血液浄化装置及びその血液循環路の自動プライミング方法
【課題】 プライミングの際に血液回路の接続不良等を確認でき、また、ウェットタイプの血液浄化器の自動プライミングの際にエアが噛む事が無く、血液浄化器内の充填液の抜き機能の向上した血液浄化装置を提供する。
【解決手段】 血液浄化器1、血液回路2、血液ポンプ3、血液ポンプ3の上流側に設けられた動脈側開閉弁V1、血液ポンプ3と動脈側開閉弁V1の間に接続されたプライミング液供給ライン4、開閉弁V7を備えた排液ライン6、動脈チャンバ24、静脈チャンバ25、および静脈チャンバ25より下流側に設けられた開閉弁V2、を含んでなる血液浄化装置において、静脈チャンバ25と動脈チャンバ24とを接続するようにエア導入ライン5が設けられるとともに、排液ライン6に、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を、相互に連通可能且つ排液路62に接続可能なY字管61が設けられている。
【解決手段】 血液浄化器1、血液回路2、血液ポンプ3、血液ポンプ3の上流側に設けられた動脈側開閉弁V1、血液ポンプ3と動脈側開閉弁V1の間に接続されたプライミング液供給ライン4、開閉弁V7を備えた排液ライン6、動脈チャンバ24、静脈チャンバ25、および静脈チャンバ25より下流側に設けられた開閉弁V2、を含んでなる血液浄化装置において、静脈チャンバ25と動脈チャンバ24とを接続するようにエア導入ライン5が設けられるとともに、排液ライン6に、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を、相互に連通可能且つ排液路62に接続可能なY字管61が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に関するもので、ウェットタイプの血液浄化器において、血液浄化器の血液流路を含む血液の循環路(以下、血液循環路という)を自動的にプライミングすることができるようにしたことを特徴とする。また、本発明は、その血液浄化装置を用いて行う自動プライミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腎不全の患者や、術後の薬液注入によって水分過多症になった患者などの重篤な状態を改善するために、血液浄化装置を使用する血液透析や血液濾過が行われている。そして、一般に、血液浄化装置は、その使用に際して、血液回路内にプライミング液(一般に、生理食塩水)を導入充填して回路内の異物および空気を除去する処理(プライミングという)を行っている。そして、血液浄化装置の自動プライミング方法および処理装置については、動脈側血液回路と静脈側血液回路を連結して血液循環路を形成し、血液ポンプを作動させてプライミング液を血液循環路に循環させるとともに、プライミング液貯留容器から血液循環路にプライミング液を所定の流量で供給することにより、ドリップチャンバーに設けたオーバーフロー用チューブよりプライミング液の一部を排出してプライミングを行うようにした人工透析装置(例えば、特許文献1)や、特許文献1の装置において、プライミング液供給系からのプライミング液をそれ自体の落差を利用して血液ポンプの上流の動脈側回路部分から静脈側回路を通ってオーバーフロー系へと流動させる静脈側洗浄排出行程と、プライミング液供給系からのプライミング液をそれ自体の落差および血液ポンプを利用して血液ポンプの下流の動脈側回路部分からオーバーフロー系へと流動させる動脈側洗浄排出行程と、前記両工程による血液循環回路内の滞留液を血液ポンプにより血液循環路全体に循環させる全体洗浄循環行程を含んでなる自動プライミング方法および装置(例えば、特許文献2)や、静脈側ドリップチャンバーに液面調整ラインが設けられ、動脈側採血部に採血側コネクタが設けられるとともに、液面調整ラインに採血側コネクタと接続可能なコネクタが設けられ、さらに、プライミング液供給ラインとの接続部分より上流側の動脈側血液回路に開閉手段が設けられてなり、この開閉手段を開き液面調整ラインのコネクタと採血側コネクタを接続することにより、プライミング液ラインとの接続部分より上流側の動脈側血液回路と静脈側ドリップチャンバーより下流側の静脈側血液回路をプライミングできるようにしてなる血液浄化装置(特許文献3)や、血液浄化器と血液回路、血液ポンプ、該血液ポンプの上流側で動脈側血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、静脈側血液回路に設けられた静脈側トラップおよび気泡センサを含んでなり、静脈側トラップに、プライミング液供給ラインと接続可能なラインが設けられてなる血液浄化装置(特許文献4)が提案されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2の血液浄化装置は、動脈側血液回路と静脈側血液回路を連結して血液循環路を形成するものであり、プライミングに際してオーバーフローラインを必要としている。そして、このオーバーフローラインは、静脈側ドリップチャンバーの液面調整ラインに1メートル程度の長さを有するオーバーフロー用チューブを着脱自在に接続してなるものであり、治療中の液面調整がしにくいため、治療に際してオーバーフロー用チューブを取り外す必要があった。従って、その接続・取り外しに余分に手間がかかる上、チューブに付着している排出された使用済プライミング液の残液が、手に付着したり床に滴ったりして不潔であり、また、感染の問題がある。
また、上記特許文献3の血液浄化装置は、プライミングに際してオーバーフローラインを必要としないものではあるが、ドリップチャンバー内にプライミング液(生食)を満たして追い出すためには、動脈側ドリップチャンバー、静脈側ドリップチャンバー及び血液浄化器を反転する必要があり、そのため、プライミングに際して余分な手作業が必要になり、面倒であった。
また、特許文献4の血液浄化装置は、上記特許文献1〜3の問題を解決するものではあるが、プライミングに先立って血液循環路における血液回路等の接続不良やリーク等の存在を確認することができず、また、ウェットタイプの血液浄化器に対応できるものではなく、自動プライミングを行った場合、血液浄化器にエアが噛んでしまうという欠点があり、操作者がエアを噛まないように操作する必要があった。また、血液浄化器内に充填されている液の除去に関して、必ずしも満足すべきものではなかった。
【0004】
【特許文献1】実公平5−19075号公報
【特許文献2】特許第2659914号公報
【特許文献3】特開2004−357957号公報
【特許文献4】特開2007−190068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プライミングに先立って血液循環路における血液回路の接続不良等の存在を確認することができ、また、ウェットタイプの血液浄化器において、自動プライミングをしても血液浄化器にエアが噛む事が無く、自動プライミングによる血液浄化器内の充填液の抜き機能の向上した血液浄化器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の血液浄化装置は、血液浄化器、血液回路、血液ポンプ、該血液ポンプの上流側の血液回路に設けられた開閉弁(動脈側開閉弁)、この動脈側開閉弁と前記血液ポンプとの間で前記血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、開閉弁を備えた排液ライン、前記血液浄化器の下流側で前記血液回路に設けられたエアトラップ(静脈チャンバ)、およびこの静脈チャンバより下流側の血液回路に設けられた開閉弁(静脈側開閉弁)を含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバ、および前記血液浄化器と前記血液ポンプとの間の血液回路、を接続するようにエア導入ラインが設けられるとともに、前記排液ラインに、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なコネクタが設けられてなることを特徴とする。
ここで、エア導入ラインは、エアフィルタを備えこのエアフィルタより下流にエアポンプが設けられたエア導入部と、このエア導入部からそれぞれ分岐されて静脈チャンバに接続された静脈側接続部と、血液浄化器と血液ポンプの間の血液回路に接続された動脈側接続部と、この動脈側接続部および静脈側接続部にそれぞれ設けられた開閉弁とを含んでなるものが採用されており、更に、エアポンプと並列に開閉弁が設けられていてもよい。また、コネクタはY字管でもT字管でもよく、要は、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端を、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なものであればよい。また、必要ならば、血液ポンプと血液浄化器の間にエアトラップ(動脈チャンバ)を設け、この動脈チャンバにエア導入ラインの動脈側接続部を接続してもよい。
