説明

血漿分離

【課題】遠心分離機を用いないで、血液および血液製剤などの生物学的流体から血漿を分離することができる装置および方法を提供すること。
【解決手段】本発明による血漿分離装置は、上流側表面と下流側表面を有し、微多孔膜を備えるフィルタと、(b)入口、下流側チャンバ、出口および空気チャネルを有し、入口と下流側チャンバと出口との間に流体流路を形成するハウジングであって、フィルタが流体流路を横切ってハウジング内に配置され、出口を通じて負圧が下流側チャンバ内に形成されるときに空気が空気チャネルを介して下流側チャンバに入り込んで血漿をフィルタの下流側表面から出口を通じて押し流すように、出口および空気チャネルが離間されて配置されるハウジングと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]病気を診断し、病気の経過を監視し、および/または、病気の治療の効果を判定するための様々な検査は、患者からの血漿の取得と、血漿に対する検査を必要とする。一般に、血液が患者から得られ、細胞成分を除去して血漿を提供するために血液が処理される。この場合、処理は、(a)血液を高いG力で約5〜15分間にわたって遠心分離して、より高密度の細胞成分を遠心分離機チューブの底部に集中させて上澄み血漿を除去できるようにすること、または、(b)数滴の血液を側方流装置に適用して、重力および毛管力が他の成分からの血漿の分離をもたらすようにするとともに、分離された血漿が毛管作用で吸収パッドに引き込まれて、試薬が血漿と反応するようにすることを含む。
【0002】
[0002]しかしながら、遠心分離による血液の処理には、一般に、熟練した検査技師によって操作される遠心分離機を収容する集中検査室への血液サンプルの輸送を伴う。これは、時間および労力を相当に要するため、費用がかかる。あるいは、熟練要員を必要とすることなく検査室の外側で利用され得る側方流装置は、殆どの従来の正確な診断検査に求められる液体血漿サンプルを容易に生成できない。
【0003】
[0003]本発明は、従来技術の不都合の少なくとも一部を改善する。本発明のこれらの利点および他の利点は、以下に記載する説明から明らかとなろう。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明は、遠心分離機を用いないで、生物学的流体から適切な量のほぼ無細胞の液体を分離する。
【0005】
[0005]本発明の一実施形態は、(a)上流側表面と下流側表面とを有し、微多孔膜(microporous membrane)を備えるフィルタと、(b)入口、下流側チャンバ、出口、および、少なくとも1つの空気チャネルを有し、入口と下流側チャンバと出口との間に流体流路を形成するハウジングであって、フィルタが流体流路を横切ってハウジング内に配置され、出口を通じて負圧が下流側チャンバ内に形成されるときに空気が空気チャネルを介して下流側チャンバに入り込んで血漿をフィルタの下流側表面から出口を通じて押し流すように、出口および空気チャネルが離間されて配置されるハウジングと、を備える血漿分離装置を提供する。幾つかの実施形態において、装置は、2つ以上の空気チャネルおよび/または2つ以上の血漿収集チャネルを含む。
【0006】
[0006]他の実施形態では、生物学的流体を処理するための方法であって、血漿分離装置の実施形態におけるフィルタの上流側表面に生物学的流体を適用するステップと、血漿をフィルタの上流側表面からフィルタの下流側表面に送るステップと、出口を通じて下流側チャンバ内に負圧を形成するステップと、空気チャネルを通じて下流側チャンバへ空気を送り込んで血漿をフィルタの下流側表面から押し流すステップと、押し出された血漿を出口に通すステップとを備える方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明に係る血漿分離装置の一実施形態の上面図である。
【図1B】本発明に係る血漿分離装置の一実施形態の下面図である。
【図1C】本発明に係る血漿分離装置の一実施形態の図であり、ベースの上方からの斜視図である。
【図1D】本発明に係る血漿分離装置の一実施形態の断面図である。図1A〜図1Dに示す装置は単一の空気チャネルを有し、フィルタは膜と任意の上流側繊維メディアとを含む。
【図2A】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の上面図である。
【図2B】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の図であり、ベースの上方からの斜視図である。
【図2C】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の断面図である。図2A〜図2Cに示す装置は複数の空気チャネルと中心出口とを有する。
【図3A】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の上面図である。
