説明

血液バッグシステム及びカセット

血液バッグシステム(10a)は、バフィーコートが遠心分離されるBCプーリングバッグ(54)と、BCプーリングバッグ(54)から移送される上清液から白血球を除去するフィルタ(56)と、フィルタ(56)を通した上清液を貯溜する血小板保存バッグ(58)と、BCプーリングバッグ(54)とフィルタ(56)の入口(56a)とを接続する第1チューブ(60)と、血小板保存バッグ(58)とフィルタ(56)の出口(56b)とを接続する第2チューブ(62)と、遠心分離移送装置に固定されるカセット(50a)とを有する。カセット(50a)には、第1チューブ(60)及び第2チューブ(62)が配設され、第1チューブ(60)を開閉する第1クランプ部(106)と、第2チューブ(62)を開閉する第2クランプ部(108)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全血又は全血から調整された血液成分(バフィーコート等)を上清液と沈降液とに遠心分離し、上清液を移送する遠心分離移送装置等に装着される血液バッグシステム及びカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、献血により得られた血液の全成分を輸血する全血輸血が主流であったが、近時では技術の進歩にともなって、得られた血液を赤血球、血小板及び血漿等の成分に分け、患者が必要とする成分だけを輸血する成分輸血が行われている。成分輸血によれば、患者にとって循環器系への負担や副作用を軽減することができるとともに、献血された血液の有効利用が図られる。
【0003】
献血により得られた血液は、遠心分離することにより、軽い上清PRP画分と、重い沈降CRC画分と、その間に形成されるバフィーコート(BC)に分かれる。バフィーコートは、白血球、血小板及び赤血球を含有しており、特に血小板については若く活性なものの割合が高い。
【0004】
一方、バフィーコートには、白血球が含まれていることからそのままでは利用することができず、バフィーコートだけを抽出して再度遠心分離を行い、上清液と沈降液とに遠心分離し、さらに白血球除去フィルタによって白血球を上清液から除去することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特表平7−507717号公報(WO93/25295A1号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、バフィーコートを上清液と沈降液とに遠心分離し、上清液を移送するためには、前工程として遠心分離を行い、後工程として分離(移送)を行う必要があり、装置も2台の専用機が必要であって、煩雑である。
【0007】
この2つの工程を1つの装置において同時に行うことのできる遠心分離移送装置が実用化されると好適である。このような遠心分離移送装置としては、遠心分離手段と、分離手段(移送手段)とを設けて、所定のディスポーザブルの血液バッグシステムを用いて処理をすることになろう。この遠心分離移送装置で用いるための血液バッグシステムとしては、概略、以下のような構成が考えられる。すなわち、バフィーコートが貯溜され内部でバフィーコートが上清液と沈降液とに遠心分離される第1バッグと、所定の押圧手段によって第1バッグが押圧されて移送される上清液から白血球を除去するフィルタと、フィルタによって白血球が除去された上清液を貯溜する第2バッグと、第1バッグとフィルタの入口とを接続する第1チューブと、第2バッグとフィルタの出口とを接続する第2チューブと、第1チューブ及び第2チューブの一部を開閉する第1クランプ及び第2クランプとを有する構成である。
【0008】
ところが、このような血液バッグシステムを遠心分離移送装置に装着するためには、第1バッグ、第2バッグ及びフィルタを適切な位置に配置するとともに、第1チューブ、第2チューブ、第1クランプ及び第2クランプを適切な経路に配設しなければならず、手順が煩雑となり、誤装着が懸念される。
【0009】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、全血から得られるバフィーコートを上清液と沈降液とに遠心分離し、上清液を移送する遠心分離移送装置に装着される血液バッグシステム及び該血液バッグシステムのカセットであって、遠心分離移送装置に対して簡便且つ正確に装着することのできる血液バッグシステム及びカセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る血液バッグシステムは、全血又は血液成分を貯溜する第1バッグと、前記第1バッグの内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体を備えるフィルタと、前記フィルタによって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグと、前記第1バッグと前記フィルタの入口とを接続する第1チューブと、前記第2バッグと前記フィルタの出口とを接続する第2チューブと、前記第1チューブの一部及び前記第2チューブの一部を保持するカセットとを有し、前記カセットは、前記第1チューブを閉塞及び開放する第1クランプ部と、前記第2チューブを閉塞及び開放する第2クランプ部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にかかるカセットは、全血又は血液成分を貯溜する第1バッグと、前記第1バッグの内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体を備えるフィルタと、前記フィルタによって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグと、前記第1バッグと前記フィルタの入口とを接続する第1チューブと、前記第2バッグと前記フィルタの出口とを接続する第2チューブとを有する多連バッグに装着されるカセットであって、前記第1チューブの一部及び前記第2チューブの一部を保持し、前記第1チューブを閉塞及び開放する第1クランプ部と、前記第2チューブを閉塞及び開放する第2クランプ部とを備えることを特徴とする。
【0012】
このように、血液バッグシステムのカセットには第1チューブ及び第2チューブが予め正しく配設されており、該カセットは遠心分離移送装置の所定箇所に装着すればよく、煩雑な第1チューブ及び第2チューブの引き回しや、第1クランプ及び第2クランプの配設が不要であり、簡便且つ確実に装着可能である。また、カセットには、第1クランプ及び第2クランプが備えられており、遠心分離移送装置におけるクランプ駆動手段に対して正しく配設される。
【0013】
前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、前記カセットと一体的に構成されていてもよい。これにより、第1クランプ部及び第2クランプ部を簡便に構成することができるとともに、一体成型によって部品点数を削減することができる。もちろん、操作者は第1クランプ及び第2クランプをカセットに装着する必要はなく、手順が簡便でありしかも誤配設がない。
【0014】
前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、それぞれ、弾性的に進退可能で前記第1チューブ又は前記第2チューブを側面から押圧する押圧部と、前記押圧部の先端に設けられた鋭角状の被係合部と、弾性的に傾動可能なラッチ部と、前記ラッチ部に設けられ、前記第1チューブ又は前記第2チューブを押圧した状態の前記押圧部における前記被係合部に係合する係合部とを有してもよい。これにより、第1クランプ及び第2クランプを簡便に構成することができる。
【0015】
また、本発明に係る血液バッグシステムは、全血又は血液成分を貯溜する第1バッグと、前記第1バッグの内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体を備えるフィルタと、前記フィルタによって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグと、前記第1バッグと前記フィルタの入口とを接続する第1チューブと、前記第2バッグと前記フィルタの出口とを接続する第2チューブと、前記第1チューブを閉塞及び開放する第1クランプと、前記第2チューブを閉塞及び開放する第2クランプと、前記第1チューブの一部、前記第2チューブの一部、前記第1クランプ及び前記第2クランプを保持するカセットとを有し、前記カセットは、前記第1クランプを操作する第1クランプ操作部と、前記第2クランプを操作する第2クランプ操作部とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るカセットは、全血又は血液成分を貯溜する第1バッグと、前記第1バッグの内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体を備えるフィルタと、前記フィルタによって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグと、前記第1バッグと前記フィルタの入口とを接続する第1チューブと、前記第2バッグと前記フィルタの出口とを接続する第2チューブと、前記第1チューブを閉塞及び開放する第1クランプと、前記第2チューブを閉塞及び開放する第2クランプとを有する多連バッグに装着されるカセットであって、前記第1チューブの一部、前記第2チューブの一部を保持し、前記第1クランプを操作する第1クランプ操作部と、前記第2クランプを操作する第2クランプ操作部とを備えることを特徴とする。