尚、プライミング液供給ラインとしては、オンラインにして透析液を供給する方法や、逆濾過を利用した方法なども可能である。
【0007】
また、本発明の血液浄化装置のプライミング方法は、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを排液ラインのコネクタに接続し、エア導入ラインの開閉弁、排液ラインの開閉弁、および動脈側開閉弁を閉にした状態で、エアポンプを駆動して外気を血液循環路に導入し、血液回路の接続チェックを行った後、プライミングを行うことを特徴とする。
ここで、動脈チャンバを採用していない場合は、(1)動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする工程と、(2)静脈側開閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈側接続部との接続部分と血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する工程、(3)プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および該接続部分より下流側且つ動脈側接続部との接続部分と血液ポンプとの間の血液回路に、プライミング液を充填する工程、(4)血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する工程、(5)動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す工程、(6)静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する工程、(7)静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する工程、(8)動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前(7)の工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する工程、(9)前(7)、(8)の工程の繰り返す工程、(10)動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する工程、の各工程を含んでなる。
但し、(9)、(10)の工程の間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加えてもよい。
【0008】
また、動脈チャンバを採用している場合は、(1)動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする工程と、(2)静脈側閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバと血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する工程、(3)プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および動脈チャンバとの間の血液回路に、プライミング液を充填する工程、(4)血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する工程、(5)血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバにプライミング液を供給し、動脈チャンバに液面を形成する工程、(6)動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す工程、(7)静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する工程、(8)静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する工程、(9)動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前(8)の工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する工程、(10)前(8)、(9)の工程の繰り返す工程、(11)動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する工程、の各工程を含んでなる。
但し、(10)、(11)の工程の間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加えてもよい。
【0009】
尚、プライミングの工程は、(2)の工程以外はこの順番通りに行われるが、(2)の工程は、動脈チャンバ不採用の場合は、(4)のプライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する工程の後に行っても良く、動脈チャンバ採用の場合は、(5)の動脈チャンバの液面を形成する工程の後に行っても良い。
以上、一般的に本発明を記述したが、より一層の理解は、いくつかの特定の実施例を参照することによって得ることができる。これらの実施例は、本明細書に例示の目的のためにのみ提供されるものであり、他の旨が特定されない限り、限定的なものではない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下のような効果が期待できる。すなわち、本発明の血液浄化装置は、プライミングに際して動脈チャンバや静脈チャンバ、血液浄化器の反転操作を必要としないので、プライミング操作を自動化することができる。また、(3)の工程で、動脈側の血液回路に接続されたエア導入ラインが大気に解放されている状態で血液ポンプを駆動させ、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と、この接続部分より下流側且つ動脈チャンバと血液ポンプとの間の血液回路に、プライミング液を充填するようになっているので、(2)の工程で充填された充填液の液面が移動することが無く、従って、血液浄化器にエアが噛むことがない。また、血液浄化器内の充填液を洗い出す工程で、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端を、排液ラインに接続して、下側から排液するようにしているので、グリセリン等比重の重い物質を洗い出しやすく、従って、自動プライミングによる血液浄化器内の充填液の抜き機能がよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の血液浄化装置の実施例を示す概略説明図である。
【図2】図1に示す血液浄化装置におけるプライミング操作の前に行う、血液回路の接続チェックの説明図である。
【図3】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図4】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図5】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図6】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図7】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図8】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図9】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図10】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図11】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図12】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図13】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図14−1】本発明のプライミング操作のフロー図である。
【図14−2】本発明のプライミング操作のフロー図である。
【符号の説明】
【0012】
1 血液浄化器
21 動脈側血液回路
22 静脈側血液回路
