において、リンカーまたはスペーサーは、長さ約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または約100アミノ酸またはヌクレオチドである。他の態様において、リンカーまたはスペーサーは、長さ約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または約1000アミノ酸またはヌクレオチドである。さらに他の態様において、リンカーまたはスペーサーは、長さ約1〜約1000アミノ酸またはヌクレオチド、約10〜約1000、約50〜約1000、約100〜約1000、約200〜約1000、約300〜約1000、約400〜約1000、約500〜約1000、約600〜約1000、約700〜約1000、約800〜約1000、または約900〜約1000アミノ酸またはヌクレオチドである。
【0094】
[00130]1つの態様において、リンカーまたはスペーサーは、制限酵素認識部位を含んでもよい。別の態様において、リンカーまたはスペーサーは、プロテアーゼ切断認識配列、例えばエンテロキナーゼ、トロンビンまたは因子Xa認識配列、あるいは自己スプライシング要素、例えばインテインを含んでもよい。別の態様において、リンカーまたはスペーサーは、融合ポリペプチドの独立のフォールディングを促進する。
【0095】
[00131]用語「混合集団」は、本明細書において、混合集団内の各実体集団が、混合集団内の別の実体集団とは、ある点で異なる、2またはそれより多い実体集団を指す。例えば、発現構築物の混合集団に関連して用いた際、これは、各発現構築物集団が、その集団のメンバーによってコードされる融合ポリペプチドに関して異なるか、または構築物のいくつかの他の側面、例えば構築物中に存在するプロモーターの同一性に関して異なる、発現構築物の2またはそれより多い集団を指す。あるいは、融合ポリペプチドの混合集団に関連して用いた際、これは、融合ポリペプチドの各集団が、その集団メンバーが含有するポリペプチド、例えばポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼ、またはポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチドに関して異なる、融合ポリペプチドの2またはそれより多い集団を指す。
【0096】
[00132]用語「核酸」は、本明細書において、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド塩基または天然ヌクレオチドの既知の類似体、あるいはその混合物の一本鎖または二本鎖ポリマーを指す。該用語には、別に示さない限り、明記された配列、ならびに該配列に相補的な配列への言及が含まれる。用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書において、交換可能に用いられる。
【0097】
[00133]「機能可能であるように連結された」は、発現しようとする配列が、プロモーター、組織特異的制御要素、時間的制御要素、エンハンサー、リプレッサーおよびターミネーターを含む制御要素の調節下に置かれることを意味する。
【0098】
[00134]用語「過剰発現」は、一般的に、正常または非形質転換宿主細胞における産生レベルを超える、宿主細胞中の遺伝子産物の産生を指す。用語「過剰発現」は、メッセンジャーRNAレベルと関連して用いた際、好ましくは、対照または非形質転換細胞の宿主細胞において典型的に観察されるものよりも、少なくとも約3倍高い発現レベルを示す。より好ましくは、発現レベルは、対照宿主細胞または非形質転換細胞において典型的に観察されるものよりも、少なくとも約5倍高い、約10倍高い、約15倍高い、約20倍高い、約25倍高い、約30倍高い、約35倍高い、約40倍高い、約45倍高い、約50倍高い、約55倍高い、約60倍高い、約65倍高い、約70倍高い、約75倍高い、約80倍高い、約85倍高い、約90倍高い、約95倍高い、または約100倍高いか、またはそれより高い。
【0099】
[00135]限定されるわけではないが、ノーザンブロット分析および定量的RT−PCRを含むRT−PCRを含む、当業者に知られる多くの技術のいずれかを用いて、mRNAレベルを測定する。
【0100】
[00136]用語「ポリペプチド」は、本明細書において、全長タンパク質を含む、任意の長さであるが好ましくは少なくとも5アミノ酸のアミノ酸鎖を含み、ここで、アミノ酸残基は共有ペプチド結合によって連結されている。本発明のポリペプチドは精製天然産物であってもよいし、あるいは組換えまたは合成技術を用いて、部分的にまたは全体が産生されてもよい。該用語は、ポリペプチド、二量体または他の多量体などのポリペプチド凝集体、融合ポリペプチド、ポリペプチド変異体、あるいはその誘導体を指してもよい。
【0101】
[00137]用語「プロモーター」は、遺伝子転写を制御するコード領域上流の転写されないシス制御要素を指す。プロモーターは、転写開始部位および保存されたボックス、例えばTATAボックス、ならびに転写因子が結合するモチーフを特定する、シス開始要素を含む。
【0102】
[00138]本発明のポリペプチドに関して用いた際、句「活性を保持する」、ならびにその文法的同等物および派生物は、ポリペプチドがなお、有用なリガーゼ活性、有用なポリヌクレオチド結合活性(例えばDNA結合活性)、または有用なリガーゼ活性および有用なポリヌクレオチド結合活性の両方を有することを意味するよう意図される。好ましくは、保持された活性は、元来の活性の少なくとも約35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99または100%であり、そして有用な範囲は、これらの値いずれかの間(例えば約35〜約100%、約50〜約100%、約60〜約100%、約70〜約100%、約80〜約100%、および約90〜約100%)から選択可能である。例えば、本発明の好ましいポリペプチドは、所定の保存期間に渡って活性を保持し、例えば、4℃で約1時間置いた後、ポリペプチドの元来の活性の少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99または100%を保持する。同様に、本発明の好ましい組成物は、これらが含むポリペプチドの有用な活性の維持を補助可能であり、そして理想的には、本明細書において予期される方法を用いて適用されるまで、活性を保持すると言うことも可能である。
【0103】
[00139]本明細書において、用語「改善された安定性」は、本発明のポリペプチドまたは組成物に関連して用いた際、所定の期間に渡って、または特定の条件下で、あるいはその両方で、例えば4℃で1時間、活性を保持可能なポリペプチド、またはポリペプチドの活性を補助可能な組成物を意味する。特定の態様において、本発明の融合ポリペプチドの保持されたリガーゼ活性は、同じ期間に渡って同じ条件下で維持された際に天然リガーゼ・ポリペプチドによって示されるものよりも高い。他の態様において、本発明の融合ポリペプチドの保持されたポリヌクレオチド結合活性は、同じ期間に渡って同じ条件下で維持された際に天然ポリヌクレオチド結合ポリペプチドによって示されるものよりも高い。
【0104】
[00140]句「配列非特異的DNA結合ドメイン」は、ヌクレオチド配列独立方式で、DNA(および場合によって他の核酸)に有意なアフィニティで結合する、ポリペプチドドメインを指す。例えば、同じヌクレオチド組成であるが異なるヌクレオチド配列を持つ別の核酸よりも、10倍より高い、または20倍より高い、50倍より高い、または100倍より高いアフィニティで該ポリペプチド・ドメインに結合可能な核酸は知られていない。
【0105】
[00141]句「配列特異的DNA結合ドメイン」は、ヌクレオチド配列依存方式で、DNA(および場合によって他の核酸)に有意なアフィニティで結合する、ポリペプチドドメインを指す。例えば、同じヌクレオチド組成であるが異なるヌクレオチド配列を持つ別の核酸よりも、10倍より高い、または20倍より高い、50倍より高い、または100倍より高いアフィニティで該ポリペプチド・ドメインに結合可能な核酸が知られている。
【0106】
[00142]用語「物質」は、融合ポリペプチドに結合したかまたはその中に吸収されたかもしくは取り込まれたものに関して言及する際、融合パートナーが結合した物質またはポリマー融合ポリペプチドの中に吸収されたかもしくは取り込まれた物質を意味するよう意図される。
【0107】
[00143]用語「ターミネーター」は、転写を終結させる配列であって、翻訳される配列下流の遺伝子の3’非翻訳端に見られるものを指す。ターミネーターは、mRNA安定性の重要な決定因子であり、そしていくつかの場合、空間的制御機能を有することが見出されてきている。
【0108】
[00144]本明細書に提供するポリヌクレオチド配列の「断片」は、好ましくは、長さ少なくとも15ヌクレオチドである、連続ヌクレオチドの下位配列である。本発明の断片は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも20ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも40ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、そして最も好ましくは少なくとも60の連続ヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチド配列の断片を、アンチセンス、遺伝子サイレンシング、三重らせんまたはリボザイム技術において、あるいはプライマー、マイクロアレイに含まれるプローブとして、あるいはポリヌクレオチドに基づく選択法において、用いてもよい。
【0109】
[00145]用語「断片」は、断片が機能可能であるように連結されているポリヌクレオチド配列の発現を制御可能なプロモーター・ポリヌクレオチド配列のシス要素および領域を含む配列を含むように意図される。
【0110】
[00146]好ましくは、本発明のポリヌクレオチド配列の断片は、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも400、より好ましくは少なくとも500、より好ましくは少なくとも600、より好ましくは少なくとも700、より好ましくは少なくとも800、より好ましくは少なくとも900、および最も好ましくは少なくとも1000の連続ヌクレオチドを含む。
【0111】
[00147]用語「機能性変異体」および「機能性断片」は、本明細書において、例えばDNAリガーゼ(単数または複数)またはDNA結合ポリペプチド(単数または複数)に関して、特に同定する配列(単数または複数)とは異なり、1またはそれより多いアミノ酸残基が欠失されるか、置換されるか、または付加されているポリペプチド配列、あるいは特に同定する配列(単数または複数)の断片を含む配列を指す。機能性変異体は、天然存在アレル変異体、または非天然存在変異体であってもよい。機能性変異体は、同じ種由来か、または他の種由来であってもよく、そして相同体、パラログおよびオルソログを含んでもよい。ポリペプチドの機能性変異体または機能性断片は、天然に特に同定するポリペプチドの生物学的活性の1またはそれより多く、例えば天然ポリペプチドによって誘発される1またはそれより多い生物学的効果を誘発する能力の1またはそれより多くを所持する。例えば、DNAリガーゼの機能性断片は、典型的には、ホスホジエステル結合形成を触媒可能であるであろう。
【0112】
[00148]機能性変異体または機能性断片は、天然ポリペプチドより高いか、またはより低い活性を有してもよい。1つの例において、機能性変異体または機能性断片が所持する、特に同定する天然ポリペプチドの生物学的活性の1またはそれより多くが、天然ポリペプチドで見られるものよりも、より高いまたはより低い度合いまで、機能性変異体または機能性断片に存在してもよい。別の例において、機能性変異体または機能性断片が所持する、特に同定する天然ポリペプチドの生物学的活性の各々が、天然ポリペプチドで見られるものよりも、より高いまたはより低い度合いまで、機能性変異体または機能性断片に存在する。さらにさらなる例において、天然ポリペプチドの生物学的活性の1またはそれより多くが、天然ポリペプチドに見られるよりも、より高い度合いまで維持されるかまたは存在するが、天然ポリペプチドの生物学的活性の1またはそれより多くの他の生物学的活性が、存在しないか、あるいは天然ポリペプチドに見られるよりも、より低い度合いまで維持されるかまたは存在する、機能性変異体または機能性断片を提供することが望ましい可能性もある。こうした機能性断片の例には、本明細書に記載されるNF−カッパBおよびNFAT DNA結合ポリペプチド断片が含まれる。
【0113】
[00149]ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼ(単数または複数)、またはポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチドによって誘発される1またはそれより多い生物学的効果を決定するための方法およびアッセイは、当該技術分野に周知であり、そして例が本明細書に記載され、そしてこうした方法およびアッセイを用いて、ポリヌクレオチド・リガーゼ(単数または複数)またはポリヌクレオチド結合ポリペプチドの1またはそれより多い機能性変異体または機能性断片を同定するかまたは検証してもよい。例えば、DNAリガーゼが2つの直鎖DNA断片の連結を触媒して、単一のより大きい断片を形成する能力のアッセイ、例えば本明細書において実施例に記載するようなものは、DNAリガーゼの1またはそれより多い機能性変異体または機能性断片を同定することが可能である。
【0114】
[00150]機能性断片の例には、触媒活性、例えば配列非特異的DNA結合、またはホスホジエステル結合形成に関与するアミノ酸配列を含むポリペプチド断片が含まれる。
[00151]好ましくは、本発明のポリペプチド配列の断片(付随する配列同一性リストに特に同定する配列を含む)は、本発明のポリペプチドの少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、より好ましくは少なくとも80、より好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも150、より好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも250、より好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも350、より好ましくは少なくとも400、そして最も好ましくは少なくとも450の連続アミノ酸を含む。
【0115】
[00152]用語「プライマー」は、テンプレートにハイブリダイズし、そしてテンプレートに相補的なポリヌクレオチドの重合をプライミングするのに用いられる、通常、未結合(free)3’OH基を有する、低分子ポリヌクレオチドを指す。こうしたプライマーは、好ましくは、長さ少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、より好ましくは少なくとも7、より好ましくは少なくとも8、より好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、より好ましくは少なくとも13、より好ましくは少なくとも14、より好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16、より好ましくは少なくとも17、より好ましくは少なくとも18、より好ましくは少なくとも19、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチドである。
【0116】
[00153]用語「プローブ」は、ハイブリダイゼーションに基づくアッセイにおいて、プローブに相補的なポリヌクレオチド配列を検出するために用いられる、低分子ポリヌクレオチドを指す。プローブは、本明細書に定義するようなポリヌクレオチドの「断片」からなってもよい。好ましくは、こうしたプローブは、長さ少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも400、そして最も好ましくは少なくとも500ヌクレオチドである。
【0117】
