説明

血液透析器械、血液濾過透析器械、対応の器械でサンプルを採取する方法、対応の器械に用いられるサンプル採取キット及び方法

本発明は、腎臓代償療法器械の分野に関する。血液透析又は血液濾過透析器械(10)に既に存在しており、血液透析器械に接続可能であり又は置換液を提供するための連結部(14,15,101)が、定期的な微生物学的検査に必要なサンプルを採取するために直接利用できるということが判明した。本発明は、かかる器械に追加のコンポーネントを必要とせず、又は二次汚染を回避するための手数のかかる衛生上の対策を必要としない。本発明の滅菌サンプル採取キットを連結することによりサンプルを簡単に採取することができる。器械側では、サンプル採取を制御プログラムの関連で閉鎖要素(20,21,103)及びポンプ装置(17,18)を制御することにより本発明の方法を実施するよう制御ユニット(26)をプログラムする必要があるだけである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓代償療法のための器械の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析において、血液は、体外循環方式で患者から連続的に脱血され、血液透析器(ヘモダイアライザ)中に通され、そして患者の体内に再注入されて返血される。これを行う際、腎臓内で起こる物質交換と非常に良く似た物質交換が行われる。血液透析器は、半透膜によって互いに分離された2つのチャンバから成り、一方のチャンバには血液を流通させ、他方のチャンバには洗浄液、即ち、透析液を流通させる。この目的のため、市販の血液透析器は、通常、数千本の中空ファイバを有し、これら中空ファイバの壁は、物質を交換するために半透性である。血液は、中空ファイバの内部を通り、透析液は、通常逆の方向でファイバ間空間に出し入れされる。
【0003】
透析液は、濃度が健常な人の血液成分、例えば電解質にほぼ一致した血液成分、例えば電解質を含み、従って血液中の一致した濃度を通常のレベルに保つことができるようになっている。血液から除かれるべき物質、例えばクレアチニン又は尿素は、透析液中に存在しておらず、従って、これらは、単に半透膜上における濃度勾配に起因する拡散によって血液から除去される。圧力勾配により、過剰の水が対流及び(又は)限外濾過によって血液から取り出される。
【0004】
かかるプロセスを制御するため、血液透析器械が、多くの場合、正確な組成及び温度での水及び濃縮物からの透析液の調製をも保証するために用いられている。今日の血液濾過透析器械では、この透析液は、対流の増強によって生じる血液の清浄化(血液濾過)を補償するためにも用いられる。血液濾過透析では、多量の限外濾過液が血液透析処置中、血液透析器を介して患者の血液から取り出され、これは、取り出されるべき液体の総量まで置換液で置き換えられる。特に慢性腎不全の治療のための最新型の機器では、処置中にオンラインで調製された透析液は、1つ又は2つ以上のフィルタ段を備えた透析液循環回路から枝分かれしたラインを提供し、このラインを血液透析器から見て上流側及び(又は)下流側で体外血液循環回路に連結することによりこの目的のために用いられる。
【0005】
透析液それ自体は、水及び大抵の場合血液透析器械により所定の比に混合された2つの濃縮物から得られる。それと同時に、透析液は、透析を実施するためにほぼ体温まで加熱される。濃縮物は、小型容器内に入れられた液体又は乾燥形態であって良い。診療所や病院では、中央材料室を備えたリングラインシステムの使用も又、普及している。
【0006】
水及び透析液は、組成及び温度に関する厳しい要件を満たすだけでなく、微生物学的純度が非常に重要である。微生物学的要件(微生物、内毒素)に関する所要の基準を満たすと共に保証するためにサンプル採取により検査が行われなければならない。サンプル採取は、手が込んでいる。というのは、微生物学的検査結果をゆがめる場合のある二次汚染を阻止することが必要不可欠だからである。
【0007】
サンプル採取を行うため、これまで追加のコンポーネントが用いられている。例えばシリコーンで作られた自動閉鎖中隔を介するサンプル採取部位が広く用いられており、これらは、流れが通るライン内に設けられる。また、針無しの注射器に連結可能な数本の管類のためのT字形サンプル採取部位も又存在する。これら全ての方式では、サンプル採取それ自体を介して二次汚染が付随して生じるのを阻止するために厳しい衛生上の手順に従うことが必要不可欠である。
【0008】