23 気泡センサ
24 動脈チャンバ
V1 動脈側開閉弁
25 静脈チャンバ
26 気泡センサ
V2 静脈側開閉弁
27 動脈側穿刺針接続端
28 静脈側穿刺針接続端
3 血液ポンプ
4プライミング液供給ライン
41 プライミング液容器
42 エアトタップ
43 気泡センサ
V3 開閉弁
5 エア導入ライン
51 エア導入部
511 エアフィルタ
512 エアポンプ
52 動脈側接続部
53 静脈側接続部
V4、V5、V6 開閉弁
61 排液ライン
61 Y字管
62 排液路
【発明を実施するための形態】
【0013】
血液浄化器と血液回路、血液ポンプ、この血液ポンプの上流側の血液回路に設けられた開閉弁、この開閉弁と前記血液ポンプの間で前記血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、開閉弁を備えた排液ライン、動脈チャンバ、静脈チャンバ、この静脈チャンバより下流側の血液回路に設けられた開閉弁、とを含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバと動脈チャンバとを接続するようにエア導入ラインが設けられるとともに、前記排液ラインに、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端を、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なY字管が設けられている。エア導入ラインは、エアフィルタを備えこのエアフィルタより下流にエアポンプが設けられたエア導入部と、このエア導入部からそれぞれ分岐されて、静脈チャンバに接続された静脈側接続部と、血液浄化器と血液ポンプの間の血液回路に接続された動脈側接続部と、この動脈側接続部および静脈側接続部にそれぞれ設けられた開閉弁を含み、更に、エアポンプと並列に開閉弁が設けられている。
【0014】
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について、図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す血液浄化装置の概略説明図(透析液側は省略している)である。
図1に示すように、本発明の血液浄化装置は、血液浄化器1と血液回路2(血液浄化器1より上流側の動脈側血液回路21と、下流側の静脈側血液回路22からなる)、血液ポンプ3、この血液ポンプ3の上流側で動脈側血液回路21に設けられた動脈側開閉弁V1、血液ポンプ3と動脈側開閉弁V1の間で動脈側血液回路21に接続されたプライミング液供給ライン4、開閉弁V7を備えた排液ライン6、動脈チャンバ24、静脈チャンバ25、この静脈チャンバ25より下流側の静脈側血液回路22に設けられた開閉弁V2と、を含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバ25と動脈チャンバ24とを接続するようにエア導入ライン5が設けられるとともに、前記排液ライン6に、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を、相互に連通可能且つ排液路62に接続可能なY字管61が設けられている。
【0015】
図1において、血液循環路は、血液浄化器1の血液通路と動脈側血液回路21および静脈側血液回路22からなる。動脈側血液回路21には、上流側から順に、動脈側開閉弁V1、気泡センサ23、血液ポンプ3、動脈チャンバ24が設けられている。そして、血液ポンプ23と開閉手段V1の間の動脈側血液回路21には、プライミング液供給ライン4が接続されており、気泡センサ23は、このプライミング液供給ライン4と動脈側血液回路21との接続部分29より上流側に設けられている。プライミング液供給ライン4には、その上流側から順に、プライミング液容器41、エアトラップ42、気泡センサ43、開閉弁V3が設けられている。プライミング液供給ライン3には、必要ならば、開閉手段V3の下流にプライミング液注入手段(図持していない)を設けてもよい。尚、気泡センサとしては、通常、超音波センサが採用される。
一方、静脈側血液回路22には、上流側から順に、静脈チャンバ25、気泡センサ26、静脈側開閉弁V2が設けられており、静脈チャンバ25には動脈側の動脈チャンバ24と接続するようにエア導入ライン5が設けられている。エア導入ライン5は、エアフィルタ511を備えこのエアフィルタ511より下流にエアポンプ512が設けられたエア導入部51と、このエア導入部51からそれぞれ分岐されて、静脈チャンバ25に接続された静脈側接続部53と、血液浄化器152および静脈側接続部53にそれぞれ設けられた開閉弁V6、V5を含み、更に、エアポンプ512と並列に開閉弁V4が設けられている。
【0016】
排液ライン6は、血液浄化装置の下方位置で排液できるようになっており、開放弁V7と排液路62を有しており、排液ライン6の一端にはY字管61が設けられている。このY字管61は、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を相互に連通可能であり、また、開閉弁V7を開くことにより排液路62にも接続可能になっている。尚、コネクタはY字管でもT字管でもよく、要は、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を、相互に連通可能且つ排液路62に接続可能なものであればよい。
また、血液ポンプ3と血液浄化器1の間の動脈チャンバ24は、省略してもよい。エア導入ライン5の開閉弁V4は省略可能だが、省略した場合、プライミングに際して、エア導入ライン5の開閉弁V5およびまたはV6が開いている状態では、エアポンプ512の動作を血液ポンプ3の動作に同期させる必要があるという欠点を有している。
尚、PA、PVは圧力センサである。
【0017】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2にかかる血液浄化器のプライミングについて、図3〜図13を用いて説明する。
図3〜図13は、動脈チャンバ24を採用し、エア導入ライン5としてエアポンプ512と並列に開閉弁V4を設けたものを採用した場合のプライミングの説明図である。
プライミング操作の前に、先ず、図2に示すように、血液循環路にエアを導入して血液回路2の接続チェックを行う必要がある。
先ず、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を排液ライン6のY字管61に接続した後、エア導入ライン5の開閉弁V4、排液ライン6の開閉弁V7、動脈側開閉弁V1を閉にした状態で、エアポンプ512を駆動して外気を血液循環路に導入する。このとき圧力センサPA、PVでリークの無いことが確認されたら(リークがなければ圧力が上昇する)、プライミング操作に移行する。リークが確認されたら、血液回路2の接続状態を確認する。血液回路2の接続状態を確認した上で更にリークが確認されたら、更に静脈側開閉弁V2を閉じ、もう一度エアポンプ512を駆動して外気を血液循環路に導入する。この操作でリークが確認されたら、血液回路2か血液浄化器3に欠陥があることになるが、通常、どちらに欠陥があるかを調べることなく、この段階で血液回路2と血液浄化器3の両方を交換している。
【0018】
プライミングに際しては、先ず、開閉弁V1、V3、V7を開にし、落差を利用して(通常2〜3秒程度の時間設定)、プライミング液供給ライン4と動脈側開閉弁V1の間の血液回路21にプライミング液を充填して、プライミング液供給ライン4の接続をチェックする(S1、S2)。このとき、気泡センサ23、43が働いているのを確認する必要がある。次に、開閉弁V2、V3、V6を閉にし、開閉弁V5、V7を開にし、血液ポンプ3を駆動(逆回転)させて、動脈チャンバ24と(ウエット型)血液浄化器1との間の血液回路21に、血液浄化器1内の充填液の一部を充填する(S3、S4)。次に、開閉弁V3、V6を開にし、開閉弁V1、V2、V5を閉にし、血液ポンプを駆動(正回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29と、動脈チャンバ24との間の血液回路21に、プライミング液を充填する(S5、S6)。この場合、動脈チャンバ24内にプライミング液が入らない程度に血液ポンプ3の回転量を設定する必要がある。
