説明

血管内給送装置のための電力及び/又は信号トリガーワイヤ

【課題】血管内給送装置のための電力及び/又は信号トリガーワイヤの提供。
【解決手段】 血管内グラフト給送装置は、血管内人工器官器具と該血管内人工器官器具の部分に配備可能に係合している1以上のトリガーワイヤとを備えている。トリガーワイヤの近位端には電気素子が位置決めされている。該電気素子は、前記トリガーワイヤと信号通信状態にあって、トリガーワイヤを通して作動信号を伝える。該作動信号は、前記血管内人工器官器具を所望の配備位置に位置決めするのを補助する電力信号又は制御信号である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して医療器具に関する。更に特定すると、本発明は、血管内給送装置のための電力及び/又は信号トリガーワイヤに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は係属中の2011年4月29日に出願された米国仮特許出願第61/480,931号に基づく優先権を主張している。該米国仮特許出願は、これに言及することによってその全体が参考として本明細書に組み入れられている。
【背景技術】
【0003】
本明細書を通して、大動脈又はその他の血管への本発明の適用について説明する場合に、人工器官に関して“遠位”という用語は、埋め込まれたときに血流に関してより下流にある人工器官の部分を指すことを意図しており、“遠位方向に“という用語は、血流の方向又はより下流側を意味している。“近位”という用語は、埋め込まれたときに血流に関してより上流にある位置又は人工器官の部分を指すことを意図しており、“近位方向に“という用語は、血流方向と反対の方向又はより上流側を意味している。
【0004】
人間及び動物の体の機能的な脈管例えば血管や導管は、時には脆弱化し又は破裂さえする。例えば、動脈壁は脆弱化して動脈瘤をもたらす。血液動力学な力に曝されると、このような動脈瘤は破壊し得る。60〜75歳の西ヨーロッパ人及びオーストラリア人においては、直径が29mmより大きい動脈瘤が人口の6.9%に見出され、40mmよりも大きい動脈瘤が人口の1.8%に存在する。
【0005】
脆弱化した血管、動脈瘤を起こした血管、又は破れた血管に対する一つの外科的介入としては、人工器官を使用して血管の欠陥部位に跨る長さの現存の血管壁を置き換えることにより、元の健康な血管の機能の幾らか又は全てを提供し且つ/又は残っている血管の健全性を維持する方法がある。このような人工器具の一つはステントグラフトである。ステントグラフトは、血管系内の修復部又は欠陥部をバイパスする人間又は動物の体内の血管系の治療のために使用される。
【0006】
このような人工器官によって治療される血管は、1以上の血管側枝すなわち主要血管に吻合されている血管を有していることがある。腹腔動脈、上腸間膜動脈、左総頚動脈、腎動脈は、例えば大動脈の血管側枝であり、下腹壁動脈は、総腸骨動脈の血管側枝である。従って、ステントグラフトは、主要動脈内に生じた又は主要動脈に関係する動脈瘤を跨ぐようにして使用される。このような血管側枝をその内部への血流を提供することなくバイバスさせることは問題を生じさせ、従って、配備されたときに主要動脈の穴を覆うように配置されるステントグラフトに開窓部又は側枝を設けることが提案されて来ており、次いで、別のステントグラフトを副次動脈への開窓部又は側枝内に配備させて該副次動脈への血流経路を提供することができる。
【0007】
従って、血管を人工器官器具によって治療するときに、人工器官から血管側枝まで延びている人工器官側枝を設けて血管側枝内への血流が妨げられないようにすることによって元の循環を保つことが好ましい。例えば、一つの腹部大動脈人工器官の大動脈部分は、腎動脈の上方を伸長し且つ腎動脈内へ伸長する人工器官側枝を有するように設計することができる。側枝伸長用人工器官モジュール(“側枝伸長部“)は、人工器官側枝へのトロンボーン型の接続部を形成して人工器官を完璧なものとすることができる。更に、幾つかの動脈瘤は血管側枝自体内へと延びている。人工器官の側枝及びこれらの血管内への側枝伸長部は、これらの伸長した動脈瘤の拡張及び/又は破裂の防止を補助することができる。
【0008】
ステントグラフトによって治療される血管の別の例は大動脈弓である。大動脈弓のステントグラフトは、大動脈弓の切開の治療及び動脈瘤の拡張の治療に使用される。他の主要血管の場合と同様に、これらのグラフトの多くは、大動脈弓から出ている大動脈側枝の開存性を維持する側枝を備えている。これらの動脈側枝としては、腕頭動脈、左総頚動脈、及び鎖骨下動脈がある。大動脈弓内のステントグラフトは、それ自体が分枝して血液の流れをこれらの動脈側枝内へ導く補助をする。これらの分岐したグラフトの多くは、人工器官から外方へ突出している側枝を備えている。ステントグラフトを動脈側枝内へ埋め込むことは、大動脈弓の解剖学的構造に起因して外科医に問題を生じさせる。動脈側枝からの血流は長時間に亘って遮断されてはならない。なぜならば動脈側枝は血液を脳に供給するからである。側枝とかみ合う分岐ステントを埋め込むことには課題がある。なぜならば、ステントグラフトは大動脈弓の自然な向きに適合するか又は似た形をとらなければならないからである。
【0009】
外科医は、動脈側枝を介して大動脈弓にアクセスして小さな血管ステントを埋め込む。ガイドワイヤが使用されて、動脈側枝内の小さな血管ステントが大動脈弓ステントの側枝とリンクされる。しかしながら、ガイドワイヤを大動脈弓ステントの側枝の穴及び動脈側枝に通すのには多くの時間が費やされる。外科医は、分岐したステントの給送カテーテルと接続する前に、ガイドワイヤを大動脈弓ステントの通路内の難しい角度に沿って操作することが多い。
【0010】
一般的に、ガイドワイヤを操作してステントグラフトのような医療器具を正しく且つ信頼性高く位置決めするには、外科医の最高の技能及び経験が必要とされる。医療器具が位置決めされる場所、その向き、及び配置を示す、外科医が有する入手可能な情報は比較的に少ない。従来は、患者の解剖学的構造のリアルタイムの動画を得るために蛍光透視が外科医によって使用されて来た。しかしながら、蛍光透視のためにX線を使用することは、患者、外科医、及びその他の医療関係者に健康上のリスクを与える。幾何学的構造が小さいことにより、配置の正確さは重要であり、特にステントグラフトのような器具を動脈側枝のような別の血管に対して位置決めするときには重要である。従って、外科医に医療器具の位置及び向きについての情報を提供するための改良された方法及び器具が必要とされている。更に、蛍光透視の使用を減らした比較的安全な方法を使用してこのような情報を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の特徴によると、本発明は、血管内グラフト給送装置を提供しており、該血管内グラフト給送装置は、血管内人工器官器具と、該血管内人工器官器具の部分と配備可能に係合している1以上のトリガーワイヤとを備えている。トリガーワイヤの近位端には電気素子が配置されている。該電気素子は、トリガーワイヤと信号通信状態にあって、トリガーワイヤとの間で1以上の作動信号を伝送する。該作動信号は、血管内人工器官器具を所望の配備位置に位置決めする補助となる電力信号又は制御信号である。該作動信号は、1以上の導電性ワイヤ上でやりとりされる電流又は電圧のような電気信号であっても良いし、又は1以上の光ファイバでやりとりされる光信号であっても良い。トリガーワイヤは、単一のトリガーワイヤ構造内に一緒に束ねられている、1以上の導電体と、1以上の光ファイバと、機械的歪み解放器具とを備えている。該作動信号はアナログ信号若しくはデジタル信号とすることができ又は単一のワイヤ又は多数のワイヤバス上でやりとりされるデジタルデータとすることができる。一つの実施形態においては、該電気素子は、血管内人工器官器具の配備中に、血管内人工器官器具の位置についての情報を提供するセンサを備えている。この情報は、患者の体外位置においてトリガーワイヤを通して検知可能である。該電気素子は、トリガーワイヤを介して受け取った作動信号に応答して位置決め送信信号を発する送信器とすることができる。発せられる送信信号は高周波エネルギ又は光である。特別な用途においては、血管内人工器官器具は大動脈ステントグラフトである。