[00154]用語「変異体」は、本明細書において、1またはそれより多いヌクレオチドまたはアミノ酸残基が欠失されているか、置換されているか、または付加されている、特に同定する配列と異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を指す。変異体は、天然存在アレル変異体、または非天然存在変異体であってもよい。変異体は、同じ種由来か、または他の種由来であってもよく、そして相同体、パラログおよびオルソログを含んでもよい。特定の態様において、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変異体は、野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのものと同じかまたは類似の生物学的活性を所持する。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関する用語「変異体」は、本明細書に定義するようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドのすべての型を含む。
【0118】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド変異体
[00155]用語「ポリヌクレオチド(単数または複数)」は、本明細書において、任意の長さであるが、好ましくは少なくとも15ヌクレオチドである一本鎖または二本鎖デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド・ポリマーを意味し、そしてこれには、限定されない例として、遺伝子のコードおよび非コード配列、センスおよびアンチセンス配列相補体、エクソン、イントロン、ゲノムDNA、cDNA、プレmRNA、mRNA、rRNA、siRNA、miRNA、tRNA、リボザイム、組換えポリペプチド、単離および精製天然存在DNAまたはRNA配列、合成RNAおよびDNA配列、核酸プローブ、プライマーおよび断片が含まれる。多くの核酸類似体が当該技術分野で周知であり、そしてまた予期される。
【0119】
ポリヌクレオチド変異体
[00156]変異体ポリヌクレオチド配列は、明記するポリヌクレオチド配列に対して、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を示す。同一性は、明記するポリヌクレオチド配列の少なくとも20ヌクレオチド位、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド位、少なくとも100ヌクレオチド位の比較ウィンドウに渡って、または全長に渡って、見られる。
【0120】
[00157]ポリヌクレオチド配列同一性を以下の方式で決定可能である。NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)より公的に入手可能なbl2seq(Tatiana A. Tatusova, Thomas L. Madden(1999), “Blast 2 sequences − a new tool for comparing protein−and nucleotide sequences”, FEMS Microbiol Lett. 174:247−250)中のBLASTN(BLASTプログラム組、バージョン2.2.10[2004年10月]由来))を用いて、対象ポリヌクレオチド配列を候補ポリヌクレオチド配列に比較する。低複雑度部分のフィルタリングをオフにしなければならないことを除いて、bl2seqのデフォルトパラメーターを利用する。
【0121】
[00158]以下のunixコマンド・ラインパラメータを用いて、ポリヌクレオチド配列の同一性を調べてもよい。
[00159]bl2seq−i nucleotideseq1−j nucleotideseq2−F F −p blastn
[00160]パラメータ−F Fは、低複雑度セクションのフィルタリングをオフにする。パラメータ−pは、配列対に関して、適切なアルゴリズムを選択する。bl2seqプログラムは、ライン「同一性=」中に、同一ヌクレオチドの数および割合の両方として、配列同一性を報告する。
【0122】
[00161]ポリヌクレオチド配列同一性はまた、広域配列整列プログラム(例えばNeedleman, S. B.およびWunsch, C.D.(1970) J. Mol. Biol. 48, 443−453)を用いて、候補および対象ポリヌクレオチド配列間の重複全体の長さに渡って計算可能である。Needleman−Wunsch広域整列アルゴリズムの完全実装は、EMBOSSパッケージのneedleプログラムに見られ(Rice, P. Longden, I.およびBleasby, A. EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Trends in Genetics June 2000, vol 16, No 6. pp.276−277)、該パッケージは、http://www.hgmp.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/より入手可能である。European Bioinformatics Instituteサーバーもまた、http:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/で、2つの配列間のEMBOSS−needle広域整列プログラムをオンラインで実行する設備を提供する。
【0123】
[00162]あるいは、末端ギャップにペナルティを課さずに、2つの配列の最適広域整列を計算する、GAPプログラムを用いてもよい。GAPは以下の論文に記載される: Huang, X.(1994) On Global Sequence Alignment. Computer Applications in the Biosciences 10, 227−235。
【0124】
[00163]本発明のポリヌクレオチド変異体はまた、これらの配列の機能性同等性を保持するようであり、そしてランダムな確率によって生じたとは合理的に予期されえない、特に同定する配列の1またはそれより多くに類似性を示すものも含む。ポリペプチドに関するこうした配列類似性は、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)より公的に入手可能なBLASTプログラム組(バージョン2.2.10[2004年10月])由来のbl2seqプログラムを用いて、決定可能である。
【0125】
[00164]以下のunixコマンド・ラインパラメータを用いて、ポリヌクレオチド配列の類似性を調べてもよい:
[00165]bl2seq−i nucleotideseq1−j nucleotideseq2−F F −p tblastx
[00166]パラメータ−F Fは、低複雑度セクションのフィルタリングをオフにする。パラメータ−pは、配列対に関して、適切なアルゴリズムを選択する。このプログラムは、配列間の類似性領域を発見し、そしてこうした領域各々に関して、ランダム配列を含有する固定された参照サイズのデータベース中、偶然こうしたマッチが見られると予期されうる、期待数である「E値」を報告する。このデータベースのサイズは、bl2seqプログラムにおいて、デフォルトで設定される。1よりはるかに小さいE値に関しては、E値は、ほぼ、こうしたランダムマッチの確率である。
【0126】
[00167]変異体ポリヌクレオチド配列は、好ましくは、特に同定する配列の任意の1つと比較した際、1x10−10未満、より好ましくは1x10−20未満、1x10−30未満、1x10−40未満、1x10−50未満、1x10−60未満、1x10−70未満、1x10−80未満、1x10−90未満、1x10−100未満、1x10−110未満、1x10−120未満、または1x10−123未満のE値を示す。
【0127】
[00168]あるいは、本発明の変異体ポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、明記するポリヌクレオチド配列、またはその相補体にハイブリダイズする。
[00169]用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」、およびその文法的同等物は、ポリヌクレオチド分子がターゲット・ポリヌクレオチド分子(例えばDNAまたはRNAブロット、例えばサザンブロットまたはノーザンブロット上に固定されたターゲットポリヌクレオチド分子)に、温度および塩濃度の定義された条件下でハイブリダイズする能力を指す。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする能力は、まず、よりストリンジェントでない条件下でハイブリダイズさせ、次いで、所望のストリンジェンシーまでストリンジェンシーを増加させることによって、決定可能である。
【0128】
[00170]長さ約100塩基より大きいポリヌクレオチド分子に関しては、典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、天然二重鎖の融点(Tm)よりも25〜30℃を超えない(例えば10℃)高さである(一般的には、Sambrookら監修, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版 Cold Spring Harbor Press; Ausubelら, 1987, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishingを参照されたい)。約100塩基より大きいポリヌクレオチド分子に関するTmは、式、Tm=81.5+0.41%(G+C)−log(Na+)によって計算可能である(Sambrookら監修, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版 Cold Spring Harbor Press; BoltonおよびMcCarthy, 1962, PNAS 84:1390)。長さ100塩基を超えるポリヌクレオチドに関する典型的なストリンジェントな条件は、6XSSC、0.2%SDSの溶液中の前洗浄;65℃、6XSSC、0.2%SDS中で一晩のハイブリダイゼーション;その後、各々、1XSSC、0.1%SDS、65℃30分間の2回の洗浄、および各々、0.2XSSC、0.1%SDS、65℃30分間の2回の洗浄などのハイブリダイゼーション条件であろう。
【0129】
[00171]100塩基未満の長さを有するポリヌクレオチド分子に関しては、例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、Tmの5〜10℃下である。平均して、100bp未満の長さのポリヌクレオチド分子のTmは、およそ(500/オリゴヌクレオチド長)℃に減少する。
【0130】
[00172]ペプチド核酸(PNA)として知られるDNA模倣体(Nielsenら, Science. 1991 Dec 6;254(5037):1497−500)に関しては、Tm値は、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリッドに関するものよりも高く、そしてGiesenら, Nucleic Acids Res. 1998 Nov 1;26(21):5004−6に記載される式を用いて計算可能である。100塩基未満の長さを有するDNA−PNAハイブリッドに関する、例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、Tmの5〜10℃下である。
【0131】
[00173]本発明の変異体ポリヌクレオチドはまた、本発明の配列と異なるが、遺伝暗号の縮重の結果として、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと類似の活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた含む。ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させない配列改変は、「サイレント変異」である。ATG(メチオニン)およびTGG(トリプトファン)を除いて、当該技術分野に認識される技術によって、同じアミノ酸に対応する他のコドンを変化させて、例えば特定の宿主生物におけるコドン発現を最適化してもよい。
【0132】
[00174]生物学的活性を有意に改変させることなく、コードされるポリペプチド配列中の1またはいくつかのアミノ酸の保存的置換を生じるポリヌクレオチド配列改変もまた、本発明に含まれる。当業者は、表現型的にサイレントであるアミノ酸置換を作製するための方法を知っているであろう(例えば、Bowieら, 1990, Science 247, 1306を参照されたい)。いくつかの態様において、非保存的アミノ酸置換を生じるポリヌクレオチド配列改変は、望ましくは、本明細書に予期されるような機能性変異体を生じ、そしてこうした配列改変もまた、本発明に含まれる。
【0133】
[00175]先に記載するように、tblastxアルゴリズムを通じて、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)より公的に入手可能なBLASTプログラム組(バージョン2.2.10[2004年10月])由来のbl2seqプログラムを用いて、コードされるポリペプチド配列におけるサイレント変異および保存的置換による変異体ポリヌクレオチドを決定してもよい。
【0134】
ポリペプチド変異体
[00176]ポリペプチドに関する用語「変異体」は、天然存在、組換えおよび合成産生ポリペプチドを含む。変異体ポリペプチド配列は、本発明の配列に対して、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を示す。同一性は、本発明のポリペプチドの少なくとも20アミノ酸位、好ましくは少なくとも50アミノ酸位、少なくとも100アミノ酸位の比較ウィンドウに渡って、または全長に渡って、見られる。
【0135】
[00177]ポリペプチド配列同一性を以下の方式で決定可能である。NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)より公的に入手可能なbl2seq中のBLASTP(BLASTプログラム組、バージョン2.2.10[2004年10月]由来)を用いて、対象ポリペプチド配列を候補ポリペプチド配列に比較する。低複雑度領域のフィルタリングをオフにしなければならないことを除いて、bl2seqのデフォルトパラメーターを利用する。
【0136】
[00178]また、広域配列整列プログラムを用いて、候補および対象ポリヌクレオチド配列間の重複の全長に渡って、ポリペプチド配列同一性を計算してもよい。上に論じるようなEMBOSS−needle(http:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/で入手可能)およびGAP(Huang, X.(1994) On Global Sequence Alignment. Computer Applications in the Biosciences 10, 227−235)もまた、ポリペプチド配列同一性を計算するのに適した広域配列整列プログラムである。
【0137】
[00179]本発明のポリペプチド変異体はまた、これらの配列の機能性同等性を保持するようであり、そしてランダムな確率によって生じたとは合理的に予期されえない、特に同定する配列の1またはそれより多くに類似性を示すものも含む。ポリペプチドに関するこうした配列類似性は、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)より公的に入手可能なBLASTプログラム組(バージョン2.2.10[2004年10月])由来のbl2seqプログラムを用いて、決定可能である。以下のunixコマンド・ラインパラメータを用いて、ポリペプチド配列の類似性を調べてもよい:
bl2seq−i peptideseq1−j peptideseq2−F F −p blastp
[00180]変異体ポリペプチド配列は、好ましくは、特に同定する配列の任意の1つと比較した際、1x10−10未満、より好ましくは1x10−20未満、1x10−30未満、1x10−40未満、1x10−50未満、1x10−60未満、1x10−70未満、1x10−80未満、1x10−90未満、1x10−100未満、1x10−110未満、1x10−120未満、または1x10−123未満のE値を示す。
