血圧計用カフの製造方法
【課題】血圧計用カフの製造方法において、2つの流体室が連通した単一の流体袋を簡単な工程で製造する。
【解決手段】膨張・収縮する流体袋を有する、被検体に巻き付けられる血圧計用カフの製造方法において、第1の袋体(10′)になる第1のシート状部材10と第2の袋体(20′)になる第2のシート状部材20とを重ね合わせ、重ね合わされた領域よりも狭い面積領域で両部材10,20を互いに溶着し、溶着された部分Mにより周囲を囲まれた範囲を切り抜いて開口Wを形成し、第1のシート状部材10を筒形状体(10″)に形成した後に第1の袋体(10′)に形成し、第2のシート状部材20を筒形状体(20″)に形成した後に第2の袋体(20′)に形成することにより、流体袋(50)を形成する。
【解決手段】膨張・収縮する流体袋を有する、被検体に巻き付けられる血圧計用カフの製造方法において、第1の袋体(10′)になる第1のシート状部材10と第2の袋体(20′)になる第2のシート状部材20とを重ね合わせ、重ね合わされた領域よりも狭い面積領域で両部材10,20を互いに溶着し、溶着された部分Mにより周囲を囲まれた範囲を切り抜いて開口Wを形成し、第1のシート状部材10を筒形状体(10″)に形成した後に第1の袋体(10′)に形成し、第2のシート状部材20を筒形状体(20″)に形成した後に第2の袋体(20′)に形成することにより、流体袋(50)を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血圧計用カフの製造方法に関し、詳細には、カフに用いられている流体袋の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の血圧を測定する血圧計は、被検体の上腕や手首等の血管内を流れる血流の圧力を測定するものであるが、この血流の圧力の測定は、上腕や手首等の測定部位を圧迫して血流を止め、この圧迫を徐々に緩めながら血流の脈動を検出することにより行われる。
【0003】
ここで、測定部位の圧迫には、内部に空気等流体が供給された状態で膨張し、この流体が内部から抜かれた状態で収縮する流体袋を備えたカフが用いられている。
【0004】
すなわち、被検体の血圧の測定に際しては、測定部位にカフを巻き付けて流体袋を膨張させることで測定部位を圧迫し、この流体袋を徐々に収縮させることで測定部位の圧迫を緩め、この過程で検出した脈動の検出状態に対応した流体袋内の圧力に基づいて、血圧値を得ている。
【0005】
ところで、カフは流体袋が収縮した状態で測定部位に巻き付けられるが、血圧測定時に流体袋が膨張すると、流体袋の形状変化に伴って流体袋が測定部位から位置ずれ等して、測定部位を適切に圧迫できないという問題があった。
【0006】
そこで、流体袋が膨張しても測定部位から位置ずれ等しにくい構造の流体袋が提案されている。
【0007】
例えば、流体袋を、内部で連通した2つの流体室を層状に重ねた2層構造としたもの(特許文献1,2)や、流体袋の厚さ方向(カフを測定部位に巻き付けたときの半径方向)の襠を蛇腹(ベローズ)状に形成した構造のもの(特許文献3)が提案されていて、これらの技術によれば、カフを測定部位に巻き付けたときの半径方向(流体袋の積層方向)への膨張代を確保しつつ、流体袋が膨張したときの上腕や手首の中心軸に沿った方向への変位(位置ずれ)を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3452016号公報
【特許文献2】特許第3747917号公報
【特許文献3】特開2003−144398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した先行技術文献によって提案されている流体袋は、いずれも構造が複雑であるため、その製造には多数の部品が必要であるとともに工数も多く掛かり、製造コストを抑えるのが難しい。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、2つの流体室が連通した単一の流体袋を簡単な工程で製造することができる血圧計用カフの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る血圧計用カフの製造方法は、後にそれぞれ袋体となる2つの部材(第1部材、第2部材)を予め接合し、その接合部分に、後に袋体に形成された際に両袋体を連通することとなる開口を形成し、その後に、両部材をそれぞれ各別に袋体として形成することで、2つの流体室が連通した単一の流体袋を、簡単な工程で製造できるようにしたものである。
【0012】
すなわち、本発明に係る血圧計用カフの製造方法は、内部に流体が供給された状態で膨張し前記流体が抜かれた状態で収縮する流体袋を有する、被検体に巻き付けられる血圧計用カフの製造方法において、第1の袋体になる第1部材と第2の袋体になる第2部材とを重ね合わせ、その重ね合わされた領域のうち、前記重ね合わされた領域よりも狭い面積領域で、前記2つの部材を互いに接合(溶着や接着等気密を確保可能な接合。以下、同じ。)し、その接合された領域の全部または一部により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、前記2つの部材に共通の開口を形成し、前記第1部材を前記第1の袋体に、前記第2部材を前記第2の袋体に、それぞれ形成することにより、前記第1の袋体と前記第2の袋体とが接合された前記流体袋を形成することを特徴とする。
【0013】
ここで、重ね合わせた領域とは、重ね合わせただけの自然の状態(重力以外の荷重が作用しない状態)で両部材が接触している領域(例えば、2つの部材がともにシート状の部材であるとき、両部材が自然の状態で接触している領域は面状の領域となる)のみを意味するものではなく、互いに重ね合わされた両部材に重ね合わせ方向に押圧力を作用させる等した状態で両部材が接触している領域(例えば、一方の部材が筒形状体であり、他方の部材がシート状であるとき、両部材に重ね合わせ方向に押圧力を作用させた状態では、筒形状体が押圧力によって扁平に潰れ、このとき両部材が接触している領域は矩形の面状の領域となる)も含むことを意味する。
【0014】
また、開口を形成するに際して、形成しようとする開口の周囲だけを接合したもの(接合領域は閉じた環状となる。)では、「接合された領域の全部により周囲を囲まれた範囲」を切り抜けばよく、一方、形成しようとする開口の周囲だけでなくひと塊の領域の全域を接合したもの(接合領域は矩形状や円形状等、面状となる。)では、「接合された領域の一部(接合された領域の「全部」は面状であるが、その面状の領域のうち一部である閉じた外側部分)により周囲を囲まれた範囲(面状の領域のうち外側部分を除いた内側部分)」を切り抜けばよい。
【0015】
なお、両部材を重ね合わせた領域の接合の工程と、その接合された領域の全部または一部により周囲を囲まれた範囲の切り抜きの工程とは、その工程の順序が反対になってもよいし、同時になってもよい。
【0016】
このように構成された本発明に係る血圧計用カフの製造方法によれば、2つの流体室が内部で連通した流体袋を、2つの袋体が接合された形態で提供され、これらの袋体は第1部材と第2部材という2つの部材でそれぞれ製造されるため、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフを簡単な工程で製造することができる。
【0017】
すなわち、後にそれぞれ袋体(第1の袋体、第2の袋体)になる2つの部材(第1部材、第2部材)を重ね合わせて、その重ね合わせた領域よりも狭い面積領域を接合することにより、後に両部材がそれぞれ袋体に形成された状態で、両袋体は一体の流体袋を構成し、2つの袋体の内部は流体袋における2つの流体室として機能する。
【0018】
また、接合された領域を周囲として形成された開口は、流体袋に形成された状態で両袋体の内部(流体室)を連通させる部分として機能するが、開口の周囲は接合されているため、流体袋の内部に供給された流体が開口の周囲から流体袋の外部に洩れることがない。
【0019】
そして、このように両部材を結合する加工および開口を形成する加工を、両部材を袋体に形成する以前に行うことで、これらの加工を容易に行うことができる。
【0020】
なお、本発明に係る血圧計用カフの製造方法においては、流体を流体袋の内部に供給し、またこの供給された流体を流体袋の外部に放出させるための流体用チューブ(エアホース等)を流体袋に接続するための部品であるコネクタ(ジョイント)についての説明を省略したが、このコネクタは、第1部材および第2部材のうち少なくとも一方の部材に取り付けられ、そのコネクタが当該一方の部材に取り付けられるタイミングは、その一方の部材が袋体に形成される以前であれば、どのタイミングであってもよく、第1部材と第2部材とを接合する以前のタイミングであっても以後のタイミングであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る血圧計用カフの製造方法によれば、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフを簡単な工程で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る血圧計用カフの製造方法により製造された血圧計用カフの一例を示す図であり、(a)は概略構成の斜視図、(b)はこの血圧計用カフを人体(被検体)の上腕(測定部位)に巻き付けた状態の図、をそれぞれ示す。
【図2】図1に示したカフを製造する実施例1の工程を示す図(その1)であり、(a)はシート状部材を重ね合わせる工程、(b)は両シート状部材を溶着し、開口を形成する工程、(c)は、各シート状部材を筒形状体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図3】図1に示したカフを製造する実施例1の工程を示す図(その2)であり、(a)は2つの筒形状体に形成されたものの形態を維持させるべく対辺部同士を溶着する工程、(b)は各筒形状体の両端部を潰す工程、(c)は潰した両端部を溶着して袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図4】実施例1における変形例1の工程を示す図(その1)であり、(a)はシート状部材を重ね合わせる工程、(b)は両シート状部材を溶着し、開口を形成する工程、(c)は、各シート状部材を筒形状体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図5】実施例1における変形例1の工程を示す図(その2)であり、(a)は2つの筒形状体に形成されたものの形態を維持させるべく対辺部同士を溶着する工程、(b)は各筒形状体の両端部を潰し、それら潰した両端部を溶着して袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図6】実施例1における変形例2の工程を示す図(その1)であり、(a)はシート状部材を重ね合わせる工程、(b)は両シート状部材を溶着し、開口を形成する工程、(c)は、各シート状部材を筒形状体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図7】実施例1における変形例2の工程を示す図(その2)であり、(a)は2つの筒形状体に形成されたものの形態を維持させるべく対辺部同士を溶着する工程、(b)は各筒形状体の両端部を潰し、それら潰した両端部を溶着して袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図8】実施例1における変形例3の工程を示す図(その1)であり、(a)は使用する筒形状体の第2部材とシート状部材の第1部材とを示す図、(b)は筒形状体の第2部材にシート状部材の第1部材を重ね合わせる工程、(c)は両部材同士を押圧する荷重を作用させる工程、をそれぞれ示す。
【図9】実施例1における変形例3の工程を示す図(その2)であり、(a)は両部材を溶着する工程、(b)は溶着部分に開口を形成する工程、(c)は各部材を袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図10】図1に示したカフを製造する実施例2の工程を示す図(その1)であり、(a)は使用する2つの筒形状体を示す図、(b)は2つの筒形状体のうち一方を他方の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する工程、をそれぞれ示す。
【図11】図1に示したカフを製造する実施例2の工程を示す図(その2)であり、(a)は2重の筒形状体を溶着し、開口を形成する工程、(b)は外側の筒形状体を、その表裏を裏返しながら内側の筒形状体から引き抜く工程、(c)は内側の筒形状体と引き抜かれて裏返しにされた外側の筒形状体とからなる構造、をそれぞれ示す。
【図12】実施例2における変形例4の工程を示す図(その1)であり、(a)は使用する2つの筒形状体を示す図、(b)は2つの筒形状体のうち一方を他方の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する工程、をそれぞれ示す。
