説明

融雪制御装置

【課題】道路や屋根等の融雪設備において、融雪遅延時間を自動的に設定できるようにすることで、予熱制御を削減し、低コストで省エネルギーが図れる融雪制御装置を提供する。
【解決手段】融雪制御の開始から地温が予め設定した融雪開始温度になるまでの時間を計測する融雪遅れ時間検出器を具備し、且つ、降雪終了時に融雪遅れ時間検出器の融雪遅れ時間をタイマに加算されて、降雪終了後から融雪遅れ時間を減算する遅延タイマを具備し、降雪中と遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御することを特徴とする融雪制御装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や屋根等の表面近傍に、発熱線や温水パイプ等の発熱体を埋設又は配置し、降雪を検知する降雪センサと、道路や屋根等の温度を検知する地温センサを設置した融雪設備において、道路や屋根等の雪氷を融解し除去するための制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に融雪制御装置は、降雪センサにより降雪を検知すると地温センサにより道路や屋根等を融雪できる地温にして融雪制御を行っているが、融雪制御終了後に道路や屋根等に雪が残ることがあるため、道路や屋根等に雪がなく乾燥している場合でも道路や屋根等を加熱して無駄なエネルギーを消費する予熱制御を行っている。
【0003】
この無駄なエネルギーを消費する予熱制御を削減するため、特許文献1のように降雪強度により融雪設備の発熱量を制御して道路や屋根等に残雪が発生しないようにして予熱を削減する方式があるが、厳寒地域では、最大降雪量に対応した発熱容量の設備を設置すると大規模になり、費用面の問題等で普及していない。
【0004】
また厳寒地域向けとして特許文献2のように、発熱ユニットを優先区画Aと準優先区画Bに分けて、降雪開始時に優先区画Aのみに通電し、その後優先区画Aと準優先区画Bとを直列に接続して通電して、優先区画Aの発熱密度を高くして急速融雪する方式も、優先区画Aと準優先区画Bとの設定条件のため、使用可能な場所が限られる点と、制御装置が高価になる課題があり普及していない。
【0005】
一般家庭向け用として使用されている固定融雪遅延タイマ方式の融雪制御装置は、予め降雪終了後の融雪遅延時間を設定し、降雪終了後に遅延融雪制御して残雪が残らないようにする簡易的な方法であるが、道路や屋根等の地温が低いとき融雪遅延時間を長く設定し、逆に地温が高いとき融雪遅延時間を短く設定する調整が必要で、厳冬期もしくは暖冬期に合わせて融雪遅延時間を適時に設定しないと、融雪制御終了後に道路や屋根等に残雪が発生する課題や、逆に融雪が早く終了して雪が無くても無駄な融雪制御を行う課題があるため、予熱制御を併用している。
【0006】
市販の降雪強度を検出する光学式降雪センサを使用し、降雪強度を単位時間毎の降雪量に対比させた数値を加算しながら融雪遅延時間を自動的に設定する降雪量融雪遅延タイマ方式の融雪制御装置は、固定融雪遅延タイマ方式と同じように、夜に昼と同じ降雪があった場合や融雪制御終了後の地温が高いときに次ぎの降雪が有った場合、融雪遅延時間を自動的に設定することができないので、残雪が発生する課題や無駄な融雪制御を行う課題があり、予熱制御を併用している。
【0007】
また、降雪量融雪遅延タイマ方式の融雪制御装置は、使用している降雪センサの降雪中の時間と、発熱体を埋設又は配置した道路や屋根等の実融雪時間との相関の高い、例えば温水式コンクリート施工のような融雪設備の場合、残雪が発生しないので予熱制御を削減して融雪制御できる。
【0008】
しかし、降雪量融雪遅延タイマ方式の融雪制御装置は、使用している降雪センサの降雪中の時間と、発熱体を埋設又は配置した道路や屋根等の実融雪時間との相関の低い、例えば電気式インターロッキング施工のような融雪設備の場合、融雪設備固有の地温の特性に対応した融雪遅延時間を自動的に設定できないので残雪が発生する課題があり、予熱制御を併用している。