独国特許出願公開第10336539(A1)号明細書は、中隔を容易に交換することができる血液透析器械に用いられる流体のサンプル採取のためのT字形連結部品又はTピースを記載している。米国特許第5,630,935号明細書は、血液透析器械の水供給ライン用のサンプル採取弁を記載している。
【0009】
独国特許第2838414(C2)号明細書は、新鮮な透析液と使用済み透析液の両方を限外濾過ポンプにより特定のサンプル採取ポートまで運ぶことができる血液透析器械を記載している。しかしながら、これには、追加のライン及び連結部が必要であり、これら追加のライン及び連結部は又、清浄化手順に定期的に組み込まれなければならない。
【0010】
本発明の目的は、調製された透析液の簡単なサンプル採取が複雑な衛生上の対策無しに可能であるように総称としての血液透析器械を改良することにある。本発明の目的は又、これに対応したサンプル採取方法を提供することにある。最後に、本発明の別の目的は、かかる器械及びかかる方法に用いられる簡単なサンプル容器を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第10336539(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第5,630,935号明細書
【特許文献3】独国特許第2838414(C2)号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の教示によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する血液透析器械、請求項6の特徴を有する血液濾過透析器械、請求項14の特徴を有するサンプル採取装置及び請求項17及び請求項18の特徴を有するサンプル採取方法によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属形式の請求項の内容である。
【0013】
本発明は、血液透析器械又は血液濾過透析器械では、器械を血液透析器に連結するために又は置換液を直接提供するために既に存在している連結部をサンプル採取それ自体にも利用できるという知見に基づいている。というのは、これら連結部は、これら連結部に大抵は使い捨てである体外血液循環回路のコンポーネントを取り付ける前にサンプル採取のために通常直接的に接近可能であるからである。これら連結部は、器械クリーニングプログラムの一部として定期的に消毒され、正確に言えば、サンプルが分析されるべき流体は、透析処置中、これら連結部を通って流れている。取り付け型滅菌サンプル採取装置を連結することにより、何ら特別な追加の衛生上の対策を必要とせず又は二次汚染の恐れを生じさせないで、サンプルを容易に採取することができる。機器側では、何らかの仕方で存在している制御ユニット内の特定のサンプル採取制御プログラムをセットアップすることを除き、設計変更は不要である。
【0014】
本発明の追加の細部及び利点を図面に概略的に示されている例示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の血液濾過透析器械の実施形態を示す図である。
【図2】本発明のサンプル採取装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、先ず最初に、本発明の血液透析器械の基本的設計を説明するが、この場合、図1に示されている血液濾過透析器械10の動作原理は、血液透析の治療モードに限定されている。これに続き、本発明の血液濾過透析器械としての動作原理を説明する。 一般に血液透析器械にアクチュエータ及びセンサを用いる多くの手段は、当業者に利用でき、従って、ここではその詳細の説明は不要であろう。図1の略図は、本発明の説明にとって十分なこれら要素のうちの幾つかに制限されている。
【0017】
血液透析において、体外循環回路中の血液が人工透析器(ヘモダイアライザ)1に供給される。血液透析器1内では、通常多数の中空ファイバの形態をした半透膜2が、体外血液循環回路の一部である第1のチャンバ3(血液チャンバ)を透析液循環回路の一部である第2のチャンバ4(透析液チャンバ)から分離している。血液から除去されるべき物質は、半透膜2を通って透析液中に入り、そしてこのようにして除去される。それと同時に、流体の過剰分を圧力勾配を介する限外濾過によって血液から除き、そして透析液が排出されることにより除去できる。最後に、例えばナトリウムイオンについて逆拡散勾配法を用いても、これら物質を透析液から血液中に移すことができる。
【0018】