次に、血液ポンプ3を駆動(逆回転)させて、プライミング液供給ライン4にプライミング液を戻し、プライミング液供給ライン4のエアトラップ42に液面を形成する(S7、S8)。次いで、血液ポンプ3を駆動(正回転)させて、動脈チャンバ24にプライミング液を供給し、動脈チャンバ24に液面を形成する(S9、S10)。次に、開閉弁V6を閉にし、開閉弁V2を開にし、血液ポンプ3を駆動(正回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路21との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器1内の充填液を洗い出す(S11、S12)。次に、開閉弁V5を開にし、開閉弁V2を閉にし、血液ポンプを駆動(正回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29と、静脈側開閉弁26との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバ25の液面を形成する(S13、S14)。
【0019】
次に、開閉弁V5を閉にし、血液ポンプ3を駆動(正回転)させて、血液回路2の膨らみを利用して、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29と静脈側開閉弁26との間の血液循環路に、設定量のプライミング液(通常4〜5mL)を充填する(S15、S16)。次に、開閉弁V1を開にし、血液ポンプ3を駆動(逆回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29より上流側の血液回路21に、前S15、S16の工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する(S17、S18)。次いで、前S15〜S18の工程を繰り返し(S19)、動脈側開閉弁V1より上流側の血液回路のプライミングが完了した(S20)後(例えば、設定量4mLの場合、4〜5回の繰り返しで完了する)、開閉弁V7を閉にし、血液ポンプ3を駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く(S21)。この場合、血液ポンプ3は正・逆回転を交互に複数回繰り返すとエア抜きの効率がよい。最後に、開閉弁V1を閉にし、開閉弁V2とV3を開にし、血液ポンプ3を高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29より下流側の血液循環路を洗浄する(S22)。
尚、S21の操作は省略することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に関するもので、ウェットタイプの血液浄化器において、血液浄化器の血液流路を含む血液の循環路(以下、血液循環路という)を自動的にプライミングすることができるようにしたことを特徴とする。また、本発明は、その血液浄化装置を用いて行う自動プライミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腎不全の患者や、術後の薬液注入によって水分過多症になった患者などの重篤な状態を改善するために、血液浄化装置を使用する血液透析や血液濾過が行われている。そして、一般に、血液浄化装置は、その使用に際して、血液回路内にプライミング液(一般に、生理食塩水)を導入充填して回路内の異物および空気を除去する処理(プライミングという)を行っている。そして、血液浄化装置の自動プライミング方法および処理装置については、動脈側血液回路と静脈側血液回路を連結して血液循環路を形成し、血液ポンプを作動させてプライミング液を血液循環路に循環させるとともに、プライミング液貯留容器から血液循環路にプライミング液を所定の流量で供給することにより、ドリップチャンバーに設けたオーバーフロー用チューブよりプライミング液の一部を排出してプライミングを行うようにした人工透析装置(例えば、特許文献1)や、特許文献1の装置において、プライミング液供給系からのプライミング液をそれ自体の落差を利用して血液ポンプの上流の動脈側回路部分から静脈側回路を通ってオーバーフロー系へと流動させる静脈側洗浄排出行程と、プライミング液供給系からのプライミング液をそれ自体の落差および血液ポンプを利用して血液ポンプの下流の動脈側回路部分からオーバーフロー系へと流動させる動脈側洗浄排出行程と、前記両工程による血液循環回路内の滞留液を血液ポンプにより血液循環路全体に循環させる全体洗浄循環行程を含んでなる自動プライミング方法および装置(例えば、特許文献2)や、静脈側ドリップチャンバーに液面調整ラインが設けられ、動脈側採血部に採血側コネクタが設けられるとともに、液面調整ラインに採血側コネクタと接続可能なコネクタが設けられ、さらに、プライミング液供給ラインとの接続部分より上流側の動脈側血液回路に開閉手段が設けられてなり、この開閉手段を開き液面調整ラインのコネクタと採血側コネクタを接続することにより、プライミング液ラインとの接続部分より上流側の動脈側血液回路と静脈側ドリップチャンバーより下流側の静脈側血液回路をプライミングできるようにしてなる血液浄化装置(特許文献3)や、血液浄化器と血液回路、血液ポンプ、該血液ポンプの上流側で動脈側血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、静脈側血液回路に設けられた静脈側トラップおよび気泡センサを含んでなり、静脈側トラップに、プライミング液供給ラインと接続可能なラインが設けられてなる血液浄化装置(特許文献4)が提案されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2の血液浄化装置は、動脈側血液回路と静脈側血液回路を連結して血液循環路を形成するものであり、プライミングに際してオーバーフローラインを必要としている。そして、このオーバーフローラインは、静脈側ドリップチャンバーの液面調整ラインに1メートル程度の長さを有するオーバーフロー用チューブを着脱自在に接続してなるものであり、治療中の液面調整がしにくいため、治療に際してオーバーフロー用チューブを取り外す必要があった。従って、その接続・取り外しに余分に手間がかかる上、チューブに付着している排出された使用済プライミング液の残液が、手に付着したり床に滴ったりして不潔であり、また、感染の問題がある。
また、上記特許文献3の血液浄化装置は、プライミングに際してオーバーフローラインを必要としないものではあるが、ドリップチャンバー内にプライミング液(生食)を満たして追い出すためには、動脈側ドリップチャンバー、静脈側ドリップチャンバー及び血液浄化器を反転する必要があり、そのため、プライミングに際して余分な手作業が必要になり、面倒であった。
また、特許文献4の血液浄化装置は、上記特許文献1〜3の問題を解決するものではあるが、プライミングに先立って血液循環路における血液回路等の接続不良やリーク等の存在を確認することができず、また、ウェットタイプの血液浄化器に対応できるものではなく、自動プライミングを行った場合、血液浄化器にエアが噛んでしまうという欠点があり、操作者がエアを噛まないように操作する必要があった。また、血液浄化器内に充填されている液の除去に関して、必ずしも満足すべきものではなかった。
【0004】
【特許文献1】実公平5−19075号公報
【特許文献2】特許第2659914号公報
【特許文献3】特開2004−357957号公報
【特許文献4】特開2007−190068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プライミングに先立って血液循環路における血液回路の接続不良等の存在を確認することができ、また、ウェットタイプの血液浄化器において、自動プライミングをしても血液浄化器にエアが噛む事が無く、自動プライミングによる血液浄化器内の充填液の抜き機能の向上した血液浄化器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の血液浄化装置は、血液浄化器、血液回路、血液ポンプ、該血液ポンプの上流側の血液回路に設けられた開閉弁(動脈側開閉弁)、この動脈側開閉弁と前記血液ポンプとの間で前記血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、開閉弁を備えた排液ライン、前記血液浄化器の下流側で前記血液回路に設けられたエアトラップ(静脈チャンバ)、およびこの静脈チャンバより下流側の血液回路に設けられた開閉弁(静脈側開閉弁)を含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバ、および前記血液浄化器と前記血液ポンプとの間の血液回路、を接続するようにエア導入ラインが設けられるとともに、前記排液ラインに、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なコネクタが設けられてなることを特徴とする。