【0012】
第二の特徴に従って、本発明は血管内人工器官器具を配備させる方法を提供する。該方法は、血管内人工器官器具を人体内の所望の配備位置の近くに血管を介して位置決めするステップと、血管内人工器官器具と機械的に係合しているトリガーワイヤに信号を付加するステップとを含んでいる。トリガーワイヤは、血管内人工器官器具に関連付けられている電気素子との間で信号伝送する状態にある。トリガーワイヤはまた、血管内人工器官器具の位置決め中に血管内人工器官器具の機械的な構造を解除可能状態で拘束する。該方法は更に、体外にある検知器において、付加された信号に基づいて電気素子によって送信される電磁的な位置決め送信信号を検知するステップを含んでいる。検知された電磁的位置決め送信信号に応答して、該血管内器具は再度位置決めされる。次いで、別の信号がトリガーワイヤに付加され、続いて、電磁的位置決め送信信号が検知器において検知される。血管内人工器官器具が所望の配備位置にあるときに、トリガーワイヤが起動されて血管内人工器官器具の機械的拘束が解放され、その結果血管内人工器官器具が所望の配備位置に配備される。
【0013】
本発明は、第三の特徴に従って、血管内人工器官器具のための方法を提供している。該方法は、血管内人工器官器具を人体内の所望の配備位置の近くに血管を通して位置決めするステップと、2以上の電気素子を血管内人工器官器具に隣接させて位置決めするステップとを含んでいる。該2以上の電気素子は、2以上の対応するトリガーワイヤとの間で信号通信状態にあり且つ各々のトリガーワイヤを介して送られた起動信号に電気的に応答して各々に対応する電磁的位置決め送信信号を送り、この信号は人体外で検知可能である。この方法は更に、起動信号を2以上のトリガーワイヤに供給して該2以上の電気素子を作動させるステップと、初期の位置決め送信信号を検知して血管内人工器官のための初期位置を特定するステップとを含んでいる。該方法は更に、これに続いて血管内人工器官器具を位置決めするステップと、該2以上の電気素子を作動させるためのこれに続く作動信号を提供するステップと、これに続く電磁的な情報に応答して、これに続く位置決め送信信号を検知して血管内人工器官器具の動きを特定するステップとを含んでいる。
【0014】
本発明は、第四の特徴に従って、人体内に位置決め可能な血管内グラフトを備えている血管内グラフト給送装置を提供している。該給送装置は更に、付加された起動信号に応答して電磁的送信信号を送る1以上の電気素子を備えている。該1以上の電気素子は、血管内グラフト給送装置の近位端に位置決めされている。該給送装置は更に、1以上のトリガーワイヤを備えており、該トリガーワイヤの各々は各々対応する電気素子との間で信号通信状態にあって、各々の電気素子に作動信号を付与する。各々のトリガーワイヤは、血管内グラフトの一部分と係合しており、トリガーがかけられると血管内グラフトから機械的拘束を除去する。特別な実施形態においては、1以上のトリガーワイヤは、該血管内グラフト給送装置の遠位端から外に出ている。該給送装置は更に、送られた電磁的送信信号を受信するように作動する人体外にある受信器と、該受信器に接続されていて受け取った電磁的送信信号と人体についての記憶されているデータに基づく位置決め用の像を形成するディスプレイ機器とを備えている。トリガーワイヤは、作動信号を電気素子に送るために、導電体又は光ファイバ又はこれらの両方を備えている。該導電体と光ファイバとはトリガーワイヤと共に束ねられている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は血管内人工器官器具の第一の実施形態を示している図である。
【0016】
【図2】図2は、血管内人工器官器具の第二の実施形態を示している図である。
【0017】
【図3】図3は、血管内人工器官器具給送装置を示している図である。
【0018】
【図4】図4は、血管内人工器官器具を配備させる方法を示しているフローチャートである。
【0019】
【図5】図5は、血管内人工器官器具を配備させるための代替的な方法を示しているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
“管腔内の”という用語は、人間又は動物の体内の管腔内に見出され又は配置させることができる対象物を表現している。“血管内の”という用語は血管内にある対象物を表現している。管腔とは、既にある管腔か又は外科的介入によって造られた管腔である。これには、血管のような管腔、胃腸管の部分、胆管のような導管、呼吸器系の部分等が含まれる。“人工器官器具”は、これらの管腔のうちの一つの中に配置することができる人工器官である。
【0021】
“ステント”という用語は、人工器官に、剛性、拡張力、又は支持を付加する器具又は構造体を意味している。Z型ステントは、交互に配置されているストラットと頂点(すなわち、屈曲部)とを備えており且つ概ね筒状の管腔を形成しているステントである。Z型ステントの“振幅”とは、単一のストラットによって結合されている2つの屈曲部間の距離である。Z型ステントの“周期”とは、Z型ステント内の屈曲部の合計数を2で割った数又はストラットの合計数を2で割った数である。
【0022】
“内部の漏れ”という用語は、人工器官器具の近辺又は中での漏れを指している。内部の漏れは、人工器官の編み目構造を介して、又はモジュール型の人工器官の連結部を介して、又はとりわけ人工器官の端部近辺で生じ得る。内部の漏れは、動脈瘤を再び加圧するかも知れない。
【0023】
“血管側枝”という用語は、主要血管から分岐している血管を指している。例としては、大動脈(すなわち、この文脈における主要又は一次血管)に対する血管側枝である腹腔動脈及び腎動脈がある。別の例として、下腹壁動脈は、この文脈において主要又は一次血管である総腸骨動脈に対する血管側枝である。従って、“血管側枝”及び“主要血管”又は“一次血管”と“副次血管”は相対的な用語であることがわかるはずである。
【0024】
本発明の血管内人工器官装置の幾つかの実施形態としては、構造的支持を備えている人工器官器具がある。幾つかの実施形態においては、この構造的支持はステントである。一つの実施形態においては、ステントは複数の不連続なステント要素によって形成されている。別の実施形態においては、ステントは単一のステント要素によって形成されている。該ステントは、器具の外側、器具の内側、又はその両方に配置される。ステントは、バルーン拡張型又は自己拡張型のステントである。典型的には、ステントは、体管腔の概ね円形の断面と合致するように、一杯まで拡張されたときに円形の断面を有している。一つの例においては、ステントは、ストラットと先の尖った屈曲部又は頂点とを備えており、これらは、ジグザグ形状に配列されており、該ジグザグ形状においては、ストラットが互いにある角度で設定され且つ先の尖った屈曲部によって結合されている。本発明は、広範囲のステント形状で使用することができ、該広範囲のステント形状としては、限定的ではないが、形状記憶合金からなるステント、拡張可能なステント、及び生体内で形成されるステントがある。該ステントは、ニチノール、ステンレス鋼、又は別の生体適合性の金属若しくは合金によって作られるのが好ましいが、如何なる適当な材料が使用されても良い。
【0025】
“ステントグラフト”という用語は、管状のグラフト素材によって作られ且つ少なくとも1つのステントによって支持されているタイプの管腔内器具を指している。ステントグラフト材料は、綾織物を有し且つ約350ml/分/cmの多孔度を有している織り上げられたポリエステル(例えば、英国スコットランド州レンフルーにあるVascutek Ltd.から入手可能である)によって作られるのが好ましい。何らかの他の適切な材料が使用されても良い。