【0138】
[00181]パラメータ−F Fは、低複雑度セクションのフィルタリングをオフにする。パラメータ−pは、配列対に関して、適切なアルゴリズムを選択する。このプログラムは、配列間の類似性領域を発見し、そしてこうした領域各々に関して、ランダム配列を含有する固定された参照サイズのデータベース中、偶然こうしたマッチが見られると予期されうる、期待数である「E値」を報告する。1よりはるかに小さいE値に関しては、E値は、ほぼ、こうしたランダムマッチの確率である。
【0139】
[00182]生物学的活性を有意に改変させない、記載するポリペプチド配列の1またはいくつかのアミノ酸の保存的置換もまた、本発明に含まれる。当業者は、表現型的にサイレントであるアミノ酸置換を作製するための方法を知っているであろう(例えば、Bowieら, 1990, Science 247, 1306を参照されたい)。同様に、非保存的置換を含む、1またはそれより多いアミノ酸の置換から生じる機能性変異体もまた、本発明に含まれる。
【0140】
[00183]本発明のポリペプチド変異体はまた、ポリペプチドをコードする核酸から産生されるが、改変されたアミノ酸配列を有するように、異なってプロセシングされる点で、野生型ポリペプチドとは異なるものも含む。例えば、野生型ポリペプチドを産生するものに対して、一次RNA転写物の別のスプライシングパターンによって、変異体を産生することも可能である。
【0141】
[00184]用語「ベクター」は、宿主細胞内に遺伝子構築物を輸送するのに用いられるポリヌクレオチド分子、通常二本鎖DNAを指す。ベクターは、少なくとも1つのさらなる宿主系、例えば大腸菌において、複製可能であってもよい。
【0142】
2.ポリヌクレオチド・リガーゼ
[00185]ポリヌクレオチド・リガーゼ(本明細書において、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドとも呼ばれる)は、1つのヌクレオチドの3’ヒドロキシル端および別のヌクレオチドの5’リン酸端間のホスホジエステル結合の形成を触媒可能なポリペプチドである。例えば、DNAリガーゼ(本明細書において、DNAリガーゼ・ポリペプチドとも呼ばれる)は、1つのデオキシリボース・ヌクレオチドの3’ヒドロキシル端および別のデオキシリボース・ヌクレオチドの5’リン酸端間のホスホジエステル結合の形成を触媒可能なポリペプチドである。DNAリガーゼは、本明細書にその全体が援用される、Tomkinsonら(2006), Chem. Rev., 106, 687−699に有用に概説される。同様に、RNAリガーゼは、1つのリボース・ヌクレオチドの3’ヒドロキシル端および別のリボース・ヌクレオチドの5’リン酸端間のホスホジエステル結合の形成を触媒する。
【0143】
2.1 ウイルスDNAリガーゼ
[00186]最も単純なDNAリガーゼは、バクテリオファージを含むウイルス由来のものである。ウイルスDNAリガーゼは、2つのドメイン:ヌクレオチド結合ドメインおよびOB−フォールド・ドメインを含む(Tomkinsonら, 2006)。ウイルスDNAリガーゼは、活性のため、ヌクレオチド補因子アデノシン−5’−三リン酸(ATP)を必要とする。バクテリオファージT4由来のDNAリガーゼは、平滑端および付着端DNA末端を連結するとともに、二重鎖DNA、RNAまたはDNA/RNAハイブリッド中の一本鎖ニックを修復するため、一般的に、in vitro適用に用いられる。T4 DNAリガーゼを含むウイルス・リガーゼは、本発明で使用可能でありうる。
【0144】
2.2 原核DNAリガーゼ
[00187]細菌は、活性のため、ATPよりも補因子ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)を必要とするDNAリガーゼを所持する。NAD+依存性DNAリガーゼは、ヌクレオチド結合およびOB−フォールド・ドメインからなるコア・モジュールに加えて、DNA結合および/または触媒を補助する、1またはそれより多いさらなるドメインを所持する(Tomkinsonら, 2006)。大腸菌由来のNAD+依存性リガーゼは、平滑端DNA末端を連結せず;DNAをRNAに連結することもない。したがって、該リガーゼは、付着端の選択的連結が必要であるin vitro適用に使用可能である。大腸菌DNAリガーゼを含むNAD+依存性細菌リガーゼは、本発明で使用可能でありうる。
【0145】
2.3 真核および古細菌DNAリガーゼ
[00188]真核生物および古細菌由来のDNAリガーゼは、ATP依存性マルチドメイン酵素である。真核ゲノムは、各々、1より多いDNAリガーゼをコードする。細胞での異なる役割のための異なるリガーゼの補充は、さらなるタンパク質パートナーとの特異的相互作用によって仲介される(Tomkinsonら, 2006)。非常に多数の真核DNAリガーゼが性質決定されてきており、そしてこれらは、本発明で使用可能でありうる。これらには、一般的に以下の4つのファミリーに属すると見なされる、哺乳動物DNAリガーゼが含まれる:哺乳動物DNAリガーゼI、DNAリガーゼII(DNAリガーゼIIIの選択的スプライシング型)、DNAリガーゼIII(DNA修復タンパク質XRCC1と組み合わされたDNAリガーゼIIIを含む)、およびDNAリガーゼIV(XRCC4と組み合わされたDNAリガーゼIVを含む)。多くの古細菌DNAリガーゼもまた性質決定されてきており、そしてこれらは、本発明で使用可能でありうる。これらには、好熱性古細菌リガーゼ、例えば、Nishidaら(2006), J. Mol. Biol. 360, 956−967によって記載されるようなパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来のリガーゼが含まれる。
【0146】
2.4 RNAリガーゼ
[00189]RNAリガーゼは当該技術分野に周知であり、そして本発明において有用である。バクテリオファージT4由来のRNAリガーゼは、適度によく性質決定されており、そしてin vitro適用に、例えばRNAの3’末端放射標識、オリゴデオキシリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチドの環状化、オリゴマーおよびニックの連結、ハイブリッドおよびキメラDNA/RNA分子の生成、ならびにmiRNAクローニングのために提唱されてきており、これは、これらが適度に広い基質特異性を示すためである。例えば、T4 RNAリガーゼIは、DNAまたはRNAの一本鎖3’ヒドロキシル末端への、DNAまたはRNAの一本鎖5’ホスホリル末端のATP依存性共有結合を触媒する。T4 RNAリガーゼIIは、T4 RNAリガーゼIと類似の活性を有するが、二本鎖基質を好む。T4 RNAリガーゼIおよびT4 RNAリガーゼIIを含むウイルスリガーゼは、その機能性断片とともに、本発明で使用可能でありうる。
【0147】
3.ポリヌクレオチド結合ポリペプチド
[00190]ポリヌクレオチド結合ポリペプチドは、配列特異的または配列非特異的方式いずれかで、ポリヌクレオチドに結合可能なポリペプチドである。例えば、DNA結合ポリペプチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、または別の立体配置のDNAに結合するポリペプチドを含む、DNAに結合可能なポリペプチドである。当業者が認識するであろうように、本発明の目的のため、DNA結合ポリペプチドは、配列非特異的DNA結合ポリペプチド、および配列特異的DNA結合ポリペプチドに、広く分けられうる。
【0148】
3.1 配列非特異的DNA結合ポリペプチド
[00191]配列非特異的核酸結合ポリペプチド、好ましくは配列非特異的DNA結合ポリペプチドは、配列独立方式で、核酸に結合する、ポリペプチドまたはポリペプチドの定義される領域(例えばドメイン)である。すなわち、ヌクレオチドへのポリペプチドの結合は、特定のヌクレオチド配列に対する有意な優先性を示さない。
【0149】
[00192]本発明で使用するのに特に適した配列非特異的DNA結合ポリペプチドの例には、限定されるわけではないが、デイノコッカス・ラディオデュランスのPprAタンパク質(寄託番号BAA21374)、結核菌由来のKuタンパク質(寄託番号NP_343889)、Sac7dおよびSso7d(それぞれ、寄託番号P13123、およびNP_343889)を含む古細菌低分子塩基性DNA結合タンパク質、デイノコッカス・ラディオデュランスのDdrAタンパク質(本明細書にその全体が援用される、米国特許第7550564号に記載されるようなもの);古細菌HMf様タンパク質(限定されるわけではないが、寄託番号U08838およびNP_633849を含む)、ならびにPCNA相同体(限定されるわけではないが、寄託番号NP_578712およびNP_615084を含む)が含まれる。
【0150】
[00193]PprAは、DNA損傷の修復に関与すると報告される、デイノコッカス・ラディオデュランス由来のほぼ32kDaのタンパク質である。in vitroでは、PprAは、DNA分子の末端に優先的に結合し(Murakamiら(2006), Biochimica et Biophysica Acta− Proteins and Proteomics, 1764, 20−23)、そしてin vivoでは、DNA破損部位にDNA修復タンパク質を補充するのに重要であるようである(Narumiら(2004) Molecular Microbiology, 54, 278−285)。
【0151】
[00194]Sso7dおよびSac7dは、それぞれ、好熱性古細菌スルホロブス・ソルファタリカスおよびS.アシドカルダリウス由来のほぼ7kDaの塩基性染色体タンパク質である。これらのタンパク質は、リジンリッチであり、そして高い熱、酸および化学薬品安定性を有する。これらは、配列独立方式でDNAに結合することが報告されてきており、そして上昇した温度でゲノムDNAの安定化に関与すると考えられる。
【0152】
[00195]HMf様タンパク質は、真核生物H4ヒストンと、アミノ酸配列および構造の両方で相同性を共有すると報告される、古細菌ヒストンである。タンパク質のHMfファミリーは、溶液中で安定な二量体を形成すると報告されてきており、そしていくつかのHMf相同体が、好熱性微生物から同定されてきている。
【0153】
[00196]多くのファミリーB DNAポリメラーゼは、アクセサリータンパク質と相互作用して、例えば効率的なDNA合成を達成すると報告されてきている。アクセサリータンパク質の1つのクラスは、スライディング・クランプと呼ばれる。多量体クランプが二本鎖DNAに適合可能なトーラス様構造を形成可能であることが示唆されてきている。スライディング・クランプが、特定のDNAポリメラーゼのC末端と相互作用し、そして合成中のDNAテンプレートへのこれらのポリメラーゼの固定を補助することが報告されてきている。
【0154】
[00197]真核生物におけるスライディング・クランプは、増殖性細胞核抗原(PCNA)と称され、他のドメインにおける類似のタンパク質は、しばしば、PCNA相同体と称される。これらの相同体は、顕著な構造的類似性を有するが、限定された配列類似性しか持たない。PCNA相同体は、スルホロブス・ソルファタリカス、パイロコッカス・フリオサス等の好熱性古細菌を含む、非真核生物から同定されてきている。PCNAおよびPCNA相同体は、本発明に有用な配列非特異的DNA結合ポリペプチドである。
【0155】
[00198]本発明で使用するのに適した配列非特異的DNA結合ドメインは、配列独立方式で(好ましくは二本鎖)核酸に結合する。すなわち、本発明の結合ドメインは、同等のヌクレオチド組成であるが異なる配列を持つ任意の既知の核酸が、結合において100倍を超える相違がなく、該ドメインに結合するであろうように、有意なアフィニティで核酸に結合する。例えば、同じヌクレオチド組成であるが、異なる核酸配列を持つ競合剤ヌクレオチドを用いて実行可能な、結合の特異性を決定するフィルター結合アッセイまたはゲル移動度シフトアッセイを含む、当該技術分野に周知の方法論を用いて、非特異的結合をアッセイすることも可能である。
【0156】
[00199]配列非特異的DNA結合ポリペプチドを含む配列非特異的核酸結合ポリペプチドは、一本鎖または二本鎖核酸に対する優先性を示してもよい。典型的には、鎖特異的結合ポリペプチドは、場合によっては、二本鎖または一本鎖核酸に対して、10倍またはそれより高いアフィニティを示すであろう。当業者は、特定の適用に関して、二本鎖特異的、配列非特異的DNA結合ポリペプチドが好ましい可能性もあることを認識するであろう。
【0157】
[00200]例えば、一般の当業者に知られる多様なアッセイを用いて、二本鎖核酸への結合に関する特異性を試験してもよい。これらには、フィルター結合アッセイまたはゲルシフトアッセイのようなアッセイが含まれる。例えば、フィルター結合アッセイにおいて、二本鎖DNAへの結合活性に関して評価しようとするポリペプチドを、適切な緩衝液中、二本鎖または一本鎖の放射標識DNAとあらかじめ混合する。タンパク質およびタンパク質−DNA複合体を保持する膜(例えばニトロセルロース)で、混合物をろ過する。フィルター上に保持されるDNAの量は、タンパク質に結合している量の指標となる。標識DNAの結合が、増加する量の非標識DNAの添加によって競合される競合分析によって、結合を定量化してもよい。一本鎖DNAよりも10倍またはそれより高いアフィニティで、二本鎖DNAに結合するポリペプチドは、本明細書において、二本鎖DNA結合タンパク質と定義される。あるいは、放射標識DNAを試験ポリペプチドとインキュベーションする、ゲルシフトアッセイによって、結合活性を評価してもよい。タンパク質−DNA複合体は、未結合DNAよりも、ゲル中でより遅く移動し、シフトしたバンドを生じる。増加する量の二本鎖または一本鎖非標識DNAと試料をインキュベーションし、そしてシフトしたバンド中の放射能の量を定量化することによって、結合量を評価する。
【0158】
3.2 配列特異的DNA結合ポリペプチド
[00201]一般的に、本発明の融合ポリペプチドにおいて、中程度から高い度合いの配列特異性を示すDNA結合ポリペプチドの使用は、より望ましくない。しかし、当業者は、特定の態様において、配列特異性の度合いが、例えばDNA結合ポリペプチドによって優先的に結合される特定の配列モチーフを含む部位で、連結効率を改善することが有用でありうることを認識するであろう。例えば、特定の融合ポリペプチドと組み合わせて用いようとする高効率連結ベクターを設計することも可能であり、ここで、連結部位には、融合ポリペプチドの配列特異的DNA結合ポリペプチドドメインによって結合される認識配列が含まれる。
【0159】
[00202]非常に多くの配列特異的DNA結合ポリペプチドが知られており、これには例えば、転写因子、制限エンドヌクレアーゼ、およびポリメラーゼが含まれる。配列特異的DNA結合ポリペプチドは、そのDNA結合ドメイン(単数または複数)の二次構造にしたがって分類可能である。特徴的なDNA結合ドメインの例には、ジンクフィンガーモチーフ、ヘリックス−ターン−ヘリックス・モチーフ、ロイシンジッパー、およびヘリックス−ループ−ヘリックス・モチーフが含まれる。これらのドメインの1またはそれより多くを含む、配列特異的DNA結合ポリペプチドは、本発明で使用するのに適している。
【0160】
[00203]本発明で使用するのに特に適している配列特異的DNA結合ポリペプチドの例には、限定されるわけではないが、哺乳動物NF−カッパB p50タンパク質、例えばヒトNF−カッパB p50タンパク質(寄託番号NP_003989)、およびネズミNF−カッパB p50タンパク質(寄託番号NP_032715)、ならびに哺乳動物NFATタンパク質などの転写因子、例えば、NFATc1,NFATc2、NFATc3、NFATc4、またはNFATc5の1つまたはそれより多くが含まれる。
【0161】
[00204]NF−カッパB(B細胞におけるカッパ軽鎖ポリペプチド遺伝子エンハンサーの核因子1としてもまた知られる)は、Relファミリー由来の配列特異的DNA結合転写因子である。NF−カッパB p50が8pMの解離定数(K)で特異的コンセンサス配列に結合し、そして非特異的DNAには、約1000倍弱く結合する(K=5.7nM、de Lumleyら, 2004)ことが報告されてきている。
【0162】