ここで、エア導入ラインは、エアフィルタを備えこのエアフィルタより下流にエアポンプが設けられたエア導入部と、このエア導入部からそれぞれ分岐されて静脈チャンバに接続された静脈側接続部と、血液浄化器と血液ポンプの間の血液回路に接続された動脈側接続部と、この動脈側接続部および静脈側接続部にそれぞれ設けられた開閉弁とを含んでなるものが採用されており、更に、エアポンプと並列に開閉弁が設けられていてもよい。また、コネクタはY字管でもT字管でもよく、要は、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端を、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なものであればよい。また、必要ならば、血液ポンプと血液浄化器の間にエアトラップ(動脈チャンバ)を設け、この動脈チャンバにエア導入ラインの動脈側接続部を接続してもよい。
尚、プライミング液供給ラインとしては、オンラインにして透析液を供給する方法や、逆濾過を利用した方法なども可能である。
【0007】
また、本発明の血液浄化装置のプライミング方法は、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを排液ラインのコネクタに接続し、エア導入ラインの開閉弁、排液ラインの開閉弁、および動脈側開閉弁を閉にした状態で、エアポンプを駆動して外気を血液循環路に導入し、血液回路の接続チェックを行った後、プライミングを行うことを特徴とする。
ここで、動脈チャンバを採用していない場合は、(1)動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする工程と、(2)静脈側開閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈側接続部との接続部分と血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する工程、(3)プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および該接続部分より下流側且つ動脈側接続部との接続部分と血液ポンプとの間の血液回路に、プライミング液を充填する工程、(4)血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する工程、(5)動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す工程、(6)静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する工程、(7)静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する工程、(8)動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前(7)の工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する工程、(9)前(7)、(8)の工程の繰り返す工程、(10)動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する工程、の各工程を含んでなる。
但し、(9)、(10)の工程の間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加えてもよい。
【0008】
また、動脈チャンバを採用している場合は、(1)動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする工程と、(2)静脈側閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバと血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する工程、(3)プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および動脈チャンバとの間の血液回路に、プライミング液を充填する工程、(4)血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する工程、(5)血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバにプライミング液を供給し、動脈チャンバに液面を形成する工程、(6)動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す工程、(7)静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する工程、(8)静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する工程、(9)動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前(8)の工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する工程、(10)前(8)、(9)の工程の繰り返す工程、(11)動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する工程、の各工程を含んでなる。
但し、(10)、(11)の工程の間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加えてもよい。
【0009】
尚、プライミングの工程は、(2)の工程以外はこの順番通りに行われるが、(2)の工程は、動脈チャンバ不採用の場合は、(4)のプライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する工程の後に行っても良く、動脈チャンバ採用の場合は、(5)の動脈チャンバの液面を形成する工程の後に行っても良い。
以上、一般的に本発明を記述したが、より一層の理解は、いくつかの特定の実施例を参照することによって得ることができる。これらの実施例は、本明細書に例示の目的のためにのみ提供されるものであり、他の旨が特定されない限り、限定的なものではない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下のような効果が期待できる。すなわち、本発明の血液浄化装置は、プライミングに際して動脈チャンバや静脈チャンバ、血液浄化器の反転操作を必要としないので、プライミング操作を自動化することができる。また、(3)の工程で、動脈側の血液回路に接続されたエア導入ラインが大気に解放されている状態で血液ポンプを駆動させ、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と、この接続部分より下流側且つ動脈チャンバと血液ポンプとの間の血液回路に、プライミング液を充填するようになっているので、(2)の工程で充填された充填液の液面が移動することが無く、従って、血液浄化器にエアが噛むことがない。また、血液浄化器内の充填液を洗い出す工程で、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端を、排液ラインに接続して、下側から排液するようにしているので、グリセリン等比重の重い物質を洗い出しやすく、従って、自動プライミングによる血液浄化器内の充填液の抜き機能がよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の血液浄化装置の実施例を示す概略説明図である。
【図2】図1に示す血液浄化装置におけるプライミング操作の前に行う、血液回路の接続チェックの説明図である。
【図3】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図4】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図5】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図6】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図7】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図8】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図9】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図10】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図11】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図12】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図13】図1に示す血液浄化装置における血液循環路のプライミング方法の説明図である。