【0026】
上記したように、ステントグラフトは、自己拡張型かバルーン拡張型とすることができ、又はこれら両タイプのステントグラフトの特徴を有することができる。自己拡張型のステントグラフトは、圧縮形状で目標部位へ送り込まれ、続いて、送り込みシースの取り外しや、トリガーワイヤの取り外し、直径を縮小させている紐の解放よって拡張される。自己拡張型ステントの場合には、ステントは、最初に、更に機械的に拡張させる必要はなく、それ自体の拡張力に基づいて拡張する。ニチノールのような形状記憶合金によって作られているステントにおいては、該形状記憶合金は、シースを取り外したときにステントを所定の形状へ戻らせるために使用されている。
【0027】
配備制御機構としてトリガーワイヤが使用されている場合には、ステント又はステントグラフトの近位端及び/又は遠位端を給送カテーテルに、トリガーワイヤが解除可能形態で結合する。典型的には、1以上のトリガーワイヤがステントの頂端の近くのステントの部分に通されてループ状とされる。例えば、トリガーワイヤは、“Z型ステント”又はジャイアンツルコステントを拘束するために使用される。該ジャイアンツルコステントは、一連の実質的に真っ直ぐな区分を備えており且つ該真っ直ぐな区分が一連の屈曲した区分によって連結されている。トリガーワイヤは、該屈曲した区分に通され且つ引っ張られて、ステントを給送カテーテルに密着するように引っ張る。
【0028】
トリガーワイヤはまた、比較的鋭角すなわち先の尖った屈曲部を有しているカニューレ切断ステントのような種々のステント構造と共に使用しても良い。カニューレ切断ステントの構造は、頂端のきつい屈曲により、ステントを比較的小さな給送外径へと圧縮するのを容易にする。このようなステントの場合には、トリガーワイヤは、近位の頂端及び/又は遠位の頂端の下方、例えば、個々の頂端が2つの別個のストラット区分に分割される位置に形成されている1以上の頂端の周りにループ状にされる。
【0029】
図面を参照すると、図1には人工器官器具100が示されている。人工器官器具100は、ここに開示されている特徴が使われている器具の関連する構造及び機能を単に概略的に示すための例示として提供されている。これらの構造及び機能は、広範囲の種々の器具と共に使用することができ、図示されている例は、これらの構造及び機能の他の設備への適用の拡大を制限すべきものではない。
【0030】
人工器官器具100は主要人工器官102を備えており、該主要人工器官102は、該主要人工器官102の近位端106から遠位端108まで貫通して延びている主要管腔104を備えている。人工器官器具100は主要壁110を備えている。主要壁110は、主要管腔104を規定しており、ひとたび配備されると動脈瘤を塞ぐ。主要壁110には、第一の穴112と第二の穴114と第三の穴116とが示されており、これらの穴は、第一の受け口118と第二の受け口120と第三の受け口122とに対応しており、これらの受け口は、主要人工器官102が配備される血管から外方へ分岐している3つの動脈側枝に対応している。図示されている実施形態は3つの受け口を備えているけれども、本発明の他の実施形態においては、1つ又は2つの受け口に対応している1つ又は2つの穴が主要人工器官に設けられる。他の実施形態においては、主要壁110に少なくとも1つの受け口が設けられている。更に別の実施形態においては、人工器官器具100には、受け口が設けられておらず、例えば人工器官器具を別の人工器官に結合してモジュール型の人工器官を形成する目的で、1以上の開窓部を備えていることを特徴としている。主要人工器官102が主要壁110の少なくとも一部分の周りに構造的な支持部を更に備えている実施形態もある。該構造的な支持部は幾つかの実施形態においてはステントである。
【0031】
第一の受け口118と第二の受け口120と第三の受け口122との少なくとも一部分は、穴112,114,116から主要管腔110内へと延びている。示されている図においては、第一の受け口118と第二の受け口120とは近位方向に向かって角度が付けられているが、第三の受け口122は遠位方向に向かって角度が付けられている。従って、これらの受け口は主要管腔110と流体連通状態で配列されている。受け口が他の特定の治療に適した方向に角度が付けられている他の実施形態もある。第一の受け口118と第二の受け口120と第三の受け口122とは、各々副次的な人工器官の近位端とかみ合って、各穴において主要人工器官102との確実なシールを形成している。受け口118,120,122は、血液の流れを受け入れるように角度が付けられており且つ血液の流れを動脈側枝内の小さい管腔124内へと導いている。受け口118,120,122は開窓部130を備えており、開窓部130は、小さい管腔124と主要管腔110とを流体連通している。開窓部130は、主要管腔110内に延びている部分である受け口の小さい壁の遠位端108側に配置されている。
【0032】
図1には3つの受け口118,120,122を備えている実施形態が示されているけれども、少なくとも1つの受け口又は2つの受け口を備えている他の実施形態もある。図示されている実施形態においては、人工器官器具100が患者の大動脈弓内に位置決めされたときに血液の流れを腕頭動脈内へと導く構造とされている第一の受け口118と穴112とが設けられている。第二の受け口120と穴114は、人工器官器具100が患者の大動脈弓内に位置決めされたときに血液の流れを左総頚動脈内へと導く構造とされている。第三の受け口122と穴116は、人工器官器具100が患者の大動脈弓内に位置決めされたときに血液の流れを左鎖骨下動脈内へと導く構造とされている。
【0033】
ガイドワイヤ134が、主要人工器官102の遠位端108から開窓部130を通って延び、受け口の小さい管腔124内へと延び、そして主要壁110の穴を通って主要人工器官102の外へと延びている。本発明におけるこれらの部材の配置により、配置され且つ配備されたときに、ガイドワイヤ134は、二重管腔のカテーテル又は何らかの他のガイドワイヤに縛り付けるために目標血管内に位置決めされる。ガイドワイヤ134は、角度が付けられている先端、可撓性の先端、追従性のある先端、又は先が尖っていない先端を有することができる。
【0034】
図2には、1本のガイドワイヤ134を備えている実施形態が示されており、該1本のガイドワイヤ134は、第一の受け口118と第二の受け口120と第三の受け口122の開窓部130に通されている。図示されている実施形態は第二の受け口120と第三の受け口122とに2つの開窓部130を備えているが、受け口毎に唯1つの開窓部130を備えている実施形態もある。ガイドワイヤ134は、例えば側方分岐グラフトのような副次的な人工器官を第一の受け口118の第一の穴112内へガイドし且つ配備させるために使用されている。第一の副次的な人工器官が配備された後に、ガイドワイヤ134は第一の受け口118から第二の受け口120内へ引っ張られる。このような実施形態においては、ガイドワイヤ134の先端は、ニチノールのような形状記憶合金によって作られているのが好ましい。これによって、ガイドワイヤ134の先端は第二の穴124から外方を向いた向きを呈する。
【0035】
人工器官100がひとたび適正に配備されると、側枝部内の開窓部130は血液の流れを妨げない。管状の側方側枝グラフト人工器官のような副次的な人工器官が受け口内に位置決めされ且つ配備されると、ガイドワイヤ134は開窓部130から引っ込められる。該副次的な人工器官の近位端が開窓部130を塞ぎ、血液の流れは不利な影響を受けない。
【0036】