【図3B】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の下面図である。
【図3C】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の図であり、ベースの上面図である。
【図3D】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の断面図である。
【図3E】本発明に係る血漿分離装置の他の実施形態の断面図である。図3A〜図3Eに示す装置は複数の空気チャネルと非中心(中心にない)出口とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0010]本発明は、遠心分離機を使用することなく、赤血球の溶血を最少状態で、あるいは溶血を伴わずに、好ましくは、患者から直接に得た、例えば改質されない全血からのほぼ無細胞である適量の液体の分離、例えば無細胞血漿の分離を短時間でもたらすものであり、有益である。本発明はポイント・オブ・ケア(POC)用途に特に適している。本発明は、手動で、自動で、あるいは、半自動で実施でき、例えばこの場合、方法の少なくとも1つの態様(例えば、フィルタの表面に生物学的流体を加えること)が手作業で行なわれ、少なくとも1つの他の態様(例えば、負圧を形成すること)が自動化される。
【0009】
[0011]本発明の一実施形態によれば、(a)上流側表面と下流側表面とを有し、微多孔膜を備えるフィルタと、(b)入口、下流側チャンバ、出口、および、少なくとも1つの空気チャネルを有し、入口と、下流側チャンバと、出口との間に流体流路を形成するハウジングであって、フィルタが流体流路を横切ってハウジング内に配置され、出口を通じて負圧が下流側チャンバ内に形成されるときに空気が空気チャネルを介して下流側チャンバに入り込んで血漿をフィルタの下流側表面から出口を通じて押し流すように、出口および空気チャネルが離間されて配置されるハウジングと、を備える血漿分離装置が提供される。
【0010】
[0012]装置は、フィルタの下流側表面の下流側に1つ以上の空気チャネル入口ポートを含むことが好ましく、その場合、1つまたは複数の空気チャネル入口ポートが1つ以上の空気チャネルと連通する。
【0011】
[0013]装置の幾つかの実施形態では、(例えば、図1に示されたように)出口がハウジングの一端の近傍に配置され、また、少なくとも1つの空気チャネルおよび少なくとも1つの空気チャネル入口ポートがいずれも出口とは反対側のハウジングの端部の近傍に配置される。
【0012】
[0014]装置の幾つかの実施形態は複数のフィルタを含むことができ、フィルタは複数の多孔質層および/または多孔質メディアを含むことができる。例えば、フィルタは2つ以上の膜を備えることができる。これに代えて、あるいはこれに加えて、フィルタは少なくとも1つの繊維メディアを備えることができる。一般に、少なくとも1つの繊維メディアを含むこれらの実施形態では、繊維メディアが膜の上流側にあり、例えば、繊維メディアがプレフィルタとして機能する。
【0013】
[0015]好ましい実施形態において、少なくとも1つの膜は、上流側表面と、下流側表面と、下流側表面におけるよりも上流側表面における方が大きい開口とを有する非対称な微多孔膜である。
【0014】
[0016]本発明の一実施形態にしたがって生物学的流体を処理するための方法は、血漿分離装置の一実施形態におけるフィルタの上流側表面に生物学的流体を加えるステップと、血漿をフィルタの上流側表面から重力によってフィルタの下流側表面に送るステップと、出口を通じて下流側チャンバ内に負圧を形成するステップと、空気チャネルを通じて下流側チャンバへ空気を送り込んで血漿をフィルタの下流側表面から押し流すステップと、押し流された血漿を出口に通すステップとを備える。
【0015】
[0017]本発明の実施形態は、様々な量の生物学的流体と共に用いるのに適する。例えば、生物学的流体の量を約100μL〜約1mLの範囲内にすることができる。しかしながら、量を約100μL未満にすること、あるいは、約1mLよりも多くすることもできる。
【0016】
[0018]ここで、以下に本発明の構成要素のそれぞれについて更に詳しく説明する。なお、同様の構成要素は同様の参照符号を有する。
【0017】
[0019]図示の実施形態(例えば、図1D、図2C、および、図3D)において、血漿分離装置500は、(生物学的流体を装置に加えるための)入口101を備える第1のハウジング部分またはカバー100と、血漿チャネル220を備える下流側チャンバ202と出口ポート201aを含む出口201とを備える第2のハウジング部分またはベース200とを備えるとともに、入口と下流側チャンバと出口との間に流体流路を形成するハウジング400を備える。また、装置は、多孔質膜650(および、随意的な繊維メディア650a)を備えるフィルタ600も備え、該フィルタは上流側表面651と下流側表面652とを有し、フィルタは流体流路を横切ってハウジング内に配置され、また、下流側チャンバ202がフィルタの下流側表面652の下流側にある。本発明の実施形態は2つ以上のフィルタを含むことができ、および/または、フィルタは2つ以上の多孔質要素を含むことができる。