[00205]転写因子のNFATファミリー(活性化T細胞の核因子としても知られる)は、5つのメンバーNFATc1、NFATc2、NFATc3、NFATc4、およびNFAT5からなり、そして各々、本発明において、DNA結合ポリペプチドとして使用するのに適している。
【0163】
[00206]他の態様において、配列特異的DNA結合ポリペプチドの機能性変異体を利用してもよい。例えば、天然配列特異的DNA結合ポリペプチドによって示される高アフィニティ結合を保持するが、同じ度合いの配列特異性をもはや示さない機能性変異体が、本発明で使用可能である。こうした機能性変異体の例が当該技術分野に知られ、そしてこれには、本明細書にその全体が援用される、de Lumleyら(2004), J. Mol. Biol. 339, 1059−1075に記載される、cTF−NFAT−Ala−p50ハイブリッドDNA結合タンパク質が含まれる。このハイブリッドは、NF−カッパBのアミノ酸249〜366にアラニン残基を介して融合されるNFATc1のアミノ酸403〜579を含む。著者らは、このハイブリッドが、NF−カッパBに特徴的なDNAに対する高アフィニティを保持するが、配列特異性を喪失していることを報告する: de Lumleyは、カッパBコンセンサス配列に関して、Kが28nMであり、そして非特異的DNA結合に関して40nMであると測定した。
【0164】
4. 発現構築物
[00207]微生物、植物細胞または動物細胞(細胞発現系)において、あるいは細胞不含発現系において、融合ポリペプチドを発現するための発現構築物を産生し、そして用いるためのプロセス、ならびに本発明で使用するための融合ポリペプチドを形成するのに有用な発現構築物を含む宿主細胞が、当該技術分野に周知である(例えば、Sambrookら, 1987; Ausubelら, 1987)。
【0165】
[00208]本発明の方法で使用するための発現構築物を、クローニング用または発現用の複製可能ベクター内に挿入してもよいし、あるいは宿主ゲノム内に取り込ませてもよい。多様なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス融合ポリペプチド、またはファージの形であってもよい。適切な核酸配列を、多様な方法によってベクター内に挿入してもよい。一般的に、DNAは、当該技術分野に知られる技術を用いて、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(単数または複数)内に挿入される。ベクター構成要素には、一般的に、限定されるわけではないが、シグナル配列、複製起点、1またはそれより多くの選択可能マーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終結配列の1またはそれより多くが含まれる。これらの構成要素の1またはそれより多くを含有する、適切なベクターの構築は、当該技術分野に知られる標準的連結技術を使用する。
【0166】
[00209]発現ベクターおよびクローニングベクターは、どちらも、1またはそれより多い選択された宿主細胞においてベクターが複製するのを可能にする核酸配列を含有する。こうした配列は、多様な細菌、酵母、およびウイルスに関して周知である。
【0167】
[00210]1つの態様において、発現構築物は、高コピー数ベクター上に存在する。
[00211]1つの態様において、高コピー数ベクターは、宿主細胞あたり20〜3000コピーで存在可能なものより選択される。
【0168】
[00212]1つの態様において、高コピー数ベクターは、高コピー数複製起点(ori)、例えばColE1またはColE1由来複製起点を含有する。例えば、ColE1由来複製起点は、pUC19複製起点を含んでもよい。
【0169】
[00213]本発明のベクター中で使用するのに適した多くの高コピー数複製起点が、当業者に知られる。これらには、pBR322由来のColE1由来複製起点およびその誘導体、ならびに他の高コピー数複製起点、例えばM13 FR oriまたはp15A oriが含まれる。2μプラスミド起点は酵母に適しており、そして多様なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。
【0170】
[00214]好ましくは、高コピー数複製起点は、ColE1由来pUC19複製起点を含む。
[00215]発現ベクターおよびクローニングベクターは、典型的には、形質転換宿主細胞におけるベクターの存在を検出する、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含有するであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、またはテトラサイクリンに対する耐性を与えるか、(b)栄養要求性不全を補うか、あるいは(c)複合培地から入手可能でない必須栄養素を供給するタンパク質をコードし、例えばバチルス属(Bacilli)に関するD−アラニン・ラセマーゼをコードする遺伝子がある。
【0171】
[00216]植物形質転換で一般的に用いられる選択可能マーカーには、カナマイシン耐性を与えるネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼII遺伝子(NPT II)、スペクチノマイシンおよびストレプトマイシン耐性を与えるaadA遺伝子、Ignite(AgrEvo)およびBasta(Hoechst)耐性のためのホスフィノトリシン・アセチル・トランスフェラーゼ(bar遺伝子)、ならびにハイグロマイシン耐性のためのハイグロマイシン・ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(hpt)が含まれる。
【0172】
[00217]哺乳動物細胞に適した選択可能マーカーの例は、発現構築物を取り込む能力がある細胞の同定を可能にするもの、例えばDHFRまたはチミジンキナーゼである。野生型DHFRを使用する場合に適した宿主細胞は、Urlaubら, 1980に記載されるように調製され、そして増殖された、DHFR活性に欠陥を有するCHO細胞株である。酵母で使用するのに適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら, 1979; Kingsmanら, 1979; Tschemperら, 1980)。trp1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の突然変異体株に関する選択マーカー、例えばATCC番号44076またはPEP4−1[Jones, Genetics, 85: 12(1977)]を提供する。
【0173】
[00218]融合ポリペプチドを形成するのに有用な発現構築物には、好ましくは、DNAリガーゼ、DNA結合ポリペプチドまたは融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸の発現を調節するプロモーターが含まれる。
【0174】
[00219]多様な潜在的な宿主細胞によって認識されるプロモーターが周知である。原核宿主で使用するのに適したプロモーターには、β−ラクタマーゼおよびラクトース・プロモーター系[Changら, 1978; Goeddelら, 1979)、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057(1980); EP 36,776]、ならびにtacプロモーター[deBoerら, 1983)などのハイブリッドプロモーターが含まれる。細菌系で使用するためのプロモーターはまた、DNAリガーゼ、DNAリガーゼ・ポリペプチドまたは融合ポリペプチドをコードする核酸に、機能可能であるように連結されたシャイン−ダルガノ(S.D.)配列を含有するであろう。
【0175】
[00220]酵母宿主で使用するのに適した促進配列の例には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ[Hitzemanら, 1980)または他の解糖酵素[Hessら, 1968; Holland, 1978)、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコース・イソメラーゼ、およびグルコキナーゼのプロモーターが含まれる。
【0176】
[00221]増殖条件によって調節される転写のさらなる利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコール・デヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素のプロモーター領域である。
【0177】
[00222]単子葉植物または双子葉植物の組織または器官を含む、植物宿主細胞で使用するのに適したプロモーターの例には、細胞、組織および器官特異的プロモーター、細胞周期特異的プロモーター、時間的プロモーター、誘導性プロモーター、大部分の植物組織で活性である恒常的プロモーター、および組換えプロモーターが含まれる。プロモーターの選択は、クローニングされたポリヌクレオチドの望ましい時間的および空間的発現に応じるであろう。プロモーターは宿主細胞由来のものであってもよく、あるいは、他の植物、ウイルス、ならびに植物病原性細菌および真菌遺伝子由来であるプロモーターであってもよい。当業者は、過度の実験を伴わずに、本発明のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を用いて発現構築物を修飾し、そして調節する際に使用するのに適しているプロモーターを選択可能であろう。恒常的植物プロモーターの例には、CaMV 35Sプロモーター、ノパリン・シンターゼ・プロモーターおよびオクトピン・シンターゼ・プロモーター、およびトウモロコシ(maize)由来のUbi 1プロモーターが含まれる。特定の組織において活性であり、内部発生シグナルあるいは外部非生物的または生物的ストレスに反応する植物プロモーターは、科学的文献中に記載される。例示的なプロモーターは、例えば、本明細書に援用されるWO 02/00894に記載される。
【0178】
[00223]昆虫宿主細胞で使用するのに適したプロモーターの例は、バキュロウイルスなどのウイルスゲノムから得られるものを含む。商業的に入手可能なバキュロウイルス発現系には、flashBAC(Oxford Expression Technologies)およびBac−to−Bacバキュロウイルス発現系(Invitrogen)が含まれる。
【0179】
[00224]哺乳動物宿主細胞で使用するのに適したプロモーターの例は、宿主細胞系と適合するという条件で、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシ・パピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびサルウイルス40(SV40)などのウイルスゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、そして熱ショックプロモーターから得られるものを含む。
【0180】
[00225]より高次の真核生物による発現構築物の転写は、ベクター内にエンハンサー配列を挿入することによって増加しうる。エンハンサーは、プロモーターに作用して転写を増加させる、通常10〜300bpのDNAのシス作用要素である。現在、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインスリン)に由来する多くのエンハンサー配列が知られる。しかし、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーを用いるであろう。例には、複製起点の後期側(bp 100〜270)上のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーター・エンハンサー、複製起点の後期側上のポリオーマ・エンハンサー、およびアデノウイルス・エンハンサーが含まれる。エンハンサーは、DNAリガーゼ、DNAリガーゼ・ポリペプチドまたは融合ポリペプチド・コード配列の5’または3’の位置でベクター内にスプライシングされてもよいが、好ましくは、プロモーターの5’側に位置する。
【0181】
[00226]真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物由来の有核細胞)中で用いられる発現ベクターはまた、転写を終結させるのに、そしてmRNAを安定化するのに必要な配列も含有するであろう。こうした配列は、一般的に、真核またはウイルスDNAまたはcDNAの5’、および時に3’の非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、DNAリガーゼ、DNAリガーゼ・ポリペプチドまたは融合ポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分において、ポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチド・セグメントを含有する。
【0182】
[00227]1つの態様において、発現構築物は、アラビノースに誘導されるBADプロモーターなどの上流誘導性プロモーターを含む。
[00228]1つの態様において、発現構築物は、恒常的または制御可能プロモーター系を含む。
【0183】
[00229]1つの態様において、制御可能プロモーター系は、誘導可能または抑制可能プロモーター系である。
[00230]組換えタンパク質の産生において、強いプロモーターを使用することがしばしば望ましいが、異種タンパク質の恒常的な過剰産生は、増殖速度、プラスミド安定性および培養生存性の減少を導くため、通常、これらのプロモーターの制御が必須である。
【0184】
[00231]リプレッサー・タンパク質とオペレーター(プロモーターの下流の領域)の相互作用によって、いくつかのプロモーターが制御される。最もよく知られるオペレーターは、lacオペロン由来のものおよびバクテリオファージ・ラムダ由来のものである。大腸菌において制御されるプロモーターの概説が、Friehs & Reardon, 1991の表1に提供される。
【0185】
[00232]標準的細菌培養および組換え大腸菌を伴うものの間の主な相違は、増殖期および産生期または誘導期の分離である。組換えタンパク質産生は、しばしば、制御されるプロモーターを利用して、増殖期に高い細胞密度を達成し(プロモーターが「オフ」であり、そして宿主細胞に対する代謝負荷がわずかである場合)、そして次いで、誘導期に高い異種タンパク質産生速度を達成する(プロモーターを「オン」にする誘導後)。
【0186】
[00233]1つの態様において、制御可能プロモーター系は、LacI、Trp、ファージ・ラムダおよびファージRNAポリメラーゼより選択される。
[00234]1つの態様において、プロモーター系は、lacまたはPtacプロモーターおよびlacIリプレッサー、またはtrpプロモーターおよびTrpRリプレッサーより選択される。
【0187】
[00235]1つの態様において、活性リプレッサーに結合してオペレーターからの解離を引き起こし、発現を可能にする、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって、LacIリプレッサーが不活性化される。
【0188】
[00236]1つの態様において、trpプロモーター系は、系が自己誘導可能になる閾値レベルより低いトリプトファン濃度になるように、定義されたトリプトファン濃度を持つ合成培地を用いる。1つの態様において、3−β−インドール−アクリル酸を添加して、TtrRリプレッサーを不活性化してもよい。
【0189】
[00237]1つの態様において、プロモーター系は、バクテリオファージ・ラムダ・リプレッサーcIを利用してもよい。このリプレッサーは、ラムダ・プロファージを利用して、そしてOLおよびORと称される2つのオペレーターと相互作用することによって、溶解遺伝子すべての発現を防止する。これらのオペレーターは、2つの強いプロモーター、PLおよびPRと、それぞれ重複する。cIリプレッサーの存在下で、RNAポリメラーゼの結合が防止される。cIリプレッサーは、UV照射またはマイトマイシンCでの細胞の処理によって不活性化可能である。組換えポリペプチドの発現を可能にする、より好適な方法は、cIリプレッサーcI857の温度感受性型の適用である。ラムダに基づく発現系を所持する宿主細胞を低温で中期対数期まで増殖させ、そして次いで、高温に移して、組換えポリペプチドの発現を誘導してもよい。
