説明

血管内デバイスを誘導し及び位置決めするための方法及び装置

【課題】血管内カテーテル又はその他の管内デバイスの誘導、位置決め及び位置確認に関し、超音波を用いた画像処理においてこれらの必要性を実質的に低減するための方法を提供する。
【解決手段】カテーテルにセンサ115が取り付けられ、このセンサ115は、カテーテル内腔を通っている電気接続部(電線)を介して、外部コネクタ125に接続されている。外部コネクタ125は、血管系内におけるセンサ115の位置を、該位置の生理学的パラメータに基づいて特定することができる信号処理ユニットに接続されている。この信号処理ユニットは、ユーザインタフェースに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年5月6日にソリン・グルンワールドら(Sorin Grunwald et al.)によって出願され、「血管内カテーテルを誘導し位置決めする方法及び装置」との名称が付された米国仮特許出願第60/678,209号と、2005年5月18日にソリン・グルンワールドら(Sorin Grunwald et al.)により出願され「血管内カテーテルを誘導し位置決めする方法及び装置」との名称が付された米国仮特許出願第60/682,002号とについての便益を主張するものであり、これらはそれぞれその内容が全面的に参照により本願に組み入れられている。
【0002】
本発明は、血管内デバイスの誘導、位置決め及び位置の特定に関するものである。血管内デバイスとしては、カテーテル、探り針、ガイドワイヤ、及び、柔軟な細長い部材を含む、典型的には静脈血管系又は動脈血管系に経皮的に挿入されるその他の細長い部材などが挙げられる。現在、これらの目標は、X線を用いた画像処理により実現され、また、場合によっては、超音波を用いた画像処理により実現されている。本発明は、血管内カテーテル又はその他のデバイスの配置に関連する画像処理の必要性を実質的に低減するための方法を提供する。画像処理の必要性を低減することにより、患者が被曝する放射線の量を低減することができ、処置に要する時間を低減することができ、かつ、放射線診断部における処理時間の低減により、処置に要するコストを低減することができる。
【背景技術】
【0003】
哺乳類の血管系は、治療を行ったり、薬剤を投与したり、その他の臨床的な必要性に対処したりするために、ずっと前から利用されてきた。静脈系及び動脈系の両方について多くの手法が存在し、これらの手法は患者側での必要性に応じて選択されている。すべての血管に基づく治療に共通する1つの難題は、血管樹の特定の位置又は部分へ、治療を実施する物をどのようにアクセスさせるかということである。
【0004】
1つの普通の静脈へのアクセス手法は、中心静脈へのアクセスである。中心静脈へのアクセスは、心臓に直接つながっている静脈に静脈カテーテルを配置することにより行われる。中心静脈カテーテルは、現在、病院及び外来診療施設の至る所で用いられ、米国では1年間に800万件を超えるカテーテル等の挿入が行われ、米国以外でも同様の数のカテーテル等の挿入が行われている。
【0005】
静脈へのアクセスデバイスは、大抵は下記の目的のために用いられる。
・抗生物質、化学療法薬、その他の点滴薬などといった薬剤の投与
・流体及び栄養複合物(過栄養)の投与
・血液製剤の輸液
・血液透析
・診断試験のための複数の採血
【0006】
中心静脈へのアクセスデバイスは、血液の流れに頻繁にアクセスすることを必要とする人々のための、大静脈に配置された小さく柔軟なチューブである。このようなアクセスデバイスは、典型的には、長期間にわたって、例えば数週間、数か月あるいはこれより長く、静脈内に配置されたままとなる。
【0007】
中心静脈のアクセスデバイスは、通常、下記の3つの方法のいずれか1つにより挿入される。
a) カテーテル経由で直接
カテーテルは、皮膚の下をトンネルして通ることにより、鎖骨下静脈(鎖骨の下方に位置する)又は内頸静脈(頸部に位置する)に挿入される。カテーテルの、薬剤が投与され又は血液が採取される部分は、皮膚の外側に残留する。
b) ポート経由
皮膚から外に出るカテーテルとは異なり、ポートは完全に皮膚の下に配置される。ポートでもって、1ドルの約1/4又は1/2の寸法の隆起したディスクが皮膚の下に感じられる。上を覆っている皮膚を通して金属針をポート内又は容器内に配置することにより、血液が採取され、又は薬剤が供給される。
c) 末梢静脈経由で間接的に
中心カテーテル及び中心ポートとは異なり、末梢部に挿入された中心カテーテル(PICC)管路は、中心静脈に直接は挿入されない。PICC管路は、腕の中の大静脈に挿入され、大鎖骨下静脈内に進入させられる。
【0008】
中心カテーテル及び中心ポートは、通常、手術室内で外科医又は外科医補助者によって挿入される。代替的な手法は、特別なX線装置を用いた誘導により配置することであり、この場合管路を挿入している人は、該管路が適切に配置されていることを確認することができる。PICC管路は、通常、特別に訓練された看護師によってベッドサイドで挿入することができる。後者の場合、X線による確認は、現在ではPICCの配置の成功を予測するために必要とされている。
【0009】
従来の外科的に配置される中心カテーテルは、急速に、末梢系から挿入される中心静脈アクセスデバイスに変わりつつある。PICC管路は、通常、中心静脈アクセスデバイスに比べて、重症合併症を起こしにくい。末梢系から挿入される中心カテーテル(PICC)は、種々の臨床治療で用いられている。PICC管路の配置は、長期間の薬剤の投与、化学療法、静脈内薬剤の投与又は静脈内栄養(過栄養)の供給を行うために、そしてヒックマンカテーテルで採血を行うためにインターベンショナルラジオロジストによって実施されている。PICC管路の挿入は、種々の治療のためにかなり頻繁に実施されている日常的な治療であり、カテーテルが長期間にわたって同一の患者の体内に残留する場合は、該患者に対して複数回実施される。この治療は日常的なものではあるが、病院のスタッフにとって非常に多くの時間と労力とを要する処置であり、該治療は高額となる。この治療の際に、医師又は看護師は、カテーテルを、表在腕静脈に配置する。表在腕静脈としては、例えば、頭側皮静脈、尺側皮静脈、肘前静脈、肘正中静脈、又は、カテーテルの遠位端を上大静脈に到達させることを目標とするその他の表在静脈などが挙げられる。カテーテルは、腕が曲がる領域(肘)のまわりの表在静脈に入った後、鎖骨下静脈に進められ、次に腕頭静脈に進められ、最後に上大静脈に入る。1つの注意すべきことは、PICC管路が、鎖骨下静脈を経由して頸静脈に入るのを確実に防止することである。
【0010】
血液透析カテーテルによる血液透析治療は、中心静脈アクセスを必要とする治療のもう1つの例である。透析カテーテルは、特別な型の透析に用いられる中心静脈カテーテルである。透析カテーテルの配置は、X線による誘導を利用してカテーテルを大きい血管に挿入する操作を含んでいる。誘導により血液透析カテーテルを挿入して位置決めする際の問題点ない難点は、カテーテルは典型的には大きく、かつ挿入のための套管を除去(剥離)することを必要とするということであり、これは中心静脈カテーテルの場合と同様の問題点である。
【0011】
静脈系にアクセスすることにより実施されるもう1つの治療は、拡張蛇行静脈(静脈瘤)の経皮処置である。刊行された住民調査は、米国ではほぼ2500万人の人々、西欧では4000万人の人々が症候性静脈逆流症をわずらっているということを示している。拡張蛇行静脈の経皮治療は、エネルギ供給カテーテル(レーザ又はRF)を、血管系を航行して治療部位に到達させた後、該部位に配置する操作を含んでいる。1つの一般的な治療部位は伏在静脈・大腿骨静脈ジャンクションである。あまり一般的でない部位は伏在静脈・膝窩静脈ジャンクション及び穿通枝静脈の部位であり、これらは表在静脈系を、種々の異なる位置、大抵は膝の下方の脚の深い静脈系に接続している。このように、特定の静脈ジャンクションを用いる拡張蛇行静脈の経皮治療の場合、静脈ジャンクションに関する最適な位置におけるレーザ又はRFの位置は、治療の成功に対して決定的なものである。現在では、このような位置決めに、X線画像処理もしくは超音波画像処理又は両者が用いられている。
【0012】
血管系を通してカテーテルを誘導することに加えて、カテーテルの先端部の配置は、治療を成功させる上で非常に重要である。一般に、カテーテルは、その先端部が心臓の上方又は下方のいずれかの主静脈内に配置されている場合、圧力測定及び輸液に対して良好に機能する。刺激性/高浸透圧の流体の輸液又は透析を行うためには、カテーテルの先端部を流れ過ぎる血流が高速であることが望ましいが、これはできる限り大きい血管内の腔開口部に先端部を配置することを必要とする。しかしながら、多くの中心静脈カテーテルの一括挿入は、カテーテルの先端部の心臓貫通及びこれに続く心膜タンポナーデを回避するよう心臓の外側に位置させることが絶対的に必要であるということに厳重に注意する必要がある。同様に、輸液用の溶液の腐食効果に起因する静脈の閉塞又は静脈壁の損傷を回避するためには、カテーテルの先端部を小さい末梢静脈から離れたところに位置決めすることが重要である。カテーテルの先端部が配置の後に治療の全期間にわたって所定の位置に留まることも非常に重要なことである。カテーテルの先端部が移動する場合、その作用効果が悪くなるだけでなく、場合によっては心臓を貫通することもある。米国においては、食品医薬品局がこの点を強調した助言を行っている。典型的には、インターベンショナルラジオロジストは、体内の静脈を描写するために蛍光透視剤を用い、この後に手術後X線を用いてカテーテルの先端部の正しい位置を確認する。現在では、手術後のX線照射は日常的に実施され、調査によれば、全ケースの1.5%のみがX線画像処理を実際に必要とする事態(合併症)に陥っているだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、不良な配置による危険性を低減するとともに、X線画像処理に係る費用を低減するために、カテーテルの誘導及び配置を最適化する方法及び装置が必要とされている。さらに、放射線画像処理手段又はその他の外部画像処理手段がカテーテルの配置を確認するために用いられる、放射線診療部又は手術室以外の治療実施者又は臨床環境においてカテーテルを安全に誘導し配置するのに用いることができるカテーテルの誘導及び配置システムが求められている。このように、医療技術分野では、カテーテル及びその他の機器を一般的に血管系内に位置決めし、誘導し、配置するための装置、システム及びこれらに関連する方法が必要とされている。さらに、医療技術分野では、対象となっている血管系に特有ないしは固有の特徴及び属性により生じる問題に対応するために、カテーテル及びその他の機器を血管系に位置決めし、誘導し、配置するための装置、システム及びこれらに関連する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様は静脈内アクセス・誘導システム(endovenous access and guidance system)を含んでいる。このシステムは、患者の静脈血管系へのアクセスに順応(adapt)できるように構成された細長い柔軟部材(flexible member)と、上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の静脈血管系に関する生体内非画像超音波情報(in vivo non-image based ultrasound information)を生成するセンサと、上記センサによって生成された上記患者の静脈血管系に係る生体内非画像超音波情報を受信して処理するように構成され、上記患者の静脈血管系内における上記の細長い柔軟部材の遠位端の位置に関する位置情報を生成するプロセッサと、上記プロセッサから上記位置情報を受け取って出力するように構成された出力装置とを備えている。
ある実施態様においては、上記の細長い柔軟部材が、カテーテル、ガイドワイヤ(guide wire)及び/又は探り針(stylet)を備えている。
他の実施態様においては、デバイスは、上記患者に治療を施すように構成され、又は、他のデバイスのための静脈内アクセスを行うように構成されている。
さらなる実施態様においては、該システムは、上記の細長い柔軟部材を上記患者の血管系内に残留させつつ、上記細長い柔軟部材から上記センサを除去可能に取り外すことができるように構成されたセンサ取り付け機構をさらに備えている。
さらにもう1つの実施態様に係るシステムにおいては、上記プロセッサが、さらに、上記センサによって生成された上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記センサの近傍の出力情報を上記患者の血管内の構造に指示するように構成されている。
他の実施態様に係るシステムにおいては、上記プロセッサが、さらに上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記患者の血管系内における望ましい方向への、上記の細長い柔軟部材の出力情報の移動を指示するように構成されている。
あるいは、代替的に、上記プロセッサが、さらに、静脈血の流れの方向、静脈血の流速、静脈血の流れ特性のパターン(venous blood flow signature pattern)、圧力特性のパターン(pressure signature pattern)、A−モード情報(A-mode information)及び流れの末梢非ランダム方向(preferential non-random direction of flow)からなるパラメータ群の中から選択されたパラメータに基づいて、上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理するように構成されている。
他の実施態様においては、該システムは、上記センサと関連づけられた発散レンズ(divergent lens)、又は上記センサと関連づけられた複数のレンズをさらに備えている。
上記発散レンズは、上記センサを上記の細長い柔軟部材に取り付けるように構成されていてもよい。
上記センサは、超音波信号を送信するように構成された第1のセンサであり、該システムが、非画像超音波情報を受信するように構成された第2のセンサをさらに備えていてもよい。
該システムは、上記センサを複数の超音波送信モードで駆動するように構成されたセンサ駆動機構をさらに備えていてもよい。
ある実施態様においては、上記センサが第1のセンサであり、該システムが、上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の静脈血管系に係る生体内非画像超音波情報を上記プロセッサに供給するように構成された第2のセンサをさらに備えている。
他の実施態様においては、該システムは、上記の細長い部材の遠位端を血管内で実質的にセンタリングないしは中心合わせ(centering)を行うように構成されたセンタリング要素(centering element)をさらに備えている。
ある場合には、該システムは、2つ又はこれより多い追加のセンサをさらに備えていて、上記センサと上記の2つ又はこれより多い追加のセンサとが、血管内ジャンクション(endovascular junction)を模倣した配列形態で細長い柔軟部材に取り付けられている。
さらに、該システムは、収集されたデータから得られたフィードバック情報に応答してデバイスの先端部を方向づける操縦要素(steering element)を備えている。
さらなる実施態様においては、該システムは、収集されたデータから得られたフィードバック情報に応答してデバイスの先端部を方向づけるトルク制御要素(torque control element)をさらに備えている。
【0015】
本発明のもう1つの態様に係る血管内アクセス・誘導システム(endovascular access and guidance system)は、患者の血管系へのアクセスに順応できるように構成された細長い柔軟部材と、上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の静脈血管系に関する生体内非画像超音波情報を生成するように構成されたセンサ及び該センサに関連づけられた発散レンズと、上記センサによって生成された上記患者の静脈血管系に係る生体内非画像超音波情報を受信して処理するように構成され、上記患者の静脈血管系内における上記の細長い柔軟部材の遠位端の位置に関する位置情報を生成するプロセッサと、上記プロセッサから上記位置情報を受け取って出力するように構成された出力装置とを備えている。
上記の細長い柔軟部材は、カテーテル、ガイドワイヤ又は探り針を備えている。
ある実施態様に係るシステムにおいては、上記の細長い柔軟部材が、上記患者に治療を施すように構成され、及び/又は、他のデバイスのための血管内アクセスを行うように構成されている。
さらに他の実施態様においては、該システムは、上記の細長い柔軟部材を上記患者の血管系内に残留させつつ、上記細長い柔軟部材から上記センサを除去可能に取り外することができるように構成されたセンサ取り付け機構をさらに備えている。
他の実施態様に係るシステムにおいては、上記プロセッサが、さらに、上記センサによって生成された上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記センサの近傍の出力情報を上記患者の血管内の構造に指示するように構成されている。
さらに他の実施態様に係るシステムにおいては、上記プロセッサが、さらに上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記患者の血管系内における所望の方向への、上記の細長い柔軟部材の出力情報の移動を指示するように構成されている。
他の場合においては、上記プロセッサが、さらに、上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記センサの近傍の出力情報を上記患者の血管内の構造に指示するように構成されている。
さらに他の場合においては、上記プロセッサが、さらに、血液の流れ方向、血液の流速、血液の流れ特性のパターン、圧力特性のパターン、A−モード情報及び流れの末梢非ランダム方向からなるパラメータ群の中から選択されたパラメータに基づいて、上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理するように構成されている。
上記発散レンズは、上記センサを上記の細長い柔軟部材に取り付けるように構成されていてもよい。
他の実施態様に係るシステムにおいては、上記センサが超音波信号を送信するように構成された第1のセンサであり、該システムが、非画像超音波情報を受信するように構成された第2のセンサをさらに備えている。
さらに他のシステムにおいては、上記センサが非画像超音波情報を受信するように構成された第1のセンサであり、該システムが、超音波信号を送信するように構成された第2のセンサをさらに備えている。
該システムはまた、上記センサを複数の超音波送信モードで駆動するように構成されたセンサ駆動機構をさらに備えていてもよい。
ある実施態様に係るシステムにおいては、上記センサが第1のセンサであり、該システムが、上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の静脈血管系に係る生体内非画像超音波情報を上記プロセッサに供給するように構成された第2のセンサをさらに備えている。
他の実施態様においては、該血管内アクセス・誘導システムは、上記の細長い部材の遠位端を血管内で実質的にセンタリングを行うように構成されたセンタリング要素をさらに備えている。
該システムはさらに、収集されたデータから得られたフィードバック情報に応答してデバイスの先端部を方向づける操縦要素を備えていてもよい。
他の実施態様においては、該システムは、収集されたデータから得られたフィードバック情報に応答してデバイスの先端部を方向づけるトルク制御要素をさらに備えている。
さらに他の実施態様においては、該システムは、上記センサと関連づけられた複数のレンズをさらに備えている。
【0016】
本発明のもう1つの態様に係る超音波センサ組立体は、超音波センサと、上記超音波センサの少なくとも1つの側部を密閉する気密型超音波透過性シールとを備えている。
該超音波センサ組立体においては、上記気密型超音波透過シールが音響レンズ(acoustic lens)の形状に形成されている。
さらに、上記音響レンズは、上記超音波センサによって生成されたビームを広げる形状に形成されている。
ある実施態様においては、上記音響レンズは、エポキシ製ないしはエポキシ樹脂製である。
本発明の他の実施態様に係る超音波センサ組立体においては、上記超音波センサが、圧電性結晶、圧電性セラミック、シリコン及び/又は薄い圧電性フィルムを備えている。
ある実施態様においては、上記音響レンズが複数のマイクロレンズを備えている。
本発明の他の実施態様においては、超音波センサ組立体がカテーテル本体部(catheter body)を備えていて、上記超音波センサが上記カテーテル本体部に取り付けられて、前向きのビームを生成し、及び/又は、横向きのビームを生成する。
他の実施態様においては、上記超音波センサが上記カテーテル本体部の壁部に形成された凹部内に配置されている。
ある実施態様においては、上記超音波センサが、上記カテーテル本体部の外表面を通り過ぎる流体がドプラー読み取り(Doppler readings)を行うように構成されている。
本発明のある態様においては、気密型超音波透過性シールが音響レンズの形状に形成されている。
ある実施態様においては、上記音響レンズが、上記超音波センサによって生成されたビームを広げる形状に形成されている。
【0017】
本発明のさらにもう1つの態様は、身体の静脈系内で機器を位置決めする方法を含んでいる。この方法は、上記身体の上記静脈系にアクセスする過程(step)と、上記身体の上記静脈系内で機器を位置決めする過程と、上記機器を用いて上記身体の上記静脈系内に超音波信号を送信する過程と、上記機器を用いて流速が2ないし20cm/sである血管系から反射超音波信号を受信する過程と、上記反射超音波信号を処理して、静脈血の流れ方向、静脈血の流速、静脈血流記号パターン、圧力記号パターン、A−モード情報及び流れの末梢非ランダム方向を含むパラメータ群の中から1つ又は複数のパラメータを決定する過程と、上記血管系内の決定された上記1つ又は複数のパラメータを用いて、上記血管系内で上記機器を進める過程とを含んでいる。
上記機器を用いて上記身体の上記血管系内に超音波信号を送信する過程は、上記身体の上記血管系に対してA−モード超音波信号を送信又は受信する過程を含んでいる。
ある実施態様においては、上記機器を用いて上記身体の上記血管系内に超音波信号を送信する過程は、上記身体の上記血管系に対してドプラー超音波信号を送信又は受信する過程を含んでいる。
他の実施態様においては、上記機器を用いて上記身体の上記血管系内に超音波信号を送信する過程は、上記身体の上記血管系に対して非画像目標追跡超音波信号を送信又は受信する過程を含んでいる。
ある実施態様においては、上記反射超音波信号を処理して流れパターンを決定する過程が、上記機器に向かう血管系内における流れ方向を決定し、かつ、上記反射超音波信号を処理して流れパターンを決定する過程が、上記機器から離れる流れの方向を決定する過程をさらに含んでいる。
他の実施態様においては、上記反射超音波信号が処理され、特定の血液の流れパターンを示す信号の存在を決定される。
さらに他の実施態様においては、上記反射超音波信号を処理する過程が実行され、特定の圧力のパターンを示す信号の存在が決定される。
さらに他の実施態様によれば、上記反射超音波信号を処理する過程が実行され、大静脈・心房ジャンクション(caval-atrial junction)に対する上記機器の相対的な位置が決定される。
本発明の他の態様においては、該方法は、上記反射超音波信号を処理して、上記反射超音波信号を処理した後の流れの存在を決定し、順行性流れ(antegrade flow)及び後退性流れ(retrograde flow)の両方の存在を決定する過程をさらに含んでいてもよい。
さらに他の実施態様においては、該方法は、上記反射超音波信号を処理して上記機器から離れる流れの存在を決定するとともに、上記反射超音波信号を処理した後に上記機器に向かう流れ及び上記機器から離れる流れの両方の存在を決定する過程をさらに含んでいてもよい。
ある実施態様においては、該方法は、上記反射超音波信号を処理して、特定の構造を示す信号の存在を決定する過程をさらに含んでいてもよい。
本発明の他の態様においては、機器を位置決めするための特定の目標血管系は、例えば、心臓の弁、心臓の室(chamber of a heart)、血管の壁、心臓の壁などといった特定の構造を含んでいてもよい。
本発明他の実施態様においては、該方法は、上記反射超音波信号を処理して、2つ又はこれより多い血管がつながる位置を示す信号の存在を決定する過程をさらに含んでいる。
例えば、上記の2つ又はこれより多い血管は、上大静脈及び下静脈を含み、下大静脈及び腎静脈を含み、右総腸骨静脈及び左総腸骨静脈を含み、外腸骨静脈及び内腸骨静脈を含み、右腕頭静脈及び左腕頭静脈を含み、上大静脈及び奇静脈を含み、総大腿骨静脈及び大伏在静脈を含み、表在大腿骨静脈及び深大腿骨静脈を含み、膝窩静脈及び小伏在静脈を含み、穿通枝静脈及び表在静脈を含み、穿通枝静脈及び深脛骨静脈を含み、大伏在静脈及び拡張蛇行静脈を含み、頸静脈及び鎖骨下静脈を含み、あるいは、橈側皮静脈及び腋窩静脈を含んでいてもよい。
本発明のもう1つの態様においては、該方法は、上記機器を用いて位置を決定し身体の血管系内にデバイスを固定する過程と、上記デバイスを上記身体に固定して、上記デバイスを、上記機器により決定された位置に維持する過程とをさらに含んでいてもよい。
本発明のさらにもう1つの態様においては、該方法は、上記機器を用いて上記デバイスの現在の位置を計算する過程と、上記デバイスの現在の計算された位置を、上記機器によって決定された位置と比較することにより、上記デバイスが上記機器によって決定された位置に存在するか否かを決定する過程とをさらに含んでいてもよい。
本発明のある態様においては、該方法は、上記反射超音波信号を処理して、冠状静脈洞(coronary sinus)に対する、右心房内における上記機器の相対的な位置を決定する過程をさらに含んでいる。
本発明のさらにもう1つの態様においては、該方法は、上記反射超音波信号を処理して、肺静脈に対する、左心房内における上記機器の相対的な位置を決定する過程をさらに含んでいる。
【0018】
本明細書に記載されたすべての特許、刊行物及び特許出願は、個々の特許、刊行物又は特許出願が参照により組み入れられていることが特別に及び個別的に指示されていたのと同様に、その全部が参照により本明細書に組み入れられている。
【0019】
本発明の新規な特徴は、とくに添付の特許請求の範囲に規定されている。本発明の特徴及び効果は、本発明の原理ないしは理論を利用する単に例示的な実施の形態を示している以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】静脈系と動脈系との間の技術的相違及び生理的相違の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る複数・単一ビームの超音波処理システムの主要部品を示す図であり、誘導血管系アクセスデバイスと、誘導血管系アクセスデバイスからの信号を処理するためのシステムと、ユーザインタフェースとを示している。
【図3】カテーテルを配置する典型的な方法を示すフローチャートである。
【図4】胸腔の一部を示す図であり、尺側皮静脈内におけるカテーテルの正しい位置を示している。
【図5】本発明に係るデバイスのいくつかの特徴を表の形にまとめた図である。
【図6】操縦可能な誘導血管系アクセスデバイス及び操縦不可能な誘導血管系アクセスデバイスの特徴を示す図である。
【図6A】酸素測定カテーテルを備えた操縦可能な誘導血管系アクセスデバイスに用いるためのカテーテル操縦システムの平面図である。
【図6B】図6Aに示す実施の形態の一部を拡大する一方、残部を除去して示した図である。
【図6C】本発明に係る複数・単一ビームの超音波機能を備えた誘導カテーテルの側面図であり、該誘導カテーテルは、誘導カテーテル内に位置する電気生理学カテーテルと、誘導カテーテルを操縦するための2つの親指スライドとを備えている。
【図6D】本発明に係る複数・単一ビームの超音波機能を備えた誘導カテーテルの側面図であり、該誘導カテーテルは、誘導カテーテル内に位置する電気生理学カテーテルと、誘導カテーテルを操縦するための4つの親指スライド(3つのみ図示している)とを備えている。