【0018】
[0020]装置は、下流側チャンバおよび(1つ以上の空気チャネル入口ポートを介して)装置の外部環境と連通する1つ以上の空気チャネルを含む。装置は、2つ以上、3つ以上、あるいは、任意の他の数の空気チャネルおよび空気チャネルポートを有することができる。好ましくは、装置ハウジングは、フィルタの下流側表面の下流側に1つ以上の空気チャネル入口ポートを含み、その場合、出口が空気チャネル入口ポートから離間される。図1〜図3(例えば、図1C、図2B、図2C、図3B、図3C)に示される本発明の実施形態では、装置ハウジングは、フィルタの下流側表面の下流側に空気チャネル入口ポート250aを含む1つ以上の空気チャネル250を含む(この場合、ベース200が例示された空気チャネルと空気チャネルポートとを備える)。随意的に、装置は、例えば空気チャネルを覆う疎水性微多孔膜(図示せず)を更に備えており、それにより、粒子および/またはバクテリアなどの望ましくない材料の侵入を防止しつつ、空気がチャネルに入ることができる。
【0019】
[0021]装置の図示実施形態は1つ以上の血漿チャネルも含む。例えば、図示の実施形態(例えば、図1Cや図2B)では、ベースの下流側チャンバ202が複数の血漿チャネル220を備え、これらのチャネルは隆起部220aと溝220bとを備える。装置は任意の数の血漿チャネルを有することができる。血漿チャネルは、例えば、形状、幅、高さ、および/または、長さに関して、1つのチャネルと他のチャネルとの間でおよび/または任意の個々のチャネルに沿って均一である必要がない。例えば、図3Cに示される実施形態において、ベース200は、4つ以上の異なる長さの血漿チャネルを含む(例えば、装置の一端の近傍の大きい方の断面積から装置の他端の近傍の小さい方の断面積に血漿を「漏斗状に流し込む」ことができる)。図1(例えば、図1C)に示される実施形態では、血漿チャネルがより均一な幅および高さを有し(例えば、より均等な空気流がフィルタの下流側表面を通過できるようにする)、また、図2(例えば、図2B)に示される実施形態では、血漿チャネルがより均一な高さを有するが異なる幅を有する。
【0020】
[0022]装置は、空気が血漿を血漿チャネル内に押し流させている間、負圧が形成されるときにフィルタの下流側表面を支持する複数の隆起部を含むことが好ましい。例えば、図1C、図1D、および、図2Bに示される実施形態では、ベース200が補助血漿チャネル211を形成する隆起部210を含み、該隆起部がフィルタの下流側表面652を支持する(図1Dに示される実施形態では、多孔質膜650が上流側表面および下流側表面を有し、膜の下流側表面がフィルタの下流側表面652を形成し、随意的な繊維メディア650aが上流側表面および下流側表面を有し、繊維メディアの上流側表面がフィルタの上流側表面651を形成する)。随意的ではあるが、図1Cに示されるように、ベースは、例えば血漿を血漿チャネル内へ押し流す効率を更に高めるために、補助血漿チャネル212も含む。これらの図示実施形態によれば、補助血漿チャネル211および212は血漿を主血漿チャネル220内へ供給する。
【0021】
[0023]本発明によれば以下の定義が使用される。
【0022】
[0024]少なくとも1つの多孔質フィルタ要素、例えば少なくとも1つの膜および/または少なくとも1つの繊維要素を備えるフィルタは、任意の適した細孔構造、例えば、孔サイズ(例えば、沸点によって、あるいは、例えば米国特許第4,340,479号明細書に記載されるKによって明示され、あるいは、毛管凝縮フローポロメトリによって明示されるような孔サイズ)、孔比率、孔径(例えば、例えば米国特許第4,925,572号明細書に記載される修正OSU F2試験を使用して特徴付けられる場合)、または、血漿含有流体が要素を通過させられる際の1つ以上の対象材料の要素通過を減らすあるいは可能にする除去率を有することができる。使用される細孔構造は、処理されるべき流体の組成と、処理された流体の所望の排出レベルとによって決まる。
【0023】
[0025]適した多孔質膜、好ましくは微多孔膜は、等方性膜(isotropic membrane)、非対称膜(asymmetric membrane)、非対称領域および等尺性領域の両方を含む膜、および/または、複合膜であってもよい。フィルタが等方性膜を備える実施形態では、フィルタは、一般に、等方性膜の上流側に繊維メディアを更に備える。
【0024】
[0026]等尺性膜(isometric membrane)は、膜の大部分にわたってほぼ同じである細孔構造(例えば平均孔サイズ)によって特徴付けられる分布を伴う多孔質構造を有する。例えば、平均孔サイズに関して、等尺性膜は、膜にわたってほぼ同じである平均孔サイズにより特徴付けられる孔サイズ分布を有する。