【0190】
[00238]広く用いられる発現系は、T7 DNA上で見られるプロモーターのみを認識し、そして宿主細胞染色体上に存在するプロモーターは認識しないファージT7 RNAポリメラーゼを利用する。したがって、発現構築物は、組換え遺伝子が融合されるであろうT7プロモーター(通常、遺伝子10の直前に存在するプロモーター)の1つを含有してもよい。T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子は、発現構築物上に存在するか、第二の適合する発現構築物上に存在するか、あるいは宿主細胞染色体内に組み込まれるか、いずれかである。3つすべての場合で、遺伝子は、誘導性プロモーターに融合し、発現期中のその転写および翻訳が可能になる。
【0191】
[00239]大腸菌株BL21(DE3)およびBL21(DE3)pLysS(Invitrogen、カリフォルニア)が、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を所持する宿主細胞の例である。T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を所持する他の細胞株が当該技術分野に知られ、例えばゲノム内に組み込まれたT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を宿する緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ADD1976(Brunschwig & Darzins, 1992)がある。
【0192】
[00240]本発明で使用するのに適した別のプロモーター系は、本明細書に例示するT5プロモーター系である。有用なことに、このプロモーターは、宿主大腸菌RNAポリメラーゼによって認識される。適切な大腸菌宿主株は、本明細書において実施例中に記載される。
【0193】
[00241]1つの態様において、プロモーター系は、温度シフトによって、例えば約30〜37℃から42℃に温度を上昇させて、誘導周期を開始することによって、誘導周期を開始するように誘導するかまたは「スイッチをオンにする」ことが可能なAPIまたはAPRなどのプロモーターを利用する。
【0194】
[00242]好ましい融合ポリペプチドは、少なくとも1つのDNAリガーゼおよび少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドを含む。
[00243]本明細書で使用するための融合ポリペプチドをコードする核酸配列は、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼをコードする少なくとも1つの核酸、およびポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を含む。ひとたび発現されると、融合ポリペプチドは、ホスホジエステル結合を形成するか、または形成を促進することが可能である。
【0195】
[00244]1つの態様において、少なくともDNAリガーゼをコードする核酸配列は、所望の長さのポリヌクレオチド・リンカーまたはスペーサー配列を通じて、DNA結合ポリペプチドをコードする核酸配列と間接的に融合される。
【0196】
[00245]1つの態様において、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドを含む融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、DNAリガーゼ・ポリペプチドを含むアミノ酸配列のN末端と連続する。
【0197】
[00246]1つの態様において、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドを含む融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、DNAリガーゼを含むアミノ酸配列のC末端と連続する。
[00247]1つの態様において、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドを含む融合タンパク質のアミノ酸配列は、所望の長さのペプチド・リンカーまたはスペーサー、例えば融合ポリペプチドを含むポリペプチドの独立のフォールディングを促進するリンカーまたはスペーサーを通じて、DNAリガーゼ・ポリペプチドを含むアミノ配列のN末端と間接的に融合される。
【0198】
[00248]1つの態様において、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドを含む融合タンパク質のアミノ酸配列は、所望の長さのペプチド・リンカーまたはスペーサー、例えば融合ポリペプチドの独立のフォールディングを促進するリンカーまたはスペーサーを通じて、DNAリガーゼ・ポリペプチドを含むアミノ酸配列のC末端と間接的に融合される。
【0199】
[00249]本発明記載の好ましい融合ポリペプチドの1つの利点は、融合ポリペプチドを含むポリペプチドの修飾が、その機能に影響を及ぼさないことである。例えば、本明細書記載の例示的なDNAリガーゼの機能は、組換えポリペプチドが、そのN末端またはC末端と融合された際に保持される。
【0200】
[00250]融合ポリペプチド中のタンパク質の配置が、プラスミド中に含有される核酸中の遺伝子配列の順序に応じうることを認識しなければならない。例えば、ポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチドを間接的にポリヌクレオチド・リガーゼに融合させて、融合ポリペプチドを産生することが望ましい可能性もある。用語「間接的に融合させる」は、融合ポリペプチド中で発現されることが望ましい任意のタンパク質であってもよいさらなるタンパク質によって分離された、ポリヌクレオチド・リガーゼ・ポリペプチドおよびポリヌクレオチド結合ポリペプチドを含む融合ポリペプチドを指す。
【0201】
[00251]1つの態様において、さらなるタンパク質は、上に論じるような、DNAリガーゼ・ポリペプチド、DNA結合ポリペプチド、補因子または補酵素、あるいは融合ポリペプチド、あるいは融合ポリペプチドの独立のフォールディングを促進するリンカーまたはスペーサーより選択される。この態様において、融合ポリペプチドの所望の配置を反映するように発現構築物中の遺伝子配列を順序づけることが必要であろう。
【0202】
[00252]1つの態様において、ポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチドを、ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼに直接融合させてもよい。用語「直接融合させる」は、本明細書において、2またはそれより多いペプチドが、ペプチド結合を通じて連結される場合を示す。
【0203】
[00253]少なくとも2つの別個の融合ポリペプチドを含む組成物を形成することもまた可能でありうる。例えば、第一の融合ポリペプチドは、DNAリガーゼに融合した一本鎖DNA結合ポリペプチドを含んでもよく、一方、第二の融合ポリペプチドは、DNAリガーゼに融合した二本鎖DNA結合ポリペプチドを含んでもよい。本明細書記載の融合ポリペプチドの任意の組み合わせが可能であり、そして特定の適用をターゲットとするように、任意の組み合わせを産生してもよい。実際、1またはそれより多い融合ポリペプチドが、平滑端DNA末端を含むDNA断片に、または付着端DNA末端に対して、改善された連結活性を示す可能性もある。同様に、融合ポリペプチドの1またはそれより多くが、RNA断片、またはRNA−DNAハイブリッドに対して、改善された連結活性を示す可能性もある。こうした融合ポリペプチドを単独で、または組み合わせて用いて、例えば特定の適用をターゲットとしてもよい。
【0204】
[00254]1つの態様において、発現構築物はin vivoで発現される。好ましくは、発現構築物は、微生物、好ましくは大腸菌において発現されるプラスミドである。
[00255]1つの態様において、発現構築物はin vitroで発現される。好ましくは、発現構築物は、細胞不含発現系を用いて、in vitroで発現される。
【0205】
[00256]1つの態様において、1またはそれより多くの遺伝子を単一の発現構築物内に挿入してもよいし、あるいは1またはそれより多い遺伝子を宿主細胞ゲノム内に組み込んでもよい。すべての場合で、発現は、上述のようにプロモーターを通じて調節可能である。
【0206】
[00257]1つの態様において、発現構築物は、少なくとも1つのさらなるポリペプチド、場合によって、上に論じるような、ポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチド、およびポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む融合ポリペプチドをコードする。
【0207】
[00258]多様な態様において、発現構築物には、本発明の発現されるポリペプチドの精製を促進する1またはそれより多いポリペプチド・タグが含まれる。こうしたタグの例は当該技術分野に周知であり、そしてこれには、ポリヒスチジン・タグ、FLAGエピトープ、c−mycエピトープ等が含まれる。こうした精製補助を所持するポリペプチドを精製する方法もまた、当該技術分野で周知であり、そしてこれには、クロマトグラフィー、例えばポリヒスチジン・タグの場合、ニッケルまたはコバルト結合に頼るものを含めた固定化金属アフィニティ・クロマトグラフィーが含まれる。
【0208】
[00259]発現されるタンパク質からこうした精製補助を除去する方法もまた、当該技術分野に周知である。例えば、エンドペプチダーゼ認識配列、インテイン・スプライス部位、またはエンドペプチダーゼを用いてポリヒスチジン−タグの除去を促進する任意の他のアミノ酸配列によって、関心対象のポリペプチドから、タグまたはエピトープを分離してもよい。末端タグ化ポリペプチドの場合、エキソペプチダーゼを好適に用いてもよく、例えばTAGZyme(Qiagen)などのエキソペプチダーゼを用いて、発現されたポリペプチドからN末端ポリヒスチジンタグを除去してもよい。
【0209】
5.宿主細胞
[00260]本発明の融合ポリペプチドは、宿主細胞において、本明細書に記載するような、1またはそれより多い発現構築物を用いて、好適に産生される。宿主細胞が発現構築物を発現することを可能にすることによって、本発明の融合ポリペプチドを産生してもよい。これは、まず、例えば宿主細胞または宿主細胞子孫を発現構築物で形質転換するかまたはトランスフェクションすることによって、あるいは別の方式で、発現構築物が宿主細胞中に存在することを確実にすることによって、宿主細胞または宿主細胞子孫内に、発現構築物を導入することによって、達成可能である。
【0210】
[00261]形質転換後、発現構築物からの融合ポリペプチドの発現に適した、そして融合ポリペプチドの形成に適した条件下で、形質転換宿主細胞を維持する。こうした条件は、当該技術分野に知られるように、プラスミドなどの選択された発現構築物の、適切な生物における発現に適したものを含む。例えば、そして高収量または過剰発現が望ましい場合は特に、適切な培地を提供すると、融合ポリペプチドの合成が可能になる。
【0211】
[00262]したがって、本発明は、融合ポリペプチドを産生するための方法であって:
ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチド、例えばDNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
ポリヌクレオチド結合ポリペプチド、例えばDNA結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供し;
発現構築物の発現に適した条件下で、宿主細胞を維持し;そして
宿主から融合ポリペプチドを分離する
工程を含む、前記方法を提供する。
【0212】
[00263]好ましくは、宿主細胞は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または動物細胞、好ましくは単離または非ヒト宿主細胞である。組換え融合ポリペプチドの産生のために当該技術分野に周知の方法(例えば、Sambrookら, 1987; Ausubelら, 1987)で有用な宿主細胞は、本明細書に論じる考察を踏まえれば、本発明の方法で使用するのにしばしば適している。
【0213】
[00264]適切な原核生物宿主細胞は、真正細菌、例えばグラム陰性またはグラム陽性生物、例えば大腸菌などの腸内細菌科(Enterobacteriaceae)を含む。多様な大腸菌株が公的に入手可能であり、例えば大腸菌K12株MM294(ATCC 31,446);大腸菌X1776(ATCC 31,537);大腸菌株W3110(ATCC 27,325)およびK5 772(ATCC 53,635)、およびDH5α−E(Invitrogen)がある。他の適切な原核宿主細胞には、他の腸内細菌科、例えばエシェリキア属(Escherichia)種、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、サルモネラ属(Salmonella)、例えばネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、セラチア属(Serratia)、例えばセラチア・マルセセンス(Serratia marcescans)、およびシゲラ属(Shigella)、ならびにバチルス属(Bacilli)、例えば枯草菌(B. subtilis)およびB.リケニフォルミス(B. licheniformis)、シュードモナス属(Pseudomonas)、例えば緑膿菌、および放線菌類(Actinomycetes)、例えばストレプトミセス属(Streptomyces)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)およびマイコバクテリウム属(Mycobaterium)が含まれる。
【0214】
[00265]いくつかの態様において、大腸菌株W3110は、組換えDNA産物発酵のための一般的な宿主株であるため、これを用いてもよい。好ましくは、宿主細胞は、タンパク質分解酵素の最小量を分泌する。例えば、株W3110を修飾して、宿主に内因性であるタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子突然変異を達成してもよく、こうした宿主の例には、完全遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169 degP ompT kanrを有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,244);完全遺伝子型tonA ptr3 phoA El5(argF−lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kanrを有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失突然変異を伴う株37D6である大腸菌W3110株40B4が含まれる。
【0215】
[00266]いくつかの態様において、好ましくは、リポ多糖内毒素を産生しないか、または低レベルしか産生しない細菌宿主を用いてもよい。例えば、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)株MG1363およびラクトコッカス・ラクティス下位種クレモリス(Lactococcus lactis subspecies cremoris)NZ9000を含むラクトコッカス・ラクティス株が使用可能である。
【0216】