【0017】
このように、血液バッグシステムのカセットには第1チューブ及び第2チューブが予め正しく配設されており、該カセットは遠心分離移送装置の所定箇所に装着すればよく、煩雑な第1チューブ及び第2チューブの引き回しや、第1クランプ及び第2クランプの配設が不要であり、簡便且つ確実に装着可能である。また、カセットには、第1クランプ及び第2クランプが保持されており、遠心分離移送装置におけるクランプ駆動手段に対して正しく配設される。
【0018】
また、第1クランプ及び第2クランプとして汎用のクランプ等を利用可能である。第1クランプ及び第2クランプは予めカセットに正しく保持されていることから、操作者は第1クランプ及び第2クランプをカセットに装着する必要はなく、手順が簡便でありしかも誤配設がない。
【0019】
前記第1クランプ操作部及び前記第2クランプ操作部は、前記カセットと一体的に構成されていてもよい。
【0020】
前記第1クランプ操作部及び前記第2クランプ操作部は、それぞれ、弾性的に進退可能で前記第1クランプ及び前記第2クランプを介して前記第1チューブ又は前記第2チューブを側面から押圧する押圧部と、前記押圧部の先端に設けられた鋭角状の被係合部と、弾性的に傾動可能なラッチ部と、前記ラッチ部に設けられ、前記第1クランプ及び前記第2クランプを介して前記第1チューブ又は前記第2チューブを押圧した状態の前記押圧部における前記被係合部に係合する係合部とを有してもよい。これにより、第1クランプ操作部及び第2クランプ操作部を簡便に構成することができる。
【0021】
前記カセットは、前記第1クランプ及び前記第2クランプが並列に配置されていると、並列されている面が有効に利用され、しかもバランスがよくなる。
【0022】
前記第1バッグには、複数のドナーから採取された全血又は血液成分が貯溜され、前記第1バッグの内容液を上清液と沈降液とに遠心分離し、前記フィルタにより前記上清液から所定成分を除去し、所定成分が除去された前記上清液を前記第2バッグに移送(分離)する遠心分離移送装置に装着されると好適である。
【0023】
前記遠心分離移送装置は、投光部及び受光部を備え、その間を通過する液の種別を検知する第1センサ及び第2センサを有し、前記カセットは、前記第1センサ及び前記第2センサが挿入されるセンサ孔を有し、前記第1チューブは、前記第1センサの前記投光部と前記受光部との間を通り、前記第2チューブは、前記第2センサの前記投光部と前記受光部との間を通る位置に配設されてもよい。これにより、該第1チューブ及び第2チューブ内の液の確実な検出が可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る血液バッグシステム及びカセットでは、血液バッグシステムのカセットには第1チューブ及び第2チューブが予め正しく配設されており、該カセットは所定の遠心分離移送装置等の所定箇所に装着すればよく、煩雑な第1チューブ及び第2チューブの引き回しや、第1クランプ及び第2クランプの配設が不要であり、簡便且つ確実に装着可能である。また、カセットには、第1クランプ部及び第2クランプ部が設けられ、又は第1クランプ及び第2クランプが保持されており、遠心分離移送装置等におけるクランプ駆動手段に対して正しく配設される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】遠心分離移送装置の斜視図である。
【図2】遠心分離移送装置における遠心ドラムの一部拡大斜視図である。
【図3】インサートユニットの分解斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る血液バッグシステムの平面図である。
【図5】多連バッグの平面図である。
【図6】第1の実施形態に係る血液バッグシステムの一部拡大平面図である。
【図7】第1の実施形態に係る血液バッグシステムで、フィルタホルダが展開された状態の一部拡大斜視図である。
【図8】第1の実施形態に係る血液バッグシステムで、フィルタホルダが90°屈曲した状態の一部拡大斜視図である。
【図9】カセットにおけるセンサ孔周辺の斜視図である。
【図10】図10Aは、初期状態の第1クランプの平面図であり、図10Bは、閉塞状態の第1クランプの平面図であり、図10Cは、復帰動作中の第1クランプの平面図である。
【図11】カセットにおけるヒンジ部及びチューブ係合部の斜視図である。
【図12】第1の実施形態に係る血液バッグシステムで、フィルタホルダが展開された状態の一部拡大側面図である。
【図13】フィルタ及びホルダ本体の分解斜視図である。
【図14】遠心分離移送装置における作用を示す模式図である。
【図15】第2の実施形態に係る血液バッグシステムの一部拡大平面図である。
【図16】第2の実施形態に係る血液バッグシステムで、フィルタホルダが屈曲していない状態の一部拡大斜視図である。
【図17】第1クランプ操作部の平面図である。
【図18】第3の実施形態に係る血液バッグシステムの一部拡大平面図である。
【図19】第4の実施形態に係る血液バッグシステムの一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る血液バッグシステム及びカセットについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図19を参照しながら説明する。
【0027】
第1〜第4の実施形態に係る血液バッグシステム10a、10b、10c、10d及びカセット50a、50b、50c、50dは、全血又は全血から調整された血液成分(以下、本実施の形態ではバフィーコートとする。)を上清液と沈降液とに遠心分離し、上清液を移送する遠心分離移送(Centrifugation and Separation)装置11に装着される。先ず、この遠心分離移送装置11について説明する。以下の説明では、図2における矢印A方向を径方向、矢印B方向を周方向とする。周方向とは厳密には矢印Bのように円弧に沿った方向であるが、説明の便宜上、その説明箇所において矢印Aに直交する方向も周方向と呼ぶ。
【0028】
図1に示すように、遠心分離移送装置11は箱形状であって、開閉可能な上面の蓋12と、内部の遠心ドラム(遠心分離手段)14と、該遠心ドラム14内で等角度(60°)間隔に6つ設けられたユニット挿入孔16と、各ユニット挿入孔16に挿入される6つのインサートユニット18と、中心部に設けられ、各インサートユニット18に対して回転径方向に進退可能な6つの押子(押圧手段)20(図2参照)とを有する。
【0029】
遠心分離移送装置11は、正面に設けられた操作部22の操作に基づいて動作し、図示しないマイクロコンピュータで制御され、所定の情報をモニタ24に表示することができる。
【0030】
図2に示すように、遠心ドラム14の中心体14aは、弾性体によって付勢されて後述するカセットホルダ38の端部を保持する保持レバー25と、電極27と、第1ロッド136及び第2ロッド138と、押子20とを有する。第1ロッド136及び第2ロッド138は二対設けられ、第1周方向B1側が第1クランプ部106(図3参照)の開閉操作をする第1クランプ駆動手段17a、第2周方向B2側が第2クランプ部108(図3参照)の開閉操作をする第2クランプ駆動手段17bである。図2に示されている部分は1つのユニットとして構成し、該ユニットを周方向に6台組み合わせるようにしてもよい。
【0031】
図3に示すように、インサートユニット18は、ユニット本体26と、カバー体28と、血液バッグシステム10aとを有する。ユニット本体26は、上面視で幅広円弧形状で、上面が開口した有底の筒であり、内径側の小室(第1室)30及び外径側の大室(第2室)32が円弧状の壁34によって仕切られている。小室30には後述するバフィーコートプーリングバッグ(第1バッグ)54が配設され、大室32には血小板保存バッグ(第2バッグ)58及びサンプリングバッグ76が配設される。血小板保存バッグ58は貯溜される血小板に対し適度な酸素透過性を確保するために表面積を大きくし、バフィーコートプーリングバッグ54よりも大きい設定となっている。