【0025】
[0027]非対称膜は、膜の大部分にわたって変化する細孔構造(例えば、平均孔サイズ)を有する。例えば、平均孔サイズは、1つの部分または表面から他の部分または表面に向かって縮小する(例えば、平均孔サイズが上流側の部分または表面から下流側の部分または表面に向かって減少する)。しかしながら、他のタイプの非対称性が本発明の実施形態によって包含され、例えば、孔サイズは、非対称膜の厚さの範囲内のある位置で最小孔サイズをとる。非対称膜は、任意の適した孔サイズ勾配または比率を有することができる。この非対称性は、例えば膜の1つの主面上の平均孔サイズと膜の他の主面の平均孔サイズとを比較することによって測定され得る。
【0026】
[0028]フィルタ要素の細孔構造は、当該技術分野において知られるように選択される。一般に、微多孔膜(または、例えば、非対称微多孔膜の下流側表面)は、約5ミクロン〜約0.1ミクロンの範囲の平均孔サイズを有する。
【0027】
[0029]高分子膜および高分子繊維要素を含む様々な膜および繊維要素が本発明で使用するのに適している。適した高分子としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、アクリル、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリアリレン酸化物および硫化物、および、ハロゲン化オレフィンと不飽和ニトリルとから形成される高分子および共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、任意のナイロン、例えばナイロン6、11、46、66、610が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい高分子は、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリエステル、および、ポリアミドである。
【0028】
[0030]他の適した材料としては、セルロース誘導体、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテート・プロピオネート、セルロースアセテート・ブチレート、および、セルロースブチレートが挙げられる。例えばホウケイ酸ガラス繊維を含むガラス繊維などの非樹脂材料が使用されてもよい。
【0029】
[0031]特に好ましいのは、VIVID(商標)、SUPOR(登録商標)、VERSAPOR(登録商標)、POSIDYNE(登録商標)の商標の下でPall Corporationから入手できる膜、および、ULTIPOR N66(登録商標)、ULTIPOR(登録商標)、FLUORODYNE(登録商標)、LOPRODYNE(登録商標)、CARBOXYDYNE(登録商標)、IMMUNODYNE(登録商標)、BIODYNE A(登録商標)、BIODYNE B(登録商標)、BIODYNE C(登録商標)の商標の下でPall Corporationから入手できる膜などの市販のメディアである。
【0030】
[0032]典型的な膜は、例えば、米国特許第6,110,369号明細書、第6,045,899号明細書、第5,906,742号明細書、第5,979,670号明細書、第5,846,422号明細書に開示されている。米国特許第4,702,840号明細書、第4,900,449号明細書、第4,906,374号明細書、第4,886,836号明細書、第4,964,989号明細書、第5,019,260号明細書、第4,340,479号明細書、第4,855,163号明細書、第4,744,132号明細書、第4,707,266号明細書、第4,203,848号明細書、第4,618,533号明細書、第6,039,872号明細書、第6,780,327号明細書、第6,783,937号明細書、第7,189,322号明細書に開示される膜を含む他の膜が適する場合もある。
【0031】
[0033]メルトブロー繊維から作成される要素を含む典型的な繊維要素は、例えば、米国特許第4,880,548号明細書、第4,925,572号明細書、第5,152,905号明細書、第5,443,743号明細書、第5,472,621号明細書、第6,074,869号明細書に開示されている。適した市販のメディアとしては、Pall Corporationから入手できるメディア、例えば、LEUKOSORB(商標)、METRIGARD(商標)、TISSUGLAS(商標)、ならびに、ガラスおよび石英ファイバおよびマイクロファイバメディア(結合材を含まないもの、または、結合材を含むもの)、例えば、結合材がないホウケイ酸ガラス等級A/B、A/C、A/D、A/E、および、A/Fが挙げられる。
【0032】