【図13】実施例2における変形例4の工程を示す図(その2)であり、(a)は2重の筒形状体を溶着し、開口を形成する工程、(b)は内側の筒形状体を、開口を通じて表裏を裏返しながら外側の筒形状体から引き出す工程、(c)は外側の筒形状体と引き出されて裏返しにされた内側の筒形状体とからなる構造、をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る血圧計用カフの製造方法の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1(a)は本発明に係る血圧計用カフの製造方法により製造された血圧計用カフ100(以下、カフ100という。)を示す要部斜視図であり、このカフ100は、二点鎖線で示したカフ本体80と、カフ本体80の内部に収容された流体袋50とを備えた構成である。
【0024】
このカフ100は、同図(b)に示すように、流体袋50が収縮した状態(内部に空気等の流体が供給されていない状態)で被検体200の測定部位(図示においては上腕部)に巻き付けられ、エアホース90が接続されるコネクタ(ジョイント;図示省略)を介して流体袋50の内部に空気(流体)が供給されて膨張することにより測定部位の圧迫を強め、コネクタを介して内部の空気が抜かれた状態で測定部位の圧迫を緩めるものである。
【0025】
なお、図示の流体袋50は、第1の袋体10′と第2の袋体20′とが、カフ100の厚さ方向(z軸方向)に重ね合わせられて、かつ一体化された形態を有し、カフ100が被検体200の測定部位に巻き付けられた状態(図1(b))において、第1の袋体10′が被検体200の測定部位から遠い側(外周側)に位置し、第2の袋体20′が被検体200の測定部位に近い側(内周側)に位置するように配置されている。
【0026】
カフ100は、図1(a)に示すようにxy座標平面においてy軸方向に長く、x軸方向に短い細長い矩形形状を呈し、同図(b)に示すように、x軸方向が測定部位に対する幅方向に対応し、y軸方向が測定部位に対する巻付け方向に対応している。
【0027】
なお、図1(a)において、符号m12,m13,m22,m23は、後述する溶着部分を表している。
【0028】
次に、上述した流体袋50を製造する工程について説明する。この流体袋50の製造方法は、基本的に、後にそれぞれ袋体10′,20′になる2つの部材(第1部材10,第2部材20)を予め接合し、その接合部分に、後に袋体10′,20′に形成された際に両袋体10′,20′を連通することとなる開口Wを形成し、その後に、両部材10,20をそれぞれ各別に袋体10′,20′として形成することで、2つの流体室(各袋体の内部空間)が連通した単一の流体袋50を得るものである。
【0029】
すなわち、本実施形態のカフ100の製造方法は、まず、図2(a)に示すように、後に第1の袋体10′になる略矩形のシート状の第1部材10(シート状部材)と、同じく後に第2の袋体20′になる略矩形のシート状の第2部材20(シート状部材)とを重ね合わせる。
【0030】
ここで、第1部材10および第2部材20はいずれも気密性および柔軟性を有する材料により形成されている。両部材10,20の大きさは同一であってもよいし、一方が他方より大きくてもよい。両部材10,20の大きさが異なる場合に、両部材10,20は互いに相似形である必要はない。
【0031】
なお、図1に示したように、カフ100を被検体200の測定部位に巻き付けたとき、第1の袋体10′は外周側に、第2の袋体20′は内周側にそれぞれ配置されるため、カフ100を巻き付けた測定部位の中心軸回りの、流体袋50の巻き付け角度範囲を、内周側(第2の袋体20′)と外周側(第1の袋体10′)とで同じにする場合は、外周側を内周側よりも長く形成する必要があるため、第1の袋体10′が第2の袋体20′よりも大きくなるように、第1部材10を第2部材20よりも大きいものとすればよい。
【0032】
以下の説明では、両部材10,20が同一の大きさであるものとする。
【0033】
次に、図2(a)に示したように、第1部材10と第2部材20との各角部同士乃至辺縁同士を位置合わせして、両部材10,20を重ね合わせた後、その重ね合わされた領域(第1部材10の表面(ひょうめん)全体または第2部材の表面全体)のうち、重ね合わされた領域よりも狭い面積(第1部材10の面積または第2部材20の面積よりも狭い面積)の領域(例えば、第1部材10および第2部材20の中央部分の矩形領域)で、2つの部材10,20を互いに溶着(接合)する(同図(b))。
【0034】
なお、図示において細かいドットで表した矩形輪郭の環状部分が、溶着部分M(接合された領域)である。溶着部分Mは熱等によって溶着された部分であるが、接合された領域の気密を確保できる限り、この溶着という加工に代えて、接着剤等を用いた接合という加工を適用してもよい。
【0035】
さらに、溶着部分Mにより周囲を囲まれた内側の範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成する(同図(b))。
【0036】
次いで、第1部材10としての第1のシート状部材の一方の対辺部11,12同士を重ね合わせ(同図(c))、この重ね合わされた対辺部11,12同士を溶着して第1の筒形状体10″を形成する(図3(a))。
【0037】
同様に、第2部材20としての第2のシート状部材の一方の対辺部21,22同士を重ね合わせ(図2(c))、この重ね合わされた対辺部21,22同士を溶着して第2の筒形状体20″を形成する(図3(a))。
【0038】
ここで、第2のシート状部材の接合する一方の対辺部21,22は、第1のシート状部材の接合する一方の対辺部11,12にそれぞれ重なっている辺部であり、両筒形状体10″,20″は、その軸同士が互いに平行の位置関係となるように形成される。
【0039】
なお、図3(a)における符号m11は対辺部11,12同士を溶着した溶着部分、符号m21は対辺部21,22同士を溶着した溶着部分を示す。
【0040】
次に、第1の筒形状体10″の軸方向(筒形状の軸に沿った方向;図示においてy軸に沿った方向)の両端部13,14をそれぞれ、図3(b)に示すように、その筒形状の半径方向(図示において、z軸に沿った方向)に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部13,14を同図(c)に示すようにそれぞれ各別に接合して第1の筒形状体10″の両端部13,14の開口をそれぞれ閉塞することにより、第1の袋体10′を形成する。
【0041】
同様に、第2の筒形状体20″の軸方向(筒形状の軸に沿った方向;図示においてy軸に沿った方向)の両端部23,24をそれぞれ、図3(b)に示すように、その筒形状の半径方向(図示において、z軸に沿った方向)に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部23,24を同図(c)に示すようにそれぞれ各別に接合して第2の筒形状体20″の両端部23,24の開口をそれぞれ閉塞することにより、第2の袋体20′を形成する。
【0042】
なお、図3(c)における符号m12は第1の筒形状体10″の端部13を溶着した溶着部分、符号m13は第1の筒形状体10″の端部14を溶着した溶着部分、符号m22は第2の筒形状体20″の端部23を溶着した溶着部分、符号m23は第2の筒形状体20″の端部24を溶着した溶着部分を示す。
【0043】
以上のように構成された本実施形態に係る血圧計用カフ100の製造方法によれば、2つの流体室が内部で連通した流体袋50として、内部で連通した2つの袋体10′,20′が接合された構造で提供され、これらの袋体10′,20′は第1部材10と第2部材20という2つの部材でそれぞれ製造されるため、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフ100を簡単な工程で製造することができる。
【0044】
すなわち、後にそれぞれ袋体(第1の袋体10′と第2の袋体20′)になる2つの部材(第1部材10、第2部材20)を重ね合わせて、その重ね合わせた領域よりも狭い面積領域を接合することにより、後に両部材10,20がそれぞれ袋体10′,20′に形成された状態で、両袋体10′,20′は一体の流体袋50を構成し、各袋体10′,20′の内部は、流体袋50における各流体室として機能する。
【0045】
また、溶着部分Mを周囲として形成された開口Wは、流体袋50に形成された状態で両袋体10′,20′の内部(流体室)を連通させる部分として機能するが、開口Wの周囲は溶着部分Mによって接合されているため、流体袋50の内部に供給された空気等が開口Wの周囲から流体袋50の外部に洩れることがない。
【0046】
そして、このように両部材10,20を結合する加工および開口Wを形成する加工を、両部材10,20を袋体10′,20′に形成する以前に行うことで、これらの加工を容易に行うことができる。
【0047】
また、第1部材10および第2部材20は略矩形の単純なシート状の部材であって、複雑な形状の構成部品ではないため、これらの部材10,20を対象とした加工も容易に行うことができ、材料のコストも低く抑えることができる。
【0048】
さらに、第1部材10を第1の袋体10′に形成するに際しては、第1のシート状部材10の一方の対辺部11,12同士を筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部11,12同士を接合して第1の筒形状体10″を形成し、第1の筒形状体10″の軸方向の両端部13,14をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を、筒形状の内側面同士が向かい合うように重ね合わせ、この重ね合わされた各端部13,14をそれぞれ接合して、第1の筒形状体10″の両端部13,14の開口をそれぞれ閉塞することにより第1の袋体10′を形成するため、簡単な加工で内部が流体室となる袋体10′を形成することができる。
【0049】
同様に、第2部材20を第2の袋体20′に形成するに際しては、第2のシート状部材20の一方の対辺部21,22同士を筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部21,22同士を接合して第2の筒形状体20″を形成し、第2の筒形状体20″の軸方向の両端部23,24をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を、筒形状の内側面同士が向かい合うように重ね合わせ、この重ね合わされた各端部23,24をそれぞれ各別に接合して、第2の筒形状体20″の両端部23,24の開口をそれぞれ閉塞することにより第2の袋体20′を形成するため、簡単な加工で内部が流体室となる袋体20′を形成することができる。
【0050】
また、第1の袋体10′および第2の袋体20′について、各シート状の部材10,20をそれぞれ筒形状体10″,20″に形成するに際して、後に筒形状体10″の軸方向(y軸方向)の両端部13,14をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分15,16(図3(b)参照)に対応することとなる領域を外した位置で、辺部11と辺部12とを、筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように接合し、筒形状体20″の軸方向(y軸方向)の両端部23,24をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分25,26に対応することとなる領域を外した位置で、辺部21と辺部22とを、筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように接合しているため、各袋体10′,20′を小さくすることができる。
【0051】
すなわち、折り目部分15,16,25,26は、袋体10′,20′が収縮したときの幅方向(x軸方向)の端縁に対応する。
【0052】
ここで、端縁において、流体袋の内側面となる面同士を向かい合わせるように接合すると、流体袋の内部に空気を供給しても、この内側面同士が向かい合って接合されている部分には空気が充填されないため、その接合されている部分は膨らまずに、接合されている部分よりも手前の部分(幅方向の中央よりの部分)までしか膨張することがない。
【0053】
そして、従来の流体袋は、その幅方向の端縁に存在する接合部分が膨張・収縮に寄与しないため、膨張・収縮に寄与する幅が、実質的に接合部分の幅分だけ少なくなる。つまり、接合部分の幅分だけ無駄な幅となる。
【0054】
また、辺部同士を、筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように接合したものであっても、辺部同士を重ねて溶着した部分は他の部分に比べて厚みが増加しているため剛性が増大しており、この結果、流体袋の収縮時における折り目部分となる幅方向の端縁に溶着部分m11,m21(接合部分)が位置すると、その折り目部分は、溶着部分m11,m21の剛性増大の影響によって、収縮時にうまく折り畳まれず、収縮した状態で幅方向の端縁における流体袋50の厚さが、意図した通りには薄くならない。
【0055】