図1及び2の血管内人工器官器具は、当該技術において公知の方法で、患者の大動脈弓内に配備させることができる。一般的に、主要人工器官は、動脈瘤か又はその他の疾患がある大動脈弓内に導入される。主要なガイドワイヤが、切開部を介して大腿動脈(右又は左)に挿入され、下行大動脈、大動脈弓、及び上行大動脈内をガイドされる。主要なガイドワイヤは、幾つかの方法においては、心臓の大動脈弁へとガイドされる。
【0037】
これに続いて、主要人工器官は、例えば、人工器官を部分的に拘束している結び目を形成している拘束部材を解放することによって、部分的に拡張される。図1又は図2の器具の場合には、第一の穴112、第二の穴114、及び第三の穴116は、各々、腕頭動脈、左総頚動脈、及び左鎖骨下大動脈と整合される。ガイドワイヤは、スネアリングのために大動脈内に適正に位置決めされる。診断用画像形成が使用されて部材の全ての適正な配置が確保できる。一般的には、放射線不透過性のマーカーが配置されて、第一の穴112、第二の穴114、及び第三の穴116の位置が標識される。更に、放射線不透過性のマーカーは、主要人工器官上の他の位置に配置して器具の位置を標識する補助とすることができる。該人工器官器具は、適当な血管内グラフト給送装置を使用して埋め込まれ且つ位置決めされる。
【0038】
図3は、血管内グラフト給送装置300を示している。該血管内グラフト給送装置300は、血管内人工器官器具302と、シース304と、近位方向に先細のノーズコーン型の拡張器306と、ハンドル308と、コネクタ312と、電気デバイス314と、第一のトリガーワイヤ316と、第二のトリガーワイヤ318とを備えている。この実施形態は単なる例示である。代替的な実施形態は追加の部材を備えていても良く、又は図3に示されている部材のうちの幾つかを改造したものであっても良い。血管内グラフト給送装置300は、特別な目的、機能、又は解剖学的構造に適合するように改造することができる。図3に示されている血管内グラフト給送装置300は、特に人体の上行大動脈、下行大動脈、又は大動脈弓内の動脈瘤を修復するために大動脈ステントグラフトを配備させるように適合されている。他の用途への展開も明らかであろう。
【0039】
図示されている実施形態における血管内人工器官器具302は大動脈ステントグラフトである。血管内人工器官器具302は、生体適合性のグラフト材によって作られている管状の本体320と少なくとも1つのステントとを備えている。血管内人工器官器具302は、単一の材料、材料の混合物、織物、積層体若しくは複合材、又は2以上の材料、によって作ることができる。管状の本体320は主要管腔310を規定している。管状の本体320は、特定の解剖学的形状に適合する形状とすることができる。例えば、管状の本体320は、図1の人工器官102の穴112,114,116と同様な1以上の穴を形成している。このような穴は、血管内人工器官器具302と共に外科的に埋め込まれる側枝グラフトを備えた小さい管腔を形成するようになされている。当業者がわかるように、血管内人工器官器具302の特定の材料と穴及び形状を含む構造とは、何らかの適切な方法で特定の要件を満たすように適合させることができる。
【0040】
この例示的な実施形態においては、血管内人工器官器具302は、第一のステント322、第二のステント324、第三のステント326、及び第四のステント328を備えている。ステント322,324,326,328はあらゆる形状とすることができる。例示的な実施形態においては、Z型ステントが使用されている。Z型ステントは、交互に配置されているストラットと頂端(すなわち、屈曲部)とを備えており且つ概ね筒状の管腔を規定しているステントである。ステント322,324,326,328は、バルーン拡張型又は自己拡張型とすることができる。該ステントは、円形の断面を有していて、一杯まで拡張したときに人体の大動脈のような体管腔の概ね円形の断面に合致するようになされている。
【0041】
血管内人工器官器具302は1以上の電気素子330と開窓部332とを備えている。以下に更に詳細に説明するように、電気素子330は、トリガーワイヤ316,318と電気通信状態又は光通信状態にある。電気素子330がトリガーワイヤ316,318を通じて電力又は信号を受け取るか、電気素子330からの信号がトリガーワイヤに供給される。開窓部332は、適当な位置に配置され且つ血管内人工器官器具302の配備及びそれに続く使用の際に何らかの適切な目的のために使用される。代替的な実施形態においては、電気素子330は、図1及び図2のガイドワイヤ134のようなガイドワイヤと電気的又は光学的に接続した状態にある。
【0042】
シース304は、血管内人工器官器具302と概ね同軸である。シース304は2つの位置間を摺動することができる。シース304は、血管内人工器官器具302の埋め込みの前及び埋め込み中には、このシース304内に含まれている未だ配備されていない血管内人工器官器具302と共に初期の近位位置にある。この際に、血管内人工器官302を含んでいる給送装置300は、患者の腸骨動脈へとアクセスするために、例えば切開部を介して患者の血管内に導入される。血管内人工器官器具302が適正に位置決めされると、シース304は、図3に示されている位置へ後退され、血管内人工器官器具302が配備される。
【0043】
近位の先細のノーズコーン型の拡張器306は、給送装置300の前縁を形成している。拡張器306の近位端は、例えば、図1及び2のガイドワイヤのようなガイドワイヤの外周に沿って血管アクセス部位へアクセスし且つこの部位を拡張させるために先細となっている。このようなガイドワイヤは導入器針によって血管内へ挿入される。ガイドワイヤは、所望の血管位置で定位置に向けて操作される。次いで、拡張器306がガイドワイヤの外周に沿って定位置に向けて操作される。
【0044】
ハンドル308は、血管内人工器官器具302の配備中に給送装置300の制御を実現する。ハンドル308は、配備中に、拡張器を遠位位置と近位位置との間で摺動させるための拡張器制御装置を備えている。ハンドル308は、以下に更に詳細に説明するように、トリガーワイヤ316,318を解放するための解放構造334を備えている。
【0045】
コネクタ312は、例えば注射器及びその他の医療装置のような他の装置の機械的な接続を可能にしている。この点に関して、広範囲の装置を給送装置300と迅速且つ信頼性高く結合することができるように、標準化されたコネクタを使用することができる。一つの例示的なコネクタは、ルアーロック(登録商標)コネクタハブである。何らかの他の適当なコネクタ装置を他の設備への機械的な結合又は流体による結合のために設けても良い。機械的結合及び流体連通のためのコネクタ312に追加して、コネクタ312は電気コネクタ又は光コネクタを備えることができる。
【0046】
トリガーワイヤ316,318は、血管内人工器官給送装置300の機械的、電気的、及び光学的制御を選択的に堤供する。血管内人工器官器具302は、当該技術において公知のタイプの機械的な拘束部材を備えている。該機械的な拘束部材は、トリガーワイヤのうちの1以上を起動させることによって選択的に解放される。該機械的拘束部材は、血管内人工器官器具302の配備前及び配備中に、血管内人工器官器具302が一杯まで圧潰された形状又は部分的に圧潰された形状に維持する。圧潰された形状においては、血管内人工器官器具302は脈管系内を所望の配備位置に向かって導入されるほど十分に小さい。例えば大動脈瘤の部位に適正に配置されると、トリガーワイヤが選択的に作動して拘束が解放される。ステント322,324,326,328の力又はバルーンのような他の器具の力によって、血管内人工器官器具302は血管内の空間を塞ぐ。
【0047】