[0034]フィルタ要素、例えば膜および/または繊維要素は、任意の所望の臨界湿潤表面張力(例えば米国特許第4,925,572号明細書で規定されるCWST)を有することができる。例えば、CWSTは、米国特許第5,152,905号明細書、第5,443,743号明細書、第5,472,621号明細書、第6,074,869号明細書などに更に開示されるように、当該技術分野において知られるように選択され得る。一般に、要素は、約53dyne/cm(約53×10−5N/cm)よりも大きいCWST、より一般的には約58dyne/cm(約58×10−5N/cm)よりも大きいCWSTを有し、また、約66dyne/cm(約66×10−5N/cm)以上のCWSTを有することができる。好ましくは、要素は、72dyne/cm(約72×10−5N/cm)以上のCWSTを有する疎水性であり、幾つかの実施形態では、約75dyne/cm(約75×10−5N/cm)以上のCWSTを有する疎水性である。
【0033】
[0035]フィルタおよび/またはフィルタ要素の表面特性は、湿式酸化または乾式酸化によって、高分子を表面にコーティングするあるいは堆積させることによって、または、グラフト反応によって(例えば、CWSTに影響を及ぼすように、表面電荷、例えばプラス電荷またはマイナス電荷を含むように、および/または、表面の極性または親水性を変えるように)改質できる。改質は、例えば、極性単量体または荷電単量体の照射、荷電ポリマーで表面をコーティング/硬化、および、化学的改質を行なって官能基を表面に付着することを含む。グラフト反応は、ガスプラズマ、蒸気プラズマ、熱、ファン・デル・グラフ発生器、紫外光、電子ビーム、または、様々な他の形態の放射線などのエネルギ源に晒すことによって、または、プラズマ処理を使用する表面エッチングまたは堆積によって活性化されてもよい。
【0034】
[0036]幾つかの実施形態において、複数の多孔質フィルタ要素を備えるフィルタはハウジングに配置される。ハウジングは、生物学的流体取り込み口または適用入口と、出口と、下流側チャンバとを備えるとともに、入口と下流側チャンバと出口との間に少なくとも1つの流体流路を形成している。この場合、フィルタは流体流路を横切っており、ハウジングは、血漿分離装置を設けるために、少なくとも1つの空気チャネルおよび少なくとも1つの空気チャネル入口ポートを含む。分離装置は殺菌できることが好ましい。
【0035】
[0037]入口、下流側チャンバ、出口、および、少なくとも1つの空気チャネルと空気チャネル入口ポートを備える、適した形状のいかなるハウジングをも使用可能である。適した形状としては、例えば、(例えば図3に示されるような)略涙滴、(例えば図1に示されるような)長方形、正方形、(例えば図2に示されるような)円、楕円、または、三角形が挙げられる。
【0036】
[0038]必要に応じて、ハウジングは1つ以上のコネクタを含むことができる。例えば、出口は、雄または雌コネクタ((雄または雌ルアー式取付具を含む)、竹の子タイプコネクタ(barbed connector)、または、フランジを備えることができる。様々なコネクタが適しており、当該技術分野において知られている。
【0037】
[0039]ハウジングは、処理される生物学的流体に適合する任意の不浸透性熱可塑性材料を含む任意の適した硬質不浸透性材料から形成することができる。一般に、ハウジングは高分子から製造される。好ましい実施形態において、ハウジングは、高分子であり、幾つかの実施形態では、透明または半透明高分子、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、または、ポリカーボネート樹脂である。そのようなハウジングは、容易に且つ経済的に製造され、ハウジングを通じた生物学的流体の通過の観察を可能にする。
【0038】
[0040]ハウジングは、例えば、1つ以上のOリング、接着剤、溶媒、レーザ溶着、高周波シール、超音波シール、および/または、ヒートシールを利用して、当該技術分野において知られるようにシールされ得る。これに加えて、あるいはこれに代えて、射出成形によってハウジングをシールできる。フィルタは、例えば、Oリング、圧縮、締まり嵌め、または、ハウジングへの接着および/または溶着によって、当該技術分野において知られるようにハウジング内でシールされ得る。
【0039】
[0041]生物学的流体。生物学的流体は、生体と関連付けられる任意の処理済みのあるいは未処理の流体、特に、全血、温かいあるいは冷たい血液、および、保存血液または新鮮血を含む血液;生理食塩水、栄養素、および/または、抗凝血溶液を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの生理溶液で希釈される血液などの処理済み血液;濃縮血小板(PC)、多血小板血漿(FRP)、乏血小板血漿(PPP)、無血小板血漿、血漿、新鮮凍結血漿(FFP)、血漿から得られる成分、濃厚赤血球(PRC)、移行域材料またはバフィーコート(BC)などの血液成分;血液または血液成分から得られるあるいは骨髄から得られる血液製剤;幹細胞;血漿から分離されて生理溶液または凍結防止流体中に再懸濁される赤血球;血漿から分離されて生理溶液または凍結防止流体中に再懸濁される血小板を含む。生物学的流体は、本発明にしたがって処理される前に白血球の一部を除去するように処理されていてもよい。本明細書中で使用される血液製剤または生物学的流体とは、前述した成分、および、他の手段によって得られる同様の特性を有する同様の血液製剤または生物学的流体のことである。