これに対して、幅方向の端縁に溶着部分m11,m21が位置しない本実施形態(他の実施例や変形例においても同じ)では、幅方向の端縁に溶着部分m11,m21が位置しないため、流体袋50を小さくすることができ、コンパクトなカフ100を製造することができる。
【0056】
なお、流体袋の内側面となる面同士を向かい合わせるように溶着して筒形状体を形成すると、その溶着位置を任意に選んだとしても、その溶着部分が流体袋の外方に突出するため、その突出分だけ流体袋の厚さや幅が無駄に増加することになる。
【0057】
そこで、筒形状の内側面となる面と筒形状体の外側面となる面とを向かい合わせるように溶着することで、溶着部分が流体袋の外側に向けて突出するのを回避することができ、流体袋の厚さや幅の増加を防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態の製造方法は、第1のシート状部材10による第1の筒形状体10″の両端部13,14および第2のシート状部材20による第2の筒形状体20″の両端部23,24をそれぞれ筒形状の半径方向に潰すに際して、開口Wの広がる面(x軸およびy軸によって規定されるxy座標平面)に対して直交する方向(z軸方向)に押圧して潰すため、溶着によって剛性が高くなる溶着部分m12,m13,m22,m23は開口Wの面内で延びる(各両端部13,14,23,24における接合部分はx軸方向に延びる)。したがって、各袋体10′,20′が収縮した状態における嵩高(カフ100の厚さ(z軸方向の厚さ))を小さくすることができる。
(変形例1)
上述した実施例1の製造方法は、図2(a)に示したように、両シート状部材10,20を完全に重ね合わせるものに限定されるものではなく、例えば図4(a)に示すように、両シート状部材10,20を意図的に位置ずれさせた状態で重ね合わせるようにしてもよい。
【0059】
そして、同図(b)に示すように、両シート状部材10,20同士を溶着し、かつ開口Wを形成する位置として、第2のシート状部材20の一方の対辺21,22のうちの一方辺部(例えば、図示においては辺部12)に寄った位置を適用するのが好ましい。
【0060】
すなわち、上記実施例1の製造方法において、両シート状部材10,20のうち、被検体200の測定部位に近い側(内周側)となる第2のシート状部材20における溶着部分Mおよび開口Wを、対辺21,22間の中央ではなく、一つの辺部22に偏った位置に形成することで、第2の筒形状体20″に形成するに際して、第2の袋体20′のうち、被検体200から遠い外側の第1の袋体10′に面する領域において、重ね合わされた対辺部21,22同士(図4(c))を溶着した溶着部分m21(図5(a),(b)参照)が形成される。
【0061】
この結果、2枚重ね(対辺部21と対辺部22との2枚が重なる)で溶着されているため剛性が高くなった溶着部分m21が、被検体200に近い第2の袋体20′における、被検体200の測定部位に面する面(図5(b)において下面28)に存在しないため、脈波の伝播が溶着部分m21によって妨げられることがなく、脈波信号の検出精度の悪化を防ぐことができるとともに、被検体200の測定部位を均一に圧迫することができる。
【0062】
さらに、カフ100を巻き付けられた被検体200に対して、溶着部分m21の当たる感触が伝わりにくくなり、この結果、被検体200に溶着部分m21が当たる感触が伝わり易い図2,3に示した実施例1の流体袋50よりも、被検体200に与える不快感を低減させることができる。
(変形例2)
上述した変形例1の製造方法は、図4,5に示したように、両シート状部材10,20間のずらし量が比較的小さいものであって、溶着部分Mおよび開口Wの形成位置が、第1のシート状部材10においては、対辺部11,12間の略中央部となるものであるが、両シート状部材10,20間のずらし量を一層大きくして(図6(a)参照)、溶着部分Mおよび開口Wの形成位置を、第1のシート状部材10においても、第2のシート状部材20とは反対方向の辺部11側に偏らせる(同図(b)参照)ようにしてもよい。
【0063】
両シート状部材10,20の重ね合わせを、このように大きくずらすとともに、溶着部分Mおよび開口Wの形成位置を両シート状部材10,20の中央部からそれぞれ反対方向に偏らせることで、第1のシート状部材10についても、対辺部11,12同士を重ね合わせる位置が、後に第1の袋体10′に形成された状態(図7(b)参照))で、第2の袋体20′に面する位置まで偏り(図6(c)参照))、この結果、この対辺部11,12同士の重ね合わせ部を溶着した溶着部分m11は、図7(a),(b)に示すように、第1の袋体10′の幅方向の中央からずれた位置となる。
【0064】
ここで、流体袋50には、流体袋50の内部に空気等を供給するためのエアホース90を接続するためのコネクタが設けられるが、上述したように溶着部分m11を第1の袋体10′の幅方向の中央からずれた位置に形成することにより、溶着部分m11と流体袋50におけるコネクタの取付部位とを互いに離すことができ、これにより、コネクタの取付け加工や溶着加工に用いられる工具等の位置関係を厳密に調整する必要がなく、また、溶着部分m11にコネクタを取り付ける場合に要するコネクタの倒れ等の調整といった付随的な作業を必要としないため、加工作業を容易化することができる。
【0065】
そして、両筒形状体10″,20″がともに袋体10′,20′に形成された状態で、第1の筒形状体10″における溶着部分m11は、第2の筒形状体20″における溶着部分m21とは重ならない位置となる。
【0066】
ここで、各溶着部分m11,m21はいずれも、筒形状体10″,20″を形成するために各シート状部材10,20がそれぞれ2枚重ねになっているため、溶着部分m11,m21以外の部分よりも厚さが厚くなっている。
【0067】
このため、流体袋50が収縮した状態で、第1の袋体10′の溶着部分m11と第2の袋体20′の溶着部分m21とが重なる位置に形成されていると、その部位での厚さの増加が倍増することになる。
【0068】
これに対して、上記実施例1において、第1の袋体10′の溶着部分m11と第2の袋体20′の溶着部分m21とが重ならない位置に形成する製造方法では、厚さの増加が1箇所に集中するのを防止することができるため、カフ100全体としての厚さの増加を緩和することができる。
(変形例3)
上述した実施例1、変形例1および変形例2の各実施形態は、第1の袋体10′および第2の袋体20′を、それぞれシート状の部材10,20から形成するものであるが、本発明に係る血圧計溶カフの製造方法は、このようなシート状の部材から袋体を形成するもので限定されるものではなく、予め筒形状体に形成されている部材を第1部材10や第2部材20として適用することもできる。
【0069】
すなわち、第1の袋体10′となる第1部材10は、シート状の部材であってもよいし、筒形状体であってもよい。そして、第1部材10としてシート状の部材を適用したときは、実施例1や変形例1,2のように、このシート状の部材10(第1部材)を筒形状体10″に形成した後、その筒形状体10″を第1の袋体10′に形成すればよく、第1部材10として筒形状体を適用したときは、この筒形状体10(第1部材)を第1の袋体10′に形成すればよい。第2の袋体20′となる第2部材20についても同様である。
【0070】
例えば、変形例2,3において、図8(a)に示すように、第1部材10をシート状部材とし、第2部材20を筒形状体とし、この筒形状体である第2部材20の周面にシート状部材である第1部材10を重ね合わせる(同図(b))。このとき、両部材10,20が重ね合わされた領域Tは線状となっている。
【0071】
そして、その重ね合わされた両部材10,20に、両部材10,20の重ね合わせ方向に押圧力を作用させることで、第2部材20である筒形状体を潰すように変形させ、これによって、第2部材20である筒形状体の周面と第1部材10であるシート状部材の面とが互いに接触する領域Tは面状に拡げられる(同図(c))。
【0072】
このように両部材10,20が互いに接触している領域Tを、両部材10,20が重ね合わされた領域とし、その後は、実施例1、変形例1または変形例2と同様に、この重ね合わされた領域T(図8(c))よりも狭い面積領域で、これら2つの部材10,20を互いに溶着等により接合し(図9(a)において溶着部分M)、その接合された部分Mの全部または一部により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成し(同図(b))、シート状部材である第1部材10を実施例1等と同様に筒形状体にした上で第1の袋体10′に、筒形状体である第2部材20を第2の袋体20′に、それぞれ形成する(同図(c))ことにより、第1の袋体10′と第2の袋体20′とが接合された流体袋50を形成することもできる。
【0073】
なお、この例では、図9(a)に示すように、溶着部分Mがひと塊の矩形領域の全域であり、同図(b)に示すように、その溶着部分Mの一部である外側部分により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて開口Wを形成しているが、上述した実施例1や変形例1,2と同様に、形成しようとする開口Wの周囲だけを溶着し(溶着部分Mは閉じた矩形環状となる。)、その溶着部分Mで周囲を囲まれた範囲を切り抜いて開口Wを形成してもよい。
【0074】
また、この変形例3の第2部材20としての筒形状体は、第1部材10としてのシート状部材と同様のシート状部材を用いて、その対辺同士を、筒形状の内側面となる面と外側面となる面とを向かい合わせるように接合して筒形状に形成したものであってもよいし、最初から筒形状となるように押し出し成形や射出成形等によって、溶着部分m21の無い筒形状体として形成したものであってもよい。また、このような開口Wの切り抜き方は、他の実施例や変形例に適用してもよい。
(実施例2)
図10,11は、本発明に係る血圧計用カフの製造方法についての他の実施例2を示す図である。この実施例2の製造方法は、基本的に、後にそれぞれ袋体10′,20′になる2つの部材(第1部材10,第2部材20)を予め接合し、その接合部分に、後に袋体10′,20′に形成された際に両袋体10′,20′を連通することとなる開口Wを形成し、その後に、両部材10,20をそれぞれ各別に袋体10′,20′として形成することで、2つの流体室(各袋体の内部空間)が連通した単一の流体袋50を得るものである。
【0075】
すなわち、本実施形態のカフ100の製造方法は、まず、図10(a)に示すように、後に第1の袋体10′になる筒形状体である第1部材10と、同じく後に第2の袋体20′になる筒形状体である第2部材20とのうち、一方の筒形状体を他方の筒形状体の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する(同図(b))。
【0076】
この例では、第2部材20を第1部材10の内部に挿入した状態を示しているが、内側の部材と外側の部材とは内外が反対であってもよい。
【0077】
そして、両部材10,20をその周面において、面状の広がりを有する領域として互いに接触するように重ね合わせ、その重ね合わされた領域のうち、重ね合わされた領域よりも狭い面積(第1部材10の面積または第2部材20の面積よりも狭い面積)の領域(例えば、第1部材10および第2部材20の中央部分の矩形領域)で、2つの部材10,20を互いに溶着する(図11(a))。
【0078】
なお、図示において細かいドットで表した部分が溶着部分Mである。溶着部分Mは、熱等によって溶着された部分であるが、この溶着という加工に代えて、接着剤等を用いた接合という加工を適用してもよい。
【0079】
さらに、溶着部分Mにより周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成する(同図(a))。
【0080】
次いで、第1部材10および第2部材20をそれぞれ対応する袋体10′,20′に形成するのに先だって、同図(b)に示すように、2重の筒形状体のうち外側に位置する筒形状体(第1部材10)を、その一方の端部側から表裏を裏返しつつ、内側の筒形状体(第2部材20)から引き抜く。
【0081】
このとき、表裏を裏返しつつ内側の筒形状体(第2部材20)から引き抜かれた後の外側の筒形状体(第1部材10)は、図11(c)に示すように、2重の筒形状体であった状態(図11(a))における表(おもて)面10aが裏面10bとなり、2重の筒形状体であった状態(図11(a))における裏面10bが表(おもて)面10aとなる。
【0082】
このように、互いに接合され、開口Wで連通した2つの筒形状体(第1部材10、第2部材20)は、実施例1や変形例1〜3と同様に、各筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して、各筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、それぞれ袋体として形成して、実施例1や変形例1〜3と同様の、2つの袋体が接合された流体袋50を形成することができる。
【0083】