血液チャンバ3は、2つの連結部4a,4bによって血液入口ライン及び血液出口ライン(図示せず)に連結されるのが良く、他方、透析液チャンバ4は、血液透析及び(又は)血液濾過透析器械10の透析液循環回路の透析液入口ライン11及び透析液出口ライン12に連結されるのが良い。透析液入口ライン11は、透析液源13から、透析液チャンバ4の第1の連結部4aに連結可能な第1の連結手段14まで延び、透析液出口ライン12は、透析液チャンバ4の第2の連結部4bに連結可能な第2の連結手段15からドレン16まで延びている。透析液を循環させると共に透析処置中、透析液の取り出しを制御するために透析液入口ライン11には第1のポンプ機構体17が設けられると共に透析液出口ライン12には第2のポンプ機構体18が設けられている。2つのポンプ機構体17,18並びに源13及びドレン16は、図1では概略的に示されているに過ぎない。当業者であれば、これらの具体化のための多くの手段を知っているので、ポンプ機構体は、広義に解釈されるべきである。これらは、能動的に圧送を行う別々のポンプとして用いられるのがよいが、例えば本出願人によって流通すると共に独国特許第2838414(C2)号明細書に記載された別個の限外濾過ラインを備えた所謂バランスチャンバシステムを用いることは、同様に可能である。なお、この特許文献を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0019】
連結部4a,4bは、市販の血液透析器ではDIN EN 1283 に準拠して設計されており、従って、第1及び第2の連結手段14,15は、相補形であり、通常所謂ハンセン(Hansen)カップリングの形態をなして設計されている。血液透析器1が血液透析器械10に連結されていない場合、2つの連結手段14,15は、透析液入口ライン11及び透析液出口ライン12のこの端部のところに設けられた1本のフレキシブルチューブによって血液透析器械のハウジングに連結されており、これら2つの連結手段は、器械中に組み込まれた短絡部品19を介して連結部19a,19bと短絡している。このように、透析液循環回路全体を結果的に死空間を生じさせないで、個々の血液処置相互間のクリーニング作業の際にクリーニング用流体でフラッシングしてクリーニングすることができる。血液透析器だけが、処置後、通常廃棄される。血液処置相互間において、透析液循環回路は、本質的にこの短絡状態のままである。
【0020】
切換弁として設計された第1の閉鎖手段20が、透析液入口ライン11に設けられ、同様な第2の閉鎖手段21は、透析液出口ラインに設けられている。これらライン中の流れを第1及び第2の閉鎖手段20,21によって中断したり且つ(或いは)可能にしたりすることができる。
【0021】
新鮮な透析液を血液透析器中に導入する前に、新鮮な透析液を更に濾過するために第1の滅菌フィルタ22を透析液入口ライン11に設けるのが良い。フィルタの寿命を延ばすと共に破断の危険性を減少させ、かくしてフィルタ中に堆積した微生物の同伴の恐れを減少させるために、フィルタは、バイパスライン23により通常フラッシング可能であるのが良く、このバイパスラインは、通常、図1に示されているように血液透析器械中のどこかに存在しており、バイパスラインは、透析液入口ライン11を透析液出口ライン12に連結している。バイパスを行わせるため、第3の閉鎖手段24がバイパスライン23に連結されている。
【0022】
特に誤りが生じた場合、バイパスライン23により、血液透析処置中、安全状態を達成することができる。この場合、第1及び第2の閉鎖手段20,21は、閉鎖され、第3の閉鎖手段24は、開放される。血液透析器械10は、透析物の処理及び廃棄を連続的に続行することができ、それにより、誤りが無くなった後に、処置の続行が容易になる。
【0023】
バイパスライン23の開口部から見て下流側で、第4の閉鎖手段25が透析液出口ライン12に設けられるのが良い。
【0024】
血液透析器械10は、制御ユニット26によって制御されると共にモニタされる。そのようにするため、制御ユニット26は、器械の信号ライン、個々のアクチュエータ及びセンサに接続されている。ただし、これらは説明を簡単にするために図1には示されていない。
【0025】
