説明

螺旋杭と杭打ち法

【課題】ポール、支柱、住宅の根太を支える束などを支持・固定する螺旋杭と杭打ち法を提供する。
【解決手段】中空の木ネジ状で、下端の錐11から上方にスクリューSが形成され、スクリューSの上部で傾斜段部13が形成されて大径になる螺旋杭10において、上記大径部分14の内側に駆動源からの回転を伝受する継ぎ手を設け、大径部分14の上端外周に環状リブ18を一体に設けてなり、上記駆動源からの回転を伝受する継ぎ手は、スプライン、または六角孔15と六角軸17との組み合わせ、あるいは、上記大径部分14の内側に形成した角状突起と、この角状突起に嵌り合うボックスとの組み合わせでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フェンスや道路標識のポール、大形テントの支柱、一般住宅や仮設住宅の根太を支える束などを支持・固定する螺旋杭とその打ち込み法に関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋杭に関する技術については可成り古くから存在するが、これらの技術は、高層建築物などの基礎杭を成すものであって、その先行技術を調査したところ、螺旋杭そのものの構造は、帯鋼をスパイラル状に巻き回して、その突き合わされる両縁を互いに溶接して筒状にしたものである。
【0003】
また、この螺旋杭の打ち込む技術について見ると、重機に特別なアタッチメントとともにオーガーを取り付け、これにより縦穴を掘削し、この縦穴に上記螺旋杭を装入するものであって、高層建築物の基礎用杭打ち技術そのものであり、フェンスや道路標識のポールの立設、大形・小形テントの支柱の固定、一般住宅や仮設住宅の根太を支える束の支持・固定に適する螺旋杭は存在しなかった。
【0004】
一方、フェンスや道路標識のポールの固定は、コンクリートを打って固定しており、大形テントの支柱の固定では、必要な強度を持たせるためにコンクリートを打つか、杭を地中深く打ち込んでこれに固定しており、一般住宅や仮設住宅の根太を支える束は、床下に束石を配置し、これに束を載せて固定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来工法では、工数と資材・機材を多く必要とするので、より経済的な工法が求められており、これに応えるものとしてフェンスや道路標識のポール、大形テントの支柱、一般住宅や仮設住宅の根太を支える束などを支持・固定する螺旋杭とその工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明は、中空の木ネジ状で、下端の錐状部分から上方にスクリューが形成され、スクリューの上部で傾斜段部が形成されて大径になる螺旋杭において、上記大径部分の内側に駆動源からの回転を伝受する継ぎ手を設け、大径部分の上端外周に環状リブを一体に設けてなり、上記駆動源からの回転を伝受する継ぎ手は、スプライン、または角孔と角軸との組み合わせとするか、上記大径部分の内側に形成した角柱状突起と、この角柱状突起に嵌り合うボックスとの組み合わせとすることができる。
【0007】
また、上記螺旋杭の杭打ち法として、上記螺旋杭の上端に設けた環状リブの下側に、上記大径部分に被嵌する座金を嵌め、上記環状リブの上側から、中心に駆動軸が貫通する貫通孔を設けた板材を被せて上記座金と上記板材とを環状リブを介してボルトで締結し、上記駆動軸を、上記貫通孔を経て上記螺旋杭の継ぎ手に結合して該螺旋杭をねじ込むか、上記螺旋杭の上端の内部に、中心に駆動軸の貫通孔を設けた円盤を嵌め込み、この円盤の貫通孔を通じて駆動軸を挿通し、上記継ぎ手に結合させて螺旋杭をねじ込むことができる。
【0008】
さらに、上記螺旋杭の杭打ち法として、上記螺旋杭を、垂直回転機能を備えた重機、または地質・地盤調査用ボーリングマシーンにより地中に打ち込むこともできる。
【発明の効果】
【0009】
上記の如く構成するこの発明によれば、フェンスや道路標識のポールの立設においては、コンクリート打ちをせずにポールを立設することが可能になり、一般住宅や仮設住宅の根太を支える束の支持においては、束石を配置する必要がなくなる。また、仮設するものにあっては、用済み後、打ち込んだ螺旋杭を抜き取り、繰り返し使用できるので経済的であり、環境保全にも役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1において、螺旋杭10の形状は、大形の中空の木ネジ状で先端に錐11が一体に固着され、中空部分の先端と上部には透孔12が設けられ、その間にスクリューSが設けられ、下端から約2/3上方に傾斜段部13が形成されて大径になり、上記傾斜段部13の下部内側には図2に示すように六角孔15が成形され、この六角孔15に、中間軸16の先端に形成した六角軸17が嵌入している。
【0011】
螺旋杭10の上端外周には環状リブ18が形成され、その直下に遊嵌する座金19が嵌り、その下に座金19が下がるのを防止するビスねじ20がねじ込まれ、螺旋杭10の上面に、中心に貫通孔21を設けた円形(多角形でもよい)の板材22が被せられ、上記環状リブ18を挟んで上記座金19と板材22とがボルト・ナット23で締め付け固定される。
【0012】