なお、この実施例2の製造工程で得られた流体袋50は、2重の筒形状体のうち外側の筒形状体であった第1部材10が、当初の状態(接合前の筒形状体の状態)とは表裏反対になっている点が、実施例1や変形例1〜3で得られた流体袋50とは相違しているが、得られた流体袋50の機能は、実施例1や変形例1〜3の製造工程で得られた流体袋50と差異はない。
【0084】
以上のように構成された本実施形態に係る血圧計用カフ100の製造方法によれば、2つの流体室が内部で連通した流体袋50として、内部で連通した2つの袋体が接合された構造で提供され、これらの袋体は筒形状体の第1部材10と筒形状体の第2部材20という2つの部材でそれぞれ製造されるため、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフ100を簡単な工程で製造することができる。
【0085】
すなわち、後にそれぞれ袋体(第1の袋体と第2の袋体)になる2つの筒形状体(第1部材10、第2部材20)を重ね合わせて、その重ね合わせた領域よりも狭い面積領域を接合することにより、後に両部材10,20がそれぞれ袋体に形成された状態で、両袋体は一体の流体袋50を構成し、各袋体の内部は、流体袋50における各流体室として機能する。
【0086】
また、接合された領域を周囲として形成された開口Wは、流体袋50に形成された状態で両袋体の内部(流体室)を連通させる部分として機能するが、開口Wの周囲は溶着部分Mによって接合されているため、流体袋50の内部に供給された空気等が開口Wの周囲から流体袋50の外部に洩れることがない。
【0087】
そして、このように両部材10,20を結合する加工および開口Wを形成する加工を、両部材10,20を袋体に形成する以前に行うことで、これらの加工を容易に行うことができる。
【0088】
また、第1部材10および第2部材20は略円筒形状の筒形状体の部材であって、複雑な形状の構成部品ではないため、これらの部材10,20を対象とした加工も容易に行うことができ、材料のコストも低く抑えることができる。
【0089】
さらに、第1部材10を第1の袋体に形成するに際しては、筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ各別に接合して、これら両端部の開口をそれぞれ閉塞することにより第1の袋体を形成するため、簡単な加工で、内部が流体室となる袋体を形成することができる。
【0090】
同様に、第2部材20を第2の袋体に形成するに際しては、筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ各別に接合して、これら両端部の開口をそれぞれ閉塞することにより第2の袋体を形成するため、簡単な加工で内部が流体室となる袋体を形成することができる。
【0091】
また、第1の袋体および第2の袋体について、各筒形状体の第1部材10、第2部材20をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分(図3(b)参照)には、接合部分等の、流体袋の膨張・収縮に寄与しない部分が存在しないため、各袋体の幅(x軸方向に沿った長さ)を有効に利用することができる。
【0092】
したがって、本実施形態の製造方法によれば、実施例1と同様にカフ100の幅を一層小さくすることができる。
(変形例4)
図12,13は、上記実施例2の変形例を示す図である。実施例2の血圧計用カフの製造方法は、2重の筒形状体の外側に位置する筒形状体(第1部材10)を、その一方の端部側から表裏を裏返しつつ、内側の筒形状体(第2部材20)から引き抜くものであるが、2重の筒形状体のうち一方を外側に引き出す工程としては、この実施例2で示した工程に限定されるものではない。
【0093】
すなわち、本発明の血圧計用カフの製造方法の実施例2の変形例として、図12(a)に示すように、後に第1の袋体10′になる筒形状体である第1部材10と、同じく後に第2の袋体20′になる筒形状体である第2部材20とのうち、一方の筒形状体を他方の筒形状体の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する(同図(b))。
【0094】
この例では、第1部材10を第2部材20の内部に挿入した状態(図10(a)のものとは内外が反対である。)を示しているが、内側の部材と外側の部材とは内外が反対であってもよい。
【0095】
そして、両部材10,20をその周面において、面状の広がりを有する領域として互いに接触するように重ね合わせ、その重ね合わされた領域のうち、重ね合わされた領域よりも狭い面積(第1部材10の面積または第2部材20の面積よりも狭い面積)の領域(例えば、第1部材10および第2部材20の中央部分の矩形領域)で、2つの部材10,20を互いに溶着する(図13(a))。
【0096】
なお、図示において細かいドットで表した部分が溶着部分Mである。溶着部分Mは、熱等によって溶着された部分であるが、この溶着という加工に代えて、接着剤等を用いた接合という加工を適用してもよい。
【0097】
さらに、溶着部分Mにより周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成する(同図(a))。
【0098】
次いで、第1部材10および第2部材10をそれぞれ対応する袋体10′,20′に形成するのに先だって、同図(b)に示すように、2重の筒形状体のうち内側に位置する筒形状体(第1部材10)を、開口Wを通じて、表裏を裏返しつつ外側の筒形状体(第2部材20)から引き出す。
【0099】
このとき、表裏を裏返しつつ、外側の筒形状体(第2部材20)から引き出された後の内側の筒形状体(第1部材10)は、図13(c)に示すように、2重の筒形状体であった状態(図13(a))における表(おもて)面10aが裏面10bとなり、2重の筒形状体であった状態(図13(a))における裏面10bが表(おもて)面10aとなる。
【0100】
このように、互いに接合され、開口Wで連通した2つの筒形状体10,20は、実施例1や変形例1〜3、実施例2と同様に、各筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ各別に接合して、各筒形状体の両端部の開口をそれぞれ閉塞することにより、それぞれ袋体として形成して、実施例1,2や変形例1〜3と同様の、2つの袋体が接合された流体袋50を得ることができる。
【0101】
以上のように構成された変形例4の血圧計用カフ100の製造方法によれば、実施例2と同様の作用、効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0102】
10 第1のシート状部材(第1部材)
10′ 第1の袋体
10″ 第1の筒形状体
20 第2のシート状部材(第2部材)
20′ 第2の袋体
20″ 第2の筒形状体
50 流体袋
M 溶着部分(接合部分)
W 開口
【技術分野】
【0001】
本発明は血圧計用カフの製造方法に関し、詳細には、カフに用いられている流体袋の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の血圧を測定する血圧計は、被検体の上腕や手首等の血管内を流れる血流の圧力を測定するものであるが、この血流の圧力の測定は、上腕や手首等の測定部位を圧迫して血流を止め、この圧迫を徐々に緩めながら血流の脈動を検出することにより行われる。
【0003】
ここで、測定部位の圧迫には、内部に空気等流体が供給された状態で膨張し、この流体が内部から抜かれた状態で収縮する流体袋を備えたカフが用いられている。
【0004】
すなわち、被検体の血圧の測定に際しては、測定部位にカフを巻き付けて流体袋を膨張させることで測定部位を圧迫し、この流体袋を徐々に収縮させることで測定部位の圧迫を緩め、この過程で検出した脈動の検出状態に対応した流体袋内の圧力に基づいて、血圧値を得ている。
【0005】
ところで、カフは流体袋が収縮した状態で測定部位に巻き付けられるが、血圧測定時に流体袋が膨張すると、流体袋の形状変化に伴って流体袋が測定部位から位置ずれ等して、測定部位を適切に圧迫できないという問題があった。
【0006】
そこで、流体袋が膨張しても測定部位から位置ずれ等しにくい構造の流体袋が提案されている。
【0007】
例えば、流体袋を、内部で連通した2つの流体室を層状に重ねた2層構造としたもの(特許文献1,2)や、流体袋の厚さ方向(カフを測定部位に巻き付けたときの半径方向)の襠を蛇腹(ベローズ)状に形成した構造のもの(特許文献3)が提案されていて、これらの技術によれば、カフを測定部位に巻き付けたときの半径方向(流体袋の積層方向)への膨張代を確保しつつ、流体袋が膨張したときの上腕や手首の中心軸に沿った方向への変位(位置ずれ)を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3452016号公報
【特許文献2】特許第3747917号公報
【特許文献3】特開2003−144398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した先行技術文献によって提案されている流体袋は、いずれも構造が複雑であるため、その製造には多数の部品が必要であるとともに工数も多く掛かり、製造コストを抑えるのが難しい。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、2つの流体室が連通した単一の流体袋を簡単な工程で製造することができる血圧計用カフの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る血圧計用カフの製造方法は、後にそれぞれ袋体となる2つの部材(第1部材、第2部材)を予め接合し、その接合部分に、後に袋体に形成された際に両袋体を連通することとなる開口を形成し、その後に、両部材をそれぞれ各別に袋体として形成することで、2つの流体室が連通した単一の流体袋を、簡単な工程で製造できるようにしたものである。
【0012】
すなわち、本発明に係る血圧計用カフの製造方法は、内部に流体が供給された状態で膨張し前記流体が抜かれた状態で収縮する流体袋を有する、被検体に巻き付けられる血圧計用カフの製造方法において、第1の袋体になる第1部材と第2の袋体になる第2部材とを重ね合わせ、その重ね合わされた領域のうち、前記重ね合わされた領域よりも狭い面積領域で、前記2つの部材を互いに接合(溶着や接着等気密を確保可能な接合。以下、同じ。)し、その接合された領域の全部または一部により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、前記2つの部材に共通の開口を形成し、前記第1部材を前記第1の袋体に、前記第2部材を前記第2の袋体に、それぞれ形成することにより、前記第1の袋体と前記第2の袋体とが接合された前記流体袋を形成することを特徴とする。
【0013】
ここで、重ね合わせた領域とは、重ね合わせただけの自然の状態(重力以外の荷重が作用しない状態)で両部材が接触している領域(例えば、2つの部材がともにシート状の部材であるとき、両部材が自然の状態で接触している領域は面状の領域となる)のみを意味するものではなく、互いに重ね合わされた両部材に重ね合わせ方向に押圧力を作用させる等した状態で両部材が接触している領域(例えば、一方の部材が筒形状体であり、他方の部材がシート状であるとき、両部材に重ね合わせ方向に押圧力を作用させた状態では、筒形状体が押圧力によって扁平に潰れ、このとき両部材が接触している領域は矩形の面状の領域となる)も含むことを意味する。
【0014】
また、開口を形成するに際して、形成しようとする開口の周囲だけを接合したもの(接合領域は閉じた環状となる。)では、「接合された領域の全部により周囲を囲まれた範囲」を切り抜けばよく、一方、形成しようとする開口の周囲だけでなくひと塊の領域の全域を接合したもの(接合領域は矩形状や円形状等、面状となる。)では、「接合された領域の一部(接合された領域の「全部」は面状であるが、その面状の領域のうち一部である閉じた外側部分)により周囲を囲まれた範囲(面状の領域のうち外側部分を除いた内側部分)」を切り抜けばよい。
【0015】
なお、両部材を重ね合わせた領域の接合の工程と、その接合された領域の全部または一部により周囲を囲まれた範囲の切り抜きの工程とは、その工程の順序が反対になってもよいし、同時になってもよい。
【0016】
このように構成された本発明に係る血圧計用カフの製造方法によれば、2つの流体室が内部で連通した流体袋を、2つの袋体が接合された形態で提供され、これらの袋体は第1部材と第2部材という2つの部材でそれぞれ製造されるため、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフを簡単な工程で製造することができる。
【0017】
すなわち、後にそれぞれ袋体(第1の袋体、第2の袋体)になる2つの部材(第1部材、第2部材)を重ね合わせて、その重ね合わせた領域よりも狭い面積領域を接合することにより、後に両部材がそれぞれ袋体に形成された状態で、両袋体は一体の流体袋を構成し、2つの袋体の内部は流体袋における2つの流体室として機能する。
【0018】
また、接合された領域を周囲として形成された開口は、流体袋に形成された状態で両袋体の内部(流体室)を連通させる部分として機能するが、開口の周囲は接合されているため、流体袋の内部に供給された流体が開口の周囲から流体袋の外部に洩れることがない。