血液透析器械10が置換液を処理するためにも用いられ、かくして、血液濾過透析ユニットとしても用いられる場合、置換ライン100が、透析液入口ライン11から枝分かれし、第3の連結手段101まで延びている。図1に示す実施形態では、枝分かれは、第2の滅菌フィルタ102によって達成でき、透析液は、処置中、その第1のチャンバを通って流れ、従って第1のチャンバは、常時フラッシングされるようになる。第5の閉鎖手段103が、第2の滅菌フィルタ102の第2のチャンバから遠ざかって枝分かれした置換ライン100に連結されている。置換ライン100がフラッシング可能であるように設計するため、第3の連結手段101から透析液出口ライン12まで延びるフラッシングライン104を設けるのが良く、オプションとして、第6の閉鎖手段105がこのフラッシングラインに設けられる。この場合、第3の連結手段101は、体外循環回路への置換ライン100の連結を可能にするTピースとして設計されている。
【0026】
血液処置のため、相補連結部品5aを備えた使い捨て部品として設計されているラインセグメント5が、第3の連結手段101に連結される場合がある。体外循環回路にまだ一体的に連結されていない場合、他方のライン端部5bは、その設計に起因して適当な場所で体外循環回路に連結される。ローラ式ポンプとして設計された血液濾過透析器械10のポンプ106中に挿入可能なポンプセグメント5cをラインセグメント5中に設けても良い。
【0027】
制御ユニット26は、データライン28を介して入出力ユニット27に接続されている。入出力ユニット27は、制御ユニット26中の専用のサンプル採取制御プログラムを起動するための手段を構成する。
【0028】
本発明のサンプル採取方法を実施するため、先ず最初に、滅菌サンプル採取装置だけを第1の連結手段14、第2の連結手段15又は第3の連結手段101に連結する。図2は、かかる装置の例示の実施形態を示している。滅菌サンプル採取装置200は、好ましくはバッグとして設計された容器201から成り、この容器は、ラインセグメント202を介して容器連結手段203に通じている。加うるに、ホースクランプとして設計された容器閉鎖手段をラインセグメント202中に又はサンプル採取装置をサンプル採取後に閉鎖することができるよう適当な場所に設けるのが良い。滅菌サンプル採取装置200の一部として調達可能な滅菌閉鎖キャップ204が、容器閉鎖手段としても適している。サンプル採取後、上記連結手段203を閉鎖キャップ204で閉鎖することにより、サンプル液は、分析用実験室に至る途中で汚染されないようにすることが可能である。
【0029】
サンプル採取装置200が第1の連結手段14又は第2の連結手段15に連結されることになっている場合、容器連結手段203は、血液透析器1の連結部4a,4bと同様に、DIN EN 1283に準拠した連結ポートとして設計される。第3の連結手段101への連結の場合、これは、それに応じてこの連結手段と相補するよう設計され、それにより製造業者に応じて種々の形式のコネクタが用いられる。本発明のサンプル採取装置は、容器連結手段203が例えばYピースの形態をした両方の形態の連結部を既に備えている場合、特に汎用性がある。また、取り外し可能なアダプタ部品によって確立されるべき両方の形式の連結部との適合性を提供することも可能である。
【0030】
サンプル採取装置200は、二次汚染を阻止するよう滅菌形態をなしている。このようにするためには、外部から接近可能な表面による汚染を無くすことができる場合、内面が滅菌状態であれば十分な場合がある。しかしながら、サンプル採取装置は、好都合には包装のやり直しの際に完全に滅菌され、次に再包装された形態で流通させられる。
【0031】
バッグとしての実施形態に加えて、他の設計オプションも又可能である。例えば、対応の連結手段を備えた滅菌注射器も又使用可能である。
【0032】
サンプル採取装置を血液透析器械10に連結する前に、オペレータは、入出力ユニット27の適当な入力手段を介して専用サンプル採取制御プログラムを選択する。このプログラムが制御ユニット26で自動的に実行されることを考慮すると、別の方法ステップも又、以下に説明するように実施できる。
【0033】
第1又は第2の連結手段への連結の場合、プログラムは、先ず最初に、第1及び第2の閉鎖手段20,21を閉鎖し又はこれら閉鎖手段が既に閉鎖されている場合にはこれら閉鎖手段を閉鎖状態に保つ。オペレータは、次に、入出力ユニット27を介してサンプル採取装置を連結するよう指令を受ける。サンプル採取装置200を第1又は第2の連結手段に連結した後、オペレータは、入出力ユニット27への接続を確認し、必要ならば、用いられる接続の選択も又存在するかどうかを確認する。制御ユニット26中の制御プログラムは、次に、サンプル採取装置が連結されている所定の又は選択された第1の閉鎖手段20又は第2の閉鎖手段21を開放し、圧送機構体17を作動させて所定量の透析液が容器201内に流れることができるようにする。次に、開放されている第1の閉鎖手段20又は第2の閉鎖手段21を再び閉鎖する。サンプル採取制御プログラムの終了は、入出力ユニット27上に表示される。次に、サンプル採取装置を取り外すのが良い。