【図6E】図6C及び図6Dに示す誘導カテーテルの本体部の横断面図である。
【図6F】本発明の典型的な実施の形態に係るガイドワイヤの遠位端部の平面図である。
【図6G】本発明の典型的な実施の形態に係るガイドワイヤの遠位端部の平面図である。
【図7】カテーテルの遠位端に4つのセンサを有している本発明の実施の形態を示す図である。
【図8A】カテーテルを基礎とする複数のセンサ及び誘導血管系アクセスデバイスの端部を示す図である。
【図8B】カテーテルを基礎とする複数のセンサ及び誘導血管系アクセスデバイスの断面を示す図である。
【図9A】カテーテルを基礎とする誘導血管系アクセスデバイスのセンタリングデバイスを示す図である。
【図9B】カテーテルを基礎とする誘導血管系アクセスデバイスのセンタリングデバイスを示す図である。
【図9C】カテーテルを基礎とする誘導血管系アクセスデバイスのセンタリングデバイスを示す図である。
【図9D】カテーテルを基礎とする誘導血管系アクセスデバイスのセンタリングデバイスを示す図である。
【図10A】予備成形された形状を有する、カテーテルを基礎とする誘導血管系アクセスデバイスを示す図である。
【図10B】予備成形された形状を有する、カテーテルを基礎とする誘導血管系アクセスデバイスを示す図である。
【図10C】予備成形された形状を有する、カテーテルを基礎とする誘導血管系アクセスデバイスを示す図である。
【図11A】細長い本体部の凹部にセンサが配置された本発明の実施の形態を示す図である。
【図11B】細長い本体部の凹部にセンサが配置された本発明の実施の形態を示す図である。
【図12A】端部が閉止されたカテーテルの遠位端にセンサが配置された本発明の実施の形態を示す図である。
【図12B】端部が閉止されたカテーテルの遠位端にセンサが配置された本発明の実施の形態を示す図である。
【図13A】カテーテルの遠位端に複数のセンサが配置され、カテーテルの側部に1つのセンサが配置された本発明の実施の形態を示す図である。
【図13B】カテーテルの遠位端に複数のセンサが配置され、カテーテルの側部に1つのセンサが配置された本発明の実施の形態を示す図である。
【図13C】カテーテルの遠位端に複数のセンサが配置され、カテーテルの側部に1つのセンサが配置された本発明の実施の形態を示す図である。
【図14A】種々のセンサ及びレンズ配列を示す図である。
【図14B】種々のセンサ及びレンズ配列を示す図である。
【図14C】種々のセンサ及びレンズ配列を示す図である。
【図14D】種々のセンサ及びレンズ配列を示す図である。
【図14E】種々のセンサ及びレンズ配列を示す図である。
【図15】探り針又はその他の細長い本体部の先端部を示す図であり、先端部にセンサが配置されている。
【図16A】探り針又はその他の細長い本体部の先端部を示す図であり、シールがセンサを覆っている。
【図16B】探り針又はその他の細長い本体部の先端部を示す図であり、シールがセンサを覆っている。
【図17】センサに取り付けられたマイクロレンズの配列を示す図である。
【図18A】ガイドワイヤを備えた配置デバイスの使用形態を示す図である。
【図18B】ガイドワイヤを備えた配置デバイスの使用形態を示す図である。
【図18C】ガイドワイヤを備えた配置デバイスの使用形態を示す図である。
【図19A】ガイドワイヤの遠位端部の凸状の側部に配置されたセンサを示す図である。
【図19B】ガイドワイヤの遠位端部の凸状の側部に配置されたセンサを示す図である。
【図20】湾曲したガイドワイヤの遠位端の凸状の側部及び凹状の側部の両方に設けられたセンサを示す図である。
【図21A】ホッケースティックの形状の遠位部を有するガイドワイヤを示す図であり、遠位部にセンサが配置されている。
【図21B】ホッケースティックの形状の遠位部を有するガイドワイヤを示す図であり、遠位部にセンサが配置されている。
【図22A】図20及び図21に示すガイドワイヤの導入に用いるための套管を示す図である。
【図22B】図20及び図21に示すガイドワイヤの導入に用いるための套管を示す図である。
【図23A】探り針の遠位端に複数のセンサが配置された本発明に実施の形態を示す図である。
【図23B】探り針の遠位端に複数のセンサが配置された本発明に実施の形態を示す図である。
【図24】誘導血管系アクセスデバイスがその遠位端に2つのセンサを備えた探り針である本発明の実施の形態を示す図である。
【図25】制御及びデータ収集ユニット内の追加の部品を示すブロック図である。
【図26】複数・単一ビームの超音波システムによって実行されるアルゴリズムのフローチャートである。
【図27】複数・単一ビームの超音波システムの実施の形態のブロック図である。
【図28】目標速度に対するトラッキングアルゴリズムにおける相関法の使用方法を示す図である。
【図29】リアルタイムの信号入力を処理するためのトラッキング方法の好ましい実施の形態を示す図である。
【図30】波形合成器を有する実施の形態を示す図である。
【図31】励起の結果としてセンサによって生成される超音波ビームの特定の特性を示す図である。
【図32】各センサが一連の操作モードにおいてリアルタイムで起動されることができる場合における、波形合成器によって生成される電子パルスを示す図である。
【図33A】操作周波数における単一パルスの波形を示す図である。
【図33B】コード化された励起を示す図である。
【図34】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図35】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図36】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図37】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図38】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図39】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図40】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図41】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図42】静脈系内における本発明に係る装置を位置決めするための技術を示す図である。
【図43A】本発明に係る複数・単一ビームの超音波システムのパラメータを示す図である。
【図43B】本発明に係る複数・単一ビームの超音波システムのパラメータを示す図である。
【図44】パワーと周波数との関係を示すグラフである。
【図45】静脈流から心房流のエイリアシング(ギザギザ流)への移行を示す図である。
【図46】本発明に係るデバイスが右心房に位置決めされたときにシステムによって検出される典型的な信号を示す図である。
【図47】上大静脈から冠状静脈洞への通路を高い信頼性でもって正確に識別するのに用いることができる記号パターンの配列を示す図である。
【図48】伏在静脈・大腿骨静脈ジャンクションにおける本発明に係る誘導血管系アクセスデバイスを示す図である。
【図49】LED指示器を備えた経路特定ユーザインタフェースを示す図である。
【図50A】制御灯を備えた基本ユーザインタフェースを示す図である。
【図50B】制御灯を備えた基本ユーザインタフェースを示す図である。
【図51】本発明に係るシステムの部品を示す図である。
【図52】本発明に係るシステムの部品を示す図である。
【図53】本発明に係る局所検出可能性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態は、誘導(案内)血管系アクセスデバイス(guided vascular access device)と、該誘導血管系アクセスデバイスから受け取った信号を処理するための処理システムと、該処理システムの出力に基づいてユーザに情報を提供するためのユーザインタフェースとを提供する。本発明の他の態様に係る実施の形態は、血管系内でカテーテルを位置決めし、誘導し、配置するために血管を介して(intravascularly)測定される生理学的パラメータの使用方法に関する(図1参照)。1つの態様において、本発明は、血液の流れ、速度、圧力などといった生理学的パラメータを測定するための内蔵型のセンサを備えたカテーテル組立体に関する。異なる態様において、本発明は、その位置で測定された生理学的パラメータのパターンに基づいて血管系内における異なる位置を特定し(identify)認識することができるデータ処理アルゴリズムに関する。第3の態様において、本発明は、誘導・位置決め情報をあらわすユーザインタフェースを有する機器に関する。本発明の第4の態様は、カテーテル自体によって提供される位置情報に基づいて、ユーザによって血管系内でカテーテルを誘導し位置決めする方法に関する。本発明の他の態様は、本明細書に記載された誘導血管系アクセスデバイス及びアクセスシステムを用いて特定された血管系内における特定の位置に対する誘導に用いるためのカテーテル又はガイドワイヤを位置決めし、誘導し、配置するための、血管系を介して測定された生理学的パラメータの使用方法に関する。
【0022】
本発明は、カテーテルを、血管系を介して誘導し配置するための新規な装置及び方法と、問題となっている位置で血液の流れパターンの認識に基づいて、血管系内におけるカテーテルの位置を監視するための新規な装置及び方法とに関する。本明細書に記載された新規な装置及び方法の主な利点は、画像処理(画像)による誘導を必要とすることなく、とくにX線による画像処理を行うことなく、ベッドサイドで行われる治療において、デバイスの正確な配置を行う機会を増やすことができることである。もう1つの利点は、本明細書に記載された誘導血管系アクセスデバイス及びアクセスシステムは、機器を血管系内に配置するために、既存の医療作業の流れ(healthcare workflow)に組み入れることができるといったことである。とくに、カテーテル及び/又はガイドワイヤの血管系を介しての誘導及び配置のための新規な装置及び方法は、体内における他のデバイス又は治療具(therapies)の配置を誘導(案内)する。例えば、心臓弁の交換治療のための心臓弁の位置決め、IVCフィルタの配置のための腎静脈及び下大静脈の特定ないしは確認、ペーシングリード(pacing lead)又は僧帽弁修正デバイス(mitral valve modification device)の配置のための冠状静脈洞の位置決め、心房細動のための切除治療などといった治療の実施及び/又はセンサの配置のための肺静脈の位置決め、本明細書に記載された技術により特定される血管系内における特定の位置での治療の実施又はデバイスの配置などにおいて、体内における他のデバイス又は治療具の配置操作を誘導ないしは案内する。
【0023】
ある実施の形態においては、本明細書に記載された進歩性を有する(inventive)誘導システムの実施の形態に係るシステム及び方法は、静脈系の血管内において、本明細書に記載されたセンサが設けられたカテーテル及び/又はガイドワイヤを位置決めし、誘導し、配置するために利用される。本明細書に記載された実施の形態はまた、動脈系の血管においても同様に利用することができる。1つの態様においては、本明細書に記載された誘導血管系アクセスデバイスは、多数の医療の応用分野で用いられる血管を通してのカテーテルの誘導、位置決め及び配置を確認するために用いることができる。本発明の実施の形態の利点が有効となる典型的な医療の応用分野としては、例えば、中心静脈アクセスカテーテルや血液透析カテーテルなどの配置と拡張蛇行静脈の経皮治療のためのカテーテル、治療デバイス又は治療システムの配置とが挙げられる。
【0024】
本発明は、(a)血管系内における位置は、血圧又はドプラー測定(Doppler measurement)によって定量化される位置における特定の血液の流れのパターンによって特定することができるといった技術思想と、(b)カテーテルの移動方向は、ドプラー効果を用いることにより血液の流れ方向に対して相対的に決定することができるといった技術思想とに基づいている。
【0025】
例えば、PICC管路の場合は、本明細書に記載されたセンサと、技術と、データの収集及び処理とを用いて血管内におけるカテーテルの移動方向を決定してリアルタイムで監視することにより、ユーザは、誘導血管系アクセスデバイスを進める際にフィードバック情報を受け取って、PICCが上静脈から大静脈への所望の経路に沿って進むことを可能にすることができる。このシステムはまた、センサから受信した流れパターの差に起因する他の静脈内への意図しない進入を認識することができる。このように、このシステムは、頸静脈内又は鎖骨下静脈内への意図しない進入を認識することができ、またセンサが血管壁に突き当たっているか否かを認識することができる。誘導血管系アクセスデバイスに配置されたセンサから収集されたデータを監視することにより、ユーザは、カテーテルの先端部が、大静脈の根元の次の理想的な配置位置に到達したときにこれを知ることができる。このシステムは、センサが収集したデータを解析して固有のパターンの特性(signature)とを特定することにより、大静脈の根元及びその他の血管系の部分を認識する。
【0026】
本明細書に記載された技術は、基本的には非画像のものである。すなわち、例えば移動するトランスデューサによるスキャン(走査)、あるいは位相配列及びビーム形成による作業などといった画像処理を行う要素は何ら必要としない。非画像超音波は、1次元表示の超音波情報を意味する。これと対照的に、画像超音波は、2次元又は3次元の超音波情報と、移動するトランスデューサと、位相配列及びビーム形成の技術とを利用する。このように、本発明の実施の形態は、静脈血流血管内の特徴解析(characterization)、静脈内のカテーテルの誘導、緩速で移動する体内目標物の血管内での特徴解析、使い捨て(1回のみ使用)の超音波データ収集ユニット、手で操作可能な単純で安価なユーザインタフェースなどのための静脈の超音波に基づく誘導システムを提供する。
【0027】
診断及び治療を目的とする血管内における超音波の使用に関する大抵の従来技術は、血管系の動脈側における問題に向けられている。動脈側では、該動脈に対応する静脈に比べて、血液の流速が高く、血管の直径が小さい(図1参照)。このように、通常は血液の流速が40〜80cm/秒である動脈循環系のためのデバイス及びデータ処理アルゴリズムは、血液の流速が典型的には2〜15cm/秒の範囲である静脈循環系ではうまく機能しない。同様に、静脈循環系で機能するカテーテルを基本とする超音波デバイスには、ほぼ10MHzの低い超音波操作周波数が必要であり、動脈側に比べて、より大きいサンプル容量寸法(深さ)が必要である。
【0028】
典型的な動脈超音波システムは、フラジンに係る米国特許第5220924号明細書に記載されている、ガイドワイヤが設けられたトランスデューサを用いたドプラー誘導後退カテーテル法(catheterization)のように、単一結晶の20MHzのパルス波(PW)のドプラーを用いて、動脈内のパルス流れにおける最大速度(ピーク速度)を検出する。このシステムのような動脈測定システムは、いくつかの理由により、PICC挿入誘導などといった静脈系に応用(図1参照)しても、うまく動作しない。その1つの理由は、このようなシステムの透過深さが適切でないことである。血液を含む組織における超音波の透過深さは、20MHzの操作周波数では、最大でも3〜5mmである。この透過深さは、内直径が10〜20mm又はこれより大きいSVC(上大静脈)などの血管、又は、その他の直径が大きい静脈において速度を測定するためには十分な深さではない。さらに、操作周波数が20MHzであるこのようなシステムは、流れを特定して、15mmまでの透過深さを必要とする大静脈・心房ジャンクションを決定することはできない。血液の流れがほぼ80cmであることが予期される動脈系における高い最大速度を監視することを可能にするには、パルス繰り返し周波数(PRF)と称されるパラメータは、比較的高いことが必要であり、100KHzよりかなり高いことが必要である。これと対照的に、血液の流れがほぼ15cmであることが予期される静脈系における最大速度をうまく特徴解析するには、流速が比較的低いので、PRFパラメータはほぼ40KHzであればよい。
【0029】
PRFに関する第3の理由は、本明細書に記載されている進歩性を有する処理技術に係る静脈血の流れのパターンを正確に特徴解析するためには、比較的大きいサンプル容量寸法(sample volume size)を必要とすることである。高速度の血液の検出に必要とされる100KHzのPRFは、ほぼ2mmのオーダーの幅のサンプルの体積寸法を生成することができるだけである。このようなサンプルの体積寸法は、大静脈における血液の流れのパターンの正確な特性解析を行うためには全く不適切である。大静脈の特性解析を行うためには、ほぼ15mmのサンプルの体積が必要であり、正確な透過深さを得ることを確実にするためには、さらなる修正が必要とされる。
【0030】
従来の動脈系超音波システムが、本明細書に記載された静脈系の監視技術に適しない第4の理由は、動脈系は動脈流の高い流速又は最大速度を検出するために最適化されているということである。一例としてフラジンに係る特許の動脈系を用いた場合、このような動脈監視システムは動脈流の高い最高速度のみを検出し、全体の速度パターンを検出することができない。動脈系は、低い速度を識別するように構成されておらず、また、例えば静脈流などの低い速度を含む流れのパターンを検出するように構成されていない。
【0031】
(関連する身体構造学的及び生理学的考察)
静脈内への管路の配置のためには、例えば尺側皮静脈と橈側皮静脈とから、鎖骨下静脈と上腕静脈と上大静脈とに至る配置経路に沿った静脈の流れの特徴解析が重要である。内頸静脈の流れは、下大静脈の流れと同様に特徴解析することが必要である。
【0032】
上大静脈及び下大静脈は「大静脈(great veins)」とも称され、中心静脈アクセスへの応用についてとくに関心が集まるところである。右心房におけるこれらの結合された内直径は、2.5ないし3cmであり、これらの結合された断面積はほぼ6cmである。大静脈における血液の速度は、ほぼ5L/分の血液の流れを可能にするために、15cm/秒に達する。これは、静脈側では最大の速度である。心臓から毛細血管に向かって血液が移動するのに伴って、静脈の流れ速度は小さくなる。なぜなら、血管の全断面積が増加する一方、血液の流量は一定だからである。尺側皮静脈又は橈側皮静脈においては、血液の流れはほぼ2ないし5cm/秒である。静脈流れは非脈動である。速度の変動は小さく、これは、主として、局所的に分布している静脈弁によって助勢される伝播機構(mechanism of propagation)に起因している。呼吸作用は、胸郭内の圧力と腹腔内の圧力の変化に比例して、深静脈及び中心静脈内における血液の流速を変化させる。
【0033】
これと比較すれば、動脈側及び心臓内では、血液は、50cm/秒付近の速度で流れ、最大速度は80cm/秒に達する。動脈内における血液の平均速度は静脈内における血液の平均速度より高く、また動脈流は脈動するので、その最大流速は非常に高い。動脈の流れの脈動パターンは、心臓の鼓動脈動パターンに追従する。心臓の鼓動は、動脈を通る血液の進行機構の源となっている。
【0034】
下記の表は、血液の流れを特徴解析するのに用いることができるパラメータと、静脈と動脈と心臓の室内の流れにおけるこれらのパラメータの間での差とを集約したものである。これらの差に起因して、静脈の流れを特徴解析するために、動脈又は心室の流れとは技術的に異なる要求が課される。
〔表1〕
表 1


【0035】
図2は、血管内アクセス・誘導システムの構成要素(部品)を模式的に示している。カテーテルにセンサが取り付けられ、このセンサは、カテーテル内腔を通っている電気接続部(電線)を介して、外部コネクタに接続されている。外部コネクタは、血管系内におけるセンサの位置を、該位置の生理学的パラメータに基づいて特定することができる信号処理ユニットに接続されている。この信号処理ユニットは、ユーザインタフェースに接続されている。
【0036】
カテーテルの先端部(遠位端)の近傍に取り付けられたセンサを有するカテーテル組立体が設けられている。このセンサは、圧力センサ、ドプラーセンサ又は温度センサであってもよく、また血管内における生理学的パラメータを検出するのに用いることができるその他の同様のセンサであってもよい。センサには、該センサから体外への電気的接続を行うための電線が接続されている。これは、例えば、センサからカテーテルの近位端に配置されたコネクタまで、カテーテルの壁部又は内腔を通って伸びる電気的接続部により実現することができる。センサを備えているカテーテル組立体は、後でより詳しく説明するように、種々の異なる方法で構築することができる。
【0037】
図2中に示すコネクタ1は、カテーテル組立体をデータ収集・処理デバイスに電気的に接続するための手段である。データ収集・処理デバイスの構成要素(部品)は、カテーテル組立体のコネクタ1に電気的に又は無線通信で接続するように構成されたコネクタ2と、制御・データ収集ユニットと、信号処理ユニットと、基本ユーザインタフェースと、その他のインタフェースユニットである。
【0038】
ある実施の形態においては、カテーテル組立体は、デバイスを非滅菌として、滅菌野(sterile field)で用いることができる。それゆえ、デバイスは、その使用に先立って、滅菌バッグ(sterile bag)に袋詰めしなければならない。コネクタは、バッグを貫通させて(突き通して)、滅菌バッグ内のデバイスに接続し、滅菌野内におけるデバイスの操作における滅菌性を確実にするための手段である。もう1つの実施の形態においては、デバイスは滅菌であり滅菌カテーテルに直接取り付けられている。
【0039】
この装置は、データ処理アルゴリズムを実行し、血管系内におけるカテーテル又はカテーテル先端部の位置を、ユーザインタフェース又はディスプレイを介して、ユーザに示す。1つの実施の形態においては、ユーザインタフェースは、血管系内における誘導血管系アクセスデバイスの位置又は状態を示す色付ランプであってもよい。例えば、緑色のランプは誘導血管系アクセスデバイスから離れてゆく血液の流れを示し、これは誘導血管系アクセスデバイスが正しい方向又は望ましい方向、例えばある応用例では心臓に向かって進んでいることを意味する。赤色のランプは、誘導血管系アクセスデバイスに向かう血液の流れを示し、これは誘導血管系アクセスデバイスが誤った方向又は心臓から離れる方向に進んでいることを意味する。青色のランプは、血液の流れのパターン、又は、その他の固有の特性もしくは態様が検出されたことを示し、誘導血管系アクセスデバイスが血管系内の望ましい位置の近傍に存在していることを示す。望ましい位置は、複数・単一ビーム(multi-single beam)の超音波処理技術及び誘導血管系アクセスデバイスが、血液の流れのパターン、又は、その他の固有の特性もしくは態様、又は身体構造上の目印(anatomical landmark)を検出することができる血管系内の位置であってもよい。例えば、本明細書に記載された誘導血管系アクセスデバイスは、大静脈及び右心房(例えば、図38、図39、図41及び図42参照)と伏在静脈・大腿骨静脈ジャンクション(例えば、図48参照)との間のジャンクション、又は、本明細書に記載されたシステム及び方法を用いて特定することができる血管系の他の部分におけるジャンクションを特定するために用いることができる。また、本発明は、現在の既存のカテーテルで必要とされている蛍光透視法又は超音波検査法などといった外部の画像撮影手段(external imaging modality)を用いることなく、カテーテルを自己誘導させることを可能にする。
【0040】
図3は、カテーテルの典型的な配置方法300を示している。この例に係る配置方法300は、複数・単一ビームの超音波システムを用いて得られる誘導情報を伴った誘導血管系デバイスを用いるとともに、後でより詳しく説明する処理技術を用いて、ユーザがどのようにしてPICCカテーテルを配置するかを説明している。なお、この例は、例示の目的のためだけのものである。同様に、従来のカテーテル、ガイドワイヤ又はデバイスの導入手順は、後でより詳しく説明するように、例えば血液透析カテーテルの配置、レーザ、RF及び拡張蛇行静脈の経皮治療のためのその他のカテーテルの配置などのために、他の治療デバイスの要求に応じて調整ないしは修正することができる。
【0041】
本明細書に記載された技術は多数の臨床場面で実施することができるが、配置方法300は、ベッドサイドでのカテーテルの配置について説明されている。カテーテルの配置方法300における作業流れは、カテーテルの必要な概略の長さを測定するステップ305で始まる。このステップは、装置によって指示された位置を特定ないしは確認するために行うことが推奨される。このステップは、現在では、治療手順の最初に、医療専門家によって実施されている。
【0042】
次に、ステップ310で、配置ワイヤを挿入するとともにセンサが取り付けられた滅菌カテーテルのパッケージを開く。好ましい実施の形態では、パッケージ化されたカテーテルは、すでに、ドプラーセンサを備えた改造された探り針を備えている。現在、ある種のPICCカテーテルでは、すでに、カテーテルを血管系に挿入する医療専門家によって用いられる探り針がパッケージ化されている。現在では、このようなカテーテル及びこれに対応する探り針は、何らセンサを備えていない。
【0043】
次に、ステップ315で、非滅菌ユーザインタフェースハウジングを接続する。この接続は、該ハウジングを滅菌バッグに袋詰めし、配置ワイヤのコネクタの端部で滅菌バッグを貫通させる(突き通す)ことにより行う。好ましい実施の形態では、センサを伴った探り針を備えているカテーテルは、滅菌された使い捨てのものである。他方、ユーザインタフェース及び制御・信号処理ユニットは再使用可能なものであり、基本的には非滅菌のものである。ユニットが滅菌されておらず、滅菌野で用いることができない場合、該ユニットは商業的に入手可能な滅菌バッグを用いて袋詰めしなければならない。この後、カテーテルは、探り針のコネクタで滅菌バッグを貫通させることによりユーザインタフェースユニットに接続される。あるいは、滅菌されたコード又はケーブルを滅菌野に通し、この後でバッグに穴をあけることなく非滅菌の制御ユニットに取り付けてもよい。その他の構成要素(部品)の接続形態は、後で図51及び図52を参照しつつ説明する。
【0044】
次に、ステップ320で、ユーザインタフェースハウジングの自己試験ボタンを押し、緑色のLEDが点滅するのを待つ。一旦センサが接続されれば、システムは自己試験プロトコルを実行して、接続状態及びセンサの状態をチェックすることができる。
【0045】
次に、ステップ325で、カテーテルを血管に挿入する。このステップは、現在医療専門家によって実施されているカテーテルの導入手法と同様である。図4中には、尺骨皮静脈における1つの好ましい挿入点が「1」で示されている。
【0046】
次に、ステップ330で、緑色のランプ(light)が点滅を停止する(緑色のランプが常時点灯状態となる)まで、カテーテルをその位置に保持する。一旦カテーテルが血管内に入れば、カテーテルを数秒間その位置に保持するか、又はゆっくり前向きに進行させなければならない。このステップは、信号処理アルゴリズムがデータの収集を校正ないしは調整する(calibrate)とともに、現在の患者のデータについてのパターンの認識を校正することを確実にする。さらに、処理システムは、センサのデータを解析して、センサが動脈内ではなく静脈内に配置されているかどうかを確認する。この配置の確認の手法は、図34を参照しつつ、後で、より詳しく説明する。
【0047】
次に、ステップ335で、ユーザは、センサ/カテーテルが静脈内に導入されたとの確認情報をシステムから受け取った後、カテーテルの前進を開始し、緑色のランプが点灯したままであることを確認する。緑色のランプが点灯していれば、これは血液の流れがカテーテルの先端部から離れる方向に流れていることを意味する。この「緑色のランプの点灯」は、カテーテル/センサが最終位置に向かって進んでいる望ましい状態であることを示している。図4は、「緑」の印が付けられた尺側皮静脈内におけるカテーテルの正しい位置を示し、これは緑色のランプが点灯していることを意味する。
【0048】