【0040】
[0042]様々な装置および/またはシステムは、出口を通じて下流側チャンバ内に負圧を形成するのに適しており、当業者に知られている。例えば、バレルとプランジャなどを備えるシリンジを使用できる。あるいは、例えば、マニホールドプレート、アダプタ、および/または、(例えば真空チューブ血液収集システムを含む)真空システムのうちの1つ以上を使用できる。
【0041】
[0043]本発明に係る方法の典型的な実施形態によれば、生物学的流体が装置の実施形態におけるフィルタの上流側表面に加えられ、液体(例えば、血漿)がフィルタの上流側表面からフィルタの下流側表面へ通過する。一般に、液体は、主に重力によってフィルタの上流側表面からフィルタの下流側表面へ通過するが、下流側チャンバ内に形成される負圧の形成によって重力の作用を助けることもできる。生物学流体をフィルタへ加えた直後(例えば、少なくとも約30秒後)に、出口を通じて下流側チャンバ内に(例えば、装置ハウジングの出口と連通するシリンジバレル内のプランジャを引き込むことにより)負圧が形成され、そのため、空気が空気チャネルを通じて下流側チャンバ内へ入り込み、それにより、ほぼ無細胞の液体(例えば、ほぼ無細胞の血漿)がフィルタの下流側表面から押し出され、押し出された液体が出口を通過する。1つの例示的な実施形態では、押し出された血漿が出口と連通するシリンジバレルに通され、また、他の例示的な実施形態では、押し出された血漿が出口と連通する真空血液収集チューブに通される。
【0042】
[0044]押し流されて収集された液体を必要に応じて当業者に知られるように更に処理することができる。血漿を使用して1つ以上の試験を行なうことができ、例えば、その場合、血漿は1つ以上の試薬と混合されおよび/または分析装置内にあるいは分析装置上に配置される。
【0043】
[0045]以下の実施例は、本発明を更に明らかにするが、無論、本発明の範囲を多少なりとも限定すると解釈されるべきではない。
【0044】
[0046]実施例1〜14は、図1に概略的に示される装置の実施形態(後述するように上流側繊維メディアを伴うもの、あるいは伴わないもの)を使用して行なわれた。フィルタを形成するために使用されるメディアは35mm×65mmである。非対称膜を含む実施例において、膜は、Vivid(商標)(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)非対称ポリスルホン血漿分離膜(PSM)であって、一方側が約100μmの平均孔サイズを有し、他方側が約2μmの平均孔サイズを有しており(約100:2の非対称比率)、大きい方の孔サイズが装置の上流側に面する状態で使用される。
【0045】
[0047]使用される生物学的流体は、抗凝血剤を収容する7mL Vacutainer(登録商標)(Becton−Dickinson)血液収集チューブ内に健康なドナーから引き込まれる血液である。ヘマトクリット値が約35%の血液が収集後2時間以内に使用される。
【0046】
[0048]血液は、ピペットを使用してフィルタの表面上に置かれ、約60秒〜約90秒後に、負圧を与えるためにシリンジが操作される。約2分間の取り込みの中で血漿が分離されて収集される。回収された血漿の量が測定される。
【0047】
[0049]実施例1〜10では、血漿コレステロール(対照と比較される回収率%)、総タンパク量(対照と比較される回収率%)、および、遊離ヘモグロビン(対照と比較される回収率%)を決定するために、収集された血漿が分析された。また、値は、遠心分離を使用して分離されて収集された血漿(対照)と比較された。SD=標準偏差である。
【0048】
[0050]実施例1〜14では、Cell−DYN(登録商標)3700分析器(イリノイ州のアボットパークにあるAbbott Diagnostics)を使用して、収集された血漿が残りの細胞成分に関して分析され、また、赤血球、白血球、および、血小板の濃度は機器の検出限界よりも低い。
【0049】
[0051]これらの実施例は、本発明の実施形態にしたがって無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【実施例1】
【0050】
[0052]この実施例は、単一の膜を含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0051】
[0053]膜はVivid(商標)PSM等級GF非対称ポリスルホン膜である。結果は以下の通りである。
【表1】