図3では、ステントグラフトの近位端は完全に配備された状態で示されており、ステントの遠位端は部分的に配備された状態で示されている。多くの用途においては、2以上のトリガーワイヤがステントグラフトの近位側に取り付けられ且つ1つのトリガーワイヤがステントグラフトの遠位側に取り付けられるけれども、図示されている図面では2以上の近位のトリガーワイヤのみが示されている。更に、図面では血管内人工器官器具302の外側に配置されているトリガーワイヤ316,318が示されているが、トリガーワイヤ316,318のうちの1以上が管腔310内の内側に配置されても良い。トリガーワイヤの本数及び位置並びにそれらの配置は、血管内人工器官器具302が意図されている特定の用途に合うようにしつらえることができる。
【0048】
トリガーワイヤ316,318は、ハンドル308の遠位側の給送装置330の遠位端から出ている。該給送装置をトリガーワイヤ316,318につなぐために他の構造で代用しても良い。例えば、1以上のコネクタ部分をコネクタ312又は別のコネクタに追加しても良い。該コネクタ部分は、周囲の信号ワイヤ又はその他の部材の導電体に対する干渉をもたらすことなく、電気信号及び光信号のような含まれる信号のタイプに対して信頼性の高い迅速な接続及び接続解除を実現することができる。トリガーワイヤは電子デバイス314に接続されている。接続の容易性及び信頼性のために、標準的な電気コネクタ又は光コネクタを使用してトリガーワイヤ316,318と電子デバイス314とを接続することができる。付加的な機械的歪み解放器具が同様に設けられても良い。
【0049】
電子デバイス314は、トリガーワイヤ316,318に電磁的に又は光学的に結合されている。電子デバイス314は、血管内人工器官器具302に設けられている電気素子330と協働するように配置された何らかのタイプの電気装置である。電子デバイス314は、例えば電源、信号発生器、信号検知器、ディスプレイ等である。従って、電子デバイス314の特性は、血管内人工器官器具302に設けられている電気素子330の特性に関連付けられる。
【0050】
電気素子330は、センサ若しくは送信器若しくはその他の機器、又はこれらの組合せを備えている。第一の実施形態においては、センサは、1以上の状態を検知し且つ検知した状態に基づいてトリガーワイヤ316,318に電気的に信号を付与する。状態が感知又は検知されると、センサは、血管内人工器官器具が患者の体内に位置決めされたときのフィードバック情報をトリガーワイヤに付与する。例えば、電気素子は、患者の体外から又は別の内部の位置からセンサに当たる電磁エネルギを検知し、それに応じてトリガーワイヤにフィードバック情報を付与する。該フィードバック情報は、アナログ信号、デジタル信号、又は電気素子によって発生され又は検知されたデジタルデータである。別の実施形態においては、センサには、トリガーワイヤ316,318に付加された電気信号によって電力を供給される。もう一つ別の実施形態においては、電力信号がトリガーワイヤに適用され、その結果、電気素子330に付与され、電気素子330に作動電力が付与される。更に別の実施形態においては、電気素子330は、該電気素子330の近くで感知される磁場を発生させる磁石のような受動的な素子からなる。
【0051】
幾つかの実施形態においては、電気素子は、圧力、温度、又は近くの磁場の強さ若しくは電場の強さを検知し、検知した状態の情報を提供する。該情報は、例えばフィードバック情報として電線又は光ファイバを伝達される。該フィードバック情報は、外科医が血管内人工器官器具を位置決めする際に使用することができる。従って、電気素子330は、トリガーワイヤ316,318及び電子デバイス314と共に使用して患者の体内での人工器官器具102の位置決めにおいて外科医が使用することができる表示を形成することができる。
【0052】
例えば、一つの実施形態においては、該電気素子は、特定の周波数で発生される高周波エネルギに応答し、各々の素子が特定の周波数に応答する。該人工器官を大動脈弓内に位置決めするためには、送信器が、腕頭動脈、左総頚動脈、左鎖骨下動脈内に位置決めされる。各送信器は、特定の既知の周波数で高周波エネルギを送信する。該電気素子が給送装置300によって大動脈弓を介して下行大動脈の中を進入されると、各々の電気素子は、近くの送信器からの高周波送信信号の信号強度を検知し且つ検知した信号強度に関連付けられた情報を生成する。この情報を適切に処理することによって、図形ディスプレイ又はその他の情報が人工器官器具102を埋め込んでいる外科医に提供される。該ディスプレイ情報は、所望の配備位置への人工器官器具102の軸線方向の近接程度並びに回転方向の近接程度の情報を提供する。
【0053】
電気素子330は、代替的に又は付加的に、光学センサ、カメラ、及び光源のような光学素子を備えていても良い。このような実施形態においては、トリガーワイヤ316,318は、電気素子330と電気デバイス314との間で光信号及び情報を送るための光ファイバを備えている。光ファイバは、トリガーワイヤ内の導電部材とともに束ねられている。トリガーワイヤは更に、血管内人工器官器具302の拘束部材に機械的に結合されている機械的アクチュエータを備えている。このような実施形態においては、該機械的アクチュエータは、トリガーワイヤ316,318が拘束を外すために引っ張られるときに、導電部材又は光ファイバではなく該機械的アクチュエータが機械的な負荷を担うように、歪み解放装置を提供している。従って、トリガーワイヤの構成要素は、血管内人工器官器具302によって採用されている電気素子330を収容できるように作製されている。更に別の実施形態においては、ステントグラフトを患者の血管系内に導入するために使用されているガイドワイヤは、ステントグラフトを位置決めするための基準点として使用される。例えば、ガイドワイヤの全て又は一部分は、電気信号又は磁気信号によってエネルギを付与される。信号の存在が検知されてステントグラフトの位置及び向きが確認される。
【0054】
図4は、血管内人工器官器具を配備させるため方法を示しているフローチャートである。該方法はブロック400において開始される。一つの例示的な実施形態においては、血管内人工器官器具は、大動脈瘤の虞れのある患者の大動脈内に埋め込まれる大動脈ステントグラフトである。該大動脈ステントグラフトは、該ステントグラフト上に設けられている電気素子と、該ステントグラフトの直径のようなステントグラフトの機械的な構造を解放可能な形態で拘束するトリガーワイヤとを備えている。トリガーワイヤは二つの目的を有している。すなわち、トリガーワイヤは、機械的拘束を制御することに加えて、ステントグラフト上の電気素子に電力若しくは信号を供給するために、又は例えばステントグラフトを位置決めするために電気素子から信号若しくはデータを受け取るために使用されている。
【0055】
ブロック402において、ステントグラフトは患者の体内の所望の配備位置の近くに位置決めされる。これは、典型的には、ステントグラフトを血管の穴から導入し且つ該ステントグラフトを所望の配備位置に向かって移動させることによって、血管を介するやり方で行われる。所望の配備位置は、治療される病気の状態及び関連する解剖学的構造の事情に基づく。例えば、大動脈弓内の血管の疾患の治療のためには、ステントグラフトは、適切な開口部が、腕頭動脈、左総頚動脈、及び左鎖骨下大動脈への血流を提供するように整合させた状態で、動脈瘤の近くの大動脈弓の一部分内に位置決めされなければならない。ステントグラフトは、外科医が一般的な方法を使用してほぼ正確な位置に位置決めされる。
【0056】
ブロック404において、1以上のガイドワイヤに信号が付加される。付加される信号の特性は、選択されたトリガーワイヤと通信状態にある電気素子の特性に基づく。例えば、該電気素子は、電磁エネルギの高周波送信信号を受信することによって適用電圧に応答する。別の方法として、該電気素子は、1以上の導電体のデータバス上に提供されるデジタルデータに応答することができる。更に、該電気素子は、体外で検知し且つ処理するためのアンテナのようにエネルギを放射することによって、印加された電流に応答することができる。従って、電圧又は電流信号がトリガーワイヤの電気的な部分又は導電体に直接的に適用されるか又は電流又は電圧を導電体に誘導することによって間接的に適用される。