次に、ステップ340で、ランプの色が赤色に変わっていれば、カテーテルの前進を停止させ、ランプが再び緑色になるまでカテーテルを引き戻す。血液が、カテーテル/センサから離れる方向ではなく、カテーテル/センサに向かって流れているときにはランプの色は赤色となる。これは、カテーテルが、誤って、頸静脈又はその他の静脈に進行したことを意味する。図4中において、この位置には「赤」の印が付けられ、カテーテルは、内頸静脈に入っていることを示している。この状態においては、心臓に向かって流れている血液は、デバイスに向かって流れる。この状態においては、カテーテルは、図4中において「2」で示された位置まで引き戻され、再びSVC内への正しい経路を進むようにしなければならない。誤って、カテーテルが血管壁に突き当たり、前進させることができない場合、ランプの色は黄色に変わる。この位置は、図4中に「黄」の印が付けられている部位である。この状態においては、黄色のランプが消灯して緑色のランプが再び点灯するまでカテーテルを引き戻さなければならない。
【0049】
次に、ステップ345で、緑色のランプが点灯している間はカテーテルを前進させる。ユーザは、カテーテル/センサが心臓に向かう正しい経路に存在しているときには、これを押し続ける。
【0050】
次に、ステップ350で、ランプの色が青色に変わったときに、ユーザはカテーテルの前進を停止させる。図4に示すように、SVC(上大静脈)の低い方の3分の1の部分の位置が特定されたときに、ランプの色は青色に変わる。処理システムが目標とされた配置領域に対応する生理学的パラメータ又は固有の(unique)流れパターンを特定したときに、ランプの色が青色に変わる。この例示的な方法においては、上大静脈と右心房とのジャンクションにおける流れに固有の特性が特定ないしは確認され、青色の指示ランプが点灯される。このような固有の流れ特性の位置を決定するための技術は、図34〜図40を参照しつつ、後でより詳しく説明する。
【0051】
次に、ステップ355で、ユーザは、カテーテルの実際の長さを、最初に測定した長さと比較ないしは確認する。このステップは、デバイスによって提供された指示を二重にチェックするとともに、最初に予測ないしは測定された目標位置までの長さと照合するのに用いられる。
【0052】
次に、ステップ360で、探り針と取り付けられたセンサとを除去する。
【0053】
次に、ステップ365で導入具(introducer)をはぎ取り、この後ステップ370でカテーテルを固定する。
【0054】
図5は、図5より後の図に示されているような、本発明に係るデバイス(例えば、カテーテル、探り針、ガイドワイヤ等)の特徴のいくつかを集約した表である。一般的には、センサは、例えばセンサと血管壁との間の干渉を避けるために、血管の中心又は中心近傍に配置するのが望ましい。カテーテルの実施の形態においては、この特徴は、センサの近傍又は周囲のバスケット(basket)により実現することができる。あるいは、カテーテルの遠位端に曲がり部(bend)又は予め形成された曲線部(curve)を設けて、センサを血管壁から離れる方向に押すようにしてもよい。他方、探り針又はガイドワイヤの実施の形態においては、J字形又はホッケースティック形の先端部を設けて上記目的を達するようにしてもよい。
【0055】
ある種の実施の形態では、超音波により得られた情報を使用して、血管内でのデバイスの操縦が可能であえる。これは、1つ又は複数のセンサに沿って操縦することを可能にする一体化された特徴をもつ構造ないしは仕様により実施することができる。この場合、血管系ないにおける先端部の位置を示すリアルタイムのフィードバック情報を得ることができる。
【0056】
この実施の形態の重要な特徴ないしは態様は、トルク制御が可能であるということである。カテーテルデバイス及び探り針/ガイドワイヤを備えている、音響センサが設けられた誘導血管系アクセスデバイスは、挿入部位の近傍でカテーテル又はデバイスのシャフトを回転させることによりその遠位端を正確に制御することが可能な高トルク材料を用いて構成することができる。より詳しく説明すれば、探り針の実施の形態(すなわち、図23A)は、カテーテルの腔内に挿入することができるということである(図23B参照)。この場合、探り針2312の剛性をトルクの付与、あるいはカテーテル2370のその他の操縦に利用することができ、システムによって与えられる情報に応じて(応答して)操縦を制御することができる。
【0057】
デバイスを設計する上でのもう1つの目標は、センサの寸法を最大限に大きくしつつ、デバイスの形状ないしはプロフィール(profile)を最小にすることである。カテーテルの実施の形態においては、この目標は、カテーテルの遠位端に形成された凹部にセンサを配置することにより実現することができる。
【0058】
ある種の実施の形態においては、配置デバイスは、他のデバイス(治療デバイス等)を血管系内の特定の位置に誘導するためだけに用いることができる。しかしながら、他の実施の形態においては、配置デバイスを治療実施デバイス(治療デリバリデバイス)と一体化してもよい。このような実施の形態においては、カテーテル又はその他のデバイスに、デバイス配置要素に加えて、治療実施のための腔を設けてもよい。あるいは、カテーテルに、治療を実施するためのスリット、弁、ポート等を設けてもよい。米国特許第4549879号明細書において、グロショングは弁を備えた2方向カテーテルのための、端部が閉止されたカテーテルで弁を用いるといった技術を開示している。
【0059】
本発明のある種の実施の形態では、例えば血液の流れの方向を決定するために用いられる方向データを収集する。このようなカテーテルの実施の形態においては、1つ又は複数のセンサは、前方を観測する(look)ために先端部に取り付けられたセンサ、横方向を観測するために側部に取り付けられたセンサ、及び/又は、後方を観察するためのセンサであってもよい。1つ又は複数の位置に、複数のセンサを設けてもよい。探り針及びガイドワイヤの実施の形態でも、前方観察センサ、後方観察センサ又はこれらの組み合わせを用いることができる。
【0060】
ある種の実施の形態は、センサのデータ収集体積を最小にするといった特徴を備えている。例えば、超音波を基本とするセンサについては、データ収集体積は、ビームを拡張してより大きい体積に音波を当てることにより(例えば、発散ビームにより)、及び/又は、収集ビーム(collection beam)を収束させることによってより大きい体積から収集することにより、増加させることができる。この目的を達するために、レンズ又はレンズ組立体(音響レンズ組立体、成形されたエポキシレンズ組立体、マイクロレンズ配列、機械加工結晶(machines crystals)等)を用いることができる。
【0061】
配置デバイスでは、その応用分野に応じて、センサの数、形状及び材料を種々設定することができる。例えば、デバイスには、1つのセンサ、複数のセンサ、矩形のセンサ、丸形のセンサなどを用いることができる。超音波を基本とする適切なセンサの材料としては、圧電性結晶(例えば、水晶)、圧電性セラミック(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等)、シリコン、圧電性フィルム(例えば、PVDF等)などが挙げられる。レンズ(例えば、収束レンズ、発散レンズ等)は、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)とポリカーボネート(PC)の重量比率を変えることにより強化されたエポキシ樹脂(エポキシ)、アラルダイト(登録商標)(Gy508/Hy956、チバ社)、EPO−TEK(登録商標)353ND(エポキシ技術社)、又は、レクソライト(登録商標)(カーベルプラスチック社)などでつくることができる。ある種の実施の形態においては、センサは、該センサを、気密性を有する超音波透過性のエポキシ樹脂又はその他のシール材でカプセル化する(包む)ことにより、「非フラッシング(non-flushing)」(例えば、空気又はその他の超音波を規制する材料をパージするためのフラッシングを必要としない)なものとすることができる。カプセルはまた、センサをカテーテル又はその他のデバイスに取り付けるためにも用いることができ、センサのレンズの形状に形成することができる。さらに、センサを、気密性を有する超音波環境でカプセル化するのに用いられるシール材料は、センサにより生成される音響エネルギに対して非透過性であってもよい。このように、ある種の実施の形態においては、センサの動作に対して気密性及びシール性の環境をつくるために用いられる材料はまた、シールされるセンサに対して音響レンズとして作用する。
【0062】
(レンズ配列)
結晶の全表面を覆う直径が1〜2mmの単一のレンズに代えて、直径が数十マイクロメータのマイクロレンズ配列を用いてもよい(図17参照)。レンズ配列は、発散ビーム(例えば、焦点を結ばないビーム)を生成するだけでなく、圧電性結晶によって生成された超音波エネルギを異なる方向に方向づけることも可能にする。このようなマクロレンズ配列は、溶融石英(fused silica)の中でのエッチングで製作することができる。
【0063】
(成形されたセンサ)
ほぼ全ての場合、超音波結晶などの超音波センサは、例えば、圧電性(PZT)結晶に結合された音響レンズ組立体を用いている。PZT素子のレーザによる微細機械加工(マイクロマシニング)は、成形された結晶を生成し、これにより生成される音響波を変化させる(図14D参照)。
【0064】
(カテーテルを基本とする誘導血管系アクセスデバイス)
図7は、本発明の1つの実施の形態を示している。カテーテル712、例えば商業的に入手可能なカテーテルの遠位端713に、4つのセンサ715(例えば、ドプラー結晶(Doppler crystal))が設けられている。カテーテル712は、他の目的のために用いられる3つのその他の腔705(ルーメン)を有している。この構造の欠点は、既存のカテーテルで用いることができる腔705の数が少なくなることである。センサ715は、腔720を通り抜けるワイヤ(図示せず)を経由してカテーテル712の近位端に接続されている。超音波検査技術における普通の適当なワイヤ(電線)及び接続具(以下の図では、大抵は図示を省略している。)が、本明細書に記載されたセンサを適当なシステムの構成要素に接続している。これにより、センサが動作して、音響波を生成し及び/又は受信することができる。
【0065】
図8A及び図8Bは、横向きのセンサを備えたカテーテル組立体のもう1つの可能な実施の形態を示している。この実施の形態においては、センサ815A、815B及び815Cは、腔805のいずれか一方の側方で、カテーテル810の壁に設けられている。センサから近位側に伸びているワイヤ(図示せず)は、患者の外側の制御システムに接続され、電力や収集されたデータなどを伝達する。センサは、制御システムに向かって伸びるワイヤの数を少なくするために多重化してもよい。代替的な実施の形態においては、1つ又は複数の前方を観測するセンサを、図8A及び図8Bに示す横向きのセンサに付け加えてもよい。前方を観測するセンサは、例えば、ドプラー技術を用いて速度を検出するのに用いることができる。他方、横向きのセンサは、A−スキャン(A-scan)を用いて壁を検出するのに用いることができる。さらに、角度が付けられたセンサは、カテーテルの軸に沿って両方向の血液の速度を検出するのに用いることができる。
【0066】
本発明の実施の形態はまた、カテーテルに一体化されたドプラーセンサを用いるものにも関連する。これらのセンサは、血液の流れの方向を監視することができる。すなわち、血管系内におけるドプラーセンサの位置を決定するために、流れ又はカテーテルから離れる流れを監視して、ドプラー流れのパターンを検出することができる。いくつかのタイプのドプラー技術を用いて、連続波(CW)及びパルス波(PW)のドプラーを含むこれらの目標を達成することができる。連続波の方向ドプラーについての説明は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。カテーテル組立体の観点からは、CWは2つのトランスデューサを必要とする。すなわち、1つは超音波を発信し、他方は超音波を受信する。図8Aに、このように2つのセンサを備えた実施の形態を示す。PWは、1つのトランスデューサを必要とするだけであるが、超音波を発信し及び受信するために一連の手順で(sequentially)用いられる同一の素子を用いた複数の電子部品を必要とする。
【0067】
図9A〜図9Dは、本発明に係る配置デバイスを備えたカテーテルにおけるセンタリング(中心合わせ)を行うための特徴を示している。この実施の形態においては、センサ915A及び915Bが、カテーテル912の遠位端913に配置されている。カテーテル912の周囲に拡張(拡大)可能なセンタリングワイヤ930(例えば、形状記憶材料であるニチノール又は生体適合性プラスチックなどといった超弾性材料で形成されている。)が放射状に配置されている。センタリングワイヤ930はまた、細い帯状物の形態のものであってもよく、あるいは、これに代えてセンタリングを維持するために選択的に膨らませることができる風船であってもよい。風船を選択的に膨らませることにより、より大きい寸法の血管内でデバイスのセンタリングを行うときには該風船をより大きく膨らませ、より小さい寸法の血管内でデバイスのセンタリングを行うときにはより小さく膨らませることができる。帯状物、風船又はその他の膨張可能な部品のいずれであっても、センタリング要素930は、カテーテル912のまわりで実質的に均一に膨張し、カテーテルを血管80のほぼ中心に保持することができる。図9Cは、直径が小さい血管中のデバイスを示し、図9Dは、直径が大きい血管内のデバイスを示している。図9Dでは、センタリングワイヤ930は、より大きく拡張している。この実施の形態においては、センタリングワイヤ930は、自己拡張性を有している。代替的な実施の形態においては、センタリングワイヤ、帯状物又は膨張可能な要素は、ユーザが動作させることができる。この実施の形態においては、カテーテル912には、端部が閉止されたカテーテルで従来行われているように、カテーテル912内の腔(図示せず)を経由して薬剤の投与などといった治療を行うための側部供給ポート920が設けられている。
【0068】
図10A〜図10Cは、異なる寸法の血管内で使用するためのカテーテルに適した、本発明に係る配置デバイスを備えたカテーテルのもう1つの特徴を示している。この実施の形態においては、センサ1015Aが、カテーテル1012の側部に配置されている。そして、センサ1015Bが、カテーテルの遠位端1013に配置されている。図10Aに示すように、ユーザは、カテーテル1012の遠位端を、従来のカテーテル先端部の操縦技術を用いて曲げることができる。図10B及び図10Cに示すように、カテーテルの曲がりの度合い(量)は、用いられるセンサ1015A及び1015Bの通路(way)と、血管の寸法とに応じて変えることができる。あるいは、図10Cに示すように、カテーテル1012は、血管内に入ると予測される予め形成された曲がり部を有していてもよい。予め成形された曲がり部は、センサ1015Aを血管82内で流れに向かう方向を向くように維持することによりセンタリング作用を生じさせる。
【0069】
図11Aは、センサ1115が細長い部材1112の凹部1122内に配置された本発明の実施の形態を示している。凹部1122は細長い物体1112内に形成され、表面1128及び1129とシール1130とによって形成されている。表面1128と表面1129との間の角度はθである。凹部1122内の表面1128は、角度θで示す分だけ、カテーテル1112の表面又は他の細長い物体から折れ曲がっている。角度θは、カテーテル1112の軸に対するセンサ1115の角度を示している。センサ1115をドプラー読み込み(Doppler readings)に用いるときには、角度θを変えることが有益である。1つ又は複数のセンサ1115は、表面1128及び1129の上に配置し、本明細書に記載された質及び特徴を備えた音響信号を生成及び/又は受信するために角度θ及び角度θを変えることができる。
【0070】
凹部1122には、シール材料、レンズ材料、又は参照番号1140/1130で示すようなレンズ特性を有するシール材料が充填されている。凹部1122及びセンサ1115の上には、気密型超音波透過性シール1130が設けられている。シール1130及び/又は凹部1122の内の充填物はまた、センサ1115のためのレンズとしても機能する。この実施の形態では、センサ1115及びそのシール及び/又はレンズは、実質的にほぼカテーテル1112の外側の表面と同一面上にある(flush with)。シール1130の寸法は、正確な縮尺で記載されておらず、表面の細長い部材1112に対する縁部が現実には存在しないことは明らかであろう。しかし、シール1130が血管壁に接触しても血管に傷はつかないであろう。
【0071】
図11Bは、センサ1115及びそのシール1130及び/又はレンズ1140がカテーテル1112の円柱形の外側表面を超えて伸びている(膨らんでいる)実施の形態を示している。凹部1122には、シール材料、レンズ材料、又は参照番号1140/1130で示すようなレンズ特性を有するシール材料が充填されている。凹部1122及びセンサ1115の上には、気密型超音波透過性シール1130が設けられている。シール1130及び/又は凹部1122の内の充填物はまた、センサ1115のためのレンズとしても機能する。シール1130の寸法、及び、表面の上を伸びている凹部1122の寸法/形状は、正確な縮尺で記載されておらず、シール1130に縁部が現実には存在しないことは明らかであろう。また、細長い部材1112の表面と比較して、充填された部分には膨らみが存在する。センサ、シール/レンズ及びシール組立体は、血管壁と接触して配置された場合でも血管に傷がつかないように構成されている。
【0072】
図12Aは、センサ1215(レンズ1230によって被覆されている)が、端部が閉止されたカテーテル1212の遠位端1213に配置されている実施の形態を示している。スリット1250は、カテーテル1212を通して物質を供給することを可能にする。スリットに代えてポート又は弁を用いてもよい。スリット1250、あるいは、ポート及び弁の使用技術、及び、操作に関するさらなる情報、及び、端部が閉止されたカテーテルの使用技術は、グロショングに係る米国特許第4549879号明細書に、より詳しく記載されている。1つ又は複数のセンサを、端部が閉止されたカテーテル1212に設けてもよい。この場合、図13Cを参照しつつ後で説明するように、センサを遠位端1213に設け、又は横向きに設けてもよい。図12Bは、カテーテルの遠位端1213に、血管に傷をつけない先端部1260を備えたものを示している。
【0073】
図13Aは、3つのセンサ1315A〜1315Cがカテーテルの遠位端1313に配置される一方、1つのセンサ1315Dがカテーテルの側部に配置された実施の形態を示している。レンズの形状を有するシール1340がセンサ1315Dを覆っている。図13Bは、カテーテルの遠位端に2つのセンサ1215E及び1315Fのみが配置された実施の形態を示している。図13A及び図13Bにおいて遠位端の上にレンズ/シール(図示せず)を配置し、センサ1315A〜1315Fによって生成された音響波をシールし及び/又は修正するようにしてもよい。図13C中に示すように、センサ1315Dを、角度がつけられた表面1328上に配置し、レンズ/シール1340によって覆うようにしてもよい。
【0074】
図14A〜14Eは、互いに異なるセンサ及びレンズの配置構造を示している。図14A〜14Cにおいては、センサ1415を覆う異なる形状のレンズ1440A〜1440Cが示されている。レンズ1440A〜1440Cの形状は、センサ1415によって発信され又は収集された音響波を修正して所望の特性をもち、本明細書に記載された超音波技術を実現するように設定してもよい。図14Dにおいては、センサ1415D自体の表面が、成形された表面1420を形成するように修正されている。成形された表面1420は、例えば圧電性材料でつくられたセンサにレーザ微細機械加工などの適切な成形処理を施すことによりセンサ内に形成することができる。成形された表面1420の特徴に起因して、起動されたセンサ(activated sensor)1415Dが、図示されているように、発散する超音波ビーム93を生成する。図14Eにおいては、成形された表面1472を有する複数のレンズ1440E(例えば、溶融石英レンズ等)が、センサ1415Eを覆って、複数の発散ビーム93を生成する。
【0075】
図15は、その遠位端にセンサ1515A及び1515Bを備えた探り針又はその他の細長い物体1512を示している。レンズ1540A及び1540Bは、それぞれ、センサ1515A及び1515Bを覆い、異なる形状を有し、発信又は収集のための異なる形状のビームを生成する。この実施の形態においては、一方のセンサは発信機(すなわち、1515A)として用いられ、他方のセンサは収集機(すなわち、1515B)として用いられる。
【0076】
図16aは、シール1630がセンサ1615を覆っている遠位端1613を備えた探り針又はその他の細長いデバイス1612を示している。シール1630は、センサ1615の操作のための気密環境を生成するために、適切な超音波透過性の材料で形成することができる。あるいは、シール1630は、センサ1615のための気密環境を生成することに加えて、レンズとして機能するように音響ビームを変化させる特性を有していてもよい。これとは対照的に、シール1630は、図16B中のレンズ1640とは別のものである。レンズ1640は、センサ1615の表面及び寸法と順応するような寸法ないしは形状を有している。図16Bに示すように、シール1630は、探り針の遠位端1613を覆い、レンズ1640をセンサ1615に固定するとともに、これらの構成要素の両方を遠位端1613に固定するために用いることができる。
【0077】
図17は、マイクロレンズ1740の配列が取り付けられたセンサ1715を示している。レンズの形状1726は、発散(例えば、焦点を結ばない)ビーム93を生成することができ、センサ(例えば、圧電性センサ等)によって生成された超音波エネルギを異なる方向に向けることができる。レンズの形状1726は、配列のすべての位置において全てのレンズ1740について同一である必要はない。むしろ、ある種の実施の形態では、マイクロレンズ1740の形状、寸法及び密度は、センサ1715の表面と交差する方向に変化し、所望の特性の超音波ビームを生成する。マイクロレンズの配列は、本明細書に記載されているように、あるいは超音波検査の技術分野でよく知られているように、例えば、エッチングされた溶融石英又はその他の適切なレンズ材料で形成することができる。
【0078】
図18A〜図18Cは、ガイドワイヤ1812を備えた配置デバイスを用いた実施の形態を示している。図18A中において、センサ1815は、ガイドワイヤ1812の遠位端近傍部1813に配置されている。ガイドワイヤの遠位端近傍部は、実質的にJ字形に曲げられ、センサ1845は、曲がり部の凹側の部位に配置され、ガイドワイヤ1812の近位端に対向している。図18Bに示すように、シースないしは套管(sheath)又はその他のデバイス1870がガイドワイヤ1812に装着されたときに、センサ1815はデバイス1870と対向する。図18Cに示すように、J字形のガイドワイヤ1812はまた、血管の腔80内におけるセンタリングを行うことを特徴とする。センサをガイドワイヤに取り付ける技術及びこれらを直接血管内に挿入する技術は、ミラーに係る「ガイドワイヤ及びカテーテルの結合構造」と題された米国特許第5046497号明細書中、及び、「生物の血管内で診断デバイスを位置決めするための組立体」と題された米国特許第4966148号明細書に開示されている。
【0079】
図19A及び図19Bにおいては、センサ1915は、ガイドワイヤ1912の遠位端近傍部1913の凸側の部位に配置されている。このため、センサ1915は、套管1970、又はガイドワイヤの上に装着された他のデバイスから離れる側に面している。図18A〜18Cに示すように、この実施の形態では、J字形のガイドワイヤはデバイスのセンタリングを行い、センサを血管壁から離れた位置に保持することを特徴とする。図20は、ガイドワイヤの曲がった遠位端近傍部2013(遠位端近傍部)の凹側及び凸側の部位にそれぞれ配置されたセンサ2015A及び2015Bを示している。図19Bに示すように、J字形1913のガイドワイヤは、血管の腔80内におけるセンタリングを行うといった特徴を生じさせる。
【0080】
図21A及び図21Bは、図20に示す実施の形態の代替的な実施の形態を示している。図21A及び図21Bに示すように、ガイドワイヤ2112は、ホッケースティック形の遠位端近傍部2113を有している。図21Aにおいては、センサ2115は、ガイドワイヤの近位端近傍部(すなわち、ガイドワイヤの曲がり部の前に位置するガイドワイヤの一部分)から離れる側に面した、曲がり部2113の表面に配置されている。他方、図21Bにおいては、センサ2115は、ガイドワイヤの近位端に向かう側に面した、ガイドワイヤの曲がり部2113の表面に配置されている。図20に示す実施の形態のように、ガイドワイヤの曲がり部は、血管内におけるデバイスのセンタリングを助け、センサを血管壁から離れるように保持する。ガイドワイヤには、傷つけ防止型先端部2280も設けられている。
【0081】
図22A及び図22Bは、図20又は図21に示すガイドワイヤを導入するときに用いるための套管2270を示している。図22Aに示すように、套管2270はガイドワイヤを血管系80内に導入するために実質的に直線状の形状を維持している。套管2270がガイドワイヤから引き抜かれたときに(又は、ガイドワイヤが套管を超えて前進させられたときに)、ガイドワイヤ2212の遠位端2213はその予め設定された形状で曲がっているであろう(ここでは、ホッケースティックの形状で示している)。センサ2215は、ガイドワイヤの遠位側を向いた状態で示している。ガイドワイヤには、傷つけ防止型先端部2280も設けられている。
【0082】
(探り針を基本とする誘導血管系アクセスデバイス)
図23Aは、複数のセンサ2315が、探り針2312又はその他の細長い部材の遠位端2313に配置された実施の形態を示している。この実施の形態においては、センサ2315は、2つのセンサ領域2318及び2319に配列されている。1つの代替的な実施の形態においては、一方のセンサ領域内のセンサは発信機(エミッタ)として動作し、他方のセンサ領域内のセンサは収集機(コレクタ)として動作する。シール、レンズ又はシールレンズは、1つのセンサ領域内のセンサ2315、1つのセンサ領域内の全てのセンサ、又は、両方のセンサ領域内のすべてのセンサのうちの1つ又は複数のセンサを覆うために用いることができる。他の実施の形態においては、2つより多いセンサ領域が用いられる。1つのセンサ領域内におけるセンサ2315の数は、特定のセンサ領域の配置及び機能、例えば図示されているように取り付けられた先端部、横向きに取り付けられた先端部(すなわち、図13C、図11A、図11Bに示すもの)、又は、角度をつけて取り付けられた先端部(図8A、図8B参照)などに応じて変えることができる。ワイヤ又はその他の電気接続具2390は、センサから近位端側に伸びている。図23Bに示すように、探り針2312は、誘導のための多腔カテーテル2370の腔2305内に配置することができる。図24に示すように、遠位端側センサ2415を備えた2つの誘導探り針2412をカテーテル2470内に配置してもよい。センサ2415もまた、本明細書に記載されているようなシール、レンズ又はシールレンズにより覆うことができる。代替的な実施の形態においては、誘導探り針は、図13Cに示すような配列構造の1つ又は複数の横向きのセンサを備えていてもよい。これらのセンサは、図示された遠位端側センサ2415とともに、又はこれに代えて用いることができる。
【0083】
図24は、誘導血管系アクセスデバイスが、遠位端に2つのセンサを備えた探り針である実施の形態を示している。1つの実施の形態においては、センサが、血管系を通るPICCを操縦する(navigate)ために用いられる探り針の遠位端に取り付けられている。その近位端で、データ収集ユニットは、例えば方向性連続波ドプラー(directional continuous wave Doppler)を用いて、ドプラー周波数変移(Doppler frequency shift)を収集する。信号処理ユニットは、ドプラー周波数変移、すなわち血液の速度を解析し、カテーテルの先端部に対する血液の流れの方向を決定する。この信号処理ユニットはまた、上大静脈と右心房とのジャンクションについての固有の流れパターンの特性の特定ないしは確認を行うことができる。このセンサは、圧電性結晶、圧電性セラミック、シリコン又は薄い圧電性フィルムであってもよい。このセンサは、同一又は異なる材料でつくることができる。
