説明

血圧情報測定装置

【課題】大腿動脈などに狭窄がある場合であっても、正しく脈波伝播速度を測定できる血圧情報測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置では、上腕および下肢(足首)の各々に装着されたカフが用いられて、上腕および下肢の血圧が測定される(S101)。また、これらカフが用いられて、上腕の脈波と下肢の脈波とが同期させて測定される(S103)。これら2つの脈波の出現時間差に基づいて、上腕下肢部脈波伝播速度(baPWV)が算出される(S105,S107)。また、上腕脈波における駆出波と反射波との出現時間差に基づいて、上腕脈波伝播速度(上腕PWV)が算出される(S109,S111)。これら伝播速度の値が異なっていた場合には(S113でYES)、警告を報知する(S115)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は血圧情報測定装置に関し、特に、脈波を解析して診断に有用な指標を算出する血圧情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動脈硬化度の診断に有用な指標として、心臓から駆出された脈波の伝播する速度(以下、PWV:Pulse Wave Velocity)を算出する装置が提案されている。また、特許第3140007号公報は、上腕の血圧と足首の血圧との比(以下、ABI:Ankle-brachial index)を測定することにより、大腿動脈などの狭窄の有無をスクリーニングする技術を開示している。
【0003】
上腕下肢部脈波伝播速度(以下、ba(brachial-ankle)PWV)は、上腕および下肢などの少なくとも2箇所以上に脈波を測定するカフ等を装着し、同時に脈波を測定することで、それぞれの脈波の出現時間差と脈波を測定するカフ等を装着した2点間の動脈の長さとから算出される。
【特許文献1】特許第3140007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大腿動脈などに狭窄があると、末梢側の血圧が低下し、baPWVが正しく測定されない。そのため、baPWVを測定する際にはABIの値に注意が必要であることが知られている。もし、ABIが0.9以下であるならば、baPWVを正しく評価することができない。このため、狭窄のある患者では別の手法による動脈硬化の評価が必要であり、患者および測定者の両方にとって負担となるといった問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、上腕から測定される脈波から駆出波と反射波とを分離し、反射波の出現時間から脈波伝播速度を推定することにより、正しく脈波伝播速度を測定することができる血圧情報測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、血圧情報測定装置は、第1の空気袋を内包し、上腕に装着するための第1のカフと、第2の空気袋を内包し、下肢に装着するための第2のカフと、第1の空気袋の内圧変化と第2の空気袋の内圧変化とを同期して測定する測定手段と、第1の空気袋の内圧変化より上腕の血圧情報を検出し、第2の空気袋の内圧変化より下肢の血圧情報を検出する検出手段と、第1の空気袋の末梢側を駆血した状態での第1の空気袋の内圧変化より検出された上腕の血圧情報である脈波と、下肢の血圧情報である脈波とから、上腕下肢部脈波伝播速度を算出する第1の算出手段と、上腕の血圧情報と下肢の血圧情報とのうちの少なくとも一方の血圧情報を用いて、第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否を判定する判定手段とを備える。
【0007】
好ましくは、血圧情報測定装置は、上腕の血圧情報である脈波から上腕脈波伝播速度を算出する第2の算出手段をさらに備え、第1の算出手段は、上腕の血圧情報である脈波と下肢の血圧情報である脈波との出現時間差を算出して上腕下肢部脈波伝播速度を算出し、第2の算出手段は、上腕の血圧情報である脈波における駆出波と反射波との出現時間差を算出して上腕脈波伝播速度を算出する。
【0008】
より好ましくは、判定手段は、第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否の判定として、第1の算出手段で算出された上腕下肢部脈波伝播速度と、第2の算出手段で算出された上腕脈波伝播速度とを比較して、その差分が、所定の範囲よりも大きいか否かを判定し、血圧情報測定装置は、その差分が所定の範囲よりも大きい場合に、表示装置に警告を表示させるための制御を行なう表示制御手段をさらに備える。
【0009】
または、より好ましくは、血圧情報測定装置は、上腕の血圧情報である血圧値に対する前記下肢の血圧情報である血圧値の血圧比を算出する第3の算出手段をさらに備え、判定手段は、第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否の判定として、血圧比と予め記憶されているしきい値とを比較して、血圧比がしきい値よりも低いか否かを判定し、血圧情報測定装置は、血圧比がしきい値よりも低い場合、第2の算出手段で算出された上腕脈波伝播速度を測定結果として表示装置に表示させるための制御を行なう表示制御手段をさらに備える。
【0010】