【0009】
一般的に大規模設備で使用されている、道路や屋根等に水分の有無を検知する水分センサを設置して、降雪センサと、地温センサと、外気温センサを具備して、発熱体の融雪制御,凍結防止制御,予熱制御を行う融雪制御装置は、凍結防止制御が無い方式と比較して道路や屋根等が乾燥している予熱制御の地温設定を低くできる利点があるが、予熱制御の地温設定を低くすると融雪制御終了後の残雪が発生しやすいため、予熱制御による無駄なエネルギーの削減の課題も残り、また凍結防止制御の地温設定を高くして融雪制御終了後の残雪処理をしているため、凍結防止制御においても無駄なエネルギーを消費している。
【0010】
このため特許文献3のように、水分センサと、降雪センサと、地温センサと、外気温センサを具備して、融雪制御,凍結防止制御,予熱制御の地温制御を行う融雪制御装置に、降雪予測情報の降雪確率を利用して降雪確率が低い時に予熱制御の地温を低く制御し、降雪確率が高くなると予熱制御の地温を高く制御する方法は、降雪予測情報を入手するための中央管理装置及び情報端末装置が必要で、大変高価なシステムとなる。
【0011】
また、特許文献3の制御方法は、降雪確率が低い時に降雪があった場合、融雪制御終了後に残雪が発生する課題があり、凍結防止制御の地温設定を高くして残雪処理をしているため、凍結防止制御においても無駄なエネルギーを消費している。
【特許文献1】特公 第2549951号
【特許文献2】特公 第2825443号
【特許文献3】特公 第2640303号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、融雪遅延時間を自動的に設定できる方法により、予熱制御を削減し、低コストで省エネルギーが図れる融雪装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明の融雪制御装置は、道路や屋根等の表面近傍に、発熱線や温水パイプ等の発熱体を埋設又は配置し、降雪を検知する降雪センサと、道路や屋根等の温度を検知する地温センサを設置した融雪設備において、降雪を検知して発熱体を加熱する融雪制御の開始から地温が予め設定した融雪開始温度になるまでの時間を計測する融雪遅れ時間検出器を具備し、且つ、降雪終了時に融雪遅れ時間検出器の融雪遅れ時間をタイマに加算されて、降雪終了後から融雪遅れ時間を減算する遅延タイマを具備し、降雪中と遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御することを特徴としたものである。
【0014】
請求項2の発明の融雪制御装置は、降雪開始時に予め設定された値を固定タイマにセットし、降雪終了後に固定タイマを減算し、固定タイマの値がゼロになる減算終了まで固定遅延信号を出力する固定遅延タイマと、固定遅延タイマの減算終了時に融雪遅れ時間検出器の融雪遅れ時間をタイマに加算されて、固定遅延タイマの減算終了時から融雪遅れ時間を減算する融雪遅れタイマとから構成される請求項1の遅延タイマと、且つ、固定遅延タイマからの固定遅延信号と降雪センサからの降雪信号とを降雪中として入力する請求項1の融雪遅れ時間検出器から構成され、降雪中と、固定遅延タイマと融雪遅れタイマで構成される遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御することを特徴としたものである。
【0015】
請求項3の発明の融雪制御装置は、請求項1の降雪センサと、地温センサを備えた融雪設備に、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサと、外気温センサを具備して、融雪制御,凍結防止制御,予熱制御を行うものである。
【0016】