【0032】
バフィーコートプーリングバッグ(BCプーリングバッグ)54、血小板保存バッグ58及びサンプリングバッグ76は、例えば、ポリ塩化ビニール、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状としたものである。
【0033】
小室30は、上面だけでなく内径側も開口している。壁34の外径側には、後述するフィルタ56及びアタッチメント142を保持するフィルタポケット36が設けられている。小室30の内径側両端部には、内径側に突出する板状のカセットホルダ38が設けられている。
【0034】
カセットホルダ38は、後述する第1チューブ60及び第2チューブ62内を通過する液の種別を検知する第1センサ40及び第2センサ42と、周方向両端に設けられた取外レバー44及びホルダ突起45とを有する。第1センサ40及び第2センサ42は、投光部40a、42a(図9参照)及び受光部40b、42b(図9参照)からなり、間を通過する液の光透過度合いに基づいてその液の種別を判定することができる。投光部40a、42a及び受光部40b、42bは、カセットホルダ38における上面において上方にやや突出する形状で、並列配置されている。カセットホルダ38の下面には、第1センサ40及び第2センサ42又はそのインターフェース回路に導通する複数の接点(図示せず)が設けられており、遠心ドラム14の中心体14aに設けられた受け側の電極27(図2参照)に接触することにより、第1センサ40及び第2センサ42の信号がマイクロコンピュータに供給可能となっている。
【0035】
カバー体28は、ユニット本体26に対して外側面から装着されるカバーであって、該ユニット本体26の外側面、上面及び下面を覆うことができ、ユニット本体26に装着される血液バッグシステム10aを確実に保持することができる。
【0036】
次に、第1の実施形態に係る血液バッグシステム10a及びカセット50aについて説明する。図4に示すように、血液バッグシステム10aは、多連バッグ52とカセット50aとを有する。
【0037】
図5に示すように、多連バッグ52は、バフィーコート(血液成分)が貯溜されて遠心ドラム14により内部で該バフィーコートが上清液(血液成分)と沈降液とに遠心分離されるBCプーリングバッグ54と、押子20によってBCプーリングバッグ54が押圧されて移送される上清液から白血球(所定細胞)を除去するフィルタ56と、フィルタ56によって白血球が除去された上清液を貯溜する血小板保存バッグ58と、BCプーリングバッグ54とフィルタ56の入口56aとを接続する第1チューブ60と、血小板保存バッグ58とフィルタ56の出口56bとを接続する第2チューブ62とを有する。フィルタ56には血液を流す方向を示すマークが表示されているとよい。
【0038】
フィルタ56(図13参照)は略楕円の薄板形状であり、一端の第1面側に入口56aが設けられ、他端の第2面側に出口56bが設けられている。入口56a及び出口56bは、それぞれフィルタ56の長手方向と同方向に長い筒体である。フィルタ56の内部には第1面側と第2面側を区画する平面状のフィルタ媒体57(図14参照)が設けられている。
【0039】
多連バッグ52は、さらに、端部に血小板保存液の容器68が接続可能で他端がBCプーリングバッグ54に接続されている第3チューブ70と、該第3チューブ70から枝状に分岐(例えば、二股分岐がそれぞれ三股に分岐した6本)して複数のBCバッグ72が接続可能な分岐チューブ74と、血小板保存バッグ58の内容液をサンプリングするサンプリングバッグ76と、血小板保存バッグ58とサンプリングバッグ76とを接続する第4チューブ78と、該第4チューブ78から分岐した短いサンプリングチューブ80とを有する。血液バッグシステム10aが遠心分離移送装置11に装着されるときには、第3チューブ70はBCプーリングバッグ54に近い箇所において、漏れのないように溶着した上で切断する。ここで切断された残余部分を第3チューブ70a(図7参照)とする。
【0040】
多連バッグ52は、第3チューブ70の端部近傍に設けられたクランプ82と、第3チューブ70の分岐部よりも先に設けられたクランプ84と、第4チューブ78の端部近傍に設けられたクランプ86と、サンプリングチューブ80に設けられたクランプ88とを有する。血液バッグシステム10aにおける各チューブは、透明で柔軟な樹脂チューブである。
【0041】
クランプ82、84、86、88は従来から用いられている標準品であり、指操作により装着されているチューブの開閉が可能である。クランプ82、84、86、88は、使用箇所や使用用途によって色分けしておくとよい。血液バッグシステム10aの滅菌時及び保管時には、各クランプ82、84、86、88は開状態となっており、多連バッグ52の内部は連通して均一な滅菌状態となっている。
【0042】
第3チューブ70、分岐チューブ74、サンプリングチューブ80の各端部は所定の手段により閉塞されており、カセット50aとともに所定の滅菌処理(例えば、γ線照射)がなされ滅菌状態になっている。
【0043】
なお、図5においては、便宜上、カセット50aのない多連バッグ52にBCバッグ72及び容器68が接続され得るように示しているが、後述するように、血液バッグシステム10a(図4参照)としてカセット50aが設けられた状態でBCバッグ72及び容器68が接続される。
【0044】
図4に戻り、血液バッグシステム10aは、多連バッグ52とカセット50aとを有しており、該カセット50aには、第1チューブ60及び第2チューブ62が配設されている。
【0045】
図6、図7及び図8に示すように、カセット50aは、カセットホルダ38に装着されるプレート部100と、プレート部100の外方側両端部を接続するアーチ部102と、アーチ部102の最も外径側の中央部分に接続されているフィルタホルダ104とを有する。カセット50aの材質は、例えば、PP(poly propylene)又はPOM(poly oxy methylene)等である。
【0046】
アーチ部102は壁34の上端に沿った形状となっており、プレート部100の外方側端面とアーチ部102に囲繞された区画は小室30の上面部と同じ形状となり、BCプーリングバッグ54が挿入されるバッグ孔105を形成している。アーチ部102の一部又は全長部は、アングル構造として強度を向上させてもよい。
【0047】
プレート部100は、内径側に一体成型として設けられた第1クランプ部106及び第2クランプ部108と、略中央部分で前記の第1センサ40及び第2センサ42が挿入されるセンサ孔110と、第1チューブ60を案内する第1案内路112と、第2チューブ62を案内する第2案内路114と、短い第3チューブ70aを固定する補助固定部116と、外方側端部に設けられた2つのピン(保持部)118とを有する。
【0048】
2つのピン118は、適度な先太形状であって、BCプーリングバッグ54の端部孔に挿入され、該BCプーリングバッグ54の端部を固定する。BCプーリングバッグ54は、端部がピン118に固定され、本体部分はバッグ孔105に挿入されている。各ピン118は、先端部が細いスリットを形成するように2つに割れており、BCプーリングバッグ54を固定するときには該スリットを狭めるようにして径を狭めて挿入可能であり、挿入後には元の状態に開いて抜け止め作用を奏するようにしてもよい。
【0049】
補助固定部116は、第3チューブ70aの両側面に軽く触れる壁によって形成され、該第3チューブ70aをBCプーリングバッグ54の内径側端部から、第1周方向B1に適量案内した後、外径方向に屈曲する形状である。これにより、第3チューブ70aは先端の十分に短い部分だけがプレート部100から突出し(図7、図8参照)、しかもその方向は外方(つまり、遠心方向A1)であることから、遠心分離作用中に振動したり、移動することがない。
【0050】
第1案内路112及び第2案内路114は、ほぼ全長にわたって両側に壁が設けられることによって形成された溝形状であって上面が開口している。第1案内路112及び第2案内路114の開口上端部には、いくつかの小さい抜け止め突起117が設けられている。
【0051】
第1案内路112は、BCプーリングバッグ54の端部から、内径方向に延在し、センサ孔110を通り、内径側端面近傍において第1周方向B1に屈曲し、その後すぐに第1クランプ部106を通り、第1周方向B1の端部近傍で外径方向に屈曲し、プレート部100の外径端まで達し、この外径端ではフィルタホルダ104の方向を指向するようにやや内向きに屈曲している。
【0052】
第2案内路114は、センサ孔110から内径方向に延在し、内径側端面近傍において第2周方向B2に屈曲し、その後すぐに第2クランプ部108を通り、第2周方向B2の端部近傍で外径方向に屈曲し、その後、斜め側方へ向けて屈曲している。