[00267]原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物が、本発明の方法で使用するのに適したクローニングまたは発現宿主である。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、一般的に用いられる真核宿主微生物である。その他には、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(BeachおよびNurse, 1981; EP 139,383)、クロイベロミセス属(Kluyveromyces)宿主(米国特許第4,943,529号; Fleerら, 1991)、例えばK.ラクティス(K. lactis)(MW98−8C、CBS683、CBS4574; Louvencourtら, 1983)、K.フラジリス(K. fragilis)(ATCC 12,424)、K.ブルガリクス(K. bulgaricus)(ATCC 16,045)、K.ウィッカーラミイ(K. wickeramii)(ATCC 24,178)、K.ワルティイ(K. waltii)(ATCC 56,500)、K.ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATCC 36,906; Van den Bergら, 1990)、K.テルモトレランス(K. thermotolerans)、およびK.マルキシアヌス(K. marxianus);ヤロウイア属(yarrowia)(EP 402,226);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(EP 183,070; Sreekrishnaら, 1988);カンジダ属(Candida); トリコデルマ・リーシア(Trichoderma reesia)(EP 244,234);アカパンカビ(Neurospora crassa)(Caseら, 1979);シュワニオミセス属(Schwanniomyces)、例えばシュワニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)(EP 394,538 1990年10月31日公開);ならびに糸状菌、例えばアカパンカビ属(Neurospora)、青カビ属(Penicillium)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)(WO 91/00357 1991年1月10日公開)、およびアスペルギルス属(Aspergillus)宿主、例えばA.ニデュランス(A. nidulans)(Ballanceら, 1983; Tilburnら, 1983; Yeltonら, 1984)およびクロコウジカビ(A. niger)(KellyおよびHynes, 1985)が含まれる。メチロトローフ酵母は、本明細書において適切であり、そしてハンセヌラ属(Hansenula)、カンジダ属、クロエケラ属(Kloeckera)、ピキア属、サッカロミセス属、トルロプシス属(Torulopsis)、およびロドトルラ属(Rhodotorula)からなる属より選択される、メタノール上で増殖可能な酵母を含む。酵母のこのクラスの例示である特定の種のリストが、Anthony, 1982に見出されうる。
【0217】
[00268]無脊椎宿主細胞の例には、ショウジョウバエ属(Drosophila)S2およびスポドプテラ属(Spodoptera)Sf9などの昆虫細胞、ならびに、ワタ(cotton)、トウモロコシ(corn)、ジャガイモ(potato)、ダイズ(soybean)、ペチュニア(petunia)、トマト(tomato)、およびタバコ(tobacco)の細胞培養などの植物細胞が含まれる。多くのバキュロウイルス株および変異体、ならびにスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)、およびカイコ(Bombyx mori)などの宿主由来の対応する許容昆虫宿主細胞が同定されてきている。トランスフェクションのための多様なウイルス株、例えばオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL−1変異体、およびカイコNPVのBm−5株が公的に入手可能であり、そしてこうしたウイルスは、本発明にしたがって、本明細書において、ウイルスとして、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションに使用可能である。
【0218】
[00269]有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓株(293または懸濁培養中での増殖のため、サブクローニングされた293細胞、Grahamら, J. Gen Virol. 36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaubら, 1980);マウス・セルトリ細胞(TM4、Mather, 1980);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル(African green monkey)腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット(buffalo rat)肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51); TRI細胞(Matherら, 1982); MRC 5細胞; FS4細胞;およびヒト肝細胞腫株(Hep G2)である。
【0219】
[00270]例えば、DNA結合ポリペプチドまたはDNAリガーゼ・ポリペプチドが、1またはそれより多い翻訳後修飾、例えばグリコシル化を必要とする場合、真核細胞株、そして特に哺乳動物細胞株が、好ましいであろう。例えば、1またはそれより多いDNA結合ポリペプチドは、最適活性を有するために、翻訳後修飾を必要とする可能性もあり、そしてしたがって、こうした翻訳後修飾が可能な発現宿主において、有用に発現されうる。
【0220】
[00271]1つの態様において、宿主細胞は、酸化性細胞質ゾルを伴う、例えば大腸菌オリガミ(Origami)株(Novagen)である。
[00272]別の態様において、宿主細胞は、還元性細胞質ゾルを伴う細胞、好ましくは大腸菌である。
【0221】
[00273]融合ポリペプチドはまた、in vitroでも形成可能である。好ましくは、細胞不含発現系を用いる。本明細書に論じる考察を踏まえて、多くの細胞不含翻訳系は、商業的に入手可能であり、そして本発明の融合ポリペプチドの産生において使用するのに適している。
【0222】
[00274]適切な場合、固定金属アフィニティ精製を含む、遠心分離、ろ過、またはアフィニティ・クロマトグラフィを用いて、溶解細胞から融合ポリペプチドを精製してもよい。
【0223】
[00275]融合ポリペプチドが産生される条件を調節することによって、融合ポリペプチドの発現特性に影響を及ぼすか、またはこれを調節することも可能であることが認識されるであろう。これには、例えば、宿主細胞が維持される条件、例えば温度、基質の存在等が含まれる。
【0224】
[00276]本発明のいくつかの態様において、宿主細胞において発現構築物の過剰発現を達成することが望ましい。特定の発現構築物を過剰発現させるための機構は、当該技術分野に周知であり、そして構築物自体、構築物を発現させようとする宿主細胞、および過剰発現が望ましいかまたは必要とされる度合いを含む他の要因に応じるであろう。例えば、i)強いプロモーター系、例えば原核宿主におけるT5プロモーター系またはT7 RNAポリメラーゼ・プロモーター系の使用;ii)高コピー数プラスミド、例えばcolE1複製起点を含有するプラスミドの使用;あるいはiii)例えば融合配列の使用を通じたメッセンジャーRNAの安定化、あるいはiv)例えば、リボソーム結合部位、または終結部位のコドン使用の最適化を通じた翻訳の最適化等によって、過剰発現を達成してもよい。過剰発現の利点は、融合ポリペプチドのより高い収量の産生が可能になりうることである。
【0225】
6.本発明の融合ポリペプチドの使用
[00277]本発明は、核酸に結合する際の、またはホスホジエステル結合形成を触媒する際の改善された効率を含む1またはそれより多い改善された活性を示すか、あるいは1またはそれより多い改善された特性、例えば改善された安定性、変性、分解または不活性化に対する改善された耐性を示すか、あるいは改善された活性および改善された特性の両方を示す、融合ポリペプチドを提供する。その結果、本発明の融合ポリペプチドは、ホスホジエステル結合形成が望ましいかまたは必要とされる任意の適用において、有用性を有する。本発明の融合ポリペプチドを配置可能な、例示的な限定されない使用例には、以下が含まれる。
【0226】
クローニング
[00278]クローニングは、核酸配列を複製し、そして/または組換える際、分子生物学者が利用して、例えば組換えタンパク質の産生を補助可能な発現ベクターを生成するか、またはDNA配列決定を促進するなどの、一組の技術に関する、当該技術分野に認識される用語である。クローニングは、遺伝子同定、タンパク質性質決定、遺伝子フィンガープリンティングから、大規模タンパク質産生までに渡る非常に多様な適用において使用される。タンパク質発現、タグ化、一本鎖RNAおよびDNA産生、ならびに多くの他の操作を可能にする、関心対象の核酸断片をクローニング可能な、非常に多様な特殊化ベクターが存在する。任意のDNA断片のクローニングは、本質的に、4つの工程を伴う:1)断片化−DNAの鎖または二重鎖の分断;2)連結−DNAピースをともに付着させる;3)トランスフェクションまたは形質転換−新規に形成されたDNAピースの宿主細胞への挿入;4)スクリーニングまたは選択−新規に形成されたDNAピースで成功裡にトランスフェクションされた細胞の選択。
【0227】
[00279]これらの工程は、クローニング法の中で不変であるが、いくつかの代替経路を選択可能であり、これらは「クローニング戦略」と要約される。
連結ビット分析
[00280]連結ビット分析を用いて、一塩基多型などの、特定の多型部位でのヌクレオチドの同一性が決定されてきている。この分析は、プライマー間の1ヌクレオチドギャップを持つターゲットにハイブリダイズする2つのプライマーを必要とする。4つのヌクレオチド各々を、DNAポリメラーゼ、リガーゼ、ターゲットDNAおよびプライマーを含有する、別個の反応混合物に添加する。ポリメラーゼは、SNPに相補的な第一のプライマーの3’端にヌクレオチドを付加し、そして次いで、リガーゼが2つの隣接プライマーをともに連結する。試料を加熱すると、連結が起こっていた場合は、ここで、より大きいプライマーはハイブリダイズしたままであり、そしてシグナル、例えば蛍光が検出可能である。これらの方法のさらなる考察が、米国特許第5,919,626号;第5,945,283号;第5,242,794号;および第5,952,174号に見られうる。
【0228】
mRNAディスプレイ
[00281]mRNAディスプレイにおいて、mRNA変異体の巨大ライブラリーが、in vitroで転写され、そして翻訳される。遺伝子変異体の各々は、3’端に共有結合したピューロマイシン部分を有する。翻訳中のリボソームがmRNAテンプレートの3’端に到達すると、ピューロマイシン部分がリボソームのA部位に進入し、そして産生中のポリペプチド内に取り込まれる。その結果、下流スクリーニングおよび選択実験で使用可能なmRNA−ポリペプチド融合物が生じる。mRNAディスプレイライブラリーを調製する際に非常に重要な工程は、3’ピューロマイシン・オリゴヌクレオチド・スペーサーに対するmRNAテンプレートの連結である。この場合、DNAリガーゼを用いて、通常、連結接合部に渡る一本鎖DNA「スプリント」の補助を伴って、一本鎖RNA分子を一本鎖DNAスペーサーに連結する。該方法のさらなる考察は、Liuら(2000), Methods in Enzymology, 318, 268−293ならびに米国特許第6,214,553号および第6,207,446号に見られうる。
【0229】
[00282]本発明はまた、本発明にしたがった使用のためのキットの調製も予期する。適切なキットには、チューブ、バイアル、ならびにシュリンクラップおよびブロー成形パッケージを含む、適切な容器およびパッケージング材料中の、本発明にしたがって使用するための多様な試薬が含まれる。
【0230】
[00283]本発明にしたがった例示的キット中に包含するのに適した材料は、1またはそれより多い本発明の融合ポリペプチド、あるいは本発明の1またはそれより多い組成物、本発明の融合ポリペプチドの基質を含み、例えば1またはそれより多い陽性対照(その例は本明細書に援用される)、緩衝剤、補因子、および本発明の融合ポリペプチドの有効活性に必要な他の試薬を含む。
【0231】
[00284]特に予期されるのは、マイクロ流体デバイス、マイクロキュベット、マイクロアレイ、ポリマービーズ、磁気粒子を含むナノまたはマイクロ粒子等などの1またはそれより多い固体支持体に結合した、本発明の1またはそれより多いポリペプチドまたは組成物を含むキットである。キットはまた、アッセイし、そして試験試料を含有するものと比較可能である、対照試料または一連の対照試料も含有してもよい。キットを用いて行ったアッセイまたは反応の結果を解釈するための使用説明書とともに、キットの各構成要素は、個々の容器内に被包されてもよく、そして多様な容器のすべては、単一のパッケージ内にあってもよい。
【0232】
[00285]本発明は、前述のものからなり、そしてまた以下に例のみを提供する構築物も含む。
【実施例】
【0233】
実施例1−プラスミドの構築および融合ポリペプチドの産生
[00286]本実施例は、以下の表1に列挙するような、多様なDNA結合ポリペプチドに融合した、T4 DNAリガーゼ(リガーゼ)または大腸菌リガーゼ(LigA)を含む融合ポリペプチドの、大腸菌における産生のためのプラスミドの構築を記載する。互いに対するリガーゼ活性を含むポリペプチドおよびDNA結合活性を含むポリペプチドの配向を、融合ポリペプチドの名称において、ポリペプチドが列挙される順序によって表す−例えばp50−リガーゼは、T4 DNAリガーゼ・ポリペプチドのN末端に(場合によって連結ポリペプチドを介して)融合したp50 DNA結合ポリペプチドを含む融合ポリペプチドを指し、一方、リガーゼ−p50は、p50 DNA結合ポリペプチドのN末端に(やはり場合によって連結ポリペプチドを介して)融合したT4 DNAリガーゼ・ポリペプチドを含む融合ポリペプチドを指す。
【0234】
表1:リガーゼ−DNA結合融合ポリペプチド
【0235】
【表1】

【0236】
材料および方法
1.大腸菌株DH5α−Eの増殖
[00287]大腸菌株DH5α−E(Invitrogen)をすべての実験に用いた。以下に記載する箇所を除いて、標準条件下(LB培地、37℃インキュベーション)で細胞を増殖させた。
【0237】
2.プラスミドの構築
[00288]本明細書で用いる代表的なプラスミドよびオリゴヌクレオチドを表2に列挙する。
【0238】
[00289]ヒトNF−カッパBのアミノ酸40〜366(すなわちp50)をコードするDNA断片を、オリゴヌクレオチドプライマーp50_Sfi.for(配列番号1)およびp50−リガーゼ.rev(配列番号2)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、プラスミドpRES112から増幅した。T4 DNAリガーゼをコードするDNA断片を、オリゴヌクレオチドプライマーp50−リガーゼ.for(配列番号3)およびリガーゼ_Sfi.rev(配列番号4)を用いたPCRにおいて、プラスミドpET14b−リガーゼから増幅した。プライマーp50_Sfi.for(配列番号1)およびリガーゼ_Sfi.rev(配列番号4)を用いた重複組み立てPCR(参考文献: Hortonら(1989) Gene, 77, 61−68)を用いて、p50遺伝子およびリガーゼ遺伝子を一緒にスプライシングして、p50−リガーゼ融合ポリペプチドをコードする遺伝子を生じた。組み立てたp50−リガーゼ遺伝子を、制限酵素SfiIで消化して、そして発現ベクターpCA24N(同じ制限酵素で処理されているもの)に連結して、pCA24N−p50−リガーゼを生じた。T5−lacプロモーターおよび(His)タグ(どちらもベクターにコードされているもの)を含む完全発現構築物を配列番号5として記載し、そして融合ポリペプチドの得られるアミノ酸配列を、配列番号6として配列IDリストに示す。
【0239】