請求項4の発明の融雪制御装置は、請求項1の降雪センサと、地温センサを備えた融雪設備に、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサと、外気温センサと、降雪予測情報を入力する情報端末装置を具備して、降雪予測情報により融雪制御,凍結防止制御,予熱制御の温度制御を行うものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、融雪制御の開始から地温が予め設定した融雪開始温度になるまでの時間を計測する融雪遅れ時間検出器を具備し、且つ、降雪終了時に融雪遅れ時間検出器の融雪遅れ時間をタイマに加算されて、降雪終了後から融雪遅れ時間を減算する遅延タイマを具備し、降雪中と遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御する融雪制御装置により、暖冬期もしくは厳冬期に合わせて融雪遅延時間を設定しなくても、融雪制御終了後に道路や屋根等に残雪が発生することもなく、逆に融雪が早く終了して融雪制御をする無駄もなく予熱制御を削減でき、低コストで省エネルギーが図れる。
【0018】
また請求項1の発明によれば、降雪中と遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御する融雪制御装置により、夜に昼と同じ降雪があった場合や融雪制御の後の地温が高いときに次ぎの降雪が有った場合、融雪遅延時間を自動的に設定できるので、残雪や融雪が早く終了して無駄な融雪制御が発生することもなく予熱制御を削減でき、低コストで省エネルギーが図れる。
【0019】
請求項2の発明によれば、降雪開始時に予め設定された値を固定タイマにセットし、降雪終了後に固定タイマを減算し、固定タイマの値がゼロになる減算終了まで固定遅延信号を出力する固定遅延タイマと、固定遅延タイマの減算終了時に融雪遅れ時間検出器の融雪遅れ時間をタイマに加算されて、固定遅延タイマの減算終了時から融雪遅れ時間を減算する融雪遅れタイマとから構成される請求項1の遅延タイマと、且つ、固定遅延タイマからの固定遅延信号と降雪センサからの降雪信号とを降雪中として入力する請求項1の融雪遅れ時間検出器から構成され、降雪中と、固定遅延タイマと融雪遅れタイマで構成される遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御する融雪制御装置により、降雪センサの降雪中の時間と、発熱体を埋設又は配置した道路や屋根等の実融雪時間との相関の低い融雪設備の場合、融雪遅延時間を自動的に設定できるので、残雪が発生することもなく予熱制御を削減でき、低コストで省エネルギーが図れる。
【0020】
請求項3の発明によれば請求項1の降雪センサと、地温センサを備えた融雪設備に、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサと、外気温センサを具備して、融雪制御,凍結防止制御,予熱制御を行う融雪制御装置により、予熱制御の地温設定を低くしても融雪制御終了後の残雪が発生しないため、予熱制御による無駄なエネルギーの削減が可能となり、また残雪を凍結防止制御により融雪する必要もなくなり、凍結防止制御による無駄なエネルギーを削減できる。
【0021】
請求項4の発明によれば、請求項1の降雪センサと、地温センサを備えた融雪設備に、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサと、外気温センサと、降雪予測情報を入力する情報端末装置を具備して、降雪予測情報により融雪制御,凍結防止制御,予熱制御の温度制御を行う融雪制御装置により、降雪確率が低い時に降雪があっても融雪制御終了後に残雪が発生しないため、残雪を凍結防止制御により融雪する必要がなくなり、凍結防止制御による無駄なエネルギーを削減できる。