より好ましくは、血圧情報測定装置は、血圧比がしきい値よりも低い場合、第2の算出手段に対して上腕脈波伝播速度の算出を行なわせ、血圧値がしきい値より低くない場合、第1の算出手段に対して上腕下肢部脈波伝播速度の算出を行なわせる制御手段をさらに備える。
【0011】
好ましくは、判定手段は、第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否の判定として、下肢の血圧情報としての血圧値が得られたか否かを判定し、血圧情報測定装置は、下肢の血圧値が得られていない場合、第2の算出手段で算出された上腕脈波伝播速度を測定結果として表示装置に表示させるための制御を行なう表示制御手段をさらに備える。
【0012】
より好ましくは、血圧情報測定装置は、下肢の血圧値が得られていない場合、測定手段に第1の空気袋の内圧変化を測定させて、第2の算出手段に対してその測定で得られた上腕の血圧情報である脈波より上腕脈波伝播速度の算出を行なわせ、下肢の血圧値が得られている場合、測定手段に第1の空気袋の内圧変化と第2の空気袋の内圧変化とを同期して測定させて、第1の算出手段に対してその測定で得られた上腕の血圧情報である脈波および下肢の血圧情報である脈波より上腕下肢部脈波伝播速度の算出を行なわせる制御手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、動脈硬化の進行状況に関係なく脈波伝播速度を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態にかかる血圧情報測定装置(以下、測定装置と略する)の外観の具体例を示す斜視図である。図2は、図1に示す測定装置を用いて血圧情報を測定する際の測定姿勢を示す模式断面図である。ここで「血圧情報」とは、生体から測定して得られる、血圧に関連する情報を指し、具体的には、血圧値、脈波波形、心拍数、などが該当する。
【0016】
図1に示すように、実施の形態にかかる測定装置1Aは、基体2と、基体2にエアチューブ10Aを介して接続される測定部位である上腕に装着されるカフ9Aと、基体2にエアチューブ10Bを介して接続される測定部位である下肢(足首)に装着されるカフ9Bとを含む。基体2の正面には、測定結果を含む各種の情報を表示する表示部4および測定装置1Aに対して各種の指示を与えるために操作される操作部3が配される。操作部3は電源をON/OFFするために操作される電源スイッチ31、および測定の開始を指示するために操作される測定開始スイッチ32を含む。
【0017】
上述の測定装置1Aを用いた脈波の測定に際しては、図2(A)に示すように、カフ9Aを測定部位である上腕に巻き回す。また、図2(B)に示すように、カフ9Bを測定部位である下肢に巻き回す。その状態で測定開始スイッチ32が押下されることで、血圧情報が測定される。
【0018】
図2(A)を参照して、カフ9Aは、生体を圧迫するための流体袋としての空気袋を備える。上記空気袋は、血圧情報としての血圧を測定するために用いられる流体袋である空気袋13A、および血圧情報としての脈波を測定するために用いられる流体袋である空気袋13Bとを含む。図2(B)を参照して、カフ9Bは、血圧情報としての血圧および脈波を測定するために用いられる流体袋である空気袋13Cを含む。
【0019】
図3は、測定装置1Aの機能ブロックを示す図である。図3を参照して、測定装置1Aは、空気袋13Aにエアチューブ10Aを介して接続されるエア系20A、空気袋13Bにエアチューブ10Aを介して接続されるエア系20B、および空気袋13Cにエアチューブ10Bを介して接続されるエア系20Cと、CPU(Central Processing Unit)40とを含む。
【0020】
エア系20A,20B,20Cは、各々、エアポンプ21A,21B,21Cと、エアバルブ22A,22B,22Cと、圧力センサ23A,23B,23Cとを含む。エアポンプ21A,21B,21Cは、各々、空気袋13A,13B,13Cを加圧するための手段である。エアポンプ21A,21B,21Cは、各々、CPU40からの指令を受けた駆動回路26A,26B,26Cによって駆動されて、空気袋13A,13B,13Cに圧縮気体を送り込む。エアバルブ22A,22B,22Cは、各々、空気袋13A,13B,13C内の圧力を維持したり、減圧したりするための手段である。エアバルブ22A,22B,22Cは、各々、CPU40からの指令を受けた駆動回路27A,27B,27Cによってその開閉状態が制御される。エアバルブ22A,22B,22Cの開閉状態が制御されることで、各々、空気袋13A,13B,13Cの圧力が制御される。圧力センサ23A,23B,23Cは、各々、空気袋13A,13B,13C内の圧力を検出するための手段である。圧力センサ23A,23B,23Cは、各々、空気袋13A,13B,13C内の圧力を検出し、その検出値に応じた信号を増幅器28A,28B,28Cに対して出力する。増幅器28A,28B,28Cは、各々、圧力センサ23A,23B,23Cから出力される信号を増幅し、A/D変換器29A,29B,29Cに出力する。A/D変換器29A,29B,29Cは、各々、増幅器28A,28B,28Cから出力されたアナログ信号をデジタル化し、CPU40に出力する。
【0021】
CPU40は、測定装置の基体2に設けられた操作部3に入力された指令に基づいてエア系20A,20B,20Cを制御する。また、測定結果を表示部4やメモリ41に出力する。メモリ41は、測定結果を記憶するための手段である。また、CPU40で実行されるプログラムを記憶するための手段でもある。
【0022】