【0084】
図6に示すように、本明細書に記載された誘導血管系アクセスデバイスは、操縦可能なもの又は操縦不可能なものに分類することができる。図6に示すように、適切な従来の操縦システム(すなわち、カテーテルを基本とするもの、又はガイドワイヤを基本とするもの)は、本明細書に記載された進歩性を有する誘導血管系アクセスデバイスの操縦の制御を行うのに用いることができる。その結果、フィードバックを基本とする開ループの血管系誘導システムを構築することができる。同様に、図6は、ガイドワイヤを基本とする誘導血管系アクセスデバイスの操縦制御を行うために、ガイドワイヤを基本とする操縦システムからの適切な従来の操縦システムを、どのようにしてフィードバックを基本とする開ループの血管系誘導システムとすることができるかを示している。操縦能力は、多数の方法により生じさせることができる。本発明に係る誘導血管系アクセスデバイスは、従来のガイドワイヤ操縦システムのカテーテルの構成要素を備えており、該構成要素によって制御されるように修正することができる。代替的に又は付加的に、本発明に係る誘導血管系アクセスデバイスは、既存の操縦可能な介在(interventional)医療デバイス又は診断医療デバイスに組み入れることができる。カテーテル操縦システムの具体例は、操縦可能なカテーテルに関する下記の特許文献に記載されている。
ガルデスキらに係る「操縦可能な多腔カテーテル」と題された米国特許第7037290号明細書。
ポンジに係る「電磁気センサを備えた操縦可能なカテーテル」と題された米国特許第5938603号明細書。
ドウクらに係る「一時的な腔内フィルタガイドワイヤ及びその使用方法」と題された米国特許第6866677号明細書。
ピゴットに係る「操縦可能なカテーテル及び冠状静脈洞を位置決めするための方法」と題された米国特許第6591144号明細書。
ブックらに係る「超音波画像化能力を備えた誘導カテーテル」と題された米国特許第5803083号明細書。
操縦可能なガイドワイヤ制御システムの具体例は、下記の特許文献に記載されている。
キンセラらに係る「操縦可能なガイドワイヤ」と題された米国特許第6500130号明細書。
クピエッキに係る「供給側部穴を備えた風船カテーテル」と題された米国特許第6638243号明細書。
ツツミに係る「操縦可能な心臓ペーシング及び検出カテーテル及び移植リード用のガイドワイヤ」と題された米国特許第6973352号明細書。
【0085】
図6A及び図6Bは、本発明を実施するのに用いることができる酸素濃度検出カテーテル(oximetric catheter)6010とともに用いるように構成された、本発明に係る操縦可能な誘導血管系アクセスデバイスの実施の形態を示している。カテーテル6010は、操縦可能なカニューレ6020を備えている。カニューレ6020は、血栓形成性が低い生体適合性ポリマでつくられた血液と接触する套管6021を備えている。本明細書に記載された1つ又は複数の横向きのセンサは、誘導を助けるためにカニューレ6020の全長に沿って配置することができる。操縦可能なガイド部6024を備えている操縦機構、及び、光ファイバ酸素センサ組立体6028などといった血液の特徴を検出するセンサは、好ましくカニューレ6020の套管6021によって包まれている。光ファイバ酸素センサ組立体6028、及び、その他の適切な心臓監視センサは、図46及び図47に関して説明する心臓へのアクセス方法、及び、冠状静脈洞を位置決めする進歩性を有する方法により左心臓に誘導し又はアクセスするための関連する方法に適したタイプのセンサである。すべてのセンサのための電気リード、操縦可能なガイド部6024及び光ファイバ酸素センサ組立体6028は、好ましく、カニューレ6020の全長にわたって遠位端6032まで伸び、さらにカニューレ6020の近位端6026からも伸びている。光ファイバ酸素センサ組立体6028は、pH又はCO含有率などといった冠状静脈洞の血液と相関するその他の血液の特徴の検出に適した他のセンサに置き換えてもよい。
【0086】
操縦可能なガイド部6024は、好ましく、遠位端6032から操縦制御モジュール6030まで伸びる内部ワイヤ6027と外側チューブ6025とを備えている。制御モジュール6030の指つまみ6034(finger grips)及び親指つまみ6036(thumb grip)は、操縦可能なガイド部6024の軸に沿って互いに往復移動可能となっている。親指つまみ6036はガイド部6024の外側チューブ6025に取り付けられ、指つまみ6034は内部ワイヤ6027の近位端に取り付けられている。内部ワイヤ6027の遠位端は、当該技術分野で従来知られている軸方向にオフセットさせる手法により、操縦可能なガイド部6024の外側チューブ6025の遠位端に取り付けられている。あるいは、外側チューブ6025を取り除き、内部ワイヤ6027をカニューレ6020の套管6021に直接取り付けてもよい。この場合、親指つまみ6036は、ワイヤ6027に取り付けられている指つまみ6034を備えた套管6021に取り付けてもよい。指つまみ6034を親指つまみ6036に向かって引っ張ることにより、内部ワイヤ6027は、張力を伴った状態となり、これにより操縦ガイド部6024を屈折させ、ひいては套管6021及びカニューレ6020を一方の側に屈折させる。つまみ6034及び6036を介してカニューレ6020の遠位端を屈折させる操作と、同様につまみ6034及び6036を介してカテーテル6010全体をその長手方向の軸のまわりに回転させる操作とを組み合わせることにより、カテーテル6010の遠位端を360°の範囲内で全ての方向に操縦することができる。当該技術分野で知られているその他の操縦機構も用いることができる。ユーザは、本発明に係る処理システムの出力に基づいて操縦制御を行うことができる。
【0087】
ある血液特性検出センサは、酸素含有率を検出するために光ファイバを用いる。しかし、これに対して代替的に又は付加的に、pHセンサ又はCOセンサを用いることができる。光ファイバ組立体6028は、チューブ6033内に包まれた1対の光ファイバ6029及び6031を備えている。これらの光ファイバは、(センサ6015との電気接続部に沿って)、組立体6028の全長にわたって伸び、それぞれ、それらの近位端で光検知器モジュール6038と、プロセッサ及びディスプレイ6041とに接続されている(進歩性を有するシステム超音波データを生成し、収集し、処理するために修正される)。
【0088】
よく知られた現象によれば、血液の色は、血液の酸素飽和量に対する酸素の割合(パーセンテージ)の関数である。その結果、血液によって吸収される光の色、ひいては光検知器モジュール6038に反射されて戻る光の色もまた、血液の酸素含有率の関数である。光検知器モジュール6038中の光検知器は、異なる波長の光に対して異なる応答特性を有し、光ファイバを経由して受け取った反射光の波長を示す電気信号を生成する。生成された信号は、適切な導体6039を経由して、プロセッサ及びディスプレイモジュール6041に伝送することができる。ここで、プロセッサ及びディスプレイモジュール6041は、信号を処理して、デジタルディスプレイ表示などといった人間が直接読み取ることが可能な形態で、酸素飽和量に対する酸素の割合を表示することができる。プロセッサ及びディスプレイモジュール6041はまた、本明細書に記載され図示されたセンサの操作のために必要とされる構成要素を備えている。このようにして測定された酸素含有率又はその他のパラメータの出力はまた、例えば図49、図50A及び図50Bに示すようなユーザディスプレイの一部に表示することができる。
【0089】
本明細書に記載された進歩性を有する超音波センサを、共通のカニューレ6020内のワイヤで操縦可能なガイド部6024を備えた酸素検出光ファイバ組立体6028と結合させている操縦可能な酸素濃度検出カテーテル6010は、冠状静脈洞を位置決めするのに有用な新規な技術を提供する。冠状静脈洞内の血液の酸素含有率は、人体内では最小であるということが知られている。この現象は、センサと協働する操縦可能な酸素濃度検出カテーテル6010と本発明に係る処理能力とに応用され、固有の流れ特性及びパターンを特定し、冠状静脈洞の位置決めを促進する。カテーテル6010及びセンサ6015(図45、図46及び図47に係る技術を用いて最初に配置される)が右心房を通って前進するのに伴って、リアルタイムで、流れのパターンの情報に沿った酸素含有率と、カテーテル6010の遠位端近傍部における血液のその他の特性とを監視することにより、操作者は、カテーテルの遠位端が冠状静脈洞に近づく経路にのっているかそれとも外れているかを知ることができる。酸素飽和量に対する酸素の割合の検出値と関連づけて流れ特性のパターンを検出するシステムによる検出は、カテーテル6010が進むのに伴って低下し続ける。かくして、操作者は、カテーテルの遠位端が冠状静脈洞により近づいていることを知る。カテーテルが進むのに伴って、酸素飽和度が上昇し始めた場合、又は、検出された流れパターン及びセンサ6015によって示されたパラメータが変化した場合は、操作者はカテーテルが進路から外れていることを知ることができ、該操作者はカテーテルの操縦性を利用して進路を訂正することができる。実際には、操作者は、冠状静脈洞から右心室内までに存在する低酸素濃度の血液と組み合わせて、冠状静脈洞の固有の流れパターン及びパラメータを検出しようとする。このような操作を繰り返すことにより、操作者は、検出された流れのパターン及びパラメータに沿ってリアルタイムで検出された酸素飽和度(濃度)を用いて、カテーテルを誘導しカテーテルの操縦を調節して、冠状静脈洞を見出すことができる。上記の繰り返し操作は、本明細書に記載された方法によって生成される血液の流れに関する情報を増やして、これらを適切なユーザ用ディスプレイに表示するために用いることができる。
【0090】
図6Cは、本発明に係る複数・単一超音波能力を備えた誘導カテーテルの側面図である。この誘導カテーテルには、その内部に配置された電気生理学カテーテルと、該誘導カテーテルを操縦するための2つの親指スライドとが設けられている。図6Dは、本発明に係る複数・単一超音波能力を備えた誘導カテーテルの側面図である。この誘導カテーテルには、その内部に配置された電気生理学カテーテルと、該誘導カテーテルを操縦するための4つの親指スライド(3つのみ図示)とが設けられている。このようなデバイスの典型的な使用形態は、心臓内の切除部位を位置決めするのに用いられる固有の流れパターンを特定するともに、付属の通路の診断及び切除のために電気生理学カテーテルを配置するのに用いるために、本明細書に記載されたセンサ及び方法を使用することである。
【0091】
誘導カテーテル6110は、3つの主要な構成要素(部品)を備えている。誘導カテーテル本体部6111は、その内部で電気生理学カテーテル6015が誘導される中央の腔6130(図6Dに示され、図6Dを参照しつつ説明される)を形成している。カテーテル本体部6111の遠位端に、1つ又は複数の超音波センサ6118と横向きのセンサ6117とが固定して取り付けられている。さらに、順に、誘導カテーテル本体部6111は、その近位端で、従来の手段によってハブ6113に固定して取り付けられている。
【0092】
誘導カテーテル本体部6111の遠位端に向かって出口穴6114が形成されている。この出口穴6114を通って、電気生理学カテーテル6115が中央の腔6130から突出している。電気生理学カテーテル6115は、その遠位端に、心臓内の組織をマッピングし及び/又は切除するための先端電極6116を備えるとともに、その近位端で制御ハンドル6119に取り付けられている。好ましく、電気生理学カテーテル6115は、制御ハンドル6119の長手方向の移動により、電気生理学カテーテル6115の本体部に対して相対的に操縦することができる。異常な導電通路信号を先端電極6116から受信して、これを離れた位置にある検出器に送信し、モールド成形された電子コネクタ6120を経由して表示することができる。RFエネルギを、モールド成形されたコネクタ6120に接続された離れた位置にあるRF源を経由して、先端電極6116に送信することができる。本発明で用いるのに適した電気生理学カテーテルの典型的な例は、ウェブスタージュニアに係る「操縦可能な開腔カテーテル」と題された米国特許第5431168号明細書に記載され、ボールドインパーククリフのコーディスウェブスター社によって製造されている操縦可能な開腔カテーテルである。しかしながら、本発明の技術範囲から逸脱することなく、その他の多数の電気生理学カテーテルを用いることができる。
【0093】
誘導カテーテル本体部6111は、血管内への挿入に適した長さを有している。ここに記載された実施の形態においては、その長さは約100cmである。同様に、出口穴6114は、電気生理学カテーテルが誘導カテーテル本体部6111から突出することを可能にする適切な寸法を有している。ここに記載された実施の形態においては、その寸法は0.04.+−.0.03インチ(約0.102cm+/−0.076cm)である。そして、カテーテル先端部6112の遠位端と出口穴6114の遠位縁部との間の距離はほぼ2.5cmである。誘導カテーテル本体部6111の遠位端には1つ又は複数の超音波センサ6118、6117が固定して取り付けられている。センサ6118、6117は、例えば図25、図26及び図27及び本明細書に記載された制御システムによって決定されるような超音波を発信し及び受信する。さらに、ここに記載されたその他のセンサの構成ないしは構造は、追加の流れ情報を取得するために用いることができる。センサ6118、6117の正確な寸法は重要(臨界的)ではなく、構造的に適切なセンサ又はここに記載されたセンサを用いることができる。好ましく、センサは、先端部が丸く、その長さがほぼ1〜2cmの円柱形のものであり、誘導カテーテル本体部6111と連続的な外表面を形成するように、その外直径は約12ないし12.5フレンチ(French)である。
【0094】
誘導カテーテル本体部6111は、下記のとおりの4つの主要な部分(main sections)を備えている(近位端から遠位端にわたって)。すなわち、主部6127と、第1移行先端部6126(transitional tip)と、第2移行先端部6125と、遠位カテーテル先端部6112とである。これらの4つの部分の各々は、適切な構成ないしは構造と、適切な寸法とを有している。
【0095】
編まれたワイヤからなるスリーブ(さや管)6134も、誘導カテーテル本体部6111の全長にわたって伸びている。しかし、このスリーブは、第2移行先端部6125まで伸びているだけであり、第2移行先端部6125の端部に対してやや近位側で終端し、近位側のカテーテル先端部の結合部6128(joint section)を形成している。記載された実施の形態においては、近位側のカテーテル先端部の結合部6128の幅は、ほぼ0.04+/−0.03インチ(約0.102cm+/−0.076cm)である。編まれたワイヤからなるスリーブ6134は、好ましく、ステンレススチールで形成されている。
【0096】
図6Eは、図6Cの4−4線で切断した誘導カテーテル本体部6111の断面図である。ここで指摘されている例外については、誘導カテーテル本体部6111を備えている4つの部分の各々の構成ないしは構造は実質的に同様であり、下記の層(layer)を備えている。最も内側の層は、好ましくはPTFEで形成された内側ライナ6132(inner liner)であり、その全長にわたって長手方向に伸びる中央腔6130を形成している。
【0097】
記載された実施の形態においては、中央腔6130の内直径は、約0.110インチ(約0.249cm)。好ましく、内側ライナ6132の外表面には、それぞれ長手方向に伸び互いに背向する2つのる溝部6136が形成されている。溝部6136内には、それらの方向を維持するための1対の小さい引っ張りワイヤチューブ6133が配置されている。好ましく、引っ張りワイヤチューブ6133はポリアミドで形成され、その内直径はほぼ0.012インチ(約0.0305cm)である。引っ張りワイヤ6121は、引っ張りワイヤチューブ6133内で、その軸方向に伸びている。引っ張りワイヤ6121(明瞭には記載されていない)の直径は、約0.01インチ(0.0254cm)である。引っ張りワイヤ6121はステンレススチール製のケーブル6150で構成されている。ここで、引っ張りワイヤ6121はPTFE製のスリーブ6151で被覆され、このスリーブ6151は、引っ張りワイヤ6121に、ポリアミドチューブ6133内における潤滑性を与えている。
【0098】
8つの編まれたリボンケーブル6153からなる層6135は、引っ張りワイヤチューブ6133のいずれか一方の側部に沿って長手方向に伸び、内側ライナ6132を取り囲むように構成されている。記載された実施の形態においては、センサ6118、6117のためのリードワイヤは、編まれたリボンケーブル6153内に配置することができる。この編まれたリボンケーブル6153は、一緒に束ねられたリボンケーブルを有し、個々の同軸ワイヤ6152の厚さは約8ミル(mils)である。編まれたワイヤスリーブ6134は、引っ張りワイヤチューブ6133及び編まれたリボンケーブル層6135の上方でその長手方向に伸びている。好ましく、編まれたワイヤスリーブは、ステンレススチールで形成されている。最後に、上記の外側のジャケット6127は、好ましくナイロンで形成され、編まれたワイヤスリーブ層6134を取り囲んでいる。
【0099】
カテーテル先端部6112は、1対の引っ張りワイヤ6121を用いて操縦することができる。操縦を助勢するために、各引っ張りワイヤは親指スライダ6170に接続されている。この親指スライダ6170は、ハンドルの外表面、好ましくはその遠位端の近傍に、スライド(滑動)可能に取り付けられている(図6C参照)。ハンドル6173には、1対の親指スライドが互いに背向するように配置されている。
【0100】
親指スライドをカテーテルに対して相対的に近位端方向にスライドさせることにより、引っ張りワイヤを引っ張ることができる。ここで、カテーテルは引っ張りワイヤに接続されているので、引っ張りワイヤは、カテーテル先端部6112を水平方向に屈折させる。この屈折により、カテーテル先端部6112は近位端側に移動した引っ張りワイヤの側部で凹状になる。反対側の親指スライドを誘導カテーテルに対して相対的に近位端側にスライドさせることにより、カテーテル先端部を逆向きに屈折させることができる。カテーテル先端部6112の屈折は、センサ6117、6118の位置を変えて、隣り合う流れパターンを正確に特徴解析するために生成される発散超音波ビームを変化させるのに用いることができる。水平面における左右の2方向移動は、親指スライド6170を用いて行うことができる。ここで、親指スライド6170は、引っ張りワイヤ6121に接続されている。前記のとおり、カテーテル先端部6112は、1ないし4の移動の自由度をもつことができる。引っ張りワイヤを1つだけ有する実施の形態では、単一の親指スライドを必要とするだけである。
【0101】
図6Fは、本発明の実施の形態に係る横向きのセンサ6215Aと前方観測用センサ6215Bとを有する操縦可能なガイドワイヤ6200の平面図である。図6Gは、本発明の典型的な実施の形態に係るガイドワイヤの遠位部の平面図である。ガイドワイヤ6200は、遠位端6206と、遠位部6208と、近位端6202とを備えている。ガイドワイヤ6200はまた、遠位端6226と近位端6222とを有するシャフト組立体6220も備えている。図6Fに示すように、シャフト組立体6220は、腔6224を形成しているコイル6230と、コイル6230の腔6224内に配置されたワイヤ6240とを備えている。コイル6230の遠位端6236は、先端部材6250に固定されている。同様に、ワイヤ6240の遠位端6246(図示せず)も、先端部材6250に固定されている。ワイヤ6240は、コイル6230の近位端6232を超えて伸び、ワイヤ140の近位部を形成し、ワイヤ140の近位端142で終端している。
【0102】
ガイドワイヤ6200のワイヤ6240は、ガイドワイヤ6200の遠位端6206の近傍に配置された曲がり部152を備えている。図6Gに示す実施の形態においては、ワイヤ6240の曲がり部6252は、実質的に付勢されない位置ないしは状態で示されている。この実施の形態においては、コイル6230は、強制的にワイヤ6240の曲がり部6252によって実質的に曲がった形状にされる。ワイヤ6240の曲がり部6252は、屈折させられた後、全体的に曲がった形状に戻るように付勢されている。コイル6230は複数巻きであることが分かるであろう。コイル6230の長手方向の軸は、全体的に曲がった経路に沿って配置されている。コイル6230は、隣り合うコイル6230の2つの巻きの間に配置された複数の間隙6556を形成している。当業者であれば、ワイヤ6240の曲がり部6252の曲率半径は、必要に応じて任意に設定することができるということが分かるであろう。同様に、曲がり部6252も、必要に応じて任意の角度に曲げることができる。
【0103】
図6Gは、ガイドワイヤ6200の平面図である。この実施の形態においては、コイル6230の近位部6234のまわりに複数のつまみ6258(grabber)が配設されている。図6G中には、ワイヤ6240の近位部6244に作用している力Fも記載されている。前記のとおり、ワイヤ6240の曲がり部6252は、全体的に曲がった形状となるように付勢されている。ワイヤ6240の近位部6244に力Fをかけると、コイル6230の巻き6254は、強制的に互いに近接させられ、ワイヤ6240は強制的に実質的に直線状の状態にされる。使用時には、例えば、医師は、左手の親指と人差し指とでコイル6230の近位部6234をつかむことができる。また、この例では、医師は、右手の親指と人差し指とでワイヤ6240の近位部6244をつかむことができる。かくして、医師は、強制的に、ワイヤ6240の近位部6244を、コイル6230の近位部6234に対して相対的に近位側に移動させることができる。
【0104】
本発明に係る方法においては、ガイドワイヤ6200は、患者の血管系に挿入し、ガイドワイヤ6200の先端部材6250が、本明細書に記載された進歩性を有する誘導(案内)技術を用いて決定された望ましい目標部位に近接するように、強制的に血管内を前進させることができる。ガイドワイヤ6200は、患者の血管系を通って前進させられるので、ガイドワイヤを「操縦する」ことが必要である。例えば、ガイドワイヤ6200の遠位端は、血管系の枝部(branch)に到達させてもよい。医師は、センサ6215A、6215Bによって収集されたデータを処理することにより生成されるフィードバック情報に基づいて、ガイドワイヤの遠位端を、血管系の所望の枝部に向けることができる。ガイドワイヤ6200の曲がり部6208は、操縦過程(プロセス)を促進する。曲がり部6252の血管に対する相対的な角度方向を変えるために、ガイドワイヤ6200の近位部にねじり力をかけてもよい。このようにして、ガイドワイヤ6200の遠位端を方向づけて、センサ6215A、6215Bを血管内で異なる方向に配置し、追加のセンサデータの収集及び処理を行ってガイドワイヤ6200の誘導を助けるようにしてもよい。一旦ガイドワイヤ6200が血管系内で位置決めされれば、ガイドワイヤ6200の近位端6202を、カテーテル(図示せず)のガイドワイヤ腔に挿入することができる。カテーテルの先端部は、該先端部が所望の目標部位に到達するまで、ガイドワイヤの長手方向に沿って前進させることができる。このようにして、ガイドワイヤ6200は、医師がカテーテルの遠位端を所望の目標部位、とくに本明細書に記載された超音波信号処理技術を用いて特定された目標部位に到達させるのを助けることができる。
【0105】
本明細書の随所においてワイヤ6240を説明するのに用いている「ワイヤ」との語句は、円形の断面を有するワイヤ6240に限定されるものと誤解すべきではない。ワイヤ6240の断面は、どのような形状であってもよい。例えば、ワイヤ6240の断面は、矩形、楕円等であってもよい。同様に、ワイヤ6240を説明するのに用いている「ワイヤ」との語句は、金属材料からなるものに限定されるものと誤解すべきではない。実際、ワイヤ6240は、多くの金属材料及び非金属材料でつくることができる。ある種の応用分野に適した金属材料の具体例としては、ステンレススチール、タンタル、チタンなどが挙げられる。ワイヤ6240の材料としては、当該技術分野ではニチノールの名称で知られているニッケル・チタン合金も挙げられる。ニチノールは、メモリテクノロジ社(コネチカット州、ブルックフィールド)、TiNiアロイ社(カリフォルニア州、サンリンドロ)、及び、シェイプメモリアプリケーション社(カリフォルニア州、サニーベイル)から商業的に入手可能である。ある種の応用分野に適した非金属材料の具体例としては、限定される訳ではないが、ポリカーボネート、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D、L−ラクチド)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−ラクチド−共(co)−D、L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−共(co)−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D、L−ラクチド−共(co)−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−共(co)−トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシルブチレート(PHBT)、ポリ(フォスファゼン)、ポリ(D、L−ラクチド−共(co)−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコリド−共(co)−カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリアンハイドライド(PAN)、ポリ(オルソエステル)、ポリ(フォスフェイトエステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリウレタン、ポリシロキサン、及びこれらの共重合体などが挙げられる。さらに、ガイドワイヤ6200は、管状の断面を有するワイヤ6240を備えていてもよい。例えば、ワイヤ6240は、ニチノールの皮下チューブを備えていてもよい。
【0106】
超音波画像に関連する超音波制御システムの具体例は、下記の特許文献に記載されている。
ジらに係る「同時の複数モード及び複数バンドの超音波画像化」と題された米国特許第6896658号明細書。
イムランらに係る「小型化された超音波装置及び方法」と題された米国特許第6251073号明細書。
キムらに係る「超音波信号処理装置」と題された米国特許第5492125号明細書。
ウッドらに係る「医療診断超音波システム及び方法」と題された米国特許第6561979号明細書。
ノリスらに係る「超音波血液流れ/組織の画像化システム」と題された米国特許第5477858号明細書。
ドプラー超音波に関連する超音波制御システムの具体例は、下記の特許文献に記載されている。
ヒューブッシャらに係る「超音波ドプラーフローメータ」と題された米国特許第4324258号明細書。
ハトケに係る「生体信号の収集のための方向性ドプラー超音波システム及び該システムを用いる方法」と題された米国特許第4143650号明細書。
イズミに係る「超音波ドプラー診断装置」と題された米国特許第5891036号明細書。
誘導(案内)に関連する超音波制御システムの具体例は、下記の特許文献に記載されている。
フラジンに係る「ガイドワイヤを備えたトランスデューサを用いるドプラー誘導式交代性特性解析」と題された米国特許第5220924号明細書。
ハルデマンに係る「検出された血液の乱れレベルを用いるドプラー誘導カテーテル」と題された米国特許第6704590号明細書。
ヨックに係る「動脈及び静脈の流れ方向に向けられたカニューレ挿入のための超音波発信トランスデューサを備えた注射器」と題された米国特許第5311871号明細書。
ホサックらに係る「医療診断超音波カテーテル、及び、トラッキング方法に関連する位置決定のための方法」と題された米国特許第6612992号明細書。
ブレイヤらに係る「血液流れの測定装置」と題された米国特許第5785657号明細書。