【図14−1】本発明のプライミング操作のフロー図である。
【図14−2】本発明のプライミング操作のフロー図である。
【符号の説明】
【0012】
1 血液浄化器
21 動脈側血液回路
22 静脈側血液回路
23 気泡センサ
24 動脈チャンバ
V1 動脈側開閉弁
25 静脈チャンバ
26 気泡センサ
V2 静脈側開閉弁
27 動脈側穿刺針接続端
28 静脈側穿刺針接続端
3 血液ポンプ
4プライミング液供給ライン
41 プライミング液容器
42 エアトタップ
43 気泡センサ
V3 開閉弁
5 エア導入ライン
51 エア導入部
511 エアフィルタ
512 エアポンプ
52 動脈側接続部
53 静脈側接続部
V4、V5、V6 開閉弁
61 排液ライン
61 Y字管
62 排液路
【発明を実施するための形態】
【0013】
血液浄化器と血液回路、血液ポンプ、この血液ポンプの上流側の血液回路に設けられた開閉弁、この開閉弁と前記血液ポンプの間で前記血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、開閉弁を備えた排液ライン、動脈チャンバ、静脈チャンバ、この静脈チャンバより下流側の血液回路に設けられた開閉弁、とを含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバと動脈チャンバとを接続するようにエア導入ラインが設けられるとともに、前記排液ラインに、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端を、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なY字管が設けられている。エア導入ラインは、エアフィルタを備えこのエアフィルタより下流にエアポンプが設けられたエア導入部と、このエア導入部からそれぞれ分岐されて、静脈チャンバに接続された静脈側接続部と、血液浄化器と血液ポンプの間の血液回路に接続された動脈側接続部と、この動脈側接続部および静脈側接続部にそれぞれ設けられた開閉弁を含み、更に、エアポンプと並列に開閉弁が設けられている。
【0014】
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について、図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す血液浄化装置の概略説明図(透析液側は省略している)である。
図1に示すように、本発明の血液浄化装置は、血液浄化器1と血液回路2(血液浄化器1より上流側の動脈側血液回路21と、下流側の静脈側血液回路22からなる)、血液ポンプ3、この血液ポンプ3の上流側で動脈側血液回路21に設けられた動脈側開閉弁V1、血液ポンプ3と動脈側開閉弁V1の間で動脈側血液回路21に接続されたプライミング液供給ライン4、開閉弁V7を備えた排液ライン6、動脈チャンバ24、静脈チャンバ25、この静脈チャンバ25より下流側の静脈側血液回路22に設けられた開閉弁V2と、を含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバ25と動脈チャンバ24とを接続するようにエア導入ライン5が設けられるとともに、前記排液ライン6に、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を、相互に連通可能且つ排液路62に接続可能なY字管61が設けられている。
【0015】
図1において、血液循環路は、血液浄化器1の血液通路と動脈側血液回路21および静脈側血液回路22からなる。動脈側血液回路21には、上流側から順に、動脈側開閉弁V1、気泡センサ23、血液ポンプ3、動脈チャンバ24が設けられている。そして、血液ポンプ23と開閉手段V1の間の動脈側血液回路21には、プライミング液供給ライン4が接続されており、気泡センサ23は、このプライミング液供給ライン4と動脈側血液回路21との接続部分29より上流側に設けられている。プライミング液供給ライン4には、その上流側から順に、プライミング液容器41、エアトラップ42、気泡センサ43、開閉弁V3が設けられている。プライミング液供給ライン3には、必要ならば、開閉手段V3の下流にプライミング液注入手段(図持していない)を設けてもよい。尚、気泡センサとしては、通常、超音波センサが採用される。
一方、静脈側血液回路22には、上流側から順に、静脈チャンバ25、気泡センサ26、静脈側開閉弁V2が設けられており、静脈チャンバ25には動脈側の動脈チャンバ24と接続するようにエア導入ライン5が設けられている。エア導入ライン5は、エアフィルタ511を備えこのエアフィルタ511より下流にエアポンプ512が設けられたエア導入部51と、このエア導入部51からそれぞれ分岐されて、静脈チャンバ25に接続された静脈側接続部53と、血液浄化器152および静脈側接続部53にそれぞれ設けられた開閉弁V6、V5を含み、更に、エアポンプ512と並列に開閉弁V4が設けられている。
【0016】
排液ライン6は、血液浄化装置の下方位置で排液できるようになっており、開放弁V7と排液路62を有しており、排液ライン6の一端にはY字管61が設けられている。このY字管61は、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を相互に連通可能であり、また、開閉弁V7を開くことにより排液路62にも接続可能になっている。尚、コネクタはY字管でもT字管でもよく、要は、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を、相互に連通可能且つ排液路62に接続可能なものであればよい。
また、血液ポンプ3と血液浄化器1の間の動脈チャンバ24は、省略してもよい。エア導入ライン5の開閉弁V4は省略可能だが、省略した場合、プライミングに際して、エア導入ライン5の開閉弁V5およびまたはV6が開いている状態では、エアポンプ512の動作を血液ポンプ3の動作に同期させる必要があるという欠点を有している。
尚、PA、PVは圧力センサである。
【0017】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2にかかる血液浄化器のプライミングについて、図3〜図13を用いて説明する。
図3〜図13は、動脈チャンバ24を採用し、エア導入ライン5としてエアポンプ512と並列に開閉弁V4を設けたものを採用した場合のプライミングの説明図である。
プライミング操作の前に、先ず、図2に示すように、血液循環路にエアを導入して血液回路2の接続チェックを行う必要がある。
先ず、動脈側穿刺針接続端27と静脈側穿刺針接続端28を排液ライン6のY字管61に接続した後、エア導入ライン5の開閉弁V4、排液ライン6の開閉弁V7、動脈側開閉弁V1を閉にした状態で、エアポンプ512を駆動して外気を血液循環路に導入する。このとき圧力センサPA、PVでリークの無いことが確認されたら(リークがなければ圧力が上昇する)、プライミング操作に移行する。リークが確認されたら、血液回路2の接続状態を確認する。血液回路2の接続状態を確認した上で更にリークが確認されたら、更に静脈側開閉弁V2を閉じ、もう一度エアポンプ512を駆動して外気を血液循環路に導入する。この操作でリークが確認されたら、血液回路2か血液浄化器3に欠陥があることになるが、通常、どちらに欠陥があるかを調べることなく、この段階で血液回路2と血液浄化器3の両方を交換している。
【0018】
プライミングに際しては、先ず、開閉弁V1、V3、V7を開にし、落差を利用して(通常2〜3秒程度の時間設定)、プライミング液供給ライン4と動脈側開閉弁V1の間の血液回路21にプライミング液を充填して、プライミング液供給ライン4の接続をチェックする(S1、S2)。このとき、気泡センサ23、43が働いているのを確認する必要がある。次に、開閉弁V2、V3、V6を閉にし、開閉弁V5、V7を開にし、血液ポンプ3を駆動(逆回転)させて、動脈チャンバ24と(ウエット型)血液浄化器1との間の血液回路21に、血液浄化器1内の充填液の一部を充填する(S3、S4)。次に、開閉弁V3、V6を開にし、開閉弁V1、V2、V5を閉にし、血液ポンプを駆動(正回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29と、動脈チャンバ24との間の血液回路21に、プライミング液を充填する(S5、S6)。この場合、動脈チャンバ24内にプライミング液が入らない程度に血液ポンプ3の回転量を設定する必要がある。