【0053】
図9に示すように、センサ孔110では、第1チューブ60と第2チューブ62が上面を先端が下向きにやや屈曲した2本のアーム120で固定されて安定しており、それぞれ径方向に延在している。第1チューブ60と第2チューブ62は周方向に並列しており、センサ孔110の周方向両側面に対して隙間が確保されるとともに、第1チューブ60と第2チューブ62との間にも隙間が確保されている。カセット50aをカセットホルダ38に装着すると、センサ孔110に第1センサ40及び第2センサ42が前記の隙間に挿入され、投光部40aと受光部40bの間に第1チューブ60が入り、投光部42aと受光部42bとの間に第2チューブ62が入る。受光部40bと受光部42bは一体となっている。第1チューブ60及び第2チューブ62は、4本のアーム120によってカセット50aの向きに拘わらず安定して保持される。周方向に対向する2本のアーム120の相互間の周方向隙間は、第1チューブ60及び第2チューブ62を押しつぶして細くした状態で通過可能な程度に狭く形成されている。図7及び図9から明らかなように、第1クランプ部106及び第2クランプ部108は、センサ孔110の近傍に配置されており、且つ、第1センサ40及び第2センサ42の下流側に設けられている。
【0054】
図10A〜図10Cに示すように、第1クランプ部106は、プレート部100における内周端の第1周方向B1側の部分において、第1案内路112の一部として設けられており、第1チューブ60を閉塞させる閉塞部(押圧部)122と、閉塞時に該閉塞部122を保持するラッチ部124と、閉塞部122の反対側の面に設けられた三角状の突起126とを有する。
【0055】
閉塞部122は、第1チューブ60を側面から押圧する膨出部(押圧部)128と、膨出部128の先端に設けられた鋭角状の被係合部130とを有する。閉塞部122の根元部分は十分細く形成されており、膨出部128は略径方向に弾性的に進退可能である。ラッチ部124は、第1チューブ60を押圧した状態の膨出部128における被係合部130に係合する係合部132と、先端に設けられた傾斜面134とを有する。傾斜面134は、その垂線が斜め内側を指向しており、該傾斜面134によって、ラッチ部124は平面視で先細り形状となっている。ラッチ部124は、根元部が十分細く形成されており、弾性的に傾動可能である。
【0056】
このように第1クランプ部106は簡便に構成されている。また、第1クランプ部106はカセット50aと一体成型で形成されていることから、独立的な部品としてのクランプを設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0057】
図10Aに示すように、第1クランプ部106は、初期状態では閉塞部122の膨出部128は第1チューブ60から離れており、該第1チューブ60は連通状態にある。
【0058】
図10Bに示すように、中心体14aの第1ロッド136が延出して閉塞部122を側面から押して変位させると、膨出部128は突起126とともに第1チューブ60を押しつぶして、該第1チューブ60を閉塞させる。このとき、被係合部130は、ラッチ部124を僅かに傾動させて係合部132に係合し、その後、第1ロッド136が原位置に縮退しても膨出部128による第1チューブ60の閉塞状態が維持される。
【0059】
図10Cに示すように、第2ロッド138が延出すると、その先端面は傾斜面134を摺動して側方へ押し出し、ラッチ部124は傾動することになり、係合部132は被係合部130から外れ、係合状態が解除される。従って、第2ロッド138が原位置に縮退すると、第1クランプ部106は、図10Aに示す初期状態に復帰し、第1チューブ60は再度連通することになる。
【0060】
第2クランプ部108は第1クランプ部106の対称形状であることから、詳細な説明を省略する。第2クランプ部108によれば、第2チューブ62を開閉させることができる。第1クランプ部106及び第2クランプ部108は、血液バッグシステム10aが遠心分離移送装置11に装着されているときには、中心体14aの第1クランプ駆動手段17a及び第2クランプ駆動手段17b(図2参照)によって操作されるが、非装着時には人手によって操作が可能である。
【0061】
図7及び図8に示すように、フィルタホルダ104は、ヒンジ部140と、アタッチメント142と、チューブ係合部144とを有する。
【0062】
図11に示すように、ヒンジ部140は、周方向に対向する一対の耳片146と、基端側に設けられた垂直壁(ストッパ)148をベースに構成されており、垂直壁148の下端から外径方向に突出した薄い突起150を有する。この垂直壁148によってフィルタ56を一層正しい角度に設定できる。
【0063】
一対の耳片146の内側には、突起150の上方で対向するように設けられた一対の丸軸152と、外径側上方端部に設けられた一対の小さい上ストッパ154と、下方部に設けられた一対の小さい乗り越え突起156とを有する。図11から明らかなように、丸軸152は周方向の軸であり、フィルタ56は該丸軸152を基準として傾動可能になっている。
【0064】
図12に示すように、丸軸152は耳片146における上方部分に設けられていることから、展開状態においてフィルタ56、出口56b及びアタッチメント142は適度に高い位置まで移動可能であり、テーブル面に載置したときにこれらの部材はBCプーリングバッグ54に対して自重だけが作用し、過度に圧迫することがない。
【0065】
図13に示すように、アタッチメント142は、フィルタホルダ104の長手方向の一側面と上方部の約半分と下方部の約半分に対して当接して支持する支持板158と、丸軸152に係合する断面半円弧のヒンジ回動部160と、支持板158の端部とヒンジ回動部160とを接続するアーム162とを有する。アーム162は、突起150がほぼ隙間なく挿入される四角孔164と、左右の補強板166とを有する。
【0066】
支持板158は、内側面に設けられ、フィルタ56の両面を保持する一対のフィルタ保持突起168と、外側面に設けられ、第1チューブ60を3箇所で保持するチューブ保持突起170と、先端上部に設けられ、入口56aが嵌る第1半円切欠部(第1嵌合部)172と、基端下部に設けられ、出口56bが嵌る第2半円切欠部(第2嵌合部)174とを有する。屈曲状態で、第1半円切欠部172は、第2半円切欠部174よりも外径側に配置される。
【0067】
アタッチメント142をヒンジ部140に取り付ける際には、アーム162を下向きにしてヒンジ回動部160を丸軸152に対して側方から嵌め込んだ後に多少力を入れて押し倒し、アーム162が上ストッパ154を乗り越えることによって簡便にアタッチメント142が装着される。
【0068】
なお、ヒンジ部140は丸軸152に基づいた軸構成に限らず、薄肉部又は弾性部の折り曲げ構成等でもよい。
【0069】
チューブ係合部144は、アーチ部102においてヒンジ部140に隣接して設けられており、第2チューブ62を適切な向きに保持可能に構成されている。
【0070】
フィルタホルダ104によれば、アタッチメント142がフィルタ56を安定して保持することができるとともに、チューブ保持突起170及びチューブ係合部144により第1チューブ60及び第2チューブ62を適切に保持することができる。
【0071】
また、ヒンジ回動部160が丸軸152に軸支されると、アタッチメント142及びフィルタ56は、カセット50aと平行で、略同一面状の展開状態(図7参照)と、90°屈曲した屈曲状態(図8参照)とを含んで傾動可能に構成されている。
【0072】
アタッチメント142及びフィルタ56がカセット50aと略同一面状の展開状態では、上ストッパ154によりそれ以上の回動が防止されるが、該上ストッパ154は十分に小さいため、適度に力を加えることにより、必要に応じて上ストッパ154を超えて回動させてもよい。
【0073】
アタッチメント142及びフィルタ56がカセット50aに対して90°屈曲した状態では、アーム162の側面が垂直壁148に面接触することにより、確実に角度決めがなされる。このとき、四角孔164には突起150が挿入されており、アタッチメント142の安定性が向上している。また、アタッチメント142を曲げる操作をするときには、該アタッチメント142の両側部は乗り越え突起156を乗り越えることから、適度なクリック感が得られ、操作者はアタッチメント142が適切な角度に設定されたことを認識することができる。
【0074】
突起150の先端を先太形状にしておくことにより、四角孔164に挿入されるときに一層確実なクリック感を与えるとともに、抜け防止としてもよい。
【0075】