【実施例2】
【0052】
[0054]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0053】
[0055]膜はVivid(商標)PSM等級GF非対称ポリスルホン膜である。繊維要素は、3.1μmの平均孔サイズと約584〜約737μm(約23〜約29ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/D(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である。結果は以下の通りである。
【表2】

【実施例3】
【0054】
[0056]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0055】
[0057]膜はVivid(商標)PSM等級GF非対称ポリスルホン膜である。繊維要素は、約8μmの平均孔サイズと約356〜約559μmの厚さとを有するLeukosorb(商標)メディア(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である。結果は以下の通りである。
【表3】

【実施例4】
【0056】
[0058]この実施例は、単一の膜を含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0057】
[0059]膜はVivid(商標)PSM等級GX非対称ポリスルホン膜である。結果は以下の通りである。
【表4】

【実施例5】
【0058】
[0060]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0059】
[0061]膜はVivid(商標)PSM等級GX非対称ポリスルホン膜である。繊維要素は、3.1μmの平均孔サイズと約584〜約737μm(約23〜約29ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/D(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である。結果は以下の通りである。
【表5】

【実施例6】
【0060】
[0062]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0061】
[0063]膜はVivid(商標)PSM等級GX非対称ポリスルホン膜である。繊維要素は、約8μmの平均孔サイズと約356〜約559μmの厚さとを有するLeukosorb(商標)メディア(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である。結果は以下の通りである。
【表6】

【実施例7】
【0062】
[0064]この実施例は、単一の膜を含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0063】
[0065]膜はVivid(商標)PSM等級GR非対称ポリスルホン膜である。結果は以下の通りである。
【表7】

【実施例8】
【0064】
[0066]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0065】
[0067]膜はVivid(商標)PSM等級GR非対称ポリスルホン膜である。繊維要素は、3.1μmの平均孔サイズと約584〜約737μm(約23〜約29ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/D(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である。結果は以下の通りである。
【表8】

【実施例9】
【0066】
[0068]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0067】
[0069]膜はVivid(商標)PSM等級GR非対称ポリスルホン膜である。繊維要素は、約8μmの平均孔サイズと約356〜約559μmの厚さとを有するLeukosorb(商標)メディア(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である。結果は以下の通りである。
【表9】

【実施例10】
【0068】
[0070]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の一実施形態を使用して血漿コレステロール、総タンパク量、および、遊離ヘモグロビンに著しく悪影響を及ぼすことなく無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0069】
[0071]膜は、約0.45μmの平均孔サイズと約114〜約165μmの厚さとを有する等方性Supor(登録商標)450ポリエーテルスルホン膜(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)である。繊維要素は、3.1μmの平均孔サイズと約584〜約737μm(約23〜約29ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/D(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である。結果は以下の通りである。
【表10】

【実施例11】
【0070】
[0072]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の実施形態を使用して無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0071】
[0073]両方の装置は、3.1μmの平均孔サイズと約584〜約737μm(約23〜約29ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/D(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である繊維要素を膜の上流側に含む。
【0072】
[0074]一方の装置に関して、膜は、約0.20μmの平均孔サイズと約114〜約165μmの厚さとを有する等方性Supor(登録商標)200ポリエーテルスルホン膜(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)である。他方の装置に関して、膜は、約1.2μmの平均孔サイズと約114〜約165μmの厚さとを有する等方性Supor(登録商標)1200膜(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)である。
【0073】
[0075]結果は以下の通りである。
【表11】


【表12】

【実施例12】
【0074】
[0076]この実施例は、膜と該膜の上流側の繊維要素とを含む装置の実施形態を使用して無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0075】
[0077]両方の装置は、3.1μmの平均孔サイズと約584〜約737μm(約23〜約29ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/D(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層である繊維要素を膜の上流側に含む。
【0076】
[0078]一方の装置に関して、膜は、約0.45μmの平均孔サイズと約114〜約165μmの厚さとを有する等方性Supor(登録商標)450ポリエーテルスルホン膜(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)である。他方の装置に関して、膜は、約0.45μmの平均孔サイズを有する等方性Fluorodyne(登録商標)II PVDF膜(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)である。
【0077】
[0079]結果は以下の通りである。
【表13】


【表14】

【実施例13】
【0078】
[0080]この実施例は、膜と該膜の上流側の異なる繊維メディアとを含む装置の実施形態を使用して無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。それぞれの装置内の膜はVivid(商標)PSM等級GR非対称ポリスルホン膜である。
【0079】
[0081]一方の装置は、3.1μmの平均孔サイズと約584〜約737μm(約23〜約29ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/D(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層を含んでいた。
【0080】
[0082]他方の装置は、1μmの平均孔サイズと約610〜約711μm(約24〜約28ミル)の厚さとを有する結合材がないホウケイ酸ガラス繊維等級A/B(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の層を含んでいた。
【0081】
[0083]結果は以下の通りである。
【表15】


【表16】

【実施例14】
【0082】
[0084]この実施例は、膜と該膜の上流側の異なる厚さを含む繊維要素とを含む装置の実施形態を使用して無細胞血漿を血液から急速に分離できることを実証する。
【0083】
[0085]膜はVivid(商標)PSM等級GR非対称ポリスルホン膜である。繊維要素は、約8μmの平均孔サイズと約356〜約559μmの厚さとを有するLeukosorb(商標)メディア(ニューヨーク州のイーストヒルにあるPall Corporation)の1つあるいは4つの層である。結果は以下の通りである。
【表17】