【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて詳細に説明する。なお、各図は発明を理解できる程度に各構成部分の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、したがってこの発明は図示例に限定するものではない。
【実施例1】
【0023】
第1発明の融雪制御装置の一実施例としての図1は、降雪センサ1と、地温センサ2と、ANDゲート4と融雪開始温度を設定している融雪遅れ温度設定器5と地温判定器6と融雪遅れカウンタ7とから構成される融雪遅れ時間検出器3と、遅延タイマ8、制御選択器11と、発熱体温度制御器12から構成される融雪制御装置であり、以下に機能を説明する。
【0024】
融雪遅れ時間検出器3は、地温センサ2からの地温が融雪遅れ温度設定器5の設定温度未満で地温判定器6の出力が「1」で、且つ降雪センサ1が降雪中「1」になってANDゲート4の出力が「1」となると、融雪遅れカウンタ7のカウンタ値(TC)をゼロからカウントアップし、地温が融雪遅れ温度設定器5の設定温度以上になると地温判定器6の出力が「0」となりカウントを停止し、停止後のカウンタ値(TC)を融雪遅れ時間として検出する。
【0025】
遅延タイマ8は、降雪終了時に融雪遅れカウンタ7のカウンタ値(TC)を自分の遅延タイマ8のタイマ値(FTD)に加算し、降雪が終了するとタイマ値(FTD)を減算して、タイマ値(FTD)>0のとき「1」を出力する。
【0026】
制御選択器11は、降雪中または遅延タイマ8が減算中でタイマ値(FTD)>0のとき融雪制御信号「1」を出力し、降雪無しで且つ遅延タイマ8のタイマ値(FTD)=0のとき融雪制御信号無し「0」を出力する融雪ORゲート11Aと、融雪制御信号を受けて融雪温度設定器9と予熱温度設定器10からの信号を選択する融雪ANDゲート11B,反転入力付きANDゲート11C,選択ORゲート11Dからなる選択回路により構成される。
【0027】
制御選択器11の選択回路は、融雪制御信号「1」を受けた場合、融雪ANDゲート11Bが選択されて融雪温度設定器9の設定温度が選択ORゲート11Dを経由して発熱体温度制御器12へ出力し、融雪制御信号無し「0」を受けた場合、反転入力付きANDゲート11Cが選択されて予熱温度設定器10の設定温度が選択ORゲート11Dを経由して発熱体温度制御器12へ出力する。
【0028】
発熱体温度制御器12は、制御選択器11からの融雪温度設定器9の設定温度になるように地温を融雪制御、又は予熱温度設定器10の設定温度になるように地温を予熱制御する制御器である。
【0029】
図1で予熱温度設定器10の設定を−50℃にした場合、通常の使用で地温が−50℃になることが無いので、予熱制御で発熱体の加熱制御を行うことが無く、融雪制御のみを行う融雪制御装置として使用可能である。
【0030】
動作事例の図2−1(a)は、地温が−7℃で降雪があった場合の動作事例で、降雪開始Ssにより発熱体がONとなり、降雪センサ1からの出力が「1」で、且つ地温が融雪遅れ温度の10℃未満のため地温判定器6からの出力が「1」の間、融雪遅れカウンタ7はカウンタ値(TC)をカウントアップし、降雪センサ1からの出力が「1」で、且つ地温が融雪遅れ温度以上となり地温判定器6からの出力が「0」となると、融雪遅れカウンタ7はカウントアップを停止し、停止したカウンタ値(TC)が融雪遅れ時間Sdとなる。
【0031】
降雪終了SE時に融雪遅れカウンタ7のカウンタ値(TC)を加算した遅延タイマ8は、降雪終了SE後からタイマ値(FTD)の減算を開始し、降雪中とタイマ値(FTD)の減算中の期間、制御選択器11と発熱体温度制御器12により融雪制御期間として発熱体をONし、タイマ値(FTD)の減算時間が融雪遅延時間Ydとなる。
【0032】
次ぎに動作事例の図2−1(b)は、図2−1(a)と同じ降雪で、同じ融雪設備仕様で地温が±0℃で降雪があった場合の動作事例で、地温が−7℃の図2(a)と比較して、地温が融雪遅れ温度設定器5の温度10℃以上になるまでの融雪遅れ時間Sdが短縮し、且つ融雪遅延時間Ydも短縮されて、融雪終了後の無駄な融雪制御の時間が短縮される。