このような、フィルタホルダ104によれば、血液バッグシステム10aの保管時、搬送時等には、アタッチメント142及びフィルタ56をカセット50aと略同一面状の展開状態にしておくことにより十分に薄くなり、BCプーリングバッグ54及び血小板保存バッグ58等とまとめて(例えば積層状態にして)ビニール袋等に入れておくことができる。袋詰め状態についての図示は省略するが、図4から明らかなように、血液バッグシステム10aは、最も面積が広い血小板保存バッグ58よりも多少大きいビニール袋内に折り畳んで収納可能である。
【0076】
必要数のBCバッグ72からBCプーリングバッグ54にバフィーコートを導入させる際にも、アタッチメント142及びフィルタ56をカセット50aと略同一面状の展開状態にしておくことにより、無駄に広がることがなく、ガードル台に吊しやすい。
【0077】
一方、フィルタ56は、使用時にその向きを規定しておくことが好ましい。すなわち、フィルタ56で白血球を除去するためには、血液成分を入口56aに供給して出口56bから導出させるように流れの方向が規定されている。
【0078】
フィルタホルダ104によれば、血液バッグシステム10aを遠心分離移送装置11に装着するときには、アタッチメント142及びフィルタ56をカセット50aに対して90°屈曲した状態で使用し、図8に示すように、フィルタ56は、出口56bがヒンジ部140に対して近位側に、入口56aがヒンジ部140から遠位側になるように保持されることから、遠心力に抗する方向の使用状態となる。これにより、上清液176はフィルタ56内で遠心力に抗して流れることになり、流速が適度に抑制され、白血球を確実に除去することができる。
【0079】
また、入口56aは出口56bよりも下方となり、しかも入口56aは外径側であることから、該入口56aから流入した上清液176は、先ずフィルタ56内で、内部のフィルタ媒体57(図14参照)よりも外側の下部に溜まり、遠心力の作用を受けながらフィルタ56の内腔における外径側面に沿って広がる。そして、フィルタ媒体57よりも外側部分の空間が充満された後に、該フィルタ媒体57を通過して濾過され出口56bから排出されることになる。従って、上清液176はフィルタ56の内部でフィルタ媒体57の全面を有効に利用して濾過されることになり、白血球を一層確実に除去することができる。
【0080】
さらに、フィルタホルダ104の組み立て時においても、入口56aが嵌る第1半円切欠部172と、出口56bが嵌る第2半円切欠部174によりフィルタ56の組み立て向きが規定され、誤組み立てを防止できる。
【0081】
次に、このように構成される第1の実施形態に係る血液バッグシステム10a及びカセット50aの使用方法について説明する。
【0082】
先ず、図5に示すように、第3チューブ70のクランプ84、第1クランプ部106及び第2クランプ部108を閉じ、必要数のBCバッグ72を分岐チューブ74に接続するとともに、血小板保存液の容器68を第3チューブ70に接続する。各BCバッグ72には異なるドナーから採取されたバフィーコート(又は全血)が貯溜されている。そして、BCバッグ72からBCプーリングバッグ54にバフィーコートを集める。
【0083】
次いで、第3チューブ70で、クランプ82を閉じるとともにクランプ84を開け、血小板保存液をBCバッグ72に移送し、該BCバッグ72に残っているバフィーコートと血小板保存液を混合させる。
【0084】
さらに、クランプ84を閉じるとともにクランプ82を開け、血小板保存液が混合されたバフィーコートをBCプーリングバッグ54に移す。
【0085】
BCプーリングバッグ54を手で押すことにより、内部のエアーをBCバッグ72に移す。
【0086】
そして、第3チューブ70をBCプーリングバッグ54に近い箇所において、漏れのないように溶着・シールした上で切断する。残余分は、図7に示すように短い第3チューブ70aとなり、先端が遠心方向を向くように、補助固定部116に固定しておく。第3チューブ70aは、図7に示すよりさらに短くしてもよい。
【0087】
次いで、図8に示すように、アタッチメント142及びフィルタ56をカセット50aに対して90°屈曲させる。フィルタホルダ104の作用によって、アタッチメント142及びフィルタ56は、正確に且つ安定して90°屈曲した状態に保持される。前記の通り、アタッチメント142及びフィルタ56をカセット50aに対して90°屈曲させると、入口56aは出口56bよりも下方で外径方向にあることから、前記の通り流速が抑制されるとともにフィルタ56の内部のフィルタ媒体57の全面が有効に利用される。
【0088】
さらに、図3に示すように、血液バッグシステム10aをインサートユニット18に装着する。すなわち、カセット50aをカセットホルダ38に装着してホルダ突起45で保持し、BCプーリングバッグ54を小室30に挿入し、フィルタ56及びフィルタホルダ104をフィルタポケット36に挿入し、血小板保存バッグ58及びサンプリングバッグ76を大室32に挿入する。なお、フィルタ56は、フィルタホルダ104によって相当安定して90°屈曲状態に維持されることから、設計条件によってはフィルタポケット36を省略し、フィルタ56及びフィルタホルダ104を大室32に入れておいてもよい。
【0089】
このとき、図9に示すように、第1チューブ60及び第2チューブ62は、センサ孔110に正しく配列されていることから、第1チューブ60は第1センサ40の投光部40a及び受光部40bによって適切に挟持され、第2チューブ62は第2センサ42の投光部42a及び受光部42bによって適切に挟持される。当然に、第1チューブ60が第2センサ42の検出位置に配設されたり、第2チューブ62が第1センサ40の検出位置に配設されることはない。
【0090】
アーチ部102は壁34の上端面に当接・載置されて安定し、該アーチ部102に懸架されているアタッチメント142及びフィルタ56も安定する。
【0091】
また、BCプーリングバッグ54は2つのピン118によって支持されており、且つBCプーリングバッグ54に接続されている第1チューブ60は第1案内路112に沿って固定されていることから、該第1チューブ60は、BCプーリングバッグ54から見て内径方向A2を指向するように配設される。
【0092】
次いで、図1に示すように、血液バッグシステム10aが挿入されたインサートユニット18を遠心分離移送装置11のユニット挿入孔16に挿入する。これにより、保持レバー25(図2参照)がカセット50aの端部を固定する。また、第1センサ40及び第2センサ42又はそのインターフェース回路の接点は電極27(図2参照)に接触する。
【0093】
基本的に遠心分離移送装置11には6つのインサートユニット18を装着するが、バランスがとれていれば5つ以下(好ましくは、等角度間隔に3つ又は2つ)でもよい。
【0094】
インサートユニット18がユニット挿入孔16に挿入されると、第1クランプ部106及び第2クランプ部108は、それぞれ対応する第1クランプ駆動手段17a及び第2クランプ駆動手段17b(図2参照)に対向する位置に正しく配設される。第1チューブ60及び第2チューブ62は、予め第1案内路112及び第2案内路114によって第1クランプ部106及び第2クランプ部108に正しく配設されていることから、マイクロコンピュータの作用下に、第1クランプ部106及び第2クランプ部108を介して第1クランプ部106及び第2クランプ部108を正しく開閉することが可能となる。
【0095】
このように、一連の血液バッグシステム10a及びカセット50aの装着操作において、血液バッグシステム10aにおける各チューブは、予め正しく接続されており、特に第1チューブ60及び第2チューブ62は、カセット50aにおいて第1案内路112及び第2案内路114によって、センサ孔110、第1クランプ部106及び第2クランプ部108に対して正しく配設されている。従って、操作者は、特別な知識や、各チューブの配設操作及びその手順の理解が不要であり血液バッグシステム10aの装着を簡便且つ迅速に行うことができ、しかも誤装着がない。第1チューブ60及び第2チューブ62はカセット50aにおいて予め正しく配設されていることから、実際上、操作者はマニュアル等を参照することなく血液バッグシステム10aを遠心分離移送装置に装着することができるであろう。
【0096】
次に、遠心分離移送装置11の蓋12を閉じた後、操作部22を操作することによって遠心分離工程及び分離工程(移送工程)を自動的に行う。
【0097】
遠心分離移送装置11の自動動作では、先ず遠心ドラム14を回転させることにより遠心分離工程を行う。このとき、第1クランプ部106及び第2クランプ部108は予め閉じられているが、さらに確実を期すために図10Bに示すように、第1ロッド136を一度延出させて閉塞部122により第1クランプ部106を平状態とする。第2クランプ部108も同様に閉状態とする。
【0098】