圧力推定に関連する超音波制御システムの具体例は下記の特許文献に記載されている。
スリワジュニアらに係る「圧力及び組織の特性をマッピングするための方法及び装置」と題された米国特許第5749364号明細書。
【0107】
図25は、図2中に示された制御・データ収集ユニット150及び信号処理ユニット160に設けられた付加的な構成要素をより詳しく示すブロック線図である。図25に示すように、制御・データ収集ユニット150は波形合成器2510と、発信・受信スイッチ2520と、マルチプレクサ2520とを備えている。
【0108】
例えばプログラム可能なパルスシーケンス生成器などで構成することができる波形合成器2510は、超音波センサ115を駆動するのに用いられる、図32中に示された電子パルスなどといった電子信号を生成するのに用いられる。電子信号は、システムの制御ロジックによってどのようなモードの処理が決定されたかに応じて、個別に遅延させられる。電子信号のシーケンス(順序)は、図32に示すようなシーケンスを生成するようにプログラムされている。
【0109】
波形合成器の出力部は、パワーアンプ、高速FETなどで構成することができる、発信機ブロック2520に設けられたパワー増幅器に接続され、ここで波形合成器の出力は増幅され、発信・受信スイッチに送られる。発信・受信スイッチ2520は、システム内のセンサに信号を送信し、あるいは該センサから信号データを受信し、信号処理ユニット160の構成要素に収集されたデータを供給する。オプションとして、発信・受信スイッチは、波形生成器から受信した信号を、所望のセンサ、及び、ブロック160内の対応する信号処理経路と結合させるように構成されたマルチプレクサを備えていてもよい。超音波センサ115は、パワー増幅器から受け取ったエネルギを、5ないし15MHzの周波数の機械的な音響波に変換することにより単一の発散超音波ビームを生成する。
【0110】
センサ115は、超音波ビームを検査の対象となっている材料に発信するように構成されている。血液、又は、血管もしくは心臓の壁などの反射性物体のようなビーム散乱性物体と単一の発散超音波ビームとの間の相互作用により、検査の対象となっている材料内にエコー(反射音)が生成される。センサ115は、このエコーを受信し、高周波数の機械的な超音波を電気エネルギに変換することにより、対応する電気信号を生成する。これらの電気信号は、発信・受信スイッチによって受信され、ブロック2520によって所望の信号経路の信号と多重化される。
【0111】
信号処理ユニット160は、マルチプレクサ2520から、超音波エコーに対応する電気信号を受信し、これらの信号を、モード制御ロジック2702により選択されたモードに従って、処理経路(processing path)に分配する(distribute)。処理経路は、方向及び位置を決定するのに用いられる方向情報と血液の速度とを生成するためのドプラー速度推定器2530を備えている。信号処理ユニット160は、血管壁及び低速の血液塊(血液クラスタ)を含んでいる、低速で移動する目標の移動に関する情報を生成する目標追跡器2540を備えている。信号処理ユニット160は、センサが血管壁と接触しているか否かを決定するための目標構造推定器2550を備えている。目標構造推定器2550はまた、壁近傍の情報を生成し、血管の内直径を推定するためにも用いられる。図25中に示されているように、ドプラー速度推定器2530、目標追跡器2540及び目標構造推定器2550の出力は、すべてパターン解析ブロック2560によって受信される。パターン解析ブロックは、速度勾配及び血管の内直径についての情報から血液の圧力勾配を推定し、血液の流れのパターンを決定し、血管内における位置を含む、検査対象となっている超音波の目的物の特性のパターンを推定する。
【0112】
図26は、複数・単一ビーム超音波システムによって実施される誘導アルゴリズムの実施の形態を示すフローチャート2600である。まず、ステップ2605で、自己試験を開始する。センサ及びシステムが合格であれば、緑色のLEDが点滅する。
【0113】
次に、ステップ2610で、システムはセンサからデータを収集する。図26中に示されているように、制御・データ収集ユニットによって制御される1つ又は複数の単一ビームセンサが存在する。次に、ステップ2615で、方向を特定するためのパターン/しきい値を測定ないしは調整し(calibrate)計算する。
【0114】
次に、ステップ2620で、位置を特定するためのパターン/しきい値を測定ないしは調整し計算する。必要であれば、これらを、血管系内における何らかの位置を特定する、予め格納された流れパターンのデータベースと比較する。この後、ステップ2625で、パターン/しきい値を格納する。
【0115】
次に、ステップ2630で、システムは、ユーザに指示を与え、緑色のLEDの点滅を常時点灯に変えることにより、測定ないしは調整が行われたことをユーザに知らせる。
【0116】
測定ないしは調整が終了した後、次のステップ2635で、システム内の1つ又は複数のセンサからデータを収集する。収集されたデータを、ドプラー速度推定器、目標追跡器及び目標構造推定器のうちの1つ又は複数のものを用いて処理し、システム制御ロジックによって指示されるように圧力を計算する。
【0117】
次に、ステップ2640で、収集されたデータにパターン解析を施し、センサから受け取ったデータが、システムによって認識することができるパターンを含んでいるか否かを決定する。ステップ2640の判定結果が「No(いいえ)」であり、パターンを認識することが不可能であることを示していれば、システムをステップ2645に進め、センサのデータを、目標構造推定器によって生成されたデータと比較し、センサが血管壁に突き当たっているか否かを決定する。
【0118】
ステップ2650の判定結果が「Yes(はい)」であり、システムによって壁が検出されていれば、黄色のLEDが点灯し、センサが血管壁に突き当たっていることをユーザに知らせる。次に、システムはステップ2635に戻り、センサからデータを収集する。
【0119】
ステップ2650の判定結果が「No」であり、先行する処理ステップ及び壁のパターンのいずれもが一致しないときには、システムはセンサの位置を決定することが不可能であるので、黄色のLEDを点滅させ、システムはセンサの位置を決定することができない旨をユーザに知らせる。次に、システムはステップ2635に戻って、センサからデータを収集する。
【0120】
ステップ2640の判定結果が「Yes」であり、センサのデータのパターンが認識可能であることを示していれば、システムはステップ2665に進み、センサのデータを方向のパターンと比較する。ステップ2665における判定の結果が「Yes」であり、センサのデータが移動の方向が誤っていることを示していれば、赤色のLEDを点灯させることにより、ユーザにその旨を知らせる。この後、システムはステップ2635に戻り、センサからデータを収集し、移動の方向の誤りを是正することができたか否かを決定する。
【0121】
ステップ2640の判定結果が「No」であり、方向のパターンの比較が、センサが適切な方向に移動していることを示していれば、緑色のLRDを点灯させ、現在のカテーテルの進行方向が適切であることをユーザに知らせる。
【0122】
次に、センサのデータを位置のパターンと比較する(ステップ2680)。判定結果が「No」であり、カテーテルが所定の適切な位置に存在しないことを示していれば、システムはステップ2685に戻り、センサからデータを収集する。
【0123】
ステップ2680の比較の結果が「Yes」であり、カテーテルが所定の適切な位置に存在することを示していれば、システムはステップ2690を継続して実行し、センサが適切な位置に存在することをユーザに知らせ、青色のLEDを点灯させる。
【0124】
図27は、複数・単一ビーム超音波システム2700の実施の形態のブロック線図を示している。このシステムは、下記の操作モードのうちの1つを選択することが可能なモード選択器2715を備えている。すなわち、A−モード又はA−スキャンモードを選択することができ、ドプラー連続波(CW)モード又はドプラーパルス波(PW)モードを選択することができ、目標トラッキングモード又は単純トラッキングモードを選択することができる。これらのモードは、制御ロジック2702により接続されているセンサの各々に対して個別に又は順番(シーケンス)に選択することができる。波形合成器は、制御ロジック2702によりプログラムされた計画又は手順に従って、センサのための起動パルスを生成する。発信・受信スイッチ2520は、システムとセンサの間の電気経路を切り換えるとともに、発信モードと受信モードとを切り換える。マルチプレクサ2520は、複数のセンサの間でのシステムの使用態様を多重化する。モード選択器2720は、制御ロジック2702によってプログラムされた信号処理経路を選択する。個別に又は任意の組み合せで用いることができる下記の3つの信号処理経路が設けられている。すなわち、血液の速度のためのドプラー処理2725及び方向の推定2730の経路と、血液の低速移動及び対象となっているその他の目標を推定するための目標トラッキング(追跡)の経路と、目標構造の推定2745のためのA−モード又はA−スキャン2740の経路とが設けられている。多数の従来の技術のうちの任意のものを用いて圧力2750を計算することができる。ここで、圧力は速度情報を用いて計算される。このような技術の1つが、その全内容が参照により本明細書に組み入れられている米国特許第5749364号明細書に記載されている。パターン解析。認識エンジン2650は、血液の流れのパターン2765を推定し、目標の特性2775を推定し、最終的には血管系2770内における遠位端の位置を推定する。検出されたパターンを比較するためにデータベース情報2755が用いられる。測定ブロック2760は、生体内患者特定システムの測定を行う。自動最適化ブロック2780は、状況に応じたシステム設定の調整を行う。モード選択2702のための制御ロジックは、ユーザの入力と現在のシステム設定とに基づいて、操作モード又はモードの順序を選択する。
【0125】
波形合成器2510は、センサのための励起波形を生成する。この波形は、操作モード(A−スキャン、ドプラー、トラッキング)に依存し、所望のモードに従って選択することができる。いつでも、任意のスキャンモードを組み合わせることができる。図32は、n個のセンサをリアルタイムで駆動し、これにより各センサを一連(直列)の操作モードで駆動する場合の態様を示している。図32に示すように、まず、センサAが、定期的にA−スキャンを行うパルスによって駆動される。好ましい実施の形態においては、A−スキャンは、10ミリ秒ごとに行われる。追加のセンサが存在する場合、この追加のセンサは、パルス反復周波数(PRF)と呼ばれている周波数で発射される(fired)ドプラーパルスシーケンスで直ちに駆動することができる。好ましい実施の形態においては、PRFは40KHzである。1つのセンサのみがA−スキャンモード及びドプラーモードの両モードで駆動される場合、ドプラーパルスシーケンスは、A−スキャンパルスの後において、1/PRFの遅延の後でのみ発射することができる。少なくとも1/PRFの後において、最後のドプラーパルスを発射した後、センサは、トラッキング情報を得るために再びパルスを発射することができる。トラッキングモードは、ある時間内において異なる瞬間に順に発射される2つのパルスを必要とする。図32に示す好ましい実施の形態においては、2つのトラッキングパルス間の遅れはほぼ1ミリ秒である。1つのセンサについて全てのモードでパルスが順に発射された後、次のセンサを同一又は異なる順序(シーケンス)で励起することができる。さらに、全てのセンサを励起することができ、各センサは、1番目のセンサから再び動作を開始する。異なるモードと異なるセンサとで、励起パルスを任意に組み合わせることが可能である。例えば、センサ1をトラッキングモードで励起し、この後直ちにセンサ2をトラッキングモードで励起することができる。このような手順においては、角度の測定は、速度の測定と独立して行うことができる。パラメータ波形の生成についてのさらなる具体例は、その全内容が参照のために本明細書に組み入れられている下記の特許文献に記載されている。
ジらに係る「同時の複数モード及び複数バンドの超音波画像化」と題された米国特許第6896658号明細書。
ギーに係る「医療超音波画像化システムのためのパラメータ伝達波形生成器」と題された米国特許第6551244号明細書。
【0126】
波形合成器2510はまた、コード化された励起を行うことも可能である。図33に示すように、コード化された励起は、より大きい体積のサンプルに対してより大きい透過深さを生じさせる。これは、より良好なコントラストの解像を可能にし、血液の流れの検出のトラッキング(相関)アルゴリズムを助ける。図33Aは、操作周波数における単一パルスの波形を示している。好ましい実施の形態においては、好ましい周波数f0は10MHzである。図33Bは、コード化された励起を示している。同一の操作周波数で、正又は負の極性をもつ一連のパルスが生成される。好ましい実施の形態においては、好ましい手順(シーケンス)では、2つの正の極性のパルスと、これに続く間隙と、これに続く1つの正の極性のパルス及び2つの負の極性のパルスとで構成されている。フィリップスに係る「コード化された伝達パルスを用いる医療診断超音波画像化システム」と題された米国特許第6213947号明細書には、代替的なコード化された励起方法が記載されている。
【0127】
発信・受信スイッチ及びマルチプレクサ2520は、従来技術係るものである。この機能的なブロックは、信号経路を、接続されているすべてのセンサに対して択一的に多重化する。これは、パルスモードにおいては、センサへの信号経路を、発信側と受信側との間で切り換える。このような機能性は、その全内容が参照のために本明細書に組み入れられている下記の特許文献に記載されている、ジらに係る「同時の複数モード及び複数バンドの超音波画像化」と題された米国特許第6896658号明細書に記載されている。
【0128】
図31は、本発明に係る励起の結果、センサによって生成された超音波ビームの特定の特性を示している。図5に示すように、センサ及び細長い部材は、可能な限り大きいビーム、すなわち図31に示すような可能な限り大きい直径をもつビームを生成するように最適化されている。生成された任意のビームで、解析すべき目標の体積部を最大にするためには、この体積部の長さを同様に最大にするのがよい。対象となっている目標の体積は、ビームの幾何学的形状によって囲まれた3次元領域として形成され、収集窓の中に収容されている。収集窓の長さ又は最大の体積解析深さの長さは、操作周波数及びパルス反復周波数の2つのパラメータによって決定される。操作周波数は、体内の組織における超音波の透過深さを決定する。好ましい実施の形態においては、操作周波数は約10MHzである。これは、透過の最大深さを約20mmにすることを可能にする。20MHzでは透過の深さは3〜5mmにすぎず、これは内直径が10〜20mmである大静脈における静脈の流れを解析するのには不十分である。本発明の好ましい実施の形態におけるパルス反復周波数は約40KHzである。これは、2つのパルス間の静脈の流れに対して超音波が透過するのに十分な深さである。これはまた、静脈の流れに対する、関連するドプラー速度を計算することを可能にする。動脈の流れにおいては、該動脈の流れの高い速度を把握するために、パルス反復周波数(PRF)は100KHzの近辺でなければならない。100KHzのPRF、すなわち1/PRFのパルス反復間隔では、十分に大きなサンプルの体積部を生成するために、超音波ビームが2つのパルス間を伝播するのに十分な深さとはならない。
【0129】
目標トラッキングブロック2735の機能性は、「相互相関」、「自動相関」及び「相関」方法としても知られている。ここで提案されたトラッキングのアルゴリズムは、例えば血液細胞又は血液塊(クラスタ)などの目標を所定の時間でトラッキングするといった思想と、所定の時間内に2つの異なる瞬間にその位置を検出するといった思想とに基づいている。所定の時間内における2つの瞬間の間に目標が移動する距離を決定することにより、目標の速度を計算することができる。この概念は、図28に示されている。ここでは、瞬間t1にシステムが目標の体積部から超音波エコーを受信し、瞬間t2で同一の目標体積部から異なるエコーを受信するものとしている。このシステムは、相互相関の信号処理技術を用いて、瞬間t1における特定のエコーのパターンを瞬間t2におけるエコーのパターンと整合(match)させる。パターンが整合するときには、それらが相関しているということになる。速度の推定は相互相関解析から得られるもう1つの結果である。なぜなら、この解析は、整合しているパターン間の距離を決定するからである。整合するパターンが同一の目標をあらわしているとすれば、この特定の目標の推定速度を移動距離と時間差とから計算することができる。乱流(turbulence)の推定は、相互相関解析のもう1つの結果を生じさせる。これにより目標のエコーパターンはある瞬間から次の瞬間に変化する。さらなる相関が存在しさらなる層流(laminar)が存在する。なぜなら2つの瞬間の間の変化は小さいからである。相関が小さいほど流れの乱れは大きくなる。
【0130】
図29は、トラッキング方法2900の好ましい実施の形態を示している。センサからの信号は、リアルタイムでブロック2905に入力される。このブロックは、メモリを備えた入力データバッファ、好ましくは少なくとも2つのA−スキャンのメモリを備えた2重ピンポンバッファ(double ping-pong buffer)を含んでいる。受信された信号は、ブロック2910によって前処理が施され、ノイズが除去される。相互相関の計算を促進するために予め決定された値に対して再測定されるブロック2915は、図28に関して前に説明したプログラム可能な窓を用いて相互相関関数を計算する。ブロック2920は、遅延軸上の特徴点、即ち相関が最大となる点を決定する。血液を含んでいる人間の組織内における音の速さが約1540m/秒であるとすれば、最大の相関の遅れに対応する図28中における距離dsを計算することができる。ブロック2930は、解析されている2つのA−スキャンの間の遅延dtと値dsとから目標の速度を計算する。タイミングブロック2940は、相互相関計算を波形合成器2510と同調させる(図27)。速度推定の出力は、ブロック2950によって、圧力推定ブロック2750(図27)と、流れパターン推定器2765(図27)とに送られる。
【0131】
プローブ又はセンサと血液の流れとの間の角度に依存するドプラー方法とは異なり、ここに記載されたトラッキング方法は、角度には依存しない。角度に依存しないトラッキングは、血管系における位置を検出するより良好な性能を生じさせる。相対的な先端部の位置は、血管壁に関してどのような依存性も有しない。角度に依存しないトラッキングはまた、低い速度を所望の目標(すなわち血液)と、低い速度と、望ましくないもの(即ち血管壁が移動するといった不具合)とを分離する技術を提供する。従来のドプラー技術では、低速のトラッキングにおけるこのような分離又は区別が不可能である。この進歩性を有する方法に係る角度に依存しないトラッキング技術は、容量的指示には対応するがドプラー処理で用いられる定時の指示には対応しない。換言すれば、この進歩性を有する方法に係る角度に依存しないトラッキング技術は、ドプラー処理方法によって課されるサンプルの体積の寸法による制限を受けない、より大きいサンプルの体積の血液の流れから情報を得ることができる。
【0132】
再び図27に示すように、圧力推定器2750は、センサを備えたデバイスが血管系を通って進むときに、血液の圧力勾配を推定する。この圧力は、血液の速度勾配から推定される。この圧力は、ドプラー方法又は目標トラッキング方法により、血管の内直径の推定値から決定される。1つの実施の形態においては、血管の内直径は、血管系内のセンサの相対的な位置に基づいて、データベースから取り出される(retrieved)。もう1つの実施の形態においては、デバイスの進行方向と垂直なセンサの1つがA−モードで用いられ、血管壁の近傍の特徴と血管の内直径とを推定する。多数の従来の技術のいずれかを用いて圧力を計算することができる。ここで、圧力は速度情報を用いて計算される。このような技術の1つが、スリワジュニアらに係る「圧力及び組織の特性をマッピングするための方法及び装置」と題された米国特許第5749364号明細書に記載されている。圧力を検出/測定するための本発明に係るセンサを用いる場合の利点は、造影剤の注入に依存する従来の圧力推定技術を用いなくてもよいということである。
【0133】
図27に示すように、ドプラー偏移推定器2725は、図30に記載されているように、ドプラー偏移を推定する。速度及び方向推定器2730は、ドプラー偏移を用いて、速度とスペクトルパワーとを計算する。この後、速度及びスペクトルパワーは、圧力推定器2750によって用いられ、圧力勾配が推定され、流れパターン推定器2765によって流れバターン及びその傾向が決定される。超音波周波数の信号は、血管内に発信される。この周波数成分をf0とする。本発明の好ましい実施の形態においては、f0は約10MHzである。血管から後方に散乱するエコーは、血液の速度に直接比例する量によって変化する周波数成分を含んでいる。ここで、周波数変化をΔfとし、これに対応する血液の流速をvとすれば、Δf=k*vとなる。なお、kは定数である。かくして、後方に散乱する信号は、周波数成分(f0±Δf)を含んでいる。この偏移の符号は、血液の流れ方向によって決定される。連続波の超音波検査信号においては、周波数偏移は血液の速度成分のみによって生じるのではない。それは、多数の速度成分の寄与によるものである。かくして、偏移した成分中には、単一周波数偏移ではなく、ある幅の周波数が存在する。この信号は時間領域内で検出され、フーリエ変換が計算され、周波数領域信号が生成される。血液の速度を示す周波数偏移は、ゼロクロス計算技術(zero crossing counter technique)を用いて時間領域内で解析することができる。周波数領域においては、周波数偏移を、フーリエ解析を用いて計算することができる。
【0134】
図30に示す実施の形態においては、波形合成器2510は、励起パルスを生成し、これを、ここに記載された1つ又は複数のセンサに供給する。さらに、この励起パルスは、90°位相偏移ブロック3005を介して、混合器3015に供給される。混合器3010、混合器3015及び「90°偏移」ブロック3005からなる集合体は、受信された信号の直交復調を生じさせる。この直交復調信号は、順方向(センサから離れる)及び逆方向(センサに向かう)の速度に対応する。位相検出器は、血液の速度を示す2つの信号における位相偏移を計算する。混合器3010及び3015の出力は、信号から「雑音(clutter)」を除去するために最適化された高フィルタ(high filter)に入力される。この場合、雑音は、(低い速度/高い強度)の移動、例えば血管壁の移動として定義される。低い速度/高い強度の移動は、正確なドプラーアルゴリズム処理と抵触するので、除去される。適切な雑音の除去のためには、自動相関器(ブロック3025)を用いてもよい。適切に雑音を除去している間は、自動相関器は、自動相関機能を用いて、収集されたデータを処理し、雑音のパターンが存在する否かを決定する。自動相関機能を用いた収集データの処理が、雑音が存在すると決定した場合(即ちブロック3030がYes)、雑音フィルタはオンされ、雑音が所定のしきい値より小さくなるまでこの制御ループが繰り返される。この場合、信号及び自動相関係数は、さらに速度及び検出推定器2730(図27)に送られる。この速度及び検出推定器2730は、相関器及び目標トラッキング推定器2735によって生成された雑音を含まない信号から、ドプラー周波数とスペクトルパワーとを計算する。
【0135】
雑音除去部は、ドプラー測定の正確さを低下させないように、低い速度/高い強度の情報を除去する。しかしながら、低い速度/高い強度の情報は、血管壁を含む対象となっているその他の目標の検出に有用なデータをしばしば含んでいる。血管系内を誘導されているセンサ又はデバイスは血管壁に接近するということに注意しなければならない。この進歩性を有するシステムで用いられる技術の1つは、血液の流れからデータを収集するためのセンサを2つ用いるといったものである。本発明の1つの実施の形態においては、センサは、誘導血管系アクセスデバイスに取り付けられ、センサによって収集されるデータを最適化する。このように速度データが最適化される場合、1つ又は複数の前方を観測するセンサ又は角度が付いたセンサは、ドプラーモードで駆動され、速度情報を生成する。壁の位置/距離のデータが最適化される場合、1つ又は複数の側方を観察するセンサ又は角度が付いたセンサは、A−スキャンモードで駆動され、血管壁の近傍についての情報を生成する。もう1つの好ましい実施の形態のおいては、1つのセンサが下記の一連のモードで駆動される。
a) 速度及び方向の情報を生成するドプラーモード。
b) 壁近傍についての情報、すなわちセンサが血管壁に近接(当接)しているか否かの情報を生成するA−スキャンモード。
1つの実施の形態においては、センサは、先端部に取り付けられたセンサである(例えば図13A、図13B、図7、図8A、図23A及び図24)。もう1つの実施の形態においては、センサは、横向きに取り付けられたセンサである(例えば図13C、図11A又は図11B)。
【0136】
ドプラー偏移推定器及び速度及び方向推定器は、上記のパルス波モード(PW)に加えて、連続波ドプラーモード(CW)で動作するようにプログラムすることができる。CWモード処理においては、従来と同様に2つのセンサが用いられる。一方のセンサは連続的に駆動されて超音波エネルギを発信し、他方のセンサは連続的に超音波エコーを受信する。図15、図9A、図13A、図13B、図24及び図23Aに示す誘導血管系アクセスデバイスの実施の形態は、指定された1つ又は複数のセンサによってCWモードで動作して超音波を発信し、他の1つ又は複数のセンサからエコーを受信するように構成してもよい。これらの図に示す他の単一のセンサの実施の形態を、追加の専用の発信センサ又は受信センサを備えるように修正してもよいということがわかるであろう。さらに、単一のセンサを備えた誘導血管系アクセスデバイスの実施の形態においては、このセンサをCWモードで動作する2つのセンサで置き換えてもよいということがわかるであろう。
【0137】
再び図27に示すようにA−スキャン又はA−モードブロック2740は、従来の手法で、対象となっている目標からのエコーの振幅を受信し処理する。A−スキャンのパターンを解析することにより、目標構造推定器(ブロック2745)は、血管壁、例えばセンサ近傍の血管壁の周りの情報を生成する。このような状態は図35に示されているが、このとき、センサ110は、所定の位置2に配置され、図示された波形のA−スキャン信号が増加する。このA−スキャン処理はとくに必要である。なぜなら、ドプラー前処理(すなわち図30に記載された雑音フィルタ)は血管壁のような低速で移動している目標からの強いエコーを除去するからである。本発明にかかる超音波処理技術は、好ましくドプラーと結合し又は組み合わせられたA−スキャンを用いて、データ収集を最適化し、ここに記載された、静脈系における低い血液の流速に対する複数・単一ビーム超音波システムの処理を最適化する。このように、ドプラー処理は、雑音フィルタにより低速の流れに対して最適化される。そして、A−スキャンは、低速で移動している強いエコーの血管壁の存在を検出するように最適化される。
【0138】
図27に示すように、パターン解析ブロック2650は、速度及び方向推定器2730、相関器及び目標トラッキング推定器2735、圧力推定器2750及び目標構造推定器2745からの入力情報を処理する。パターン解析操作の結果は、誘導血管系アクセスデバイス(ブロック2770)の位置についての情報を生成するために用いられる。位置推定器2770による処理結果は、デバイス状態指示ランプ(緑色、赤色、青色及び黄色等)を制御するのに用いられる。これは、必要であれば、特定のユーザインタフェース(例えば図4、図34〜40、図49、図50A及び図50B)又は音響出力(即ち図49中のスピーカー4901)を制御するのに用いられる。パターン解析2650は、データ収集及び複数の方向のパターンの認識のための複数の源(source)のリアルタイムの相関を生じさせる。パターン解析2650で実施される機能は、グラフィックユーザインタフェース4900(図49)中に示された位置情報及び特性パターン4945、4935を生成するように修正してもよい。さらに、パターン解析2650で実施される機能は、目標信号の特性を高い信頼性で決定できるように、信号の悪影響(不具合)を除去するように修正してもよい。パターン解析2650で実施される機能によって除去することができる信号の悪影響の具体例は、単なる例であって限定されるわけではないが、血液の流れの中で誘導血管系アクセスデバイスを手動で進めることにより生じる速度の悪影響及び呼吸動作である。