【0033】
動作事例の図2−2(c)は、最初の降雪中S1の融雪制御の後の地温が高いとき、次ぎに同じ降雪中S2が有った場合の動作事例で、道路や屋根等の蓄熱量が十分ある降雪開始Ss2の地温が融雪遅れ温度10℃以上になる融雪遅れ時間Sd2が最初の降雪中S1の融雪遅れ時間Sd1と比較して短縮し、降雪中S2の融雪遅延時間Yd2が短縮される。
【0034】
次ぎに動作事例の図2−2(d)は、図2−2(c)のような2回降雪がある場合の事例で、最初の降雪中S1で地温が融雪遅れ温度にならないで降雪終了S1となり、融雪遅延時間Yd1中に2回目の降雪があって降雪開始SS2となった場合、遅延タイマ8が2回目の降雪終了S2時に2回目の降雪で地温が融雪遅れ温度以上になるまでの融雪遅れカウンタ7のカウンタ値(TC)を、1回目の融雪遅延時間Yd1で減算したタイマ値(FTD)の残値へ加算することで、2回目の降雪による融雪遅れ時間Sd2を延長した融雪遅延時間Yd2となる。
【0035】
このように、本第1発明の降雪開始時の地温の立ち上がり特性を融雪遅れ時間Sdとして計測することにより、日中や夜間の日射条件、暖冬期もしくは厳冬期による外気温や地温の差、または1日に降雪が複数回あった場合に対応した融雪遅延時間Ydを自動設定できる。
【実施例2】
【0036】
第2発明の融雪制御装置の一実施例としての図3は、ゼロから3時間を設定できる遅延時間設定器8Aと固定遅延タイマ8Bと融雪遅れタイマ8Cと遅延ORゲート8Dから構成される遅延タイマ8と、固定遅延タイマ8Bからの固定遅延信号と降雪センサ1からの降雪中信号を融雪遅れ時間検出器3へOR出力する降雪ORゲート1Aから構成され、他は第1発明の図1と同じ構成の融雪制御装置である。
【0037】
降雪が始まると遅延時間設定器8Aの設定値が固定遅延タイマ8Bのタイマ値(TD)へセットされ、降雪が終了するとタイマ値(TD)が減算され、タイマ値(TD)がゼロになる減算終了まで、固定遅延信号を出力する固定遅延タイマ8Bと、固定遅延タイマ8Bが減算終了時に融雪遅れカウンタ7のカウンタ値(TC)を融雪遅れタイマ8Cのタイマ値(FTDt)へ加算し、加算後、タイマ値(FTDt)が減算され、タイマ値(FTDt)がゼロになる減算終了までの融雪遅れ信号を出力する融雪遅れタイマ8Cからなる遅延タイマ8は、降雪終了から固定遅延信号と融雪遅れ信号を出力する。
【0038】
このように第2発明は、降雪センサ1の降雪中の時間と、発熱体を埋設又は配置した道路や屋根等の実融雪時間との相関の高い融雪設備の場合、例として遅延時間設定器8Aの設定値をゼロに設定すると、降雪センサ1の降雪中の時間に対比された融雪遅延時間を自動的に設定できる。
【0039】
また、降雪センサ1の降雪中の時間と、発熱体を埋設又は配置した道路や屋根等の実融雪時間との相関の低い電気式インターロッキング施工のような融雪設備の場合、例えば遅延時間設定器8Aの設定値を3時間に設定し融雪遅れ時間を計測することで、融雪設備固有の地温の特性に対応した融雪遅延時間を自動的に設定できる。
【実施例3】
【0040】
第3発明の融雪制御装置の一実施例としての図4は、融雪遅れ温度設定器5と地温判定器6と融雪遅れカウンタ7とANDゲート4からなる融雪遅れ時間検出器3と、遅延タイマ8を具備し、降雪センサ1と、地温センサ2と、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサ14と、外気温センサ13とを制御要素判別器18に接続して、融雪制御,凍結防止制御,予熱制御を行う融雪制御装置である。
【0041】