図14に示すように、遠心分離工程では小室30内のBCプーリングバッグ54に貯溜されたバフィーコートが、遠心力を受けることにより重い血球成分等の沈降液178が外径方向に移り、軽い血小板成分等の上清液176が内径方向に移って分離する。上清液176には白血球が含まれている。沈降液178は濃厚な赤で透明度は低く、上清液176は黄白色気味の透明体である。
【0099】
遠心分離移送装置11は、遠心分離工程の後に分離工程に移る。分離工程では、遠心ドラム14の回転を維持したまま、図10Cに示すように、第2ロッド138を一度延出させてラッチ部124を傾動させて係合状態を解除することにより、図10Aに示す初期状態に復帰させ、第1チューブ60を開状態にする。第2チューブ62についても同様に開状態とする。
【0100】
次に、図14に示すように、押子20を遠心方向A1に変位させてBCプーリングバッグ54を押圧する。BCプーリングバッグ54は押子20と壁34に挟まれて容積が減少するため、内容液が第1チューブ60から吐出される。このとき、BCプーリングバッグ54内では、沈降液178が外径方向に溜まり、上清液176が内径方向に溜まっている。ところで、第1チューブ60は内径方向に指向していることから該第1チューブ60に吐出されるのは上清液176だけとなる。
【0101】
第1チューブ60に吐出された上清液176は、開状態の第1クランプ部106の箇所を経由してフィルタ56で白血球が除去される。このとき、フィルタ56は、入口56aが出口56bよりも下方且つ外径方向にあることから、上清液176は重力及び遠心力に抗する方向に流れることになり、流速が抑制されるとともにフィルタ媒体57の全面を有効に利用して確実な白血球の除去が可能となる。フィルタ56を通過した上清液176は、開状態の第2クランプ部108の箇所を経由して血小板保存バッグ58に供給され、貯溜される。
【0102】
BCプーリングバッグ54の上清液176は可及的に全量を血小板保存バッグ58に移すことが望ましいが、沈降液178を血小板保存バッグ58に移すことは好ましくない。そこで、第1センサ40及び第2センサ42によって、第1チューブ60及び第2チューブ62を通過する液を監視して、沈降液178が血小板保存バッグ58に移行しないように制御をする。
【0103】
すなわち、マイクロコンピュータでは、第1センサ40及び第2センサ42から供給される信号を監視して、該信号の大きさから第1チューブ60及び第2チューブ62を通過する液の透明度を求め、該透明度から上清液176と沈降液178の区別をする。
【0104】
分離工程において押子20によってBCプーリングバッグ54を押圧すると、当初は上清液176が第1チューブ60に導出されており、第1センサ40及び第2センサ42では、通過する液の透明度から上清液176が流れていることを確認できる。
【0105】
押子20によりBCプーリングバッグ54を押し続けると、やがてBCプーリングバッグ54内の上清液176は全て流出され、続いて沈降液178が導出されることになる。そうすると、先ず第1センサ40が第1チューブ60を流れる液が沈降液178に変化したことを検出する。この時点で、分離工程を終了してもよいのだが、血小板を可及的に多く血小板保存バッグ58に採取するためには、第1チューブ60及び第2チューブ62内に残留している上清液176についても血小板保存バッグ58に送出することが望ましい。そこで、第1センサ40によって沈降液178を検出した後に、所定時間はさらに押子20の押圧を継続する。
【0106】
次いで、所定時間が経過し、又は、第2センサ42によって第2チューブ62に流れる液が沈降液178に変化したことを検出したときに、第1ロッド136を延出し(図10B参照)、第1クランプ部106及び第2クランプ部108を閉じて第1チューブ60及び第2チューブ62を閉状態にし、さらに遠心ドラム14を停止させ、分離工程を終了する。
【0107】
第1センサ40によって沈降液178を検出してから所定時間が経過したときには、沈降液178はフィルタ56まで達し、その分だけ第1チューブ60及び第2チューブ62に残留していた上清液176は血小板保存バッグ58に送出される。なお、この所定時間経過時までは、基本的には、沈降液178は第2センサ42の位置(つまりセンサ孔110の位置)まで達することはないが、沈降液178が血小板保存バッグ58に混入することがないよう確実を期すために第2センサ42による監視をしている。
【0108】
第2センサ42によって第2チューブ62に沈降液178が移行したことを検出すると、即時に第1クランプ部106及び第2クランプ部108を同時に閉状態にして、沈降液178がそれよりも下流側に流れることを防止する。第2センサ42によって沈降液178を検出してから第1クランプ部106及び第2クランプ部108を閉じるまでには僅かながらタイムラグがあるが、第2チューブ62において、第2クランプ部108は第2センサ42が設けられたセンサ孔110の位置よりも下流側にあることから、沈降液178は第2クランプ部108よりも下流側に流れ込むことはない。仮に沈降液178が第2クランプ部108の箇所を超えることがあっても、第2クランプ部108の箇所から血小板保存バッグ58まではある程度の距離があり、沈降液178が血小板保存バッグ58まで達することはない。
【0109】
このようにして分離工程が終了し、遠心ドラム14が完全に停止すると、蓋12を開けて、保持レバー25を操作してインサートユニット18を取り出し、カバー体28を外して血液バッグシステム10aを取り出す。このとき、取外レバー44(図3参照)を操作することによりカセット50aはカセットホルダ38から容易に取り外し可能である。
【0110】
さらに、血液バッグシステム10aにおける第1チューブ60をBCプーリングバッグ54に近い箇所で溶着した後に切断することによって、該BCプーリングバッグ54は血球成分を含む血液製剤として供される。一方、第2チューブ62を血小板保存バッグ58に近い箇所で溶着した後に切断することによって該血小板保存バッグ58は血小板を含む血液製剤として供されることになる。血小板保存バッグ58の血液製剤は、その一部をサンプリングバッグ76に移して、所定の検査等を行うことができる。
【0111】
上述したように、第1の実施形態に係る血液バッグシステム10a及びカセット50aによれば、カセット50aには第1チューブ60及び第2チューブ62が予め正しく配設されており、該カセット50aは遠心分離移送装置11の中心体14aに装着すればよく、煩雑な第1チューブ60及び第2チューブ62の引き回しや、第1クランプ部106及び第2クランプ部108の配設が不要であり、簡便且つ確実に装着可能である。また、カセット50aには、第1クランプ部106及び第2クランプ部108が含まれており、遠心分離移送装置11における第1クランプ駆動手段17a及び第2クランプ駆動手段17bに対して正しく配設される。
【0112】
また、第1クランプ部106及び第2クランプ部108は、カセット50aと一体成型により形成されていることから、第1クランプ部106及び第2クランプ部108を簡便に構成することができるとともに、一体成型によって部品点数を削減することができる。もちろん、操作者は第1クランプ部106及び第2クランプ部108をカセット50aに装着する必要はなく、手順が簡便でありしかも誤配設がない。
【0113】
カセット50aは、第1チューブ60及び第2チューブ62の一部が水平で、径方向を指向し、且つ内部の血液成分が内径方向に向かって流れるように遠心分離移送装置11に固定される。この部分では、血液成分は遠心力に抗して流れることになり、流速が過度に大きくなることを防止できる。
【0114】
さらに、第1チューブ60及び第2チューブ62は、センサ孔110の上方を径方向に横切り、第1センサ40及び第2センサ42によって検知される位置に配設されている。これにより、該第1チューブ60及び第2チューブ62内の液の確実な検出が可能である。
【0115】
カセット50aの保持部としての2つのピン118は、第1バッグにおける第1チューブ60が設けられる端部を内径向きに保持している。これにより、第1チューブ60が内径を指向することになり、遠心分離工程によって内径方向に溜まる上清液176を、分離工程において第1チューブ60から移送することができる。
【0116】
カセット50aは、第1クランプ部106及び第2クランプ部108を、遠心分離移送装置11の遠心ドラム14の回転中心を指向する側で、周方向に並列して配置されていることにより、第1クランプ駆動手段17a及び第2クランプ駆動手段17bを回転部の中心体14aに集中配置することができる。また、第1クランプ部106及び第2クランプ部108を周方向に並列することにより、カセット50aの回転中心側の面が有効に利用され、しかもバランスがよくなる。さらに、第1クランプ部106及び第2クランプ部108を周方向に並列することにより、カセット50aは第1チューブ60と第2チューブ62が重なる箇所がない単層で、製造段階における第1チューブ60と第2チューブ62の配設が容易な簡便構造となる。