【0034】
本発明の別の実施形態では、血液濾過透析器械が、ラベル表示プリントアウトを自動的に利用できるようにすることが可能であり、かかるラベル表示プリントアウトをサンプル採取装置に利用することができ、かかるラベル表示プリントアウトは、所要の情報、例えば機器番号及びサンプル採取時間を既に含んでいる。
【0035】
サンプル採取制御プログラムは、血液濾過透析器械の設計に応じてサンプル採取のための種々の弁切り替え操作を利用することができる。図1に示された器械の場合、閉鎖手段は全て、第1の連結手段14に連結された状態で閉鎖されるのが良く、サンプル採取のためには第1の閉鎖手段20を開放しさえすればよい。しかしながら、第2の連結手段への連結の場合、第2の閉鎖手段21の開放に加えて、透析液入口ライン11を開放されるべき透析液出口ライン12に連結するライン中の閉鎖手段の開放も又必要である。図1に示す実施形態では、第3の閉鎖手段24を開放した場合又は第5の閉鎖手段103及び第6の閉鎖手段105を開放して置換ライン100及びフラッシングライン104を開放した場合、バイパスライン23をこの目的に用いることができる。好都合には、第4の閉鎖手段25を閉鎖する。
【0036】
第3の連結手段101に関連して、第1及び第2の閉鎖手段20,21も又、第1及び第2の連結手段14,15の短絡の場合に開放するのが良い。この目的のため、短絡部品19の連結部19a,19bにセンサを設けるのが良く、これらセンサは、一般に連結部の存在を検出することができる。サンプル採取のため、第5の閉鎖手段103又は第3の閉鎖手段24及び第6の閉鎖手段105を開放する。
【0037】
具体化された変形例とは無関係に、入出力ユニット27の対応の入力及び出力ルーチンも又、既に説明したようにサンプル採取プログラムの容易な起動を可能にすると共に個々の方法ステップの実施及びオプションとしてユーザによる或る特定の流体の道筋及び(又は)連結手段の選択を可能にすることができ、その結果、本発明の血液透析又は血液濾過透析器械による本発明の方法の実施は、特にユーザフレンドリであるように設計される。
【0038】
本発明は、追加のコンポーネントの設置を必要とせず又は複雑な衛生上の措置を維持しないで、血液透析又は血液濾過透析器械により調製された透析液及び既製の透析液の簡単なサンプル採取を可能にする。それと同時に、二次汚染が効果的に阻止される。これ又本発明のサンプル採取装置を滅菌プラスチック製品として安価に大量生産できる。サンプル採取装置と既製の透析液のための既存の連結部との連結上の適合性に起因して、本発明は、微生物学的検査のための定型的なサンプル採取の簡単且つ衛生的な面倒の無いオプションに対する長年の要望を満たすものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液透析器械(10)であって、透析液循環回路を有し、該透析液循環回路が、透析液の源(13)と、透析液のドレン(16)と、前記透析液源(13)から第1の連結手段(14)まで延びる透析液入口ライン(11)と、第2の連結手段(15)から前記透析液ドレン(16)まで延びる透析液出口ライン(12)と、透析液を前記透析液循環回路中で循環させる圧送機構体(17,18)と、前記透析液入口ライン(11)中に設けられた第1の閉鎖手段(20)と、前記透析液出口ライン(12)中に設けられた第2の閉鎖手段(21)と、前記圧送機構体(17,18)並びに前記第1及び前記第2の閉鎖手段(20,21)を制御する制御ユニットとを有し、前記第1及び前記第2の閉鎖手段(20,21)は、前記第1及び前記第2の閉鎖手段が、血液透析処置の実施時に、半透膜(2)によって透析液チャンバ(4)と血液チャンバ(3)に区分された血液透析器(1)の前記透析液チャンバ(4)に連結されるよう設計されており、前記透析液が、前記源(13)から前記透析液入口ライン(11)を通って前記透析液チャンバ(4)に流れ、そして前記透析液チャンバ(4)から前記透析液出口ライン(12)を通って前記ドレン(16)に流れるようになっている、血液透析器械において、