【0139】
流れパターン推定器2765は、速度及び圧力の推定を用いて、リアルタイムで血液の流れパターン、例えば速度プロフィール、方向、パワースペクトル等を決定する。ここで、少なくとも100回の心臓の鼓動についての値が、データを一時的に蓄積する履歴バッファに蓄積される。これは、履歴バッファについて流れパラメータの統計的な平均を計算し、フーリエ変換を行い、速度データのパワースペクトルを生成する。1つの実施の形態においては、フーリエ変換は高速フーリエ変換(FFP)アルゴリズムにより行われる。流れパターンの推定の結果は、図34〜48に示されている。例えば図34においては、グラフ「1」は、ドプラー信号又は目標トラッキング方法を用いて計算された尺側皮静脈における時間の関数としての血液の流速の分布を示している。図34中のグラフ「1」は、上腕動脈についての同様の情報を示している。図36に示すもう1つの例においては、トランスデューサ(センサ)から離れる方向の速度のスペクトルパワーと、トランスデューサ(センサ)に向かう方向の速度のスペクトルパワーとが示されている。図34〜48は、単に例示の目的で単純化して速度及びパワーを示したグラフであり、実際に処理されたデータをあらわすものではないということに注意すべきである。
【0140】
目標特性推定器2775は、流れパターンと目標構造情報とを組み合わせて、身体構造の目標の複数方向の特性を決定する。例えば、図35は、センサを備えた細長い部材が血管壁に対向(当接)している状態を示している。速度曲線は、尺側皮静脈「1」中で予測することができる流れから、明らかに速度情報を欠いている状態「2」に移行(変化)した状態を示している。この移行は複数回生じている。A−スキャンのパターンをみれば、目標に対する血液(低反射率)「1」から、血管壁である高い反射率「2」への移行を認識することができるであろう。さらに、目標トラッキング情報を用いて、血管壁が低速で移動していると推定される目標を確認することができる。複数方向の目標特性の推定のさらなる具体例は、グルンワールドによる超音波を用いた統計的特性に基づく生理学的構造を認識するための方法である。これは、グルンワールドにかかる「統計的特性を用いたIVUS物体の断面積を計算するための方法及び装置」と題された米国特許第6120445号明細書に記載されている。
【0141】
位置推定器2770は、血管内における位置を推定するために、推定された目標の特性を、特性のデータベース又はガイドラインと比較する。例えば、位置推定器2770は、誘導血管系アクセスデバイスが移動するときに、デバイスが血管内における血液の流れと同一方向に移動するか、それとも反対方向に移動するかを決定するのに用いられる。この後、ユーザに、位置推定の結果が知らされる。ユーザはまた、モニタをA−スキャン情報及び流れパターンを表示するように切り換えることにより、又は専用のディスプレイ(すなわち、図49)を設けることにより、A−スキャン情報及び流れパターンに直接アクセスすることができるということに注目すべきである。このように、ユーザは、システムから提供される情報に基づいて行うべき誘導動作に関する最終的な決定を行わなければならない。もう1つの具体例では、推定器2770は、大静脈の下側の1/3の部分に対応する部位における目標の特性を検出する(すなわち、図38及び図53)。この情報をユーザに提供することにより、システムは、センサ及びカテーテルを望ましい位置に位置決めすることを助ける。図38は、1つの実施の形態で用いることができる流れパターンにおいて、デバイスがSVCの下側の1/3の部位に到達して青色のランプが点灯したことを示している。
【0142】
特性データベース2755は、目標を特定するために、決定された目標特性推定器をデータベース内の特性を比較するのに用いられる。もう1つの実施の形態においては、データベースは、目標を特定するための、身体構造の決定基準、しきい値、及び統計的な決定要素を格納している。データベース及び決定要素は、互いに独立して用いることができる。これらを組み合わせて用いる場合、提供される情報は、より安全な目標の特定につながる。
【0143】
調整ブロック2760(較正ブロック)は、システムの設定を各患者に動的に適合させるようになっている。この構成要素は、検査の対象である患者に関する流れのパターンについての情報を生成するために必要とされる。この場合、調整は、アクセス地点又はその直後、すなわち血管系内の既知の地点における血液の速度及びパターンの決定を意味する。このようなパターンとしては、限定されるわけではないが、平均速度、速度のスペクトル、心臓の拍動の1サイクル中における速度プロフィール、順方向(direct)又は逆方向の流れの速度及び比率などが挙げられる。アクセス地点における速度パラメータの決定に加えて、調整アルゴリズムは、これらのパラメータをデータベースの値及びパターンと比較し調整することができる。アクセス地点におけるパターンと末端地点(終了地点)におけるパラメータとの間の関係についての情報は、データベースから取り出す(回収する)ことができる。
【0144】
自動最適化ブロック2780は、システムの動作を最適化するために、システムの設定を自動的に調整する機能を有している。ある実施の形態においては、下記のパラメータが自動的に最適化される。
1) A−スキャンに対するダイナミックレンジ
2) 雑音フィルタのカットオフ周波数
3) 速度情報を最適化するためのサンプルの体積寸法
適切なさらなる自動最適化方法は、下記の特許文献に記載されている。
バキルシオグルらに係る「ドプラー超音波画像化の自動的な最適化のための方法及び装置」と題された米国特許第6733454号明細書。
ブラウワらに係る「画素の強度ヒストグラムに基づいて画像化システムを操作するのに適した方法及び装置」と題された米国特許第6542626号明細書。
【0145】
図34〜図48は、本明細書に記載された複数・単一ビーム超音波システム及び技術ないしはその使用方法を、どのようにして血管内アクセス・誘導システムとして用いることができるかということについての特定の例を示している。当業者であれば、これらの図においては、波形は、図示を容易にするために単純化され、時間軸方向に縮められた波形にすぎないということが分かるであろう。この血管内アクセス・誘導システムは、図7〜図24を参照しつつ前に説明したような態様で患者の血管系にアクセスできるように構成(順応)された細長い部材を備えている。
【0146】
図34〜図48には、誘導血管系アクセスデバイス110に関して、血管系内で構造物にアクセスし、該構造物を操縦し、配置する方法が記載されている。この誘導血管系アクセスデバイス110は、患者に対して治療を施し、及び/又は、他のデバイスのために血管内アクセスを行いように構成されていてもよい。ここで、デバイス110は、カテーテルであっても、ガイドワイヤであっても、探り針であってもよい。
【0147】
誘導血管系アクセスデバイス110は、その遠位端に配置され、関連する発散レンズを有していてもよい1つ又は複数のセンサを備えている。ここで、1つ又は複数のセンサは、誘導血管系アクセスデバイス110がすでに挿入された患者の静脈血管系における生体内非画像基本超音波情報を生成するように構成されている。1つの発散レンズを1つのセンサに関連づけてもよく、また複数のレンズを1つのセンサに関連づけてもよい。さらに、誘導血管系アクセスデバイス110からセンサを取り外し可能に取り付けられるように構成されたセンサ取り付け機構を設け、誘導血管系アクセスデバイス110が患者の血管系内に残留するようにしてもよい。
【0148】
患者の血管系内の誘導血管系アクセスデバイス110には、センサによって生成された患者の静脈血管系に係る生体内非画像超音波情報を受信して処理するように構成され、遠位端の位置及び/又はセンサの位置に関する位置情報を生成するプロセッサが設けられている。このプロセッサは、さらに、患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、患者の血管系内における所望の方向への誘導血管系アクセスデバイス110の出力情報の移動を指示するように構成されている。さらに、このプロセッサは、静脈血の流れの方向、静脈血の流速、静脈血の流れ特性のパターン、圧力特性のパターン、A−モード情報及び流れの末梢非ランダム方向からなるパラメータ群の中から選択されたパラメータに基づいて、患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理するように構成されている。図34〜図48の各図においては、デバイス進行又は位置指示器50は、位置情報を出力するように構成された出力デバイスとして機能するとともに、プロセッサからの他の指示器として機能する。デバイス進行又は位置指示器50は、適切な構成のランプ(light)の配列を備えており、これらの図中においては、ランプの配列の色が示されている。
【0149】
とくに、図34〜図48は、体内の静脈系に機器(instrument)を位置決め(配置)するために体内の静脈系にアクセスすることにより、体内の静脈系に機器を位置決めするための方法を詳しく示している。次に、機器は、超音波信号を身体の静脈系内に発信する。ある実施の形態においては、機器は、Aモードの超音波信号を身体の静脈系内に発信する。他の実施の形態においては、機器は、非画像化相互相関モードの超音波信号を身体の静脈系内に発信する。この後、上記センサ又は他のセンサが、血管系からの反射超音波信号を受信する(受け取る)ために用いられる。ある実施の形態においては、血管系からの反射超音波信号は、2ないし20cm/秒の流速を示す。反射超音波信号は、血管系内における流れのパターンを決定するために処理される。決定される流れのパターンは、機器から離れる方向のもの又は機器に向かう方向のものであってもよい。次に、決定された血管系内の流れのパターンは、血管系内で機器を前進させるために用いることができる。付加的又は代替的に、決定された血管系内の流れのパターンは、特定の血液の流れのパターンを示す信号の存在を検出するために評価することができる。
【0150】
図34〜図49は、血管へのアクセスのためのシステム及び技術を、中心静脈系へのアクセスにどのように応用するかを示している。この例においては、デバイス110を、尺側皮静脈で静脈系に挿入し、図38に示されているように、上大静脈の下側の1/3の部位まで進めることが意図されている。人間の静脈系は、その一部分として、橈側皮静脈8、尺側皮静脈6、頸静脈10、腕頭静脈(腕頭静脈)12、上大静脈14及び下大静脈16を含んでいる。この図38には、心臓20の構成部分である三尖弁24(tricuspid valve)及び右心房22も示されている。
【0151】
最初に誘導血管系アクセスデバイス110が血管系に導入されたときには、該デバイス110が静脈又は動脈のいずれにアクセスしたのかが明らかでない。「1’」で示す位置に係る波形は、デバイス110上のセンサに向かう流れと該センサから離れる流れの両方を含む脈動流れを示している。このとき、デバイス状態指示器50は、赤色のランプを点灯させ、センサが望ましくない方向ないしは位置にあることを示唆する特性の流れパターンを検出したことを表示している。このシステムは、赤色のランプを点灯させている。なぜなら、この例に係る特定のアクセス方法は、デバイスを、順行性(antegrade)の静脈の流れ経路に沿って中心静脈にアクセスするように誘導することを意図しているからである。「1’」の部位で生成された波形は、明らかに、センサが静脈系内の正しい位置に配置されていないことを示している。
【0152】
次に、デバイス110は、上腕動脈から引き抜かれ、今度は尺側皮静脈6にうまく挿入される。「1」の部位に係る波形は、センサから離れる方向の非脈動の低速の流れを示している。デバイス状態指示器50は、緑色のランプを点灯させ、センサが望ましい方向ないしは位置にあることを示唆する特性及び/又は流れパターンを検出したことを表示している。このシステムは、センサが望ましい位置に存在することを示している。なぜなら、センサは、静脈系内でセンサから離れる方向の流れが存在する位置であることを示す流れのパターンを検出したことを示し、かつ、センサが、SVCに向かう望ましい順行性移動のための正しい方向ないしは位置にあることを示しているからである。
【0153】
デバイス110が人の静脈系内に適切に挿入された後、図26、図27、図29及び図30に記載された前記のデータ収集及び信号処理のための技術及びシステムは、患者の特定のデータを収集して処理し、これらのデータを、患者の特定のデータベースの一部として格納(記憶)するとともに、特性データベースとして使用する。患者に関するセンサデータを収集することにより、患者に依存する処理のためのリアルタイムの生体内システム調整を行うことができる。特定の患者の特定の状況に依存して、このシステムは、例えば入ってくる血液の圧力、速度、最大(ピーク)速度及びその他の因子を評価することができる。さらに、患者に関するセンサデータは、プロセッサにより処理し、患者の血管系の生体内非画像超音波情報の処理に関連するデータを格納する。上記処理は、静脈血の流れの方向、静脈血の流速、静脈血の流れ特性のパターン、圧力特性のパターン、A−スキャンモード情報及び流れの末梢非ランダム方向からなるパラメータ群の中から選択された1つのパラメータに基づいて行われる。図26、図27、図29及び図30に関連して前に説明したとおり、患者の固有(特定)の因子は全てのシステムパラメータに関連し、かつ、全ての値に対してこれに続くデータ、及び、この患者に対するデータに関連する。
【0154】
再び図35に示すように、ユーザは、デバイス状態表示器50を監視しつつ、デバイス110を、血管系、この例では尺側皮静脈通って前進させる。デバイス状態表示器50が「緑色のランプ」を点灯させている限り、デバイス110は望ましい方向に進んでいる。これは、システムによって受信され処理された信号が、デバイス110の移動/位置が適切であるということを示す流れのパターン及び特性を検出したということを意味する。緑色のRFIDのランプは点灯したままであり、デバイスは「1」の部位から、血管壁に当接する直前の位置「2」に進む。
【0155】
図35はまた、位置「1」及び位置「2」に対するA−スキャンモード、ドプラーモード及び非ドプラーモードの速度波形も示している。位置「1」に対する波形は、血管内における移動が望ましい方向であることを示している。すなわち、センサから離れる方向の一定の速度の流れと、低いA−スキャンモードの波形とを示している。これとは対照的に、位置「2」に対する波形は、デバイスの位置が壁に突き当たっていることを示すとともに(すなわち、高いA−スキャン波形)、センサから離れる低速の流れと、センサに向かう流れとを示している(すなわち、やや負の方向の波形)。このように、図35は、デバイス状態指示器50のシステム出力が黄色となる状態にあるデバイス110を示している。システム出力が黄色になるのは、センサから収集されたデータが認識不可能なパターンを含むとき、又は、センサから収集されたデータが意味のある情報を伴っておらず、有用なデバイスの位置情報を得ることができないときである。
【0156】
図36に示すように、ユーザは、デバイス110を操作して、該デバイスを「3」で示す位置に移動させることにより、黄色のランプが点灯している状態を解消する。ユーザのこの動作は、デバイスを、血管系内における適切な移動状態ないしは位置に復帰させる。図36中に示された波形及びデバイス状態指示器50の緑色のランプの点灯は、すべて、デバイス110が位置「3」で望ましい方向に進んでいることを示している。
【0157】
図37及びこの図に関連する波形は、デバイスが頸静脈10に進んだ結果を示している。内頸静脈内の血液の流れが心臓に向かっているので、デバイスの現在の位置は、デバイスが血管系内における望ましい位置に存在しないということを明らかに示すセンサからの波形を生成する。いみじくも、デバイス状態指示器50は、赤色のランプを点灯させている。図37中に示されているように、デバイスが頸静脈内に入っているときには、デバイス110は、心臓に向かう流れの中に位置する(なお、ここではセンサに向かっている)。このように、波形は、大きなパワー(動力)がセンサに向かって逆流し、センサから離れる速度よりもセンサに向かう速度の方が大きいということを示している。
【0158】
図38及びこの図に関連する波形は、患者の血管系をあらわす図中に示された番号が付された位置指示部に対応する。デバイス状態指示器50のランプの色は、デバイス110が位置指示部のところに配置されたときに受信される信号に対応する波形に沿って示されている。デバイス状態指示器50からの波形及び指示は、システムがどのようにして血管系内に生じる種々の異なる流れの状態を識別ないしは区別するかを示している。
【0159】
位置指示部4では、デバイス110は、上大静脈14を通って望ましい方向に進み、デバイス状態指示器50は緑色のランプを点灯させている。図示された波形は、静脈系であることを示す認識可能な非脈動の1方向の流れを示している。
【0160】
デバイス110がSVCに沿って移行するのに伴って、センサは、下大静脈16からセンサに向かってくる静脈の流れの存在を検出しはじめる。デバイスがさらに進むのに伴って、IVCからの信号は強くなり、センサは、大静脈内における静脈の流れの合流により生成される固有の(unique)非脈動2方向流れ又は目標の特性も検出しはじめる。センサがこのような位置に配置された結果、これらのセンサからの反射超音波信号の処理を、大静脈と心房とのジャンクション(集合部)に対して相対的に、センサ又は該センサに接続された機器の位置を決定するために用いることができる。さらに、この例においては、デバイスの経路は、センサを順行性の流れの中に残留させるようになっている。この例においては、順行性の流れは、デバイスが該経路を通るときに、センサが、主としてセンサから離れるとともに心臓に向かう方向の流れを検出する(すなわち、この形態では「緑色」のランプが点灯する)。デバイスが、右心房22を通り過ぎて下大静脈16内に進入してしまった場合、主な流れは、センサに向かい、システムのデバイス状態指示器50は、赤色のランプを点灯させる(すなわち、位置「6」及び「8」)。
【0161】
一連の流れを検出する方法はまた、血管系内におけるデバイスの位置を決定するのにも用いることができるということが分かるであろう。例えば、パターンが、強い非脈動の1方向の流れ(緑色)を示し(すなわち、位置「4」)、次に非脈動の2方向の流れパターン(青色)を示していれば(すなわち、位置「5」)、デバイスの前向き(後ろ向きではなく)の移動により、強い非脈動の1方向の流れパターン(赤色)を、ユーザが望んでいる上大静脈から下大静脈16へのアクセスのための適切な経路を指示するために用いることができる。心房及び右心室における脈動の2方向の流れもまた、システムによって検出することができる。センサが位置「7」に配置されたときに存在する固有の脈動の2方向の流れパターンもまた、システムにより検出することができ、血管系へのアクセスに用いることができる。
【0162】
図39は、デバイスが指示位置に配置されたときにおけるセンサの入力に基づいて生成された固有の波形を示している。デバイスが、上大静脈14の下側の1/3の部位の目標領域である位置「5」に配置されたときに、デバイス状態指示器50は青色のランプを点灯させ、波形は非脈動の2方向のパワーを示す。これとは対照的に、デバイス110が右心室内に配置されたときには、センサデータにから生成される波形は、明らかで強い脈動の2方向の流れパターンを示す。
【0163】
図40は、センサを上大静脈14に進めることを意図していたのにもかかわらず、下大静脈16に到達した場合の、波形及び方向指示部を示している。ここで、波形は、センサが位置「8」にあるときは、センサから離れる方向のパワーは低いが、センサに向かうパワーは非常に大きいということに注目すべきである。これらの波形は、明らかに、システムが、望ましい流れ方向とは反対の流れ方向を検出したことを示している。その結果、デバイスが位置「8」にあるときには、デバイス状態指示器は赤色のランプを点灯させる。
【0164】
図43A及び図43Bは、本発明に係る複数・単一ビーム超音波システムに固有のパラメータを示すために用いられている。図43Aは、20MHzの操作周波数と、100kHzのパルス反復周波数とを有する超音波システムのための典型的な速度波形を示している。40cm/秒の動脈の最大(ピーク)速度が、脈動の流れパターンを用いて示されている。図43Bは、動脈の超音波システムの半分の操作周波数(すなわち、10MHz)と、動脈の超音波システムのパルス反復周波数の40%のパルス反復周波数(すなわち、40kHzのみ)とで操作される本発明に係るシステムにおいて受信されたときにおける、同一の高速の信号を示している。前記のとおり、低速で操作するように構成された複数・単一ビーム超音波システムにおいては、静脈系の大きいサンプル体積環境では、流れの速度は2ないし15cm/秒の範囲であるので、流れの速度が40cm/秒である図43Aに示すようなシステムでは特徴解析を行うことは不可能である。このように、低速であることを特徴とする本発明に係るシステムでは、Aで示すように、すなわち約20cm/秒に、速度曲線の高い先端部分(high end)をカットオフ(cut off)しなければならない。カットオフ速度が最終的に本発明に係るシステムによって登録された(registered)ときに、それは負(negative)となる(すなわち、0より小さい速度の読み)。換言すれば、流れは反対方向に20cm/秒となる。この現象は動脈流れのエイリアシングと呼ばれている。高速のエイリアシングを生じさせることにより、本発明に係るシステムは、高い速度を、反対方向の低い速度に変換する。すなわち、流れ方向情報の中の速度情報に変換する。このシステムの能力は、動脈の流れ又は心臓の室内の流れを特定するのに用いられる。ただし、全てのパラメータは、静脈の流れを検出するために最適化される。かくして、システムは、主な血液の流れを特徴づける速度情報を用いることにより、静脈の流れと、動脈又は心臓内の流れとの間の移行(transition)を高い信頼性でもって特定することができる。
【0165】
図44は、パワー(power)と周波数との関係をあらわす曲線900を示している。曲線900は、動脈又は心臓内で測定された脈動する流れのパワーの曲線を示している。本発明によれば、パワースペクトルの値の範囲は、2つの領域に分割される。パワーが低い方の10〜20%の範囲の領域は、血液の流れにおける非優先的(non-preferential)な速度を示している。これに対して、パワーが大きい方の80〜90%の範囲の領域は、優先的な(preferential)速度、すなわち流れの方向が非ランダムな(non-random)血液の移動の速度を示している。血液の流れのより信頼性の高い特徴解析を行うために、本発明においては、優先的な、すなわち非ランダムな速度のみが解析される。ピーク振幅の10〜20%の範囲内のパワースペクトルに対してしきい値が定められている。しきい値より小さいスペクトルパワーを有する速度は、特徴解析では考慮されない。しきい値を超えるスペクトパワーを有する速度のみが特性のパターンに寄与するからである。例えば、典型的な動脈の流れにおけるランダムな乱流を示している曲線902によってあらわされる速度は、非優先的なものであり、したがって無意味であるので特徴解析のデータから排除される。
【0166】
動脈の流れのみのギザギザないしはエイリアシング(aliasing)により、又は、ランダムな乱流を除去した組み合わせ流れにより、本発明にかかる複数・単一ビーム超音波システムは、心臓内及びその周囲の血管内の構造及び流れの変化を検出することができる。ハルデマンによる「検出された血液の乱流レベルを用いたドプラー誘導カテーテル」と題された米国特許第6704590号明細書に記載されているような、ランダムな流れの乱流インディケータ(indicator)を用いる従来技術に係る方法と比べて、本発明に係る方法は、動脈又は心臓の室における血液の流れと、静脈中の血液の流れとの間での状態の移行を特定する方法を、より信頼性が高く、より正確で、より低速で、より周波数が低い態様で提供することができる。図45に示す波形は、デバイス110が、上大静脈(すなわち、静脈の流れ)から、エイリアシングが始まる右心房22に移動するのに伴って、システムが、静脈の流れから心房内の流れのエイリアシングに移行するのをどのようにして検出するかを示している。さらに、図46に示す波形は、デバイス110の配置位置が右心房に移動するのに伴って、システムによって検出される代表的な信号の変化を示している。本発明に係るシステムは、典型的には動脈の画像超音波システムから濾波された(filtered)低速で移動している対象物を検出するために最適化されているので、三尖弁の動作を、波形によって示されているように、システムにより容易に検出することができる。図46に示されているように、本発明に係るシステムは、検出された高い速度を、惹起された信号のエイリアシングを用いることにより、流れの方向の検出値に変換する。これは、本発明に係るシステムが、高い速度の信号を、流れの方向の情報に変換することを可能にする。
【0167】
図47は、上大静脈から冠状静脈洞への経路(path)を高い信頼性で正確に特定するのに用いることができる特性パターンの処理手順(signature patter sequence)を示している。ある1つの流れの型(一方向の静脈の流れ)からもう1つの流れの型(二方向の大静脈・心房ジャンクションの流れ)への移行を検出するシステムについて説明した処理手順の場合と同様に、本発明の実施の形態は、心房の流れのインディケーション(indication)、例えば心臓の室を通った後に、静脈の流れに戻るといった移行を検出するのに用いることができる。これらのパターンの変化を検出するシステムの能力ないしは性能は、本発明に係るデバイス及びセンサが、左心房に入る静脈の流れを特定し、位置決めし、アクセスすることを可能にする。図47に示す例においては、静脈流れからギザギザの流れへのパターンの移行及び静脈の流れへのパターンの移行は、冠状静脈洞から静脈の流れを検出するのに用いることができる。同様の手法で、この技術は、1つ又は複数の肺静脈又は左心房に入るその他の静脈の流れを特定するのに用いることができる。前記の通り、図7〜図24に関して前に説明したセンサ及び誘導アクセスデバイスは、右心房内に配置されたセンサによって検出される特性又は流れのパターンと、予想される身体構造とを模倣する(mimic)ように構成することができる。
【0168】
(静脈の疾患の処置)
拡張蛇行静脈(静脈瘤)の治療(treatment)の場合、伏在静脈・大腿骨静脈ジャンクション(SFJ)に治療用カテーテル(すなわち、静脈の治療のためのレーザ、RF、又はその他のタイプのエネルギを供給するように構成されたカテーテル)が正確に位置決めされなければならない。静脈内におけるカテーテルの位置は、大伏在静脈(GSV)と総大腿骨静脈(CFV)との間の血液の流れのパターンの違いとドプラー効果とを用いて、本発明により決定することができる。例えば、総大腿骨静脈においては、血液の流れは、大伏在静脈の場合に比べて、呼吸により、より劇的に変化する。
【0169】
図48は、伏在静脈・大腿骨静脈ジャンクション(SFJ)に配置された誘導血管系アクセスデバイスを示している。さらに、図48には、SFJにおける静脈カテーテルの血管内での位置決めに用いることができるその他の身体構造の目印(anatomical landmark)もいくつか示されている。ここでは、多くの表在静脈は、総大腿骨静脈(CFV)と結合する前に集合している。このジャンクションにおける血液の流れは、血液を内向き及び上向きに流すように構成された一方弁(one-way valve)によって制御され、この制御は血液が心臓に戻るのを助勢する。この一方弁が故障して適切に機能しない場合、血液の一部は、脚に流下して戻り、表在静脈及びそれの枝部(branch)の圧力を増加させる。大伏在静脈(GSV)は、大腿部の主要な表在静脈の1つである。SFJにおける一方弁の漏れ(leak)により余分な血液がそこを流れた場合、静脈は拡張し、その中の一方弁は変形して漏れが生じ始める。この後、血液は、さらに悪い方向に流れ、脚に流下し、結局、枝部にさらに集まり、枝部を膨らませ、大腿部及び下腿部に拡張蛇行静脈を生じさせる。