CPU40は、血圧算出部400、PWV算出部401、baPWV算出部403、および判定部405を含む。これら機能は、CPU40がメモリ41に記憶されている上記プログラムを読み出して実行することでソフトウェアとして実現される機能であってもよいし、CPU40が演算回路などを含むことでハードウェアとして実現される機能であってもよい。
【0023】
血圧算出部400は、空気袋13Aおよび空気袋13Cの内圧変化から、上腕および下肢で最高血圧および最低血圧を算出する。
【0024】
PWV算出部401は、空気袋13Aによって末梢側が駆血された状態における空気袋13Bの内圧変化から、脈波における駆出波と反射波との出現時間差を算出する。PWV算出部401は、予め記憶されている心臓から上腕までの動脈の長さを上記時間差で除して、上腕における脈波の伝播速度(上腕PWV)を算出する。
【0025】
baPWV算出部403は、空気袋13Bおよび空気袋13Cの内圧変化から、上腕および下肢での脈波の出現時間差を算出する。baPWV算出部403は、予め記憶されている心臓から足首までの動脈の長さと心臓から上腕までの動脈の長さとの差を上記時間差で除して、上腕下肢部における脈波の伝播速度(baPWV)を算出する。
【0026】
PWV算出部401およびbaPWV算出部403で用いられる心臓から上腕までの動脈の長さおよび心臓から足首までの動脈の長さは、予めPWV算出部401およびbaPWV算出部403でに記憶されているものであってもよいし、所定の換算式を用いて、PWV算出部401およびbaPWV算出部403が入力された被測定者の身長から算出してもよい。
【0027】
判定部405は、PWV算出部401で算出されたPWVとbaPWV算出部403で算出されたbaPWVとを比較することで、baPWVの測定の成否を判定する。CPU40は、判定部405での判定結果によって、測定結果を表示部4に表示させるための処理、または測定が失敗であることを警告する表示を表示部4に表示させるための処理を実行する。
【0028】
図4は、測定装置1Aでの測定動作の第1の具体例を示すフローチャートである。測定動作の第1の具体例は、第1の演算アルゴリズムでの演算がなされるときの測定動作を表わしている。図4に示される動作は、測定者が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ41に記憶されるプログラムを読み出して図3に示される各部を制御することによって実現されるものである。
【0029】
図4を参照して、ステップS101で、CPU40は各エア系20A,20B,20Cに対して血圧測定を行なわせるための制御信号を出力し、空気袋13Aおよび空気袋13Cから得られる内圧変化に基づいて、血圧算出部400は、上腕および下肢における血圧値を算出する。ここでの血圧測定動作は、通常の血圧測定装置における測定動作と同様である。
【0030】
ステップS103で、CPU40は各エア系20A,20B,20Cに対して脈波測定を行なわせるための制御信号を出力し、同期して、上腕および下肢における脈波を測定する。ステップS103でCPU40は、空気袋13Aの内圧を最高血圧値よりも高い圧力に維持するよう、駆動回路26A,27Aに、エアポンプ21Aで空気を供給させ、エアバルブ22Aを閉塞させるための制御信号を出力し、上腕の末梢側を駆血した状態とする。その状態で、空気袋13Bおよび空気袋13Cの内圧を、予め規定されている、脈拍が触れる程度の圧力となるよう駆動回路26B,26Cに空気を供給させるための制御信号を出力し、圧力センサ23B,23Cから得られる圧力信号に基づいて、同期して、上腕の脈波および下肢の脈波を得る。ここでの同期のさせ方は本発明において限定されない。
【0031】
ステップS105で、baPWV算出部403は、上記ステップS103で得られた上腕の脈波および下肢の脈波を解析し、これらにおける脈波の立ち上がり点の差から出現時間差を算出する。ステップS107で、baPWV算出部403は、予め記憶されている心臓から足首までの動脈の長さと心臓から上腕までの動脈の長さとの差を上記ステップS105で算出された時間差で除することで、脈波の伝播速度(baPWV)を算出する。
【0032】
ステップS109で、PWV算出部401は、上記ステップS103で得られた上腕の脈波を解析し、当該脈波における駆出波の出現時刻と反射波の出現時刻の差である出現時間差を算出する。ステップS111で、PWV算出部401は、予め記憶されている心臓から上腕までの動脈の長さを上記ステップS109で算出された時間差で除することで、上腕における脈波の伝播速度(上腕PWV)を算出する。
【0033】
ステップS113で判定部405は、ステップS107で算出されたbaPWVとステップS111で算出された上腕PWVとを比較し、これらが同一であるか異なっているかを判定する。ここの「同一」は完全な同一に限定されず、ある程度の範囲内に入っている場合も含むものとする。「ある程度の範囲」としては、たとえば、200cm/s程度が挙げられる。ステップS113でbaPWVと上腕PWVとが異なっている(または、ある程度の範囲以上差がある)と判定された場合(ステップS113でYES)、ステップS115でCPU40は、baPWVの測定が失敗であるとして、その旨を示す警告を表示部4に表示させるための処理を実行する。ステップS113でbaPWVと上腕PWVとが一致している(または、ある程度の範囲内にある)と判定された場合には(ステップS113でNO)、baPWVの測定が成功であるとして、ステップS117でCPU40は、ステップS101で算出された血圧値やステップS107で算出されたbaPWVを測定結果として表示部4に表示させる。