前記制御ユニット(26)は、該制御ユニットが前記第1及び前記第2の閉鎖手段(20,21)並びに前記圧送機構体(17,18)をサンプル採取制御プログラムの一部として制御するよう設計され、前記サンプル採取制御プログラムは、所定量の前記透析液が前記第1の連結手段(14)又は前記第2の連結手段(15)に連結されたサンプル採取装置(200)中に運び込まれるよう自動的にランする、血液透析器械。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の連結手段(14,15)は、DIN EN 1283に準拠した透析液連結部(4a,4b)のために取り付けられるカップリングである、請求項1記載の血液透析器械。
【請求項3】
前記所定量の透析液を運ぶ前記サンプル採取制御プログラムは、当初、両方の閉鎖手段(20,21)を閉鎖し又はこれら閉鎖手段を閉鎖状態に保ち、次に前記第1の閉鎖手段(20)を開放し、前記所定量の透析液を前記第1の連結手段(14)に連結された前記サンプル採取装置内に運び込むための前記圧送機構体(17)を作動させ、次に前記第1の閉鎖手段(20)を再び閉鎖する、請求項1又は2記載の血液透析器械。
【請求項4】
前記血液透析器械は、前記第1の閉鎖手段(20)から見て上流側で前記透析液入口ライン(11)から枝分かれしているバイパスライン(23)を更に有し、前記バイパスラインは、第3の閉鎖手段(24)を備え、前記バイパスラインは、前記第2の閉鎖手段(21)から見て下流側で前記透析液出口ライン(12)内に開口し、第4の閉鎖手段(25)が、前記開口箇所から見て下流側で前記透析液出口ライン(12)に設けられている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の血液透析器械。
【請求項5】
前記サンプル採取制御プログラムは、当初、前記第1の閉鎖手段(20)、前記第2の閉鎖手段(21)、及び前記第4の閉鎖手段(25)を閉鎖し又はこれら閉鎖手段を前記所定量の透析液の運搬を可能にするために閉鎖状態に保ち、次に、前記第3の閉鎖手段(24)を開放し又は該閉鎖手段を開放状態に保つと共に前記第2の閉鎖手段(21)を開放し、次に前記所定量の透析液を前記第2の閉鎖手段(15)に連結されている前記サンプル採取装置内に運び込むための前記圧送機構体(17)を作動させ、次に前記第2の閉鎖手段(21)を再び閉鎖する、請求項4記載の血液透析器械。
【請求項6】
血液濾過透析器械であって、透析液循環回路を有し、該透析液循環回路が、透析液の源(13)と、透析液のドレン(16)と、前記透析液源(13)から第1の連結手段(14)まで延びる透析液入口ライン(11)と、第2の連結手段(15)から前記透析液ドレン(16)まで延びる透析液出口ライン(12)と、前記透析液入口ライン(11)から枝分かれして第3の連結手段(101)まで延びる置換ラインと、透析液を前記透析液循環回路中で循環させる圧送機構体(17,18)と、前記透析液入口ライン(11)中に設けられた第1の閉鎖手段(20)と、前記透析液出口ライン(12)中に設けられた第2の閉鎖手段(21)と、前記置換ライン(100)に設けられた第5の閉鎖手段(103)と、前記圧送機構体(17,18)、前記第1の閉鎖手段(20)、前記第2の閉鎖手段(21)、及び前記第5の閉鎖手段(103)をトリガする制御ユニット(26)とを有し、前記第1の連結手段(14)及び前記第2の連結手段(15)は、血液濾過透析処置の実施時に、前記第1及び前記第2の連結手段が、半透膜(2)によって透析液チャンバ(4)と血液チャンバ(3)に区分された血液透析器(1)の前記透析液チャンバ(4)に連結されるよう設計されており、前記透析液は、前記源(13)から前記透析液入口ライン(11)を通って前記透析液チャンバ(4)に流れ、そして前記透析液チャンバ(4)から前記透析液出口ライン(12)を介して前記ドレン(16)に流れるようになっており、前記第3の連結手段(101)は、血液濾過透析処置の実施時に、透析液が患者の血液の置換物として前記第3の連結手段(101)に連結されたライン(5)を通って供給されるよう設計されている、血液濾過透析器械において、
前記制御ユニット(26)は、該制御ユニットが前記第1の閉鎖手段(20)、前記第2の閉鎖手段(21)、及び前記第5の閉鎖手段(103)、並びに前記圧送機構体(17,18)をサンプル採取制御プログラムの一部として制御するよう設計されており、前記サンプル採取制御プログラムは、所定量の透析液が、前記第1の連結手段(14)、前記第2の連結手段(15)又は前記第3の連結手段(101)に連結されたサンプル採取装置(200)内に運び込まれるよう自動的に進行する、血液濾過透析器械。
【請求項7】
前記第1の連結手段(14)及び前記第2の連結手段(15)は、DIN EN 1283に準拠した透析液連結部(4a,4b)に適するカップリングである、請求項6記載の血液濾過透析器械。