[00290]Gene Designerソフトウェア・パッケージ(Villalobosら(2006), BMC Bioinformatics, 7, 285)を用いて、大腸菌における発現増進のために、デイノコッカス・ラディオデュランス由来のpprA遺伝子を最適化した。これは発現されるタンパク質のアミノ酸配列(GenBank寄託番号BAA21374)を変化させないが、pprA遺伝子配列内に、164の同義の突然変異を導入した。隣接する制限部位(BamHIおよびSpeI)を伴う最適化された遺伝子は、DNA 2.0(カリフォルニア州メンロパーク)によって合成され、そしてそのクローニングベクター、pJ204中で供給された。コドン最適化されたpprA遺伝子を、制限酵素BamHIおよびSpeIでの消化によって、pJ204−pprAより除去した。同じ制限酵素での消化によって、pCA24N−p50−リガーゼからp50部分を除去した(配列番号5を参照されたい)。消化したpprA挿入物を、リガーゼ含有pCA24N骨格に連結して、pCA24N−pprA−リガーゼを得た。T5−lacプロモーターおよび(His)タグ(どちらもベクターにコードされる)を含む完全発現構築物を配列番号7として記載し、そして融合ポリペプチドの得られるアミノ酸配列を、配列番号8として配列IDリストに示す。
【0240】
[00291]Gene Designerソフトウェア・パッケージ(Villalobosら(2006), BMC Bioinformatics, 7, 285)を用いて、大腸菌における発現増進のために、スルホロブス・ソルファタリカス由来のsso7d遺伝子を最適化した。これは発現されるタンパク質のアミノ酸配列(GenBank寄託番号NP_343889)を変化させないが、pprA遺伝子配列内に、47の同義の突然変異を導入した。sso7d遺伝子の5’末端から4つのコドンを欠失させた。隣接する制限部位(BamHIおよびSpeI)を伴う最適化された遺伝子は、Integrated DNA Technologies(アイオワ州コーラルビル)によって合成され、そしてそのクローニングベクター、pIDTSmart中で供給された。コドン最適化されたsso7d遺伝子を、制限酵素BamHIおよびSpeIでの消化によって、pIDTSmart−sso7dより除去した。同じ制限酵素での消化によって、pCA24N−p50−リガーゼからp50部分を除去した(配列番号5を参照されたい)。消化したsso7d挿入物を、リガーゼ含有pCA24N骨格に連結して、pCA24N−sso7d−リガーゼを得た。T5−lacプロモーターおよび(His)タグ(どちらもベクターにコードされる)を含む完全発現構築物を配列番号9として記載し、そして融合ポリペプチドの得られるアミノ酸配列を、配列番号10として配列IDリストに示す。
【0241】
[00292]ヒトNF−カッパBのアミノ酸40〜366(すなわちp50)をコードするDNA断片を、オリゴヌクレオチドプライマー、リガーゼ−p50.for(表2、配列番号11を参照されたい)およびp50_Sfi.rev(表2、配列番号12を参照されたい)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、プラスミドpRES112から増幅した。T4 DNAリガーゼをコードするDNA断片を、オリゴヌクレオチドプライマー、リガーゼ_Sfi.for(表2、配列番号13を参照されたい)およびリガーゼ−p50.rev(表2、配列番号14を参照されたい)を用いたPCRにおいて、プラスミドpET14b−リガーゼから増幅した。プライマー、リガーゼ_Sfi.for(配列番号13)およびp50_Sfi.rev(配列番号12)を用いた重複組み立てPCR(参考文献: Hortonら(1989) Gene, 77, 61−68)を用いて、リガーゼ遺伝子およびp50遺伝子を一緒にスプライシングして、リガーゼ−p50融合ポリペプチドをコードする遺伝子を生じた。組み立てたリガーゼ−p50遺伝子を、制限酵素SfiIで消化して、そして発現ベクターpCA24N(同じ制限酵素で処理されているもの)に連結して、pCA24N−リガーゼ−p50を生じた。T5−lacプロモーターおよび(His)タグ(どちらもベクターにコードされる)を含む完全発現構築物を配列番号15として記載し、そして融合ポリペプチドの得られるアミノ酸配列を、配列番号16として配列IDリストに示す。
【0242】
表2.プラスミドおよびオリゴヌクレオチド
【0243】
【表2−1】

【0244】
【表2−2】

【0245】
3.融合ポリペプチドの産生および単離
[00293]プラスミドpCA24N−p50−リガーゼ、pCA24N−pprA−リガーゼ、pCA24N−sso7d−リガーゼおよびpCA24N−リガーゼ−p50を大腸菌DH5α−E細胞内に導入し、そして形質転換体を融合ポリペプチドの産生に適した条件下で培養した(28℃、0.4mMの濃度まで添加されたIPTGを含む)。細胞をペレットにし、カラム緩衝液(CB: 40mM Tris−HCl、pH8.0; 300mM塩化ナトリウム; 10mMイミダゾール; 10%グリセロール;および1mMベータ−メルカプトエタノール)に再懸濁し、そして超音波によって溶解した。清澄な溶解物を、コバルトに基づく金属アフィニティ樹脂(Talon、Clontech)に適用した。洗浄して、非(His)6タグ化細胞性タンパク質を除去した後、150mMイミダゾールを含有するCBで、(His)6タグ化融合ポリペプチドを溶出させた。溶出分画をプールし、そして保存緩衝液(50mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.8; 200mM塩化ナトリウム; 10%グリセロール)に対して徹底的に透析した。
【0246】
4.リガーゼ活性
[00294]3つのアッセイ−アガロースゲルに基づくアッセイ(実施例2および3を参照されたい)、細胞形質転換アッセイ(実施例4を参照されたい)および定量的PCRアッセイ(実施例5を参照されたい)を用いて、融合ポリペプチドのリガーゼ活性を決定した。
【0247】
実施例2−T4 DNAリガーゼ融合タンパク質の連結活性の分析
ゲルに基づく活性アッセイ
[00295]付着端連結に関しては、プラスミドpCA24N−ompCを、プライマーpCA24N.for(5’−GATAACAATTTCACACAGAATTCATTAAAGAG−3’,[配列番号19])およびpCA24N.rev(5’−CCCATTAACATCACCATCTAATTCAAC−3’[配列番号20])で増幅することによって、1,277bpのPCR産物を生成した。制限酵素SpeIでPCR産物を切断して、非常に類似のサイズ(638bpおよび639bp)の2つの直鎖断片を生じた。切断反応の2つの産物を同時精製し、そして多様なリガーゼ・タンパク質の存在下または非存在下でインキュベーションした。150ngの基質DNAを、20pmolの酵素と16℃で10分間インキュベーションした。65℃でさらに15分間加熱することによって、反応を停止した。Qiagen MinEluteカラムを用いて試料を精製し、そして次いで、アガロースゲル上で泳動することによって、リガーゼ活性を決定した。1,277bpの連結産物の出現、および638/639bpの基質バンドの消滅として、活性を測定した。
【0248】
[00296]平滑端連結に関しては、制限酵素SfiIおよびSmaIで、プラスミドpCA24N−tigを切断し、3つの直鎖断片(5,232bp、717bpおよび589bp)を生じた。717bp断片を精製し、そして150ngのDNAを、20pmolのリガーゼ酵素と16℃で20分間インキュベーションすることによって連結アッセイで用いた。65℃でさらに15分間加熱することによって、反応を停止した。Qiagen MinEluteカラムを用いて試料を精製し、そして次いで、アガロースゲル上で泳動することによって、リガーゼ活性を決定した。1,434bpの連結産物の出現、および717bpの基質バンドの消滅として、活性を測定した。
【0249】
結果
[00297]多様な融合ポリペプチドの付着端および平滑端連結活性を、それぞれ、図1aおよび1bに示す。図1aのレーン2、4、5および11に示される単一バンド(1,277bp)は、Sso7d−リガーゼ、リガーゼ−cTF、p50−リガーゼ、およびリガーゼ−PprA融合タンパク質の非常に有効な付着端連結活性を示す。1,277bpバンドはまた、レーン3、6〜8、および10で非常に明らかであり、これらの融合ポリペプチドがやはり、頑強な付着端リガーゼ活性を有することを示した。上記の融合ポリペプチドの大半で観察されたものよりも低いが、T4 DNAリガーゼ対照で、連結活性が観察された(図1a、レーン14)。
【0250】
[00298]図1bにおいて、単一バンド(1,434bp)がレーン3および4に示され、リガーゼ−cTFおよびp50−リガーゼ融合タンパク質の非常に有効な平滑端連結活性が示される。1,434bpバンドはまた、レーン1、5、6、10および11で非常に明らかであり、これらの融合ポリペプチドがやはり、頑強な平滑端リガーゼ活性を有することを示した。T4 DNAリガーゼ対照では、上記の融合ポリペプチドで観察されたものより顕著に低い、最小限の平滑端連結活性しか観察されなかった(図lb、レーン14)。
【0251】
考察
[00299]上記のゲルに基づくアッセイの結果は、融合パートナーの選択および融合の性質が、DNAリガーゼの活性を調節可能であることを示す。
【0252】
[00300]特に、付着端連結に関しては、T4 DNAリガーゼとSso7d、cTF、p50およびPprA DNA結合タンパク質の融合は、DNA結合タンパク質融合を欠く、T4 DNAリガーゼに比較して、顕著に改善された連結活性を示した。平滑端連結活性は、リガーゼがcTFおよびp50タンパク質に融合した際、特に改善された。
【0253】
実施例3−大腸菌LigA融合タンパク質の連結活性の分析
ゲルに基づく活性アッセイ
[00301]付着端連結のため、170ngのSpeI消化ompC基質(実施例2に記載するとおり)を、20pmolの各LigA酵素と16℃で17時間インキュベーションした。反応を熱停止し(65℃、15分間)、そしてアガロースゲル上で泳動した。LigA−p50およびp50−LigA融合ポリペプチドに加えて、天然LigAリガーゼおよび3つの対照試料もまたアッセイした。
【0254】
・陽性対照−商業的に入手可能なT4 DNAリガーゼ(Fermentas)
・陰性対照−リガーゼ添加なし
・商業的対照−1μLの大腸菌LigA(New England Biolabs)
[00302]平滑端連結のため、120ngのSfiI/SmaI消化tig基質(実施例2に記載するとおり)を、20pmolの各酵素と16℃で17時間インキュベーションした。反応を熱停止し(65℃、15分間)、そしてアガロースゲル上で泳動した。
【0255】
結果
[00303]LigA融合タンパク質の付着端および平滑端連結活性を、それぞれ、図2aおよび2bに示す。天然LigAは、平滑端連結に関して、商業的に入手可能なLigA酵素に匹敵する活性を示した(図2a、レーン2および8)。p50 DNA結合タンパク質への融合(図2a、レーン3および4)は、非融合LigAに比較して、連結活性に対する改善を示した。
【0256】
[00304]予期されるように、商業的に入手可能なLigA酵素は、平滑端アッセイにおいて、無視できる程度の活性を示した(図2b、レーン8)。天然LigAは、わずかな活性を示した(図2b、レーン2)。LigA−p50融合構築物で、平滑端アッセイにおける頑強な連結活性が示されたが、p50−LigA融合物では示されなかった。
【0257】
[00305]付着端および平滑端アッセイの両方で、T4 DNAリガーゼ陽性対照は優れた活性を示した。陰性対照試料では、活性はまったく観察されなかった。
考察
[00306]当該技術分野で認識されるように、大腸菌LigAは、T4 DNAリガーゼと比較して、減少した連結活性を示す。しかし、DNA結合ポリペプチドをLigAに融合させると、連結活性が改善され、そして実際、LigAのC末端にp50 DNAポリペプチドを融合させると、LigAに平滑端連結活性が与えられ、ここで、天然酵素では平滑端連結活性はまったく観察されなかった。
【0258】
実施例4−形質転換アッセイ
形質転換アッセイ
[00307]プラスミドpCA24N−ompCをHindIIおよびSpeI制限酵素で直線化して、相補性付着端を伴う5,032bpベクター主鎖および1,311bp挿入断片を産生した。直線化プラスミド(100ngの脱リン酸化ベクターおよび78ngの挿入物断片)を、上記のように産生されたp50−リガーゼ、リガーゼ−PprA、Sso7d−リガーゼ、またはT4 DNAリガーゼの存在下または非存在下でインキュベーションした。16℃で60分間インキュベーションした後、QiaQuick PCR精製キット(Qiagen)を用いて各試料を精製し、そしてアリコットを用いて、大腸菌DH5α−E細胞を形質転換した。クロラムフェニコールを含有するLB培地上に、形質転換細胞をプレーティングし、そして37℃で一晩インキュベーションした。各プレート上のコロニー数を測定し、そしてこれは、再環状化されたプラスミド分子の数に正比例し、そしてしたがって、リガーゼ融合タンパク質の活性に正比例した。
【0259】
結果
[00308]形質転換アッセイの結果を以下の表3に示す。T4 DNAリガーゼおよびリガーゼ−PprA融合タンパク質は、Sso7d−リガーゼおよびp50−リガーゼ融合タンパク質より性能が優れていることが示された。陰性対照において、わずかな数のコロニーが観察された。
【0260】
表3:形質転換アッセイ
【0261】
【表3】

【0262】
実施例5−定量的PCR(qPCR)を用いた連結活性の分析
[00309]本実施例は、多様な融合ポリペプチドのリガーゼ活性を定量化するためのqPCRの使用を記載する。
【0263】
材料および方法
[00310]付着端連結のため、実施例2に上述する切断されたPCR産物(SpeI消化ompC)を、多様なリガーゼ融合タンパク質の存在下でインキュベーションした。第一の実験において、40ng基質を、20pmolのp50−リガーゼ、リガーゼ−p50、PprA−リガーゼ、Sso7d−リガーゼまたはT4 DNAリガーゼいずれかとインキュベーションした。第二の実験において、420ngの基質を1pmolのリガーゼ−cTF、リガーゼ−PprA、p50−リガーゼ、またはSso7d−リガーゼのいずれかとインキュベーションした。16℃で10分間インキュベーションした後、QiaQuick PCR精製キット(Qiagen)を用いて、各試料を脱塩した。陽性対照反応は、16℃で16時間インキュベーションした(連結反応が完了するのを可能にするため)PCR産物およびT4 DNAリガーゼからなった。陰性対照反応は、いかなるリガーゼ・タンパク質も欠いていた。連結部位に渡る165bp断片を増幅するプライマーを用いたqPCRによって、各反応中の連結産物量(そしてしたがって各リガーゼの活性)を測定した。SYBRグリーン(Bio−Rad)を結合させることによって、各qPCR中の産物を検出した。qPCRプライマー: ompC.for、5’−GGCTTCGCGACCTACCGTAACACTGAC−3’[配列番号17]; ompC.rev、5’−GCCGACGCCGTCGCCGTTTTGAC−3’[配列番号18]。
【0264】
[00311]平滑端連結のため、SfiI/SmaI消化tig基質(実施例2に記載するとおり)を、同じリガーゼ融合酵素(リガーゼ−cTF、リガーゼ−PprA、p50−リガーゼ、またはSso7d−リガーゼ)とインキュベーションした。各反応のため、100ngの基質を1pmolの酵素と16℃で5時間インキュベーションした。反応を熱停止し(65℃、15分間)、断片を精製し、そしてアガロースゲル上で泳動した。
【0265】
結果
[00312]qPCR実験の結果を図3および4に示す。データは、3回の独立の実験の平均(+/−SEM)に相当し、各々は、3つ組でアッセイした試料からなった。各実験のため、すべての活性を陽性対照反応(すなわち10分間ではなく、16時間実行した連結反応)の活性に対して規準化した。実験1において、最も活性である融合タンパク質はp50−リガーゼおよびPprA−リガーゼ(図3)であり、これらは基質のおよそ60%を連結可能であった。実験2において、最も活性である融合タンパク質は、T4 DNAリガーゼ、リガーゼ−cTFおよびリガーゼ−PprA(図4)であり、これらは、およそ62%〜69%の間の基質DNA分子を連結可能であった。対照的に、Sso7d−リガーゼは、基質のおよそ30%を連結可能であった。
【0266】