【0034】
図5は、測定装置1Aでの測定動作の第2の具体例を示すフローチャートである。測定動作の第2の具体例は、第2の演算アルゴリズムでの演算がなされるときの測定動作を表わしている。図5に示される動作もまた、測定者が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ41に記憶されるプログラムを読み出して図3に示される各部を制御することによって実現されるものである。
【0035】
図5を参照して、第2の具体例にかかる測定動作では、上記ステップS101〜S111に示された測定およびbaPWV・上腕PWVの算出動作が、左右それぞれに対して行なわれる。すなわち、ステップS101A〜S111Aで、第1の具体例にかかる動作のステップS101〜S111と同様の動作が、右上腕および右下肢(右足首)の各々にカフ9A,9Bが装着された状態で行なわれる。その後、ステップS101B〜S111Bで、第1の具体例にかかる動作のステップS101〜S111と同様の動作が、左上腕および左下肢(左足首)の各々にカフ9A,9Bが装着された状態で行なわれる。そのため、好ましくは、各処理に先立って、ステップS100A,S100BでCPU40は、カフ9A,9Bを、各々右上腕および右下肢(右足首)、または左上腕および左下肢(左足首)に装着し、それらの血圧・脈波を測定する旨を表示部4に表示させて、測定者に通知するものとする。
【0036】
CPU40は、ステップS107Aで算出された右側測定結果によるbaPWV(右baPWV)、ステップS111Aで算出された右上腕PWV、ステップS107Bで算出された左側測定結果によるbaPWV(左baPWV)、およびステップS111Bで算出された左上腕PWVを、各々、左右の別と共に一時的に記憶する。そして、ステップS201で判定部405は、ステップS107Aで算出された右baPWVとステップS107Bで算出された左baPWVとを比較し、これらが同一であるか異なっているかを判定する。ここの「同一」もまた完全な同一に限定されず、ある程度の範囲内に入っている場合も含むものとする。ステップS113で右baPWVと左baPWVとが異なっている場合(ステップS201でYES)、ステップS203で判定部405は、さらに、右baPWVおよび左baPWVの傾向と、右上腕PWVおよび左上腕PWVの傾向とを比較する。ここでの傾向とは、たとえば大小関係および差分であってもよいし、一方に対する他方の割合であってもよい。すなわち、ここでの傾向は、2つの値の変化の度合いを指し、右baPWVから左baPWVへの変化の度合いと右上腕PWVから左上腕PWVへの変化の度合い(共に、左右が逆であってもよい)との間に相関がある場合、たとえば変化の度合いが所定の範囲内にある場合には、判定部405は、これらが同じ傾向であると判定する。ステップS203でこれらの傾向が異なる場合(ステップS203でNO)、ステップS115でCPU40は、baPWVの測定が失敗であるとして、その旨を示す警告を表示部4に表示させるための処理を実行する。ステップS201で右baPWVと左baPWVとが一致している(または、ある程度の範囲内にある)と判定された場合には(ステップS201でNO)、baPWVの測定が成功であるとして、ステップS117でCPU40は、ステップS101A,S101Bで算出された血圧値やステップS107A,S107Bで算出されたbaPWVを測定結果として表示部4に表示させる。または、右baPWVおよび左baPWVの傾向と、右上腕PWVおよび左上腕PWVの傾向とが同じである場合には(ステップS203でYES)、ステップS201で右baPWVと左baPWVとが異なっている場合であっても、被測定者固有の左右差の範囲内として、ステップS117でCPU40は、ステップS101A,S101Bで算出された血圧値やステップS107A,S107Bで算出されたbaPWVを測定結果として表示部4に表示させる。ここでは、左右の一方の測定結果を表示させてもよいし、両方を表示させてもよいし、これらの平均値を表示させてもよい。
【0037】
図6は、測定装置1Aでの測定動作の第3の具体例を示すフローチャートである。測定動作の第3の具体例は、第3の演算アルゴリズムでの演算がなされるときの測定動作を表わしている。図6に示される動作もまた、測定者が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ41に記憶されるプログラムを読み出して図3に示される各部を制御することによって実現されるものである。
【0038】
図6を参照して、第3の具体例にかかる測定動作では、上記ステップS101〜S111と同じ動作が行なわれて、脈波が測定され、baPWVおよび上腕PWVが算出される。第3の具体例にかかる測定動作では、算出されたbaPWVおよび上腕PWVが、測定日時や測定回数カウントなど、少なくとも他の測定結果の測定時と今回の測定時との前後関係が分かる情報と対応付けられてメモリ41の所定領域などに記憶される。上記ステップS111までの動作が完了してbaPWVおよび上腕PWVが算出されると、ステップS301で判定部405は、少なくとも前回の測定で得られたbaPWVおよび上腕PWVを読み出して、前回の測定で得られたbaPWVおよび上腕PWVの変化を想定した今回のbaPWVおよび上腕PWVを算出する。ここでの想定方法は具体的には限定されないが、たとえば、ある治療を行なったり薬剤を服用したりした場合などの所定に条件に対応付けられた変化が予めメモリ41に記憶されており、判定部405は、入力された条件に応じた変化をメモリ41から読み出して、読み出した前回のbaPWVおよび上腕PWVに対して上記変化を適用することで、今回のbaPWVおよび上腕PWVの予測を行なう。または、メモリ41に複数のbaPWVおよび上腕PWVの算出結果が記憶されていることで判定部405はそれらの傾向を算出することで、今回のbaPWVおよび上腕PWVの予測を行なってもよい。