降雪センサ1の降雪中と遅延タイマ8からの融雪遅延時間中の信号とを融雪ORゲート11Aから入力された制御要素判別器18は、地温センサ2、外気温センサ13、水分センサ14からの信号により、制御要素判別器18内の融雪設定器15と凍結防止設定器16と予熱設定器17により発熱体19を融雪制御、凍結防止制御、予熱制御を行う機能を有する判別器である。
【0042】
降雪が始まると降雪センサ1からの降雪中「1」と、地温が融雪遅れ温度設定器5の設定温度以上になるまで地温判定器6からの出力「1」により、融雪遅れカウンタ7は、カウンタ値(TC)をカウントアップし、地温が融雪遅れ温度以上になると地温判定器6からの出力が「0」になりカウントアップを停止し、カウンタ値(TC)が融雪遅れ時間となる。
【0043】
降雪終了時に地温が融雪遅れ温度以上になるまでの時間を記録している融雪遅れカウンタ7のカウンタ値(TC)を加算した遅延タイマ8は、降雪終了後からタイマ値(FTD)の減算を開始し、融雪ORゲート11Aにより降雪中とタイマ値(FTD)の減算中の期間を、降雪中と融雪遅延時間からなる融雪制御期間として制御要素判別器18へ入力され、融雪制御を行う。
【0044】
降雪終了時に融雪遅れ時間検出器3の融雪遅れ時間を遅延タイマ8に加算して融雪遅延時間として融雪制御ができることにより、水分センサ14と、降雪センサ1と、地温センサ2と、外気温センサ13を具備し、発熱体19の融雪制御,凍結防止制御,予熱制御を行う融雪制御装置は、予熱制御の地温設定を低くしても融雪制御終了後の残雪が発生しないため、予熱制御による無駄なエネルギーの削減が可能となり、また融雪制御終了後の残雪を凍結防止制御により融雪できるようにする必要もなくなり、凍結防止制御による無駄なエネルギーを削減できる。
【実施例4】
【0045】
第4発明の融雪制御装置の一実施例としての図5は、融雪遅れ温度設定器5と地温判定器6と融雪遅れカウンタ7とANDゲート4からなる融雪遅れ時間検出器3と、遅延タイマ8を具備し、降雪センサ1と、地温センサ2と、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサ14と、外気温センサ13、及び降雪予測情報を入力できる情報端末装置20とを制御要素判別器18に接続して、融雪制御,凍結防止制御,予熱制御の温度制御を行う融雪制御装置である。
【0046】
情報端末装置20は、無線回線、有線回線等の通信線で降雪予測情報を提供する中央装置へ接続して降雪予測情報を入手し、制御要素判別器18へ降雪予測情報を入力する機能を有する装置であり、制御要素判別器18へ内蔵することも可能である。
【0047】
降雪センサ1の降雪中と遅延タイマ8からの融雪遅延時間中の信号とを融雪ORゲート11Aから入力し、地温センサ2、外気温センサ13、水分センサ14からの信号を接続された制御要素判別器18は、情報端末装置20からの降雪予測情報により制御要素判別器18内の融雪設定器15と凍結防止設定器16と予熱設定器17の設定値を変更して、発熱体19の融雪制御,凍結防止制御,予熱制御の温度制御を行う。
【0048】
降雪が始まると降雪センサ1からの降雪中「1」と、地温が融雪遅れ温度設定器5の設定温度以上になるまで地温判定器6からの出力「1」により、融雪遅れカウンタ7は、カウンタ値(TC)をカウントアップし、地温が融雪遅れ温度以上になると地温判定器6からの出力が「0」になりカウントアップを停止し、カウンタ値(TC)が融雪遅れ時間となる。
【0049】
降雪終了時に地温が融雪遅れ温度以上になるまでの時間を記録している融雪遅れカウンタ7のカウンタ値(TC)を加算した遅延タイマ8は、降雪終了後からタイマ値(FTD)の減算を開始し、融雪ORゲート11Aにより降雪中とタイマ値(FTD)の減算中の期間を、降雪中と融雪遅延時間からなる融雪制御期間として制御要素判別器18へ入力され、融雪制御を行う。
【0050】