【0019】
そして、このように両部材を結合する加工および開口を形成する加工を、両部材を袋体に形成する以前に行うことで、これらの加工を容易に行うことができる。
【0020】
なお、本発明に係る血圧計用カフの製造方法においては、流体を流体袋の内部に供給し、またこの供給された流体を流体袋の外部に放出させるための流体用チューブ(エアホース等)を流体袋に接続するための部品であるコネクタ(ジョイント)についての説明を省略したが、このコネクタは、第1部材および第2部材のうち少なくとも一方の部材に取り付けられ、そのコネクタが当該一方の部材に取り付けられるタイミングは、その一方の部材が袋体に形成される以前であれば、どのタイミングであってもよく、第1部材と第2部材とを接合する以前のタイミングであっても以後のタイミングであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る血圧計用カフの製造方法によれば、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフを簡単な工程で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る血圧計用カフの製造方法により製造された血圧計用カフの一例を示す図であり、(a)は概略構成の斜視図、(b)はこの血圧計用カフを人体(被検体)の上腕(測定部位)に巻き付けた状態の図、をそれぞれ示す。
【図2】図1に示したカフを製造する実施例1の工程を示す図(その1)であり、(a)はシート状部材を重ね合わせる工程、(b)は両シート状部材を溶着し、開口を形成する工程、(c)は、各シート状部材を筒形状体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図3】図1に示したカフを製造する実施例1の工程を示す図(その2)であり、(a)は2つの筒形状体に形成されたものの形態を維持させるべく対辺部同士を溶着する工程、(b)は各筒形状体の両端部を潰す工程、(c)は潰した両端部を溶着して袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図4】実施例1における変形例1の工程を示す図(その1)であり、(a)はシート状部材を重ね合わせる工程、(b)は両シート状部材を溶着し、開口を形成する工程、(c)は、各シート状部材を筒形状体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図5】実施例1における変形例1の工程を示す図(その2)であり、(a)は2つの筒形状体に形成されたものの形態を維持させるべく対辺部同士を溶着する工程、(b)は各筒形状体の両端部を潰し、それら潰した両端部を溶着して袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図6】実施例1における変形例2の工程を示す図(その1)であり、(a)はシート状部材を重ね合わせる工程、(b)は両シート状部材を溶着し、開口を形成する工程、(c)は、各シート状部材を筒形状体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図7】実施例1における変形例2の工程を示す図(その2)であり、(a)は2つの筒形状体に形成されたものの形態を維持させるべく対辺部同士を溶着する工程、(b)は各筒形状体の両端部を潰し、それら潰した両端部を溶着して袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図8】実施例1における変形例3の工程を示す図(その1)であり、(a)は使用する筒形状体の第2部材とシート状部材の第1部材とを示す図、(b)は筒形状体の第2部材にシート状部材の第1部材を重ね合わせる工程、(c)は両部材同士を押圧する荷重を作用させる工程、をそれぞれ示す。
【図9】実施例1における変形例3の工程を示す図(その2)であり、(a)は両部材を溶着する工程、(b)は溶着部分に開口を形成する工程、(c)は各部材を袋体に形成する工程、をそれぞれ示す。
【図10】図1に示したカフを製造する実施例2の工程を示す図(その1)であり、(a)は使用する2つの筒形状体を示す図、(b)は2つの筒形状体のうち一方を他方の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する工程、をそれぞれ示す。
【図11】図1に示したカフを製造する実施例2の工程を示す図(その2)であり、(a)は2重の筒形状体を溶着し、開口を形成する工程、(b)は外側の筒形状体を、その表裏を裏返しながら内側の筒形状体から引き抜く工程、(c)は内側の筒形状体と引き抜かれて裏返しにされた外側の筒形状体とからなる構造、をそれぞれ示す。
【図12】実施例2における変形例4の工程を示す図(その1)であり、(a)は使用する2つの筒形状体を示す図、(b)は2つの筒形状体のうち一方を他方の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する工程、をそれぞれ示す。
【図13】実施例2における変形例4の工程を示す図(その2)であり、(a)は2重の筒形状体を溶着し、開口を形成する工程、(b)は内側の筒形状体を、開口を通じて表裏を裏返しながら外側の筒形状体から引き出す工程、(c)は外側の筒形状体と引き出されて裏返しにされた内側の筒形状体とからなる構造、をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る血圧計用カフの製造方法の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1(a)は本発明に係る血圧計用カフの製造方法により製造された血圧計用カフ100(以下、カフ100という。)を示す要部斜視図であり、このカフ100は、二点鎖線で示したカフ本体80と、カフ本体80の内部に収容された流体袋50とを備えた構成である。
【0024】
このカフ100は、同図(b)に示すように、流体袋50が収縮した状態(内部に空気等の流体が供給されていない状態)で被検体200の測定部位(図示においては上腕部)に巻き付けられ、エアホース90が接続されるコネクタ(ジョイント;図示省略)を介して流体袋50の内部に空気(流体)が供給されて膨張することにより測定部位の圧迫を強め、コネクタを介して内部の空気が抜かれた状態で測定部位の圧迫を緩めるものである。
【0025】
なお、図示の流体袋50は、第1の袋体10′と第2の袋体20′とが、カフ100の厚さ方向(z軸方向)に重ね合わせられて、かつ一体化された形態を有し、カフ100が被検体200の測定部位に巻き付けられた状態(図1(b))において、第1の袋体10′が被検体200の測定部位から遠い側(外周側)に位置し、第2の袋体20′が被検体200の測定部位に近い側(内周側)に位置するように配置されている。
【0026】
カフ100は、図1(a)に示すようにxy座標平面においてy軸方向に長く、x軸方向に短い細長い矩形形状を呈し、同図(b)に示すように、x軸方向が測定部位に対する幅方向に対応し、y軸方向が測定部位に対する巻付け方向に対応している。
【0027】
なお、図1(a)において、符号m12,m13,m22,m23は、後述する溶着部分を表している。
【0028】
次に、上述した流体袋50を製造する工程について説明する。この流体袋50の製造方法は、基本的に、後にそれぞれ袋体10′,20′になる2つの部材(第1部材10,第2部材20)を予め接合し、その接合部分に、後に袋体10′,20′に形成された際に両袋体10′,20′を連通することとなる開口Wを形成し、その後に、両部材10,20をそれぞれ各別に袋体10′,20′として形成することで、2つの流体室(各袋体の内部空間)が連通した単一の流体袋50を得るものである。
【0029】
すなわち、本実施形態のカフ100の製造方法は、まず、図2(a)に示すように、後に第1の袋体10′になる略矩形のシート状の第1部材10(シート状部材)と、同じく後に第2の袋体20′になる略矩形のシート状の第2部材20(シート状部材)とを重ね合わせる。
【0030】
ここで、第1部材10および第2部材20はいずれも気密性および柔軟性を有する材料により形成されている。両部材10,20の大きさは同一であってもよいし、一方が他方より大きくてもよい。両部材10,20の大きさが異なる場合に、両部材10,20は互いに相似形である必要はない。
【0031】
なお、図1に示したように、カフ100を被検体200の測定部位に巻き付けたとき、第1の袋体10′は外周側に、第2の袋体20′は内周側にそれぞれ配置されるため、カフ100を巻き付けた測定部位の中心軸回りの、流体袋50の巻き付け角度範囲を、内周側(第2の袋体20′)と外周側(第1の袋体10′)とで同じにする場合は、外周側を内周側よりも長く形成する必要があるため、第1の袋体10′が第2の袋体20′よりも大きくなるように、第1部材10を第2部材20よりも大きいものとすればよい。
【0032】
以下の説明では、両部材10,20が同一の大きさであるものとする。
【0033】
次に、図2(a)に示したように、第1部材10と第2部材20との各角部同士乃至辺縁同士を位置合わせして、両部材10,20を重ね合わせた後、その重ね合わされた領域(第1部材10の表面(ひょうめん)全体または第2部材の表面全体)のうち、重ね合わされた領域よりも狭い面積(第1部材10の面積または第2部材20の面積よりも狭い面積)の領域(例えば、第1部材10および第2部材20の中央部分の矩形領域)で、2つの部材10,20を互いに溶着(接合)する(同図(b))。
【0034】
なお、図示において細かいドットで表した矩形輪郭の環状部分が、溶着部分M(接合された領域)である。溶着部分Mは熱等によって溶着された部分であるが、接合された領域の気密を確保できる限り、この溶着という加工に代えて、接着剤等を用いた接合という加工を適用してもよい。
【0035】
さらに、溶着部分Mにより周囲を囲まれた内側の範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成する(同図(b))。
【0036】
次いで、第1部材10としての第1のシート状部材の一方の対辺部11,12同士を重ね合わせ(同図(c))、この重ね合わされた対辺部11,12同士を溶着して第1の筒形状体10″を形成する(図3(a))。
【0037】
同様に、第2部材20としての第2のシート状部材の一方の対辺部21,22同士を重ね合わせ(図2(c))、この重ね合わされた対辺部21,22同士を溶着して第2の筒形状体20″を形成する(図3(a))。
【0038】
ここで、第2のシート状部材の接合する一方の対辺部21,22は、第1のシート状部材の接合する一方の対辺部11,12にそれぞれ重なっている辺部であり、両筒形状体10″,20″は、その軸同士が互いに平行の位置関係となるように形成される。
【0039】
なお、図3(a)における符号m11は対辺部11,12同士を溶着した溶着部分、符号m21は対辺部21,22同士を溶着した溶着部分を示す。
【0040】
次に、第1の筒形状体10″の軸方向(筒形状の軸に沿った方向;図示においてy軸に沿った方向)の両端部13,14をそれぞれ、図3(b)に示すように、その筒形状の半径方向(図示において、z軸に沿った方向)に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部13,14を同図(c)に示すようにそれぞれ各別に接合して第1の筒形状体10″の両端部13,14の開口をそれぞれ閉塞することにより、第1の袋体10′を形成する。
【0041】
同様に、第2の筒形状体20″の軸方向(筒形状の軸に沿った方向;図示においてy軸に沿った方向)の両端部23,24をそれぞれ、図3(b)に示すように、その筒形状の半径方向(図示において、z軸に沿った方向)に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部23,24を同図(c)に示すようにそれぞれ各別に接合して第2の筒形状体20″の両端部23,24の開口をそれぞれ閉塞することにより、第2の袋体20′を形成する。
【0042】
なお、図3(c)における符号m12は第1の筒形状体10″の端部13を溶着した溶着部分、符号m13は第1の筒形状体10″の端部14を溶着した溶着部分、符号m22は第2の筒形状体20″の端部23を溶着した溶着部分、符号m23は第2の筒形状体20″の端部24を溶着した溶着部分を示す。
【0043】
以上のように構成された本実施形態に係る血圧計用カフ100の製造方法によれば、2つの流体室が内部で連通した流体袋50として、内部で連通した2つの袋体10′,20′が接合された構造で提供され、これらの袋体10′,20′は第1部材10と第2部材20という2つの部材でそれぞれ製造されるため、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフ100を簡単な工程で製造することができる。
【0044】