【0170】
拡張蛇行静脈の治療の場合、治療用カテーテル(すなわち、静脈の治療のためのレーザ、RF、又はその他のタイプのエネルギを供給するように構成されたカテーテル)を、SFJに正確に位置決め(配置)しなければならない。静脈内におけるカテーテルの位置は、本発明に従って決定することができる。
【0171】
SFJを検出する場合、位置検出アルゴリズムは、GSV内の流れのパターンと、総大腿骨静脈内の流れのパターンとの間の差を特定する。GSV内における血液の流れは、通常は順行性であり患者が仰向けになっている時には、GSV逆流により患者の心臓に向かう。この現象は、静脈の切除治療(venous ablation procedure)のときに起こる。これは、下腿部が圧搾され、この後に開放されたときに起こる。このとき、血液の流れは、短い時間(通常は1〜4秒)逆向きとなり、血液はGSV内で遠位側に集中し、その下の空になっている静脈(empty vein)に入る。この処置は、SFJの位置を決定するのを助勢するために、逆トレンデレンベルグ位置(reverse Trendelenberg)で、患者にカテーテルを配置するときに行うことができる。
【0172】
CFVにおいては、流れパターンが、呼吸(respiration)に伴ってより劇的に変化する。CFVアルゴリズムは、呼吸の結果生じる血管の運動に起因するドプラー信号の変化を検出することができる構成要素(element)を有している。さらに、一方弁が適切に機能しない場合、血液の一部は脚に逆流して流下し、表在静脈及びそれらの枝部の圧力を増加させる。疾患をもつ患者の血液の流れにおいては、CFVと比べて、GSV中の逆方向の流れの成分がより多くなる。SFJのデュプレックススキャン(Duplex scan)においては、赤い色は、CFV中の前向きの流れをあらわし、青色は無意味に長い(incompetent long)伏在静脈における逆方向の流れをあらわしている(遠位側の外腸骨静脈及び総大腿骨静脈においては、ゆるやかな逆流が通常しばしば生じるということに注意することが重要である。)。SFJの前のGSVには、介入カテーテル(intervention catheter)が配置されている。このカテーテルの先端部は、CFVの主な血液の流れの中に配置されている。本発明は、ドプラー信号解析と流れのパターンの識別とを用いることにより、2つの位置を識別する。
【0173】
病変した静脈中の血液の流れを適切に検出できる位置に、適切なセンサが配置されれば、前に詳しく説明した処理手順が実行される。このとき、システムは、静脈及び病変した静脈の流れの特徴を監視する(monitor)。血液の流れがトランスデューサ(transducer)から離れるときには、より多くの乱れパターン(turbulent pattern)が生じる。大腿骨静脈においては、血液は、より安定した流れのパターンでカテーテルに向かって流れ、呼吸運動に起因するさらなる成分が生じる。このように、本発明に係るシステムの実施の形態は、健常な静脈と病変した静脈との間の流れパターン、流れの特性又はその他の特性の違いを検出するのに用いることができる。前に説明したように、この方法は、小伏在静脈と膝の後ろの膝窩静脈とのジャンクションに応用することができる。そして、この方法はまた、下腿部内の穿通枝静脈と表在静脈との間のジャンクション、又は、穿通枝静脈と深頚骨静脈との間のジャンクションを特定するのにも応用することができる。
【0174】
移行領域の流れパターン(transition region flow patter)の検出は、この領域の特徴的な流れ特性、例えば平均速度、速度スペクトル、及び、前向きの流れと逆向きの流れの比率、さらには所定時間内におけるこれらの変化を認識するといった技術思想に基づいている。血管系内における特定の位置を検出するための生理学的な特性又は特定要素を用いるといった、本明細書に記載された進歩性を有する概念は、ドプラー速度以外のその他の機能的な測定、例えば圧力プロフィール及び温度プロフィールにも応用することができる。この場合、適切な圧力センサ及び温度センサが用いられる。本明細書に記載しているように、複数・単数ビーム超音波システムの処理技術及び操作は、血管系内における種々の位置で、圧力プロフィールの相対的な変化を特定し、区別するのにも用いることができる。しかしながら、本発明の実施の形態により、予定されている血管系内における位置を特定するために、これらの変形例を用いるといったことは、従来は試みられていない。
【0175】
さらに、代替的な実施の形態においては、2つ又はこれより多い血管が集合する位置を示す信号の存否を決定するために、反射超音波信号を処理することにより、身体の血管系内で機器を位置決めする(配置する)方法が提供される。この方法は、静脈血管系及び動脈血管系の両方における種々の広い血管系ジャンクションについて実施することができる。第1の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が上大静脈及び下静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第2の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が下大静脈及び腎静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第3の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が右総腸骨静脈及び左総腸骨静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第4の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が外腸骨静脈及び内腸骨静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第5の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が右腕頭静脈及び左腕頭静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第6の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が上大静脈及び奇静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第7の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が総大腿骨静脈及び大伏在静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第8の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が表在大腿骨静脈及び深大腿骨静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第9の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が膝窩静脈及び小伏在静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第10の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が穿通枝静脈及び表在静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第11の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が穿通枝静脈及び深脛骨静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第12の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が大伏在静脈及び拡張蛇行静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第13の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が頸静脈及び鎖骨下静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。第14の例示的な位置は、2つ又はこれより多い血管が橈側皮静脈及び腋窩静脈を含んでいるところで、2つ又はこれより多い血管の結合が起こる位置である。
【0176】
1つの態様においては、本明細書に記載されている複数・単一ビーム超音波システムは、患者の静脈血管系にアクセスできるように順応し、構成された細長い柔軟部材を有する血管内アクセス・誘導システムである。種々の位置、例えば遠位端、側部又は側壁に形成された凹部に、本明細書に記載されたその他の配列で、細長い柔軟部材の周りに1つ又は複数のセンサが配置される。これらのセンサは、患者の静脈血管系の生体内非画像超音波情報を生成するように構成されている。さらに、プロセッサは、1つ又は複数のセンサによって生成された患者の静脈血管系の生体内非画像超音波情報を受信して(受け取って)処理するように構成され、かつ、患者の静脈血管系内における細長い柔軟部材の遠位端の位置に関する位置情報を生成する。好ましく、1つのセンサ、複数のセンサ及び/又は2つもしくはこれより多い追加のセンサが、血管内のジャンクションを模倣する(mimic)配列で細長い柔軟部材に取り付けられている。プロセッサからの位置情報を出力するように構成された出力デバイスが設けられる。ここで、もし必要があれば、血管内のジャンクションを模倣したものとされる。これらのセンサはまた、血管系内のその他の測定可能な又は、検出可能な特徴又はパラメータを模倣する(mimic)ように配置される。特定の実施の形態においては、センサは2つの又はこれより多い血管が集合するところの14の典型的な位置の1つ又は複数の位置を模倣するように、細長い柔軟部材に配置される。
【0177】
血管系内における種々の流れのパターンを認識し識別する本発明に係るシステムの能力ないしは性能は、種々の状況下で広く用いることができる。本発明に係る実施の形態は、静脈血管系の固有の(unique)特性を有する部分を位置決め(配置)し特定するのに用いることができる。ここで検出可能な流れのパターンは、静脈系内におけるセンサ又はデバイスの位置の周りの正確な情報を提供する。既に前に説明したように、本発明に係る進歩性を有する複数・単一ビーム超音波システムは、上大静脈を経由して中心静脈へアクセスする経路(pathway)を特定することができる。図41及び図42に記載された例においては、システムは、さらにその他の静脈の目印(landmark)を特定するためにも用いることができる。
【0178】
本発明の実施の形態は、図41及び図42に記載された静脈系の部分内において、デバイスを検出し、位置決め(配置)し誘導するのに用いることができる。これらまとめれば、これらの図は、血管系内の少なくとも3つのその他の固有の特性のパターンを検出し特定する能力を有するシステムを示している。第1に、位置1に示されているように、位置1に配置されたデバイス110は、腸骨静脈26から下大静脈28の単一の流れへの収束を検出するのに用いることができる。この流れパターンは、本明細書に記載された方法により検出し、位置1におけるジャンクションを示すことができる。同様に、腎静脈18から下大静脈16(位置2)へ収束する2つの横方向の流れを、このシステムにより検出することができる。位置3についての波形によって示されているように、システムは、下大静脈内の1方向の流れから上大静脈及び下大静脈の集合部及び右心房に関連する特性のある2方向の流れへの移行を検出することができる。こように、システムは、特定の固有の流れパターンを特定することができ、特定の静脈間のジャンクションなどといった特定の身体構造の目印に対する流れパターンの位置を特定することができる。
【0179】
図7〜図24に関して、前に説明した誘導血管系アクセスデバイス110の構成ないしは構造は、予測される特性流れを検出するためのデバイスに配置された1つ又は複数のセンサを有していてもよい。例えば、システムの意図された使用形態が、腎静脈18より上方である(superior to the renal vein)位置において下大静脈16内にフィルタを配置しようとしている医療従事者にアクセス及び誘導を行わせることである場合は、一対の横向きのセンサ(すなわち、時計の3時及び9時の位置)を有するデバイス110が、センサがこれらの流れパターンを検出できるように適切に配置されたときに、固有の又は特徴のある流れパターンを検出することができる。このように、システムがこれらの特性のパターンを検出するときに、ユーザはこれを知ることができ、必要なだけ進められたデバイスは、腎静脈の所望の位置に進む(すなわち、腎静脈より1.5cm上)。もちろん、腎静脈18の位置は、腎静脈18に対する治療又はアクセスを行うのにも用いることができる。この一般的な例は、デバイスへのセンサの配置が望ましい特性の流れを検出するセンサの性能ないしは可能性(likelihood)を高めるように選択されているところでも、同様に血管系のその他の領域に応用し、又は、血管のパラメータの後ろのその他の領域に応用することができる。もう1つの図示された例においては、大腿骨静脈と腸骨静脈との間のジャンクションを検出するように構成された血管アクセスデバイスは、このジャンクションの検出を最適化するために前向きのセンサと、角度がつけられた後ろ向きのセンサとの組み合わせを備えることができる。後ろ向きのセンサは、腸骨静脈26と下大静脈28との間の角度を模倣している(mimicking)。この例における後ろ向き及び前向きは、もちろん血管の流れの中におけるデバイスの望ましい配置に対するものである。ここで、ターム反射デバイス及びセンサは図41及び図42で示すように移動する。
【0180】
上記の説明は、静脈血管系のパラメータを検出することができるその他のシステム又はジャンクションを模倣する(mimic)センサの使用に関するものである。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、血管系を模倣するセンサの配置の概念は、同様に動脈血管系に対しても応用することができる。
【0181】
図49は、手順特定ユーザインタフェース4900(procedure specific user interface)を示している。この手順特定ユーザインタフェース4900は、携帯式の電子インタフェースである。PDA又はその他の適切なディスプレイは、所望の経路に沿った誘導血管系アクセスデバイスの進行をグラフで表示することができる。この手順特定ユーザインタフェース4900は、ディスプレイ4930、4935を備えている。オプションとして、この手順特定ユーザインタフェース4900はスピーカー4901及び4902を備えている。ディスプレイ4930は、挿入地点から目標である供給地点までの誘導血管系アクセスデバイスの進行経路を表示するように構成されている。所望の経路に沿って複数の経路進行インディケータ4905〜4925が配列されている。ディスプレイ4930中に表示されているように、ディスプレイは画像4940を含んでいてもよい。この画像は、特定の使用時に、特別のデバイスによる血管中の予測される移動経路を表示するような特別な構成を有している。ディスプレイ4935中に表示されているように、ディスプレイは、画像4945中に波形で示された、センサから収集されたデータに基づいてリアルタイムのシステム出力を表示するように構成してもよい。ディスプレイ4930及びこれに関連する複数の経路進行インディケータ4905〜4925は、挿入地点から目標である供給地点までの誘導血管系アクセスデバイスの進行の状態を表示するように構成することができる。1つの実施の形態のおいては、目標である供給地点は、前に説明した血管系又は静脈系の特定の部分を含んでいる。代替的に又は付加的に、1つ又は複数の関連する経路進行インディケータ4905〜4925は、ここに記載された血管系の部分を模倣することが意図された1つ又は複数のセンサから受信して解析したデータを含むように利用することができる。特定の実施の形態においては、ディスプレイ4930及び関連する複数の経路進行インディケータ4905〜4925は、挿入地点から、2つ又はこれより多い血管が集合する14の典型的な位置の1つ又は複数の位置への誘導血管系アクセスデバイスの進行の状態を表示するように構成してもよい。付加的に又は代替的に、経路進行インディケータ4905〜4925によって表される誘導血管系アクセスデバイスに配置されたセンサを、2つ又はこれより多い血管が集合する14の典型的な位置の1つ又は複数の位置を模倣するように誘導血管系アクセスデバイスに配置してもよい。
【0182】
スピーカー4901を、ユーザが誘導しているデバイスが望ましい経路に沿っていることを音響により表示するように構成してもよい。生成された音は、本願のその他の部分に記載された指示ランプに対応するものである。音響による表示は、デバイスが適切に進行しているときには単調音(monotone sound)のような単純なものとし、デバイスが指示された経路に沿っていないときには、ステレオ音又はその他のトーンの音を用いてその旨を表示するようにしてもよい。右側の音響チャンネルを、センサから離れる方向に流れている血液の速度及びドプラー周波数を示す音響表示とし、左側の音響チャンネルを、センサに向かう方向に流れている血液の速度及びドプラー周波数を示す音響表示としてもよい。このように、右側の音響チャンネル及び緑色のLEDは、デバイスが望ましい経路に沿っていることを示す。他方、左側の音響チャンネル及び赤色のLEDは、デバイスが誤った経路に沿っていることを示す。
【0183】
信号の処理結果に基づいて、手順特定ユーザインタフェース4900は、ユーザに、血管樹(vascular tree)内のカテーテル又はカテーテル先端部の位置を示す。単純な実施の形態においては、カテーテルの先端部の位置を示すのに、色つきのランプを用いることができる。例えば、緑色のランプを、カテーテルが心臓に向かう正しい経路を進んでいることを意味する、カテーテルから離れる方向の血液の流れを示すようにしてもよい。また、赤色のランプを、カテーテルが心臓から離れる方向の誤った経路を進んでいることを意味する、カテーテルに向かう方向の血液の流れを示すようにしてもよい。青色のランプを、大静脈と右心房との間のジャンクションの近傍であることを示す血液の流れパターンが検出されたことを示すようにしてもよい。
【0184】
例えば、誘導血管系アクセスデバイスをSVCの下側の1/3の部位ないしは位置に誘導することを意図している場合、図4(画像4940参照)に示すように、尺側皮静脈への入り口部からSVCへの誘導経路を示すために用いることができる特定のディスプレイを設けてもよい。1つの実施の形態においては、位置インディケータ4905〜4925はLEDである。ディスプレイ4930は、平坦に取り付けられている(flat mount)。LEDが取り付けられユーザが見ることができる画像4940のような静止画を表示する。また、その他の血管系に特有の経路を、特定のユーザインタフェース4900の一部として、ディスプレイに表示してもよい。特定の経路への応用は、血管系の上又は血管系内で実施される手順に応じて変えることができる。LEDインディケータはまた、血管壁(すなわち、血管の狭窄した部分を特定する)の特徴又は部分の特定、又は、心臓弁などの特定可能な身体構造の目印の特定を含むその他の処理信号を、システムから出力するために用いることができる。特定のユーザインタフェース4900を、アクセス地点から処置部への適切な経路を示す表示又は画像を生じさせるように構成してもよい。さらに、適切な経路を示す表示又は画像を、ユーザが適切な経路に従った誘導血管系アクセスデバイスの移動の表示を知覚できるような形態にしてもよい。
【0185】
図50A及び図50Bは、デバイス進行インディケータ50の変形例を示している。図50Aに示すデバイス進行インディケータ50の構成は、それぞれ個別の色付きのレンズ53を備えた4つのランプ52を有している。色つきのインディケータは、本明細書に記載されたデバイス状態インディケータと関連している。図50B中に示すデバイスインディケータ50の構成は、デバイスの状態を示すための複数の色のレンズ54と、単一のランプ54とを備えている。ランプ52、54は、光ファイバ、LED、又はデバイスの進行を目に見えるように示すその他の適切な光源であってもよい。
【0186】
図51及び図52に示すように、図2中に示す上記システムの構成要素を、従来のワイヤ接続部(図51)により通信を行うようにしてもよく、あるいは、無線接続(図52)を利用して通信を行うようにしてもよい。1つの実施の形態においては、システム全体が、単一体として使用するために、滅菌されたパッケージに収容されている。
【0187】
もう1つの代替的な構成においては、本明細書に記載された複数・単一ビーム超音波システムの構成要素が2つの部分に分割されている。一方の部分は、処理システムとユーザインタフェース機能部とを有する再使用可能なユーザインタフェースである。もう一方の部分は、滅菌された単一体として使用する誘導血管系アクセスデバイスである。再使用可能なユーザインタフェースは、特定の治療従事者によって維持ないしは使用される装置、又は、手術室又は処置領域に設けられて維持ないしは使用される装置の一部である。再使用可能なユーザインタフェースと単一体として使用される誘導血管系アクセスデバイスとの間の通信は、従来の配線技術又は無線通信技術を用いて行うことができる。
【0188】
いわゆるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))技術などの無線技術を、本明細書に記載された進歩性を有する複数・単一ビーム超音波システムの構成要素間で情報をやり取りするために用いることができる。1つの実施の形態においては、一方の側の使い捨ての構成要素のグループと、他方の側の再使用可能な構成要素との間の通信を可能にする無線通信リンクが設けられている。この使い捨て側は、例えば、本明細書に記載された誘導血管系アクセスデバイス(1つ又は複数のセンサを含む)と、超音波センサを駆動するのに必要な高周波数信号と高電圧とを制御するためのデータ収集・制御ユニット5220と、ブルートゥースの無線チャンネルを経由して再使用可能な側と低いスループット情報をやり取りするのに用いられるコネクタC1 5230とを備えている。再使用可能な側は、その片割れ5230(counterpart)と通信を行うブルートゥースコネクタ5240と、処理及びパターン解析ユニット5250と、ユーザインタフェース5260とを備えている。
【0189】
ブルートゥースは、短い距離の通信(<〜10メートル)を行うための低コストで融通性のある(flexible)無線プラットホームである。ブルートゥースラジオチップのコストは20ドルよりも低くなり、現在では約5ドルである。ブルートゥースは、ガウス周波数偏移キーイング(GFSK)を用いて、データを2.4GHz付近の周波数のものに変調する。データは、1Mbpsで伝送される。セキュリティを高めノイズを低減するために、ブルートゥーストランスミッタは、1秒間に1600回を超えるチャンネルの切り替えと周波数ホッピング(frequency hopping)とを行う。ブルートゥースは、一点から一点への(point-to-point)通信、又は、一点から複数点への(point-to-multipoint)通信を行うことができる。この融通性は、ブルートゥースを種々の応用分野で幅広く用いることを可能にする。携帯デバイスでは、電力消費量が常に問題(関心の的)となるので、ブルートゥースは、通信デバイスが他の通信デバイスからどれくらい離れているかに応じて用いることができる3つの種類の電力仕様(power classes)を備えている。今後数年で、ブルートゥースの使用はかなり広がるものと予測される。ブルートゥースコンソーシアム(Bluetooth consortium)は、現在、ブルートゥース2.0に対する仕様(specification for Bluetooth 2.0)を用いている。ブルートゥース2.0は、既存のブルートゥースデバイスを実行するように構成され、12Mbpsを超える伝送速度でデータを伝送する。
【0190】
1つの実施の形態においては、血液の流れ及びその他のタイプの特性のパターンを格納するのに用いられるデータベースは、処理ブロックに含まれている。この場合、パターンは、1つの処理手順の期間中、格納されている。とくに、処理手順の最初に格納される調整パターンは、この処理手順において信号の自動スケーリングを行う上で重要である。もう1つの実施の形態においては、特性データベースは、フラッシュメモリ内のUIに格納される。さらにもう1つの実施の形態においては、UIは、任意の関連するデータベースを備えたインターネット又はLANのような従来の通信方法により、通信を行うことができる。
【0191】
図51は、センサを備えた細長い部材に接続された全ての構成要素が、細長い部材5110として、同一の滅菌されたパッケージ内に収容されている使い捨ての誘導システムを示している。この実施の形態においては、システムはバッテリで駆動される。データ収集及び制御ユニット5120は、処理アルゴリズム5130とともにASIC(application specific integrated circuit:応用特定集積回路)内に一体化されている。もう1つの実施の形態においては、処理アルゴリズムは、FPGA(field programmable gate array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)にプログラムされている。ADSP(digital signal processor:デジタルシグナルプロセッサ)のコア(core)は、FPGAと一体化され、融通性のある処理環境を生成している。ユーザインタフェース5140は、約200グラムと軽量であり、約3×3×1cmの小さい寸法のものであり、複数の色の1つのLEDを備えている。筺体(enclosure)は、データ収集及び制御ユニット5120と、処理ユニット5130とを収容している。本発明で用いられる複数・単一ビームシステムのパワー(power)必要量は非常に少ない。なぜなら、それは、最大で15mmの小さい透過深さの1つ又は少数の超音波ビームを用いるだけだからである。超音波センサの寸法は小さい。そして、操作周波数は低く、デューティサイクルは低い。無線デバイスを含む電子部品は一体化され、そのエネルギ必要量は少ない。これらの全ての理由により、使い捨てシステムをバッテリで駆動することができる。ここで説明したこの種の製品、市場で一年間に数10万販売されるものと見込まれ、この製品のコストは、使い捨てのデバイスとして用いるために十分に低いものである。
【0192】
図53は、本発明の位置の検出性能を示す図であり、この図に係る手順は、デバイスの位置が最初に搭載されていた位置から変化しているか否かを決定するのに用いられる。カテーテルの先端部の移動が生じたか否かを決定する能力は、本発明の重要な臨床的利点である。図53では、単純化のため、カテーテルの先端部はデバイス110であらわしている。デバイス110は、本明細書に記載された処理システムと通信を行う。コネクタ5310には適切なコネクタが挿入され、これはデバイス110内のセンサを制御する。まず、この機器は、身体の血管系内でデバイス110を固定する位置を決定するために用いることができる。この決定された位置は、カテーテルの先端部の移動が生じたか否かを評価するための比較値(the compare to value)又はベースライン(baseline)となる。図53に示すように、デバイス110はSVC内に存在し、接着取り付け部5305を用いて身体に固定される。この接着取り付け部5305は、デバイス110を身体に固定し、デバイスを、カテーテルの配置時に機器によって決定された位置に維持する。カテーテルの先端部の位置(ここではセンサ110)がチェックされたときには、センサはコネクタ5310を経由してシステムに再び接続される。デバイス110内のセンサが処理システムに接続された後、システムはセンサを動作させてデータの収集及び処理を行い、デバイスの位置を計算する。この後、システムは、計算されたデバイスの位置を、機器によって決定された位置と比較することにより、デバイスが機器によって決定された位置に存在するか否かを決定することができる。
【0193】