降雪終了時に融雪遅れ時間検出器3の融雪遅れ時間を遅延タイマ8に加算して融雪遅延時間として融雪制御ができることにより、水分センサ14と、降雪センサ1と、地温センサ2と、外気温センサ13を具備し、情報端末装置20からの降雪予測情報により制御要素判別器18内の融雪設定器15と凍結防止設定器16と予熱設定器17の設定値を変更して、発熱体19の融雪制御,凍結防止制御,予熱制御の温度制御を行う融雪制御装置は、降雪確率が低い時に降雪があっても融雪制御終了後に残雪が発生しないため、凍結防止制御の地温設定も低く設定可能となり、凍結防止制御による無駄なエネルギーを削減できる。

【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1発明の実施例の説明図
【図2−1】第1発明の動作説明図1
【図2−2】第1発明の動作説明図2
【図3】第2発明の実施例の説明図
【図4】第2発明の実施例の説明図
【図5】第4発明の実施例の説明図
【符号の説明】
【0052】
1 :降雪センサ
1A :降雪ORゲート
2 :地温センサ
3 :融雪遅れ時間検出器
4 :ANDゲート
5 :融雪遅れ温度設定器
6 :地温判定器
7 :融雪遅れカウンタ
8 :遅延タイマ
8A :遅延時間設定器
8B :固定遅延タイマ
8C :融雪遅れタイマ
8D :遅延ORゲート
9 :融雪温度設定器
10 :予熱温度設定器
11 :制御選択器
11A:融雪ORゲート
11B:融雪ANDゲート
11C:反転入力付きANDゲート
11D:選択ORゲート
12 :発熱体温度制御器
13 :外気温センサ
14 :水分センサ
15 :融雪設定器
16 :凍結防止設定器
17 :予熱設定器
18 :制御要素判別器
19 :発熱体
20 :情報端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路や屋根等の表面近傍に、発熱線や温水パイプ等の発熱体を埋設又は配置し、降雪を検知する降雪センサと、道路や屋根等の温度を検知する地温センサを設置した融雪設備において、降雪を検知して発熱体を加熱する融雪制御の開始から地温が予め設定した融雪開始温度になるまでの時間を計測する融雪遅れ時間検出器を具備し、且つ、降雪終了時に融雪遅れ時間検出器の融雪遅れ時間をタイマに加算されて、降雪終了後から融雪遅れ時間を減算する遅延タイマを具備し、降雪中と遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御することを特徴とする融雪制御装置。

【請求項2】
降雪開始時に予め設定された値を固定タイマにセットし、降雪終了後に固定タイマを減算し、固定タイマの値がゼロになる減算終了まで固定遅延信号を出力する固定遅延タイマと、固定遅延タイマの減算終了時に融雪遅れ時間検出器の融雪遅れ時間をタイマに加算されて、固定遅延タイマの減算終了時から融雪遅れ時間を減算する融雪遅れタイマとから構成される請求項1の遅延タイマと、且つ、固定遅延タイマからの固定遅延信号と降雪センサからの降雪信号とを降雪中として入力する請求項1の融雪遅れ時間検出器から構成され、降雪中と、固定遅延タイマと融雪遅れタイマで構成される遅延タイマの値がゼロになるまでの期間を融雪制御として地温制御することを特徴とする融雪制御装置。

【請求項3】
請求項1の降雪センサと、地温センサを備えた融雪設備に、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサと、外気温センサを具備して、融雪制御,凍結防止制御,予熱制御を行う融雪制御装置。

【請求項4】
請求項1の降雪センサと、地温センサを備えた融雪設備に、道路や屋根等の水分の有無を検知する水分センサと、外気温センサと、降雪予測情報を入力する情報端末装置を具備して、降雪予測情報により融雪制御,凍結防止制御,予熱制御の温度制御を行う融雪制御装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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