上記螺旋杭10の頂部に被せる板材22に替えて、図3(a)に示すように螺旋杭10の上端近くの内側に円盤を支持するピン20bを設け、その上に中心に貫通孔21bを設けた円盤22bを嵌め込み、中間軸16を挿通するようにすることができる。また、図3(b)に示すように螺旋杭10の頂部に、その内径に合わせた鰭C1 を有する内筒C2 とフランジC3 を設けたカラーCを嵌め、このカラーCの貫通孔15に中間軸16を挿通するようにすることもできる。
【0013】
上記螺旋杭10をねじ込むときは、図2に示すように上記板材22の貫通孔21に中間軸16を貫通させ、中間軸先端の六角軸17を六角孔15に嵌入し、例えば図4示すような螺旋杭の打ち込み装置30でもって、上記中間軸16を回転させながら打ち込む。
【0014】
上記螺旋杭の打ち込み装置30は、下端に垂直維持部材31と針状突起32を設けた角柱33に、スライドローラー装置34を装着し、このスライドローラー装置34からブラケット35を延し、このブラケット35の端にモーター36と減速機37を一体にした駆動源38の出力軸39に中間軸16を接続するものである。
【0015】
上記螺旋杭の打ち込み装置の他、図5に示す垂直軸回転装置を有する重機M、あるいは地盤調査用のボーリングマシーンでもって螺旋杭を打ち込むこともできる。
【0016】
図6は、本発明に係る螺旋杭を利用して安全柵Jを設けたもの、図7は、同じくトラマークのフェンスFを設けたもの、図8は、同じく安全鎖Lを設けたもの、図9は、道路標識DのポールPを立設したもの、図10は、仮設事務所Hの束に利用したものを示す。
【産業上の利用可能性】
【0017】
以上説明した如くこの発明によれば、フェンスや道路標識のポールの立設、一般住宅や仮設住宅の根太を支える束の設置等において、極めて簡単に工事を行なうことができ、また、工事に用いる治工具は可搬のものであるから随時移動可能で、仮設の場合は、用済み後、螺旋杭を抜き取り繰り返し利用可能で環境保全でも大いに効果を発揮し、産業上の利用可能性は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る螺旋杭(その1)の正面図
【図2】同部分断面図
【図3】同螺旋杭(その2)の部分断面図
【図4】螺旋杭の打ち込み説明図
【図5】重機による螺旋杭の打ち込み説明図
【図6】この発明の螺旋杭により設けられた安全柵の説明図
【図7】同トラマークフェンスの説明図
【図8】同安全鎖の説明図
【図9】同道路標識の説明図
【図10】同仮設事務所の説明図
【符号の説明】
【0019】
10 螺旋杭
11 錐
12 透孔
13 傾斜段部
14 大径部分
15 六角孔
16 中間軸
17 六角軸
18 環状リブ
19 座金
20 ビスねじ
20b 円盤を支持するピン
21,21b 貫通孔
22 板材
22b 貫通孔を設けた円盤
23 ボルト・ナット
30 打ち込み装置
31 垂直維持部材
32 針状突起
33 角柱
34 スライドローラー装置
35 ブラケット
36 モーター
37 減速機
38 駆動源
39 出力軸
C カラー
G グリップ
L 水準器
J 安全柵
f トラマークフェンス
L 安全鎖
D 道路標識
P ポール
H 仮設事務所
M 重機
S スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の木ネジ状で、下端の錐状部分から上方にスクリューが形成され、スクリューの上部で傾斜段部が形成されて大径になる螺旋杭において、上記大径部分の内側に駆動源からの回転を伝受する継ぎ手を設け、大径部分の上端外周に環状リブを一体に設けたことを特徴とする螺旋杭。
【請求項2】
上記継ぎ手は、スプライン継ぎ手または、角孔と角軸の組み合わせのいずれかにしたことを特徴とする請求項1に記載の螺旋杭。
【請求項3】
上記継ぎ手は、上記大径部分の内側に設けた角柱状突起と、この角柱状突起に嵌り合うボックスとからなることを特徴とする請求項1に記載の螺旋杭。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の上記螺旋杭の上端に設けた環状リブの下側に、その大径部分に被嵌する座金を嵌め、上記環状リブの上側から、中心に駆動軸が貫通する貫通孔を設けた板材を被せて、上記座金と上記板材とを環状リブを介してボルトで締結し、上記駆動軸を、上記貫通孔を経て上記螺旋杭の継ぎ手に結合し、該螺旋杭をねじ込むことを特徴とする螺旋杭の杭打ち法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の上記螺旋杭の上端の内部に、中心に駆動軸の貫通孔を設けた円盤を嵌め込み、この円盤の貫通孔を通じて駆動軸を挿通し、上記継ぎ手に結合させて螺旋杭をねじ込むことを特徴とする螺旋杭の杭打ち方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の上記螺旋杭を、垂直回転機能を備えた重機、または地質・地盤調査用ボーリングマシーンにより地中に打ち込む螺旋杭の杭打ち法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−207287(P2006−207287A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21838(P2005−21838)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(598067289)
【Fターム(参考)】