【請求項8】
前記所定量の透析液を運ぶ前記サンプル採取制御プログラムは、当初、前記第1の閉鎖手段(20)、前記第2の閉鎖手段(21)、及び前記第5の閉鎖手段(103)を閉鎖し又はこれら閉鎖手段を閉鎖状態に保ち、次に前記第5の閉鎖手段(103)を開放し、次に前記所定量の透析液を前記第3の連結手段(101)に連結された前記サンプル採取装置内に送り込むための前記圧送機構体(17)を作動させ、次に前記第5の閉鎖手段(103)を再び閉鎖する、請求項6又は7記載の血液濾過透析器械。
【請求項9】
前記サンプル採取制御プログラムは、まず最初に、前記第1の閉鎖手段(20)、前記第2の閉鎖手段(21)、及び前記第5の閉鎖手段(103)を閉鎖し又はこれら閉鎖手段を閉鎖状態に保ち、次に、前記第1の閉鎖手段(20)を開放し、前記所定量の透析液を前記第1の閉鎖手段(14)に連結されている前記サンプル採取装置(200)内に運び込むための前記圧送機構体(17)を作動させ、次に前記第1の閉鎖手段(20)を再び閉鎖する、請求項6〜8のうちいずれか一に記載の血液濾過透析器械。
【請求項10】
前記血液濾過透析器械は、前記第1の閉鎖手段(20)から見て上流側で前記透析液入口ライン(11)から枝分かれしているバイパスライン(23)を更に有し、前記バイパスラインは、第3の閉鎖手段(24)を備え、前記バイパスラインは、前記第2の閉鎖手段(21)から見て下流側で前記透析液出口ライン(12)内に開口し、第4の閉鎖手段(25)が、前記開口箇所から見て下流側で前記透析液出口ライン(12)に設けられている、請求項6〜8のうちいずれか一に記載の血液濾過透析器械。
【請求項11】
前記所定量の透析液を運ぶ前記サンプル採取制御プログラムは、まず最初に、前記第1の閉鎖手段(20)、前記第2の閉鎖手段(21)、前記第4の閉鎖手段(25)、及び前記第5の閉鎖手段(103)を閉鎖し又はこれら閉鎖手段を閉鎖状態に保ち、次に前記第3の閉鎖手段(24)を開放し又は該閉鎖手段を閉鎖状態に保ち、前記第2の閉鎖手段(21)を開放し、次に前記所定量の透析液を前記第2の連結手段に連結された前記サンプル採取装置(200)内に運び込むための前記圧送機構体(17)を作動させ、次に前記第2の閉鎖手段(103)を再び閉鎖する、請求項10記載の血液濾過透析器械。
【請求項12】
前記第3の連結手段(101)は、カバーで封止され、流体と接触する前記第3の連結手段(101)の内面は、前記枝分かれ置換ライン(100)及び前記第3の連結手段(101)から遠ざかって延びるフラッシングライン(104)により連続した流れの状態でクリーニングできる、請求項6〜11のうちいずれか一に記載の血液濾過透析器械。
【請求項13】
前記フラッシングライン(104)は、前記第2の閉鎖手段(21)から見て下流側で前記透析液出口ライン(12)内に開口し、第6の閉鎖手段(105)を備えている、請求項13記載の血液濾過透析器械。
【請求項14】
請求項1〜13のうちいずれか一に記載の器械のうちの1つの前記第1の連結手段(14)、前記第2の連結手段(15)、又は第3の連結手段(101)に連結可能な滅菌サンプル採取装置(200)であって、容器(201)と、前記容器(201)から容器連結手段(203)まで延びるラインセグメント(202)とから成り、前記容器連結手段(203)は、前記第1の連結手段(14)、前記第2の連結手段(15)、又は前記第3の連結手段(101)への連結に適している、滅菌サンプル採取装置。
【請求項15】
前記容器連結手段(203)は、DIN EN 1283に準拠した透析液連結部に相当するポートである、請求項14記載の滅菌サンプル採取装置。
【請求項16】
前記容器(201)は、フレキシブルバッグである、請求項14又は15記載の滅菌サンプル採取装置。
【請求項17】
前記滅菌サンプル採取装置は、前記サンプル採取装置をサンプル採取後に閉鎖する滅菌容器閉鎖手段(204)を有する、請求項14〜16のうちいずれか一に記載の滅菌サンプル採取装置。
【請求項18】