【0039】
ステップS303でCPU40は、上記ステップS111までの動作で算出されたbaPWVおよび上腕PWVを表示部4に表示させるための処理を行なうと共に、これらを、メモリ41の所定領域に、今回の測定日時などの上述の測定時の前後関係が分かる情報と対応付けて記憶する。その際、好ましくは、図7に示されるように、ステップS301で算出された前回のbaPWVおよび上腕PWVからの予測値も今回の測定で得られたbaPWVおよび上腕PWVと共に表示部4に表示させる。これにより、当該表示によって、今回の測定で得られたbaPWVおよび上腕PWVが前回の測定より想定される変化から大きく乖離したものであるか想定される範囲内であるかが視認しやすい。
【0040】
ステップS305で判定部405は、ステップS111までの動作で算出されたbaPWVおよび上腕PWVの、前回の測定結果からの変化が、ステップS301で算出された、前回の測定より想定される変化とを比較し、これらが同一であるか異なっているかを判定する。ここの「同一」もまた完全な同一に限定されず、ある程度の範囲内に入っている場合も含むものとする。ステップS305で、ステップS111までの動作で算出されたbaPWVおよび上腕PWVの、前回の測定結果からの変化が、ステップS301で算出された、前回の測定より想定される変化と異なっている(または、ある程度の範囲以上差がある)と判定された場合(ステップS305でYES)、ステップS115でCPU40は、baPWVの測定が失敗であるとして、その旨を示す警告を表示部4に表示させるための処理を実行する。ステップS305でこれら変化が一致している(または、ある程度の範囲内にある)と判定された場合には(ステップS305でNO)、baPWVの測定が成功であるとして、ステップS117でCPU40は、ステップS101で算出された血圧値やステップS107で算出されたbaPWVを測定結果として表示部4に表示させる。
【0041】
同時に測定された脈波から得られるbaPWVと上腕PWVとが所定以上異なっている場合、測定誤差が含まれる場合や、大動脈狭窄によってbaPWVが過小評価されている場合、などが考えられる。測定装置1Aで第1の具体例として示された測定動作が実行されることにより、測定者は、測定誤差が含まれる可能性や、大動脈狭窄によってbaPWVが過小評価されている可能性を知ることができる。
【0042】
また、右上腕・右下肢で測定されたbaPWVと左上腕・左下肢で測定されたbaPWVとが同じ傾向にない場合や、baPWVおよび上腕PWVの前回の測定結果からの変化と前回の測定より想定される変化とが所定以上異なっている場合にも、測定誤差が含まれる場合や、大動脈狭窄によってbaPWVが過小評価されている場合などが考えられる。測定装置1Aで第2の具体例として示された測定動作、第3の具体例として示された測定動作が実行されることによっても、測定者は、測定誤差が含まれる可能性や、大動脈狭窄によってbaPWVが過小評価されている可能性を知ることができる。さらに、右上腕・右下肢で測定されたbaPWVと左上腕・左下肢で測定されたbaPWVとが異なっている場合であっても、これらの傾向が同時に測定された右上腕PWVおよび左上腕PWVの傾向と同じである場合、被測定者固有の左右差の範囲内として適切にbaPWVが測定されている判断されて、測定結果が表示される。
【0043】
また、上記警告によって、再度の測定が促され、より精度のよいbaPWVが得られる。
【0044】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態にかかる測定装置1Bの外観は、図1に示された測定装置1Aと同様である。図8は、測定装置1Bの機能ブロックを示す図である。図8を参照して、測定装置1Bの機能構成のうち、図3に示された測定装置1Aの機能構成と異なる点は、測定装置1BのCPU40がさらにABI算出部404を含む点である。この機能もまた、CPU40がメモリ41に記憶されている上記プログラムを読み出して実行することでソフトウェアとして実現される機能であってもよいし、CPU40が演算回路などを含むことでハードウェアとして実現される機能であってもよい。
【0045】
ABI算出部404は、血圧算出部400で同期して入力される空気袋13Aおよび空気袋13Cの内圧変化から得られる血圧値、つまり、同時に測定された上腕の血圧値と下肢の血圧値とから、上腕の血圧値に対する下肢の血圧値の比であるABIを算出する。判定部405は予めABIの基準値を記憶しておき、ABI算出部404で算出されたABIと基準値とを比較することで、PWV算出部401でPWVを算出させるか、baPWV算出部403でbaPWVを算出させるかを判定する。判定部405は判定結果に応じて、算出処理を実行させるための制御信号をPWV算出部401またはbaPWV算出部403に出力する。PWV算出部401およびbaPWV算出部403は、各々、上記制御信号に従って、PWVの算出およびbaPWVの算出を実行する。