すなわち、後にそれぞれ袋体(第1の袋体10′と第2の袋体20′)になる2つの部材(第1部材10、第2部材20)を重ね合わせて、その重ね合わせた領域よりも狭い面積領域を接合することにより、後に両部材10,20がそれぞれ袋体10′,20′に形成された状態で、両袋体10′,20′は一体の流体袋50を構成し、各袋体10′,20′の内部は、流体袋50における各流体室として機能する。
【0045】
また、溶着部分Mを周囲として形成された開口Wは、流体袋50に形成された状態で両袋体10′,20′の内部(流体室)を連通させる部分として機能するが、開口Wの周囲は溶着部分Mによって接合されているため、流体袋50の内部に供給された空気等が開口Wの周囲から流体袋50の外部に洩れることがない。
【0046】
そして、このように両部材10,20を結合する加工および開口Wを形成する加工を、両部材10,20を袋体10′,20′に形成する以前に行うことで、これらの加工を容易に行うことができる。
【0047】
また、第1部材10および第2部材20は略矩形の単純なシート状の部材であって、複雑な形状の構成部品ではないため、これらの部材10,20を対象とした加工も容易に行うことができ、材料のコストも低く抑えることができる。
【0048】
さらに、第1部材10を第1の袋体10′に形成するに際しては、第1のシート状部材10の一方の対辺部11,12同士を筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部11,12同士を接合して第1の筒形状体10″を形成し、第1の筒形状体10″の軸方向の両端部13,14をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を、筒形状の内側面同士が向かい合うように重ね合わせ、この重ね合わされた各端部13,14をそれぞれ接合して、第1の筒形状体10″の両端部13,14の開口をそれぞれ閉塞することにより第1の袋体10′を形成するため、簡単な加工で内部が流体室となる袋体10′を形成することができる。
【0049】
同様に、第2部材20を第2の袋体20′に形成するに際しては、第2のシート状部材20の一方の対辺部21,22同士を筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部21,22同士を接合して第2の筒形状体20″を形成し、第2の筒形状体20″の軸方向の両端部23,24をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を、筒形状の内側面同士が向かい合うように重ね合わせ、この重ね合わされた各端部23,24をそれぞれ各別に接合して、第2の筒形状体20″の両端部23,24の開口をそれぞれ閉塞することにより第2の袋体20′を形成するため、簡単な加工で内部が流体室となる袋体20′を形成することができる。
【0050】
また、第1の袋体10′および第2の袋体20′について、各シート状の部材10,20をそれぞれ筒形状体10″,20″に形成するに際して、後に筒形状体10″の軸方向(y軸方向)の両端部13,14をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分15,16(図3(b)参照)に対応することとなる領域を外した位置で、辺部11と辺部12とを、筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように接合し、筒形状体20″の軸方向(y軸方向)の両端部23,24をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分25,26に対応することとなる領域を外した位置で、辺部21と辺部22とを、筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように接合しているため、各袋体10′,20′を小さくすることができる。
【0051】
すなわち、折り目部分15,16,25,26は、袋体10′,20′が収縮したときの幅方向(x軸方向)の端縁に対応する。
【0052】
ここで、端縁において、流体袋の内側面となる面同士を向かい合わせるように接合すると、流体袋の内部に空気を供給しても、この内側面同士が向かい合って接合されている部分には空気が充填されないため、その接合されている部分は膨らまずに、接合されている部分よりも手前の部分(幅方向の中央よりの部分)までしか膨張することがない。
【0053】
そして、従来の流体袋は、その幅方向の端縁に存在する接合部分が膨張・収縮に寄与しないため、膨張・収縮に寄与する幅が、実質的に接合部分の幅分だけ少なくなる。つまり、接合部分の幅分だけ無駄な幅となる。
【0054】
また、辺部同士を、筒形状の内側面となる面と筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように接合したものであっても、辺部同士を重ねて溶着した部分は他の部分に比べて厚みが増加しているため剛性が増大しており、この結果、流体袋の収縮時における折り目部分となる幅方向の端縁に溶着部分m11,m21(接合部分)が位置すると、その折り目部分は、溶着部分m11,m21の剛性増大の影響によって、収縮時にうまく折り畳まれず、収縮した状態で幅方向の端縁における流体袋50の厚さが、意図した通りには薄くならない。
【0055】
これに対して、幅方向の端縁に溶着部分m11,m21が位置しない本実施形態(他の実施例や変形例においても同じ)では、幅方向の端縁に溶着部分m11,m21が位置しないため、流体袋50を小さくすることができ、コンパクトなカフ100を製造することができる。
【0056】
なお、流体袋の内側面となる面同士を向かい合わせるように溶着して筒形状体を形成すると、その溶着位置を任意に選んだとしても、その溶着部分が流体袋の外方に突出するため、その突出分だけ流体袋の厚さや幅が無駄に増加することになる。
【0057】
そこで、筒形状の内側面となる面と筒形状体の外側面となる面とを向かい合わせるように溶着することで、溶着部分が流体袋の外側に向けて突出するのを回避することができ、流体袋の厚さや幅の増加を防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態の製造方法は、第1のシート状部材10による第1の筒形状体10″の両端部13,14および第2のシート状部材20による第2の筒形状体20″の両端部23,24をそれぞれ筒形状の半径方向に潰すに際して、開口Wの広がる面(x軸およびy軸によって規定されるxy座標平面)に対して直交する方向(z軸方向)に押圧して潰すため、溶着によって剛性が高くなる溶着部分m12,m13,m22,m23は開口Wの面内で延びる(各両端部13,14,23,24における接合部分はx軸方向に延びる)。したがって、各袋体10′,20′が収縮した状態における嵩高(カフ100の厚さ(z軸方向の厚さ))を小さくすることができる。
(変形例1)
上述した実施例1の製造方法は、図2(a)に示したように、両シート状部材10,20を完全に重ね合わせるものに限定されるものではなく、例えば図4(a)に示すように、両シート状部材10,20を意図的に位置ずれさせた状態で重ね合わせるようにしてもよい。
【0059】
そして、同図(b)に示すように、両シート状部材10,20同士を溶着し、かつ開口Wを形成する位置として、第2のシート状部材20の一方の対辺21,22のうちの一方辺部(例えば、図示においては辺部12)に寄った位置を適用するのが好ましい。
【0060】
すなわち、上記実施例1の製造方法において、両シート状部材10,20のうち、被検体200の測定部位に近い側(内周側)となる第2のシート状部材20における溶着部分Mおよび開口Wを、対辺21,22間の中央ではなく、一つの辺部22に偏った位置に形成することで、第2の筒形状体20″に形成するに際して、第2の袋体20′のうち、被検体200から遠い外側の第1の袋体10′に面する領域において、重ね合わされた対辺部21,22同士(図4(c))を溶着した溶着部分m21(図5(a),(b)参照)が形成される。
【0061】
この結果、2枚重ね(対辺部21と対辺部22との2枚が重なる)で溶着されているため剛性が高くなった溶着部分m21が、被検体200に近い第2の袋体20′における、被検体200の測定部位に面する面(図5(b)において下面28)に存在しないため、脈波の伝播が溶着部分m21によって妨げられることがなく、脈波信号の検出精度の悪化を防ぐことができるとともに、被検体200の測定部位を均一に圧迫することができる。
【0062】
さらに、カフ100を巻き付けられた被検体200に対して、溶着部分m21の当たる感触が伝わりにくくなり、この結果、被検体200に溶着部分m21が当たる感触が伝わり易い図2,3に示した実施例1の流体袋50よりも、被検体200に与える不快感を低減させることができる。
(変形例2)
上述した変形例1の製造方法は、図4,5に示したように、両シート状部材10,20間のずらし量が比較的小さいものであって、溶着部分Mおよび開口Wの形成位置が、第1のシート状部材10においては、対辺部11,12間の略中央部となるものであるが、両シート状部材10,20間のずらし量を一層大きくして(図6(a)参照)、溶着部分Mおよび開口Wの形成位置を、第1のシート状部材10においても、第2のシート状部材20とは反対方向の辺部11側に偏らせる(同図(b)参照)ようにしてもよい。
【0063】
両シート状部材10,20の重ね合わせを、このように大きくずらすとともに、溶着部分Mおよび開口Wの形成位置を両シート状部材10,20の中央部からそれぞれ反対方向に偏らせることで、第1のシート状部材10についても、対辺部11,12同士を重ね合わせる位置が、後に第1の袋体10′に形成された状態(図7(b)参照))で、第2の袋体20′に面する位置まで偏り(図6(c)参照))、この結果、この対辺部11,12同士の重ね合わせ部を溶着した溶着部分m11は、図7(a),(b)に示すように、第1の袋体10′の幅方向の中央からずれた位置となる。
【0064】
ここで、流体袋50には、流体袋50の内部に空気等を供給するためのエアホース90を接続するためのコネクタが設けられるが、上述したように溶着部分m11を第1の袋体10′の幅方向の中央からずれた位置に形成することにより、溶着部分m11と流体袋50におけるコネクタの取付部位とを互いに離すことができ、これにより、コネクタの取付け加工や溶着加工に用いられる工具等の位置関係を厳密に調整する必要がなく、また、溶着部分m11にコネクタを取り付ける場合に要するコネクタの倒れ等の調整といった付随的な作業を必要としないため、加工作業を容易化することができる。
【0065】
そして、両筒形状体10″,20″がともに袋体10′,20′に形成された状態で、第1の筒形状体10″における溶着部分m11は、第2の筒形状体20″における溶着部分m21とは重ならない位置となる。
【0066】
ここで、各溶着部分m11,m21はいずれも、筒形状体10″,20″を形成するために各シート状部材10,20がそれぞれ2枚重ねになっているため、溶着部分m11,m21以外の部分よりも厚さが厚くなっている。
【0067】
このため、流体袋50が収縮した状態で、第1の袋体10′の溶着部分m11と第2の袋体20′の溶着部分m21とが重なる位置に形成されていると、その部位での厚さの増加が倍増することになる。
【0068】
これに対して、上記実施例1において、第1の袋体10′の溶着部分m11と第2の袋体20′の溶着部分m21とが重ならない位置に形成する製造方法では、厚さの増加が1箇所に集中するのを防止することができるため、カフ100全体としての厚さの増加を緩和することができる。
(変形例3)
上述した実施例1、変形例1および変形例2の各実施形態は、第1の袋体10′および第2の袋体20′を、それぞれシート状の部材10,20から形成するものであるが、本発明に係る血圧計溶カフの製造方法は、このようなシート状の部材から袋体を形成するもので限定されるものではなく、予め筒形状体に形成されている部材を第1部材10や第2部材20として適用することもできる。
【0069】
すなわち、第1の袋体10′となる第1部材10は、シート状の部材であってもよいし、筒形状体であってもよい。そして、第1部材10としてシート状の部材を適用したときは、実施例1や変形例1,2のように、このシート状の部材10(第1部材)を筒形状体10″に形成した後、その筒形状体10″を第1の袋体10′に形成すればよく、第1部材10として筒形状体を適用したときは、この筒形状体10(第1部材)を第1の袋体10′に形成すればよい。第2の袋体20′となる第2部材20についても同様である。
【0070】
例えば、変形例2,3において、図8(a)に示すように、第1部材10をシート状部材とし、第2部材20を筒形状体とし、この筒形状体である第2部材20の周面にシート状部材である第1部材10を重ね合わせる(同図(b))。このとき、両部材10,20が重ね合わされた領域Tは線状となっている。
【0071】
そして、その重ね合わされた両部材10,20に、両部材10,20の重ね合わせ方向に押圧力を作用させることで、第2部材20である筒形状体を潰すように変形させ、これによって、第2部材20である筒形状体の周面と第1部材10であるシート状部材の面とが互いに接触する領域Tは面状に拡げられる(同図(c))。