【0117】
カセット50aは、フィルタ56を向き可変に保持するアタッチメント142を有することから、保管時と使用時でフィルタ56の向きを適切に変えることができる。
【0118】
血液バッグシステム10a及びカセット50aは、ディスポーザブルに適した廉価な構成である。
【0119】
血液バッグシステム10aの組み立て、包装及び滅菌処理は、製造業者によって所定の品質管理下に行われる。血液バッグシステム10aは、所定の自動機により組み立て、又は、人手により組み立てる場合には所定の組み立て治具を用いたり、所定の自動検査機によって検査をしておくことにより、確実な配設が可能となる。
【0120】
次に、第2の実施形態に係る血液バッグシステム10b及びカセット50bについて説明する。血液バッグシステム10b(及び10c、10d)、カセット50b(及び50c、50d)について前記の血液バッグシステム10a及びカセット50aと同じ箇所については同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0121】
血液バッグシステム10bは、カセット50bと多連バッグ52とを有する。多連バッグ52は、血液バッグシステム10aにおけるものと基本的には同じであるが、第1チューブ60及び第2チューブ62に第1クランプ200及び第2クランプ202が設けられている点だけ異なる。
【0122】
図15及び図16に示すように、血液バッグシステム10bは、前記の第1クランプ部106及び第2クランプ部108(図4参照)に代えて、第1クランプ200及び第2クランプ202と、第1クランプ200及び第2クランプ202を閉塞及び開放状態に操作する第1クランプ操作部204及び第2クランプ操作部206とを有する。
【0123】
第1クランプ200及び第2クランプ202は、前記の第1クランプ部106及び第2クランプ部108と同様に第1チューブ60及び第2チューブ62の途中を開閉する手段である。
【0124】
図17に示すように、第1クランプ200は、一端に短いJ字形状に折り返すラッチ部200aを備え、他端にやや長いU字形状に折り返す閉塞部(押圧部)200bを備え、内側面に突起200cを備え、両端に第1チューブ60が挿入される孔を有する樹脂体である。突起200cは中心からややずれた位置にあり、孔200fを有している。初期状態では閉塞部200bは適度に開いている。
【0125】
ラッチ部200a、閉塞部200b及び突起200cは、前記(図10A参照)のラッチ部124、閉塞部122及び突起126に相当する。すなわち、閉塞部200bを内側へ向けて押し込むことにより、該閉塞部200bの内側の膨出部200dと突起200cによって第1チューブ60を閉じることができ、閉塞部200bはラッチ部200aによって保持される。
【0126】
ラッチ部200aの先端の傾斜面200eを側方に向けて押し(あるいは、側方から傾斜面200eをロッド等で押すことにより)、該ラッチ部200aを側方に傾動させると、閉塞部200bの係合状態が解除され原位置に復帰し、第1チューブ60が開かれる。
【0127】
第2クランプ202も第1クランプ200と同構造である。第1クランプ200及び第2クランプ202は、前記のクランプ82、84、86、88と同じものを利用可能である。
【0128】
カセット50bにおける第1クランプ操作部204は第1ロッド136の操作により閉塞部200bを押し込む第1押圧部208と、第2ロッド138の操作により傾斜面200eに摺動してラッチ部200aを側方に傾動させる第2押圧部210とを有している。第1押圧部208及び第2押圧部210は、それぞれ基端部の近傍が弾性を有するように薄く形成されており、第1ロッド136及び第2ロッド138の操作により、略径方向に弾性的に変位可能となっている。第1押圧部208及び第2押圧部210の内径側端面は、第1ロッド136及び第2ロッド138によって安定して押圧されるように略周方向の外側平坦面208a及び210aが形成されている。
【0129】
第1押圧部208には、閉塞部200bの先端部内径側部を押圧しやすいように、略周方向の内側平坦面208bが設けられている。第2押圧部210には、ラッチ部200aの傾斜面200eに対して摺動するように適応した傾斜面210bが設けられている。
【0130】
第1クランプ操作部204には、第1クランプ200がほとんど隙間なく保持されるクランプスペース212が設けられている。クランプスペース212は第1クランプ200がずれた位置又は逆向きには装着されないような形状に設定されている。すなわち、クランプスペース212には孔200fに挿入される突起(柱状部)201が設けられており、第1クランプ200の位置決めがなされる。突起200c及び孔200fは、中央からややずれた位置であることから、第1クランプ200が逆向きに装着されることはない。クランプスペース212には、ラッチ部200aが側方に傾動可能な隙間が確保されている。
【0131】
第2クランプ操作部206は、第1クランプ操作部204に対して対称形状となっている。第1クランプ操作部204及び第2クランプ操作部206は、第1クランプ駆動手段17a及び第2クランプ駆動手段17b(図2参照)によって操作可能であるとともに、血液バッグシステム10bが遠心分離移送装置11に装着されていないときには、人手によっても操作可能である。
【0132】
血液バッグシステム10bにおけるカセット50bの第1案内路112及び第2案内路114は、前記の血液バッグシステム10aにおけるものよりも短く、センサ孔110の上方部分を経由して、第1チューブ60を第1周方向B1へ案内し、第2チューブ62を第2周方向B2へ案内している。
【0133】
このように構成される血液バッグシステム10b及びカセット50bでは、前記の血液バッグシステム10a及びカセット50aと同様に、カセット50bに第1チューブ60及び第2チューブ62が予め正しく配設されている。従って、カセット50bは遠心分離移送装置11の中心体14aに装着すればよく、煩雑な第1チューブ60及び第2チューブ62の引き回しが不要であり、簡便且つ確実に装着可能である。また、カセット50bには、第1クランプ200、第2クランプ202、第1クランプ操作部204及び第2クランプ操作部206が含まれており、遠心分離移送装置11における第1クランプ駆動手段17a及び第2クランプ駆動手段17b(図2参照)に対して正しく配設される。
【0134】
血液バッグシステム10b及びカセット50bでは、第1クランプ200及び第2クランプ202に、従来から用いられている汎用のクランプを適用することができ、手作業をするときにクランプ手段に対する操作者の理解が容易である。また、何らかの理由により多連バッグ52をカセット50bから取り外す必要がある場合にも、第1クランプ200及び第2クランプ202によって第1チューブ60及び第2チューブ62を閉じておくことができる。
【0135】
図18に示すように、第3の実施形態に係る血液バッグシステム10c及びカセット50cは、前記の血液バッグシステム10a及びカセット50aからアーチ部102及びフィルタホルダ104を省略したものである。
【0136】
図19に示すように、第4の実施形態に係る血液バッグシステム10d及びカセット50dは、前記の血液バッグシステム10b及びカセット50bからアーチ部102及びフィルタホルダ104を省略したものである。
【0137】
フィルタホルダ104を省略することにより、カセット50c、50dを簡便構成にすることができる。この場合、フィルタ56は前記のフィルタポケット36によって正しい姿勢に保持することができる。
【0138】
血液バッグシステム10c、10d及びカセット50c、50dは、前記の血液バッグシステム10a及びカセット50aと同様の作用・効果を有する。
【0139】
血液バッグシステム10a〜10d及びカセット50a〜50dは、遠心分離移送装置11に限らず、成分採血装置、全血採血装置及び自動血液分離装置等への適用も考えられる。BCプーリングバッグ54に貯溜される内容液はバフィーコートに限らず、用途によっては全血(内容液)でもよい。
【0140】
本発明に係る血液バッグシステム及びカセットは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全血又は血液成分を貯溜する第1バッグ(54)と、
前記第1バッグの内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体(57)を備えるフィルタ(56)と、