【0057】
代替的な実施形態においては、光ファイバがトリガーワイヤの一部分であり、印加された信号の特性は光学的なものである。印加される信号としては、光ファイバ内の光パルスを変調させるデジタルデータ又はステントグラフト上に設けられている電気素子を起動させるのに適した何らかの他の光信号がある。幾つかの用途においては、印加される信号は、トリガーワイヤの電気的な部分又は導電体に適用される電気信号と、トリガーワイヤの光ファイバに適用される光信号とを含んでいる。これらの用途においては、トリガーワイヤは、機械的アクチェータ、導電体、及び/又は光ファイバ、からなる束を含むものと考えられる。
【0058】
ブロック406において、印加された信号に基づいて電気素子に送られた位置決め用の送信信号が検知される。何らかの適切な検知が使用され、該検知は電気素子上に誘導される送信信号の特性に基づいたものであるはずである。例えば、電気素子は、適用された信号に同調された後に、所定の周波数で所定の時間に亘って高周波信号を発信するように設計されている。送信信号の検知は、該所定周波数を監視して高周波送信信号を受け取るステップを含んでいる。該高周波送信信号は更に、電磁的な位置決め用送信信号として符号化されたデータによってデータを符号化するステップ及び搬送波を変調させるステップを含んでいる。受信器は、受け取った信号を復調させ且つデータを復号することによって、この位置決め用送信信号を検知する。信号の受信方法は概ねその送信信号に調和している。
【0059】
ブロック408において、ステントグラフトが所望の位置にあるか否かが判定される。これは、ここに開示された装置及び方法を使用して、ステントグラフトを埋め込んでいる外科医によって医学的経験に沿ってなされる手動プロセスである。例えば、ブロック406において検知された信号は、ディスプレイ機器上にディスプレイを形成するために使用される。ディスプレイを監視することによって、外科医はステントグラフトが正しく位置決めされたことを判断することができる。そうでない場合には、外科医は、ステントグラフトが正しく位置決めされていないと判断し且つ位置の調整を続ける。更に、該信号は、データ処理装置によって自動的に処理されて位置の正しさが判定され且つこの情報が外科医に提供される。
【0060】
ブロック408における判定結果が否定的である場合には、制御はブロック404へ戻る。ここでは、トリガーワイヤに信号が再度付加され、電気素子に別の位置決め用送信信号を発信させる。検知器において、電気素子によって送信される後続の電磁的な位置決め用送信信号が検知される(ブロック406)。制御は、ステントグラフトが所望の配備位置に適切に位置決めされるまでブロック404,406を含むループにとどまる。ステントグラフトが適切に位置決めされると、制御は該ループを出てブロック410へ進む。
【0061】
ブロック410においては、トリガーワイヤが起動されて、ステントグラフト又はその他の血管内人工器官器具の機械的拘束が解かれ、ステントグラフトが所望の配備位置に配備される。典型的な実施形態においては、多数のトリガーワイヤが使用され、例えば、ステントグラフトの近位端に1以上のトリガーワイヤが使用され、ステントグラフトの遠位端に1以上のトリガーワイヤが使用される。トリガーワイヤの作動によって、ステントグラフトがその作動位置に配置される。
【0062】
ブロック412において、トリガーワイヤとこれに関連付けられている電線とが患者から抜き取られる。ブロック414で該方法は終了する。
【0063】
図5は、血管内人工器官器具を配備させるための代替的な方法を示しているフローチャートである。図5の実施形態は、特に、血管内人工器官器具の配置を長期間に亘って監視するように良好に適合させたものである。例えば、幾つかの人工器官器具は種々の原因により常に動いてしまう。このことは、長期間に亘る患者のケアに対する問題を提議している。例えば、大動脈弓ステントグラフトが腕頭動脈と左総頚動脈と左鎖骨動脈とのうちの1以上ともはや整合していないほどに移動すると、患者の健康が著しく害される。別の場合には、幾つかのモジール型の人工器官が幾つかの用途において使用され、この場合には、第一の人工器官が第二の人工器官に結合され、これら2つは内部の漏れ又はその他の状態を避けるために共通の結合を維持しなければならない。長期に亘る監視によってモジュールの移動又は分離を検知することができる。
【0064】
これらの実施形態においては、人工器官の位置を監視し且つ何らかの動きを検知することができることが大切である。過去においては、このような監視は、例えば、コンピュータ断層撮影(CAT)スキャンのような手段によってなされて来た。しかしながら、コストが高く、時間がかり、一部の患者にとっては不快なものであることに加えて、このような方法は、患者に実質的に放射線の照射をすることを必要とし、望ましくない。図5の方法は比較的良好な代替手段を可能にしている。
【0065】
該方法は、ブロック500において開始される。ブロック502において、血管内人工器官器具が概ね患者の体内に位置決めされる。この例示的な実施形態においては、大動脈弓ステントグラフトの例が使用されているが、この図示されている方法は広範囲の器具によって使用することができる。ステントグラフトは、適切な血管内グラフト給送装置を使用してステントグラフトを血管を通して導入することによって位置決めされる。
【0066】
ブロック504において、2以上の電気素子が血管内人工器官器具又はステントグラフトに隣接させて位置決めされる。これらの電気素子はステントグラフト又はその他の人工器官の表面に配置され且つ各々のトリガーワイヤと信号通信状態にあることが好ましい。トリガーワイヤが、人工器官のうちの1以上の拘束部材を機械的に起動させるために使用されている。該電気素子は、トリガーワイヤが引き抜かれるときに人工器官を留めておくためにトリガーワイヤから取り外すことができるのが好ましい。更に、該電気素子はまた、各々のトリガーワイヤによって伝送された起動信号に電気的に応答して、人体の外部で検知できる各々の電磁的な位置決め送信信号を送信する。図2及び3に関連して上述したように、電気素子と起動信号とは、電気的、磁気的、又は光学的なものを含む何らかの適当な種類とすることができる。同じことが、該電気素子によって発せられる電磁的な位置決め送信信号においても当てはまる。更に、トリガーワイヤが引き抜かれた後に該電気素子が起動されるように、該電気素子はまた、該電気素子に当たる電磁エネルギに応答することもできる。これは、例えば、データキャリア(RFID)機器又はその他の何らかの適当な方法と似た電気素子を起動させるための所定の周波数における高周波エネルギとすることができる。
【0067】
ブロック506において、人工器官が所望の配置位置の近くに概ね位置決めされ、起動信号がトリガーワイヤに付与されて該電気素子が起動される。上記したように、この信号は、電磁信号、光信号、又はその他のタイプの信号とすることができる。信号を付加することによって、該電気素子は初期の位置送信信号を伝送する。
【0068】
ブロック508において、初期位置の送信信号が患者の体外で検知される。この検知は、何らかの適当な方法、例えば電気素子からの高周波送信信号を検知して該送信信号を適当に処理することによってなされる。必要な場合には、ステントグラフトの位置が、ステントグラフトを所望の配備位置に正確に配置させるように調整され、電気素子を起動させ且つそれらの電気素子からの送信信号を受け取る処理が繰り返される。モジュール型のステントグラフトが使用されている場合にもまた、該処理が繰り返されて別個のモジュールが各々適正に位置決めされ且つ整合されることが確保される。
【0069】