【0072】
このように両部材10,20が互いに接触している領域Tを、両部材10,20が重ね合わされた領域とし、その後は、実施例1、変形例1または変形例2と同様に、この重ね合わされた領域T(図8(c))よりも狭い面積領域で、これら2つの部材10,20を互いに溶着等により接合し(図9(a)において溶着部分M)、その接合された部分Mの全部または一部により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成し(同図(b))、シート状部材である第1部材10を実施例1等と同様に筒形状体にした上で第1の袋体10′に、筒形状体である第2部材20を第2の袋体20′に、それぞれ形成する(同図(c))ことにより、第1の袋体10′と第2の袋体20′とが接合された流体袋50を形成することもできる。
【0073】
なお、この例では、図9(a)に示すように、溶着部分Mがひと塊の矩形領域の全域であり、同図(b)に示すように、その溶着部分Mの一部である外側部分により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて開口Wを形成しているが、上述した実施例1や変形例1,2と同様に、形成しようとする開口Wの周囲だけを溶着し(溶着部分Mは閉じた矩形環状となる。)、その溶着部分Mで周囲を囲まれた範囲を切り抜いて開口Wを形成してもよい。
【0074】
また、この変形例3の第2部材20としての筒形状体は、第1部材10としてのシート状部材と同様のシート状部材を用いて、その対辺同士を、筒形状の内側面となる面と外側面となる面とを向かい合わせるように接合して筒形状に形成したものであってもよいし、最初から筒形状となるように押し出し成形や射出成形等によって、溶着部分m21の無い筒形状体として形成したものであってもよい。また、このような開口Wの切り抜き方は、他の実施例や変形例に適用してもよい。
(実施例2)
図10,11は、本発明に係る血圧計用カフの製造方法についての他の実施例2を示す図である。この実施例2の製造方法は、基本的に、後にそれぞれ袋体10′,20′になる2つの部材(第1部材10,第2部材20)を予め接合し、その接合部分に、後に袋体10′,20′に形成された際に両袋体10′,20′を連通することとなる開口Wを形成し、その後に、両部材10,20をそれぞれ各別に袋体10′,20′として形成することで、2つの流体室(各袋体の内部空間)が連通した単一の流体袋50を得るものである。
【0075】
すなわち、本実施形態のカフ100の製造方法は、まず、図10(a)に示すように、後に第1の袋体10′になる筒形状体である第1部材10と、同じく後に第2の袋体20′になる筒形状体である第2部材20とのうち、一方の筒形状体を他方の筒形状体の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する(同図(b))。
【0076】
この例では、第2部材20を第1部材10の内部に挿入した状態を示しているが、内側の部材と外側の部材とは内外が反対であってもよい。
【0077】
そして、両部材10,20をその周面において、面状の広がりを有する領域として互いに接触するように重ね合わせ、その重ね合わされた領域のうち、重ね合わされた領域よりも狭い面積(第1部材10の面積または第2部材20の面積よりも狭い面積)の領域(例えば、第1部材10および第2部材20の中央部分の矩形領域)で、2つの部材10,20を互いに溶着する(図11(a))。
【0078】
なお、図示において細かいドットで表した部分が溶着部分Mである。溶着部分Mは、熱等によって溶着された部分であるが、この溶着という加工に代えて、接着剤等を用いた接合という加工を適用してもよい。
【0079】
さらに、溶着部分Mにより周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成する(同図(a))。
【0080】
次いで、第1部材10および第2部材20をそれぞれ対応する袋体10′,20′に形成するのに先だって、同図(b)に示すように、2重の筒形状体のうち外側に位置する筒形状体(第1部材10)を、その一方の端部側から表裏を裏返しつつ、内側の筒形状体(第2部材20)から引き抜く。
【0081】
このとき、表裏を裏返しつつ内側の筒形状体(第2部材20)から引き抜かれた後の外側の筒形状体(第1部材10)は、図11(c)に示すように、2重の筒形状体であった状態(図11(a))における表(おもて)面10aが裏面10bとなり、2重の筒形状体であった状態(図11(a))における裏面10bが表(おもて)面10aとなる。
【0082】
このように、互いに接合され、開口Wで連通した2つの筒形状体(第1部材10、第2部材20)は、実施例1や変形例1〜3と同様に、各筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して、各筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、それぞれ袋体として形成して、実施例1や変形例1〜3と同様の、2つの袋体が接合された流体袋50を形成することができる。
【0083】
なお、この実施例2の製造工程で得られた流体袋50は、2重の筒形状体のうち外側の筒形状体であった第1部材10が、当初の状態(接合前の筒形状体の状態)とは表裏反対になっている点が、実施例1や変形例1〜3で得られた流体袋50とは相違しているが、得られた流体袋50の機能は、実施例1や変形例1〜3の製造工程で得られた流体袋50と差異はない。
【0084】
以上のように構成された本実施形態に係る血圧計用カフ100の製造方法によれば、2つの流体室が内部で連通した流体袋50として、内部で連通した2つの袋体が接合された構造で提供され、これらの袋体は筒形状体の第1部材10と筒形状体の第2部材20という2つの部材でそれぞれ製造されるため、従来の流体袋のように多数の部品を複雑に加工する必要がなく、血圧計用カフ100を簡単な工程で製造することができる。
【0085】
すなわち、後にそれぞれ袋体(第1の袋体と第2の袋体)になる2つの筒形状体(第1部材10、第2部材20)を重ね合わせて、その重ね合わせた領域よりも狭い面積領域を接合することにより、後に両部材10,20がそれぞれ袋体に形成された状態で、両袋体は一体の流体袋50を構成し、各袋体の内部は、流体袋50における各流体室として機能する。
【0086】
また、接合された領域を周囲として形成された開口Wは、流体袋50に形成された状態で両袋体の内部(流体室)を連通させる部分として機能するが、開口Wの周囲は溶着部分Mによって接合されているため、流体袋50の内部に供給された空気等が開口Wの周囲から流体袋50の外部に洩れることがない。
【0087】
そして、このように両部材10,20を結合する加工および開口Wを形成する加工を、両部材10,20を袋体に形成する以前に行うことで、これらの加工を容易に行うことができる。
【0088】
また、第1部材10および第2部材20は略円筒形状の筒形状体の部材であって、複雑な形状の構成部品ではないため、これらの部材10,20を対象とした加工も容易に行うことができ、材料のコストも低く抑えることができる。
【0089】
さらに、第1部材10を第1の袋体に形成するに際しては、筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ各別に接合して、これら両端部の開口をそれぞれ閉塞することにより第1の袋体を形成するため、簡単な加工で、内部が流体室となる袋体を形成することができる。
【0090】
同様に、第2部材20を第2の袋体に形成するに際しては、筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ各別に接合して、これら両端部の開口をそれぞれ閉塞することにより第2の袋体を形成するため、簡単な加工で内部が流体室となる袋体を形成することができる。
【0091】
また、第1の袋体および第2の袋体について、各筒形状体の第1部材10、第2部材20をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分(図3(b)参照)には、接合部分等の、流体袋の膨張・収縮に寄与しない部分が存在しないため、各袋体の幅(x軸方向に沿った長さ)を有効に利用することができる。
【0092】
したがって、本実施形態の製造方法によれば、実施例1と同様にカフ100の幅を一層小さくすることができる。
(変形例4)
図12,13は、上記実施例2の変形例を示す図である。実施例2の血圧計用カフの製造方法は、2重の筒形状体の外側に位置する筒形状体(第1部材10)を、その一方の端部側から表裏を裏返しつつ、内側の筒形状体(第2部材20)から引き抜くものであるが、2重の筒形状体のうち一方を外側に引き出す工程としては、この実施例2で示した工程に限定されるものではない。
【0093】
すなわち、本発明の血圧計用カフの製造方法の実施例2の変形例として、図12(a)に示すように、後に第1の袋体10′になる筒形状体である第1部材10と、同じく後に第2の袋体20′になる筒形状体である第2部材20とのうち、一方の筒形状体を他方の筒形状体の内部に挿入して2重の筒形状体を形成する(同図(b))。
【0094】
この例では、第1部材10を第2部材20の内部に挿入した状態(図10(a)のものとは内外が反対である。)を示しているが、内側の部材と外側の部材とは内外が反対であってもよい。
【0095】
そして、両部材10,20をその周面において、面状の広がりを有する領域として互いに接触するように重ね合わせ、その重ね合わされた領域のうち、重ね合わされた領域よりも狭い面積(第1部材10の面積または第2部材20の面積よりも狭い面積)の領域(例えば、第1部材10および第2部材20の中央部分の矩形領域)で、2つの部材10,20を互いに溶着する(図13(a))。
【0096】
なお、図示において細かいドットで表した部分が溶着部分Mである。溶着部分Mは、熱等によって溶着された部分であるが、この溶着という加工に代えて、接着剤等を用いた接合という加工を適用してもよい。
【0097】
さらに、溶着部分Mにより周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、2つの部材10,20に共通の開口Wを形成する(同図(a))。
【0098】
次いで、第1部材10および第2部材10をそれぞれ対応する袋体10′,20′に形成するのに先だって、同図(b)に示すように、2重の筒形状体のうち内側に位置する筒形状体(第1部材10)を、開口Wを通じて、表裏を裏返しつつ外側の筒形状体(第2部材20)から引き出す。
【0099】
このとき、表裏を裏返しつつ、外側の筒形状体(第2部材20)から引き出された後の内側の筒形状体(第1部材10)は、図13(c)に示すように、2重の筒形状体であった状態(図13(a))における表(おもて)面10aが裏面10bとなり、2重の筒形状体であった状態(図13(a))における裏面10bが表(おもて)面10aとなる。
【0100】
このように、互いに接合され、開口Wで連通した2つの筒形状体10,20は、実施例1や変形例1〜3、実施例2と同様に、各筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて辺部を重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ各別に接合して、各筒形状体の両端部の開口をそれぞれ閉塞することにより、それぞれ袋体として形成して、実施例1,2や変形例1〜3と同様の、2つの袋体が接合された流体袋50を得ることができる。
【0101】
以上のように構成された変形例4の血圧計用カフ100の製造方法によれば、実施例2と同様の作用、効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0102】
10 第1のシート状部材(第1部材)
10′ 第1の袋体
10″ 第1の筒形状体
20 第2のシート状部材(第2部材)
20′ 第2の袋体
20″ 第2の筒形状体
50 流体袋
M 溶着部分(接合部分)
W 開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体が供給された状態で膨張し前記流体が抜かれた状態で収縮する流体袋を有する、被検体に巻き付けられる血圧計用カフの製造方法において、
第1の袋体になる第1部材と第2の袋体になる第2部材とを重ね合わせ、
その重ね合わされた領域のうち、前記重ね合わされた領域よりも狭い面積領域で、前記2つの部材を互いに接合し、
その接合された領域の全部または一部により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、前記2つの部材に共通の開口を形成し、
前記第1部材を前記第1の袋体に、前記第2部材を前記第2の袋体に、それぞれ形成することにより、前記第1の袋体と前記第2の袋体とが接合された前記流体袋を形成することを特徴とする血圧計用カフの製造方法。
【請求項2】
前記第1部材および前記第2部材は略矩形のシート状部材であり、