[00313]平滑端連結のためのゲルに基づくアッセイの結果を図5に示す。Sso7d−リガーゼ(レーン1)およびT4 DNAリガーゼ(レーン5)に関しては、無視できる連結しか観察されなかった。リガーゼ−PprA(レーン3)に関しては、わずかな量の連結活性が観察され、一方、p50−リガーゼ(レーン2)およびリガーゼ−cTF(レーン4)は、最大の活性を示した。
【0267】
考察
[00314]上記のqPCRアッセイは、DNAリガーゼの連結活性が、該リガーゼをDNA結合ポリペプチドに融合することによって改善可能であることのさらなる確証を提供する。p50−リガーゼ、リガーゼ−cTFおよびリガーゼ−PprA融合ポリペプチドに関して、リガーゼ単独に比較して2倍の改善が観察された。さらに、融合ポリペプチドの性質−DNA結合ポリペプチドの同一性およびリガーゼ・ポリペプチドに対するDNA結合ポリペプチドの配向−が、融合ポリペプチドの連結活性に影響を及ぼす。
【0268】
産業上利用性
[00315]本発明の融合ポリペプチドおよび方法は、広い範囲の分子生物学的技術、ならびに診断、タンパク質産生、薬学、栄養学および医学分野における適用において、有用性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、単離、精製、または組換え融合ポリペプチド。
【請求項2】
少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドの少なくとも1つが、DNAリガーゼ・ポリペプチドである、請求項1の融合ポリペプチド。
【請求項3】
少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドの少なくとも1つが、RNAリガーゼ・ポリペプチドである、請求項1の融合ポリペプチド。
【請求項4】
少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドの少なくとも1つがDNA結合ポリペプチドである、請求項1〜3のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項5】
少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドの少なくとも1つがRNA結合ポリペプチドである、請求項1〜4のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項6】
DNAリガーゼ・ポリペプチドが、原核DNAリガーゼ、原核DNAリガーゼ変異体、またはその機能性断片である、請求項2〜5のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項7】
DNAリガーゼ・ポリペプチドが、細菌DNAリガーゼ、細菌DNAリガーゼ変異体、またはその機能性断片である、請求項6の融合ポリペプチド。
【請求項8】
DNAリガーゼ・ポリペプチドが、大腸菌(E. coli)DNAリガーゼ・ポリペプチドまたはその機能性変異体または機能性断片であるか、あるいはこれらを含む、請求項7の融合ポリペプチド。
【請求項9】
DNAリガーゼ・ポリペプチドが、バクテリオファージDNAリガーゼ、その変異体または機能性断片を含む、ウイルスDNAリガーゼ、ウイルスDNAリガーゼ変異体、またはその機能性断片である、請求項2〜5のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項10】
DNAリガーゼ・ポリペプチドが、T4 DNAリガーゼ、またはその機能性変異体または機能性断片であるか、あるいはこれらを含む、請求項9の融合ポリペプチド。
【請求項11】
DNAリガーゼ・ポリペプチドが、真核DNAリガーゼ、その機能性変異体、または機能性断片である、請求項2〜5のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項12】
DNAリガーゼ・ポリペプチドが、真菌DNAリガーゼ、哺乳動物DNAリガーゼ、またはその機能性変異体または機能性断片である、請求項11の融合ポリペプチド。
【請求項13】
少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドの少なくとも1つが、配列非特異的DNA結合ポリペプチドである、請求項1〜12のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項14】
少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドの少なくとも1つが、配列特異的DNA結合ポリペプチドである、請求項1〜12のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項15】
DNA結合ポリペプチドが、染色体タンパク質、ヒストン、HMf様タンパク質、および古細菌(archeal)低分子塩基性DNA結合タンパク質を含む群より選択される、請求項4〜14のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項16】
DNA結合ポリペプチドが
デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)のPprAタンパク質(GenBank寄託番号BAA21374);
ヒト(Homo sapiens)由来のNF−カッパBタンパク質(GenBank寄託番号NP_003989)、または1もしくはそれより多いその断片、例えばNF−カッパB p50タンパク質、もしくはヒトNF−カッパBタンパク質のアミノ酸40〜366を含む断片を含む、哺乳動物NF−カッパBタンパク質;
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来のKuタンパク質(GenBank寄託番号NP_215452);
スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)由来のSso7dタンパク質(GenBank寄託番号NP_343889);
スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)由来のSac7dタンパク質(GenBank寄託番号P13123);
デイノコッカス・ラディオデュランスのDdrAタンパク質;
哺乳動物NFATcタンパク質、例えば、マウス(Mus musculus)由来のNFATc1タンパク質(GenBank寄託番号NP_058071)、またはマウス由来のNFATc1タンパク質のアミノ酸403〜703を含む断片を含む1もしくはそれより多い機能性断片、または1もしくはそれより多い機能性変異体;
あるいは1もしくはそれより多いその相同体、機能性変異体もしくは機能性断片、またはその2もしくはそれより多い組み合わせ
を含む群より選択される、請求項4〜15のいずれか1項の融合ポリペプチド。
【請求項17】
DNA結合ポリペプチドがNFAT−Ala−p50ハイブリッドDNA結合タンパク質(cTF)である、請求項16の融合ポリペプチド。
【請求項18】
DNAリガーゼがT4 DNAリガーゼである、請求項16または17の融合ポリペプチド。
【請求項19】
DNA結合ポリペプチドが、PprA、Sso7d、およびp50より選択される、請求項16または請求項18の融合ポリペプチド。
【請求項20】
T4 DNAリガーゼおよびp50を含む、請求項19の融合ポリペプチド。
【請求項21】
配列番号6、8、10、または16の1つの10またはそれより多い連続アミノ酸を含む、請求項1の融合ポリペプチド。
【請求項22】
融合ポリペプチドが:
配列番号6のアミノ酸18〜344;
配列番号8のアミノ酸18〜300;
配列番号10のアミノ酸18〜79;または
配列番号16のアミノ酸514〜842
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続アミノ酸;
および:
配列番号6のアミノ酸358〜843;
配列番号8のアミノ酸311〜796;
配列番号10のアミノ酸90〜575;または
配列番号16のアミノ酸18〜503
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続アミノ酸
を含む、請求項21の融合ポリペプチド。
【請求項23】
実施例に関連して本明細書に記載されるような、請求項1の融合ポリペプチド。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に請求するような融合ポリペプチドをコードする、単離、精製または組換えポリペプチド。
【請求項25】
配列番号5、7、9、および15の1つの10またはそれより多い連続するヌクレオチドを含む、単離、精製または組換えポリヌクレオチド。
【請求項26】
ポリヌクレオチドが:
配列番号5のヌクレオチド166〜1146;
配列番号5のヌクレオチド166〜1185;
配列番号7のヌクレオチド166〜1014;
配列番号7のヌクレオチド166〜1044;
配列番号9のヌクレオチド166〜351;
配列番号9のヌクレオチド166〜381;
配列番号15のヌクレオチド1624〜2640;または
配列番号15のヌクレオチド1654〜2640
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続ヌクレオチド;
および:
配列番号5のヌクレオチド1147〜2643;
配列番号5のヌクレオチド1186〜2643;
配列番号7のヌクレオチド1015〜2502;
配列番号7のヌクレオチド1045〜2502;
配列番号9のヌクレオチド352〜1839;
配列番号9のヌクレオチド382〜1839;
配列番号15のヌクレオチド166〜1623;または
配列番号15のヌクレオチド166〜1653
を含む群より選択される配列由来の少なくとも10の連続ヌクレオチド
を含む、請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項27】
ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
ポリヌクレオチド結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む、発現構築物。
【請求項28】
DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列を含む、請求項27の発現構築物。
【請求項29】
DNA結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列を含む、請求項27または請求項28の発現構築物。
【請求項30】
DNAリガーゼ・ポリペプチドおよびDNA結合ポリペプチドを含む、融合ポリペプチドをコードする、請求項28または29の発現構築物。
【請求項31】
DNAリガーゼ・ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列およびDNA結合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列が、単一オープンリーディングフレームとして存在する、請求項29または30の発現構築物。
【請求項32】
請求項6〜23のいずれか1項に請求されるような融合ポリペプチドをコードする、請求項27〜31のいずれか1項の発現構築物。
【請求項33】
配列番号5、7、9、または15の1つの10またはそれより多い連続ヌクレオチドを含む、請求項27〜32のいずれか1項の発現構築物。
【請求項34】
請求項27〜33のいずれか1項の発現構築物を含むベクター。
【請求項35】
請求項27〜33のいずれか1項の発現構築物または請求項34のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項36】
請求項1〜23のいずれか1項に請求されるような融合タンパク質、請求項24〜26のいずれか1項に請求されるようなポリヌクレオチド、請求項27〜33のいずれか1項に請求されるような発現構築物、請求項34に請求されるようなベクター、または請求項35に請求されるような宿主細胞を含む、組成物。
【請求項37】
融合ポリペプチドを産生するための方法であって:
ポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列;および
ポリヌクレオチド結合ポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列
を含む少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供し;
発現構築物の発現に、そして融合ポリペプチドの形成に適した条件下で、宿主細胞を維持し;そして
宿主細胞から融合ポリペプチドを分離する
工程を含む、前記方法。
【請求項38】
発現構築物が、請求項27〜33のいずれか1項記載の発現構築物である、請求項37の方法。
【請求項39】
1またはそれより多い核酸分子を連結する方法であって、1またはそれより多い融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含む、ここで、1またはそれより多い融合ポリペプチドが、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、前記方法。
【請求項40】
融合ポリペプチドが、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む、請求項39の方法。
【請求項41】
融合ポリペプチドが、少なくとも1つのRNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのRNAリガーゼ・ポリペプチドを含む、請求項39または40の方法。
【請求項42】
核酸分子の1またはそれより多くがDNA分子である、請求項39〜41のいずれか1項の方法。
【請求項43】
1またはそれより多い核酸分子が少なくとも2つのDNA分子である、請求項39〜41のいずれか1項の方法。
【請求項44】
核酸分子の1またはそれより多くがRNA分子である、請求項39〜43のいずれか1項の方法。
【請求項45】
融合ポリペプチドと1またはそれより多い核酸分子を接触させる工程を含む、ホスホジエステル結合の形成を触媒する方法であって、ここで、1またはそれより多い融合ポリペプチドが、少なくとも1つのポリヌクレオチド結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのポリヌクレオチド−リガーゼ・ポリペプチドを含む、前記方法。
【請求項46】
融合ポリペプチドが、少なくとも1つのDNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのDNAリガーゼ・ポリペプチドを含む、請求項45の方法。
【請求項47】
融合ポリペプチドが、少なくとも1つのRNA結合ポリペプチドに融合した少なくとも1つのRNAリガーゼ・ポリペプチドを含む、請求項45の方法。
【請求項48】
ホスホジエステル結合が分子内結合である、請求項45〜47のいずれか1項の方法。
【請求項49】
ホスホジエステル結合が分子間結合である、請求項45〜47のいずれか1項の方法。
【請求項50】
請求項1〜23のいずれか1項に請求されるような融合ポリペプチド、請求項24〜26のいずれか1項に請求されるようなポリヌクレオチド、請求項27〜33のいずれか1項に請求されるような発現構築物、請求項34に請求されるようなベクター、請求項35に請求されるような宿主細胞、または請求項36に請求されるような組成物を、場合によって使用説明書、1またはそれより多い緩衝剤、補因子、陽性対照、陰性対照、基質、あるいは本発明の融合ポリペプチドの活性に必要な他の試薬とともに含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505016(P2013−505016A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529707(P2012−529707)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/NZ2010/000187
【国際公開番号】WO2011/034449
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
【出願人】(504439296)マッシー ユニヴァーシティー (2)
【Fターム(参考)】