【表18】

【0084】
[0086]本明細書中で挙げられた公報、特許出願、および、特許を含む全ての文献は、あたかも各文献が参照することにより組み入れられるべく個別に具体的に示唆されているかのように、且つその全体が本明細書中に記載されているかのように、同じ程度まで参照することにより本願に組み入れられる
[0087]本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(aおよびan)」および「その(the)」という用語と類似の指示語の使用は、本明細書中で別段に示唆されずあるいは文脈的に明らかに矛盾しなければ、単数および複数の両方を網羅するように解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」、および、「包含する」という用語は、別段に言及されなければ、制限のない用語(すなわち、「〜を含むがこれに限定されない」を意味する)ものとして解釈されるべきである。本明細書中における値の範囲の列挙は、本明細書中に別段に示唆されなければ、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個別に示す略記法としての機能を果たそうとしているにすぎず、また、それぞれの別個の値は、あたかもそれが本明細書に個別に列挙されているかのように明細書中に組み入れられる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で別段に示唆されずあるいは文脈的に明らかに矛盾しなければ、任意の適した順序で行なうことができる。本明細書中で与えられる任意の全ての実施例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く説明しようとしているにすぎず、特許請求の範囲に別段に記載されていなければ本発明の範囲に限定をもたらさない。明細書中の言葉は、特許請求の範囲に記載されない任意の要素を本発明の実施に不可欠なものとして示唆していると解釈されるべきではない。
【0085】
[0088]この発明の好ましい実施形態は、本明細書中では、本発明を実施するための発明者等に知られる最良の形態を含んで記載されている。それらの好ましい実施形態の変形は、先の説明を読むことで当業者に明らかになり得る。本発明者等は、当業者がそのような変形を必要に応じて使用すると予期し、また、本発明者等は、本明細書中に具体的に記載される以外の方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、この発明は、適用可能な法律によって許容されるように本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての改変および等価物を含む。また、前述した要素の想定し得る全ての変形における任意の組み合わせは、本明細書中で別段に示唆されずあるいは文脈的に明らかに矛盾しなければ本発明によって包含される。
【符号の説明】
【0086】
100…カバー、101…入口、200…ベース、201…出口、201a…出口ポート、202…下流側チャンバ、220…血漿チャネル、220a…隆起部、220b…溝、250…空気チャネル、250a…空気チャネル入口ポート、400…ハウジング、500…血漿分離装置、600…フィルタ、650…多孔質膜、650a…随意的な繊維メディア、651…上流側表面、652…下流側表面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)上流側表面および下流側表面を有し、微多孔膜を備えるフィルタと、
(b)入口、下流側チャンバ、出口、および、少なくとも1つの空気チャネルを有し、前記入口と前記下流側チャンバと前記出口との間に流体流路を形成するハウジングであって、前記フィルタが前記流体流路を横切って当該ハウジング内に配置され、前記出口を通じて負圧が前記下流側チャンバ内に形成されるときに空気が前記空気チャネルを経て前記下流側チャンバに入り込んで血漿を前記フィルタの前記下流側表面から前記出口を通じて押し流すように、前記出口および前記空気チャネルが離間されて配置される、ハウジングと、
を備える、血漿分離装置。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記下流側チャンバと、少なくとも1つの前記空気チャネルと、前記出口とを備えるベースを備え、該ベースが、前記出口と流体的に連通する少なくとも1つの血漿チャネルを備える、請求項1に記載の血漿分離装置。
【請求項3】
前記出口および少なくとも1つの前記空気チャネルがそれぞれ前記ベースの両端の近傍に配置される、請求項2に記載の血漿分離装置。
【請求項4】
前記ハウジングが2つ以上の前記空気チャネルを含む、請求項1に記載の血漿分離装置。
【請求項5】
前記膜が、前記下流側表面におけるよりも大きい開口を前記上流側表面に有する非対称膜である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の血漿分離装置。
【請求項6】
前記フィルタが複数の多孔質メディアを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の血漿分離装置。
【請求項7】
前記フィルタが膜と繊維メディアとを含む、請求項6に記載の血漿分離装置。
【請求項8】
前記繊維メディアがガラス繊維を含む、請求項7に記載の血漿分離装置。
【請求項9】
前記繊維メディアがメルトブロー繊維を含む、請求項7または8に記載の血漿分離装置。
【請求項10】
生物学的流体から血漿を分離する方法であって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の血漿分離装置における前記フィルタの前記上流側表面に生物学的流体を適用するステップと、
前記フィルタの前記上流側表面から前記フィルタの前記下流側表面に血漿を送るステップと、
前記出口を通じて前記下流側チャンバ内に負圧を形成するステップと、
空気を前記空気チャネルを通じて前記下流側チャンバへ送り込んで血漿を前記フィルタの前記下流側表面から押し流すステップと、
押し流された血漿を前記出口に通すステップと、
を備える方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【公開番号】特開2013−11591(P2013−11591A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−118653(P2012−118653)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】