本発明の1つの実施の形態によれば、位置を決定する機器を用いて身体の血管系内で機器を位置決め(配置)し、デバイスを身体の血管系内に固定する方法が提供される。そしてこの方法では、デバイスを身体に固定して、このデバイスを、機器によって決定された位置に維持する。ある期間が経過した後(カテーテルをつけている患者ではある延長された期間であるのが普通である)、機器はデバイスの現在の位置を計算するために用いられる。次に既知の本来の位置と、ここで決定された現在の位置とを用いて、システムは、デバイスが本来の位置から移動しているか否かを決定することができる。
【0194】
本明細書では、本発明の好ましい実施の形態を説明しているが、当業者にとっては、これらの実施の形態は単に例示のために提示されたものであるということは明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形例、修正例及び代替物が存在するということを理解できるであろう。本明細書に記載された本発明の実施の形態の種々の代替物を、本発明を実施する上で用いることができるということを理解すべきである。特許請求の範囲は、本発明の範囲と、特許請求の範囲内における方法及び構造と、これによってカバーされるそれらの等価物とを規定することが意図されている。
【0195】
(1) 患者の静脈血管系へのアクセスに順応できるように構成された細長い柔軟部材と、
上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の静脈血管系に関する生体内非画像超音波情報を生成するセンサと、
上記センサによって生成された上記患者の静脈血管系に係る生体内非画像超音波情報を受信して処理するように構成され、上記患者の静脈血管系内における上記の細長い柔軟部材の遠位端の位置に関する位置情報を生成するプロセッサと、
上記プロセッサから上記位置情報を受け取って出力するように構成された出力装置とを備えている静脈内アクセス・誘導システム。
(2) 上記の細長い柔軟部材がカテーテルを備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(3) 上記の細長い柔軟部材がガイドワイヤを備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(4) 上記の細長い柔軟部材が探り針を備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(5) 上記の細長い柔軟部材が上記患者に治療を施すように構成されている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(6) 上記の細長い柔軟部材が他のデバイスのための静脈内アクセスを行うように構成されている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(7) 上記の細長い柔軟部材を上記患者の血管系内に残留させつつ、上記細長い柔軟部材から上記センサを除去可能に取り外すことができるように構成されたセンサ取り付け機構をさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(8) 上記プロセッサが、さらに、上記センサによって生成された上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記センサの近傍の出力情報を上記患者の血管内の構造に指示するように構成されている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(9) 上記プロセッサが、さらに上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記患者の血管系内における所望の方向への、上記の細長い柔軟部材の出力情報の移動を指示するように構成されている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(10) 上記プロセッサが、さらに、静脈血の流れの方向、静脈血の流速、静脈血の流れ特性のパターン、圧力特性のパターン、A−モード情報及び流れの末梢非ランダム方向からなるパラメータ群の中から選択されたパラメータに基づいて、上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理するように構成されている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(11) 上記センサと関連づけられた発散レンズをさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(12) 上記センサと関連づけられた複数のレンズをさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(13) 上記発散レンズが、上記センサを上記の細長い柔軟部材に取り付けるように構成されている、(11)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(14) 上記センサが超音波信号を送信するように構成された第1のセンサであり、
該システムが非画像超音波情報を受信するように構成された第2のセンサをさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(15) 上記センサを複数の超音波送信モードで駆動するように構成されたセンサ駆動機構をさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(16) 上記センサが第1のセンサであり、
該システムが、上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の静脈血管系に係る生体内非画像超音波情報を上記プロセッサに供給するように構成された第2のセンサをさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(17) 上記の細長い部材の遠位端を血管内で実質的にセンタリングを行うように構成されたセンタリング要素をさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(18) 2つ又はこれより多い追加のセンサをさらに備えていて、
上記センサと上記の2つ又はこれより多い追加のセンサとが、血管内のジャンクションを模倣する配列形態で上記の細長い柔軟部材に取り付けられている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(19) 収集されたデータから得られたフィードバック情報に応じてデバイスの先端部を方向づける操縦要素をさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(20) 収集されたデータから得られたフィードバック情報に応じてデバイスの先端部を方向づけるトルク制御要素をさらに備えている、(1)に記載の静脈内アクセス・誘導システム。
(21) 患者の血管系へのアクセスに順応できるように構成された細長い柔軟部材と、
上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の血管系に関する生体内非画像超音波情報を生成するように構成されたセンサ及び該センサに関連づけられた発散レンズと、
上記センサによって生成された上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を受信して処理するように構成され、上記患者の血管系内における上記の細長い柔軟部材の遠位端の位置に関する位置情報を生成するプロセッサと、
上記プロセッサから上記位置情報を受け取って出力するように構成された出力装置とを備えている血管内アクセス・誘導システム。
(22) 上記の細長い柔軟部材がカテーテルを備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(23) 上記の細長い柔軟部材がガイドワイヤを備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(24) 上記の細長い柔軟部材が探り針を備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(25) 上記の細長い柔軟部材が上記患者に治療を施すように構成されている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(26) 上記の細長い柔軟部材が他のデバイスのための血管内アクセスを行うように構成されている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(27) 上記の細長い柔軟部材を上記患者の血管系内に残留させつつ、上記細長い柔軟部材から上記センサを除去可能に取り外すことができるように構成されたセンサ取り付け機構をさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(28) 上記プロセッサが、さらに、上記センサによって生成された上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記センサの近傍の出力情報を上記患者の血管内の構造に指示するように構成されている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(29) 上記プロセッサが、さらに上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記患者の血管系内における所望の方向への、上記の細長い柔軟部材の出力情報の移動を指示するように構成されている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(30) 上記プロセッサが、さらに、上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理して、上記センサの近傍の出力情報を上記患者の血管内の構造に指示するように構成されている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(31) 上記プロセッサが、さらに、血液の流れ方向、血液の流速、血液の流れ特性のパターン、圧力特性のパターン、A−モード情報及び流れの末梢非ランダム方向からなるパラメータ群の中から選択されたパラメータに基づいて、上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を処理するように構成されている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(32) 上記発散レンズが、上記センサを上記の細長い柔軟部材に取り付けるように構成されている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(33) 上記センサが超音波信号を送信するように構成された第1のセンサであり、
該システムが非画像超音波情報を受信するように構成された第2のセンサをさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(34) 上記センサが非画像超音波情報を受信するように構成された第1のセンサであり、
該システムが超音波信号を送信するように構成された第2のセンサをさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(35) 上記センサを複数の超音波送信モードで駆動するように構成されたセンサ駆動機構をさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(36) 上記センサが第1のセンサであり、
該システムが、上記の細長い柔軟部材の遠位端に配置され、上記患者の血管系に係る生体内非画像超音波情報を上記プロセッサに供給するように構成された第2のセンサをさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(37) 上記の細長い部材の遠位端を血管内で実質的にセンタリングを行うように構成されたセンタリング要素をさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(38) 収集されたデータから得られたフィードバック情報に応じてデバイスの先端部を方向づける操縦要素をさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(39) 収集されたデータから得られたフィードバック情報に応じてデバイスの先端部を方向づけるトルク制御要素をさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(40) 上記センサと関連づけられた複数のレンズをさらに備えている、(21)に記載の血管内アクセス・誘導システム。
(41) 超音波センサと、
上記超音波センサの少なくとも1つの側部を密閉する気密型超音波透過性シールとを備えている超音波センサ組立体。
(42) 上記気密型超音波透過シールが音響レンズの形状に形成されている、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(43) 上記音響レンズが、上記超音波センサによって生成されたビームを広げる形状に形成されている、(42)に記載の超音波センサ組立体。
(44) 上記音響レンズがエポキシ樹脂製である、(42)に記載の超音波センサ組立体。
(45) 上記超音波センサが圧電性結晶で形成されている、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(46) 上記超音波センサが圧電性セラミックで形成されている、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(47) 上記超音波センサがシリコンで形成されている、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(48) 上記超音波センサが薄い圧電性フィルムを備えている、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(49) 上記音響レンズが複数のマイクロレンズを備えている、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(50) カテーテル本体部をさらに備えていて、
上記超音波センサが上記カテーテル本体部に取り付けられて、前向きのビームを生成する、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(51) カテーテル本体部をさらに備えていて、
上記超音波センサが上記カテーテル本体部に取り付けられて、横向きのビームを生成する、(41)に記載の超音波センサ組立体。
(52) 上記超音波センサが上記カテーテル本体部の壁部に形成された凹部内に配置されている、(51)に記載の超音波センサ組立体。
(53) 上記超音波センサが、上記カテーテル本体部の外表面を通り過ぎる流体がドプラー読み取りを行うように構成されている、(52)に記載のセンサ組立体。
(54) 気密型超音波透過性シールが音響レンズの形状に形成されている、(52)に記載のセンサ組立体。
(55) 上記音響レンズが、上記超音波センサによって生成されたビームを広げる形状に形成されている、(54)に記載のセンサ組立体。
(56) 身体の静脈系内で機器を位置決めする方法であって、
上記身体の上記静脈系にアクセスする過程と、
上記身体の上記静脈系内で機器を位置決めする過程と、
上記機器を用いて上記身体の上記静脈系内に超音波信号を送信する過程と、
上記機器を用いて流速が2ないし20cm/sである血管系から反射超音波信号を受信する過程と、
上記反射超音波信号を処理して、静脈血の流れ方向、静脈血の流速、静脈血の流れ特性のパターン、圧力特性のパターン、A−モード情報及び流れの末梢非ランダム方向からなるパラメータ群の中から1つ又は複数のパラメータを決定する過程と、
上記血管系内の決定された上記1つ又は複数のパラメータを用いて、上記血管系内で上記機器を前進させる過程とを含方法。
(57) 上記機器を用いて上記身体の上記血管系内に超音波信号を送信する過程が、上記身体の上記血管系に対してA−モード超音波信号を送信又は受信する過程を含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(58) 上記機器を用いて上記身体の上記血管系内に超音波信号を送信する過程が、上記身体の上記血管系に対してドプラー超音波信号を送信又は受信する過程を含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(59) 上記機器を用いて上記身体の上記血管系内に超音波信号を送信する過程が、上記身体の上記血管系に対して非画像目標追跡超音波信号を送信又は受信する過程を含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(60) 上記反射超音波信号を処理して流れパターンを決定する過程が、上記機器に向かう血管系内における流れ方向を決定し、
かつ、上記反射超音波信号を処理して流れパターンを決定する過程が、上記機器から離れる流れの方向を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(61) 上記反射超音波信号を処理して、特定の血液流パターンを示す信号の存在を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(62) 上記反射超音波信号を処理して、特定の圧力パターンを示す信号の存在を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(63) 上記反射超音波信号を処理して、大静脈・心房ジャンクションに対する上記機器の相対的な位置を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(64) 上記反射超音波信号を処理して、上記反射超音波信号を処理した後の流れの存在を決定し、順行性流れ及び後退性流れの両方の存在を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(65) 上記反射超音波信号を処理して上記機器から離れる流れの存在を決定するとともに、上記反射超音波信号を処理した後に上記機器に向かう流れ及び上記機器から離れる流れの両方の存在を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(66) 上記反射超音波信号を処理して、特定の構造を示す信号の存在を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(67) 上記特定の構造が心臓の弁である、(66)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(68) 上記特定の構造が心臓の室である、(66)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(69) 上記特定の構造が血管の壁である、(66)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(70) 上記特定の構造が心臓の壁である、(66)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(71) 上記反射超音波信号を処理して、2つ又はこれより多い血管がつながる位置を示す信号の存在を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(72) 上記の2つ又はこれより多い血管が上大静脈及び下静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(73) 上記の2つ又はこれより多い血管が下大静脈及び腎静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(74) 上記の2つ又はこれより多い血管が右総腸骨静脈及び左総腸骨静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(75) 上記の2つ又はこれより多い血管が外腸骨静脈及び内腸骨静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(76) 上記の2つ又はこれより多い血管が右腕頭静脈及び左腕頭静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(77) 上記の2つ又はこれより多い血管が上大静脈及び奇静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(78) 上記の2つ又はこれより多い血管が総大腿骨静脈及び大伏在静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(79) 上記の2つ又はこれより多い血管が表在大腿骨静脈及び深大腿骨静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(80) 上記の2つ又はこれより多い血管が膝窩静脈及び小伏在静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(81) 上記の2つ又はこれより多い血管が穿通枝静脈及び表在静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(82) 上記の2つ又はこれより多い血管が穿通枝静脈及び深脛骨静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(83) 上記の2つ又はこれより多い血管が大伏在静脈及び拡張蛇行静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(84) 上記の2つ又はこれより多い血管が頸静脈及び鎖骨下静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(85) 上記の2つ又はこれより多い血管が橈側皮静脈及び腋窩静脈を含んでいる、(71)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(86) 上記機器を用いて位置を決定し身体の血管系内にデバイスを固定する過程と、
上記デバイスを上記身体に固定して、上記デバイスを、上記機器により決定された位置に維持する過程とをさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(87) 上記機器を用いて上記デバイスの現在の位置を計算する過程と、
上記デバイスの現在の計算された位置を、上記機器によって決定された位置と比較することにより、上記デバイスが上記機器によって決定された位置に存在するか否かを決定する過程とをさらに含んでいる、(86)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(88) 上記反射超音波信号を処理して、冠状静脈洞に対する、右心房内における上記機器の相対的な位置を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
(89) 上記反射超音波信号を処理して、肺静脈に対する、左心房内における上記機器の相対的な位置を決定する過程をさらに含んでいる、(56)に記載の身体の血管系内で機器を位置決めする方法。
【符号の説明】
【0196】
6 尺側皮静脈、8 頭側皮静脈、10 頸静脈、12 腕頭静脈、14 上大静脈、16 下大静脈、20 心臓、22 右心房、24 三尖弁、100 血管内へのアクセス及び誘導システム、110 誘導血管系アクセスデバイス、112 細長い物体、113 遠位端、114 近位端、115 センサ、118 電線、120 コネクタ、125 コネクタ、150 制御及びデータ収集ユニット、160 信号処理部、170 基本ユーザインタフェース、180 その他のインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサと、
上記超音波センサの少なくとも1つの側部を密閉する気密型超音波透過性シールとを備えている超音波センサ組立体。
【請求項2】
上記気密型超音波透過シールが音響レンズの形状に形成されている、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項3】
上記音響レンズが、上記超音波センサによって生成されたビームを広げる形状に形成されている、請求項2に記載の超音波センサ組立体。
【請求項4】
上記音響レンズがエポキシ樹脂製である、請求項2に記載の超音波センサ組立体。
【請求項5】
上記超音波センサが圧電性結晶で形成されている、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項6】
上記超音波センサが圧電性セラミックで形成されている、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項7】
上記超音波センサがシリコンで形成されている、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項8】
上記超音波センサが薄い圧電性フィルムを備えている、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項9】
上記音響レンズが複数のマイクロレンズを備えている、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項10】
カテーテル本体部をさらに備えていて、
上記超音波センサが上記カテーテル本体部に取り付けられて、前向きのビームを生成する、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項11】
カテーテル本体部をさらに備えていて、
上記超音波センサが上記カテーテル本体部に取り付けられて、横向きのビームを生成する、請求項1に記載の超音波センサ組立体。
【請求項12】
上記超音波センサが上記カテーテル本体部の壁部に形成された凹部内に配置されている、請求項11に記載の超音波センサ組立体。
【請求項13】
上記超音波センサが、上記カテーテル本体部の外表面を通り過ぎる流体がドプラー読み取りを行うように構成されている、請求項12に記載のセンサ組立体。
【請求項14】
気密型超音波透過性シールが音響レンズの形状に形成されている、請求項12に記載のセンサ組立体。
【請求項15】
上記音響レンズが、上記超音波センサによって生成されたビームを広げる形状に形成されている、請求項14に記載のセンサ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33A】
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【図33B】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43A】
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【図43B】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50A】
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【図50B】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2012−66098(P2012−66098A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−246384(P2011−246384)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【分割の表示】特願2008−510306(P2008−510306)の分割
【原出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507367150)バソノバ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】VASONOVA, INC.
【Fターム(参考)】