次に、血液ポンプ3を駆動(逆回転)させて、プライミング液供給ライン4にプライミング液を戻し、プライミング液供給ライン4のエアトラップ42に液面を形成する(S7、S8)。次いで、血液ポンプ3を駆動(正回転)させて、動脈チャンバ24にプライミング液を供給し、動脈チャンバ24に液面を形成する(S9、S10)。次に、開閉弁V6を閉にし、開閉弁V2を開にし、血液ポンプ3を駆動(正回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路21との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器1内の充填液を洗い出す(S11、S12)。次に、開閉弁V5を開にし、開閉弁V2を閉にし、血液ポンプを駆動(正回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29と、静脈側開閉弁26との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバ25の液面を形成する(S13、S14)。
【0019】
次に、開閉弁V5を閉にし、血液ポンプ3を駆動(正回転)させて、血液回路2の膨らみを利用して、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29と静脈側開閉弁26との間の血液循環路に、設定量のプライミング液(通常4〜5mL)を充填する(S15、S16)。次に、開閉弁V1を開にし、血液ポンプ3を駆動(逆回転)させて、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29より上流側の血液回路21に、前S15、S16の工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する(S17、S18)。次いで、前S15〜S18の工程を繰り返し(S19)、動脈側開閉弁V1より上流側の血液回路のプライミングが完了した(S20)後(例えば、設定量4mLの場合、4〜5回の繰り返しで完了する)、開閉弁V7を閉にし、血液ポンプ3を駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く(S21)。この場合、血液ポンプ3は正・逆回転を交互に複数回繰り返すとエア抜きの効率がよい。最後に、開閉弁V1を閉にし、開閉弁V2とV3を開にし、血液ポンプ3を高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ライン4と血液回路2との接続部分29より下流側の血液循環路を洗浄する(S22)。
尚、S21の操作は省略することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化器、血液回路、血液ポンプ、該血液ポンプの上流側の血液回路に設けられた動脈側開閉弁、該動脈側開閉弁と前記血液ポンプとの間で前記血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、開閉弁を備えた排液ライン、前記血液浄化器の下流側で前記血液回路に設けられた静脈チャンバ、および該静脈チャンバより下流側の血液回路に設けられた静脈側開閉弁を含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバ、および前記血液浄化器と血液ポンプとの間の血液回路を接続するようにエア導入ラインが設けられるとともに、前記排液ラインに、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なコネクタが設けられてなる血液浄化装置。
【請求項2】
エア導入ラインが、エアフィルタを備え該エアフィルタより下流にエアポンプが設けられたエア導入部と、該エア導入部からそれぞれ分岐されて静脈チャンバに接続された静脈側接続部と、血液浄化器と血液ポンプの間の血液回路に接続された動脈側接続部と、該動脈側接続部および静脈側接続部にそれぞれ設けられた開閉弁とを含んでなる請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
エア導入部にエアポンプと並列に開閉弁が設けられてなる請求項2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
コネクタがY字管またはT字管である請求項1〜3の何れかに記載の血液浄化装置。
【請求項5】
血液ポンプと血液浄化器の間に動脈チャンバを設け、該動脈チャンバにエア導入ラインの動脈側接続部を接続してなる請求項1〜4の何れかに記載の血液浄化器。
【請求項6】
動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを排液ラインのコネクタに接続し、エア導入ラインの開閉弁、排液ラインの開閉弁、および動脈側開閉弁を閉にした状態で、エアポンプを駆動して外気を血液循環路に導入し、血液回路の接続チェックを行った後、プライミングを行うことを特徴とする血液浄化装置のプライミング方法。
【請求項7】
動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする第一工程、
静脈側開閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈側接続部との接続部分と血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する第二工程、
プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および該接続部分より下流側且つ動脈側接続部との接続部分と血液ポンプとの間の血液回路に、プライミング液を充填する第三工程、
血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する第四工程、
動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す第五工程、
静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する第六工程、
静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する第七工程、
動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前記第七工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する第八工程、
前記第七工程および第八工程を繰り返す第九工程、
および、動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する第十工程、
の各工程を含んでなる、請求項4に記載の血液浄化装置のプライミング方法。
【請求項8】
前記第九工程と第十工程との間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加える、請求項9に記載のプライミング方法。
【請求項9】
動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする第一工程、
静脈側開閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバと血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する第二工程、
プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および動脈チャンバとの間の血液回路に、プライミング液を充填する第三工程、
血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する第四工程、
血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバにプライミング液を供給し、動脈チャンバに液面を形成する第五工程、
動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す第六工程、
静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する第七工程、
静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する第八工程、
動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前記第八工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する第九工程、