【0046】
正常時、ABIは0.9〜1.3程度の範囲内にあるが、被測定者に、末梢側(主に下肢)の動脈が慢性的に閉塞する閉塞性動脈硬化症(ASO:arteriosclerosis obliterans)などの下肢側の血圧が低くなる症状がある場合には、ABIが上記範囲よりも低くなる。この場合、先述のように、正しいbaPWVが得られない。そのため、この場合には、下肢の血圧を用いない指標として、上腕PWVを算出することが好ましい。
【0047】
判定部405は、基準値として正常範囲とされているABIの範囲の下限値、たとえば上述の0.9程度の値を記憶しておき、ABI算出部404で算出されたABIと基準値とを比較することで、算出されたABIが上記範囲よりも低いか否かを判定する。低くない場合、つまり上記範囲内にあって正常時と判定される場合には、baPWV算出部403に対してbaPWVを算出させるための制御信号を出力し、低い場合にはASOの可能性があるものとして、baPWVの算出を行なわずに、PWV算出部401に対してPWVを算出させるための制御信号を出力する。
【0048】
図9は、測定装置1Bでの測定動作の具体例を示すフローチャートである。図9に示される動作もまた、測定者が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ41に記憶されるプログラムを読み出して図8に示される各部を制御することによって実現されるものである。
【0049】
図9を参照して、ステップS401で、血圧算出部400は、上腕および下肢における血圧値を算出する。各測定部位における血圧を測定する動作は上記ステップS101の動作と同じであるが、ステップS401では、これら複数箇所の血圧を同期して、つまり同じタイミングで測定する。ここでの同期のさせ方は本発明において限定されない。ステップS403でABI算出部404は、ステップS401で測定された下肢の血圧値を上腕の血圧値を除することでABIを算出する。また、ステップS405でCPU40は、圧力センサ23B,23Cから得られる圧力信号に基づいて、同期して、上腕の脈波および下肢の脈波を得る。ステップS405の動作は上記ステップS103の動作と同じである。
【0050】
ステップS407で判定部405は、上記ステップS403で算出されたABIと記憶している基準値とを比較し、算出されたABIが基準よりも低いか否かを判定する。ここでの基準値は、正常範囲とされているABIの範囲の下限値であって、上の例では0.9が該当する。ABIが基準よりも低いと判定された場合(ステップS407でYES)、判定部405は、算出処理を実行させるための制御信号をPWV算出部401に対して出力する。この制御信号に従い、ステップS409でPWV算出部401は、上記ステップS405で得られた上腕の脈波を解析して当該脈波における駆出波の出現時刻と反射波の出現時刻の差である出現時間差を算出し、ステップS411で、上腕PWVを算出する。ここでの動作は、上記ステップS109,S111と同じである。
【0051】
ABIが基準よりも低くない、つまり正常とされる範囲の下限値よりも大きいと判定された場合には(ステップS407でNO)、判定部405は、算出処理を実行させるための制御信号をbaPWV算出部403に対して出力する。この制御信号に従い、ステップS413でbaPWV算出部403は、上記ステップS405で得られた上腕の脈波および下肢の脈波を解析してこれらにおける脈波の立ち上がり点の差から出現時間差を算出し、ステップS415で、baPWVを算出する。ここでの動作は、上記ステップS105,S107と同じである。
【0052】
ステップS417でCPU40は、ステップS411で算出された上腕PWVまたはステップS415で算出されたbaPWVを測定結果として表示部4に表示させる。その際、ステップS403で算出されたABIも表示させてもよい。また、算出されたABIと正常とされる範囲やその下限値である基準値との関係を表示させてもよい。
【0053】
測定装置1Bで上述の測定動作が実行されることにより、被測定者に閉塞性動脈硬化症などの下肢側の血圧が低くなる症状のある場合には、自動的にbaPWVではなく上腕PWVが算出され、表示される。これにより、このような症状のある場合にbaPWVの過小評価を防ぐことが可能となる。
【0054】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態にかかる測定装置1Cの外観は、図1に示された測定装置1Aと同様である。また、測定装置1Cの機能構成は、図3に示された測定装置1Aの機能構成と同じである。
【0055】
測定装置1CのCPU40に含まれる血圧算出部400は、測定動作に従って上腕および下肢の血圧値を算出し、判定部405に入力する。判定部405は、血圧算出部400からの入力値に基づいて、当該入力値が、血圧値が算出されたことを示す値であるか否かを判定することで、下肢の血圧が測定されているか否かを判定する。血圧算出部400からの入力値が血圧値が算出されたことを示す値でない場合、つまり、下肢の血圧が測定されていないと判定する入力値としては、たとえば、測定されていないことを示す信号値(たとえば0)である場合や、下肢の血圧値として適切ではない値(たとえば、予め記憶されている人の通常の血圧値の範囲と比較して当該範囲内にない値など)場合、などが含まれる。また、判定部405は、所定時間内に下肢の血圧値を示す値の入力が血圧算出部400からなされなかった場合にも、下肢の血圧が測定されていないと判定することができる。下肢の血圧が測定されていない要因としては、たとえば、カフ9Bが下肢(足首)に適切に装着されていない、などが挙げられる。CPU40は、判定部405において下肢で血圧が測定されていると判定された場合に、各エア系20A,20B,20Cに対して脈波測定を行なわせるための制御信号を出力する。