血液透析器械であって、透析液循環回路を有し、該透析液循環回路が、透析液の源(13)と、透析液のドレン(16)と、前記透析液源(13)から第1の連結手段(14)まで延びる透析液入口ライン(11)と、第2の連結手段(15)から前記透析液ドレン(16)まで延びる透析液出口ライン(12)と、透析液を前記透析液循環回路中で循環させる圧送機構体(17,18)と、前記透析液入口ライン(11)中に設けられた第1の閉鎖手段(20)と、前記透析液出口ライン(12)中に設けられた第2の閉鎖手段(21)と、前記圧送機構体(17,18)並びに前記第1及び前記第2の閉鎖手段(20,21)を制御する制御ユニットとを有し、前記第1及び前記第2の閉鎖手段(20,21)は、前記第1及び前記第2の閉鎖手段が、血液透析処置の実施時に、半透膜(2)によって透析液チャンバ(4)と血液チャンバ(3)に区分された血液透析器(1)の前記透析液チャンバ(4)に連結されるよう設計されており、前記透析液が、前記源(13)から前記透析液入口ライン(11)を通って前記透析液チャンバ(4)に流れ、そして前記透析液チャンバ(4)から前記透析液出口ライン(12)を通って前記ドレン(16)に流れるようになっている血液透析器械の透析液サンプル採取方法において、
2つの前記閉鎖手段(20,21)を閉鎖し又はこれら閉鎖手段を閉鎖状態に保つステップと、
滅菌サンプル採取装置(200)を前記第1の連結手段(14)又は前記第2の連結手段(15)に連結するステップと、
前記サンプル採取装置(200)が連結されている前記第1の閉鎖手段(20)又は前記第2の閉鎖手段(21)を開放するステップと、
前記圧送機構体(17,18)を作動させて所定量の透析液が前記サンプル採取装置(200)中に流れるようにするステップと、
前記第1の閉鎖手段(20)又は前記第2の閉鎖手段(21)を閉鎖するステップとを有する、方法。
【請求項19】
血液濾過透析器械であって、透析液循環回路を有し、該透析液循環回路が、透析液の源(13)と、透析液のドレン(16)と、前記透析液源(13)から第1の連結手段(14)まで延びる透析液入口ライン(11)と、第2の連結手段(15)から前記透析液ドレン(16)まで延びる透析液出口ライン(12)と、前記透析液入口ライン(11)から枝分かれして第3の連結手段(101)まで延びる置換ラインと、透析液を前記透析液循環回路中で循環させる圧送機構体(17,18)と、前記透析液入口ライン(11)中に設けられた第1の閉鎖手段(20)と、前記透析液出口ライン(12)中に設けられた第2の閉鎖手段(21)と、前記置換ライン(100)に設けられた第5の閉鎖手段(103)と、前記圧送機構体(17,18)、前記第1の閉鎖手段(20)、前記第2の閉鎖手段(21)、及び前記第5の閉鎖手段(103)をトリガする制御ユニット(26)とを有し、前記第1の連結手段(14)及び前記第2の連結手段(15)は、血液濾過透析処置を実施するために、前記第1及び前記第2の連結手段が、半透膜(2)によって透析液チャンバ(4)と血液チャンバ(3)に区分された血液透析器(1)の前記透析液チャンバ(4)に連結されるよう設計されており、前記透析液は、前記源(13)から前記透析液入口ライン(11)を通って前記透析液チャンバ(4)に流れ、そして前記透析液チャンバ(4)から前記透析液出口ライン(12)を介して前記ドレン(16)に流れるようになっており、前記第3の連結手段(101)は、血液濾過透析処置の実施時に、透析液が患者の血液の置換物として前記第3の連結手段(101)に連結されたライン(5)を通って供給されるよう設計されている血液濾過透析器械の透析液サンプル採取方法において、
前記第1の閉鎖手段(20)及び前記第2の閉鎖手段(21)を閉鎖し又は前記第1の連結手段(14)及び前記第2の連結手段(15)を短絡させ若しくはこれら連結手段を閉鎖状態に保つステップと、
前記第5の閉鎖手段(103)を閉鎖し又は該第5の閉鎖手段を閉鎖状態に保つステップと、
滅菌サンプル採取装置(200)を前記第3の連結手段(101)に連結するステップと、
前記第5の閉鎖手段(103)を開放するステップと、
前記圧送機構体(17,18)を作動させて所定量の透析液が前記サンプル採取装置(200)中に流れるようにするステップと、
前記第5の閉鎖手段(103)を閉鎖するステップとを有する、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−500101(P2011−500101A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532915(P2009−532915)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004463
【国際公開番号】WO2008/096202
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(597075904)フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【Fターム(参考)】