ブロック510において、ステントグラフトが所望の配備位置にある状態で、トリガーワイヤが起動されて、ステントグラフトに対する拘束が解かれる。ブロック512において、トリガーワイヤが患者から引き抜かれ、上記したように、電気素子はステントグラフトと共に患者の体内に留まるのが好ましい。一つの実施形態においては、残っている電気素子は、トリガーワイヤに付加された信号によって起動される電気素子と同じものである。別の実施形態においては、体内に残っている電気素子は違うものであり且つ別に起動される。例えば、トリガーワイヤ上の起動信号に応答する電気素子が引き出され、外部から付加される信号例えば高周波エネルギに応答する別個の電気素子の組が後に残される。
【0070】
残っている電気素子は何らかの適当な位置に配置することができるが、人工器官器具の移動又はその他の不備な形態のような長期間に亘る変動の監視を可能にするように配置されるのが好ましい。例えば、如何なる移動も検知できるように、重ねた配向で位置決めされても良い。別の方法として、モジュール型のグラフトが使用される場合には、第一の電気素子がステントグラフトの一つのモジュール上で使用され、第二の電気素子が第二のモジュール上で使用されて、これらの2つの電気素子間の位置関係が監視できるようになされる。電気素子の位置の変動は、モジュール自体の位置の変動の証となるであろう。別の実施形態においては、該電気素子は、電気素子間の距離を示す1以上の送信信号を発する。これらの送信信号及び指示される距離を監視することによって、ステントグラフト又はモジュールの長期間に亘る位置が監視できる。
【0071】
ブロック514において、後続の作動信号が残っている電気素子に付加される。この後続の作動信号に基づいて、残されている電気素子は、後続の位置送信信号を発する。ブロック516において、該後続の位置送信信号が体外で検知される。この送信信号は、処理されて埋め込まれたステントグラフトのあらゆる動きを特定する(ブロック518)。該送信信号が処理されて、埋め込まれているステントグラフトの動きが特定される(ブロック518)。該送信信号が検知されると補正動作がなされる(ブロック520)。補正動作は、更なる監視から、外科手術、ステントグラフトの取り外し及び再埋め込みまでの適切な追加処置である。動きが検知されないか又はそれほど著しくない動きが検知される場合には、該方法はブロック522において終了される。
【0072】
本明細書の記載は、他の実施形態へ容易に展開させることができる。一つの例示的な実施形態は以下の方法を提供する。
【0073】
1.以下のステップを有する血管内人工器官器具のための方法
【0074】
前記血管内人工器官器具を患者の体内の所望の配備位置の近くに血管を通して位置決めするステップ
【0075】
2以上の電気素子を前記血管内人工器官器具に隣接させて位置決めするステップであって、該2以上の電気素子は、2以上の対応するトリガーワイヤと信号通信状態にあり且つ対応するトリガーワイヤによって伝送された起動信号に電気的に応答して、体外で検知できる対応する電磁的な位置決め送信信号を伝送するようになされている、前記位置決めするステップと、
【0076】
前記起動信号を前記2以上のトリガーワイヤに付与して前記2以上の電気素子を起動させるステップと、
【0077】
初期の位置決め用送信信号を検知して前記血管内人工器官器具の初期位置を特定するステップと、
【0078】
続いて、後続の起動信号を付与して前記2以上の電気素子を起動させるステップと、
【0079】
前記後続の電磁的な特定に応答して後続の位置決め用送信信号を検知し、前記血管内人工器官器具の動きを特定するステップと、を含んでいる。
【0080】
2.起動信号を付与するステップが、対応するトリガーワイヤの導電部分に電気的起動信号を付与するステップを含んでいる1に記載した方法。
【0081】
3.起動信号を付与するステップが、対応するトリガーワイヤの光ファイバに光学的起動信号を付与するステップを含んでいる1に記載した方法。
【0082】
4.更に以下の、
【0083】
前記の血管内人工器官器具が前記の検知された位置決め送信信号に基づいて所望の配備位置に位置決めされたときに、2以上の対応するトリガーワイヤを機械的に作動させて対応する機械的拘束を解放して前記血管内人工器官器具の対応する部分を配備させるステップを含んでいる1に記載の方法。
【0084】
5.更に以下の、
【0085】
前記の血管内人工器官器具が一杯まで配備されたときに、前記の2以上の対応するトリガーワイヤが人体から引き抜かれるが、該2以上の電気素子は人体内に留まったままとさせるステップを含んでいる4に記載の方法。
【0086】
上記から、本発明によって、人工器官給送装置のトリガーワイヤを使用してステントグラフト又は給送装置に取り付けられているセンサのような電気素子に電力信号及び制御信号を供給し且つ血管内人工器官器具の術中での位置決めのための送信用アンテナとしてトリガーワイヤを使用する方法及び装置が提供されることがわかる。血管内グラフトは、トリガーワイヤを介して給送装置に取り付けることができる。これらのトリガーワイヤは、グラフトを給送装置の近位側及び遠位側に取り付ける。通常は、2以上のワイヤがステントグラフトの近位方向に取り付けられ、1本のワイヤが遠位方向に取り付けられる。トリガーワイヤは2つの目的を果たすことができる。該器具を給送装置に固定化した状態で、これらのトリガーワイヤは、ステントグラフト及び/又は器具の給送装置に取り付けられているセンサに電力を供給するように、又は送信用アンテナとして機能するように使用することができる。該送信器は、術中の位置決め装置を介して器具を位置決めするために使用される。センサ又はトリガーワイヤは、例えば、開窓部が設けられている器具に取り付けられる。該トリガーワイヤは、信号又は電力を供給されて信号が器具から外部の位置決め装置へ送信されるのを可能にし、外科医がビデオモニターを介して一つの開窓部又は一連の開窓部を対応する目標血管に対して目視によって位置決めすることができるようにする。トリガーワイヤは、給送装置の遠位端から出て、電力供給源、信号発生器、又は類似の機器に取り付けられる。グラフトが位置決めされ且つ配備された後に、トリガーワイヤは給送装置を介して遠位方向に取り外される。本発明の利点としては、所望の配備位置にステントグラフトを正しく位置決めすること及び起り得る有害な放射線の使用及び影響を減らすことがある。
【0087】
以上、本発明の特定の実施形態を示し且つ説明したけれども、これらに改造を施しても良い。従って、上記の詳細な説明は限定的ではなく例示的なものとみなされることが意図されており、これらの実施形態は、本発明の精神及び範囲を規定することを意図されている全ての等価物を含む特許請求の範囲内に含まれることは理解できるはずである。
【符号の説明】
【0088】
100 人工器官器具、 102 主要人工器官、
104 主要管腔、 106 近位端、
108 遠位端、 110 主要壁、
112 第一の穴、 114 第二の穴、
116 第三の穴、 118 第一の受け口、
120 第二の受け口、 122 第三の受け口、
124 小さい管腔、 130 開窓部、
134 ガイドワイヤ、 300 血管内グラフト給送装置、
302 血管内人工器官器具、 304 シース、
306 拡張器、 308 ハンドル、
310 管腔、 312 コネクタ、
314 電子デバイス、 316 第一のトリガーワイヤ、
318 第二のトリガーワイヤ、 320 管状の本体、
322 第一のステント、 324 第二のステント、
326 第三のステント、 328 第四のステント、
330 電気素子、 332 開窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内人工器官器具と、
前記血管内人工器官器具の部分と配備可能に係合している1以上のトリガーワイヤと、
前記血管内人工器官器具上に位置決めされ、前記1以上のトリガーワイヤのうちの1本のトリガーワイヤと信号通信状態にあって、前記トリガーワイヤとの間で作動信号を伝送する電気素子と、を備えていることを特徴とする血管内グラフト給送装置。