【0056】
図10は、測定装置1Cでの測定動作の具体例を示すフローチャートである。図10に示される動作もまた、測定者が基体2の操作部3に設けられた測定ボタンを押下することにより、開始し、CPU40がメモリ41に記憶されるプログラムを読み出して図3に示される各部を制御することによって実現されるものである。
【0057】
図10を参照して、ステップS501で、CPU40は各エア系20A,20B,20Cに対して血圧測定を行なわせるための制御信号を出力し、血圧算出部400は、上腕および下肢における血圧値を算出する。ここでの血圧測定動作は、上記ステップS101と同様である。ステップS503で判定部405は、血圧算出部400からの入力値に基づいて、ステップS501で下肢の血圧が測定されているか否かを判定する。先述のように、たとえば下肢にカフ9Bが適切に装着されていない場合には、血圧算出部400において下肢の血圧値が算出できず、値が入力されない(または適切に測定されていないことを示す0などの値が入力される)。判定部405は下肢の血圧値を参照して、たとえばこのような場合に、ステップS501で下肢の血圧が測定されていないと判定する。
【0058】
ステップS501で下肢の血圧値が算出されている場合には(ステップS503でYES)、以降、ステップS505〜S509で、上記ステップS103〜S107、または上記ステップS405,S411,S413と同様にして、上腕および下肢の脈波が測定されて、baPWV算出部403によってbaPWVが算出される。
【0059】
一方、ステップS501で下肢の血圧値が算出されていない場合(ステップS503でNO)、ステップS511でCPU40は、空気袋13Aの内圧を最高血圧値よりも高い圧力に維持するよう、駆動回路26A,27Aに、エアポンプ21Aで空気を供給させ、エアバルブ22Aを閉塞させるための制御信号を出力し、上腕の末梢側を駆血した状態とする。その状態で、空気袋13Bの内圧を、予め規定されている、脈拍が触れる程度の圧力となるよう駆動回路26Bに空気を供給させるための制御信号を出力し、圧力センサ23Bから得られる圧力信号に基づいて、上腕の脈波を得る。ステップS511の動作は、上記ステップS103やステップS405の脈波測定動作のうち、下肢の脈波を測定する動作を行なわず、上腕の脈波のみを測定する動作と同じである。
【0060】
ステップS513,S515においては、上記ステップS109,S111または上記ステップS409,S411と同様の動作がなされて、PWV算出部401において上腕にPWVが算出される。
【0061】
測定装置1Cで上述の測定動作が実行されることによる、下肢の血圧が測定されていない場合に、カフ9Bが適切に下肢に装着されていないなどが想定されて、自動的に上腕の脈波のみの測定が行なわれてbaPWVではなく上腕PWVが算出され、表示される。つまり、下肢の脈波が適切に測定されない可能性がある場合に、自動的に上腕の脈波のみの測定が行なわれて上腕PWVが算出される。これにより、下肢の脈波が適切に測定されない場合に誤ったbaPWVの算出を防ぐことが可能となる。さらに、血圧測定で下肢の血圧が測定されていないと判定された時点で下肢の脈波の測定が行なわれないために、被測定者の負担を抑えることができる。また、指標として脈波伝播速度を得るために測定自体をし直すことなく、上腕側で脈波伝播速度が算出されるために、被測定者の負担を抑えることができる。
【0062】
なお、測定装置1Cの考え方を測定装置1Bに適用することもできる。すなわち、測定装置1Bにおいて、ステップS403でABIが算出された時点で判定部405においてABIが規定よりも低いか否かが判定されて、低いと判定された場合には、上腕の脈波の測定のみが行なわれるようにしてもよい。このようにすることで、被測定者の負担を抑えることができる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1〜第3の実施の形態にかかる測定装置の外観の具体例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す測定装置を用いて血圧情報を測定する際の測定姿勢を示す模式断面図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる測定装置での測定動作の第1の具体例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態にかかる測定装置での測定動作の第2の具体例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態にかかる測定装置での測定動作の第3の具体例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態にかかる測定装置で第3の具体例にかかる測定動作が行なわれた際の表示例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態にかかる測定装置の機能ブロックを示す図である。