前記フィルタ(56)によって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグ(58)と、
前記第1バッグ(54)と前記フィルタ(56)の入口とを接続する第1チューブ(60)と、
前記第2バッグ(58)と前記フィルタ(56)の出口とを接続する第2チューブ(62)と、
前記第1チューブ(60)の一部及び前記第2チューブ(62)の一部を保持するカセット(50a、50c)と、
を有し、
前記カセット(50a、50c)は、前記第1チューブ(60)を閉塞及び開放する第1クランプ部(106)と、
前記第2チューブ(62)を閉塞及び開放する第2クランプ部(108)と、
を備えることを特徴とする血液バッグ(10a、10c)システム。
【請求項2】
請求項1記載の血液バッグシステム(10a、10c)において、
前記第1クランプ部(106)及び前記第2クランプ部(108)は、前記カセット(50a、50c)と一体的に構成されていることを特徴とする血液バッグシステム(10a、10c)。
【請求項3】
請求項1又は2記載の血液バッグシステム(10a、10c)において、
前記第1クランプ部(106)及び前記第2クランプ部(108)は、それぞれ、弾性的に進退可能で前記第1チューブ(60)又は前記第2チューブ(62)を側面から押圧する押圧部(128)と、
前記押圧部(128)の先端に設けられた鋭角状の被係合部(130)と、
弾性的に傾動可能なラッチ部(124)と、
前記ラッチ部(124)に設けられ、前記第1チューブ(60)又は前記第2チューブ(62)を押圧した状態の前記押圧部(128)における前記被係合部(130)に係合する係合部(132)と、
を有することを特徴とする血液バッグシステム(10a、10c)。
【請求項4】
全血又は血液成分を貯溜する第1バッグ(54)と、
前記第1バッグ(54)の内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体(57)を備えるフィルタ(56)と、
前記フィルタ(56)によって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグ(58)と、
前記第1バッグ(54)と前記フィルタ(56)の入口とを接続する第1チューブ(60)と、
前記第2バッグ(58)と前記フィルタ(56)の出口とを接続する第2チューブ(62)と、
前記第1チューブ(60)を閉塞及び開放する第1クランプ(200)と、
前記第2チューブ(62)を閉塞及び開放する第2クランプ(202)と、
前記第1チューブ(60)の一部、前記第2チューブ(62)の一部、前記第1クランプ(200)及び前記第2クランプ(202)を保持するカセット(50b、50d)と、
を有し、
前記カセット(50b、50d)は、前記第1クランプ(200)を操作する第1クランプ操作部(204)と、
前記第2クランプ(202)を操作する第2クランプ操作部(206)と、
を備えることを特徴とする血液バッグシステム(10b、10d)。
【請求項5】
請求項4記載の血液バッグシステム(10b、10d)において、
前記第1クランプ操作部(204)及び前記第2クランプ操作部(206)は、前記カセット(50b、50d)と一体的に構成されていることを特徴とする血液バッグシステム(10b、10d)。
【請求項6】
請求項4又は5記載の血液バッグシステム(10b、10d)において、
前記第1クランプ操作部(204)及び前記第2クランプ操作部(206)は、それぞれ、弾性的に進退可能で前記第1クランプ(200)及び前記第2クランプ(202)を介して前記第1チューブ(60)又は前記第2チューブ(62)を側面から押圧する押圧部(200d)と、
前記押圧部(200d)の先端に設けられた鋭角状の被係合部(130)と、
弾性的に傾動可能なラッチ部(200a)と、
前記ラッチ部(200a)に設けられ、前記第1クランプ(200)及び前記第2クランプ(202)を介して前記第1チューブ(60)又は前記第2チューブ(62)を押圧した状態の前記押圧部(200d)における前記被係合部(130)に係合する係合部(132)と、
を有することを特徴とする血液バッグシステム(10b、10d)。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の血液バッグシステム(10a、10b、10c、10d)において、
前記カセット(50a、50b、50c、50d)は、前記第1クランプ(106、200)及び前記第2クランプ(108、202)が並列に配置されていることを特徴とする血液バッグシステム(10a、10b、10c、10d)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の血液バッグシステム(10a、10b、10c、10d)において、
前記第1バッグ(54)には、複数のドナーから採取された全血又は血液成分が貯溜され、
前記第1バッグ(54)の内容液を上清液と沈降液とに遠心分離し、前記フィルタ(56)により前記上清液から所定成分を除去し、所定成分が除去された前記上清液を前記第2バッグ(58)に移送する遠心分離移送装置(11)に装着されることを特徴とする血液バッグシステム(10a、10b、10c、10d)。
【請求項9】
請求項8記載の血液バッグシステム(10a、10b、10c、10d)において、
前記遠心分離移送装置(11)は、投光部(40a、42a)及び受光部(40b、42b)を備え、その間を通過する液の種別を検知する第1センサ(40)及び第2センサ(42)を有し、
前記カセット(50a、50b、50c、50d)は、前記第1センサ(40)及び前記第2センサ(42)が挿入されるセンサ孔(110)を有し、
前記第1チューブ(60)は、前記第1センサ(40)の前記投光部(40a)と前記受光部(40b)との間を通り、前記第2チューブ(62)は、前記第2センサ(42)の前記投光部(42a)と前記受光部(42b)との間を通る位置に配設されることを特徴とする血液バッグシステム(10a、10b、10c、10d)。
【請求項10】
全血又は血液成分を貯溜する第1バッグ(54)と、
前記第1バッグ(54)の内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体(57)を備えるフィルタ(56)と、
前記フィルタ(56)によって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグ(58)と、
前記第1バッグ(54)と前記フィルタ(56)の入口とを接続する第1チューブ(60)と、
前記第2バッグ(58)と前記フィルタ(56)の出口とを接続する第2チューブ(62)と、
を有する多連バッグに装着されるカセット(50a、50c)であって、
前記第1チューブ(60)の一部及び前記第2チューブ(62)の一部を保持し、
前記第1チューブ(60)を閉塞及び開放する第1クランプ部(106)と、
前記第2チューブ(62)を閉塞及び開放する第2クランプ部(108)と、
を備えることを特徴とするカセット(50a、50c)。
【請求項11】
全血又は血液成分を貯溜する第1バッグ(54)と、
前記第1バッグ(54)の内容液を遠心分離して得られた血液成分から所定細胞を除去するフィルタ媒体(57)を備えるフィルタ(56)と、
前記フィルタ(56)によって所定細胞が除去された血液成分を貯溜する第2バッグ(58)と、
前記第1バッグ(54)と前記フィルタ(56)の入口とを接続する第1チューブ(60)と、
前記第2バッグ(58)と前記フィルタ(56)の出口とを接続する第2チューブ(62)と、
前記第1チューブ(60)を閉塞及び開放する第1クランプ(200)と、
前記第2チューブ(62)を閉塞及び開放する第2クランプ(202)と、
を有する多連バッグに装着されるカセット(50b、50d)であって、
前記第1チューブ(60)の一部、前記第2チューブ(62)の一部、前記第1クランプ(200)及び前記第2クランプ(202)を保持し、
前記第1クランプ(200)を操作する第1クランプ操作部(204)と、
前記第2クランプ(202)を操作する第2クランプ操作部(206)と、
を備えることを特徴とするカセット(50b、50d)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2012−510298(P2012−510298A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522326(P2011−522326)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/JP2009/069894
【国際公開番号】WO2010/061863
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】