前記第1部材を前記第1の袋体に形成するに際しては、前記第1部材としての第1のシート状部材の一方の対辺部同士を重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合して第1の筒形状体を形成し、前記第1の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第1の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第1の袋体を形成し、
同様に、前記第2部材を前記第2の袋体に形成するに際しては、前記第2部材としての第2のシート状部材の一方の対辺部同士を重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合して第2の筒形状体を形成し、前記第2の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第2の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第2の袋体を形成することを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項3】
前記2つの袋体のうち前記被検体に近い内側の袋体について、前記シート状部材を前記筒形状体に形成するに際して、前記2つの袋体のうち前記被検体から遠い外側の袋体に面する領域において、前記重ね合わされた対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項4】
前記シート状部材を前記筒形状体に形成するに際して、後に、前記筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分に対応することとなる領域を外した位置で、前記対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2または3に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項5】
前記2つの袋体のうち前記被検体から遠い側の袋体について、前記シート状部材を前記筒形状体に形成するに際して、前記2つの袋体のうち前記被検体に近い側の袋体に面する領域であって、前記被検体に近い側の袋体について接合されている部位に重ならない位置において、前記重ね合わされた対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項6】
前記シート状部材を前記筒状部材を形成するに際して、前記対辺部同士の重ね合わせは、前記筒形状の内側面となる面と前記筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1項に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項7】
前記2つの筒形状体の両端部をそれぞれ、前記筒形状の半径方向に潰すに際して、前記開口の広がる面に対して直交する方向に押圧して潰すことを特徴とする請求項2から6のうちいずれか1項に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項8】
前記第1部材および前記第2部材のうち一方は略矩形のシート状部材であり、他方は筒形状体であり、
前記第1部材および前記第2部材のうち前記シート状部材である方の部材を前記袋体に形成するに際しては、そのシート状部材の一方の対辺部同士を重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合して新たに筒形状体を形成し、この筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して、その筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記袋体を形成し、
前記第1部材および前記第2部材のうち筒形状体である方の部材を前記袋体に形成するに際しては、その筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して、その筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記袋体を形成することを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項9】
前記第1部材および前記第2部材は筒形状体であり、
前記第1部材と前記第2部材とを重ね合わせるに際しては、前記両筒形状体のうち一方に他方を挿入して2重の筒形状体を形成することで、前記両筒形状体の周面の少なくとも一部同士を重ね合わせ、
前記第1部材および前記第2部材をそれぞれ対応する袋体に形成するのに先だって、前記2重の筒形状体のうち内側の筒形状体を、その表裏を裏返しつつ、前記開口を通じて外側の筒形状体から引き出し、または、前記2重の筒形状体のうち外側の筒形状体を、その一方の端部側から表裏を裏返しつつ、内側の筒形状体から引き抜き、
次いで、前記第1部材を前記第1の袋体に形成するに際しては、前記第1部材としての第1の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第1の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第1の袋体を形成し、
同様に、前記第2部材を前記第2の袋体に形成するに際しては、前記第2部材としての第2の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第2の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第2の袋体を形成することを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項1】
内部に流体が供給された状態で膨張し前記流体が抜かれた状態で収縮する流体袋を有する、被検体に巻き付けられる血圧計用カフの製造方法において、
第1の袋体になる第1部材と第2の袋体になる第2部材とを重ね合わせ、
その重ね合わされた領域のうち、前記重ね合わされた領域よりも狭い面積領域で、前記2つの部材を互いに接合し、
その接合された領域の全部または一部により周囲を囲まれた範囲を切り抜いて、前記2つの部材に共通の開口を形成し、
前記第1部材を前記第1の袋体に、前記第2部材を前記第2の袋体に、それぞれ形成することにより、前記第1の袋体と前記第2の袋体とが接合された前記流体袋を形成することを特徴とする血圧計用カフの製造方法。
【請求項2】
前記第1部材および前記第2部材は略矩形のシート状部材であり、
前記第1部材を前記第1の袋体に形成するに際しては、前記第1部材としての第1のシート状部材の一方の対辺部同士を重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合して第1の筒形状体を形成し、前記第1の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第1の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第1の袋体を形成し、
同様に、前記第2部材を前記第2の袋体に形成するに際しては、前記第2部材としての第2のシート状部材の一方の対辺部同士を重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合して第2の筒形状体を形成し、前記第2の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第2の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第2の袋体を形成することを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項3】
前記2つの袋体のうち前記被検体に近い内側の袋体について、前記シート状部材を前記筒形状体に形成するに際して、前記2つの袋体のうち前記被検体から遠い外側の袋体に面する領域において、前記重ね合わされた対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項4】
前記シート状部材を前記筒形状体に形成するに際して、後に、前記筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ潰すように変形させたときの折り目部分に対応することとなる領域を外した位置で、前記対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2または3に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項5】
前記2つの袋体のうち前記被検体から遠い側の袋体について、前記シート状部材を前記筒形状体に形成するに際して、前記2つの袋体のうち前記被検体に近い側の袋体に面する領域であって、前記被検体に近い側の袋体について接合されている部位に重ならない位置において、前記重ね合わされた対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項6】
前記シート状部材を前記筒状部材を形成するに際して、前記対辺部同士の重ね合わせは、前記筒形状の内側面となる面と前記筒形状の外側面となる面とを向かい合わせるように重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合することを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1項に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項7】
前記2つの筒形状体の両端部をそれぞれ、前記筒形状の半径方向に潰すに際して、前記開口の広がる面に対して直交する方向に押圧して潰すことを特徴とする請求項2から6のうちいずれか1項に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項8】
前記第1部材および前記第2部材のうち一方は略矩形のシート状部材であり、他方は筒形状体であり、
前記第1部材および前記第2部材のうち前記シート状部材である方の部材を前記袋体に形成するに際しては、そのシート状部材の一方の対辺部同士を重ね合わせ、この重ね合わされた対辺部同士を接合して新たに筒形状体を形成し、この筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して、その筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記袋体を形成し、
前記第1部材および前記第2部材のうち筒形状体である方の部材を前記袋体に形成するに際しては、その筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して、その筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記袋体を形成することを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフの製造方法。
【請求項9】
前記第1部材および前記第2部材は筒形状体であり、
前記第1部材と前記第2部材とを重ね合わせるに際しては、前記両筒形状体のうち一方に他方を挿入して2重の筒形状体を形成することで、前記両筒形状体の周面の少なくとも一部同士を重ね合わせ、
前記第1部材および前記第2部材をそれぞれ対応する袋体に形成するのに先だって、前記2重の筒形状体のうち内側の筒形状体を、その表裏を裏返しつつ、前記開口を通じて外側の筒形状体から引き出し、または、前記2重の筒形状体のうち外側の筒形状体を、その一方の端部側から表裏を裏返しつつ、内側の筒形状体から引き抜き、
次いで、前記第1部材を前記第1の袋体に形成するに際しては、前記第1部材としての第1の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第1の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第1の袋体を形成し、
同様に、前記第2部材を前記第2の袋体に形成するに際しては、前記第2部材としての第2の筒形状体の軸方向の両端部をそれぞれ、その筒形状の半径方向に潰すように変形させて重ね合わせ、この重ね合わされた各端部をそれぞれ接合して前記第2の筒形状体の両端部の開口を閉塞することにより、前記第2の袋体を形成することを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−284224(P2010−284224A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138621(P2009−138621)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
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