【請求項2】
前記作動信号が電気信号又は光信号又はその両方からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項3】
前記電気素子が、前記トリガーワイヤの導電部分に付加される電気信号によって、電力を供給されるようにされている、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項4】
前記血管内人工器官器具が患者の体内に位置決めされると、前記電気素子が前記トリガーワイヤにフィードバック情報を付与するようになされている、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項5】
前記トリガーワイヤが導電性のトリガーワイヤからなり且つ前記フィードバック情報が前記導電性のトリガーワイヤを伝送される電気信号を含んでいるか、又は前記トリガーワイヤが光ファイバからなり且つ前記フィードバック情報が前記光ファイバを光学的に伝送されるようになされている、ことを特徴とする請求項4に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項6】
前記電気素子がセンサを備えており、該センサは、前記血管内人工器官器具を患者の体内に配備させる際に該血管内人工器官器具の位置についての情報を前記トリガーワイヤに付与し、該情報が、患者の体外位置において前記トリガーワイヤを通して検知できるようになされている、ことを特徴とする請求項4に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項7】
前記電気素子が、前記トリガーワイヤを通して受け取った作動信号に応答して位置決め送信信号を発する送信器を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項8】
前記送信器が、高周波エネルギ、磁気エネルギ、又は光を、前記位置決め送信信号として発信し、該位置決め送信信号は、前記血管内人工器官器具を体内に配置するために体外から検知可能である、ことを特徴とする請求項7に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項9】
血管内人工器官器具を配備させる方法であって、
前記血管内人工器官器具を患者の体内の所望の配備位置の近くに血管を通して位置決めするステップと、
前記血管内人工器官器具と機械的に結合しているトリガーワイヤに信号を付加するステップであって、該トリガーワイヤは、前記血管内人工器官器具に関連付けられている電気素子と信号通信状態にあり且つ前記血管内人工器官器具の位置決めの後に前記血管内人工器官器具の機械的特性を解除可能な形態で拘束するようになされている、前記トリガーワイヤに信号を付加するステップと、
体外にある検知器によって、前記付加された信号に基づいて前記電気素子によって伝送される電磁的な位置決め用送信信号を検知するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記検知された電磁的な位置決め情報に応答して前記血管内人工器官器具を再度位置決めするステップと、
後続の信号を前記トリガーワイヤに付加するステップと、
前記検知器において、前記付加された後続の信号に応答して、前記電気素子によって伝送された後続の電磁的な位置決め送信信号を検知するステップと、を更に含んでいる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記後続の電磁的位置決め送信信号に基づいて、前記血管内人工器官器具が所望の配備位置にあるか否かを判定するステップと、
前記トリガーワイヤを起動させて、前記血管内人工器官器具の機械的な拘束を解き、前記血管内人工器官器具を所望の配備位置に配備させるステップと、を更に含んでいる、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記血管内人工器官器具がステントグラフトを備えており、前記所望の配備位置が人体の大動脈内の位置である、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
検知された電磁的な位置決め送信信号が、前記血管内人工器官器具が患者の体内の前記所望の配備位置に正しく位置決めされていることを指示したときに、前記トリガーワイヤを起動させて前記血管内人工器官器具から1以上の機械的な拘束を解放させ且つ前記血管内人工器官器具を配備させるステップと、
前記トリガーワイヤ及び前記電気素子を患者の体内から引き出し、前記配備された血管内人工器官器具を患者の体内の前記所望の配備位置に残すステップと、を更に含んでいる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記トリガーワイヤに信号を付加するステップが、該トリガーワイヤの導電部分に電圧信号又は電流信号を直接付加するか、又は前記トリガーワイヤの前記導電部分に電圧信号又は電流信号を間接的に誘導することを含んでいる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記トリガーワイヤに信号を付加するステップが、前記トリガーワイヤの光ファイバに光学的信号を付加することを含んでいる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記電磁的な位置決め送信信号を検知するステップが、人体外の位置にある電気素子の高周波送信信号を検知することを含んでいる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
血管内グラフト給送装置であって、
人体内に位置決め可能な血管内グラフトと、
付加された作動信号に応答して電磁的な送信信号を伝送する1以上の電気素子であって、当該血管内グラフト給送装置の近位端に位置決めされている電気素子と、
1以上のトリガーワイヤであって、対応する各トリガーワイヤが、対応する電気素子と信号通信状態にあって作動信号を対応の電気素子に付与し、前記血管内グラフトの一部分と係合してトリガーがかけられたときに前記血管内グラフトによる機械的な拘束を解放するようになっており、該1以上のトリガーワイヤは該血管内グラフト給送装置の遠位端から出て行くようになされている、1以上のトリガーワイヤと、
を備えている、ことを特徴とする血管内グラフト給送装置。
【請求項18】
人体外に設けられており、伝送された前記電磁的な送信信号を受け取るようになされている受信器と、
前記受信器に接続されていて、受け取った前記電磁的な送信信号及び人体についての記憶されているデータに基づいて位置決め画像を形成するディスプレイ機器と、
を更に備えている、ことを特徴とする請求項17に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項19】
前記1以上のトリガーワイヤが光ファイバを備えている、ことを特徴とする請求項17に記載の血管内グラフト給送装置。
【請求項20】
前記1以上のトリガーワイヤが光ファイバと一緒に束ねられている電気線を備えている、ことを特徴とする請求項17に記載の血管内グラフト給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232134(P2012−232134A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−104432(P2012−104432)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【出願人】(504291867)ザ クリーヴランド クリニック ファウンデーション (11)
【氏名又は名称原語表記】THE CLEVELAND CLINIC FOUNDATION
【Fターム(参考)】