前記第八工程および第九工程を繰り返す第十工程、
および、動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する第十一工程、
の各工程を含んでなる、請求項5に記載の血液浄化装置のプライミング方法。
【請求項10】
前記第十工程と第十一工程との間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加える、請求項9に記載のプライミング方法。
【請求項1】
血液浄化器、血液回路、血液ポンプ、該血液ポンプの上流側の血液回路に設けられた動脈側開閉弁、該動脈側開閉弁と前記血液ポンプとの間で前記血液回路に接続されたプライミング液供給ライン、開閉弁を備えた排液ライン、前記血液浄化器の下流側で前記血液回路に設けられた静脈チャンバ、および該静脈チャンバより下流側の血液回路に設けられた静脈側開閉弁を含んでなる血液浄化装置において、前記静脈チャンバ、および前記血液浄化器と血液ポンプとの間の血液回路を接続するようにエア導入ラインが設けられるとともに、前記排液ラインに、動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを、相互に連通可能且つ排液路に接続可能なコネクタが設けられてなる血液浄化装置。
【請求項2】
エア導入ラインが、エアフィルタを備え該エアフィルタより下流にエアポンプが設けられたエア導入部と、該エア導入部からそれぞれ分岐されて静脈チャンバに接続された静脈側接続部と、血液浄化器と血液ポンプの間の血液回路に接続された動脈側接続部と、該動脈側接続部および静脈側接続部にそれぞれ設けられた開閉弁とを含んでなる請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
エア導入部にエアポンプと並列に開閉弁が設けられてなる請求項2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
コネクタがY字管またはT字管である請求項1〜3の何れかに記載の血液浄化装置。
【請求項5】
血液ポンプと血液浄化器の間に動脈チャンバを設け、該動脈チャンバにエア導入ラインの動脈側接続部を接続してなる請求項1〜4の何れかに記載の血液浄化器。
【請求項6】
動脈側穿刺針接続端と静脈側穿刺針接続端とを排液ラインのコネクタに接続し、エア導入ラインの開閉弁、排液ラインの開閉弁、および動脈側開閉弁を閉にした状態で、エアポンプを駆動して外気を血液循環路に導入し、血液回路の接続チェックを行った後、プライミングを行うことを特徴とする血液浄化装置のプライミング方法。
【請求項7】
動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする第一工程、
静脈側開閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈側接続部との接続部分と血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する第二工程、
プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および該接続部分より下流側且つ動脈側接続部との接続部分と血液ポンプとの間の血液回路に、プライミング液を充填する第三工程、
血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する第四工程、
動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す第五工程、
静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する第六工程、
静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する第七工程、
動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前記第七工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する第八工程、
前記第七工程および第八工程を繰り返す第九工程、
および、動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する第十工程、
の各工程を含んでなる、請求項4に記載の血液浄化装置のプライミング方法。
【請求項8】
前記第九工程と第十工程との間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加える、請求項9に記載のプライミング方法。
【請求項9】
動脈側開閉弁、排液ラインの開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を開にし、落差を利用して、プライミング液供給ラインと動脈側開閉弁との間の血液回路にプライミング液を充填して、プライミング液供給ラインの接続をチェックする第一工程、
静脈側開閉弁、動脈側接続部の開閉弁、およびプライミング液供給ラインの開閉弁を閉にし、静脈側接続部の開閉弁およびエア導入ラインの開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバと血液浄化器との間の血液回路に、血液浄化器内の充填液の一部を充填する第二工程、
プライミング液供給ラインの開閉弁および動脈側接続部の開閉弁を開にし、動脈側開閉弁、静脈側開閉弁、および静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および動脈チャンバとの間の血液回路に、プライミング液を充填する第三工程、
血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインにプライミング液を戻し、プライミング液供給ラインのエアトラップに液面を形成する第四工程、
血液ポンプを駆動させて、動脈チャンバにプライミング液を供給し、動脈チャンバに液面を形成する第五工程、
動脈側接続部の開閉弁を閉にし、静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路にプライミング液を供給し、血液浄化器内の充填液を洗い出す第六工程、
静脈側接続部の開閉弁を開にし、静脈側開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分、および静脈側開閉弁との間の血液循環路にプライミング液を充填して、静脈チャンバの液面を形成する第七工程、
静脈側接続部の開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分と静脈側開閉弁との間の血液循環路に、設定量のプライミング液を充填する第八工程、
動脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを駆動させて、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より上流側の血液回路に、前記第八工程で血液循環路に充填された設定量のプライミング液を供給する第九工程、
前記第八工程および第九工程を繰り返す第十工程、
および、動脈側開閉弁を閉にし、プライミング液供給ラインの開閉弁および静脈側開閉弁を開にし、血液ポンプを高速で駆動させて、血液循環路内にプライミング液を導入し、プライミング液供給ラインと血液回路との接続部分より下流側の血液循環路を洗浄する第十一工程、
の各工程を含んでなる、請求項5に記載の血液浄化装置のプライミング方法。
【請求項10】
前記第十工程と第十一工程との間に、排液ラインの開閉弁を閉にし、血液ポンプを駆動させて、血液循環路内にプライミング液を循環させ、血液浄化器のヘッダ部分に付着したエアを抜く工程を加える、請求項9に記載のプライミング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−1】
【図14−2】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−1】
【図14−2】
【公開番号】特開2012−139405(P2012−139405A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294429(P2010−294429)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
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