【図9】第2の実施の形態にかかる測定装置での測定動作の具体例を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態にかかる測定装置での測定動作の具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B,1C 測定装置、2 基体、3 操作部、4 表示部、9A,9B カフ、10A,10B エアチューブ、13A,13B,13C 空気袋、20A,20B,20C エア系、21A,21B,21C エアポンプ、22A,22B,22C エアバルブ、23A,23B,23C 圧力センサ、26A,26B,26C,27A,27B,27C 駆動回路、28A,28B,28C 増幅器、29A,29B,29C A/D変換器、31,32 スイッチ、40 CPU、41 メモリ、400 血圧算出部、401 PWV算出部、403 baPWV算出部、404 ABI算出部、405 判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の空気袋を内包し、上腕に装着するための第1のカフと、
第2の空気袋を内包し、下肢に装着するための第2のカフと、
前記第1の空気袋の内圧変化と前記第2の空気袋の内圧変化とを同期して測定する測定手段と、
前記第1の空気袋の内圧変化より前記上腕の血圧情報を検出し、前記第2の空気袋の内圧変化より前記下肢の血圧情報を検出する検出手段と、
前記第1の空気袋の末梢側を駆血した状態での前記第1の空気袋の内圧変化より検出された前記上腕の血圧情報である脈波と、前記下肢の血圧情報である脈波とから、上腕下肢部脈波伝播速度を算出する第1の算出手段と、
前記上腕の血圧情報と前記下肢の血圧情報とのうちの少なくとも一方の血圧情報を用いて、前記第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否を判定する判定手段とを備える、血圧情報測定装置。
【請求項2】
前記上腕の血圧情報である脈波から上腕脈波伝播速度を算出する第2の算出手段をさらに備え、
前記第1の算出手段は、前記上腕の血圧情報である脈波と前記下肢の血圧情報である脈波との出現時間差を算出して前記上腕下肢部脈波伝播速度を算出し、
前記第2の算出手段は、前記上腕の血圧情報である脈波における駆出波と反射波との出現時間差を算出して前記上腕脈波伝播速度を算出する、請求項1に記載の血圧情報測定装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否の判定として、前記第1の算出手段で算出された上腕下肢部脈波伝播速度と、前記第2の算出手段で算出された上腕脈波伝播速度とを比較して、その差分が、所定の範囲よりも大きいか否かを判定し、
前記差分が前記所定の範囲よりも大きい場合に、表示装置に警告を表示させるための制御を行なう表示制御手段をさらに備える、請求項2に記載の血圧情報測定装置。
【請求項4】
前記上腕の血圧情報である血圧値に対する前記下肢の血圧情報である血圧値の血圧比を算出する第3の算出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否の判定として、前記血圧比と予め記憶されているしきい値とを比較して、前記血圧比が前記しきい値よりも低いか否かを判定し、
前記血圧比が前記しきい値よりも低い場合、前記第2の算出手段で算出された前記上腕脈波伝播速度を測定結果として表示装置に表示させるための制御を行なう表示制御手段をさらに備える、請求項2に記載の血圧情報測定装置。
【請求項5】
前記血圧比が前記しきい値よりも低い場合、前記第2の算出手段に対して前記上腕脈波伝播速度の算出を行なわせ、前記血圧値が前記しきい値より低くない場合、前記第1の算出手段に対して前記上腕下肢部脈波伝播速度の算出を行なわせる制御手段をさらに備える、請求項4に記載の血圧情報測定装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記第1の算出手段で算出される上腕下肢部脈波伝播速度の適否の判定として、前記下肢の血圧情報としての血圧値が得られたか否かを判定し、
前記下肢の血圧値が得られていない場合、前記第2の算出手段で算出された前記上腕脈波伝播速度を測定結果として表示装置に表示させるための制御を行なう表示制御手段をさらに備える、請求項2に記載の血圧情報測定装置。
【請求項7】
前記下肢の血圧値が得られていない場合、前記測定手段に前記第1の空気袋の内圧変化を測定させて、前記第2の算出手段に対して前記測定で得られた前記上腕の血圧情報である脈波より前記上腕脈波伝播速度の算出を行なわせ、前記下肢の血圧値が得られている場合、前記測定手段に前記第1の空気袋の内圧変化と前記第2の空気袋の内圧変化とを同期して測定させて、前記第1の算出手段に対して前記測定で得られた前記上腕の血圧情報である脈波および前記下肢の血圧情報である脈波より前記上腕下肢部脈波伝播速度の算出を行なわせる制御手段をさらに備える、請求項6に記載の血圧情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−119659(P2010−119659A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296833(P2008−296833)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】